説明

ガラスパネル支持構造

【課題】 外観や視界を損ないにくいガラスパネル支持構造を提供する。
【解決手段】 ガラスパネルPを躯体A側に支持してあるガラスパネル支持構造であって、ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の位置を、そのガラスパネルの左右方向の一方に向く一側端面6側を躯体側に接当させて位置決め可能に設けるとともに、ガラスパネルの左右方向の他方に向く他側端面4と下側端面3とに対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材7を設け、圧接部材の両端部を、一側端面側を躯体側に接当させる押圧力F1とガラスパネルを支持可能な支持力F2とがガラスパネルに作用するように、躯体側に固定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネルを躯体側に支持してあるガラスパネル支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ガラスパネル支持構造では、従来、躯体側に設けてある金属製サッシュにガラスパネルの周縁部を嵌め込むとともに、躯体側からガラスパネルに外力が極力作用しないように、ガラスパネルの下側端面を、その下側端面に沿う下側サッシュ部分の内側に装着してある硬質樹脂製のセッテングブロックなどの緩衝材に載置して、ガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する風力などの外力を、緩衝材と下側サッシュ部分とを介して、躯体側に伝達することで、躯体側に支持してある(以下、第1従来技術という)(周知技術であり、先行技術文献情報を開示できない)。
また、ガラスパネルの複数を、ガラス面を上下方向に沿わせた姿勢で、上下に並べて支持するために、図17,図18に示すように、上下両端部を躯体側に固定してある金属製側面サッシュ33の内側に受け部材34を設けて、ガラスパネルPの下端側コーナー角部を、硬質樹脂製のセッテングブロックなどの緩衝材35を介して受け部材34に載置し、ガラスパネルPの重量やガラスパネルに作用する風力などの外力を、緩衝材35と受け部材34を介して、躯体側の側面サッシュ33に伝達して、上下で隣り合うガラスパネルPどうしの突合せ部にシール材11を充填しておくことも行われている(以下、第2従来技術という)(周知技術であり、先行技術文献情報を開示できない)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記第1従来技術のガラスパネル支持構造は、ガラスパネルの下側端面を下側サッシュ部分の内側に装着してある緩衝材に載置して、ガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する外力を、緩衝材と下側サッシュ部分とを介して、躯体側に伝達することで、ガラスパネルを躯体側に支持してあるので、緩衝材が下側サッシュ部分の内側に隠れるように、下側サッシュ部分の上下寸法が大きいサッシュを使用する必要があり、その結果、ガラスパネルの大きさが制約されて、外観や視界を損ない易い欠点がある。
また、ガラスパネルの複数を、ガラス面を上下方向に沿わせた姿勢で、上下に並べて支持してあるような場合は、緩衝材を介して下側サッシュ部分で受け止めたガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する外力が、その下側のガラスパネルに外力として作用しないように、下側サッシュ部分の剛性が大きい大型のサッシュを使用する必要があり、この場合は、ガラスパネルの大きさが一層制約されて、外観や視界を一層損ない易い欠点がある。
上記第2従来技術のガラスパネル支持構造は、ガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する外力を側面サッシュに伝達するので、第1従来技術のような下側サッシが不要になるが、受け部材を側面サッシュの内側に隠れるように設ける必要があるので、側面サッシュが大きくなって、ガラスパネルの大きさが制約され、また、下側のガラスパネルに上側のガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する外力が作用しないように、剛性が大きい大型の受け部材を設ける必要がある場合は、上下のガラスパネル同士の間隔が広くなって、シール材の上下幅が広くなり、ガラスパネルの大きさが更に制約を受けることは第1従来技術と同様である。
とりわけ、出窓などに設けるガラスパネルのように、ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の一方が躯体側に沿い、他方が躯体側から出っ張るように支持したい場合に、ガラスパネルの躯体側から出っ張る周縁部をサッシュに嵌め込んで支持すると、ガラスパネルの重量でサッシュの躯体側との固定部位に大きな曲げモーメントが生じてサッシュ全体が変形し易いので、そのような変形が生じないように、サッシュ全体の剛性が大きい大型のサッシュを使用する必要があり、ガラスパネルの大きさが一層制約されて、外観や視界を一層損ない易い欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、外観や視界を損ないにくいガラスパネル支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1特徴構成は、ガラスパネルを躯体側に支持してあるガラスパネル支持構造であって、前記ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の位置を、そのガラスパネルの前記左右方向の一方に向く一側端面側を躯体側に接当させて位置決め可能に設けるとともに、前記ガラスパネルの前記左右方向の他方に向く他側端面と下側端面とに対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材を設け、前記圧接部材の両端部を、前記一側端面側を前記躯体側に接当させる押圧力と前記ガラスパネルを支持可能な支持力とが前記ガラスパネルに作用するように、躯体側に固定してある点にある。
【0005】
〔作用及び効果〕
ガラスパネルの下側端面に対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材の両端部を、ガラスパネルを支持可能な支持力がガラスパネルに作用するように、躯体側に固定してあるので、ガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する外力を圧接部材で受け止めて、従来のような緩衝材や下側サッシュ部分を介さずに、その圧接部材を介して躯体側に伝達することができ、その結果、ガラスパネルの大きさに制約を受けにくくなって、外観や視界を損ないにくい。
また、ガラスパネルを受け止めている圧接部材を、ガラス面に沿う左右方向の他方に向く他側端面に対しても、その長手方向に沿って略一連に圧接させるとともに、ガラス面に沿う左右方向の一方に向く一側端面側を躯体側に接当させる押圧力がガラスパネルに作用するように、圧接部材の両端部を躯体側に固定して、ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の位置を位置決めしてあるので、圧接部材と躯体側との間にガラスパネルを突っ張らせるように支持して、圧接部材に作用するガラスパネルの重量を軽減できるとともに、出窓などの側面に設けるガラスパネルのように、ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の一方が躯体側に沿い、他方が躯体側から出っ張るように、ガラスパネルを支持することもできる。
【0006】
本発明の第2特徴構成は、前記圧接部材を、可撓性を備えた索条体で構成してある点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
ガラスパネルの他側端面と下側端面とに対してその長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材を、可撓性を備えた索条体で構成してあるので、圧接部材を、ガラスパネルの形状に追従させて、他側端面と下側端面とに対して圧接させ易いとともに、ガラスパネルの寸法に応じて、その必要長さを調節し易い。
【0008】
本発明の第3特徴構成は、前記他側端面又は前記下側端面にその長手方向に沿って形成してある溝に、前記索条体を入り込ませてある点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
ガラスパネルの他側端面又は下側端面にその長手方向に沿って形成してある溝に、他側端面と下側端面とに対してその長手方向に沿って略一連に圧接する索条体を入り込ませてあるので、索条体の外れ止め用の金具などを特に設けることなく、索条体が他側端面又は下側端面から外れないように保持できる。
【0010】
本発明の第4特徴構成は、前記索条体を帯状に形成して、前記他側端面又は前記下側端面に対してその全幅に亘って包み込むように圧接させてある点にある。
【0011】
〔作用及び効果〕
ガラスパネルの他側端面と下側端面とに対してその長手方向に沿って略一連に圧接する索条体を帯状に形成して、他側端面又は下側端面に対してその全幅に亘って包み込むように圧接させてあるので、索条体の外れ止め用の金具などを特に設けることなく、索条体が他側端面又は下側端面から外れないように保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
図1,図2は、建物躯体Aに設けてある四角出窓A1の要部を示し、出窓底板材1と出窓屋根材2の外周縁に沿って、単板の強化板ガラスからなる出窓側面形成用の四角形(矩形)のガラスパネル(以下、側面ガラスパネルという)Pと出窓正面形成用の四角形(矩形)のガラスパネル(以下、正面ガラスパネルという)Qとを設け、側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある。
【0013】
前記側面ガラスパネルPは、図3に示すように、両端部を建物躯体A側に固定してある圧接部材7をその端面3,4,5に一連に巻き掛けて、ガラス面を上下方向に沿わせた姿勢で、建物躯体A側に対向する内向き端面(左右方向の一方に向く一側端面)6が略垂直方向に沿い、かつ、建物躯体Aの外方側に向く外向き端面(左右方向の他方に向く他側端面)4が建物躯体A側から外方に略直角に出っ張る状態で略垂直方向に沿うように、建物躯体A側に支持してある。
【0014】
前記圧接部材7は、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4とに対してその長手方向に沿って略一連に圧接可能な可撓性を備えた索条体7で構成して、下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに略全長に亘って一連に巻き掛けて側面ガラスパネルPに対して圧接し、側面ガラスパネルPを建物躯体Aに対して硬質のバックアップ材12を介して圧接させてある。
【0015】
そして、側面ガラスパネルPのガラス面に沿う左右方向の位置を、その内向き端面6側をバックアップ材12を介して躯体A側に接当させて位置決め可能に設けるとともに、内向き端面6側を建物躯体A側に接当させる押圧力F1と、側面ガラスパネルPを支持可能な上向きの支持力F2とが側面ガラスパネルPに作用するように、索条体7の両端部を躯体A側に上下に間隔を隔てて固定してある。
【0016】
つまり、下側端面3よりも高い位置で内向き端面6に対向する躯体A側に設けてあるフック10aなどに一端側を固定してある索条体7を、内向き端面6に沿うようにその下端側で横向きに屈曲させて、下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに順に巻き掛けた後、内向き端面6の上端側で下向きに特に屈曲させずに、躯体A側に設けてあるフック10bなどに引っ張り状態で固定して、内向き端面6側をバックアップ材12を挟んで建物躯体A側に接当させる押圧力F1と、側面ガラスパネルPの重量やガラスパネルに作用する風力などの外力を支持可能な支持力F2とが側面ガラスパネルPに作用するように圧接させてある。
【0017】
前記索条体7は、図4に示すように、単一の鋼製ワイヤー8を樹脂製の被覆材9で被覆して構成してあり、図1,図2にも示すように、出窓底板材1と正面ガラスパネルQ,出窓屋根材2の夫々と、側面ガラスパネルPの端面3,4,5との間に充填したシリコーン樹脂などの弾性シール材11の中に索条体7を埋め込んで、索条体7が各端面3,4,5,6から外れないように保持して巻き掛けてある。
尚、図1,図2に示すように、建物躯体Aと内向き端面6との間にも、シリコーン樹脂などの弾性シール材11を充填してある。
【0018】
〔第2実施形態〕
図5は第1実施形態の変形例を示し、下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに順に巻き掛けた後の索条体7を、内向き端面6に沿うようにその上端側で下向きに屈曲させ、その他端側を、一端側よりも高い位置で、内向き端面6に対向する躯体A側に設けてあるフック10bなどに引っ張り状態で固定して、内向き端面6側をバックアップ材12を挟んで建物躯体A側に接当させる押圧力F1と、側面ガラスパネルPを支持可能な支持力F2とが側面ガラスパネルPに作用するように圧接させてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0019】
〔第3実施形態〕
図6は、二枚の強化板ガラスBを樹脂フィルムCを挟んで接合してある合わせガラスで構成してある側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある実施形態を示し、両端部を躯体A側に固定してある可撓性を備えた二本の索条体7を、各強化板ガラスB毎に、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに順に巻き掛けてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0020】
〔第4実施形態〕
図7は、複層ガラスで構成してある側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある実施形態を示し、両端部を躯体A側に固定してある可撓性を備えた二本の索条体7を、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに順に巻き掛けてある。
【0021】
図7(イ)は、側面ガラスパネルPを二枚の強化板ガラスBの外周部をスペーサDを挟んで接合してある複層ガラスで構成して、各強化板ガラスB毎に、索条体7を下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに巻き掛けてある実施形態を示し、図7(ロ)は、側面ガラスパネルPを強化板ガラスBと合わせガラスEとの外周部をスペーサDを挟んで接合してある複層ガラスで構成して、強化板ガラスBと合わせガラスE毎に、索条体7を下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに巻き掛けてある実施形態を示している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0022】
〔第5実施形態〕
図8は、第1〜第4実施形態の変形例を示し、側面ガラスパネルPを構成している強化板ガラスBや合わせガラスEの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに、その長手方向に沿って、横断面形状が半円形の溝15を全長に亘って形成し、索条体7を各端面3,4,5の半円形の溝15に入り込むように巻き掛けて、索条体7が各端面3,4,5から外れないように保持してある。
その他の構成は第1〜第4実施形態と同様である。
【0023】
〔第6実施形態〕
図9は、二枚の強化板ガラスBを樹脂フィルムCを挟んで接合してある合わせガラスで構成してある側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある実施形態を示し、各強化板ガラスBの樹脂フィルムCを挟んで互いに対向する角部を面取りして、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに、その長手方向に沿って、横断面形状がV字形の溝15を全長に亘って形成し、索条体7を各端面3,4,5のV字形の溝15に入り込むように巻き掛けて、索条体7が各端面3,4,5から外れないように保持してある。
【0024】
図9(イ)は、アルミ合金などで形成した横断面形状がV字形の緩衝用板材16を挟んで、索条体7をV字形の溝15に入り込ませてある実施形態を示し、図9(ロ)は、緩衝用板材16を挟まずに、索条体7をV字形の溝15に入り込ませてある実施形態を示している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0025】
〔第7実施形態〕
図10は、三枚の強化板ガラスBを樹脂フィルムCを挟んで接合してある合わせガラスで構成してある側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある実施形態を示し、中間の強化板ガラスB1の端面を両側の強化板ガラスB2の端面よりも入り込ませて、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに、その長手方向に沿って、横断面形状がコの字形の溝15を全長に亘って形成し、索条体7を各端面3,4,5のコの字形の溝15に入り込むように巻き掛けて、索条体7が各端面3,4,5から外れないように保持してある。
【0026】
図10(イ)は、アルミ合金などで形成した横断面形状がコの字形の緩衝用板材16を挟んで、索条体7をコの字形の溝15に入り込ませてある実施形態を示し、図10(ロ)は、左右の強化板ガラスB2の端面とコの字形の溝15の内面とに沿って一連のアルミ合金などで形成した緩衝用板材16を挟んで、索条体7をコの字形の溝15に入り込ませてある実施形態を示している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0027】
〔第8実施形態〕
図11は、二枚の強化板ガラスBの外周部をスペーサDを挟んで接合してある複層ガラスで構成してある側面ガラスパネルPを本発明によるガラスパネル支持構造で支持してある実施形態を示し、スペーサDを二枚の強化板ガラスBの端面よりも入り込ませて、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5とに、その長手方向に沿って、横断面形状がコの字形の溝15を全長に亘って形成し、左右の強化板ガラスBの端面とコの字形の溝15の内面とに沿って一連のアルミ合金などで形成した緩衝用板材16を挟んで、索条体7をコの字形の溝15に入り込むように各端面3,4,5に巻き掛けて、索条体7が各端面3,4,5から外れないように保持してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0028】
〔第9実施形態〕
図12は、本発明によるガラスパネル支持構造の別実施形態を示し、側面ガラスパネルPの下側端面3と上側端面5とに、出窓底板材1や出窓屋根材2に設けた係止部13に係止自在な鈎部17を備えたアルミ合金などの金属製の支持部材18を一連に装着し、この支持部材18に長手方向に沿って一連に形成してある溝15に入り込むように、索条体7を下側端面3と上側端面5とに巻き掛けて、索条体7が各端面3,5から外れないように保持してある。
【0029】
前記支持部材18には、側面ガラスパネルPの下側端面3と上側端面5とを入り込ませるガラス受け溝19を長手方向に沿って一連に形成してあり、側面ガラスパネルPの下側端面3と上側端面5とを傾斜面に形成すると共に、この傾斜端面3,5に対向するパネル受け面20をガラス受け溝19に形成して、アルミ合金などで形成した緩衝用板材16を各傾斜端面3,5とパネル受け面20とで挟み付けるとともに、鈎部17と側面ガラスパネルPのガラス面との間に硬質のバックアップ部材21を押し込んで、側面ガラスパネルPの端部をガラス受け溝19に楔状に入り込ませ、バックアップ部材21を覆う弾性シール材22を、鈎部17と側面ガラスパネルPのガラス面との間に充填してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0030】
〔第10実施形態〕
図13は、本発明によるガラスパネル支持構造の別実施形態を示し、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5の夫々と、それらの端面3,4,5に対向する出窓底板材1と正面ガラスパネルQと出窓屋根材2とを、シリコーン樹脂製の四角筒状ガスケット23を挟んで接着材26で互いに接着し、複数の鋼製ワイヤー8を並べて樹脂製の被覆材9で被覆してある帯状の索条体7を、このガスケット23の内部に挿通して、各端面3,4,5に巻き掛けてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0031】
〔第11実施形態〕
図14は、本発明によるガラスパネル支持構造の別実施形態を示し、凹溝24を一側側に備えたアルミ合金製の四角筒状フレーム25を使用して、側面ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4と上側端面5の夫々を凹溝24に入り込ませて接着材26で接着するとともに、それらの端面3,4,5に対向する出窓底板材1と正面ガラスパネルQと出窓屋根材2とを四角筒状フレーム25に接着し、帯状の金属製索条体7をこの四角筒状フレーム25の内部に挿通して、各端面3,4,5に巻き掛けてある。
尚、索条体7は、第10実施形態と同様に、複数の鋼製ワイヤー8を樹脂製の被覆材9で被覆して帯状に形成してあっても良い。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
〔第12実施形態〕
図15は、本発明によるガラスパネル支持構造の別実施形態を示し、可撓性を備えた索条体7を高強度繊維などで側面ガラスパネルPの厚さよりも幅広の帯状に形成し、この索条体7で下側端面3と外向き端面4と上側端面5とを全幅に亘って包み込む状態で、索条体7を各端面3,4,5に巻き掛けてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0033】
〔第13実施形態〕
図16は、本発明によるガラスパネル支持構造の別実施形態を示し、上下両端を躯体A側に固定してある支柱27を設けて、ステンレス鋼などの金属製の上下二個の支持具28を支柱27に固定し、両端部をこれらの支持具28に固定してある索条体7を、側面ガラスパネルPの端面3,4,5に一連に巻き掛けて、ガラス面を上下方向に沿わせた姿勢で、建物躯体A側に対向する内向き端面6が略垂直方向に沿い、かつ、建物躯体Aの外方側に向く外向き端面4が建物躯体A側から外方に略直角に出っ張る状態で略垂直方向に沿うように、建物躯体A側に支持してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0034】
〔その他の実施形態〕
1.本発明によるガラスパネル支持構造は、ガラスパネルを、ガラス面を鉛直に対して90度未満の任意の角度で傾斜させて躯体側に支持してあっても良い。
この場合、鉛直に対して45度以下、好ましくは30度以下、更に好ましくは15度以下であれば良い。
2.本発明によるガラスパネル支持構造は、一端側を躯体側に固定してある圧接部材を、ガラスパネルの他側端面と下側端面とに対して圧接するように巻き掛けた後、ガラスパネルの上側端面に巻き掛けずに、その他端側を躯体側に固定してあっても良い。
つまり、例えば第1実施形態において、一端側を躯体A側に固定してある圧接部材(索条体)7を、ガラスパネルPの下側端面3と外向き端面4とに対して圧接するように巻き掛けた後、その他端側を、上側端面5に巻き掛けずに、出窓屋根材2側に連結して、出窓屋根材2を介して躯体A側に固定してあっても良い。
3.本発明によるガラスパネル支持構造は、圧接部材をステンレス鋼などの金属製フレームで構成し、その両端部を鋼製ワイヤーなどの索条体で躯体側に固定してあっても良い。
4.本発明によるガラスパネル支持構造は、鎖状や網状の索条体や、繊維製の紐状の索条体、或いは、一部をステンレス鋼などの金属製の棒材や帯材で構成してある索条体で圧接部材を構成してあっても良い。
5.本発明によるガラスパネル支持構造は、長手方向に沿って材質や寸法形状が異なる圧接部材を使用してあっても良い。
この場合、ガラスパネルの下側端面や他側端面に沿って容易に変形するように、長手方向に沿って材質や寸法形状が異なる索条体を適宜選択して使用できる。
6.本発明によるガラスパネル支持構造は、ガラスパネルの他側端面と下側端面の一部に対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材を設けてあっても良い。
7.本発明によるガラスパネル支持構造は、他側端面や下側端面がその長手方向に沿って湾曲しているガラスパネルや、コーナー部を上下方向に配置してある四角形のガラスパネルのように他側端面や下側端面がその長手方向に沿って屈曲しているガラスパネルなどのように、他側端面や下側端面をその長手方向に沿って任意の形状に形成してあるガラスパネルを支持してあっても良い。
8.本発明によるガラスパネル支持構造は、ガラスパネルの他側端面や下側端面のうち、長手方向端部の端面にのみ、その長手方向に沿って形成してある溝に、索条体を入り込ませてあっても良い。
9.本発明によるガラスパネル支持構造は、ガラスパネルの複数を、ガラス面を上下方向に沿わせた姿勢で、上下に並べて支持するために設けてあっても良い。
この場合、上下に並べたガラスパネルの夫々を、本発明によるガラスパネル支持構造で各別に支持しても良いが、上下に隣り合うガラスパネルどうしの間に緩衝材などを挟んで、上方のガラスパネルの重量やガラスパネルに作用する風力などの外力が下方のガラスパネルに伝達されるように配置し、各ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の位置を、そのガラスパネルの一側端面側を各別に躯体側に接当させて位置決め可能に設けるとともに、最下部のガラスパネルの下側端面と各ガラスパネルの他側端面とに対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材を設け、圧接部材の両端部を、各ガラスパネルの一側端面側を躯体側に接当させる押圧力が各ガラスパネルに作用し、かつ、各ガラスパネルを支持可能な支持力が最下部のガラスパネルに作用するように、躯体側に固定して、上下に隣り合うガラスパネルを一体に支持しても良い。
10.本発明によるガラスパネル支持構造は、三角出窓や台形出窓の側面ガラスパネルを躯体側に支持するものであっても良い。
11.本発明によるガラスパネル支持構造は、強化板ガラス,半強化板ガラス,フロート板ガラス、型板ガラス,網入板ガラス,熱線吸収板ガラス,熱線反射板ガラス,各種表面処理を施してある板ガラス等の単板からなるガラスパネル、或いは、これらの板ガラスを適宜組み合わせて構成してある合わせガラスや複層ガラスからなるガラスパネルを支持してあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ガラスパネル支持構造を示す側面図
【図2】ガラスパネル支持構造を示す要部横断面図
【図3】ガラスパネル支持構造を示す要部側面図
【図4】ガラスパネル支持構造を示す要部断面図
【図5】第2実施形態を示す要部側面図
【図6】第3実施形態を示す要部断面図
【図7】第4実施形態を示す要部断面図
【図8】第5実施形態を示す要部断面図
【図9】第6実施形態を示す要部断面図
【図10】第7実施形態を示す要部断面図
【図11】第8実施形態を示す要部断面図
【図12】第9実施形態を示す要部断面図
【図13】第10実施形態を示す要部断面図
【図14】第11実施形態を示す要部断面図
【図15】第12実施形態を示す要部断面図
【図16】第13実施形態を示す要部側面図
【図17】従来技術の説明図
【図18】従来技術の説明図
【符号の説明】
【0036】
3 下側端面
4 他側端面
6 一側端面
7 圧接部材(索条体)
15 溝
A 躯体
F1 押圧力
F2 支持力
P ガラスパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネルを躯体側に支持してあるガラスパネル支持構造であって、
前記ガラスパネルのガラス面に沿う左右方向の位置を、そのガラスパネルの前記左右方向の一方に向く一側端面側を躯体側に接当させて位置決め可能に設けるとともに、
前記ガラスパネルの前記左右方向の他方に向く他側端面と下側端面とに対して、その長手方向に沿って略一連に圧接可能な圧接部材を設け、
前記圧接部材の両端部を、前記一側端面側を前記躯体側に接当させる押圧力と前記ガラスパネルを支持可能な支持力とが前記ガラスパネルに作用するように、躯体側に固定してあるガラスパネル支持構造。
【請求項2】
前記圧接部材を、可撓性を備えた索条体で構成してある請求項1記載のガラスパネル支持構造。
【請求項3】
前記他側端面又は前記下側端面にその長手方向に沿って形成してある溝に、前記索条体を入り込ませてある請求項2記載のガラスパネル支持構造。
【請求項4】
前記索条体を帯状に形成して、前記他側端面又は前記下側端面に対してその全幅に亘って包み込むように圧接させてある請求項2記載のガラスパネル支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−2435(P2007−2435A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180829(P2005−180829)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】