説明

ガラスペースト包装袋、およびこの袋を備えたガラスペースト梱包体

【課題】包装袋に充填されたガラスペーストの取出し割合を高めて、このガラスペーストを出荷先で無駄なく使用できるようにする。
【解決手段】ガラスペースト包装袋1は、袋本体2と、袋本体2に固着され、ガラスペーストの充填および取出しのための出入口を形成する筒状口部3と、筒状口部3の上端開口を開放又は閉塞する蓋部4とを備えている。袋本体2は、円筒状の胴部2aの上方を天部2bによって閉塞すると共に、胴部2aの下方を、胴部2aから伸びる内径縮小領域2c、および内径縮小領域2cとつながる最底部2dで閉塞した形状を呈している。内径縮小領域2cは、胴部2aの下端から縮径を伴って下方に伸びる部分であって、袋本体2の底部に位置し、袋本体2の最も下方に位置する最底部2dとつながっている。内径縮小領域2cの内面は、最底部2dに向かうにつれて内径が一定の勾配で縮小するテーパ面2c1となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスペースト包装袋、およびこの袋を備えたガラスペースト梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、実用化された代表的なフラットパネルディスプレイの一つにプラズマディスプレイ(以下、PDPという)がある。PDPは、粉末ガラスを焼成した多くの部材から構成されており、その製作には数種類のガラスペーストが使用されている。PDPの製造ラインに供給されるガラスペーストには、融点や熱膨張係数等に関し所定の特性を有するガラス粉末をバインダー等の樹脂を含む溶媒に分散させたものが使用される。
【0003】
上記ガラスペーストは、通常、梱包体の状態でガラスペースト製造メーカからPDP製造メーカに出荷される。この種の梱包体としては、例えば、図4に示すように、ドラム缶20の内部にポリエチレン製のガラスペースト包装袋21を取付けると共にこの包装袋21内にガラスペーストGを充填し、かつ、下面がポリエチレンフィルム22で覆われた上蓋23によってドラム缶20の開口部を閉塞したものが知られている(例えば、下記特許文献1〜3を参照)。
【0004】
また、充填時にガラスペーストGが飛散したり、ガラスペーストG中に気泡が混入するのを抑制する目的で、例えば図5に示すように、天部25aによって上方が覆われたポリエチレン製の袋本体25と、この袋本体25の天部25aに下端部が固着された筒状口部26と、この筒状口部26の上端開口を開閉する蓋部27とを備え、これにより袋本体25の上方の開口面積を規制したタイプのガラスペースト包装袋24が知られている(例えば、下記特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−81342号公報
【特許文献2】特開2004−196365号公報
【特許文献3】特開2005−186984号公報
【特許文献4】特開2009−23687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の梱包体においては、出荷先(PDPメーカーなど)でガラスペーストを取出すに際し、例えば図6に示すように、筒状口部26からガラスペースト取出し用のノズル28を包装袋24の底部にまで挿入し、図示しないポンプ等で吸上げることで、包装袋24の内部に充填したガラスペーストGを取出す方法が採られることがある。ここで、包装袋24の底部は、同図に示すように(上記特許文献1〜4に開示のように)、ドラム缶20の底部に倣った平らな底面を一体に有する有底円筒形状をなす。加えて、ガラスペーストGは比較的粘性の高い材料であり、吸上げ時の追従性(流動性)も低い。そのため、上記の吸上げ方式では、ノズル28で直接吸上げる領域の周囲のガラスペーストGが吸上げられることなく底面に付着した状態で残り易い。この包装袋24は基本的に使い捨てであることから、結果として相当量のガラスペーストGが内部に残った状態で包装袋24が廃棄される。これにより、包装袋24に充填したガラスペーストGの実際の使用効率は悪く、多くの無駄が生じていた。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、包装袋に充填されたガラスペーストの取出し割合を高めて、このガラスペーストを出荷先で無駄なく使用できるようにすることを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題の解決を図るためになされたものである。すなわち、本発明に係るガラスペースト包装袋は、上部にガラスペーストの出入口を有する袋本体と、出入口を閉塞又は開放するための蓋部材とを備え、ガラスペーストを出入口を介して袋本体の内部に充填し、かつ、出入口を介して袋本体の内部に挿入したノズルで充填されたガラスペーストを吸上げできるように構成されたガラスペースト包装袋において、袋本体の底部には、その底側に移行するにつれて内径が漸次縮小する内径縮小領域が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0009】
この構成によれば、ガラスペースト取出し用のノズルを用いて包装袋の内部に充填されたガラスペーストを取出す際、袋本体の底部のうち内径が漸次縮小する領域上にあるガラスペーストについては、自重により小径側の領域(底側)に向けて流動し易くなる。これにより、内径縮小領域上にガラスペーストをなるべく残さないようにして、ガラスペーストをできる限り上記縮小領域の小径側に位置する袋本体の最も底の部分(最底部)に集めることができる。よって、上記のノズル吸出し方式において、袋本体の内部に充填したガラスペーストを効率よくかつ漏れなく取出すことが可能となる。
【0010】
ここで、内径縮小領域はテーパ状に形成されていてもよい。他の曲面形状(部分球面形状など)も採用できるが、その位置(内径縮小領域上の位置)によらず一定且つ円滑に最底部にガラスペーストを集める作用を生じ得る点においては、上記の勾配が一定であるテーパ形状が好適である。
【0011】
また、袋本体の底部の最底部は平坦状に形成されていてもよい。例えば袋本体の底部に上記内径縮小領域を設けた場合、当該縮小領域の下端側の一部がそのまま最底部を構成する場合も考えられるが(例えば円錐面の頂部内周面)、このような場合には、ノズルの先端が内径縮小領域の頂部の内面に当接することで当該頂部を塞ぐことになり、その周囲のガラスペーストを吸出しできない事態が起こり得る。これに対して、最底部を平坦状に形成することで、内径縮小領域の頂部を塞ぐといった事態を回避して、ノズル先端の周囲のガラスペーストを円滑に吸出すことができる。また、ノズル先端開口部が、包装袋の最底部に当接させた状態で有効に吸出しを行うために、当該ノズル軸線に対して傾斜した断面形状を有する場合にも、最底部を上記の形状とすることで、ノズルの先端開口部が最底部と隙間なく密着する事態を回避して、ノズルによるガラスペーストの吸出し作業を滞りなく行うことができる。
【0012】
以上の構成に係るガラスペースト包装袋は、ガラスペーストが内部に充填された上記ガラスペースト包装袋と、このガラスペースト包装袋を収容する収容体と、収容体の底部に配置され、容体に収容されたガラスペースト包装袋を受ける緩衝体とを備えたガラスペースト梱包体として提供することも可能である。本発明に係る包装袋は薄肉であり、かつ上記の如く、その底部に内径縮小領域を設けたものであるから、当該底部の内面形状はもちろんのこと外面形状についても、底側に移行するにつれて外径が漸次縮小する形状となる。このような形状を有する包装袋の場合、上記のように緩衝体を収容体の底部に配置することで、かかる包装袋を緩衝体で受けた状態で出荷先まで安全に移送することができる。
【0013】
また、緩衝体には、袋本体の底部の外面に対応した形状を有し、外面を受ける受け面が設けられていてもよい。上述のように、ガラスペースト包装袋の(袋本体の)底部の外面形状は、通常、内径縮小領域に倣った形状となるため、これを受ける緩衝体の受け面に関しても、袋本体の底部の外面に対応した形状とするのがよい。これにより、ガラスペーストを充填した状態の包装袋をより安定した状態で受けることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、包装袋に充填されたガラスペーストの取出し割合を高めて、このガラスペーストを出荷先で無駄なく使用できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラスペースト包装袋の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すガラスペースト包装袋を備えたガラスペースト梱包体を示す縦断面図である。
【図3】図1に示すガラスペースト包装袋を使用した場合のガラスペースト取出し工程を示す縦断面図である。
【図4】従来のガラスペースト梱包体を示す縦断面図である。
【図5】従来のガラスペースト梱包体を示す縦断面図である。
【図6】図5に示すガラスペースト包装袋を使用した場合のガラスペースト取出工程を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスペースト包装袋の縦断面図である。同図に示すように、この包装袋1は、袋本体2と、袋本体2に固着され、袋本体2に後述するガラスペーストの充填および取出しのための出入口を形成する筒状口部3と、筒状口部3の上端開口(ひいては上記の出入口)を開放又は閉塞する蓋部4とを備えている。なお、以下の実施形態では、包装袋1の出入口の側を上側、底部の側を下側として説明を行う。
【0018】
袋本体2は、全体として略均一な肉厚を有し、その上下端を閉塞した形状をなすものである。この実施形態では、袋本体2は、円筒状の胴部2aの上部を天部2bによって閉塞すると共に、胴部2aの下部(底部)を、胴部2aから伸びる内径縮小領域2c、および内径縮小領域2cとつながる最底部2dで閉塞した形状を呈している。
【0019】
このうち、天部2bは、天部2bの最上端部となる外径部2b1と、外径部2b1よりも半径方向中央でかつ下方に位置する中央部2b2とを有する。外径部2b1と中央部2b2とは、外径部2b1から下方に傾斜して中央部2b2に至る環状の傾斜部2b3によって連結されている。そして、中央部2b2の上面には、筒状口部3の下端部が固着されている。これにより、筒状口部3の開口下端が、天部2bの外径部2b1よりも下方に位置するようになっている。
【0020】
また、傾斜部2b3は、図1中の実線および破線で示すように、外径部2b1から上方に傾斜して中央部2b2に至るように変形可能であって、後述するガラスペーストGの充填時に、傾斜部2b3を変形させることにより、筒状口部3の下端開口が、外径部2b1よりも上方位置まで変位できるように構成されている。また、筒状口部3の外周面には螺旋溝3aが形成されており、蓋部4が螺着可能になっている。これにより、中央部2b2に設けた孔の内周および筒状口部3の内周に形成されたガラスペーストの出入口が、蓋部4により開放又は閉塞できるようになっている。
【0021】
内径縮小領域2cは、胴部2aの下端から縮径を伴って下方に伸びる部分であって、袋本体2の底部に位置すると共に、袋本体2の最も下方に位置する最底部2dとつながっている。この実施形態では、内径縮小領域2cの内面は、最底部2dの側に移行するにつれて一定の勾配で内径が縮小するテーパ面2c1となっている。また、この実施形態では、内径縮小領域2cは略円錐形状を有している。それ故、テーパ面2c1は環状のテーパ形状を有し、その下端で最底部2dの底面2d1とつながっている。
【0022】
ここで、テーパ面2c1の底面2d1に対する傾斜角θ(図1を参照)は、後述するように、テーパ面2c1上のガラスペーストGを底面2d1上に集め、かつ、これを後述する図3に例示のガラスペースト吸出し用のノズル9で吸出し得る程度の大きさに設定される。
【0023】
最底部2dは、袋本体2の最下部に位置しており、この実施形態では、略円錐状の内径縮小領域2cに対応して略円盤形状に形成される。また、最底部2dは、袋本体2の底部中央に形成される。そのため、この最底部2dの内面側に位置する底面2d1は平坦な略円形状を呈する。また、最底部2dは、ノズル9の挿入位置との関係で、筒状口部3の直下(筒状口部3とその中心軸を同一にする位置)に設けられている。なお、その面積は、ノズル9の先端開口部9aの開口面積(あるいはその軸方向への投影面積)に応じて、言い換えると、ノズル9により直接的に吸出し可能な領域の大きさに応じて設定されている。
【0024】
なお、袋本体2の材料としては、ガラスペーストと反応し難い材料であることが好ましく、例えばポリエチレンやナイロン等の樹脂が用いられる。一方、筒状口部3及び蓋部4の材料としては、袋本体2よりも硬質な材料が用いられる。具体的には、例えば硬質ポリエチレンや、硬質ナイロン等が用いられる。
【0025】
上記構成の包装袋1は、例えば図2に示す形態に梱包される。ここで、同図に示すガラスペースト梱包体8は、ガラスペーストGが内部に充填されたガラスペースト包装袋1と、ガラスペースト包装袋1を収容する収容体としての金属製のドラム缶5と、ドラム缶5の底部5aに配置され、ドラム缶5に収容されたガラスペースト包装袋1を受ける緩衝体6、および、ドラム缶5の上方開口部を閉塞する金属製の上蓋7とを備えている。このうち緩衝体6は、例えば発泡樹脂等の材料でドラム缶5の内面に応じた形状(ここでは短筒状の外周面を有する形状)に形成されており、その上方には、ガラスペースト包装袋1の底部を受ける受け面6aを有している。この図示例でいえば、袋本体2の底部の外面は、その内径縮小領域2cに倣った形状、すなわち最底部2dの外側の底面に向かうにつれて外径が漸次縮小するテーパ面2c2を有することから、受け面6aは、テーパ面2c2と、このテーパ面2c2と下端側でつながる最底部2dの外側の底面に対応した形状(すり鉢面形状。内面側についても同じ。)を有する。なお、図2に例示のように、ドラム缶5との間に所定の嵌合性を持たせて設計した緩衝体6を、ドラム缶5の底部5aまで押し込んでセットする際、緩衝体6と底部5aとの間の空気圧で緩衝体6がドラム缶5の開口側に押し戻される事態を回避するべく、1又は複数の軸方向の貫通孔を緩衝体6に設けてもよい。
【0026】
上記構成のガラスペースト梱包体8は、例えば以下の手順を経て製作される。まず、上方を開口した状態のドラム缶5の内部に緩衝体6を挿入しておき、然る後、ドラム缶5内に蓋部4を取り外した状態のガラスペースト包装袋1を収容する。そして、筒状口部3から袋本体2内にガラスペースト充填用のノズル(図示は省略する)を挿入して、当該ノズルの先端から袋本体2内にガラスペーストGを充填する。
【0027】
なお、上記充填の際、図1の破線に示すように、天部2bの傾斜部2b3を変形させて、筒状口部3の下端開口を天部2bの外径部2b1よりも上方に位置させた状態でガラスペーストGを充填することも可能である。このようにして充填することで、筒状口部3の下端開口を天部2bの外径部2b1よりも下方に位置させた状態で充填した場合(図1中実線に示す状態)よりも、天部2bの外径部2b1にガラスペーストGに混入した気泡が筒状口部3側に逃げ易くなる。そのため、充填時にガラスペーストG内に混入する気泡の量を減らすことができる。
【0028】
そして、ガラスペーストGの充填が完了した後、蓋部4で筒状口部3の開口を閉じると共に、ドラム缶5に金属製の上蓋7をして包装袋1を内部に収容することで、図2に示す形態のガラスペースト梱包体8が得られる。このように組まれた梱包体8にあっては、包装袋1がドラム缶5と上蓋7、さらに緩衝体6とによって保護されるため、外部から加わる衝撃等によって包装袋1が破損する事態を防止することができる。また、ドラム缶5や緩衝体6、上蓋7と、ガラスペーストGとは直接接触することがないので、これらの梱包用部品を繰り返し使用することができる。なお、上記のように、傾斜部2b3を変形させて、筒状口部3の下端開口を天部2bの外径部2b1よりも上方に位置させた状態でガラスペーストGの充填を行った場合、傾斜部2b3を元の形状(図1中実線で示す形状)に戻し、筒状口部3の下端開口を天部2bの外径部2b1よりも下方に位置させた後、ドラム缶5に上蓋7をすればよい。
【0029】
上記梱包体8は、ガラスペースト製造メーカーからPDPの製造メーカーに輸送される。そして、梱包体8に収容された包装袋1に充填されたガラスペーストGが取り出されて、PDPの製造ラインに供給される。このガラスペーストGの取出工程は次のような手順で行われる。
【0030】
図3に示すように、まず、上蓋7および蓋部4を取り外した状態で、ガラスペースト包装袋1の筒状口部3を介してガラスペースト吸出し用のノズル9を袋本体2の内部に挿入する。この際、ノズル9の先端開口部9aが袋本体2の最底部2dに当接する位置までノズル9を挿入するようにしてもよい。そして、ノズル9の上方開口部の側に設けたポンプ(図示は省略)を駆動させ、筒状口部3(の内周に設けた出入口)を介して袋本体2内に充填されたガラスペーストGの吸引を開始する。これにより、ガラスペーストGは、袋本体2の底側から順に取り出されていき、その気液界面は吸出しに伴い徐々に下がっていく。
【0031】
そして、袋本体2内のガラスペーストGがある程度吸出された状態においては、袋本体2の下側に位置する内径縮小領域2cの内側のテーパ面2c1上にあるガラスペーストGが最も下端側に位置する最底部2dの底面2d1に向けて滑り落ち易い形態となっている。そのため、吸出し時、ガラスペーストGをテーパ面2c1上になるべく残すことなく、その大部分を底面2d1上に集めることができる。よって、図示の形態であれば、ノズル9の先端を最底部2d上に固定した状態で吸出し作業を行うだけで、袋本体2に充填したガラスペーストGを効率よくかつ漏れなく取出すことができる。例えば、袋本体2の充填容量に対して、上記方法で取り出した後に袋本体2内部に残るガラスペーストGの割合を3%以下に抑えることが可能となる。
【0032】
一般に、この種の包装袋は、充填時の強度および充填容量の確保が求められるものであり、また、ドラム缶5の如き強固な収容体に収容される場合には、その充填容量を最大限に確保することが求められるのが通常である。上記の場合であれば、その充填容量を最大限に確保すべく、袋本体2の形状を、ドラム缶5の内面形状、すなわち軸方向全長にわたって円筒形状とするのが通常であるところ、本発明では、上記のように内径縮小領域2c(テーパ面2c1)を設けることで、敢えて充填容量を減らし、その代わりに充填容量と取出し容量との差を小さくしたことを特徴とするものである。従い、この構成によれば、ガラスペーストGの実質的な取出し割合を高めて、そのコストパフォーマンスを高めることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記例示の方法に限定されるわけではなく、本発明の範囲内において任意の形態を採り得ることはもちろんである。
【0034】
例えば、上記実施形態では、内径縮小領域2cの内面がテーパ面2c1となる場合、ガラスペーストGの底面2d1上への集め易さの観点からその傾斜角θの大きさについて規定したが、さらに、袋本体2が実質的に円筒形状をなす場合に取出し可能なガラスペーストGの量よりも上記形態で取出した際の取出し量が上回るように、傾斜角θの取り得る範囲を規定してもよい。あるいは、充填容量を調整する目的で、テーパ面2c1の半径方向寸法(袋本体2に占める割合)を当該傾斜角θとの関係で規定するようにしてもよい。
【0035】
また、内径縮小領域2cの形状は、ガラスペーストGをその底側に位置する最底部2d(底面2d1上)に向けて流れ得る限りにおいて任意であり、当然にテーパ形状には限定されない。もちろん、袋本体2の厚みを一部変更できるのであれば、内径縮小領域2cの内面と外面とで同一もしくは対応する形状とする必要はなく、双方の面にとって必要とする機能を発揮し得る範囲において別個の形状を採ることも可能である。
【0036】
なお、上記実施形態では、袋本体2の底部に、内径縮小領域2c(テーパ面2c1)とその下端側でつながる最底部2d(底面2d1)を設けた場合を例示したが、必ずしもこの形態である必要はない。例えば、略円錐状をなす内径縮小領域2cを袋本体2の底部に設けるのであれば、その下端部(頂部)にガラスペーストGが集まることになるため、特に平坦状の最底部2dを設けずともよい。また、その場合、ノズル9の先端形状(先端開口部9aの形状)は、密着を避けるため、実際に当接する袋本体2の最底部2dの形状と一致しなければよい。例えば、袋本体2の最底部2dがテーパ面2c1の一部である下端部(円錐の頂部)で形成される場合、ノズル9の先端開口部9aを、当該ノズル軸線に対して垂直な開口断面を有する形状としてもよい。
【0037】
また、緩衝体6に関し、上記実施形態では、袋本体2の下面全体を受ける形態の受け面6aを緩衝体6に設けた場合を説明したが、搬送時の安定性を確保できる限りにおいて、その一部を受ける形態としてもよいことはもちろんである。
【0038】
また、上記実施形態では、主にPDP用のガラスペーストGを充填し、取出す場合について説明したが、本発明に係る包装袋は、PDP以外のディスプレイ用、あるいはディスプレイ用以外の用途に用いるガラスペーストを充填し、出荷する場合にも適用できることはもちろんである。
【0039】
また、袋本体2に充填されたガラスペーストGの取出し方法に関しても、上記実施形態の方法に限定されない。出入口を介して袋本体2の内部に挿入したノズル9で充填状態のガラスペーストGを吸上げることで取出し可能な限りにおいて、他の方法を採用することも可能である(他の方法で取出す用途のガラスペースト包装袋に対しても本発明を適用することが可能である)。
【0040】
さらに、上記以外の事項についても、本発明の技術的意義を没却しない限りにおいて他の具体的形態を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
1 ガラスペースト包装袋
2 袋本体
2a 胴部
2b 天部
2c 内径縮小領域
2c1,2c2 テーパ面
2d 最底部
2d1 底面
3 筒状口部
4 蓋部
5 ドラム缶
6 緩衝体
6a 受け面
7 上蓋
8 ガラスペースト梱包体
9 ノズル
9a 先端開口部
G ガラスペースト
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にガラスペーストの出入口を有する袋本体と、前記出入口を閉塞又は開放するための蓋部材とを備え、ガラスペーストを前記出入口を介して前記袋本体の内部に充填し、かつ、前記出入口を介して前記袋本体の内部に挿入したノズルで前記充填されたガラスペーストを吸上げできるように構成されたガラスペースト包装袋において、
前記袋本体の底部には、その底側に移行するにつれて内径が漸次縮小する内径縮小領域が設けられていることを特徴とするガラスペースト包装袋。
【請求項2】
前記内径縮小領域は、テーパ状に形成されている請求項1に記載のガラスペースト包装袋。
【請求項3】
前記底部の最底部は平坦状に形成されている請求項1又は2に記載のガラスペースト包装袋。
【請求項4】
前記ガラスペーストが内部に充填された請求項1〜3の何れかに記載のガラスペースト包装袋と、このガラスペースト包装袋を収容する収容体と、該収容体の底部に配置され、前記収容体に収容された前記ガラスペースト包装袋を受ける緩衝体とを備えたガラスペースト梱包体。
【請求項5】
前記緩衝体には、前記袋本体の底部の外面に対応した形状を有し、前記外面を受ける受け面が設けられている請求項4に記載のガラスペースト梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−1071(P2011−1071A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143549(P2009−143549)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】