説明

ガラスラン

【課題】ドアとドアガラスとの間の面一化を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることのできるガラスランを提供する。
【解決手段】ドアガラスGを有する自動車ドアにはガラスラン2が組付けられる。ガラスラン2は、サッシュ20に嵌合される第1基部30と、ガイドレール11の湾曲端面11cに略対向して配設される対向壁部31と、ガイドレール11の車外側側面11aに略平行して配設される車外側側壁部32と、ガイドレール11の車外側側面11aをシールする車外側シールリップ33と、膨出部11bを規制する規制壁部34と、内装部材22に取付けられる取付壁部35と、ガイドレール11の車内側側面11dをシールする車内側シールリップ36と、車外側シールリップ33と車内側シールリップ36との間において設けられた一対のシールリップ(内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに取付けられるガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両用ドアには、摺動するドアガラスの周縁部をシールするガラスランが設けられている。ガラスランは、断面略コ字状の本体部と、当該本体部の両側壁の略先端から本体部内側に延びる一対のシールリップとを有し、当該本体部が前記ドアに設けられたサッシュに係合されている。そして、ドアガラスの周縁部の車内側及び車外側面を前記一対のシールリップによりシールしている。
【0003】
また、近年、車両走行時における風切り音発生等の抑制や外観品質等の向上を図るために、ドアの車外側表面とドアガラスの車外側表面との間の面一化(フラッシュサーフェイス化)が求められている。
【0004】
これに鑑み、ドアガラスの縦辺部に沿ってガイド部材を配設し、一対のシールリップにより当該ガイド部材の車内外両側をシールする構成によって、フラッシュサーフェイス化を実現したものもある(例えば、特許文献1、図4,5参照)。
【特許文献1】実開昭62−4415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドアガラスは、風圧等によって車内側方向へ押される等して、その摺動位置にバラツキが生じるため、車内外両側のシールリップだけではシール性能が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ドアとドアガラスとの間の面一化を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることのできるガラスランを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.昇降可能なドアガラスと、前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ当該縦縁部の端面よりも先端部が突出したガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記車両用ドアの取付部に取付けられる本体部と、
前記本体部に連接され、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記本体部に連接され、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記本体部における前記第1シールリップとの連接部と、前記第2シールリップとの連接部との間において連接され、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップ、及び前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【0009】
上記手段1によれば、車外側の第1シールリップと、車内側の第2シールリップとの間に、第3シールリップ及び第4シールリップを備えることにより、シール性の向上を図ることができる。また、本手段によれば、第1及び第2シールリップの間に1つのシールリップ(3つ目のシールリップ)のみならず、第3及び第4シールリップという2つのシールリップを備えているため、3つ目のシールリップのみを備えた構成よりもシール性能は格段に向上する。さらに、3つ目のシールリップだけでは、仮にドアガラスが位置ずれを起こした場合、そのずれ方向によってはシール性の低下を招くおそれがあるが、本手段によれば、そのような不具合も低減することができる。結果として、車両用ドアとドアガラスとの間の面一化(フラッシュサーフェイス化)を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることができる。
【0010】
手段2.昇降可能なドアガラスと、前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ当該縦縁部の端面よりも先端部が突出したガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記ドアガラスの車内側側面に略平行して配設された前記車両用ドアの第1取付部に取付けられる第1基部と、前記第1基部の幅方向一端部から延出し、前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設された前記車両用ドアの第2取付部に取付けられる第2基部と、前記第1基部の幅方向他端部から延出し、前記第1取付部の近傍に配設された前記車両用ドアの第3取付部に取付けられる第3基部とからなる本体部を備えるとともに、
前記第2基部のほぼ先端部から延出し、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記第3基部のほぼ先端部から延出し、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記第2基部から延出し、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップと、
前記第1基部又は前記第2基部から延出し、前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【0011】
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果を奏する。さらに、第3及び第4シールリップの配置構成によっては、ドアガラスの摺動位置が車内側方向や上記第2基部側方向へずれてしまいそうな場合でも、その動きを規制して、ドアガラスを適正な摺動位置に維持することができる。結果として、より確実にフラッシュサーフェイス化を図ることができ、またシール性の低下を抑制することができる。
【0012】
手段3.昇降可能なドアガラスと、
前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ、当該縦縁部の端面よりも先端部が突出し、当該先端部及びその近傍の車内側において車内側へと膨出した膨出部を有するガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記ドアガラスの車内側側面に略平行して配設された前記車両用ドアの第1取付部に取付けられる第1基部と、前記第1基部の幅方向一端部から延出し、前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設された前記車両用ドアの第2取付部に取付けられる第2基部と、前記第1基部の幅方向他端部から延出し、前記第1取付部の近傍に配設された前記車両用ドアの第3取付部に取付けられる第3基部とからなる本体部を備えるとともに、
前記第2基部のほぼ先端部から延出し、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記第3基部のほぼ先端部から延出し、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記第2基部から延出し、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップと、
前記第1基部又は前記第2基部から延出し、前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【0013】
上記手段3によれば、上記手段1、2と同様の作用効果を奏する。さらに、上記膨出部を具備したガイド部を備えることにより、シールリップによってシールされるシール面が増え、さらなるシール性の向上が図られる。
【0014】
手段4.前記第3基部は、
前記第1基部の幅方向他端部から車外側方向へ延出し前記膨出部を規制する規制壁部と、
前記規制壁部の先端部から延出し前記第3取付部に取付けられる取付壁部とから構成され、
前記第2シールリップが前記取付壁部の先端部又はその近傍より延出した構成となっていることを特徴とする手段3に記載のガラスラン。
【0015】
上記手段4によれば、上記規制壁部を備えることにより、当該規制壁部、第1基部、上記第1シールリップ、及び上記第3及び第4シールリップにより、ガイド部の先端部(膨出部)が囲まれた状態となるため、ガイド部ひいてはドアガラスの位置ずれを抑制することができ、ドアガラスを適正な摺動位置に維持することができる。結果として、より確実にフラッシュサーフェイス化を図ることができ、またシール性の低下を抑制することができる。
【0016】
手段5.前記ガイド部は、当該ガイド部の先端部から前記膨出部の車内側端部にかけて湾曲した湾曲端面を有するものであって、
前記湾曲端面に、前記第3シールリップ及び前記第4シールリップが当接するよう構成されていることを特徴とする手段3又は4に記載のガラスラン。
【0017】
上記手段5によれば、上記湾曲端面に第3及び第4シールリップが当接するように構成されていることから、車内外方向へドアガラスが位置ずれを起こした場合においても、第3及び第4シールリップの両者のシール量を確保しやすく、シール性の低下を抑制することができる。
【0018】
手段6.前記ガイド部は、その車外側側面が前記ドアガラスの車内側側面に略平行するよう設けられ、かつ、当該車外側側面の車内外方向に対する位置が前記ドアガラスの車外側側面と同一位置又はそれより車内側に位置するよう設けられたものであって、
前記第2基部は、前記第1基部の幅方向一端部から延出し前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設される対向壁部と、
前記対向壁部の先端より前記ドアガラスの端面に向け延出し前記ガイド部の車外側側面に略平行して配設される車外側側壁部とから構成され、
前記第1シールリップが前記車外側側壁部の先端部より前記対向壁部に向け延出した構成となっていることを特徴とする手段2乃至5のいずれかに記載のガラスラン。
【0019】
上記手段6によれば、ガイド部の車外側側面がドアガラスの車外側側面と同一位置又はそれより車内側に位置し、当該ガイド部の車外側側面に第1シールリップが当接するように構成されているため、より確実にフラッシュサーフェイス化を図ることができる。
【0020】
手段7.前記ガイド部は、その全体が前記ドアガラスの車内側側面より車内側に位置するように設けられたものであることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のガラスラン。
【0021】
上記手段7によれば、ドアガラスの縦縁部を車内外両側から挟持するように取付けられるタイプのガイド部等に比べて、さらなるフラッシュサーフェイス化を図ることができる。
【0022】
手段8.前記第3シールリップ及び前記第4シールリップは、それぞれ前記ガイド部に弾性的に当接又は圧接するよう構成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載のガラスラン。
【0023】
上記手段8によれば、本体部の一部のように比較的弾性に乏しい(硬い)部分に当接する又は位置ずれ等により当接してしまうような構成に比べて、ドアアラスの摺動が妨げられるといった不具合を抑制することができる。さらに、第3及び第4シールリップをガイド部に弾性的に当接等させることにより、ドアガラスを適正な摺動位置に維持することが可能となる。結果として、さらなるフラッシュサーフェイス化を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることができる。
【0024】
手段9.前記第3シールリップ及び前記第4シールリップは、互いに対向して突出するよう形成されていることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載のガラスラン。
【0025】
上記手段9によれば、第3シールリップは第4シールリップに向けて突出し、第4シールリップは第3シールリップに向けて突出している。従って、ガイド部の先端部と車内側側壁部とにより構成されるコーナー部や、上述したようにガイド部の先端部に形成される湾曲端面等を、両第3及び第4シールリップ間に受け支える等して、より確実にドアガラスの位置ずれを規制することができる。結果として、さらなるフラッシュサーフェイス化を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることができる。
【0026】
手段10.前記第3シールリップ及び前記第4シールリップは、その断面形状が略対称形状となる一対のシールリップであることを特徴とする手段9に記載のガラスラン。
【0027】
上記手段10によれば、第3及び第4シールリップがより均等した力でガイド部に当接し、ドアガラスの摺動位置をより安定させることができる。結果として、さらなるフラッシュサーフェイス化を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1に示すように、車両本体としての自動車ボディの開口部において開閉可能に設けられる車両用ドアとしての自動車ドア(図ではフロントドア:以下、単に「ドア」という)1は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)よりなるガラスラン2とを備えている。
【0030】
ガラスラン2は、その長手方向にみて上辺部に対応する押出成形部3、前後の縦辺部に対応する押出成形部4,5と、各押出成形部3,4,5の端部同士を接続する型成形部6,7(図1で散点模様を付した部分)とから構成される。各押出成形部3〜5は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に(長尺状に)形成される。また、型成形部6,7は、2つの押出成形部3,4及び押出成形部3,5が所定の角度をなした状態で相互に接続されるように図示しない金型装置にて接続成形される。
【0031】
次に図1のJ−J線部分断面図である図2を参照して、ドアガラスGの構成と、ガラスラン2の縦辺部(押出成形部)5の構成と、当該ガラスラン2が取付けられるドア1の取付部の構成を基に、ドア1の後縦辺部におけるシール構造について詳細に説明する。なお、ドア1の前縦辺部におけるシール構造は、後縦辺部におけるシール構造と同様の構成のため詳細な説明、及び、後述するガイドレール11等の図示は省略する。
【0032】
ドアガラスGの縦縁部には、当該縦縁部に沿ってガイド部としてのガイドレール11が設けられている。ガイドレール11は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)よりなり、ドアガラスGの車内側側面に接着剤により取着されている。ガイドレール11は、ドアガラスGの縦縁部の端面Gaよりも先端部が外方へ突出し、その車外側においてドアガラスGの車内側側面に略平行する車外側側面11aを備え、その車内側において車内側へ膨出した膨出部11bを備えている。そして、ガイドレール11は、その車外側側面11aの車内外方向に対する位置がドアガラスGの車内側側面と略同一位置となっており、その全体がドアガラスGの車内側側面より車内側に位置している。また、ガイドレール11は、当該ガイドレール11の先端部から膨出部11bの車内側端部にかけて湾曲した湾曲端面11cを有している。
【0033】
次に、ガラスラン2が取付けられるドア1の取付部の構成について説明する。ドア1は、ドアガラスGの車内側側面に略平行して配設された第1取付部としてのサッシュ20と、ドアガラスGの縦縁部の端面Ga及びガイドレール11の先端部の端面(湾曲端面11cの一部)に略対向して配設された第2取付部としての外装部材(リテーナ)21と、サッシュ20の近傍に設けられた第3取付部としての内装部材22とを備えている。なお、外装部材21の車外側側面は、ドアガラスGの車外側側面と略面一となっている。
【0034】
続いて、ガラスラン2の縦辺部5の構成について説明する。ガラスラン2の縦辺部5は、前記サッシュ20に嵌合される第1基部30と、第1基部30の幅方向一端部から延出しドアガラスGの縦縁部の端面Ga及びガイドレール11の湾曲端面11cに略対向して配設される対向壁部31と、当該対向壁部31の先端よりドアガラスGの端面Gaに向け延出し、ガイドレール11の車外側側面11aに略平行して配設され、外装部材21に先端部が係止されることにより当該外装部材21に取付けられる車外側側壁部32と、当該車外側側壁部32の先端部より対向壁部31に向け延出しガイドレール11の車外側側面11aに当接しこれをシールする第1シールリップとしての車外側シールリップ33と、第1基部30の幅方向他端部から車外側方向へ延出し膨出部11bを規制する規制壁部34と、規制壁部34の先端部から延出し内装部材22に先端部が係止されることにより当該内装部材22に取付けられる取付壁部35と、取付壁部35の先端部近傍より車外側方向へと延出し、ガイドレール11の車内側側面11dに当接しこれをシールする第2シールリップとしての車内側シールリップ36と、車外側シールリップ33と車内側シールリップ36との間において設けられた一対のシールリップ(内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40)とを備えている。内車外側シールリップ39が本実施形態における第3シールリップを構成し、内車内側シールリップ40が第4シールリップを構成する。また、対向壁部31及び車外側側壁部32によって本実施形態における第2基部が構成され、規制壁部34及び取付壁部35によって第3基部が構成される。また、第1基部30、対向壁部31、車外側側壁部32、規制壁部34及び取付壁部35によって本実施形態における本体部が構成される。
【0035】
ここで、一対のシールリップ(内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40)について詳しく説明する。内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40は、互いに対向して突出するよう形成されている。内車外側シールリップ39は、対向壁部31におけるガイドレール11の先端部の端面(湾曲端面11cの一部)に略対向する部分から第1基部30(車内側方向)へ向けて延出し、車外側シールリップ33よりも車内側においてガイドレール11の先端部の端面(湾曲端面11cの一部)に弾性的に当接しこれをシールするよう構成されている。内車内側シールリップ40は、第1基部30と対向壁部31との連接部付近から車外側側壁部32(車外側方向)へ延出し、内車外側シールリップ39よりも車内側においてガイドレール11の膨出部11bの湾曲端面11cに弾性的に当接しこれをシールするよう構成されている。そして、ガイドレール11の膨出部11bの湾曲端面11cを一対のシールリップ39,40間に受け支え、ドアガラスGの位置ずれを規制している。
【0036】
以上詳述したように、車外側シールリップ33と車内側シールリップ36との間に、一対のシールリップ(内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40)を備えることにより、シール性の向上を図ることができる。また、本実施形態によれば、車外側シールリップ33と車内側シールリップ36との間に1つのシールリップ(3つ目のシールリップ)のみならず、一対のシールリップ39,40という2つのシールリップを備えているため、3つ目のシールリップのみを備えた構成よりもシール性能は格段に向上する。さらに、3つ目のシールリップだけでは、仮にドアガラスGが位置ずれを起こした場合、そのずれ方向によってはシール性の低下を招くおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような不具合も低減することができる。結果として、ドア1とドアガラスGとの間の面一化(フラッシュサーフェイス化)を図るとともに、さらなるシール性の向上を図ることができる。
【0037】
また、ガイドレール11の膨出部11bの湾曲端面11cを一対のシールリップ39,40間に受け支え、ドアガラスGの位置ずれを規制しているため、ドアガラスGを適正な摺動位置に維持することができるとともに、車内外方向へドアガラスGが位置ずれを起こした場合においても、一対のシールリップ39,40の両者のシール量を確保しやすく、シール性の低下を抑制することができる。さらに、対向壁部31のように比較的硬い部分に当接する又は位置ずれ等により当接してしまうような構成に比べて、ドアアラスGの摺動が妨げられるといった不具合を抑制することができる。
【0038】
また、膨出部11b(湾曲端面11c)を具備したガイドレール11を採用することにより、シールリップによってシールされるシール面が増え、さらなるシール性の向上が図られる。
【0039】
また、規制壁部34を備えることにより、当該規制壁部34、第1基部30、車外側シールリップ33、及び一対のシールリップ39,40により、ガイドレール11の先端部(膨出部11b)が囲まれた状態となるため、ガイドレール11ひいてはドアガラスGの位置ずれを抑制することができ、より確実にドアガラスGを適正な摺動位置に維持することができる。
【0040】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0041】
(a)上記実施の形態では、フロントドア1用のシール構造及びガラスラン2について具体化したが、このようなシール構造及びガラスラン2が採用されるドアの部位は何ら限定されるものではなく、例えばリアドアにおいて適用することもできる。
【0042】
(b)ガイド部としてのガイドレールの構成や材質等は上記実施形態のガイドレール11の構成や材質等に限られるものではない。例えば、膨出部11bを省略した構成としてもよい。この場合、ガイドレールは車内側側面と車外側側面とが略平行となり、内車外側シールリップ39が前記ガイドレールの先端部の端面に当接し、内車内側シールリップ40が前記ガイドレールの車内側側面に当接する構成となる。また、ガイドレールがドアガラスGに一体形成された構成としてもよい。ガイドレールがドアガラスGの縦縁部を車内外両側から挟持するように取付けられるタイプのものでもよい。
【0043】
(c)上記実施形態では、車内側シールリップ36がガイドレール11の車内側側面11dに当接するように構成されているが、車内側シールリップ36がドアガラスGの車内側側面に当接する構成としてもよい。
【0044】
(d)内車外側シールリップ39及び内車内側シールリップ40の構成は上記実施形態に限られるものではない。例えば、両シールリップ39,40が同じ方向に向けて突出した構成としてもよい。また、両シールリップ39,40が、その断面形状(大きさ等)が略対称形状となった構成としてもよい。このようにすれば、両シールリップ39,40がより均等した力でガイドレール11に当接し、ドアガラスGの摺動位置をより安定させることができる。また、両シールリップ39,40の設けられる位置も上記実施形態に限られるものではなく、車外側シールリップ33と車内側シールリップ36との間であれば、どこでもよい。例えば、内車内側シールリップ40が第1基部30に設けられた構成としてもよい。
【0045】
(e)ガラスラン2が取付けられるドア1の取付部の構成も上記実施形態に限られるものではない。例えば、サッシュ20が省略された構成としてもよし、サッシュ20、外装部材(リテーナ)21及び内装部材22が一体となった取付部、例えば断面略コ字状のサッシュが設けられた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ガラスランの組付けられるドアの正面図である。
【図2】ガラスラン及びドアのシール構造を説明するための図1のJ−J線部分断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…車両用ドアとしての自動車ドア、2…ガラスラン、11…ガイド部としてのガイドレール、11b…膨出部、11c…湾曲端面、20…第1取付部としてのサッシュ、21…第2取付部としての外装部材、22…第3取付部としての内装部材、30…本体部を構成する第1基部、31…本体部,第2基部を構成する対向壁部、32…本体部,第2基部を構成する車外側側壁部、33…第1シールリップとしての車外側シールリップ、34…本体部,第3基部を構成する規制壁部、35…本体部,第3基部を構成する取付壁部、36…第2シールリップとしての車内側シールリップ、39…第3シールリップを構成する内車外側シールリップ、40…第4シールリップを構成する内車内側シールリップ、G…ドアガラス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なドアガラスと、前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ当該縦縁部の端面よりも先端部が突出したガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記車両用ドアの取付部に取付けられる本体部と、
前記本体部に連接され、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記本体部に連接され、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記本体部における前記第1シールリップとの連接部と、前記第2シールリップとの連接部との間において連接され、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップ、及び前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
昇降可能なドアガラスと、前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ当該縦縁部の端面よりも先端部が突出したガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記ドアガラスの車内側側面に略平行して配設された前記車両用ドアの第1取付部に取付けられる第1基部と、前記第1基部の幅方向一端部から延出し、前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設された前記車両用ドアの第2取付部に取付けられる第2基部と、前記第1基部の幅方向他端部から延出し、前記第1取付部の近傍に配設された前記車両用ドアの第3取付部に取付けられる第3基部とからなる本体部を備えるとともに、
前記第2基部のほぼ先端部から延出し、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記第3基部のほぼ先端部から延出し、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記第2基部から延出し、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップと、
前記第1基部又は前記第2基部から延出し、前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【請求項3】
昇降可能なドアガラスと、
前記ドアガラスの縦縁部に沿って設けられ、当該縦縁部の端面よりも先端部が突出し、当該先端部及びその近傍の車内側において車内側へと膨出した膨出部を有するガイド部とを具備する車両用ドアに取付けられるガラスランであって、
前記ドアガラスの車内側側面に略平行して配設された前記車両用ドアの第1取付部に取付けられる第1基部と、前記第1基部の幅方向一端部から延出し、前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設された前記車両用ドアの第2取付部に取付けられる第2基部と、前記第1基部の幅方向他端部から延出し、前記第1取付部の近傍に配設された前記車両用ドアの第3取付部に取付けられる第3基部とからなる本体部を備えるとともに、
前記第2基部のほぼ先端部から延出し、前記ガイド部の車外側側面に当接しこれをシールする第1シールリップと、
前記第3基部のほぼ先端部から延出し、前記ドアガラス又は前記ガイド部の車内側側面に当接しこれをシールする第2シールリップと、
前記第2基部から延出し、前記第1シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第3シールリップと、
前記第1基部又は前記第2基部から延出し、前記第3シールリップよりも車内側において前記ガイド部に当接しこれをシールする第4シールリップとを備えていることを特徴とするガラスラン。
【請求項4】
前記第3基部は、
前記第1基部の幅方向他端部から車外側方向へ延出し前記膨出部を規制する規制壁部と、
前記規制壁部の先端部から延出し前記第3取付部に取付けられる取付壁部とから構成され、
前記第2シールリップが前記取付壁部の先端部又はその近傍より延出した構成となっていることを特徴とする請求項3に記載のガラスラン。
【請求項5】
前記ガイド部は、当該ガイド部の先端部から前記膨出部の車内側端部にかけて湾曲した湾曲端面を有するものであって、
前記湾曲端面に、前記第3シールリップ及び前記第4シールリップが当接するよう構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のガラスラン。
【請求項6】
前記ガイド部は、その車外側側面が前記ドアガラスの車内側側面に略平行するよう設けられ、かつ、当該車外側側面の車内外方向に対する位置が前記ドアガラスの車外側側面と同一位置又はそれより車内側に位置するよう設けられたものであって、
前記第2基部は、前記第1基部の幅方向一端部から延出し前記ドアガラスの縦縁部の端面及び前記ガイド部の先端部の端面に略対向して配設される対向壁部と、
前記対向壁部の先端より前記ドアガラスの端面に向け延出し前記ガイド部の車外側側面に略平行して配設される車外側側壁部とから構成され、
前記第1シールリップが前記車外側側壁部の先端部より前記対向壁部に向け延出した構成となっていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のガラスラン。
【請求項7】
前記第3シールリップ及び前記第4シールリップは、互いに対向して突出するよう形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガラスラン。

【図1】
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【図2】
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