説明

ガラス内装部材

車両の内装パネルに固定される自己保持型トリム部材。自己保持型トリム部材は、ガラス層、樹脂層及びガラス層を有するガラス積層部材である。トリム部材は、樹脂層に配置された一端と、車体に固定された他端を有するテザーも含む。トリム部材は、接触を感知し、所望の動作を制御するためにコントローラに信号を送信する埋め込み式スイッチを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年1月12日に出願された米国仮出願第61/143,970号に基づく利益及び優先権を主張し、参照することにより本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に車両に関する。より詳細には、本開示は、ガラス内装部材に関する。
【背景技術】
【0003】
車両内装は、一般に、本質的に装飾的又は機能的である様々な機構を含む。このような二つの目的を有する機構の実施例は、内装の外観の見栄えを高め、機能的機構(例えば、アームレスト、収納部、スイッチ等)を含むトリムパネルである。トリムパネルは、特定の条件下で安全機能を果たし得る。例えば、車両に力が働く時、トリム部品(例えば、パネル、ベゼル等)は保持されるか又は最小限しか移動しない。さらに、トリムパネルは、様々なタイプの材料(例えば、織布、金属、ガラス、プラスチック又はそれらの組み合わせ)から製造され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トリム部品を保持するために様々な技術を利用し得るが、特定のトリムパネル構成又は構成物のようにはうまくいかないだろう。さらに、別の機構(例えば、スイッチ)をトリムパネル部材に埋め込むことが望まれるかもしれない。このように、車両の外部に加えられた力によるトリム部品の移動を制限する改良された方法及びかかるトリム部品を構成するための技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示は、車両の内装パネルに固定される自己保持型トリム部材に関する。自己保持型トリム部材は、ガラス層、樹脂層及びガラス層を有するガラス積層部材である。トリム部材は、樹脂層に配置された一端と車体に固定された他端とを有するテザーも含む。トリム部材は、接触を感知して所望の動作を制御するためにコントローラに信号を送信する埋め込み式スイッチを含んでいてもよい。
【0006】
本開示は、車両用ガラス積層トリム部材を構成する方法も提供する。この方法は、ガラス製の第一層部材、樹脂製の第二層部材及びガラス製の第三層部材を提供する工程を含む。この方法の別の工程は、第二層部材内に物体を埋め込むことを含む。この方法は、第一層部材と第三層部材との間に第二層部材を設置する工程をさらに含む。この方法は、第一層部材、第二層部材及び第三層部材を共に圧縮する工程と、これらの層と物体が共に固定されるように第二層部材を加熱する工程と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の効果は、改良された車両内装が一体的な保持機構を有するトリム部材を含むことである。本開示の別の効果は、トリム部材がガラス積層部材から作製されることである。本開示の更なる効果は、トリム部材が埋め込み式スイッチを積層内に含むことである。また、本開示の更なる効果は、スイッチをガラスと一体化させることにより、従来の内装用機械スイッチの必要性がなくなることである。
【0008】
本開示の他の機構及び効果は、添付の図面と併せて次の説明を読んだ後に同じことがよく理解されるので、容易に正しく認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的実施形態による車両の斜視図である。
【図2】例示的実施形態による乗員区画を図示した車両内装の斜視図である。
【図3】例示的実施形態による自己保持型トリム部材を有する車両ドアの斜視図である。
【図4】別の実施形態による自己保持型トリム部材を有する車両ドアの斜視図である。
【図5】例示的実施形態による自己保持型トリム部材を有する車両ドアの拡大図である。
【図6】例示的実施形態によるテザーを有する自己保持型トリム部材の拡大図である。
【図7】例示的実施形態による内装パネルから取り除かれた図5の自己保持型トリム部材の斜視図である。
【図8】例示的実施形態による一体的なタッチセンサスイッチを備えた自己保持型トリム部材の形成方法を図示した図である。
【図9】例示的実施形態による一体的なタッチセンサスイッチを備えた自己保持型トリム部材の別の形成方法を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に図1〜7に示すように、車両内装12に乗員区画11を含む様々な区画を有する車両10が図示される。乗員区画11は、様々な内装パネル90(例えば、インストルメントパネル、ドアパネル、サイドパネル、ルーフパネル等)を含む。内装パネル90は、略平面であり、一体的に形成された機構を含んでいてもよい。例えば、内装パネル90は、一体的に形成されたドアハンドル13や収納部14等を含んでいても良い。さらに、内装パネル90は、支持面を別の構成要素(例えば、ゲージ、計測器、スクリーン、ロック機構、アクチュエータ等)に提供してもよい。
【0011】
内装パネル90は、自己保持型トリム部材88を含む。自己保持型トリム部材88は、内装パネル90に固定されるか又は内装パネル90と一体的に形成される個別の部材であってもよい。トリム部材88は、内装パネル90に形成された開口部を覆っていてもよい。トリム部材88は、本質的に装飾的であってもよく、様々な形状をしていてもよい。しかし、トリム部材88は他の適切な材料(例えば、プラスチック、金属、複合材料等)から製造され得ることが是認される。
【0012】
本実施例では、トリム部材88は、略平面であり、ガラス積層材93を用いて形成されている。ガラス積層材93は、不透明又は半透明であってもよい。例えば、ガラス積層材93は、共に押圧されるとともに加熱される、第一ガラス層34、第二樹脂層36及び第三ガラス層38を含む。樹脂層36の実施例は、環境に配慮した樹脂(例えば、PET)である。樹脂層36は、例えば、装飾を目的として、埋め込まれる物体を含んでいてもよい。
【0013】
トリム部材88は、例えば、パネル開口部に選択的に設置された照明部材94を用いて、バックライトの役割をするように照らされてもよい。さらに、トリム部材88は、装飾的な構造(すなわち、面取り、艶出し、艶消し、エッチング)の見栄えを良くした細部を提供するために、LEDを用いてエッジ照明されてもよい。本実施例では、照明部材94は、所定の方法で配置された複数のLEDライト92である。別の実施例において、照明部材94は、ガラス積層材93の層内に埋め込まれる。
【0014】
トリム部材88は、従来の接合技術(例えば、接着剤、締結具等)を用いて、初めにパネル90に固定される。しかし、トリム部材88は、車両10に加えられる所定の力によって、移動するように構成してもよい。トリム部材88は、トリム部材88を車両10に固定し、トリム部材88の移動(例えば、車両10に加えられる所定の力によって生じる移動)を制限するために、コネクタ96(例えば、テザー)を含んでいてもよい。テザー96は、所定の全長を有し、第一端部96aはトリム部材88に固定され、反対側の第二端部96bは車両10の一部(例えば、フレーム)に固定される。テザー96の第一端部96aは、トリム部材88と一体的に形成されていてもよい。すなわち、テザー96は、樹脂材の中間層36の拡張部である。テザー96の第二端部は、例えば、コネクタ98(例えば、締結具や接着剤等)を用いて固定されてもよい。テザー96は、適切な材料(例えば、マイラー(登録商標)材やナイロン材等)から形成されてもよい。
【0015】
使用中、トリム部材88は、所定の力が車両10に加えられると、パネル90から移動される。しかし、テザー96の全長により、車両10の内装12内でのトリム部材88の移動は制限又は拘束される。
【0016】
図8及び9に示すように、トリム部材88は、トリム部材88内に一体的に形成されるスイッチ100を有していてもよい。図8に示す実施例において、トリム部材88は、前述のように第一ガラス層34及び第二樹脂層36を含む。本実施形態において、スイッチ機能は、目標位置のガラスへの接触を利用することにより、ガラスと一体化される(例えば、静電容量式タッチセンサスイッチ等)。トリム部材88は、第二層36に埋め込まれる導電体102をさらに含む。導電体102の実施例は、銅材(例えば、銅線)である。スイッチ100(例えば、静電容量式センサ)は、導電体102に隣接して設置され、同様に樹脂層36に埋め込まれる。各センサ100の配置は、少なくとも一箇所でガラスの端部まで伸長している導電体102と重なる。これにより、ガラスの端部での導電体102への有線による接続が可能になる。本実施例の静電容量式センサ100は、タッチセンサ式である。静電容量式センサ100は、操作(例えば、照明オン/オフ、ドア開/閉等)を実行するために、コントローラ106に信号を送信する。本実施例では、信号は、導線を用いて車両コントローラ106に送信される。図9に示すように、スイッチ100のみが樹脂層36に埋め込まれる。本実施例のスイッチ100は、例えば、信号を送信するために指による接触で作動され得るタッチセンサ式送信機である。信号は、受信機104(例えば、静電容量式受信機)に無線で送信される。そして、受信機104は、操作(例えば、照明オン/オフ、ドア開/閉等)を実行するために車両コントローラ106に信号を送信する。
【0017】
一般に、積層されたガラストリム部材88を製造する方法は、所定の組み合わせ及び/又は順序で実行される多くの工程を含む。まず、ガラス積層トリム部材88に含める層(例えば、第一層34、第二層36等)及び構成要素又は物体(例えば、導電体102、スイッチ100(静電容量式タッチセンサスイッチ)、テザー96等)を選択する。次に、層は、互いに対して(例えば、重ねて)設置され、構成要素(例えば、導電層及び/又はスイッチ100は第二層36内に埋め込まれる等)は、所定の層(例えば、第二層(エコ樹脂)36等)に埋め込まれる。次に、層及び構成要素は、層及び構成要素が互いに隣接するように圧縮される(例えば、圧力を加える等)か又は締め付けられる。次に、熱源は、第二層36を加熱し、層及び構成要素又は物体(例えば、導電層102、スイッチ100、テザー96等)を固定するために、第二層(エコ樹脂)36に当てられる。次に、他の構成要素(例えば、照明、テザー96等)は、トリム部材88に取り付けられる。上記で概略を説明した工程は例示的なものに過ぎず、これらの工程の組み合わせ及び順序が他の所定の方法で実行され得ることが是認されることを留意されたい。
【0018】
上記教示に照らして、本開示の多くの修正及び変更が可能である。したがって、添付の請求の範囲内で、明確に記載されているもの以外の方法で本開示を実施してもよい。
【符号の説明】
【0019】
10 車両
11 乗員区画
12 車両内装
34 第一層(第一ガラス層)
36 第二層(第二樹脂層)
38 第三ガラス層
88 トリム部材
90 内装パネル
92 LEDライト
93 ガラス積層材
96 コネクタ(テザー)
96a 第一端部
96b 第二端部
100 スイッチ(静電容量式センサ)
102 導電体(導電層)
104 受信機
106 コントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員区画内の内装パネルであって、
前記内装パネルに配置され、少なくとも第一層及び第二層を有する積層材から形成されるトリム部材と、
該トリム部材の前記第一層と前記第二層との間に一体的に形成される第一端部と、車両に固定される第二端部と、を有し、車両に加えられる力による前記トリム部材の移動を抑制するテザーと、
を備えることを特徴とする車両の乗員区画内の内装パネル。
【請求項2】
前記トリム部材は、ガラス層、樹脂層及びガラス層を有するガラス積層部材であり、前記テザーの前記第一端部は、前記樹脂層に埋め込まれる、請求項1に記載の車両内装パネル。
【請求項3】
前記樹脂層は、埋め込まれる物体を含む、請求項2に記載の車両内装パネル。
【請求項4】
前記積層の間に配置されるスイッチをさらに備え、前記スイッチは、動作可能に接触を感知し、所定の操作を実行するために対応する信号を送信する、請求項2に記載の車両内装パネル。
【請求項6】
前記スイッチは、前記樹脂層に埋め込まれる、請求項5に記載の車両内装パネル。
【請求項7】
前記スイッチは、コントローラと操作通信を行う受信機と無線通信を行う、請求項6に記載の車両内装パネル。
【請求項8】
前記樹脂層に埋め込まれる導電体をさらに備える、請求項6に記載の車両内装パネル。
【請求項9】
前記導電体は、コントローラに対して有線接続し得るように前記トリム部材の端部まで伸長している、請求項8に記載の車両内装パネル。
【請求項10】
前記物体は、発光ダイオードである、請求項3に記載の車両内装パネル。
【請求項11】
車両の乗員区画内の内装パネルであって、
前記内装パネルに配置され、第一ガラス層、樹脂層及び第二ガラス層を有するガラス積層材から形成されるトリム部材と、
該トリム部材の前記樹脂層の第一端部と、車両に固定される第二端部と、を有し、車両に加えられる力による前記トリム部材の移動を抑制するテザーと、
を備えることを特徴とする車両の乗員区画内の内装パネル。
【請求項12】
前記樹脂層は、埋め込まれる物体を含む、請求項11に記載の車両内装パネル。
【請求項13】
前記樹脂層に配置され、動作可能に接触を感知し、所定の操作を実行するために対応する信号を送信するスイッチをさらに備える、請求項11に記載の車両内装パネル。
【請求項14】
前記スイッチは、コントローラと操作通信を行う受信機と無線通信を行う、請求項11に記載の車両内装パネル。
【請求項15】
前記樹脂層に埋め込まれる導電体をさらに備える、請求項11に記載の車両内装パネル。
【請求項16】
前記導電体は、コントローラに対して有線接続し得るように前記トリム部材の端部まで伸長している、請求項11に記載の自己保持型トリム部材。
【請求項17】
前記物体は、発光ダイオードである、請求項12に記載の車両内装パネル。
【請求項18】
車両用ガラス積層トリム部材の構成方法であって、
ガラス製の第一層部材、樹脂製の第二層部材及びガラス製の第三層部材を提供する工程と、
前記第二層部材内に物体を埋め込む工程と、
前記第一層部材と前記第三層部材との間に前記第二層部材を設置する工程と、
前記第一層部材、前記第二層部材及び前記第三層部材を共に圧縮する工程と、
前記層及び物体が共に固定されるように前記第二層部材を加熱する工程と、
を備えることを特徴とする車両用ガラス積層トリム部材の構成方法。
【請求項19】
前記物体は、前記第二層に埋め込まれる第一端部と、車両に固定される第二端部を有するテザーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物体は、センサ及び導電部材のうちの一つである、請求項18に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−515104(P2012−515104A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545510(P2011−545510)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/020753
【国際公開番号】WO2010/081142
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511166677)フィスカー オートモーティブ インク. (4)
【Fターム(参考)】