説明

ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置のための現像ユニット

本発明は、トナー供給部(30,32)とトナー塗布装置(38)とを有する、ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置のための現像ユニットに関し、トナーは、トナー塗布装置(38)によって現像装置(18)上に排出され、現像装置818)は感光体(10)と平らに接触させられることができる。本発明によれば、現像装置818)は、導電性繊維の繊維被覆層(19)を有しており、導電性繊維には、トナーを取り上げ、トナーを転移させるために感光体(10)と接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給部とトナー塗布装置とを有する、ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置のための現像ユニットに関し、トナーはトナー塗布装置によって現像装置へ放出され、現像装置は、感光体と平らに接触させられることができる。
【0002】
さらに、本発明は、このような現像ユニットを有する、ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置に関する。
【0003】
従来技術は、このような現像ユニットを開示しており、この現像ユニットにおいては、一方では現像ロールと、他方では感光体、調量ロール及び塗布ロールとの強い機械的な接触により、比較的高い押圧力が生じる。これらの押圧力の結果、高速印刷時に、トナー粒子が部分的に溶融させられ、こすられ、膜状の塗布を形成する。この塗布は、現像ロール上に残るか又は、領域の完全な部分において感光体にある程度まで転移させられることができる。したがって、慣用の電子写真印刷装置は、比較的低い印刷速度でのみ運転されることができる。
【0004】
現像のための十分に大きなニップを形成するための現像ロールと感光体との間の強い機械的接触により、慣用の現像ユニットでは2つの部材において頻繁に摩耗が生じる。なぜならば、摩擦を生じる速度差が境界領域において生じるからである。同じことが、塗布ロールと調量ロールとにおける接触箇所にも言える。なぜならば、この場合は回転方向が逆でなければならず、機能的理由から比較的高い速度差が必要であるからである。導電性を有する機能性トナー、つまりセラミック及び導電性トナーが使用される場合、これらのトナーはより大きな摩耗作用を有するので、摩耗はさらに著しく大きくなる。
【0005】
慣用の現像ユニットにおいて5〜10μmのトナー粒子サイズを使用して、僅かに約8〜15μmの厚さの一層又は二層のトナー層が形成される。非導電性トナーのより大きな層厚さの場合、現像のために必要な電位差が十分に作用せず、これにより、全てのトナー粒子が感光体に転移されるわけではない。
【0006】
慣用の現像ユニットは主に、DIN A3及びDIN A4フォーマットのための実施形態である。これらの比較的小さな幅の場合、ロール及び感光体等の構成部材の十分な精度が、依然としてかなり十分に達成されることができる。
【0007】
同様の構成部材を、例えば36インチ(91.44cm)の幅の大きなフォーマット幅に直接に実行することは、容易に可能ではない。直径公差、円形走行不正確及びたわみにより、感光体における距離及びニップは、変化する可能性があり、トナー塗布が不均一になる。
【0008】
慣用の現像ユニットにおいて、トナーは、装置が安定して作動するために約50〜100μC/gの極めて高い電荷の状態にされなければならない。摩擦電気電荷は、塗布ロールにおいて生じる摩擦によって生ぜしめられる。次いで、電荷のレベルは、現像ロールと感光体との間の接触が生じるまで維持されなければならない。これらの装置は湿気に極めて敏感である。なぜならば、生じている大気の湿度に応じて、電荷が著しく影響される可能性があるからである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、前記問題を回避し、ほとんど摩耗を生じることなく高い印刷画質を提供する、電子写真印刷装置のための現像ユニットを提供することである。
【0010】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する電子写真印刷装置によって達成される。本発明による現像ユニットの有利な発展は、従属請求項に記載されている。
【0011】
したがって、現像装置は、導電性繊維の繊維被覆層を有しており、この繊維被覆層は、トナーを取り上げ、トナーを転移させるために感光体と接触する。各繊維は、複数のトナー粒子を取り上げることができ、これにより、トナー被覆層が30〜50μmまで増大されることができるのに対し、慣用の一成分システムにおいて、10〜15μmしか達成することができない。個々の繊維の十分な導電性により、複数のトナー粒子が、個々の繊維に堆積させられ、強い、均一で緩いトナー群を形成する。
【0012】
本発明による一成分現像ユニットにより、トナーとキャリアとを使用する従来の二成分現像システムの場合と比較して、同様の又はより高いトナー層を達成することができる。なぜならば、導電性繊維が、機能的な意味で多かれ少なかれ導電性キャリアに置き換わるからである。
【0013】
現像装置は、ロール本体を有する現像ロールを有することができ、ロール本体に、繊維被覆層が周囲に被覆され、ロール本体は、ロール本体から突出した繊維被覆層の繊維の高さよりも小さい距離だけ感光体から離れて配置されており、ロール本体は感光体と接触していない。現像ロールと感光体とが機械的に接触していないので、押圧力が生じず、トナー粒子が部分的に溶融されることがない。したがって高速印刷が実現されることができる。ロール同士が接触していないので、起こりうる直径公差、円形走行不正確、たわみは、影響しない。
【0014】
全体的な現像プロセスの間、機械的な力がトナー粒子に作用しないので、ワックスの比率が最適な形式で個々の定着形式に設定されることができる。公知の一成分システムにおいて生じるこすれ及び膜形成は、押圧が存在しないので生じることはできない。
【0015】
層厚さを比較的単純にかつ正確に設定するために、所定の電位又はバイアス電圧が、現像ロールに提供されることができる。
【0016】
感光体と、現像ロールの繊維被覆層との接触領域において、凹所又はニップが、現像ロールの繊維被覆層の繊維構造において形成されることができる。現像のために十分に大きなニップを形成するために現像ロールと感光体との機械的な接触がないので、2つの構成部材において、摩耗が著しく低減される。
【0017】
トナー塗布装置は、ロール本体から突出した繊維被覆層の繊維の高さよりも小さな距離だけ現像ロールのロール本体から離れて配置されている塗布ロールを有することができ、ロール本体は塗布ロールと接触していない。構成部材同士の接触は繊維被覆層を介してのみ生じるので、塗布ロールにおける摩耗も低減される。
【0018】
トナーを塗布ロールから現像ロールへ転移させるために、所定の電位が塗布ロールに提供されることができる。
【0019】
トナー層厚さを減じるために、調量ロールが現像ロール上に配置されることができ、ロール本体から突出した繊維被覆層の繊維の高さよりも小さな距離だけ現像ロールのロール本体から離れて配置されており、ロール本体は調量ロールと接触していない。構成部材同士の接触は繊維被覆層を介してのみ生じるので、調量ロールにおける摩耗も低減される。
【0020】
所定の電位は、余分なトナーを除去するために調量ロールに提供されることができる。
【0021】
現像ロールの回転方向で、調量ロールと感光体との間において、トナー粒子に付加的な電荷を提供するトナーコロナ帯電器が、現像ロール上に配置されることができる。トナーは依然として、上流に配置されたトナーコロナ帯電器によって均一に帯電されており、繊維材料の高い導電性により、感光体の放電された箇所に関する電位は明確にかつ均一に存在するので、現像中に大きく均一な層厚さが予想されることができる。
【0022】
以下に本発明を図面を参照して好適な実施形態を用いることによりさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による、ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置の実施形態を示す概略的な断面図である。
【図2】感光体及び被覆された現像ロールが被覆層の導電性繊維を介して接触している接触領域を示す概略的な拡大図である。
【0024】
トナー供給装置(詳細に図示せず)が組み込まれたトナーアタッチメント30を介して、トナーはトナーカートリッジ32から、反対方向に回転する2つの搬送及び混合スクリュー24の領域に移動する。レベルセンサ28は印刷装置の電子制御装置(図示せず)に正しい充填レベルを報告する。電子制御装置は、センサ信号に基づいて必要に応じて新たなトナーを要求する。
【0025】
搬送及び混合スクリュー24によって形成された単一回路システムは、トナーを、逆時計周りに回転する塗布ロール38に搬送する。塗布ロール38は、主に、現像ロール18の被覆層を摩擦電気により帯電させる材料、例えばEPDM、NBR又はPU発泡体、から構成されている。塗布ローラ38の幅は約960mmであり、直径は約50mmであり、ショアーA硬さは約50度であり、セルサイズは約200μmである。内部コア軸へのバイアス電圧のための接続を介して、塗布ロール38に、−600〜−800VDCのバイアス電圧が提供されることができる。塗布ロール38は、約500kOhm/cmの抵抗を有する。
【0026】
逆回転の結果、塗布ロール38は、逆時計回りに回転する被覆された現像ロール18にトナーを塗布する。塗布ロール38の回転速度に対する被覆された現像ロール18の回転速度の比は、1:0.5である。塗布ロール38と被覆された現像ロール18のロール本体17との間には、繊維被覆層の高さに応じて、小さな間隙が形成されている。
【0027】
被覆された現像ロール18の本体は、EPDM、NBR又はPU発泡体から成っており、炭素繊維、導電性ベロア又は導電性ナイロンフィラメント群の繊維被覆層19が設けられている。ロール本体17から突出した繊維被覆層19の厚さは、約1〜2mmである。被覆された現像ロール18の幅は約960mmであり、本体の直径は約50mmであり、約50度のショアーA硬さを有し、繊維被覆層19を備えた外径は、約52〜54mmである。内部コア軸へのバイアス電圧のための接続を介して、約−200〜−400VDCのバイアス電圧が、被覆された現像ロール18に提供されることができ、被覆された現像ロールは、500kOhm/cm〜2MOhm/cmの抵抗を有する。
【0028】
択一的な実施形態(図示せず)において、繊維被覆層が設けられた現像ロールの代わりに、適切な繊維被覆層を備えた適切な現像ベルトが使用されることもできる。次いで、現像ベルトは、変向ロールの周囲を走行し、塗布ロールと感光体との間を案内される。
【0029】
被覆された現像ロール18へのトナーの塗布の間、トナーは、摩擦によって摩擦電気により帯電され、被覆された現像ロール18の個々の導電性繊維に付着する。各繊維は、複数のトナー粒子を取り上げることができ、これにより、30〜50μmのトナー塗布が行われる。
【0030】
次いで、付着したトナー層は、反対方向、すなわち逆時計回りに回転する調量ロール20を介して所要の層厚さに減じられる。調量ロール20は実質的に、滑らかな表面を備えた金属チューブ、又は金属化された表面を備えるGRP又はCRPチューブから構成されており、金属チューブ軸へのバイアス電圧のための接続を有する。この場合、約―250〜−450VDCのバイアス電圧が調量ロール20に提供されることができる。調量ロール20の回転速度に対する被覆された現像ロール18の回転速度の比は、約1:0.5である。調量ロール20と被覆された現像ロール18のロール本体17との間には、繊維被覆層の高さに応じて、僅かな間隙が形成されている。
【0031】
帯電された調量ロール20は、被覆された現像ロール18から余分なトナーを取り除く。残ったトナーは、調量ロール20の外側に案内されているドクタ22によって除去され、トナー回路に再び供給される。
【0032】
被覆された現像ロール18に付着したトナー粒子は、表面に均一でかつ制御可能な電位が存在するように、調量ロール20と感光体10との間において被覆された現像ロールに配置されたトナーコロナ帯電器34を介して、付加的な電荷を提供される。
【0033】
次いで、トナーは、時計回りに回転するロール状の感光体10に転移され、図2に概略的に示されているように、感光体10と被覆された現像ロール18との間の接触は、接触領域40における被覆層の導電性繊維を介してのみ生じている。ロール本体17の接触は回避されている。繊維長に依存する間隙は、現像ロールコアと感光体との間に形成されている。
【0034】
この場合、感光体10は、被覆された現像ロール18の繊維被覆層19内に約1mmだけ沈み込み、これにより、約10mmの幅の、繊維被覆層19における凹所若しくはニップ領域が、被覆された現像ロール18と感光体との間に生ぜしめられる。このニップ領域において、適当な電位差が与えられていると、導電性繊維から感光体10へのトナー転移が生じる。
【0035】
トナーの層厚さを制御するために、1:1〜約1:3(好適には1:1.2)の、感光体10と被覆された現像ロール18との間の速度比が、適当なモータ制御装置(図示せず)を介して設定される。存在する場合がある小さな速度差の結果、付加的な機械的ドリフトが、被覆された現像ロール18と感光体10との間に生ぜしめられる。これにより、被覆された現像ロール18から感光体10へのトナー転移は同じ又はほぼ同じ周速度で生じ、これにより、歪み又は線の広がりが生じない。感光体10における機能的すなわち導電性のトナーの研磨作用は、実質的に等しい周速度の場合には生じず、これにより、より高い効率が期待される。
【0036】
現像に必要ないトナー粒子は、被覆された現像ロール18によって再び塗布ロール38に転移され、トナー供給部に再び供給される。
【0037】
感光体10の上方には、LEDヘッドを有する露光装置12が設けられており、この露光装置は、感光体10の感光層を公知の形式で露光する。このように、静電潜像が生ぜしめられる。図1の下部における感光体の領域において、トナー粒子は転写媒体(図示せず)に転移される。感光体10に依然として付着している残りのトナーは、下部領域に設けられたクリーニング装置16によって除去される。
【0038】
感光体10の外周にクリーニングブレード42が配置されており、このクリーニングブレードが、残留するトナーを除去し、このトナーを適切な収集装置44に供給する。収集装置44において、取り上げられた粒子は収集され、適切な古トナースクリューコンベヤ36を介して廃棄用容器に搬送されるか、トナー供給部に再び供給される。クリーニング装置16の下流の除電露光装置15は、感光体の感光層を放電させる。この感光層は次いで、除電露光装置15の下流のコロナ帯電器14によって再び均一な電荷構造を有する状態にされ、これにより、感光体10には、下流の露光装置12によって再び静電荷イメージが提供される。
【符号の説明】
【0039】
10 感光体、 12 露光装置、 15 除電露光装置、 16 クリーニング装置、 17 ロール本体、 18 現像ロール、 19 繊維被覆層、 20 調量ロール、 24 搬送及び混合スクリュー、 28 レベルセンサ、 30 トナーアタッチメント、 32 トナーカートリッジ、 34 トナーコロナ帯電器、 36 スクリューコンベヤ、 38 塗布ロール、 40 接触領域、 42 クリーニングブレード、 44 収集装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置のための現像ユニットであって、トナー供給部(30,32)と、トナー塗布装置(38)とを有しており、トナーがトナー塗布装置(38)によって現像装置(18)上へ放出されるようになっており、現像装置(18)が感光体(10)と平らに接触させられるようになっている形式のものにおいて、
現像装置(18)が、導電性繊維の繊維被覆層(19)を有しており、該繊維被覆層が、トナーを取り上げ、トナーを転移させるために感光体(10)と接触していることを特徴とする、現像ユニット。
【請求項2】
現像装置が、ロール本体(17)を有する現像ロール(18)を有しており、前記ロール本体の周囲に繊維被覆層(19)が設けられており、ロール本体(17)が、該ロール本体(17)から突出した繊維被覆層(19)の繊維の高さよりも小さな距離だけ感光体(10)から離れて配置されており、ロール本体が、感光体(10)と接触していないことを特徴とする、請求項1記載の現像ユニット。
【請求項3】
前記現像ロール(18)に所定の電位が提供されることを特徴とする、請求項2記載の現像ユニット。
【請求項4】
感光体(10)と現像ロール(18)の繊維被覆層(19)との間の接触領域(40)において、現像ロール(18)の繊維被覆層(19)の繊維構造において凹所又はニップが形成されていることを特徴とする、請求項2又は3記載の現像ユニット。
【請求項5】
トナー塗布装置が、ロール本体(17)から突出した繊維被覆層(19)の繊維の高さよりも小さな距離だけ現像ロール(18)のロール本体(17)から離れて配置された塗布ロール(38)を有しており、ロール本体が、塗布ロール(38)と接触していないことを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項6】
前記塗布ロール(38)に所定の電位が提供されることを特徴とする、請求項5記載の現像ユニット。
【請求項7】
トナー粒子が、現像ロール(18)の繊維被覆層(19)の個々の繊維に堆積され且つ均一なトナー群を形成することを特徴とする、請求項2から6までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項8】
トナー層厚さを減じるために、調量ロール(20)が現像ロール(18)上に配置されており、前記調量ロールが、ロール本体(17)から突出した繊維被覆層(19)の繊維の高さよりも小さな距離だけ現像ロール(18)のロール本体(17)から離れて配置されており、ロール本体が調量ロール(20)と接触していないことを特徴とする、請求項2から7までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項9】
前記調量ロール(20)に所定の電位が提供されることを特徴とする、請求項8記載の現像ユニット。
【請求項10】
現像ロール(18)の回転方向で、調量ロール(20)と感光体(10)との間において、トナー粒子に付加的な電荷を提供するトナーコロナ帯電器(34)が、現像ロール(18)上に配置されていることを特徴とする、請求項8又は9記載の現像ユニット。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の現像ユニットを有する、ガラス又はセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−525402(P2010−525402A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504492(P2010−504492)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002811
【国際公開番号】WO2008/128649
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509294597)
【氏名又は名称原語表記】AGC Glass EUROPE
【住所又は居所原語表記】166 Chaussee de la Hulpe,B−1170 Brussels,Belgium
【Fターム(参考)】