説明

ガラス板製造装置およびガラス板冷却方法

【課題】ガラス板の冷却速度を調整可能なガラス板製造方法、ガラス板製造装置またはガラス板冷却方法を提供する。
【解決手段】成形体10からオーバーフローした溶融ガラス90を、成形体10の両側面に沿って流下させた後、成形体10の下端部近傍で合流させてガラス板91を製造する、ガラス板91の冷却速度を調整可能なガラス板成形装置101であって、複数の冷却調整板40a〜40fと、温度制御ユニットとを備える。複数の冷却調整板40a〜40fは、溶融ガラス90の合流ポイントより下方で、溶融ガラス90の流れ方向に沿って並列して配置され、ガラス板91の冷却速度を調整する。温度制御ユニットは、各冷却調整板40a〜40fに対応して設けられ、各冷却調整板40a〜40fを冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板製造装置またはガラス板冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス板の製造方法の一つとして、フュージョン法が採用されている。フュージョン法では、成形体に流し込んだ溶融ガラスを成形体からオーバーフローさせてガラス板を製造する。成形体からオーバーフローした溶融ガラスは、成形体に沿って流下した後、成形体の下端部で合流し、その後、成形体を離れてガラス板となる。ガラス板は、炉内の雰囲気によって冷却され、粘性域から粘弾性域を経て弾性域へと変化していく。ここで、ガラスの粘弾性域において均一に冷却されるべきガラス板の範囲が、炉内で発生する対流によって不均一に冷却されることを防ぐため、例えば、特許文献1(特開平2−225326号公報)に示すように、ガラス板の両側に、板状部材を設ける技術が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年のガラス基板の需要増加に伴い、ガラス板の生産量向上が求められてきた。しかし、従来の技術を採用した場合、ガラス板の冷却速度を十分に制御することが困難であるため、生産量の向上が十分に期待できない。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ガラス板の冷却速度を調整可能なガラス板製造装置またはガラス板冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るガラス板製造装置は、成形体からオーバーフローした溶融ガラスを、成形体の両側面に沿って流下させた後、成形体の下端部近傍で合流させてガラス板を製造するガラス板製造装置であって、複数の冷却調整板と、温度制御ユニットとを備える。複数の冷却調整板は、溶融ガラスの合流ポイントより下方で、溶融ガラスの流れ方向に沿って並列して配置され、ガラス板の冷却速度を調整する。温度制御ユニットは、各冷却調整板に対応して設けられ、各冷却調整板の温度を制御する。
【0006】
溶融ガラスの流れ方向に並列する冷却調整板は、各冷却調整板に対応する温度制御ユニットによってそれぞれ温度制御される。冷却調整板は、温度制御ユニットによって、幅方向の温度均一性を保つように制御され、ガラス板の冷却速度を調整する。
【0007】
これによって、ガラス板の温度制御を効果的に行うことができる。
【0008】
また、複数の冷却調整板は、上下雰囲気仕切り部材の下方に配置されることが好ましい。上下雰囲気仕切り部材は、溶融ガラスの合流ポイントの近傍に配置されて合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切る。
【0009】
上下雰囲気仕切り部材によって成形体の熱が遮断された空間で、冷却調整板が溶融ガラスの冷却速度を制御するため、温度制御ユニットによる冷却の影響が成形体に及びにくい。また、成形体上を流れる溶融ガラスの最適ガラス粘度を変化させることなく、粘弾性域におけるガラス板の温度制御を効率よく行うことができる。
【0010】
さらに、各冷却調整板は、溶融ガラスの流れ方向に交差する水平方向に延び、温度制御ユニットは、パイプを含むことが好ましい。パイプは、各冷却調整板の全体を冷却または加熱する流体を流す。
【0011】
パイプを流れる流体によって、ガラス板に対向する各冷却調整板の全体を、ガラス板対向面の裏面側から冷却または加熱することができる。
【0012】
さらに、パイプは、メインパイプとサブパイプとを含むことが好ましい。メインパイプは、冷却調整板の長手方向に沿って配置される。サブパイプは、メインパイプの両側部にそれぞれ連結される。サブパイプは、メインパイプに熱交換の媒体となる気体を送る。また、メインパイプは、複数の吹出口を有することが好ましい。複数の吹出口は、サブパイプから送られた気体をメインパイプの外に吹き出して冷却調整板に吹き付ける。
【0013】
冷却調整板に対して複数の吹出口から気体を吹き付けることによって、冷却調整板の温度制御を効果的に行うことができる。
【0014】
さらに、複数の吹出口は、各吹出口から吹き出される気体の量が均一になるように、メインパイプの側部からの距離に応じて、それぞれ所定の大きさを有することが好ましい。
【0015】
冷却調整板に向けて気体を吹き出す吹出口の大きさ及び位置を調節することにより、パイプに供給する気体の圧力をある程度変更しても、第1方向に延びる冷却調整板全体の幅方向の冷却量がほぼ一定に保たれるようにすることができる。冷却調整板全体の幅方向の冷却量がほぼ一定に保たれることで高い平面度を保有した好適なガラス板を製造することができる。
【0016】
また、冷却調整板は、チャンネルであり、チャンネルの主部が、ガラス板と対向することが好ましい。これにより、冷却調整板の強度を向上させることができる。
【0017】
さらに、ガラス板の製造装置は、第1の囲み部材と、第2の囲み部材と、断熱部材とをさらに備えることが好ましい。第1の囲み部材は、第1のパイプを囲み、第1空間を形成する。第1のパイプとは、第1の冷却調整板を冷却または加熱する流体を流すパイプであり、第1空間とは、第1の冷却調整板の冷却速度を調整するための空間である。第2の囲み部材は、第2のパイプを囲み、第2空間を形成する。第2のパイプとは、第1の冷却調整板に隣接する第2の冷却調整板を、冷却または加熱する流体を流すパイプである。第2空間とは、第2の冷却調整板の冷却速度を調整するための空間である。断熱部材は、第1の空間と、第2空間との間に配置され、第1空間と第2空間との間の熱の移動を遮る。
【0018】
断熱部材によって第1空間と第2空間との熱の移動が遮られるため、第1の冷却調整板の温度制御時に、第2の冷却調整板への温度の影響を低減させることができる。
【0019】
また、ガラス板の製造装置は、気体制御ユニットをさらに備えることが好ましい。気体制御ユニットは、冷却調整板に吹き付けられた気体の流れを制御する。これにより、一の吹出口から冷却調整板に向けて吹き付けられた気体が、他の吹出口から吹き出される気体に与える影響を低減させることができる。
【0020】
本発明に係るガラス板の冷却方法は、成形体からオーバーフローした溶融ガラスを、成形体の両側面に沿って流下させた後、成形体の下端部近傍で合流させて形成するガラス板を冷却する、ガラス板冷却方法であって、第1冷却ステップと、第2冷却ステップとを備える。第1冷却ステップでは、第1の冷却調整板と第1の温度制御ユニットとによってガラス板を冷却する。第1の冷却調整板は、溶融ガラスの合流ポイントより下方に配置され、ガラス板の冷却速度を制御する。第1の温度制御ユニットは、第1の冷却調整板に対応して設けられ第1の冷却調整板の温度を調整する。第2冷却ステップでは、第2の冷却調整板と第2の温度制御ユニットによってガラス板を冷却する。第2の冷却調整板は、ガラス板の冷却速度を制御する。第2の温度制御ユニットは、第2の冷却調整板に対応して設けられ第2の冷却調整板の温度を調整する。第2の冷却調整板および第2の温度制御ユニットは、溶融ガラスの流れ方向に対して、第1の冷却調整板および第1の温度制御ユニットの下流に配置される。また、第2の冷却調整板および第2の温度制御ユニットは、第1の冷却調整板および第1の温度調整ユニットにそれぞれ並列する。
【0021】
溶融ガラスの流れ方向に並列する冷却調整板は、各冷却調整板に対応する温度制御ユニットによってそれぞれ温度制御される。冷却調整板は、温度制御ユニットによって幅方向の温度均一性を保つように制御され、ガラス板の冷却速度を制御する。
【0022】
これによって、ガラス板の温度制御を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るガラス板製造装置およびガラス板の冷却方法では、ガラス板の温度制御を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ガラス板製造装置の概略構成図である。
【図2】成形装置の概略構成図(断面図)である。
【図3】成形装置の概略構成図(側面図)である。
【図4】冷却調整板を示す図である。
【図5】冷却調整板と囲み部材とによって形成される空間を示す図である。
【図6】メインパイプから吹き出されるガスと、吹き出された後のガスの流れとを示す図である。
【図7】パイプの構成を示す図である。
【図8】制御装置および制御装置に接続される各機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1)全体構成
図1に、本発明の第1実施形態に係るガラス板製造装置100の概略構成図を示す。ガラス板製造装置100は、フュージョン法を採用してガラス板91を製造する装置である。ガラス板製造装置100によって製造されるガラス板91は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイのガラス基板に用いられる。また、本実施形態において、ガラス板製造装置100は、G5サイズのガラス基板に用いるガラス板91を製造する。ガラス板製造装置100は、帯状のガラス板91を連続的に製造する。
【0026】
ガラス板製造装置100は、主として、溶解槽200と、清澄槽300と、成形装置101とを含む。溶解槽200では、ガラスの原料が溶解され溶融ガラスが生成される。その後、溶融ガラスは清澄槽300に送られる。清澄槽300では、溶融ガラス中の気泡の除去が行われる。その後、溶融ガラスは、成形装置101へと送られる。
【0027】
図2および図3に、成形装置101の概略構成を示す。図2は、成形装置101の断面図である。図3は、成形装置101の側面図である。成形装置101は、図2,図3または図6に示すように、主として、成形体10と、上下雰囲気仕切り部材20,20と、冷却ローラ30,30,・・・と、冷却調整ユニット40a−40fと、囲み部材70a,70b,70c,・・・と、断熱部材71,71,・・・と、引下げローラ60,60,・・・と、制御装置80とから構成されている。以下、成形装置101に含まれる各構成について詳細に説明する。
【0028】
(2)詳細構成
(2−1)成形体
成形体10は、溶融ガラス90をオーバーフローさせることによって、溶融ガラス90を板状のガラス(ガラス板91)へと成形する。成形体10は、流し込み口12を有する(図3参照)。溶解槽200および清澄槽300を経由した溶融ガラス90は、流し込み口12から流し込まれる。
【0029】
図2に示すように、成形体10は、断面形状で略5角形の形状を有する。略5角形の先端は、成形体10の下端部に相当する。成形体には、溝11が形成されている。溝11は、成形体10の長手方向に延びる。具体的には、溝11は、流し込み口12が設けられた第1端部から、第1端部に対向する第2端部に延びる。溝11は、流し込み口12近傍が最も深く、第2端部に近づくにつれて、徐々に浅くなるように形成されている。成形体10からオーバーフローした溶融ガラス90は、成形体10の両側面を沿いながら流下し、成形体10の下端部で合流する。
【0030】
(2−2)上下雰囲気仕切り部材
上下雰囲気仕切り部材20,20は、溶融ガラス90の合流ポイントの近傍に配置されている。また、図2に示すように、上下雰囲気仕切り部材20,20は、ガラス板91の厚み方向両側に配置される。上下雰囲気仕切り部材20,20は、断熱材である。すなわち、上下雰囲気仕切り部材20,20は、溶融ガラス90の合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切ることにより、上下雰囲気仕切り部材20,20の上側から下側への熱の移動を遮断する。
【0031】
(2−3)冷却ローラ
冷却ローラ30,30,・・・は、成形体10の下端部で合流して板状になった溶融ガラス90(ガラス板91)に接触して、ガラスを冷却するために設置される。
【0032】
(2−4)冷却調整ユニット
冷却調整ユニット40a−40fは、ガラス板91の冷却速度を調整するユニットである。本実施形態では、6つの冷却調整ユニット40a−40fが設けられている。冷却調整ユニット40a−40fは、図2および図3に示すように、上下雰囲気仕切り部材20,20の下方に配置される。また、冷却調整ユニット40a−40fは、ガラス板91の流下方向に沿って並列して配置されている。複数の冷却調整ユニット40a−40fは、隙間なく並べられる。各冷却調整ユニット40a−40fは、独立して制御可能な構成になっている。本実施形態では、冷却調整ユニット40a−40fは、ガラス板91の流下方向に沿って、ガラス板91を段階的に冷却できるようにそれぞれ制御される。
【0033】
冷却調整ユニット40aには、冷却調整板41aと、冷却調整板41aの温度を制御する温度制御ユニット50aとが含まれる(図6参照)。同様に、冷却調整ユニット40bには、冷却調整板41bと、冷却調整板41bの温度を制御する温度制御ユニットとが含まれ、冷却調整ユニット40cには、冷却調整板41cと、冷却調整板41cの温度を制御する温度制御ユニットが含まれる。他の冷却調整ユニット40d−40fについても同様である。冷却調整板41b,41cの温度を制御する温度制御ユニットについては、温度制御ユニットに含まれるパイプ51b,51cのみを図示している(図5参照)。なお、全ての冷却調整ユニット40a−40fの構成は同様である。したがって、以下、冷却調整ユニット40aを例に挙げて、冷却調整ユニット40aに含まれる、冷却調整板41aと、温度制御ユニット50aとについて説明する。冷却調整ユニット40aは、6つの冷却調整ユニット40a−40fの中で、ガラス板91の流下方向に対して、最も上流に配置されている。
【0034】
(2−4−1)冷却調整板
冷却調整板41aは、ガラス板91の表面近傍に配置され、ガラス板91の冷却速度を調整する部材である。冷却調整板41aは、溶融ガラス90(ガラス板91)の流れ方向に交差する方向(すなわち、水平方向)に延びる。冷却調整板41aの長手方向の長さは、ガラス板91の幅方向の長さよりもわずかに短い。本実施形態では、冷却調整板41aの長手方向の長さは1,500mmである。
【0035】
冷却調整板41aは、折り曲げ加工が施された金属部材である。金属部材は、大気中で600℃以上の耐熱性を持つ部材であることが好ましい。また、金属部材は、少なくとも30W/m・K以上の熱伝導率があることが好ましい。このように熱伝導率が高い金属部材を用いることで、冷却調整板41aの表面と裏面との温度差が小さくなり、表面の熱膨張と裏面の熱膨張との差が抑えられ、冷却調整板41aの反りが抑制される。また、熱伝導率が高いので、冷却調整板41aの各部の温度差がついた場合にも、その温度差が速やかに緩和される。さらに、冷却調整板41aとして熱伝導率が高い金属部材を用いているため、ガラス板91の冷却効率も高くなっている。金属部材の放射率特性については、高い熱交換率を確保するため、使用温度域で0.85以上であることが好ましい。本実施形態では、金属部材として、純ニッケル(熱伝導率:90.7W/mK)を用いる。
【0036】
冷却調整板41aは、図4に示すように、折り曲げ部42aと、主部43aとから構成される。折り曲げ部42aは、水平方向に延びる金属部材の上下に位置し、金属部材の折り曲げられた部分である。水平方向に延びる金属部材のうち、折り曲げ部42aを除く部分が主部43aである。主部43aは、ガラス板91に対向する平坦な面(対向面)を有する。具体的に、冷却調整板41aは、チャンネル(溝形鋼)である。
【0037】
ここで、主部43aの寸法hは、所望の冷却速度を得るために適宜変更し得る。例えば、ガラスの単位幅当たりの流量に応じて変更される。また、主部43aは、所定値以上の厚みtを有することが好ましい。具体的に、厚みtは、約4mm以上である事が好ましい。熱容量の観点からすると、厚みtは、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは8mm以上である。これぐらいの厚みtのチャンネルを用いる場合には、冷却調整板41aの熱容量が十分に大きくなり、温度差が小さくなってガラス板91の温度分布の均一性がより向上するようになる。また、折り曲げ部42aの寸法wは、約20mm〜約50mmである。なお、冷却調整板41aは、隣接する冷却調整板41bと、螺子止めされている(図5参照)。具体的には、冷却調整板41aの折り曲げ部42aは、冷却調整板41bの折り曲げ部42bと螺子止めされて連結される。そのため、折り曲げ部42aは、基本的には螺子止めできる程度の寸法を有していればよい。但し、折り曲げ部42aは冷却調整板41aの断面二次モーメントを大きくすることにも寄与しているため、折り曲げ部42aが短すぎることは好ましくない。
【0038】
(2−4−2)温度制御ユニット
温度制御ユニット50aは、冷却調整板41aの温度を調整する。具体的には、温度制御ユニット50aは、ガラス板91の流下方向に沿ってガラス板91が段階的に冷却されるように、対応する冷却調整板41aの温度を調整する。
【0039】
温度制御ユニット50aは、主として、パイプ51aと、サーミスタ56(図7参照)と、気体制御ユニット57aとによって構成されている。
【0040】
a)パイプ
パイプ51aは、冷却調整板41aの全体を冷却または加熱するための流体を流す。ここで、パイプに流される流体とは、ガス(例えば、空気や、窒素等の不活性ガス)である。パイプ51aには、メインパイプ52aと、サブパイプ531a,532aとが含まれる。
【0041】
メインパイプ52aは、図6に示すように、冷却調整板41aの長手方向に沿って配置される。メインパイプ52aには、複数の吹出口521,521,521,・・・が均等に形成されている。具体的には、吹出口521,521,521,・・・は、メインパイプ52aの中心線Cに対して対称の位置に形成されている。また、吹出口521は、図5に示すように、冷却調整板41aの主部43aに対向する位置に設けられている。すなわち、吹出口521から吹き出されるガスは、冷却調整板41aの主部43aに吹き付けられる。より具体的には、吹出口521から吹き出されるガスは、対向面の裏面側に吹き付けられる。吹出口521は、メインパイプ52aの側部からの距離に応じて、それぞれ所定の大きさを有する。すなわち、吹出口521の大きさも、メインパイプ52aの中心線Cに対して対称である。ここで、メインパイプ52aの側部には、第1側部と第2側部とが含まれる。第1側部および第2側部は、メインパイプ52aの長手方向の中心線Cを基準に、対称の位置に配置される。また、所定の大きさとは、各吹出口521から吹き出されるガスの量が均一になるような大きさである。具体的に、吹出口521の大きさは、吹出口521が形成される位置が側部から離れれば離れるほど大きくなる(図7参照)。
【0042】
サブパイプ531a,532aは、メインパイプ52aに熱交換の媒体となるガスを送るパイプである。サブパイプ531a,532aは、メインパイプ52aの両側部(第1側部および第2側部)にそれぞれ接続されている。具体的に、メインパイプ52aの第1側部には、第1サブパイプ531aが接続され、メインパイプ52aの第2側部には、第2サブパイプ532aが接続されている。第1サブパイプ531aおよび第2サブパイプ532aは、図6に示すように、ガス供給ユニット54と接続されている。ガス供給ユニット54から第1サブパイプ531a及び第2サブパイプ532aに送られるガスの量は、ガス供給弁55によって調整される。
【0043】
b)サーミスタ
サーミスタ56は、冷却調整板41aの温度を測定する。サーミスタ56は、冷却調整板41aの長手方向に複数取り付けられている。サーミスタ56で測定された冷却調整板41aの温度は、後述する制御装置80に送られる。
【0044】
c)気体制御ユニット
気体制御ユニット57aは、冷却調整板41aに吹き付けられたガスの流れを制御するユニットである。具体的には、気体制御ユニット57aは、冷却調整板41aに吹き付けられたガスが、冷却調整板41aの長手方向に流れないように制御する。より具体的には、気体制御ユニット57aは、図6に示すように、メインパイプ52aの吹出口521から吹き出されたガスが、冷却調整板41aに吹き付けられた後、冷却調整板41aの長手方向に流れる前に、吹き出し方向d1と真逆の方向d2へ流れるようにガスの流れを制御する。気体制御ユニット57aは、吹出口521から吹き出されたガスを方向d2に流れるように制御することにより、一の吹出口521から吹き出されるガスが、他の吹出口5212から吹き出されるガスの流れ方向d1に影響を与えないように構成されている。方向d2に流されたガスは、炉外へ放出される。
【0045】
(2−5)囲み部材
囲み部材70a,70b,70c,・・・は、冷却調整板41a,41b,41cの温度を制御するための空間72a,72b,72c,・・・を形成する部材である。囲み部材70a,70b,70c,・・・は、冷却調整板41a,41b,41cの折り曲げ部42a,42b,42cに接続されている。冷却調整板41a,41b,41cと、冷却調整板41a,41b,41cに接続された囲み部材70a,70b,70c,・・・とが、パイプ51a,51b,51c,・・・を取り囲む空間72a,72b,72c,・・・を形成する。
【0046】
具体的には、図5に示すように、第1の冷却調整板41aには、第1の囲み部材70a,70aが接続されている。第1の冷却調整板41aと第1の囲み部材70a,70aとによって第1のパイプ51aを囲む第1の空間72aが形成される。第1の空間72aによって、第1の冷却調整板41aの温度が調整される。
【0047】
また、第2の冷却調整板41bには、第2の囲み部材70b,70bが接続されている。第2の冷却調整板41bと第2の囲み部材70b,70bとによって第2のパイプ51bを囲む第2の空間72bが形成される。第2の空間72bによって、第2の冷却調整板41bの温度が調整される。
【0048】
さらに、第3の冷却調整板41cには、第3の囲み部材70cが接続されており、第3の冷却調整板41cと第3の囲み部材70cとによって第3のパイプ51cを囲む第3の空間72cが形成される。第3の空間72cによって、第3の冷却調整板41cの温度が調整される。
【0049】
なお、囲み部材70a,70b,70c,・・・の役割は、下記の断熱部材71,71,・・・でも果たすことができるため、囲み部材70a,70b,70c,・・・が断熱板であってもよいし、下記の断熱部材71,71,・・・に囲み部材の役割を兼用させてもよい。
【0050】
(2−6)断熱部材
断熱部材71,71,・・・は、隣接する空間72a,72b,72cの熱の移動を遮断する部材である。具体的には、断熱部材71,71,・・・は、隣接する空間72a,72b,72cを形成する囲み部材70a,70b,70c,・・・の間に配置される。より具体的には、図5に示すように、断熱部材71は、第1の空間72aを形成する第1の囲み部材70aと、第1の空間72aに隣接する第2の空間72bを形成する第2の囲み部材70bとの間に配置され、第1の空間72aと第2の空間72bとの間の熱の移動を遮断する。また、断熱部材71は、第2の空間72bを形成する第2の囲み部材70bと、第2の空間72bに隣接する第3の空間72cを形成する第3の囲み部材70cとの間に配置され、第2の空間72bと第3の空間72cとの間の熱の移動を遮断する。
【0051】
(2−7)引下げローラ
引下げローラ60,60,・・・は、冷却調整ユニット40a−40fに対して、ガラス板91の流下方向下流に配置され、ガラス板91を下方向へ引き下げる。引下げローラ60,60,・・・は、ガラス板91の厚み方向両側(図2参照)、および、ガラス板91の幅方向両側(図3参照)に配置される。
【0052】
引下げローラ60,60,・・・は、モーター(図示せず)によって駆動されている。また、引下げローラ60,60,・・・はガラス板91に対して内側に回転する。これにより、二対の引下げローラ60,60,・・・は、ガラス板91を下方向に引き下げる。
【0053】
(2−8)制御装置
制御装置80は、CPU、RAM、ROM、およびハードディスク等から構成されている。制御装置80は、図8に示すように、冷却ローラ30,30、引下げローラ60,60,・・・、気体制御ユニット57a、ガス供給ユニット54、ガス供給弁55、およびサーミスタ56等と接続されている。
【0054】
制御装置80は、冷却ローラ30、引下げローラ60、気体制御ユニット57a、およびガス供給ユニット54の駆動部を制御する。また、制御装置80は、ガス供給弁55の開閉または開度を制御する。また、制御装置80は、サーミスタ56によって計測された温度を取得して記憶する。さらに、制御装置80は、サーミスタ56によって計測された温度に基づいて、ガスの供給量を調整する。
【0055】
(3)全体動作
成形体10からオーバーフローした溶融ガラス90は、成形体10の両側面を沿って流下し、成形体10の下端部で合流する。成形体10の下端部で合流した溶融ガラス90は、その後、板状(ガラス板91)になってさらに流下する。ガラス板91は、冷却ローラ30によって幅方向両端部が挟み込まれ、両端部が冷却される。また、ガラス板91の幅方向両端部を除く部分は、複数の冷却調整ユニット40a−40fによって、流下方向に沿って段階的に冷却速度が調整される。具体的には、第1の冷却調整板41aと、当該第1の冷却調整板41aに対応する第1の温度制御ユニット50aとによって、ガラス板91の幅方向の温度が一定になるように制御される。その後、ガラス板91は、第1の冷却調整板41aに並列して配置された第2の冷却調整板41bと、第2の冷却調整板41bに対応する第2の温度制御ユニット50bとによって、さらに冷却される。この時、第2の温度制御ユニット50bもまた、第2の冷却調整板41bの長手方向の温度を一定にし、ガラス板91の幅方向の温度を均一にするように制御される。このように、複数の冷却調整ユニット40a−40fは、ガラス板91の幅方向の温度を均一にしながら、ガラス板91の流下方向に沿って、ガラス板91を段階的に冷却する。その後、引下げローラ60によってガラス板91は、さらに下方へ引き下げられ、その後、所定の長さ毎に切断されていく。
【0056】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態に係るガラス板製造装置100では、成形装置101においてガラス板91(溶融ガラス90)の流下方向に沿って複数の冷却調整ユニット40a−40fが並列して配置される。冷却調整ユニット40a−40fに含まれる冷却調整板41a,41b,41c,・・・の温度は、対応する温度制御ユニット50a,・・・によって調整される。すなわち、ガラス板91の上下方向(長手方向)の冷却速度の制御の自由度が、ガラス板製造装置100では向上している。
【0057】
従来のガラス板製造装置では、ガラス板の近傍に板状部材を配置することにより、炉内で発生する対流によってガラス板の冷却が不均一になることを防いでいたが、板状部材の温度をガラス板の引き下げ方向で任意に調整できる機構は持たなかった。ガラス基板の需要増加に伴い、ガラス板の冷却速度を制御し、ガラス板の生産量を向上させることが期待されるようになったが、従来のガラス板製造装置では、生産量増大に伴う必要冷却量を確保するために、装置全体のガラス板の引き下げ方向への大型化なしに生産量を十分に向上させることができなかった。
【0058】
上記実施形態に係るガラス板製造装置100では、成形装置101において、ガラス板91の冷却速度を調整するために冷却調整ユニット40a−40fを用いている。冷却調整ユニット40a−40fには、冷却調整板41a,41b,41c,・・・および温度制御ユニット50a,・・・がそれぞれ含まれ、温度制御ユニット50a,・・・によって冷却調整板41a,41b,41c,・・・の温度を調整するため、所望に応じてガラス板91の冷却速度を調整することができる。これにより、装置全体を大型化することなく、限られたスペースの中で効率的に冷却速度を制御できるため、ガラス板91の生産量を向上させることができる。
【0059】
(4−2)
また、上記実施形態に係るガラス板製造装置100では、成形装置101において、複数の冷却調整ユニット40a−40fを用いている。一の冷却調整ユニット40aに含まれる冷却調整板41aは、ガラス板91の幅方向に延びている。そして、温度制御ユニット50aは、冷却調整板41aの全体の温度制御を行う。したがって、ガラス板91の幅方向の温度を均一に保った状態で、ガラス板91の流下方向に沿って、ガラス板91の温度を段階的に下げていくことができる。これにより、ガラス板91の有効幅内の平面度品質を良好に保つことができる。
【0060】
(4−3)
上記実施形態に係るガラス板製造装置100では、上下雰囲気仕切り部材20,20の下方に、複数の冷却調整ユニット40a−40fが設けられる。上下雰囲気仕切り部材20,20の下方は、上下雰囲気仕切り部材20,20によって成形体10の熱が遮断された空間になっている。冷却調整ユニット40a−40fは、成形体10の熱が遮断された空間で、溶融ガラス90の冷却速度を制御する。これにより、成形体上を流れる溶融ガラスの温度に与える影響を低減し、温度制御を効率よく行うことができる。
【0061】
(4−4)
上記実施形態では、冷却調整板41a,41b,41c,・・・にガスを吹き付けるメインパイプ52a,・・・が、冷却調整板41a,41b,41c,・・・と同様、水平方向に延びている。また、メインパイプ52a,・・・は、冷却調整板41a,41b,41c,・・・に対向し、所定の距離間隔を空けて設けられた吹出口を有する。吹出口は、サブパイプが連結された側部からの位置によって大きさが設定されている。冷却調整板41a,41b,41cの温度は、吹出口から吹き付けられるガスによって調整される。これにより、冷却調整板41a,41b,41c,・・・の幅方向の温度を均一に近づけるように、温度制御を行うことができる。
【0062】
(4−5)
また、上記実施形態では、メインパイプ52aが有する吹出口521は、側部からの距離に応じて幅方向の中心線Cを対称に異なる大きさを有している。ループ配管により両側部から等しい圧力の冷却ガスを供給しているため、側部(サブパイプからメインパイプへのガスの供給位置)から吹出口521までの距離が遠くなればなるほど圧力損失が大きくなる。すなわち、吹出口521の位置が側部から離れれば離れるほど、吹出口521から吹き出されるガスの圧力が下がり、全ての吹出口521で十分な流量を確保することが困難である。そこで、上記実施形態では、各吹出口の大きさ(開口面積)を、側部からの距離に応じて変更している。具体的には、側部から離れれば離れるほど吹出口521の開口面積を大きくしている。また、吹出口521は、中心線Cに対して対称となる位置に形成されている。その結果、冷却調整板41aの長手方向の温度が均一になるように、メインパイプ52aからガスが吹き出される。これによりそれぞれの冷却調整板41a,41b,41c,・・・は幅方向でほぼ均一な温度に保たれ好適な平面度のガラス板91を製造することができる。
【0063】
(4−6)
さらに、上記実施形態では、冷却調整板41a,41b,41c,・・・がチャンネルである。すなわち、冷却調整板41aは、折り曲げ部42aと、主部43aとを有し、折り曲げ部42aは、水平方向に延びる金属部材の上下の折り曲げられた部分であり、主部43aは、水平方向に延びる金属部材のうち折り曲げ部42aを除く部分であり、ガラス板91に対向する平坦な面である。したがって、冷却調整板41a,41b,・・・は、この折り曲げ構造を採ることにより、平面方向の曲げ応力に対する断面二次モーメントが大きくなるため、主部43aの表面と裏面の温度差による変形が抑えられる。すなわち、冷却調整板41a,41b,・・・の湾曲を抑え、ガラス板(ガラスリボン)91と冷却調整板41a,41b,・・・との距離が特にガラス板の引き下げ方向において場所により大きく異なることを防ぐことができる。これにより、ガラスリボンの冷却過程における平面度の悪化を抑制することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、冷却調整板41aの主部43aが、約4mm以上の厚みtを有している。これにより、冷却調整板41aのガラス対向側と反対表面幅方向に温度ムラが生じた場合であっても、冷却調整板41a内部の熱伝導でガラス対向面の温度差は緩和され、ガラス板91の温度制御に与える影響を抑制することができる。また。冷却調整板間に流入するガラス板91が幅方向でもともと温度ムラを持っている場合でも、冷却調整板の面内温度均一性が高ければ、調整板との熱交換に伴い、ガラス板91が持っていた温度ムラは緩和される。
【0065】
(4−7)
また、上記実施形態では、囲み部材70a,70b,70c,・・・と、断熱部材71,71,・・・とを用いることにより、一の冷却調整ユニット40aが、隣接する冷却調整ユニット40bに影響を与え難い構成にしている。具体的に、第1の冷却調整ユニット40aの冷却調整板(第1の冷却調整板)41aに接続された囲み部材70aと、第2の冷却調整ユニット40bの冷却調整板(第2の冷却調整板)41bに接続された囲み部材70bとの間に、断熱部材71を配置しているため、第1の冷却調整板41aの温度を調整するための第1の空間72aと、第2の冷却調整板41bの温度を調整するための第2の空間72bとの間での熱の移動が遮られる。
【0066】
これにより、一の冷却調整ユニット40aが隣接する冷却調整ユニット40bに与える影響を低減させることができる。
【0067】
(4−8)
さらに、上記実施形態では、気体制御ユニット57aによって、冷却調整板41aに吹き付けられた後のガスの流れが制御される。気体制御ユニット57aは、パイプから冷却調整板41aへのガスの吹き出し方向d1と真逆の方向d2へ流す。これにより、一の吹出口521から吹き出されたガスが、他の吹出口521から吹き出されるガスの流れ方向d1に与える影響を低減させることができる。
【0068】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態では、フュージョン法を用いてガラス板91を製造する場合の例を説明したが、複数の冷却調整ユニット40a−40fを用いた構成は、スロットダウンドロー法を用いてガラス板91を製造する場合にも採用することができる。
【0069】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、熱伝導率の高い材料として、純ニッケルを採用したが、熱伝導率の高い材料として、他の材料を用いても構わない。例えば、モリブデン、焼結SiC、再結晶SiC、人造黒鉛、鉄、タングステン等であっても構わない。但し、モリブデンを採用する場合には、非酸化雰囲気で使用することが好ましい。また、モリブデンを酸化雰囲気で使用する場合には、耐酸化コートを施すことが好ましい。また、焼結SiCは、酸化雰囲気で採用することができ、人造黒鉛、鉄、およびタングステンは、非酸化雰囲気で使用される場合に採用することができる。また、冷却調整板とガラス板の熱輻射による熱交換を促進するため、放射率があまり高くない材料を用いる場合は、その耐熱性の部材表面に放射率を上げる材料をコーティングしたものを冷却調整板41a,41b,41c,・・・として用いることが望ましい。
【0070】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、冷却調整板41a,41b,41c,・・・としてチャンネル(溝形鋼形状)を用いたが、冷却調整板41a,41b,41c,・・・は、上記形状に限定されず、他の形状であっても構わない。このとき、隣接する冷却調整板41a,41b同士の接触を最小限にし、隣接する冷却調整板41a,41b同士の熱伝導を抑えるような構成にすることが好ましい。例えば、冷却調整板41a,41b,41c,・・・は、丸棒(円柱)形状や、奇数の多角柱形状などであってもよい。
【0071】
(5−4)変形例D
上記実施形態において、メインパイプ52aには複数の吹出口521が均等に形成されていたが、当該複数の吹出口521は、側部からの距離および吹出口521の大きさに基づいた距離間隔で形成されていてもよい。
【0072】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、G5サイズのガラス基板に用いるガラス板91を製造する際の例として、冷却調整板41a,41b,41c,・・・の長手方向の長さや、冷却調整ユニット40a−40fの数(6つ)を例示したが、製造するガラス板91の大きさに応じて、長手方向の長さや冷却調整ユニットの数を調整してもよい。
【0073】
(5−6)変形例F
また、上記実施形態において、冷却調整板41aの主部43aは、幅方向には高い真直度を保つことが望ましいが、高さ方向には凸凹であってもよい。これにより、ガラス板91に沿って発生する上昇気流の流れを抑制し、場所による冷却速度差の発生を抑えることができる。
【0074】
(5−7)変形例G
上記実施形態に係るガラス板製造装置100において、一のガス供給ユニット54が、一の冷却調整ユニット40aに対してガスを供給する構成であってもよく、また、一のガス供給ユニット54が複数の冷却調整ユニット40a−40fに対してガスを供給する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 成形体
11 溝
20 上下雰囲気仕切り部材
30 冷却ローラ
40a−40f 冷却調整ユニット
41a,41b,41c,・・・ 冷却調整板
42a,42b,42c,・・・ 折り曲げ部
43a,43b,・・・ 主部
50a 温度制御ユニット
51a,51b,51c,・・・ パイプ
52a メインパイプ
55 ガス供給弁
57a 気体制御ユニット
60 引下げローラ
90 溶融ガラス
91 ガラス板
100 ガラス板製造装置
101 成形装置
521 吹出口
531a,532a サブパイプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平2−225326号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体(10)からオーバーフローした溶融ガラス(90)を、前記成形体の両側面に沿って流下させた後、前記成形体の下端部近傍で合流させてガラス板(91)を製造する、ガラス板製造装置(100)であって、
前記溶融ガラスの合流ポイントより下方で、前記溶融ガラスの流れ方向に沿って並列して配置され、前記ガラス板の冷却速度を調整する複数の冷却調整板(41a,41b,41c,・・・)と、
各冷却調整板に対応して設けられ、各冷却調整板を冷却する温度制御ユニット(50a,・・・)と、
を備える、
ガラス板製造装置。
【請求項2】
前記各冷却調整板は、前記溶融ガラスの流れ方向に沿って、隣接して配置されている、
請求項1に記載のガラス板製造装置。
【請求項3】
前記各冷却調整板の前記ガラス板と対向する面の反対側の空間は、断熱部材(71)により、前記各冷却調整板に対応した空間に区切られている、
請求項1または2に記載のガラス板製造装置。
【請求項4】
前記複数の冷却調整板は、前記溶融ガラスの合流ポイントの近傍に配置されて前記合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切る上下雰囲気仕切り部材(20)の下方に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板製造装置。
【請求項5】
前記冷却調整板は、チャンネルであり、
前記チャンネルの主部が、前記ガラス板と対向する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス板製造装置。
【請求項6】
成形体(10)からオーバーフローした溶融ガラス(90)を、前記成形体の両側面に沿って流下させた後、前記成形体の下端部近傍で合流させて形成するガラス板(91)を冷却する、ガラス板冷却方法であって、
前記溶融ガラスの合流ポイントより下方に配置され、前記ガラス板の冷却速度を調整する第1の冷却調整板と、前記第1の冷却調整板に対応して設けられ前記第1の冷却調整板を冷却する第1の温度制御ユニットとによって前記ガラス板を冷却する第1冷却ステップと、
前記溶融ガラスの流れ方向に対して、前記第1の冷却調整板および前記第1の温度制御ユニットの下流に配置され、前記第1の冷却調整板および前記第1の温度調整ユニットにそれぞれ並列する第2の冷却調整板および第2の温度制御ユニットであって、前記ガラス板の冷却速度を調整する前記第2の冷却調整板と、前記第2の冷却調整板に対応して設けられ前記第2の冷却調整板を冷却する前記第2の温度制御ユニットとによって前記ガラス板を冷却する第2冷却ステップと、
を備える、
ガラス板冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63902(P2013−63902A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239417(P2012−239417)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2011−542394(P2011−542394)の分割
【原出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】