説明

ガラス物品の欠陥検査方法及び欠陥検査装置

【課題】円筒状又は円柱状のガラス物品の全周に亘る欠陥の有無を正確に検査すると共に、その欠陥検査に際してガラス物品の軸心を中心とする回転を不要として、検査時間の短縮化を確実に図る。
【解決手段】投光部4からガラス管2を横断するようにライン光3を照射し、その照射したライン光3のうちガラス管2で反射した反射光を受光部5で受光し、その受光光量の変化に基づいてガラス管2の欠陥の有無を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状又は円柱状をなすガラス物品の欠陥の有無を検査するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、円筒状のガラス管は、長尺なガラス元材を所定長さに切断することにより製作されるのが通例とされている。この長尺なガラス元材の成形には、溶融炉から引き出された溶融ガラスを長尺円筒状の耐火物(スリーブ)に巻き付けて高速に引いて管状に成形するダンナー法や、溶融炉から引き出された溶融ガラスを下方に流下させて引き伸ばして管状に成形するダウンドロー法など、溶融ガラスを引き伸ばして管状に成形する手法が利用されている。
【0003】
そのため、溶融工程(清澄工程)や成形工程で発生した泡は、溶融ガラスを引き伸ばしてガラス元材を成形する過程で、ガラス元材にその軸心方向(長手方向)に延伸された筋状の気泡となって形成される。そして、このような気泡を有するガラス元材を切断して製作されるガラス管は、当該気泡が欠陥となって不良品となる場合がある。
【0004】
また、溶融工程や成形工程で発生した異物(未溶解ブツや失透ブツ)を有するガラス元材を切断して製作されるガラス管は、当該異物が欠陥となって不良品となる場合がある。
【0005】
したがって、上述のような気泡や異物に起因する欠陥の有無を正確に検査し、問題となる欠陥のないガラス管を選別することが、高品位のガラス管を提供する上でも重要となる。特に、ガラス管が液晶ディスプレイのバックライト用として利用されるものである場合には、ガラス管に上述の欠陥が存在すると、画質の劣化等の問題を引き起こす要因となり得るため、欠陥の有無を正確に検査することがより一層重要となる。
【0006】
そこで、下記の特許文献1には、円筒状のガラス管の表面に垂直にスポット状のレーザ光を照射し、このレーザ光がガラス物品の軸心に垂直な方向に散乱した散乱光を検出することにより、ガラス物品に含まれる気泡の有無を検出する手法が開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献2には、円筒状のガラス物品の表面に垂直にスポット状のレーザ光を照射し、その照射した光がガラス物品中で散乱した散乱光をスクリーンに映し出し、その映し出された像の形状により、ガラス物品に含まれる気泡や異物の有無を検出する手法が開示されている。
【0008】
そして、これら2つの手法は、ガラス物品の表面に垂直に光を照射した場合に、ガラス管に気泡が含まれていると、その気泡に照射されたレーザ光がガラス管の軸心に対して垂直な方向のみに散乱し、他方、ガラス管に異物が含まれていると、その異物に照射されたレーザ光が方向性を持たず一様に散乱するという知見に基づくものである。
【特許文献1】特開平11−64231号公報
【特許文献2】特開平11−258167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記の特許文献1,2のいずれに開示の手法も、ガラス管にスポット状の光を照射している関係上、ガラス管の内部に伝搬する光の経路が極僅かな領域に限られる。したがって、ガラス管の全周に亘って欠陥の有無を検査しようとすると、ガラス管をその軸心を中心として回転させ、スポット状の光をガラス管の周囲に走査する必要が生じる。
【0010】
しかしながら、この場合には、ガラス管の回転に面倒且つ煩雑な作業が強いられる。特に、ガラス管を高速回転させて、ガラス管の全周に亘る欠陥検査を正確に行うことは困難となる。そのため、ガラス管をゆっくりと回転させて、ガラス管の周囲にスポット状の光を走査する必要が生じ、検査に長時間を要することになる。そして、近年ガラス管が短時間で大量に製作されるという実情を勘案すれば、ガラス管の欠陥検査に長時間を要するということは、結果としてガラス管の生産効率の低下を招くことになるため、実用上問題となる。
【0011】
なお、以上は、円筒状のガラス管の欠陥検査について説明したが、円柱状のガラス柱の欠陥検査を行う場合についても同様の問題が生じ得る。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、円筒状又は円柱状のガラス物品の全周に亘る欠陥の有無を正確に検査すると共に、その欠陥検査に際してガラス物品の軸心を中心とする回転を不要として、検査時間の短縮化を確実に図ることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス物品の欠陥検査方法は、投光部から円筒状又は円柱状のガラス物品を横断するようにライン状の光を照射し、その照射した光のうち前記ガラス物品で反射した反射光を受光部で受光し、その受光光量の変化に基づいて前記ガラス物品の欠陥の有無を検査することに特徴づけられる。
【0014】
このような方法によれば、投光部からガラス物品を横断するようにライン状の光が照射されることから、ガラス物品を回転させなくとも、ガラス物品の全周に亘って光が伝搬する。したがって、このように照射されたライン状の光のうち、ガラス物品で反射した反射光には、ガラス物品の全周に亘る欠陥の情報が含まれることになる。
【0015】
そして、ガラス物品に気泡による欠陥がある場合には、ガラス物品に欠陥がないときに生じる反射光に加え、ガラス物品のガラス部分と気泡(気体)との境界面で反射した反射光も生じる。そのため、気泡がある場合には受光部にこれら2つの反射光が受光されることとなり、受光部で受光される反射光の受光光量に変化が生じる。したがって、ガラス物品で反射した反射光の受光光量の変化に基づいて、気泡の有無を正確に検査することができる。
【0016】
一方、ガラス物品に異物による欠陥がある場合には、ガラス物品に欠陥がないときに生じる反射光が異物で散乱して弱められ、受光部で受光される反射光の受光光量に変化が生じる。したがって、ガラス物品で反射した反射光の受光光量の変化に基づいて、異物の有無を正確に検査することができる。
【0017】
上記の方法において、前記投光部から、前記ガラス物品の軸心と直交する平面上に沿ってライン状の光を照射することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、投光部から照射されたライン状の光は、ガラス物品の軸心と直交する平面上に主として反射を来たすようになるので、受光部を投光部から照射されるライン状の光と同一平面内に配置することで、ガラス物品で反射した反射光を効率よく受光することが可能となる。すなわち、受光部で十分な光量の反射光を簡単に受光できるようになるので、検査精度の向上を図る上でも有利となる。
【0019】
上記の方法において、前記投光部から前記ガラス物品に対して照射したライン状の光のうち、前記ガラス物品中を直進する透過光の光路上を除外した位置に、前記受光部が配置されていることが好ましい。
【0020】
このようにすれば、ガラス物品中を直進する透過光が受光部で受光されなくなるため、ガラス物品で反射した反射光の受光光量の変化がより明瞭となり、欠陥の有無を正確に検出する上で有利となる。
【0021】
上記の方法において、前記ガラス物品を軸心方向に移動させながら、前記投光部からライン状の光を照射することが好ましい。
【0022】
このようにすれば、ライン状の光がガラス物品の軸心方向に走査されることから、ガラス物品全体の欠陥の有無を検査することが可能となる。加えて、ガラス物品の欠陥が気泡である場合には、その気泡の軸心方向の長さを測定することも可能となる。したがって、予め定められた長さ以上の気泡を有するガラス物品についてのみ、これを不良品として区別するということも可能となる。ガラス物品の用途にもよるが、通常は1mm未満の長さの気泡であれば欠陥と見なす必要がない場合も多く、このように気泡の軸心方向長さをも測定できるという点は実用上極めて有利となる。なお、この場合にも既述の理由からガラス物品をその軸心を中心として回転させる必要がないので、ガラス物品が溶融ガラスに連続する長尺なガラス元材である場合についても、例えばその冷却固化された部分にライン状の光を照射するようにすることで、欠陥の有無を順次検査することが可能となる。
【0023】
上記の方法において、前記投光部を複数配置して、前記ガラス物品に対して異なる方向からライン状の光を照射することが好ましい。
【0024】
このようにすれば、ガラス物品に対して異なる方向からライン状の光が照射されることになるので、仮に特定の一方向から光を照射したときに欠陥による受光光量の変化が小さい場合であっても、他の方向から照射した光によって欠陥による受光光量の顕著な変化を得ることができる。そのため、ガラス物品に含まれる欠陥を見逃す割合を低減し、より正確な欠陥検査を実現することが可能となる。
【0025】
上記の方法において、前記ガラス物品の検出すべき欠陥が気泡である場合には、前記受光部で反射光の受光光量の強度分布を検出し、その検出した受光光量の強度分布の変化に基づいて前記ガラス物品に含まれる気泡の有無を検査することが好ましい。
【0026】
既述のように気泡に光が照射されると、ガラス物品のガラス部分と、気泡との境界面で反射が生じる。このように気泡で反射した反射光は、ガラス物品に欠陥がない場合にも生じる反射光が受光される位置に比して僅かにずれた位置で受光される場合が多い。また、仮に、気泡で反射した反射光が受光される位置と、ガラス物品に欠陥がない場合にも生じる反射光が受光される位置とが重なっている場合でも、反射光が重なっている部分については受光光量が増加する。したがって、受光部で受光された反射光の受光光量の強度分布を検出すれば、ガラス物品に含まれる気泡の有無を正確に検査することが可能となる。
【0027】
上記の方法において、前記ガラス物品の検出すべき欠陥が異物である場合には、前記受光部のうち、前記投光部から照射されるライン状の光の前記ガラス物品の軸心方向に対応した方向の受光可能範囲を、前記投光部から照射されるライン状の光の前記ガラス物品の軸心方向の厚みに応じて制限し、前記受光部で受光した反射光の受光光量の減少量に基づいて前記ガラス物品に含まれる異物の有無を検査することが好ましい。
【0028】
既述のように異物に光が照射されると、当該異物で光が散乱し弱められる。したがって、ガラス物品に欠陥がない場合にも生じる反射光が、ガラス物品中で異物に再度照射されると、異物に照射された部分に対応した反射光は散乱により弱められる。このとき、異物で散乱した光は四方に拡散して広がる。したがって、受光部のうち、投光部から照射されるライン状の光のガラス物品の軸心方向に対応した方向の受光可能範囲を、投光部から照射されるライン状の光のガラス物品の軸心方向の厚みに応じて制限することにより、異物によって拡散された反射光の一部が受光部で受光されなくなる。その結果、異物による反射光の受光光量の変化をより明瞭に検出することが可能となるため、異物の有無を正確に検査する上で有利となる。
【0029】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス物品の検査装置は、円筒状又は円柱状のガラス物品を横断するようにライン状の光を照射する投光部と、該投光部から照射された光のうち前記ガラス物品で反射した反射光を受光する受光部と、該受光部で受光された反射光の受光光量の変化に基づいて前記ガラス物品の欠陥の有無を判断する判断部とを備えていることに特徴づけられる。
【0030】
このような構成によれば、既に述べた段落[0014]〜[0016]に記載の作用効果を同様に享受することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係るガラス物品の検査方法および検査装置によれば、ガラス物品を横断するようにライン状の光が照射するようにしているので、ガラス物品をその軸心を中心として回転させなくとも、ガラス物品の全周に亘る欠陥の有無を検査することができる。したがって、ガラス物品の回転に要する時間を省略することができるので、検査時間の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、このように照射されたライン状の光のうち、ガラス物品で反射した反射光には、ガラス物品の全周に亘る欠陥の情報が含まれることになるから、その反射光を受光して受光光量の変化を検出すれば、ガラス物品の全周に亘る欠陥の有無を正確に検査することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置を示す斜視図である。この欠陥検査装置1は、円筒状のガラス管2を横断するようにライン状の光(ライン光)3を照射する投光部4と、投光部4から照射されたライン光3のうちガラス管2で反射した反射光を受光する受光部5と、受光部5で受光された反射光の受光光量の変化に基づいてガラス管2の欠陥の有無を判断する判断部6とを備えている。
【0034】
詳述すると、投光部4は、ガラス管2の軸心と直交する平面上に沿ってライン光3を照射するように配置されたライン光源から構成されている。すなわち、図示のようにXをガラス管2の軸心とし、Y,Zを軸心Xと直交する平面内であって且つ互いに直交する軸とした場合に、投光部4は、例えば、軸Zの方向にガラス管2の外径よりも幅広のライン光3を、軸Yの方向(ガラス管2の軸心Xに対して直交する方向)からガラス管2に照射するようになっている。これは、ガラス管2に照射されたライン光3が、ガラス管2の表面で軸心Xの方向に屈折するのを防止するためである。すなわち、ガラス管2で反射した反射光が、軸心Xと直交する平面内に主として広がるようにするためである。そして、このように照射されるライン光3は、ガラス管2の外径よりも幅広であるため、ガラス管2を横断するように照射される。
【0035】
受光部5は、投光部4から照射されるライン光3と同一平面内に配置されており、ガラス管2で反射して軸心Xと直交する平面内に広がる反射光を受光するようになっている。このようにライン光3と同一平面内に配置された受光部5は、図2に示すように、投光部4からガラス管2に対して照射されたライン光3のうち、ガラス管2中を直進する透過光の光路上を除外した位置に配置されている。具体的には、投光部4から照射されるライン光3の光軸中心L1と、受光部5で受光される反射光の光軸中心L2とが、ガラス管2の軸心Xで交差するようになっており、この両光軸L1、L2のなす角θが、100°〜150°の範囲内に設定されている。これは、受光部5にガラス管2中を直進する透過光が受光されるのを防止して、ガラス管2で反射した反射光の受光光量の変化を検出しやすくするためである。
【0036】
さらに、受光部5はラインセンサで構成されており、その受光面内における反射光の受光光量の強度分布を検出可能となっている。そして、判断部6は、受光された受光光量の変化、すなわち、この実施形態では受光光量の強度分布の変化に基づいてガラス管2の欠陥の有無を判断するようになっている。
【0037】
次に、以上のように構成された第1実施形態に係る欠陥検査装置1を使用したガラス管2の欠陥検査方法について説明する。なお、以下では、ガラス管2は、ダンナー法等により成形された長尺なガラス元材を所定長さに切断して製作されたもので、検査すべき欠陥が軸方向に延伸された筋状の気泡である場合を例にとって説明する。
【0038】
まず、図2に示すように、投光部4からガラス管2に対してライン光3を照射すると、ライン光3は、ガラス管2中を横断するように伝搬する。ガラス管2に気泡等の欠陥がない場合には、照射されたライン光3は、ガラス管2の外表面と内表面とで反射し、反射光を生じさせる。そして、この反射光を、投光部4から照射されるライン光3の光軸中心L1に対して上述のように角度をなして配置された受光部5で受光し、その受光光量を検出すると、例えば、受光部5側の外表面のA点付近、受光部5側の内表面のB点付近、受光部5と反対側の内表面のC点付近、および受光部5と反対側の外表面のD点付近で反射した反射光に対応したピークが、図3に示すように4つ(A〜D)検出される。なお、A点は、投光部4から照射されるライン光3のガラス管2の外表面への入射角と、反射角が同一となる点である。B〜D点は、反射光が受光部6に向かう間においてガラス管2の内外表面で屈折するため多少ずれるものの、A点と基本的に同じである。したがって、A〜D点は、光軸中心L1と光軸中心L2のなす角θの2等分線L3と、ガラス管2の内外表面との交点となる。
【0039】
一方、ガラス管2に気泡がある場合には、上述のような4つのピークA〜Dを有する反射光の受光光量の強度分布(以下、基準強度分布という)に、図4に示すように、ガラス管2のガラス部分と気泡との境界面で反射した反射光によるピークEが加わって検出される。
【0040】
したがって、ガラス管2に気泡がある場合には、受光部5で検出される強度分布が、気泡等の欠陥がない場合の基準強度分布から変化を来たす。そのため、判断部6で基準強度分布と、新たに検出された強度分布とを比較することにより、気泡の有無を正確に検査することが可能となる。
【0041】
この際、投光部4からガラス管2を横断するようにライン光3を照射していることから、ガラス管2で反射した反射光にはガラス管2の全周に亘る欠陥の情報が含まれることになる。したがって、ガラス管2を回転させなくとも、ガラス管2の全周に亘る気泡の有無を検査することが可能となるため、ガラス管2の回転動作に要する時間を省略し、検査時間の短縮化を確実に図ることができる。また、ガラス管2を回転させずに気泡の有無を検査できるため、ダンナー法やダウンドロー法等の管引き成形ライン上で連続して検査が可能となる。
【0042】
なお、上述のような欠陥検査方法において、気泡の検出精度をより向上させる観点からは、投光部4をガラス管2の周方向に複数配置(例えば、周方向に120°ずつずらして3つ配置)して、ガラス管2に対して異なる方向からライン光3を照射することが好ましい。これは、ガラス管2に対して異なる方向からライン光3を照射すれば、仮に特定の一方向からライン光3を照射したときに気泡による受光光量の強度分布の変化が小さい場合であっても、他の方向から照射したライン光3によって気泡による受光光量の強度分布に顕著な変化を生じさせることができるためである。
【0043】
さらに、この場合には、複数の投光部4をガラス管2の軸心Xを中心として螺旋状に配置するなどして、個々の投光部4をガラス管2の軸心X方向および周方向にずらして配置することが好ましい。これにより、全ての投光部4からガラス管2に対して同時に光を照射した場合でも、一の投光部4から照射されたライン光3が、他の投光部4から照射されたライン光3と干渉するという事態を抑制できる。そのため、複数のライン光3の相互干渉による検査精度の低減を防止しつつ、検査時間の短縮化をより確実に図ることが可能となる。
【0044】
また、ガラス管2を軸心Xの方向に移動させながら上述の欠陥検査方法を実行してもよい。このようにすれば、ガラス管2全体に含まれる気泡の有無を検査することができる。加えて、軸心Xの方向における気泡の長さを測定することもできるため、予め定められた長さ(例えば1mm)以上の気泡を有するガラス管2についてのみ、これを不良品として区別することも可能となる。
【0045】
この場合には、図5に示すように、ガラス管2を、直線上に断続的に配列された複数のローラ7上に載置して軸心Xの方向に搬送すると共に、このローラ7間の隙間に対をなす投光部4と受光部5を配置することが好ましい。これにより、投光部4からガラス管2に照射されるライン光3や、受光部5で受光されるガラス管2で反射した反射光が、ローラ7によって遮断されるという事態を防止することができる。なお、図示例では、ガラス管2を搬送するローラ7には、軸心Xと直交する方向へのガラス管2の移動を規制するように、V溝等の位置規制溝7aが形成されている。また、複数の投光部4がガラス管2の軸心Xを中心として螺旋状に配置されており、個々の投光部4の光軸中心L1に対してそれぞれの受光部5の光軸中心L2が所定角度(100°〜150°)をなすように配置されている。
【0046】
図6は、本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置を示す平面図である。この第2実施形態に係る欠陥検査装置1が、上述の第1実施形態に係る欠陥検査装置1と相違するところは、ガラス管2の欠陥となる異物の有無を検査するように構成されている点にある。
【0047】
詳述すると、第2実施形態に係る欠陥検査装置1では、図7(a)に示す受光部5の受光面5aの一部が、同図(b)に示すように、マスク8,8によって塞がれており、投光部4から照射されるライン光の厚み方向(軸心Xの方向)の受光可能範囲が、ライン光3の厚みに応じた範囲に制限されている。すなわち、投光部4から照射されるライン光3と同一平面内に広がる反射光が軸心Xの方向に拡散されると、その拡散された部分については、受光部5の受光面5aに入射しないようになっている。なお、本実施形態で使用する受光部5としては、その受光面5a全体で受光した反射光の受光光量の総和を検出できるものであればよい。
【0048】
そして、ガラス管2に欠陥がない場合にも生じる反射光が、異物に再度照射されると、異物に照射された部分に対応した反射光は散乱により弱められる。このとき、異物で散乱した光は四方に拡散する。
【0049】
そのため、ガラス管2に異物がない場合には、図8に示すように、投光部4から照射されたライン光3と同一平面内に広がる反射光(図中のRで示す像を映し出す光)は、マスク8,8の隙間を通過して、受光部5の受光面5aに入射する。一方、ガラス管2に異物がある場合には、図9に示すように、投光部4から照射されたライン光3と同一平面内に広がる反射光(図中のRで示す像を映し出す光)は、軸心Xの方向に拡散して広がり、その拡散された部分の反射光はマスク8,8によって遮断される。したがって、受光部5の受光可能範囲を上述のように制限することにより、異物がある場合には、受光光量が大きく低下する。そのため、異物による反射光の受光光量の減少量を検出しやすくなり、結果として異物の有無を正確に検出することが可能となる。
【0050】
なお、この実施形態では、投光部4から照射されるライン光3の光軸中心L1と、受光部5で受光される反射光の光軸中心L2とのなす角θは、100°〜170°の範囲内に設定される。
【0051】
また、これら以外の点については、上記の第1実施形態と同様の構成を採用することができる。すなわち、図5に示したように、投光部4を複数配置して、ガラス管2に対して異なる方向からライン状の光3を照射するようにしてもよいし、ガラス管2を軸心Xの方向に搬送しながら、投光部4からライン状の光を照射するようにしてもよい。
【0052】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、ガラス物品として円管状のガラス管2を例示して説明したが、ガラス物品が、円柱状のガラス柱や、これらガラス管やガラス柱の元となる長尺なガラス元材である場合でも同様にして欠陥の有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る欠陥検出装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す欠陥検出装置をガラス管の軸心方向から見た平面図である。
【図3】ガラス管に気泡がない状態で、図1に示す受光部で受光される反射光の強度分布の一例を示すグラフである。
【図4】ガラス管に気泡がある状態で、図1に示す受光部で受光される反射光の強度分布の一例を示すグラフである。
【図5】第1実施形態に係る欠陥検出装置の変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る欠陥検出装置を示す平面図である。
【図7】(a)は、図6の受光部の受光面を示す正面図であって、(b)はその受光部の受光面にマスクをした状態を示す正面図である。
【図8】ガラス管に異物がない状態で、図7(b)に示す受光部に入射する反射光の状態を示す正面図である。
【図9】ガラス管に異物がある状態で、図7(b)に示す受光部に入射する反射光の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 欠陥検査装置
2 ガラス管
3 ライン光
4 投光部
5 受光部
5a 受光面
6 判断部
7 ローラ
7a 位置規制溝
8 マスク
L1 照射されるライン光の光軸中心
L2 反射光の光軸中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光部から円筒状又は円柱状のガラス物品を横断するようにライン状の光を照射し、その照射した光のうち前記ガラス物品で反射した反射光を受光部で受光し、その受光光量の変化に基づいて前記ガラス物品の欠陥の有無を検査するガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項2】
前記投光部から、前記ガラス物品の軸心と直交する平面上に沿ってライン状の光を照射する請求項1に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記投光部から前記ガラス物品に対して照射したライン状の光のうち、前記ガラス物品中を直進する透過光の光路上を除外した位置に、前記受光部が配置されている請求項1又は2に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記ガラス物品を軸心方向に移動させながら、前記投光部からライン状の光を照射する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記投光部を複数配置して、前記ガラス物品に対して異なる方向からライン状の光を照射する請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記ガラス物品の検出すべき欠陥が気泡であって、前記受光部で反射光の受光光量の強度分布を検出し、その検出した受光光量の強度分布の変化に基づいて前記ガラス物品に含まれる気泡の有無を検査する請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項7】
前記ガラス物品の検出すべき欠陥が異物であって、前記受光部のうち、前記投光部から照射されるライン状の光の前記ガラス物品の軸心方向に対応した方向の受光可能範囲を、前記投光部から照射されるライン状の光の前記ガラス物品の軸心方向の厚みに応じて制限し、前記受光部で受光した反射光の受光光量の減少量に基づいて前記ガラス物品に含まれる異物の有無を検査する請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス物品の欠陥検査方法。
【請求項8】
円筒状又は円柱状のガラス物品を横断するようにライン状の光を照射する投光部と、該投光部から照射された光のうち前記ガラス物品で反射した反射光を受光する受光部と、該受光部で受光された反射光の受光光量の変化に基づいて前記ガラス物品の欠陥の有無を判断する判断部とを備えたガラス物品の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−186281(P2009−186281A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25553(P2008−25553)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】