説明

ガラス用シーラントを塗布するアプリケータノズル及び該アプリケータノズルの使用方法

【課題】ガラスパネル又はその他の物体に対してシーラントを均一且つ完全なビード状に塗布するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】ビード状のシーラント又はその他の素材を物体に塗布するアプリケータノズル55及びノズルの使用方法で、アプリケータノズルは、シーラント又はその他の流動体の供給源に接続される第1端部65と、流動体を流出させる第2端部70と、を有するノズル本体60を備えている。アプリケータノズルの後側には後側オリフィス部80が位置しており、アプリケータノズルが物体に沿って移動する際に、ノズルの後方に流動体を流出させて、この流出した流動体は、後方に延びるビード状の流動体になる。アプリケータノズルの前側には前側オリフィス部75が位置しており、前方に流動体を流出させて、ビード状の流動体の始点と終点とを繋ぐ。このようにして形成されたビード状の流動体は、隙間が形成されておらず連続的に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体に流動体をビード状に塗布するアプリケータノズルに関する。本発明の1実施例は、窓ガラスを車両に設置する前に、該窓ガラスに対してガラスシーラントをビード状に均等且つ連続的に塗布するアプリケータノズルに関する。この場合、アプリケータノズルは、自動化されたガラスシーラント塗布装置とともに使用される。
【背景技術】
【0002】
ガラスパネルをフレームに設置する前に、該ガラスパネルの周にシーラントをビード状に塗布することは周知である。このガラスパネルが例えば窓ガラスであるか又は車両のフロントガラスであるに関わらず、ビード状のシーラントは、ガラスパネルをフレームに固定するとともに、空気及び/又は水の浸入を防止する。
【0003】
通常、ビード状にシーラントを塗布する作業は、手動で行われるか、又は、シーラントを加圧してノズルから押し出す特別仕様のシーラントチューブ或いはコーキングガンによって行われる。しかし、大規模な製造事業においてシーラントを塗布する作業は、自動化された装置によって行われるのが一般的である。
【0004】
上記の自動化された装置には特定の用途に応じた設計がなされているが、シーラントを自動的に塗布する作業は、典型的には、シーラント塗布ロボット及びその関連設備によって行われている。この関連設備は、例えば、シーラント供給源、対象となるガラスパネル上にビード状のシーラントを形成するアプリケータノズル、及び、シーラントを加圧して該ノズルに供給するポンプ又はそれに類似する装置である。
【0005】
シーラント塗布ロボットは、動作時に、ガラスパネル上のある出発点まで移動し、このロボットは、通常、ネスティング・ジグ(nesting jig)又は類似の装置によって支持されている。シーラント塗布ロボットは、出発点に来ると、シーラント供給源からアプリケータノズルまでシーラントを送るために、シーラントポンプ又はその他のシーラント供給装置に信号を送信する。シーラント供給源からアプリケータノズルまでシーラントが送られ始めると、シーラント塗布ロボットは、ガラスパネルの周に沿う所定の経路をたどる。このようなロボットによって、シーラントはガラスパネル上にビード状に塗布される。
【0006】
シーラント塗布ロボットがたどる所定の経路には、出発点の他に、該ロボットが停止する停止点がある。ガラスパネルがフレーム又はその他のマウントに設置された際に空気、水及び/又はその他の物質がビード状シーラントの内部に浸入或いはその周囲に侵出することを防ぐために、ビード状シーラントが崩れないで連続していることが望ましい。従って、シーラント塗布ロボットがたどる所定の経路の出発点と停止点とは実質的に同一である必要がある。この場合、理論上では、ビード状のシーラントの始点と終点とは繋がることになり、フレームに設置されたガラスパネルは完全にシールされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、中実で崩れていない連続したビード状のシーラントを得ることは実際には不可能ではないが難しい。許容可能なビード状のシーラントが得られないのは、幾つかの要因がある。それは、まず、使用される流動可能なシーラント材は多少粘性があり粘着質であることが挙げられる。従って、ビード状のシーラントに接触すると、該ビード状のシーラントは変形又はズレて付着する傾向がある。従って、従来のアプリケータノズルを使用した場合、ビード状のシーラントと該ノズルとが望ましくない接触をするので、該シーラントの始点と終点とを繋げることは不可能ではないが難しい。
【0008】
従って、周知のロボットによってガラスにシーラントを塗布する技術では、アプリケータノズルがビード状のシーラントの始点に到達する前に、該ノズルを上昇させる手法が一般的に採り入れられている。しかしながら、上述のビード状のシーラントがアプリケータノズルによって変形するように、このノズルを上昇させる手法でも、時折、得られたビード状のシーラントが許容できないものとなってしまう。
【0009】
詳しくは、周知のアプリケータノズルを上昇させる手法を用いてもビード状のシーラントが不完全なものとなってしまうのは、シーラントがこのアプリケータノズルの後側からしか出ないからである。従って、アプリケータノズルがビード状のシーラントの始点と接触するのを避けるために該ノズルを上昇させ、シーラントの流れを止めたとき、ビード状のシーラントの始点と終点との間には隙間が形成される。この隙間が形成されることにより、ガラスパネルを設置する際、例えば、空気及び/又は水が浸入する可能性があり望ましくない。
【0010】
従って、ガラスパネル又はその他の物体に対してシーラントを均一且つ完全なビード状に塗布するために改良が施された装置及び方法が必要とされている。本発明は、この必要に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、対象となる物体にビード状の素材を塗布するアプリケータ及び該塗布を行う方法に関する。詳しくは、ガラスパネル又はその他の物体の上に均一で完全なるビード状のシーラントを形成するシーラントアプリケータノズル及び該ノズルの使用方法である。本発明のアプリケータノズルは、シーラントを自動的に塗布する過程に使用されることが好ましい。本発明のアプリケータノズルは、シーラントを手動で塗布する過程又はシーラント以外の流動体をビード状に自動若しくは手動で塗布する過程に使用可能である。説明の便宜上、本発明は、ビード状のシーラントの塗布に対してのみ詳細に説明する。
【0012】
本発明のアプリケータノズルは、後側のオリフィス部及び前側のオリフィス部の両方からシーラントを流出させる構成となっている点で周知のアプリケータノズルと異なる。この構成によって、シーラントを塗布する際にアプリケータノズルがビード状のシーラントの始点に到達即ち帰還したとき、該ノズルの前側のオリフィス部から少量のシーラントが出る。アプリケータノズルがビード状のシーラントの始点に帰還するときに該ノズルを減速且つ上昇させると、前側のオリフィス部からは、ビード状のシーラントの始点と終点とを繋げるのに十分な量のシーラントが流出する。この結果、隙間の無い均一で完全なビード状のシーラントが形成される。
【0013】
本発明のアプリケータノズルは、各種の物体にシーラント(及びその他の素材)を塗布するのに使用できる。しかし、説明の便宜上、以下で詳細に述べる実施の形態は、車両のガラスパネル(例えばフロントガラス)にシーラントをビード状に塗布するものに限定する。同様に、本発明のアプリケータノズルは、シーラントの手動及び自動塗布過程の双方に使用可能ではあるが、以下の実施の形態は、ロボットによるシーラントの塗布過程に限定する。しかしながら、本明細書の開示内容は本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
上記の特徴以外の本発明の特徴については、添付の図面及び以下の実施例の説明に明記されている。尚、図面において、同一又は同等の特徴には類似の参照符号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1a及び図1bは、周知の典型的なシーラントアプリケータノズル5を示している。図1a及び図1bから分かるように、この周知のシーラントアプリケータノズル5は幾分長尺な本体10を有しており、該本体10は、シーラントアプリケータ装置に接続される第1端部15と、シーラントを流出させる第2端部20と、を備えている。流出オリフィス部25は、アプリケータノズル5の第2端部20の後表面に沿って形成されている。流出オリフィス部25は、流出するシーラントを規制して、該シーラントを所定の形状に形作る。アプリケータノズル5の動作中、シーラントは、流出オリフィス部25から出て、移動するアプリケータノズル5から後方に延びるビード状のシーラントになる。
【0016】
図1a及び図1bに示されたアプリケータノズルの形状以外の形状を有するその他のアプリケータノズルもある。しかし、図1a及び図1bに示されたアプリケータノズル5のように、本願の出願人が知りうる既存のアプリケータノズルは、すべて、後表面のみにしか流出オリフィス部を備えていない。
【0017】
上述のように、周知のアプリケータノズル5は、物体に沿って案内される際、後方に延びるビード状のシーラントを提供する。図1a及び図1bのアプリケータノズル5によって提供されたビード状のシーラント30の例を図2に示す。図2に示されているように、ビード状のシーラント30の最初の部分35と最後の部分40との間には、望ましくない隙間45が在る。
【0018】
この隙間45は、前述のように、ビード状のシーラント30の塗布を終了する際にアプリケータノズル5の前表面がビード状のシーラント30の最初の部分35に接触することを防ぐ必要性から生じたものである。仮に、アプリケータノズル5の前表面をビード状のシーラント30最初の部分35に接触させた場合、ビード状のシーラントは変形して、アプリケータノズルにビード状シーラントの一部が付着する恐れがある。
【0019】
このような問題が起こることを避けるために、アプリケータノズル5は、通常、ビード状のシーラント30の最初の部分35に近づいたときに上昇する。アプリケータノズル5を上昇させると、ビード状のシーラント30の最後の部分40の末端に隆起部分50が形成される。
【0020】
ビード状のシーラントの最初の部分と最後の部分との間にある理論上の境界面(所望の結合点)に許容範囲を超えた多量のシーラントが集中するのを防ぐために、アプリケータノズル5の上昇と実質的に同時にシーラントの供給を遮断する。このアプリケータノズル5の上昇とシーラントの流れを止めた結果、図2に示される隙間45が形成される。
【0021】
本発明のシーラントアプリケータノズルは、図2で説明した問題を軽減する。本発明のシーラントアプリケータノズル55の一例を図3a〜図3cに示す。図3a〜図3cに示されるように、この特定のシーラントアプリケータノズル55は、実質的に長尺な本体60を有する。本体60は、シーラントアプリケータ装置(図示せず)に接続される第1端部65と、シーラントを流出させる第2端部70と、を備えている。
【0022】
周知のアプリケータノズルと異なり、このアプリケータノズル55は、第2端部70に前側流出オリフィス部75と後側流出オリフィス部80とを備えている。好ましくは、前側流出オリフィス部75と後側流出オリフィス部80とは、(アプリケータノズル55の断面が円形である場合は)実質的に直径方向に互いに対向しているか、或いは、該オリフィス部75、80は、アプリケータノズル55の移動経路と一致するように並んでいる。
【0023】
本発明のアプリケータノズルの前側流出オリフィス部75及び後側流出オリフィス部80の寸法は様々である。しかし、ビード状のシーラントの所望のサイズによって後側流出オリフィス部80の寸法は概ね決定する。図3a〜図3cに示されたアプリケータノズル55の例では、ビード状のシーラントは、高さが15mmであり幅が8mmであることが望ましい。後側流出オリフィス部80の高さ及び幅も、この所望のシーラントの高さ及び幅とおよそ同じである。
【0024】
更に、流体理論を適用することによって、流出オリフィス部に関する有利な特徴がある。例えば、後側流出オリフィス部80から出るシーラントの流量を前側流出オリフィス部75から出るシーラントの流量のおよそ2倍にする必要があることが判った。従って、本発明のアプリケータノズルの前側流出オリフィス部の寸法は、この2:1の流量比及び後側流出オリフィス部の寸法によって決定される。この特定のアプリケータノズル55の後側流出オリフィス部80の寸法と2:1の流量比とに基づいて、前側流出オリフィス部75は、およそ高さが10mmで幅が6mmとなる。流出オリフィス部における上記流量比は有効ではあるが、他の流量比を本発明のアプリケータノズルに採用してもよい。
【0025】
図4a〜図4cは、図3a〜図3cのアプリケータノズル55が車両のフロントガラス100にビード状のシーラント85を塗布する過程を示している。図4aに示されるように、アプリケータノズル55はシーラントアプリケータ装置105に接続されている。シーラントアプリケータ装置105は、フロントガラス100上に設定された所定の経路に沿ってアプリケータノズルを(矢印で示すように)移動させる動力装置を備えている。この場合の動力装置はロボット(図示せず)である。しかし、本発明のアプリケータノズルは、その他のシーラント塗布装置及び/又はその他のシーラント塗布過程においても使用可能である。
【0026】
図4aに示されるように、ビード状のシーラント85の最初の部分90は、フロントガラス100上の或る出発点からアプリケータノズルの所望の移動方向に且つ或る所定の経路に沿って延びている。図4a〜図4cから分かるように、アプリケータノズル55がフロントガラス100に沿って移動する間、ビード状のシーラント85は、後側流出オリフィス部80のみから、或いは、主に後側流出オリフィス部80から流出して延びている。
【0027】
図4bは、アプリケータノズル55がビード状のシーラント85の最後の部分95をフロントガラス100に流出させている状態を示している。図4bから理解できるように、ビード状のシーラント85の最後の部分95は、該シーラント85の最初の部分90の出発点(始点)に理想上では繋がる終着点(終点)を有する。図4b及び図4cは、ビード状のシーラント85の最初の部分90の出発点と最後の部分95の終着点とを繋げる過程を示している。詳しくは、アプリケータノズル55がビード状のシーラント85の最初の部分90の出発点に近づくと、アプリケータノズル55の速度は落ちる。アプリケータノズル55の速度を低下させることによって、前側流出オリフィス部75からシーラント110が出る(図4b参照)。
【0028】
シーラント110が最初の部分90の出発点に接触する直前又はシーラント110が最初の部分90の出発点に接触した時点で、アプリケータノズル55にシーラントを流し込むことを終了させて、好ましくは、アプリケータノズル55を上昇させる。この結果、アプリケータノズル55の前側流出オリフィス部75から出たシーラント110は、ビード状のシーラント85の最初の部分90の出発点と接触して、ビード状のシーラント85の最後の部分95と最初の部分90とは望ましくない変形を起こすことなく互いに接合される。
【0029】
図5は、ビード状のシーラント85の最初の部分90と最後の部分95とが接合した状態を拡大して示している。図5から分かるように、ビード状のシーラント85には隙間が形成されていない状態で、最初の部分90が最後の部分95に接合されている。また、図示されるように、ビード状のシーラント85の最後の部分95を最初の部分90に被せてもよい。
【0030】
本発明のアプリケータノズルを用いて様々な動作パラメータでシーラントをビード状に塗布することができる。即ち、アプリケータノズルの線速度(速度)は、流出オリフィス部のサイズと、シーラントを流出させる圧力と、シーラントの粘性と、によって決まると考えられている。
【0031】
例えば、図4a〜図4cに示されるように、アプリケータノズル55は、ビード状のシーラント85を塗布している間は、およそ333mm/secの線速度を有している。この線速度は、およそ20000mm/secのシーラントの流量と、およそ398mm/secのシーラント流出速度とに対応する。アプリケータノズルが上記の線速度で移動している際、前側流出オリフィス部75からのシーラントの流出は(図4aに示されるように)概ね又は実質的に防止される。しかし、アプリケータノズルの線速度が低下すると、シーラントは、(図4bに示されるように)前側流出オリフィス部75から流れ始める。アプリケータノズルの線速度及びシーラントの流量等の組み合わせには実際には制限を設けていないので、本発明のアプリケータノズルの使用は、塗布を行う際の特定のパラメータに限定されることはない。
【0032】
自動化された典型的なシーラント塗布装置は、ドラム又はその他の容器からシーラントを引き出すためにピストンポンプを採用している。引き出されたシーラントは、ギヤポンプ又は類似の装置によって、シーラント供給線を経由してアプリケータノズルまで移動する。しかし、ピストンポンプの作動中、ピストンポンプの出口の圧力は変動してしまう。従って、ピストンポンプを離れたシーラントの流量及び圧力は大きく変動する可能性がある。
【0033】
この圧力の変動を考慮すると、シーラントを一定の流量で本発明のアプリケータノズルに提供するには、ピストンポンプとギヤポンプとの間にレギュレータを配置することが効果的であるということが判った。このレギュレータは本発明のアプリケータノズルの使用には必須ではないが、該レギュレータを使用することによって、より均一で連続したビード状のシーラントの塗布が可能となる。使用可能なレギュレータは、当業者には周知であるので、その詳細な説明は本書では省略する。
【0034】
以上の説明から分かるように、本発明のアプリケータノズルを使用すると、両端が(接合/結合した)完全なビード状のシーラントを対象となる物体に塗布することができる。即ち、従来のシーラントアプリケータノズルでは繰り返し試みても非常に困難であったビード状のシーラントの最初の部分と最後の部分との間に隙間を形成しないことが可能となる。
【0035】
また、以上の説明から分かるように、本発明のアプリケータノズルは、流出オリフィス部と同様に、様々な形状及びサイズを有することができる。便宜上本発明の実施例を詳細に説明したが、本発明の範囲は、この実施例の開示内容に限定されるものではなく、また、特許請求の範囲に明記された本発明の趣旨から逸脱しない限り、上記実施例の変形も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】周知のシーラントアプリケータノズルの後方斜視図。
【図1b】周知のシーラントアプリケータノズルの後面図。
【図2】図1a及び図1bのシーラントアプリケータノズルによって提供されたビード状のシーラントに形成された典型的な隙間の斜視図。
【図3a】本発明の一実施例におけるシーラントアプリケータノズルの後方斜視図。
【図3b】図3aのシーラントアプリケータノズルの後面図。
【図3c】図3aのシーラントアプリケータノズルの右側面図。
【図4a】図3a〜図3cのシーラントアプリケータノズルが車両のフロントガラスにシーラントをビード状に塗布している過程を示す図。
【図4b】図3a〜図3cのシーラントアプリケータノズルが車両のフロントガラスにシーラントをビード状に塗布している過程を示す図。
【図4c】図3a〜図3cのシーラントアプリケータノズルが車両のフロントガラスにシーラントをビード状に塗布している過程を示す図。
【図5】本発明のシーラントアプリケータノズルが図4a〜図4cに示された過程を行うことによって提供された完全なるビード状のシーラントを示す図。
【符号の説明】
【0037】
85 ビード状の流動体
100 物体
55 アプリケータノズル
65 第1端部
70 第2端部
60 ノズル本体
80 後側流出オリフィス部
75 前側流出オリフィス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビード状の流動体を物体に塗布するアプリケータノズルであって、
前記流動体の供給源に接続される第1端部と、前記流動体を流出させる第2端部と、を有するノズル本体と、
前記ノズル本体の前記第2端部に形成されている後側流出オリフィス部と、
前記ノズル本体の前記第2端部に形成されている前側流出オリフィス部と、
から成り、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って通常に移動している際、前記後側流出オリフィス部は前記流動体を流出させて、もって、前記流出した流動体は前記アプリケータノズルから後方に延びるビード状の流動体となり、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って移動している際、前記前側流出オリフィス部は、前記アプリケータノズルの前方に前記流動体を流出させることを特徴とするアプリケータノズル。
【請求項2】
前記流動体はシーラントである請求項1のアプリケータノズル。
【請求項3】
前記後側流出オリフィス部は、前記前側流出オリフィス部よりも大きな面積を有している請求項1のアプリケータノズル。
【請求項4】
前記後側流出オリフィス部の面積は、前記前側流出オリフィス部の面積の2倍である請求項3のアプリケータノズル。
【請求項5】
前記流動体はシーラントであり、前記前側流出オリフィス部は、ビード状のシーラントを前記物体に塗布している前記アプリケータノズルの移動速度が所定のしきい値未満にまで低下したときのみ、前記シーラントを流出させる請求項1のアプリケータノズル。
【請求項6】
前記後側流出オリフィス部と前記前側流出オリフィス部とは一直線上に並んでいる請求項1のアプリケータノズル。
【請求項7】
前記ノズル本体は円形断面となっており、前記後側流出オリフィス部と前記前側流出オリフィス部とは直径方向に互いに対向している請求項1のアプリケータノズル。
【請求項8】
ビード状のシーラントを物体に塗布するアプリケータノズルであって、
シーラントを加圧して供給するための供給源に接続される第1端部と、前記シーラントを流出させる第2端部と、を有するノズル本体と、
前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている流出オリフィス部と、
前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている流出オリフィス部と、
から成り、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って通常に移動している際、前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている前記流出オリフィス部は、前記シーラントを流出させて、もって、前記流出したシーラントは前記アプリケータノズルから後方に延びるビード状のシーラントになり、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って移動している際、前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部は、前記アプリケータノズルの前方に前記シーラントを流出させることを特徴とするアプリケータノズル。
【請求項9】
前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている前記流出オリフィス部は、前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部よりも大きな面積を有している請求項8のアプリケータノズル。
【請求項10】
前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている前記流出オリフィス部の面積は、前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部の面積の2倍である請求項9のアプリケータノズル。
【請求項11】
前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部は、前記ビード状のシーラントを前記物体に塗布している前記アプリケータノズルの移動速度が所定のしきい値未満のときのみ、前記シーラントを流出させる請求項8のアプリケータノズル。
【請求項12】
前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている前記流出オリフィス部と前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部とは一直線上に並んでいる請求項8のアプリケータノズル。
【請求項13】
前記ノズル本体は円形断面となっており、前記ノズル本体の前記第2端部の後側に形成されている前記流出オリフィス部と前記ノズル本体の前記第2端部の前側に形成されている前記流出オリフィス部とは直径方向に互いに対向している請求項8のアプリケータノズル。
【請求項14】
連続的に延びるビード状のシーラントを物体に塗布するアプリケータノズルであって、
シーラントを加圧して供給するための供給源に接続される第1端部と、前記シーラントを流出させる第2端部と、を有するノズル本体と、
後側流出オリフィス部と、
前側流出オリフィス部と、
から成り、
前記ノズル本体の前記第2端部は、前記アプリケータノズルが前記ビード状のシーラントを前記物体に塗布する際に移動する方向と同じ方向に向いている前側部と、前記移動方向とは反対側を向いている後側部と、を有しており、
前記ノズル本体の前記第2端部の前記後側部には前記後側流出オリフィス部が位置しており、
前記ノズル本体の前記第2端部の前記前側部には前記前側流出オリフィス部が位置しており、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って通常速度で移動しているとき、前記後側流出オリフィス部は、前記ノズル本体の後方に前記シーラントを流出させて、もって、前記流出したシーラントは前記ノズル本体から後方に延びるビード状のシーラントになり、
前記アプリケータノズルが前記物体に沿って前記通常速度よりも低い速度で移動しているときのみ、前記前側流出オリフィス部は、前記ノズル本体の前方に前記シーラントを流出させ、
前記前側流出オリフィス部から前記ノズル本体の前方に流出した前記シーラントを介して、前記後側流出オリフィス部から最初に流出した前記ビード状のシーラントの最初の部分と前記後側流出オリフィス部から最後に流出した前記ビード状のシーラントの最後の部分とが繋がることを特徴とするアプリケータノズル。
【請求項15】
前記後側流出オリフィス部は、前記前側流出オリフィス部よりも大きな面積を有している請求項14のアプリケータノズル。
【請求項16】
前記後側流出オリフィス部の面積は、前記前側流出オリフィス部の面積の2倍である請求項15のアプリケータノズル。
【請求項17】
前記アプリケータノズルの移動速度が所定のしきい値未満であるときのみ、前記前側流出オリフィス部は前記シーラントを流出させる請求項14のアプリケータノズル。
【請求項18】
前記後側流出オリフィス部と前記前側流出オリフィス部とは一直線上に並んでいる請求項14のアプリケータノズル。
【請求項19】
前記ノズル本体は円形断面となっており、前記後側流出オリフィス部と前記前側流出オリフィス部とは直径方向に互いに対向している請求項14のアプリケータノズル。
【請求項20】
連続的に延びるビード状のシーラントを物体に塗布する方法であって、
シーラントアプリケータノズルを提供する工程と、
前記シーラントを加圧して供給するための供給源を前記シーラントアプリケータノズルと連通するように配置する工程と、
前記シーラントアプリケータノズルを前記物体上の出発点に配置する工程と、
前記シーラントアプリケータノズル内に前記シーラントを流し始める工程と、
前記出発点から延びて再び前記出発点に戻って終着する所定の経路に沿って、前記シーラントアプリケータノズルを前記出発点から前方向に移動させ、もって、前記シーラントアプリケータノズルの前側流出オリフィス部から前記シーラントが流出することを防止しながら前記シーラントアプリケータノズルの後側流出オリフィス部から前記シーラントを流出させて、前記流出したシーラントが前記シーラントアプリケータノズルから後方に延びるビード状のシーラントになるようにする工程と、
前記所定の経路に沿って移動している前記シーラントアプリケータノズルが前記出発点に近づいた際に、前記シーラントアプリケータノズルの線速度を低下させて、もって、前記シーラントアプリケータノズルの前方に前記シーラントを流出させる工程と、
前記シーラントアプリケータノズルの前方に流出したシーラントが前記出発点に在る前記ビード状のシーラントの始点に到達するまで、前記シーラントアプリケータノズルを前方向に移動させ続ける工程と、
前記シーラントアプリケータノズル内に前記シーラントを流すことを終了する工程と、
前記ビード状のシーラントの始点が変形することを回避するために、前記シーラントアプリケータノズルを前記ビード状のシーラントの上方の点まで上昇させる工程と、
から成り、
前記ビード状のシーラントの始点と前記ビード状のシーラントの終点とは繋がって前記連続的に延びるビード状のシーラントを形成しており、
前記シーラントアプリケータノズルは、
前記供給源に接続される第1端部と、前記シーラントを流出させる第2端部とを有するノズル本体を備えており、
前記シーラントアプリケータノズルの前記後側流出オリフィス部は、前記ノズル本体の前記第2端部の後側に位置しており、前記アプリケータノズルが前記物体に沿って移動する際に前記ノズル本体の後方にシーラントを流出させ、前記後側流出オリフィス部から流出した前記シーラントは、前記ノズル本体から後方に延びるビード状のシーラントとなり、
前記シーラントアプリケータノズルの前記前側流出オリフィス部は、前記ノズル本体の前記第2端部の前側に位置しており、前記アプリケータノズルが前記物体に沿って移動する際に前記ノズル本体の前方にシーラントを流出させることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記方法は、更に、前記シーラントアプリケータノズルを前記ビード状のシーラントの上方の点まで上昇させた後、前記シーラントアプリケータノズルを一定の距離だけ前方向に移動させて、もって、前記ビード状のシーラントの終点が前記ビード状のシーラントの始点に被さる請求項20の方法。
【請求項22】
前記アプリケータノズルの前記後側流出オリフィス部は、前記アプリケータノズルの前記前側流出オリフィス部よりも大きな面積を有している請求項20のアプリケータノズル。
【請求項23】
前記後側流出オリフィス部の面積は、前記前側流出オリフィス部の面積の2倍である請求項20のアプリケータノズル。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−246476(P2008−246476A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70941(P2008−70941)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】