説明

ガラス結合用プライマー組成物

プライマーの全重量の約3〜60重量%の第1のポリマーを含む1液型結合剤、その使用方法、及び]それらから製造した物品;
上記第1のポリマーは、当該第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第1のオリゴマー(第1のオリゴマーは、エポキシ官能性シランと、アミン官能性モノマーとの反応生成物を含む)と、当該第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第2のオリゴマー(低分子量イソシアネートおよび官能化トリアルコキシシランとの反応生成物を含む)との反応生成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[出願日の特典の主張]
本発明は、2006年10月5日に出願された米国仮特許願第60/828,279号の出願日の利益を主張するものである(参照により、本明細書に組み入れる)。
【0002】
[技術分野]
本発明は、例えば、ガラスパネルを自動車に結合する場合に、1つ以上のシーラントを非孔質の基材に結合させるための表面結合剤、さらに詳細には、プライマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスを結合させる技術分野では、ある範囲の条件下で用いることができる結合剤、特にプライマーが必要である。上記結合剤に必要な機能の1つは、ガラスの表面を処理して、ガラス及びシーラント(例えば、接着剤)の間の強力な結合を確保する機能である。ある出願では、接着剤又は他のシーラントは、結合剤を適用した後、短時間の内に適用される。その他の出願では、接着剤又は他のシーラントは、結合剤を適用した後かなりの時間が経過した後に適用される。結合剤が、接着剤又は他のシーラントが適用された時点で機能していることが、これらの出願全てにおいて重要である。結合剤の有用なポットライフは、通常、オープンタイムと呼称されている。この時間は、一般に、結合剤が重合を開始して、接着剤又は他のシーラントが結合剤にもはや適用できず、そして結合に関して最適に用いることができない時間を意味する。特に自動車向けに関して、現在、ガラスを結合するために、最適な結合用途は、一般に、結合剤に対する接着剤又は他のシーラントの不具合の様式が、主に凝集破壊であり、より具体的には、実質的に完全な凝集破壊である必要がある。
【0004】
例えば、1液型プライマーは、オープンタイムが通常20秒未満である。従って、結合剤に対する接着剤又は他のシーラントの不具合の様式が実質的に全く凝集破壊であることを確保することを助けるためには、接着剤又は他のシーラントは、結合剤適用後20秒以内に、結合剤に適用されなければならない。オープンタイムの長いプライマー、一般に2液型材料の場合、プライマーの適用と、プライマーに対する接着剤の適用との間の経過時間は一般に90日を超えることがある。不幸なことに、多くの2液型プライマーは、追加のステップ、労力及び操作を必要とする。
【0005】
当該技術分野でプライマー材料を評価する文献の例としては、米国特許願公開第2001/0041782号明細書及び同第2003/0100676号明細書;米国特許第5,010,202号明細書、同第4,874,805号明細書、同第4,396,681号明細書、同第4,367,313号明細書及び同第6,875,470号明細書;欧州特許第1217049号明細書;特開2003−336008号公報、同第2003−128988号公報、同第2002−309182号公報及び同第2002−309163号公報が含まれる(これら全てを参照し、本明細書に組み入れる)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1種以上の接着剤又は他のシーラントを非孔質基材に結合させるための改良された結合剤組成物、例えば、ガラス製自動車用ウインドシールドを自動車車両に結合させるための改良されたプライマーに関する。
【0007】
1つの広範な態様では、本発明は、オープンタイムが、約20秒から、約90日まで又は約180日まで又はそれ超まで(例えば、約180日以上まで)の範囲内にある組成物に向けられている。少なくとも約30秒のオープンタイムが可能であり、少なくとも約1分、約5分、約15分、約30分、約1時間、約8時間、約24時間、約1週間、約2週間又は少なくとも約4週間以上のオープンタイムがまた可能である。本発明のプライマーは1液型プライマーであるが、本明細書に開示されているプライマーは2液型プライマー系にも用いることができる。
【0008】
より具体的な態様では、本発明の組成物は、少なくとも2種の官能基を有し、すなわち、この組成物を適用するガラス製基材と強固な結合を形成する第1の官能基(例えば、ケイ素を含有する少なくとも1つの官能基、より詳細には、シリル化ポリマー);及び接着剤の1官能基と反応可能な第2の官能基を含有している。例えば、上記ポリマーは、さらに、接着剤、好ましくはイソシアネート官能基を含有するポリウレタン接着剤と反応する少なくとも1つのアミン官能基を含有していることが望ましい。本発明の一態様では、上記プライマー組成物の少なくとも1つのアミン官能基は、アミノシランとエポキシシランとの反応から得ることができる。
【0009】
従って、実施態様の一つでは、本発明の組成物は、有効量(例えば、全プライマー重量の約3〜60重量%)の第1のポリマーを含有し、上記第1のポリマーは、次の(a)及び(b)の反応生成物を含む;
(a)上記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第1のオリゴマー;
ここで、上記第1のオリゴマーは、上記第1のオリゴマーが、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシル、又はそれらの任意の組合せから選択される反応性官能基を含有するような比率で反応された、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1のエポキシ官能価を有するエポキシ官能性シランを含む第1の成分;及び
(ii)1超のアミン官能価を有するモノマーを含む第2の成分;並びに
(b)上記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第2のオリゴマー;
ここで、上記第2のオリゴマーは、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1.9超の官能価を有する低分子量イソシアネートを含む第3の成分;及び
(ii)上記イソシアネートと反応しうる、活性水素(特に、単一の活性水素)を有するモノマーを含む第4の成分;
ここで、上記第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーは、上記第2のオリゴマーが反応性イソシアネート官能基を含むような比率で反応され;そして
上記第1のポリマーは、遊離のイソイアネート官能基を実質的に欠いている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の教示は、具体的に例示される1液型組成物について説明しているが、後に見出される官能性成分を含む変型が可能であり、そして本発明の範囲内にあると認められる。
【0011】
本発明は、下塗り用途、特に、有効なオープンタイムの範囲にわたってガラスを結合する用途に有用な組成物及び方法の驚くべき発見に基づいている。すなわち、本発明のプライマーは、約20秒間〜約90日間又はそれ超のオープンタイム(例えば、少なくとも約180日)を必要とする用途に用いることができる。これらのプライマーは1液型プライマーであり、その結果、最終使用者は表面に適用する前にさらに混合する必要がなく、しかも、特に従来の1液型プライマーと比べて比較的長いオープンタイムを示すことが必要である。
【0012】
実施態様の一つでは、本発明の組成物は、全プライマー重量の約3〜60重量%の第1のポリマーを含有し、上記第1のポリマーは、次の(a)及び(b)の反応生成物を含む;
(a)上記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第1のオリゴマー;
ここで、上記第1のオリゴマーは、上記第1のオリゴマーが、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシル、又はそれらの任意の組合せから選択される反応性官能基を含有するような比率で反応された、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1のエポキシ官能価を有するエポキシ官能性シランを含む第1の成分;及び
(ii)1超のアミン官能価を有するモノマーを含む第2の成分;並びに
(b)上記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第2のオリゴマー;
ここで、上記第2のオリゴマーは、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1.9超の官能価を有する低分子量イソシアネートを含む第3の成分;及び
(ii)上記イソシアネートと反応しうる、活性水素(特に、単一の活性水素)を有するモノマーを含む第4の成分;
ここで、上記第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーは、上記第2のオリゴマーが反応性イソシアネート官能基を含むような比率で反応され;そして
上記第1のポリマーは、遊離のイソイアネート官能基を実質的に欠いている。
【0013】
本明細書の好ましい組成物の1つを説明する別の方法は、おって分かるであろうが、エポキシ官能性シラン(例えば、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又はそれらの組合せ);アミン官能性成分(例えば、アルキルアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン及びこれらの組合せ);アルコキシシラン(例えば、メルカプト−トリアルコキシシラン、アミノ−トリアルコキシシラン又はそれらの組合せ)及び任意にエチレンジアミンを含む結合剤としての説明である。イソシアネートも存在していてもよい。
【0014】
第1のポリマーは、第1のオリゴマーと類似の反応性官能基を含有している。本発明の第1のポリマーの反応性官能基は、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシル基、又はそれらの任意の組合せでもよい。第1のポリマーの反応性官能基は、第2級アミンとヒドロキシル基を含むか、又はこれらの基から成ることができる。第1のポリマーは、望ましくは、例えば、大気水分の存在下、加水分解可能なアルコキシシラン官能基も含有している。
【0015】
上述のように、第1のオリゴマーは、エポシキ官能性シランとアミン官能性モノマーとの反応生成物を含有している。第1のオリゴマーの第1の成分、すなわち、エポキシ官能性シランは、分子量が、好ましくは約1000未満であり、より好ましくは約400未満(例えば、約240)である。上記エポキシ官能性シランの1分子当たりのエポキシ基の数は、望ましくは約1.5未満であり、より好ましくは約1.2未満であり、そして最も好ましくは約1.1未満である(例えば、1分子当たりのエポキシ基の数は約1である)。好適なエポキシ官能性シランの例としては、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランがあり、例えば、General ElectricからSilquest A−187として市販されている分子量が約236のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがある。モノ官能性エポキシシランの別の例は、General ElectricからSilsilquest A−186として市販されているβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。General Electricから市販されているモノ官能性エポキシシランの別の例は、Wetlink TM−78(分子量:220)のγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランである。
【0016】
従って、エポキシ官能性シランは、グリシドキシアルキルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又はそれらの組合せから選択できる。
【0017】
第1のポリマーの第2の成分、すなわち1超のアミン官能価を有するモノマーは、望ましくは、ポリオール、又はアルキルジアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン及びそれらの組合せからなる群から選択されるアミン官能性モノマーである。実施態様の1つでは、第1のオリゴマーの第2の成分は好ましくは、第1級アミン、第2級アミン、又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも2種のアミンの合計を含有するアミノシランである。上記アミン官能性モノマー中の窒素原子に結合している抽出可能な水素原子の平均数は、望ましくは約1.5超であり、より好ましくは少なくとも約2であり、そしてより好ましくは少なくとも約3(例えば、約4)である。アミン官能性アルコキシシランの例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(General ElectricからSilquest A−1100として市販されている)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(General ElectricからSilquest A−1110として市販されている)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(General ElectricからSilquest A−1120として及びDegussaからDynasilan DAMO−Tとして市販されている)、トリアミノ官能性シラン(General ElectricからSilquest A−1130として市販されている)及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(General ElectricからSilquest A−2120として市販されている)がある。従って、上記アミン官能性モノマーは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、又はそれらの組合せから選択できる。
【0018】
好ましい実施態様の1つでは、第1のオリゴマーは、米国特許第5,468,317号及び同第4,960,809号(参照により、本明細書に組み入れる)に教示されているような、エポキシシランとアミノシランとの反応生成物(詳細には、1分子当たり少なくとも1つのシラン基と、1分子当たり少なくとも2つの第1級アミノ基、第2級アミノ基(又はこれら各アミノ基を少なくとも1つ)とを含有する化合物を含有している。これらの特許には、プライマーに用いられるアミノシランとエポキシシランとの好適な反応の例が記載されており、そして本発明に好適なアミノシランとエポキシシランとが列挙されている。米国特許第6,828,403号(参照により、本明細書に組み入れる)には、さらに、本発明に好適なアミノシラン分子が列挙されている。
【0019】
第1のオリゴマーは、エポキシ官能性シランのモノマーと第2のモノマー(ポリオール若しくはアミンの官能性モノマー)とを結合させることによって製造できる。これらの成分は、従来の任意の工程(この工程は加熱ステップ及び冷却ステップを含んでいる)を用いて結合させるか、又は混合することができる。モノマーを乾燥するステップ、用いられる溶媒又は添加物を乾燥するステップ、及び水分無しのベシクル内で混合するステップを含む、水分の存在を最小限にするステップも採用されうる。本発明に有効なエポキシ官能性シランのモノマーの濃度は、第1のオリゴマーの全重量の約15〜約85重量%である。エポキシ官能性シランの濃度は、好ましくは、第1のオリゴマーの全重量の約35〜約75重量%であり、そしてより好ましくは約45〜65重量%である。本発明に有用な第2のモノマーの濃度は、第1のオリゴマーの全重量の約15〜約85重量%である。この第2のモノマーの濃度は、好ましくは第1のオリゴマーの全重量の約25〜約65重量%であり、より好ましくは約35〜約55重量%である。上記のように、そのエポキシド基のほとんどすべてが反応して第1のオリゴマーを形成することが望ましい。また、第1のオリゴマー分子が、第1級アミン、第2級アミン、又はその組合せから選択される残留アミン基を有することが望ましい。第1のオリゴマー1分子当たり、残存する第1級アミン基及び第2級アミン基の平均数は、好ましくは約0.5超であり、より好ましくは約0.9超であり、そして最も好ましくは約1超(例えば、約2)である。
【0020】
第1のポリマーを製造するのに用いられる第2のオリゴマーは、第3の成分及び第4の成分、詳細には、モノマーである成分の反応生成物を含有している。上記第3の成分は、望ましくは、イソシアネート官能性を含有するモノマーである。そのイソシアネート官能性は、好ましくは少なくとも約2であり、より好ましくは約2超であり、そして最も好ましくは少なくとも約3(例えば、約3又は約4以上)である。第3の成分(上記イソシアネート官能性モノマー)の分子量は、望ましくは約2000未満であり、そしてより好ましくは約800未満(例えば、約200)である。本発明の第3の成分として用いるため好適なモノマーの例としては、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び環状脂肪族ポリイソシアネート、又はそれらの組合せが含まれる。本発明に用いるために特に好適な原料としては、ジイソシアネートが含まれる。本発明に有用な代表的ジイソシアネートとしては、トリメチルジイソシアナトヘキサン(TMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホレンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、又はそれらの任意の組合せが含まれる。
【0021】
上記第4の成分は、望ましくは、第3の成分のイソシアネート基と反応可能な活性水素を含有するモノマーである。好ましくは、第4の成分の1分子当たり約1個の活性水素が存在している。この活性水素は、望ましくは、ヒドロキシ(−OH)、第2級アミン(−NH)、スルフヒドリル(−SH)、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される官能基から供給される。実施態様の一つでは、第4の成分は、第3の成分のイソシアネート部分と反応する活性水素原子を有するシランである。上記シランは、好ましくは、メルカプトシラン、アミノシラン又はそれらの組合せであり、そしてより好ましくは、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン又はそれらの組合せである。例示的な第4の成分の1つは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(DegussaからDynasilan(登録商標)MTMOとして及びGeneral ElectricからSilquest(登録商標)A−189として市販されている)である。別の例示的な第4の成分は、第2級アミンを含有するビス−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミンであり、これはGeneral ElectricからSilquest(登録商標)A−1170として市販されている。この第4の成分の分子量は、望ましくは約2000未満であり、より詳細には約900未満であり、さらにより詳細には約500未満(例えば、約200又は約80)である。
【0022】
第2のオリゴマーは、第3の成分と第4の成分とを結合することによって製造できる。これらの成分は、加熱ステップ及び冷却ステップを含む、当該技術分野で開示されている方法を用いて結合又は混合することができる。モノマーを乾燥する、用いられうる任意の溶媒若しくは添加物を乾燥する、及び/又は水分無しのベシクル内で混合する工程ステップを含む、水分の存在を最小限にするステップを採用することができる。本発明に有用な第3の成分(イソシアネート官能性モノマー)の濃度は、第2のオリゴマー全重量の約15〜約85重量%である。このイソシアネート官能性モノマーの濃度は、好ましくは、第2のオリゴマー全重量の約35〜約75重量%であり、より好ましくは約45〜65重量%である。本発明に有用な第4の成分の濃度は、第2のオリゴマー全重量の約15〜約85重量%である。第4の成分の濃度は、好ましくは第2のオリゴマー全重量の約30〜約70重量%であり、より好ましくは約35〜60重量%である。第2のオリゴマーを形成する際、第4の成分の活性水素基は、ほとんどすべてが反応することが望ましい。また第2のオリゴマーの分子は、イソシアネート基を保持していることが望ましい。第2のオリゴマー1分子当たり、残存するイソシアネート基の平均数は、好ましくは約0.5超であり、より好ましくは約0.9超であり、そして最も好ましくは約1超(例えば、約2)である。
【0023】
上述のように、第1のポリマーは、第1のオリゴマーと第2のオリゴマーとの反応生成物を含有している。これは、第1の成分、第2の成分、第3の成分及び第4の成分をともに、単一ステップで反応させるか、又は第1の成分及び第2の成分のいずれか一方若しくは両方と、第3の成分及び第4の成分のいずれか一方若しくは両者とを別々に反応させることによって達成される。ある方法では、第1の成分及び第2の成分を、第3の成分及び第4の成分の反応と、独立して反応させ、次いでそれぞれ生成した第1のオリゴマーと第2のオリゴマーとを反応させる。この第1のオリゴマーの、第1のポリマーの全重量に対する濃度は、好ましくは約15〜85重量%である。より好ましくは、第1のオリゴマーは、第1のポリマーの全重量に対して約30〜75重量%存在している。第1のポリマーの全重量に対する第2のオリゴマーの濃度は、好ましくは約15〜85重量%である。より好ましくは、第2のオリゴマーは、第1のポリマーの全重量に対して約25〜70重量%存在している。第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーの濃度は、これら両オリゴマーを反応させた後、イソシアネート官能基が第1のポリマー中に全く残っていないような濃度が望ましい。また、第1のオリゴマーに特徴的な残留アミン官能基又は残留ヒドロキシ官能基が、第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーを反応させた後、第1のポリマー中に残存することが望ましい。
【0024】
第1のポリマーは、第1のオリゴマーと第2のオリゴマーとを結合させることによって製造されうる。これらの成分は、1つ以上の混合ステップ、加熱ステップ又は冷却ステップを含む、当該技術分野で開示されている方法を用いて結合させるか又は混合されうる。第1のポリマーを製造する前、間及び後、水分の存在を最小限にするステップを実施することが望ましい。上記ステップは、オリゴマーの乾燥、用いられうる任意の溶媒又は添加剤の乾燥、及び水分無しのベシクル中での混合を含むことができる。また、第1のポリマーは、水分がほとんど存在しない容器に貯蔵することが望ましい。
【0025】
第1のポリマーは、分子量が、望ましくは約1000超であり、より好ましくは約2500超(例えば、約10,000超)である。
【0026】
プライマー(その他の結合剤)の組成物に用いられる第1のポリマーの濃度は、望ましくは組成物の全重量に対して約3重量%超である。第1のポリマーの濃度は、全プライマー(その他の結合剤)の重量に対して、好ましくは約7重量%超であり、そしてより好ましくは約12%超である。全組成物の全重量に対する第1のポリマーの濃度は、望ましくは約60重量%未満である。全組成物の重量に対する第1のポリマーの濃度は、好ましくは約55重量%未満であり、より好ましくは約48%未満である。
【0027】
上述のアミンに加えて、1種以上の追加のアミンを用いることができる。(ポリ)アルキレンアミン(例えば、(ポリ)エチレンアミン)、エチレンジアミン等を用いることができる。上記追加のアミンは、全組成物の最大約5重量%の量(例えば、全組成物の約0.1〜約1重量%)で用いることができる。
【0028】
本明細書に教示されている結合剤組成物は、さらに、1種以上の液体、例えば、溶媒、可塑剤、希釈剤、又はそれらの組合せを含むことが企図される。用いられる場合、上記液体の濃度は、好ましくは全組成物の重量に対して約1〜約80重量%であり、及びより好ましくは約40〜約70重量%である。本発明に用いることができる好適な液体の例としては、炭化水素の液体、例えば、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エステル(例えば、アセテート)又はそれらの組合せから選択される液体が含まれる。本発明のプライマーに特に好適な代表的ケトンは、メチルエーテルルケトンである。本発明のプライマーに特に好適な代表的アセテートは、3−メトキシ−n−ブチルアセテート(例えば、Butoxyl)である。望ましいことに、この液体は、用いられる場合、比較的迅速に蒸発することができるので、短期間のオープンタイムを必要とする用途のプライマーに用いることができる。上記流体の沸点は、好ましくは約100℃未満であり、より好ましくは約80℃未満である。本発明に用いることができる好適な溶媒の非限定的例としては、米国特許第4,960,809号及び同第5,468,317号(参照により、本明細書に組み入れる)に記載されているものがあり、メチルアルコール、エチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エトキシエチルアルコール及びジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ベンゼン、モノクロロベンゼン、トリクロロエチレン、塩化エチレン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン又はそれらの組合せが含まれる。用いることができる好適な可塑剤としては、アルキルフタレート等のフタレートが含まれる。
【0029】
本発明の実施態様の1つでは、上記結合剤は、被膜形成樹脂をさらに含有していてもよい。好適な被膜形成樹脂としては、ポリアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(カルボン酸及びグリコールのポリマー)、ポリエステルコポリマー、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ゴム、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー又はそれらの組合せが含まれる。この被膜形成樹脂は、本発明の組成物に用いられるどの溶媒にも可溶性であることが好ましい。好ましい実施態様の1つでは、被膜形成樹脂は、分子量が、好ましくは約3,000超であり、より好ましくは約5,000超である。上記被膜形成樹脂は、好ましくは約50,000未満、より好ましくは約30,000未満の分子量を有する。特定の被膜形成樹脂の1つは、ポリアクリレート樹脂である。特定の好ましい被膜形成樹脂の1例は、ヒドロキシルの当量が約2,000のアクリルコポリマーで、Rohm and Haas CompanyからAcryloid(登録商標) AU−1033として溶液で市販されている。用いられる場合、上記被膜形成樹脂の濃度は、好ましくは、全プライマー重量に対して約25重量%未満であり、より好ましくは約18重量%未満である。
【0030】
本明細書に教示されている組成物は、第1のポリマーと任意の被膜形成樹脂とに加えて、さらに、1種以上のポリマーを含むことが企図される。上記追加のポリマーの例としては、限定されないが、1種以上の、末端がシリル基のポリマーが含まれる。上記追加のポリマーは、用いられる場合、全組成物の全重量に対する濃度が、好ましくは約25%未満であり、そしてより好ましくは約14%未満である。
【0031】
本発明の組成物は、プライマー組成物を水分から保護して、プライマー組成物中の架橋可能なポリマーの架橋の進行を抑制し且つ早い時期の架橋を防止する働きをする1種以上の安定剤を、さらに含有していてもよい。好適な上記安定剤としては、米国特許第6,828,403号に列挙されている安定剤が含まれる(参照により、本明細書に組み入れる)。従って、上記安定剤としては、ヒドロカルビルアルコキシシランが含まれ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジエチルマロネート及びアルキルフェノールアルキレートが含まれる。上記安定剤は、それらの当該技術分野で開示されている量、例えば、結合剤組成物の約0.1〜約5重量%で用いることができる。これらの量を超えて、又はこれらの量未満の量でも用いることができる。
【0032】
ポリマー及びポリウレタンプライマーに通常用いられている充填剤を、本発明のプライマー組成物に用いることができる。例えば、好適な充填剤としては、カーボンブラックが含まれ、好ましくは、表面を処理したpHが約4〜6のカーボンブラックが含まれうる。その他の好適な充填剤は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、表面処理を行ったシリカ、酸化チタン、ヒュームドシリカ、タルク、又はそれらの任意の組合せから選択されうる。用いられる場合、充填剤の濃度は、全組成物に対して、20重量%未満であり、より特定的に述べれば、約15重量%未満であり、例えば、約9重量%である。
【0033】
本明細書に教示されているプライマーは、さらに1種以上の添加剤、例えば、触媒、酸化防止剤、熱安定剤、UV安定剤、又はそれらの任意の組合せから選択される添加剤を含むことができる。上記添加剤は、当業者には周知である。用いられる場合、上記添加剤の濃度は、プライマーの全重量に対して、好ましくは約0.1〜10.0重量%であり、そしてより好ましくは約0.5〜約5重量%である。好ましい熱安定剤は、アルキル置換フェノール、亜リン酸塩、セバシン酸塩及びケイ皮酸塩である。
【0034】
本発明の組成物の一例には、下記成分が下記量で用いられている。すなわち、第1の成分のアミン官能性アルコキシシラン(例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(約5〜15重量部、そしてさらに具体的には、約8〜10重量部));第2の成分のエポキシ官能性シラン(例えば、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン(約6〜16重量部、そしてさらに具体的には、約9〜11重量部));第3の成分のジイソシアネート(約5〜15重量部、そしてさらに具体的には、約8〜10重量部);並びに第4の成分のメルカプトシラン、アミノシラン又はその組合せ(約2〜10重量部、そしてさらに具体的には、約5〜7重量部)である。
【0035】
特定の実施態様の1つでは、本発明の組成物は、下記添加剤の1種又は組合せを含有している。すなわち、約7〜約15重量部、そしてさらに具体的には、約10〜12重量部の被膜形成樹脂(例えば、アクリルコポリマー);約1〜約8重量部の第1の溶媒(例えば、アセテート)と約30〜約70重量部、そしてさらに具体的には、約40〜60重量部の第2の溶媒(例えば、ケトン);並びに約5〜12重量部、そしてさらに具体的には、約8〜10重量部の充填剤(例えば、カーボンブラック)を含有している。約0.01〜約5重量部、そしてさらに具体的には、約0.1〜約1重量部、そしてさらに具体的には、約0.25〜0.50重量部のエチレンジアミンも含有されている。
【0036】
本発明の組成物は、接着剤又は他のシーラントがその後に適用する基材に下塗りするために有効であると考えられる。従って、本発明の一態様は、基材を、本明細書に記載の組成物と接触させることである。より詳細には、本発明の組成物は、ガラスパネルを自動車等の車両の構造体に固定する方法、すなわち(a)本発明の結合剤組成物を、ガラスパネル(例えば、窓)の一面の周囲に実質的に沿って、例えば、スワビング(swabbing)、ブラッシング、スプレーイング、浸漬、ワイピング等の当該技術分野で開示されている好適な方法を用いることによって適用し;(b)上記プライマー組成物の上に、接着剤(例えば、イソシアネート官能性プレポリマーと触媒のジモルホリノジエチルエーテルとを含有する湿分硬化性ウレタン接着剤)のビードを重ね、次いで(c)上記シーラント(例えば、接着剤)を、ガラスパネルを配置すべき開口部を画定している車両構造体に接触させ、上記接着剤と結合剤の組成物を硬化させるステップを有する方法に有用である。本発明の結合剤は、基材上に適用するか又は別法で基材に接触させ、その後シーラント(例えば、接着剤)で被覆するものである。用いることができる基材は、非孔質の基材であり、例えば、ガラス(板ガラス、ガラスフリット、コーテッドガラス、ティンテッドガラス、反射ガラス、焼戻しガラス、アニールドガラス、又はそれらの任意の組合せ)が含まれる。本発明の組成物を、好適な方法を用いて基材に適用できる。基材は、本発明の組成物を適用する前に、洗浄、乾燥等の単一又は複数のステップで処理され、プライマーに対する表面が調整される。任意の数の接着剤又は他のシーラントを用いることができる。好適な市販製品の非限定的例としては、Dow Chemical Companyから、BETASEAL(登録商標)の名称で市販されている製品(例えば、グレード番号:15−625、15−685、15−845等)が含まれる。
【0037】
本発明は、上記ステップ(a)及び(b)が、室温において、20秒間超から最大約1年間(例えば、最大約3ヶ月又はさらに6ヶ月)の期間により隔てられることを可能とする。より詳細には、本発明の方法の1つでは、ステップ(a)を実行後、少なくとも1分間、1時間、1日間、1週間又は1ヶ月間の後にステップ(b)を実行する。ステップ(b)は、ステップ(a)を実行後、1分間〜3ヶ月間の範囲内、又はステップ(a)を実行後、1時間〜1ヶ月間の範囲内に実施してもよい。ステップ(a)及び(b)の間の時間経過は、本発明の結合剤の発揮する接着特性にはそれほど影響せず、生成した結合は、自然太陽光シミュレーター(例えば、キセノンアーク光源で、SAE J1885、ASTM D2565−99、SAE J1960その他の好適な規格に従ったウエザオメーター試験(「WOM」)を用いる)による促進耐候試験で、少なくとも500時間、1000時間又は2000時間耐えることができる。特に下記説明の諸表の期待データを基準として、本発明の性能を分析するのに用いることができる追加の技術を以下に示す。
【0038】
[クイックナイフ接着試験(quick knife adhesion test)] 接着剤ビード(幅6.3mm×高さ6.3mm×長さ127mmのサイズ)を、下塗りされたガラスピース(25.4mm×152.4mm)の上に置き、そのアセンブリーを、所要の条件下(例えば、23℃及び相対湿度50%)、特定の時間、硬化させる。次に、その硬化させたビードを、その末端を180°引き戻しながら、剃刀の刃で、プライムされた表面まで45°の角度で切断する。ノッチを表面上3mmごとに切り取る。接着度は、接着破壊(AF,adhesive failure)及び/又は凝集破壊(CF,cohesive failure)として評価する。接着破壊の場合は、硬化ビードが下塗りされた表面から分離し、一方、凝集破壊の場合は、分離が、シーラントビード内の切断及び引張りに起因して生ずる。その破壊状態を観察すると、界面のどの程度の面積に破壊状態が観察されるかがわかる。例えば、凝集破壊が、界面面積の約90%に観察されたときは、90CFと報告できる。プライマー破壊(PF,primer failure)は、そのプライマーが、適用されている基材(例えば、ガラス)から剥離した場合に生じたものとみなされる。
【0039】
[ラップシェア試験(lap shear test)]
接着剤(幅約6.3mm×高さ約8mm)を、本発明の組成物で下塗りされたガラスの幅にそって、下塗りされた末端からほぼ6mm〜12mm適用する。塗装された基材を、直ちに上記シーラントの上に置き、上記試料を、23℃で相対湿度50%の条件下、5日間硬化させる。次にその試料を、インストロン試験機を使って1インチ/分(2.5cm/min)の速度で引っ張る。
【0040】
[オープンタイムの評価]
オープンタイムは、本発明の結合剤を適用し、次いで所要の温度と湿度のレベルで、ある期間エージングさせた後、性能を観察することによって評価する。その後シーラントを、結合剤に適用し、次いで追加のエージングと接着試験を行う。
【0041】
[キャタプラズマサイクリング(cataplasma cycling)]
複数の試料を、水浴中で70℃にて7日間加熱する。次に、その試料を、脱脂綿で包み、ポリエチレン製の袋の中に密封する。次に、上記試料を、冷凍機中に−20℃で16時間入れ、その後、室温にて2時間放置する。このサイクルを多数回繰り返した後、試料を上記袋から取り出して、上記クイックナイフ試験を実施する。シーラント層中に、ブリスタリングがなく、破壊が凝集破壊であることが望ましい。
【実施例】
【0042】
下記例示は、限定を意図するものではなく、本発明の諸組成物とその特定の好ましい実施態様を示す。示されている値は、近似値であり、本発明を限定しているとみなすべきではない。処理のパラメーターは変えることができる。さらに、示されている、期待される結果も変えることができる(例えば、表明された価の約±10%まで)。
【0043】
これらの例示には、組成及び/又は機能の特性が、BETASEAL(登録商標)のグレード15−625(シーラント#1)、グレード15−685(シーラント#2)及びグレード15−845(シーラント#3)と同一又は類似のポリウレタンシーラントをシーラントとして用いた。
【0044】
第1のオリゴマーは、14.805重量部のDAMO−Tを準備し、当該DAMO−Tを、12.208重量部のSilquestA−187と、60℃にて5時間混合することにより調製された。混合を、アミンの当量が約240〜250と測定されるまで実施した。全重量部が約100重量部になるまでMEK溶媒を添加した。
【0045】
第2のオリゴマーを、60.92重量部のTMDIと、38.94重量部のMTMO、0.07重量部のT−12触媒及び0.07重量部のトルエンとを、60分間、85℃の温度で混合することによって製造した。
【0046】
第1のオリゴマー(82.796重量部)と第2のオリゴマー(17.204重量部)とを、約15分間、40〜45℃の温度で混合して第1のポリマーを得た。
【0047】
次いで、第1のポリマーに、表1に示す他の成分を結合させた。さらに、表1の量を、表明した量の±15%まで変えることによって、類似の結果が得られると考えられる。
【0048】
【表1】

【0049】
表1の諸試料は、記載されている順序で記載されているようにエージングさせると(23℃/相対湿度(RH)50%で7日間の初期硬化をおこなってさらに38℃/RH50%で14日間エージングをおこなう)、下記表2に示す結果が得られた。他の条件で、諸試料についてキャタプラズマサイクルの試験を行った。特に断らない限り、クイックナイフ試験を行なった。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
プライマーをガラスに適用した。指定のオープンタイム以内に、シーラントを適用した。シーラントは、プライムされたガラスに、指定のオープンタイムで適用し、次いで23℃/50%RHで7日間硬化させた。次に、これら試料を表3〜8に記載されるようにエージングし、期待される結果を、表に報告する。
【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
化学構造又は化学的官能性の特性は、例示を意図するものであって、制限されるものではない。例えば、上述の記載を読み込むと、当業者に、第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーの別の化学構造が明らかになることが理解される。
【0061】
本発明の特徴は、例示される実施態様のうち1つだけについて記述されてきたが、上記特徴は、与えられた用途について、他の実施態様の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、本明細書の独自の化合物及びブレンドの構成及びそれらの使用が、本発明に従う工程を構成することが、上記から明らかであろう。
【0062】
特に断らない限り、複数の構造要素又は構造ステップは、単一の統合された構造又はステップによって提供できる。あるいは、単一の統合された構造又はステップは、別個の複数の要素又はステップに分割できる。しかし、複数の機能は単一の要素又はステップに統合することもできる。さらに、「a」又は「one」の要素又はステップの開示は追加の要素又はステップを排除するものではない。範囲に「〜(to)」を用いた場合は、その範囲内の範囲の末端を含む。
【0063】
範囲に関する「約」又は「ほぼ」の使用は、当該範囲の両末端に適用される。従って、「約20〜30」は、少なくとも指定の末端を含む「約20〜約30」をカバーする。
【0064】
上記説明は、例示を目的とするものであり、そして限定するものではない。提供された実施例以外の多くの用途のみならず多くの実施態様は、上記記載を読み込むことにより、当業者に明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は、上記記載を参照することにより決定されるべきではなく、代わりに、特許請求の範囲が権利を付与される均等の全範囲に沿って、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。特許出願及び出願公開を含むすべての論文及び文献の開示を、全ての目的のために本明細書に組み入れる。本明細書に開示されている主題の任意の態様が、添付の特許請求の範囲から省略されていることは、発明者が、上記主題を、開示された本発明の主題の一部であるとみなしていなかったこととみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマーの全重量の約3〜60重量%の第1のポリマーを含む結合剤であって、
前記第1のポリマーは、次の(a)及び(b)の反応生成物を含む;
(a)前記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第1のオリゴマー;
ここで、前記第1のオリゴマーは、前記第1のオリゴマーが、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシル、又はそれらの任意の組合せから選択される反応性官能基を含有するような比率で反応された、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1のエポキシ官能価を有するエポキシ官能性シランを含む第1の成分;及び
(ii)1超のアミン官能価を有するモノマーを含む第2の成分;並びに
(b)前記第1のポリマーの総重量に基づいて約15〜85重量%の第2のオリゴマー;
ここで、前記第2のオリゴマーは、次の(i)及び(ii)の反応生成物を含む;
(i)約1.9超の官能価を有する低分子量イソシアネートを含む第3の成分;及び
(ii)前記イソシアネートと反応しうる、活性水素(特に、単一の活性水素)を有するモノマーを含む第4の成分;
ここで、前記第1のオリゴマー及び第2のオリゴマーは、前記第2のオリゴマーが反応性イソシアネート官能基を含むような比率で反応され;そして
前記第1のポリマーは、遊離のイソイアネート官能基を実質的に欠いており;
前記結合剤は、少なくとも30秒間のオープンタイムを示す1液型組成物である。
【請求項2】
全結合剤組成物の最大約5重量%のエチレンジアミンをさらに含む、請求項1に記載の結合剤。
【請求項3】
全結合剤組成物の最大約25重量%の被膜形成樹脂をさらに含む、請求項1又は2に記載の結合剤。
【請求項4】
全結合剤組成物の約20重量%未満の充填剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項5】
前記充填剤がカーボンブラックである、請求項4に記載の結合剤。
【請求項6】
前記カーボンブラックが、約4〜6のpHを有する表面改質カーボンブラックである、請求項5に記載の結合剤。
【請求項7】
前記プライマーが、全結合剤組成物の重量の最大約80重量%の溶媒をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項8】
前記溶媒がメチルエチルケトンを含む、請求項7に記載の結合剤。
【請求項9】
前記液体がアセテートを含有する、請求項7又は8に記載の結合剤。
【請求項10】
前記アセテートが、3−メトキシ−n−ブチルアセテートから本質的に成る、請求項9に記載の結合剤。
【請求項11】
前記被膜形成樹脂が、ポリアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(カルボン酸及びグリコールのポリマー)、ポリエステルコポリマー、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ゴム、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー及びそれらの任意の組合せから選択されるポリマーである、請求項2〜10のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項12】
前記被膜形成樹脂が、ポリメチルメタクリレートから本質的に成る、請求項11に記載の結合剤。
【請求項13】
前記第1の成分が、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又はそれらの組合せから選択されるエポキシ官能性シランである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項14】
前記第2の成分が、ポリオールか、又はアルキルジアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン及びそれらの組合せを含んで成る群から選択されるアミン官能性モノマーから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項15】
前記アミン官能性モノマーが、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項14に記載の結合剤。
【請求項16】
前記第3の成分が、トリメチルジイソシアナトヘキサン(TMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホレンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項17】
前記第4の成分が、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せから選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項18】
前記第1の成分がγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含み、前記第2の成分がN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを含み、前記第3の成分がTMDIを含み、そして前記第4の成分がメルカプトプロピルトリメトキシシランを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項19】
アクリルコポリマー被膜形成樹脂、Butoxyl、カーボンブラック、エチレンジアミン及び溶媒を含む添加物を含む、請求項18に記載の結合剤。
【請求項20】
少なくとも1時間のオープンタイムを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項21】
少なくとも1日のオープンタイムを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項22】
少なくとも1週間のオープンタイムを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項23】
少なくとも1ヶ月のオープンタイムを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項24】
30秒間〜90秒間のオープンタイムを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項25】
次の(a)及び(b)の反応生成物を含む結合剤;
(a)エポキシ官能性シランとアミンとの反応生成物;
(b)イソシアネートと、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せとの反応生成物;
ここで、前記結合剤は、少なくとも30秒間のオープンタイムを示す1液型組成物である。
【請求項26】
次の(a)〜(c)の反応生成物を含む結合剤;
(a)エポキシ官能性シランとアミンとの反応生成物;
(b)イソシアネートと、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せとの反応生成物;及び
(c)全結合剤組成物の最大約5重量%の(ポリ)アルキレンアミン;
ここで、前記結合剤は、少なくとも1週間のオープンタイムを示す1液型組成物である。
【請求項27】
次の(a)〜(c)の反応生成物を含む結合剤;
(a)エポキシ官能性シランと、アルキルジアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン、及びそれらの任意の組合せを含んで成る群から選択される成分との反応生成物;及び
(b)イソシアネートと、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せとの反応生成物;並びに
(c)全結合剤組成物の最大約5重量%のエチレンジアミン;
ここで、前記結合剤は、少なくとも1週間のオープンタイムを示す1液型組成物である。
【請求項28】
次の(a)〜(c)の反応生成物を含む結合剤;
(a)グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又はそれらの組合せから選択されるエポキシ官能性シランと、アルキルジアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン、及びそれらの組合せからなる群から選択される成分との反応生成物;及び
(b)イソシアネートと、メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せとの反応生成物;並びに
(c)全結合剤組成物の最大約5重量%のエチレンジアミン;
ここで、前記結合剤は、少なくとも30秒間のオープンタイムを示す1液型組成物である。
【請求項29】
次の(a)〜(d)の反応生成物を含む結合剤;
(a)グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又はそれらの組合せから選択されるエポキシ官能性シラン;
(b)アルキルジアミン、アリールジアミン、アルコキシジアミン、アミン官能性アルコキシシラン、及びそれらの組合せを含んで成る群から選択される成分;
(c)メルカプト−トリアルコキシ−シラン、アミノ−トリアルコキシシラン、又はそれらの組合せ;及び
(d)全結合剤組成物の最大約5重量%のエチレンジアミン;
ここで、前記結合剤は、少なくとも30秒間のオープンタイムを示す1液型組成物中に分散されている。
【請求項30】
次の各ステップを含む、ガラスパネルを車両構造体に結合する方法;
(a)請求項1〜29のいずれか一項に記載の結合剤を、ガラスパネルの一面の周囲に実質的に沿って適用するステップ;
(b)プライマー組成物の上に、接着剤のビードを重ねるステップ:次いで
(c)前記接着剤を、前記ガラスパネルを受け入れるための開口部を画定する車両構造体と接触させることにより、ガラスパネルを取り付けるステップ。
【請求項31】
ステップ(a)及びステップ(b)が、室温において、20秒超且つ3ヶ月未満の期間により隔てられている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(a)及びステップ(b)が、室温において、1日超の期間により隔てられている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)及びステップ(b)が、室温において、1週間超の期間により隔てられている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の結合剤を含む、結合された構造体。
【請求項35】
請求項30〜33のいずれか一項に記載の方法により製造された、結合された構造体。

【公表番号】特表2010−506008(P2010−506008A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531555(P2009−531555)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/080168
【国際公開番号】WO2008/045726
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】