ガン治療剤
本発明は、ガンおよびウイルス性疾患の治療に使用される物質の組成物、キットおよび方法を提供する。特に、本発明は、水溶液に対する溶解度が高められたニトロベンズアミド化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン、ウイルス性疾患および他の疾患状態の治療に有用な製剤に関する。特に、本発明は、芳香族ニトロベンズアミド化合物の使用および生体利用を容易にする製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンは現代社会にとって深刻な脅威である。その独特な特徴により、悪性ガンの成長は現代医学に重大な挑戦をもたらしている。それらの特徴には、悪性組織の調節不能な成長が含まれ、それにより、制御できない細胞増殖;局部組織、さらに遠隔の組織に侵入する能力;分化の不足、検出可能な症状の不足、そして最も重要なことに、有効な療法および予防法の不足をもたらされる。
【0003】
ガンは、あらゆる臓器のあらゆる組織に、あらゆる年齢で発生しうる。ガンの病因は明確に定義されていないが、遺伝的感受性、染色体切断障害、ウイルス、環境的因子および免疫学的障害のようなメカニズムはすべて、悪性の細胞増殖および形質転換と関連している。ガンは広いカテゴリーの病状を包含し、世界中で何百万人もの人達が罹患している。ガン細胞は体の殆どすべての臓器および/または組織で発生しうる。ガンは、体の一部の細胞が制御を逸脱して成長または分化し始める時に発生する。すべてのタイプのガンは、異常細胞の制御を逸脱した成長で開始する。
【0004】
乳ガン、肺ガン、卵巣ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガン、子宮頸ガンおよび白血病を含む多くのタイプのガンが存在する。現在利用できる幾つかの主要な治療法として、外科手術、放射線療法および化学療法が挙げられる。外科手術は、しばしば思い切った処置であり、深刻な結果を生む場合がある。例えば、卵巣ガンの治療はすべて不妊をもたらしうる。子宮頸ガンおよび膀胱ガンの治療の幾つかは、不妊および/または性的機能不全を引き起こしうる。膵臓ガンを治療するための外科的処置は、膵臓の部分または完全摘出をもたらす場合があり、患者にとって重要なリスクとなりうる。乳ガン外科手術には必ず、乳房の一部または全体の摘出が伴う。前立腺ガンのための外科的処置の幾つかは、尿失禁および性的不全のリスクを伴う。肺ガン患者のための処置は大抵、ガン性肺組織に近づいてそれを除去するために肋骨を切り開く必要があるため、かなりの術後痛を伴う。さらに、肺ガンと、肺気腫または慢性気管支炎等のもう一つの肺疾患との両方を有する患者は、典型的に、手術後に息切れが増加する。
【0005】
放射線療法は、ガン細胞を殺すという利点を有するが、同時に非ガン性組織にも損傷を与える。化学療法には、患者への様々な抗ガン剤の投与が含まれるが、副作用を伴うことが多い。
【0006】
毎年世界中で1000万人以上の人がガンと診断されており、この数は毎年増えて、2020年までには年間の新患数が1500万人に達すると推定される。ガンは、毎年600万人の死亡を引き起こし、これはすなわち全世界の年間死亡者数の12%に相当する。ガンを治療しうる方法は、なおも必要とされている。これらの方法は、ヒトおよび他の哺乳動物のガンの予防および治療に有用な医薬組成物における基礎を提供しうる。
【0007】
ウイルス感染症もまた、世界中でヒトの健康にとって深刻な脅威である。後天性免疫不全症候群(AIDS)として知られているヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は現在、世界中で健康被害を招く。HIV感染症は、低下した免疫抵抗性により大抵致命的であり、日和見感染症、悪性腫瘍および神経障害をもたらす。
【0008】
日和見感染症、新生物および他の合併症の治療以外のAIDSの有効な治療法はない。使用できる細胞増殖抑制剤(AZT)および抗ウイルス剤(アシクロビア)は極めて毒性であり、深刻な副作用を引き起こす。
【0009】
したがって、ウイルス性疾患、特にAIDSの有効で非毒性の治療法を利用できることが非常に望ましい。
【0010】
単純ヘルペスウイルス1型および2型もまた、広範囲にわたる感染症である。それらは日和見感染症の1つとしてAIDS患者に発生しうる。1型HSV株(HSV−1)は、一般に唇に存在する口唇ヘルペス、および角膜の炎症である角膜炎を引き起こす。2型HSVは通常、生殖器部に、またはその周辺に存在し、そして一般に主としてヘルペス性潰瘍または病変との直接接触により元始的に感染する。HSV−2は子宮ガンの発生と関連している。
【0011】
単純ヘルペスウイルスは非常に感染性であり、そして接触により急速かつ容易に感染する。この重度の痛みを伴うウイルス性感染症に、特定の治療法は存在しない。現在のHSV感染症の治療法は、主として対応する副作用を伴う上記抗ウイルス剤の全身投与に限られている。
【0012】
HSV治療に使用される抗ウイルス剤は、正常細胞の複製にも影響を及ぼすHSV 複製の非選択的阻害剤である。したがって、感覚神経節で休止状態の活性ヘルペスウイルスのすべてを不活性化するのに十分な投与量で使用される場合、これらの化合物は、宿主細胞のDNA複製に対して非常に破壊的な影響をも与えうる。
【0013】
したがって、HSV 感染症の非毒性治療法を利用できることは有利でありうる。
【0014】
HIVの危険な重感染であるサイトメガロウイルス(CMV)は、ヒトで潜在的に持続する傾向を有する感染性の高いウイルスのサブグループである。CMVは、成人集団に非常によく見られ、90%もの成人がCMV感染症にさらされ、それを経験している。CMVは、一般に血液、リンパ液、唾液、尿、便、乳等の体液に存在する。CMV感染症は流産、死産、出血による出生後死亡、貧血、重度の肝障害、またはCNS損傷を引き起こしうる。特に危険なものは、AIDS患者を苦しめるCMV感染症であり、そこでCMVは肺、胃腸または腎臓の合併症を引き起こしうる。CMVに特定の治療法は存在しない。HSVと異なり、CMVはアシクロビアおよび他の既知の抗ウイルス剤に耐性がある。
【0015】
したがって、CMV感染症を有効に阻害する薬剤を利用できることが極めて有利でありうる。
【0016】
一連の抗腫瘍剤および抗ウイルス剤が特定されている。これらの薬剤には、ニトロおよびニトロソ化合物、並びにそれらの代謝物が含まれ、それらは1995年11月7日に発行された「抗ウイルス剤および抗腫瘍剤として有用な芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物」と題する(米国特許第5,464,871号);1997年9月23日に発行された「抗ウイルス剤および抗腫瘍剤として有用な芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物」と題する(米国特許第5,670,518号);1999年12月21日に発行された「ガンを芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物で治療する方法」と題する(米国特許第6,004,978号)の主題であり、それらの開示は、参照により本明細書に援用される。本化合物の使用は、当該技術分野で 乳腺ガン、乳腺管ガン、リンパ性白血病、免疫抑制されたAIDS患者のカポジ肉腫;非ホジキンリンパ腫のような腫瘍性成長、および原発性リンパ腫の治療に有用であることが記載されている。
【0017】
ニトロベンズアミド化合物が有用な抗腫瘍剤および抗ウイルス剤であることは示されているが、それらの化合物は水に溶解しにくい傾向がある。化合物の生体利用性を最大限にするために、水溶液中で良好な溶解性を示す化合物が望ましいことが多い。水溶液に対する高い溶解度は、血液および他の水性体液の性質が水性であるため、注射、経口摂取または経皮デリバリーを含む多くの化合物デリバリー法で生体利用性を増大しうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、一般に芳香族ニトロベンズアミド化合物またはそれらの代謝物および可溶化剤の溶解度が高められた医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはそれらのプロドラッグ、および可溶化剤を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。典型的には、本発明に係る医薬組成物は、水溶液に対する芳香族ベンズアミドの溶解度が、純水に対する芳香族ベンズアミド化合物の溶解度の1.5倍高く;好ましくは溶解度は2倍より高く、より好ましくは溶解度は5倍より高く、さらにより好ましくは溶解度は10倍より高く、そして最も好ましくは溶解度は50倍よりも高くなりうる。最も好ましくは、溶解度は約55倍まで高い。適切な可溶化剤の例には、非制限的に、ツイーン80、グリコフラル、グリセリンホルマールおよびDMAが含まれる。他のタイプの可溶化剤には、クレモフォールEL、30%ソルトールおよびPEG 400(50%)が含まれる。
【0019】
本発明は、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤にオリゴ糖が含まれる医薬組成物に関する。オリゴ糖の好ましい態様は、環状オリゴ糖、例えばシクロデキストリンである。より詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはプロドラッグ、およびシクロデキストリンを含有する医薬組成物に関する。
【0020】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤に界面活性剤が含まれる医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはプロドラッグ、および界面活性剤を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物および可溶化剤を含有し、前記可溶化剤に共溶媒が含まれる医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグおよび共溶媒を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。
【0022】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、並びに(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。最も好ましい製剤は25%β−シクロデキストリンおよび10mMリン酸塩(pH7.4)を含有するものである。
【0023】
本発明はまた、ウイルス性疾患またはガンの疑いがある患者を、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物である医薬組成物で治療することを含む、その患者を治療する方法に関する。
【0024】
さらに詳しくは、本発明はまた、ウイルス性疾患またはガンの疑いがある患者を、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグおよび可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物である医薬組成物で治療することを含む、その患者を治療する方法に関する。
【0025】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物であるキットに関する。
【0026】
さらに詳しくは、本発明はまた、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および可溶化剤を含有し、そん可溶化剤は、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物であるキットに関する。
【0027】
本発明に係る医薬組成物は、白血病、乳ガン、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガンを含む様々なガン、並びに本明細書に記載される他のタイプのガンを治療するために使用されうる。
【0028】
本発明に係る医薬組成物はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびサイトメガロウイルス(CMV)を含む、様々なウイルスに対する抗ウイルス剤として使用されうる。
【0029】
本発明の組成物は、本明細書で開示される2種以上の化合物の組合せおよび/または本明細書で開示される2種以上の形態の化合物の組合せでありうる。本発明に係る医薬組成物は、患者への投与に適した組成物でありうる。
【0030】
参照による援用
本明細書で挙げたすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願がそれぞれ明確にかつ個々に参照により本明細書に援用されることを示したかのように、同程度に参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの水に対する溶解度対ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD;本明細書では“HPβCD”とも呼ばれる)の濃度グラフを示す。
【図2】4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(“BA”)の水に対する溶解度対N,N−ジメチルアセトアミド/カプムル溶液の濃度を示す。
【図3】カプセル化BA製剤の相IおよびII動物試験で得られる生体利用性の結果を示す。
【図4】時間経過による半固体脂質試料中でのBA飽和の傾向を示す。
【図5】雌のイヌにおける幾つかのBA製剤の生体利用性試験の結果を示す。
【図6】雄のイヌにおける幾つかのBA製剤の生体利用性試験の結果を示す。
【図7】ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むBAを60mg/kg経口(PO)投与したイヌにおけるサイズ縮小したBAおよび代謝物(IABMおよびIABA)についての薬物動態(PK)プロファイルを示す。
【図8】1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むおよび含まないBAを60mg/kg経口(PO)投与したイヌにおけるサイズ縮小したBAおよび代謝物(IABMおよびIABA)についての薬物動態(PK)プロファイルを示す。
【図9】雌のイヌにおける0%、1%または2%SLSを含む造粒したBAの生体利用性試験の結果を示す。
【図10】雄のイヌにおける0%、1%または2%SLSを含む造粒したBAの生体利用性試験の結果を示す。
【図11】微粉化またはサイズ縮小した形態のBAを60mg/kg経口投与したイヌにおけるBAおよび代謝物についての薬物動態プロファイルを示す。
【図12】BA(2%SLSを含む微粉化)のIV注入または経口投与により投与したイヌにおけるBAおよびその代謝物(IABM、IABA)のPKプロファイルの比較を示す。BAを経口的に投与するとイヌにおけるBAおよびその代謝物の暴露は長引いた。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化1】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する医薬組成物を提供する。幾つかの態様において、可溶化剤は、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、またはそれらの2種以上の混合物を含む。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である。幾つかの態様において、本組成物は経口組成物、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、本組成物は非経口組成物、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0033】
式(Ia)
【化2】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および界面活性剤を含有する医薬組成物。界面活性剤がポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、あるいは式IIまたはIII:
【化3】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
の化合物の1種以上を含む、請求項8に記載の組成物。幾つかの態様において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118またはソルトールHS−15の1種以上を含む。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0034】
式(Ia)
【化4】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、およびシクロデキストリンを含有する医薬組成物。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの1種以上を含む。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0035】
式(Ia)
【化5】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および共溶媒を含有する医薬組成物。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0036】
ガンおよびウイルス性疾患から選択される疾患の疑いのある患者を、式(Ia)
【化6】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒からなる群の1種以上を含有する医薬組成物で治療することを含む、前記疾患を治療する方法。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物は経口的に投与される。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物は非経口的に投与される。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチル エーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、ガンは、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、CNS腫瘍、末梢CNSガン、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、並びにウイルス性ガンから選択される。幾つかの態様において、製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0037】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化7】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有するキットを提供する。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118、およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコール、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0038】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化8】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有する水溶液を提供する。
【0039】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化9】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する投与単位を提供する。幾つかの態様において、可溶化剤は、界面活性剤および任意的に1種以上のシクロデキストリン、共溶媒、脂質またはそれらの混合物を含む。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である。幾つかの態様において、界面活性剤は、1種以上の式IIまたはIII:
【化10】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物である。幾つかの態様において、界面活性剤は、1種以上のポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリドまたはポリエトキシル化脂肪酸を含む。その投与単位では、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、単位投与製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、単位投与製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0040】
式(Ia)
【化11】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンおよび水を含有する非経口医薬組成物。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、組成物は、さらに共溶媒を含有する。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコール、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。
【0041】
定義
「ニトロベンズアミド化合物(複数可)」は、式(Ia)
【化12】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグを意味する。R1、R2、R3、R4およびR5は、クロロ、フルオロまたはブロモのようなハロゲン化物であり得る。
【0042】
「溶解度」は一般に、溶媒に溶解した化合物の量を意味する。適切な溶媒には、水性および非水性溶媒が含まれる。
【0043】
化合物は、それが「溶液中」にあるとき「溶解した」状態であり、そして自然に溶液から出て、分離した相を生成しない。溶解するために、化合物は分子レベルで完全に解離する必要はないが、疾患または症状の治療において有効となるように溶液中に留まる必要がある。溶解した化合物はミセル、乳化またはリポソーム形態で存在しうる。化合物が溶解した溶液は、一般に透明である。
【0044】
「難溶性」は、溶媒に溶解する化合物の量が少ないことを意味する。難溶性は、絶対的な用語ではないが、疾患または症状の有効な治療に必要な化合物の量に依存する。化合物は、その溶解度が疾患または症状の有効な治療のために望ましいものより低いならば、難溶性である。
【0045】
「溶解度が高められた」はニトロベンズアミド化合物単独のものより溶解度が高くなることを意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「治療する」という用語およびその文法的に同等な語句には、治療効果および/または予防効果を達成しようと試みることが含まれる。治療効果とは、治療される基礎疾患の根絶または改善を意味する。例えば、ガン患者において、治療効果は、基礎疾患のガンの根絶または改善を含む。また、治療効果は、患者がまだ基礎疾患に苦しんでいるという事実にも関らず改善が患者で観察されるような基礎疾患に関連する1つ以上の生理的症状の根絶または改善により達成される。予防効果のために、疾患の診断がなされていないが、ガンを発症するリスクがある患者、またはそのような疾患の1つ以上の生理的症状を訴える患者に対し、本発明に係る方法が遂行されえて、または本発明に係る組成物が投与されうる。
【0047】
血液のような多くの体液は水をベース(水性)としており、故により水溶性の薬剤はより生体利用性が高くなるため、水への溶解度が高いものは有用でありうる。純水に対する化合物の正確な溶解度は、血液のような水溶液に対するものと同じではないが、純水に対する組成物の溶解度は、他の水溶液に対する溶解度の良好な指標であることが多い。
【0048】
本発明は、水への溶解度が高められた、ニトロベンズアミド化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0049】
本発明の好ましい態様において、本発明に係る医薬組成物は、水溶液に対する芳香族ベンズアミドの溶解度が純水に対する芳香族ベンズアミド化合物の溶解度の1.5倍高く;好ましくは溶解度は2倍以上高く、より好ましくは溶解度は5倍以上高く、さらにより好ましくは溶解度は10倍以上高く、そして最も好ましくは溶解度は50倍以上高くありうる。
【0050】
一般に、薬剤の溶解度は高いことが望ましいが、利用できる薬剤の量が適用にとって十分である限り、より特定の治療法またはデリバリー法に望ましい、溶解度が低い組成物をもたらす、医薬組成物を生産する際の他の考慮事項、例えば粘度、安定性、潜在毒性などがあることは、当業者により理解されうる。本発明により、製薬業者は、これらの要因を最適化することが可能となる。
【0051】
本発明は、白血病、乳ガン、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガンを含む様々なガン、他のタイプのガン、例えば乳腺の腺管ガンを含む他の乳ガン、末梢血の急性前骨髄球性白血病を含む他の形態の白血病、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガン、並びに本明細書で記載される他のタイプのガンの治療のための、ニトロベンズアミド化合物を含有する医薬組成物の使用を提供する。
【0052】
ニトロベンズアミド化合物は、悪性ガン細胞に対して作用するが、非悪性ガン細胞に対しては作用しない、選択的な細胞毒性を有することが報告されている。RiceらのProc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7703〜7707(1992年)を参照されたい。一の態様において、本発明に係る医薬組成物は、非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞に対してより選択的な毒性を示しうる。
【0053】
ニトロベンズアミドおよびニトロソベンズアミド化合物の腫瘍原性は、ブチオニンスルホキシミンBSOがガン細胞に併用投与されると高められることが報告されている。MendeleyevらのBiochemical Pharmacol. 50(5):705〜714(1995年)を参照されたい。ブチオニンスルホキシミン(BSO)は、化学療法に対する細胞抵抗性に部分的に関与する、グルタチオンの生合成の重要な酵素であるγ−グルタミルシステイン合成酵素を阻害する。ChenらのChem Biol Interact. Apr 24;111〜112:263〜75(1998年)を参照されたい。本発明はまた、BSOと組み合わせてニトロベンズアミド化合物を投与する、ガンの治療に有用な医薬化合物を提供する。
【0054】
本発明の一の側面は、ニトロベンズアミド化合物およびオリゴ糖を含有する医薬組成物である。本明細書で使用されるとき、「オリゴ糖」は、2個以上の単糖類、すなわち通常はグリコシド結合を通して共有結合している糖単位を有する化合物である。オリゴ糖は、通常20個未満の単糖類、典型的には3〜6個の単糖類を有する。オリゴ糖は、直鎖状または分枝状でありうる。単糖類は、例えばトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプトースでありうる。好ましい単糖類は、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリトロース、トレオース、アラビノース、リキソース、リボース、デオキシリボース、キシロース、リブロース、キシルロース、アロース、アルトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タガトース、フルクトース、マンノヘプツロースおよびセドヘプツロースでありうる。オリゴ糖は、例えばマルトデキストリンでありうる。オリゴ糖の好ましい態様は、環状オリゴ糖、例えばシクロデキストリンである。
【0055】
シクロデキストリンは、スターチから誘導される環状炭水化物である。非修飾シクロデキストリンは、円柱構造で互いに結合しているグルコピラノース単位の数が異なる。親シクロデキストリンは、6、7または8個のグルコピラノース単位を含有し、それぞれα−、β−およびγ−シクロデキストリンと呼ばれる。それぞれのシクロデキストリンサブユニットは、第2のヒドロキシル基を2−および3−位に、そして第1のヒドロキシル基を6−位に有する。シクロデキストリンは、親水性の外面および疎水性の内部空洞を有する中空円錐台として描かれうる。水溶液中で、これらの疎水性空洞は、疎水性有機化合物の居場所になり、それらの構造の全部または一部をこれらの空洞に収容しうる。包接錯体形成として知られているこの過程は、複合薬剤に、増大した見かけの水溶性および安定性をもたらしうる。
【0056】
親シクロデキストリン(通常はヒドロキシル部分で)の化学修飾は、時にはシクロデキストリンの錯体形成能力を保持または改善しながら、安全性が改善された誘導体をもたらす。幾つかの好ましいシクロデキストリン誘導体は、2−ヒドロキシプロピル誘導体、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Roquette 社のKleptose(登録商標))(HPBCD)、およびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(Wacker 社のCavamax W8(登録商標))、並びにスルホアルキルエーテル誘導体(SAE−CDs)、例えばスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(Cydex 社のCaptisol(登録商標))(SBEBCD)である。
【0057】
SAE−CDsは、負電荷を持つシクロデキストリン類であり、それはアルキルスペーサー、塩形態、置換度および出発物質の親シクロデキストリンの性質が異なる。
【0058】
アニオン性スルホブチルエーテル置換基は、劇的に親シクロデキストリンの水溶性を改善する。Captisol(登録商標)シクロデキストリンを含む薬剤の可逆的な非共有結合錯体形成は、一般に水溶液中での薬剤の溶解度および安定性の改善を可能にする。
【0059】
シクロデキストリン対化合物(Ia)の好ましい重量比は、1:100〜5,000:1である。好ましい製剤は、1gのBA対25gのシクロデキストリンである。約25%シクロデキストリンが最も好ましい。また、40%シクロデキストリンが好適である。
【0060】
本発明のもう一の側面は、ニトロベンズアミド化合物単独よりも高められた溶解度を有する、ニトロベンズアミド化合物および界面活性剤を含有する医薬組成物である。
【0061】
界面活性剤は、表面活性特性を有する化合物である。界面活性剤は、化学工程により製造される、あるいは自然源または自然工程から精製される、両親媒性分子である。これらはアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性イオン性でありうる。典型的な界面活性剤は、Emulsions:Theory and Practice, Paul Becher, Robert E. Krieger Publishing, Malabar, Fla.,1965;Pharmaceutical Dosage Forms: Dispersed Systems Vol. I, Martin M. Rigear, Surfactantsおよび米国特許第5,595,723号に記載されている。
【0062】
界面活性剤を含む本発明に係る医薬組成物は、使用されうる乳剤、懸濁剤または他の製剤、例えばリポソーム製剤をもたらしうる。リポソーム製剤に関して、疾患を治療するためのリポソームの知られている製造法の何れかが使用されうる。例えば、BanghamらのJ. Mol. Biol、23:238〜252(1965年)およびSzokaらのProc. Natl Acad. Sci 75:4194〜4198(1978年)(参照により本明細書に援用される)を参照されたい。リガンドは、これらの組成物を特定の作用部位に指向させるために、リポソームに結合させることもできる。また、本発明に係る界面活性剤は、湿潤剤(例えばレシチン、リゾレシチンおよび/または長鎖脂肪アルコール)でもありうる。
【0063】
本発明において好ましい界面活性剤の一群は、非イオン性界面活性剤である。有用な非イオン性界面活性剤は、ポロキサマーまたはプルロニックであり、それらは一般構造式:H(OCH2CH2)a(OCH2CH2CH2)b(OCH2CH2)aOHで表されるエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの合成ブロックコポリマーである。
【0064】
aおよびbの数値に基づく次の変形化合物は、BASF Performance Chemicals社(ニュージャージー州パーシッパニ)から商標名Pluronicで商業的に入手可能であり、それはCTFA(Cosmetic, toiletry and fragrance association)により指定されている商品名ポロキサマー108、188、217、237、238、288、338、407、101、105、122、123、124、181、182、183、184、212、231、282、331、401、402、185、215、234、235、284、333、334、335および403の界面活性剤群からなる。最も一般に使用されるポロキサマー124、188、237、338および407の場合、aおよびbの数値は、それぞれ12/20、79/28、64/37、141/44および101/56である。
【0065】
また、本発明に係る医薬組成物は、BASF社製の界面活性剤ソルトールHS−15(ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート)を含有してもよい。
【0066】
本発明に係る医薬組成物はまた、非制限的に、ポリソルベート20、60および80のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;Brij系(例えばICI Surfactants社製のBRIJ 97またはBRIJ 98)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、クレモフォール(例えばクレモフォールRHまたはクレモフォールEL)、Volpo(例えばCroda社製のVOLPO10およびVOLPO20)およびそれらの等価物を含む、非イオン性界面活性剤の群から選択される界面活性剤をも含有する。
【0067】
親水性−親油性バランス:界面活性剤を指数化するために使用される実験式。その値は1〜45であり、非イオン性界面活性剤の場合は、約1〜20である。一般に、親油性界面活性剤の場合、HLBは10未満であり、親油性である場合、HLBは10を超える。好適な製剤は、ポリソルベート80および20を100%および10%で、クレモフォール溶液を10%で、そしてソルトールを25%および30%で含有する。
【0068】
本発明において好ましい界面活性剤は、ポリエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン[20]ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、クレモフォールEL(BASF)、クレモフォールRH40(BASF)、ポロキサマー118およびソルトールHS−15(BASF)である。
【0069】
本発明に係る医薬組成物はまた、共溶媒を含有しうる。共溶媒は、水と少なくとも部分的に混和性であり、ニトロベンズアミド化合物の溶解度を増大しうる。
【0070】
好ましい態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールまたはN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を含む。
【0071】
医薬組成物中における共溶媒対化合物(Ia)の好ましい重量比は、1:100〜10,000:1である。最も好ましい範囲は、約1:50〜約1:250である。
【0072】
本発明に係る医薬組成物は、生体適合性であることが望ましく、それはこれらが生体の内外で許容される方法により過度の毒性または生理的効果または薬理的効果なしに機能を果たすことができることを意味する。
【0073】
本発明に係る医薬組成物は、シクロデキストリン、界面活性剤および/または共溶媒の組合せを含む可溶化剤の混合物を含む。これらの混合物は、シクロデキストリンおよび界面活性剤、シクロデキストリンおよび共溶媒、界面活性剤および共溶媒、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含みうる。組成物はまた、それぞれのタイプの可溶化剤、例えば1種以上のタイプのシクロデキストリン、1種以上のタイプの界面活性剤および/または1種以上のタイプの共溶媒の混合物を含有しうる。
【0074】
可溶化剤の好ましい混合物には、エタノールおよびPEG 400、エタノールおよびPEG 400およびベンジルアルコール、グリコフロールおよびPEG 400、DMAおよびPEG 400、DMA、エタノールおよびPEG 400、DMAおよびソルトールHS−15、ポリソルベート80およびエタノール、ポリソルベート20およびエタノール、ポリソルベート80およびグリコフロール、ポリソルベート20およびグリコフロール、並びにポリソルベート80およびエタノールおよびPEG 400が含まれる。
【0075】
製剤、投与経路および有効投与量
本発明の他の側面は、抗ウイルスまたは抗腫瘍治療剤としての、本医薬組成物の使用である。本発明に係る医薬組成物は、プロドラッグとして提供され得て、および/または投与後にインビボでニトロソベンズアミド形態に相互変換が可能でありうる。すなわち、ニトロベンズアミド形態および/またはニトロソベンズアミド形態、または医薬として許容される塩は、本発明で使用される製剤の開発に使用されうる。さらに、幾つかの態様において、本化合物は、1種以上の他の化合物と組合せて、または1種以上の他の形態で使用されうる。例えば、製剤は、ニトロベンズアミド化合物および酸形態の両方をそれぞれの相対効力および対象疾患に応じて、特定の比率で含有しうる。2種の形態は、同一の投与単位、例えば1つのクリーム剤、座剤、錠剤、カプセル剤、もしくは飲料に溶解される粉末のパケットとして一緒に製剤化され得て;またはそれぞれの形態は、別々の単位、例えば2種のクリーム剤、2種の座剤、2種の錠剤、2種のカプセル剤、錠剤とその錠剤を溶解するための液体、粉末のパケットおよびその粉末を溶解するための液体などとして製剤化されうる。
【0076】
本発明に係る医薬組成物は、他の活性成分と併用されうる。2種の化合物および/または化合物形態を同一の投与単位、例えば1つのクリーム剤、座剤、錠剤、カプセル剤、もしくは飲料に溶解される粉末のパケットとして一緒に製剤化され得て;またはそれぞれの形態を別々の単位、例えば2種のクリーム剤、2種の座剤、2種の錠剤、2種のカプセル剤、錠剤と錠剤を溶解するための液体、粉末のパケットおよびその粉末を溶解するための液体などとして製剤化されうる。
【0077】
「医薬として許容される塩」という用語は、本発明で使用される化合物の生物学的効果および特性を保持し、生物学的または非生物学的に望ましい塩を意味する。例えば、医薬として許容される塩は、ガンまたはウイルス感染症の治療における本発明に係る化合物の有益な効果を妨げない。
【0078】
典型的な塩は、無機イオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムイオンの塩である。そのような塩には、無機または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸の塩が含まれる。加えて、本発明で使用される化合物がカルボキシ基または他の酸性基を含有する場合、それを無機または有機塩基との医薬として許容される付加塩に変換しうる。適切な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれる。
【0079】
経口投与の場合、本発明に係る医薬化合物は、活性化合物(複数可)を当該技術分野で周知の医薬として許容される担体と化合させることにより、容易に製剤化されうる。そのような担体により、本発明に係る化合物は、治療を受ける患者に経口摂取させるために、チュアブル錠を含む錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、トローチ剤、ハードキャンディ、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、粉末、懸濁剤、エリキシル剤、ウエハ剤などとして製剤化されうる。そのような製剤は、固体希釈剤または充填剤、無菌水性媒質および様々な非毒性有機溶媒を含む、医薬として許容される担体を含有しうる。一般に、本発明に係る化合物は、所望の単位の投与量を与えるのに十分な量で、経口投与形態の全組成の重量に基づいて、約0.5%、約5%、約10%、約20%、または約30%〜約50%、約60%、約70%、約80%または約90%の範囲の濃度レベルで含まれうる。
【0080】
本発明に係る医薬組成物の水性懸濁液は、医薬として許容される賦形剤、例えば懸濁化剤(例えばメチルセルロース)、着色剤、保存剤、芳香剤などを含有しうる。
【0081】
本発明に係る化合物はまた、特定の患者集団において可溶化、投与および/または服薬順守を容易にするため、食品、例えばクリームチーズ、バター、サラダドレッシングまたはアイスクリームの中に混入されうる。
【0082】
経口使用のための医薬製剤は、場合により得られる混合物を粉砕し、所望により適切な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コア収得することにより、固体賦形剤として収得されうる。適切な賦形剤は、特にラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;着香成分、セルロース調製物、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムのような崩壊剤が添加されうる。化合物はまた、徐放性製剤としても製剤化されうる。
【0083】
糖衣錠コアに、適切なコーティングを施して提供されうる。このために、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する濃縮糖溶液をが使用されうる。または活性化合物の投与量の異なる組合せを識別するために、または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに、染料または顔料が添加されうる。
【0084】
経口的に使用されうる医薬製剤には、ゼラチン製の押込み型カプセル剤、並びにゼラチンおよび可塑化剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の密閉した軟質カプセル剤が含まれうる。押込み型カプセル剤には、活性成分をラクトースのような充填剤、澱粉のような結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ならびに場合により安定剤と混合して含有しうる。軟質カプセル剤において、活性化合物は適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁されうる。さらに、安定剤が添加されうる。経口投与のためのすべての製剤は、投与に適した投与量であるべきである。
【0085】
注射用として、本発明に係る阻害剤は、水溶液中で、好ましくは生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液または生理食塩緩衝液中で製剤化されうる。また、そのような組成物は、さらに1種以上の賦形剤、例えば保存剤、可溶化剤、充填剤、潤滑剤、安定剤、アルブミンなどを含有しうる。製剤化の方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 最新版, Mack Publishing社(ペンシルベニア州イーストン)に開示されているように当該技術分野で既知である。これらの化合物はまた、経粘膜投与、口腔投与、吸入による投与、非経口投与、経皮投与および経腸投与用として製剤化されうる。
【0086】
また、前記製剤に加え、本化合物をデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長時間作用する製剤は、移植または経皮的デリバリー(例えば皮下または筋内)、筋内注射または経皮パッチの使用により投与されうる。したがって、例えば本化合物は、適切なポリマーまたは疎水性物質(例えば許容される油中の乳濁液として)、またはイオン交換樹脂を使用して、あるいは難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤化されうる。
【0087】
本発明で使用するのに適した医薬組成物には、活性成分が有効量、すなわち本明細書に記載のガンのうち少なくとも1種において治療および/または予防効果を達成するのに有効な量で存在する組成物が含まれる。特定の用途に有効な実際の量は、治療される症状(複数可)、対象の疾患、製剤および投与経路、並びに当業者に既知の他の要因に依存しうる。ニトロベンズアミド化合物の有効量の判定は、本明細書の開示を踏まえて十分に当業者が対応できる範囲内にあり、日常的な最適化技術を使用して決定されうる。
【0088】
PARP阻害剤の治療的使用
ガンのタイプ
本発明は、幾つかの特定のガンまたは腫瘍を治療するための方法を提供する。例えば、ガンのタイプには、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、成人CNS脳腫瘍、小児CNS脳腫瘍、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸(結腸および直腸)ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウイルス性ガンおよびウイルス関連のガンが含まれる。
【0089】
甲状腺ガンは、内分泌系の最も一般的な悪性腫瘍である。甲状腺ガンには、分化型腫瘍(乳頭状腫瘍または濾胞性腫瘍)および未分化腫瘍(髄様または退形成)が含まれる。膣ガンには、扁平上皮ガン、腺ガン、黒色腫および肉腫がある。睾丸ガンは、精上皮腫および非精上皮腫タイプに大きく分けられる。
【0090】
胸腺腫は、胸腺の上皮腫瘍であり、非腫瘍性リンパ球が広範囲に浸潤する場合がある。胸腺腫なる用語は、上皮成分の明らかな異型を示さない新生物を説明するために慣用的に使用される。もはや胸腺に特異的ではない明確な細胞異型および組織学的特徴を示す胸腺上皮腫瘍は、胸腺ガン腫として知られている(C型胸腺腫としても知られている)。
【0091】
本発明により提供される方法は、他の治療と組み合わせられるベンズアミド化合物の投与を含みうる。本発明の組成物と併用投与されうる療法の選択は、部分的に、治療される症状に依存しうる。例えば、急性骨髄性白血病を治療する場合、本発明の幾つかの態様のベンズアミド化合物は、放射線療法、モノクローナル抗体療法、化学療法、骨髄移植、遺伝子療法、免疫療法またはそれらの組合せと組み合わせて使用されうる。
【0092】
乳ガン
一の側面において、本発明は乳ガン、好ましくは乳腺の腺管組織の腺管ガンを治療する方法を提供する。
【0093】
本発明により提供される方法により治療されうる幾つかのタイプの乳ガンが存在する。上皮内小葉ガンおよび非浸潤性乳管ガンは、それぞれ小葉および腺管内に発達した乳ガンであるが、乳房周囲の脂肪組織または体の他の部位には広がらない。浸潤性(または浸潤性)小葉および腺管ガンは、それぞれ小葉および腺管内に発現した乳ガンであり、乳房の脂肪組織および/または体の他の部分に広がる。本発明により提供される方法により治療効果があると思われる乳房の他のガンは、髄様ガン、膠様ガン、管状腺ガンおよび炎症性乳ガンである。
【0094】
乳ガン患者が利用できる治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療法またはそれらの組合せである。腫瘍摘出手術および乳腺切除術は、ガン患者が利用できると考えられる2つの外科的処置である。
【0095】
化学療法においては、ガン細胞が増殖し、侵襲し、転移し、そして患者を死に至らしめるのを防ぐために、抗腫瘍剤が利用される。細胞毒性薬、例えばドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、パクリタキセル、チオテパ、ミトキサントロン、ビンクリスチンまたはそれらの組合せを含む幾つかの薬剤が、乳ガン治療に利用されうる。残った乳房組織が内分泌感受性を保持している場合、内分泌療法が有効な治療法でありうる。この療法のために投与される薬剤には、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド、フルオキシメステロン、ロイプロリド、ゴセレリンおよびプレドニゾンが含まれる。
【0096】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法もしくは内分泌療法との併用により、乳ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0097】
卵巣ガン
もう一の側面において、本発明は、上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣ガンを治療する方法を提供する。好ましくは、本発明は、卵巣内の腺ガン、および卵巣から腹腔内に転移した腺ガンから選択される卵巣ガンを治療する方法を提供する。外科手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放射線療法またはそれらの組合せは、卵巣ガンに利用できると考えられる治療法である。考えられる外科的処置には、減量手術および片側または両側卵巣摘出術および/または片側または両側卵管切除術が含まれる。
【0098】
使用されうる抗ガン剤には、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミンおよびイホスファミドが含まれる。薬剤タモキシフェンによるホルモン療法は、卵巣腫瘍を縮小させうる。放射線療法は、外照射療法および/または近接照射療法でありうる。
【0099】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、内分泌療法もしくはそれらの組合せとの併用により、卵巣ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0100】
子宮頸ガン
もう一の側面において、本発明は、子宮頸ガン、好ましくは子宮頸部上皮内の腺ガンを治療する方法を提供する。このガンには、扁平上皮ガンおよび腺ガンという2つの主要なタイプが存在する。前者は、すべての子宮頸ガンの約80〜90%を占めており、子宮頸膣部(膣に最も近い部分)および子宮頸部(子宮に最も近い部分)が合流する場所に発生する。後者は、子宮頸部の粘液産生腺細胞に発生する。一部の子宮頸ガンはこれらの両方の特徴を有し、腺扁平上皮ガンまたは混合ガンと呼ばれる。
【0101】
子宮頸ガンに利用できる主要な治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。幾つかの考えられる外科的選択肢は、凍結外科手術、子宮摘出術および広範子宮全摘術である。子宮頸ガン患者に対する放射線療法には、外照射療法または近接照射療法が含まれる。子宮頸ガンを治療するための化学療法の一部として投与しされうる抗ガン剤には、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、イリノテカン、ブレオマイシン、ビンクリンスチン、マイトマイシン、イホスファミド、フルオロウラシル、エトポシド、メトトレキサートおよびそれらの組合せが含まれる。
【0102】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、子宮頸ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0103】
前立腺ガン
もう一の側面において、本発明は、前立腺ガン、好ましくは腺ガン、または骨に転移した腺ガンから選択される前立腺ガンを治療する方法を提供する。前立腺ガンは、尿道の最初の部分の周囲にある男性の前立腺器官に発生する。前立腺は、幾つかの細胞型を有するが、腫瘍の99%は精液の生成に関与する腺細胞に発生する腺ガンである。
【0104】
外科手術、免疫療法、放射線療法、凍結外科手術、ホルモン療法および化学療法は、前立腺ガン患者に利用できる治療法である。前立腺ガンを治療するための考えられる外科的処置には、根治的恥骨後式前立腺摘除術、根治的経会陰式前立腺摘除術および腹腔鏡下根治的前立腺摘除術が含まれる。幾つかの放射線療法の選択肢は、三次元原体照射法、強度変調放射線療法および原体陽子線照射法を含む、外照射療法である。近接照射療法(シード移植または組織内照射療法)もまた、前立腺ガンに利用できる治療方法である。凍結外科手術は、限局性前立腺ガン細胞を治療するために使用されるもう一の可能な方法である。
【0105】
前立腺ガンを治療するために、アンドロゲン枯渇療法またはアンドロゲン抑制療法とも呼ばれるホルモン療法が使用されうる。アンドロゲンの90%が産生される睾丸を除去する睾丸摘出術を含む、この療法の幾つかの方法が利用されうる。もう一の方法は、アンドロゲン量を低下させるための、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体の投与である。利用できるLHRHには、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリンおよびヒストレリンが含まれる。アバレリックスなどのLHRHアンタゴニストもまた投与されうる。
【0106】
体内でアンドロゲン活性を遮断する抗アンドロゲン剤による治療は、もう一の利用できる療法である。そのような薬剤には、フルタミド、ビカルタミドおよびニルタミドが含まれる。この療法は、典型的にはLHRH類似体投与または睾丸摘出術と併用され、これは複合アンドロゲン遮断(CAB)と呼ばれる。
【0107】
前立腺腫瘍が前立腺の外側に広がっていて、ホルモン治療が有効でない場合には、化学療法が適切でありうる。前立腺ガンの成長を遅らせ、症状を軽減し、生活の質を改善するために、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチンおよびプレドニゾンのような抗ガン剤が投与されうる。
【0108】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法もしくはそれらの組合せとの併用により、前立腺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0109】
膵臓ガン
幾つかの態様は、膵臓ガン、好ましくは膵管組織の類上皮性ガンおよび膵管の腺ガンから選択される膵臓ガンを治療する方法を提供する。
【0110】
最も一般的なタイプの膵臓ガンは、膵管の内層に発生する腺ガンである。膵臓ガンに利用できると考えられる治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。幾つかの考えられる外科的処置の選択肢には、膵尾部切除術または膵全切除術、および膵頭十二指腸切除術(Whipple法)が含まれる。
【0111】
放射線療法、特に体外で機械により腫瘍に焦点を合せて照射される外照射療法は、膵臓ガン患者にとって1つの選択肢となりうる。もう一の選択肢は、手術中に施される術中電子線照射療法である。
【0112】
膵臓ガン患者を治療するために、化学療法が使用されうる。適切な抗ガン剤には、5−フルオロウラシル(5−FU)、マイトマイシン、イホスファミド、ドキソルビシン、ストレプトゾシン、クロロゾトシンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0113】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法もしくは化学療法との併用により、膵臓ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0114】
膀胱ガン
幾つかの態様は、膀胱ガン、好ましくは膀胱の移行上皮ガンを治療する方法を提供する。膀胱ガンは、尿路上皮ガン(移行上皮ガン)、または膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞の腫瘍である。膀胱ガンの他の症例は、扁平上皮ガン、腺ガンおよび小細胞ガンである。非浸潤性または浸潤性であるか、さらに乳頭状または平坦状であるかに依存して、尿路上皮ガンの幾つかのサブタイプが存在する。非浸潤性腫瘍は、膀胱の最も内側の層である尿路上皮に存在し、一方、浸潤性腫瘍は、尿路上皮から膀胱の主要筋肉壁のより深い層まで広がっている。浸潤性乳頭状尿路上皮ガンは、膀胱の中空に枝分かれし、さらに膀胱壁内へと外側に向かって成長する、細長い指状突起である。非浸潤性乳頭状尿路上皮腫瘍は、膀胱の中心に向かって成長する。非浸潤性の平坦状尿路上皮腫瘍(扁平上皮内ガンとも呼ばれる)は、膀胱内部の中空部分に最も近い細胞層に限局しているが、浸潤性の平坦状尿路上皮ガンは、膀胱のより深い層、特に筋肉層に浸潤する。
【0115】
膀胱ガンを治療するために、外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法またはそれらの組合せが適用されうる。幾つかの考えられる外科的選択肢は、経尿道的切除術、膀胱切除術、または根治的膀胱切除術である。膀胱ガンのための放射線療法には、外照射療法および近接照射療法がある。
【0116】
免疫療法は、膀胱ガン患者を治療するために使用されうるもう一の方法である。典型的には、これは膀胱内で行なわれ、治療剤がカテーテルを通して膀胱に直接投与される。1つの方法は、結核予防接種で使用されることもある細菌がカテーテルを通して膀胱に直接投与される、Bacillus Calmete−Guerin(BCG)である。体内で細菌に対する免疫反応が開始され、それがガン細胞を攻撃し、死滅させる。
【0117】
免疫療法のもう一の方法は、免疫反応を調節する糖タンパク質であるインターフェロンの投与である。インターフェロンアルファは、膀胱ガンを治療するために使用されることが多い。
【0118】
膀胱ガンを治療するための化学療法において使用されうる抗ガン剤には、チテパ、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、イホスファミド、ゲムシタビンまたはそれらの組合せが含まれる。
【0119】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、たはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法またはそれらの組合せとの併用により、膀胱ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0120】
急性骨髄性白血病
幾つかの態様は、急性骨髄性白血病(AML)、好ましくは末梢血の急性前骨髄球性白血病を治療する方法を提供する。AMLは、骨髄に発生するが、リンパ節、肝臓、脾臓、中枢神経系および睾丸を含む、体の他の部分に広がる場合がある。それは急性であり、このことはそれが急速に発生し、数ヵ月以内に治療されないと致命的になりうることを意味している。AMLは、再生して蓄積し続ける通常は顆粒球または単球である未熟骨髄細胞として特徴付けられる。
【0121】
AMLは、免疫療法、放射線療法、化学療法、骨髄または末梢血幹細胞移植またはそれらの組合せにより治療されうる。放射線療法には、外照射療法が含まれ得て、副作用を示すことがある。AMLを治療するための化学療法で使用されうる抗ガン剤には、シタラビン、アントラサイクリン、アントラセネジオン、イダルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、チオグアニン、ビンクリスチン、プレドニゾン、エトポシドまたはそれらの組合せが含まれる。
【0122】
AML患者を治療するために、モノクローナル抗体療法が使用されうる。体内の白血病細胞を死滅させる手段を得るために、患者に投与する前にこれらの抗体に小分子または放射性化学物質を結合させることができる。AML細胞上でCD33と結合するモノクローナル抗体ゲムツズマブオゾガマイシンを使用して、従来の化学療法レジメンに耐えられないAML患者を治療しうる。
【0123】
AML患者を治療するために、骨髄または末梢血幹細胞移植が使用されうる。幾つかの考えられる移植法には、同種移植または自己移植がある。
【0124】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法または移植療法との併用により、白血病患者に有益な効果を提供しうる。
【0125】
限定されないが、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄異形成および骨髄増殖性疾患を含む、本発明により提供される方法で治療することもできる他のタイプの白血病がある。
【0126】
肺ガン
幾つかの態様は、肺ガンを治療する方法を提供する。最も一般的なタイプの肺ガンは、肺ガンの約80〜85%を占める非小細胞肺ガン(NSCLC)であり、扁平上皮細胞ガン、腺ガンおよび大細胞未分化ガンに分類される。小細胞肺ガンは、肺ガンの15〜20%を占める。
【0127】
肺ガン治療の選択肢には、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、光線力学療法またはそれらの組合せがある。肺ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、区域切除術もしくは楔状切除術、肺葉切除術または肺全摘術である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0128】
肺ガンを治療するための化学療法で使用されうる幾つかの抗ガン剤には、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ゲフィチニブ、イホスファミド、メトトレキサートまたはそれらの組合せが含まれる。光線力学療法(PDT)は、肺がん患者の治療に使用されうる。
【0129】
本明細書で記載される方法は、トロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、肺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0130】
皮膚ガン
幾つかの態様は、皮膚ガンを治療する方法を提供する。皮膚が原発組織となる幾つかのタイプのガンが存在する。最も一般的なタイプは、非黒色腫皮膚ガンである、基底細胞ガンおよび扁平上皮細胞ガンである。光線角化症は、時として扁平上皮細胞ガンに発展することのある皮膚症状である。非黒色腫皮膚ガンは、めったに体の他の部分に広がらない。皮膚ガンの最も稀な形態である黒色腫は、周囲組織に浸潤して体の他の部分に広がる可能性が高い。外科手術、放射線療法、化学療法および光線力学療法を含む、様々なタイプの治療法が、非黒色腫および黒色腫皮膚ガンや光線角化症の患者に利用しうる。皮膚ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢には、モース顕微鏡手術、単純切除術、電気凝固および掻爬術、凍結外科手術、レーザー外科手術が挙げられる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。臨床試験で試験されている他のタイプの治療法は、生物療法または免疫療法、化学免疫療法、フルオロウラシルによる局所的化学療法、および光線力学療法である。
【0131】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、膀胱ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0132】
眼ガン、網膜芽細胞腫
幾つかの態様は、眼の網膜芽細胞腫を治療する方法を提供する。網膜芽細胞腫は、網膜の悪性腫瘍である。網膜芽細胞腫はどの年齢でも発症しうるが、通常は5才前の低年齢の小児に発症することが最も多い。腫瘍は片眼だけ、または両眼の場合もある。通常、網膜芽細胞腫は眼に限定され、周囲組織または体の他の部分に広がることはない。患者を治して視力を保つようにする治療の選択肢には、摘出術(眼球を摘出する外科手術)、放射線療法、凍結療法、光凝固術、免疫療法、温熱療法および化学療法がある。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0133】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、凍結療法、光凝固術、温熱療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、眼の網膜芽細胞腫の患者に有益な効果を提供しうる。
【0134】
眼ガン、眼内黒色腫
幾つかの態様は、眼内(眼球)黒色腫を治療する方法を提供する。稀なガンである眼内黒色腫は、ブドウ膜と呼ばれる眼の部分にガン細胞が見られる疾患である。ブドウ膜は、虹彩、毛様体および脈絡膜を含む。眼内黒色腫は、中年層の人々に発症することが最も多い。眼内黒色腫の治療法には、外科手術、免疫療法、放射線療法およびレーザー療法が含まれる。外科手術は、眼内黒色腫の最も一般的な治療法である。幾つかの考えられる外科的選択肢には、虹彩切除術、虹彩線維柱帯切除術、虹彩毛様体切除術、脈絡膜切除術、摘出術および眼嵩内容除去術がある。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。レーザー療法は、腫瘍を破壊する強力な強い光線、温熱療法または光凝固術でありうる。
【0135】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、レーザー療法もしくはそれらの組合せとの併用により眼内黒色腫患者に有益な効果を提供しうる。
【0136】
子宮内膜ガン
幾つかの態様は、子宮内膜ガンを治療する方法を提供する。子宮内膜ガンは、子宮の内層である子宮内膜に発生するガンである。子宮および子宮内膜のガンの幾つかの例には、限定されないが、腺ガン、腺棘細胞腫、腺扁平上皮ガン、乳頭状漿液性腺ガン、透明細胞腺ガン、子宮肉腫、間質性肉腫、悪性中胚葉性混合腫瘍および平滑筋肉腫がある。
【0137】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、光線力学療法、抗血管形成療法、免疫療法もしくはそれらの組合せとの併用により、子宮内膜ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0138】
肝ガン
幾つかの態様は、原発性肝ガン(肝臓に発生するガン)を治療する方法を提供する。原発性肝ガンは、成人と小児との両方に発症する。様々なタイプの治療法が原発性肝ガンの患者に利用されうる。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法および経皮的エタノール注入が含まれる。使用されうる外科手術のタイプは、凍結外科手術、部分肝切除術、肝臓全摘出術および高周波アブレーションである。放射線療法は、外照射療法、近接照射療法、放射線増感剤または放射性標識抗体でありうる。他のタイプの治療法には、温熱療法および免疫療法が含まれる。
【0139】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮的エタノール注入、温熱療法、免疫療法もしくはそれらの組合せの併用により、肝ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0140】
腎臓ガン
幾つかの態様は、腎臓ガンを治療する方法を提供する。腎臓ガン(腎細胞ガンまたは腎臓腺ガンとも呼ばれる)は、腎臓の尿細管の内層に悪性細胞が見られる疾患である。腎臓ガンは、外科手術、放射線療法、化学療法および免疫療法により治療されうる。腎臓ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢には、腎部分切除術、単純腎摘出術および根治的腎摘出術が挙げられる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。幹細胞移植術が、腎臓ガンの治療に使用されうる。
【0141】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、幹細胞移植術もしくはそれらの組合せとの併用により、腎臓ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0142】
甲状腺ガン
幾つかの態様は、甲状腺ガンを治療する方法を提供する。甲状腺ガンは、甲状腺組織に(悪性)ガン細胞が見られる疾患である。4つの主要なタイプの甲状腺ガンは、乳頭状、濾胞状、髄様および未分化ガンである。甲状腺ガンは、外科手術、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法および化学療法により治療されうる。外科手術は、甲状腺ガンの最も一般的な治療法である。甲状腺ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、肺葉切除術、ほぼ完全な甲状腺摘出術、甲状腺全摘出術およびリンパ節摘出術である。放射線療法は外照射療法であり得て、または放射性ヨウ素を含有する液体の摂取を必要とする場合もある。ホルモン療法は、ガン細胞の成長を停止させるホルモンを使用する。甲状腺ガンを治療するとき、身体によるガン細胞を成長させる他のホルモンの生産を停止させるために、ホルモンが使用されうる。
【0143】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、甲状腺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0144】
AIDS関連ガン
AIDS関連リンパ腫
幾つかの態様は、AIDS関連リンパ腫を治療する方法を提供する。AIDS関連リンパ腫は、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のリンパ系に悪性細胞が発生する疾患である。AIDSは、体の免疫系を攻撃して弱らせる、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により引き起こされる。その後、免疫系は、身体を侵す感染症および疾患に対抗することができなくなる。HIV疾患の患者は、感染症、リンパ腫および他のタイプのガンを発生させるリスクが高くなる。リンパ腫は、リンパ系の白血球に影響を及ぼすガンである。リンパ腫は、2つの一般的タイプ:ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫に分類される。ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫は、共にAIDS患者に発症するが、非ホジキンリンパ腫の方が一般的である。AIDS患者が非ホジキンリンパ腫を有する場合、それはAIDS関連リンパ腫と呼ばれる。非ホジキンリンパ腫は、緩慢性(成長が遅い)または進行性(成長が速い)でありうる。AIDS関連リンパ腫は通常、進行性である。3つの主要なタイプのAIDS関連リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫および小型非分割細胞性リンパ腫である。
【0145】
AIDS関連リンパ腫の治療は、リンパ腫の治療とAIDSに対する治療とを併用する。AIDS患者の免疫系は弱まっており、治療はさらにダメージを与えることがある。このため、AIDS関連リンパ腫を有する患者は通常、AIDSではないリンパ腫患者より低い投与量の薬剤で治療される。HIVの進行を遅らせるために、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が使用される。重症の場合もある感染症を予防および治療するための薬剤もまた使用されうる。AIDS関連リンパ腫は、化学療法、免疫療法、放射線療法および幹細胞移植を伴う高用量化学療法により治療されうる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。AIDS関連リンパ腫は、モノクローナル抗体療法により治療されうる。
【0146】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と化学療法、放射線療法、高用量化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、AIDS関連リンパ腫患者に有益な効果を提供しうる。
【0147】
カポジ肉腫
幾つかの態様は、カポジ肉腫を治療する方法を提供する。カポジ肉腫は、口、鼻および肛門の内側を覆う皮膚または粘膜下の組織にガン細胞が見られる疾患である。古典的カポジ肉腫は通常、ユダヤ人、イタリア人または地中海人種の高齢男性に発症する。このタイプのカポジ肉腫は、ゆっくりと、時として10〜15年にわたって進行する。カポジ肉腫は、免疫抑制剤を服用している人に発生することもある。後天性免疫不全症候群(AIDS)を有する患者のカポジ肉腫は、流行性カポジ肉腫と呼ばれる。AIDS患者のカポジ肉腫は通常、他の種類のカポジ肉腫よりも急速に広がり、大抵は体の多くの部分で見られる。カポジ肉腫は、外科手術、化学療法、放射線療法および免疫療法により治療されうる。外照射療法は、カポジ肉腫の一般的な治療法である。カポジ肉腫を治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、局所切除術、電気凝固および掻爬術、凍結療法である。
【0148】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法もしくはそれらの組合せとの併用により、カポジ肉腫に有益な効果を提供しうる。
【0149】
ウイルス誘導性ガン
幾つかの態様は、ウイルス誘導性ガンを治療する方法を提供する。幾つかのウイルスが、特定の悪性腫瘍の病因における明らかな、または可能性の高い原因因子となっている。これらのウイルスは、通常の潜在性を確立するか、または殆ど持続的感染性を有しないものもある。腫瘍形成は恐らく、感染宿主のウイルス活性化の増強と関係しており、大量のウイルス量または免疫制御の障害を反映している。主要なウイルス悪性腫瘍系には、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)および肝細胞ガン;ヒトリンパ向性ウイルス1型(HTLV−1)および成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒト乳頭腫ウイルス(HPV)および子宮頸ガンが含まれる。一般に、これらの悪性腫瘍は、人生の比較的早い時期に発症し、典型的には中年以前をピークとする。
【0150】
ウイルス誘導性肝細胞ガン
HBVおよびHCVの両方と、肝細胞ガンまたは肝ガンとの間の因果関係は、実質的な疫学的証拠により確定されている。両方共、細胞死およびその後の再生を引き起こすことにより、肝臓の長期複製を通して作用すると思われる。様々なタイプの治療法が、肝ガンの患者に利用されうる。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法および経皮的エタノール注入が含まれる。使用されうる外科手術のタイプは、凍結外科手術、部分肝切除術、肝臓全摘出術および高周波アブレーションである。放射線療法は、外照射療法、近接照射療法、放射線増感剤または放射性標識抗体でありうる。他のタイプの治療法には、温熱療法および免疫療法が含まれる。
【0151】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮的エタノール注入、温熱療法、免疫療法もしくはそれらの組合せの併用により、肝細胞ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0152】
ウイルス誘導性成人T細胞白血病/リンパ腫
HTLV−1と成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)との間の関連性は、しっかりと確立している。世界中で見られる他の発ガンウイルスとは異なり、HTLV−1は地理的に非常に制限されており、主として日本南部、カリブ海、西アフリカ、中央アフリカおよび南太平洋諸島に見られる。因果関係の証拠には、殆ど全部のATL症例における保菌者のウイルスゲノムのモノクローナルな組込みがある。HTLV−1関連の悪性腫瘍のリスク因子は、周産期感染症であり、高ウイルス量であり、および男性であるということであると思われる。
【0153】
成人T細胞白血病は、血液および骨髄のガンである。成人T細胞白血病/リンパ腫の標準的な治療法は、放射線療法、免疫療法および化学療法である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。他の成人T細胞白血病/リンパ腫の治療法には、免疫療法および幹細胞移植を伴う高用量化学療法が含まれる。
【0154】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法、免疫療法、幹細胞移植を伴う高用量化学療法もしくはそれらの組合せの併用により、成人T細胞白血病患者に有益な効果を提供しうる。
【0155】
ウイルス誘導性子宮頸ガン
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による子宮頸部の感染は、子宮頸ガンの最も一般的な原因である。しかしながら、HPVに感染しているすべての女性が子宮頸ガンを発現するわけではない。子宮頸ガンは通常、ゆっくり時間をかけて発生する。ガンが頸部に現れる前に、頸部の細胞は、頸部組織に正常ではない細胞が現れ始める、異形成として知られている変化をする。その後、ガン細胞は成長し始め、頸部に深く、さらに周囲の領域まで広がる。子宮頸ガンの標準的な治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。使用されうる外科手術のタイプは、円錐切除術、子宮全摘出術、両側卵管卵巣摘出術、根治的子宮摘出術、骨盤内容除去術、凍結外科手術、レーザー外科手術および電気外科的ループ切除法である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0156】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、成人子宮頸ガンに有益な効果を提供しうる。
【0157】
CNSガン
脳および脊髄の腫瘍は、中枢神経系(CNS)の主要な構成要素である頭蓋骨または骨性脊柱の内部に見られる組織の異常な成長である。良性腫瘍は非ガン性であり、悪性腫瘍はガン性である。CNSは堅い骨の4分の1の内部(すなわち頭蓋骨および脊柱)に収まっており、そのため良性・悪性に関らず、あらゆる異常成長が感受性組織に圧力を加えて機能を損なう可能性がある。脳または脊髄で発生する腫瘍は、原発性腫瘍と呼ばれる。殆どの原発性腫瘍は、ニューロンを取り囲んで支える細胞の中で生じる制御できない成長により引き起こされる。少数の人達において、原発性腫瘍は、特定の遺伝的疾患(例えば神経線維腫症、結節硬化症)、または放射線被爆または発ガン性化学物質に起因する。殆どの原発性腫瘍の原因は、いまだに未解明である。
【0158】
脳および脊柱腫瘍を診断するための最初の試験は、神経学的検査である。特殊なイメージング技術(コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴イメージング、ポジトロン放出断層撮影法)もまた採用される。臨床検査には、EEGおよび脊椎穿刺がある。疑わしい腫瘍から組織試料が採取される外科的処置である生検は、医師が腫瘍のタイプを診断する手助けとなる。
【0159】
腫瘍は、発生したと思われる細胞の種類に従って分類される。成人の最も一般的な原発性脳腫瘍は、血液脳関門を構成し、中枢神経系の栄養摂取に関与する、星状細胞と呼ばれる脳内細胞に由来する。これらの腫瘍は、神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫または多形性膠芽腫)と呼ばれ、すべての原発性中枢神経系腫瘍の65%を占める。幾つかの腫瘍は、限定されないが、乏突起膠腫、上衣細胞腫、髄膜腫、リンパ腫、神経鞘腫および髄芽細胞腫である。
【0160】
CNSの神経上皮腫瘍
星状細胞腫瘍、例えば星状細胞腫;未分化(悪性)星状細胞腫(例えば大脳半球、間脳、視神経、脳幹、小脳);多形性膠芽腫;毛様細胞性星状細胞腫(例えば大脳半球、間脳、視神経、脳幹、小脳);上衣下巨細胞性星状細胞腫;および多形性黄色星状膠細胞腫。乏突起膠細胞系腫瘍、例えば乏突起膠腫;および未分化(悪性)乏突起膠腫。上衣細胞腫瘍、例えば上衣細胞腫;未分化上衣細胞腫;粘液乳頭状上衣腫;および上衣下腫。混合性神経膠腫、例えば混合性乏突起星状細胞腫;未分化(悪性)乏突起星状細胞腫;および他のもの(例えば上衣腫−星状細胞腫)。原因不明の神経上皮腫瘍、例えば極性海綿芽細胞腫;星状芽細胞腫;および大脳膠腫症。脈絡叢の腫瘍、例えば脈絡叢乳頭腫;および脈絡叢ガン(未分化脈絡叢乳頭腫)。神経細胞系および混合神経細胞・膠細胞腫瘍、例えば神経節細胞腫;小脳の異形成神経節細胞腫(レルミット−デュクロ病);神経節膠腫;未分化(悪性)神経節膠腫;線維形成性乳児神経節膠腫、例えば線維形成性乳児星状細胞腫;中枢神経細胞腫;胚芽異形成性神経上皮腫瘍;嗅神経芽細胞腫(鼻腔神経芽細胞腫)。松果体実質腫瘍、例えば松果体細胞腫;松果体芽細胞腫;および混合型松果体細胞腫/松果体芽細胞腫。神経芽細胞またはグリア芽細胞要素を有する腫瘍(胎児性腫瘍)、例えば髄様上皮腫;分化多能性を有する原始神経外胚葉腫瘍、例えば髄芽細胞腫;脳性原始神経外胚葉腫瘍;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫および上衣芽細胞腫。
【0161】
他のCNS新生物
トルコ鞍部腫瘍、例えば下垂体腺腫;下垂体ガン;および頭蓋咽頭腫。造血性腫瘍、例えば原発性悪性リンパ腫;形質細胞腫;および顆粒球性肉腫。胚細胞腫瘍、例えば胚細胞腫;胎生期ガン;卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍);絨毛腫;奇形腫;および混合性胚細胞腫瘍。髄膜の腫瘍、例えば髄膜腫;異型髄膜腫および未分化(悪性)髄膜腫。髄膜の非髄膜皮性腫瘍、例えば良性間葉;悪性間葉;原発性色素細胞性病変;造血系新生物;および原因不明の腫瘍、例えば血管芽細胞腫(毛細血管芽細胞腫)。脳神経および脊髄神経の腫瘍、例えば神経鞘腫(神経線維腫症、神経鞘腫);神経繊維腫;悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫)、例えば類上皮、分岐的な間葉または上皮分化、および黒色性。局所的腫瘍からの局所伸展、例えば傍神経節腫(ケモデクトーマ);脊索腫;軟骨腫;軟骨肉腫;およびガン腫。転移性腫瘍、未分類腫瘍および嚢胞および腫瘍様病変、例えばラトケ嚢胞;類表皮;類皮;第3脳室のコロイド嚢胞;陽性嚢胞;神経膠嚢胞;顆粒球腫瘍(コリストーマ、下垂体細胞腫);視床下部神経細胞過誤腫;鼻腔内異所性グリア組織;および形質細胞肉芽腫。
【0162】
利用できる化学療法剤は、限定されないが、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、BCNU、CCNU、デカルバジン、プロカルバジン、ブスルファンおよびチオテパ;代謝拮抗剤、例えばメトトラキサート、5−フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標))、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンおよびクラドリビン;アントラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシンおよびミトキサントロン;抗体、例えばブレオマイシン;カンプトセシン、例えばイリノテカンおよびトポテカン;タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;白金製剤、例えばシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンである。
【0163】
治療法は、外科手術、放射線療法、免疫療法、温熱療法、遺伝子療法、化学療法、および放射線療法と化学療法の併用である。また、医師は、CNS内部の腫脹を減少させるために、ステロイドを処方することもできる。
【0164】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、成人子宮頸ガンに有益な効果を提供しうる。
【0165】
PNSガン
末梢神経系は、脳および脊髄から分岐した神経で構成される。これらの神経は、CNSと身体部分との間に通信ネットワークを形成する。末梢神経系はさらに、体性神経系および自律神経系に分けられる。体性神経系は、皮膚および筋肉まで届いて意識活動に関与する神経で構成される。自律神経系は、CNSを心臓、胃および腸のような内臓と連結する神経で構成される。それは無意識の活動を媒介する。
【0166】
聴神経腫は、第8脳神経または内耳神経とも呼ばれる平衡神経で発生する、良性の線維成長である。これらの腫瘍は悪性ではない。すなわち、体の他の部分に広がったり転移したりしない。これらの腫瘍の場所は、脳幹の生命維持に必要な脳中枢に隣接した頭蓋骨内部の奥深くにある。腫瘍が拡大するにつれて、これらは生体機能と関係のある周囲構造を含むようになる。大多数の症例において、これらの腫瘍は何年もの期間にわたってゆっくりと成長する。
【0167】
悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は、神経繊維腫および神経鞘腫のような良性軟組織腫瘍に対応する悪性のものである。それは深部軟組織で、通常は神経幹の近くで最もよく見られる。最も一般的な部位には、坐骨神経、腕神経叢および仙骨神経叢が含まれる。最も一般的な症候は、通常は生検を促すほどの痛みである。それは通常、成人の三叉神経の感覚枝で発生する、稀で侵襲性の致命的な眼窩新生物である。悪性のPNS腫瘍は、神経に沿って広がり脳を巻き込んで、殆どの患者は臨床診断から5年以内に死亡する。MPNSTは、類上皮、間葉または腺の特性を有する3つの主要なカテゴリーに分類される。幾つかのMPNSTは、限定されないが、軟骨性分化を伴う皮下悪性類上皮神経鞘腫、腺性悪性神経鞘腫、神経鞘分化を伴う悪性末梢神経鞘腫瘍、横紋筋様特徴を有する皮膚の類上皮悪性神経鞘腫瘍、表在性類上皮MPNST、トリトン腫瘍(横紋筋芽細胞分化を伴うMPNST)、横紋筋芽細胞分化を伴う神経鞘腫を含む。稀なMPNSTの症例には、多発性肉腫組織タイプ、特に骨肉腫、軟骨肉腫および血管肉腫が含まれる。これらは、軟組織の悪性間葉腫と区別できないことがある。
【0168】
他のタイプのPNSガンには、限定されないが、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫および悪性ミュラー管混合腫瘍がある。
【0169】
治療法は、外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法、および放射線療法と化学療法との併用である。
【0170】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せの併用により、PNSガンに有益な効果を提供しうる。
【0171】
口腔および口腔咽頭ガン
中枢神経系(CNS)ガン患者の管理は、いまだ手ごわい仕事である。下咽頭ガン、喉頭ガン、鼻咽腔ガン、口腔咽頭ガンなどのようなガンは、外科手術、免疫療法、化学療法、化学療法と放射線療法との併用により治療されている。トポイソメラーゼIIを阻害する、一般に使用される2種の抗腫瘍薬であるエトポシドおよびアクチノマイシンDは、有用な量で血液脳関門を越えることができない。
【0172】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、口腔および口腔咽頭ガンに有益な効果を提供しうる。
【0173】
胃ガン
胃ガンは、胃の内層で起こる細胞変化の結果である。3つの主要なタイプの胃ガン:リンパ腫、胃間質腫瘍およびカルチノイド腫瘍が存在する。リンパ腫は、胃壁に時々見られる免疫系組織のガンである。胃間質腫瘍は、胃壁の組織で発生する。カルチノイド腫瘍は、胃のホルモン産生細胞の腫瘍である。
【0174】
胃ガンの原因については、議論が続けられている。遺伝および環境(食事、喫煙など)のあらゆる組合せが関与すると思われる。治療に対する一般的なアプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法がある。
【0175】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【0176】
睾丸ガン
睾丸ガンは、典型的には若年男性の片方または両方の睾丸で発生するガンである。睾丸のガンは、胚細胞として知られる特定の細胞で発生する。男性に発症する2つの主要なタイプの胚細胞腫瘍(GCT)は、精上皮腫(60%)と非精上皮腫(40%)である。また、腫瘍は、睾丸の支持組織およびホルモン産生組織、すなわち間質に発生することもある。そのような腫瘍は、非腺間質腫瘍として知られている。2つの主要なタイプは、ライディヒ細胞腫およびセルトリ細胞腫である。二次性睾丸腫瘍は、他の器官で発生し、睾丸に広がった腫瘍である。リンパ腫は、最も一般的な二次性睾丸ガンである。
【0177】
治療に対する一般的なアプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法が含まれる。典型的には、睾丸ガンを治療するために、幾つかの薬剤:プラチノール(シスプラチン)、ベプシドまたはVP−16(エトポシド)およびブレノキサン(硫酸ブレオマイシン)が使用される。さらに、イフェックス(イホスファミド)、ベルバン(硫酸ビンブラスチン)などが使用されうる。
【0178】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【0179】
胸腺ガン
胸腺は、咽喉の基部から心臓の前方まで延びる、胸部の上部/前部にある小さな器官である。胸腺は、2つの主要なタイプの細胞である、胸腺上皮細胞およびリンパ球を含む。胸腺上皮細胞は、胸腺腫および胸腺ガンの起源となりうる。胸腺であろうとリンパ節であろうと、リンパ球は、悪性になってホジキン病および非ホジキンリンパ腫と呼ばれるガンに進行しうる。胸腺はまた、通常は特定のホルモンを放出するクルチツキー細胞と呼ばれる、それほど一般的ではないもう一つのタイプの細胞、すなわち神経内分泌細胞を含む。これらの細胞は、同じタイプのホルモンを放出することが多く、そして体の他の部分で神経内分泌細胞から発生する他の腫瘍と類似する、カルチノイドまたはカルチノイド腫瘍と呼ばれるガンを引き起こすこともある。
【0180】
治療に対する一般的アプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法が含まれる。胸腺腫および胸腺ガンの治療において使用されている抗ガン剤は、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、イホスファミド、およびコルチコステロイド(プレドニゾン)である。大抵、これらの薬剤は、有効性を高めるために併用して投与される。胸腺ガンを治療するために使用される組合せには、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシドおよびシクロホスファミド、並びにシスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよびビンクリスチンの組合せがある。
【0181】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法またはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【実施例】
【0182】
実施例1
水、酸、塩基および塩化ナトリウムに対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドのベースライン溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(“BA”)が、精製水、0.01M HCl(pH2)、0.01M NaOH(pH13)、および0.9%NaCl中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度がHPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表1に示される。
【0183】
【表1】
【0184】
表1を見てわかるように、可溶化剤を含まないBAの水に対する溶解度は、0.2mg/ml以下である。BAの水に対する溶解度の増加を計算するために、0.2mg/mlをBAのベースライン溶解度とし、それに対して様々な可溶化剤が試験された。
【0185】
実施例2
シクロデキストリンを加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Roquette社製のKleptose(登録商標))(HPBCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(Cydex 社製のCaptisol(登録商標))(SBEBCD)、およびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(Wacker 社製のCavamax W8(登録商標)(HPGCD)を含む様々な濃度のシクロデキストリンを含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表2に示される。薬剤の溶解度対HPBCD濃度のプロットは、図1に示される。
【0186】
【表2】
【0187】
実施例3
界面活性剤を加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、様々な濃度の界面活性剤:ポリエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン[20]ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、クレモフォールEL(BASF)、クレモフォールRH40(BASF)、ポロキサマー118、およびソルトールHS−15(BASF)を含有する精製水中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表3に示される。
【0188】
【表3】
【0189】
実施例4
共溶媒を加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ポリエチレングリコール(PEG)400、およびプロピレングリコールを含む様々な共溶媒を含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表4に示される。
【0190】
【表4】
【0191】
実施例5
混合系に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、可溶化剤の混合物を含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表5に示される。
【0192】
【表5】
【0193】
実施例6
製剤試験
張度調整剤の添加:10ml容量の溶液での最初の試験は、張度張性剤として塩化ナトリウムの使用について調べられた。それを含ませると、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)の使用と関係がある溶血のレベルを減少させることができるためである。
【0194】
浸透圧測定:浸透圧の測定は、Roebling氷点降下法浸透圧計を使用して実行された。
【0195】
25%HPβCD溶液の浸透圧はすでに249mOsmol/kgであるから、張度調整剤を加えると、高張液が生成されることとなる(表6を参照されたい)。しかしながら、少量の張度調整剤の添加では、幾つかの製剤賦形剤と関係がある化学的溶解のレベルを減少させることもある。僅かに高張の溶液は通常、静脈内投与に対して十分に耐性がある。
【0196】
pH測定:製剤が良好な耐性を示す製剤を得るために適切であるか否かを判断するために、pHが測定された。
【0197】
配合試験(30mlまたは50mlのロット)は、表6にまとめられている:
【0198】
【表6】
【0199】
2つの試験が実行された:
1. 300mgのBAが、30mlの25%HPBCD(0.6%の生理食塩水を含有する)に加えられ、磁気撹拌器を使用して混合された。薬剤物質は、4時間以内に溶解した。これは実行可能な製造工程にとって許容し難いほど長時間であるとみなされ、薬剤物質を直接HPBCDに溶解する工程を含む手順を評価することに決められた。
2. 第2の試験において、500mgのBAは、50mlの25%HPBCDビヒクル(生理食塩水を含まない)に約90分で溶解した。BAの溶解速度はより許容される時間であるとみなされ、これは、実行可能なより大規模な工程への展望を示す。薬剤物質が溶解した後に、さらなる賦形剤が添加されうる。
【0200】
総合すれば、これらの観察結果は、生理食塩水が恐らくイオン強度の結果として薬剤の(動的)溶解度を減少させうることを示唆している。食塩の存在下での溶解度低下のさらなる証拠は、ろ過試験(下記)から収得された。
【0201】
ろ過:上記の溶液は、0.2μmのシリンジフィルターを通して十分にろ過され得た。
【0202】
驚くべきことに、上記の溶液#2を0.2μmのPVDF ディスクフィルターを通してろ過すると沈殿を生じた。このことは、塩水の添加がBAの溶解度低下をもたらすことを示唆している。
【0203】
そのため、別の張度調整剤(例えばグルコースおよび緩衝剤)が調べられた。
【0204】
グルコース(10ml〜25mlの容量)による張度調整:様々な濃度のグルコースおよび10mMの緩衝剤(リン酸水素二ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物)を含有する25%HPBCD中におけるBAの溶液が調製された。前記のようにして、pHおよび浸透圧が測定された。結果は、表7に示される。
【0205】
グルコースの溶液(約25mlの容量)およびリン酸緩衝溶液は、0.2μmのPVDFシリンジフィルターを通して十分にろ過され得た。
【0206】
リン酸緩衝系の使用は、より安定したpHが得られるため、非緩衝系と比べて有利でありうる。さらなる利点は、10mMのリン酸緩衝剤濃度が血液とほぼ等張である製剤を与えることである。
【0207】
溶血試験
手順の要約:本手順には、1mlのヒツジの血液を製剤の試料(0.1mlおよび0.25ml)に加えることが含まれる。試料はボルテックス混合され、0.9%生理食塩水で希釈され、さらに混合、遠心(1500r.p.m.)され、溶解により生じるヘモグロビンの存在を示す赤色の証拠がないか観察された。0.1mlの上澄みが2mlの0.9%生理食塩水で希釈され、さらに5分間遠心された。そして、その溶液は、陽性対照(0.9%塩水;溶血がない)および陰性対照(水;完全に溶血する)と比較された。
【0208】
結果:リン酸緩衝溶液またはグルコース調整溶液は、どちらも溶血の証拠を示さなかった。非常に薄いピンク色が試料中で観察されたが、その強さは陽性対照の生理食塩水と同程度であった。この手順の過程で、使用したヒツジの血液のロットは、陽性対照の色の度合いに影響を及ぼす場合があると指摘されている。
【0209】
【表7】
【0210】
結論:10mMのリン酸緩衝溶液は、次の事柄から特に興味深い:(a)pHは血液に近い;(b)溶液のpHは保存時に安定したままである;(c)リン酸緩衝製剤(296mOsmol/kg)の浸透圧は血液に近い;(d)等張性を達成するために別の張度調整剤を含ませる必要がない;(e)張度調整剤を含まないリン酸緩衝製剤は沈殿のリスクなしにろ過できると思われる;(f)塩水(沈殿を引き起こす)およびグルコース(オートクレーブ時に分解して5−HMFを生成する可能性がある)の使用を回避しうる;リン酸塩は、CDと複合体を形成しないと言われているために、溶解度は影響を受けないと報告されている。
【0211】
実施例7
経口製剤の試験
微粉化したBAを使用して、6種のカプセル(経口)製剤が開発された。造粒したBAを含有するカプセルからなる4種の製剤が、次のようにして調製された:
界面活性剤なしの微粉化BA
界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む微粉化BA
界面活性剤としてポロキサマー188を含む微粉化BA
界面活性剤としてポリソルベート80を含む微粉化BA
【0212】
そして、ホットメルト押出された(非晶質)BAを含有するカプセルからなる2種の製剤が調製された:
1. 30:70のBA:ポリマー比を有するホットメルト押出製剤;それぞれのカプセルは100mgのBAを含有する。
2. 10:90のBA:ポリマー比を有するホットメルト押出製剤;それぞれのカプセルは33.3mgのBAを含有する。
【0213】
アルファ化デンプン、Pharmatose DCL21(無水ラクトース)、微結晶性セルロース (MCC)、ポリビニルピロリドンK30(Povidone K30)、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびラウリル硫酸ナトリウムは、市販のものが調達された。4種の製剤は、湿式造粒法により製造された。すべての顆粒内物質の最初の乾式混合は、造粒前に実行された。造粒されたカプセル剤の組成は、下記の表7−1に示される。
【0214】
【表8】
【0215】
乾式混合:計量された微粉化BAが、500μmのふるいを通して選別され、そして顆粒内賦形剤と混合された。これにより、色むらがない鮮やかな黄色のブレンドを得た。各製剤の混合時間は5.00分であった。
【0216】
乾燥ブレンドの水分分析は、乾燥減量(LOD)分析により評価された。各製剤の水分損失の割合は、下記の表7−2に示される。
【0217】
【表9】
【0218】
湿式造粒:BAに対して行なわれた微粉化工程は、粘着性(凝集性)をもたらした。さらなる試験から、BAはロートを容易に流れず、空気にさらされると塊を形成することがわかった。そのため、湿式造粒法を使用して処理が改善された。造粒は、APIおよび賦形剤の顆粒内混合物を混合しながら造粒流体をゆっくり加えることにより行なわれた。表7−3は、造粒流体の添加を示す。
【0219】
【表10】
【0220】
顆粒の選別:顆粒は、ステンレストレイ上で500μmのふるいを通して選別された。
【0221】
顆粒の乾燥:3つの選別された顆粒バッチがオーブンに入され乾燥された;製剤FT06214が、室温で一晩放置されて乾燥された。表7−4は、顆粒の乾燥特性を示す。
【0222】
【表11】
【0223】
顆粒の水分分析:乾燥した顆粒の4つのバッチの含水量が測定された。結果は、表7−5に列挙される。
【0224】
【表12】
【0225】
【表13】
【0226】
追加物質の添加:崩壊を促進するために、過剰量の崩壊剤が製造した顆粒に加えられた;Turbula(登録商標)ミキサーを42rpmの速度で使用して、混合物が10分間ブレンドされた。次に、潤滑剤が最後の賦形剤として加えられ、ミキサーを使用して同じ速度で2分間ブレンドされた。
【0227】
下記の試験を使用して、4つの顆粒バッチのそれぞれが特性決定された。
【0228】
安息角:粒状物質、例えば粉末および顆粒が高い位置からロートに注がれると、それらは角度のある山を形成する。山の直径および高さの値を使用して、安息角が定量される。流動性の低い凝集性物質は注がれると固まる傾向があり;そしてこの凝集力は、高い値の安息角をもたらす。50°以上の値は低い流動性を示し、そして25°に近い角度は優れた流動性を示す。
【0229】
密度の測定:これは、粒状物質の質量をその体積で割ったものである。メスシリンダーの中で粒状物質が占める体積は、その通気した嵩密度(AD)である。物質がタッピングに付されると、タップ密度(TD)が得られる。これらの密度測定は、何れも物質の沈降パターンおよび製剤が占める体積を評価するのに役立つ。本試験では、サイズ0のカプセルを満たすために250mgの充填量が必要である。これらのカプセルは、最大充填容量が0.68mlである。下記の表7−8は、250mgの製剤がサイズ0のカプセルに容易に収まることを示している。
【0230】
Carr指数を使用する圧縮率:限定された空間における粒状物質の体積減少は、その圧縮率の尺度である。これは、粒度、形状、密度および含水量により影響を受けることがある。体積減少の割合は、内容物の通気したタップ密度から推定されうる。体積減少の割合は、通気密度およびタップ密度から推定され得て(式1);それは流動性の指標となる。緻密化のばらつきを示す物質は、典型的には凝集性であり、高い値のCarr指数を有する。下記の表7−7は、Carr指数に基づく流動性の評価を示す。
式1:圧縮率(%)=100%×(タップ密度−通気密度)/タップ密度
【0231】
【表14】
【0232】
【表15】
【0233】
カプセル充填:手動のTorpac(登録商標)カプセル充填装置およびPerry Accofil(登録商標)充填ガンを使用して、各製剤がサイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。各バッチにおいて、20個のカプセルがランダムにサンプリングされ、そしてそれぞれ計量された。結果は、表7−9に記録される。
【0234】
【表16】
【0235】
崩壊試験:3個のカプセルが各製剤バッチから選択され、37℃の温度において崩壊浴中で酸性媒質(pH2.53)による崩壊に付された。それぞれのカプセルの内容物が完全に崩壊する時間は、下記の表7−10に記録される。
【0236】
【表17】
【0237】
すべてのカプセル剤は、即時放出型経口剤形として許容される時間内で崩壊した。
【0238】
ホットメルト押出製剤
API(BA)の結晶から非晶質形態への変換は、ホットメルト押出法により行なわれた。熱可塑性賦形剤(ポリマー)は、溶剤/担体として必要であり、さらに非晶質状態の安定性を高めるために必要である。ポリマーとAPIの混和性は、溶解度パラメーターを使用して評価されうる。一般にカチオン性ポリマーは、アニオン性薬剤物質と混和性である。この場合、Eudragit E100(登録商標)ポリマーの5.1mPaに対して、BAは12.3MPaの極性を有する。70:30および90:10(Eudragit(登録商標)ポリマー:BA)の割合の2種の製剤が開発された。APIおよびポリマーの相溶性を定量するために使用される1つのパラメーターは水素引力であり、それはBAについては11.2cm3、ポリマーについては8.7cm3であり、その差は2.5cm3である。一般に、水素引力の差が7cm3未満であれば許容される。ホットメルト押出のプロセスパラメーターは、下記の表7−11に示される。
【0239】
【表18】
【0240】
ホットメルト製剤:ホットメルト製剤は均一な色(僅かに淡黄色)であった。しかしながら、製剤FT06216はロートを容易に流れず、大きい凝集物を形成した。供給されたAPI:ポリマーマトリックスの密度および流動性を評価する試験が行われ、その結果は下記の表7−12に提示される。
【0241】
【表19】
【0242】
ホットメルト押出物用のの製剤開発:30:70のBA:ポリマーマトリックスの2.4gのバッチが製造され、評価された。製剤および粉末特性は、下記の表7−13および7−14に示される。BA:ポリマーマトリックスが、500μmのふるいを通して選別された。そして、API:ポリマーマトリックスが計量され、ステアリン酸マグネシウムを除く他の賦形剤に加えられた。Turbula(登録商標)ミキサーを使用して、混合物が42rpmで15分間の乾燥混合に付された。最後に潤滑剤が加えられ、残りの製剤成分と42rpmで2分間混合された。
【0243】
【表20】
【0244】
【表21】
【0245】
この製剤のバッチのサイズが小さいため安息角試験を行なうことはできなかった。表7−12の第2欄の結果と比較して、表7−14に示されているように、通気密度およびタップ密度は改善されている。結果はまた、サイズ0のカプセルが、製剤の標的投与量とするために必要な400mgを含有するのに理論的に適していないことを示している。しかしながら、手動でのタッピングにより、カプセルに必要な400mgを充填することができた。実験は、Perry Accofil(登録商標)真空粉末/顆粒ディスペンサーおよびTorpac(登録商標)カプセル化装置を使用して行われた。試験は400mgの充填量で再現性を示した。
【0246】
ホットメルト試験製剤カプセルの崩壊試験:崩壊試験は、3個のサイズ0のカプセルに充填される400mgの製剤ブレンドの手での充填を含むものであった。充填されたカプセルは、2種の異なる流体媒質−水および0.1M塩酸(pH4.08)中での崩壊試験に付された。何れのカプセルも、水または0.1M HCl中、2時間で崩壊しなかった。
【0247】
次に、1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を加えると、製剤は僅かに変化した。カプセルの崩壊試験はpH2.53の酸性媒質中で行なわれ、そしてカプセルは崩壊した。次に、初めの製剤を使用して、SLSを加えずに、崩壊試験がpH2.53の酸性媒質中で繰り返された。これらのカプセルもまた崩壊した。これらの結果は表7−15に示される。
【0248】
【表22】
【0249】
【表23】
【0250】
造粒されたカプセル製剤の崩壊時間は遅かったが、まだ必要な時間の15分以内であった。
【0251】
ホットメルト押出マトリックスの最終製剤:崩壊試験の知見に基づいて、崩壊を促進するように製剤が僅かに変えられた。これは、崩壊が溶解およびインビボの生体利用性の律速段階とならないようにするために行なわれた。2個の最終ホットメルト押出製剤の詳細は下に示される。
【0252】
【表24】
【0253】
表7−17に記載の製剤は、1個のカプセルが99.99mgのBAを含有することを示す。
【0254】
【表25】
【0255】
表7−18に記載の製剤は、1個のカプセルが33.33mgのBAを含有することを示す。したがって、100mgの投与量は、3個のカプセルの投与を必要とする。
【0256】
ホットメルト押出製剤の物理的特性:それぞれの製剤の安息角および密度が、上記の方法に従って測定された。その結果は表7−19に記録される。
【0257】
【表26】
【0258】
製剤FT06216(30:70)は低い流動性であるが、良好なパッキング能力を示す。密栓の容易さは、この製剤をサイズ0のカプセルに再現性良く充填できることを示している。製剤FT06230は良好な流動性および圧縮性を示し;そのため充填容量の再現性が予想され、それぞれのカプセルにおいて400mgで達成された。
【0259】
【表27】
【0260】
造粒した製剤とメルト押出製剤の崩壊プロファイルは近似しており、迅速な崩壊は、低いpH環境で起こる可能性があることを示す。SLS、ポロキサマーまたはポリソルベートのような表面活性剤(界面活性剤)の添加、崩壊剤の量の増加、および追加の希釈剤の使用は、製剤の崩壊を促進した。
【0261】
結論:造粒した製剤は、許容される流動性の顆粒を生産し、それらはサイズ0のカプセルに再現性良く充填された。幾つかのカプセル化製剤への表面活性剤の添加は、顆粒の緻密化および圧縮率を高めた。ホットメルト押出製剤の崩壊は、崩壊剤の量の増加、希釈剤の最適化、および表面活性剤の添加により改善された。
【0262】
実施例8
BAの経口投与
100mgのBA(4−ヨード−3−ニトロベンズアミド)を含有する4種のカプセル製剤が開発された。これらの製剤には次のものが含まれる:
固体状の造粒したBAを含有するカプセル
BAを含む液体含有カプセル
硬質ゼラチンカプセルに充填された半固体(水混和性の基剤)
硬質ゼラチンカプセルに充填された半固体(水分散性の油性基剤)
【0263】
BA(4−ヨード−3−ニトロベンズアミド)は292の分子量を有し、そして融点は159℃である。賦形剤には、部分アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール400、グリセロール、プロピレングリコールモノカプリレート、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ポリエチレングリコール3350およびラウロイルマクロゴルグリセリドがある。それぞれの賦形剤は商業的に調達された。
【0264】
造粒したカプセル製剤は、下記の表8−1に示される。
【0265】
【表28】
【0266】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeゼラチンカプセルに充填された。
【0267】
BAについて50gのバッチが製造された。顆粒は、次の工程に従って製造された:
活性なBAが1000μmのふるいを通して選別され、次に必要な量のふるいにかけた物質が分配された;
必要な量のStarch1500、続いてBA、Avicel PH101、Povidone K30、ExplotabおよびEmpicolがフードプロセッサーに入れられ、金属ブレードで5分間混合された;
混合中に16.38gの水が10分間以上にわたって加えられた;
顆粒を60℃のオーブン中で5時間乾燥した。
【0268】
均一な黄色の顆粒が生成された。これらの顆粒の含水量は4.07%であった。理論含水量は4.0%として計算され、したがって顆粒は乾燥状態であった。
【0269】
顆粒外物質の添加および100個のカプセルの充填は、次の工程に従い行われた:
Explotabが顆粒に添加され、容器中でブレンダーで混合された;
ステアリン酸マグネシウムが顆粒の一部と混合され、そして容器に加えられ、これが42rpmで2分間混合された;
Perry AccofilおよびTorpac カプセル充填器を使用して、100個のカプセルが充填された。3/16インチの充填ガンを使用して250mgの製剤が各カプセルに充填された。
【0270】
液体充填カプセル:次の方法を使用して、様々な溶媒におけるBAの飽和溶解度が測定された:
磁気撹拌棒を備えた8mlのガラス瓶に、約4mlの被試験溶液が入れられた;
過剰のBAがそれぞれ8mlのガラス瓶に加えられ、試料が超音波浴に5分間入られ、確実に過剰のBAが存在するようにし、そして必要に応じてさらにBAが加えられた;
試料が25℃の水浴に入れられ、一晩(少なくとも16時間)撹拌された;
試料が必要に応じて希釈され、そして吸光度が320nmで測定され;油性の試料がジクロロメタンで希釈され、他の試料はアセトニトリルで希釈され;そして
飽和溶解度をが、BAについてのA1%1cm値および溶液の希釈係数から計算された。
【0271】
溶解度増加試験の結果:溶解度増加試験において評価された物質の詳細は、表8−2に示される。
【0272】
【表29】
【0273】
試験された溶液の結果は、表8−3に示される。
【0274】
【表30】
【0275】
これらの結果は、幾つかの配合選択肢があったことを示している。最良の溶解度を有する物質、100%NMPがカプセルに充填されたが、これはカプセルの亀裂を引き起こし、そのため硬質ゼラチンカプセルに適した物質ではない。しかしながら、そのような溶液は他の経口製剤に適切でありうる。
【0276】
PEG400中のソルトールおよびPEG400中のVit E TPGSは、共に溶液の溶解度を増加したが、共に濁った懸濁液を形成した。これらは、他の溶媒と一緒に使用されるならば好適でありうるが、本試験ではそれ以上評価されなかった。
【0277】
PEG400製剤およびDMA/カプムル製剤のカプセルを製造することが決められた。PEG400製剤は水混和性であり、DMA/カプムル製剤は水不混和性である。両方とも異なる経口的生体利用性を有する可能性がある。
【0278】
ポリエチレングリコール400製剤:PEG400は吸湿性であり、カプセル殻から充填物への水の移行を引き起こし、それによりカプセルを脆くする可能性が高い。0.5mlのPEG400をHPMCカプセルに充填すると亀裂が入った;そのため本製剤に適していない。0.5mlのPEG400をゼラチンカプセルに充填すると、それは亀裂が入らなかった;そのためゼラチンカプセルは本製剤に良く適している。水およびグリセロールを製剤に加えることによる、カプセルの脆化防止が試みられた。カプセルに関する製造業者の文献がこの濃度を超えるグリセロール濃度を推奨していないため、最終製剤として5v/v%濃度のグリセロールが選択された。水は、3v/v%の濃度まで加えられた。水およびグリセロールの添加は、カプセルが脆化を防止するのに役立ちうると考えられた。。この製剤は、表8−4に記載される。
【0279】
【表31】
【0280】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。
【0281】
N,N−ジメチルアセトアミド/カプムルPG−8製剤:カプムル中のDMAが、4つの異なる濃度について飽和溶解度試験で試験された。その結果のグラフがプロットされ、図2に示される。図2のグラフから、カプムルPG−8中の35v/v%DMAを含む製剤が選択された。これの飽和溶解度は、約220mg/mlのBAである。
【0282】
カプムル中の30v/v%DMAを含有するプラセボ製剤が、HPMCカプセルに入れられた。カプセルは脆くなり、亀裂が入った。それは製剤がHPMCカプセルに適していないことを示している。カプムル中の40%DMAを含有するプラセボ製剤をゼラチンカプセルに充填すると、脆化または亀裂のどちらも引き起こさなかった; そのためゼラチンカプセルは、本製剤に使用するのに適していると判断された。製剤の詳細は、表8−5に示される。
【0283】
【表32】
【0284】
製剤は、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。
【0285】
カプセル製造−ポリエチレングリコール400製剤:表5に示される製剤の100mlのバッチ(バッチ番号FT06113)が製造された。次の工程が使用された:
グリセロール(6.30gは5mlに相当する;密度=1.26g/ml)が計量され、100ml容量のフラスコに入れられた。
ガラスピペットを使用して3mlの水が加えられた。
PEG400が加えられ、所定の容量とされ、振盪により混合された。
BAが計量され、100mlのガラス瓶に入れられ、PEG溶液を約85mlまで加えた。
得られる混合物が磁気撹拌器で混合され、すべての活性物質が溶解するまで50℃で加熱された。
溶液が100ml容量のフラスコに移され、冷却され、PEG溶液で所定の容量とされ、振盪して混合された。
フィンピペットを使用して、100個のカプセルにそれぞれ0.57mlの溶液が充填された。
ゼラチンバンディング溶液をカプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に塗ることにより、カプセルが密封された。バンディング溶液の詳細は、下に示される。
カプセルは、バンディング溶液が乾燥するまで放置された。
【0286】
N,N−ジメチルアセトアミド/カプムルPG−8製剤:表6に示される製剤の75mlのバッチ(バッチ番号FT06114)が製造された。次の工程が使用された:
28mlのDMAが100mlのメスシリンダーに入れられ、カプムルを80mlまで加えた。
これを振盪して混合した。
BAが計量され、100mlのガラス瓶に入れられ、カプムル溶液を約60mlまで加えた。
それが磁気撹拌器で混合され、すべての活性物質が溶解するまで50℃で加熱された。
溶液が冷却され、100mlのメスシリンダーに移され、カプムル溶液で所定の容量とされ、振盪して混合された。
フィンピペットを使用して、100個のカプセルにそれぞれ0.50mlの溶液が充填された。
ゼラチンバンディング溶液をカプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に塗ることにより、カプセルが密封された。バンディング溶液の詳細は、下に示される。
カプセルは、バンディング溶液が乾燥するまで放置された。
【0287】
カプセルを密封するために使用されるバンディング溶液の組成は、表8−6に示される:
【0288】
【表33】
【0289】
次の手順に従って、バンディング溶液の10g混合物が製造された:
ツイーン80および2.353gの水が、ガラス瓶中で混合された。
ゼラチン殻がフードプロセッサーで細かく砕かれ、必要な量が加えられた。
それを磁気撹拌器で3分間振盪することにより混合した。
混合物を約2時間放置し、残りの水が加えられた。
それを磁気撹拌器で5分間撹拌した。
必要に応じて、混合物は50℃まで加熱され、磁気撹拌器で撹拌された。
【0290】
カプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に細い絵筆で密封溶液を塗ることにより、カプセルが密封された。カプセルは少なくとも30分間放置され、バンディング溶液を乾燥させた。
【0291】
カプセルに充填される半固体(水混和性基剤):表8−7は、半固体(水混和性基剤)製剤、バッチ番号FT06096の組成を示す。
【0292】
【表34】
【0293】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。100gのバッチをが、次の手順に従って製造された:
ポリエチレングリコールを磁気撹拌器で撹拌しながら約66℃まで加熱して溶融した。
活性物質を加え、Silversonホモジナイザーで15分間混合し、その後均一な黄色の懸濁液を生成した。
フィンピペットおよびTorpacカプセル充填器を使用して500mgの製剤をそれぞれのカプセルに充填した。
【0294】
充填する間、温度を65℃以上に維持してポリエチレングリコールの溶融状態を保持した。混合工程は温度の上昇を引き起こし、最高温度が95℃に達した。この温度で殆どの活性物質がポリエチレングリコールに溶解したと思われたが、混合物を冷却すると溶液から出てきた。
【0295】
動物試験で使用される100個のカプセルをすべて入手できた。
【0296】
カプセルに充填される半固体(水分散性の油性基剤):表8−8は、半固体(水分散性の油性基剤)製剤、バッチ番号FT06095の組成を示す。
【0297】
【表35】
【0298】
製剤をサイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填した。次の工程に従って、100gのバッチが製造された:
ゲルシレを磁気撹拌器で撹拌しながら、約60℃まで加熱して溶融した。
活性物質を加える前に、ゲルシレを50℃まで冷却した。
BAを加え、Silversonホモジナイザーで15分間混合し、その後均一な黄色の懸濁液が形成された。
フィンピペットおよびTorpacカプセル充填器を使用して、500mgの製剤がそれぞれのカプセルに充填された。
【0299】
混合する間に、最高温度が67℃に達した。動物試験で使用される100個のカプセルをすべて入手できた。
【0300】
考察:すべてのタイプの4個の標的カプセルは、成功裡に製造された。適切な液体充填製剤を特定するための溶解度試験において、2種の異なる溶媒が特定された。一方は水混和性のポリエチレングリコール400を基剤とする製剤であり、他方は水不混和性のプロピレングリコールモノカプリレート中のN,N−ジメチルアセトアミド(カプムルPG−8)製剤であった。
【0301】
2種の半固体製剤は、共に何の問題もなく調製された。水混和性製剤は、ポリエチレン グリコール3350を含むものであった。水分散性の油性基剤製剤は、ラウロリルマクロゴルグリセリド(ゲルシレ44/14)を含むものであった。すべての製剤が、生体利用性試験に進ませるのに適している。
【0302】
実施例9
BAの経口的生体利用性試験の要約
自己乳化脂質製剤(SELF)は、油性基剤、界面活性剤、共界面活性剤および共溶媒を使用して調製される脂質ビヒクルである。それらは、デリバリーシステムおよび溶解度増加剤として機能しうる。自己乳化は、脂質製剤が水性媒質または胃腸液と接触することで起こる。水性媒質およびSELF試料の混合物を撹拌するとミセルが生成され、それは薬物の脂質二重層全体への輸送を補助する。
【0303】
SELF試料は新たに調製され得て、さらに予備濃縮物としても入手できる。これらのLF試料の消化経路は、選択された油のトリグリセリド鎖(直鎖状配列の炭素原子の数)により影響される。中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は門脈系に吸収されるが、長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)はリンパ管に吸収される。
【0304】
薬剤と混和性であり、最大の溶解度増加を示す適切な自己乳化製剤の選択を可能にする予備製剤の選別ツールとして設計されたSELFキットは、Gattefosse社により供給された。これは3種の半固体および5種の液体製剤で構成されていた。
【0305】
この作業の目的は、SELF試料が水中で自己乳化する傾向を評価すること、またこれらの脂質系におけるBA溶解度の改善を評価することである。最初の混和性試験は、それぞれのSELF試料および希釈溶媒アセトニトリルを使用して実行された。供給された自己乳化脂質を使用してBA(API)の溶解度増加の評価が実行された。
【0306】
【表36】
【0307】
溶媒混和性試験:ピペットを使用して同じ量の各SELF試料および純アセトニトリルを正確に計量して透明なねじ口瓶に入れ、Heidolphリラックストップ・ボルテックスミキサーを使用して1分間旋回された。生成した混合物−明らかに透明な溶液の連続相−は、混和性である。
【0308】
液体のSELF試料についての飽和溶解度試験:フィンピペットを使用して2mlのSELF液体をそれぞれ計量して8mlのねじ口ガラス瓶に入れた。一定分量(50mg)のAPIを加えて混合物を飽和させた。混合物を30分間超音波処理し、飽和が維持されているかどうかを観察した。さらに一定分量(25mg)のAPIを撹拌しながら不飽和試料に加えた;これらをさらに30分間超音波処理した。この工程を繰り返して飽和を達成し、超音波処理後に維持した。
【0309】
次に、液体試料を25℃でベルト駆動自動変速の水浴に入れ、二晩撹拌した。使用後に酸化を最小限に抑えるためLF試料をそれぞれ窒素ガスでパージした。
【0310】
飽和した液体試料を25℃において4000rpmの速度で10分間遠心した。
【0311】
半固体のSELF試料についての飽和溶解度試験:分配する前に、半固体の脂質を60℃の乾燥オーブン中で溶融した。半固体をねじ口瓶に分配し、一定分量のAPIを加えて飽和を達成し、維持した。飽和した半固体を60℃で撹拌し続けた。
【0312】
翌日、撹拌器の電源を切ったが、加熱を60℃で1時間継続した。これにより分散した固体粒子が沈降した。それぞれの飽和した半固体試料の上部の透明な層から0.1mlを採取し、アセトニトリルで希釈した。沈殿形成を示さなかった試料については、飽和したAPIは時間とともに溶解するために、追加のAPIを加えて試料をもう一晩撹拌した。
【0313】
UV分析:飽和試料および脂質ビヒクルを同じ割合でアセトニトリルにより希釈した。試料をアセトニトリルで希釈して、0.1〜1の吸光度を得た。希釈した脂質ビヒクルの吸光度を、活性試料の吸光度測定のベースラインとして使用した。希釈した試料を、320nmの固定波長でスキャンした。アセトニトリル中のAPI濃度から導かれるE11値を使用して、APIの濃度が計算された。
【0314】
カプセル化顆粒製剤の生体利用性試験結果:経口的生体利用性試験は、5匹の雌および5匹の雄からなる10匹のイヌで実行された。これは、1kgあたり60mgの造粒したカプセルおよび1kgあたり33mgのホットメルト製剤の投与を含むものであった。これらの生体利用性試験の結果が、従来の造粒したカプセル製剤(第I相)と比較された。。表9−2は、各製剤の平均生体利用効率および目的とする生体利用効率を達成したイヌの数を示す。
【0315】
【表37】
【0316】
薬剤物質BAのサイズ縮小(size reduction)およびイオン性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウムの使用の組合せは、薬剤物質の生体利用性を高めることがわかった。薬剤物質の表面面積の増加が、その透過性を改善していた。ラウリル硫酸ナトリウムはアニオン性界面活性剤であり、本来は両親媒性、すなわち親水性および親油性の両方である。ラウリル硫酸ナトリウムは化学構造式Na+-OSO3(CH2)11CH3を有する。
【0317】
ラウリル硫酸ナトリウムの重合性炭素鎖は、それに親油性を与え、硫酸塩の頭部は親水性を与える。SLSのこの両親媒性が、幅広い化合物群の水和および透過の促進を可能にする。SLSの濃度は、ミセル生成の割合に影響を及ぼす。SLSは親薬剤物質の多孔性を高めうることが報告されている。将来の製剤においてラウリル硫酸ナトリウムの量を増加させることは、さらにBA薬剤物質を‘ロック’する能力を高め、そして迅速な薬剤−ミセルマトリックス形成および迅速な湿潤化能力を促進するはずである。ラウリル硫酸ナトリウムを自己乳化系に混入することもまた、湿潤性および透過性を増大させる能力をもたらしうる。
【0318】
自己乳化脂質の予備濃縮物による溶解度増加
溶媒の混和性試験:混和性試験は、上記のように実行された;その結果は、表9−3に示される。
【0319】
【表38】
【0320】
混和性試験試料27A、D、E、FおよびGはすぐに混和性を示し、それは48時間にわたって維持された。試料27Bは振盪しているときは濁りの兆候を示したが、これは一旦振盪を止めると消えた。試料27CおよびHは振盪しているときは透明に見えたが、放置すると2相に分離した。これらの観察に基づいて、混和性試験をパスした脂質試料をさらなるAPI分析に使用した。
【0321】
自己乳化試験:それぞれのプラセボ脂質デリバリーシステムから0.15mlを採取し、撹拌しながら200mlの水に分配し、その結果を表9−4に示す。
【0322】
【表39】
【0323】
飽和溶解度:飽和溶解度試験はアセトニトリルと混和性である6個のSELF試料(Gattefosse)で実行された。これらの試料を二晩にわたって撹拌した。この試験の結果を表9−5に示す。
【0324】
【表40】
【0325】
最初にGattefosse社製の自己乳化脂質が、溶解度の増加について分析された。最初の結果に基づいて、自己乳化脂質をもう少し調製することが必要であった。新しく調製した自己乳化脂質の組成を表9−6に記載する。
【0326】
自己乳化脂質の製造:自己乳化脂質は、シングルポット法により調製された。油、界面活性剤および共界面活性剤の混合物を高速で均質化し、全内容物が泡状になってから試料を60℃で30分間超音波処理した。さらに残留する泡を除去するために超音波処理を行なった。
【0327】
【表41】
【0328】
新しく調製されたSELF試料の自己乳化についての試験:約0.15mlのプラセボ自己乳化脂質を撹拌しながら200mlの水に分配した。新しく調製された自己乳化脂質は、水中で自発的に乳化した。水中の製剤F1の混合物は透明なままであり、このことはナノ粒子規模の乳濁液であり、ミクロ乳濁液の形成を示している。水中の他のすべての製剤は、光の下で観察すると金色味を帯びた不透明色を示した。
【0329】
新しく調製された自己乳化脂質のアセトニトリルに対する混和性の評価:同じ量の新しく調製されたSELF試料およびアセトニトリルを、20mlの透明なねじ口瓶に分配した。Heidolphリラックストップを使用して、混合物を1分間旋回させた。観察結果を表9−7に記録する。
【0330】
【表42】
【0331】
試料F2は潜在的に不安定であったため、溶解度を増加するための使用をやめた。
【0332】
新しく調製された脂質試料の飽和溶解度:飽和溶解度試験は、それぞれの新しく調製された半固体脂質試料で上記のようにして実行された。表9−8に示される結果は、二晩にわたる飽和試料の平衡化に基づいている。
【0333】
【表43】
【0334】
溶解度増加データ:試験されたすべての試料に対するAPIの溶解度増加は、水中のAPI濃度と比較して計算され、増加度の順にランク付けされた(表9−9を参照されたい)。
【0335】
【表44】
【0336】
幾つかのGattefose社製の試料および 社内のSELF試料において、良好な溶解度増加が達成された。自己乳化脂質の製剤におけるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の使用は、恐らく粉末化SLSの粒度により、望ましい効果を示さなかった。脂質の製造法を最適にすることにより、溶解度はさらに増加しうる。
【0337】
データ分析:一晩および二晩平衡化した飽和試料の濃度の比較を行なった。観察時に、試料F3およびF7の相分離が見られ、これは通常、乳濁液が不安定であり、時間とともにAPI濃度に影響を及ぼすことを示している。図4のグラフは、濃度に対するデリバリー物質の安定性効果を強調するだけでなく、飽和に達するのに必要な時間の長さもまた示している。
【0338】
半固体の飽和試料を、それぞれの時点にUV分光光度計を使用して分析した;飽和の第一夜および第二夜。試料F1、F4、F5、F6および27Aは、二晩にわたってAPI濃度の増加を示した。しかしながら、試料F3およびF7は、濃度の僅かな減少を示した。これは、これらの2種の自己乳化脂質の不安定性によるものでありうる;相分離は、飽和混合物の上部層のAPI量の減少をもたらしうる。試料F1は、平衡化の第一夜後に最高の濃度を示し、これは、試料27AがAPIに対してF1よりも遅い放出効果を有することを示唆しうる。それはまた、二晩にわたる平衡化が、脂質ビヒクルにとってより適切でありうることを示す。
【0339】
カプセル充填効率の評価:サイズ0のカプセルに充填されうる量を確認するために、所定数の脂質系が評価された。得られた密度を使用して、全充填量0.6gについてカプセル充填容量を計算した。本試験の結果を表9−10に記載する。
【0340】
【表45】
【0341】
表9−10のデータから、すべての試験された脂質系は、サイズ0のカプセルに0.6g充填されることがわかり、これは、約100%の充填容量に基づいている。APIの添加により、これらの値は変化しうる。
【0342】
脂質系におけるAPI含量の推定:サイズ0のカプセルのAPI含量を、単位投与量100mgのカプセルについて適切な溶解度増加を示した2種の製剤のそれぞれについて測定した。得られた密度を使用して、90%のカプセル充填容量のAPI含量を推定した。これに関する理論的根拠は、主に製剤バッチの調製中における流出を回避し、冷却効果によるカプセル殻中の半固体の潜在的な膨張を許容することである。計算された値を表9−11に記載する。
【0343】
【表46】
【0344】
BA APIの標的薬剤含量は、単位カプセルあたり100mgである;表9−11の結果から、脂質製剤F1、27Aおよび27Fについて所望の強度の投与量が達成できたことがわかる。
【0345】
カプセル化顆粒の生体利用性試験の結果は、APIのサイズ縮小が僅かに薬剤吸収を高めたことを証明している。
【0346】
生体利用性試験の結果
生体利用性試験の結果を、下記の表9−12および9−13に示す。
【0347】
【表47】
【0348】
【表48】
【0349】
実施例10
BAの経口的生体利用性試験の要約
BAについて2種の経口的生体利用性試験を、ビーグル犬で遂行した。生存期間はCovance(ミシガン州カラマズー)において非GLP条件下で行なった。投与後、所定の時点に血漿試料を採取し、凍結試料をAlta Analytical(カリフォルニア州エル・ドラド・ヒルズ)に輸送し、LC/M/MSアッセイを使用してBAおよびその代謝物の濃度を測定した。
【0350】
製剤
本試験で試験された製剤のリストを下記の表10−1に示す。注射用液体はAptuit社により供給され、5℃で保存した。カプセルはPatheon UK Limited社により供給され、周囲温度で保存した。
【0351】
【表49】
【0352】
【表50】
【0353】
4種の製剤が、湿式造粒法により調製された。造粒されたカプセル用製剤の要約を表10−3に記載する。4−ヨード−3−ニトロベンズアミドAPIは、BAと称される。
【0354】
【表51】
【0355】
それぞれの重要工程は同一である。4−ヨード−3−ニトロベンズアミドAPIは、API BAと称される。
【0356】
2種のホットメルト押出製剤の詳細を、下記の表10−4および表10−5に示す。
【0357】
【表52】
【0358】
【表53】
【0359】
試験7666−113で試験した製剤のリストを、下記の表10−6に示す。注射用液体はAptuit社により供給され、5℃で保存した。カプセルはPatheon UK Limitedにより供給され、周囲温度で保存した。
【0360】
【表54】
【0361】
100mgの微粉化BAおよび異なる濃度のラウリル硫酸ナトリウムを含有する製剤のすべてを表10−7に記載する。微粉化BAは、Micro technologies社でAPIをミル粉砕装置に送り込むことにより製造された。最終粒度は10μm以下であった。
【0362】
【表55】
【0363】
半固体カプセル製剤は、微粉化した自己乳化薬剤デリバリーシステム(SMEDDS)キット27Aを使用して調製された。微粉化した自己乳化薬剤デリバリーシステム(SMEDDS)は、油相のためのろう状固体、脂質共界面活性剤、および界面活性剤を使用して新しく調製された。使用した油は、可変鎖長の脂肪酸の混合物で構成されるが、一般に中鎖トリグリセリドとして分類される。SMEDDS製剤は油の割合が高く、これは門脈系を通じての初期の迅速な吸収、およびリンパ系を通じての残りの吸収という形態で、二峰性の吸収プロファイルの効果を示しうる。新しく調製されたSMEDDSビヒクルの製剤を表10−8に示す。
【0364】
【表56】
【0365】
BAのSMEDDSを基剤とするカプセルは、表10−9に記載のように新しく調製されたSMEDDS製剤を使用して製造された。カプセル製剤のバッチ番号はFT07026である。
【0366】
【表57】
【0367】
生存期間(インビボビーグル犬)
ビーグル犬をCovance動物コロニーから移し、試験期間前に6日間順応させた。順応および試験期間の間、動物を個別に被覆した棒の床がある金網の囲いに収容した。動物を薬物投与後少なくとも24時間混じり合わせず、被験物質が関連する効果の監視を可能にした。動物には、非認定の犬用食#5L03(PMI Feeds社)を薬物投与について特定された時間を除いて自由に与えた。
【0368】
下記の表10−10および10−11に従い、それぞれのイヌをIV注射またはカプセルの経口投与のいずれかにより処置した:
【0369】
【表58】
【0370】
【表59】
【0371】
投与薬の調製
静脈内投与においては、被験物質として供給されたものを希釈することなく投与した。経口投与においては、供給されたカプセルを投与した。投与後に残留する静脈内投与製剤は、すべて約5℃で保存された。
【0372】
投与薬の投与
経口的に投与された動物をそれぞれの相で投与後約4時間を経て一晩絶食させた。動物を静脈内投与前には絶食させなかった。個々の投与量は、投与当日に計量した体重に基づいて計算された。
【0373】
静脈内投与薬を供給されたままで橈側皮静脈を通して投与した。投与後、針を動物から取り出す前に、投与装置を約2mLの生理食塩水で洗い流した。カプセル投与薬は経口的に投与され、その後約5mLの水を与えた。
【0374】
試料採取
投与前ならびに投与後0.033、0.083、0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12、16および24時間に、血液(約2mL)を頚静脈から採取し、K3EDTA抗凝血剤を含有する管に入れた。
【0375】
動物の処分
生存期間の試験が終了した後、動物をCovance動物コロニーに戻した。
【0376】
LC/MS/MS分析
血漿中のBA濃度は、Alta Analyticalで定量下限が5.0ng/mLのLC/MS/MSアッセイを使用して測定された。測定物質および内部標準(CNBA{4−クロロ−3−ニトロベンズアミド})をメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)を使用して液体−液体抽出によりイヌ血漿から抽出した。蒸発乾固および再構成後、抽出物をLC−API/MS/MSにより分析した。操作時間は約5分であった。
【0377】
機器および装置
・SCIEX API 3000(登録商標)質量分析計(Applied Biosystems/MDS SCIEX)
・ミキシングティー(または同等物)を備えたShimadzu LC−10AD HPLCポンプ(2)、Shimadzu SCL−10Aコントローラー(または同等物)HTS−PALまたはHTC−PALオートインジェクター(または同等物)
・IEC Centra GP8R遠心分離機(または同等物)
・TurboVap(登録商標)LV蒸発器
【0378】
試薬および化学薬品
参照物質4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(BA)および内部標準4−クロロ−3−ニトロベンズアミド(CNBA)は、Pacific BioDevelopment, LLCから入手できる。使用されるアセトニトリル(ACN)、メタノール(MeOH)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびH2OはHPLCグレードまたは同等物である。
【0379】
試薬および溶液の調製についての次の手順は、単なる例示として提供される。最終濃度が同じならば。他の製造法を代用することもできる。
試薬/希釈溶媒の調製:
50:50のMeOH:H2O:同量のMeOHおよびH2Oを混合する(室温で保存する);
1M KH2PO4;68.05gのKH2PO4を500mLのH2Oに溶解する(室温で保存する);
1M K2HPO4:87.1gのK2HPO4を500mLのH2Oに溶解する(室温で保存する);
1Mリン酸カリウム緩衝剤(pH〜6):400mLの1M KH2PO4および〜60mLの1M K2HPO4を混合してpH〜6.0とする(室温で保存する);
0.1%ギ酸:1000mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(4℃で保存する);
再構成溶媒:15:85のACN:0.1%ギ酸:15mLのACNおよび85mLの0.1%ギ酸を混合する(室温で保存する);
移動相A:0.1%ギ酸(FA):999mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(移動相としてだけの使用;室温で保存する);
移動相B:0.1%ギ酸を含むACN。999mLのACNおよび1mLのギ酸を混合する(室温で保存する);
〜0.3%ギ酸を含む(50:50のMeOH:H2O):500mLのMeOH、500mLのH2Oおよび3mLのギ酸を混合する(室温で保存する);
〜0.1%ギ酸を含む(80:20のACN:H2O):800mLのACN、200mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(室温で保存する)。
【0380】
本試験において、6種の異なる経口製剤を試験し、BAのIV投与と比較して経口的生体利用性を測定した。ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー188と共に製剤化した、またはサイズ縮小したBA製剤の雄および雌のビーグル犬に対する経口投与は、投与後24時間持続した血漿中濃度をもたらした。ラウリル硫酸ナトリウムを含む製剤で、21.6%±10.4%の経口的生体利用性が観察された。サイズ縮小したBA APIは、ラウリル硫酸ナトリウム、イオン性界面活性剤の使用と組合せて、薬剤物質の生体利用性を高めた。
【0381】
図7は、試験7666−110から得られる、雌および雄のイヌにおける異なるBA製剤の経口的生体利用性を示す。これらの図は、サイズ縮小したBAを経口投与した雄および雌のイヌから得られたPKプロファイルを示す。BA濃度(円)、IABM濃度(逆三角形)およびIABA濃度(正方形)。BAおよび形成された代謝物のPKプロファイルに、明らかな性差は観察されない。
【0382】
図8は、サイズ縮小したBA、または1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むサイズ縮小したBAを経口投与した、イヌ(雄および雌)のPKプロファイルの比較を示す。BAの製剤化における1%SLSの添加は、サイズ縮小したBAの経口吸収を増加し、より大きな血漿中濃度−時間曲線下面積を与えた。
【0383】
試験7666−113において、4種の異なる経口製剤(SLSを含むまたは含まない微粉化BAおよび 半固体製剤)を試験し、BAのIV投与と比較して経口的生体利用性を測定した。すべての製剤の経口的生体利用性は6%以下であった。
【0384】
図9および10は、試験7666−113から得られる、雌および雄のイヌにおける異なるBA製剤の経口的生体利用性を示す。
【0385】
PKプロファイルにおけるBA(微粉化およびサイズ縮小した)の粒度の効果を図11に示す。それは、微粉化またはサイズ縮小したBAを経口投与したイヌ(雄および雌)におけるPKプロファイルの比較を示す。データは、Covance試験7666−110および7666−113から得られる。直接比較するために、試験7666−113の経口投与量100mg/kgをPKと投与量は直線関係であると想定して60mg/kgに変換した。
【0386】
BAのAUCにより示されるように、経口投与による暴露は長引き、サイズ縮小したAPIでは投与後24 時間まで全身代謝物濃度の持続をもたらした。微粉化によるAPI粒度の縮小はピーク血漿中濃度(Cmax)を高め、そしてより迅速な経口吸収を示すピーク濃度までの時間(Tmax)を短くするが、BAおよび代謝物の血漿中濃度の減少もまた迅速であった。
【0387】
サイズ縮小したAPIと微粉化APIの経口投与との間でAUC値(投与時から投与後4時間、8時間、12時間および24時間が計算された)を比較すると、投与後長期間にわたるAUCを見てわかるように微粉化APIに対するサイズ縮小したものの比率は、1未満から1以上まで増加しており、それはより小さい微粉化APIの、より速い吸収でGI管からの取り込みに差があるためである。しかしながら、サイズ縮小した物質の経口的生体利用性(AUC 0〜24時間の比較)はより高かった。TmaxおよびCmax比率もまた、サイズ縮小した物質の吸収率が遅いことを示している。
【0388】
図12は、BA(2%SLSを含む微粉化)のIV注入または経口投与により投与したイヌにおけるBAおよびその代謝物(IABM、IABA)のPKプロファイルの比較を示す。BAを経口的に投与するとイヌへのBAおよびその代謝物の暴露は長引いた。
【0389】
要約すれば、BAの最高の経口的生体利用性21.6%±10.4%が、1%SLSを含むサイズ縮小したAPIで観察された。微粉化によるAPI粒度の縮小は、より迅速な経口吸収並びにBAおよび代謝物の血漿中濃度の迅速な減少をもたらし、サイズ縮小したAPIと比べて低い経口的生体利用性を示した。
【0390】
本明細書で記載および特許請求される方法はすべて、本明細書の開示を踏まえて過度の実験をすることなく実施および実行されうる。本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく変形を加えることができることは、当業者にとって明白であろう。さらに詳しくは、同一または同様の結果が得られるならば化学的かつ生理学的に関連する特定の物質を本明細書に記載の物質の代りに使用しうることは明白である。当業者にとって明らかな同様の置換および変更はすべて、添付された特許請求の範囲で定義されたような、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。本発明の好ましい態様を本明細書で示して説明したが、そのような態様はほんの一例として提示されることは、当業者にとって明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく数多くの変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書で記載される本発明の態様の様々な代替案が本発明の実施において使用されうることは理解されるべきである。
【0391】
本発明の新しい特徴は、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される実施態様を説明する上記の詳細な記載および添付図面を参照することにより得ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン、ウイルス性疾患および他の疾患状態の治療に有用な製剤に関する。特に、本発明は、芳香族ニトロベンズアミド化合物の使用および生体利用を容易にする製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンは現代社会にとって深刻な脅威である。その独特な特徴により、悪性ガンの成長は現代医学に重大な挑戦をもたらしている。それらの特徴には、悪性組織の調節不能な成長が含まれ、それにより、制御できない細胞増殖;局部組織、さらに遠隔の組織に侵入する能力;分化の不足、検出可能な症状の不足、そして最も重要なことに、有効な療法および予防法の不足をもたらされる。
【0003】
ガンは、あらゆる臓器のあらゆる組織に、あらゆる年齢で発生しうる。ガンの病因は明確に定義されていないが、遺伝的感受性、染色体切断障害、ウイルス、環境的因子および免疫学的障害のようなメカニズムはすべて、悪性の細胞増殖および形質転換と関連している。ガンは広いカテゴリーの病状を包含し、世界中で何百万人もの人達が罹患している。ガン細胞は体の殆どすべての臓器および/または組織で発生しうる。ガンは、体の一部の細胞が制御を逸脱して成長または分化し始める時に発生する。すべてのタイプのガンは、異常細胞の制御を逸脱した成長で開始する。
【0004】
乳ガン、肺ガン、卵巣ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガン、子宮頸ガンおよび白血病を含む多くのタイプのガンが存在する。現在利用できる幾つかの主要な治療法として、外科手術、放射線療法および化学療法が挙げられる。外科手術は、しばしば思い切った処置であり、深刻な結果を生む場合がある。例えば、卵巣ガンの治療はすべて不妊をもたらしうる。子宮頸ガンおよび膀胱ガンの治療の幾つかは、不妊および/または性的機能不全を引き起こしうる。膵臓ガンを治療するための外科的処置は、膵臓の部分または完全摘出をもたらす場合があり、患者にとって重要なリスクとなりうる。乳ガン外科手術には必ず、乳房の一部または全体の摘出が伴う。前立腺ガンのための外科的処置の幾つかは、尿失禁および性的不全のリスクを伴う。肺ガン患者のための処置は大抵、ガン性肺組織に近づいてそれを除去するために肋骨を切り開く必要があるため、かなりの術後痛を伴う。さらに、肺ガンと、肺気腫または慢性気管支炎等のもう一つの肺疾患との両方を有する患者は、典型的に、手術後に息切れが増加する。
【0005】
放射線療法は、ガン細胞を殺すという利点を有するが、同時に非ガン性組織にも損傷を与える。化学療法には、患者への様々な抗ガン剤の投与が含まれるが、副作用を伴うことが多い。
【0006】
毎年世界中で1000万人以上の人がガンと診断されており、この数は毎年増えて、2020年までには年間の新患数が1500万人に達すると推定される。ガンは、毎年600万人の死亡を引き起こし、これはすなわち全世界の年間死亡者数の12%に相当する。ガンを治療しうる方法は、なおも必要とされている。これらの方法は、ヒトおよび他の哺乳動物のガンの予防および治療に有用な医薬組成物における基礎を提供しうる。
【0007】
ウイルス感染症もまた、世界中でヒトの健康にとって深刻な脅威である。後天性免疫不全症候群(AIDS)として知られているヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は現在、世界中で健康被害を招く。HIV感染症は、低下した免疫抵抗性により大抵致命的であり、日和見感染症、悪性腫瘍および神経障害をもたらす。
【0008】
日和見感染症、新生物および他の合併症の治療以外のAIDSの有効な治療法はない。使用できる細胞増殖抑制剤(AZT)および抗ウイルス剤(アシクロビア)は極めて毒性であり、深刻な副作用を引き起こす。
【0009】
したがって、ウイルス性疾患、特にAIDSの有効で非毒性の治療法を利用できることが非常に望ましい。
【0010】
単純ヘルペスウイルス1型および2型もまた、広範囲にわたる感染症である。それらは日和見感染症の1つとしてAIDS患者に発生しうる。1型HSV株(HSV−1)は、一般に唇に存在する口唇ヘルペス、および角膜の炎症である角膜炎を引き起こす。2型HSVは通常、生殖器部に、またはその周辺に存在し、そして一般に主としてヘルペス性潰瘍または病変との直接接触により元始的に感染する。HSV−2は子宮ガンの発生と関連している。
【0011】
単純ヘルペスウイルスは非常に感染性であり、そして接触により急速かつ容易に感染する。この重度の痛みを伴うウイルス性感染症に、特定の治療法は存在しない。現在のHSV感染症の治療法は、主として対応する副作用を伴う上記抗ウイルス剤の全身投与に限られている。
【0012】
HSV治療に使用される抗ウイルス剤は、正常細胞の複製にも影響を及ぼすHSV 複製の非選択的阻害剤である。したがって、感覚神経節で休止状態の活性ヘルペスウイルスのすべてを不活性化するのに十分な投与量で使用される場合、これらの化合物は、宿主細胞のDNA複製に対して非常に破壊的な影響をも与えうる。
【0013】
したがって、HSV 感染症の非毒性治療法を利用できることは有利でありうる。
【0014】
HIVの危険な重感染であるサイトメガロウイルス(CMV)は、ヒトで潜在的に持続する傾向を有する感染性の高いウイルスのサブグループである。CMVは、成人集団に非常によく見られ、90%もの成人がCMV感染症にさらされ、それを経験している。CMVは、一般に血液、リンパ液、唾液、尿、便、乳等の体液に存在する。CMV感染症は流産、死産、出血による出生後死亡、貧血、重度の肝障害、またはCNS損傷を引き起こしうる。特に危険なものは、AIDS患者を苦しめるCMV感染症であり、そこでCMVは肺、胃腸または腎臓の合併症を引き起こしうる。CMVに特定の治療法は存在しない。HSVと異なり、CMVはアシクロビアおよび他の既知の抗ウイルス剤に耐性がある。
【0015】
したがって、CMV感染症を有効に阻害する薬剤を利用できることが極めて有利でありうる。
【0016】
一連の抗腫瘍剤および抗ウイルス剤が特定されている。これらの薬剤には、ニトロおよびニトロソ化合物、並びにそれらの代謝物が含まれ、それらは1995年11月7日に発行された「抗ウイルス剤および抗腫瘍剤として有用な芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物」と題する(米国特許第5,464,871号);1997年9月23日に発行された「抗ウイルス剤および抗腫瘍剤として有用な芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物」と題する(米国特許第5,670,518号);1999年12月21日に発行された「ガンを芳香族ニトロおよびニトロソ化合物およびそれらの代謝物で治療する方法」と題する(米国特許第6,004,978号)の主題であり、それらの開示は、参照により本明細書に援用される。本化合物の使用は、当該技術分野で 乳腺ガン、乳腺管ガン、リンパ性白血病、免疫抑制されたAIDS患者のカポジ肉腫;非ホジキンリンパ腫のような腫瘍性成長、および原発性リンパ腫の治療に有用であることが記載されている。
【0017】
ニトロベンズアミド化合物が有用な抗腫瘍剤および抗ウイルス剤であることは示されているが、それらの化合物は水に溶解しにくい傾向がある。化合物の生体利用性を最大限にするために、水溶液中で良好な溶解性を示す化合物が望ましいことが多い。水溶液に対する高い溶解度は、血液および他の水性体液の性質が水性であるため、注射、経口摂取または経皮デリバリーを含む多くの化合物デリバリー法で生体利用性を増大しうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、一般に芳香族ニトロベンズアミド化合物またはそれらの代謝物および可溶化剤の溶解度が高められた医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはそれらのプロドラッグ、および可溶化剤を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。典型的には、本発明に係る医薬組成物は、水溶液に対する芳香族ベンズアミドの溶解度が、純水に対する芳香族ベンズアミド化合物の溶解度の1.5倍高く;好ましくは溶解度は2倍より高く、より好ましくは溶解度は5倍より高く、さらにより好ましくは溶解度は10倍より高く、そして最も好ましくは溶解度は50倍よりも高くなりうる。最も好ましくは、溶解度は約55倍まで高い。適切な可溶化剤の例には、非制限的に、ツイーン80、グリコフラル、グリセリンホルマールおよびDMAが含まれる。他のタイプの可溶化剤には、クレモフォールEL、30%ソルトールおよびPEG 400(50%)が含まれる。
【0019】
本発明は、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤にオリゴ糖が含まれる医薬組成物に関する。オリゴ糖の好ましい態様は、環状オリゴ糖、例えばシクロデキストリンである。より詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはプロドラッグ、およびシクロデキストリンを含有する医薬組成物に関する。
【0020】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤に界面活性剤が含まれる医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体、またはプロドラッグ、および界面活性剤を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物および可溶化剤を含有し、前記可溶化剤に共溶媒が含まれる医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグおよび共溶媒を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。
【0022】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、並びに(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含有する、溶解度が高められた医薬組成物に関する。最も好ましい製剤は25%β−シクロデキストリンおよび10mMリン酸塩(pH7.4)を含有するものである。
【0023】
本発明はまた、ウイルス性疾患またはガンの疑いがある患者を、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物である医薬組成物で治療することを含む、その患者を治療する方法に関する。
【0024】
さらに詳しくは、本発明はまた、ウイルス性疾患またはガンの疑いがある患者を、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグおよび可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物である医薬組成物で治療することを含む、その患者を治療する方法に関する。
【0025】
本発明はまた、芳香族ニトロベンズアミド化合物またはその代謝物、および可溶化剤を含有し、その可溶化剤がシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物であるキットに関する。
【0026】
さらに詳しくは、本発明はまた、ニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミドもしくはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および可溶化剤を含有し、そん可溶化剤は、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、または(1)シクロデキストリンおよび界面活性剤、(2)シクロデキストリンおよび共溶媒、(3)界面活性剤および共溶媒、または(4)シクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物であるキットに関する。
【0027】
本発明に係る医薬組成物は、白血病、乳ガン、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガンを含む様々なガン、並びに本明細書に記載される他のタイプのガンを治療するために使用されうる。
【0028】
本発明に係る医薬組成物はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびサイトメガロウイルス(CMV)を含む、様々なウイルスに対する抗ウイルス剤として使用されうる。
【0029】
本発明の組成物は、本明細書で開示される2種以上の化合物の組合せおよび/または本明細書で開示される2種以上の形態の化合物の組合せでありうる。本発明に係る医薬組成物は、患者への投与に適した組成物でありうる。
【0030】
参照による援用
本明細書で挙げたすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願がそれぞれ明確にかつ個々に参照により本明細書に援用されることを示したかのように、同程度に参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの水に対する溶解度対ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD;本明細書では“HPβCD”とも呼ばれる)の濃度グラフを示す。
【図2】4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(“BA”)の水に対する溶解度対N,N−ジメチルアセトアミド/カプムル溶液の濃度を示す。
【図3】カプセル化BA製剤の相IおよびII動物試験で得られる生体利用性の結果を示す。
【図4】時間経過による半固体脂質試料中でのBA飽和の傾向を示す。
【図5】雌のイヌにおける幾つかのBA製剤の生体利用性試験の結果を示す。
【図6】雄のイヌにおける幾つかのBA製剤の生体利用性試験の結果を示す。
【図7】ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むBAを60mg/kg経口(PO)投与したイヌにおけるサイズ縮小したBAおよび代謝物(IABMおよびIABA)についての薬物動態(PK)プロファイルを示す。
【図8】1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むおよび含まないBAを60mg/kg経口(PO)投与したイヌにおけるサイズ縮小したBAおよび代謝物(IABMおよびIABA)についての薬物動態(PK)プロファイルを示す。
【図9】雌のイヌにおける0%、1%または2%SLSを含む造粒したBAの生体利用性試験の結果を示す。
【図10】雄のイヌにおける0%、1%または2%SLSを含む造粒したBAの生体利用性試験の結果を示す。
【図11】微粉化またはサイズ縮小した形態のBAを60mg/kg経口投与したイヌにおけるBAおよび代謝物についての薬物動態プロファイルを示す。
【図12】BA(2%SLSを含む微粉化)のIV注入または経口投与により投与したイヌにおけるBAおよびその代謝物(IABM、IABA)のPKプロファイルの比較を示す。BAを経口的に投与するとイヌにおけるBAおよびその代謝物の暴露は長引いた。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化1】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する医薬組成物を提供する。幾つかの態様において、可溶化剤は、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、またはそれらの2種以上の混合物を含む。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である。幾つかの態様において、本組成物は経口組成物、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、本組成物は非経口組成物、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0033】
式(Ia)
【化2】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および界面活性剤を含有する医薬組成物。界面活性剤がポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、あるいは式IIまたはIII:
【化3】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
の化合物の1種以上を含む、請求項8に記載の組成物。幾つかの態様において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118またはソルトールHS−15の1種以上を含む。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0034】
式(Ia)
【化4】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、およびシクロデキストリンを含有する医薬組成物。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの1種以上を含む。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0035】
式(Ia)
【化5】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、および共溶媒を含有する医薬組成物。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、製剤は経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0036】
ガンおよびウイルス性疾患から選択される疾患の疑いのある患者を、式(Ia)
【化6】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒からなる群の1種以上を含有する医薬組成物で治療することを含む、前記疾患を治療する方法。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物は経口的に投与される。幾つかの態様において、式Iaで表される化合物は非経口的に投与される。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチル エーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、ガンは、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、CNS腫瘍、末梢CNSガン、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、並びにウイルス性ガンから選択される。幾つかの態様において、製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0037】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化7】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有するキットを提供する。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118、およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコール、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。幾つかの態様において、製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0038】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化8】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有する水溶液を提供する。
【0039】
本明細書で記載される幾つかの態様は、式(Ia)
【化9】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する投与単位を提供する。幾つかの態様において、可溶化剤は、界面活性剤および任意的に1種以上のシクロデキストリン、共溶媒、脂質またはそれらの混合物を含む。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である。幾つかの態様において、化合物の溶解度は、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である。幾つかの態様において、界面活性剤は、1種以上の式IIまたはIII:
【化10】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物である。幾つかの態様において、界面活性剤は、1種以上のポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリドまたはポリエトキシル化脂肪酸を含む。その投与単位では、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される。幾つかの態様において、単位投与製剤は、経口製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。幾つかの態様において、単位投与製剤は、非経口製剤、例えば静脈内または腹腔内注射剤である。
【0040】
式(Ia)
【化11】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンおよび水を含有する非経口医薬組成物。幾つかの態様において、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される。幾つかの態様において、組成物は、さらに共溶媒を含有する。幾つかの態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコール、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される。
【0041】
定義
「ニトロベンズアミド化合物(複数可)」は、式(Ia)
【化12】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグを意味する。R1、R2、R3、R4およびR5は、クロロ、フルオロまたはブロモのようなハロゲン化物であり得る。
【0042】
「溶解度」は一般に、溶媒に溶解した化合物の量を意味する。適切な溶媒には、水性および非水性溶媒が含まれる。
【0043】
化合物は、それが「溶液中」にあるとき「溶解した」状態であり、そして自然に溶液から出て、分離した相を生成しない。溶解するために、化合物は分子レベルで完全に解離する必要はないが、疾患または症状の治療において有効となるように溶液中に留まる必要がある。溶解した化合物はミセル、乳化またはリポソーム形態で存在しうる。化合物が溶解した溶液は、一般に透明である。
【0044】
「難溶性」は、溶媒に溶解する化合物の量が少ないことを意味する。難溶性は、絶対的な用語ではないが、疾患または症状の有効な治療に必要な化合物の量に依存する。化合物は、その溶解度が疾患または症状の有効な治療のために望ましいものより低いならば、難溶性である。
【0045】
「溶解度が高められた」はニトロベンズアミド化合物単独のものより溶解度が高くなることを意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「治療する」という用語およびその文法的に同等な語句には、治療効果および/または予防効果を達成しようと試みることが含まれる。治療効果とは、治療される基礎疾患の根絶または改善を意味する。例えば、ガン患者において、治療効果は、基礎疾患のガンの根絶または改善を含む。また、治療効果は、患者がまだ基礎疾患に苦しんでいるという事実にも関らず改善が患者で観察されるような基礎疾患に関連する1つ以上の生理的症状の根絶または改善により達成される。予防効果のために、疾患の診断がなされていないが、ガンを発症するリスクがある患者、またはそのような疾患の1つ以上の生理的症状を訴える患者に対し、本発明に係る方法が遂行されえて、または本発明に係る組成物が投与されうる。
【0047】
血液のような多くの体液は水をベース(水性)としており、故により水溶性の薬剤はより生体利用性が高くなるため、水への溶解度が高いものは有用でありうる。純水に対する化合物の正確な溶解度は、血液のような水溶液に対するものと同じではないが、純水に対する組成物の溶解度は、他の水溶液に対する溶解度の良好な指標であることが多い。
【0048】
本発明は、水への溶解度が高められた、ニトロベンズアミド化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0049】
本発明の好ましい態様において、本発明に係る医薬組成物は、水溶液に対する芳香族ベンズアミドの溶解度が純水に対する芳香族ベンズアミド化合物の溶解度の1.5倍高く;好ましくは溶解度は2倍以上高く、より好ましくは溶解度は5倍以上高く、さらにより好ましくは溶解度は10倍以上高く、そして最も好ましくは溶解度は50倍以上高くありうる。
【0050】
一般に、薬剤の溶解度は高いことが望ましいが、利用できる薬剤の量が適用にとって十分である限り、より特定の治療法またはデリバリー法に望ましい、溶解度が低い組成物をもたらす、医薬組成物を生産する際の他の考慮事項、例えば粘度、安定性、潜在毒性などがあることは、当業者により理解されうる。本発明により、製薬業者は、これらの要因を最適化することが可能となる。
【0051】
本発明は、白血病、乳ガン、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガンを含む様々なガン、他のタイプのガン、例えば乳腺の腺管ガンを含む他の乳ガン、末梢血の急性前骨髄球性白血病を含む他の形態の白血病、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、膵臓ガンおよび子宮頸ガン、並びに本明細書で記載される他のタイプのガンの治療のための、ニトロベンズアミド化合物を含有する医薬組成物の使用を提供する。
【0052】
ニトロベンズアミド化合物は、悪性ガン細胞に対して作用するが、非悪性ガン細胞に対しては作用しない、選択的な細胞毒性を有することが報告されている。RiceらのProc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7703〜7707(1992年)を参照されたい。一の態様において、本発明に係る医薬組成物は、非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞に対してより選択的な毒性を示しうる。
【0053】
ニトロベンズアミドおよびニトロソベンズアミド化合物の腫瘍原性は、ブチオニンスルホキシミンBSOがガン細胞に併用投与されると高められることが報告されている。MendeleyevらのBiochemical Pharmacol. 50(5):705〜714(1995年)を参照されたい。ブチオニンスルホキシミン(BSO)は、化学療法に対する細胞抵抗性に部分的に関与する、グルタチオンの生合成の重要な酵素であるγ−グルタミルシステイン合成酵素を阻害する。ChenらのChem Biol Interact. Apr 24;111〜112:263〜75(1998年)を参照されたい。本発明はまた、BSOと組み合わせてニトロベンズアミド化合物を投与する、ガンの治療に有用な医薬化合物を提供する。
【0054】
本発明の一の側面は、ニトロベンズアミド化合物およびオリゴ糖を含有する医薬組成物である。本明細書で使用されるとき、「オリゴ糖」は、2個以上の単糖類、すなわち通常はグリコシド結合を通して共有結合している糖単位を有する化合物である。オリゴ糖は、通常20個未満の単糖類、典型的には3〜6個の単糖類を有する。オリゴ糖は、直鎖状または分枝状でありうる。単糖類は、例えばトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプトースでありうる。好ましい単糖類は、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリトロース、トレオース、アラビノース、リキソース、リボース、デオキシリボース、キシロース、リブロース、キシルロース、アロース、アルトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タガトース、フルクトース、マンノヘプツロースおよびセドヘプツロースでありうる。オリゴ糖は、例えばマルトデキストリンでありうる。オリゴ糖の好ましい態様は、環状オリゴ糖、例えばシクロデキストリンである。
【0055】
シクロデキストリンは、スターチから誘導される環状炭水化物である。非修飾シクロデキストリンは、円柱構造で互いに結合しているグルコピラノース単位の数が異なる。親シクロデキストリンは、6、7または8個のグルコピラノース単位を含有し、それぞれα−、β−およびγ−シクロデキストリンと呼ばれる。それぞれのシクロデキストリンサブユニットは、第2のヒドロキシル基を2−および3−位に、そして第1のヒドロキシル基を6−位に有する。シクロデキストリンは、親水性の外面および疎水性の内部空洞を有する中空円錐台として描かれうる。水溶液中で、これらの疎水性空洞は、疎水性有機化合物の居場所になり、それらの構造の全部または一部をこれらの空洞に収容しうる。包接錯体形成として知られているこの過程は、複合薬剤に、増大した見かけの水溶性および安定性をもたらしうる。
【0056】
親シクロデキストリン(通常はヒドロキシル部分で)の化学修飾は、時にはシクロデキストリンの錯体形成能力を保持または改善しながら、安全性が改善された誘導体をもたらす。幾つかの好ましいシクロデキストリン誘導体は、2−ヒドロキシプロピル誘導体、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Roquette 社のKleptose(登録商標))(HPBCD)、およびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(Wacker 社のCavamax W8(登録商標))、並びにスルホアルキルエーテル誘導体(SAE−CDs)、例えばスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(Cydex 社のCaptisol(登録商標))(SBEBCD)である。
【0057】
SAE−CDsは、負電荷を持つシクロデキストリン類であり、それはアルキルスペーサー、塩形態、置換度および出発物質の親シクロデキストリンの性質が異なる。
【0058】
アニオン性スルホブチルエーテル置換基は、劇的に親シクロデキストリンの水溶性を改善する。Captisol(登録商標)シクロデキストリンを含む薬剤の可逆的な非共有結合錯体形成は、一般に水溶液中での薬剤の溶解度および安定性の改善を可能にする。
【0059】
シクロデキストリン対化合物(Ia)の好ましい重量比は、1:100〜5,000:1である。好ましい製剤は、1gのBA対25gのシクロデキストリンである。約25%シクロデキストリンが最も好ましい。また、40%シクロデキストリンが好適である。
【0060】
本発明のもう一の側面は、ニトロベンズアミド化合物単独よりも高められた溶解度を有する、ニトロベンズアミド化合物および界面活性剤を含有する医薬組成物である。
【0061】
界面活性剤は、表面活性特性を有する化合物である。界面活性剤は、化学工程により製造される、あるいは自然源または自然工程から精製される、両親媒性分子である。これらはアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性イオン性でありうる。典型的な界面活性剤は、Emulsions:Theory and Practice, Paul Becher, Robert E. Krieger Publishing, Malabar, Fla.,1965;Pharmaceutical Dosage Forms: Dispersed Systems Vol. I, Martin M. Rigear, Surfactantsおよび米国特許第5,595,723号に記載されている。
【0062】
界面活性剤を含む本発明に係る医薬組成物は、使用されうる乳剤、懸濁剤または他の製剤、例えばリポソーム製剤をもたらしうる。リポソーム製剤に関して、疾患を治療するためのリポソームの知られている製造法の何れかが使用されうる。例えば、BanghamらのJ. Mol. Biol、23:238〜252(1965年)およびSzokaらのProc. Natl Acad. Sci 75:4194〜4198(1978年)(参照により本明細書に援用される)を参照されたい。リガンドは、これらの組成物を特定の作用部位に指向させるために、リポソームに結合させることもできる。また、本発明に係る界面活性剤は、湿潤剤(例えばレシチン、リゾレシチンおよび/または長鎖脂肪アルコール)でもありうる。
【0063】
本発明において好ましい界面活性剤の一群は、非イオン性界面活性剤である。有用な非イオン性界面活性剤は、ポロキサマーまたはプルロニックであり、それらは一般構造式:H(OCH2CH2)a(OCH2CH2CH2)b(OCH2CH2)aOHで表されるエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの合成ブロックコポリマーである。
【0064】
aおよびbの数値に基づく次の変形化合物は、BASF Performance Chemicals社(ニュージャージー州パーシッパニ)から商標名Pluronicで商業的に入手可能であり、それはCTFA(Cosmetic, toiletry and fragrance association)により指定されている商品名ポロキサマー108、188、217、237、238、288、338、407、101、105、122、123、124、181、182、183、184、212、231、282、331、401、402、185、215、234、235、284、333、334、335および403の界面活性剤群からなる。最も一般に使用されるポロキサマー124、188、237、338および407の場合、aおよびbの数値は、それぞれ12/20、79/28、64/37、141/44および101/56である。
【0065】
また、本発明に係る医薬組成物は、BASF社製の界面活性剤ソルトールHS−15(ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート)を含有してもよい。
【0066】
本発明に係る医薬組成物はまた、非制限的に、ポリソルベート20、60および80のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;Brij系(例えばICI Surfactants社製のBRIJ 97またはBRIJ 98)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、クレモフォール(例えばクレモフォールRHまたはクレモフォールEL)、Volpo(例えばCroda社製のVOLPO10およびVOLPO20)およびそれらの等価物を含む、非イオン性界面活性剤の群から選択される界面活性剤をも含有する。
【0067】
親水性−親油性バランス:界面活性剤を指数化するために使用される実験式。その値は1〜45であり、非イオン性界面活性剤の場合は、約1〜20である。一般に、親油性界面活性剤の場合、HLBは10未満であり、親油性である場合、HLBは10を超える。好適な製剤は、ポリソルベート80および20を100%および10%で、クレモフォール溶液を10%で、そしてソルトールを25%および30%で含有する。
【0068】
本発明において好ましい界面活性剤は、ポリエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン[20]ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、クレモフォールEL(BASF)、クレモフォールRH40(BASF)、ポロキサマー118およびソルトールHS−15(BASF)である。
【0069】
本発明に係る医薬組成物はまた、共溶媒を含有しうる。共溶媒は、水と少なくとも部分的に混和性であり、ニトロベンズアミド化合物の溶解度を増大しうる。
【0070】
好ましい態様において、共溶媒は、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールまたはN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を含む。
【0071】
医薬組成物中における共溶媒対化合物(Ia)の好ましい重量比は、1:100〜10,000:1である。最も好ましい範囲は、約1:50〜約1:250である。
【0072】
本発明に係る医薬組成物は、生体適合性であることが望ましく、それはこれらが生体の内外で許容される方法により過度の毒性または生理的効果または薬理的効果なしに機能を果たすことができることを意味する。
【0073】
本発明に係る医薬組成物は、シクロデキストリン、界面活性剤および/または共溶媒の組合せを含む可溶化剤の混合物を含む。これらの混合物は、シクロデキストリンおよび界面活性剤、シクロデキストリンおよび共溶媒、界面活性剤および共溶媒、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒の混合物を含みうる。組成物はまた、それぞれのタイプの可溶化剤、例えば1種以上のタイプのシクロデキストリン、1種以上のタイプの界面活性剤および/または1種以上のタイプの共溶媒の混合物を含有しうる。
【0074】
可溶化剤の好ましい混合物には、エタノールおよびPEG 400、エタノールおよびPEG 400およびベンジルアルコール、グリコフロールおよびPEG 400、DMAおよびPEG 400、DMA、エタノールおよびPEG 400、DMAおよびソルトールHS−15、ポリソルベート80およびエタノール、ポリソルベート20およびエタノール、ポリソルベート80およびグリコフロール、ポリソルベート20およびグリコフロール、並びにポリソルベート80およびエタノールおよびPEG 400が含まれる。
【0075】
製剤、投与経路および有効投与量
本発明の他の側面は、抗ウイルスまたは抗腫瘍治療剤としての、本医薬組成物の使用である。本発明に係る医薬組成物は、プロドラッグとして提供され得て、および/または投与後にインビボでニトロソベンズアミド形態に相互変換が可能でありうる。すなわち、ニトロベンズアミド形態および/またはニトロソベンズアミド形態、または医薬として許容される塩は、本発明で使用される製剤の開発に使用されうる。さらに、幾つかの態様において、本化合物は、1種以上の他の化合物と組合せて、または1種以上の他の形態で使用されうる。例えば、製剤は、ニトロベンズアミド化合物および酸形態の両方をそれぞれの相対効力および対象疾患に応じて、特定の比率で含有しうる。2種の形態は、同一の投与単位、例えば1つのクリーム剤、座剤、錠剤、カプセル剤、もしくは飲料に溶解される粉末のパケットとして一緒に製剤化され得て;またはそれぞれの形態は、別々の単位、例えば2種のクリーム剤、2種の座剤、2種の錠剤、2種のカプセル剤、錠剤とその錠剤を溶解するための液体、粉末のパケットおよびその粉末を溶解するための液体などとして製剤化されうる。
【0076】
本発明に係る医薬組成物は、他の活性成分と併用されうる。2種の化合物および/または化合物形態を同一の投与単位、例えば1つのクリーム剤、座剤、錠剤、カプセル剤、もしくは飲料に溶解される粉末のパケットとして一緒に製剤化され得て;またはそれぞれの形態を別々の単位、例えば2種のクリーム剤、2種の座剤、2種の錠剤、2種のカプセル剤、錠剤と錠剤を溶解するための液体、粉末のパケットおよびその粉末を溶解するための液体などとして製剤化されうる。
【0077】
「医薬として許容される塩」という用語は、本発明で使用される化合物の生物学的効果および特性を保持し、生物学的または非生物学的に望ましい塩を意味する。例えば、医薬として許容される塩は、ガンまたはウイルス感染症の治療における本発明に係る化合物の有益な効果を妨げない。
【0078】
典型的な塩は、無機イオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムイオンの塩である。そのような塩には、無機または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸の塩が含まれる。加えて、本発明で使用される化合物がカルボキシ基または他の酸性基を含有する場合、それを無機または有機塩基との医薬として許容される付加塩に変換しうる。適切な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれる。
【0079】
経口投与の場合、本発明に係る医薬化合物は、活性化合物(複数可)を当該技術分野で周知の医薬として許容される担体と化合させることにより、容易に製剤化されうる。そのような担体により、本発明に係る化合物は、治療を受ける患者に経口摂取させるために、チュアブル錠を含む錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、トローチ剤、ハードキャンディ、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、粉末、懸濁剤、エリキシル剤、ウエハ剤などとして製剤化されうる。そのような製剤は、固体希釈剤または充填剤、無菌水性媒質および様々な非毒性有機溶媒を含む、医薬として許容される担体を含有しうる。一般に、本発明に係る化合物は、所望の単位の投与量を与えるのに十分な量で、経口投与形態の全組成の重量に基づいて、約0.5%、約5%、約10%、約20%、または約30%〜約50%、約60%、約70%、約80%または約90%の範囲の濃度レベルで含まれうる。
【0080】
本発明に係る医薬組成物の水性懸濁液は、医薬として許容される賦形剤、例えば懸濁化剤(例えばメチルセルロース)、着色剤、保存剤、芳香剤などを含有しうる。
【0081】
本発明に係る化合物はまた、特定の患者集団において可溶化、投与および/または服薬順守を容易にするため、食品、例えばクリームチーズ、バター、サラダドレッシングまたはアイスクリームの中に混入されうる。
【0082】
経口使用のための医薬製剤は、場合により得られる混合物を粉砕し、所望により適切な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コア収得することにより、固体賦形剤として収得されうる。適切な賦形剤は、特にラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;着香成分、セルロース調製物、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムのような崩壊剤が添加されうる。化合物はまた、徐放性製剤としても製剤化されうる。
【0083】
糖衣錠コアに、適切なコーティングを施して提供されうる。このために、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する濃縮糖溶液をが使用されうる。または活性化合物の投与量の異なる組合せを識別するために、または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに、染料または顔料が添加されうる。
【0084】
経口的に使用されうる医薬製剤には、ゼラチン製の押込み型カプセル剤、並びにゼラチンおよび可塑化剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の密閉した軟質カプセル剤が含まれうる。押込み型カプセル剤には、活性成分をラクトースのような充填剤、澱粉のような結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ならびに場合により安定剤と混合して含有しうる。軟質カプセル剤において、活性化合物は適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁されうる。さらに、安定剤が添加されうる。経口投与のためのすべての製剤は、投与に適した投与量であるべきである。
【0085】
注射用として、本発明に係る阻害剤は、水溶液中で、好ましくは生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液または生理食塩緩衝液中で製剤化されうる。また、そのような組成物は、さらに1種以上の賦形剤、例えば保存剤、可溶化剤、充填剤、潤滑剤、安定剤、アルブミンなどを含有しうる。製剤化の方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 最新版, Mack Publishing社(ペンシルベニア州イーストン)に開示されているように当該技術分野で既知である。これらの化合物はまた、経粘膜投与、口腔投与、吸入による投与、非経口投与、経皮投与および経腸投与用として製剤化されうる。
【0086】
また、前記製剤に加え、本化合物をデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長時間作用する製剤は、移植または経皮的デリバリー(例えば皮下または筋内)、筋内注射または経皮パッチの使用により投与されうる。したがって、例えば本化合物は、適切なポリマーまたは疎水性物質(例えば許容される油中の乳濁液として)、またはイオン交換樹脂を使用して、あるいは難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤化されうる。
【0087】
本発明で使用するのに適した医薬組成物には、活性成分が有効量、すなわち本明細書に記載のガンのうち少なくとも1種において治療および/または予防効果を達成するのに有効な量で存在する組成物が含まれる。特定の用途に有効な実際の量は、治療される症状(複数可)、対象の疾患、製剤および投与経路、並びに当業者に既知の他の要因に依存しうる。ニトロベンズアミド化合物の有効量の判定は、本明細書の開示を踏まえて十分に当業者が対応できる範囲内にあり、日常的な最適化技術を使用して決定されうる。
【0088】
PARP阻害剤の治療的使用
ガンのタイプ
本発明は、幾つかの特定のガンまたは腫瘍を治療するための方法を提供する。例えば、ガンのタイプには、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、成人CNS脳腫瘍、小児CNS脳腫瘍、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸(結腸および直腸)ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウイルス性ガンおよびウイルス関連のガンが含まれる。
【0089】
甲状腺ガンは、内分泌系の最も一般的な悪性腫瘍である。甲状腺ガンには、分化型腫瘍(乳頭状腫瘍または濾胞性腫瘍)および未分化腫瘍(髄様または退形成)が含まれる。膣ガンには、扁平上皮ガン、腺ガン、黒色腫および肉腫がある。睾丸ガンは、精上皮腫および非精上皮腫タイプに大きく分けられる。
【0090】
胸腺腫は、胸腺の上皮腫瘍であり、非腫瘍性リンパ球が広範囲に浸潤する場合がある。胸腺腫なる用語は、上皮成分の明らかな異型を示さない新生物を説明するために慣用的に使用される。もはや胸腺に特異的ではない明確な細胞異型および組織学的特徴を示す胸腺上皮腫瘍は、胸腺ガン腫として知られている(C型胸腺腫としても知られている)。
【0091】
本発明により提供される方法は、他の治療と組み合わせられるベンズアミド化合物の投与を含みうる。本発明の組成物と併用投与されうる療法の選択は、部分的に、治療される症状に依存しうる。例えば、急性骨髄性白血病を治療する場合、本発明の幾つかの態様のベンズアミド化合物は、放射線療法、モノクローナル抗体療法、化学療法、骨髄移植、遺伝子療法、免疫療法またはそれらの組合せと組み合わせて使用されうる。
【0092】
乳ガン
一の側面において、本発明は乳ガン、好ましくは乳腺の腺管組織の腺管ガンを治療する方法を提供する。
【0093】
本発明により提供される方法により治療されうる幾つかのタイプの乳ガンが存在する。上皮内小葉ガンおよび非浸潤性乳管ガンは、それぞれ小葉および腺管内に発達した乳ガンであるが、乳房周囲の脂肪組織または体の他の部位には広がらない。浸潤性(または浸潤性)小葉および腺管ガンは、それぞれ小葉および腺管内に発現した乳ガンであり、乳房の脂肪組織および/または体の他の部分に広がる。本発明により提供される方法により治療効果があると思われる乳房の他のガンは、髄様ガン、膠様ガン、管状腺ガンおよび炎症性乳ガンである。
【0094】
乳ガン患者が利用できる治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療法またはそれらの組合せである。腫瘍摘出手術および乳腺切除術は、ガン患者が利用できると考えられる2つの外科的処置である。
【0095】
化学療法においては、ガン細胞が増殖し、侵襲し、転移し、そして患者を死に至らしめるのを防ぐために、抗腫瘍剤が利用される。細胞毒性薬、例えばドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、パクリタキセル、チオテパ、ミトキサントロン、ビンクリスチンまたはそれらの組合せを含む幾つかの薬剤が、乳ガン治療に利用されうる。残った乳房組織が内分泌感受性を保持している場合、内分泌療法が有効な治療法でありうる。この療法のために投与される薬剤には、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド、フルオキシメステロン、ロイプロリド、ゴセレリンおよびプレドニゾンが含まれる。
【0096】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法もしくは内分泌療法との併用により、乳ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0097】
卵巣ガン
もう一の側面において、本発明は、上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣ガンを治療する方法を提供する。好ましくは、本発明は、卵巣内の腺ガン、および卵巣から腹腔内に転移した腺ガンから選択される卵巣ガンを治療する方法を提供する。外科手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放射線療法またはそれらの組合せは、卵巣ガンに利用できると考えられる治療法である。考えられる外科的処置には、減量手術および片側または両側卵巣摘出術および/または片側または両側卵管切除術が含まれる。
【0098】
使用されうる抗ガン剤には、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミンおよびイホスファミドが含まれる。薬剤タモキシフェンによるホルモン療法は、卵巣腫瘍を縮小させうる。放射線療法は、外照射療法および/または近接照射療法でありうる。
【0099】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、内分泌療法もしくはそれらの組合せとの併用により、卵巣ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0100】
子宮頸ガン
もう一の側面において、本発明は、子宮頸ガン、好ましくは子宮頸部上皮内の腺ガンを治療する方法を提供する。このガンには、扁平上皮ガンおよび腺ガンという2つの主要なタイプが存在する。前者は、すべての子宮頸ガンの約80〜90%を占めており、子宮頸膣部(膣に最も近い部分)および子宮頸部(子宮に最も近い部分)が合流する場所に発生する。後者は、子宮頸部の粘液産生腺細胞に発生する。一部の子宮頸ガンはこれらの両方の特徴を有し、腺扁平上皮ガンまたは混合ガンと呼ばれる。
【0101】
子宮頸ガンに利用できる主要な治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。幾つかの考えられる外科的選択肢は、凍結外科手術、子宮摘出術および広範子宮全摘術である。子宮頸ガン患者に対する放射線療法には、外照射療法または近接照射療法が含まれる。子宮頸ガンを治療するための化学療法の一部として投与しされうる抗ガン剤には、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、イリノテカン、ブレオマイシン、ビンクリンスチン、マイトマイシン、イホスファミド、フルオロウラシル、エトポシド、メトトレキサートおよびそれらの組合せが含まれる。
【0102】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、子宮頸ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0103】
前立腺ガン
もう一の側面において、本発明は、前立腺ガン、好ましくは腺ガン、または骨に転移した腺ガンから選択される前立腺ガンを治療する方法を提供する。前立腺ガンは、尿道の最初の部分の周囲にある男性の前立腺器官に発生する。前立腺は、幾つかの細胞型を有するが、腫瘍の99%は精液の生成に関与する腺細胞に発生する腺ガンである。
【0104】
外科手術、免疫療法、放射線療法、凍結外科手術、ホルモン療法および化学療法は、前立腺ガン患者に利用できる治療法である。前立腺ガンを治療するための考えられる外科的処置には、根治的恥骨後式前立腺摘除術、根治的経会陰式前立腺摘除術および腹腔鏡下根治的前立腺摘除術が含まれる。幾つかの放射線療法の選択肢は、三次元原体照射法、強度変調放射線療法および原体陽子線照射法を含む、外照射療法である。近接照射療法(シード移植または組織内照射療法)もまた、前立腺ガンに利用できる治療方法である。凍結外科手術は、限局性前立腺ガン細胞を治療するために使用されるもう一の可能な方法である。
【0105】
前立腺ガンを治療するために、アンドロゲン枯渇療法またはアンドロゲン抑制療法とも呼ばれるホルモン療法が使用されうる。アンドロゲンの90%が産生される睾丸を除去する睾丸摘出術を含む、この療法の幾つかの方法が利用されうる。もう一の方法は、アンドロゲン量を低下させるための、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体の投与である。利用できるLHRHには、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリンおよびヒストレリンが含まれる。アバレリックスなどのLHRHアンタゴニストもまた投与されうる。
【0106】
体内でアンドロゲン活性を遮断する抗アンドロゲン剤による治療は、もう一の利用できる療法である。そのような薬剤には、フルタミド、ビカルタミドおよびニルタミドが含まれる。この療法は、典型的にはLHRH類似体投与または睾丸摘出術と併用され、これは複合アンドロゲン遮断(CAB)と呼ばれる。
【0107】
前立腺腫瘍が前立腺の外側に広がっていて、ホルモン治療が有効でない場合には、化学療法が適切でありうる。前立腺ガンの成長を遅らせ、症状を軽減し、生活の質を改善するために、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチンおよびプレドニゾンのような抗ガン剤が投与されうる。
【0108】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法もしくはそれらの組合せとの併用により、前立腺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0109】
膵臓ガン
幾つかの態様は、膵臓ガン、好ましくは膵管組織の類上皮性ガンおよび膵管の腺ガンから選択される膵臓ガンを治療する方法を提供する。
【0110】
最も一般的なタイプの膵臓ガンは、膵管の内層に発生する腺ガンである。膵臓ガンに利用できると考えられる治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。幾つかの考えられる外科的処置の選択肢には、膵尾部切除術または膵全切除術、および膵頭十二指腸切除術(Whipple法)が含まれる。
【0111】
放射線療法、特に体外で機械により腫瘍に焦点を合せて照射される外照射療法は、膵臓ガン患者にとって1つの選択肢となりうる。もう一の選択肢は、手術中に施される術中電子線照射療法である。
【0112】
膵臓ガン患者を治療するために、化学療法が使用されうる。適切な抗ガン剤には、5−フルオロウラシル(5−FU)、マイトマイシン、イホスファミド、ドキソルビシン、ストレプトゾシン、クロロゾトシンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0113】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法もしくは化学療法との併用により、膵臓ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0114】
膀胱ガン
幾つかの態様は、膀胱ガン、好ましくは膀胱の移行上皮ガンを治療する方法を提供する。膀胱ガンは、尿路上皮ガン(移行上皮ガン)、または膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞の腫瘍である。膀胱ガンの他の症例は、扁平上皮ガン、腺ガンおよび小細胞ガンである。非浸潤性または浸潤性であるか、さらに乳頭状または平坦状であるかに依存して、尿路上皮ガンの幾つかのサブタイプが存在する。非浸潤性腫瘍は、膀胱の最も内側の層である尿路上皮に存在し、一方、浸潤性腫瘍は、尿路上皮から膀胱の主要筋肉壁のより深い層まで広がっている。浸潤性乳頭状尿路上皮ガンは、膀胱の中空に枝分かれし、さらに膀胱壁内へと外側に向かって成長する、細長い指状突起である。非浸潤性乳頭状尿路上皮腫瘍は、膀胱の中心に向かって成長する。非浸潤性の平坦状尿路上皮腫瘍(扁平上皮内ガンとも呼ばれる)は、膀胱内部の中空部分に最も近い細胞層に限局しているが、浸潤性の平坦状尿路上皮ガンは、膀胱のより深い層、特に筋肉層に浸潤する。
【0115】
膀胱ガンを治療するために、外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法またはそれらの組合せが適用されうる。幾つかの考えられる外科的選択肢は、経尿道的切除術、膀胱切除術、または根治的膀胱切除術である。膀胱ガンのための放射線療法には、外照射療法および近接照射療法がある。
【0116】
免疫療法は、膀胱ガン患者を治療するために使用されうるもう一の方法である。典型的には、これは膀胱内で行なわれ、治療剤がカテーテルを通して膀胱に直接投与される。1つの方法は、結核予防接種で使用されることもある細菌がカテーテルを通して膀胱に直接投与される、Bacillus Calmete−Guerin(BCG)である。体内で細菌に対する免疫反応が開始され、それがガン細胞を攻撃し、死滅させる。
【0117】
免疫療法のもう一の方法は、免疫反応を調節する糖タンパク質であるインターフェロンの投与である。インターフェロンアルファは、膀胱ガンを治療するために使用されることが多い。
【0118】
膀胱ガンを治療するための化学療法において使用されうる抗ガン剤には、チテパ、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、イホスファミド、ゲムシタビンまたはそれらの組合せが含まれる。
【0119】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、たはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法またはそれらの組合せとの併用により、膀胱ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0120】
急性骨髄性白血病
幾つかの態様は、急性骨髄性白血病(AML)、好ましくは末梢血の急性前骨髄球性白血病を治療する方法を提供する。AMLは、骨髄に発生するが、リンパ節、肝臓、脾臓、中枢神経系および睾丸を含む、体の他の部分に広がる場合がある。それは急性であり、このことはそれが急速に発生し、数ヵ月以内に治療されないと致命的になりうることを意味している。AMLは、再生して蓄積し続ける通常は顆粒球または単球である未熟骨髄細胞として特徴付けられる。
【0121】
AMLは、免疫療法、放射線療法、化学療法、骨髄または末梢血幹細胞移植またはそれらの組合せにより治療されうる。放射線療法には、外照射療法が含まれ得て、副作用を示すことがある。AMLを治療するための化学療法で使用されうる抗ガン剤には、シタラビン、アントラサイクリン、アントラセネジオン、イダルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、チオグアニン、ビンクリスチン、プレドニゾン、エトポシドまたはそれらの組合せが含まれる。
【0122】
AML患者を治療するために、モノクローナル抗体療法が使用されうる。体内の白血病細胞を死滅させる手段を得るために、患者に投与する前にこれらの抗体に小分子または放射性化学物質を結合させることができる。AML細胞上でCD33と結合するモノクローナル抗体ゲムツズマブオゾガマイシンを使用して、従来の化学療法レジメンに耐えられないAML患者を治療しうる。
【0123】
AML患者を治療するために、骨髄または末梢血幹細胞移植が使用されうる。幾つかの考えられる移植法には、同種移植または自己移植がある。
【0124】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法または移植療法との併用により、白血病患者に有益な効果を提供しうる。
【0125】
限定されないが、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄異形成および骨髄増殖性疾患を含む、本発明により提供される方法で治療することもできる他のタイプの白血病がある。
【0126】
肺ガン
幾つかの態様は、肺ガンを治療する方法を提供する。最も一般的なタイプの肺ガンは、肺ガンの約80〜85%を占める非小細胞肺ガン(NSCLC)であり、扁平上皮細胞ガン、腺ガンおよび大細胞未分化ガンに分類される。小細胞肺ガンは、肺ガンの15〜20%を占める。
【0127】
肺ガン治療の選択肢には、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、光線力学療法またはそれらの組合せがある。肺ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、区域切除術もしくは楔状切除術、肺葉切除術または肺全摘術である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0128】
肺ガンを治療するための化学療法で使用されうる幾つかの抗ガン剤には、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ゲフィチニブ、イホスファミド、メトトレキサートまたはそれらの組合せが含まれる。光線力学療法(PDT)は、肺がん患者の治療に使用されうる。
【0129】
本明細書で記載される方法は、トロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、肺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0130】
皮膚ガン
幾つかの態様は、皮膚ガンを治療する方法を提供する。皮膚が原発組織となる幾つかのタイプのガンが存在する。最も一般的なタイプは、非黒色腫皮膚ガンである、基底細胞ガンおよび扁平上皮細胞ガンである。光線角化症は、時として扁平上皮細胞ガンに発展することのある皮膚症状である。非黒色腫皮膚ガンは、めったに体の他の部分に広がらない。皮膚ガンの最も稀な形態である黒色腫は、周囲組織に浸潤して体の他の部分に広がる可能性が高い。外科手術、放射線療法、化学療法および光線力学療法を含む、様々なタイプの治療法が、非黒色腫および黒色腫皮膚ガンや光線角化症の患者に利用しうる。皮膚ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢には、モース顕微鏡手術、単純切除術、電気凝固および掻爬術、凍結外科手術、レーザー外科手術が挙げられる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。臨床試験で試験されている他のタイプの治療法は、生物療法または免疫療法、化学免疫療法、フルオロウラシルによる局所的化学療法、および光線力学療法である。
【0131】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、膀胱ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0132】
眼ガン、網膜芽細胞腫
幾つかの態様は、眼の網膜芽細胞腫を治療する方法を提供する。網膜芽細胞腫は、網膜の悪性腫瘍である。網膜芽細胞腫はどの年齢でも発症しうるが、通常は5才前の低年齢の小児に発症することが最も多い。腫瘍は片眼だけ、または両眼の場合もある。通常、網膜芽細胞腫は眼に限定され、周囲組織または体の他の部分に広がることはない。患者を治して視力を保つようにする治療の選択肢には、摘出術(眼球を摘出する外科手術)、放射線療法、凍結療法、光凝固術、免疫療法、温熱療法および化学療法がある。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0133】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、凍結療法、光凝固術、温熱療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、眼の網膜芽細胞腫の患者に有益な効果を提供しうる。
【0134】
眼ガン、眼内黒色腫
幾つかの態様は、眼内(眼球)黒色腫を治療する方法を提供する。稀なガンである眼内黒色腫は、ブドウ膜と呼ばれる眼の部分にガン細胞が見られる疾患である。ブドウ膜は、虹彩、毛様体および脈絡膜を含む。眼内黒色腫は、中年層の人々に発症することが最も多い。眼内黒色腫の治療法には、外科手術、免疫療法、放射線療法およびレーザー療法が含まれる。外科手術は、眼内黒色腫の最も一般的な治療法である。幾つかの考えられる外科的選択肢には、虹彩切除術、虹彩線維柱帯切除術、虹彩毛様体切除術、脈絡膜切除術、摘出術および眼嵩内容除去術がある。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。レーザー療法は、腫瘍を破壊する強力な強い光線、温熱療法または光凝固術でありうる。
【0135】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、レーザー療法もしくはそれらの組合せとの併用により眼内黒色腫患者に有益な効果を提供しうる。
【0136】
子宮内膜ガン
幾つかの態様は、子宮内膜ガンを治療する方法を提供する。子宮内膜ガンは、子宮の内層である子宮内膜に発生するガンである。子宮および子宮内膜のガンの幾つかの例には、限定されないが、腺ガン、腺棘細胞腫、腺扁平上皮ガン、乳頭状漿液性腺ガン、透明細胞腺ガン、子宮肉腫、間質性肉腫、悪性中胚葉性混合腫瘍および平滑筋肉腫がある。
【0137】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、光線力学療法、抗血管形成療法、免疫療法もしくはそれらの組合せとの併用により、子宮内膜ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0138】
肝ガン
幾つかの態様は、原発性肝ガン(肝臓に発生するガン)を治療する方法を提供する。原発性肝ガンは、成人と小児との両方に発症する。様々なタイプの治療法が原発性肝ガンの患者に利用されうる。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法および経皮的エタノール注入が含まれる。使用されうる外科手術のタイプは、凍結外科手術、部分肝切除術、肝臓全摘出術および高周波アブレーションである。放射線療法は、外照射療法、近接照射療法、放射線増感剤または放射性標識抗体でありうる。他のタイプの治療法には、温熱療法および免疫療法が含まれる。
【0139】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮的エタノール注入、温熱療法、免疫療法もしくはそれらの組合せの併用により、肝ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0140】
腎臓ガン
幾つかの態様は、腎臓ガンを治療する方法を提供する。腎臓ガン(腎細胞ガンまたは腎臓腺ガンとも呼ばれる)は、腎臓の尿細管の内層に悪性細胞が見られる疾患である。腎臓ガンは、外科手術、放射線療法、化学療法および免疫療法により治療されうる。腎臓ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢には、腎部分切除術、単純腎摘出術および根治的腎摘出術が挙げられる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。幹細胞移植術が、腎臓ガンの治療に使用されうる。
【0141】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、幹細胞移植術もしくはそれらの組合せとの併用により、腎臓ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0142】
甲状腺ガン
幾つかの態様は、甲状腺ガンを治療する方法を提供する。甲状腺ガンは、甲状腺組織に(悪性)ガン細胞が見られる疾患である。4つの主要なタイプの甲状腺ガンは、乳頭状、濾胞状、髄様および未分化ガンである。甲状腺ガンは、外科手術、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法および化学療法により治療されうる。外科手術は、甲状腺ガンの最も一般的な治療法である。甲状腺ガンを治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、肺葉切除術、ほぼ完全な甲状腺摘出術、甲状腺全摘出術およびリンパ節摘出術である。放射線療法は外照射療法であり得て、または放射性ヨウ素を含有する液体の摂取を必要とする場合もある。ホルモン療法は、ガン細胞の成長を停止させるホルモンを使用する。甲状腺ガンを治療するとき、身体によるガン細胞を成長させる他のホルモンの生産を停止させるために、ホルモンが使用されうる。
【0143】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、甲状腺ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0144】
AIDS関連ガン
AIDS関連リンパ腫
幾つかの態様は、AIDS関連リンパ腫を治療する方法を提供する。AIDS関連リンパ腫は、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のリンパ系に悪性細胞が発生する疾患である。AIDSは、体の免疫系を攻撃して弱らせる、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により引き起こされる。その後、免疫系は、身体を侵す感染症および疾患に対抗することができなくなる。HIV疾患の患者は、感染症、リンパ腫および他のタイプのガンを発生させるリスクが高くなる。リンパ腫は、リンパ系の白血球に影響を及ぼすガンである。リンパ腫は、2つの一般的タイプ:ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫に分類される。ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫は、共にAIDS患者に発症するが、非ホジキンリンパ腫の方が一般的である。AIDS患者が非ホジキンリンパ腫を有する場合、それはAIDS関連リンパ腫と呼ばれる。非ホジキンリンパ腫は、緩慢性(成長が遅い)または進行性(成長が速い)でありうる。AIDS関連リンパ腫は通常、進行性である。3つの主要なタイプのAIDS関連リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫および小型非分割細胞性リンパ腫である。
【0145】
AIDS関連リンパ腫の治療は、リンパ腫の治療とAIDSに対する治療とを併用する。AIDS患者の免疫系は弱まっており、治療はさらにダメージを与えることがある。このため、AIDS関連リンパ腫を有する患者は通常、AIDSではないリンパ腫患者より低い投与量の薬剤で治療される。HIVの進行を遅らせるために、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が使用される。重症の場合もある感染症を予防および治療するための薬剤もまた使用されうる。AIDS関連リンパ腫は、化学療法、免疫療法、放射線療法および幹細胞移植を伴う高用量化学療法により治療されうる。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。AIDS関連リンパ腫は、モノクローナル抗体療法により治療されうる。
【0146】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と化学療法、放射線療法、高用量化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、AIDS関連リンパ腫患者に有益な効果を提供しうる。
【0147】
カポジ肉腫
幾つかの態様は、カポジ肉腫を治療する方法を提供する。カポジ肉腫は、口、鼻および肛門の内側を覆う皮膚または粘膜下の組織にガン細胞が見られる疾患である。古典的カポジ肉腫は通常、ユダヤ人、イタリア人または地中海人種の高齢男性に発症する。このタイプのカポジ肉腫は、ゆっくりと、時として10〜15年にわたって進行する。カポジ肉腫は、免疫抑制剤を服用している人に発生することもある。後天性免疫不全症候群(AIDS)を有する患者のカポジ肉腫は、流行性カポジ肉腫と呼ばれる。AIDS患者のカポジ肉腫は通常、他の種類のカポジ肉腫よりも急速に広がり、大抵は体の多くの部分で見られる。カポジ肉腫は、外科手術、化学療法、放射線療法および免疫療法により治療されうる。外照射療法は、カポジ肉腫の一般的な治療法である。カポジ肉腫を治療するための幾つかの考えられる外科的選択肢は、局所切除術、電気凝固および掻爬術、凍結療法である。
【0148】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法もしくはそれらの組合せとの併用により、カポジ肉腫に有益な効果を提供しうる。
【0149】
ウイルス誘導性ガン
幾つかの態様は、ウイルス誘導性ガンを治療する方法を提供する。幾つかのウイルスが、特定の悪性腫瘍の病因における明らかな、または可能性の高い原因因子となっている。これらのウイルスは、通常の潜在性を確立するか、または殆ど持続的感染性を有しないものもある。腫瘍形成は恐らく、感染宿主のウイルス活性化の増強と関係しており、大量のウイルス量または免疫制御の障害を反映している。主要なウイルス悪性腫瘍系には、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)および肝細胞ガン;ヒトリンパ向性ウイルス1型(HTLV−1)および成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒト乳頭腫ウイルス(HPV)および子宮頸ガンが含まれる。一般に、これらの悪性腫瘍は、人生の比較的早い時期に発症し、典型的には中年以前をピークとする。
【0150】
ウイルス誘導性肝細胞ガン
HBVおよびHCVの両方と、肝細胞ガンまたは肝ガンとの間の因果関係は、実質的な疫学的証拠により確定されている。両方共、細胞死およびその後の再生を引き起こすことにより、肝臓の長期複製を通して作用すると思われる。様々なタイプの治療法が、肝ガンの患者に利用されうる。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法および経皮的エタノール注入が含まれる。使用されうる外科手術のタイプは、凍結外科手術、部分肝切除術、肝臓全摘出術および高周波アブレーションである。放射線療法は、外照射療法、近接照射療法、放射線増感剤または放射性標識抗体でありうる。他のタイプの治療法には、温熱療法および免疫療法が含まれる。
【0151】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮的エタノール注入、温熱療法、免疫療法もしくはそれらの組合せの併用により、肝細胞ガン患者に有益な効果を提供しうる。
【0152】
ウイルス誘導性成人T細胞白血病/リンパ腫
HTLV−1と成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)との間の関連性は、しっかりと確立している。世界中で見られる他の発ガンウイルスとは異なり、HTLV−1は地理的に非常に制限されており、主として日本南部、カリブ海、西アフリカ、中央アフリカおよび南太平洋諸島に見られる。因果関係の証拠には、殆ど全部のATL症例における保菌者のウイルスゲノムのモノクローナルな組込みがある。HTLV−1関連の悪性腫瘍のリスク因子は、周産期感染症であり、高ウイルス量であり、および男性であるということであると思われる。
【0153】
成人T細胞白血病は、血液および骨髄のガンである。成人T細胞白血病/リンパ腫の標準的な治療法は、放射線療法、免疫療法および化学療法である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。他の成人T細胞白血病/リンパ腫の治療法には、免疫療法および幹細胞移植を伴う高用量化学療法が含まれる。
【0154】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法、免疫療法、幹細胞移植を伴う高用量化学療法もしくはそれらの組合せの併用により、成人T細胞白血病患者に有益な効果を提供しうる。
【0155】
ウイルス誘導性子宮頸ガン
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による子宮頸部の感染は、子宮頸ガンの最も一般的な原因である。しかしながら、HPVに感染しているすべての女性が子宮頸ガンを発現するわけではない。子宮頸ガンは通常、ゆっくり時間をかけて発生する。ガンが頸部に現れる前に、頸部の細胞は、頸部組織に正常ではない細胞が現れ始める、異形成として知られている変化をする。その後、ガン細胞は成長し始め、頸部に深く、さらに周囲の領域まで広がる。子宮頸ガンの標準的な治療法は、外科手術、免疫療法、放射線療法および化学療法である。使用されうる外科手術のタイプは、円錐切除術、子宮全摘出術、両側卵管卵巣摘出術、根治的子宮摘出術、骨盤内容除去術、凍結外科手術、レーザー外科手術および電気外科的ループ切除法である。放射線療法は、外照射療法または近接照射療法でありうる。
【0156】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、成人子宮頸ガンに有益な効果を提供しうる。
【0157】
CNSガン
脳および脊髄の腫瘍は、中枢神経系(CNS)の主要な構成要素である頭蓋骨または骨性脊柱の内部に見られる組織の異常な成長である。良性腫瘍は非ガン性であり、悪性腫瘍はガン性である。CNSは堅い骨の4分の1の内部(すなわち頭蓋骨および脊柱)に収まっており、そのため良性・悪性に関らず、あらゆる異常成長が感受性組織に圧力を加えて機能を損なう可能性がある。脳または脊髄で発生する腫瘍は、原発性腫瘍と呼ばれる。殆どの原発性腫瘍は、ニューロンを取り囲んで支える細胞の中で生じる制御できない成長により引き起こされる。少数の人達において、原発性腫瘍は、特定の遺伝的疾患(例えば神経線維腫症、結節硬化症)、または放射線被爆または発ガン性化学物質に起因する。殆どの原発性腫瘍の原因は、いまだに未解明である。
【0158】
脳および脊柱腫瘍を診断するための最初の試験は、神経学的検査である。特殊なイメージング技術(コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴イメージング、ポジトロン放出断層撮影法)もまた採用される。臨床検査には、EEGおよび脊椎穿刺がある。疑わしい腫瘍から組織試料が採取される外科的処置である生検は、医師が腫瘍のタイプを診断する手助けとなる。
【0159】
腫瘍は、発生したと思われる細胞の種類に従って分類される。成人の最も一般的な原発性脳腫瘍は、血液脳関門を構成し、中枢神経系の栄養摂取に関与する、星状細胞と呼ばれる脳内細胞に由来する。これらの腫瘍は、神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫または多形性膠芽腫)と呼ばれ、すべての原発性中枢神経系腫瘍の65%を占める。幾つかの腫瘍は、限定されないが、乏突起膠腫、上衣細胞腫、髄膜腫、リンパ腫、神経鞘腫および髄芽細胞腫である。
【0160】
CNSの神経上皮腫瘍
星状細胞腫瘍、例えば星状細胞腫;未分化(悪性)星状細胞腫(例えば大脳半球、間脳、視神経、脳幹、小脳);多形性膠芽腫;毛様細胞性星状細胞腫(例えば大脳半球、間脳、視神経、脳幹、小脳);上衣下巨細胞性星状細胞腫;および多形性黄色星状膠細胞腫。乏突起膠細胞系腫瘍、例えば乏突起膠腫;および未分化(悪性)乏突起膠腫。上衣細胞腫瘍、例えば上衣細胞腫;未分化上衣細胞腫;粘液乳頭状上衣腫;および上衣下腫。混合性神経膠腫、例えば混合性乏突起星状細胞腫;未分化(悪性)乏突起星状細胞腫;および他のもの(例えば上衣腫−星状細胞腫)。原因不明の神経上皮腫瘍、例えば極性海綿芽細胞腫;星状芽細胞腫;および大脳膠腫症。脈絡叢の腫瘍、例えば脈絡叢乳頭腫;および脈絡叢ガン(未分化脈絡叢乳頭腫)。神経細胞系および混合神経細胞・膠細胞腫瘍、例えば神経節細胞腫;小脳の異形成神経節細胞腫(レルミット−デュクロ病);神経節膠腫;未分化(悪性)神経節膠腫;線維形成性乳児神経節膠腫、例えば線維形成性乳児星状細胞腫;中枢神経細胞腫;胚芽異形成性神経上皮腫瘍;嗅神経芽細胞腫(鼻腔神経芽細胞腫)。松果体実質腫瘍、例えば松果体細胞腫;松果体芽細胞腫;および混合型松果体細胞腫/松果体芽細胞腫。神経芽細胞またはグリア芽細胞要素を有する腫瘍(胎児性腫瘍)、例えば髄様上皮腫;分化多能性を有する原始神経外胚葉腫瘍、例えば髄芽細胞腫;脳性原始神経外胚葉腫瘍;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫および上衣芽細胞腫。
【0161】
他のCNS新生物
トルコ鞍部腫瘍、例えば下垂体腺腫;下垂体ガン;および頭蓋咽頭腫。造血性腫瘍、例えば原発性悪性リンパ腫;形質細胞腫;および顆粒球性肉腫。胚細胞腫瘍、例えば胚細胞腫;胎生期ガン;卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍);絨毛腫;奇形腫;および混合性胚細胞腫瘍。髄膜の腫瘍、例えば髄膜腫;異型髄膜腫および未分化(悪性)髄膜腫。髄膜の非髄膜皮性腫瘍、例えば良性間葉;悪性間葉;原発性色素細胞性病変;造血系新生物;および原因不明の腫瘍、例えば血管芽細胞腫(毛細血管芽細胞腫)。脳神経および脊髄神経の腫瘍、例えば神経鞘腫(神経線維腫症、神経鞘腫);神経繊維腫;悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫)、例えば類上皮、分岐的な間葉または上皮分化、および黒色性。局所的腫瘍からの局所伸展、例えば傍神経節腫(ケモデクトーマ);脊索腫;軟骨腫;軟骨肉腫;およびガン腫。転移性腫瘍、未分類腫瘍および嚢胞および腫瘍様病変、例えばラトケ嚢胞;類表皮;類皮;第3脳室のコロイド嚢胞;陽性嚢胞;神経膠嚢胞;顆粒球腫瘍(コリストーマ、下垂体細胞腫);視床下部神経細胞過誤腫;鼻腔内異所性グリア組織;および形質細胞肉芽腫。
【0162】
利用できる化学療法剤は、限定されないが、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、BCNU、CCNU、デカルバジン、プロカルバジン、ブスルファンおよびチオテパ;代謝拮抗剤、例えばメトトラキサート、5−フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標))、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンおよびクラドリビン;アントラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシンおよびミトキサントロン;抗体、例えばブレオマイシン;カンプトセシン、例えばイリノテカンおよびトポテカン;タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;白金製剤、例えばシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンである。
【0163】
治療法は、外科手術、放射線療法、免疫療法、温熱療法、遺伝子療法、化学療法、および放射線療法と化学療法の併用である。また、医師は、CNS内部の腫脹を減少させるために、ステロイドを処方することもできる。
【0164】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、成人子宮頸ガンに有益な効果を提供しうる。
【0165】
PNSガン
末梢神経系は、脳および脊髄から分岐した神経で構成される。これらの神経は、CNSと身体部分との間に通信ネットワークを形成する。末梢神経系はさらに、体性神経系および自律神経系に分けられる。体性神経系は、皮膚および筋肉まで届いて意識活動に関与する神経で構成される。自律神経系は、CNSを心臓、胃および腸のような内臓と連結する神経で構成される。それは無意識の活動を媒介する。
【0166】
聴神経腫は、第8脳神経または内耳神経とも呼ばれる平衡神経で発生する、良性の線維成長である。これらの腫瘍は悪性ではない。すなわち、体の他の部分に広がったり転移したりしない。これらの腫瘍の場所は、脳幹の生命維持に必要な脳中枢に隣接した頭蓋骨内部の奥深くにある。腫瘍が拡大するにつれて、これらは生体機能と関係のある周囲構造を含むようになる。大多数の症例において、これらの腫瘍は何年もの期間にわたってゆっくりと成長する。
【0167】
悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は、神経繊維腫および神経鞘腫のような良性軟組織腫瘍に対応する悪性のものである。それは深部軟組織で、通常は神経幹の近くで最もよく見られる。最も一般的な部位には、坐骨神経、腕神経叢および仙骨神経叢が含まれる。最も一般的な症候は、通常は生検を促すほどの痛みである。それは通常、成人の三叉神経の感覚枝で発生する、稀で侵襲性の致命的な眼窩新生物である。悪性のPNS腫瘍は、神経に沿って広がり脳を巻き込んで、殆どの患者は臨床診断から5年以内に死亡する。MPNSTは、類上皮、間葉または腺の特性を有する3つの主要なカテゴリーに分類される。幾つかのMPNSTは、限定されないが、軟骨性分化を伴う皮下悪性類上皮神経鞘腫、腺性悪性神経鞘腫、神経鞘分化を伴う悪性末梢神経鞘腫瘍、横紋筋様特徴を有する皮膚の類上皮悪性神経鞘腫瘍、表在性類上皮MPNST、トリトン腫瘍(横紋筋芽細胞分化を伴うMPNST)、横紋筋芽細胞分化を伴う神経鞘腫を含む。稀なMPNSTの症例には、多発性肉腫組織タイプ、特に骨肉腫、軟骨肉腫および血管肉腫が含まれる。これらは、軟組織の悪性間葉腫と区別できないことがある。
【0168】
他のタイプのPNSガンには、限定されないが、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫および悪性ミュラー管混合腫瘍がある。
【0169】
治療法は、外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法、および放射線療法と化学療法との併用である。
【0170】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せの併用により、PNSガンに有益な効果を提供しうる。
【0171】
口腔および口腔咽頭ガン
中枢神経系(CNS)ガン患者の管理は、いまだ手ごわい仕事である。下咽頭ガン、喉頭ガン、鼻咽腔ガン、口腔咽頭ガンなどのようなガンは、外科手術、免疫療法、化学療法、化学療法と放射線療法との併用により治療されている。トポイソメラーゼIIを阻害する、一般に使用される2種の抗腫瘍薬であるエトポシドおよびアクチノマイシンDは、有用な量で血液脳関門を越えることができない。
【0172】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、口腔および口腔咽頭ガンに有益な効果を提供しうる。
【0173】
胃ガン
胃ガンは、胃の内層で起こる細胞変化の結果である。3つの主要なタイプの胃ガン:リンパ腫、胃間質腫瘍およびカルチノイド腫瘍が存在する。リンパ腫は、胃壁に時々見られる免疫系組織のガンである。胃間質腫瘍は、胃壁の組織で発生する。カルチノイド腫瘍は、胃のホルモン産生細胞の腫瘍である。
【0174】
胃ガンの原因については、議論が続けられている。遺伝および環境(食事、喫煙など)のあらゆる組合せが関与すると思われる。治療に対する一般的なアプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法がある。
【0175】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【0176】
睾丸ガン
睾丸ガンは、典型的には若年男性の片方または両方の睾丸で発生するガンである。睾丸のガンは、胚細胞として知られる特定の細胞で発生する。男性に発症する2つの主要なタイプの胚細胞腫瘍(GCT)は、精上皮腫(60%)と非精上皮腫(40%)である。また、腫瘍は、睾丸の支持組織およびホルモン産生組織、すなわち間質に発生することもある。そのような腫瘍は、非腺間質腫瘍として知られている。2つの主要なタイプは、ライディヒ細胞腫およびセルトリ細胞腫である。二次性睾丸腫瘍は、他の器官で発生し、睾丸に広がった腫瘍である。リンパ腫は、最も一般的な二次性睾丸ガンである。
【0177】
治療に対する一般的なアプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法が含まれる。典型的には、睾丸ガンを治療するために、幾つかの薬剤:プラチノール(シスプラチン)、ベプシドまたはVP−16(エトポシド)およびブレノキサン(硫酸ブレオマイシン)が使用される。さらに、イフェックス(イホスファミド)、ベルバン(硫酸ビンブラスチン)などが使用されうる。
【0178】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法もしくはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【0179】
胸腺ガン
胸腺は、咽喉の基部から心臓の前方まで延びる、胸部の上部/前部にある小さな器官である。胸腺は、2つの主要なタイプの細胞である、胸腺上皮細胞およびリンパ球を含む。胸腺上皮細胞は、胸腺腫および胸腺ガンの起源となりうる。胸腺であろうとリンパ節であろうと、リンパ球は、悪性になってホジキン病および非ホジキンリンパ腫と呼ばれるガンに進行しうる。胸腺はまた、通常は特定のホルモンを放出するクルチツキー細胞と呼ばれる、それほど一般的ではないもう一つのタイプの細胞、すなわち神経内分泌細胞を含む。これらの細胞は、同じタイプのホルモンを放出することが多く、そして体の他の部分で神経内分泌細胞から発生する他の腫瘍と類似する、カルチノイドまたはカルチノイド腫瘍と呼ばれるガンを引き起こすこともある。
【0180】
治療に対する一般的アプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法との併用、または生物療法が含まれる。胸腺腫および胸腺ガンの治療において使用されている抗ガン剤は、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、イホスファミド、およびコルチコステロイド(プレドニゾン)である。大抵、これらの薬剤は、有効性を高めるために併用して投与される。胸腺ガンを治療するために使用される組合せには、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシドおよびシクロホスファミド、並びにシスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよびビンクリスチンの組合せがある。
【0181】
本発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与、またはニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法またはそれらの組合せとの併用により、胃ガンに有益な効果を提供しうる。
【実施例】
【0182】
実施例1
水、酸、塩基および塩化ナトリウムに対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドのベースライン溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(“BA”)が、精製水、0.01M HCl(pH2)、0.01M NaOH(pH13)、および0.9%NaCl中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度がHPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表1に示される。
【0183】
【表1】
【0184】
表1を見てわかるように、可溶化剤を含まないBAの水に対する溶解度は、0.2mg/ml以下である。BAの水に対する溶解度の増加を計算するために、0.2mg/mlをBAのベースライン溶解度とし、それに対して様々な可溶化剤が試験された。
【0185】
実施例2
シクロデキストリンを加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Roquette社製のKleptose(登録商標))(HPBCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(Cydex 社製のCaptisol(登録商標))(SBEBCD)、およびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(Wacker 社製のCavamax W8(登録商標)(HPGCD)を含む様々な濃度のシクロデキストリンを含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表2に示される。薬剤の溶解度対HPBCD濃度のプロットは、図1に示される。
【0186】
【表2】
【0187】
実施例3
界面活性剤を加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、様々な濃度の界面活性剤:ポリエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン[20]ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、クレモフォールEL(BASF)、クレモフォールRH40(BASF)、ポロキサマー118、およびソルトールHS−15(BASF)を含有する精製水中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表3に示される。
【0188】
【表3】
【0189】
実施例4
共溶媒を加えた水に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ポリエチレングリコール(PEG)400、およびプロピレングリコールを含む様々な共溶媒を含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表4に示される。
【0190】
【表4】
【0191】
実施例5
混合系に対する4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの溶解度
過剰の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドが、可溶化剤の混合物を含有する精製水の溶液中で一晩(>16時間)、25℃で平衡化された。希釈後、薬剤の溶解度が、HPLCにより測定された。薬剤の溶解度の結果は、表5に示される。
【0192】
【表5】
【0193】
実施例6
製剤試験
張度調整剤の添加:10ml容量の溶液での最初の試験は、張度張性剤として塩化ナトリウムの使用について調べられた。それを含ませると、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)の使用と関係がある溶血のレベルを減少させることができるためである。
【0194】
浸透圧測定:浸透圧の測定は、Roebling氷点降下法浸透圧計を使用して実行された。
【0195】
25%HPβCD溶液の浸透圧はすでに249mOsmol/kgであるから、張度調整剤を加えると、高張液が生成されることとなる(表6を参照されたい)。しかしながら、少量の張度調整剤の添加では、幾つかの製剤賦形剤と関係がある化学的溶解のレベルを減少させることもある。僅かに高張の溶液は通常、静脈内投与に対して十分に耐性がある。
【0196】
pH測定:製剤が良好な耐性を示す製剤を得るために適切であるか否かを判断するために、pHが測定された。
【0197】
配合試験(30mlまたは50mlのロット)は、表6にまとめられている:
【0198】
【表6】
【0199】
2つの試験が実行された:
1. 300mgのBAが、30mlの25%HPBCD(0.6%の生理食塩水を含有する)に加えられ、磁気撹拌器を使用して混合された。薬剤物質は、4時間以内に溶解した。これは実行可能な製造工程にとって許容し難いほど長時間であるとみなされ、薬剤物質を直接HPBCDに溶解する工程を含む手順を評価することに決められた。
2. 第2の試験において、500mgのBAは、50mlの25%HPBCDビヒクル(生理食塩水を含まない)に約90分で溶解した。BAの溶解速度はより許容される時間であるとみなされ、これは、実行可能なより大規模な工程への展望を示す。薬剤物質が溶解した後に、さらなる賦形剤が添加されうる。
【0200】
総合すれば、これらの観察結果は、生理食塩水が恐らくイオン強度の結果として薬剤の(動的)溶解度を減少させうることを示唆している。食塩の存在下での溶解度低下のさらなる証拠は、ろ過試験(下記)から収得された。
【0201】
ろ過:上記の溶液は、0.2μmのシリンジフィルターを通して十分にろ過され得た。
【0202】
驚くべきことに、上記の溶液#2を0.2μmのPVDF ディスクフィルターを通してろ過すると沈殿を生じた。このことは、塩水の添加がBAの溶解度低下をもたらすことを示唆している。
【0203】
そのため、別の張度調整剤(例えばグルコースおよび緩衝剤)が調べられた。
【0204】
グルコース(10ml〜25mlの容量)による張度調整:様々な濃度のグルコースおよび10mMの緩衝剤(リン酸水素二ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物)を含有する25%HPBCD中におけるBAの溶液が調製された。前記のようにして、pHおよび浸透圧が測定された。結果は、表7に示される。
【0205】
グルコースの溶液(約25mlの容量)およびリン酸緩衝溶液は、0.2μmのPVDFシリンジフィルターを通して十分にろ過され得た。
【0206】
リン酸緩衝系の使用は、より安定したpHが得られるため、非緩衝系と比べて有利でありうる。さらなる利点は、10mMのリン酸緩衝剤濃度が血液とほぼ等張である製剤を与えることである。
【0207】
溶血試験
手順の要約:本手順には、1mlのヒツジの血液を製剤の試料(0.1mlおよび0.25ml)に加えることが含まれる。試料はボルテックス混合され、0.9%生理食塩水で希釈され、さらに混合、遠心(1500r.p.m.)され、溶解により生じるヘモグロビンの存在を示す赤色の証拠がないか観察された。0.1mlの上澄みが2mlの0.9%生理食塩水で希釈され、さらに5分間遠心された。そして、その溶液は、陽性対照(0.9%塩水;溶血がない)および陰性対照(水;完全に溶血する)と比較された。
【0208】
結果:リン酸緩衝溶液またはグルコース調整溶液は、どちらも溶血の証拠を示さなかった。非常に薄いピンク色が試料中で観察されたが、その強さは陽性対照の生理食塩水と同程度であった。この手順の過程で、使用したヒツジの血液のロットは、陽性対照の色の度合いに影響を及ぼす場合があると指摘されている。
【0209】
【表7】
【0210】
結論:10mMのリン酸緩衝溶液は、次の事柄から特に興味深い:(a)pHは血液に近い;(b)溶液のpHは保存時に安定したままである;(c)リン酸緩衝製剤(296mOsmol/kg)の浸透圧は血液に近い;(d)等張性を達成するために別の張度調整剤を含ませる必要がない;(e)張度調整剤を含まないリン酸緩衝製剤は沈殿のリスクなしにろ過できると思われる;(f)塩水(沈殿を引き起こす)およびグルコース(オートクレーブ時に分解して5−HMFを生成する可能性がある)の使用を回避しうる;リン酸塩は、CDと複合体を形成しないと言われているために、溶解度は影響を受けないと報告されている。
【0211】
実施例7
経口製剤の試験
微粉化したBAを使用して、6種のカプセル(経口)製剤が開発された。造粒したBAを含有するカプセルからなる4種の製剤が、次のようにして調製された:
界面活性剤なしの微粉化BA
界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む微粉化BA
界面活性剤としてポロキサマー188を含む微粉化BA
界面活性剤としてポリソルベート80を含む微粉化BA
【0212】
そして、ホットメルト押出された(非晶質)BAを含有するカプセルからなる2種の製剤が調製された:
1. 30:70のBA:ポリマー比を有するホットメルト押出製剤;それぞれのカプセルは100mgのBAを含有する。
2. 10:90のBA:ポリマー比を有するホットメルト押出製剤;それぞれのカプセルは33.3mgのBAを含有する。
【0213】
アルファ化デンプン、Pharmatose DCL21(無水ラクトース)、微結晶性セルロース (MCC)、ポリビニルピロリドンK30(Povidone K30)、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびラウリル硫酸ナトリウムは、市販のものが調達された。4種の製剤は、湿式造粒法により製造された。すべての顆粒内物質の最初の乾式混合は、造粒前に実行された。造粒されたカプセル剤の組成は、下記の表7−1に示される。
【0214】
【表8】
【0215】
乾式混合:計量された微粉化BAが、500μmのふるいを通して選別され、そして顆粒内賦形剤と混合された。これにより、色むらがない鮮やかな黄色のブレンドを得た。各製剤の混合時間は5.00分であった。
【0216】
乾燥ブレンドの水分分析は、乾燥減量(LOD)分析により評価された。各製剤の水分損失の割合は、下記の表7−2に示される。
【0217】
【表9】
【0218】
湿式造粒:BAに対して行なわれた微粉化工程は、粘着性(凝集性)をもたらした。さらなる試験から、BAはロートを容易に流れず、空気にさらされると塊を形成することがわかった。そのため、湿式造粒法を使用して処理が改善された。造粒は、APIおよび賦形剤の顆粒内混合物を混合しながら造粒流体をゆっくり加えることにより行なわれた。表7−3は、造粒流体の添加を示す。
【0219】
【表10】
【0220】
顆粒の選別:顆粒は、ステンレストレイ上で500μmのふるいを通して選別された。
【0221】
顆粒の乾燥:3つの選別された顆粒バッチがオーブンに入され乾燥された;製剤FT06214が、室温で一晩放置されて乾燥された。表7−4は、顆粒の乾燥特性を示す。
【0222】
【表11】
【0223】
顆粒の水分分析:乾燥した顆粒の4つのバッチの含水量が測定された。結果は、表7−5に列挙される。
【0224】
【表12】
【0225】
【表13】
【0226】
追加物質の添加:崩壊を促進するために、過剰量の崩壊剤が製造した顆粒に加えられた;Turbula(登録商標)ミキサーを42rpmの速度で使用して、混合物が10分間ブレンドされた。次に、潤滑剤が最後の賦形剤として加えられ、ミキサーを使用して同じ速度で2分間ブレンドされた。
【0227】
下記の試験を使用して、4つの顆粒バッチのそれぞれが特性決定された。
【0228】
安息角:粒状物質、例えば粉末および顆粒が高い位置からロートに注がれると、それらは角度のある山を形成する。山の直径および高さの値を使用して、安息角が定量される。流動性の低い凝集性物質は注がれると固まる傾向があり;そしてこの凝集力は、高い値の安息角をもたらす。50°以上の値は低い流動性を示し、そして25°に近い角度は優れた流動性を示す。
【0229】
密度の測定:これは、粒状物質の質量をその体積で割ったものである。メスシリンダーの中で粒状物質が占める体積は、その通気した嵩密度(AD)である。物質がタッピングに付されると、タップ密度(TD)が得られる。これらの密度測定は、何れも物質の沈降パターンおよび製剤が占める体積を評価するのに役立つ。本試験では、サイズ0のカプセルを満たすために250mgの充填量が必要である。これらのカプセルは、最大充填容量が0.68mlである。下記の表7−8は、250mgの製剤がサイズ0のカプセルに容易に収まることを示している。
【0230】
Carr指数を使用する圧縮率:限定された空間における粒状物質の体積減少は、その圧縮率の尺度である。これは、粒度、形状、密度および含水量により影響を受けることがある。体積減少の割合は、内容物の通気したタップ密度から推定されうる。体積減少の割合は、通気密度およびタップ密度から推定され得て(式1);それは流動性の指標となる。緻密化のばらつきを示す物質は、典型的には凝集性であり、高い値のCarr指数を有する。下記の表7−7は、Carr指数に基づく流動性の評価を示す。
式1:圧縮率(%)=100%×(タップ密度−通気密度)/タップ密度
【0231】
【表14】
【0232】
【表15】
【0233】
カプセル充填:手動のTorpac(登録商標)カプセル充填装置およびPerry Accofil(登録商標)充填ガンを使用して、各製剤がサイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。各バッチにおいて、20個のカプセルがランダムにサンプリングされ、そしてそれぞれ計量された。結果は、表7−9に記録される。
【0234】
【表16】
【0235】
崩壊試験:3個のカプセルが各製剤バッチから選択され、37℃の温度において崩壊浴中で酸性媒質(pH2.53)による崩壊に付された。それぞれのカプセルの内容物が完全に崩壊する時間は、下記の表7−10に記録される。
【0236】
【表17】
【0237】
すべてのカプセル剤は、即時放出型経口剤形として許容される時間内で崩壊した。
【0238】
ホットメルト押出製剤
API(BA)の結晶から非晶質形態への変換は、ホットメルト押出法により行なわれた。熱可塑性賦形剤(ポリマー)は、溶剤/担体として必要であり、さらに非晶質状態の安定性を高めるために必要である。ポリマーとAPIの混和性は、溶解度パラメーターを使用して評価されうる。一般にカチオン性ポリマーは、アニオン性薬剤物質と混和性である。この場合、Eudragit E100(登録商標)ポリマーの5.1mPaに対して、BAは12.3MPaの極性を有する。70:30および90:10(Eudragit(登録商標)ポリマー:BA)の割合の2種の製剤が開発された。APIおよびポリマーの相溶性を定量するために使用される1つのパラメーターは水素引力であり、それはBAについては11.2cm3、ポリマーについては8.7cm3であり、その差は2.5cm3である。一般に、水素引力の差が7cm3未満であれば許容される。ホットメルト押出のプロセスパラメーターは、下記の表7−11に示される。
【0239】
【表18】
【0240】
ホットメルト製剤:ホットメルト製剤は均一な色(僅かに淡黄色)であった。しかしながら、製剤FT06216はロートを容易に流れず、大きい凝集物を形成した。供給されたAPI:ポリマーマトリックスの密度および流動性を評価する試験が行われ、その結果は下記の表7−12に提示される。
【0241】
【表19】
【0242】
ホットメルト押出物用のの製剤開発:30:70のBA:ポリマーマトリックスの2.4gのバッチが製造され、評価された。製剤および粉末特性は、下記の表7−13および7−14に示される。BA:ポリマーマトリックスが、500μmのふるいを通して選別された。そして、API:ポリマーマトリックスが計量され、ステアリン酸マグネシウムを除く他の賦形剤に加えられた。Turbula(登録商標)ミキサーを使用して、混合物が42rpmで15分間の乾燥混合に付された。最後に潤滑剤が加えられ、残りの製剤成分と42rpmで2分間混合された。
【0243】
【表20】
【0244】
【表21】
【0245】
この製剤のバッチのサイズが小さいため安息角試験を行なうことはできなかった。表7−12の第2欄の結果と比較して、表7−14に示されているように、通気密度およびタップ密度は改善されている。結果はまた、サイズ0のカプセルが、製剤の標的投与量とするために必要な400mgを含有するのに理論的に適していないことを示している。しかしながら、手動でのタッピングにより、カプセルに必要な400mgを充填することができた。実験は、Perry Accofil(登録商標)真空粉末/顆粒ディスペンサーおよびTorpac(登録商標)カプセル化装置を使用して行われた。試験は400mgの充填量で再現性を示した。
【0246】
ホットメルト試験製剤カプセルの崩壊試験:崩壊試験は、3個のサイズ0のカプセルに充填される400mgの製剤ブレンドの手での充填を含むものであった。充填されたカプセルは、2種の異なる流体媒質−水および0.1M塩酸(pH4.08)中での崩壊試験に付された。何れのカプセルも、水または0.1M HCl中、2時間で崩壊しなかった。
【0247】
次に、1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を加えると、製剤は僅かに変化した。カプセルの崩壊試験はpH2.53の酸性媒質中で行なわれ、そしてカプセルは崩壊した。次に、初めの製剤を使用して、SLSを加えずに、崩壊試験がpH2.53の酸性媒質中で繰り返された。これらのカプセルもまた崩壊した。これらの結果は表7−15に示される。
【0248】
【表22】
【0249】
【表23】
【0250】
造粒されたカプセル製剤の崩壊時間は遅かったが、まだ必要な時間の15分以内であった。
【0251】
ホットメルト押出マトリックスの最終製剤:崩壊試験の知見に基づいて、崩壊を促進するように製剤が僅かに変えられた。これは、崩壊が溶解およびインビボの生体利用性の律速段階とならないようにするために行なわれた。2個の最終ホットメルト押出製剤の詳細は下に示される。
【0252】
【表24】
【0253】
表7−17に記載の製剤は、1個のカプセルが99.99mgのBAを含有することを示す。
【0254】
【表25】
【0255】
表7−18に記載の製剤は、1個のカプセルが33.33mgのBAを含有することを示す。したがって、100mgの投与量は、3個のカプセルの投与を必要とする。
【0256】
ホットメルト押出製剤の物理的特性:それぞれの製剤の安息角および密度が、上記の方法に従って測定された。その結果は表7−19に記録される。
【0257】
【表26】
【0258】
製剤FT06216(30:70)は低い流動性であるが、良好なパッキング能力を示す。密栓の容易さは、この製剤をサイズ0のカプセルに再現性良く充填できることを示している。製剤FT06230は良好な流動性および圧縮性を示し;そのため充填容量の再現性が予想され、それぞれのカプセルにおいて400mgで達成された。
【0259】
【表27】
【0260】
造粒した製剤とメルト押出製剤の崩壊プロファイルは近似しており、迅速な崩壊は、低いpH環境で起こる可能性があることを示す。SLS、ポロキサマーまたはポリソルベートのような表面活性剤(界面活性剤)の添加、崩壊剤の量の増加、および追加の希釈剤の使用は、製剤の崩壊を促進した。
【0261】
結論:造粒した製剤は、許容される流動性の顆粒を生産し、それらはサイズ0のカプセルに再現性良く充填された。幾つかのカプセル化製剤への表面活性剤の添加は、顆粒の緻密化および圧縮率を高めた。ホットメルト押出製剤の崩壊は、崩壊剤の量の増加、希釈剤の最適化、および表面活性剤の添加により改善された。
【0262】
実施例8
BAの経口投与
100mgのBA(4−ヨード−3−ニトロベンズアミド)を含有する4種のカプセル製剤が開発された。これらの製剤には次のものが含まれる:
固体状の造粒したBAを含有するカプセル
BAを含む液体含有カプセル
硬質ゼラチンカプセルに充填された半固体(水混和性の基剤)
硬質ゼラチンカプセルに充填された半固体(水分散性の油性基剤)
【0263】
BA(4−ヨード−3−ニトロベンズアミド)は292の分子量を有し、そして融点は159℃である。賦形剤には、部分アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール400、グリセロール、プロピレングリコールモノカプリレート、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ポリエチレングリコール3350およびラウロイルマクロゴルグリセリドがある。それぞれの賦形剤は商業的に調達された。
【0264】
造粒したカプセル製剤は、下記の表8−1に示される。
【0265】
【表28】
【0266】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeゼラチンカプセルに充填された。
【0267】
BAについて50gのバッチが製造された。顆粒は、次の工程に従って製造された:
活性なBAが1000μmのふるいを通して選別され、次に必要な量のふるいにかけた物質が分配された;
必要な量のStarch1500、続いてBA、Avicel PH101、Povidone K30、ExplotabおよびEmpicolがフードプロセッサーに入れられ、金属ブレードで5分間混合された;
混合中に16.38gの水が10分間以上にわたって加えられた;
顆粒を60℃のオーブン中で5時間乾燥した。
【0268】
均一な黄色の顆粒が生成された。これらの顆粒の含水量は4.07%であった。理論含水量は4.0%として計算され、したがって顆粒は乾燥状態であった。
【0269】
顆粒外物質の添加および100個のカプセルの充填は、次の工程に従い行われた:
Explotabが顆粒に添加され、容器中でブレンダーで混合された;
ステアリン酸マグネシウムが顆粒の一部と混合され、そして容器に加えられ、これが42rpmで2分間混合された;
Perry AccofilおよびTorpac カプセル充填器を使用して、100個のカプセルが充填された。3/16インチの充填ガンを使用して250mgの製剤が各カプセルに充填された。
【0270】
液体充填カプセル:次の方法を使用して、様々な溶媒におけるBAの飽和溶解度が測定された:
磁気撹拌棒を備えた8mlのガラス瓶に、約4mlの被試験溶液が入れられた;
過剰のBAがそれぞれ8mlのガラス瓶に加えられ、試料が超音波浴に5分間入られ、確実に過剰のBAが存在するようにし、そして必要に応じてさらにBAが加えられた;
試料が25℃の水浴に入れられ、一晩(少なくとも16時間)撹拌された;
試料が必要に応じて希釈され、そして吸光度が320nmで測定され;油性の試料がジクロロメタンで希釈され、他の試料はアセトニトリルで希釈され;そして
飽和溶解度をが、BAについてのA1%1cm値および溶液の希釈係数から計算された。
【0271】
溶解度増加試験の結果:溶解度増加試験において評価された物質の詳細は、表8−2に示される。
【0272】
【表29】
【0273】
試験された溶液の結果は、表8−3に示される。
【0274】
【表30】
【0275】
これらの結果は、幾つかの配合選択肢があったことを示している。最良の溶解度を有する物質、100%NMPがカプセルに充填されたが、これはカプセルの亀裂を引き起こし、そのため硬質ゼラチンカプセルに適した物質ではない。しかしながら、そのような溶液は他の経口製剤に適切でありうる。
【0276】
PEG400中のソルトールおよびPEG400中のVit E TPGSは、共に溶液の溶解度を増加したが、共に濁った懸濁液を形成した。これらは、他の溶媒と一緒に使用されるならば好適でありうるが、本試験ではそれ以上評価されなかった。
【0277】
PEG400製剤およびDMA/カプムル製剤のカプセルを製造することが決められた。PEG400製剤は水混和性であり、DMA/カプムル製剤は水不混和性である。両方とも異なる経口的生体利用性を有する可能性がある。
【0278】
ポリエチレングリコール400製剤:PEG400は吸湿性であり、カプセル殻から充填物への水の移行を引き起こし、それによりカプセルを脆くする可能性が高い。0.5mlのPEG400をHPMCカプセルに充填すると亀裂が入った;そのため本製剤に適していない。0.5mlのPEG400をゼラチンカプセルに充填すると、それは亀裂が入らなかった;そのためゼラチンカプセルは本製剤に良く適している。水およびグリセロールを製剤に加えることによる、カプセルの脆化防止が試みられた。カプセルに関する製造業者の文献がこの濃度を超えるグリセロール濃度を推奨していないため、最終製剤として5v/v%濃度のグリセロールが選択された。水は、3v/v%の濃度まで加えられた。水およびグリセロールの添加は、カプセルが脆化を防止するのに役立ちうると考えられた。。この製剤は、表8−4に記載される。
【0279】
【表31】
【0280】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。
【0281】
N,N−ジメチルアセトアミド/カプムルPG−8製剤:カプムル中のDMAが、4つの異なる濃度について飽和溶解度試験で試験された。その結果のグラフがプロットされ、図2に示される。図2のグラフから、カプムルPG−8中の35v/v%DMAを含む製剤が選択された。これの飽和溶解度は、約220mg/mlのBAである。
【0282】
カプムル中の30v/v%DMAを含有するプラセボ製剤が、HPMCカプセルに入れられた。カプセルは脆くなり、亀裂が入った。それは製剤がHPMCカプセルに適していないことを示している。カプムル中の40%DMAを含有するプラセボ製剤をゼラチンカプセルに充填すると、脆化または亀裂のどちらも引き起こさなかった; そのためゼラチンカプセルは、本製剤に使用するのに適していると判断された。製剤の詳細は、表8−5に示される。
【0283】
【表32】
【0284】
製剤は、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。
【0285】
カプセル製造−ポリエチレングリコール400製剤:表5に示される製剤の100mlのバッチ(バッチ番号FT06113)が製造された。次の工程が使用された:
グリセロール(6.30gは5mlに相当する;密度=1.26g/ml)が計量され、100ml容量のフラスコに入れられた。
ガラスピペットを使用して3mlの水が加えられた。
PEG400が加えられ、所定の容量とされ、振盪により混合された。
BAが計量され、100mlのガラス瓶に入れられ、PEG溶液を約85mlまで加えた。
得られる混合物が磁気撹拌器で混合され、すべての活性物質が溶解するまで50℃で加熱された。
溶液が100ml容量のフラスコに移され、冷却され、PEG溶液で所定の容量とされ、振盪して混合された。
フィンピペットを使用して、100個のカプセルにそれぞれ0.57mlの溶液が充填された。
ゼラチンバンディング溶液をカプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に塗ることにより、カプセルが密封された。バンディング溶液の詳細は、下に示される。
カプセルは、バンディング溶液が乾燥するまで放置された。
【0286】
N,N−ジメチルアセトアミド/カプムルPG−8製剤:表6に示される製剤の75mlのバッチ(バッチ番号FT06114)が製造された。次の工程が使用された:
28mlのDMAが100mlのメスシリンダーに入れられ、カプムルを80mlまで加えた。
これを振盪して混合した。
BAが計量され、100mlのガラス瓶に入れられ、カプムル溶液を約60mlまで加えた。
それが磁気撹拌器で混合され、すべての活性物質が溶解するまで50℃で加熱された。
溶液が冷却され、100mlのメスシリンダーに移され、カプムル溶液で所定の容量とされ、振盪して混合された。
フィンピペットを使用して、100個のカプセルにそれぞれ0.50mlの溶液が充填された。
ゼラチンバンディング溶液をカプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に塗ることにより、カプセルが密封された。バンディング溶液の詳細は、下に示される。
カプセルは、バンディング溶液が乾燥するまで放置された。
【0287】
カプセルを密封するために使用されるバンディング溶液の組成は、表8−6に示される:
【0288】
【表33】
【0289】
次の手順に従って、バンディング溶液の10g混合物が製造された:
ツイーン80および2.353gの水が、ガラス瓶中で混合された。
ゼラチン殻がフードプロセッサーで細かく砕かれ、必要な量が加えられた。
それを磁気撹拌器で3分間振盪することにより混合した。
混合物を約2時間放置し、残りの水が加えられた。
それを磁気撹拌器で5分間撹拌した。
必要に応じて、混合物は50℃まで加熱され、磁気撹拌器で撹拌された。
【0290】
カプセルの本体とキャップの間の継ぎ目付近に細い絵筆で密封溶液を塗ることにより、カプセルが密封された。カプセルは少なくとも30分間放置され、バンディング溶液を乾燥させた。
【0291】
カプセルに充填される半固体(水混和性基剤):表8−7は、半固体(水混和性基剤)製剤、バッチ番号FT06096の組成を示す。
【0292】
【表34】
【0293】
製剤が、サイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填された。100gのバッチをが、次の手順に従って製造された:
ポリエチレングリコールを磁気撹拌器で撹拌しながら約66℃まで加熱して溶融した。
活性物質を加え、Silversonホモジナイザーで15分間混合し、その後均一な黄色の懸濁液を生成した。
フィンピペットおよびTorpacカプセル充填器を使用して500mgの製剤をそれぞれのカプセルに充填した。
【0294】
充填する間、温度を65℃以上に維持してポリエチレングリコールの溶融状態を保持した。混合工程は温度の上昇を引き起こし、最高温度が95℃に達した。この温度で殆どの活性物質がポリエチレングリコールに溶解したと思われたが、混合物を冷却すると溶液から出てきた。
【0295】
動物試験で使用される100個のカプセルをすべて入手できた。
【0296】
カプセルに充填される半固体(水分散性の油性基剤):表8−8は、半固体(水分散性の油性基剤)製剤、バッチ番号FT06095の組成を示す。
【0297】
【表35】
【0298】
製剤をサイズ0のSwedish Orangeカプセルに充填した。次の工程に従って、100gのバッチが製造された:
ゲルシレを磁気撹拌器で撹拌しながら、約60℃まで加熱して溶融した。
活性物質を加える前に、ゲルシレを50℃まで冷却した。
BAを加え、Silversonホモジナイザーで15分間混合し、その後均一な黄色の懸濁液が形成された。
フィンピペットおよびTorpacカプセル充填器を使用して、500mgの製剤がそれぞれのカプセルに充填された。
【0299】
混合する間に、最高温度が67℃に達した。動物試験で使用される100個のカプセルをすべて入手できた。
【0300】
考察:すべてのタイプの4個の標的カプセルは、成功裡に製造された。適切な液体充填製剤を特定するための溶解度試験において、2種の異なる溶媒が特定された。一方は水混和性のポリエチレングリコール400を基剤とする製剤であり、他方は水不混和性のプロピレングリコールモノカプリレート中のN,N−ジメチルアセトアミド(カプムルPG−8)製剤であった。
【0301】
2種の半固体製剤は、共に何の問題もなく調製された。水混和性製剤は、ポリエチレン グリコール3350を含むものであった。水分散性の油性基剤製剤は、ラウロリルマクロゴルグリセリド(ゲルシレ44/14)を含むものであった。すべての製剤が、生体利用性試験に進ませるのに適している。
【0302】
実施例9
BAの経口的生体利用性試験の要約
自己乳化脂質製剤(SELF)は、油性基剤、界面活性剤、共界面活性剤および共溶媒を使用して調製される脂質ビヒクルである。それらは、デリバリーシステムおよび溶解度増加剤として機能しうる。自己乳化は、脂質製剤が水性媒質または胃腸液と接触することで起こる。水性媒質およびSELF試料の混合物を撹拌するとミセルが生成され、それは薬物の脂質二重層全体への輸送を補助する。
【0303】
SELF試料は新たに調製され得て、さらに予備濃縮物としても入手できる。これらのLF試料の消化経路は、選択された油のトリグリセリド鎖(直鎖状配列の炭素原子の数)により影響される。中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は門脈系に吸収されるが、長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)はリンパ管に吸収される。
【0304】
薬剤と混和性であり、最大の溶解度増加を示す適切な自己乳化製剤の選択を可能にする予備製剤の選別ツールとして設計されたSELFキットは、Gattefosse社により供給された。これは3種の半固体および5種の液体製剤で構成されていた。
【0305】
この作業の目的は、SELF試料が水中で自己乳化する傾向を評価すること、またこれらの脂質系におけるBA溶解度の改善を評価することである。最初の混和性試験は、それぞれのSELF試料および希釈溶媒アセトニトリルを使用して実行された。供給された自己乳化脂質を使用してBA(API)の溶解度増加の評価が実行された。
【0306】
【表36】
【0307】
溶媒混和性試験:ピペットを使用して同じ量の各SELF試料および純アセトニトリルを正確に計量して透明なねじ口瓶に入れ、Heidolphリラックストップ・ボルテックスミキサーを使用して1分間旋回された。生成した混合物−明らかに透明な溶液の連続相−は、混和性である。
【0308】
液体のSELF試料についての飽和溶解度試験:フィンピペットを使用して2mlのSELF液体をそれぞれ計量して8mlのねじ口ガラス瓶に入れた。一定分量(50mg)のAPIを加えて混合物を飽和させた。混合物を30分間超音波処理し、飽和が維持されているかどうかを観察した。さらに一定分量(25mg)のAPIを撹拌しながら不飽和試料に加えた;これらをさらに30分間超音波処理した。この工程を繰り返して飽和を達成し、超音波処理後に維持した。
【0309】
次に、液体試料を25℃でベルト駆動自動変速の水浴に入れ、二晩撹拌した。使用後に酸化を最小限に抑えるためLF試料をそれぞれ窒素ガスでパージした。
【0310】
飽和した液体試料を25℃において4000rpmの速度で10分間遠心した。
【0311】
半固体のSELF試料についての飽和溶解度試験:分配する前に、半固体の脂質を60℃の乾燥オーブン中で溶融した。半固体をねじ口瓶に分配し、一定分量のAPIを加えて飽和を達成し、維持した。飽和した半固体を60℃で撹拌し続けた。
【0312】
翌日、撹拌器の電源を切ったが、加熱を60℃で1時間継続した。これにより分散した固体粒子が沈降した。それぞれの飽和した半固体試料の上部の透明な層から0.1mlを採取し、アセトニトリルで希釈した。沈殿形成を示さなかった試料については、飽和したAPIは時間とともに溶解するために、追加のAPIを加えて試料をもう一晩撹拌した。
【0313】
UV分析:飽和試料および脂質ビヒクルを同じ割合でアセトニトリルにより希釈した。試料をアセトニトリルで希釈して、0.1〜1の吸光度を得た。希釈した脂質ビヒクルの吸光度を、活性試料の吸光度測定のベースラインとして使用した。希釈した試料を、320nmの固定波長でスキャンした。アセトニトリル中のAPI濃度から導かれるE11値を使用して、APIの濃度が計算された。
【0314】
カプセル化顆粒製剤の生体利用性試験結果:経口的生体利用性試験は、5匹の雌および5匹の雄からなる10匹のイヌで実行された。これは、1kgあたり60mgの造粒したカプセルおよび1kgあたり33mgのホットメルト製剤の投与を含むものであった。これらの生体利用性試験の結果が、従来の造粒したカプセル製剤(第I相)と比較された。。表9−2は、各製剤の平均生体利用効率および目的とする生体利用効率を達成したイヌの数を示す。
【0315】
【表37】
【0316】
薬剤物質BAのサイズ縮小(size reduction)およびイオン性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウムの使用の組合せは、薬剤物質の生体利用性を高めることがわかった。薬剤物質の表面面積の増加が、その透過性を改善していた。ラウリル硫酸ナトリウムはアニオン性界面活性剤であり、本来は両親媒性、すなわち親水性および親油性の両方である。ラウリル硫酸ナトリウムは化学構造式Na+-OSO3(CH2)11CH3を有する。
【0317】
ラウリル硫酸ナトリウムの重合性炭素鎖は、それに親油性を与え、硫酸塩の頭部は親水性を与える。SLSのこの両親媒性が、幅広い化合物群の水和および透過の促進を可能にする。SLSの濃度は、ミセル生成の割合に影響を及ぼす。SLSは親薬剤物質の多孔性を高めうることが報告されている。将来の製剤においてラウリル硫酸ナトリウムの量を増加させることは、さらにBA薬剤物質を‘ロック’する能力を高め、そして迅速な薬剤−ミセルマトリックス形成および迅速な湿潤化能力を促進するはずである。ラウリル硫酸ナトリウムを自己乳化系に混入することもまた、湿潤性および透過性を増大させる能力をもたらしうる。
【0318】
自己乳化脂質の予備濃縮物による溶解度増加
溶媒の混和性試験:混和性試験は、上記のように実行された;その結果は、表9−3に示される。
【0319】
【表38】
【0320】
混和性試験試料27A、D、E、FおよびGはすぐに混和性を示し、それは48時間にわたって維持された。試料27Bは振盪しているときは濁りの兆候を示したが、これは一旦振盪を止めると消えた。試料27CおよびHは振盪しているときは透明に見えたが、放置すると2相に分離した。これらの観察に基づいて、混和性試験をパスした脂質試料をさらなるAPI分析に使用した。
【0321】
自己乳化試験:それぞれのプラセボ脂質デリバリーシステムから0.15mlを採取し、撹拌しながら200mlの水に分配し、その結果を表9−4に示す。
【0322】
【表39】
【0323】
飽和溶解度:飽和溶解度試験はアセトニトリルと混和性である6個のSELF試料(Gattefosse)で実行された。これらの試料を二晩にわたって撹拌した。この試験の結果を表9−5に示す。
【0324】
【表40】
【0325】
最初にGattefosse社製の自己乳化脂質が、溶解度の増加について分析された。最初の結果に基づいて、自己乳化脂質をもう少し調製することが必要であった。新しく調製した自己乳化脂質の組成を表9−6に記載する。
【0326】
自己乳化脂質の製造:自己乳化脂質は、シングルポット法により調製された。油、界面活性剤および共界面活性剤の混合物を高速で均質化し、全内容物が泡状になってから試料を60℃で30分間超音波処理した。さらに残留する泡を除去するために超音波処理を行なった。
【0327】
【表41】
【0328】
新しく調製されたSELF試料の自己乳化についての試験:約0.15mlのプラセボ自己乳化脂質を撹拌しながら200mlの水に分配した。新しく調製された自己乳化脂質は、水中で自発的に乳化した。水中の製剤F1の混合物は透明なままであり、このことはナノ粒子規模の乳濁液であり、ミクロ乳濁液の形成を示している。水中の他のすべての製剤は、光の下で観察すると金色味を帯びた不透明色を示した。
【0329】
新しく調製された自己乳化脂質のアセトニトリルに対する混和性の評価:同じ量の新しく調製されたSELF試料およびアセトニトリルを、20mlの透明なねじ口瓶に分配した。Heidolphリラックストップを使用して、混合物を1分間旋回させた。観察結果を表9−7に記録する。
【0330】
【表42】
【0331】
試料F2は潜在的に不安定であったため、溶解度を増加するための使用をやめた。
【0332】
新しく調製された脂質試料の飽和溶解度:飽和溶解度試験は、それぞれの新しく調製された半固体脂質試料で上記のようにして実行された。表9−8に示される結果は、二晩にわたる飽和試料の平衡化に基づいている。
【0333】
【表43】
【0334】
溶解度増加データ:試験されたすべての試料に対するAPIの溶解度増加は、水中のAPI濃度と比較して計算され、増加度の順にランク付けされた(表9−9を参照されたい)。
【0335】
【表44】
【0336】
幾つかのGattefose社製の試料および 社内のSELF試料において、良好な溶解度増加が達成された。自己乳化脂質の製剤におけるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の使用は、恐らく粉末化SLSの粒度により、望ましい効果を示さなかった。脂質の製造法を最適にすることにより、溶解度はさらに増加しうる。
【0337】
データ分析:一晩および二晩平衡化した飽和試料の濃度の比較を行なった。観察時に、試料F3およびF7の相分離が見られ、これは通常、乳濁液が不安定であり、時間とともにAPI濃度に影響を及ぼすことを示している。図4のグラフは、濃度に対するデリバリー物質の安定性効果を強調するだけでなく、飽和に達するのに必要な時間の長さもまた示している。
【0338】
半固体の飽和試料を、それぞれの時点にUV分光光度計を使用して分析した;飽和の第一夜および第二夜。試料F1、F4、F5、F6および27Aは、二晩にわたってAPI濃度の増加を示した。しかしながら、試料F3およびF7は、濃度の僅かな減少を示した。これは、これらの2種の自己乳化脂質の不安定性によるものでありうる;相分離は、飽和混合物の上部層のAPI量の減少をもたらしうる。試料F1は、平衡化の第一夜後に最高の濃度を示し、これは、試料27AがAPIに対してF1よりも遅い放出効果を有することを示唆しうる。それはまた、二晩にわたる平衡化が、脂質ビヒクルにとってより適切でありうることを示す。
【0339】
カプセル充填効率の評価:サイズ0のカプセルに充填されうる量を確認するために、所定数の脂質系が評価された。得られた密度を使用して、全充填量0.6gについてカプセル充填容量を計算した。本試験の結果を表9−10に記載する。
【0340】
【表45】
【0341】
表9−10のデータから、すべての試験された脂質系は、サイズ0のカプセルに0.6g充填されることがわかり、これは、約100%の充填容量に基づいている。APIの添加により、これらの値は変化しうる。
【0342】
脂質系におけるAPI含量の推定:サイズ0のカプセルのAPI含量を、単位投与量100mgのカプセルについて適切な溶解度増加を示した2種の製剤のそれぞれについて測定した。得られた密度を使用して、90%のカプセル充填容量のAPI含量を推定した。これに関する理論的根拠は、主に製剤バッチの調製中における流出を回避し、冷却効果によるカプセル殻中の半固体の潜在的な膨張を許容することである。計算された値を表9−11に記載する。
【0343】
【表46】
【0344】
BA APIの標的薬剤含量は、単位カプセルあたり100mgである;表9−11の結果から、脂質製剤F1、27Aおよび27Fについて所望の強度の投与量が達成できたことがわかる。
【0345】
カプセル化顆粒の生体利用性試験の結果は、APIのサイズ縮小が僅かに薬剤吸収を高めたことを証明している。
【0346】
生体利用性試験の結果
生体利用性試験の結果を、下記の表9−12および9−13に示す。
【0347】
【表47】
【0348】
【表48】
【0349】
実施例10
BAの経口的生体利用性試験の要約
BAについて2種の経口的生体利用性試験を、ビーグル犬で遂行した。生存期間はCovance(ミシガン州カラマズー)において非GLP条件下で行なった。投与後、所定の時点に血漿試料を採取し、凍結試料をAlta Analytical(カリフォルニア州エル・ドラド・ヒルズ)に輸送し、LC/M/MSアッセイを使用してBAおよびその代謝物の濃度を測定した。
【0350】
製剤
本試験で試験された製剤のリストを下記の表10−1に示す。注射用液体はAptuit社により供給され、5℃で保存した。カプセルはPatheon UK Limited社により供給され、周囲温度で保存した。
【0351】
【表49】
【0352】
【表50】
【0353】
4種の製剤が、湿式造粒法により調製された。造粒されたカプセル用製剤の要約を表10−3に記載する。4−ヨード−3−ニトロベンズアミドAPIは、BAと称される。
【0354】
【表51】
【0355】
それぞれの重要工程は同一である。4−ヨード−3−ニトロベンズアミドAPIは、API BAと称される。
【0356】
2種のホットメルト押出製剤の詳細を、下記の表10−4および表10−5に示す。
【0357】
【表52】
【0358】
【表53】
【0359】
試験7666−113で試験した製剤のリストを、下記の表10−6に示す。注射用液体はAptuit社により供給され、5℃で保存した。カプセルはPatheon UK Limitedにより供給され、周囲温度で保存した。
【0360】
【表54】
【0361】
100mgの微粉化BAおよび異なる濃度のラウリル硫酸ナトリウムを含有する製剤のすべてを表10−7に記載する。微粉化BAは、Micro technologies社でAPIをミル粉砕装置に送り込むことにより製造された。最終粒度は10μm以下であった。
【0362】
【表55】
【0363】
半固体カプセル製剤は、微粉化した自己乳化薬剤デリバリーシステム(SMEDDS)キット27Aを使用して調製された。微粉化した自己乳化薬剤デリバリーシステム(SMEDDS)は、油相のためのろう状固体、脂質共界面活性剤、および界面活性剤を使用して新しく調製された。使用した油は、可変鎖長の脂肪酸の混合物で構成されるが、一般に中鎖トリグリセリドとして分類される。SMEDDS製剤は油の割合が高く、これは門脈系を通じての初期の迅速な吸収、およびリンパ系を通じての残りの吸収という形態で、二峰性の吸収プロファイルの効果を示しうる。新しく調製されたSMEDDSビヒクルの製剤を表10−8に示す。
【0364】
【表56】
【0365】
BAのSMEDDSを基剤とするカプセルは、表10−9に記載のように新しく調製されたSMEDDS製剤を使用して製造された。カプセル製剤のバッチ番号はFT07026である。
【0366】
【表57】
【0367】
生存期間(インビボビーグル犬)
ビーグル犬をCovance動物コロニーから移し、試験期間前に6日間順応させた。順応および試験期間の間、動物を個別に被覆した棒の床がある金網の囲いに収容した。動物を薬物投与後少なくとも24時間混じり合わせず、被験物質が関連する効果の監視を可能にした。動物には、非認定の犬用食#5L03(PMI Feeds社)を薬物投与について特定された時間を除いて自由に与えた。
【0368】
下記の表10−10および10−11に従い、それぞれのイヌをIV注射またはカプセルの経口投与のいずれかにより処置した:
【0369】
【表58】
【0370】
【表59】
【0371】
投与薬の調製
静脈内投与においては、被験物質として供給されたものを希釈することなく投与した。経口投与においては、供給されたカプセルを投与した。投与後に残留する静脈内投与製剤は、すべて約5℃で保存された。
【0372】
投与薬の投与
経口的に投与された動物をそれぞれの相で投与後約4時間を経て一晩絶食させた。動物を静脈内投与前には絶食させなかった。個々の投与量は、投与当日に計量した体重に基づいて計算された。
【0373】
静脈内投与薬を供給されたままで橈側皮静脈を通して投与した。投与後、針を動物から取り出す前に、投与装置を約2mLの生理食塩水で洗い流した。カプセル投与薬は経口的に投与され、その後約5mLの水を与えた。
【0374】
試料採取
投与前ならびに投与後0.033、0.083、0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12、16および24時間に、血液(約2mL)を頚静脈から採取し、K3EDTA抗凝血剤を含有する管に入れた。
【0375】
動物の処分
生存期間の試験が終了した後、動物をCovance動物コロニーに戻した。
【0376】
LC/MS/MS分析
血漿中のBA濃度は、Alta Analyticalで定量下限が5.0ng/mLのLC/MS/MSアッセイを使用して測定された。測定物質および内部標準(CNBA{4−クロロ−3−ニトロベンズアミド})をメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)を使用して液体−液体抽出によりイヌ血漿から抽出した。蒸発乾固および再構成後、抽出物をLC−API/MS/MSにより分析した。操作時間は約5分であった。
【0377】
機器および装置
・SCIEX API 3000(登録商標)質量分析計(Applied Biosystems/MDS SCIEX)
・ミキシングティー(または同等物)を備えたShimadzu LC−10AD HPLCポンプ(2)、Shimadzu SCL−10Aコントローラー(または同等物)HTS−PALまたはHTC−PALオートインジェクター(または同等物)
・IEC Centra GP8R遠心分離機(または同等物)
・TurboVap(登録商標)LV蒸発器
【0378】
試薬および化学薬品
参照物質4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(BA)および内部標準4−クロロ−3−ニトロベンズアミド(CNBA)は、Pacific BioDevelopment, LLCから入手できる。使用されるアセトニトリル(ACN)、メタノール(MeOH)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびH2OはHPLCグレードまたは同等物である。
【0379】
試薬および溶液の調製についての次の手順は、単なる例示として提供される。最終濃度が同じならば。他の製造法を代用することもできる。
試薬/希釈溶媒の調製:
50:50のMeOH:H2O:同量のMeOHおよびH2Oを混合する(室温で保存する);
1M KH2PO4;68.05gのKH2PO4を500mLのH2Oに溶解する(室温で保存する);
1M K2HPO4:87.1gのK2HPO4を500mLのH2Oに溶解する(室温で保存する);
1Mリン酸カリウム緩衝剤(pH〜6):400mLの1M KH2PO4および〜60mLの1M K2HPO4を混合してpH〜6.0とする(室温で保存する);
0.1%ギ酸:1000mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(4℃で保存する);
再構成溶媒:15:85のACN:0.1%ギ酸:15mLのACNおよび85mLの0.1%ギ酸を混合する(室温で保存する);
移動相A:0.1%ギ酸(FA):999mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(移動相としてだけの使用;室温で保存する);
移動相B:0.1%ギ酸を含むACN。999mLのACNおよび1mLのギ酸を混合する(室温で保存する);
〜0.3%ギ酸を含む(50:50のMeOH:H2O):500mLのMeOH、500mLのH2Oおよび3mLのギ酸を混合する(室温で保存する);
〜0.1%ギ酸を含む(80:20のACN:H2O):800mLのACN、200mLのH2Oおよび1mLのギ酸を混合する(室温で保存する)。
【0380】
本試験において、6種の異なる経口製剤を試験し、BAのIV投与と比較して経口的生体利用性を測定した。ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー188と共に製剤化した、またはサイズ縮小したBA製剤の雄および雌のビーグル犬に対する経口投与は、投与後24時間持続した血漿中濃度をもたらした。ラウリル硫酸ナトリウムを含む製剤で、21.6%±10.4%の経口的生体利用性が観察された。サイズ縮小したBA APIは、ラウリル硫酸ナトリウム、イオン性界面活性剤の使用と組合せて、薬剤物質の生体利用性を高めた。
【0381】
図7は、試験7666−110から得られる、雌および雄のイヌにおける異なるBA製剤の経口的生体利用性を示す。これらの図は、サイズ縮小したBAを経口投与した雄および雌のイヌから得られたPKプロファイルを示す。BA濃度(円)、IABM濃度(逆三角形)およびIABA濃度(正方形)。BAおよび形成された代謝物のPKプロファイルに、明らかな性差は観察されない。
【0382】
図8は、サイズ縮小したBA、または1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含むサイズ縮小したBAを経口投与した、イヌ(雄および雌)のPKプロファイルの比較を示す。BAの製剤化における1%SLSの添加は、サイズ縮小したBAの経口吸収を増加し、より大きな血漿中濃度−時間曲線下面積を与えた。
【0383】
試験7666−113において、4種の異なる経口製剤(SLSを含むまたは含まない微粉化BAおよび 半固体製剤)を試験し、BAのIV投与と比較して経口的生体利用性を測定した。すべての製剤の経口的生体利用性は6%以下であった。
【0384】
図9および10は、試験7666−113から得られる、雌および雄のイヌにおける異なるBA製剤の経口的生体利用性を示す。
【0385】
PKプロファイルにおけるBA(微粉化およびサイズ縮小した)の粒度の効果を図11に示す。それは、微粉化またはサイズ縮小したBAを経口投与したイヌ(雄および雌)におけるPKプロファイルの比較を示す。データは、Covance試験7666−110および7666−113から得られる。直接比較するために、試験7666−113の経口投与量100mg/kgをPKと投与量は直線関係であると想定して60mg/kgに変換した。
【0386】
BAのAUCにより示されるように、経口投与による暴露は長引き、サイズ縮小したAPIでは投与後24 時間まで全身代謝物濃度の持続をもたらした。微粉化によるAPI粒度の縮小はピーク血漿中濃度(Cmax)を高め、そしてより迅速な経口吸収を示すピーク濃度までの時間(Tmax)を短くするが、BAおよび代謝物の血漿中濃度の減少もまた迅速であった。
【0387】
サイズ縮小したAPIと微粉化APIの経口投与との間でAUC値(投与時から投与後4時間、8時間、12時間および24時間が計算された)を比較すると、投与後長期間にわたるAUCを見てわかるように微粉化APIに対するサイズ縮小したものの比率は、1未満から1以上まで増加しており、それはより小さい微粉化APIの、より速い吸収でGI管からの取り込みに差があるためである。しかしながら、サイズ縮小した物質の経口的生体利用性(AUC 0〜24時間の比較)はより高かった。TmaxおよびCmax比率もまた、サイズ縮小した物質の吸収率が遅いことを示している。
【0388】
図12は、BA(2%SLSを含む微粉化)のIV注入または経口投与により投与したイヌにおけるBAおよびその代謝物(IABM、IABA)のPKプロファイルの比較を示す。BAを経口的に投与するとイヌへのBAおよびその代謝物の暴露は長引いた。
【0389】
要約すれば、BAの最高の経口的生体利用性21.6%±10.4%が、1%SLSを含むサイズ縮小したAPIで観察された。微粉化によるAPI粒度の縮小は、より迅速な経口吸収並びにBAおよび代謝物の血漿中濃度の迅速な減少をもたらし、サイズ縮小したAPIと比べて低い経口的生体利用性を示した。
【0390】
本明細書で記載および特許請求される方法はすべて、本明細書の開示を踏まえて過度の実験をすることなく実施および実行されうる。本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく変形を加えることができることは、当業者にとって明白であろう。さらに詳しくは、同一または同様の結果が得られるならば化学的かつ生理学的に関連する特定の物質を本明細書に記載の物質の代りに使用しうることは明白である。当業者にとって明らかな同様の置換および変更はすべて、添付された特許請求の範囲で定義されたような、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。本発明の好ましい態様を本明細書で示して説明したが、そのような態様はほんの一例として提示されることは、当業者にとって明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく数多くの変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書で記載される本発明の態様の様々な代替案が本発明の実施において使用されうることは理解されるべきである。
【0391】
本発明の新しい特徴は、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される実施態様を説明する上記の詳細な記載および添付図面を参照することにより得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する医薬組成物。
【請求項2】
可溶化剤が、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、またはそれらの2種以上の混合物を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する当化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式(Ia):
【化2】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに界面活性剤を含有する医薬組成物。
【請求項9】
界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、あるいは式IIまたはIII:
【化3】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物の1種以上を含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118またはソルトールHS−15の1種以上を含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
式(Ia):
【化4】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンを含有する医薬組成物。
【請求項12】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの1種以上を含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
式(Ia):
【化5】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに共溶媒を含有する医薬組成物。
【請求項14】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ガンおよびウイルス性疾患から選択される疾患の疑いのある患者を、式(Ia)
【化6】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒からなる群の1種以上を含有する医薬組成物で治療することを含む、前記疾患を治療する方法。
【請求項16】
前記式Iaで表される化合物が経口的に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iaで表される化合物が非経口的に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患がガンであり、そのガンが、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、CNS腫瘍、末梢CNSガン、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、並びにウイルス性ガンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
式(Ia):
【化7】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有するキット。
【請求項23】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項26】
式(Ia):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有する水溶液。
【請求項27】
式(Ia):
【化9】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する投与単位。
【請求項28】
可溶化剤が、界面活性剤および場合により1種以上のシクロデキストリン、共溶媒、脂質またはそれらの混合物を含有する、請求項27に記載の投与単位。
【請求項29】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項30】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項31】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項32】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項33】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項34】
界面活性剤が、1種以上の式IIまたはIII:
【化10】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項35】
界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリドまたはポリエトキシル化脂肪酸の1種以上を含有する、請求項27に記載の投与単位。
【請求項36】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項35に記載の投与単位。
【請求項37】
式(Ia):
【化11】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンおよび水を含有する非経口医薬組成物。
【請求項38】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
共溶媒をさらに含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
共溶媒がエタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【請求項1】
式(Ia):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する医薬組成物。
【請求項2】
可溶化剤が、シクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒、またはそれらの2種以上の混合物を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する当化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
式Iaで表される化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式(Ia):
【化2】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに界面活性剤を含有する医薬組成物。
【請求項9】
界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、あるいは式IIまたはIII:
【化3】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物の1種以上を含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118またはソルトールHS−15の1種以上を含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
式(Ia):
【化4】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンを含有する医薬組成物。
【請求項12】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの1種以上を含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
式(Ia):
【化5】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに共溶媒を含有する医薬組成物。
【請求項14】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ガンおよびウイルス性疾患から選択される疾患の疑いのある患者を、式(Ia)
【化6】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤および共溶媒からなる群の1種以上を含有する医薬組成物で治療することを含む、前記疾患を治療する方法。
【請求項16】
前記式Iaで表される化合物が経口的に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iaで表される化合物が非経口的に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患がガンであり、そのガンが、副腎皮質細胞ガン、肛門ガン、再生不良性貧血、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、骨転移、CNS腫瘍、末梢CNSガン、乳ガン、キャッスルマン病、子宮頸ガン、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸および直腸ガン、子宮内膜ガン、食道ガン、ユーイング系腫瘍、眼ガン、胆嚢ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭および下咽頭ガン、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝ガン、肺ガン、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳ガン、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔ガン、鼻咽腔ガン、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭ガン、骨肉腫、卵巣ガン、膵臓ガン、陰茎ガン、下垂体ガン、前立腺ガン、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、肉腫(成人軟組織ガン)、黒色腫皮膚ガン、非黒色腫皮膚ガン、胃ガン、睾丸ガン、胸腺ガン、甲状腺ガン、子宮肉腫、膣ガン、外陰ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、並びにウイルス性ガンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
式(Ia):
【化7】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有するキット。
【請求項23】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
共溶媒が、エタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項26】
式(Ia):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリン、界面活性剤、共溶媒またはそれらの混合物を含有する水溶液。
【請求項27】
式(Ia):
【化9】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びに少なくとも1種の医薬として許容される可溶化剤を含有する投与単位。
【請求項28】
可溶化剤が、界面活性剤および場合により1種以上のシクロデキストリン、共溶媒、脂質またはそれらの混合物を含有する、請求項27に記載の投与単位。
【請求項29】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約1.5倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項30】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約2倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項31】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約5倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項32】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約10倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項33】
化合物の溶解度が、純水に対する該化合物の溶解度の少なくとも約50倍である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項34】
界面活性剤が、1種以上の式IIまたはIII:
【化10】
(式中、
Mは正電荷m+を有する金属イオンであり、
mは1、2または3の整数値であり、
nは1〜11の整数値であり、そして
pは1〜10の数値である)
で表される化合物である、請求項27に記載の投与単位。
【請求項35】
界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリエトキシル化トリグリセリドまたはポリエトキシル化脂肪酸の1種以上を含有する、請求項27に記載の投与単位。
【請求項36】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、クレモフォールEL、クレモフォールRH40、ポロキサマー118およびソルトールHS−15の群から選択される、請求項35に記載の投与単位。
【請求項37】
式(Ia):
【化11】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、クロロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、5個のR1、R2、R3、R4およびR5置換基のうち少なくとも2個は常に水素であり、5個の置換基のうち少なくとも1個は常にニトロであり、そしてニトロに隣接して位置する少なくとも1個の置換基は常にヨードである]
で表される化合物、およびその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝物、類似体またはプロドラッグ、並びにシクロデキストリンおよび水を含有する非経口医薬組成物。
【請求項38】
シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
共溶媒をさらに含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
共溶媒がエタノール、グリコフロール、グリセリンホルマール、ベンジルアルコール、PEG 400、プロピレングリコールおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−516626(P2010−516626A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545734(P2009−545734)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051214
【国際公開番号】WO2008/089272
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507401258)バイパー サイエンシズ,インコーポレイティド (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051214
【国際公開番号】WO2008/089272
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507401258)バイパー サイエンシズ,インコーポレイティド (13)
【Fターム(参考)】
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