説明

キナーゼ阻害剤としての活性をもつピロロ[2,3−b]ピリジン誘導体、それらの調製方法、およびそれらを含む医薬組成物

【課題】ピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体または薬剤的に許容可能なそれらの塩の化合物、それらの調製方法、およびそれらを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】下図の化合物。


R、R1は特定の基。本化合物は、癌、細胞増殖性疾患、アルツハイマー病、ウイルス感染、自己免疫疾患、および神経変性疾患のような変化したプロテインキナーゼ活性により引き起こされた、および/またはそれに付随した疾患の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2003年12月24日に出願されたイギリス特許出願第0330043.1号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、キナーゼ阻害剤として活性のあるピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体に関するものであり、特に、5位においてさらに置換されたピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体、それらの調製方法、それらのコンビナトリアルライブラリ、それらを含む医薬組成物、および、特にプロテインキナーゼの調節障害に関する疾患の治療における治療学的な薬剤としてのそれらの使用に関する。
【0003】
背景の考察
プロテインキナーゼ(PKs)の機能不全は、多数の疾患の特徴である。ヒトの癌に含まれる癌遺伝子および前癌遺伝子の大部分は、PKsをコードする。PKs活性の増強は、前立腺肥大症、家族性腺腫瘍、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に付随する血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸球体腎炎、並びに外科手術後の狭窄症および再狭窄症のような多くの非悪性の疾患にも関与している。
【0004】
PKsは、炎症性の異常、並びにウイルスおよび寄生虫の増殖とも関係している。PKsは神経変性疾患の原因、および発症における主要な役割も果たしていると考えられている。
【0005】
PKsの機能不全または調節障害についての一般的な参考文献については、例えばCurrent Opinion in Chemical Biology 1999, 3, 459 -465を参照のこと。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、プロテインキナーゼ活性の調節障害によって引き起こされた、および/またはそれに付随した多くの疾患に対する薬剤として治療において有用である化合物を提供することである。
【0007】
もう1つの目的は、プロテインキナーゼ阻害活性を有する化合物を提供することである。
【0008】
本発明者は今回、いくつかのピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体がプロテインキナーゼ阻害活性を有し、それ故、プロテインキナーゼの調節異常に付随する疾患の治療法において有用であるということを発見した。
【0009】
さらに詳細に言えば、本発明の化合物は、これに限定するものではないが、膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、小細胞肺癌を含む肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、および扁平上皮細胞癌を含む皮膚癌のような癌;白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセルリンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系統の造血性腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群、および全骨髄芽球性白血病を含む骨髄系統の造血性腫瘍;繊維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉由来の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、および神経鞘腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角質黄色腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫などその他の腫瘍を含む、さまざまな癌の治療において有用である。
【0010】
細胞増殖の制御におけるPKsの主要な役割によって、これらのピロロ[2,3-b]ピリジン化合物は、例えば前立腺肥大症、家族性腺腫瘍、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に付随する血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸球体腎炎、外科手術後の狭窄症および再狭窄症のようなさまざまな細胞増殖性疾患の治療においても有用である。
【0011】
本発明の化合物は、cdk5がタウタンパク質のリン酸化に関与しているという事実によって示唆されているように、アルツハイマー病の治療においても有用である(J. Biochem., 117, 741-749, 1995)。
【0012】
本発明の化合物は、アポトーシスの修飾因子として、癌、ウイルス感染、HIV感染個体におけるAIDS進行の予防、自己免疫疾患、および神経変性疾患の治療において有用である。
【0013】
本発明の化合物は、臓器移植拒絶反応および宿主対移植片病の治療ばかりでなく、腫瘍脈管形成および転移の抑制においても有用である。
【0014】
本発明の化合物は、他のプロテインキナーゼ、例えばcdk2およびcdk5のようなサイクリン依存性キナーゼ(cdk)、プロテインキナーゼCのさまざまな異性体、Met、PAK-4、PAK-5、ZC-1、STLK-2、DDR-2、オーロラ 1、オーロラ 2、Bub-1、PLK、Chk1、Chk2、HER2、raf1、MEK1、MAPK、EGF-R、PDGF-R、FGF-R、IGF-R、PI3K、ウェール(weel)キナーゼ、Src、Abl、Akt、MAPK、ILK、MK-2、IKK-2、Cdc7、Nekの阻害剤としても作用し、したがって、他のプロテインキナーゼに伴う疾患の治療においても有効である。
【0015】
本発明の化合物は、放射線治療誘発性または化学療法誘発性の脱毛症の治療および予防においても有用である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
ピロロピリジン誘導体は、当該分野において周知である。一例として、3-カルボキサミド-ピロロ[2,3-b]ピリジン化合物が、合成中間体としてChemical Abstracts C.A. 93 (1980):168162に報告されている。
【0017】
インドリル基によってさらにN- 置換を受けた他のいくつかのピロロピリジン3-カルボキサミド誘導体は、5-HT2C/2Bアンタゴニストとして開示されており(WO 96/11929参照);N-(イソキノリル-エチル-シクロヘキシル)基によりさらに置換された上記の3-カルボキサミド誘導体は、抗精神病薬剤として開示されている(WO 00/24717; WO 00/21951; WO 00/21950; WO 98/50364参照);アザビシクロ環によりN-置換された3-カルボキサミド-ピロロ-ピリジン化合物もまた、鎮咳作用を持つトロピル誘導体の調製における合成中間体として開示されている。
【0018】
さらに、3-ヒドラジドピロロ-ピリジン誘導体は、WO 00/71537で報告されているように、より複雑なプロテインキナーゼ阻害剤の調製のための合成中間体として開示されている。
【0019】
C-JUN N末端キナーゼの阻害剤としての7-アザインドール類、およびその神経変性疾患の治療における有用性もまたWO 03/082868において開示されている。
【0020】
しかしながら、先行技術のピロロ-ピリジン誘導体は、ピロロピリジン骨格の5位において、任意にさらに官能化された付加的アミノ基を有するものをもたらすものではなかった。
【0021】
プロテインキナーゼ阻害活性も含めた治療上の活性を付与されたピロロ[2,3-b]ピリジン化合物の広範な一般式は、WO 00/71537; WO 01/01986; WO 01/58869; WO 99/32111; WO 99/37637; WO 97/03069; WO 99/58496 、および WO 95/28400においても開示されている。
【0022】
プロテインキナーゼ阻害剤としての3-アルケニル-ピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体もまた、出願人自身の名義でWO 01/98299において開示されている。
【0023】
したがって、本発明は、式(I)で示された化合物、またはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、および薬学的に許容可能な塩を、その有効量を必要とする哺乳類に対して投与することにより、変化したプロテインキナーゼ活性により引き起こされた、および/またはそれに付随した状態もしくは疾患を治療するための方法を提供するものである。
【化1】

【0024】
式中のRはRa、-CORa、-CONRaRb、-SO2Ra 、またはCOORaからなる群より選択され;
R1は -NRcRd または -ORc基であり;
ここでのRa、Rb、Rc、およびRdは、同一または異なるものであり、それぞれ独立に、水素または任意にさらに置換された、直鎖もしくは分枝状のC1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルケニル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルキニル、C3〜C6 シクロアルキル、シクロアルキルC1〜C6 アルキル、アリール、アリールC1〜C6アルキル、複素環または複素環C1〜C6アルキル基から選択される基であるか、あるいは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、RaおよびRb、並びにRcおよびRd が、任意にS、O、N、またはNHから選択された1つの付加的環へテロ原子またはへテロ原子団を含む、任意に置換された4から7員の複素環を形成してもよい。
【0025】
上述した方法の好ましい実施形態において、変化したプロテインキナーゼ活性により引き起こされた、および/またはそれに付随した前記疾患は、癌、細胞増殖性疾患、アルツハイマー病、ウイルス感染、自己免疫疾患、および神経変性疾患から成る群より選択される。
【0026】
本発明の化合物が治療において有用である癌の非限定的な具体的な型には、上皮細胞癌、扁平上皮癌、骨髄系またはリンパ系の造血性腫瘍、間葉由来の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨癌、色素性乾皮症、角質黄色腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫が含まれる。
【0027】
上記方法のもう1つの好ましい実施形態において、前記細胞増殖性疾患は、前立腺肥大症、家族性腺腫瘍、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に付随する血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸球体腎炎、外科手術後の狭窄症および再狭窄症から成る群より選択される。
【0028】
本発明はさらに、式(I)で示される化合物、またはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、および薬剤的に許容可能な塩を提供する。
【化2】

【0029】
式中のRはRa、-CORa、-CONRaRb、-SO2Ra 、またはCOORaからなる群より選択され;
R1は -NRcRd または -ORc基であり;
ここでのRa、Rb、Rc、およびRdは、同一または異なるものであり、それぞれ独立に、水素または任意にさらに置換された、直鎖もしくは分枝状のC1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルケニル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルキニル、C3〜C6 シクロアルキル、シクロアルキルC1〜C6 アルキル、アリール、アリールC1〜C6アルキル、複素環または複素環C1〜C6アルキル基から選択される基であるか、あるいは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、RaおよびRb、並びにRcおよびRd が、任意にS、O、N、またはNHから選択された1つの付加的へテロ原子またはへテロ原子団を含む、任意に置換された4から7員の複素環を形成してもよい。
【0030】
別に規定しない限り、式(I)の化合物自体について、並びにそれらの医薬組成物について、またはそれらを用いた治療法について言及するとき、本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、溶媒和物、複合体、代謝産物、およびプロドラッグを含むものである。プロドラッグは共有結合的に結合した化合物であり、生体内で式(I)による活性のある親薬剤を放出する。
【0031】
この発明の化合物にキラル中心または他の形の異性体中心が存在するときは、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含むそのような異性体のすべての形態が、該化合物に包含されるように意図されている。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物または鏡像異性濃縮混合物として使用されてもよく、あるいはラセミ混合物を周知の技術を用いて分離し、個々のエナンチオマーを単独で用いてもよい。化合物がケト-エノール互変異性体のような互変異性形で存在する場合、それぞれの互変異性形態は本発明中に平衡状態で存在している場合も、またはある形が支配的に存在している場合にも、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0032】
この説明において、他に示さない限り、直鎖もしくは分枝状のC1〜C6アルキルという用語には、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等のような基が含まれる。
【0033】
直鎖もしくは分枝状のC2〜C6アルケニルまたはアルキニルの非限定的な例には、例えばビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-、2-または3-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、エチニル、1-または2-プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等を含む、2から6の炭素原子を有する不飽和のアルケニルまたはアルキニル基が含まれる。
【0034】
C3〜C6シクロアルキルという用語は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル等のような3から6員の炭素環として定義されている。
【0035】
他に規定しない限り、アリールという用語は、1つの環部分、または相互に融合し、または単結合で結合した2つの環部分を有する、単環式または二環式の炭素環または複素環を意味し、ここで、少なくとも1つの炭素環または複素環は芳香族である。しかし、1または2の環部分を含み、その全ての環が芳香族である場合も含まれる。別に規定しない限り、前記複素環は、N、NH、O、およびSから選択された1から3のへテロ原子またはヘテロ原子団を有する、4から7員環のものを意味する。
【0036】
本発明のアリール基の非限定的な例は、例えば、フェニル、インダニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、 インドリル、イミダゾリル、イミダゾピリジル、1,2-メチレンジオキシフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピロリル-フェニル、フリル、フェニル-フリル、ベンゾテトラヒドロフラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、クロメニル、チエニル、ベンゾチエニル、イソインドリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾフラザニル、1,2,3-トリアゾリル、1-フェニル-1,2,3-トリアゾリル等である。
【0037】
複素環(例えばヘテロシクリル)または複素環基という用語は、4から7員の複素環であり、ヘテロアリール基としても知られ、且つ現在はアリールという用語に含まれる芳香族複素環基、並びにN、NH、O、およびSから選択された1から3の環へテロ原子またはヘテロ原子団を有する飽和または部分的に不飽和である複素環基も包含する。
【0038】
これら4から7員複素環基の例は、例えば、1,3−ジオキソラン、ピラン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチレンイミン、 1,4-ヘキサヒドロジアゼピン、アゼチジン等である。
【0039】
R が −CONRaRb 基であり、および/またはR1 が -NRcRd基であり、RaとRb、および/またはRcとRdが、それらが結合している窒素原子と一緒になる式(I)の化合物について言及するとき、それらは、任意にS、O、N、またはNHの中の1つの付加的環へテロ原子またはヘテロ原子団を含む、任意で置換された4から7員の複素環の形を形成してもよい。
【0040】
Ra、Rb、Rc、およびRdに与えられた意味に従って、前記の基のいずれも、置換されなくてもよく、もしくはさらに任意に1以上の基によって、それらの障害のない位置において置換されてもよい。例えば、ハロゲン、ニトロ、オキソ基(=O)、カルボキシ、シアノ、アルキル、ポリフッ化アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル;例えばアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ウレイド、アルキルウレイド、またはアリールウレイドのようなアリール、へテロサイクリル、アミノ基およびそれらの誘導体;例えばホルミルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノのようなカルボニルアミノ基およびそれらの誘導体;アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、またはアルキリデンアミノキシのようなヒドロキシ基およびそれらの誘導体;例えばアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルのようなカルボニル基およびそれらの誘導体;例えばアルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、またはジアルキルアミノスルホニルのような硫化誘導体から選択される1から6の基である。
【0041】
上記の置換基も同様に、適切なときはいつでも、それぞれが、加えて、さらに1以上の前記の基によって置換されてもよい。
【0042】
この説明において、別に規定していなければ、ハロゲン原子という用語はフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0043】
ポリフッ化アルキルという用語は、例えばトリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2-イル等のように、少なくとも2以上の水素原子がフッ素原子によって置換された、前記で定義したような直鎖または分枝状のC1〜C6アルキル基を意味する。
【0044】
上記のすべてから、例えばシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシ等のように、その名前が複合名として同定される基は、それが派生する部分から慣習的に解釈されるように意図されるべきことが、当業者にとって明らかである。一例として、前記で定義したヘテロシクリル-アルキルという用語は、複素環基によってさらに置換された直鎖または分枝状のアルキル基を表す。
【0045】
「薬剤的に許容可能な塩」という用語は、通常、アルカリ金属塩を形成するため、および遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために用いられる塩を含む。薬剤的に許容可能であれば、該塩の性質は重大な意味を持たない。本発明の化合物において適切な、薬剤的に許容可能な酸付加塩は、好ましくは、無機酸または有機酸から調製される。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、または複素環のカルボン酸およびスルホン酸に属する有機酸の分類から選択される。その例は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、ヒドロキシブチル酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸である。本発明の化合物において適切な、薬剤的に許容可能な塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作られる金属塩、または、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチル-グルカミン)、およびプロカインから作られる有機塩が含まれる。これらの塩のすべては、好ましくは、対応する本発明の化合物から従来法により、例えばそれらを適切な酸または塩基と反応させることによって調製される。
【0046】
本発明の第1の分類の好ましい化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のRは-CORa であり、R1 は -NRcRd 基であり、ここでの Ra、Rc およびRdは前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0047】
好ましい他の種類の化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のRが -CONRaRb であり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa、Rb、Rc およびRdは前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0048】
好ましい他の種類の化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のRが -SO2Raであり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa, Rc、およびRdは前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0049】
好ましい他の種類化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のRが -COORaであり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa, Rc、およびRdは前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0050】
好ましい他の種類の化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のR が式(I)で定義された通りであり、R1が -ORc 基であり、ここでのRcは前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0051】
好ましい他の種類の化合物は、式(I)の誘導体であって、式中のRが Raであり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa, Rc、およびRdが前記定義の通りである誘導体によって表される。
【0052】
好ましくは、前記分類中のRa、Rb、Rc、およびRdは、実験の節の表IおよびIIにおいて示した意味に従って、それぞれ独立に選択される。
【0053】
任意に薬剤的に許容可能な塩の形の、本発明の式(I)の具体的な化合物に関しては、実験の節を参照されたい。
【0054】
前記で明らかにしたように、本発明のさらなる目的は、式(I)の化合物を調製するための方法である。
【0055】
それ故、式(I)の化合物、および薬剤的に許容可能なそれらの塩は、当該分野において通常技術の1つとして既知の標準技術を用いることにより得られる。例えば、それらは以下のステップを含んでなる方法により得られる;
a) トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)存在下で、1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸メチルエステルを硝酸テトラブチルアンモニウム(TBAN)と反応させて、次式(II)の化合物を得ることと;
【化3】

【0056】
b) 塩基または酸加水分解の条件下で、式(II)の化合物を反応させて、次式(III)の化合物またはそれらの塩を得ることと;
【化4】

【0057】
c) 式(III)の化合物をカルボキシ保護剤、例えばエステル化剤と反応させて、次式の化合物を得ることと;
【化5】

【0058】
式中のAlkはアルキル、例えばメチルを意味する
d) 式(IV)の化合物を、塩化スズ(II)およびN-メチル-α-ピロリジノン(NMP)と反応させて、次式(I)の化合物を得ることと;
【化6】

【0059】
式中のAlkは前記定義の通りである
次いで、これを任意に(e.1)、(e.2)、(e.3)、または(e.4)のいずれか1つに従って反応させ;
(e.1) 次式(V)、(VI)、(VII)、または(VIII)の化合物のいずれか1つと反応させて、
RaCOZ(V); RaNCO(VI); RaSO2Z(VII); RaOCOZ(VIII)
式中のRaは前記定義の通りであり、Zはハロゲン原子である
次式(I)の化合物を得ることと;
【化7】

【0060】
式中のAlkは前記定義の通りであり、Rはそれぞれ-CORa、-CONHRa、-SO2Ra、またはCOORaである
あるいは、
(e.2) トリホスゲンまたは適切なクロロギ酸の存在下で、次式(IX)の適切なアミンと反応させて、
HNRaRb (IX)
式中のRが-CONRaRb基である 前記式(I)の化合物を得ることと;
あるいは、
(e.3) 還元的作用のある条件下で、次式(X)の適切なアルデヒドまたはケトンの誘導体と反応させて、
Ra-CO-Ra (X)
式中のRaは前記で定義した通りであり、それぞれ同じまたは異なる
Rが-CH(Ra)Raである前記式(I)の化合物を得ることと;
あるいは、
(e.4) 適切なパラジウム触媒およびリガンドの存在下で、次式(XI)または次式(XII)の芳香族ヨウ化物または臭化物と反応させて、
Ra-I (XI) Ra-Br (XII)
式中のRはRaであり、後者は炭素環式または複素環式芳香族基を表す式(I)の化合物を得ることと;
次いで、任意に、
f) ステップ(d), (e.1), (e.2), (e.3) または (e.4)のいずれか1つによって得られた式(I)の化合物を、式(I)の別の化合物、および/または薬剤的に許容可能なそれらの塩に変換する。
【0061】
上記方法は、周知の手法によって実行され得る類似手法である。
【0062】
この方法のステップ(a)に従って、トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)の存在下で、テトラブチルアンモニウム硝酸塩(TBAN)と反応させることにより、1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸メチルエステルのニトロ化を行い、式(II)の化合物を得る。この反応は、適切な溶媒中、例えばジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素中において、0℃から室温の範囲の温度で、約10時間から30時間のさまざまな時間で操作することにより行われる。
【0063】
この方法のステップ(b)に従って、式(II)の化合物は、塩基性または酸性条件下で加水分解を受ける。好ましくは、この反応は、水酸化ナトリウム水溶液および2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)の存在下で、室温から約90℃の範囲の温度で、4時間から1日の時間で行われる。使用された操作条件に従って、式(III)の化合物は酸の形、または、代わりに塩の形として得られる。
【0064】
好ましくは、この加水分解反応は、対応する二ナトリウム塩を得るために、実験の節(例2を参照)に従って、塩基性条件下、例えば水酸化ナトリウムの存在下で行われる。
【0065】
この方法のステップ(c)に従って、式(III)の化合物は、適切なアルコールの存在下で、既知の操作方法によってエステル化される。一例として、この反応は、式中のAlkがメチルを意味する、式(II)の化合物に対応するカルボキシメチルエステル誘導体を得るために、メタノール存在下で行われる。
【0066】
あるいは、式中のAlkがメチルを意味するステップ(c)の式(IV)の化合物は、既知の方法に従って、例えばテトラヒドロフラン(THF)中のカリウムトリメチルシラノレート、またはメタノール中のトリエチルアミン(TEA)の存在下においての式(II)の化合物の直接加水分解を介して調製される。
【0067】
この方法のステップ(d)に従って、式(IV)の化合物のニトロ基は、対応するアミノ誘導体へと還元される。この還元は、好ましくは、塩化スズ(II)およびNMPの存在下、周知の方法により行われる。明らかに、例えば触媒水素化を含む、ニトロ基をアミノ基に還元する当該分野において既知であるいくつかの方法のいずれも、同様に首尾よく用いることができる。
【0068】
上記のことから、上記ステップ(d)の反応により、式(I)の化合物が得られるということは当業者にとって明らかである。式中のRは水素原子であり、R1は-ORc 基であり、ここでのRcは例えばメチルのようにちょうどこの方法のステップ(c)を介して導かれたアルキル基である。
【0069】
そのように得られた式(I)の化合物はその後、任意に、周知の方法に従って、ステップ(e.1)から(e.4)のいずれか1つにおいて説明した通り操作することによって、式(I)のさまざまな誘導体へと変換させることができる。
【0070】
典型的には、5位にアミノ基を有するステップ(d)の式(I)の化合物を、以下のものと反応させる:式(V)の化合物と反応させて、R が -CORa であり、 Ra が前記定義の通りである対応するカルボキサミド誘導体を得るか;式(VI)の化合物と反応させて、R が-CONHRa であり、Raが前記定義の通りである対応するウレイド誘導体を得るか;式(VII)の化合物と反応させて、Rが-SO2Ra であり、Raが前記定義の通りであるスルホンアミド誘導体を得るか;式(VIII)の化合物と反応させて、R が -COORa であり、Raが前記定義の通りであるカルバメート誘導体を得るか;式(IX)の化合物、およびトリホスゲンまたは適切なクロロギ酸と反応させて、R が -CONRaRb であり、 Ra およびRbが前記定義の通りであるウレイド誘導体を得るか;還元作用のある状況下で式(X)の化合物と反応させて、R が -CH(Ra)Raであり、それぞれのRaは同一または異なり、および相互に独立したものであり、前記定義の通りである誘導体を得る。
【0071】
前記反応のいずれか1つは、官能化されたアミノ誘導体の調製において通常用いられる従来の方法に従い、対応するアミンから開始することにより行われる。
【0072】
ステップ(e.1)の式(V)、(VII) または (VIII)の化合物中において、特にZはハロゲン原子を表し、さらに好ましくは、塩素原子である。
【0073】
この点において、ステップ(d)の式(I)の化合物は、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のような適切な溶媒に溶解しており、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸ナトリウム等のような適切な塩基がその中に加えられる。
【0074】
一般式(V)、(VII)、または(VIII)の化合物がその後加えられ、約2時間から約15時間、約20℃から約80℃の温度範囲でその混合物を撹拌する。一般式(VI)のイソシアン酸塩を用いる場合、この反応条件は、塩基がなくてもよいということを除いて前記と同じである。これらの反応の全てにおいて、ジメチルアミノピリジンのような適切な触媒が任意に使われてもよい。
【0075】
この方法のステップ(e.2)に従って、ステップ(d)で得られた式(I)の化合物は、トリホスゲン、または、例えば4-ニトロフェニルクロロギ酸のような適切なクロロギ酸の存在下で、式(IX)のアミン誘導体と反応させてもよい。
【0076】
この反応は、ハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタンのような適切な溶媒中において、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンのような塩基の存在下で、室温で操作することにより行われる。
【0077】
この方法のステップ(e.3)に従って、ステップ(d)の式(I)の化合物を、還元性の条件下で、式(X)のアルデヒドまたはケトン誘導体と反応させて、Rが前記定義の通りである、対応する式(I)の化合物を得る。前記より、2つのRaのうちいずれか1つが水素原子である式(X)のアルデヒド誘導体を用いることにより、R が -CH2Raである対応する誘導体を得られるであろうということは、当業者にとっては明らかである。同様に、ケトン誘導体を用いることにより、-CH(Ra)RaとしてのRをもつ化合物を得てもよく、ここでのそれぞれのRaは相互に独立しており、前記で示した通りであるが、水素以外である。
【0078】
この方法のステップ(e.4)に従って、ステップ(d)の式(I)の化合物は、RがRaであり、Raがアリール基、故に広い範囲の炭素環式または複素環式芳香族基である、対応する式(I)のアリール誘導体へと変換される。
【0079】
この反応は、例えば酢酸パラジウムまたはPd2(dba)3のようなパラジウム触媒などの適切な触媒の存在下、および適切なリガンドの存在下で、式(XI)または(XII)の適切なヨウ化または臭化アリールを用いて、既知の方法に従って行われる。溶媒、触媒、およびリガンドも含めた前記アリール化反応およびそれらの操作条件についての一般的な参考文献は、J. Am. Chem. Soc., (2003), 125, 6653-55; JOC (2001), 66, 2560-2565; および JOC (2002), 67, 6479-6486を参照。
【0080】
前記の事項に加え、所望のときはいつでも、このように調製されたいかなる前記式(I)の化合物もまた、前記ステップ(f)に示したように従来の方法に従って操作することにより、さらに式(I)の他の誘導体へと変化させてもよいということが、当業者にとっては明らかである。
【0081】
一例として、次式(I)の化合物は、
【化8】

【0082】
式中のRは前記の基のうちのいずれか1つであり、Alkは例えばメチルのような所定のアルキル基を表す
次式(I)の化合物へと変換させてもよく:
【化9】

【0083】
g) 式中のRは前記定義の通りであり、R1 は-ORcであり、このRc はメチル以外である場合、酸性または塩基性条件下、任意でジブチルスズオキシド、または例えばチタニウム(IV)エトキシド、チタニウム(IV)イソプロポキシド等のチタニウムアルコキシドのような適切な金属塩基触媒の存在下で周知の方法によって行われる、例えば次式(XIII)の適切なエステル交換反応を通して得られる;
Rc-OH (XIII)
h) 式中のRは前記定義の通りであり、R1が-OH基である場合は、酸性または塩基性加水分解によって得られる。
【0084】
付加的な例において、Rが前記定義の通りであり、R1が-ORc基であり、ここでのRcがアルキル基である式(I)の化合物は、対応する式(I)のアミド誘導体に変換してもよく;
i) 式中のR1 は-NRcRdであり、RcおよびRdは前記定義の通りである場合は、アンモニア、または次式(XIV) もしくは (XV)の適切なアミンで処理することによって、
Rc-NH2 (XIV); RcRdNH (XV)
任意に、例えば2-ヒドロキシピリジン、ヨウ化カリウム、シアン化ナトリウム、またはジメチルアミノ-ピリジンのような適切な触媒の存在下で変換される。
同様に、Rが前記定義の通りであり、R1は-ORc基でありここでのRcが水素原子である式(I)の化合物もまた、例えば、任意にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、 O-ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、またはベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピローリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)のような適切な縮合剤の存在下で、前記ステップ(i)によって操作することにより、任意に対応する式(I)のアミド誘導体へと変換される。
【0085】
上記の全てから、上記方法によって調製された式(I)の化合物が異性体の混合物として得られた場合、従来の方法に従って行われた式(I)の単一異性体へのそれらの分離も、本発明の範囲内であるということは当業者にとって明らかである。
【0086】
同様に、当該分野において周知の方法に従って、対応するそれらの塩の遊離化合物(I)に変換することも、やはり本発明の範囲内である。
【0087】
その全てが本発明の範囲内であるとみなされるいずれかの変法によって式(I)の化合物を調製するときは、それらの開始物質、試薬、または中間体に含まれる、望ましくない副反応を生じ得る任意の官能基は、従来技術によって適切に除かれる必要がある。
【0088】
同様に、遊離の脱保護された化合物への後者の変換は、既知の手法によって行われてもよい。
【0089】
本発明の目的である方法の出発物質(その可能な変形例を含む)、並びにそれらの反応物質は周知の化合物であり、それ自体は商業的に入手可能でなくても、周知の方法により調製することができる。
【0090】
一例として、1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸メチルエステル化合物は、Tetrahedron Letters 40 (1999), 5853-5854で述べられているように調製してもよい。
【0091】
同様に、式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XII)、(XIII)、(XIV)、および(XV)の化合物は、既知であるか、または既知の方法により容易に得られる。
【0092】
この方法の式(III)の中間体化合物は、本発明のさらなる目的を表す。
【0093】
上記に加えて、本発明の式(I)の化合物は、逐次反応における中間体間で前記反応を成すことにより、および固相合成(SPS)の条件下で操作することにより、当該分野において周知のコンビナトリアル・ケミストリー技術によって好都合に調製される。
【0094】
一例として、この方法のステップ(b)によって得られる式(III)の中間体化合物は、例えばカルボキサミド基の形を経由して、容易に重合体樹脂上に支持される。そして、支持されたその中間体は、この方法の残りのステップに従って、引き続き反応されてもよい。
【0095】
好ましくは、前記樹脂は、例えばワング(Wang)樹脂、トリチル樹脂、Cl-トリチル樹脂、リンクアミド(Rink amide)樹脂、テンタゲル(Tentagel)OH樹脂、ホルミル化樹脂、およびそれらの誘導体を含む、商業的に入手可能なポリスチレン樹脂である。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によると、ポリスチレン樹脂は、商業的に入手可能なホルミルポリスチレン樹脂、例えば4-(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシ)ブチリルAM樹脂と還元性条件下、例えば水素化ホウ素ナトリウムおよびその誘導体存在下における適切なアミノ誘導体との、実質的には以下に示すような反応によって得られる、誘導体化されたホルミルポリスチレン樹脂である。
【化10】

【0097】
この反応は、好ましくは、酢酸の存在下で、ジクロロメタンのような適切な溶媒中において行う。
【0098】
このように得られたポリマー支持されたアミノ誘導体は、特に、上記の誘導体化されたホルミルポリスチレン樹脂と称されるものは、当該分野において周知である。
【0099】
一般的に、酸感受性メトキシベンズアルデヒドポリスチレン樹脂(Acid Sensitive MethoxyBenzaldehyde polystirene (AMEBA)樹脂)としても知られているホルミルポリスチレン樹脂上に負荷されたアミン類は、例えば、Tetrahedron Letters (1997), 38, 7151-7154; J. Am. Chem. Soc. (1998), 120, 5441; および Chem. Eur. J. (1999), 5, 2787に示されているように、TMOF/DCE およびNaBH(OAc)3 、またはAcOH/DMFおよびNaCNBH3中において、過剰量のアミンの存在下で、標準的な還元アミノ化により調製される。
【0100】
それ故、式(I) の化合物および薬剤的に許容可能なそれらの塩を調製するための方法は、本発明のさらなる目的である。その方法は;
j) ステップ(b)によって調製された式(III)の化合物と次式(XVI)の誘導体化されたホルミルポリスチレン樹脂とを反応させて、
(P)-CH2-NHRc (XVI)
式中の(P)は樹脂であり、Rcは前記定義の通りである
式(XVII)の化合物を得ることと;
【化11】

【0101】
k) ステップ(d)および、任意にステップ(e.1)、(e.2)、(e.3)、または (e.4)のいずれか1つにより、式(XVII)の化合物を反応させて、次式(XVIII)の化合物を得ることと;
【化12】

【0102】
式中の(P)、Rおよび Rcは前記で示した通りである
l) 酸性条件下で、式(XVIII)の化合物から樹脂を切断して、式中のRは前記定義の通りであり、R1は-NHRc 基で、ここでのRcは上記定義の通りである式(I)の化合物を得ることと;
そして、任意に、
m) このようにして得られた式(I)の化合物を、他の式(I)の化合物、および/または薬剤的に許容可能なそれらの塩へと変換する。
【0103】
この方法のステップ(j)に従って、この反応は、例えばN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジクロロメタン(DCM)のような適切な溶媒中において、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、および、例えば1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、またはO-ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウムテトラフルオロホウ酸塩 (TBTU)のような適切な縮合剤の存在下で行われる。
【0104】
この方法のステップ(k)に従って、式(XVII)の支持された化合物はまず、この方法のステップ(d)によって還元されて、アミノ誘導体となり、前記で示したように任意にさらに反応させて、ピロロ[2,3-b]ピリジン環の5位が修飾された種々の化合物を生成させる。操作条件は、基本的に前記で示した通り、均質的な操作条件下で操作することによる。
【0105】
ステップ(l)による樹脂の切断は、例えば塩酸またはトリフルオロ酢酸のような適切な酸の存在下、酸性条件下で行ってもよい。
【0106】
明らかに、前記で示したようなコンビナトリアルケミストリー技術に従って操作することにより、多数の式(I)の化合物を得ることができる。
【0107】
それ故、本発明のさらなる目的は、2またはそれ以上の次式(I)の化合物、またはそれらの異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、および薬学的に許容可能な塩のライブラリである。
【化13】

【0108】
式中のRはRa、-CORa、-CONRaRb、-SO2Ra 、またはCOORaからなる群より選択され;
R1は -NRcRd または -ORc基であり;
ここでのRa、Rb、Rc、およびRdは、同一または異なるものであり、それぞれ独立に、水素または任意にさらに置換された、直鎖もしくは分枝状のC1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルケニル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルキニル、C3〜C6 シクロアルキル、シクロアルキルC1〜C6 アルキル、アリール、アリールC1〜C6アルキル、複素環または複素環C1〜C6アルキル基から選択される基であるか、あるいは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、RaおよびRb、並びにRcおよびRd が、任意にS、O、N、またはNHから選択された1つの付加的環へテロ原子またはヘテロ原子団を含む、任意に置換された4から7員の複素環を形成してもよく;
本発明の好ましい実施形態によると、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、式中のR がRa基であり、R1が-NRcRd基であり、ここでのRa、Rc、およびRdが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0109】
他の実施形態において、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、式中のRが -CORa基であり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa、Rc、およびRdが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0110】
他の実施形態において、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、式中のRが -CONRaRb基であり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa、Rb、Rc、およびRdが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0111】
他の実施形態において、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、式中のRが -SO2Ra基であり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa、Rc、およびRdが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0112】
他の実施形態において、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、Rが -COORa基であり、R1 が -NRcRd基であり、ここでのRa、Rc、およびRdが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0113】
他の実施形態において、前記ライブラリには、式(I)の化合物であって、Rが式(I)で定義された通りであり、R1 が -ORc基であり、ここでのRcが前記定義の通りである化合物が含まれる。
【0114】
式(I)の化合物の上記ライブラリの一般的引用については実験の節を参照。
【0115】
上記全てのことから、例えば数千の式(I)の化合物から成るピロロ[2,3-b]ピリジン誘導体のライブラリを一度このように準備すれば、前記ライブラリは、上記で示したように与えられたキナーゼに対するスクリーニングをするために非常に好都合に利用することができるということは、当業者にとって自明である。
【0116】
化合物のライブラリについて、および生物学的活性のスクリーニングの手段としてのそれらの利用に対する一般的な参照については、J. Med. Chem. 1999, 42, 2373-2382; および Bioorg. Med. Chem. Lett. 10 (2000), 223-226を参照。
【0117】
薬理学
式(I)の化合物は、プロテインキナーゼとして活性があり、それ故、例えば腫瘍細胞の無制限の増殖を制限するのに有用である。
【0118】
治療において、それらは前記で示したようなさまざまな腫瘍の治療ばかりでなく、乾癬、アテローム性動脈硬化症に付随する血管平滑細胞増殖、および外科手術後の狭窄症および再狭窄症のような他の細胞増殖性疾患の治療、並びにアルツハイマー病の治療においても有用である。
【0119】
推定上のcdk/サイクリン阻害剤の阻害活性および選択された化合物の作用強度は、SPAテクノロジー(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))の使用に基づいた測定法により決定される。
【0120】
この測定法は、放射能標識されたリン酸部分の、ビオチン標識された基質へのキナーゼによる転移から成る。結果として得られる33P-標識され、且つビオチン標識された生成物は、ストレプトアビジンコートされたSPAビーズ(ビオチン容量130pmol/mg)と結合することが可能になる。そして、放射線をシンチレーションカウンターで測定した。
【0121】
cdk2/サイクリンA活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:自家製の4μMビオチン標識ヒストンH1(シグマ(Sigma)# H-5505)基質、10μM ATP (0.1マイクロCi P33γ-ATP)、1.1nMサイクリンA/CDK2複合体、最終的に30μLになるような緩衝液(トリスHCl 10mM pH7.5 、MgCl2 10 mM、DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を96のU底の各ウェルに添加した。室温で60分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μMコールドATP、0.1% トリトン(Triton)X100 、および10mg/mlのストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含むPBS緩衝液100μLの添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレート(OPTIPLATEs)へ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント(Packard TOP-Count)放射能読み取り装置で読み取った。
【0122】
IC50値の決定:阻害剤は0.0015から10μMの範囲の異なる濃度で分析した。実験データは、4つのパラメーターの論理式を用いて、コンピュータープログラム(グラフパッドプリズム(GraphPad Prizm))で解析した。
【0123】
y = 最低値+(最高値-最低値)/(1+10^((logIC50-x)*傾き))
式中のxは阻害剤濃度の対数であり、yは反応である;yは最低値から始まり、シグモイド型をとりながら最高値へと向かう。
【0124】
Kiの算出:
実験法:反応は、3.7 nM 酵素、ヒストン、およびATP (コールド/標識ATPの割合は1/3000で一定)を含む緩衝液(10 mMトリス, pH 7.5, 10 mM MgCl2, 0.2 mg/ml BSA, 7.5 mM DTT)中で行った。反応はEDTAで停止させ、リン酸膜(ミリポア(Millipore)製マルチスクリーン(Multiscreen) 96穴プレート)上にその基質を捕捉した。広範な洗浄の後、そのマルチスクリーンプレートをトップカウンター上で読み取った。ATPおよびヒストン濃度のそれぞれのコントロール値(時間0)を測定した。
【0125】
実験計画:反応速度は、4つのATP、基質(ヒストン)、および阻害剤濃度で測定される。80-ポイント濃度マトリックスは、それぞれのATPおよび基質Km値、並びに阻害剤IC50値(0.3, 1, 3, 9 倍のKm値またはIC50値)に基づいて選定される。阻害剤の非存在下、並びに異なったATPおよび基質濃度における予備的な時間経過実験は、Ki値を決定する実験における反応の直線範囲において、単一の終点時間(10分)の選択を可能にする。
【0126】
動態学的パラメーターの評価:動態学的パラメーターは、完全なデータ一式(80ポイント)を用い、[Eq.1](ATPに対する競合的阻害剤、ランダムメカニズム)を用いて、連立非直線最小二乗回帰法により評価される:
【数1】

【0127】
式中のA=[ATP], B=[基質], I=[阻害剤], Vm=最大速度, Ka, Kb, KiはそれぞれATP、基質、および阻害剤の解離定数である。αおよびβは、それぞれ基質とATPの結合および基質と阻害剤の結合の間の共同作用因子である。
【0128】
加えて、選択された化合物は、厳密に細胞周期(cdk2/サイクリンE, cdk1/サイクリンB1, cdk5/p25, cdk4/サイクリンD1)と関連しているセリン/スレオニンキナーゼのパネル上、および特殊な場合はMAPK、PKA、EGFR、IGF1-R、オーロラ(Aurora)-2、およびCdc 7上でも特定される。
【0129】
cdk2/サイクリンE活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:自家製の10μMビオチン標識ヒストンH1(シグマ# H-5505)基質、30 μM ATP (0.3マイクロCi P33γ-ATP)、4 ng GST-サイクリンE/CDK2 複合体、最終的に30μLになるような緩衝液(トリスHCl 10 mM pH 7.5、MgCl2 10 mM、DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を 96のU底の各ウェルに添加した。室温で60分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100 、および10mg/mlのストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む、PBS緩衝液100μLの添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0130】
IC50の決定:前記を参照。
【0131】
cdk1/サイクリンB1活性の阻害アッセイ
自家製の4μMのビオチン標識ヒストンH1(シグマ# H-5505)基質、20μM ATP (0.2マイクロCi P33γ-ATP)、3 ng サイクリンB/CDK1 複合体、最終的に30μLになるような緩衝液(トリスHCl 10 mM pH 7.5、MgCl2 10 mM、DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を 96のU底の各ウェルに添加した。室温で20分間のインキュベーションの後、反応を1mgSPAビーズを含む100 μl PBS、32 mM EDTA、0.1% トリトンX-100、および500 μM ATP により停止させた。その後110μLの量をオプティプレートへ移した。
【0132】
20分後、基質捕捉のためにインキュベートし、5M CsCl 100 μlをビーズの層化を可能にするためにオプティプレートの上層に添加し、トップカウント装置での放射能測定の前に4時間静置させた。
【0133】
IC50の決定:前記を参照。
【0134】
cdk5/p25活性の阻害アッセイ
cdk5/p25活性の阻害アッセイは、以下のプロトコルに従って行われる。
キナーゼ反応:10μMのビオチン標識ヒストンH1(シグマ# H-5505)基質、30 μM ATP (0.3マイクロCi P33γ-ATP)、15 ng CDK5/p25 複合体、最終的に30μLになるような緩衝液(トリスHCl 10 mM pH 7.5, MgCl2 10 mM, DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を 96のU底の各ウェルに添加した。室温で35分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/ml ストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む100 μl PBS緩衝液の添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0135】
IC50の決定:前記を参照。
【0136】
cdk4/サイクリンD1活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:0.4 μM マウスGST-Rb (769-921) (サンタクルス製の# sc-4112) 基質、 10 μM ATP (0.5 μCi P33γ-ATP)、GST-cdk4/GST-サイクリン D1にさらされたバキュロウイルス100 ng、最終的に50μLになるような緩衝液(トリスHCl 10 mM pH 7.5, MgCl2 10 mM, 7.5 mM DTT+ 0.2mg/ml BSA)中の適切な濃度の阻害剤を96のU底ウェルプレートにそれぞれ添加した。37℃で40分間のインキュベーションの後、反応を120mM EDTA 20μlで停止させた。
【0137】
捕捉:基質をリン酸セルロースフィルターに結合させるために、それぞれのウェルから60μlをマルチスクリーンプレートへ移した。プレートはその後Ca++/Mg++を含まない150 μl/ウェルPBS で3回洗浄し、マルチスクリーンろ過システムによってろ過した。
【0138】
検出:フィルターを37℃で乾燥させ、その後、100μl/ウェルのシンチレーターを添加し、33Pで標識したRb断片をトップカウント装置を用いて放射能測定することにより検出した。
【0139】
IC50の決定:前記を参照。
【0140】
MARK活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:10 μMの自家製ビオチン標識MBP (シグマ # M-1891)基質、 15 μM ATP (0.15 マイクロCi P33γ-ATP)、30 ng GST-MAPK (アップステイトバイオテクノロジー(Upstate Biothecnology) # 14-173)、最終的に30μlになるような緩衝液 (トリスHCl 10 mM pH 7.5, MgCl2 10 mM, DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を96のU底ウェルのそれぞれに添加した。室温で35分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/ml ストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含むPBS緩衝液100 μlの添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0141】
IC50の決定:前記を参照。
【0142】
PKA活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:自家製の10 μMビオチン標識ヒストンH1 (シグマ # M-5505)基質、 10 μM ATP (0.2 マイクロM P33γ-ATP)、0.45U PKA(シグマ#2645)、最終的に30μlになるような緩衝液 (トリスHCl 10 mM pH 7.5、MgCl2 10 mM、DTT 7.5 mM + 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を96のU底ウェルのそれぞれに添加した。室温で90分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/ml ストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む100 μl PBS緩衝液の添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0143】
IC50の決定:前記を参照。
【0144】
EGFR活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:自家製の10 μMビオチン標識MBP(シグマ # M-1891)基質、2 μM ATP (0.04 マイクロCi P33γ-ATP)、GST-EGFRにさらされた昆虫細胞36ng、最終的に30μlになるような緩衝液 (ヘペス50 mM pH 7.5, MgCl2 3 mM, MnCl2 3 mM, DTT 1 mM, NaVO3 3 μM+ 0.2 mg/ml BSA)中の阻害剤を96のU底ウェルのそれぞれに添加した。室温で20分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/ml ストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む100 μl PBS緩衝液の添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0145】
IC50の決定:前記を参照。
【0146】
IGF1-R活性の阻害アッセイ
IGF1-R活性の阻害アッセイは以下のプロトコルに従って行われる。
酵素活性:IGF1-Rは、実験の開始前に自動リン酸化により活性化する必要がある。このアッセイの直前に、濃縮された酵素溶液(694nM)を100μM ATPの存在下、28℃で30分間インキュベートし、その後、指示された緩衝液で操作の希釈度まで希釈した。
【0147】
キナーゼ反応:10 μM のビオチン標識IRS1ペプチド(PRIMM)基質、0〜20 μM 阻害剤、6 μM ATP、1 マイクロCi 33P-ATP、および最終的に30μlになるような緩衝液(50 mM ヘペス pH 7.9, 3 mM MnCl2, 1 mM DTT, 3 μM NaVO3)中の6 nM GST-IGF1-R (室温で30分間、60μMコールドATPと共にプレインキュベートしたもの)を96のU底ウェルプレートのそれぞれに添加した。室温で35分間のインキュベーションの後、その反応を32 mM EDTA、500 μM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/ml ストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む100 μl PBS緩衝液の添加によって停止させた。20分間のインキュベーションの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0148】
オーロラ-2活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:8 μM のビオチン標識ペプチド(LRRWSLGの4反復)、10 μM ATP (0.5 μCi P33γ-ATP)、7.5 ng オーロラ2、最終的に30μlになるような緩衝液(ヘペス 50 mM pH 7.0, MgCl2 10 mM, 1 mM DTT, 0.2 mg/ml BSA, 3 μM オルトバナジン酸塩)中の阻害剤を96のU底ウェルプレートのそれぞれのウェルに添加した。室温で60分間のインキュベーションの後、反応を停止させ、100μlのビーズ懸濁液を添加することによりビオチン標識ペプチドを捕捉した。
【0149】
層化:5M CsCl2を100μlずつ、それぞれのウェルに添加し、放射能をトップカウント装置で測定する前に4時間静置させた。
【0150】
IC50の決定:上記を参照。
【0151】
Cdc7/dbf4活性の阻害アッセイ
Cdc7/dbf4活性の阻害アッセイは、以下のプロトコルに従って行われる。
ビオチン-MCM2基質は、γ33-ATPでトレースされたATPの存在下、Cdc7/dbf4複合体によってトランスリン酸化される。そのリン酸化ビオチン-MCM2基質は、その後、ストレプトアビジンコートされたSPAビーズにより捕捉され、リン酸化の程度はβ計数により評価される。
【0152】
このCdc7/dbf4活性の阻害アッセイは、以下のプロトコルに従って、96穴プレート中で行われる。
プレートのそれぞれのウェルに添加したもの:
−10μl基質(ビオチン標識MCM2、最終濃度は6μM)
−10μl酵素(Cdc7/dbf4、最終濃度は17.9nM)
−10μl試験化合物(用量反応曲線を作成するために、nMからμMの範囲で、12の漸増濃度にする)
−コールドATP(最終濃度2μM)と放射性ATP(コールドATPとのモル比が1/5000)の混合物10μlは、その後、37℃で起こされる反応の開始のために使われた。
【0153】
基質、酵素、およびATPを15 mM MgCl2、2 mM DTT、3 μM NaVO3、2mMグリセロリン酸、および0.2mg/ml BSA を含む50 mM ヘペス pH7.9で希釈した。試験化合物の溶液は、10%DMSOも含んでいた。
【0154】
60分間のインキュベーションの後、50 mM EDTA、1 mM コールドATP、0.1% トリトンX100、および10 mg/mlストレプトアビジンコートされたSPAビーズを含む100 μl の PBS pH 7.4をそれぞれのウェルに添加することにより、反応を停止させた。
【0155】
20分間のインキュベートの後、懸濁液を110μL取り出し、100μLの5M CsClを含む96穴オプティプレートへ移した。4時間後、そのプレートを2分間、パッカードトップカウント放射能読み取り装置で読み取った。
【0156】
IC50の決定:前記を参照。
【0157】
本発明における式(I)の化合物は、哺乳類、例えばヒトへの投与に適しているが、通常の経路、並びに、年齢、体重、患者の状態、および投与経路に依存した投与量レベルにより投与され得る。
【0158】
例えば、式(I)の化合物の経口投与に対する適切な投与量は、好ましくは、1回投与あたり約10〜約500mg、1日1〜5回である。
【0159】
本発明の化合物は、さまざまな製剤形態で投与することができる。例えば、経口的に、錠剤、カプセル剤、糖またはフィルムでコーティングされた錠剤、液体液剤、もしくは懸濁剤;座剤の形態で直腸に;非経口的に、例えば筋肉内に、あるいは静脈内および/またはくも膜下内および/または脊髄内への注射もしくは輸液によって投与できる。
【0160】
加えて、本発明の化合物は、単剤として投与することができ、あるいは、放射線療法のような既知の抗癌治療と組み合わせて、または細胞増殖抑制性または細胞障害性薬剤、抗生物質型の薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫学的製剤、インターフェロン型の薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばCOX-2阻害剤)、金属マトリックスプロテアーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容薬剤、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras-rafシグナル伝達経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のcdk類阻害剤、チュブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤等の(任意にそれらのリポソーム製剤として)化学療法剤と併用して投与することができる。
【0161】
もし固定された投与量として処方される場合、このような併用製剤は、前記で述べた濃度範囲内での本発明の化合物と、承認された濃度範囲内での他の医薬活性剤を用いる。
【0162】
式(I)の化合物は、併用製剤が不適切な場合には、既知の抗癌剤と共に逐次的に使用することができる。
【0163】
本発明は、薬剤的に許容可能な賦形剤(担体または希釈剤でもよい)と混合した、式(I)の化合物または薬剤的に許容可能なそれらの塩を含む医薬組成物をも含むものである。
【0164】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、通常、以下のような従来の方法により調製され、薬学的に適切な形態で投与される。
【0165】
例えば、固体の経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、スクロース、セルロース、コーンスターチまたはポテトスターチ;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール類;結合剤、例えばデンプン類、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;分離剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはグリコール酸デンプンナトリウム;発泡性混合物;色素;甘味料;レシチン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸塩類のような湿潤剤;並びに、一般的に医薬製剤中に使われている無毒および薬理学的活性のない物質を含むことができる。前期医薬製剤は、既知の技術、例えば混合、造粒、打錠、シュガーコーティング、またはフィルムコーティング過程により製造される。
【0166】
経口投与のための分散剤には、例えばシロップ、乳濁液、懸濁液も含まれる。
【0167】
シロップは、例えばショ糖、あるいはグリセリン、および/またはマンニトール、および/またはソルビトールを含有するショ糖を担体として含むことが好ましい。
【0168】
懸濁液および乳濁液は、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを担体として含むことが好ましい。
【0169】
筋肉内注射のための懸濁液または溶液は、活性化合物と共に、薬剤的に許容可能な担体、例えば滅菌水、オリーブオイル、オレイン酸エチル、グリコール類、例えばプロピレングリコール、および、所望のときは、適切な量のリドカイン塩酸塩を、任意でおよび好ましくは含む。静脈内注射または輸液のための溶液は、任意でおよび好ましくは、例えば滅菌水を担体として含む。もしくは、好ましくは、それらは無菌の、水溶性の、等張性の溶液の形で存在していてもよく、あるいは、それらはプロピレングリコールを担体として含んでいてもよい。
【0170】
座剤は、活性化合物と共に、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性物質、またはレシチンのような薬剤的に許容可能な担体を含むことが好ましい。
【0171】
以下の例は、これにより本発明をより良く説明することを意図したものであり、それを限定するものではない。
【0172】
実験の節
一般的手法
フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル(メルクグレード9395, 60A)を用いて行った。この高圧液体クロマトグラフィーの保持時間(HPLC: r.t.値)は以下のように決定された:
方法1(HPLC_1):
使用機器:ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)製1312Aバイナリーポンプ;1mlシリンジを装着したギルソン(Gilson)製215オートサンプラー、ポリマーラブス(Polymer Labs)PL1000蒸発散乱光検出器(ELSD)、およびミクロマス(Micromass)製ZMDマススペクトロメーターをエレクトロスプレー陽イオン化モードで操作する。LC溶離剤は分割され、約200μl/minでマススペクトロメーターに入り、約800μl/minでELSに入る。
【0173】
クロマトグラフ条件:HPLC等級の水中の0.1%トリフルオロ酢酸(A)、およびHPLC等級のアセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(B)から成るHPLC移動相。このHPLC勾配を以下の表に示す。
【表A】

【0174】
稼働時間: 2.4 分
流速: 1 ml/min
注入量: 3 μl
カラム温度: 周囲 (20℃)
カラム: 50 x 2.0mm ハイパーシル(Hypersil) C18 BDS; 5 μm
ELS検出器: 噴霧器温度 80℃
気化温度 90℃
気流 1.5 l/hr
MS検出器: m/z 150〜800 @ 0.5 secs/scan, 0.1秒インタースキャン遅延
コーン(Cone)電圧 25V, ソース(Source)温度140℃
乾燥気体 350 l/hr
ELSD保持時間(HPLC r.t)は数分以内に与えられる。質量はm/z比として与えられる。
【0175】
方法2(HPLC_2)
使用機器:996ウォーターズ(Waters)製PDA検出器を備えたウォーターズ製2790HPLCシステム、およびエレクトロスプレーイオン化源を備えたミクロマス製ZQ単一四極子マススペクトロメーター
クロマトグラフ条件:RP18ウォーターズ製Xテラ(Terra) (4,6 x 50 mm, 3.5 μm)カラム;移動相Aは酢酸アンモニウム5mM緩衝液(酢酸/アセトニトリル 95:5でpH 5.5 にしたもの)、移動相BはH2O/アセトニトリル (5:95)であった。10から90%の勾配のBを8分間、2分間90%のBを保持。UV検出器は220 nmおよび254 nm。流速1 ml/min。注入量10 μl。 全走査、質量範囲は100から800amu。キャピラリー電圧は2.5 KV;ソース温度は120℃;コーンは10 V。保持時間(HPLC r.t.)は220nmまたは254nmにおいて数分内に与えられる。質量はm/z比として与えられる。
【0176】
必要なときは、この化合物を、996ウォーターズ製PDA検出器を備えたウォーターズ製分取HPLC600、およびミクロマス製ZQ単一四極子マススペクトロメーター、電子スプレーイオン化、陽イオン化モードを用い、ウォーターズ製シンメトリーC18(19 x 50 mm, 5μm)カラムで分取HPLCにより精製した。移動相Aは0.01%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液、移動相Bはアセトニトリルであった。10から90%の濃度勾配のBを8分間、90%のBを2分間保持。流速20 ml/min。
【0177】
1H-NMRスペクトロメトリーは、勾配を有するブルカーアバンス(Bruker AVANCE)製400MHzシングルベイ装置で行った。それはQNPプローブ (可換性の4核プローブ-1H、13C、19F、および31P) (NMR 手法1) を備えており、または400.45 MHzで操作する、5mm二重共鳴プローブ[1H (15N-31P) ID_PFG バリアン]を備えたマーキュリー(Mercury) VX 400 を用いて行われる(NMR 手法2)。
【0178】
前記で示したように、本発明の式(I)のいくつかのピロロ-ピリジン誘導体(簡単にアザインドールとしても同定される)は、コンビネナトリアルケミストリー技術によって平行して合成された。
【0179】
この側面において、このように調製されたいくつかの化合物は、それ故、HPLC保持時間(手法1および2)並びに質量と共に、表IIIおよびVからVIIIのコード化システムに従って、都合よく、明確に同定されている。表IVは、代わりに、ライブラリのいくつかの代表的な式(I)の化合物についての分析的NMRデータに関するものである。
【0180】
式(I)の単一で特定の化合物を同定するそれぞれのコードは、3つの単位A-M-Bから成る。
【0181】
Aは、任意の置換基R1-[式(I)を参照]を表し、3位が置換されたアザインドール誘導体(A-M-B)を得るために、炭素原子を介してアザインドール部分の残りの部分に結合する;それぞれのAラジカル(置換基)は表Iに示されている。
【0182】
Bは、任意の置換基R-[式(I)を参照]を表し、5位が置換されたアザインドール誘導体(A-M-B)を得るために、窒素原子を介してアザインドール部分の残りの部分に結合する;それぞれのBラジカル(置換基)は表IIに示されている。
【0183】
Mは、5位に-N-基を持ち、AおよびB基によって置換された、2価の3-カルボキシアザインドール部分の中心核を指す。
【化14】

【0184】
参照を容易にするために、表I、およびIIのA基、またはB基は、それぞれ分子Mの残りの部分との結合点も示している適切な化学式で特定されている。
【0185】
適切な例としては、表VのA21-M-B10化合物(エントリー3162を参照)は、5位をB10基によって、および3位をA21基によって(-NH-基を介して)置換されたアザインドールMを意味する;同様に、表IIIのA10-M-B70化合物(エントリー2083を参照)は、5位をB70基によって、および3位をA10基によって(-NH-基を介して)置換されたアザインドールを意味する:
【化15】

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【0186】
例1
メチル 5-ニトロ-1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸塩の調製
ジクロロメタン2.07 L 中の硝酸テトラブチルアンモニウム187.7 g (0.616 mol)氷冷溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(85.7 mL, 0.616 mol) を窒素存在下、25分間以上かけて滴下した。この混合物を、+4℃の2.7Lジクロロメタン中で予め形成された1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸メチルエステル150.0 g (0.474 mol)の溶液へと、カニューレを介してゆっくりと移した。この反応混合物を+4℃で4時間撹拌し、この温度でさらに23時間保持した。この冷反応塊を2.3Lの水中に注ぎ、1時間撹拌した。この水層を分離し、1Lのジクロロメタンで再抽出した。この混合性の有機抽出物を、減圧下で濃黄色の懸濁液へと濃縮し、1.05Lのメタノールで処理した。このスラリーを0℃に冷却し、ろ過する前にさらに1時間撹拌し、メタノールで洗浄し、乾燥させて、羊毛質の黄色の固体として標題の純化合物を128g得た (収率= 74.7%)。融点= 195-196℃
1H-NMR-手法2 (DMSO): 3.91 (s, 3H), 7.64-7.69 (m, 2H), 7.76-7.81 (m, 1H), 8.25-8.27 (m, 2H), 8.74 (s, 1H), 8.96 (d, 1H, J=2.58 Hz), 9.27 (d, 1H, J=2.58 Hz)。
【0187】
例2
5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸二ナトリウムの調製
2,2,2-トリフルオロエタノール1.34L中の例1の化合物95.7 g (0.265 mol)の懸濁液に、17% NaOH 0.545 L を40分間以上かけて、激しく撹拌しながら加えた。この黄橙色の混合物を16時間還流温度で加熱し、その後0℃まで冷却し、さらに2時間撹拌した。この沈殿物をろ過し、アセトンで洗浄し、乾燥させて、結晶性橙色固体として標題化合物を79.8g得た(収率= テトラ水和物として93.1%)。融点 >230℃
1H-NMR-手法2 (DMSO): 7.83 (bs, 1H), 8.89 (d, 1H, J=2.80 Hz), 9.07 (bs, 1H)。
【0188】
例3
5-ニトロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸の調製
水2.65L中の例2の化合物(88.10 g, 0.35 mol)の澄明な溶液に、105mLの水で希釈した濃塩酸(52.6 mL, 0.526 mol)を50分間以上、外界温度で効率的に撹拌しながら滴下した。この生成懸濁液を+4℃に冷却し、さらに1時間撹拌した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させて、最終的に淡黄色の粉末として標題の化合物55.6gを得た(収率= 98.5% (標題 95%))。
【0189】
融点 = 282-285℃ 分解
1H-NMR-手法2 (DMSO): 8.41 (d, 1H, J=2.83 Hz), 9.00 (d, 1H, J=2.59 Hz), 9.16 (d, 1H, J=2.59 Hz), 12.5-13.0 (bs, 1H), 13.14 (s, 1H)。
【0190】
例4
イソアミルアミン(表Iの断片A32に対応)の、酸感受性メトキシベンズアルデヒドポリスチレン樹脂(AMEBA樹脂)への負荷。
【0191】
4-(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシ)ブチリルAM 樹脂[共重合(スチレン-1% dvb) 100-200 メッシュ] (1.5 g,1 eq, 負荷0.94 mmol/g) をDCM中で膨張させ、その後ろ過した。THF/DCM (4 : 1, 15 ml)、 イソアミルアミン(6 eq.) 、およびAcOH (6 eq.)の混合物を加えた。15分後、NaBH(OAc)3 を加え、その反応を室温で一晩振とうして行った。ろ過の後、その樹脂をメタノール(x 3)、DMF/DCM (1 : 1) (x 3)、およびDCM (x 5)で洗浄した。
【0192】
例5
A32-M-B47の調製
ステップ(a): 例4の樹脂への7-アザインドール骨格(例3の標題の化合物)の負荷
【化16】

【0193】
無水DMF (100 ml)中の例4の樹脂(10 g, 0.77 mmol/g, 7.7 mmol)に、3-カルボキシ-5-ニトロ-7-アザインドール (2.39 g, 11.55 mmol)、TBTU(3.71 g, 11.55 mmol)、およびDIPEA (2.92 g, 23.10 mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過によって分離した。この樹脂を逐次、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、およびTBME (100 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合7-アザインドール(11.30 g)を得た。
【0194】
樹脂負荷チェック
樹脂負荷チェックは、樹脂への基礎的成分の完全な負荷、およびTBTUを用いたカップリングの間にオリゴマー形成が起こっていないことを示すために行う。樹脂に負荷された未反応のアミン(例えばイソアミルアミン、例5)をキャップするために、および1-NHアザインドールをアセチル化するために、塩化ベンゾイルを用いた。その切断された混合物中にベンズアミド(すなわちイソアミルベンズアミド、例8)が存在しないことは、その骨格の樹脂への定量的な負荷を示す。1-N-ベンゾイルアザインドールまたは1-NH-アザインドールの存在は、樹脂負荷段階において3-カルボキシ-5-ニトロ-7-アザインドールのホモカップリングが起こらなかったことを示す。
【0195】
例5(ステップa)で述べた手法に従って得られたDCM (1 ml)中の樹脂(0.035 g, 0.027 mmol)に、DIPEA (0.035 g, 0.265 mmol)および塩化ベンゾイル(0.038 g, 0.265 mmol)を加えた。この反応混合物を4時間振とうし、その樹脂をろ過により分離した。この樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水(1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2) で洗浄し、その後風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM 1ml 20分間)、オフホワイトの固体(0.008 g, 80%)を得た。LCMS (1-N-ベンゾイル化アザインドールおよび1-NH アザインドールの混合物を示す): m/z 277 [M+H]+, m/z 318 [M+MeCN+H]+ (215 nm において17%純度)、並びにm/z 381 [M+H]+, m/z 422 [M+MeCN+H]+ 、および m/z 761 [2M+H]+ 、r.t. 2.04 min (215 nm において74% 純度)
ステップb:ニトロ基の還元
NMP (100 ml)中のステップ(a)で得られた樹脂(11 g, 7.5mmol)に、塩化スズ(II)二水和物 (15.94 g, 77 mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、その樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、水(100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、TBME (100 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合アザインドール (11.05 g)を得た。60%TFA/DCM 1mLを20分間用いて、樹脂0.01gを切断し、オフホワイトの固体(0.0014 g, 74%)を得た。
【0196】
LCMS: m/z 247 [M+H]+ および m/z 288 [M+MeCN+H]+ 、r.t. 1.35 min (215 nm において96%純度)。
【0197】
ステップc:酸塩化物によるキャッピング
【化17】

【0198】
DCM (1 ml)中のステップ(b)の樹脂(0.11 g、0.075 mmol)に、ヒューニッヒ塩基(0.050g, 0.385mmol)を加え、続いて4-メトキシ塩化ベンゾイル(表IIの断片B47に対応、0.065g、0.385 mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間振とうし、その樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後風乾した。
【0199】
その樹脂をアセトニトリル/アンモニア溶液(1 ml, 4:1)中で4時間振とうし、その後、ろ過によって分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水(1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM, 3 x (3 x 0.5 ml))、化合物A32-M-B47(下記表IIIのエントリー964参照)に対応する式(I)のオフホワイトの固体(0.016 g, 55%)を得た。
【0200】
1H NMR-手法1 (MeOH d-4): 8.75 (1H, d, 2.3 Hz), 8.67 (1H, s), 7.97 (1H, s), 7.85 (2H, d, 8.8 Hz), 6.92 (2H, d, 8.9 Hz), 3.75 (3H, s), 3.39 (2H, t, 7.5 Hz), 1.62-1.52 (1H, m), 1.44-1.37 (2H, m), 0.85 (6H, d, 6.6 Hz),インドールおよびアミドNH基は検出されなかった;
LCMS (HPLC_1): m/z 381 [M+H]+ 、r.t. 1.24 min (100% ELS 検出器による)。
【0201】
前記の方法に従って、例4に従って樹脂上に支持された適切なアミノ誘導体から開始することにより、および適切な塩化アシル誘導体の存在下で、例5の前記ステップ(a)から(c)によって操作することにより、以下の表III(すなわちライブラリ)の化合物が調製された:
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【表3−14】

【表3−15】

【表3−16】

【表3−17】

【表3−18】

【表3−19】

【表3−20】

【表3−21】

【表3−22】

【表3−23】

【表3−24】

【表3−25】

【表3−26】

【表3−27】

【表3−28】

【表3−29】

【表3−30】

【0202】
表IIIのエントリー2774から2813について、1H-NMR(NMR-手法2)を行い、データを以下の表IVに示す。
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【0203】
例6
A32-M-B13の調製
例4および5で述べたように操作し、塩化アシル誘導体の代わりに2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド(表IIの断片B13に対応)を用いてキャッピング反応を行うことにより、標題化合物が以下の操作条件に従って得られる。
【0204】
DCM (1 ml)中の例5のステップ(b)において得られた樹脂(0.11 g, 0.075 mmol)に、ピリジン(0.030 g, 0.385 mmol)、DMAP (0.001 g, 0.0077 mmol)、および 2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド (0.094 g, 0.385 mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM, 3 x (3 x 0.5 ml))、A32-M-B13化合物(以下の表Vのエントリー3364参照)に対応するオフホワイトの固体(0.02g, 55%)を得た。
【0205】
LCMS (HPLC_1): m/z 455 [M+H]+ および 496 [M+MeCN+H]+ 、r.t. 1.36 min (97.5% ELS 検出器による)
前記例に従って操作することにより、すなわち、適切な樹脂に支持されたアミノ誘導体から開始することにより、および適切な塩化スルホニル誘導体を用いてキャッピング反応を行うことにより、以下の表V(すなわちライブラリ)の化合物がその結果得られた。
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【表5−4】

【表5−5】

【表5−6】

【表5−7】

【表5−8】

【表5−9】

【0206】
例7
4-フルオロベンジルアミン(表Iの断片A12に対応)の酸感受性メトキシベンズアルデヒドポリスチレン樹脂(AMEBA II 樹脂)への負荷
この反応は、イソアミルアミンの代わりに4-フルオロベンジルアミンの存在下で、例4に示したように操作することにより行った。
【0207】
例8
A12-M-B139の調製
ステップa:例7の樹脂上への7-アザインドール骨格(例3の標題の化合物)の負荷
DMF無水物 (75 ml)中の例7の樹脂(7.5 g, 0.77 mmol/g, 5.7 mmol)に、3-カルボキシ-5-ニトロ-7-アザインドール (1.794 g, 8.67 mmol)、TBTU (2.78 g, 8.67 mmol)、および DIPEA (2.24 g, 17.34 mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (75 ml)、DCM (75 ml)、DMF (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、TBME (75 ml x 2)で洗浄し、樹脂結合7-アザインドール(8.50 g)を得るために、真空中で乾燥させた。
【0208】
樹脂負荷チェック
樹脂負荷チェックは、樹脂への基礎的成分の完全な負荷、およびTBTUを用いたカップリングの間にオリゴマー形成が起こっていないことを示すことにより行う。
【0209】
DCM (1 ml)中の樹脂(0.035 g, 0.027 mmol)に、DIPEA (0.035 g, 0.265 mmol) および塩化ベンゾイル (0.038 g, 0.265 mmol)を加えた。この反応混合物を4時間振とうし、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml), DCM (1 ml), DMF (1 ml), DCM (1 ml), MeOH (1 ml), 水 (1 ml), MeOH (1 ml), DCM (1 ml), MeOH (1 ml), DCM (1 ml), MeOH (1 ml), TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM 1 ml、20分間)、オフホワイトの固体(0.007 g, 64%)を得た。
【0210】
LCMS (HPLC_1) (N-ベンゾイル化インドール): m/z 419 [M+H]+ 、r.t. 1.56 min (97% ELS 検出器による)。
【0211】
ステップb:固相上の7-アザインドールのN-Bocによる保護
【化18】

【0212】
DCM無水物(75 ml)中のステップ(a)の樹脂(8.4 g, 5.7 mmol)に、DMAP (0.07 g, 0.58 mmol) およびジ-tert-炭酸ブチル (12.60 g, 57.8 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (75 ml)、DCM (75 ml)、DMF (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、DCM (75 ml)、MeOH (75 ml)、TBME (75 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、保護された樹脂結合7-アザインドール(9.0 g)を得た。
【0213】
1-N-アザインドール保護チェック
1-N-アザインドール保護チェックは1位のインダゾール窒素原子におけるtert-ブトキシカルボニル(boc)による完全な保護、および遊離NH基が存在しないことを示すことにより行った。
【0214】
DCM (1 ml)中の樹脂(0.035 g, 0.027 mmol)に、DIPEA (0.035 g, 0.265 mmol)および塩化ベンゾイル (0.038 g, 0.265 mmol)を加えた。この反応混合物を4時間振とうし、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM 1 ml、20分間)、オフホワイトの固体 (0.008 g, 80%)を得た。LCMS (HPLC_1): m/z 315 [M+H]+ 、r.t. 1.26 min (91% ELS検出器による)。
【0215】
ステップc:ニトロ基の還元
NMP (100 ml)中のステップ(b)の樹脂(9 g, 5.7 mmol)に、塩化スズ(II)二水和物(13.03 g, 57.75 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、水 (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、TBME (100 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合アザインドール(8.8 g)を得た。樹脂を 0.01g 切断し (60% TFA/DCM 1 ml 、20分間)、オフホワイトの固体(0.0015 g, 69%)を得た。
【0216】
LCMS (HPLC_1): m/z 285 [M+H]+ 、r.t. 0.91 min (100% ELS 検出器による)。
【0217】
ステップd:フェニルカルバメート(およびビス-フェニルカルバメート)形成
【化19】

【0218】
DCM (70 ml)中のステップ(c)の樹脂(8.8 g, 5.78 mmol)に、トリエチルアミン (11.66 g, 115.5 mmol)およびフェニルクロロギ酸 (18.01 g, 115.5 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。 その樹脂を逐次、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、DMF (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、DCM (100 ml)、MeOH (100 ml)、TBME (100 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合アザインドール (9.5 g)を得た。樹脂を0.01g 切断し(60% TFA/DCM 1 ml、20分間)、オフホワイトの固体(0.0025 g, 62%)を得た。
【0219】
LCMS (HPLC_1) (ビス-カルバメートのみ検出された): m/z 525 [M+H]+ 、r.t. 1.47 min (97% ELS検出器による)。
【0220】
ステップe:ウレア形成
DCM (1 ml)中のステップ(d)の樹脂(0.11g, 0.077 mmol)に、2,6ジメチルピペラジン(表IIの断片B139に対応、0.176 g, 1.54 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で72時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(60% TFA/DCM, 3 x (3 x 0.5 ml))、A12-M-B139化合物(以下の表VIのエントリー3769参照)に対応するオフホワイトの固体(0.031 g, 95%)を得た。
【0221】
1H NMR-手法1 (MeOH d-4): 8.65 (1H, d, 2.3 Hz), 8.46 (1H, d, 2.3 Hz), 8.13 (1H, s), 7.44-7.37 (2H, m), 7.10-7.03 (2H, m), 4.57 (2H, s), 4.42 (1H, dd, 14.4 Hz, 2.0 Hz), 3.49-3.38 (1H, m), 3.34-3.31 (2H, m), 2.98-2.89 (2H, m), 1.39 (6H, d, 6.6 Hz), インドールおよびアミドNH基は検出されなかった;
LCMS (HPLC_1): m/z 425 [M+H]+ 、r.t. 0.95 min (98% ELS 検出器による)。
【0222】
前記で示したことと類似した操作によって、並びにそれらの適切な出発物質および反応物を用いることによって、以下の表VI(すなわちライブラリ)の化合物が調製された:
【表6−1】

【表6−2】

【表6−3】

【0223】
例9
PNPワング(Wang)樹脂上へのピペラジン(表Iの断片A50 に対応)の負荷
DMF無水物(50 ml)中のPNPワング樹脂(p-ニトロフェニル炭酸塩ワング樹脂, 4.7 g, 0.52 mmol/g, 2.5 mmol)の室温で振とうされた懸濁液に、ピペラジン(0.637 g, 7.41 mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.956 g, 7.41 mmol)を加えた。その反応混合物を20時間振とうし、ろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、TBME (50 ml x 2) で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合ジアミン(4.6 g)を得た。
【0224】
さらなる分析をしないで、樹脂結合カルバメートを次のステップに用いた。
【0225】
例10
A50-M-B25の調製
ステップa:例9の樹脂上への7-アザインドール骨格(例3の標題の化合物)の負荷
DMF無水物(50 ml)中の樹脂(4.6 g, 0.52 mmol/g, 2.4 mmol)に、3-カルボキシ-5-ニトロ-7-アザインドール (0.743 g, 3.588 mmol)、TBTU (1.152g, 3.588 mmol) 、およびDIPEA (0.927 g, 7.176 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、TBME (50 ml x 2) で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合7-アザインドール(5.2 g)を得た。
【0226】
樹脂負荷チェック
DCM (1 ml)中の樹脂(0.035 g, 0.0182 mmol)に、DIPEA (0.024 g, 0.182 mmol) および塩化ベンゾイル (0.025 g, 0.182 mmol) を加えた。その反応混合物を4時間振とうし、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し(40% TFA/DCM 1 ml)、オフホワイトの固体(0.008 g, 80%)を得た。
LCMS: m/z 380 [M+H]+, m/z 421 [M+MeCN+H]+ 、r.t. 1.44 min (215 nmにおいて84%純度)。
【0227】
ステップb:ニトロ基の還元
NMP (50 ml)中の樹脂(5g, 2.3 mmol) に、塩化スズ(II)二水和物 (5.4 g, 23.92 mmol)を加えた。その反応性生物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、DMF (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、水 (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、DCM (50 ml)、MeOH (50 ml)、TBME (50 ml x 2)で洗浄し、真空中で乾燥させ、樹脂結合アザインドール (5.0 g)を得た。樹脂0.01 g を切断し(40% TFA/DCM 1 ml)、オフホワイトの固体(0.0009 g, 75%)を得た。
【0228】
LCMS: m/z 246 [M+H]+ , r.t. 0.22 min (215 nmにおいて94%純度)。
【0229】
ステップc:酸塩化物を用いたキャッピング
DCM (1 ml)中の樹脂(0.11 g, 0.05 mmol)に、ヒューニッヒ塩基 (0.034 g, 0.26 mmol)および塩化ベンゾイル (表IIの断片B25に対応、 0.036 g, 0.26 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その樹脂をアセトニトリル/アンモニア溶液(1 ml, 4:1)中で4時間振とうし、その後、ろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。その生成物を樹脂から切断し (40% TFA/DCM, 3 x 0.5 ml)、A50-M-B25化合物(以下の表VIIのエントリー3808を参照)に対応するオフホワイトの固体(0.012 g, 63%)を得た。
【0230】
LCMS (HPLC_1): m/z 350 [M+H]+ 、r.t. 0.83 min (95% ELS検出器による)。
【0231】
例10において示したように操作することにより、並びに適切な樹脂に支持されたアミノ誘導体、および塩化アシル反応物を用いることにより、以下の化合物(例えばライブラリ)が調製された:
【表7】

【0232】
例11
A50-M-B1の調製
標題化合物は、例10のステップ(a)および(b)において示したように操作することによって、並びに、以下のように塩化スルホニルを用いてステップ(c)のキャッピング反応を行うことにより調製された。
【0233】
ステップ(c):塩化スルホニルを用いたキャッピング
DCM (1 ml)中、例10のステップ(b)において得られた樹脂(0.11 g, 0.052 mmol)に、ピリジン (0.021 g, 0.26 mmol)、DMAP (0.001 g, 0.0052 mmol)、およびメタンスルホニルクロリド (表IIの断片B1に対応、0.030 g, 0.26 mmol)を加えた。その反応混合物を室温で20時間振とうし、その後、樹脂をろ過により分離した。その樹脂を逐次、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、DMF (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、水 (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、DCM (1 ml)、MeOH (1 ml)、TBME (1 ml x 2)で洗浄し、その後、風乾した。 その生成物を樹脂から切断し(40% TFA/DCM 3 x 0.5 ml)、A50-M-B1 化合物(表VIIIのエントリー3858参照)に対応するオフホワイトの固体(0.018 g, 100%)を得た。
【0234】
LCMS (HPLC_1): m/z 324 [M+H]+ 、r.t. 0.22 min (92% ELS 検出器による)。
【0235】
例11において示したように操作することにより、並びに適切な樹脂に保護されたアミノ誘導体および塩化スルホニル反応物を用いることにより、以下の化合物は調製された:
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、および薬学的に許容可能な塩:
【化1】

式中、
Rは、 -Ra、-CORa、-CONRaRb、-SO2Ra、またはCOORaから成る群より選択され;
R1は、 -NRcRd または -ORc基であり;
ここでのRa、Rb、Rc、およびRdは、同一または異なるものであり、それぞれ独立に、水素または任意にさらに置換された、直鎖もしくは分枝状のC1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルケニル、直鎖もしくは分枝状のC2〜C6 アルキニル、C3〜C6 シクロアルキル、シクロアルキルC1〜C6 アルキル、アリール、アリールC1〜C6アルキル、複素環または複素環C1〜C6アルキル基から選択される基であるか、あるいは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、RaおよびRb、並びにRcおよびRd が、任意にS、O、N、またはNHから選択された1つの付加的環へテロ原子またはへテロ原子団を含む、任意に置換された4から7員の複素環を形成してもよい。
【請求項2】
R が Ra であり、R1 が-NRcRdである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
R が -CORa であり、R1が -NRcRdである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Rが -CONRaRb であり、R1 が-NRcRdである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Rが -SO2Ra であり、R1が -NRcRdである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Rが -COORa であり、R1が -NRcRdである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
R1が -ORcである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
Ra、Rb、Rc、およびRdが、表IおよびIIにおいて定義した通りにそれぞれ独立に選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の式(I)の化合物であって、さらにRa、Rb、Rc、およびRdを含み、これら置換基は独立かつ任意に、ハロゲン、ニトロ、オキソ基(=O)、カルボキシ、シアノ、アルキル、ポリフッ化アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル;アリール、ヘテロサイクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ウレイド、アルキルウレイド、またはアリールウレイド;カルボニルアミノ、ホルミルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ;ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、またはアルキリデンアミノキシ;アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル;アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、およびジアルキルアミノスルホニルを含む基から選択された部分により、置換された化合物。
【請求項10】
表III、V、VI、VII、またはVIIIに具体的に列記された、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
変化したプロテインキナーゼ活性により引き起こされた、および/またはそれに付随した疾患あるいは状態の治療のための方法であって、請求項1に記載の化合物、またはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、および薬学的に許容可能な塩の有効量を、それを必要とする哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項12】
前記変化したプロテインキナーゼ活性により引き起こされた、および/またはそれに付随した疾患が、癌、アルツハイマー病、ウイルス感染、自己免疫疾患、および神経変性疾患から成る群より選択される細胞増殖性疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記癌が、上皮細胞癌、扁平上皮癌、骨髄系またはリンパ系の造血性腫瘍、間葉由来の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨癌、色素性乾皮症、角質黄色腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞増殖性疾患が、前立腺肥大症、家族性腺腫瘍、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に付随する血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸球体腎炎、並びに外科手術後の狭窄症および再狭窄症から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
哺乳類における腫瘍脈管形成および転移を抑制するための方法であって、請求項1に記載の化合物、もしくはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の治療学的な有効量を、処置を必要とする前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項16】
哺乳類における臓器移植拒絶反応または宿主対移植片病の治療のための方法であって、請求項1に記載の化合物、もしくはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の治療学的な有効量を、処置を必要とする前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項17】
哺乳類における放射線療法誘発性または化学療法誘発性の脱毛症を治療もしくは予防するための方法であって、請求項1に記載の化合物、もしくはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の治療学的な有効量を、処置を必要とする前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項18】
少なくとも1つの細胞増殖抑制性または細胞障害性薬剤と組み合わせた放射線療法、または化学療法を、それを必要とする前記哺乳類に施すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記治療を必要とする哺乳類がヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
プロテインキナーゼを、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物、もしくはその異性体、互変異性体、担体、代謝生成物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩と接触させることを含んでなる、前記キナーゼ活性を阻害するための方法。
【請求項21】
2以上の請求項1に記載の化合物を含むライブラリ。
【請求項22】
治療上有効な量の請求項1に記載の式(I)の化合物、および少なくとも1の薬剤的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
さらに1以上の化学療法剤を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
任意に、薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤、並びに1以上の化学療法剤を伴った、請求項1に記載の式(I)の化合物を含んでなるキット。

【公開番号】特開2012−121891(P2012−121891A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10428(P2012−10428)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2006−546078(P2006−546078)の分割
【原出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(506266207)ファイザー・イタリア・エス.アール.エル. (5)
【Fターム(参考)】