説明

キノリノン化合物を合成する方法

【課題】キノリノン化合物の収率を最適にする新しい方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、キノリノン化合物(例えば、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物)を合成する方法を提供する。より特定すると、本発明は、さらに、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、およびリチウムの量を減らした処方、およびリチウム塩の使用を必要とせず、リチウム塩を含まないこのような化合物および処方を合成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、キノリノン化合物を合成する方法に関する。さらに具体的には、本明細書中で記述した発明は、アミノキノリノン化合物を合成する改良方法に関し、また、低い量のリチウムを含有するアミノキノリノン化合物および組成物を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
1種またはそれ以上の血管内皮増殖因子レセプタチロシンキナーゼ(VEGF−RTK)に対して活性を有する種々の化学化合物および組成物が報告されている。例には、WO 98/13350で記述されたようなキノリン誘導体、アミノニコチンアミド誘導体(例えば、WO 01/55114を参照のこと)、アンチセンス化合物(例えば、WO 01/52904を参照のこと)、ペプチドミメティクス(例えば、WO 01/52875を参照のこと)、キナゾリン誘導体(例えば、米国特許第6、258、951を参照のこと)、モノクローナル抗体(例えば、EP 1 086 705 A1を参照のこと)、種々の5,10,15,20−テトラアリール−ポルフィリンおよび5,10,15−トリアリール−コロール(corroles)(例えば、WO 00/27379を参照のこと)、複素環アルカンスルホン酸およびアルカンカルボン酸誘導体(例えば、DE19841985を参照のこと)、オキシンドリルキナゾリン誘導体(例えば、WO 99/10349を参照のこと)、1,4−ジアザアントラシン誘導体(例えば、米国特許第5,763,441を参照のこと)、およびシンノリン誘導体(例えば、WO 97/34876を参照のこと)、および種々のインダゾール化合物(例えば、WO 01/02369およびWO 01/53268を参照のこと)が挙げられる。
【0003】
4−ヒドロキシキノロンおよび4−ヒドロキシキノリン誘導体の合成は、多数の参考文献で開示されている。例えば、Ukrainetsらは、3−(ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリンの合成を開示した。Ukrainets,I.ら、Tetrahedron Lett.42,7747−7748(1995);Ukrainets,I.ら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinii,2,239−241(1992)。Ukrainetsはまた、他の4−ヒドロキシキノロンおよびチオ類似体(例えば、1H−2−オキソ−3−(2−ベンゾイミダゾリル)−4−ヒドロキシキノリン)の合成、抗痙攣および抗甲状腺活性を開示した。Ukrainets,I.ら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinii,1,105−108(1993);Ukrainets,I.ら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinii,8,1105−1108(1993);Ukrainets,I.ら、Chem.Heterocyclic Comp.33,600−604,(1997)。
【0004】
種々のキノリン誘導体の合成は、WO 97/48694で開示されている。これらの化合物は、核ホルモンレセプタに結合でき、骨芽細胞の増殖および骨の成長を刺激するのに有用であると開示されている。これらの化合物はまた、核ホルモンレセプタ族に関連した疾患を治療または予防するのに有用であると開示されている。
【0005】
キノリンのベンゼン環をイオウ基で置換した種々のキノリン誘導体は、WO 92/18483で開示されている。これらの化合物は、医薬処方にて、また、医薬として有用であると開示されている。
【0006】
キノロンおよびクマリン誘導体は、薬剤および医薬処方とは関係がない種々の応用において用途を有すると開示された。光重合組成物における使用または発光特性のためのキノロン誘導体の調製を記載している参考文献には、以下が挙げられる:米国特許第5,801,212号(これは、Okamotoらに登録された);JP 8−29973;JP 7−43896;JP 6−9952;JP 63−258903;EP 797376;およびDE 23 63 459。
【0007】
キノリノンベンゾイミダゾリル化合物および4−アミノ置換キノリノンベンゾイミダゾリル化合物(例えば、4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン)を含めた多くの置換キノリノン化合物は、最近では、WO 02/22598およびWO 2004/043389のような参考文献で開示されている。このような化合物は、VEGF−RTKを阻害すると開示されている。このような化合物はまた、公開された米国特許出願U.S.2002/0107392およびU.S.2003/0028018、および米国特許第6,605,617号、第6,774,237号および第6,762,194号で開示されている。ベンゾイミダゾリルキノリンに関連した複素環化合物は、最近では、WO 02/18383、U.S.2002/0103230、および米国特許第6,756,383号で開示された。他のこのような化合物は、このような化合物がセリン/スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼを阻害する新しい用途と共に開示されており、WO 2004/018419、およびU.S.2004/0092535(これは、2003年8月19日に出願され、そして以下の仮特許出願の各々から優先権を主張している):米国仮特許出願第60/405,729号(これは、2002年8月23日に出願された);米国仮特許出願第60/426,107号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/426,226号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/426,282号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/428,210号(これは、2002年11月21日に出願された);米国仮特許出願第60/460,327号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第 号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第60/460,493号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第60/478,916号(これは、2003年6月16日に出願された);および米国仮特許出願第60/484,048号(これは、2003年7月1日に出願された)に開示されている。この段落の参考文献の各々の内容は、それが本明細書中で十分に示されているごとく、全ての目的のために、その全体として、本明細書中で参考として援用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
キノリノン化合物を合成する種々の方法が開示されたもの、それらが医薬処方および応用において重要な用途を有するので、これらの化合物の収率を最適にする新しい方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を合成する方法であって、該方法は、以下の工程:適切な溶媒中で、塩基のナトリウム塩またはカリウム塩の存在下にて、式Iを有する第一化合物と式IIを有する第二化合物とを反応させて、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を含む反応生成物を提供する工程を包含し、ここで、該第一化合物および該第二化合物は、以下の構造:
【0010】
【化1】

【0011】
を有し、ここで、
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR10基、−NR1112基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基から選択され;
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR13基、−NR1415基、−SR16基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
Zは、−OR9a基または−NR9b9c基から選択され;
9aは、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基であるか、またはZが−NR9b9c基であるなら、存在せず;
9bおよびR9cは、別個に、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基から選択されるか、またはZが−OR9a基であるなら、両方とも、存在せず;
10およびR13は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
11およびR14は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;
12およびR15は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
16は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
さらに、ここで、該置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル化合物は、以下:
【0012】
【化2】

【0013】
式IIIを有する化合物であるか、式IIIを有する化合物の互変異性体であるか、式IIIを有する化合物の塩であるか、または式IIIを有する化合物の互変異性体の塩である、方法。
(項目2)
は、H、Cl、Br、FまたはIから選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
はFである、項目1に記載の方法。
(項目4)
、RおよびRは、全てHである、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記第一化合物が、以下の構造を有する式IA:
【0014】
【化3】

【0015】
を有する化合物である、項目1に記載の方法。
(項目6)
またはRのうちの少なくとも一方は、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基である、項目1に記載の方法。
(項目7)
またはRのうちの一方は、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、そしてRまたはRのうちの他方は、Hである、項目1に記載の方法。
(項目8)
またはRのうちの一方は、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、該置換もしくは非置換のヘテロシクリル基は、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基またはモルホリニル基から選択される、項目1に記載の方法。
(項目9)
またはRのうちの一方が、置換もしくは非置換のピペラジニル基である、項目8に記載の方法。
(項目10)
またはRのうちの一方が、N−アルキルピペラジニル基である、項目9に記載の方法。
(項目11)
またはRのうちの一方が、N−メチルピペラジニル基であり、そしてRまたはRのうちの他方が、Hである、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記第二化合物が、式IIAまたはIIB:
【0016】
【化4】

【0017】
を有する化合物であり、そしてR、RおよびR9aは、項目1で定義した値を有する、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記第二化合物が、式IICまたはIID:
【0018】
【化5】

【0019】
を有する化合物であり、そしてR9aが、項目1で定義した値を有する、項目1に記載の方法。
(項目14)
9aは、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であり、該直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−プロピル、s−ブチルまたはt−ブチル基から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
9aは、エチル基である、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記適切な溶媒は、ジアルキルエーテル、環状エーテル、芳香族溶媒、またはそれらの組み合わせから選択される、項目1に記載の方法。
(項目17)
上記溶媒は、テトラヒドロフランである、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記溶媒は、トルエンである、項目1に記載の方法。
(項目19)
上記塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、ナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドである、項目1に記載の方法。
(項目20)
上記塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、カリウムt−ブトキシドである、項目19に記載の方法。
(項目21)
上記塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、ナトリウムビス(トリアルキルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリアルキルシリル)アミドである、項目1に記載の方法。
(項目22)
上記ナトリウムビス(トリアルキルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリアルキルシリル)アミドは、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドである、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記適切な溶媒中で、上記第一化合物および上記第二化合物の混合物に、上記塩基の上記ナトリウム塩またはカリウム塩を加える工程をさらに包含する、項目16に記載の方法。
(項目24)
上記塩基の上記ナトリウム塩またはカリウム塩は、上記第一化合物のモル量に関して、2〜4当量の量で存在している、項目1に記載の方法。
(項目25)
上記塩基の上記ナトリウム塩またはカリウム塩は、上記第二化合物のモル量に関して、2〜4当量の量で存在している、項目1に記載の方法。
(項目26)
上記第二化合物は、上記第一化合物のモル量に関して、1〜2当量の量で存在している、項目1に記載の方法。
(項目27)
15℃〜50℃の温度で、上記第一化合物、上記第二化合物および上記適切な溶媒を含有する混合物に、上記塩基の上記ナトリウム塩またはカリウム塩を加える工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目28)
(a)反応フラスコに芳香族溶媒を加えて、該溶媒、上記第一化合物および上記第二化合物を含有する反応混合物を提供する工程、(b)該反応フラスコから該芳香族溶媒の一部を蒸留する工程、および(c)該反応混合物の含水量が0.05%未満になるまで、(a)および(b)を繰り返す工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目29)
上記第二化合物は、反応フラスコに入れられ、そして(a)該反応フラスコにTHFを加えて反応混合物を作製し、(b)該反応フラスコから該THFの一部を蒸留し、そして(c)該反応混合物の含水量が0.05%未満になるまで、(a)および(b)を繰り返すことにより、乾燥される、項目1に記載の方法。
(項目30)
上記反応混合物の含水量が0.2%以下になるまで、(a)および(b)を繰り返す工程をさらに包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記第二化合物は、以下の工程:(a)該第二化合物を有機溶媒と混合して、溶液を形成する工程;(b)該有機溶媒の一部を除去して、乾燥した第二化合物を提供する工程;(c)必要に応じて、(a)および(b)をさらに1回以上繰り返す工程;ならびに(d)真空下にて加熱することにより、該乾燥した第二化合物をさらに乾燥する工程、により乾燥される、項目1に記載の方法。
(項目32)
上記第一化合物は、上記塩基の上記ナトリウム塩またはカリウム塩の存在下にて、30〜360分間の時間にわたって、上記第二化合物と反応される、項目1に記載の方法。
(項目33)
上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を含有する上記反応生成物と水とを混合して、クエンチした反応混合物を提供する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目34)
上記クエンチした反応混合物を濾過する工程およびそれを水で洗浄して集めた生成物を提供する工程をさらに包含する、項目33に記載の方法。
(項目35)
(a)上記集めた生成物をエタノールと混合して、該集めた生成物の含エタノール混合物を提供する工程;(b)該集めた生成物の該含エタノール混合物を、40℃〜78℃の温度で、10分間〜180分間の時間にわたって、加熱する工程;(c)該集めた生成物の該含エタノール混合物を、40℃未満の温度まで冷却する工程;ならびに(d)該集めた生成物の該冷却した含エタノール混合物を濾過する工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、40%未満の収率で調製される、項目1に記載の方法。
(項目37)
式IVを有する化合物と、式Vを有する化合物とを反応させて、上記第二化合物を調製する工程をさらに包含し、ここで、該式IVを有する化合物および該式Vを有する化合物が、以下の構造:
【0020】
【化6】

【0021】
を有し、ここで、変数R、R、R、RおよびR9aは、項目1で定義した値を有し、かつXは、F、Cl、BrもしくはIから選択されるハロゲン原子であるか、または酸の共役塩基である、項目1に記載の方法。
(項目38)
上記式IVを有する化合物は、式IVA:
【0022】
【化7】

【0023】
を有する化合物である、項目37に記載の方法:
(項目39)
上記式Vを有する化合物は、式VA:
【0024】
【化8】

【0025】
を有する化合物である、項目37に記載の方法。
(項目40)
上記式IVを有する化合物は、アルコール溶媒中にて、30℃〜70℃の内部温度で、45分間〜240分間の時間にわたって、上記式Vを有する化合物と反応されて、上記第二化合物を調製する、項目37に記載の方法。
(項目41)
式VIA、式VIBを有する化合物:
【0026】
【化9】

【0027】
またはそれらの混合物を還元して、式IVを有する化合物を生成する工程をさらに包含し、そして変数R、R、RおよびRは、項目1で定義した値を有する、項目37に記載の方法。
(項目42)
および水素化触媒を使用して、式VIAを有する化合物、式VIBを有する化合物、またはそれらの混合物を還元する、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記水素化触媒は、炭素担持パラジウムを含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記式VIAを有する化合物は、式VICもしくは式VIDを有する化合物であるか、そして/または上記式VIBを有する化合物は、式VIEもしくは式VIFを有する化合物である、項目41に記載の方法:
【0028】
【化10】

【0029】

(項目45)
およびRは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択される、項目44に記載の方法。
(項目46)
およびRは、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される、項目45に記載の方法。
(項目47)
またはRのうちの一方は、N−アルキルピペラジニル基である、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記式VIC、式VID、式VIEまたは式VIFを有する化合物が、式VIGまたは式VIH:
【0030】
【化11】

【0031】
を有する化合物であるように、RまたはRのうちの一方は、N−メチルピペラジニル基である、項目47に記載の方法。
(項目49)
上記式IVを有する化合物を提供するように還元される化合物は、上記式VIHを有する化合物である、項目48に記載の方法。
(項目50)
式VIIを有する化合物と、式HRを有する化合物またはそれらの塩とを反応させて、式VIA:
【0032】
【化12】

【0033】
を有する化合物を調製する工程をさらに包含し、ここで、変数R、R、RおよびRは、項目1で定義した値を有し、かつYは、ClまたはFから選択される、
項目41に記載の方法。
(項目51)
上記式VIIを有する化合物は、式VIIAまたはVIIB:
【0034】
【化13】

【0035】
を有する化合物である、項目50に記載の方法。
(項目52)
は、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基である、項目50に記載の方法。
(項目53)
は、N−アルキルピペラジニル基である、項目52に記載の方法。
(項目54)
は、N−メチルピペラジニル基であり、そしてHRは、式HR(a):
【0036】
【化14】

【0037】
を有する化合物である、項目52に記載の方法。
(項目55)
上記式VIIを有する化合物および上記式HRを有する化合物は、70℃〜120℃の温度で、2時間〜24時間の時間にわたって反応されて、上記式VIAを有する化合物を調製する、項目52に記載の方法。
(項目56)
上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIA:
【0038】
【化15】

【0039】
を有する化合物、該式IIIAを有する化合物の互変異性体、該式IIIAを有する化合物の塩、または該式IIIAを有する化合物の互変異性体の塩であり、そしてRは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基である、項目1に記載の方法。
(項目57)
が、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、該置換もしくは非置換のヘテロシクリル基は、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される、項目56に記載の方法。
(項目58)
は、置換もしくは非置換のN−アルキルピペラジニル基である、項目57に記載の方法。
(項目59)
上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIB:
【0040】
【化16】

【0041】
を有する化合物、該式IIIBを有する化合物の互変異性体、該式IIIBを有する化合物の塩、または該式IIIBを有する化合物の互変異性体の塩である、項目1に記載の方法。
(項目60)
上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物と乳酸とを反応させて、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の乳酸塩を提供する工程をさらに包含する、項目59に記載の方法。
(項目61)
上記乳酸および上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、水およびエタノールの混合物中で反応される、項目60に記載の方法。
(項目62)
式IIIを有するベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物を含有する組成物であって、ここで該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式III:
【0042】
【化17】

【0043】
を有する化合物であり、ここで:
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR10基、−NR1112基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基から選択され;
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR13基、−NR1415基、−SR16基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
10およびR13は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
11およびR14は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;
12およびR15は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
16は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;さらに、ここで、
該組成物中のリチウムの量は、該組成物中の該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の重量を基準にして、1重量%未満である、
組成物。
(項目63)
上記組成物中のリチウムの量は、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.5重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目64)
上記組成物中のリチウムの量が、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.1重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目65)
上記組成物中のリチウムの量が、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.05重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目66)
上記組成物中のリチウムの量が、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.01重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目67)
上記組成物中のリチウムの量が、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.005重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目68)
上記組成物中のリチウムの量が、該組成物中の上記ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、該ベンゾイミダゾリル化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.001重量%未満である、項目62に記載の組成物。
(項目69)
リチウムが、上記組成物中に存在していない、項目62に記載の組成物。
(項目70)
上記式IIIを有するベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIB:
【0044】
【化18】

【0045】
を有する化合物である、項目62、64または67のいずれか1項に記載の組成物。
(項目71)
上記組成物は、上記式IIIBを有する化合物の乳酸塩を含有する、項目70に記載の組成物。
【0046】
(発明の要旨)
本発明は、キノリノン化合物(例えば、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物)を合成する方法を提供する。本発明は、さらに、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、およびリチウムの量を減らした処方、およびリチウム塩の使用を必要とせず、リチウム塩を含まないこのような化合物および処方を合成する方法を提供する。
【0047】
1局面では、本発明は、置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を合成する方法、およびこのような化合物を含有する組成物を提供する。この方法は、適切な溶媒中で、塩基のカリウム塩またはナトリウム塩の存在下にて、式Iを有する第一化合物と式IIを有する第二化合物とを反応させる工程を包含する。第一化合物と第二化合物との反応により、置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物が生成する。いくつかの実施形態では、この方法は、適切な溶媒中で、塩基のカリウム塩の存在下にて、第一化合物と第二化合物とを反応させる工程を包含する。式Iおよび式IIは、以下の構造:
【0048】
【化19】

【0049】
を有し、ここで、
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR10基、−NR1112基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基から選択され;
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR13基、−NR1415基、−SR16基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
Zは、−OR9a基または−NR9b9c基から選択され;
9aは、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基であり、かつZが−NR9b9c基であるなら、R9aは存在せず;
9bおよびR9cは、別個に、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基から選択されるか、またはZが−OR9a基であるなら、両方とも、存在せず;
10およびR13は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
11およびR14は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;
12およびR15は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
16は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIを有する化合物またはその化合物の互変異性体である。式IIIは、以下の構造:
【0051】
【化20】

【0052】
を有する。
【0053】
ここで、R〜RおよびR10〜R16は、上で記述した値を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物またはその化合物の互変異性体と乳酸とを反応させる工程を包含し、ここで、この4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物または互変異性体の乳酸塩が得られる。
【0055】
本発明のさらに他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から、明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(発明の詳細な説明)
本発明は、アミノ置換キノリノン化合物を合成する方法を提供する。このような化合物は、レセプタチロシンキナーゼのアンタゴニストとして、さらに特定すると、PDGFRαおよびPDGFRβ、bFGFおよび/またはVEGF−RTK機能の阻害剤として、作用する。このような化合物はまた、他のチロシンキナーゼに関連して、また、種々のセリン/スレオニンキナーゼに関連して、強力な活性を有する。本明細書中で提供した化合物は、医薬処方に処方でき、これらは、例えば、特に、毛細血管増殖を減らす組成物および方法および癌の治療で使用するために、VEGF−RTKの阻害剤を必要としている患者を治療する際に有用である。アミノ置換キノリノン化合物を合成する方法により、リチウムの量を減らした処方および化合物を合成することが可能となる。
【0057】
本願全体を通じて、以下の略語および定義を使用する。
【0058】
「bFGF」は、塩基性線維芽細胞増殖因子を意味する略語である。
【0059】
「bFGFR」はまた、FGFR1とも呼ばれ、線維芽細胞増殖因子FGFと相互作用するチロシンキナーゼを意味する略語である。
【0060】
「PDGF」は、血小板由来増殖因子を意味する略語である。PDGFは、チロシンキナーゼPDGFRαおよびPDGFRβと相互作用する。
【0061】
「RTK」は、レセプタチロシンキナーゼを意味する略語である。
【0062】
「VEGF」は、血管内皮増殖因子を意味する略語である。
【0063】
「VEGF−RTK」は、血管内皮増殖因子レセプタチロシンキナーゼを意味する略語である。
【0064】
一般に、水素またはHのような特定の元素の言及は、その元素の全ての同位体を含むことを意味する。例えば、もしR基が水素またはHを含むように定義されるなら、それはまた、重水素および三重水素を含む。
【0065】
「非置換アルキル」との語句は、ヘテロ原子を含有しないアルキル基を意味する。それゆえ、この語句は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなど)を含む。この語句はまた、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体を含み、これには、例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:−CH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH、−C(CH、−C(CHCH、−CHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CHCH(CHCH、−CHC(CH、−CHC(CHCH、−CH(CH)CH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CH、−CHCHCH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CHCH、−CHCHC(CH、−CHCHC(CHCH、−CH(CH)CHCH(CH、−CH(CH)CH(CH)CH(CH、−CH(CHCH)CH(CH)CH(CH)(CHCH)および他のもの。この語句はまた、環状アルキル基(例えば、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル))を含み、このような環は、上で定義した直鎖および分枝アルキル基で置換されている。この語句はまた、多環式アルキル基(例えば、アダマンチル、ノルボルニル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルがあるが、これらに限定されない)を含み、このような環は、上で定義した直鎖および分枝鎖アルキル基で置換されている。それゆえ、非置換アルキル基との語句は、第一級アルキル基、第二級アルキル基および第三級アルキル基を含む。非置換アルキル基は、その親化合物中の1個またはそれ以上の炭素原子、酸素原子、窒素原子および/またはイオウ原子に結合され得る。好ましい非置換アルキル基には、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基および環状アルキル基が挙げられる。さらに好ましいこのような非置換アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有するもの、さらにより好ましくは、このような基は、1個〜5個の炭素原子を有する。最も好ましい非置換アルキル基には、1個〜3個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基が挙げられ、これには、メチル、エチル、プロピルおよび−CH(CHが挙げられる。
【0066】
「置換アルキル」との語句は、炭素または水素との1個またはそれ以上の結合を非水素原子または非炭素原子(以下のようなものが挙げられるが、それらに限定されない)との結合で置き換えた非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する:ハライド内のハロゲン原子(例えば、F、Cl、BrおよびI);水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびエステル基のような基内の酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基およびスルホキシド基のような基内のイオウ原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミドおよびエナミンのような基内の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基およびトリアリールシリル基のような基内のケイ素原子;および種々の他の基内の他のヘテロ原子。置換アルキル基には、また、炭素原子または水素原子との1個またはそれ以上の結合を以下のようなヘテロ原子との結合で置き換えた基が挙げられる:カルボニル基、カルボキシル基およびエステル基内の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルのような基内の窒素。好ましい置換アルキル基には、とりわけ、炭素原子または水素原子との1個またはそれ以上の結合をフッ素原子との1個またはそれ以上の結合で置き換えたアルキル基が挙げられる。置換アルキル基の一例には、トリフルオロメチル基、およびトリフルオロメチル基を含有する他のアルキル基がある。他のアルキル基には、炭素原子または水素原子との1個またはそれ以上の結合を酸素原子との結合で置き換えた置換アルキル基が水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロシクリルオキシ基を含有するようにしたものが挙げられる。さらに他のアルキル基には、以下を有するアルキル基が挙げられる:アミン基、アルキルアミン基、ジアルキルアミン基、アリールアミン基、(アルキル)(アリール)アミン基、ジアリールアミン基、ヘテロシクリルアミン基、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン基、(アリール)(ヘテロシクリル)アミン基またはジヘテロシクリルアミン基。
【0067】
「非置換アリール」との語句は、ヘテロ原子を含有しないアリール基を意味する。それゆえ、この語句には、一例として、フェニル、ビフェニル、アントラセニルおよびナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。「非置換アリール」との語句は、ナフタレンのような縮合環を含有する基を含むが、それは、トリルのようなアリール基が本明細書中では下記の置換アリール基と見なされるように、その環メンバーの1個に結合したアルキル基またはハロ基のような他の基を有するアリール基を含まない。好ましい非置換アリール基は、フェニルである。いくつかの実施形態では、非置換アリール基は、6個〜14個の炭素原子を有する。非置換アリール基は、その親化合物中の1個またはそれ以上の炭素原子、酸素原子、窒素原子および/またはイオウ原子に結合され得る。
【0068】
「置換アリール基」との語句は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有していた意味と同じ意味をアリール基に関して有する。しかしながら、置換アリール基はまた、その芳香族炭素の1個が上記非炭素原子または非水素原子の1個に結合したアリール基を含み、また、そのアリール基の1個またはそれ以上の芳香族炭素が本明細書中で定義した置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基に結合したアリール基も含む。これは、アリール基の2個の炭素原子がアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の2個の原子に結合して縮合環系(例えば、ジヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)を規定する結合配列を含む。それゆえ、「置換アリール」との語句には、特に、トリルおよびヒドロキシフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
「非置換アルケニル」との語句は、2個の炭素原子間に少なくとも1個の二重結合が存在していること以外は上で定義した非置換アルキル基に関して記述したものような直鎖基および分枝鎖基および環状基を意味する。例には、特に、ビニル、−CH=C(H)(CH)、−CH=C(CH、−C(CH)=C(H)、−C(CH)=C(H)(CH)、−C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非置換アルケニル基は、2個〜8個の炭素原子を有する。
【0070】
「置換アルケニル」との語句は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有していた意味と同じ意味を非置換アルケニル基に関して有する。置換アルケニル基には、他の炭素に二重結合した炭素に非炭素原子または非水素原子が結合したアルケニル基であって、これらの非炭素原子または非水素原子の1個が他の炭素への二重結合に関与していない炭素に結合したものが挙げられる。
【0071】
「非置換アルキニル」とは、2個の炭素原子間に少なくとも1個の三重結合が存在していること以外は上で定義した非置換アルキル基に関して記述したものような直鎖基および分枝鎖基を意味する。例には、特に、−C≡C(H)、−C≡C(CH)、−C≡C(CHCH)、−C(H)C≡C(H)、−C(H)C≡C(CH)および−C(H)C≡C(CHCH)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非置換アルキニル基は、2個〜8個の炭素原子を有する。
【0072】
「置換アルキニル」との語句は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有していた意味と同じ意味を非置換アルキニル基に関して有する。置換アルキニル基には、他の炭素に三重結合した炭素に非炭素原子または非水素原子が結合したアルキニル基であって、これらの非炭素原子または非水素原子が他の炭素への三重結合に関与していない炭素に結合したものが挙げられる。
【0073】
「非置換ヘテロシクリル」との語句は、3個またはそれ以上の環メンバーを含有しその1個またはそれ以上がヘテロ原子(これには、N、OおよびSがあるが、これらに限定されない)である単環式、二環式および多環式の環化合物を含めた芳香環化合物および非芳香環化合物の両方(例えば、キヌクリジニルがあるが、これに限定されない)を意味する。「非置換ヘテロシクリル」との語句には、縮合複素環(例えば、ベンゾイミダゾリル)が含まれるが、それは、2−メチルベンゾイミダゾリルのような化合物が置換ヘテロシクリル基であるように、その環メンバーの1個に結合したアルキル基またはハロ基のような他の基を有するヘテロシクリル基を含まない。ヘテロシクリル基の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1個〜4個の窒素原子を含有する不飽和3員〜8員環(例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ジヒドロピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリルなど)、テトラゾリル、(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなど)があるが、これらに限定されない);1個〜4個の窒素原子を含有する飽和3員〜8員環(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルがあるが、これらに限定されない);1個〜4個の窒素原子を含有する縮合不飽和複素環基(例えば、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルがあるが、これらに限定されない);1個〜2個の酸素原子および1個〜3個の窒素原子を含有する不飽和3員〜8員環(例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、.1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルなど)があるが、これらに限定されない);1個〜2個の酸素原子および1個〜3個の窒素原子を含有する飽和3員〜8員環(例えば、モルホリニルがあるが、これに限定されない);1個〜2個の酸素原子および1個〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾキサジニル(例えば、2H−1,4−ベンゾキサジニルなど);1個〜3個のイオウ原子および1個〜3個の窒素原子を含有する不飽和3員〜8員環(例えば、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルなど)があるが、これらに限定されない);1個〜2個のイオウ原子および1個〜3個の窒素原子を含有する飽和3員〜8員環(例えば、チアゾロジニルがあるが、これに限定されない);1個〜2個のイオウ原子を含有する飽和および不飽和3員〜8員環(例えば、チエニル、ジヒドロジチイニル、ジヒドロジチオニル、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピランがあるが、これらに限定されない);1個〜2個のイオウ原子および1個〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアジニル(例えば、2H−1,4−ベンゾチアジニルなど)、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば、2H−3,4−ジヒドロベンゾチアジニルなど)があるが、これらに限定されない);酸素原子を含有する不飽和3員〜8員環(例えば、フリルがあるが、これに限定されない);1個〜2個の酸素原子を含有する不飽和縮合複素環(例えば、ベンゾジオキソリル(例えば、1,3−ベンゾジオキソリルなど)があるが、これに限定されない);酸素原子および1個〜2個のイオウ原子を含有する不飽和3員〜8員環(例えば、ジヒドロオキサチイニルがあるが、これに限定されない);1個〜2個の酸素原子および1個〜2個のイオウ原子を含有する飽和3員〜8員環(例えば、1,4−オキサチアン);1個〜2個のイオウ原子を含有する不飽和縮合環(例えば、ベンゾチエニル、ベンゾジチイニル);および酸素原子および1個〜2個のイオウ原子を含有する不飽和縮合複素環(例えば、ベンゾキサチイニル)。ヘテロシクリル基には、また、その環内の1個またはそれ以上のS原子が1個または2個の酸素原子に二重結合した上記のもの(例えば、スルホキシドおよびスルホン)が挙げられる。例えば、ヘテロシクリル基には、テトラヒドロチオフェンオキシドおよびテトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基は、5個または6個の環メンバーを含有する。さらに好ましいヘテロシクリル基には、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、チオフェン、チオモルホリン、チオモルホリンのS原子が1個またはそれ以上のO原子に結合したチオモルホリン、ピロール、ホモピペラジン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、オキサゾール、キヌクリジン、チアゾール、イソオキサゾール、フランおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0074】
「置換ヘテロシクリル」との語句は、その環メンバーの1個が非水素原子(例えば、置換アルキル基および置換アリール基に関して上で記述したもの)に結合した非置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)を意味する。例には、特に、2−メチルベンゾイミダゾリル、5−メチルベンゾイミダゾリル、5−クロロベンズチアゾリル、N−アルキルピペラジニル基(例えば、1−メチルピペラジニル、ピペラジン−N−オキシド、N−アルキルピペラジンN−オキシド、2−フェノキシ−チオフェン)および2−クロロピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。それに加えて、置換ヘテロシクリル基には、また、その非水素原子への結合が、置換および非置換アリール、置換および非置換アラルキル、または非置換ヘテロシクリル基の一部である炭素原子への結合であるヘテロシクリル基が挙げられる。例には、1−ベンジルピペリジニル、3−フェニルチオモルホリニル、3−(ピロリジン−1−イル)−ピロリジニルおよび4−(ピペリジン−1−イル)−ピペリジニルが挙げられる。N−アルキル置換ピペラジン基(例えば、N−メチルピペラジン)、置換モルホリン基、およびピペラジンN−オキシド基(例えば、ピペラジンN−オキシドおよびN−アルキルピペラジンN−オキシド)のような基は、いくつかの置換ヘテロシクリル基の例である。置換ピペラジン基(例えば、N−アルキル置換ピペラジン基(例えば、N−メチルピペラジンなど))、置換モルホリン基、ピペラジンN−オキシド基、およびN−アルキルピペラジンN−オキシド基のような基は、R基またはR基として特に適したいくつかの置換ヘテロシクリル基の例である。
【0075】
「非置換ヘテロシクリルアルキル」との語句は、非置換アルキル基の水素結合または炭素結合をヘテロシクリル基(これは、上で定義した)への結合で置き換えた非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する。例えば、メチル(−CH)は、非置換アルキル基である。もし、メチル基の水素原子をヘテロシクリル基への結合で置き換えたなら、例えば、もし、メチルの炭素がピリジンの炭素2(ピリジンのNに結合した炭素のうちの1個)もしくはピリジンの炭素3または4に結合しているなら、その化合物は、非置換ヘテロシクリルアルキル基である。
【0076】
「置換ヘテロシクリルアルキル」との語句は、置換アラルキル基が非置換アラルキル基に関して有していた意味と同じ意味を非置換ヘテロシクリルアルキル基に関して有する。しかしながら、置換ヘテロシクリルアルキル基には、また、ヘテロシクリルアルキル基のヘテロシクリル基内のヘテロ原子(これには、例えば、ピペリジニルアルキル基のピペリジン環内の窒素原子があるが、これに限定されない)に非水素原子が結合した基が挙げられる。それに加えて、置換ヘテロシクリルアルキル基には、また、その基のアルキル部分の炭素結合または水素結合を置換および非置換アリールまたは置換および非置換アラルキル基への結合で置き換えた基が挙げられる。例には、フェニル−(ピペリジン−1−イル)−メチルおよびフェニル−(モルホリン−4−イル)−メチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
「非置換アルコキシ」との語句は、水素原子への結合を他の非置換アルキル基(これは、上で定義した)の炭素原子への結合で置き換えたヒドロキシル基(−OH)を意味する。
【0078】
「置換アルコキシ」との語句は、水素原子への結合を他の置換アルキル基(これは、上で定義した)の炭素原子への結合で置き換えたヒドロキシル基(−OH)を意味する。
【0079】
「非置換ヘテロシクリルオキシ」との語句は、水素原子への結合を他の非置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)の環原子への結合で置き換えたヒドロキシル基(−OH)を意味する。
【0080】
「置換ヘテロシクリルオキシ」との語句は、水素原子への結合を他の置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)の環原子への結合で置き換えたヒドロキシル基(−OH)を意味する。
【0081】
「非置換アリールオキシアルキル」との語句は、炭素結合または水素結合を非置換アリール基(これは、上で定義した)に結合した酸素原子への結合で置き換えた非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する。
【0082】
「置換アリールオキシアルキル」との語句は、アリールオキシアルキル基のアルキル基の炭素基または水素基への結合が置換アルキル基に関して上で記述した非炭素原子および非水素原子に結合された非置換アリールオキシアルキル基(これは、上で定義した)、すなわち、アリールオキシアルキル基のアリール基が置換アリール基(これは、上で定義した)であるものを意味する。
【0083】
「非置換ヘテロシクリルオキシアルキル」との語句は、炭素結合または水素結合を非置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)に結合した酸素原子への結合で置き換えた非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する。
【0084】
「置換ヘテロシクリルオキシアルキル」との語句は、ヘテロシクリルオキシアルキル基のアルキル基の炭素基または水素基への結合が置換アルキル基に関して上で記述した非炭素原子および非水素原子に結合された非置換ヘテロシクリルオキシアルキル基(これは、上で定義した)、すなわち、ヘテロシクリルオキシアルキル基のヘテロシクリル基が置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)であるものを意味する。
【0085】
「非置換ヘテロシクリルアルコキシ」との語句は、炭素結合または水素結合を親化合物に結合した酸素原子への結合で置き換え、非置換アルキル基(これは、上で定義した)の他の炭素結合または水素結合が非置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)に結合された非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する。
【0086】
「置換ヘテロシクリルアルコキシ」との語句は、ヘテロシクリルアルコキシ基のアルキル基の炭素基または水素基への結合が置換アルキル基に関して上で記述した非炭素原子および非水素原子に結合された非置換ヘテロシクリルアルコキシ基(これは、上で定義した)、すなわち、ヘテロシクリルオキシアルキル基のヘテロシクリル基が置換ヘテロシクリル基(これは、上で定義した)であるものを意味する。さらに、置換ヘテロシクリルアルコキシ基には、また、その基のアルキル部分への炭素結合または水素結合が1個またはそれ以上の追加の置換および非置換複素環で置換され得る基が挙げられる。例には、ピリド−2−イルモルホリン−4−イルメチルおよび2−ピリド−3−イル−2−モルホリン−4−イルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
「非置換アルコキシアルキル」との語句は、炭素結合または水素結合を非置換アルキル基(これは、上で定義した)に結合した酸素原子への結合で置き換えた非置換アルキル基(これは、上で定義した)を意味する。
【0088】
「置換アルコキシアルキル」との語句は、アルコキシアルキル基のアルキル基および/またはアルコキシ基の炭素基または水素基への結合が置換アルキル基に関して上で記述した非炭素原子および非水素原子に結合された非置換アルコキシアルキル基(これは、上で定義した)を意味する。
【0089】
水酸基、アミン基およびスルフヒドリル基に関連した「保護」との用語は、これらの官能基を当業者に公知の保護基(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.,John Wiley & Sons,New York,NY,(3版、1999)で示されたものであって、これらは、本明細書中で示した手順を使用して、付加または除去できる)で望ましくない反応から保護した形状を意味する。保護水酸基の例には、シリルエーテル(例えば、水酸基と試薬(例えば、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシランがあるが、これらに限定されない)との反応により得られるもの);置換メチルおよびエチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルがあるが、これらに限定されない);エステル(例えば、ギ酸ベンゾイル、ギ酸エステル、酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステルおよびトリフルオロ酢酸エステルがあるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。保護アミン基の例には、アミド(例えば、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミドおよびベンズアミド);イミド(例えば、フタルイミドおよびジチオスクシンイミド)などが挙げられるが、これらに限定されない。保護スルフヒドリル基には、チオエーテル(例えば、S−ベンジルチオエーテルおよびS−4−ピコリルチオエーテル);置換S−メチル誘導体(例えば、ヘミチオ、ジチオおよびアミノチオアセタール)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
「薬学的に受容可能な塩」には、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸または塩基性または酸性アミノ酸との塩が挙げられる。無機塩基の塩として、本発明は、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム);アルカリ土類金属(例えば、カルシウムおよびマグネシウムまたはアルミニウム);およびアンモニアを包含する。有機塩基の塩として、本発明は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを包含する。無機酸の塩として、本発明は、例えば、塩酸、ホウ化水素酸、硝酸、硫酸およびリン酸を包含する。有機酸の塩として、本発明は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸を包含する。塩基性アミノ酸の塩として、本発明は、例えば、アルギニン、リジンおよびオルニチンを包含する。酸性アミノ酸の塩として、本発明は、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸を包含する。
【0091】
一般に、本発明は、ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物(例えば、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物)を合成する方法を提供する。本発明は、さらに、アミノ置換ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、およびリチウムの量を減らした処方、このような化合物および組成物を合成する方法を提供する。
【0092】
1局面では、本発明は、置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を合成する方法、およびこのような化合物を含有する組成物を提供する。この方法は、適切な溶媒中で、塩基のナトリウム塩またはカリウム塩の存在下にて、式Iを有する第一化合物と式IIを有する第二化合物とを反応させる工程を包含する。この方法は、適切な溶媒中で、塩基のカリウム塩の存在下にて、第一化合物と第二化合物とを反応させる工程を包含する。第一化合物と第二化合物との反応により、置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物が生成する。いくつかの実施形態では、式Iおよび式IIは、以下の構造:
【0093】
【化21】

【0094】
を有し、ここで、
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR10基、−NR1112基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基から選択され;
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR13基、−NR1415基、−SR16基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
Zは、−OR9a基または−NR9b9c基から選択され;
9aは、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基であり、かつZが−NR9b9c基であるなら、R9aは存在せず;
9bおよびR9cは、別個に、1個〜8個の炭素原子を有する非置換アルキル基から選択されるか、またはZが−OR9a基であるなら、両方とも、存在せず;
10およびR13は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
11およびR14は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;
12およびR15は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
16は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIを有する化合物、式IIIを有する化合物の互変異性体、式IIIを有する化合物の塩、または式IIIを有する化合物の互変異性体の塩である。式IIIは、以下の構造:
【0096】
【化22】

【0097】
を有し、ここで、R〜RおよびR10〜R16は、上で記述した値を有する。
【0098】
この方法のいくつかの実施形態では、Rは、H、Cl、Br、FまたはIから選択される。いくつかのこのような実施形態では、Rは、Fである。いくつかの特定の実施形態では、第一化合物が式IAを有する化合物であるように、Rは、Fであり、そしてR、RおよびRの各々は、Hであり、ここで式IAは、以下の構造:
【0099】
【化23】

【0100】
を有する。
【0101】
他の実施形態では、RまたはRの少なくとも1個は、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基である。いくつかのこのような実施形態では、RまたはRの一方は、ヘテロシクリル基であり、そしてRまたはRの他方は、Hである。いくつかの実施形態では、RまたはRの一方は、ヘテロシクリル基であり、これは、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される。いくつかのこのような実施形態では、RまたはRの一方は、N−アルキルピペラジニル基(例えば、N−メチルピペラジニル基など)であり、いくつかのこのような実施形態では、RまたはRの他方は、Hである。他のこのような実施形態では、Zは、−OR9a基である。従って、いくつかの実施形態では、第二化合物は、式IIAまたは式IIBを有する化合物であり、そして以下の構造:
【0102】
【化24】

【0103】
のうちの1つを有し、ここで、R、RおよびR9aは、式IIを有する化合物について上で記述した値を有する。
【0104】
いくつかのさらに他の実施形態では、第二化合物は、式IIAまたは式IIBを有する化合物であり、そしてRおよびRの両方は、第二化合物が式IICまたは式IIDを有し、かつ以下の構造:
【0105】
【化25】

【0106】
のうちの1つを有するように、Hである。
【0107】
この方法のいくつかの実施形態では、R9a、R9bおよびR9cは、直鎖アルキル基(これは、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基から選択される)または分枝鎖アルキル基(これは、i−プロピル、s−ブチルまたはt−ブチル基から選択される)である。いくつかの実施形態では、R9a、R9bまたはR9cは、メチル、エチルまたはプロピル基であり、さらに他の実施形態では、R9a、R9bまたはR9cは、エチル基である。
【0108】
この方法のいくつかの実施形態では、この方法は、溶媒(例えば、ジアルキルエーテル(例えば、ジエチルエーテルなどがあるが、これに限定されない);環状エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどがあるが、これらに限定されない);芳香族溶媒(例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、それらの混合物など);またはこれらの溶媒の組み合わせ)中で、第一化合物と第二化合物とを反応させる工程を包含する。他の適切な溶媒には、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF(N,N−ジメチルホルムアミドなど)が挙げられる。いくつかのこのような実施形態では、この溶媒は、テトラヒドロフランである。他の実施形態では、この溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態では、第一化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、約0.10Mより高いかもしくは約0.10Mであり、または約0.15Mより高いかもしくは約0.15Mである。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.10M〜0.30Mの範囲である。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.15M〜0.25Mの範囲である。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.17M〜0.22Mの範囲である。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、約0.19Mである。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物および/または第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.15M〜0.50Mの範囲である。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物および/または第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.20M〜0.45Mの範囲である。いくつかのこのような実施形態では、第一化合物および/または第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.25M〜0.45Mの範囲である。いくつかの実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.10Mより高い。他のこのような実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、約0.15Mより高いのに対して、他の実施形態では、第二化合物の濃度は、約0.20Mより高い。いくつかの実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.15M〜0.30Mの範囲である。いくつかの実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.18M〜0.26Mの範囲である。いくつかの実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、0.20M〜0.24Mの範囲である。いくつかの実施形態では、第二化合物の濃度は、第一化合物と第二化合物とが反応されるときの溶媒の量を基準にして、約0.22Mである。いくつかの実施形態では、この溶媒は、この反応で使用される前に、乾燥される。いくつかのこのような実施形態では、この反応の溶媒は、0.5重量パーセント未満の水、0.25重量パーセント未満の水、0.1重量パーセント未満の水、または0.05重量パーセント未満の水を含有する。さらに他のこのような実施形態では、この溶媒は、重量基準で、0.01パーセント未満の水、または0.005パーセント未満の水を含有する。いくつかの実施形態では、この溶媒は、この反応で使用される前に、乾燥される。いくつかの実施形態では、この溶媒および第二化合物の混合物は、この塩基のナトリウム塩またはカリウム塩を加える前に、乾燥される。いくつかのこのような実施形態では、この溶媒および第二化合物の混合物は、0.5パーセント未満の水、0.25パーセント未満の水、0.2パーセント未満の水、0.1パーセント未満の水、または0.05パーセント未満の水(これは、カールフィッシャー分析で決定され得る)を含有する。
【0109】
この方法のいくつかの実施形態では、この方法は、いくつかの実施形態では、立体的な障害のある塩基であり得る、エノラートアニオンを発生するのに使用され得る塩基のナトリウムまたはカリウム塩を使用して、適切な溶媒中で、第一化合物と第二化合物とを反応させる工程を包含する。本明細書中で使用する「塩基」との用語は、それと反応するときに他の化合物を脱プロトン化する化学化合物を意味する。いくつかのこのような実施形態では、エノラートアニオンを発生するのに使用され得る塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、例えば、NaH、KH、NaCO、KCO、ナトリウムおよびカリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムおよびカリウムt−ブトキシド、プロポキシド、i−プロポキシド、エトキシド、メトキシドなどがあるが、これらに限定されない)、ナトリウムアミド(NaNH)、カリウムアミド(KNH)などのような塩基である。いくつかの実施形態では、この塩基は、ナトリウムまたはカリウムt−ブトキシドであり、いくつかのこのような実施形態では、この塩基は、THFのような溶媒中のカリウムt−ブトキシドである。これらの実施形態のいくつかでは、この塩基は、カリウムt−ブトキシド(THFで20%)である。いくつかの実施形態では、立体的な障害のある塩基は、アミドアニオンであり、いくつかのこのような実施形態では、そのアミド窒素は、2個のトリアルキルシリル基に結合されている。いくつかのこのような実施形態では、この塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、ナトリウムまたはカリウムビス(トリアルキルシリル)アミドから選択される。いくつかのこのような実施形態では、このナトリウムまたはカリウムビス(トリアルキルシリル)アミドは、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)またはカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS)である。いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、適切な溶媒中にて、この塩基のナトリウムまたはカリウム塩を、第一化合物および第二化合物の混合物に加える工程を包含する。いくつかの実施形態では、この塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、第一化合物に関して、2〜4当量の量で存在しており、いくつかのこのような実施形態では、2.5〜3当量の量で存在している。さらに他の実施形態では、この塩基のナトリウムまたはカリウム塩は、第二化合物に関して、2〜4当量の量で存在しており、いくつかのこのような実施形態では、2.5〜3当量の量で存在している。いくつかの実施形態では、第二化合物は、第一化合物に関して、1〜2当量の量で存在している。いくつかのこのような実施形態では、第二化合物は、第一化合物に関して、1〜1.5当量の量で存在している。
【0110】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾールキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、この方法は、この塩基のカリウム塩を、20℃〜50℃の温度で、第一化合物、第二化合物および適切な溶媒を含有する混合物に加える工程を包含する。いくつかのこのような実施形態では、この塩基のカリウム塩は、この混合物に加えられ、その混合物の温度は、その塩基のカリウム塩を最初に混合物に加えるとき、25℃〜45℃、35℃〜45℃、または38℃〜42℃である。いくつかの実施形態では、その内部温度は、この塩基のカリウム塩を最初に混合物に加えるとき、40℃または約40℃である。この内部温度は、一般に、この塩基のカリウム塩を反応混合物に加えると、62℃または65℃まで高まる。しかしながら、いくつかの実施形態では、この内部温度は、この塩基のカリウム塩の添加中にて、30℃〜52℃、36℃〜52℃で維持されるか、またはいくつかの実施形態では、38℃〜50℃で維持される。いくつかのこのような実施形態では、この塩基のカリウム塩は、2〜20分間の時間にわたって、この混合物に加えられる。いくつかのこのような実施形態では、この塩基のカリウム塩は、3〜10分間の時間にわたって、この混合物に加えられ、いくつかのこのような実施形態では、この塩基のカリウム塩は、5〜10分間分間の時間にわたって、いくつかの実施形態では、5分間にわたって、この混合物に加えられる。
【0111】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾールキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、この方法は、この塩基のナトリウム塩またはカリウム塩を、15℃〜50℃の温度で、第一化合物、第二化合物および適切な溶媒を含有する混合物に加える工程を包含する。いくつかのこのような実施形態では、この塩基のカリウム塩は、この混合物に加えられ、その混合物の温度は、その塩基のカリウム塩を最初に混合物に加えるとき、15℃〜25℃、15℃〜20℃、または17℃〜20℃である。いくつかの実施形態では、その内部温度は、この塩基のカリウム塩を最初に混合物に加えるとき、17℃〜20℃である。いくつかの実施形態では、この内部温度は、この塩基のカリウム塩の添加中にて、約25℃以下で維持される。いくつかのこのような実施形態では、その反応の内部温度は、30℃まで上げられ、この反応は、完結について、HPLCを使用してモニターされる。
【0112】
いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、(a)反応フラスコに芳香族溶媒(例えば、トルエン)を加えて、第一化合物および第二化合物を含有する反応混合物を提供する工程;(b)反応フラスコから芳香族溶媒の少なくとも一部を蒸留する工程、および(c)その含水量が0.1パーセント、0.05、0.04パーセント、または0.03パーセント未満になるまで(これは、カールフィッシャー分析を使用して、決定され得る)、(a)および(b)を繰り返す工程を包含する。いくつかの実施形態では、この蒸留は、減圧下にて、行われ得る。いくつかの実施形態では、第二化合物は、(a)該第二化合物を適切な有機溶媒(例えば、THF、トルエン、エタノールなど)と混合して、溶液を形成する工程;(b)溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第二化合物を濃縮する工程;(c)必要に応じて、(a)および(b)をさらに1回またはそれ以上繰り返す工程により、乾燥される。いくつかのこのような実施形態では、(a)および(b)は、この溶媒の含水量が0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.20%未満、0.10%未満、0.05%未満、または0.03%未満になるまで(これは、カールフィッシャー分析により、決定され得る)、繰り返される。いくつかの実施形態では、工程(a)および(b)は、少なくとも4回、遂行される。いくつかの実施形態では、第二化合物は、反応容器中にて乾燥され得、所望程度の乾燥(例えば、0.25%未満または0.20%未満の含水量)に達したとき、第一化合物と、この塩基のカリウム塩またはナトリウム塩とは、この反応容器に加えられる。このような実施形態では、溶媒(例えば、第一化合物と第二化合物との反応で使用するのに適切なもの)は、第二化合物を乾燥するのに使用され得る。このような溶媒には、含エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、THFなど)および芳香族溶媒(例えば、トルエン)が挙げられる。
【0113】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、この方法は、第二化合物を第一化合物と反応させるかそれを反応容器(これは、第一化合物または適切な溶媒を含む)に加える前に、それを5.5重量パーセント未満の含水量まで乾燥する工程を包含する。いくつかのこのような実施形態では、第二化合物は、5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2.5重量パーセント未満、2重量パーセント未満、1重量パーセント未満、または0.5重量パーセント未満の含水量まで乾燥される。いくつかのこのような実施形態では、第二化合物は、水和した第二化合物を有機溶媒(例えば、THF、トルエンまたはエタノール)で混合して溶液を形成し、溶媒の除去によりその溶液を濃縮し、そして得られた組成物を加熱しつつ真空下にて乾燥することにより、乾燥され得る。いくつかのこのような実施形態では、第二化合物は、以下の工程により、乾燥される:(a)水和した第二化合物を有機溶媒(例えば、THF、トルエンまたはエタノール)と混合して、溶液を形成する工程;(b)この溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第二化合物を濃縮する工程;(c)必要に応じて、工程(a)および(b)をさらに1回またはそれ以上繰り返す工程;次いで、(d)得られた組成物を、真空下にて、加熱しつつ、乾燥する工程。
【0114】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、この方法は、この塩基のナトリウム塩またはカリウム塩の存在下にて、30分間〜360分間、120分間〜300分間、180〜300分間、180分間〜270分間、210分間〜270分間、または210分間〜240分間の範囲の時間にわたって、所望のベンゾイミダゾリルキノリノン化合物を提供するのに適切な温度で、第一化合物と第二化合物とを反応させる工程を包含する。いくつかの実施形態では、第一化合物と第二化合物との反応により生成された置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の反応生成物混合物は、この反応生成物混合物を水に注ぐことにより、クエンチされる。他の実施形態では、水は、この反応生成物混合物に加えられ、それは、いくつかの実施形態では、水を加える前に、20℃〜35℃または20℃〜35℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態では、溶媒は、水を加えた後に、真空下にて除去され得、次いで、濾過により固形物を集める前に、追加の水が加えられる。クエンチされた反応生成物混合物は、典型的には、濾過され、そして水で洗浄されて、この4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物が提供され、いくつかの実施形態では、クエンチされた反応生成物は、濾過前に、5℃〜10℃の温度まで冷却され得るが、これは、必要ではない。いくつかの実施形態では、集めた生成物は、真空乾燥され得、30パーセントより高い収率、40パーセントより高い収率、50パーセントより高い収率、60パーセントより高い収率、70パーセントより高い収率、または80パーセントより高い収率の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物が生成する。この方法のいくつかの実施形態は、さらに、以下の工程を包含する:(a)集めた生成物をエタノールと混合する工程;(b)その含エタノール混合物を、10分間〜180分間、または30分間〜120分間、または約60分間の時間にわたって、40℃〜78℃、または45℃〜78℃、または60℃〜78℃、または乾留温度で、加熱する工程;(c)この混合物を、40℃未満、35℃未満、30℃未満、または20℃未満の温度まで冷却する工程;(d)および冷却した混合物を濾過する工程。しかしながら、この混合物を濾過前に冷却する必要はない。いくつかのこのような実施形態では、濾過した生成物は、溶媒(例えば、エタノールまたは水)で洗浄され得る。得られた生成物は、加熱しつつ、例えば、真空オーブン、乾燥ピストル、ロータリーエバポレーターなどにて、真空乾燥され得る。
【0115】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、この方法は、式IVを有する化合物と式Vを有する化合物とを反応させて、第二化合物を提供する工程を包含し、ここで、変数R、R、R、RおよびR9aは、式IIを有する第二化合物に関して上で示した値を有し、そしてXは、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、BrまたはI)であるか、または酸の共役塩基である。
【0116】
【化26】

【0117】
いくつかのこのような実施形態では、式IVを有する化合物は、式IVA:
【0118】
【化27】

【0119】
を有する。
【0120】
いくつかのこのような実施形態では、式Vを有する化合物は、式VA:
【0121】
【化28】

【0122】
を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、式IVを有する化合物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、エタノールがあるが、これに限定されない))中にて、30℃〜70℃、35℃〜60℃、または40℃〜50℃の内部温度で、45分間〜240分間、60分間〜180分間、または60分間〜120分間の時間にわたって、式Vを有する化合物と反応される。いくつかの実施形態では、式IVを有する化合物と式Vを有する化合物との反応から得られた反応生成物は、例えば、25℃などまで冷却され、そして濾過される。他の実施形態では、この反応生成物は、濾過材(例えば、セライト)で濾過されるとき、依然として温かい。いくつかの実施形態では、この濾過材は、溶媒(例えば、エタノール)で洗浄され得、その濾液は、溶媒の除去により、濃縮され得る。次いで、濃縮した生成物は、HCl水溶液、いくつかの実施形態では、0.37パーセントHCl溶液、他の実施形態では、1M HCl溶液と混合され得る。次いで、沈殿物が形成されるように、塩基(例えば、NaOH(例えば、30%NaOH溶液))が一度にまたは徐々に加えられ得る。いくつかの実施形態では、この反応生成物は、水、いくつかの実施形態では、脱イオン水(これは、pHに関して、中性である)と混合または溶解され得る。このような実施形態では、得られた混合物は、典型的には、約0℃まで冷却され、次いで、塩基(例えば、NaOH)を加えることにより、塩基性にされ得る。いくつかのこのような実施形態では、そのpHは、20%NaOHを加えることにより、約9.2にされる。いくつかの実施形態では、得られた混合物は、約1〜5時間、例えば、4時間などにわたって、撹拌され、次いで、濾過され、水で洗浄され、そして真空オーブンなどで乾燥される。
【0124】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、式VIA、式VIBを有する化合物、またはそれらの混合物は、典型的には、以下で記述するように触媒的に、Hで還元されて、式IVを有する化合物を生成し、ここで、変数R、R、RおよびRは、式IIを有する第二化合物に関して上で示した値を有する。
【0125】
【化29】

【0126】
いくつかのこのような実施形態では、式VIAを有する化合物は、式VICまたは式VIDを有する化合物であるか、および/または式VIBを有する化合物は、式VIEまたは式VIFを有する化合物である。いくつかのこのような実施形態では、RまたはRは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、これは、いくつかの実施形態では、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される。いくつかのこのような実施形態では、RまたはRの一方は、式VIC、式VID、式VIEおよび式VIFを有する化合物が式VIGまたは式VIHを有するように、N−アルキルピペラジニル基(例えば、N−メチルピペラジニル基)である。
【0127】
【化30】

【0128】
【化31】

【0129】
いくつかの実施形態では、Hで還元された化合物は、式VIHを有する化合物である。他の実施形態では、Hで還元された化合物は、式VIGを有する化合物である。いくつかの実施形態では、式VIA、式VIBを有する化合物、またはそれらの混合物は、アルコール溶媒(例えば、エタノール)中にて、遷移金属水素化触媒(例えば、炭素担持パラジウム(Pd/C))を使用して、Hで還元される。いくつかの実施形態では、このPd/Cは、5パーセントPd/Cであり、いくつかの実施形態では、このPd/Cは、重量基準で、50パーセントの水を有する5パーセントPd/Cである。いくつかの実施形態では、その反応は、25℃〜70℃、30℃〜60℃、またはいくつかの実施形態では、40℃〜55℃または45℃〜55℃の内部温度で、1〜12時間、3〜10時間、4〜8時間、または6時間の時間にわたって、行われる。いくつかの実施形態では、還元された式IVを有する化合物は、同じ反応容器中にて、さらに精製することなく、式Vを有する化合物と直接反応される。
【0130】
置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物およびこのような化合物を含む組成物を合成する方法のいくつかの実施形態では、式VIIを有する化合物は、式HRを有する化合物またはそれらの塩と反応されて、式VIAを有する化合物を生成し、ここで、変数R、RおよびRは、式IIを有する第二化合物に関して上で示した値を有し、そしてYは、ClまたはFから選択される。
【0131】
【化32】

【0132】
いくつかのこのような実施形態では、式VIIを有する化合物は、式VIIAまたは式VIIBを有する化合物である。いくつかのこのような実施形態では、Rは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、これは、いくつかの実施形態では、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される。いくつかのこのような実施形態では、Rは、HRが以下で示した式HR(a)を有するように、N−アルキルピペラジニル基(例えば、N−メチルピペラジニル基)である。
【0133】
【化33】

【0134】
いくつかの実施形態では、式VIIを有する化合物は、70℃〜120℃または80℃〜110℃、または85℃〜105℃、または100℃の温度で、2時間〜24時間、4時間〜12時間、または6時間〜10時間の時間にわたって、式HRを有する化合物(例えば、N−メチルピペラジン)と反応される。式HRを有する化合物と式VIIを有する化合物との反応では、種々の適切な溶媒(例えば、エタノールがあるが、これに限定されない)が使用され得る。その反応物に溶媒(例えば、エタノール)を加えると、この反応物の固化を防止するのに役立つ。いくつかの実施形態では、この方法のいずれかの反応は、HPLCで追跡され、そして出発物質が任意の感知できる量ではもはや存在しないと認められるまでの時間にわたって、行われる。
【0135】
いくつかの実施形態では、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIAを有する化合物、式IIIAを有する化合物の互変異性体、式IIIAを有する化合物の塩、または式IIIAを有する化合物の互変異性体の塩であり、そしてRは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基である。
【0136】
【化34】

【0137】
いくつかのこのような実施形態では、Rは、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基であり、これは、置換もしくは非置換のピペリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基から選択される。いくつかのこのような実施形態では、Rは、置換もしくは非置換のN−アルキルピペラジニル基(例えば、N−メチルピペラジニル基、N−エチルピペラジニル基またはN−プロピルピペラジニル基)である。
【0138】
いくつかの実施形態では、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIBを有する化合物、式IIIBを有する化合物の互変異性体、式IIIBを有する化合物の塩、または式IIIBを有する化合物の互変異性体の塩である。
【0139】
【化35】

【0140】
いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、この置換もしくは非置換の4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物またはその化合物の互変異性体と乳酸とを反応させる工程を包含し、ここで、この4−アミノ−3−ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物または互変異性体の乳酸塩が得られる。いくつかのこのような実施形態では、式IIIBを有する化合物またはそれらの互変異性体は、乳酸と反応されて、この化合物または互変異性体の乳酸塩を生成する。いくつかのこのような実施形態では、この化合物または互変異性体は、水およびエタノール中にて、D,L−乳酸と反応され、そのモノ乳酸塩は、結晶性固形物として、生成される。
【0141】
第一化合物と第二化合物との反応において、リチウム塩(例えば、LiHMDS)ではなく、塩基のナトリウム塩またはカリウム塩(例えば、NaHMDS、KHMDS、ナトリウムt−ブトキシドまたはカリウムt−ブトキシドがあるが、これらに限定されない)を使用すると、リチウムの量を減らした組成物(これは、いくつかの実施形態では、リチウムを全く含有し得ない)を生成する方法が得られる。さらに、カリウムt−ブトキシドのような塩基を使用すると、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の収率が高くなる。結果的に、いくつかの実施形態では、本発明は、式IIIを有するベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物を含有する組成物を提供し、ここで、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIを有する化合物である:
【0142】
【化36】

【0143】
ここで:
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR10基、−NR1112基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基から選択され;
、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、H、Cl、Br、F、I、−OR13基、−NR1415基、−SR16基、置換もしくは非置換の第一級、第二級もしくは第三級アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
10およびR13は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロシクリル基、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは非置換のアリールオキシアルキル基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルオキシアルキル基から選択され;
11およびR14は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;
12およびR15は、同一であっても異なっていてもよく、そして別個に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;そして
16は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル基から選択され;さらに、ここで、
この組成物中のリチウムの量は、該組成物中の該ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の重量を基準にして、1重量%未満である。
【0144】
本明細書中で提供した組成物のいくつかの実施形態では、その組成物中のリチウムの量は、その組成物中のこのベンゾイミダゾリルキノリノン化合物、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の塩、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の互変異性体の塩、またはそれらの混合物の重量を基準にして、0.5重量パーセント未満、0.1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、0.01重量パーセント未満、0.005重量パーセント未満、または0.001パーセント未満である。本明細書中で提供された組成物のいくつかのこのような実施形態では、リチウムは、この組成物では、全く存在していない。いくつかの実施形態では、この組成物は、このベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の重量を基準にして、1パーセント未満、0.05パーセント未満、または0.01%未満のスキーム1で示した非環化中間体を有する。
【0145】
本明細書中で提供した組成物のいくつかの実施形態では、式IIIを有するベンゾイミダゾリルキノリノン化合物は、式IIIB:
【0146】
【化37】

【0147】
を有する化合物である。
【0148】
ヘテロシクリル基を含む種々の基では、このヘテロシクリル基は、種々の様式で結合され得る。例えば、−OCH(CH(ヘテロシクリル)基(ここで、qは、0、1、2、3または4から選択される)では、このヘテロシクリル基は、種々の環員を介して、−OCH(CH(ヘテロシクリル)の−OCH(CH基のメチレン炭素に結合され得る。非限定的な例(ここで、qは、1であり、そしてヘテロシクリル基は、テトラヒドロフランである)として、この基は、式−OCHCH(テトラヒドロフラニル)で表わすことができ、これは、以下の2つの構造:
【0149】
【化38】

【0150】
に相当し、ここで、構造VIIIは、−OCHCH(2−テトラヒドロフラニル)基と呼ぶことができる基を表わし、そして構造IXは、−OCHCH(3−テトラヒドロフラニル)基と呼ぶことができる基を表わす。このヘテロシクリル基がN−含有複素環(例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンまたはピロリジンがあるが、これらに限定されない)である場合、この複素環は、このN−含有複素環内の環炭素原子または窒素原子を介して、そのメチレン炭素に結合できる。これらの両方が好ましい。−OCH(CH(ヘテロシクリル)基について、このヘテロシクリル基がピペリジンであり、そしてqが2である場合、以下の構造が可能であり、好ましい:
【0151】
【化39】

【0152】

【0153】
構造Xは、−O(CH(N−ピペリジニル)または−O(CH(1−ピペリジニル)基の一例である。構造XIは、−O(CH−(2−ピペリジニル)基の一例である。構造XIIは、−O(CH(3−ピペリジニル)基の一例である。構造XIIIは、−O(CH(4−ピペリジニル)基の一例である。−OCH(CH(ヘテロシクリル)基について、このヘテロシクリル基がピペラジンであり、そしてqが1である場合、以下の構造が可能であり、好ましい:
【0154】
【化40】

【0155】

【0156】
構造XIVは、−O(CH(2−ピペラジニル)基の一例であり、そして構造XVは、−O(CH(1−ピペラジニル)または−O(CH(N−ピペラジニル)基の一例である。−OCH(CH(ヘテロシクリル)基について、このヘテロシクリル基がモルホリンであり、そしてqが1である場合、以下の構造が可能であり、好ましい:
【0157】
【化41】

【0158】

【0159】
構造XVIは、−O(CH(3−モルホリニル)基の一例であり、構造XVIIは、−O(CH(4−モルホリニル)または−O(CH(N−モルホリニル)基の一例であり、そして構造XVIIIは、−O(CH(2−モルホリニル)基の一例である。この基がピロリジンであり、そしてqが1である場合、利用可能な構造には、−O(CH(1−ピロリジニル)または−O(CH(N−ピロリジニル)、−O(CH(2−ピロリジニル)、および−O(CH(3−ピロリジニル)が挙げられることが認められる。
【0160】
スキーム1は、ベンゾイミダゾリルキノリノン化合物の1化合物を合成する1つの代表的な合成経路を描写しているが、これは、いずれの様式でも、本発明を限定するとは解釈されない。以下で示すように、第一化合物と第二化合物との反応は、非環化中間体を経由して進行すると考えられている。しかしながら、これは、いずれの様式でも、本発明を限定しないと理解される。式IIIを有する得られた化合物(これは、この中間体を環化すると生成する)のカリウム塩は、溶解度が低いことが分かり、その結果、その反応物から、生成物の沈殿物が生じる。これは、KHMDSのようなカリウム塩ではなくLiHMDSのようなリチウム塩を使用したときには沈殿が認められないことを考えると、驚くべき予想外のことであった。リチウム塩ではなくカリウム塩を使用すると、特に、カリウムアルコキシド(例えば、カリウムt−ブトキシド)のような塩基を使用するとき、スキーム1で示すように、式IIIを有する化合物(例えば、式IIIBを有する化合物)が非常に高い収率で得られる。第一化合物と第二化合物との反応により、また、この反応を含水量が低い溶媒および反応物を使って行ったとき、式IIIを有する化合物が著しく高い収率で得られることが分かった。例えば、この収率は、第二化合物を本明細書中で記述したように(例えば、無水エタノールとの共沸蒸発により、または反応容器中にて、THFを繰り返し加え、続いて、蒸留することにより)乾燥したとき、著しく改善されることが分かった。式VIを有する化合物(例えば、式VIHを有する化合物(これは、N−アルキルピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン)と式VIIを有する化合物との反応により、生成される))の収率は、その温度を低くして式HRを有する化合物の量を式VIを有する化合物に関して増やしたとき、高くなった。規模を拡大している間、この反応の温度を低くし、その反応物は、エタノールで希釈された。例えば、この反応が90℃〜100℃の温度で行われ、式HRを有する化合物(例えば、N−メチルピペラジン)が、式VIを有する化合物(例えば、5−クロロ−2−ニトロアニリン)の量に関して、2.5当量より多い量で存在していたとき、良好な収率が得られた。いくつかのこのような実施形態では、式HRを有する化合物は、式VIを有する化合物の量に関して、2.8当量より多い量、2.9当量より多い量、3.0当量より多い量、または2.5〜5当量の量で、存在している。
【0161】
(スキーム1)
【0162】
【化42】

【0163】
スキーム2は、式VAを有する化合物を合成する方法を描写しており、そして本発明の方法の一般的な適用を示す。当業者は、置換もしくは非置換のジアミノベンゼンおよび置換もしくは非置換のアントラニロニトリルを選択することによって、式IIIを有する多種多様な化合物を合成することが可能であることを理解する。当業者はまた、特定の基が最終環化反応のために標準的な保護基を使用して保護する必要があることを理解する。これらの極めて汎用性のある合成経路によって、式IIIを有する多くの化合物を、非常に収束性で効率的な合成経路で容易に調製することが可能となる。
【0164】
(スキーム2)
【0165】
【化43】

【0166】
このように一般的に記述された本発明は、以下の実施例(これらは、例として提供されており、本発明を限定するとは解釈されない)を参照することにより、さらに容易に理解される。以下の文献の内容(文献中の実施例を含めて)は、それが本明細書中で十分に示されているごとく、全ての目的のために、それらの全体として、本明細書中で参考として援用されている。米国特許第6,605,617号;米国特許公開第2004/0092535号(これは、2003年8月19日に出願された);米国仮特許出願第60/405,729号(これは、2002年8月23日に出願された);米国仮特許出願第60/426,107号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/426,226号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/426,282号(これは、2002年11月13日に出願された);米国仮特許出願第60/428,210号(これは、2002年11月21日に出願された);米国仮特許出願第60/460,327号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第 号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第60/460,493号(これは、2003年4月3日に出願された);米国仮特許出願第60/478,916号(これは、2003年6月16日に出願された);および米国仮特許出願第60/484,048号(これは、2003年7月1日に出願された)、および米国仮特許出願第60/517,915号(これは、2003年11月7日に出願された)。
【実施例】
【0167】
実施例では、以下の略語を使用する:
EtOH:エタノール
O:水
HCl:塩酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
KHMDS:カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaOH:水酸化ナトリウム
:窒素
TBME:t−ブチルメチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
実施例化合物の命名法は、Advanced Chemistry Development,Inc.から入手できるACD Nameバージョン5.07ソフトフェア(2001年11月14日)、Chemlnnovation Software,Inc.から入手できるCheminnovation NamExpert+Nomenclator(商標)ブライドソフトウェア、およびChemOffice(登録商標)Ultraソフトウェアパッケージバージョン7.0(これは、CambridgeSoft Corporation(Cambridge,MA)から入手できる)で入手できるAutoNomバージョン2.2を使用して、提供した。化合物および出発物質の一部は、標準的なIUPAC命名法を使用して、命名した。
【0168】
種々の出発物質は、業者から得られ、また、当業者に公知の方法により調製され得る。
【0169】
(実施例1)
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンの合成
手順A
【0170】
【化44】

【0171】
5−クロロ−2−ニトロアニリン(500g、2.898mol)および1−メチルピペラジン(871g、8.693mol)を2000mLフラスコ(これには、冷却器を取り付けた)に入れ、そしてNでパージした。このフラスコを、100℃で、油浴に入れ、そしてHPLCで決定したとき5−クロロ−2−ニトロアニリンが完全に反応するまで(典型的には、一晩)、加熱した。HPLCにより5−クロロ−2−ニトロアニリンの消失を確認した後、その反応混合物を、機械撹拌しつつ、室温の水2500mLに直接注いだ(依然として、温かい)。得られた混合物を、室温に達するまで撹拌し、次いで、濾過した。そのようにして得た黄色固形物を水1000mLに加え、そして30分間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた固形物をTBME(500mL、2×)で洗浄し、次いで、ラバーダムを使用して、1時間真空乾燥した。得られた固形物を乾燥トレイに移し、そして真空オーブン中にて、50℃で、一定重量になるまで乾燥して、黄色粉末として、670g(97.8%)の表題化合物を得た。
【0172】
(手順B)
四ッ口5000mL丸底フラスコ(これには、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、ガス入口、滴下漏斗および温度計プローブを取り付けた)に、5−クロロ−2−ニトロアニリン(308.2g、1.79mol)を加えた。次いで、このフラスコをNでパージした。この反応フラスコに、撹拌しつつ、1−メチルピペラジン(758.1g、840mL、7.57mol)および200プルーフ(proof)エタノール(508mL)を加えた。このフラスコをNで再度パージし、その反応物をN下にて維持した。このフラスコを、加熱マントルにて、97℃(+/−5℃)の内部温度まで加熱し、そしてHPLCで決定したとき反応が完結するまで(典型的には、約40時間)、その温度で維持した。この反応が完結した後、加熱を停止し、その反応物を、撹拌しつつ、約20℃〜25℃の内部温度まで冷却し、そして2〜3時間撹拌した。沈殿が既に起こっていなければ、その反応混合物に、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンの種結晶(0.20g、0.85mmol)を加えた。撹拌している反応混合物に、内部温度を約20℃〜30℃の範囲の温度で維持しつつ、約1時間にわたって、水(2,450mL)を加えた。水の添加が完了した後、得られた混合物を、20℃〜30℃の温度で、約1時間撹拌した。次いで、得られた混合物を濾過し、このフラスコおよび濾過ケーキを、水(3×2.56L)で洗浄した。その山吹色固形生成物を、真空下にて、約50℃で、真空オーブン中にて、416g(収率98.6%)の一定重量まで乾燥した。
【0173】
(手順C)
四ッ口12L丸底フラスコ(これには、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、ガス入口、滴下漏斗および温度計プローブを取り付けた)に、5−クロロ−2−ニトロアニリン(401g、2.32mol)を加えた。次いで、このフラスコをNでパージした。この反応フラスコに、撹拌しつつ、1−メチルピペラジン(977g、1.08L、9.75mol)および100%エタノール(650mL)を加えた。このフラスコをNで再度パージし、その反応物をN下にて維持した。このフラスコを、加熱マントルにて、97℃(+/−5℃)の内部温度まで加熱し、そしてHPLCで決定したとき反応が完結するまで(典型的には、約40時間)、その温度で維持した。この反応が完結した後、加熱を停止し、その反応物を、撹拌しつつ、約80℃の内部温度まで冷却し、内部温度を82℃(+/−3℃)で維持しつつ、その混合物に、滴下漏斗を経由して、1時間にわたって、水(3.15L)を加えた。水の添加が完了した後、加熱を停止し、その反応混合物を、4時間以上にわたって、20〜25℃の内部温度まで冷却した。次いで、この反応混合物を、20〜30℃の内部温度で、さらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合物を濾過し、このフラスコおよび濾過ケーキを、水(1×1L)、50%エタノール(1×1L)および95%エタノール(1×1L)で洗浄した。その山吹色固形生成物を乾燥パンに入れ、そして真空下にて、約50℃で、真空オーブン中にて、546g(収率99%)の一定重量まで乾燥した。
【0174】
(実施例2)
[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステルの合成
【0175】
【化45】

【0176】
(手順A)
5000mLの四ッ口フラスコに、攪拌機、温度計、冷却器およびガス入口/出口を取り付けた。装備したフラスコに、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリン265.7g(1.12mol.1.0当量)および200プルーフEtOH(2125mL)を充填した。得られた溶液を、15分間にわたって、Nでパージした。次に、5%Pd/C(50%HO w/w)20.0gを加えた。その反応物を、この混合物にHを泡立たせつつ、40〜50℃(内部温度)で、激しく撹拌した。この反応を、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンの消失について、HPLCで毎時間モニターした。典型的な反応時間は、6時間であった。
【0177】
この反応物から全ての5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンが消失した後、その溶液を、15分間にわたって、Nでパージした。次に、固形物として、3−エトキシ−3−イミノプロパン酸エチル塩酸塩440.0g(2.25mol)を加えた。その反応物を、40〜50℃(内部温度)で、この反応が完結するまで、撹拌した。この反応は、このジアミノ化合物の消失をHPLCで追跡することにより、モニターした。典型的な反応時間は、1〜2時間であった。この反応が完結した後、それを室温まで冷却し、そしてセライト濾過材のパッドで濾過した。このセライト濾過材を無水EtOH(2×250mL)で洗浄し、その濾液を減圧下にて濃縮して、濃厚な褐色/橙色油状物を得た。得られた油状物を、0.37%HCl溶液850mLに吸収させた。次いで、固形NaOH(25g)を一度に加えると、沈殿が形成された。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで、濾過した。その固形物をHO(2×400mL)で洗浄し、そして50℃で、真空オーブン中にて、乾燥して、淡黄色粉末として、251.7g(74.1%)の[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステルを得た。
【0178】
(手順B)
5000mLのジャケット付き四ッ口フラスコに、機械攪拌機、冷却器、温度計プローブ、ガス入口およびオイルバブラーを取り付けた。装備したフラスコに、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリン300g(1.27mol)および200プルーフEtOH(2400mL)を充填した(この反応は、95%エタノールを使って行い得、行い、この反応には、200プルーフEtOHを使用する必要はない)。得られた溶液を撹拌し、そして15分間にわたって、Nでパージした。次に、この反応フラスコに、5%Pd/C(50%HO w/w)22.7gを加えた。反応容器を、15分間にわたって、Nでパージした。Nでパージした後、反応容器を、フラスコを通ってHのゆっくりではあるが一定の流れを維持することにより、Hでパージした。その反応物を、この混合物にHを泡立たせつつ、45〜55℃(内部温度)で、HPLCで決定したとき5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンが完全に消費されるまで、撹拌した。典型的な反応時間は、6時間であった。
【0179】
この反応物から全ての5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−ニトロアニリンが消失した後、その溶液を、15分間にわたって、Nでパージした。このジアミン中間体は、空気に感受性であるので、空気に晒さないように注意した。その反応混合物に、約30分間にわたって、3−エトキシ−3−イミノプロパン酸エチル塩酸塩500g(2.56mol)を加えた。この反応物を、45〜55℃(内部温度)で、N下にて、HPLCで決定したときジアミンが完全に消費されるまで、撹拌した。典型的な反応時間は、約2時間であった。この反応が完結した後、その反応物を、温めつつ、セライトのパッドで濾過した。次いで、この反応フラスコおよびセライトを、200プルーフEtOH(3×285mL)で洗浄した。その濾液を、5000mLのフラスコ中にて、合わせた。真空下にて、約3300mLのエタノールを除去すると、橙色油状物が生成した。得られた油状物に、水(530mL)、次いで、1M HCl(350mL)を加え、得られた混合物を撹拌した。得られた溶液を激しく撹拌し、この間、そのpHを9と10の間に維持しつつ内部温度を約25〜30℃で維持して、約20分間にわたって、30%NaOH(200mL)を加えた。内部温度を約20〜25℃で維持しつつ、得られた懸濁液を約4時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、その濾過ケーキをHO(3×300mL)で洗浄した。集めた固形物を、50℃で、真空下にて、真空オーブン中で、一定重量まで乾燥して、淡黄色粉末として、345.9g(90.1%)の[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステルを得た。代替ワークアップ手順にて、これらの濾液を合わせ、そして真空下にて、少なくとも約90%が除去されるまで、エタノールを除去した。次いで、得られた油状物に、中性pHで、水を加え、その溶液を、約0℃まで冷却した。次いで、急速に撹拌しつつ、20%NaOH水溶液をゆっくりと加えて、そのpHを9.2までにした(pHメーターで読み取り)。次いで、得られた混合物を濾過し、そして上記のように乾燥した。代替ワークアップ手順により、97%程度の高い収率で、淡黄褐色から淡黄色の生成物が得られた。
【0180】
(実施例3)
([6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステルの含水量を減らす方法)
[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステル(120.7グラム)(これは、予めワークアップし、そして約8〜9%のHOの含水量まで乾燥した)を2000mL丸底フラスコに入れ、そして無水エタノール(500mL)に溶解した。その琥珀色溶液を、全ての溶媒が除去されるまで、加熱しつつ、ロータリーエバポレーターを使用して、濃厚油状物に濃縮した。この手順を、さらに2回繰り返した。そのように得た濃厚油状物をこのフラスコに残し、そして真空オーブンに入れて、50℃で、一晩加熱した。カールフィッシャー分析結果により、5.25%の含水量が明らかとなった。この方法により得られた低い含水量により、実施例4の手順において、高い収率が得られた。この乾燥工程には、エタノールに代えて、トルエンおよびTHFのような他の溶媒が使用され得る。
【0181】
(実施例4)
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの合成
(手順A)
【0182】
【化46】

【0183】
[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステル(250g、820mmol)(これは、上記のようにして、エタノールで乾燥した)を、5000mLのフラスコ(これには、冷却器、機械攪拌機、温度計プローブを取り付けた)中にて、THF(3800mL)に溶解し、そしてアルゴンでパージした。その溶液に、2−アミノ−6−フルオロ−ベンゾニトリル(95.3g、700mmol)を加え、内部温度を40℃まで上げた。全ての固形物が溶解して溶液の温度が40℃に達した後、5分間にわたって、固形KHMDS(376.2g、1890mmol)を加えた。このカリウム塩基の添加が完了した後、不均一黄色溶液が得られ、内部温度を62℃まで上げた。60分後、内部温度を40℃まで下げ、その反応は、HPLCにより、完結したと判明した(出発物質または非環化中間体は、存在しなかった)。次いで、濃厚反応混合物をHO(6000mL)に注ぐことによりクエンチし、得られた混合物を、室温に達するまで、撹拌した。次いで、この混合物を濾過し、濾過パッドを水(1000mL 2×)で洗浄した。山吹色固形物を乾燥トレイに入れ、そして真空オーブン中にて、50℃で、一晩乾燥して、155.3g(47.9%)の所望の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンを得た。
【0184】
(手順B)
5000mLのジャケット付き四ッ口フラスコ(これには、蒸留装置、温度計プローブ、Nガス入口、滴下漏斗および機械攪拌機を備え付けた)。この反応器に、[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステル(173.0g、570mmol)を充填し、そして15分間にわたって、Nをパージした。次いで、このフラスコに、撹拌しつつ、乾燥THF(2600mL)を充填した。全ての固形物が溶解した後、必要なら加熱して、蒸留により溶媒を除去した(真空または大気圧(温度を高くすると、水の除去を促進する))。溶媒1000mLを除去した後、蒸留を停止し、その反応物をNでパージした。次いで、反応容器に、乾燥THF(1000mL)を加え、全ての固形物が溶解したとき、さらに1000mLの溶媒が除去されるまで、蒸留(真空または大気圧)を再度行った。乾燥THFを加えて溶媒を除去するというこの工程を少なくとも4回繰り返し(最初の3回の蒸留では、溶媒の40%しか除去されなかったのに、4回目の蒸留では、溶媒の60%が除去された)、その後、カールフィッシャー分析のために、試料1mLを取り出して、含水量を決定した。もし、この分析により、この試料が0.20%未満の水を含有していたなら、次の段落のように、反応を継続した。しかしながら、もし、この分析により、0.20%より多い水が明らかとなったなら、0.20%未満の含水量に達するまで、上記乾燥工程を継続した。
【0185】
先の段落で記述した手順を使用して、約0.20%以下の含水量に達した後、蒸留装置を還流冷却器に取り替え、その反応物に、2−アミノ−6−フルオロ−ベンゾニトリル(66.2g、470mmol)(いくつかの手順では、0.95当量を使用する)を充填した。次いで、この反応物を、38〜42℃の内部温度まで加熱した。内部温度が38〜42℃に達した後、添加中に内部温度を約38〜50℃で維持しつつ、この反応物に、滴下漏斗を経由して、5分間にわたって、KHMDS溶液(1313g、1.32mol、THF中で20%KHMDS)を加えた。このカリウム塩基の添加が完了したとき、この反応物を、内部温度を38〜42℃で維持しつつ、3.5〜4.5時間撹拌した(いくつかの例では、30〜60分間撹拌し、その反応は、この時間内に完結し得る)。次いで、この反応物の試料を取り出し、そしてHPLCで分析した。もし、この反応が完結していなかったなら、このフラスコに、5分間にわたって、KHMDS溶液を追加し、その反応物を、38〜42℃で、45〜60分間撹拌した(追加したKHMDS溶液の量は、以下のように決定した:もし、IPC比が<3.50であるなら、125mLを加えた;もし、10.0≧IPC比≧3.50であるなら、56mLを加えた;もし、20.0≧IPC比≧10.0であるなら、30mLを加えた。このIPC比は、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン)に相当する面積を非環化中間体に相当する面積で割った値に等しい)。一旦、この反応が完結すると(IPC比>20)、反応器を25〜30℃の内部温度まで冷却し、内部温度を25〜35℃で維持しつつ、反応器に、15分間にわたって、水(350mL)を充填した(1つの代案では、この反応は、40℃で行い、5分間以内に水を加える。より急速なクエンチにより、長時間にわたって形成される不純物の量が減る)。次いで、還流冷却器を蒸留装置に取り替え、そして必要なら加熱して、蒸留(真空または大気圧)により、溶媒を除去した。1500mLの溶媒を除去した後、蒸留を停止し、その反応物をNでパージした。次いで、内部温度を20〜30℃で維持しつつ、この反応フラスコに、水(1660mL)を加えた。次いで、その反応混合物を、20〜30℃で、30分間撹拌した後、5〜10℃の内部温度まで冷却し、次いで、1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、このフラスコおよび濾過ケーキを水(3×650mL)で洗浄した。そのように得られた固形物を、真空下にて、50℃で、真空オーブン中にて一定重量まで乾燥して、黄色粉末として、103.9g(収率42.6%)の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンを得た。
【0186】
(手順C)
【0187】
【化47】

【0188】
12Lの四ッ口フラスコ(これには、加熱マントルを設置し、そして冷却器、機械攪拌機、ガス入口および温度計プローブを取り付けた)に、[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−酢酸エチルエステル(608g、2.01mol)(乾燥した)および2−アミノ−6−フルオロ−ベンゾニトリル(274g、2.01mol)を充填した。この反応容器をNでパージし、そして撹拌しつつ、その反応混合物に、トルエン(7.7L)を充填した。反応容器を再度Nでパージし、そしてN下にて維持した。この混合物の内部温度を、63℃(+/−3℃)の温度に達するまで、上げた。この混合物の内部温度を63℃(+/−3℃)で維持し、その間、減圧下にて(380+/−10torr、蒸留ヘッドt=40℃(+/−10℃))、フラスコから、約2.6Lのトルエンを蒸留した(カールフィッシャー分析を使用して、この混合物中の含水量を調べた。もし、この含水量が0.03%より高いなら、2.6Lのトルエンを追加し、そして蒸留を繰り返した。0.03%未満の含水量に達するまで、この工程を繰り返した)。0.03%未満の含水量に達した後、加熱を停止し、その反応物を、N下にて、17〜19℃の内部温度まで冷却した。次いで、この反応物に、N下にて、その反応物の内部温度が20℃未満で保たれる速度で、THF中のカリウムt−ブトキシド(THF中で20%;3.39kg、6.04モルのカリウムt−ブトキシド)を加えた。このカリウムt−ブトキシドの添加が完了した後、その反応物を、20℃未満の内部温度で、30分間撹拌した。次いで、温度を25℃まで上げ、この反応物を、少なくとも1時間撹拌した。次いで、温度を30℃まで上げ、その反応物を、少なくとも30分間撹拌した。この反応は、完結について、出発物質の消費を調べるHPLCを使用して、モニターした(典型的には、2〜3時間で、両方の出発物質が消費された(%HPLCにより、0.5面積%未満))。もし、この反応が2時間後に完結しなかったなら、カリウムt−ブトキシド0.05当量を一度に追加し、HPLCにより反応が完結したことを示されるまで、この工程を繰り返した。この反応が完結した後、撹拌した反応混合物に、水650mLを加えた。次いで、その反応物を50℃の内部温度まで温め、この反応混合物から、減圧下にて、THFを蒸留した(約3Lの容量)。次いで、滴下漏斗を使用して、この反応混合物に、水(2.6L)を滴下して加えた。次いで、その混合物を室温まで冷却し、そして少なくとも1時間撹拌した。次いで、この混合物を濾過し、濾過ケーキを、水(1.2L)、70%エタノール(1.2L)および95%エタノール(1.2L)で洗浄した。山吹色固形物を乾燥トレイに入れ、そして真空オーブン中にて、50℃で、一定重量が得られるまで乾燥して、674g(85.4%)の所望の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンを得た。
【0189】
(実施例5)
(4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル−1H−キノリン−2−オンの精製)
3000mLの四ッ口フラスコ(これには、冷却器、温度計プローブ、Nガス入口および機械攪拌機を取り付けた)を、加熱マントルに入れた。次いで、フラスコに、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(101.0g、0.26mol)を充填し、その黄色固形物を95%エタノール(1000mL)に懸濁し、そして撹拌した。いくつかの場合、8:1の溶媒比を使用する。次いで、この懸濁液を、約1時間にわたって、撹拌しつつ、穏やかな還流状態(約76℃の温度)まで加熱した。次いで、その反応物を、還流しつつ、45〜75分間撹拌した。この時点で、フラスコから熱を除き、その懸濁液を、25〜30℃の温度まで冷却した。次いで、この懸濁液を濾過し、濾過パッドを水(2×500mL)で洗浄した。次いで、その黄色固形物を乾燥トレイに入れ、そして真空オーブン中にて、50℃で、一定重量が得られるまで(典型的には、16時間)乾燥して、黄色粉末として、97.2g(96.2%)の精製生成物を得た。
【0190】
(実施例6)
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの乳酸塩の調製
【0191】
【化48】

【0192】
3000mLの四ッ口ジャケット付きフラスコに、冷却器、温度計プローブ、Nガス入口および機械攪拌機を取り付けた。この反応容器を、少なくとも15分間にわたって、Nでパージし、次いで、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(484g、1.23mol)を充填した。D,L−乳酸(243.3g、1.72molのモノマー−以下の段落を参照のこと)、水(339mL)およびエタノール(1211mL)の溶液を調製し、次いで、この反応フラスコに充填した。中程度の速度で撹拌を開始し、その反応物を、68〜72℃の内部温度まで加熱した。この反応物の内部温度を、68〜72℃で、15〜45分間維持し、次いで、加熱を停止した。得られた混合物を、10〜20ミクロンのフリットで濾過して、12Lのフラスコに、濾液を集めた。この12Lフラスコに、内部温度ブローブ、還流冷却器、滴下漏斗、ガス入口/出口およびオーバーヘッド攪拌機を取り付けた。次いで、この濾液を、中程度の速度で撹拌し、そして還流状態まで加熱した(約78℃の内部温度)。穏やかな還流を維持しつつ、このフラスコに、約20分間にわたって、エタノール(3,596mL)を充填した。次いで、反応フラスコを、15〜25分間以内に、約64〜70℃の範囲の内部温度まで冷却し、この温度を、約30分間維持した。反応器を、結晶について調べた。もし、結晶が存在していなかったら、このフラスコに、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの乳酸塩の結晶(484mg、0.1mole%)を加え、その反応物を、64〜70℃で、30分間撹拌した後、結晶について、このフラスコを調べた。一旦、結晶が存在すると、撹拌を低速に落とし、その反応物を、64〜70℃で、さらに90分間撹拌した。次いで、この反応物を、約2時間にわたって、約0℃まで冷却し、得られた混合物を、25〜50ミクロンのフリット付きフィルターで濾過した。反応器をエタノール(484mL)で洗浄し、内部温度が約0℃になるまで、撹拌した。この冷エタノールを使用して、濾過ケークを洗浄し、この手順を、さらに2回繰り返した。集めた固形物を、50℃、真空中で、真空オーブン中にて、一定重量まで乾燥して、510.7g(85.7%)の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの結晶性黄色乳酸塩を得た。ラバーダムまたは不活性条件は、典型的には、この濾過工程中にて、使用した。乾燥固形物は、あまり吸湿性には見えないもの、この湿潤濾過ケーキは、水を捕捉して粘着性になる傾向がある。この湿潤濾過ケーキが大気に長く晒されないように、注意を払った。
【0193】
市販の乳酸は、一般に、約8〜12%w/wの水を含有し、そして単量体状乳酸に加えて、ダイマーおよびトリマーを含有する。乳酸ダイマーとモノマーとの比は、一般に、約1.0:4.7である。市販等級の乳酸は、先の段落で記述した工程において、その反応混合物からモノ乳酸塩が優先的に沈殿するので、使用され得る。
【0194】
本発明による有機化合物は、互変異性の現象を示し得ることが理解できるはずである。本明細書内の化学構造が一度に可能な互変異性形状の1つを表わし得るにすぎないので、本発明は、描写した構造のいずれの互変異性形状も包含することが理解できるはずである。
【0195】
例えば、式IIIBを有する化合物は、1つの互変異性体である互変異性体IIIBaで、以下で示される:
【0196】
【化49】

【0197】
式IIIBを有する化合物の他の互変異性体である互変異性体IIIBbおよび互変異性体IIIBcは、以下で示されている:
【0198】
【化50】

【0199】
上で引用した特許、特許出願および論文の各々の内容は、本明細書中で十分に示されているごとく、全ての目的のために、その全体として、本明細書中で参考として援用されている。
【0200】
本発明は、例示のために本明細書中で示した実施形態には限定されず、上記請求の範囲の範囲内に入るこのような全ての形態を含むことが理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2011−42687(P2011−42687A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258402(P2010−258402)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【分割の表示】特願2006−538526(P2006−538526)の分割
【原出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】