説明

キノロン中間体を調製するための水素化物還元法

抗菌性キノロン合成に有用な、環状中間体から非環状ジオール中間体を製造するための水素化物法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定のキノロン中間体の調製に関し、より具体的には、環状中間体から非環式ジオール中間物を製造するための直接水素化物方法(direct hydride process)に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なキノロン化合物の合成が、例えば、米国特許第6,329,391号:米国特許第6,803,469号;「6−フルオロ置換されていないキノロン抗菌剤:構造および活性(Non 6-Fluoro Substituted Quinolone Antibacterials:Structure and Activity)」(B.レドウサル(Ledoussal)ら、1992、『ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)』第35巻、198〜200ページ);「6−アミノキノリンの研究:6−アミノ−8−メチルキノロンの合成と抗菌性評価(Studies on 6-Aminoquinolines: Synthesis and Antibacterial Evaluation of 6-Amino-8-methylquinolones)」(V.チェケッティ(Cecchetti)ら、1996、『ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)』第39巻、436〜445ページ);「抗菌療法における新リード化合物としての6−デスフルオロ−8−メチルキノロンの可能性(Potent 6-Desfluoro-8-methylquinolones as New Lead Compounds in Antibacterial Chemotherapy)」(V.チェケッティ(Cecchetti)ら、1996、『ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)』第39巻、4952〜4957ページ)といった文献に報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
キノロン化合物(3S,5S)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸、および(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸は米国特許第6,329,391号に開示され、その全体を参照として本明細書に組み入れる。しかし、当該技術分野において、これらの抗菌化合物の調製に対する改善された方法への必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、抗菌性キノロン合成において有用な中間体を調製するための新規な水素化物還元法に関する。
【0005】
一実施形態では、本発明は式:
【0006】
【化1】

を有するキノロン中間体を調製することに関し、式中、nは1または2;XはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから成る群から選択され;並びにZはCO2XおよびCOXから成る群から選択され、式中、Xは先に定義した通りであり;
前記方法は式(II)
【0007】
【化2】

(式中、YはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから成る群から選択され;並びにX,Z,およびnは式(I)に対して先に定義した通りである)の化合物を、C1〜C4アルカノール/C2〜C6エーテルを約100/0〜約20/80の(容積/容積)比混合物中で、約−20℃〜約10℃、および約2〜約4当量の水素化ホウ素ナトリウムで反応させ;続いて約1.5〜約3.0当量のカルシウム塩を約5℃〜約15℃で添加する工程を含む。
【0008】
上記方法の別の実施形態では、XはC1〜C4アルキルである。
【0009】
上記方法の別の実施形態では、Xはメチルである。
【0010】
上記方法の別の実施形態では、Xはtert−ブチルである。
【0011】
上記方法の別の実施形態では、Xはtert−ブトキシカルボニルである。
【0012】
上記方法の別の実施形態では、カルシウム塩は塩化カルシウムである。
【0013】
上記方法の別の実施形態では、式(II)の化合物は(2S,4S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである。
【0014】
上記方法の別の実施形態では、式(II)の化合物は(2S,4R)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである。
【0015】
上記方法の別の実施形態では、式(I)の化合物は(1S,3S)−(4−ヒドロキシル−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルである:
【0016】
【化3】

【0017】
上記方法の別の実施形態では、式(I)の化合物は(1S,3R)−(4−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルである:
【0018】
【化4】

【0019】
上記方法の別の実施形態では、アルカノール溶媒はエタノールである。
【0020】
上記方法の別の実施形態では、エーテル溶媒はメチルtert−ブチルエーテルである。
【0021】
上記方法の別の実施形態では、エタノール:メチルtert−ブチルエ−テルの溶媒比(容積/容積)は33:67である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
窒素に使用される保護基には、アセチル、フェニルアセチル、およびホルミルなどのアシル基類;tert−ブトキシカルボニルまたはtert−アミルオキシカルボニルなどのカーバメート基類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
カルボキシル基に対する保護基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびn−ブチルなどのC1〜C4アルキル基類;フェニル、ナフチルなどのアリール基類;ベンジル、ジフェニルメチルなどのアリール−アルキル基類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
一般式(I)の化合物は、一般式(II)の化合物を水素化物還元反応を受けさせることによって製造されうる。
【0025】
【化5】

【0026】
式IおよびIIの化合物に対して、nは1または2であり;XはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから成る群から選択され;ZはCO2XおよびCOXから成る群から選択され、式中、Xは先に定義した通りであり;並びにYはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから成る群から選択される。
【0027】
一実施形態では、式(I)の化合物は(1S,3S)−(4−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルである:
【0028】
【化6】

【0029】
別の実施形態では、式(I)の化合物は(1S,3R)−(4−ヒドロキシル−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルである:
【0030】
【化7】

【0031】
一実施形態では、式(II)の化合物は(2S,4S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである:
【0032】
【化8】

【0033】
別の実施形態では、式(II)の化合物は(2S,4R)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである:
【0034】
【化9】

【0035】
この反応で使用できる溶媒はアルカノールであり、好ましくはC1〜C4アルカノール、またはアルカノールとエーテルとの混合物であって、好ましくはC2〜C6エーテルとの混合物である。好適なアルカノールには、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエーテルには、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、エチレングルコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、およびジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は様々な比率の混合物で使用してもよい。
【0036】
一実施形態では、アルカノール:エーテルの混合物の比率は約100:0〜約20:80(容積/容積)であってもよい。
【0037】
一実施形態では、アルカノール:エーテルの比率は33:67(容積/容積)である。
【0038】
反応に使用できる還元剤は水素化ホウ素ナトリウムであり、還元中に関与するのに好適なカルシウム塩と併用し、好ましくはこのカルシウム塩は還元剤との相互作用を介して関与する。カルシウム塩の好適性を決定するのに考慮すべき因子はその溶解度である。不適当なカルシウム塩は、反応溶媒中への溶解性があまりにも低すぎて還元中に効果的に関与できないものである。好適なカルシウム塩には塩化カルシウムおよび臭化カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
一実施形態では、使用してもよいカルシウム塩は塩化カルシウムである。
【0040】
化合物II、溶媒、および約2〜4当量の水素化ホウ素ナトリウムを、約−20℃〜約10℃で混合し、続いて約1.5〜約3.0当量のカルシウム塩を約5℃〜約15℃で添加する工程を含む。混合工程を上記よりも低い温度で実行する場合、反応の「スリープ(sleep)」現象が見られ、結果として反応剤の蓄積が生じ、そのために反応物が十分に加温された時に好ましくない度合いの発熱反応(それは「激烈」として特徴付けされる場合さえある)が発生する場合がある。このことは大量生産の場合、安全面で重大な危険を引き起こす可能性がある。上記の温度範囲内でカルシウム塩を添加すると、反応の発熱特性の制御を支援できると考えられる。混合工程が上記のものよりも高い温度で実施された場合、結果として得られる化合物はより劣った純度、特に異性体純度に関して医薬用途に恐らくは不適切を生じる可能性がある。
【0041】
反応は反応物質の1グラム当たり約10mL〜100mLで実施できる。
【0042】
反応の完結は、HPLC、TLC、およびIRといった既知の技術によって監視できるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0043】
(実施例1):(3S,5S)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸およびそのリンゴ酸塩の合成。
【0044】
A.(3S,5S)−(5−メチル−ピペリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8)の合成:
【0045】
【化10】

【0046】
(2S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステル、(2)。50−Lの反応器に化合物(1)(5.50Kg、42.60モル))、メタノール(27L)を投入し、10〜15℃に冷却する。塩化チオニル(10.11Kg、2.0当量)を外部冷却を用いて温度を30℃未満に維持しながら、滴下ロートにより65分間で添加する。得られる溶液を25℃+5℃で1.0時間攪拌し、その後減圧下でメタノールを留去する。得られる粘性油を酢酸エチル(3×2.5L)で共沸蒸留し、残留しているメタノールを除去する。その残留物を酢酸エチル(27.4L)に溶解し、50L反応器に投入し、トリエチルアミン(3.6Kg)を滴下ロートから30分かけて添加して中和する。中和の温度は外部冷却により30℃未満に維持する。得られるトリエチルアミン塩酸塩の懸濁物をろ過で取り除き、その透明な母液を50L反応器にDMAP(0.53Kg)と共に投入する。熱水で加熱した滴下ロートを介してジ−tert−ブチルジカーボネート(8.43Kg)を30分かけて、外部冷却で温度を約20〜30℃に維持して添加する。TLC分析で測定するとその反応は1時間後で完結している。氷冷した1規定のHCl(2×7.5L)、および飽和重炭酸ナトリウム液(1×7.5L)で有機相を洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させる。混合物をヌッチェろ過器(nutsche filter)でろ過し、減圧下で酢酸エチルを除去すると、結晶性スラリーが得られ、それをMTBE(10.0L)で摩砕し、さらにろ過して、白色固体として中間体(2)を得る(5.45Kg、52.4%)。C1117NO5についての元素分析の計算値:C、54.3;H、7.04;N、5.76、実測値:C、54.5;H、6.96;N、5.80。C1118NO5についてのHRMS(ESI+)予測値、[M+H]244.1185、実測値、244.1174;1HNMR(CDCl3、500MHz):δ=4.54(dd、J=3.1、9.5Hz、1H)、3.7(s、3H)、2.58〜2.50(m、1H)、2.41(ddd、1H、J=17.6、9.5、3.7)、2.30〜2.23(m、1H)、1.98〜1.93(m、1H)、1.40(s、9H);13CNMR(CDCl3、125.70MHz)δ173.3、171.9、149.2、83.5、58.8、52.5、31.1、27.9、21.5;Mp70.2℃。
【0047】
(2S,4E)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−[(ジメチルアミノ)メチレン]−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステル(3))。50−L反応器に中間体(2)(7.25Kg、28.8モル)、DME(6.31Kg)、およびブレデレク(Bredereck)試薬(7.7Kg、44.2モル)を投入する。溶液を攪拌し、75℃±5℃で少なくとも3時間加熱する。反応の進行はHLPCで監視する。反応物を0℃±5℃で1時間にわたって冷却し、その間に沈殿物が生成する。その混合物を0℃±5℃で1時間保持し、ヌッチェろ過器でろ過し、生成物を真空オーブン中、30℃±5℃で少なくとも30時間乾燥し、中間物(3)が白色結晶性固体(6.C142225についての元素分析計算値:C、56.4;H、7.43;N、9.39。実測値:C、56.4;H、7.32;N、9.48;C142225に対するHRMS(ESI+)予測値、[M+H]299.1607。実測値、299.1613;1HNMR(CDCl3、499.8MHz)δ=7.11(s、1H)、4.54(dd、1H、J=10.8、3.6)、3.74(s、3H)、3.28〜3.19(m、1H)、3.00(s、6H)、2.97〜2.85(m、1H)、1.48(s、9H);13CNMR(CDCl3、125.7MHz)δ=172.6、169.5、150.5、146.5、90.8、82.2、56.0、52.3、42.0、28.1、26.3.Mp127.9℃。
【0048】
(2S,4S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステル(4)。38リットル(10−ガロン)のファウドラー(Pfaudler)反応器を窒素で不活性にし、エスカット142(ESCAT142)5%パラジウム粉担持カーボン(50%ウェット、0.58Kg湿重量)、中間体(3)(1.89Kg、6.33モル)およびイソプロパノール(22.4Kg)を投入した。反応混合物を310kPa(45−psi)の水素雰囲気中45℃で18時間攪拌する。次いで反応混合物を室温まで冷却し、ヌッチェろ過器のセライト床0.51Kg)を通して触媒を除去する。母液を減圧下で蒸発させて、放置すると結晶化する粘性油である93:7のジアステレオマー混合物4(1.69Kg、100%)が得られる。生成物混合物のサンプルを分取HPLCによって精製し、分析データ用の材料を得る。C1219NO5についての元素分析計算値:C、56.0;H、7.44;N、5.44。実測値C、55.8;H、7.31;N、5.44;MSESI+)C1219NO5についての予測値、[M+H]258.1342。実測値258.1321;1HNMR(CDCl3、499.8MHz)δ=4.44(m、1H)、3.72(s、3H)、2.60〜2.48(m、2H)、1.59〜1.54(m、1H)、1.43(s、9H)、1.20(d、J=6.8Hz,3H);13CNMR(CDCl3、125.7MHz)δ=175.7、172.1、149.5、83.6、57.4、52.5、37.5、29.8、27.9、16.2。Mp89.9℃。
【0049】
(1S,3S)−(4−ヒドロキシル−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(5)。50−Lの反応器に中間体(4)(3.02Kg、11.7モル)、無水エタノール(8.22Kg)、およびMTBE(14.81Kg)を投入する。この溶液を攪拌し、0℃±5℃に冷却し水素化ホウ素ナトリウム(1.36Kg、35.9モル)を反応温度を0℃±5℃に維持するように少量ずつ添加する。少量の泡立ちが観察される。反応混合物を10℃±5℃に加温し、塩化カルシウム二水和物(2.65Kg)を反応温度を10℃±5℃に維持するようにゆっくりと1時間にわたって少しずつ添加する。65Kg)を、反応温度を10℃±5℃に維持するようにして、時間をかけて遅い速度で分割方式で添加する。反応物を20℃+5℃に1時間かけて昇温し、追加的に20℃±5℃で12時間攪拌する。その反応物を−5℃±5℃に冷却し、氷冷した2規定のHCl(26.9Kg)を反応温度を0℃±5℃に維持する速度で添加する。攪拌を停止し、相を分離させる。下の水相(pH=1)を取り出す。反応器に飽和重炭酸ナトリウム水溶液(15.6Kg)を5分かけて投入する。攪拌を停止し、相を分離させる。下の水相(pH=8)を取り出す。反応器に硫酸マグネシウム(2.5Kg)を投入し、少なくとも10分間攪拌する。この混合物をヌッチェろ過器を通してろ過し、減圧下で濃縮して中間物(5)(1.80Kg、66%)を得る。C1123NO4についての元素分析計算値:C、56.6;H、9.94;N、6.00。実測値C、56.0;H、9.68;N、5.96;C1124NO4に対するHRMS(ESI+)予測値、[M+H]234.1705。実測値、234.1703;1HNMR(CDCl3、500MHz)δ=6.34(d、J=8.9Hz、1H、NH)、4.51(t、J=5.8、5.3Hz,1H,NHCHCH2OH)、4.34(t、J=5.3、5.3Hz、1H、CH3CHCH2OH)、3.46〜3.45,(m、1H、NHCH)、3.28(dd、J=10.6、5.3Hz、NHCHCHHOH)、3.21(dd、J=10.2、5.8Hz、1H、CH3CHCHHOH)、3.16(dd、J=10.2、6.2Hz、1H、NHCHCHHOH)、3.12(dd、J=10.6、7.1Hz、1H、CH3CHCHHOH)、1.53〜1.50(m、1H、CH3CHCHHOH)、1.35(s、9H、O(CH33、1.30(ddd、J=13.9、10.2、3.7Hz、1H、NHCHCHHCH)、1.14(ddd、J=13.6、10.2、3.4Hz、1H、NHCHCHHCH)、0.80(d、J=6.6Hz、3H、CH3);13CNMR(CDCl3、125.7MHz)δ156.1、77.9、50.8、65.1、67.6、65.1、35.6、32.8、29.0、17.1。Mp92.1℃。
【0050】
(2S,4S)−メタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−5−メタンスルホニルオキシ−4−メチル−ペンチルエステル(6)。50Lの反応器にイソプロピルアセテート(i−PrOAc)11.8Kg中の中間体(5)(5.1Kg)を投入し、続いて追加の7.9Kgのi−PrOAcですすぐ。反応物を15℃±5℃に冷却し、その設定温度を維持しながらトリエチルアミン(TEA)(7.8Kg)を添加する。反応器をさらに0℃±5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(MsCl)(6.6Kg)をその設定温度に維持しながら反応溶液に添加する。反応物を数時間攪拌し完結をHPLCまたはTLCによって監視する。反応は飽和重炭酸塩水溶液の添加によって停止され、得られる分離有機相を冷却10%トリエチルアミン水溶液、冷却HCl水溶液、冷却飽和重炭酸塩水溶液、そして最後に飽和食塩水で連続的に洗浄する。この有機相を乾燥し、ろ過し、中間体(6)の固形物/それを含有する液体スラリーが得られるまで、真空中で、55℃±5℃未満で濃縮する。更なる特性解析を行わず、そのスラリーを後続反応に粗のまま使用する。
【0051】
(3S,5S)−(1−ベンジル−5−メチル−ピペリジン−3−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(7)。50Lの反応器に9.1kgの純ベンジルアミンを投入する。反応器を55℃にし、温度を60℃±5℃に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン(DME)(14.1Kg)中に中間体(6)(8.2Kg)を溶かした溶液を添加する。この溶液の添加が終了後反応物を60℃±5℃で数時間攪拌し、TLCまたはHPLCで反応完結を監視する。反応物を周囲温度に冷却し、揮発物(DME)を真空下回転蒸発により除去する。残渣を11.7kgの15%(容積/容積)酢酸エチル/ヘキサン溶液で希釈し、攪拌しながら18.7Kgの20%(重量)の炭酸カリウム水溶液で処理する。沈降分離させると3相の混合物が得られる。下方の水相を除去し、中間相を取りのけて置く。上方の有機相を集め、追加の抽出操作による抽出物と併せるように保留しておく。分離した中間相を11.7Kg部の15%(容積/容積)酢酸エチル/ヘキサン溶液で2回繰り返し抽出し、それぞれその抽出物をもとの有機相と併せる。併せた有機抽出物をロータリーエバポレーターに移し、油状残渣が残るまで真空下で溶剤を取り除く。次いで、その残渣を大量規模の分取クロマトグラフィーで精製し、油状物として精製された中間体(7)を得る。
【0052】
(3S,5S)−(5−メチル−ピペラジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8)。40Lの圧力容器に0.6kgの50%ウエット固体パラジウム担持カーボン(E101、10重量%)を窒素の流入下で投入する。次いで、13.7Kgの無水アルコールに溶かした中間体(7)3.2Kgを窒素の下で反応器に投入する。反応器を窒素パージし、続いて水素で310kPa(45psi)に加圧する。反応物を水素圧力310kPa(45psi))に維持しながら45℃に加熱する。反応はTLCまたはLCによって完結するまで監視される。反応物を周囲温度まで冷却し、ガス抜きし、窒素でパージする。反応器の内容物をセライト床を通してろ過し、その固形物を2.8Kgの無水エタノールで洗浄する。そのろ液を真空下、回転蒸発によってワックス状固体の中間体(8)が得られるまで濃縮する:TLC Rf(シリカF254、70:30(容積/容積)酢酸エチル−ヘキサン、KMnO4染色法)=0.12;1HNMR(300MHz、CDCl3)δ5.31(ブロードs、1H)、3.80〜3.68(m、1H)、2.92(d、J=11.4Hz、1H)、2.77(ABカルテット、JAB=12.0Hz、Δv=50.2Hz、2H)、2.19(t、J=10.7Hz、1H)、1.82〜1.68(m、2H)、1.54(ブロードs、1H)、1.43(s、9H)、1.25〜1.15(m、1H)、0.83(d、J=6.6Hz、3H);13CNMR(75MHz、CDCl3)δ155.3、78.9、54.3、50.8、45.3、37.9、28.4、27.1、19.2;MS(ESI+)m/z215(M+H)、429(2M+H)。
【0053】
B.1−シクロプロピル−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(19)の合成:
【0054】
【化11】

【0055】
中間体(12):反応器に無水トルエン(12L)中に溶かした中間体(11)(1.2Kg、7.7モル、1.0当量)を投入し、続いてエチレングリコール(1.8L、15.7モル、4.2当量)および固形p−トルエンスルホン酸(120g、10重量%)を投入する。反応混合物を周囲温度で少なくとも30分攪拌し、次いで加熱して還流させ、TLC分析(15%EtOAc/ヘキサン(容積/容積))測定して反応が完結するまで、ディーン・スターク(Dean Stark)型のトラップ装置に水/トルエン共沸混合物を集める。完結したら、反応物を周囲温度まで冷却し、重炭酸ナトリウム水溶液(6L)の中に注ぐ。有機物のトルエン相を取り出し、それを飽和重炭酸溶液(6L)、蒸留水(2×6L)、および飽和食塩水(6L)で洗浄する。有機相を取り出し、MgSO4で乾燥し、減圧下で蒸発し、中間体(12)(1.3Kg、86%)を油状物として得る。この物質を更なる精製無しに次の反応工程に使用する。
【0056】
中間体(13):反応器に、無水テトラヒドロフラン(12L)に溶解した中間体(12)(1.2Kg、6.0モル、1.0当量)を投入し、添加中は−40℃に維持しながら、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、2.6L、6.6モル、1.1当量)を添加する。反応物を少なくとも1時間、−40℃で攪拌し、その混合物に温度を−40℃以下に維持しながらトリメチルボレート(0.9L、7.8モル、1.3当量)を添加する。その反応混合物をTLC分析(30%EtOAc/ヘキサン(容積/容積))で測定して反応完結まで−40℃において少なくとも1時間攪拌する。反応物を−30℃までに僅かに加熱し、酢酸(3L)をゆっくり添加する。添加完了したら、反応物に水(0.5L)を添加しその混合物を素早く周囲温度に温め、一晩攪拌する。有機溶媒を減圧下45℃で、蒸留して反応物から取り除く。反応物残渣に3〜4容積の水(6L)および30%過酸化水素(0.7L、1.0当量)を発熱量を制御するために冷却しながら周囲温度でゆっくりと添加する。反応物をTLC(15%ETOAc/ヘキサン(容積/容積))で測定して反応完結まで周囲温度において少なくとも1時間攪拌する。反応混合物を0〜5℃に冷却し、過剰の過酸化物を10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2L)の添加によって消滅させる。その混合物をパーオキシドのネガティブ結果を確認する試験をし、反応物を6規定のHCL(aq)(1.2L)で酸性化する。反応物をTLCまたはNMR分析で測定して加水分解反応が完結するまで攪拌する。得られる固形物を吸引ろ過で収集し、中間体(13)を黄色固形物(1.0Kg、79%)として得る。
【0057】
中間体(14):反応器に中間体(13)(0.53Kg、3.0モル、1.0当量)を乾燥トルエン(2.7Kg、3.1L)に溶解して投入する。この溶液にジメチル硫酸(0.49Kg、3.9モル、1.30当量)を添加し、続いて固形の炭酸カリウム(0.58Kg、4.2モル、1.4当量)を添加する。反応混合物を加熱して還流させ、HPLCによる測定で反応完結まで少なくとも1時間保持する。この期間中、激しいガス放出が見られる。次いで反応物を周囲温度に冷却し、それを蒸留水(3.2L)と30%NaOH(aq)(0.13Kg、0.33当量)とを共に用いて希釈する。水相を分離し、残ったトルエン相を、30%NaOH(aq)(0.13Kg、0.33当量)と組み合わせた蒸留水(3.2L)で、各々の回で水相を取り除きながら、2回以上抽出する。有機上相を真空中(<10kPa(100ミリバール))、約40℃で濃縮されたトルエン溶液が得られるまで、蒸留によって濃縮する。得られる溶液を周囲温度に冷却し、HPLCで品質および収率をチェックし、更なる精製無しに次の合成工程に進む(中間体(14)に対する理論収量を0.56Kgと見積り)。
【0058】
中間体(15a、b):反応器に1.8Kg(2.1L)の無水トルエンを鉱油中60重量%で分散した水素化ナトリウム(0.26Kg、6.6モル、2.20当量)と共に投入する。この混合物に、反応混合物が90℃まで加熱されるように1時間にわたってジエチルカーボネート(0.85Kg、7.2モル、2.4当量)を添加する。その反応物に前工程からの中間体(14)(約1.0当量まで)のトルエン溶液を温度を90℃±5℃に維持しながら添加する。この添加中にガス放出が観察できる。添加完了後に、反応物を少なくとも30分またはHPLC分析で測定して反応完結まで攪拌する。完結したら、混合物を周囲温度に冷却し、攪拌しながら、10重量%の硫酸水溶液(3.8Kg、3.9モル、1.3当量)で希釈する。相分離させ、下方の水相を取り除く。残った有機相を真空中(<10kPa(100ミリバール))、約40℃で濃縮されたトルエン溶液が得られるまで濃縮する。得られる溶液を周囲温度まで冷却し、更なる精製無しに次の合成工程に進む(中間体(15a、b)の理論収量は0.85Kgと見積り)。
【0059】
中間体(16a、b;17a、b):反応器に前工程からの中間体(15a、b)(0.85Kg、約3.0モルまで、約1.0当量まで)のトルエン溶液を投入する。次いで、反応器にジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(0.54Kg、4.5モル、1.5当量)を添加し、その溶液を還流温度(約95〜105℃まで)に加熱する。より低沸点の溶媒(反応からのメタノール)を、温度を90℃以下に維持しながら留去させる。少なくとも1時間またはHPLC分析で測定して反応完結まで加熱を継続する。完結したら、中間体(16a、b)を含有する反応物を周囲温度に冷却し、トルエン(1.8Kg、2.1L)とシクロプロピルアミン(0.21Kg、3.6モル、1.2当量)を併せて反応物に添加する。反応物を周囲温度で少なくとも30分、HPLCで測定して反応完結まで攪拌する。完結後、反応物を10重量%硫酸水溶液(2.9Kg、3.0モル、1.0当量)で攪拌しながら希釈し、次いで相分離させる。水相を取り除き、次いで有機相を減圧下(<10kPa(100ミリバール))約40℃で蒸留によって濃縮する。所望の濃度に達したら溶液を周辺温度に冷却し、中間体(17a、b)の混合物を含有するトルエン溶液を更なる精製無しに合成の次の工程に進む(中間体(17a、b)に対する理論収量は約1.1Kgまでとして見積り)。
【0060】
中間体(18):反応器に中間体(17a、b)(約4.7Kgまで、約3.0モルまで)を周辺温度で投入する。反応器にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(0.61Kg、3.0モル、1.0当量)を添加し、反応物を少なくとも30分間、還流温度(約105〜115℃まで)に加熱するかまたはHPLC分析で測定して反応完結まで加熱する。反応完結でなければ、追加量のN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(0.18Kg、0.9モル、0.3当量)を反応物に添加し完結させる。完結したら、反応物を40℃以下に冷却し、有機溶媒を減圧下(<10kPa(100ミリバール))約40℃で沈殿物が形成されるまで、蒸留によって除去する。その反応物を周囲温度に冷却し、沈殿した固形物を吸引ろ過で分離し、蒸留水で2回(1×1.8L、1×0.9L)洗浄する。固形物を乾燥し、白色固形物として中間体(18)(0.76Kg、82%)を得る。その材料を更なる精製無しに次の反応工程に使用する。
【0061】
中間体(19):反応器に周囲温度で固形中間体(18)(0.76Kg、約2.5モルまで、約1.0当量まで)を投入し、続いてエタノール(5.3Kg、6.8L)および32重量%の塩酸水溶液(1.1Kg、10モル)を投入する。反応混合物を還流温度(76〜80℃)にすると、その間、混合物は最初に均一になるがあとで不均一になる。混合物を少なくとも5時間還流させながら加熱するか、またはTLC分析(15%EtOAc/ヘキサン(容積/容積))で測定して反応完結まで加熱する。完結したら、反応物を0℃±5℃に冷却し、沈殿した固形物をろ過で分離し蒸留水(1.7Kg)で洗浄し、続いてエタノール(1.7Kg)で洗浄する。分離した固形物を乾燥し、白色固体として中間体(19)(0.65Kg、95%まで)を得る。1HNMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):14.58(s、1H)、8.9(s、1H)、8.25(m、1H)、7.35(m、1H)、4.35(m、1H)、4.08(s、3H)、1.3(m、2H)、1.1(m、2H)。19FNMR(CDCl3+CFCl3、292MHz)δ(ppm):−119。HPLC:99.5面積%。
【0062】
C.1−シクロプロピル−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(20)のホウ素エステルキレートの合成
【0063】
【化12】

【0064】
反応器に酸化ホウ素(2.0Kg、29モル)を投入し、続いて氷酢酸(8.1L、142モル)および無水酢酸(16.2L、171モル)で希釈する。得られた混合物を還流温度で少なくとも2時間加熱する。反応内容物を40℃に冷却し、固形の7−フルオロキノロン酸中間体(19)(14.2Kg、51モル)をその反応混合物に添加する。混合物を再度還流温度で少なくとも6時間加熱する。反応進行はHPLCおよびNMRで監視する。混合物を約90℃に冷却し、トルエン(45L)を反応物に添加する。反応物をさらに50℃に冷却し、その反応混合物にtert−ブチルメチルエーテル(19L)を添加し、生成物の沈殿を発生させる。次いでその混合物を20℃に冷却し、固体の生成物19をろ過によって分離する。次いで分離した固形物を真空オーブン中40℃で(6.7kPa(50torr))で乾燥する前に、tert−ブチルメチルエーテル(26L)で洗浄する。この反応における中間物(20)を得る生成物収率は86.4%である。ラマン(Raman)(cm-1):3084.7、3022.3、2930.8、1709.2、1620.8、1548.5、1468.0、1397.7、1368.3、1338.5、1201.5、955.3、653.9、580.7、552.8、384.0、305.8。NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):9.22((s、1H)、8.38〜8.33(m、1H)、7.54(t、J=9.8Hz、1H)、4.38〜4.35(m、1H)、4.13(s、3H)、2.04(s、6H)、1.42〜1.38(m、2H)、1.34〜1.29(m、2H)。TLC(ワットマン(Whatman)MKC18Fシリカ、60Å、200μm)、移動相:1:1(容積/容積)CH3CN:0.5規定のNaCl(aq)、UV(254/366nm)可視化;Rf=0.4〜0.5。
【0065】
D.1−シクロプロピル−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(20)と(3S,5S)−(5−メチル−ピペリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8)とのカップリング、および(3S,5S)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(25)のマレート塩の合成:
【0066】
【化13】

【0067】
反応器に固体中間体(20)(4.4Kg、10.9モル)を投入し、続いて室温でトリエチルアミン(TEA)(2.1L、14.8モル)とピペリジン側鎖中間体(8)(2.1Kg、9.8モル)とのアセトニトリル(33.5L、15.7L/Kg)溶液で希釈する。得られる混合物を反応が完結と判断されるまで約50℃に加温する。反応進行はHPLCまたは逆相TLCによって監視する。完結したら、反応物を約35℃に冷却し、真空下(0〜53kPa(0〜400トール)でアセトニトリルの蒸留によって、反応物容積を約半分に減少させる。次いで反応器に28.2Kgの3.0規定のNaOH(aq)溶液を投入し、温度を約40℃に上げる。真空下での蒸留を、1〜4時間継続するかまたは更なる留出物が見られなくなるまで継続する。次いで反応物を室温まで冷却し、加水分解反応をHPLCまたは逆相TLCで監視する。完結したら、反応混合物を約4〜5Kgまでの氷酢酸を添加することによってpH6〜8に中和する。次いで反応器に12.7Kg(9.6L)のジクロロメタンを抽出溶媒として投入し、混合物を攪拌し、相分離させ、そして有機ジクロロメタン相を取り出す。その抽出プロセスを12.7Kg(9.6L)のジクロロメタンを用いて2回追加の抽出を繰り返し、各回で下方の有機相を集める。水相は廃棄し、有機抽出物を単一の反応器中で組み合わせる。反応器内容物を40℃に加熱し、蒸留で反応物容積を約半分に減少させる。次いで反応器に20.2Kgの6.0規定のHCl(aq)溶液を投入し、温度を35℃に調節し、攪拌を少なくとも12時間行いBoc脱保護反応を起こさせる。反応をHPLCまたは逆相TLCで監視する。完結したら,攪拌を中断し、相分離させる。下方の有機相を取り出し保管する。次いで反応器に12.7Kg(9.6L)のジクロロメタンを抽出溶媒として投入し、混合物を攪拌し、相分離させ、そして有機ジクロロメタン相を取り出す。有機抽出物を組み合わせ廃棄する。残った水相を18.3Kgの蒸留水で希釈し、温度を約50℃に上げる。真空下(13〜53kPa(100〜400トール))で蒸留して残留しているジクロロメタンを反応物から取り除く。反応温度を65℃以下に保持しながら、約9.42Kgの3.0規定のNaOH(aq)溶液を用いて、反応物のpHを7.8〜8.1に調節する。反応物を50℃に冷却し、室温まで混合物を冷却する前に、沈殿した固形物を少なくとも1時間エイジングする。固形物を吸引ろ過によって分離し、5.2Kg部の蒸留水で洗浄する。固形物を少なくとも12時間吸引して乾燥し、次いで55℃の対流式オーブン中でさらに12時間乾燥する。この実施例において、中間体(23)について得られた収率は3.2Kg(79%)である。反応器に3.2Kgの固形中間体(23)を投入し、その固形物を25.6Kgの95%エタノールを溶媒として懸濁させる。次いで、反応器に1.1Kgの固形D,L−リンゴ酸(24)を添加し、その混合物を還流温度(80℃まで)に加熱する。完全な溶液が得られるまで、蒸留水(5.7Lまで)を反応物に添加し、そして0.2Kgの活性炭を添加する。反応混合物をろ過器に通過させて透明化を達成し、45℃に冷却し、少なくとも2時間の保持し結晶化を起こさせる。反応混合物をさらに5℃に冷却し、懸濁している固形物を吸引ろ過で分離する。次いで、固形物を6.6KGの95%エタノールで洗浄し、吸引による真空下で少なくとも4時間乾燥する。次いで、固体を対流式オーブン中で45℃で少なくとも12時間さらに乾燥し、3.1Kgの中間体(24)(70%)を得る。NMR(D2O,300MHz)δ(ppm):8.54(s、1H)、7.37(d、J=9.0Hz、1H)、7.05(d、J=9.0Hz、1H)、4.23〜4.18(m、1H)、4.10〜3.89(m、1H)、3.66(ブロードs、1H)、3.58(s、3H)、3.45(d、J=9.0Hz、1H)、3.34(d、J=9.3Hz、1H)、3.16(d、J=12.9Hz、1H)、2.65(dd、J=16.1、4.1Hz、1H)、2.64〜2.53(m、1H)、2.46(dd、J=16.1、8.0Hz、1H)、2.06(ブロードs、1H)、1.87(d、J=14.4Hz、1H)、1.58〜1.45(m、1H)、1.15〜0.95(m、2H)、0.91(d、J=6.3Hz、3H)、0.85〜0.78(m、2H)。TLCワットマン(Whatman)MKC18Fシリカ、60Å、200μm)、移動相:1:1(容積/容積)CH3CN:0.5規定のNaCl(aq)、UV(254/366nm)可視化。HPLC:移動相0.1%ギ酸含有のH2O/0.1%ギ酸含有のアセトニトリル、88%H2O/ギ酸〜20%H2O/ギ酸による勾配溶離、ゾルバックス(Zorbax)SB−C8を4.6mm×150mmのカラム、部品番号883975.906、1.5mL/分の流量、20分の実行時間、292nm、検出器モデルG1314A、シリアル番号JP72003849、定量ポンプモデルG1311A、シリアル番号US72102299、オートサンプラーモデルG1313A、シリアル番号DE14918139、脱気装置モデルG1322A、シリアル番号JP73007229;中間体(19)に対する概略の保持時間:13.0分;中間体(20)に対する概略の保持時間:11.6分;中間体(21)に対する概略の保持時間:16.3分;中間体(22)に対する概略の保持時間:18.2分;中間体(23)に対する概略の保持時間:8.6分;中間体(25)に対する概略の保持時間:8.6分。
【0068】
特に示されない限り、分量、百分率、部分、および比率を含む量は、全て「約」という言葉により修正されると理解され、量は有効数字を示すことが意図されていない。
【0069】
特に記載される場合を除き、冠詞「a」、「an」および「the」は「1つ以上」を意味する。
【0070】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味または定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味または定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味または定義を適用するものとする。
【0071】
本発明の特定の実施形態が説明および記載されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行い得ることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

を有するキノロン中間体の調製方法であって、式中、
nは1または2であり、
XはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから選択され、並びに
ZはCO2XおよびCOXから選択され、式中Xは先に定義した通りであり、
前記方法は、
a)アルカノールまたはアルカノール/エーテルの100/0〜20/80の容積/容積比混合物中で、−20℃〜10℃で、式(II)の化合物を2〜4当量の水素化ホウ素ナトリウムと反応させる工程と
【化2】

(式中、YはC1〜C4アルキル、C6〜C10アリールまたはアルキルアリール、およびC3〜C6シクロアルキルから選択され、並びに、XおよびZは式(I)に対して先に定義した通りである)、
b)前記反応混合物の温度を5℃〜15℃の範囲に設定する工程と、
c)1.5〜3.0当量のカルシウム塩を添加する工程と、
を含む調製方法。
【請求項2】
前記アルカノールがC1〜C4アルカノールであり、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノールから選択され、より好ましくはエタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エーテルがC2〜C6エーテルであり、好ましくはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、およびジオキサンから選択され、より好ましくはメチルtert−ブチルエーテルである、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒がエタノール/メチルtert−ブチルエーテルの混合物であり、好ましくはエタノール対メチルtertブチルエーテルの比率(容積/容積)が約1:2である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
XはC1〜C4アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Xはメチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Zはtert−ブトキシカルボニルである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
Yはメチルである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記カルシウム塩が塩化カルシウムおよび臭化カルシウムから選択され、好ましくは塩化カルシウムである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記式(II)の化合物が、(2S,4S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記式(II)の化合物が、(2S,4R)−1−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−5−オキソ−1,2−ピロリジンジカルボン酸−2−メチルエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)の化合物が、(1S,3S)−(4−ヒドロキシル−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル:
【化3】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記式(I)の化合物が、(1S,3R)−(4−ヒドロキシル−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル:
【化4】

である、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−531419(P2009−531419A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502300(P2009−502300)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051057
【国際公開番号】WO2007/110836
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】