説明

キャスター

【課題】 車輪の口径を通常の大きさに保ちつつ、大口径車輪と同等の効果を得る小型軽量キャスターを提供すること。
【解決手段】 本発明のキャスターは、キャタピラを有していて接地曲率半径を大きくして振動や騒音を低減している一方で、接地面が大きいため方向を変えるときには、その大きな抵抗が妨げとなる。
そこで、方向を変えるときは方向転換補助装置6で、中央に位置する主輪2を地面に押し下げ、接地面積を小さくすることができるキャスター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物などを手で引いて運搬する旅行用バッグや台車、及び手押しの乳母車などに用いるキャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
キャスターは旅行用バッグ、台車、乳母車などに使用されていて、使用時に路面や床面の凹凸で振動や騒音がキャスターから発生することがある。原因はキャスターに使用される車輪の材質が固いことや、車輪の口径が小さいので、小さな凸凹でも影響を受けるためである。そこで柔軟な材質の車輪や、口径を大きくしたものが開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、柔軟な材質では車輪の耐久性が低下するし、口径の大きな車輪では重くて邪魔になる虞がある。
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、車輪の口径を通常の大きさに保ちつつ大口径車輪と同等の効果を得る小型軽量キャスターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明によると、旅行用バッグ、台車、乳母車など用いられるキャスターであって、
キャスターは、その全体の口径を抑えつつ、3つの車輪で構成され、中央の車輪と両脇の補助輪に、汎用のVベルトを掛けてキャタピラとして用いることで、接地面の曲率半径を大きくしたキャスターが提供される。
しかし、接地面の曲率半径が大きいキャタピラ式キャスターでは、方向転換時の抵抗が大きく、キャスターが損傷する虞がある。そこで、方向転換時には、方向転換する力を、カム機構に用いて中央の主輪を押し下げることで、接地面の曲率半径を小さくする装置を有するキャスターが提供される。
【発明の効果】
【0005】
キャタピラとして用いるVベルトは、長年産業界の現場で使用されているため長寿命で信頼性が高い。そのVベルトを用いて接地面の曲率半径を大きくとっているので、静かで振動の少ない旅行用バッグ、台車、乳母車などへの使用が期待されうえ、方向を変えるときは接地面積が小さくなる装置を有しており、扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】 本発明の実施形態によるキャタピラ式キャスターを旅行バッグに取り付けたところを示す説明図。
【図2】 本発明の主要部であるキャタピラと車輪の(a)正面図、(b)主輪の断面図、(c)補助輪の断面図。
【図3】 Vベルトを取り除いて、車輪の取付け状態を示す上部から見た平面図。
【図4】 主輪と取付け具を示す断面図。
【図5】 方向転換を容易にする装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照し説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
本発明のキャスターは、旅行バッグ、台車、乳母車など振動や騒音が発生することを好まないものに装着されることを想定している。そこで、図1は本発明のキャスターを旅行バッグに装着した場合を示す。取り付けに必要な占有半径に対して、本発明のキャタピラの接地面曲率半径は、ほぼ水平面で接地するため大変大きな円弧になり路面や床面の凹凸の影響を受けにくい。
【0008】
図2(a)によると本発明のキャタピラと車輪の構成は中央に位置する主輪2を両脇の2つの補助輪4がキャタピラとして用いるVベルト1を介して保持している。それぞれの車輪は軸から抜けないようスペーサ7、8と、軸の止めボルト3’、5’で横方向の移動を止められている。そして、主要な接地車輪である主輪2がVベルト1を介して補助輪4によって保持されていることでVベルト1の張力が主輪2のクッションとして作用する。
また、図2(b)によると主輪2の車軸3は、方向転換補助装置6に接続されている。図2(c)に示す補助輪4の車軸5と、主輪2の車軸3は、独立している。また方向転換補助装置6内のバネでも上記のVベルト1と同様に、主輪2のクッションになる。
【0009】
主輪2を中央に配し、補助輪4をこの主輪2の両脇に配した、主輪2と補助輪4の関係を図3に示す。バッグ等にキャスターを取り付ける部分を本体部と称すると、本体部9に補助輪4の車軸5が取り付けられ、車輪2の車軸3は本体部9とは、方向転換補助装置6を介して取り付けられている。
さらに、Vベルト1が補助輪4と主輪2に掛けられているので主輪2はVベルト1と補助輪4を介しても本体部9に接続されている。
図4及び5に示すように、本体部9と方向転換補助装置6の筒状部分6aは一体で、方向転換補助装置6に主輪2の車軸3の一部が嵌め込まれている。
【0010】
上記に述べた如く、本発明のキャスターは、キャタピラを有していて接地曲率半径を大きくして振動や騒音を低減している一方で、接地面が大きいため方向を変えるときには、その大きな抵抗が妨げとなる。
そこで、方向を変えるときは、カム機構を有する方向転換補助装置6で、中央に位置する主輪2を地面に押し下げ、接地面積を小さくしている。
図5(a)は図2(b)を拡大したもので車軸3の本体部側の車軸上部に突き出た嵌合部3aが筒状の方向変換補助装置ケース6aにバネ6bを介して嵌め込まれている。さらに嵌合部3aは、突起6cを有し、方向転換補助装置ケース6aの内側に彫られた窪み6hに嵌め込まれている。この突起6cと窪み6hでカム機構を形成している。
ここで、方向転換補助装置ケース6aは、本体部9、すなわち旅行バッグ等に取り付けられているので、例えば、旅行バッグを引いている人がバッグの方向を変えると、バネ6bと嵌合部3aの頂部の間にはプレート6gを有しているので、スムースに方向転換補助装置ケース6aは、変えた方向に回転する。そのため嵌合部3aに装着された突起6cは、方向転換補助装置ケース6a内側の窪み6hを、バックの方向とは反対方向のA、或いはBの方向に移動する。突起6cが通常位置に当たる中央のCから、A或いはBのどちらに移動しても、窪み6hの形状が突起6cを押し下げるように傾斜しているため、方向転換補助装置ケース6aと嵌合部3aの角度偏差が大きいほど突起6cを押し下げることになる。結果として嵌合部3aが押し下げられるので、主輪2が下がってVベルト1の接地面積を小さくする。
キャスターが取り付けられたバッグ等の方向を変えると方向転換補助装置ケース6aの方向が変わるだけでなく、主輪2を、Vベルト1を介して保持している補助輪4もバッグ等に取り付けられているので方向が変わる。すなわち接地面積を小さくして方向転換補助装置ケース6aと補助輪4とで主輪2の方向を容易に変えることができる。
突起6cと方向転換補助装置ケース6aの関係は図5(b)展開図と(c)断面図に示す。
【符号の説明】
【0011】
1 Vベルト
2 主輪
3 主軸
4 補助輪
5 補助軸
6 方向転換補助装置
9 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅行用バッグ、台車、乳母車など用いられるキャスターであって、
キャスターは、その全体の口径を抑えつつ、3つの車輪で構成され、中央の車輪と両脇の補助輪に、汎用のVベルトを掛けてキャタピラとして用いることで、接地面の曲率半径を大きくしていることを特徴とするキャスター。
【請求項2】
接地面の曲率半径が大きいキャタピラ式キャスターでは、方向転換時の抵抗が大きく、キャスターが損傷する虞がある。そこで、方向転換時には、方向転換する力を、カム機構に用いて、中央の主輪を押し下げることで、接地面の曲率半径を小さくする装置を有することを特徴とする請求項1に記載のキャスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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