説明

キャッピング機構及び液滴吐出装置

【課題】フィルム部材でノズルを密閉する場合において、ノズルの密閉性に優れるキャッピング機構及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッド20Yをキャッピング機構50側へ移動させると、フィルム部材54が巻付軸56からインクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aへ送り出され、送り出されたフィルム部材54は、押付け部材58によりノズル面20Aに押し付けられ、ノズル面20Aへ付着する。このとき、押付け部材58は、ノズル面20Aの一端部から他端部にかけて、徐々にフィルム部材54を押し付けるので、ノズル面20Aとフィルム部材54との間に発生する隙間を抑制しつつ、フィルム部材54がノズル面20Aへ付着される。このため、ノズルの密閉性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッピング機構及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置としては、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。水性インクなどの揮発性を有するインクを用いたインクジェット記録装置では、インク滴を吐出するノズルからインクの溶媒が蒸発するのを抑制するため、インクジェット記録ヘッドのノズルを密閉するキャッピング機構が設けられる。
【0003】
キャッピング機構には、種々の方式が知られているが、フィルム状ないしベルト状の部材でノズルを密閉する方式として、特許文献1に開示されるインクジェット記録装置が公知である。
【0004】
特許文献1のインクジェット記録装置は、プラテンに対向配置のラインヘッドのインク滴吐出面の前面にラインヘッドの長手方向に沿って、移動自在なキャッピングベルトを配置し、巻取り装置に巻回する。キャッピングベルトには非印刷領域に相当するオリフィスが存在する箇所をキャッピング領域としてそのオリフィスを被覆する全幅被覆部分と、印刷領域に相当するオリフィスが存在する箇所を非キャッピング領域としてそのオリフィスを露出させるスリット部分とを形成する。インク吸引装置を上昇してキャッピングベルトを介してラインヘッドのインク滴吐出面に密着させ、スリット部分のオリフィスに限定してこれを吸引する。
【特許文献1】特開平9−239999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フィルム部材でノズルを密閉する場合において、ノズルの密閉性に優れるキャッピング機構及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るキャッピング機構は、ノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに一端部が取り付けられ、前記ノズル面に付着可能なフィルム部材と、前記フィルム部材の他端部側を収容すると共に、前記ノズル面に沿って相対移動して前記ノズル面へ前記フィルム部材を送り出し、前記フィルム部材を前記ノズル面に付着させるフィルム部材収容手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係るキャッピング機構は、ノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに一端部が取り付けられ、前記ノズル面に付着可能なフィルム部材と、前記フィルム部材の他端部側を収容し、前記ノズル面に沿って相対移動して前記ノズル面へ前記フィルム部材を送り出すフィルム部材収容手段と、前記ノズル面へ送り出されたフィルム部材を前記ノズル面に押し付ける押付け部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係るキャッピング機構は、請求項1又は請求項2の構成において、前記フィルム部材収容手段は、前記ノズル面へ送り出されるフィルム部材に張力を付与する張力付与手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係るキャッピング機構は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、前記フィルム部材の前記ノズル面と接触していた面を清掃する清掃部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係るキャッピング機構は、請求項4の構成において、前記清掃部材は、前記ノズル面を清掃することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に係るキャッピング機構は、請求項4の構成において、前記清掃部材は、前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材収容手段の周囲に設けられた構成部品に前記フィルム部材が接触するのを防止する案内部材であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に係るキャッピング機構は、請求項1〜5のいずれか1項の構成において、前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材収容手段の周囲に設けられた構成部品に前記フィルム部材が接触するのを防止する案内部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項8に係るキャッピング機構は、請求項7の構成において、前記清掃部材を間において前記案内部材に対向配置され、前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材と前記清掃部材との接触角度を規定する規定部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項9に係る液滴吐出装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のキャッピング機構と、前記キャッピング機構によりキャッピングされる液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される記録媒体を搬送する搬送部材と、前記液滴吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンス機構と、前記液滴吐出ヘッドを移動させて、前記ノズル面に沿って前記フィルム部材収容手段を相対移動させる移動手段と、を備え、前記キャッピング機構、前記搬送部材及びメンテナンス機構は、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に沿って、前記キャッピング機構、前記搬送部材及び前記メンテナンス機構の順で配列されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10に係る液滴吐出装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のキャッピング機構と、前記キャッピング機構によりキャッピングされる液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される記録媒体を搬送する搬送部材と、前記液滴吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンス機構と、前記液滴吐出ヘッドを移動させて、前記ノズル面に沿って前記フィルム部材収容手段を相対移動させる移動手段と、を備え、前記キャッピング機構、前記搬送部材及びメンテナンス機構は、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に沿って、前記キャッピング機構、前記メンテナンス機構及び前記搬送部材の順で配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材とノズル面との間に隙間が生じにくく、ノズルの密閉性に優れる。
【0017】
本発明の請求項2の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材とノズル面との間に隙間が生じにくく、ノズルの密閉性に優れる。
【0018】
本発明の請求項3の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材のノズル面の凹凸への追従性が向上する。
【0019】
本発明の請求項4の構成によれば、フィルム部材とノズル面の間の異物混入を抑制し、異物混入による密閉性の低下を抑える。
【0020】
本発明の請求項5の構成によれば、別途、ノズル面を清掃する清掃部材を設ける必要がなく、部品点数の低減が図れる。
【0021】
本発明の請求項6の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材の劣化を低減できる。
【0022】
本発明の請求項7の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材の劣化を低減できる。
【0023】
本発明の請求項8の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、清掃部材の清掃力がばらつかない。
【0024】
本発明の請求項9の構成によれば、本発明の構成を有しない場合に比して、フィルム部材とノズル面との間に隙間が生じにくく、ノズルの密閉性に優れる。
【0025】
本発明の請求項10の構成によれば、液滴吐出ヘッドを移動させても、フィルム部材収容手段から送り出されたフィルム部材が、搬送部材上を跨がないので、フィルム部材に付着した液体が搬送部材に落下しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0027】
本実施形態では、液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置について説明する。
【0028】
なお、液滴吐出装置としては、画像を記録するものに限定されるものではなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、フィルムやガラス上にインク等を吐出してカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造装置、溶解状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成する装置、金属を含む液体を吐出して配線パターンを形成する装置及び液滴を吐出して膜を形成する各種の成膜装置であってもよく、液滴を吐出するものであればよい。
【0029】
(本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成)
まず、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を説明する。図1には、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成が概略図にて示されている。
【0030】
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pに画像を記録する画像記録部14と、記録媒体収容部12から画像記録部14へ記録媒体Pを搬送する搬送手段16と、画像記録部14によって画像が記録された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部18と、を備えている。
【0031】
画像記録部14は、ノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの一例として、インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録するインクジェット記録ヘッド20Y、20M、20C、20K(以下、20Y〜20Kと示す)を備えている。
【0032】
このインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kは、記録媒体Pの搬送方向の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色の順で配置されており、その各色に対応したインク滴を、サーマル方式や圧電方式等の手段によって、複数のノズルが形成されたノズル面20Aから吐出し、画像を記録する構成となっている。
【0033】
インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kから吐出されたインク滴が着弾する領域が、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの吐出領域となる。
【0034】
また、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kは、ぞれぞれ、画像記録が可能な幅が、記録媒体Pの被記録領域の幅以上とされている。なお、ここでいう幅とは、記録媒体Pの搬送方向と交差する交差方向の長さである。
【0035】
インクジェット記録装置10には、インクを貯留するインクタンク21Y、21M、21C、21Kが設けられている。このインクタンク21Y、21M、21C、21Kから、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kへインクが供給される。なお、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kへ供給されるインクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、各種インクの使用が可能である。
【0036】
搬送手段16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出しロール24と、送出しロール24によって送り出された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ロール対25と、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kからインク滴が吐出される記録媒体Pを搬送する搬送部材の一例としての無端状の搬送ベルト30と、を備えている。
【0037】
搬送ベルト30は、記録媒体Pの搬送方向下流側に配置された駆動ロール26と、記録媒体Pの搬送方向上流側に配置された従動ロール28とに巻き掛けられ、所定方向(図1においてX方向)に循環移動するように構成されている。
【0038】
循環移動する搬送ベルト30は、搬送ロール対25によって搬送された記録媒体Pを載せてインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの吐出領域へ搬送し、記録媒体Pの被記録面をインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kに対面させる。
【0039】
また、従動ロール28の上部には、記録媒体Pを搬送ベルト30へ押え付ける押さえロール32が設けられている。この押さえロール32は搬送ベルト30に従動すると共に帯電ロールを兼ねており、この押さえロール32によって搬送ベルト30が帯電されることにより、記録媒体Pが搬送ベルト30に静電吸着されて搬送される構成である。
【0040】
この搬送ベルト30が記録媒体Pを搬送することにより、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Cと記録媒体Pとが相対移動し、相対移動する記録媒体Pにインク滴が吐出されて画像が記録される。
【0041】
なお、記録媒体Pに対してインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kが移動する構成であっても良く、記録媒体Pとインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kとが相対移動する構成であればよい。
【0042】
また、搬送ベルト30は、記録媒体Pを静電吸着して保持する構成に限定されるものではなく、記録媒体Pとの摩擦により、あるいは記録媒体Pを吸引や粘着などの非静電的手段によって保持する構成にしてもよい。
【0043】
また、搬送ベルト30の下流側には、その搬送ベルト30から記録媒体Pを剥離する剥離爪が接近・離隔可能に配設されている。インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kにより画像が記録された記録媒体Pは、搬送ベルト30の曲率及び剥離爪により記録媒体Pが搬送ベルト30から剥離される構成となっている。なお、図1においては、剥離爪の図示を省略している。
【0044】
剥離爪の下流側には、記録媒体Pの被記録面側がスターホイールとされた複数の搬送ロール対38が設けられている。この搬送ロール対38により、画像記録部14で画像が記録された記録媒体Pが、記録媒体排出部18へ搬送される。
【0045】
また、搬送ベルト30の下方には、記録媒体Pを反転させる反転部36が設けられており、搬送ロール対38が記録媒体Pを下流に一旦搬送した後、搬送ロール対38が逆転して記録媒体Pが反転部36に送られる構成となっている。
【0046】
この反転部36には、記録媒体Pの被記録面側がスターホイールとされた複数の搬送ロール対39が設けられ、反転部36に送り込まれた記録媒体Pが再度、搬送ベルト30へ送られるようになっている。
【0047】
また、図示しないが、インクジェット記録装置10は、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの動作を制御する制御手段と、インクジェット記録装置10の全体の動作を制御するシステム制御手段とを備えている。
【0048】
制御手段は、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kに接続され、外部から入力された画像データに応じてインク滴の吐出タイミングと、使用するインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのノズルを決定し、そのノズルに駆動信号を印加する。
【0049】
次に、インクジェット記録装置10の画像記録動作について説明する。
【0050】
まず、送出しロール24により、記録媒体収容部12から記録媒体Pが送り出され、搬送ベルト30よりも上流側の搬送ロール対25により、搬送ベルト30へ送られる。
【0051】
搬送ベルト30へ送られた記録媒体Pは、その搬送ベルト30の搬送面に吸着・保持され、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの吐出領域へ搬送され、記録媒体Pの被記録面に画像が記録される。そして、その画像記録終了後、記録媒体Pは搬送ベルト30から剥離爪によって剥離される。
【0052】
記録媒体Pの片面へのみ画像を記録する場合は、搬送ベルト30よりも下流側の搬送ロール対38によって記録媒体排出部18へ排出される。
【0053】
記録媒体Pの両面へ画像を記録する場合には、片面に画像が記録された後、記録媒体Pは、反転部36で反転されて、再び搬送ベルト30に送られる。記録媒体Pの反対面側に上記と同様に画像が記録され、記録媒体Pの両面へ画像が記録され、記録媒体排出部18へ排出される。
【0054】
ここで、インクジェット記録装置10は、図2、図3、図4及び図5に示すように、インクジェット記録ヘッド20Yを移動させる移動手段の一例としての駆動軸60を備えている。駆動軸60は、記録媒体Pの搬送方向と交差する交差方向、すなわちインクジェット記録ヘッド20Yの長手方向に沿って延び設けられている。
【0055】
駆動軸60は、例えば、ボールネジで形成され、駆動軸60が回転駆動することにより、インクジェット記録ヘッド20Yがその長手方向の一方(図2のA方向)及びその反対方向(図2のB方向)へ移動する構成となっている。
【0056】
なお、移動手段としては、駆動軸60に限られず、インクジェット記録ヘッド20Yを移動させるものであればよく、例えば、記録媒体Pの搬送方向と交差する交差方向に沿って配置された一対の滑車に巻き掛けられた無端状のベルトで構成されていてもよい。この構成では、ベルトにインクジェット記録ヘッド20Yが固定され、滑車を回転させることにより、ベルトを循環移動させて、インクジェット記録ヘッド20Yをその長手方向に沿って移動させることができる。
【0057】
また、インクジェット記録装置10は、後述するキャッピング機構50と、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのメンテナンスをするメンテナンス機構40と、を備えている。
【0058】
キャッピング機構50、メンテナンス機構40及び搬送ベルト30は、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向に沿って、キャッピング機構50、搬送ベルト30及びメンテナンス機構40の順で配列されている。
【0059】
メンテナンス機構40は、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのノズル面20Aを覆う吸引キャップ42と、吸引キャップ42に接続された吸引装置44とを備えている。
【0060】
この吸引キャップ42が、図3に示すように、ノズル面20Aに覆うことにより、ノズルを密閉し、吸引装置44でノズル内のインクを吸引する構成となっている。なお、吸引したインクは、図示しない廃液タンクに貯留される。
【0061】
また、メンテナンス機構40は、ノズル面20Aを払拭する払拭部材46を備えている。この払拭部材46は、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aに接触可能なノズル面接触位置(図4に示す位置)と、ノズル面20Aから離間するノズル面離間位置(図2及び図3に示す位置)に移動可能とされている。
【0062】
払拭部材46がノズル面接触位置にある状態で、インクが吸引されたインクジェット記録ヘッド20Yをメンテナンス機構40に対向する位置から搬送ベルト30側へ移動させることにより、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aが払拭され清掃される。
【0063】
なお、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kには、それぞれ、メンテナンス機構40及びキャッピング機構50が設けられているが、図2、図3、図4及び図5では、インクジェット記録ヘッド20Yに設けられたメンテナンス機構40及びキャッピング機構50を図示している。
【0064】
(本実施形態に係るキャッピング機構50の構成)
次に、本実施形態に係るキャッピング機構50の構成について説明する。
【0065】
キャッピング機構50は、図2、図3、図4及び図5に示すように、一端部がインクジェット記録ヘッド20Yに取り付けられ、ノズル面20Aに付着可能なフィルム部材54を備えている。
【0066】
フィルム部材54は、インクジェット記録ヘッド20Yの長手方向一端部のノズル面20Aに回転可能に取り付けられており、ノズル面20Aに接近する接近方向(図2のC方向)と、ノズル面20Aから離間する離間方向(図2のD方向)へ回転するようになっている。
【0067】
フィルム部材54は、フィルム部材54が接近方向へ回転することにより、ノズル面20Aに付着し、ノズル面20Aに付着したフィルム部材54が離間方向へ回転することにより、ノズル面20Aから剥離する。
【0068】
また、フィルム部材54は、フィルム状の部材で形成され、その材質は、ノズル面20Aへの追従性および密閉性を確保するために柔軟に変形する部材で、かつノズル内のインク蒸発を防ぐために気体透過が少ないものが望ましい。
【0069】
フィルム部材54の材料としては、PET、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等が考えられ、さらに気体透過性を少なくするために上記材料に金属膜を蒸着させた2層構造としてもよい。最終的には、フィルム部材54の材質は、耐インク性や弾性を考慮して選択される。
【0070】
また、キャッピング機構50は、フィルム部材54の他端部側を収容し、ノズル面20Aに沿って相対移動してノズル面20Aへフィルム部材54を送り出すフィルム部材収容手段の一例としての巻付軸56を備えている。
【0071】
この巻付軸56には、フィルム部材54の他端部、すなわちインクジェット記録ヘッド20Yに取り付けられていない端部が固定され、フィルム部材54の他端部側が巻き付けられることにより、フィルム部材54の他端部側が巻付軸56に収容されている。
【0072】
なお、フィルム部材収容手段としては、フィルム部材54を折り畳んで収容する構成、フィルム部材54を引き回して収容する構成であっても良い。
【0073】
本実施形態では、インクジェット記録ヘッド20Yがその長手方向に沿ってキャッピング機構50側へ移動することにより、巻付軸56がノズル面20Aに沿って相対移動するようになっている。巻付軸56がノズル面20Aに沿って相対移動することにより、図5に示すように、フィルム部材54が引っ張られてノズル面20Aへ徐々に送り出される。
【0074】
なお、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド20Yが移動する構成となっているが、巻付軸56を含むキャッピング機構50側が移動する構成であっても良い。
【0075】
また、巻付軸56は、図6に示すように、ノズル面20Aへ送り出されるフィルム部材54に張力を付与する張力付与手段の一例としての発条70を備えている。
【0076】
発条70は、巻付軸56に付けられており、インクジェット記録ヘッド20Yが移動し、フィルム部材54が巻付軸56から送り出されて巻付軸56が回転すると、発条70が巻き締められて変形する。発条70が巻き締められて変形すると、発条70が巻き戻ろうとする力により、フィルム部材54へ一定の張力が付与される。
【0077】
フィルム部材54が送り出された後に、インクジェット記録ヘッド20Yが巻付軸56に接近すると、発条70が巻き戻って、巻付軸56から送り出されたフィルム部材54が巻付軸56に巻き付けられて収容される。
【0078】
なお、張力付与手段としては、図7に示すように、巻付軸56に設けられたピニオン72と、ピニオン72と噛み合うラック74と、ラック74が形成されたロッド75に設けられたショックアブソーバ76と、を備える構成であっても良い。
【0079】
この構成では、フィルム部材54が巻付軸56から送り出されて巻付軸56が回転すると、ピニオン72がラック74と噛み合って回転する。これにより、ラック74が形成されたロッド75が直線移動する。この直線移動するロッド75へショックアブソーバ76により抵抗が作用し、ロッド75の移動が規制され、巻付軸56の回転に抗力が付与される。このようにして、巻付軸56から送り出されるフィルム部材54に一定の張力が付与される。
【0080】
なお、図7に示す例では、駆動モータ78と、駆動モータ78と巻付軸56とに巻き掛けられた無端状のベルト79が設けられ、駆動モータ78の駆動力をベルト79で伝達し、巻付軸56を回転させて、フィルム部材54を巻付軸56に巻き付けて収容する構成となっている。
【0081】
また、キャッピング機構50は、ノズル面20Aへ送り出されたフィルム部材54をノズル面20Aに押し付ける押付け部材58を備えている。
【0082】
押付け部材58は、巻付軸56から見て搬送ベルト30の反対側に配置され、巻付軸56が押付け部材58と搬送ベルト30との間に配置される。
【0083】
また、押付け部材58は、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向から見て、先端部58Aがノズル面20Aよりインクジェット記録ヘッド20Y側(図2において上方)へ突出しており、インクジェット記録ヘッド20Yがキャッピング機構50側へ移動すると、押付け部材58は、フィルム部材54を介してノズル面20Aに当たる。
【0084】
押付け部材58が、フィルム部材54を介してノズル面20Aに当たった状態で、インクジェット記録ヘッド20Yがキャッピング機構50へ移動するにつれて、フィルム部材54が徐々にノズル面20Aの長手方向一端部から他端部にかけて押し付けられ、ノズル面20Aに付着し、ノズル面20Aのノズルを密閉する。
【0085】
押付け部材58は、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向と交差する方向に長くされた板状に形成され、先端部58Aは丸みを持たせた形状とされており、フィルム部材54が円滑に押付け部材58の先端部58Aを移動するようになっている。
【0086】
また、押付け部材58は、可撓性を有しており、ノズル面20Aに当たると撓むようになっている。さらに、押付け部材58の材料としては、テフロン(登録商標)等の摩擦係数が少ない材料が用いられている。
【0087】
なお、押付け部材58としては、図8(A)に示すように、ロール状に形成されたロール体66と、ロール体66を回転可能に支持するロール体支持部68とを備える構成であてもよい。この構成では、ロール体支持部68は、支持部69によって支持され、ロール体66がノズル面20Aに対向したときにおけるノズル面20Aに接近する接近方向及びそのノズル面20Aから離間する離間方向(図8(A)における上下方向)に移動可能とされている。また、ロール体支持部68は、スプリング67により接近方向に付勢されている。
【0088】
これにより、インクジェット記録ヘッド20Yがキャッピング機構50側へ移動すると、図8(B)に示すように、ロール体66は、フィルム部材54を介してノズル面20Aに当たり、フィルム部材54がノズル面20Aへ押し付けられて、ノズル面20Aへ付着し、ノズルを密閉する。
【0089】
巻付軸56と搬送ベルト30との間には、フィルム部材54のノズル面20Aと接触していた面を清掃する清掃部材の一例としての払拭部材62が設けられている。
【0090】
払拭部材62は、フィルム部材54に接触可能なフィルム部材接触位置(図3及び図4に示す位置)と、フィルム部材54から離間するフィルム部材離間位置(図2に示す位置)に移動可能とされている。
【0091】
払拭部材62がフィルム部材接触位置にある状態で、インクジェット記録ヘッド20Yがキャッピング機構50に対向する位置から搬送ベルト30側へ移動することにより、フィルム部材54のノズル面20Aと接触していた面が払拭され清掃される。
【0092】
なお、インクジェット記録ヘッド20Yがメンテナンス機構40に対向する位置から搬送ベルト30側へ移動する際に、払拭部材62がフィルム部材54を払拭して清掃する構成であってもよい。
【0093】
さらに、払拭部材62は、ノズル面20Aに接触するノズル面接触位置(図5に示す位置)に移動可能とされている。
【0094】
払拭部材62がノズル面接触位置にある状態で、インクジェット記録ヘッド20Yが搬送ベルト30に対向する位置からキャッピング機構50側へ移動することにより、ノズル面20Aが払拭され清掃される。
【0095】
なお、ノズル面20Aの清掃は、フィルム部材54がノズル面20Aに付着されるのと同時に行っても良い。
【0096】
また、インクジェット記録ヘッド20Yがキャッピング機構50に対向する位置から搬送ベルト30側へ移動する際に、払拭部材62がノズル面20Aを払拭して清掃する構成であってもよく、この場合は、フィルム部材54がノズル面20Aから剥離されるのと同時に清掃するようにしてもよい。
【0097】
また、清掃部材としては、図9に示すように、スポンジ等の多孔体で形成された清掃ロール73であってもよい。
【0098】

払拭部材62と搬送ベルト30との間には、フィルム部材54を案内して、巻付軸56の周囲に設けられた構成部品の一例としての搬送ベルト30にフィルム部材54が接触するのを防止する案内部材64が設けられている。
【0099】
案内部材64は、押付け部材58と同様に、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向と交差する方向に長くされた板状に形成され、先端部64Aは丸みを持たせた形状とされており、フィルム部材54が円滑に案内部材64の先端部64Aを移動するようになっている。
【0100】
また、案内部材64は、少なくとも押付け部材58よりも剛性を有しており、インクジェット記録ヘッド20Yがメンテナンス機構40へ移動してフィルム部材54が送り出された場合でも、フィルム部材54の経路を規制して、搬送ベルト30にフィルム部材54が接触するのを防止する。
【0101】
なお、図10に示すように、案内部材64を設けずに、払拭部材62を案内部材64として用いても良い。
【0102】
また、図11(A)に示すように、巻付軸56と払拭部材62との間に配置され、フィルム部材54を案内して、フィルム部材54と払拭部材62との接触角度を規定する規定部材63を備える構成であっても良い。
【0103】
この規定部材63は、払拭部材62を間において案内部材64に対向配置されており、インクジェット記録ヘッド20Yがメンテナンス機構40へ移動してフィルム部材54が送り出された場合でも、フィルム部材54の経路を規制して、フィルム部材54と払拭部材62との接触角度を規定する。
【0104】
これにより、図11(B)に示すように、巻付軸56に巻き付けられるフィルム部材54の巻数が減少しても、フィルム部材54と払拭部材62との接触角度が変化しない。
【0105】
(本実施形態の作用)
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0106】
インクジェット記録ヘッド20Yが記録媒体Pへ画像を記録した後、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aをキャッピングする場合は、まず、搬送ベルト30上にあるインクジェット記録ヘッド20Yを(図2参照)、その長手方向の一方(図2のA方向)、すなわちキャッピング機構50側へ移動させる(図5参照)。
【0107】
このとき、払拭部材62をノズル面接触位置に移動させ、払拭部材62がノズル面接触位置にある状態で、インクジェット記録ヘッド20Yをキャッピング機構50側へ移動させる。これにより、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aが、払拭部材62により払拭され清掃される。
【0108】
インクジェット記録ヘッド20Yをキャッピング機構50側へ移動させると、フィルム部材54が巻付軸56からインクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aへ送り出され、送り出されたフィルム部材54は、押付け部材58によりノズル面20Aに押し付けられ、ノズル面20Aへ付着する。
【0109】
このとき、押付け部材58は、ノズル面20Aの一端部から他端部にかけて、徐々にフィルム部材54を押し付けるので、ノズル面20Aとフィルム部材54との間に発生する隙間を抑制しつつ、フィルム部材54がノズル面20Aへ付着される。
【0110】
また、このとき、フィルム部材54は、発条70により張力が付与され、フィルム部材54がしわにならず、ノズル面20Aの凹凸に追従する。
【0111】
次に、インクジェット記録ヘッド20Yのメンテナンスを行う場合は、インクジェット記録ヘッド20Yを、その長手方向の他方(図2のB方向)、すなわちメンテナンス機構40側へ移動させる(図3参照)。
【0112】
このとき、払拭部材62をフィルム部材接触位置に移動させ、払拭部材62がフィルム部材接触位置にある状態で、インクジェット記録ヘッド20Yをメンテナンス機構40側へ移動させる。これにより、フィルム部材54がメンテナンス機構40側へ送り出され、このメンテナンス機構40側へ送り出されるフィルム部材54に払拭部材62が接触して、フィルム部材54のノズル面20Aと接触していた面が払拭され清掃される(図3参照)。
これにより、フィルム部材54に残留したインクが搬送ベルト30に落下するのを抑制する。
【0113】
メンテナンス機構40へ移動したインクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aを、吸引キャップ42で覆って、ノズルを密閉し、吸引装置44でノズル内のインクを吸引する。なお、このとき、フィルム部材54は、巻付軸56から送り出され、搬送ベルト30上を跨った状態となる。
【0114】
また、インクジェット記録ヘッド20Yがメンテナンス機構40側へ移動した際に、巻付軸56から送り出されたフィルム部材54は、案内部材64により、フィルム部材54の移動経路が規制され、搬送ベルト30にフィルム部材54が接触するのが防止される。
【0115】
メンテナンスが完了したインクジェット記録ヘッド20Yは、搬送ベルト30上へ移動させる。このとき、払拭部材46をノズル面接触位置に移動させ、払拭部材46がノズル面接触位置にある状態で、インクジェット記録ヘッド20Yを搬送ベルト30側へ移動させる。これにより、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aに払拭部材46が接触して、ノズル面20Aが払拭され清掃される(図4参照)。
【0116】
また、メンテナンス機構40上にあるインクジェット記録ヘッド20Yを、搬送ベルト30又はキャッピング機構50側へ移動させるときに、払拭部材62をフィルム部材接触位置に移動させ、フィルム部材54のノズル面20Aと接触していた面が払拭され清掃さするようにしてもよい(図4参照)。
【0117】
なお、上記実施形態では、キャッピング機構50、メンテナンス機構40及び搬送ベルト30は、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向に沿って、キャッピング機構50、搬送ベルト30及びメンテナンス機構40の順で配列されていたが、図12及び図13に示すように、キャッピング機構50、メンテナンス機構40及び搬送ベルト30は、インクジェット記録ヘッド20Yの移動方向に沿って、キャッピング機構50、メンテナンス機構40及び搬送ベルト30の順で配列されている構成であっても良い。
【0118】
この構成では、記録媒体Pへ画像を記録する際にインクジェット記録ヘッド20Yが搬送ベルト30上にあるときにおいては、図12に示すように、フィルム部材54は巻付軸56が送り出されてメンテナンス機構40上を跨った状態となり、フィルム部材54は搬送ベルト30上を跨ることがない。
【0119】
インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aをキャッピングする場合は、上記の実施形態と同様に、図13に示すように、インクジェット記録ヘッド20Yをキャッピング機構50側へ移動させて、巻付軸56から送り出されたフィルム部材54を、押付け部材58によりノズル面20Aへ押し付けて、ノズル面20Aへ付着する。
【0120】
また、インクジェット記録ヘッド20Yが、複数のヘッドユニットで構成されている場合には、図14に示すように、吸引キャップ42をヘッドユニット1つ分の大きさに形成し、ヘッドユニットごとに吸引する構成であっても良い。
【0121】
また、上記の実施形態では、巻付軸56から送り出されフィルム部材54が、押付け部材58によりノズル面20Aに押し付けられてノズル面20Aへ付着する構成であったが、図15及び図16に示すように、押付け部材58を有さない構成であっても良い。
【0122】
この構成では、フィルム部材収容手段として、巻付軸56及びフィルム部材収容部55が設けられている。フィルム部材収容部55は、巻付軸56に巻き付けられたフィルム部材54の外周を囲む円筒状に形成されている。また、フィルム部材収容部55の上方には、フィルム部材54が出し入れされる開口部57が形成されている。
【0123】
この開口部57から送り出されたフィルム部材54は、フィルム部材54の真直状態に戻ろうとする弾性力により、開口部57の縁部に当たってノズル面20A側に膨らむように湾曲し、インクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aへ付勢される。
【0124】
これにより、図16に示すように、インクジェット記録ヘッド20Yをキャッピング機構50側へ移動させると、フィルム部材54が巻付軸56からインクジェット記録ヘッド20Yのノズル面20Aへ送り出され、送り出されたフィルム部材54は、押付け部材58がなくとも、ノズル面20Aに押し付けられ、ノズル面20Aへ付着する。なお、開口部57には、さらに、フィルム部材54を効率よく湾曲させるためのガイドを設けてもよい。本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッド、搬送ベルト、メンテナンス機構及びキャッピング機構を記録媒体の移動方向から見た概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドがメンテナンス機構側へ移動した状態を示す概略図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドがメンテナンス機構から搬送ベルト側へ移動する状態を示す概略図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドがキャッピング機構側へ移動した状態を示す概略図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る巻付軸の構成を示す概略図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る巻付軸の構成の変形例を示す概略図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る押付け部材の変形例を示す概略図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る清掃部材の変形例を示す概略図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る払拭部材を案内部材として用いた構成を示す概略図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る規定部材を設けた構成を示す概略図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る搬送ベルト、メンテナンス機構及びキャッピング機構の配列を変えた構成を示す概略図である。
【図13】図13は、図12に示す構成において、インクジェット記録ヘッドがメンテナンス機構側へ移動した状態を示す概略図である。
【図14】図14は、本実施形態に係るメンテナンス機構の変形例を示す概略図である。
【図15】図15は、本実施形態に係るメンテナンス機構において、押付け部材を有さない変形例を示す概略図である。
【図16】図16は、図15に示す変形例において、インクジェット記録ヘッドがキャッピング機構側へ移動した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0126】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
20Y〜20K インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
20A ノズル面
30 搬送ベルト(搬送部材)
40 メンテナンス機構
50 キャッピング機構
54 フィルム部材
56 巻付軸(フィルム部材収容手段)
58 押付け部材
60 駆動軸(移動手段)
62 払拭部材(清掃部材)
63 規定部材
64 案内部材
70 発条(張力付与手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに一端部が取り付けられ、前記ノズル面に付着可能なフィルム部材と、
前記フィルム部材の他端部側を収容すると共に、前記ノズル面に沿って相対移動して前記ノズル面へ前記フィルム部材を送り出し、前記フィルム部材を前記ノズル面に付着させるフィルム部材収容手段と、
を備えたことを特徴とするキャッピング機構。
【請求項2】
ノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに一端部が取り付けられ、前記ノズル面に付着可能なフィルム部材と、
前記フィルム部材の他端部側を収容し、前記ノズル面に沿って相対移動して前記ノズル面へ前記フィルム部材を送り出すフィルム部材収容手段と、
前記ノズル面へ送り出されたフィルム部材を前記ノズル面に押し付ける押付け部材と、
を備えたことを特徴とするキャッピング機構。
【請求項3】
前記フィルム部材収容手段は、前記ノズル面へ送り出されるフィルム部材に張力を付与する張力付与手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャッピング機構。
【請求項4】
前記フィルム部材の前記ノズル面と接触していた面を清掃する清掃部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャッピング機構。
【請求項5】
前記清掃部材は、前記ノズル面も清掃することを特徴とする請求項4に記載のキャッピング機構。
【請求項6】
前記清掃部材は、前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材収容手段の周囲に設けられた構成部品に前記フィルム部材が接触するのを防止する案内部材であることを特徴とする請求項4に記載のキャッピング機構。
【請求項7】
前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材収容手段の周囲に設けられた構成部品に前記フィルム部材が接触するのを防止する案内部材を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャッピング機構。
【請求項8】
前記清掃部材を間において前記案内部材に対向配置され、前記フィルム部材を案内して、前記フィルム部材と前記清掃部材との接触角度を規定する規定部材を備えたことを特徴とする請求項7に記載のキャッピング機構。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のキャッピング機構と、
前記キャッピング機構によりキャッピングされる液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記液滴吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンス機構と、
前記液滴吐出ヘッドを移動させて、前記ノズル面に沿って前記フィルム部材収容手段を相対移動させる移動手段と、
を備え、
前記キャッピング機構、前記搬送部材及びメンテナンス機構は、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に沿って、前記キャッピング機構、前記搬送部材及び前記メンテナンス機構の順で配列されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のキャッピング機構と、
前記キャッピング機構によりキャッピングされる液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記液滴吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンス機構と、
前記液滴吐出ヘッドを移動させて、前記ノズル面に沿って前記フィルム部材収容手段を相対移動させる移動手段と、
を備え、
前記キャッピング機構、前記搬送部材及びメンテナンス機構は、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に沿って、前記キャッピング機構、前記メンテナンス機構及び前記搬送部材の順で配列されていることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−254235(P2008−254235A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96286(P2007−96286)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】