説明

キャップ具及びエアゾール噴霧器

【課題】ガス抜き機能を備えたキャップ具において、汎用性の優れたキャップ具を提供する。
【解決手段】押圧板44がボタン31を押圧してステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44をストッパー部40に係止し、押圧板44がステム押下げ位置に降下した状態を保持する。これにより、エアゾール容器14内から自動的にガスを抜くことができる。ストッパー部40は階段状に形成され、ステム16を押下げるステム押下げ位置が異なる場合であっても、複数のステム押下げ位置に係止できる。このため、キャップ具12は、汎用性に優れ、使い勝手がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に装着されるキャップ具及びそのキャップ具を備えたエアゾール噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器に装着されるキャップ具としては、エアゾール容器を廃棄する際に、エアゾール容器内に残留したガス及び残留液を抜く機能(以下、ガス抜き機能という)を備えたキャップ具が知られている。
【0003】
ガス抜き機能を備えたキャップ具として、例えば、特許文献1に開示されるキャップ具が公知である。
【0004】
特許文献1のキャップ具100は、図16(A)に示すように、天板106の外周部に形成されたC字形状の除去帯108を備えている。除去帯108の摘み板112をつかんで、図16(B)に示すように、除去帯108を破断線114、115に沿って除去すると、除去帯108の内周側にある押下げ板110が、支持部120に片持ち状に支持される。これにより、押下げ板110を押し下げ可能となる。押下げ板110の下面には、内筒部116が設けられている。
【0005】
除去帯108が除去されたキャップ具100を、図17(A)に示すように、エアゾール容器102の外周に形成された巻締部104に装着する。キャップ具100を巻締部104に装着した後、押下げ板110を押し下げると、図17(B)に示すように、押下げ板110の下面は、エアゾール容器102のステムに装着されたボタン118に当接し、ボタン118を押し下げて、エアゾール容器102内からガスが抜かれる。このとき、内筒部116の下端部は、エアゾール容器102の上部に形成されたクリンチ部122と係合して、内筒部116が保持され、自動的にエアゾール容器102内からガスが抜かれる。
【特許文献1】特願2001−228954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のキャップ具100では、押下げ板110を押し下げると、支点124を中心に回転するため、内筒部116が垂直に下がらず、内筒部116の下端部が、クリンチ部122に的確に係合しない。
【0007】
また、特許文献1のキャップ具100では、押下げ板110を降下させるために、除去帯108を除去してから押下げ板110を押圧する必要がある。このため、ガス抜きをする際の操作性が悪い。
【0008】
また、特許文献1のキャップ具100では、支持部120の幅Wによって(図16(A)参照)、押下げ板110が降下する量が決定される。そのため、先行技術のキャップ具100は、所定の高さのボタン118のみに適用が可能であり、ボタン118の高さが変わってしまうと、ステムを押し下げることできず、ガス抜きができない。また、ボタン118を外してから、ステムを直接押し下げてガス抜きすることもできない。
【0009】
このように、特許文献1のキャップ具100は、特定の高さのボタンにしか使用できず、また、ステムを直接押し下げてガス抜きすることもできないため、汎用性に乏しく、使い勝手が悪い。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮し、ガス抜き機能を備えたキャップ具において、汎用性の優れたキャップ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係るキャップ具は、エアゾール容器の上部に装着される筒体と、前記筒体に沿って降下し、前記エアゾール容器のステムを押し下げ可能な蓋体と、前記筒体に設けられ、前記蓋体を複数のステム押下げ位置に係止可能な係止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、エアゾール容器の上部に装着される筒体に沿って、蓋体が降下し、エアゾール容器のステムを押し下げる。筒体に設けられた係止手段が、蓋体をステム押下げ位置で係止する。
【0013】
このため、エアゾール容器を廃棄する際に、エアゾール容器内に残留したガスを自動的に抜くことができる。
【0014】
ここで、請求項1の構成では、係止手段は、蓋体を複数のステム押下げ位置に係止可能とされている。
【0015】
これにより、ステムを押下げるステム押下げ位置が異なるエアゾール容器であっても、それぞれのステム押下げ位置に係止し、エアゾール容器内からガスを抜くことができる。従って、請求項1に係るキャップ具は、汎用性に優れ、使い勝手がよい。
【0016】
なお、請求項1でいうステムの押下げとは、ステムを直接押圧してステムを押下げる場合と、ステムに装着されたボタンを押圧することによりステムを押下げる場合の両方が含まれる。
【0017】
本発明の請求項2に係るキャップ具は、請求項1の構成において、前記エアゾール容器の外周部に形成された巻締部に装着されるキャップ具本体を備え、前記筒体は、前記キャップ具本体の内側に設けられ、前記ステムの外周に形成されたクリンチ部に装着されることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、キャップ具本体が、エアゾール容器の外周部に形成された巻締部に装着され、キャップ具本体の内側に設けられた筒体が、ステムの外周に形成されたクリンチ部に装着される。
【0019】
本発明の請求項3に係るキャップ具は、請求項1又は請求項2の構成において、前記係止手段は、前記蓋体を降下可能に支持するばね部と、前記筒体の内壁面に形成された階段状のストッパー部と、前記蓋体の外周部に形成され、前記ストッパー部に前記ステム押下げ位置で係止される突起部と、を備えて構成されることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ばね部が、蓋体を降下可能に支持する。蓋体を降下させると、蓋体の外周部に形成された突起部が、ストッパー部にステム押下げ位置で係止される。これにより、エアゾール容器を廃棄する際に、エアゾール容器内に残留したガスを自動的に抜くことができる。
【0021】
請求項3の構成では、蓋体が、ばね部に支持されているので、蓋体を軽いタッチで降下させることができる。また、ストッパー部が階段状に形成されているので、ストッパー部の段数及び段の高さを任意に変えることにより、ステム押下げ位置の微調整が可能となり、キャップ具の汎用性を高められる。
【0022】
本発明の請求項4に係るキャップ具は、請求項1〜3のいずれか1項の構成において、前記筒体の天板であって、かつ、前記蓋体の上方には、開口が形成されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、筒体の天板であって、かつ、蓋体の上方に形成された開口に、指先等を挿入して、蓋体を押圧し、蓋体を押し下げることができ、蓋体の押下げ操作がしやすい。
【0024】
本発明の請求項5に係るキャップ具は、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、前記蓋体の上面に設けられたつまみ部を備えたことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、蓋体の上面に設けられたつまみ部を掴んで、蓋体を押し下げることができ、蓋体の押下げ操作がしやすい。
【0026】
本発明の請求項6に係るキャップ具は、請求項1〜5のいずれか1項の構成において、前記蓋体の下面に形成され、前記ステムの上端部と係合する凹部を備えたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、蓋体の下面に形成され凹部が、ステムの上端部と係合するので、蓋体がステムの上端部をすべりにくく、ステムを確実に押し下げられる。
【0028】
本発明の請求項7に係るエアゾール噴霧器は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャップ具と、前記キャップ具が装着されるエアゾール容器と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記構成としたので、ガス抜き機能を備えたキャップ具において、汎用性の優れたキャップ具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明のキャップ具及びそのキャップ具を備えたエアゾール噴霧器に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0031】
本実施形態に係るエアゾール噴霧器10は、図1に示すように、エアゾール容器14と、エアゾール容器14に設けられたステム16に装着されるボタン30と、エアゾール容器14に装着されるキャップ具12と、を備えている。
【0032】
エアゾール容器14は、例えば、金属容器(スチール製、アルミニウム製等)、プラスチック製容器(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニル等)、及びガラス製容器が用いられる。
【0033】
エアゾール容器14の内部には、例えば、溶液(洗浄剤、害虫忌避剤、殺虫剤、塗料等)と、噴射剤としてのガスと、が充填されている。ガスとしては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、プロパン、プロピレン、n−ブタン、イソブタン、n−ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、圧縮窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、フロンガス、等が挙げられる。これらのガスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
エアゾール容器14の上部の中央部には、ステム16が設けられており、このステム16が下方に押し下げられることにより、ステム16の下方に設けられたバルブ(図示省略)が開放される。これにより、所定の圧力で加圧されているエアゾール容器14内の溶液が、ステム16から噴射する構成となっている。
【0035】
エアゾール容器14の上部の外周部には、凸状に形成された巻締部24が形成されている。また、エアゾール容器14の上部には、巻締部24の内周であって、かつ、ステム16の外周に、上方に隆起したマウンテン部25が形成されている。このマウンテン部25の上部には、凸状に形成されたクリンチ部36が形成されている。
【0036】
ボタン30は、特定のサイズ(高さ)に形成され、エアゾール容器14のステム16に着脱可能に取り付けられている。なお、ステム16に装着されるボタンのサイズ(高さ)は、様々なものがある。
【0037】
このボタン30が下方に押されると、ステム16の上端部を押圧して、ステム16が下方へ押し下げられるようになっている。
【0038】
エアゾール容器14のステム16が下方に押し下げられ、ステム16から溶液が噴射すると、溶液は、拡径部34Aを通じて通路34へ流入する。通路34へ流入した溶液は、連通路37及びノズル孔33を通過して外部に噴射される。連通路37及びノズル孔33を通過して外部へ噴射される溶液は、噴射剤の急激な膨張により、噴射される。
【0039】
キャップ具12は、図1、2に示すように、エアゾール容器14の上部に装着されるキャップ具本体13を備えている。なお、図1は、キャップ具本体13がエアゾール容器14に装着される前を示し、図2は、キャップ具本体13がエアゾール容器14に装着された後を示す。
【0040】
キャップ具本体13は、図4に示すように、円筒形状の側壁13Bと、側壁13Bの上部を閉鎖する天板(天井面)13Aと、を備えて構成されており、図3に示すように、全体として、一端部(下端部)が開放された円筒形状をしている。
【0041】
このキャップ具本体13がエアゾール容器14の上部に装着されることにより、エアゾール容器14の上部に設けられたステム16及びステム16に装着されたボタン30が覆われ、不用意にボタン30が押されないようにされる。
【0042】
キャップ具本体13の内周側には、図4、図8に示すように、クリンチ部36に装着される筒体38が設けられている。筒体38は、円筒形状をしており、キャップ具本体13の側壁13Bと平行に(図4において上下方向)に延設されている。筒体38の上端が、キャップ具本体13の天板13Aの下面に接続され、筒体38は、キャップ具本体13と一体的に形成されている。
【0043】
筒体の38の下端部には、マウンテン部25とクリンチ部36の外周との間に形成された凹部39に係合する突起部38Aが、筒体38の周方向に沿って設けられている。筒体38の突起部38Aが、凹部39に係合することにより、筒体38は、クリンチ部36の外周側に装着される。
【0044】
筒体38の内周側は、上面を指先で押圧可能な円形状の押圧板(蓋体)44が設けられている。押圧板44は、指先が載置可能であると共に、筒体38の内周に収納可能な面積に形成されている。
【0045】
また、押圧板44は、筒体38に沿って降下可能とされており、押圧板44を降下させると、ステム16に装着されたボタン30の上面に、押圧板44の下面が当接して、そのボタン30が押圧される(図8、図9、図10参照)。これにより、ステム16が下方へ押し下げられる。また、ボタン30が外されたステム16の上端部に、押圧板44の下面が当接して、そのステム16が押圧され、ステム16が下方へ押し下げられる(図11、図12参照)。
【0046】
押圧板44の下面には、図5、図6、図12に示すように、ステム16の上端部が係合する凹部54が形成されている。これにより、押圧板44がステム16を押圧する際に、ステム16の上端部が押圧板44から外れにくく、押圧板44が下方にまっすぐ降下し、ステム16を確実に押圧できる。
【0047】
この凹部54は、押圧板44の中央部から半径方向へ長細く形成されており、ステム16の上端部は、凹部54の上壁面との間に隙間ができるように、押圧板44の中央部で凹部54に係合する。これにより、ステム16が押圧板44に押圧された際、ステム16から噴射された溶液及びガスは、凹部54に沿って、押圧板44の中央部から半径方向へ案内され、さらに、下方へ案内される。
【0048】
押圧板44の外周部とキャップ具本体13の天板13Aとの間には、図4、図8に示すように、螺旋状にねじられた複数(本実施形態においては、3つ)のばね部46が連結されている。
【0049】
このばね部46は、押圧板44が持ち上がるように、押圧板44を上方へ付勢している。また、ばね部46は、押圧板44の周方向に沿って等間隔に設けられており、等間隔の複数点で押圧板44を回転可能に支持する。
【0050】
これにより、押圧板44のバランスが安定し、ばね部46の付勢力に対抗して、押圧板44を押圧すると、押圧板44を平衡に降下させられる。また、押圧板44が降下する際に、ばね部46は、ねじられた方向と反対方向へ伸長するように変形するため、押圧板44は、ねじられた方向と反対方向へねじりもどるように、回転しながら降下する。これにより、後述の突起部が、後述する階段状のストッパー部40の下り方向に沿って移動する。
【0051】
筒体38の天板13Aであって、かつ、押圧板44の上方位置には、開口48が形成されている。開口48は、指先が挿入可能な大きさに形成され、この開口48に指先を挿入して、押圧板44を押圧し、押圧板44を下方へ押し下げられるようになっている。このため、押圧板44の押し下げ操作がしやすい。なお、上述のばね部46は、この開口48が形成された天板13Aの内縁から押圧板44の外周部へ連結されている。
【0052】
押圧板44の上面には、つまみ部50が設けられ、指先でつまみ部50を掴んで、押圧板44を回転させながら押圧して、降下させることができるようになっている。これにより、ばね部46のねじりもどる作用による回転力が不足する場合に、後述の突起部52を、後述する階段状のストッパー部40の下り方向に沿って移動させることができる。
【0053】
なお、本実施形態に係る押圧板44としては、このつまみ部50を設けない構成であってもよい。この構成の場合は、指先を押圧板44に押し付けて、押圧板44を回転させながら降下させればよい。
【0054】
押圧板44の外周部には、押圧板44の外周方向へ突起する突起部52が複数(例えば、3つ)設けられている。突起部52は、押圧板44の外周部に周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0055】
筒体38の内壁面には、図7に示すように、押圧板44に形成された突起部52の上面及び側面に当接して、突起部52を係止するストッパー部40が形成されている。ストッパー部40は、筒体38の内周方向へ肉厚に形成されており、階段状にされている。なお、ストッパー部40の各段の下り方向は、ばね部46がねじりもどる方向(ねじられた方向と反対方向)と一致する。
【0056】
ストッパー部40は、突起部52に対応して、等間隔に複数(例えば、3つ)設けられており、複数の突起部52をそれぞれ係止し、押圧板44の降下状態を保持する。ストッパー部40が押圧板44を平衡状態で保持できるように、ストッパー部40の位置が調整されている。
【0057】
ストッパー部40には、ステム16に装着されたボタン30の上面に当接して、ステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44を係止するストッパー40Aと、ボタン30が外されたステム16の上面に当接してステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44を係止するストッパー40Bと、が形成されている。
【0058】
ストッパー40Bは、ステム16のサイズはほぼ決まっているため、例えば、一箇所の位置に設けられる。
【0059】
ストッパー40Aは、ボタン30のボタンサイズ(ボタン高さ)が様々あるのに対応して、複数形成され、複数のステム押下げ位置で押圧板44を係止して、押圧板44の降下量を調整できるように構成されている。
【0060】
なお、ストッパー部40は、少なくとも、2箇所のステム押下げ位置に押圧板44を係止すればよく、例えば、ステム16に装着されたボタン30の上面に押圧板44の下面が当接して、ステム16を押下げるステム押下げ位置と(図8、図9、図10参照)、ボタン30が外されたステム16の上面に押圧板44の下面が当接して、ステム16を押下げるステム押下げ位置と(図11、図12参照)、の2箇所に、押圧板44をそれぞれ係止する構成としてもよい。
【0061】
また、ステム16に装着されたボタン30の上面に押圧板44の下面が当接して、ステム16を押下げるステム押下げ位置(図8、図9、図10参照)と、ボタン30とは高さが異なるボタン31の上面に押圧板44の下面が当接して、ステム16を押下げるステム押下げ位置(図13、図14参照)と、の2箇所に押圧板44をそれぞれ係止する構成としてもよい。なお、ボタン31の内部構成は、ボタン30と同一である。
【0062】
また、押圧板44は、ボタン30の上面に当接しない非当接位置に退避できるようになっている。このとき、押圧板44を非当接位置にストッパー部40で係止するようにしてもよい。
【0063】
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0064】
エアゾール噴霧器10を使用する使用期間中においては、キャップ具12の押圧板44を、ボタン30の上面に当接しない非当接位置に退避させ、ボタン30が不用意に押圧されないようにする(図4、図5、図6参照)。なお、押圧板44が非当接位置にある場合において、つまみ部50は、図5に示す第1位置に位置する。
【0065】
エアゾール噴霧器10を廃棄する際に、エアゾール容器14内に残留したガスを抜く場合には、キャップ具12をエアゾール容器14の上部に装着したまま、開口48から指を挿入し、つまみ部50を掴んで、押圧板44を押圧し、押圧板44を降下させる(図8、図9、図10参照)。
【0066】
このとき、ばね部46が押圧板44を支持するので、押圧板44を軽いタッチで降下させることができるので、押圧板44を降下させやすい。また、ばね部46は、等間隔の複数点で、押圧板44を支持するので、押圧板44のバランスが安定し、視覚で確認せずとも、押圧板44を平衡に降下させられる。
【0067】
押圧板44を降下させる際は、つまみ部50を掴んで、第1位置にあるつまみ部50を所定の回転角度、回転させながら押圧板44を押圧する(図9参照)。これにより、押圧板44の外周部に形成された突起部52は、階段状のストッパー部40の下り方向に沿って移動する。なお、このとき、螺旋状のばね部46により、ねじりもどる作用が押圧板44に働くので、押圧板44を回転させやすい。
【0068】
そして、押圧板44がボタン30を押圧してステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44をストッパー40Aに係止することにより、押圧板44がステム押下げ位置に降下した状態を保持する(図8、図9、図10参照)。
【0069】
これにより、ステム16を通じて、エアゾール容器14内からガスが自動的に抜かれる。このガス抜き操作では、ボタン30を取り外す必要がないので、ガス抜きを行う際の操作性がよい。
【0070】
本実施形態に係るキャップ具12では、図11、図12に示すように、ボタン30をステム16から取り外してから、ガス抜き操作を行ってもよい。
【0071】
この場合は、まず、ボタン30をステム16から取り外し、ボタン30が取り外されたエアゾール容器14の上部に、キャップ具12を装着する。つまみ部50を掴んで、第1位置にあるつまみ部50を所定の回転角度(ボタン30を装着してガス抜きする場合よりも大きい回転角度)、回転させながら押圧板44を降下させる(図11参照)。
【0072】
このとき、押圧板44の下面に形成された凹部54が、ステム16の上端部に係合するので、押圧板44がステム16からずれず、確実にステム16を押し下げられる。
【0073】
押圧板44がステム16を押圧してステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44をストッパー40Bに係止し、押圧板44がステム押下げ位置に降下した状態を保持する。これにより、ステム16を通じて、エアゾール容器14内からガスが自動的に抜かれる。
【0074】
また、本実施形態では、図13、図14に示すように、ボタン30とは異なる高さのボタン31(図14におけるボタン31は、高さがボタン30よりも高い例を示している)がステム16に装着されている場合においても、ガス抜き操作が可能である。
【0075】
この場合も、キャップ具12をエアゾール容器14の上部に装着したまま、つまみ部50を掴んで、第1位置にあるつまみ部50を所定の回転角度(ボタン30を装着してガス抜きする場合よりも小さい回転角度)、回転させながら押圧板44を降下させる(図13参照)。
【0076】
押圧板44がボタン31を押圧してステム16を押下げるステム押下げ位置で、押圧板44をストッパー40Aに係止し、押圧板44がステム押下げ位置に降下した状態を保持する。これにより、ステム16を通じて、エアゾール容器14内からガスが自動的に抜かれる。
【0077】
ボタン31の高さが、ボタン30より高い場合は、押圧板44は、ボタン30の場合よりも高いステム押下げ位置で係止され、ボタン31の高さが、ボタン30より低い場合は、押圧板44は、ボタン30の場合よりも低いステム押下げ位置で係止されることとなる。
【0078】
エアゾール容器14からガスが抜かれることで、キャップ具12内に溜まる溶液は、エアゾール噴霧器10を逆さまにすることで、開口48から排出する。
【0079】
また、ガスを抜いている途中で、ガス抜きを中止したい場合には、キャップ具本体13を把持して、キャップ具12をエアゾール容器14から取り外すだけでよい。ガス抜きをいったん中止した後、再び、ガス抜きを行う場合は、押圧板44がステム押下げ位置に係止されているので、キャップ具12をエアゾール容器14に装着するだけでよい。
【0080】
以上のように、本実施形態では、ボタンの高さが異なること等により、ステム16を押下げるステム押下げ位置が異なる場合であっても、それぞれのステム押下げ位置に押圧板44を係止し、エアゾール容器14内からガスを抜くことができる。また、ステム16を直接押圧することにより、ガス抜きすることもできる。従って、本実施形態に係るキャップ具は、汎用性に優れ、使い勝手がよい。
【0081】
また、本実施形態では、押圧板44を押圧する一の操作(ワンステップ操作)により、ガス抜きが行えるので、ガス抜きの操作性がよい。
【0082】
また、本実施形態では、キャップ具12をエアゾール容器14の上部に装着した状態で、ガス抜きを行うので、抜かれたガスがキャップ具12の中に、残留した溶液がたまりやすく、キャップ具12の外部へ飛散しにくい。
【0083】
また、ステム16の外周が筒体38で覆われるので、エアゾール容器14内から抜かれたガスや溶液が、筒体38の内部に溜まりやすく、エアゾール容器14内から抜かれたガスや溶液が、キャップ具本体13の外部へ飛散しにくい。
【0084】
また、ストッパー部40が階段状に形成されているので、ストッパー部40の段数及び段の高さを任意に変えることにより、ステム押下げ位置の微調整が可能となり、キャップ具12の汎用性を高められる。
【0085】
なお、上記実施形態では、螺旋状のばね部が3本形成されていたが、本発明のばね部としては、これに限られず、ばね部は、1本、2本又は、4本以上形成された構成であってもよい。ばね部が1本又は、2本形成される構成では、押圧板44を支持する支持点が少なくなるため、押圧板44を降下させる際に、不安定となる。また、ばね部を5本以上形成する構成では、ばね部の数が多くなることにより、ばね部のひとつひとつの長さが、必要量とれない場合が発生する。従って、ばね部の数としては、3本又は4本が最適となる。
【0086】
また、上記実施形態では、筒体38の下端部に形成された突起部38Aがクリンチ部36の外周側に係合していたが、本発明の筒体としては、クリンチ部36の内周側に係合する構成であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、巻締部24に装着されるキャップ具本体13が設けられていたが、図15に示すように、クリンチ部36に装着される筒体38のみの構成であってもよい。
【0088】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0089】
次に、本発明の実施形態の参考例として、本発明に関連する関連発明の構成及びその実施形態を開示する。
【0090】
(関連発明の構成)
本関連発明は、上述の特許文献1のキャップ具100が、除去帯108を除去してから押下げ板110を押圧する必要があるため(図16(A)、(B)参照)、ガス抜きをする際の操作性が悪いことに着目してなされたものであり、本関連発明は、ガス抜きをする際の操作性の良くすることを目的とする。
【0091】
また、本関連発明は、上述の特許文献1のキャップ具100では、押下げ板110を押し下げると、支点124を中心に回転するため、内筒部116が垂直に下がらず、内筒部116の下端部は、クリンチ部122に的確に係合しないことに着目してなされたものでもある。
【0092】
本関連発明に係る第1キャップ具は、エアゾール容器の上部に装着されて、前記エアゾール容器に設けられたステムを覆うキャップ具本体と、前記キャップ具本体の天板に形成され、上面を押圧する一の操作により降下可能であると共に、降下した降下状態で前記ステムを押し下げて前記エアゾール容器内からガスを抜く降下部と、前記降下部に設けられ、前記エアゾール容器の上部に形成された巻締部に係合して、前記降下部の降下状態を保持する保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0093】
この構成によれば、キャップ具本体が、エアゾール容器の上部に装着されて、エアゾール容器に設けられたステムを覆う。キャップ具本体の天板に形成された降下部の上面を押圧することにより、降下部は降下し、降下した降下状態でステムを押し下げてエアゾール容器内からガスを抜く。降下部の降下状態は、降下部に設けられた保持部が、エアゾール容器の上部に形成された巻締部に係合して保持される。
【0094】
このため、エアゾール容器を廃棄する際に、エアゾール容器内に残留したガスを自動的に抜くことができる。また、キャップ具をエアゾール容器に装着した状態で、ガス抜きを行えるので、ガス抜きの際にエアゾール容器内から放出するガスや溶液がキャップ具の外部へ飛散しにくい。
【0095】
また、保持部が巻締部に係合するので、ガス抜きの際にエアゾール容器内から放出するガスがキャップ具本体の内部に充満し、キャップ具本体の内部の圧力が高まっても、キャップ具がエアゾール容器から外れにくい。
【0096】
ここで、第1キャップ具の構成では、降下部は、その上面を押圧する一の操作により降下可能とされている。このため、エアゾール容器からガスを抜くために行うガス抜き操作の操作数が少なく、ガス抜きをする際の操作性がよい。
【0097】
本関連発明に係る第2キャップ具は、第1キャップ具の構成において、さらに、前記キャップ具本体の天板に渦巻状に形成され、前記降下部を支持すると共に、螺旋状に変形して前記降下部を降下させるばね部を備えたことを特徴とする。
【0098】
この構成によれば、降下部を押圧して降下させると、降下部を支持するばね部が螺旋状に変形する。これにより、降下部を軽いタッチで降下させることができるので、降下部を降下させやすく、保持部を巻締部に係合させやすい。
【0099】
また、ばね部は、渦巻状に形成されているので、小さいスペースでキャップ具本体の天板に形成することができる。
【0100】
本関連発明に係る第3キャップ具は、第2キャップ具の構成において、前記ばね部は、等間隔に複数設けられていることを特徴とする。
【0101】
この構成によれば、等間隔に複数設けられたばね部により、降下部は支持されるので、降下部のバランスが安定し、降下部の上面を押圧した際に、降下部を平衡に降下させられる。
【0102】
本関連発明に係る第4キャップ具は、第2キャップ具又は第3キャップ具の構成において、前記ばね部は、前記キャップ具本体の天板に渦巻状のスリットを形成することにより、形成されていることを特徴とする。
【0103】
この構成によれば、キャップ具本体の天板に渦巻状のスリットを形成することにより、ばね部は形成されているので、簡易な構成でばね部を形成することができる。
【0104】
本関連発明に係る第5キャップ具は、第4キャップ具の構成において、さらに、前記スリットを部分的につなぎ、所定量以上の強さで前記降下部が押圧されることにより、破断して前記降下部を降下させる破断部を備えたことを特徴とする。
【0105】
この構成によれば、エアゾール容器の使用時は、破断部により、降下部は降下しないので、エアゾール容器の使用時に降下部が邪魔にならず、また、不用意にステムが押し下げられることがない。
【0106】
エアゾール容器を廃棄する際には、所定量以上の強さで降下部を押圧して、破断部を破断させて降下部を降下させて、エアゾール容器内からガスを抜くことができる。
【0107】
本関連発明に係る第6キャップ具は、第1〜第5キャップ具のいずれかの一つの構成において、前記保持部は、前記巻締部の内周側に係合することを特徴とする。
【0108】
この構成によれば、保持部は、巻締部の内周側に係合するので、ガス抜きの際にエアゾール容器内から放出するガスによって、保持部の内周側の圧力が高くなった場合でも、保持部と巻締部との係合力が弱くならず、巻締部から保持部が外れにくい。
【0109】
本関連発明に係る第7キャップ具は、第1〜第6キャップ具のいずれかの一つの構成において、前記保持部は、前記降下部の下面に設けられ、下端部に形成された突起部が前記巻締部と係合する内筒であることを特徴とする。
【0110】
この構成によれば、ステムの外周が内筒で覆われるので、ガス抜きの際にエアゾール容器内から放出するガスや溶液が、内筒の内部に溜まり、キャップ具の外部へ飛散しにくい。
【0111】
本関連発明に係る第8キャップ具は、第7キャップ具の構成において、さらに、前記内筒に形成され、前記ステムから放出されるガスを前記内筒の外部へ放出する溝部を備えたことを特徴とする。
【0112】
この構成によれば、溝部が、ステムから放出されるガスを内筒の外部へ放出するので、ガス抜きの際にエアゾール容器内から放出するガスによって、内筒の内部の圧力が高くなりすぎることがない。
【0113】
本関連発明に係る第9キャップ具は、第8キャップ具の構成において、前記溝部は、前記内筒の下端部に形成され、前記内筒が上方に引っ張られた際に前記内筒の下端部を内方へ変形させて、前記突起部を前記巻締部との係合状態を緩める縦溝であることを特徴とする。
【0114】
この構成によれば、ガス抜きを途中で中止したい場合に、キャップ具本体をエアゾール容器から取り外したときに、内筒が上方に引っ張られた際に、縦溝が、内筒の下端部を内方へ変形させて、突起部を巻締部との係合状態を緩める。このため、ガス抜きを中止する操作がしやすい。
【0115】
本関連発明に係る第10キャップ具は、第1〜第9キャップ具のいずれかの一つの構成において、さらに、前記降下部の下面に設けられ、前記ステムの上部が差し込まれて前記ステムに当接する差込部を備えたことを特徴とする。
【0116】
この構成によれば、ステムの上部が差込部に差し込まれて、差込部がステムに当接する。このため、エアゾール容器内からガスを抜く際に、確実にステムを押し下げることができる。
【0117】
本関連発明に係る第11キャップ具は、第10キャップ具の構成において、前記差込部の内壁面には、前記ステムから放出されたガスを下方へ案内する案内溝が形成されていることを特徴とする。
【0118】
この構成によれば、案内溝が、ステムから放出されたガスを下方へ案内するので、エアゾール容器内からガスを抜く際に、ガス抜き操作をする手先に、エアゾール容器内から放出するガスや溶液が付着しにくい。
【0119】
本関連発明に係るエアゾール噴霧器は、第1〜第11キャップ具のいずれか1つと、そのキャップ具が装着されるエアゾール容器と、を備えたことを特徴とする。
(関連発明の実施形態)
以下に、本関連発明のキャップ具及びそのキャップ具を備えたエアゾール噴霧器に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。上記の本発明に係る実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0120】
本実施形態に係るエアゾール噴霧器60は、図18に示すように、エアゾール容器14と、エアゾール容器14に設けられたステム16に装着されるボタン31と、エアゾール容器14に装着されるキャップ具62と、を備えている。
【0121】
キャップ具62は、図18、19に示すように、エアゾール容器14の上部に装着されるキャップ具本体63を備えている。なお、図18は、キャップ具本体63がエアゾール容器14に装着される前を示し、図19は、キャップ具本体13がエアゾール容器14に装着された後を示す。
【0122】
キャップ具本体63は、円筒形状の側壁63Bと、側壁63Bの上部を閉鎖する天板(天井面)63Aと、を備えて構成されており、全体として、一端部(下端部)が開放された円筒形状をしている。
【0123】
キャップ具本体63の内周面の下端部には、図20に示すように、その全周にわたって、薄肉にされた薄肉部63Cが形成されている。これにより、キャップ具本体63の内周面の上部側が肉厚とされ、肉厚部分と薄肉部63Cとの境目に、段状のストッパー68が形成される。
【0124】
薄肉部63Cには、キャップ具本体63の周方向に沿って形成されたリブ70が設けられている。エアゾール容器14の巻締部24が、ストッパー68とリブ70との間に係合され、キャップ具本体63は、エアゾール容器14の巻締部24に取り外し可能に装着される(図20参照)。
【0125】
このように、キャップ具本体63がエアゾール容器14の上部に装着されることにより、エアゾール容器14の上部に設けられたステム16及びステム16に装着されたボタン31が覆われ、不用意にボタン31が押されないようにされる。
【0126】
キャップ具本体63の天板(天井面)の中央部には、図21、図22に示すように、指先で押圧可能な略円形状の押圧板(関連発明に係る降下部に相当)72が形成されている。押圧板72は、指先が載置可能であると共に、後述の内筒82が下面に取り付け可能な面積に形成されている。
【0127】
この押圧板72の外周部から外側へ、3本のスリット74、75、76が等間隔で渦巻状に形成されている。これにより、3本のばね部94、95、96が渦巻状に形成される。このばね部94、95、96は、等間隔の複数点で押圧板72を支持すると共に、螺旋状に変形して押圧板72を降下させる。
【0128】
スリット74、75、76は、それぞれ、等しい長さとされ、スリット74、75、76の長さは、必要なばね部94、95、96の長さ、すなわち、押圧板72を降下させたい量により、任意に設定される。
【0129】
スリット74、75、76を形成することにより、ばね部94、95、96が形成されるので、簡易な構成でばね部94、95、96が形成され、また、ばね部94、95、96は渦巻状に形成されているので、小さいスペースでキャップ具本体63の天板63Aに形成することができる。
【0130】
キャップ具本体63の天板63Aには、スリット74、75、76を部分的につなぎ、所定量以上の強さで押圧板72が押圧されることにより、破断して押圧板72を降下させる破断部78が形成されている。
【0131】
この破断部78がない場合であっても、エアゾール容器14の使用時に、押圧板72が降下しないようにできるが、上記のように、破断部78を形成することにより、エアゾール容器14の使用時に、確実に押圧板72が降下しない。このため、エアゾール容器14の使用時に押圧板72が邪魔にならず、また、不用意にステム16が押し下げられることがない。
【0132】
また、押圧板72を降下させる際には、押圧板72の上面を押圧する一の操作(ワンステップ操作)により、破断部78を破断させて、押圧板72を降下させられる。なお、図23に示すように、破断部78を設けず、スリット74、75、76のみを形成する構成であってもよい。
【0133】
押圧板72の下面には、図21、図24に示すように、ステム16が差し込まれる円筒状の差込部90が形成されている。この差込部90の下端部は、上方から下方に向けて徐々に拡径されたテーパー状をしており、差込部90の内壁には、下方から上方に傾斜する傾斜面が形成されている。この傾斜面が、差込部90に差し込まれるステム16をガイドし、ステム16を差し込みやすくなっている。
【0134】
差込部90に差し込まれたステム16は、差込部90の上壁面(押圧板72の下面)に当接し、押圧板72が押し下げられて降下した降下状態で、ステム16が押し下げられ、ステム16を通じて、エアゾール容器14内からガスが抜かれるように構成されている(図25参照)。
【0135】
差込部90の内壁面には、図26に示すように、ステム16から放出されたガス及び溶液を下方へ案内する案内溝92が形成されている。案内溝92は、差込部90の上壁面から側壁面の下端にかけて形成され、図26に示す矢印Aの方向に案内される。
【0136】
また、押圧板72の下面には、差込部90の外周に、下端部に突起部84が形成された内筒(関連発明に係る保持部に相当)82が設けられている。下端部に形成された突起部84が、エアゾール容器14のクリンチ部36の内周側に係合して、降下した押圧板72の降下状態を保持する(図25参照)。
【0137】
なお、ステム16を押圧板72が押下げる位置で、押圧板72の降下状態が保持されるように、内筒82の上下方向(高さ方向)の長さ及び突起部84の位置が調整されている。
【0138】
内筒82の下端部には、縦溝(関連発明に係る溝部に相当)88が形成されており、ステム16から放出され案内溝92で案内されたガス及び溶液を内筒82の外部へ放出する。また、この縦溝88は、内筒82が上方に引っ張られた際に、内筒82の下端部を内方へ変形させて、突起部84とクリンチ部36との係合状態を緩めるようになっている。
【0139】
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0140】
エアゾール噴霧器60を廃棄する際に、エアゾール容器14内に残留したガスを抜く場合には、まず、ボタン31をエアゾール容器14のステム16から取り外す。
【0141】
次に、ボタン31が取り外されたエアゾール容器14の上部に、キャップ具62を装着する。
【0142】
次に、エアゾール容器14の天板に形成された押圧板72の上面を押圧する一の操作により、破断部78を破断させて、押圧板72を降下させる。このとき、ばね部94、95、96が螺旋状に変形して、押圧板72を支持するので、押圧板72を軽いタッチで降下させることができるので、押圧板72を降下させやすい。また、ばね部は、等間隔の複数点で、押圧板72を支持するので、押圧板72のバランスが安定し、視覚で確認せずとも、押圧板72を平衡に降下させられる。
【0143】
さらに、押圧板72を押し下げると、押圧板72の下面側にある差込部90に、ステム16が差し込まれ、差込部90の上壁面にステム16が当接し、ステム16が押し下げられ、ステム16を通じて、エアゾール容器14内からガスが抜かれる。
【0144】
降下した押圧板72の下面に設けられた内筒82の下端部にある突起部84が、クリンチ部36の内周側に係合して、押圧板72の降下状態が保持され、自動的にエアゾール容器14内からガスが抜かれる(図25参照)。
【0145】
エアゾール容器14からガスが抜かれることで、キャップ具62内に溜まる溶液は、エアゾール噴霧器60を逆さまにして、内筒82が降下した際にキャップ具本体63の天板63Aに形成される開口から排出する。
【0146】
この構成では、ステム16の外周が内筒82で覆われるので、エアゾール容器14内から抜かれたガスや溶液が、内筒82の内部に溜まりやすく、エアゾール容器14内から抜かれたガスや溶液が、キャップ具本体63の外部へ飛散しにくい。
【0147】
このとき、ステム16から噴射されたガスは、差込部90に形成された案内溝92を下方へ案内される。このため、ガス抜き操作をする手先に、エアゾール容器14内から放出するガスや溶液が付着しにくい。
【0148】
さらに、案内溝92で下方へ案内されたガスは、内筒82に形成された縦溝88から内筒の外部へ放出される。ステムから放出されるガスで、内筒82の内部の圧力が高くなりすぎることがない。
【0149】
また、ガスを抜いている途中で、ガス抜きを中止したい場合には、キャップ具本体63を把持して、キャップ具62をエアゾール容器14から取り外すことにより、内筒82の下端部にある突起部84が、クリンチ部36の内周側から外されて、押圧板72の降下状態が解除される。
【0150】
キャップ具62をエアゾール容器14から取り外すときに、内筒82が上方に引っ張られた際は、縦溝88が、内筒82の下端部を内方へ変形させて、突起部84をクリンチ部36との係合状態を緩める。このため、ガス抜きを中止する操作がしやすい。
【0151】
このように、本実施形態では、押圧板72は、その上面を押圧する一の操作により降下するため、エアゾール容器14からガスを抜くために行うガス抜き操作の操作数が少なく、ガス抜きをする際の操作性がよい。
【0152】
また、本実施形態では、キャップ具62をエアゾール容器14の上部に装着した状態で、ガス抜きを行うので、抜かれたガスがキャップ具62の中に、残留した溶液がたまりやすく、キャップ具62の外部へ飛散しにくい。
【0153】
また、内筒82の突起部84が、クリンチ部36に係合するので、キャップ具本体63の内部にガスが充満し、キャップ具本体63の内部の圧力が高まっても、キャップ具62がエアゾール容器14から外れにくい。
【0154】
なお、本実施形態では、渦巻状のばね部が3本形成されていたが、本関連発明のばね部としては、これに限られず、例えば、図27に示すように、渦巻状のばね部97が4本形成される構成であってもよい。また、これに限られず、ばね部は、1本、2本又は、5本以上形成された構成であってもよい。
【0155】
なお、ばね部が1本又は、2本形成される構成では、押圧板72を支持する支持点が少なくなるため、押圧板72を降下させる際に、不安定となる。また、ばね部を5本以上形成する構成では、ばね部の数が多くなることにより、ばね部のひとつひとつの長さが、必要量とれない場合が発生する。従って、ばね部の数としては、3本又は4本が最適となる。
【0156】
また、本実施形態では、内筒82の下端部に形成された突起部84がクリンチ部36の内周側に係合することにより、押圧板72の降下状態が保持されていたが、本関連発明の保持部としての内筒82は、図28、図29(A)、(B)に示すように、クリンチ部36の外周側に係合することにより、保持されてもよい。
【0157】
なお、この構成においては、図29(A)、(B)に示すように、クリンチ部36の外周側に係合するのに対応して、内筒82の半径が大きく形成され、内筒82の下端部に形成された突起部84が内周方向へ突起する。また、図28に示すように、内筒82の半径に対応して、押圧板72の面積が大きくされ、スリット74、75、76の半径も大きく形成されている。
【0158】
また、本実施形態では、押圧板72に設けられた差込部90の上壁面にステム16を当接させてステム16を押し下げる構成であったが、ステム16を押し下げる構成としては、図30、図31に示すように、ボタン30の上面に当接して、ボタン30を押圧することにより、ステム16を押し下げる構成であってもよい。この構成では、ボタン30を取り外す必要がなくなるので、ガス抜きを行う際の操作性がよい。
【0159】
この構成においては、ボタン30を押圧板72が押下げる位置で、押圧板72の降下状態が保持されるように、内筒82の上下方向(高さ方向)の長さが調整されている。但し、ボタン30は、様々なサイズがあり、高さも異なるので、キャップ具62の汎用性が低いが、ステム16のサイズはほぼ決まっているため、汎用性が高い。
【0160】
また、本実施形態では、キャップ具本体63は、図32、図33に示すように、巻締部24に装着させる構成であったが、クリンチ部36に係合して装着される構成であってもよい。
【0161】
また、本実施形態では、押圧板72の降下状態を保持する保持部として内筒を用いたが、本関連発明の保持部としては、これに限られず、例えば、図34に示すように、下方に延出する係合片98を複数設けて押圧板72の降下状態を保持するように構成してもよく、押圧板72の降下状態ができるものであれば構わない。
【0162】
また、本実施形態に係る差込部90には、図35に示すように、エアゾール容器14から噴射する溶液を透過せず、噴射されるガスのみ透過する多孔質部材83を設けてもよい。これにより、ガスのみが抜かれるので、溶液が指等に付着して汚れることがない。なお、多孔質部材83の上部には、パッキング用のゴム等で形成されたパッキン85が設けられている。
【0163】
また、本実施形態では、内筒82は押圧板72と一体的に形成されていたが、本関連発明の内筒としては、別体で形成されていてもよい。
【0164】
本関連発明は、本実施形態に限るものではなく、本関連発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器の構成部品(エアゾール容器、ボタン、キャップ具)を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器において、エアゾール容器にボタン及びキャップ具を装着した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係るキャップ具を下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態のおけるキャップ具の内部構成を部分破断にて示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態を示す上面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態を示す、図2におけるA−A線部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係るキャップ具の内部構成(ストッパー部)を部分破断にて示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下状態にある場合におけるキャップ具の内部構成を部分破断にて示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下状態にある場合の上面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下状態にある場合を示す、図2におけるA−A線部分断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、ステムを押圧してガス抜きを行う場合を示す上面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、ステムを押圧してガス抜きを行う場合を示す、図2におけるA−A線部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、高さが異なるボタンを押圧してガス抜きを行う場合を示す上面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態に係るキャップ具において、高さが異なるボタンを押圧してガス抜きを行う場合を示す、図2におけるA−A線部分断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係るキャップ具の変形例を示す部分断面図である。
【図16】図16(A)、(B)は、従来に係るキャップ具を示す斜視図である。
【図17】図17(A)、(B)は、従来に係るキャップ具を示す、図16におけるB−B線断面図である。
【図18】図18は、本関連発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器の構成部品(エアゾール容器、ボタン、キャップ具)を示す斜視図である。
【図19】図19は、本関連発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器において、エアゾール容器にボタン及びキャップ具を装着した状態を示す斜視図である。
【図20】図20は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具を下方から見た斜視図である。
【図21】図21は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態を示す、図19におけるC−C線部分断面図である。
【図22】図22は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態を示す上面図である。
【図23】図23は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具において、破断部を設けない構成を示す上面図である。
【図24】図24は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下する前の状態を示す下面図である。
【図25】図25は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具において、押圧板が降下状態にある場合を示す、図19におけるC−C線部分断面図である。
【図26】図26は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の差込部を拡大した示す図である。
【図27】図27は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の変形例であって、ばね部を4本設けた変形例を示す上面図である。
【図28】図28は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の変形例であって、内筒がクリンチ部の外周側に係合する変形例を示す上面図である。
【図29】図29は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の変形例であって、内筒がクリンチ部の外周側に係合する変形例を示す部分断面図である。(A)は、押圧板が降下する前の状態を示し、(B)は、押圧板が降下状態にある場合を示す
【図30】図30は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の押圧板がボタンを押下げる変形例において、押圧板が降下する前の状態にある場合の部分断面図である。
【図31】図31は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の押圧板がボタンを押下げる変形例において、押圧板が降下状態にある場合を示す部分断面図である。
【図32】図32は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具のキャップ具本体がクリンチ部に装着される変形例において、押圧板が降下する前の状態にある場合の部分断面図である。
【図33】図33は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具のキャップ具本体がクリンチ部に装着される変形例において、押圧板が降下状態にある場合を示す部分断面図である。
【図34】図34は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の変形例であって、内筒を係合片に変えた変形例を示す斜視図である。
【図35】図35は、本関連発明の実施形態に係るキャップ具の変形例であって、差込部に多孔質部材を設けた変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0166】
10 エアゾール噴霧器
12 キャップ具
13 キャップ具本体
14 エアゾール容器
13A 天板
16 ステム
24 巻締部
36 クリンチ部
38 筒体
40 ストッパー部(係止手段)
44 押圧板(押圧板)
46 ばね部(係止手段)
48 開口
50 つまみ部
52 突起部(係止手段)
54 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の上部に装着される筒体と、
前記筒体に沿って降下し、前記エアゾール容器のステムを押し下げ可能な蓋体と、
前記筒体に設けられ、前記蓋体を複数のステム押下げ位置に係止可能な係止手段と、
を備えたことを特徴とするキャップ具。
【請求項2】
前記エアゾール容器の外周部に形成された巻締部に装着されるキャップ具本体を備え、
前記筒体は、前記キャップ具本体の内側に設けられ、前記ステムの外周に形成されたクリンチ部に装着されることを特徴とする請求項1に記載のキャップ具。
【請求項3】
前記係止手段は、
前記蓋体を降下可能に支持するばね部と、
前記筒体の内壁面に形成された階段状のストッパー部と、
前記蓋体の外周部に形成され、前記ストッパー部に前記ステム押下げ位置で係止される突起部と、
を備えて構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ具。
【請求項4】
前記筒体の天板であって、かつ、前記蓋体の上方には、開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャップ具。
【請求項5】
前記蓋体の上面に設けられたつまみ部を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップ具。
【請求項6】
前記蓋体の下面に形成され、前記ステムの上端部と係合する凹部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャップ具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャップ具と、
前記キャップ具が装着されるエアゾール容器と、
を備えたことを特徴とするエアゾール噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−302259(P2007−302259A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129649(P2006−129649)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000107491)ジョンソン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】