説明

キャップ紛失防止具

【課題】キャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具を提供することを課題とする。
【解決手段】キャップ係合部材45は、燃料タンクキャップ38の側面53を囲う円環部54と、この円環部54の下部から延びて燃料タンクキャップ38の下面55に当接する下側爪部57、58と、円環部54の上部から延びて燃料タンクキャップ38の上面59に当接する上側爪部61、63とを備えている。
【効果】燃料タンクキャップ38にキャップ係合部材45を係合させるための加工を施す必要がないため、燃料タンクキャップ38の製造コストを下げることができる。また、複数の燃料タンクキャップの側面の径及び高さが略同一で且つ各々の燃料タンクキャップが下面及び上面を備えている場合、キャップ係合部材を複数の燃料タンクキャップのすべてに係合させることができるので、キャップ係合部材の用途を拡大することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の開口部を円形のキャップで着脱自在に塞ぐ際にキャップの紛失を防止することができるキャップ紛失防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来各種のキャップ紛失防止具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平3−24922号公報(第1図)
【0003】
特許文献1の第1図において、つなぎ部材11は、キャップ本体1の握り部3の外周に形成された嵌着溝部6に嵌る櫛歯状部14を内周に備えている保持リング部13と、この保持リング部13の外周から延びている紐状部17と、この紐状部17の先端に設けられ車体板金に固定される固定座部15とからなる。
【0004】
このつなぎ部材11は、キャップ本体1を車体板金に繋ぐ部材であり、燃料注入口からキャップ本体1を取り外したときに、キャップ本体1の紛失を防止することができるキャップ紛失防止具の役割を果たす。
【0005】
ところで、特許文献1のつなぎ部材11は、保持リング部13の内周に櫛歯状部14を備えているので、キャップ本体1の握り部3の外周に嵌着溝部6を設けることが必須となる。すなわち、特許文献1の技術では、キャップは嵌着溝部6が設けられている専用の形態にする必要があり、キャップの製造コストが嵩む。また、専用のキャップにしか適用できないため、つなぎ部材11の用途が限定され、好ましくない。
【0006】
そのため、キャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、キャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、容器の開口部を、円形のキャップで着脱自在に塞ぐ際に、このキャップの紛失を防止することができるように、容器側とキャップとを繋いでおくキャップ紛失防止具であって、このキャップ紛失防止具は、前記キャップに係合するキャップ係合部材と、このキャップ係合部材を前記容器側に繋ぐ紐状部材とからなり、前記キャップ係合部材は、前記キャップの側面を囲う円環部と、この円環部の下部から延びて前記キャップの下面に当接する下側爪部と、前記円環部の上部から延びて前記キャップの上面に当接する上側爪部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、キャップ係合部材は、型で成形された型成形品であり、キャップ係合部材を軸方向に見たときに、上側爪部と、この上側爪部の隣りの上側爪部との間に下側爪部の一つが見えるように、前記上側爪部と前記下側爪部とは位相が異なるように設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、キャップの側面の下部に、下方へ縮径するテーパ部が設けられているときに、上側爪部の内径は、前記テーパ部の先端径より大きく、且つ前記側面の最大径より小さく設定され、下側爪部の内径は、前記テーパ部の先端径より小さく設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、紐状部材の一端は、キャップ係合部材の円環部に内側から外側に向けて嵌められ、使用状態ではキャップで抜け止め作用を発揮させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、キャップ係合部材は、キャップの側面を囲う円環部と、キャップの下面に当接する下側爪部と、キャップの上面に当接する上側爪部とを備えているので、キャップにキャップ係合部材を係合させるための加工を施す必要がない。そのため、キャップの製造コストを下げることができる。
また、複数のキャップの側面の径及び高さが略同一で且つ各々のキャップが下面及び上面を備えている場合、キャップ係合部材を複数のキャップのすべてに係合させることができるので、キャップ係合部材の用途を拡大することができる。
したがって、キャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【0013】
請求項1によれば、キャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、キャップ係合部材は、キャップ係合部材を軸方向に見たときに、上側爪部と、この上側爪部の隣りの上側爪部との間に下側爪部の一つが見えるように、上側爪部と下側爪部とは位相が異なるように設けられている。また、キャップ係合部材は、型で成形された型成形品であり、円環部には上側爪部が単独で設けられ、下側爪部が単独で設けられている。そのため、キャップ係合部材用の金型の構造を単純化することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、キャップの側面の下部に、下方へ縮径するテーパ部が設けられているときに、上側爪部の内径は、テーパ部の先端径より大きく、且つ側面の最大径より小さく設定され、下側爪部の内径は、テーパ部の先端径より小さく設定されているので、キャップをキャップ係合部材に挿入するとき、キャップのテーパ部でキャップ係合部材の上側爪部を円滑に押し下げることができる。また、キャップの下面がキャップ係合部材の下側爪部に接触したとき、キャップをキャップ係合部材の上側爪部及び下側爪部で保持することができる。そのため、キャップをキャップ係合部材に円滑に係合させることができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、紐状部材の一端は、キャップ係合部材の円環部に内側から外側に向けて嵌められ、使用状態ではキャップで抜け止め作用を発揮させるようにした。仮にビスなどの結合部材を用いて、紐状部材の一端を円環部に連結すると、キャップ紛失防止具に用いられる部品点数を増加させることになる。この点、本発明によれば、ビスなどの結合部材が不要であるため、部品点数の削減を図ることができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下では容器を自動二輪車用の燃料タンクとし、キャップを燃料タンクキャップとして説明する。
【0018】
図1は本発明に係る自動二輪車の側面図であり、以下では車両進行方向を前、車幅方向を左右として説明する。
自動二輪車10は、ヘッドパイプ11から下及び後方にメインフレーム12を延ばし、このメインフレーム12から後上方にリアフレーム13を延ばして車体を構成し、ヘッドパイプ11にフロントフォーク14を旋回可能に取付け、このフロントフォーク14に前輪15を取付け、フロントフォーク14の上端にハンドル16を取付け、メインフレーム12の後端に連結部材17を取り付け、この連結部材17の後端に軸18でトランスミッション19の前端部を揺動自在に取り付け、トランスミッション19の後端部とリアフレーム13とをリアクッション21で連結し、トランスミッション19にエンジン22及びエアクリーナ23を組み付け、トランスミッション19の出力軸に後輪24を取り付け、リアフレーム13に燃料タンク25を搭載し、ヘッドパイプ11をフロントカバー26で覆い、フロントフォーク14をフロントフェンダ27で覆い、メインフレーム12及びエンジン22をサイドカバー28で覆い、ヘルメット32を収納している収納ボックス31及び燃料タンク25の側方をボディカバー29で覆い、燃料タンク25の上面を収納ボックス31の後部から一体に延びるタンクカバー41で覆い、収納ボックス31及びタンクカバー41を車体に開閉可能に取り付けたシート33で覆ってなる。34はフロアステップ、35はメインスタンド、36はマフラ、37はリアキャリアである。
【0019】
図2はシートを上げた状態の車体後部の斜視図であり、タンクカバー41の後部には、タンクカバー41を貫通して突出した燃料タンク(図1の符号25)の給油口が配置され、燃料タンクキャップ38(詳細後述)が給油口を塞いでいる。また、燃料タンクキャップ38には、燃料タンクキャップ38の紛失を防止するキャップ紛失防止具40(詳細後述)が取り付けられ、このキャップ紛失防止具40はタンクカバー41に留められている。42はシートヒンジ、43はシートロック部、44はカバー凸部である。
【0020】
図3は本発明に係るキャップ紛失防止具の分解斜視図であり、キャップ紛失防止具40は、燃料タンクキャップ38に係合するキャップ係合部材45(詳細後述)と、このキャップ係合部材45に嵌る凸部46を一端に備え、留め部材47(詳細後述)とタンクカバー41の受け座48(詳細後述)との間に嵌る段付部49を他端に備えていると共に凸部46と段付部49とを結ぶ紐部51を備えることでキャップ係合部材45をタンクカバー41に繋ぐ紐状部材52(詳細後述)とからなる。
【0021】
なお、紐状部材52の他端は、実施例では燃料タンク(図1の符号25)がタンクカバー41に覆われているために、タンクカバー41に設けた受け座48と留め部材47とで挟むようにして留めたが、タンクカバー41に開口を設けて燃料タンクに直接留めるようにしてもよい。また、紐状部材52の他端は、タンクカバー41にビス等で固定しても、タンクカバー41に開けた穴に直接係合させてもよい。
【0022】
キャップ係合部材45は、燃料タンクキャップ38の側面53を囲う円環部54と、この円環部54の下部から延びて燃料タンクキャップ38の下面55に当接する例えば3個の下側爪部56、57、58(詳細後述)と、円環部54の上部から延びて燃料タンクキャップ38の上面59に当接する例えば3個の上側爪部61、62、63(詳細後述)とを備えている。また、キャップ係合部材45の円環部54には、紐状部材52の凸部46が嵌る嵌合部64(詳細後述)が設けられている。
【0023】
なお、下側爪部及び上側爪部の数量は、実施例では各々3個としたが、爪部の数量はキャップ係合部材45の径に応じて変更してもよく、数量は任意である。
【0024】
留め部材47は、受け座48の受け部65に接触する留め部66と、この留め部66から下方に延ばされタンクカバー41に開けた2個の穴67、68に嵌る2個の爪部69、71とで構成される。また、爪部69は、タンクカバー41の内面に接触する接触面72と、穴67の縁に接触する傾斜面73とを備えている。74は握り部、75は開閉マーク、76は内挿部、77は給油口、78はキャップロック用凹部材である。
【0025】
なお、接触面72及び傾斜面73は、爪部69の場合のみ説明したが、爪部71にも爪部69と同様に接触面及び傾斜面が設けられているが、ここでの説明は省略する。
【0026】
図4は図3の4矢視図であり、(a)に示すように、キャップ係合部材45は、キャップ係合部材45を軸方向に見たときに、上側爪部62と、この上側爪部62の隣りの上側爪部63との間に下側爪部58の一つが見えるように、上側爪部62と下側爪部58とは位相が異なるように設けられている。
【0027】
また、(b)に示すように、キャップ係合部材45は、型で成形された型成形品であり、円環部54には上側爪部63が単独で設けられ、下側爪部57が単独で設けられている。そのため、キャップ係合部材用の金型の構造を単純化することができる。
【0028】
図5は図4の5−5線断面図であり、キャップ係合部材45の上側爪部63と上側爪部61とで構成される内径をD1とし、キャップ係合部材45の下側爪部58と下側爪部57とで構成される内径をD2とし、燃料タンクキャップ38の側面53の下部に下方へ縮径するように設けたテーパ部79の先端径をD3とし、側面53の最大径をD4とする。すなわち、キャップ係合部材45では、燃料タンクキャップ38の側面53の下部に、下方へ縮径するテーパ部79が設けられているときに、上側爪部の内径D1は、テーパ部79の先端径D3より大きく、且つ側面53の最大径をD4より小さく設定され、下側爪部の内径D2は、テーパ部79の先端径D3より小さく設定されている。39はアール面取り部、81はキャップロック用凸部材である。
【0029】
キャップ係合部材45と燃料タンクキャップ38を組み立てるときには、キャップ係合部材45に燃料タンクキャップ38を矢印(1)のように向かわせる。この状態に続くキャップ係合部材45と燃料タンクキャップ38の組み立て手順を次図で説明する。
【0030】
図6は本発明に係るキャップ係合部材とキャップの組み立てを説明する図であり、(a)に示すように、燃料タンクキャップ38のテーパ部79にキャップ係合部材45の上側爪部63、61が折れ曲がった状態で接触している。この状態から燃料タンクキャップ38を矢印(2)のように下降させる。
【0031】
(b)に示すように、燃料タンクキャップ38の側面53にキャップ係合部材45の上側爪部63、61が折れ曲がった状態で接触している。この状態から燃料タンクキャップ38を矢印(3)のようにさらに下降させると、上側爪部63、61がアール面取り部39に沿って元に戻ろうとする。また、下側爪部58、57が若干下へ撓むことで上側爪部63、61の戻り作用を促す。
【0032】
(c)に示すように、燃料タンクキャップ38の下面55にキャップ係合部材45の下側爪部58、57が臨み、燃料タンクキャップ38の上面59にキャップ係合部材45の上側爪部63、61が臨んでいる。これで燃料タンクキャップ38がキャップ係合部材45に係合したことになる。
【0033】
なお、このとき、燃料タンクキャップ38は、キャップ係合部材45に回転可能に係合されている。
【0034】
このように、燃料タンクキャップ38の側面53の下部に、下方へ縮径するテーパ部79が設けられているときに、上側爪部63、61で構成される内径(図5参照)は、テーパ部79の先端径(図5参照)より大きく、且つ側面53の最大径(図5参照)より小さく設定され、下側爪部58、57で構成される内径(図5参照)は、テーパ部79の先端径(図5参照)より小さく設定されているので、燃料タンクキャップ38をキャップ係合部材45に挿入するとき、燃料タンクキャップ38のテーパ部79でキャップ係合部材45の上側爪部63、61を円滑に押し下げることができる。
【0035】
また、燃料タンクキャップ38の下面55がキャップ係合部材45の下側爪部58、57に接触したとき、燃料タンクキャップ38をキャップ係合部材45の上側爪部63、61及び下側爪部58、57で保持することができる。そのため、燃料タンクキャップ38をキャップ係合部材45に円滑に係合させることができるキャップ紛失防止具(図3の符号40)を提供することができる。
【0036】
加えて、キャップ係合部材45は、燃料タンクキャップ38の側面を囲う円環部54と、燃料タンクキャップ38の下面55に当接する下側爪部58、57と、燃料タンクキャップ38の上面59に当接する上側爪部63、61とを備えているので、燃料タンクキャップ38にキャップ係合部材45を係合させるための加工を施す必要がない。そのため、燃料タンクキャップ38の製造コストを下げることができる。
【0037】
また、複数の燃料タンクキャップの側面の径及び高さが略同一で且つ各々の燃料タンクキャップが下面及び上面を備えている場合、キャップ係合部材を複数の燃料タンクキャップのすべてに係合させることができるので、キャップ係合部材の用途を拡大することができる。
したがって、燃料タンクキャップの製造コストを下げることができると共に、用途を拡大することができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【0038】
図7は本発明に係る紐状部材の斜視図であり、紐状部材52の凸部46は、紐部51に連結されている半円板形状の第1突起82と、この第1突起82から両側に突出している第2突起83、84とで構成される。
【0039】
また、紐状部材52の段付部49は、紐部51の他端に連結され先端に向けて拡径するテーパ軸85と、このテーパ軸85の拡径側に連結されている第1円板86と、この第1円板86からさらに先端に向けて延びている軸87と、この軸87に連結されている第2円板88とで構成される。
次に紐状部材52の凸部46が嵌るキャップ係合部材45の嵌合部64の詳細構造を説明する。
【0040】
図8は嵌合部の斜視図であり、嵌合部64は、円環部54から径外方に突出するように形成されているブロック89と、このブロック89の上面に設けられ円環部54の内側から外側に向けて形成されていると共に紐状部材(図7の符号52)の紐部(図7の符号51)が円環部54の内側から通過する溝部91と、この溝部91の外側の終端に設けられる終端部94と、溝部91と終端部94との境に位置し、溝部91の幅を紐状部材の太さよりも狭くするべく突出している突起部92、93と、終端部94から下方に連続して形成され紐状部材の第1突起(図7の符号82)が嵌る第1凹み95と、この第1凹み95から内側に連続して形成され紐状部材の第2突起(図7の符号83、84)が嵌る第2凹み96、97とで構成される。
【0041】
図9は図4の9−9線断面図であり、円環部54には、外側から内側に向けて紐状部材(図7の符号52)の凸部(図7の符号46)が通過する開口98が設けられている。この開口98は、ブロック89に設けた溝部91、第1凹み95及び第2凹み97に連続しているので、紐状部材の凸部を円環部54の内側に円滑に挿入することができる。99は底面である。
以上の述べた嵌合部64に紐状部材52の凸部46を嵌める手順を次に述べる。
【0042】
図10は紐状部材をキャップ係合部材の内側に挿入するまでの作用図であり、(a)において、紐状部材52の凸部46を矢印(4)のようにキャップ係合部材45の開口98に向かわせる。
【0043】
(b)において、開口98の手前で前傾姿勢になっている紐状部材52の凸部46を矢印(5)のように円環部54の内側に挿入する。続いて二点鎖線で示された凸部46を先端が上向きになるように矢印(6)のように回転させる。
【0044】
図11は紐状部材を嵌合部にセットするまでの作用図であり、(a)において、紐状部材52の紐部51を矢印(7)のように引くことで、凸部46を白抜き矢印のように嵌合部64に設けた底面99に向けて移動させる。
【0045】
(b)に示すように、凸部46は底面99に載っている。
(c)は(b)のc−c線断面図に相当し、紐状部材52の紐部51を矢印(8)のように引くことで、二点鎖線で示すように紐部51で突起部92、93を押し、すぐに紐部51を矢印(9)のように終端部94に向かわせる。
【0046】
図12は紐状部材を嵌合部に完全に嵌めるまでの作用図であり、(a)に示すように、紐状部材52の凸部46が嵌合部64に嵌っている。具体的には、凸部46の第1突起82が第1凹み(図8の符号95)に嵌り、凸部46の第2突起83が第2凹み(図8の符号96)に嵌る。また、紐部51は、突起部(図11の符号92、93)で水平方向の移動が制限されるので、紐状部材52が嵌合部64から外れることを防ぐことができる。
【0047】
(b)に示すように、嵌合部64に紐状部材52の凸部46が嵌められているとき、キャップ係合部材45に二点鎖線で示した燃料タンクキャップ38が嵌ると、凸部46は燃料タンクキャップ38により内側に移動することができなくなる。すなわち、使用状態では燃料タンクキャップ38で紐状部材52の抜け止め作用を発揮させることができる。
【0048】
仮にビスなどの結合部材を用いて、紐状部材52の凸部46を円環部54に連結すると、キャップ紛失防止具(図3の符号40)に用いられる部品点数を増加させることになる。この点、本発明によれば、ビスなどの結合部材が不要であるため、部品点数の削減を図ることができるキャップ紛失防止具を提供することができる。
【0049】
図13は留め部材の作用図であり、(a)において、紐状部材(図7の符号52)の軸87が載っている受け座48に矢印(10)のように留め部材47を向かわせる。
(b)において、留め部材47の爪部69の傾斜面73が穴67の縁101に接触している。この状態から留め部材47を押し下げると、爪部69は二点鎖線の位置まで移動する。続けて留め部材47を押し下げて爪部69を矢印(11)のように下降させる。
【0050】
(c)に示すように、留め部材47は受け座48に載っている軸87を押さえている。同時に、タンクカバー41の内面102に爪部69の接触面72と爪部71の接触面103が接触している。これで、紐状部材がタンクカバー41に繋がれたことになる。
【0051】
尚、本発明の容器は、実施の形態では自動二輪車用の燃料タンクとして説明したが、乗用車の燃料タンクや家庭用の灯油タンクなどにも適用することができるので、一般の容器に適用することは差し支えない。
また、本発明のキャップは、実施の形態では燃料タンクキャップとして説明したが、その他に水タンクキャップや食用油タンクキャップなどに適用することができるので、一般のキャップに適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のキャップ紛失防止具は、自動二輪車の燃料タンクに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る自動二輪車の側面図である。
【図2】シートを上げた状態の車体後部の斜視図である。
【図3】本発明に係るキャップ紛失防止具の分解斜視図である。
【図4】図3の4矢視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係るキャップ係合部材とキャップの組み立てを説明する図である。
【図7】本発明に係る紐状部材の斜視図である。
【図8】嵌合部の斜視図である。
【図9】図4の9−9線断面図である。
【図10】紐状部材をキャップ係合部材の内側に挿入するまでの作用図である。
【図11】紐状部材を嵌合部にセットするまでの作用図である。
【図12】紐状部材を嵌合部に完全に嵌めるまでの作用図である。
【図13】留め部材の作用図である。
【符号の説明】
【0054】
10…自動二輪車、12…メインフレーム(車体)、13…リアフレーム(車体)、25…燃料タンク(容器)、29…ボディカバー、33…シート、38…燃料タンクキャップ(キャップ)、40…キャップ紛失防止具、42…シートヒンジ、41…タンクカバー、45…キャップ係合部材、46…凸部、52…紐状部材、53…側面、54…円環部、55…下面、56、57、58…下側爪部、59…上面、61、62、63…上側爪部、64…嵌合部、77…給油口(開口部)、79…テーパ部、104…下面、105…下端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部を、円形のキャップで着脱自在に塞ぐ際に、このキャップの紛失を防止することができるように、容器側とキャップとを繋いでおくキャップ紛失防止具であって、
このキャップ紛失防止具は、前記キャップに係合するキャップ係合部材と、このキャップ係合部材を前記容器側に繋ぐ紐状部材とからなり、
前記キャップ係合部材は、前記キャップの側面を囲う円環部と、この円環部の下部から延びて前記キャップの下面に当接する下側爪部と、前記円環部の上部から延びて前記キャップの上面に当接する上側爪部とを備えていることを特徴とするキャップ紛失防止具。
【請求項2】
前記キャップ係合部材は、型で成形された型成形品であり、キャップ係合部材を軸方向に見たときに、前記上側爪部と、この上側爪部の隣りの上側爪部との間に前記下側爪部の一つが見えるように、前記上側爪部と前記下側爪部とは位相が異なるように設けられていることを特徴とする請求項1記載のキャップ紛失防止具。
【請求項3】
前記キャップの側面の下部に、下方へ縮径するテーパ部が設けられているときに、
前記上側爪部の内径は、前記テーパ部の先端径より大きく、且つ前記側面の最大径より小さく設定され、前記下側爪部の内径は、前記テーパ部の先端径より小さく設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のキャップ紛失防止具。
【請求項4】
前記紐状部材の一端は、前記キャップ係合部材の円環部に内側から外側に向けて嵌められ、使用状態では前記キャップで抜け止め作用を発揮させることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のキャップ紛失防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−149915(P2010−149915A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332418(P2008−332418)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】