説明

キャブオーバー車の配線構造

【課題】バッテリを収納するエンジンルームが、乗員席の下方に位置していても、容易にブースタケーブルを接続し、ジャンプスタート作業が出来るキャブオーバー車の配線構造を提供する。
【解決手段】 エンジンルーム3の車両後方に位置する後側空間部7bと、このエンジンルーム3内空間との間には、隔壁部材としてのバルクヘッド8が配置されている。
このバルクヘッド8の縦壁面部8bの助手席12の下方のバッテリ配置スペース3aに対応する位置には、乗員室7内空間のうち、後方に位置する後側空間部7bと、エンジンルーム3内空間とを連通する接続作業用開口部9が開口形成されている。
この接続作業用開口部9には、絶縁ボックス部材13が設けられていて、底面部13bには、バッテリ4のジャンプスタート用端子10が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線を車外からアクセス可能な位置に設けられた端子まで延長することにより、ジャンプスタートを容易に行えるキャブオーバー車の配線構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、居住空間(cabin)が、エンジンルームの上方(over)まで、覆い被さっているタイプの車両、所謂、キャブオーバー車が知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
このような従来のキャブオーバー車では、運転席若しくは助手席等の乗員席の下方に位置するエンジンルーム内に、バッテリが配置されていて、このバッテリの上面側が、エンジンルームカバー部材及びバッテリカバー部材等によって覆われている。
【0004】
そして、バッテリ上がり等、このエンジンルーム内に位置するバッテリに直接、ブースタケーブルを接続して給電を行うことにより、エンジンを始動可能とする、所謂ジャンプスタートが行われる際には、前記エンジンルームカバー部材及びバッテリカバー部材等が開放されるように構成されている。
【0005】
また、バッテリが、エンジンルームとは、別の場所に配置されていても、バッテリに対する給電を行える様に、前記エンジンルーム内にリレーボックスが配置されて、このリレーボックスから、ブースタケーブル接続用の導体が、突設されているものも知られている(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公開2007−168556号
【特許文献2】特許公開2002−330527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来のキャブオーバー車の配線構造では、前記バッテリが、エンジンルーム内に設けられているので、所定の重量を有する乗員席の下方に設けられた前記エンジンルームカバー部材等を開放して、前記ジャンプスタートを行う必要がある。
【0008】
すなわち、このような従来のジャンプスタート作業の際には、前記乗員席が、前記エンジンルームカバー部材等の開放に伴って、回動移動される為、乗員は、車両から降りて、エンジンルーム上面部を開放した状態としてから、前記エンジンルーム内のバッテリにアクセスし、バッテリの接続端子に給電を行うブースタケーブルを接続する。
【0009】
そして、乗員は、乗員席から降りている状態のまま、乗員室内に設けられたイグニッションスイッチを入れる必要が生じ、エンジン始動の作業性が良好であるとは、言い難かった。
【0010】
そこで、この発明は、バッテリを収納するエンジンルームが、乗員席の下方に位置していても、容易にブースタケーブルを接続出来て、ジャンプスタート作業を行うことが出来るキャブオーバー車の配線構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のキャブオーバー車の配線構造では、車両の乗員室内空間に設けられた乗員席の下方に、エンジンルームカバー部材によって上面側を開閉塞可能とするエンジンルームを設けている。
【0012】
該エンジンルーム内に、エンジン始動に用いるバッテリを配置して、該エンジンルームの車両後方に位置する乗員室内空間との間を隔成する隔壁部材を有するキャブオーバー車の配線構造である。
【0013】
そして、前記隔壁部材に、前記乗員室内空間とエンジンルーム内空間とを連通する接続作業用開口部を開口形成して、前記バッテリの端子から電気的に延設されたジャンプスタート用端子を、該接続作業用開口部を介して、前記乗員室内空間側からアクセス可能に配置したキャブオーバー車の配線構造であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキャブオーバー車の配線構造では、前記エンジンルームの車両後方に位置する乗員室内空間との間を隔成する隔壁部材に形成された接続作業用開口部を介して、前記乗員室内空間側から、該エンジンルーム内に配置された前記バッテリに、アクセス可能で、給電用ケーブルの接続具を接続することが出来る。
【0015】
このため、ジャンプスタート作業を行う際に、前記エンジンルームカバー部材によって、エンジンルームの上面側を開閉塞する必要が無いので、乗員席に乗員は座ったまま、イグニッションスイッチを入れてエンジンスタートさせることが出来、作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、図4中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図2】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、車両の全体の構成を説明する一部透過斜視図である。
【図3】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、車両の全体の構成を示し、一部を破断して説明する斜視図である。
【図4】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、図3中B部を拡大して、車室内のフロアカーペットを取り外した様子を説明する拡大斜視図である。
【図5】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、要部の分解斜視図である。
【図6】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造で、図1に相当する部分でのジャンプスタート作業を説明する車両の側面図である。
【図7】実施の形態のキャブオーバー車の配線構造と、比較した一例を示すキャブオーバー車のジャンプスタート作業を説明する車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態のキャブオーバー車の配線構造を、図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図1乃至図7を用いて、全体の構成から説明すると、この実施の形態のキャブオーバー車の配線構造では、図2に示す様に、キャブオーバータイプの車両1の前部に、エンジン2を収納するエンジンルーム3が設けられている。
【0019】
このエンジンルーム3には、乗員室7の前側空間部7aの下方に、バッテリ配置スペース3aが設けられていて、このバッテリ配置スペース3aには、図1に示す様にバッテリ4が収納固定されている。
【0020】
このバッテリ4は、図5に示す様に、上面部4cに、+側端子4a及び、ボディーアースされる−側端子4bが各々所定の間隔を置いて設けられている。
【0021】
このうち、前記+側端子4aは、被覆ガイド部材4eに覆われた延設する延長コード4dによって、車両後方に向けて電気的に延設されている。
【0022】
そして、この延長コード4d端部には、ジャンプスタート用端子10が、固着されて接続されている。
【0023】
このバッテリ4が配置されているバッテリ配置スペース3aの上面側は、図1に示す様なバッテリカバー部材5によって覆われている。
【0024】
また、このバッテリカバー部材5の上方には、前記エンジンルーム3の上面側3bに開口形成された開口部3cを開閉塞可能とするエンジンルームカバー部材6が設けられている。
【0025】
この実施の形態のエンジンルームカバー部材6の上面側には、前記乗員室7の前側空間部7aに設けられる乗員席としての運転席11又は助手席12が固着されていて、通常のメンテナンス時には、図7の比較例に示すように、前記助手席12等と共に、図中白抜き矢印で示す車両後方へ向けて、回動可能となるように構成されている。
【0026】
また、この乗員室7のうち、エンジンルーム3の車両後方に位置する後側空間部7bと、このエンジンルーム3内空間との間には、隔壁部材としてのバルクヘッド8が配置されている。
【0027】
このバルクヘッド8は、図1及び図5に示す様に、主に、前記エンジンルーム3の上面側の一部を構成する上壁面部8aと、この上壁面部8aに一体に形成されて、車両前後方向断面形状を略L字状とする縦壁面部8bとを有して主に構成されている。
【0028】
このうち、前記縦壁面部8bの助手席12の下方のバッテリ配置スペース3aに対応する位置には、前記乗員室7内空間のうち、後方に位置する後側空間部7bと、エンジンルーム3内空間とを連通する接続作業用開口部9が開口形成されている。
【0029】
この接続作業用開口部9は、正面視略方形形状を呈して形成されていると共に、開口周縁部9bには、複数のボルト固定用孔9a…が、間隔を置いて形成されている。
【0030】
また、この接続作業用開口部9には、前記ジャンプスタート用端子10を固定することにより、前記接続作業用開口部9を介して、前記乗員室7内の後側空間部7bからアクセス可能に配置する絶縁ボックス部材13が設けられている。
【0031】
この絶縁ボックス部材13では、合成樹脂製材料等の絶縁材によって構成されていて、前記エンジンルーム側に凸設されたボックス形状の保護箱体13a内の底面部13bから、前記ジャンプスタート用端子10が、車両後方に位置する乗員室7の後側空間部7b方向へ向けて突設されている。
【0032】
そして、該保護箱体13aの後面部に開口形成された乗員室側開孔部13cの周縁には、前記接続作業用開口部9の開口周縁部9bに係止される絶縁カバーフランジ部13dが、一体に形成されている。
【0033】
この絶縁カバーフランジ部13dは、接続具としてのブースタケーブル20を用いて、ジャンプスタート用端子10にアクセスする際に、この開口周縁部9bの金属部分が露出することより、接触して短絡しないように覆う構成としている。
【0034】
この実施の形態では、更に、ジャンプスタートに用いるブースタケーブル20の+側クリップ部材20aが、この開口周縁部9bの下縁部に直接、接触しないように、前記乗員室側開孔部13cの下辺に至るまで、略全周に亘り、絶縁カバーフランジ部13dが一体に延設されている。
【0035】
そして、この保護箱体13aの下面側から一体に突設形成されるエンジルーム側当接片13fと共に、断面略コ字状の係止凹溝部13eが、下向きに開放方向を向けて一体となるように形成されている。
【0036】
また、この接続作業用開口部9の乗員室7の後側空間部7b側からは、メタルカバー部材14が、配設されている。
【0037】
このメタルカバー部材14は、正面視略正方形形状で、縦断面が、略凹状に形成されてなる蓋本体14dの周縁に、周縁フランジ部14eが一体に設けられている。
【0038】
この周縁フランジ部14eの四隅には、ボルト孔14a…が設けられていて、これらの各ボルト孔14a…を介して挿通されるボルト部材14b…が、前記開口周縁部9bに形成された複数のボルト固定用孔9a…に螺着されることにより、このメタルカバー部材14が、前記開孔周縁部9bに対して、装脱着可能となるように構成されている。
【0039】
更に、この実施の形態の車両では、図6中二点鎖線に示す様に、このバルクヘッド8を覆うように、乗員室7の後側空間部7bの床部7cに敷設されたフロアカーペット部材15が、前端縁15aを剥離可能に敷設されている。
【0040】
この実施の形態の後側空間部7bの車両左側側面部には、図2乃至図6に示す様に、車両前後方向へ向けてスライド自在に装着されたスライドドア22によって、開閉塞可能となるように、スライドドア開口部21が開口形成されている。
【0041】
このスライドドア開口部21の前縁部に位置するセンタピラー部23には、ドアストライカ部材24が、車両後方に向けて、突設されている。
【0042】
また、このセンタピラー部23には、図5及び図6に示す様に、前記バッテリ4の−側端子4bから延設されるアースコード4f,4gが電気的に接続されていて、前記ドアストライカ部材24に導通されている。
【0043】
このため、この実施の形態では、図4に示す様に、スライドドア22を開放することにより、図6に示す様に、前記ブースタケーブル20の+側クリップ部材20aが、前記ジャンプスタート用端子10に接続される際に、前記ドアストライカ部材24を−側端子として用いて、前記ブースタケーブル20の−側クリップ部材20bを接続して、ジャンプスタートを行うことが出来るように構成されている。
【0044】
次に、この実施の形態のキャブオーバー車の配線構造の作用効果について説明する。
【0045】
この実施の形態のキャブオーバー車の配線構造では、図5に示す様に、前記エンジンルーム3と、このエンジンルーム3の車両後方に位置する後側空間部7bとの間を隔成するように形成されたバルクヘッド8には、接続作業用開口部9が開孔形成されていて、前記絶縁ボックス部材13が、前記エンジンルーム側に凸設されたボックス形状の保護箱体13aを有して、配設されている。
【0046】
この保護箱体13aの底面部13bの略中央には、前記バッテリ4の+側端子4aから、前記延長コード4dを用いて電気的に延設されたジャンプスタート用端子10が、後側空間部7b方向へ向けて突設されている。
【0047】
このため、この底面部13bに一体に形成された絶縁カバーフランジ部13dの下辺側に設けられた係止凹溝部13eが、接続作業用開口部9の開口周縁部9bの下側に係合されて、これらの絶縁カバーフランジ部13dが、この開孔周縁部9bに固定されることにより、前記ジャンプスタート用端子10が、前記保護箱体13a内側で、これらの絶縁カバーフランジ部13dよりも、車両前方の前記エンジンルーム3内側に位置される。
【0048】
そして、図6に示す様に、前記後側空間部7bの床部7cに敷設されているフロアカーペット部材15の前端縁15aを捲り挙げて、前記メタルカバー部材14を固定しているボルト部材14b…の螺合を解除して、このメタルカバー部材14を取り外すと、前記接続作業用開口部9を介して、前記ジャンプスタート用端子10が、乗員室7の後側空間部7bに露呈する。
【0049】
図1に示す様に、前記エンジンルーム3の車両後方に位置する後側空間部7bとの間を隔成するバルクヘッド8に形成された接続作業用開口部9周縁は、前記保護箱体13aの絶縁カバーフランジ部13dによって、覆われているので、この接続作業用開口部9内に挿入されるブースタケーブル20の+側クリップ部材20aが、この絶縁カバーフランジ部13dに接触しても、短絡する虞が無い。
【0050】
従って、この接続作業用開口部9が、所望の車体剛性を維持しつつ、大きく開口されていなくても、容易に接続作業用開口部9を介して、前記乗員室7の後側空間部7b側から、このエンジンルーム3内の助手席12下方に配置された前記バッテリ4に、アクセス可能である。
【0051】
このように、前記接続作業用開口部9内に位置する前記バッテリ4の+側端子4aから、前記延長コード4dが用いられて電気的に延設されたジャンプスタート用端子10に、前記ブースタケーブル20の+側クリップ部材20aを容易に、接続させることが出来る。
【0052】
従って、ジャンプスタート作業を行う際には、図7に示す比較例の様に、前記助手席12と共に、比較的重量を有する前記エンジンルームカバー部材6を、図中白抜き矢印に示す様に、車両後方へ向けて回動させることによって、エンジンルーム3の上面側3bの開口部3cを開閉塞する必要が無い。
【0053】
また、前記バッテリカバー部材5が配設されている車両では、このバッテリカバー部材5も、取り外す必要が生じるが、この実施の形態の車両1では、前記バッテリカバー部材5を取り外す必要が無い。
【0054】
このため、図6に示す様に、前記ジャンプスタート用端子10に、前記ブースタケーブル20の+側クリップ部材20aを接続させると共に、ボディアースされた前記センタピラー部23のドアストライカ部材24に、前記ブースタケーブル20の−側クリップ部材20bを接続させることにより、ジャンプスタート作業を行う準備が整うので、運転席11或いは助手席12等の乗員席に、乗員が、座ったまま、イグニッションスイッチを入れてエンジンスタートさせることが出来、ジャンプスタート作業の作業効率が良好である。
【0055】
更に、この実施の形態では、前記接続作業用開口部9には、合成樹脂製材によって構成された絶縁ボックス部材13が、前記エンジンルーム3側に凸設されたボックス形状を呈して、底面部13bの略中央に配置されると共に、ジャンプスタート作業を行わない場合は、前記メタルカバー部材14によって、この接続作業用開口部9が覆われて、前記フロアカーペット部材の下方に隠されて見えない。
【0056】
このため、例えば、バッテリ4が、トラック等、車両1の左,右何れかの側部外側に露出して配置されているものに比して、外観品質を向上させることが出来ると共に、誤接続の虞を減少させることができる。
【0057】
また、この実施の形態では、図3又は図4に示す様に、前記スライドドア22が開放された状態で、図6に示す様に、前記ジャンプスタート用端子10に、前記ブースタケーブル20の+側クリップ部材20aが接続されると共に、ボディアースされた前記センタピラー部23のドアストライカ部材24に、前記ブースタケーブル20の−側クリップ部材20bが接続される。
【0058】
前記センタピラー部23のドアストライカ部材24は、助手席12の下方のジャンプスタート用端子10が設けられている接続作業用開口部9に近い為、この点においてもジャンプスタート作業性が良好である。
【0059】
また、車両1のボディアース側の接続端子を、別部品で車両1に設ける必要が無い為、部品点数の増大を抑制できる。
【0060】
このように、バッテリ4を収納するエンジンルーム3が、乗員席が設けられる前側空間部7aの下方に位置していても、容易に、バッテリ上がり救助用のブースタケーブル20を接続出来て、ジャンプスタート作業を行うことが出来るキャブオーバー車の配線構造が提供される。
【0061】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態のキャブオーバー車の配線構造に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0062】
即ち、前記実施の形態のキャブオーバー車の配線構造では、ボディアースされた前記センタピラー部23のドアストライカ部材24に、前記ブースタケーブル20の−側クリップ部材20bを接続させているが、ボディアース側の−側クリップ部材20bが接続される部分は、車体のうち、ボディアースされている部分であれば、どの箇所でもよく、形状、数量及び材質等が特に限定されるものではない。
【0063】
また、この実施の形態のキャブオーバー車の配線構造では、前記助手席12の下方のバッテリ配置スペース3aに、バッテリ4が配置されているものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、運転席11等、乗員席の下方に、バッテリ4が配設されるものであれば、バッテリ配置スペース3aの形状、数量、及び材質が特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
前記実施の形態では、この発明のキャブオーバー車の配線構造として、乗員室7の前側空間部7aの下方にバッテリ配置スペース3aを有する車両1の構成を中心に説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等、車両のレイアウトによって、乗員室7の前側空間部7aの下方にバッテリ配置スペース3aを設ける等、上面側に開閉塞可能なカバー部材を有するものであれば、車体の前,後部或いは、中央部等、どのような自動車の部分に配置される車両の構造として用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
3 エンジンルーム
3a バッテリ配置スペース
3b 上面側
4 バッテリ
4a +側端子
6 エンジンカバー部材
7 乗員室
7a 前側空間部
7b 後側空間部
8 バルクヘッド(隔壁部材)
8b 縦壁面部
9 接続作業用開口部
10 ジャンプスタート用端子
12 助手席(乗員席)
13 絶縁ボックス部材
13b 底面部
13d 絶縁カバーフランジ部
14 メタルカバー部材
21 スライドドア開口部(ドア開口部)
23 センターピラー部(ピラー部)
24 ドアストライカ部材(ボディアース側のジャンプスタート用接続端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員室内空間に設けられた乗員席の下方に、エンジンルームカバー部材によって上面側を開閉塞可能とするエンジンルームを設け、該エンジンルーム内に、エンジン始動に用いるバッテリを配置して、該エンジンルームの車両後方に位置する乗員室内空間との間を隔成する隔壁部材を有するキャブオーバー車の配線構造であって、
前記隔壁部材に、前記乗員室内空間とエンジンルーム内空間とを連通する接続作業用開口部を開口形成して、前記バッテリの端子から電気的に延設されたジャンプスタート用端子を、該接続作業用開口部を介して、前記乗員室内空間側からアクセス可能に配置したことを特徴とするキャブオーバー車の配線構造。
【請求項2】
前記接続作業用開口部には、絶縁材によって構成された絶縁ボックス部材を設けて、該絶縁ボックス部材は、前記エンジンルーム側に凸設されたボックス形状の保護箱体内の底面部から、前記ジャンプスタート用端子を、車両後方に位置する乗員室内空間方向へ向けて突設して、該保護箱体の後面部に開口形成された乗員室側開孔部の周縁には、前記接続作業用開口部の開口周縁部に係止して、前記ジャンプスタート用端子にアクセスする際に、該周縁部の金属部分と、ジャンプスタートに用いる接続具とが、短絡しないように覆う絶縁カバーフランジ部を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載のキャブオーバー車の配線構造。
【請求項3】
前記接続作業用開口部には、開放により前記ジャンプスタート用端子を、前記乗員室内空間へ露出可能な金属製のメタルカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のキャブオーバー車の配線構造。
【請求項4】
前記バッテリのボディアース側端子を、前記車両のドア開口部の周縁を構成するピラー部に電気的に接続することにより、該ピラー部から突設されるドアストライカ部材を、ボディアース側のジャンプスタート用接続端子として用いることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項記載のキャブオーバー車の配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35685(P2012−35685A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175911(P2010−175911)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】