説明

キャリブレーション装置及びその方法、並びに、キャリブレーションプログラム及びそのキャリブレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】均一の暗い照度の状態及び均一の明るい照度の状態の各々において得られた2つの画像データに基づいて、画像入力装置が読み取る画像データの補正を行うことにより、読み取り画像の補正をより正確に行うキャリブレーション装置である。
【解決手段】キャリブレーション装置1は、画像入力装置100が読み取る画像データを補正する用途に用いられ、入力部11に、第1の照度の光が画像入力装置100の撮像部に均一に入射される第1の空間で画像入力装置100が読み取る第1の画像データと、第1の照度よりも明るい第2の照度の光が画像入力装置100の撮像部に均一に入射される第2の空間で画像入力装置100が読み取る第2の画像データと、が入力され、解析部12が、第1及び第2の画像データを解析して、画像入力装置100が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像入力装置により読み取られた画像データの補正に好適なキャリブレーション装置及びその方法、並びに、キャリブレーションプログラム及びそのキャリブレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PDC等の小型情報端末は、用紙等の原稿に形成された画像を読み取る画像入力装置を搭載する。このような小型情報端末に搭載された画像入力装置においては、同一表示パネル部内に液晶を駆動する駆動回路と光センサ素子とを実装する技術が考案されている。この実装技術により、画像入力装置が画像を表示するだけでなく、一般的なスキャナのように画像入力を行うこともできる。さらに、入力した画像をデータ処理することにより、画像入力装置の表示パネル部をタッチパネルとして利用することもできる。
【0003】
図18に、このような小型携帯情報端末に搭載された画像入力装置の表示パネル部の概略構造を示す。図18(b)は、図18(a)のA部の拡大図である。図18に示すように、従来の画像入力装置の表示パネル部50は、表示面51と、透明保護層52と、光センサ53と、遮光層54と、液晶基板55と、光源56と、ケース57と、を備えている。表示パネル部50は画像入力装置の表示部及び撮像部を兼ねており、表示面51に画像を表示すると共に、表示面51上に接触する原稿に形成された画像を読み取るものである。
【0004】
図18の表示パネル部50においては、遮光層54は光源56からの光を遮光するためのものであるが、光源56から照射される光を通過させるための開口部54aを有している。光センサ53は、二次元アレイ状に配置された複数の光センサ素子53aから構成されており、照射された光を電気信号に変換するためのものである。透明保護層52は、光センサ53を保護するための透明な保護層である。
【0005】
液晶基板55の一方の面上に遮光層54が形成されている。また、遮光層54と液晶基板55とが接する面の反対の面に光センサ53が設けられている。光センサ53を覆うように、液晶基板55上に透明保護層52が設けられている。また、光源56は、液晶基板55における、透明保護層52が設けられている面と反対の面側に設けられている。
【0006】
光源56から照射された光は、遮光層54の開口部54aを通過し、表示面51上の物体に当たり、反射される。そして、その反射光が光センサ53に感知されることにより、表示面51上の画像が読み取られる。
【0007】
ところで、表示面51に接した物体(撮像対象物)の画像を読み取る場合、画像の濃度値を単調に再現することが理想的である。しかし、実際には光センサ53を構成する各光センサ素子53aの特性(例えば、画素の感度等)のバラツキが原因となって、一様な濃度の物体を読み取っても、各光センサ素子53aからの出力信号にバラツキが出てしまう。このため、各光センサ素子53a間における感度のバラツキ等を補正し、一様な濃度の物体に対して、各光センサ素子53aから一様な出力を得るためのキャリブレーションを行わなければ正確な画像を得ることができない。
【0008】
例えば、特許文献1には互いに異なる濃度を有する2つ以上の濃度基準板を光センサアレイにより光電走査し、その光電走査により得られた未補正の濃度値を用いて入力画像データを補正するキャリブレーション方法が提案されている。
【0009】
また、特許文献2には光源をあらかじめ定めた時間、点灯しながら白基準板を読み取った画像データを白基準画像データとし、さらに、上記光源点灯時間より短い時間、光源を点灯しながら上記白基準板を読み取った画像データを模擬黒基準画像データとし、上記白基準画像データ及び模擬黒基準画像データを用いて、入力画像データを補正するキャリブレーション方法が提案されている。
【特許文献1】特開昭61−53868号公報(昭和61年3月17日公開)
【特許文献2】特開2004−260474号公報(平成16年9月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図18の表示パネル部50においては、光源56から表示面51に照射される光の強度が表示面51の中央部と端部とで異なっている。図19に、光源56から出射された光の経路の様子を示す。図19(b)は、図19(a)の表示面51における光の強度分布を模式的に表わす図であり、図19(c)は、図19(b)のB領域における表示面51の明るさを模式的に表わすグラフ図である。上述したように、光源56から出射された光は遮光層54の開口部54aを通して表示面51に照射される。このため、図19(a)に示すように、表示面51の中央部付近に比較すると端部における光の照射量が異なり、この違いに起因して表示面51の中央部と端部とで光の強度に差が生じてしまう。すなわち、図19(c)に示すように、表示面51の端部が中央部付近よりも暗くなってしまう。
【0011】
このため、入力画像データを補正するためにキャリブレーションする場合において、従来のキャリブレーション方法を用いると、表示面51の中央部付近と端部との間の光強度分布の違いにより、上述した基準板に光が均一に照射されない。その結果、上記基準板により反射された反射光も光センサ53に均一に照射されない。すなわち、光センサ53の端部に位置する光センサ素子53aと中央部付近に位置する光センサ素子53aとでは照射される光の強さに差が生じてしまう。図20に、この場合における光センサ53から得られた画像の様子を示す。図20に示すように、光センサ53の端部における画像は中央部付近と比べて暗くなっていることがわかる。
【0012】
このような状況において、図20に示した画像を用いて光センサ53の各光センサ素子53aの特性バラツキを補正した場合、光センサ53の端部における光強度が低いことにより、光センサ53の端部における光センサ素子53aのダイナミックレンジが小さくなるといった問題点があった。
【0013】
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、均一の暗い照度の状態及び均一の明るい照度の状態の各々において得られた2つの画像データに基づいて、画像入力装置が読み取る画像データの補正を行うことにより、読み取り画像の補正をより正確に行うことができるキャリブレーション装置及びその方法、並びに、キャリブレーションプログラム及びそのキャリブレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明にかかるキャリブレーション装置は、複数の光センサ素子を含む撮像部を有する画像入力装置が読み取る画像データを補正するキャリブレーション装置であって、第1の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第1の空間において前記画像入力装置が読み取る第1の画像データと、前記第1の照度よりも明るい第2の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第2の空間において前記画像入力装置が読み取る第2の画像データと、が入力される入力手段と、前記入力手段により入力された前記第1及び第2の画像データを解析し、当該解析結果に基づいて、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する解析手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
上記のキャリブレーション装置では、第1の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第1の空間において読み取られた第1の画像データと、第1の照度よりも明るい第2の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第2の空間において読み取られた第2の画像データとに基づいて、画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する。
【0016】
このため、各光センサ素子の入射光が不均一の場合と比べて、各光センサ素子の特性バラツキを精度良く補正することができるので、画像入力装置が読み取る画像データを補正するための補正データの精度を向上させることができる。その結果、画像入力装置が読み取る画像データのキャリブレーションを正確に行うことが可能となる。
【0017】
前記第1及び第2の空間において、前記画像入力装置による画像データの読み取りが実行されるべく、前記第1及び第2の空間を前記画像入力装置の周囲に画定する条件設定ユニットをさらに備えていることが好ましい。
【0018】
この場合、画像入力装置の周囲の空間を確実に第1及び第2の空間とすることができるので、画像入力装置が読み取る第1及び第2の画像データをより正確に取得することができる。
【0019】
前記条件設定ユニットは、前記第1の空間を画定する第1の照度設定部と、前記第2の空間を画定する第2の照度設定部と、を有し、前記第1の照度設定部は、前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定する第1の収納箱から構成されており、前記第2の照度設定部は、前記画像入力装置を収納する第2の収納箱と、前記第2の収納箱の内部に設けられた光源と、から構成され、前記第2の収納箱に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することが好ましい。
【0020】
この場合、条件設定ユニットを簡易な構成により実現することができるので、キャリブレーション装置のコストを低減できる。
【0021】
前記条件設定ユニットは、前記画像入力装置を収納する収納箱と、前記収納箱の内部に設けられた光源と、から構成され、前記収納箱に前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定すると共に、前記収納箱に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することが好ましい。
【0022】
この場合、条件設定ユニットを簡易な構成により実現することができるので、キャリブレーション装置のコストを低減できる。
【0023】
前記画像入力装置は、前記撮像部が配置された撮像部配置面を有しており、前記収納箱は、自身が前記画像入力装置を収納する際に前記画像入力装置の前記撮像部配置面に対向し、前記撮像部配置面よりも大きい面積を有する内面を有していることが好ましい。
【0024】
この場合、収納箱により画像入力装置の撮像部を確実に囲むことができるので、第1及び第2の空間を確実に画定することができる。
【0025】
前記条件設定ユニットは、前記第1の空間を画定する第1の照度設定部と、前記第2の空間を画定する第2の照度設定部と、を有し、前記第1の照度設定部は、前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定する第1の処理室から構成されており、前記第2の照度設定部は、前記画像入力装置を収納する第2の処理室と、前記第2の処理室の内部に設けられた光源と、から構成され、前記第2の処理室に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定しており、前記条件設定ユニットはさらに、前記画像入力装置が前記第1及び第2の処理室の内部に順次収納されるように、前記画像入力装置を搬送する搬送部を有していることが好ましい。
【0026】
この場合、画像入力装置は、第1の空間が画定される第1の処理室及び第2の空間が画定される第2の処理室の各内部に、例えば、この順で、搬送部により収納されることになる。このため、この搬送部による画像入力装置の搬送に合わせて第1及び第2の空間を策定させることにより、各空間において画像入力装置が読み取る画像データを効率よく取得することができる。
【0027】
前記条件設定ユニットは、前記画像入力装置を収納する処理室と、前記処理室の内部に設けられた光源と、前記画像入力装置が前記処理室の内部に収納されるように、前記画像入力装置を搬送する搬送部と、から構成され、前記条件設定ユニットは、前記搬送部により前記処理室に前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定すると共に、前記処理室に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することが好ましい。
【0028】
この場合、画像入力装置は、第1及び第2の空間が画定される処理室の内部に、移動を要することなく、収納されることになる。このため、第1及び第2の空間の画定を順に行うことにより、各空間において画像入力装置が読み取る画像データを効率よく取得することができる。
【0029】
前記画像入力装置の撮像部は、入射光の照度を当該照度に応じた電圧値を持つ電気信号に変換する前記複数の光センサ素子を有しており、前記第2の照度は、前記光センサ素子から出力される電気信号が飽和する入射光の照度未満であることが好ましい。
【0030】
この場合、光センサ素子の出力値が飽和することが無いので、画像入力装置が読み取る第2の画像データをより正確に取得することができる。
【0031】
前記画像入力装置の撮像部は、入射光の照度を当該照度に応じた電圧値を持つ電気信号に変換する前記複数の光センサ素子を有しており、前記解析手段は、前記複数の光センサ素子の各々について、前記第1の照度に応じた前記光センサ素子の出力値及び前記第2の照度に応じた前記光センサ素子の出力値を取得し、当該2つの出力値に基づいて前記光センサ素子による変換におけるオフセット値及びゲイン値を算出し、当該オフセット値及びゲイン値を前記補正データとして生成することが好ましい。
【0032】
この場合、各光センサ素子が入射光の照度を電気信号に変換する際にオフセット値及びゲイン値を用いて計算することができるので、各光センサ素子による変換を効率的に行うことができる。
【0033】
本発明にかかるキャリブレーションプログラムは、上記のキャリブレーション装置における各手段としてコンピュータを動作させるためのキャリブレーションプログラムである。
【0034】
上記のキャリブレーションプログラムでは、第1の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第1の空間において読み取られた第1の画像データと、第1の照度よりも明るい第2の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第2の空間において読み取られた第2の画像データとに基づいて、画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する。
【0035】
このため、各光センサ素子の入射光が不均一の場合と比べて、各光センサ素子の特性バラツキを精度良く補正することができるので、画像入力装置が読み取る画像データを補正するための補正データの精度を向上させることができる。その結果、画像入力装置が読み取る画像データのキャリブレーションを正確に行うことが可能となる。
【0036】
本発明にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記のキャリブレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0037】
上記の記録媒体に記録されたキャリブレーションプログラムでは、第1の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第1の空間において読み取られた第1の画像データと、第1の照度よりも明るい第2の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第2の空間において読み取られた第2の画像データとに基づいて、画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する。
【0038】
このため、各光センサ素子の入射光が不均一の場合と比べて、各光センサ素子の特性バラツキを精度良く補正することができるので、画像入力装置が読み取る画像データを補正するための補正データの精度を向上させることができる。その結果、画像入力装置が読み取る画像データのキャリブレーションを正確に行うことが可能となる。
【0039】
本発明にかかるキャリブレーション方法は、複数の光センサ素子を含む撮像部を有する画像入力装置が読み取る画像データを補正するキャリブレーション方法であって、第1の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第1の空間において前記画像入力装置が読み取る第1の画像データと、前記第1の照度よりも明るい第2の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第2の空間において前記画像入力装置が読み取る第2の画像データと、が入力される入力ステップと、前記入力ステップにて入力された前記第1及び第2の画像データを解析し、当該解析結果に基づいて、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する解析ステップと、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に、前記解析ステップにて生成された前記補正データに基づいて、前記画像入力装置が読み取る画像データを補正する補正ステップとを備えていることを特徴とする。
【0040】
上記のキャリブレーション方法では、第1の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第1の空間において読み取られた第1の画像データと、第1の照度よりも明るい第2の照度の光が各光センサ素子に均一に入射された第2の空間において読み取られた第2の画像データとに基づいて、画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する。
【0041】
このため、各光センサ素子の入射光が不均一の場合と比べて、各光センサ素子の特性バラツキを精度良く補正することができるので、画像入力装置が読み取る画像データを補正するための補正データの精度を向上させることができる。その結果、画像入力装置が読み取る画像データのキャリブレーションを正確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、以上のように、第1の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第1の空間において前記画像入力装置が読み取る第1の画像データと、前記第1の照度よりも明るい第2の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第2の空間において前記画像入力装置が読み取る第2の画像データと、が入力される入力手段と、前記入力手段により入力された前記第1及び第2の画像データを解析し、当該解析結果に基づいて、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する解析手段とを備えているものである。
【0043】
それゆえ、均一の暗い照度の状態及び均一の明るい照度の状態の各々において得られた2つの画像データに基づいて、画像入力装置が読み取る画像データの補正を行うことにより、読み取り画像の補正をより正確に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0045】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション装置は、互いに異なる2つの照度条件(以下、「暗条件(第1の照度条件)」及び「明条件(第2の照度条件)」と記す)の各々の空間(第1の空間及び第2の空間)において画像入力装置が読み取った各画像データ(以下、「暗データ(第1の画像データ)」及び「明データ(第2の画像データ)」を記す)を取得し、取得された2つの画像データに基づいて、画像入力装置が読み取る画像データを補正するための補正データを求め、画像入力装置に出力するものである。
【0046】
ここで、上記補正データとは、光源の照度(発光輝度)の不均一、光センサを構成する各光センサ素子の特性(例えば、画素の感度等)のバラツキ等を補正し、一様濃度の画像に対して一様出力を得るためのデータであり、この補正データは画像入力装置が読み取る画像データを補正する際に利用される。
【0047】
図1は、本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1は、画像入力装置100が読み取る画像データを補正するための補正データを生成するキャリブレーションユニット10と、画像入力装置100に対し上記暗条件及び明条件の各々を設定可能な条件設定ユニット20と、を備えている。
【0048】
さらに、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1においては、キャリブレーションユニット10は、入力部(入力手段)11と、解析部(解析手段)12と、記憶部13と、出力部14と、を有している。また、条件設定ユニット20は、暗条件設定部21と、明条件設定部22と、を有している。
【0049】
なお、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1がキャリブレーションを行う画像入力装置としては、例えば、画像表示と画像入力の両方の機能を持つ小型情報端末が挙げられる。この小型情報端末の概略構成の機能ブロック図を図2に示す。この画像入力装置100は、図2に示すように、情報を表示するための液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)等を持つ表示部101と、画像を光学的に読み取るための撮像部102と、画像入力装置100における各種の制御を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103で実行されるプログラムや作業データ等を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるメモリ104と、を有している。画像を表示する表示部101及び画像を読み取る撮像部102は、例えば、図18に示した表示パネル部50を実現するものである。図3に、この画像入力装置100の全体図を示す。この画像入力装置100には、図3に示すように、表示パネル部50(表示部102及び撮像部103)が配置された表示パネル面(撮像部配置面)が設けられており、画像入力装置100の利用者は表示パネル部50を用いて画像表示及び画像入力が可能である。
【0050】
以下、本発明の実施の形態では、図2に示した画像入力装置100が読み取る画像データをキャリブレーションするためのキャリブレーション装置1を例に実施の形態として説明する。また、図2の画像入力装置100の表示部101及び撮像部102は図18の表示パネル部50と同一の構成を持つものとする。
【0051】
本実施の形態のキャリブレーションユニット10において、入力部11は、暗条件の下における画像入力装置100の読み取り画像データである暗データ(第1の画像データ)及び、明条件の下における画像入力装置100の読み取り画像データである明データ(第2の画像データ)が、画像入力装置100から入力されるものである。入力部11は画像入力装置100の撮像部102と接続されており、撮像部102により獲得された上記暗データ及び明データが入力される。
【0052】
解析部12は、入力部11から入力された上記暗データ及び明データを解析し、画像入力装置100の読み取り画像データを補正するための補正データを算出する。記憶部13は、解析部12により算出された補正データを記憶する。記憶部13は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置、半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。
【0053】
出力部14は、記憶部13から上記の補正値を読み出し、読み出した補正値を画像入力装置100に出力する。
【0054】
本実施の形態の条件設定ユニット20において、暗条件設定部21は、図18の光センサ53全体に暗い照度の光を均一に照射するべく、その暗い照度の光を出射可能とするものである。暗条件設定部21は、例えば、画像入力装置100全体を囲み、外光が画像入力装置100に入射されることを遮断することにより、上記暗条件を実現することができるものであればよい。具体的には、例えば図4に示すように、画像入力装置100を収納可能であり、画像入力装置100全体を囲むことにより外光の入射を遮断する略直方体形状の収納箱211で実現可能である。また、収納箱211は、画像入力装置100を完全に収納できるよう、画像入力装置100の表示パネル面に対向する内面が表示パネル面よりも大きい面積を有している。
【0055】
より具体的には、収納箱211の内部には光吸収材がコーティングされていることが好ましい。そのコーティング方法としては、コーティング材として顔料(カーボンブラック)等を用いて塗装する方法、コーティング材として黒色クロム、黒色ニッケル、黒色亜鉛等の金属を鍍金する方法等が挙げられる。単純に、黒色の紙を収納箱211の内部に貼るだけでもよい。画像入力装置100を収納箱211に収納した場合、上記コーティング等により収納箱211の内部を一定の暗さの照度に保つことができるので、光センサ53全体に暗い照度の光を均一に照射することができる。また、外光の収納箱211への入射をより効果的に防止するためには、例えば、収納箱211の箱の縁にスポンジやゴム等を敷くことがより好ましい。
【0056】
一方、明条件設定部22は、図18の光センサ53全体に明るい照度の光を均一に照射するべく、その明るい照度の光を出射可能とするものである。明条件設定部22は、例えば、画像入力装置100全体を囲み、画像入力装置100全体に明るい照度の光を照射することにより、上記明条件を実現することができるものであればよい。具体的には、例えば図5に示すように、画像入力装置100を収納可能であり、その内部に光源222が設けられ、光源222が明るい照度の光を出射する略直方体形状の収納箱221で実現可能である。また、収納箱221は、画像入力装置100を完全に収納できるよう、画像入力装置100の表示パネル面に対向する内面が表示パネル面よりも大きい面積を有している。
【0057】
より具体的には、収納箱221の内部に設けられた光源222が収納箱221内全体の照度を一定の明るさにすることができる程度の光を出射可能であることが好ましい。光源222としては、例えば、有機ELライト、パネル型白色LED(発光ダイオード)ライト等を用いればよい。また、光源222は収納箱221の内部全体に設ける必要は無く、図5に示すように、画像入力装置100が収納箱221に収納された際に、光源222が画像入力装置100の表示パネル部50に対向する収納箱221の内面に設置しておけばよい。もちろん、必ずしも、光源222に対向する内面に設ける必要は無く、光源222の出射光のパワーが大きく、収納箱221の内面のいずれにあった場合でも収納箱211内全体の照度を一定の明るさにすることができるものであれば、上記の対向面に光源221の設置が限られるものではない。
【0058】
光源222の出射光により実現される収納箱221内の照度は、光センサ53を構成する各光センサ素子53aの出力値が飽和しない値に設定されている。各光センサ素子53aは入射光の照度に応じた電圧値を持つ電気信号に変換するものであるが、各光センサ素子53aが変換可能な照度範囲を入射光の照度が超えた場合、各光センサ素子53aから出力される電気信号の電圧値が飽和し、各光センサ素子53aが光センサ素子としての機能を果たさない。このため、収納箱221内の照度は、各光センサ素子53aの出力値が飽和する入射光の照度(以下、「飽和最大照度」と記す)未満となるように設定されるのが好ましい。したがって、収納箱221内の照度が光源222の出射光パワーに依存する場合であれば、収納箱221内の照度を上記飽和最大照度未満となるように、光源222の出射光パワーを設定することが好ましい。
【0059】
次に、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1の動作について、図6を用いて説明する。図6は、キャリブレーション装置1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、暗条件設定部21として図4の収納箱211を用い、明条件設定部22として図5の収納箱221を用いた例を説明する。
【0060】
図6において、キャリブレーション装置1の暗条件設定部21が画像入力装置100に対して暗条件を設定し(ステップS101)、暗条件設定部21による暗条件の実現に合わせて画像入力装置100の光センサ53により取得された画像データである暗データが入力部11に入力される(ステップS102)。
【0061】
上記ステップS101及びステップS102においては、図7に示すように、まず、画像入力装置100が作業台等の主面上に配置された後、収納箱211が画像入力装置100の上方に配置される。そして、画像入力装置100が完全に収納箱211に囲まれるように収納箱211が下降し、収納箱211が画像入力装置100上に配置される。
【0062】
収納箱211が画像入力装置100を収納した後に、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが暗データとして入力部11に入力される。
【0063】
ここで、この暗データ取得の際、画像入力装置100自身が有する光源は点灯状態であっても消灯状態であっても構わない。いずれの場合であっても、収納箱211による暗条件の実現によって、画像入力装置100自身が有する光源からの出射光が画像入力装置100の光センサ53に影響を及ぼすことが抑制されるからである。
【0064】
キャリブレーション装置1の明条件設定部22が画像入力装置100に対して明条件を設定し(ステップS103)、明条件設定部22による明条件の実現に合わせて画像入力装置100の光センサ53により取得された画像データである明データが入力部11に入力される(ステップS104)。
【0065】
上記ステップS103及びステップS104においては、図8に示すように、まず、画像入力装置100が作業台等の主面上に配置された後、収納箱221が画像入力装置100の上方に配置される。そして、画像入力装置100が完全に収納箱221に囲まれるように収納箱221が下降し、収納箱221が画像入力装置100上に配置される。
【0066】
収納箱221が画像入力装置100を収納した後に、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが明データとして入力部11に入力される。
【0067】
ここで、この明データ取得の際、画像入力装置100自身が有する光源は点灯状態であっても消灯状態であっても構わない。いずれの場合であっても、収納箱221による暗条件の実現によって、画像入力装置100自身が有する光源からの出射光が画像入力装置100の光センサ53に影響を及ぼすことが抑制されるからである。
【0068】
このようにして、キャリブレーション装置1の入力部11に、暗データ及び明データが入力されることになる。暗データ及び明データとしては、例えば、光センサ53を構成する各光センサ素子53aの出力値が8ビットのデジタル量として表わされたデータとして入力される。この場合、各光センサ素子53aの入射光の照度が2=256(0〜255)階調のデジタル信号として出力されることになる。
【0069】
次に、キャリブレーション装置1の解析部12は、入力部11から入力された暗データ及び明データを取得し、通常時に画像入力装置100が光センサ53により取得する画像データを補正するための補正データを算出する(ステップS105)。
【0070】
上記ステップS105においては、解析部12は、光センサ53を構成する各光センサ素子53aの出力値である256階調のデジタル信号を、暗データ及び明データの各々について取得する。そして、解析部12は、各光センサ素子53aについてキャリブレーション処理を実行することにより、各光センサ素子53aについての補正データを算出する。以下、このキャリブレーション処理について図9を用いて説明する。なお、ここでは、光センサ53を構成する各光センサ素子53aの出力値のうち、暗データについての出力値をbb、明データについての出力値をwbとする。
【0071】
このキャリブレーション処理においては、光センサ素子53aについての補正データは次の手順で算出される。
【0072】
(1)図9(a)に示すように、光センサ素子53aのbb及びwbをマッピングし、bbの値をオフセット値offset0と設定する。
【0073】
(2)図9(a)の矢印C及びDに示すように、光センサ素子53aのbb及びwbの各々からオフセット値offset0を減算する。つまり、bbが画素値0にマッピングされるように、bb及びwbを平行移動させる。
【0074】
(3)図9(b)に示すように、減算されたbb−offset0及びwb−offset0の各々の値を再度、マッピングする。
【0075】
(4)図9(b)の矢印Eに示すように、wb−offset0を画素値255にマッピングし、次式によりゲイン値gain0を算出する。なお、図9(b)の矢印Fに示すように、bb−offset0はそのまま画素値0とする。
【0076】
gain0=255/(wb−offset0
なお、上記の式はwb−offset0を画素値255にマッピングすることを表わす下記の式から導き出される。
【0077】
255=gain0×(wb−offset0
このようにして、解析部12は各光センサ素子53aについての補正データであるオフセット値offset0及びゲイン値gain0の各々を算出することができる。そして、解析部12は光センサ素子53aごとにオフセット値offset0及びゲイン値gain0の各々を算出し、各光センサ素子53aに関連付けて記憶部13に記憶する。
【0078】
キャリブレーション装置1の出力部14は記憶部13から光センサ素子53aごとにオフセット値offset0及びゲイン値gain0の各々を取り出し、画像入力装置100に出力する(ステップS106)。
【0079】
なお、上記のステップS101〜106の処理は、通常、画像入力装置100の出荷前に行われるが、出荷後に行ってももちろん構わない。
【0080】
次に、キャリブレーション装置1から出力された上記補正データを受取った画像入力装置100の動作について、図10を用いて説明する。図10は、画像入力装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0081】
図10において、画像入力装置100はキャリブレーション装置1から出力された上記補正データを各光センサ素子53aに関連付けられたオフセット値offset0及びゲイン値gain0として受け取り、メモリ104に記憶する(ステップS201)。
【0082】
画像入力装置100のCPU103は、撮像部102による画像データの取得が開始されると、各光センサ素子53aのオフセット値offset0及びゲイン値gain0をメモリ104から取り出し(S202)、各光センサ素子53aの出力値に対し、各光センサ素子53aに対応するオフセット値offset0及びゲイン値gain0を用いて、各光センサ素子53aの出力値を補正する(ステップS203)。
【0083】
画像入力装置100のCPU103は、自身により補正された各光センサ素子53aの出力値に基づいて、撮像部102により読み取られた画像データを表示部101に表示する(ステップS204)。
【0084】
次に、上記のステップS203における各光センサ素子53aの出力値の補正処理について、図11を用いて説明する。なお、ここでも、光センサ53を構成する各光センサ素子53aの出力値のうち、暗データについての出力値をbb、明データについての出力値をwb、補正対象である通常時についての出力値をsdとする。
【0085】
この補正処理においては、光センサ素子53aの出力値の補正値は次の手順で算出される。
【0086】
(1)図11に示すように、光センサ素子53aのsdをマッピングする。
【0087】
(2)図11の矢印Gに示すように、光センサ素子53aのsdからオフセット値offset0を減算し、その減算結果であるsd−offset0にゲイン値gain0を乗算する。
【0088】
すなわち、光センサ素子53aのsdの補正値は次式により算出することができる。
【0089】
sdの補正値=(sd−offset0)×gain0
このようにして、CPU103は各光センサ素子53aについての出力値の補正値を算出することができる。
【0090】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。上記の実施の形態1は、暗条件設定部21と明条件設定部22とは互いに異なる別体の収納箱によって実現する例を説明する実施の形態であった。一方、本実施の形態は、上記の実施の形態1の暗条件設定部21及び明条件設定部22を同一の収納箱を用いて実現する例を説明する実施の形態である。なお、暗条件設定部21及び明条件設定部22を同一の収納箱を用いて実現する以外は上記の実施の形態1と同様であり、ここでは、この異なる点のみを説明する。
【0091】
上述したように、本実施の形態の条件設定ユニット20において、暗条件設定部21及び明条件設定部22は同一の収納箱により実現される。具体的には、例えば図12に示すように、画像入力装置100を収納可能であり、画像入力装置100全体を囲むことにより外光の入射を遮断し、且つ、その内部に光源213が設けられ、光源213が明るい照度の光を出射可能である略直方体形状の収納箱212で実現可能である。この収納箱212は、光源213の状態を点灯/消灯との間において切り替えることにより、暗条件と明条件を実現することができ、そうすることにより、キャリブレーション装置1の製造コストを低減できる。
【0092】
本実施の形態の光源213としては、例えば、有機ELライト、パネル型白色LED(発光ダイオード)ライト等を用いればよい。また、図12においては、光源213が収納箱212の内部全体に設けられているが、上記の実施と同様、内部全体に必ずしも設ける必要は無く、光源213が画像入力装置100の表示パネル部50に対向する収納箱の内面に設置しておいてもよい。もちろん、必ずしも、光源213に対向する内面に設ける必要は無く、光源213の出射光のパワーが大きく、収納箱212の内面のいずれにあった場合でも収納箱212内全体の照度を一定の明るさにすることができるものであれば、上記の対向面に光源213の設置が限られるものではない。
【0093】
また、光源213が収納箱212の内部全体に設けられない場合であれば、上記の実施の形態1と同様、収納箱212のその他の内部に光吸収材をコーティングしておけばよい。もちろん、単純に、黒色の紙を貼るだけでもよい。さらに、外光の収納箱212への入射をより効果的に防止するためには、例えば、収納箱212の箱の縁にスポンジやゴム等を敷くことがより好ましい。
【0094】
次に、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1の動作について、図13を用いて説明する。図13は、キャリブレーション装置1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、暗条件設定部21及び明条件設定部22として図12の収納箱212を用いた例を説明する。
【0095】
図13において、キャリブレーション装置1の暗条件設定部21が画像入力装置100に対して暗条件を設定し(ステップS301)、暗条件設定部21による暗条件の実現に合わせて画像入力装置100の光センサ53により取得された画像データである暗データが入力部11に入力される(ステップS302)。
【0096】
上記ステップS301及びステップS302においては、まず、画像入力装置100が作業台等の主面上に配置された後、収納箱212が画像入力装置100の上方に配置される。そして、画像入力装置100が完全に収納箱212に囲まれるように収納箱212が下降し、収納箱212が画像入力装置100上に配置される。
【0097】
収納箱212が画像入力装置100を収納した後に、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが暗データとして入力部11に入力される。この取得の際、収納箱212内の光源213の状態は消灯状態となっている。
【0098】
キャリブレーション装置1の明条件設定部22が画像入力装置100に対して明条件を設定し(ステップS303)、明条件設定部22による明条件の実現に合わせて画像入力装置100の光センサ53により取得された画像データである明データが入力部11に入力される(ステップS304)。
【0099】
上記ステップS303及びステップS304においては、まず、画像入力装置100が作業台等の主面上に配置された後、収納箱212が画像入力装置100の上方に配置される。そして、画像入力装置100が完全に収納箱212に囲まれるように収納箱212が下降し、収納箱212が画像入力装置100上に配置される。
【0100】
収納箱212が画像入力装置100を収納した後に、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが明データとして入力部11に入力される。この取得の際、収納箱212内の光源213の状態は点灯状態となっている。
【0101】
このようにして、キャリブレーション装置1の入力部11に、暗データ及び明データが入力されることになる。
【0102】
次に、キャリブレーション装置1の解析部12は、入力部11から入力された暗データ及び明データを取得し、通常時に画像入力装置100が光センサ53により取得する画像データを補正するための補正データを算出する(ステップS305)。そして、解析部12は光センサ素子53aごとにオフセット値offset0及びゲイン値gain0の各々を算出し、各光センサ素子53aに関連付けて記憶部13に記憶する。
【0103】
キャリブレーション装置1の出力部14は記憶部13から光センサ素子53aごとにオフセット値offset0及びゲイン値gain0の各々を取り出し、画像入力装置100に出力する(ステップS306)。
【0104】
上記のステップS301〜306の処理は、通常、画像入力装置100の出荷前に行われるが、出荷後に行ってももちろん構わない。
【0105】
なお、キャリブレーション装置1から出力された上記補正データを受取った画像入力装置100の動作については、上記の実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0106】
上記の各実施の形態においては、暗条件設定部21及び明条件設定部22を略直方体形状の収納箱を用いて実現しているが、この例に特に限られず、略円筒形状の収納箱を用いても構わない。この場合、明条件設定部22については、その略円筒形状の半径がより大きいことが好ましい。そうすることにより、光源からの光が画像入力装置の表示パネル部により均等に照射されることになり、より安定した明条件を実現することができる。
【0107】
また、上記の各実施の形態においては、明条件設定部22を略直方体形状の収納箱内に設けた光源を用いて実現しているが、この例に特に限られず、収納箱を用いることなく、光源からの光を照射することにより、明条件を実現するようにしてもよい。この場合、利用される光源が、画像入力装置100の表示パネル部50に均一の明るい照度の光を照射することができる光源であればよい。
【0108】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。上記の実施の形態1、2は、条件設定ユニット20の暗条件設定部21及び明条件設定部22を別体または同一の収納箱を用いて実現し、例えば作業台の主面上に配置された画像入力装置100の上方から収納箱を下降させることにより、画像入力装置100を各収納箱に収納する例を説明する実施の形態であった。
【0109】
一方、本実施の形態は、暗条件設定部21及び明条件設定部22を2つの処理室を用いて実現し、画像入力装置100をそれら各処理室の内部を順に通過させる例を説明する実施の形態である。なお、暗条件設定部21及び明条件設定部22を2つの処理室を用いて実現する以外は、上記の実施の形態1、2と同様であり、ここでは、この異なる点のみを説明する。
【0110】
図14は、本実施の形態にかかる条件設定ユニットの構成図である。本実施の形態にかかる条件設定ユニット20aにおいては、図14に示すように、駆動部(搬送部)331、332により循環するベルト(搬送部)321上に暗条件処理室311及び明条件処理室312が設置されている。
【0111】
暗条件処理室311は入口313a及び出口313bを有している。これら入口313a及び出口313bは基本的には閉じており、画像入力装置100が出入りする時のみ開閉するものである。入口313a及び出口313bは、例えば開閉扉を用いて構成すればよく、その開閉する仕組みとしては、開閉扉を機械式にスライドさせる方法がある。また、そのような開閉扉を設けることに代えて、入口313a及び出口313bに布を垂らしておくだけでもよい。
【0112】
明条件処理室312も入口315a及び出口315bを有している。これら入口315a及び出口315bの構成については、暗条件処理室311の入口313a及び出口313bの構成と同様である。
【0113】
画像入力装置100はベルト321上に配置され、駆動部331、332によるベルト321の循環によって暗条件処理室311及び明条件処理室312の内部を通過する。暗条件処理室311の入口313a付近には、物体検知センサ322が設けられており、暗条件処理室311に接近して来る画像入力装置100の位置が物体検知センサ322により検知される。画像入力装置100が暗条件処理室311内に進入した時点でベルト321の循環が停止し、暗データの取得が開始される。物体検知センサ322としては、フォトインタラプタ、超音波センサ等を用いればよい。
【0114】
暗データの取得終了後、駆動部331、332によるベルト321の循環が再度開始され、画像入力装置100は暗条件処理室311内から出て行く。暗条件処理室311は画像入力装置100を収納可能であり、画像入力装置100全体を覆うことにより外光の入射を遮断し、且つ、その内部は光吸収材がコーティングされており、暗条件を実現することができる処理室である。光吸収材としては、例えば、顔料をコーティングする方法、黒色クロム、黒色ニッケル、黒色亜鉛等の金属を鍍金する方法等を用いればよい。もちろん、単純に、黒色の紙を貼るだけでもよい。
【0115】
明条件処理室312の入口315a付近にも物体検知センサ323が設けられている。この物体検知センサ323の構成については、暗条件処理室311の物体検知センサ322の構成と同様である。画像入力装置100が明条件処理室312内に進入した時点でベルト321の循環が停止し、明データの取得が開始される。
【0116】
明データの取得終了後、駆動部331、332によるベルト321の循環が再度開始され、画像入力装置100は明条件処理室312内から出て行く。明条件処理室312は画像入力装置100を収納可能であり、画像入力装置100全体を覆うことにより外光の入射を遮断し、且つ、その内部に光源314が設けられている。光源314が明るい照度の光を出射可能であり、明条件処理室312内に明条件を実現することができる。
【0117】
光源314としては、例えば、有機ELライト、パネル型白色LED(発光ダイオード)ライト等を用いればよい。また、図14においては、光源314が画像入力装置100の表示パネル部50に対向する明条件処理室312の内部に設置しているが、内部全体に設けてもよい。もちろん、必ずしも、光源314に対向する内面に設ける必要は無く、光源314の出射光のパワーが大きく、明条件処理室312の内面のいずれかにあった場合でも、明条件処理室312内全体の照度を一定の明るさにすることができるものであれば、上記の対向面に光源314の設置が限られるものではない。
【0118】
制御部333は、駆動部331、332、暗条件処理室311、明条件処理室312、物体検知センサ322、323の各々と接続し、暗条件処理室311及び明条件処理室312の各々への画像入力装置100の進入及び退出を制御する。具体的には、制御部333は、画像入力装置100がベルト321上に配置されると、駆動部331、332の駆動を開始し、画像入力装置100を暗条件処理室311側に移動させる。物体検知センサ322が画像入力装置100の位置を検知し、制御部333は、その検知信号に基づいて暗条件処理室311の入口313aを閉状態から開状態に移行させる。画像入力装置100が暗条件処理室311に進入した後、制御部333は入口313aを再び閉状態に移行させる。暗条件処理室311における暗データの取得終了後、制御部333は暗条件処理室311の出口313bを閉状態から開状態に移行させた後、暗条件処理室311から画像入力装置100を退出させる。制御部333は、暗条件処理室311からの画像入力装置100の退出後、暗条件処理室311の出口313bを再び閉状態に移行させる。
【0119】
同様にして、制御部333は、画像入力装置100を明条件処理室312側に移動させる。物体検知センサ323が画像入力装置100の位置を検知し、制御部333は、その検知信号に基づいて明条件処理室312の入口315aを閉状態から開状態に移行させる。画像入力装置100が明条件処理室312に進入した後、制御部333は入口315aを再び閉状態に移行させる。明条件処理室312における明データの取得終了後、制御部33は明条件処理室312の出口315bを閉状態から開状態に移行させた後、明条件処理室312から画像入力装置100を退出させる。制御部333は、明条件処理室312からの画像入力装置100の退出後、明条件処理室312の出口315bを再び閉状態に移行させる。
【0120】
次に、本実施の形態にかかる条件設定ユニット20aを備えたキャリブレーション装置1の動作について、図15を用いて説明する。図15は、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0121】
図15において、暗条件処理室311内に暗条件が実現される(ステップS401)。そして、画像入力装置100がベルト321上に配置され、暗条件処理室311に向かって移動する。物体検知センサ322により画像入力装置100が検知されると、暗条件処理室311の入口313aが開き、画像入力装置100が暗条件処理室311内に進入し、収納される(ステップS402)。
【0122】
画像入力装置100が暗条件処理室311に収納された後、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが暗データとして入力部11に入力される(ステップS403)。そして、暗データの取得後、ベルト321が動作し、画像入力装置100が暗条件処理室311から退出する(ステップS404)。
【0123】
次に、明条件処理室312内に明条件が実現される(ステップS405)。そして、画像入力装置100が明条件処理室312に向かって再び移動する。物体検知センサ323により画像入力装置100が検知されると、明条件処理室312の入口315aが開き、画像入力装置100が明条件処理室312内に進入し、収納される(ステップS406)。
【0124】
画像入力装置100が明条件処理室312に収納された後、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが明データとして入力部11に入力される(ステップS407)。そして、明データの取得後、ベルト321が動作し、画像入力装置100が明条件処理室312から退出する(ステップS408)。
【0125】
このようにして、キャリブレーション装置1の入力部11に、暗データ及び明データが入力されることになる。
【0126】
次に、キャリブレーション装置1の解析部12は、入力部11から入力された暗データ及び明データを取得し、通常時に画像入力装置100が光センサ53により取得する画像データを補正するための補正データを算出し、記憶部13に記憶する(ステップS409)。そして、キャリブレーション装置1の出力部14は記憶部13から補正データを取り出し、画像入力装置100に出力する(ステップS410)。
【0127】
上記のステップS401〜410の処理は、通常、画像入力装置100の出荷前に行われるが、出荷後に行ってももちろん構わない。
【0128】
なお、キャリブレーション装置1から出力された上記補正データを受取った画像入力装置100の動作については、上記の実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0129】
上記の各実施の形態においては、一度に複数の画像入力装置100が暗条件処理室311、明条件処理室312に収納された後に、暗データ、明データを取得してもよい。その場合、同時に複数の画像入力装置100に対する暗データ、明データを取得できるため、複数の画像入力装置100のキャリブレーションを短い時間で行うことができる。
【0130】
また、図14の例では、暗条件処理室311、明条件処理室312の形状を直方体で表わしているが、この例に特に限られず、略円筒形状を用いても構わない。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。上記の実施の形態3は、暗条件設定部21と明条件設定部22とは互いに異なる別体の処理室311、312によって実現する例を説明する実施の形態であった。
【0131】
一方、本実施の形態は、暗条件設定部21及び明条件設定部22を同一の処理室を用いて実現する例を説明する実施の形態である。なお、暗条件設定部21及び明条件設定部22を同一の収納箱を用いて実現する以外は上記の実施の形態3と同様であり、ここでは、この異なる点のみを説明する。
【0132】
図16は、本実施の形態にかかる条件設定ユニットの構成図である。本実施の形態にかかる条件設定ユニット20bにおいては、図16に示すように、駆動部(搬送部)431、432により循環するベルト(搬送部)421上に処理室411が設置されている。
【0133】
処理室411は入口413a及び出口413bを有している。これら入口413a及び出口413bは基本的には閉じており、画像入力装置100が出入りする時のみ開閉するものである。入口413a及び出口413bは、例えば開閉扉を用いて構成すればよく、その開閉する仕組みとしては、開閉扉を機械式にスライドさせる方法がある。また、そのような開閉扉を設けることに代えて、入口413a及び出口413bに布を垂らしておくだけでもよい。
【0134】
画像入力装置100はベルト421上に配置され、駆動部431、432によるベルト421の循環によって処理室411の内部を通過する。処理室411の入口413a付近には、物体検知センサ422が設けられており、処理室411に接近して来る画像入力装置100の位置が物体検知センサ422により検知される。画像入力装置100が処理室411内に進入した時点でベルト421の循環が停止し、暗データ及び明データの取得が開始される。物体検知センサ422としては、フォトインタラプタ、超音波センサ等を用いればよい。
【0135】
暗データ及び明データの取得終了後、駆動部431、432によるベルト421の循環が再度開始され、画像入力装置100は処理室411内から出て行く。
【0136】
処理室411は画像入力装置100を収納可能であり、画像入力装置100全体を覆うことにより外光の入射を遮断し、且つ、その内部に光源412が設けられ、光源412が明るい照度の光を出射可能である。この処理室411は、光源412の状態を点灯/消灯との間において切り替えることにより、自身の内部に暗条件と明条件を実現することができ、そうすることにより、キャリブレーション装置1の製造コストを低減できる。
【0137】
本実施の形態の光源412としては、例えば、有機ELライト、パネル型白色LED(発光ダイオード)ライト等を用いればよい。また、図16においては、光源412が画像入力装置100の表示パネル部50に対向する処理室411の内面に設置されているが、内部全体に設けてもよい。もちろん、必ずしも、光源412に対向する内面に設ける必要は無く、光源412の出射光のパワーが大きく、処理室411の内面のいずれかにあった場合でも処理室411内全体の照度を一定の明るさにすることができるものであれば、上記の対向面に光源412の設置が限られるものではない。
【0138】
また、光源412が処理室411の内部全体に設けられない場合であれば、上記の実施の形態1、2と同様、処理室411のその他の内部に光吸収材をコーティングしておけばよい。もちろん、単純に、黒色の紙を貼るだけでもよい。
【0139】
制御部433は、駆動部431、432、処理室411、物体検知センサ422の各々と接続し、処理室411への画像入力装置100の進入及び退出を制御する。具体的には、制御部433は、画像入力装置100がベルト421上に配置されると、駆動部431、432の駆動を開始し、画像入力装置100を処理室411側に移動させる。物体検知センサ422が画像入力装置100の位置を検知し、制御部433は、その検知信号に基づいて処理室411の入口413aを閉状態から開状態に移行させる。画像入力装置100が処理室411に進入した後、制御部433は入口413aを再び閉状態に移行させる。処理室411における暗データ及び明データの取得終了後、制御部433は処理室411の出口413bを閉状態から開状態に移行させた後、処理室411から画像入力装置100を退出させる。制御部433は、処理室411からの画像入力装置100の退出後、処理室411の出口413bを再び閉状態に移行させる。
【0140】
次に、本実施の形態にかかる条件設定ユニット20bを備えたキャリブレーション装置1の動作について、図17を用いて説明する。図17は、本実施の形態にかかるキャリブレーション装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0141】
図17において、処理室411内に暗条件が実現される(ステップS501)。そして、画像入力装置100がベルト421上に配置され、処理室411に向かって移動する。物体検知センサ422により画像入力装置100が検知されると、処理室411の入口413aが開き、画像入力装置100が処理室411内に進入し、収納される(ステップS502)。
【0142】
画像入力装置100が処理室411に収納された後、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが暗データとして入力部11に入力される(ステップS503)。そして、暗データの取得後、今度は、処理室411内に明条件が実現される(ステップS504)。
【0143】
そして、画像入力装置100の光センサ53により画像データが取得され、その取得された画像データが明データとして入力部11に入力される(ステップS505)。そして、明データの取得後、ベルト421が動作し、画像入力装置100が処理室411から退出する(ステップS506)。
【0144】
このようにして、キャリブレーション装置1の入力部11に、暗データ及び明データが入力されることになる。
【0145】
次に、キャリブレーション装置1の解析部12は、入力部11から入力された暗データ及び明データを取得し、通常時に画像入力装置100が光センサ53により取得する画像データを補正するための補正データを算出し、記憶部13に記憶する(ステップS507)。そして、キャリブレーション装置1の出力部14は記憶部13から補正データを取り出し、画像入力装置100に出力する(ステップS508)。
【0146】
上記のステップS501〜508の処理は、通常、画像入力装置100の出荷前に行われるが、出荷後に行ってももちろん構わない。
【0147】
なお、キャリブレーション装置1から出力された上記補正データを受取った画像入力装置100の動作については、上記の実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0148】
上記の各実施の形態においては、一度に複数の画像入力装置100が処理室411に収納された後に、暗データ、明データを取得してもよい。その場合、同時に複数の画像入力装置100に対する暗データ、明データを取得できるため、複数の画像入力装置100のキャリブレーションを短い時間で行うことができる。
【0149】
また、図16の例では、処理室411の形状を直方体で表わしているが、この例に特に限られず、略円筒形状を用いても構わない。
【0150】
最後に、上記の各実施の形態にかかるキャリブレーション装置1は、集積回路等を用いたハードウェアにより実施してもよいし、CPU等を用いたソフトウェアにより実施してもよい。
【0151】
すなわち、キャリブレーション装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるキャリブレーション装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記キャリブレーション装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0152】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0153】
また、キャリブレーション装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0154】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0155】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明にかかるキャリブレーション方法は、画像を表示するための透明な平板を含む表示部と、前記平板に接する接触面を撮像するための撮像部を有する画像入力装置によって読み取られた画像データに対して、キャリブレーションを行うためのキャリブレーション方法であって、光の反射が少ない素材が内部に貼り付けられた覆いを用いて、前記平板が一定の暗い照度になる条件で前記暗データを取得する、暗データ取得ステップと、光の反射が多い素材が内部に貼り付けられた覆いを用いて、前記平板が一定の明るい照度になる条件で前記明データを取得する、明データ取得ステップを有し、前記暗データと、前記明データを利用して、前記画像データを補正する。
【0156】
内部に発光体を備えた覆いを用いて、前記平板が一定の明るい照度になる条件で前記明データを取得する、ことが好ましい。
【0157】
内部に発光体を備えた覆いを用いて、前記発光体が非発光の状態で前記平板が一定の暗い照度になる条件で前記暗データを取得する、暗データ取得ステップと、前記発光体が発光の状態で前記平板が一定の明るい照度になる条件で前記明データを取得する、明データ取得ステップを含む、ことが好ましい。
【0158】
前記画像入力ステップによって読み取られた前記画像データを構成する画素が飽和しない程度の明るい照度になる条件で前記明データを取得する、ことが好ましい。
【0159】
本発明にかかるキャリブレーションプログラムは、上記のキャリブレーション方法をコンピュータに実行させるためのキャリブレーションプログラムである。
【0160】
本発明にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記のキャリブレーション方法をコンピュータに実行させるためのキャリブレーションプログラムを記録した機械読取可能な記録媒体である。
【0161】
本発明にかかるキャリブレーション装置は、画像を表示するための透明な平板を含む表示部と、前記平板に接する接触面を撮像するための撮像部を有する画像入力装置によって読み取られた画像データに対して、キャリブレーションを行うためのキャリブレーション装置であって、光の反射が少ない素材が内部に貼り付けられた覆いを用いて、前記平板が一定の暗い照度になる条件で前記暗データを取得する、暗データ取得手段と、光の反射が多い素材が内部に貼り付けられた覆いを用いて、前記平板が一定の明るい照度になる条件で前記明データを取得する、明データ取得手段を有し、前記暗データと、前記明データを利用して、前記画像データを補正する。
【0162】
上記覆いは、箱型の形状を有することが好ましい。
【0163】
上記覆いの底面は、表示部の表示面積より大きいことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、PC、PDA、携帯電話等の機器等に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション装置がキャリブレーションを行う画像入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2の画像入力装置の全体図である。
【図4】図1の暗条件設定部の具体例を説明するための図である。
【図5】図1の明条件設定部の具体例を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション方法の処理手順を示すフローチャートである(その1)。
【図7】図6のステップS101及びステップS102を説明するための図である。
【図8】図6のステップS103及びステップS104を説明するための図である。
【図9】図6のステップS105を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかるキャリブレーション方法の処理手順を示すフローチャートである(その2)。
【図11】図10のステップS203を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態2の暗条件設定部及び明条件設定部の具体例を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかるキャリブレーション方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3にかかる条件設定ユニットの構成図である。
【図15】本発明の実施の形態3にかかるキャリブレーション方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態4にかかる条件設定ユニットの構成図である。
【図17】本発明の実施の形態4にかかるキャリブレーション方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】(a)は、従来の画像入力装置の表示パネル部の概略構造を示す断面図、(b)は、(a)のA部の拡大図である。
【図19】(a)は、図18の光源から出射された光の経路の様子を示す図、(b)は、(a)の表示面の明るさを示す模式図、(c)は、(b)のB領域の明るさを示すグラフ図である。
【図20】図18の光センサから得られた画像の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0166】
1 キャリブレーション装置
10 キャリブレーションユニット
11 入力部(入力手段)
12 解析部(解析手段)
13 記憶部
14 出力部
20、20a、20b 条件設定ユニット
21 暗条件設定部(第1の照度設定部)
22 明条件設定部(第2の照度設定部)
50 表示パネル部
51 表示面
52 透明保護層
53 光センサ
53a 光センサ素子
54 遮光層
54a 開口部
55 液晶基板
56、213、222、314、412 光源
57 ケース
100 画像入力装置
101 表示部
102 撮像部
103 CPU
104 メモリ
211、212、221 収納箱
311、312、411 処理室
313a、315a、413a 入口
313b、315b、413b 出口
321、421 ベルト(搬送部)
322、323、422 物体検知センサ
331、332、431、432 駆動部(搬送部)
333、433 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光センサ素子を含む撮像部を有する画像入力装置が読み取る画像データを補正するキャリブレーション装置であって、
第1の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第1の空間において前記画像入力装置が読み取る第1の画像データと、前記第1の照度よりも明るい第2の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第2の空間において前記画像入力装置が読み取る第2の画像データと、が入力される入力手段と、
前記入力手段により入力された前記第1及び第2の画像データを解析し、当該解析結果に基づいて、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する解析手段と
を備えていることを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の空間において、前記画像入力装置による画像データの読み取りが実行されるべく、前記第1及び第2の空間を前記画像入力装置の周囲に画定する条件設定ユニットをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項3】
前記条件設定ユニットは、前記第1の空間を画定する第1の照度設定部と、前記第2の空間を画定する第2の照度設定部と、を有し、
前記第1の照度設定部は、前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定する第1の収納箱から構成されており、
前記第2の照度設定部は、前記画像入力装置を収納する第2の収納箱と、前記第2の収納箱の内部に設けられた光源と、から構成され、前記第2の収納箱に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することを特徴とする請求項2に記載のキャリブレーション装置。
【請求項4】
前記条件設定ユニットは、前記画像入力装置を収納する収納箱と、前記収納箱の内部に設けられた光源と、から構成され、
前記条件設定ユニットは、前記収納箱に前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定すると共に、前記収納箱に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することを特徴とする請求項2に記載のキャリブレーション装置。
【請求項5】
前記画像入力装置は、前記撮像部が配置された撮像部配置面を有しており、
前記収納箱は、自身が前記画像入力装置を収納する際に前記画像入力装置の前記撮像部配置面に対向し、前記撮像部配置面よりも大きい面積を有する内面を有していることを特徴とする請求項3または4に記載のキャリブレーション装置。
【請求項6】
前記条件設定ユニットは、前記第1の空間を画定する第1の照度設定部と、前記第2の空間を画定する第2の照度設定部と、を有し、
前記第1の照度設定部は、前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定する第1の処理室から構成されており、
前記第2の照度設定部は、前記画像入力装置を収納する第2の処理室と、前記第2の処理室の内部に設けられた光源と、から構成され、前記第2の処理室に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定しており、
前記条件設定ユニットはさらに、前記画像入力装置が前記第1及び第2の処理室の内部に順次収納されるように、前記画像入力装置を搬送する搬送部を有していることを特徴とする請求項2に記載のキャリブレーション装置。
【請求項7】
前記条件設定ユニットは、前記画像入力装置を収納する処理室と、前記処理室の内部に設けられた光源と、前記画像入力装置が前記処理室の内部に収納されるように、前記画像入力装置を搬送する搬送部と、から構成され、
前記条件設定ユニットは、前記搬送部により前記処理室に前記画像入力装置を収納し、前記画像入力装置に外光が入射することを防止することにより、前記第1の空間を画定すると共に、前記処理室に収納された前記画像入力装置に前記光源から出射される光を照射することにより、前記第2の空間を画定することを特徴とする請求項2に記載のキャリブレーション装置。
【請求項8】
前記画像入力装置の撮像部は、入射光の照度を当該照度に応じた電圧値を持つ電気信号に変換する前記複数の光センサ素子を有しており、
前記第2の照度は、前記光センサ素子から出力される電気信号が飽和する入射光の照度未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載にキャリブレーション装置。
【請求項9】
前記画像入力装置の撮像部は、入射光の照度を当該照度に応じた電圧値を持つ電気信号に変換する前記複数の光センサ素子を有しており、
前記解析手段は、前記複数の光センサ素子の各々について、前記第1の照度に応じた前記光センサ素子の出力値及び前記第2の照度に応じた前記光センサ素子の出力値を取得し、当該2つの出力値に基づいて前記光センサ素子による変換におけるオフセット値及びゲイン値を算出し、当該オフセット値及びゲイン値を前記補正データとして生成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のキャリブレーション装置における前記各手段としてコンピュータを動作させるためのキャリブレーションプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のキャリブレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
複数の光センサ素子を含む撮像部を有する画像入力装置が読み取る画像データを補正するキャリブレーション方法であって、
第1の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第1の空間において前記画像入力装置が読み取る第1の画像データと、前記第1の照度よりも明るい第2の照度の光が前記複数の光センサ素子に均一に入射される第2の空間において前記画像入力装置が読み取る第2の画像データと、が入力される入力ステップと、
前記入力ステップにて入力された前記第1及び第2の画像データを解析し、当該解析結果に基づいて、前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に読み取る画像データを補正するための補正データを生成する解析ステップと、
前記画像入力装置が撮像対象物を撮像する際に、前記解析ステップにて生成された前記補正データに基づいて、前記画像入力装置が読み取る画像データを補正する補正ステップと
を備えていることを特徴とするキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−16715(P2010−16715A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176190(P2008−176190)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】