説明

キーシート

【課題】光硬化性樹脂によって形成されたキートップの表面に細かい傷などがつくことを防止することのできるキーシートを提供する。
【解決手段】光硬化性樹脂によって形成されたキートップ12を有する携帯用電子機器の押釦スイッチ用キーシート10であって、キートップ12の表面を含むキーシート10の表面に保護シート16が圧着されている。保護シート16は、真空圧着によりキーシート10の表面に圧着されることが好ましい。保護シート16は、熱可塑性樹脂製のシートであり、加熱されながらキーシート10の表面に圧着されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や携帯情報端末装置(PDA:Personal Digital Assistance)を始めとする携帯用電子機器の押釦スイッチに用いられるキーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や携帯情報端末装置(PDA)を始めとする携帯用電子機器の押釦スイッチの部品として、キーシートが広く用いられている。このキーシートは、通常、ポリカーボネート等の樹脂材料からなるキートップと、シリコーンゴム、熱可塑性エストラマー等の弾性材料からなるキーベースとが接合されて形成されている。そして、キーベースの裏面のキートップに対応する位置には押し子が形成されており、キートップを押圧操作すると押し子が移動して、押し子に対向して配置されたプリント回路基板上のメタルドームを基板側に押し込み、メタルドームが基板上の接点に接触することでスイッチがオンし、押圧解除することによりメタルドームが接点から離れてスイッチがオフするようになっている。
【0003】
また、従来、成形型の型面内に光硬化性樹脂を流し込み、この光硬化性樹脂の上側にPET(ポリエチレンテレフタレート)製の透明シート(以下、「ベースシート」という。)を載置した後、このベースシートの上方から紫外線などの光を照射して、ベースシートの表面にキートップを一体に成形する技術が知られている(特許文献1を参照)。このようなキートップが光硬化性樹脂を用いて形成されたキーシートは、例えばキートップがポリカーボネートによって形成されたキーシートよりもその厚みを薄く形成できるという利点がある。また、ベースシートの表面にキートップを一体的に成形できるために、キーシートの製造が容易になるという利点がある。
【0004】
しかし、キートップが光硬化性樹脂によって形成されたキーシートは、光硬化性樹脂はポリカーボネートよりも柔らかい(硬度が低い)材料であるために、キートップの表面に細かい傷などがつきやすいという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2には、キートップの表面に細かい傷などがつくことを防止するために、ポリカーボネートなどの硬質樹脂によって形成されたキートップの表面に、光硬化性樹脂からなる保護層を積層させたキーシートが開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2に開示された技術は、キートップが光硬化性樹脂によって形成されたキーシートに適用することができない。なぜなら、特許文献2に開示された光硬化性樹脂からなる保護層は、光硬化性樹脂によって形成されたキートップの表面に対する付着性が悪いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−93869号公報
【特許文献2】特開2010−205564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光硬化性樹脂によって形成されたキートップの表面に細かい傷などがつくことを防止することのできるキーシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光硬化性樹脂によって形成されたキートップを有する携帯用電子機器の押釦スイッチ用キーシートであって、前記キートップの表面を含む前記キーシートの表面に保護シートが圧着されていることを特徴とするキーシートである。
【0010】
本発明によれば、光硬化性樹脂によって形成されたキートップの表面を保護シートによって保護することができる。これにより、キートップの表面に細かい傷などがつくことを防止することができる。
【0011】
本発明に係るキーシートにおいて、前記保護シートが真空圧着により前記キーシートの表面に圧着されていることが好ましい。これにより、キーシートの表面に対して保護シートを均一に加圧して圧着することが可能であり、キーシートの表面と保護シートの間に空気が入り込んで空気溜まりやシワ等が形成されることを防止することができる。
【0012】
本発明に係るキーシートにおいて、前記保護シートが熱可塑性樹脂製のシートであり、かつ、前記保護シートが加熱されながら前記キーシートの表面に圧着されていることが好ましい。これにより、保護シートが加熱によって柔らかくなるために、キーシートの表面形状が例えば凹凸状に入り組んで複雑である場合であっても、保護シートをキーシートの表面に対して確実に圧着させることが可能になる。
【0013】
本発明に係るキーシートにおいて、前記キートップがベースシートの表面に一体化されていることが好ましい。これにより、キートップを個々にベース部分(キーベースなど)に貼り付ける作業が不要となり、キーシートの製造が容易になる。また、キーシートにある程度の剛性と可撓性を持たせることが可能となり、キーシートに例えば押し子が形成された所謂押し子シートを貼り付ける作業が容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光硬化性樹脂によって形成されたキートップの表面に細かい傷などがつくことを防止することのできるキーシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るキーシートが操作面に装着された携帯電話機の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係るキーシートの断面図であり、図1の携帯電話機におけるA−A線に沿った図である。
【図3】左側の(A)は、キーシートの製造方法を示すフローチャートであり、右側の(B)は、(A)に示すフローチャートの各工程に対応するキーシートの状態を示す図である。
【図4】真空圧着装置の断面図であり、上型及び下型が離間して開いた状態を示している。
【図5】真空圧着装置の断面図であり、上型及び下型が接近して閉じた状態を示している。
【図6】保護シート及びキーシートを上型及び下型の間に移送するための移送装置の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るキーシートの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るキーシートが操作面に装着された携帯電話機の一実施形態を示す概略斜視図である。図2は、本発明に係るキーシートの一実施形態を示す断面図であり、図1の携帯電話機におけるA−A線に沿った図である。
【0017】
図1に示すように、本発明に係るキーシート10は、複数個のキートップ12を備えており、この複数個のキートップ12が携帯電話機200の操作面2に露出するように配置されている。各キートップ12には、それぞれ携帯電話機200を操作するための機能が割り当てられている。
【0018】
図1、図2に示すように、複数個のキートップ12は、同一平面上で隣り合って配置されており、隣り合った複数個のキートップ12は薄肉部14によって互いに連結されている。
【0019】
キーシート10の上面側には、キートップ12の表面に細かい傷などがつくことを防止するための保護シート16が積層されている。
【0020】
一方、キーシート10の下面側には、透光性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)製のベースシート18が配置されている。このベースシート18の下面側には、加飾層20が形成されている。加飾層20のさらに下面側には、各キートップ12からの押圧力をメタルドーム30へ伝達するための押し子22が形成された押し子シート24が配置されている。
【0021】
キートップ12は、光硬化性樹脂によって形成されている。この「光硬化性樹脂」とは、光を照射することによって硬化する樹脂のことであり、例えばUV(紫外線)硬化樹脂のことである。UV硬化樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂をはじめとする様々なUV硬化樹脂を用いることができる。
【0022】
ベースシート18は、キートップ12を形成するための基材となるものであり、キーシート10にある程度の剛性と可撓性を与えるためのものである。なお、ここではPET製シートを用いる例を示しているが、透光性を有し、適度な剛性と可撓性を有する他の樹脂材料からなるシートを用いてもよい。例えば、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリブチレンテフタレート(PBT)系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、フッ素(PFA/FEP)系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの他の樹脂材料からなるシートを用いてもよい。
【0023】
加飾層20は、キートップ12及びベースシート18を介して、携帯電話機200の使用者等が上方から視認できる層であり、各キートップ12の機能を示す文字、図形、記号、数字、あるいは模様等が表示された層である。加飾層20は、例えば塗布や印刷などの公知の方法を用いて形成することができる。
【0024】
押し子シート24は、例えばシリコーン樹脂やウレタン樹脂などの柔軟性を有する材料によって形成されており、その下面には、下側に向かって突出した押し子22が各キートップ12に対応する位置に設けられている。各押し子22は、携帯電話機200に装着されたプリント回路基板(図示せず)上に設けられたメタルドーム30に当接している。そして、キートップ12を押圧操作することにより、押し子シート24が下側に撓んで、各キートップ12に対応する押し子22が、対応するメタルドーム30を下側に押圧変形させて基板上の固定接点(図示せず)に接触させることでスイッチをオンし、押圧を解除することによりメタルドーム30がこの固定接点から離れてスイッチをオフするようになっている。
【0025】
押し子シート24の押し子22が設けられる同じ下面には、押し子シート24の厚さ方向下側に突出した略凸状断面を有する補強用リブ26が、隣接する複数のキートップ12の間に対応する位置に設けられる。補強用リブ26の上下方向の高さは、各押し子22の上方方向の高さ寸法よりも小さく形成されている。
【0026】
キーシート10の上面に積層される保護シート16は、キートップ12の表面に細かい傷などがつくことを防止するためのものであり、その厚みが例えば20〜80μm、より好ましくは40〜60μm程度に形成されている。保護シート16は、適度な可撓性を有し、透光性を有する樹脂によって形成されたシートである。保護シート16は、加熱によって柔らかくなるポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂によって形成されるのが好ましい。
【0027】
次に、上記のように構成されたキーシート10の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図3の左側の(A)は、キーシートの製造方法を示すフローチャートであり、右側の(B)は、(A)に示すフローチャートの各工程に対応するキーシートの状態を示す図である。
【0028】
図3に示すように、まず、ステップS100において、上方に開口している金型40の中に、液状のUV硬化樹脂13を垂らして充填する。ここで、金型40の底部には、キートップ12の形状に対応した凹凸状の型面42が形成されている。
【0029】
つぎに、ステップS102において、金型40に充填された液状のUV硬化樹脂13の上面に、ベースシート18を載置する。なお、このとき、ベースシート18を金型40に向かって加圧することにより、ベースシート18及びUV硬化樹脂13が所望の厚さとなるように調整してもよい。
【0030】
この状態で、ステップS104において、金型40に溜まった液状のUV硬化樹脂13に対して、ベースシート18の上方側から紫外線、すなわちUV光を照射する。そうすると、この紫外線はベースシート18を透過して、その下面側に充填されている液状のUV硬化樹脂13を硬化させる。このようにして、キートップ12を、ベースシート18の表面に対して一体的に成形することができる。
【0031】
こうして、ベースシート18の表面にキートップ12を一体的に成形した後で、ステップS106において、ベースシート18及びキートップ12を金型40から離型する。
【0032】
ベースシート18及びキートップ12を金型40から離型した後、ステップS108において、ベースシート18のキートップ12が成形されている側の反対側の面に印刷あるいは塗布等によって加飾を施して加飾層20を形成する。なお、加飾層20を形成するタイミングはこれに限られるものではなく、ベースシート18の表面にキートップ12を一体成形する前に、ベースシート18の反対側の面に加飾層20を予め形成しておいてもよい。
【0033】
以上のように、本発明に係るキーシート10の製造方法では、UV硬化樹脂13を硬化させてベースシート18の表面にキートップ12を一体的に成形できる。
【0034】
次に、上記のようにして製造されたキーシート10の上面(キートップ12が形成された側の面)に、真空圧着装置により保護シート16を圧着させる方法について図面を参照しながら説明する。
図4は、真空圧着装置70の断面図であり、上型72及び下型74が離間して開いた状態を示している。図5は、真空圧着装置70の断面図であり、上型72及び下型74が接近して閉じた状態を示している。
【0035】
図4、図5に示すように、真空圧着装置70は、上下に対向して配置された上型72及び下型74を備えている。上型72には図示しない昇降装置が設けられており、この昇降装置によって上型72を上下方向に移動させることが可能となっている。
【0036】
まず、上型72について説明すると、上型72の下面の略中央には凹部76が形成されており、この凹部76には、アルミニウム等の熱伝導性が良好な金属材料からなる加熱プレート78が配設されている。加熱プレート78の裏面には図示しないヒータが配設されており、このヒータによって加熱プレート78を加熱することが可能となっている。また、加熱プレート78の上面側には、加熱プレート78で発生した熱が上型72に伝達することを防止するための断熱プレート80が配設されている。一方、加熱プレート78の下面側には、ステンレス等の金属からなる網状部材79が配設されている。
【0037】
上型72の下面には、膜体82が取付けられている。膜体82は伸縮性、可撓性、弾性、および耐熱性を有する素材(一例としてシリコンゴム)によって形成されている。また、上型72の略中央にはエア流路84が設けられており、エア流路84の一方の端部は凹部76に開口されており、他方の端部は図示しないバキューム装置および圧縮空気供給装置に接続されている。また、凹部76の周壁部の下面76aは、下型74との当接面となっており、この下面76aには、上型72と下型74が当接した際にそれらの間をシールするためのOリング71が配設されている。
【0038】
つぎに、下型74について説明すると、下型74の上面の略中央には凹部86が形成されており、この凹部86には、アルミニウム等の熱伝導性が良好な金属材料からなる加熱プレート88が配設されている。加熱プレート88の裏面には図示しないヒータが配設されており、このヒータによって加熱プレート88を加熱することが可能となっている。また、加熱プレート88の下面側には、加熱プレート88で発生した熱が下型74に伝達することを防止するための断熱プレート90が配設されている。また、凹部86の周壁部の上面86aは、上型72との当接面となっている。また、下型74の略中央にはエア流路92設けられており、エア流路92の一方の端部は凹部86に開口されており、他方の端部は図示しないバキューム装置および圧縮空気供給装置に接続されている。
【0039】
真空圧着装置70を用いてキーシート10の上面に保護シート16を圧着するためには、まず、キーシート10の上面に、保護シート16を載置する。つぎに、この保護シート16が載置されたキーシート10を、上型72及び下型74の間に移送して配置する。上型72及び下型74の間にキーシート10を移送するためには、後で詳しく説明する移送装置100を用いればよい。
【0040】
保護シート16が載置されたキーシート10を上型72及び下型74の間に配置した後、つぎに、図5に示すように、上型72を下方に向かって移動させることによって、上型72及び下型74の間に密閉された空間94を形成する。そして、上型72に設けられたエア流路84から所定の圧力の圧縮空気を供給することによって、膜体82を膨らます一方、下型74に設けられたエア流路92から空気を吸引することによって、膜体82及び下型74によって仕切られた空間96の内部を真空状態にする。これにより、膜体82が、エア流路84からの圧縮空気及びエア流路92からの真空吸引圧によって膨出するために、この膨出圧によって保護シート16をキーシート10の上面に圧着させることができる。このとき、エア流路84の出口には網状部材79が設けられているために、エア流路84から供給される圧縮空気を膜体82の内部に均一に拡散させることができる。また、保護シート16が加熱プレート78、88によって上下から加熱されるために、保護シート16を加熱しながらキーシート10の上面に圧着させることができる。
【0041】
上型72及び下型74の間からキーシート10を取り出すためには、上型72に設けられたエア流路84から膜体82の内部の空気を吸引するとともに、下型74に設けられたエア流路92から空気を供給する。これにより、膨張していた膜体82が収縮してキーシート10の表面から離れる。つぎに、上型72を図示しない昇降装置によって上方に移動させることによって、上型72及び下型74の間からキーシート10を取り出すことができる。
【0042】
なお、上記に説明した真空圧着装置70以外にも、同様の機能を有する他の公知の装置を用いて保護シート16をキーシート10の表面に圧着することが可能である。例えば、特開2006−205659号公報に開示された積層成形品製造装置を用いて保護シート16をキーシート10の表面に圧着することが可能である。
【0043】
図6は、保護シート16及びキーシート10を上型72及び下型74の間に移送するための移送装置100の一実施形態を示す概略図である。
図6に示すように、移送装置100は、上側の移送フィルムF1を繰り出すための第1ロール102と、下側の移送フィルムF2を繰り出すための第2ロール104と、上側の移送フィルムF1を巻き取るための第3ロール106と、下側の移送フィルムF2を巻き取るための第4ロール108を備えている。
【0044】
第1ロール102と第3ロール106の間には、複数のガイドロール110を介して上側の移送フィルムF1が略水平方向に張り渡されている。第1ロール102と第3ロール106は、それぞれ図示しないモータによって正転・逆転可能となっており、第1ロール102と第3ロール106の間に張り渡された上側の移送フィルムF1の張力が一定となるようにそれぞれのトルクが制御されている。
【0045】
第2ロール104と第4ロール108の間には、複数のガイドロール112を介して下側の移送フィルムF2が略水平方向に張り渡されている。第2ロール104と第4ロール108は、それぞれ図示しないモータによって正転・逆転可能となっており、第2ロール104と第4ロール108の間に張り渡された下側の移送フィルムF2の張力が一定となるようにそれぞれのトルクが制御されている。
【0046】
また、移送装置100は、フィルム位置決め装置114を備えている。このフィルム位置決め装置114は、上側の移送フィルムF1及び下側の移送フィルムF2を上下方向から挟むことのできる装置であり、上型72を下方に移動させたときに上側及び下側の移送フィルムF1、F2の相対的な位置がずれないように位置決めするための装置である。
【0047】
上型72及び下型74の間にキーシート10及び保護シート16を移送するためには、まず、真空圧着装置70の手前側の載置位置116において、下側のフィルムF2の上面にキーシート10を載置した後、このキーシート10の上面に保護シート16を載置する。次に、下側の移送フィルムF2を第2ロールから繰り出すことによって、下側の移送フィルムF2の上面に載置されたキーシート10及び保護シート16を、上型72及び下型74の間に搬入する。次に、フィルム位置決め装置114によって上側及び下側の移送フィルムF1、F2を上下方向から挟むことによって、上側及び下側の移送フィルムF1、F2の相対的な位置がずれないように位置決めする。そして、上型72を図示しない昇降装置により下方に向かって移動させることによって、上型72及び下型74の間に密閉された空間94を形成する。この後の工程は、すでに上記で説明した通りである。
【0048】
以上のように、本発明に係るキーシート10によれば、キーシート10の表面、特に、光硬化性樹脂によって形成されたキートップ12の表面を保護シート16によって保護することができる。これにより、ポリカーボネート樹脂などよりも硬度が低い光硬化性樹脂によって形成されたキートップ12の表面に、細かい傷などがつくことを防止することができる。
【0049】
また、真空圧着装置70によってキーシート10の表面に保護シート16を圧着することができる。これにより、例えば加圧ローラなどを用いて保護シート16を圧着する場合と異なり、保護シート16を全体的に均一に加圧して圧着することが可能であり、キーシート10の表面と保護シート16の間に空気が入り込んで空気溜まりやシワ等が形成されることを防止することができる。
【0050】
また、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂製の保護シート16を加熱プレート78、88によって加熱しながらキーシート10の表面に圧着することができる。これにより、保護シート16が加熱によって柔らかくなるために、キーシート10の表面形状が凹凸状に入り組んで複雑である場合であっても、保護シート16をキーシート10の表面に確実に圧着させることが可能になる。
【0051】
また、各キートップ12がベースシート18の表面に一体化されているために、個々のキートップ12をベースシート18に貼り付ける作業が不要となり、キーシート10の製造が容易になる。また、キーシート10にある程度の剛性と可撓性を持たせることが可能となり、キーシート10を例えば押し子が形成された押し子シート24に貼り付ける作業が容易になる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、複数個のキートップ12が薄肉部14によって一体化されている例を示したが、複数個のキートップ12が別個に形成されてそれぞれ分離されている場合であっても、本発明を適用することができる。
(2)上記実施形態では、キートップ12がベースシート18の上面に一体的に成形されている例を示したが、ベースシート18が無い場合であっても本発明を適用することができる。
(3)上記実施形態では、携帯電話機200に装着されるキーシート10の例を示したが、例えばPDAなどの他の携帯用電子機器に装着されるキーシートに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…キーシート
12…キートップ
13…UV硬化樹脂(光硬化性樹脂)
16…保護シート
18…ベースシート
20…加飾層
24…押し子シート
30…メタルドーム
70…真空圧着装置
82…膜体
78、88…加熱プレート
200…携帯電話機(携帯用電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂によって形成されたキートップを有する携帯用電子機器の押釦スイッチ用キーシートであって、
前記キートップの表面を含む前記キーシートの表面に保護シートが圧着されていることを特徴とするキーシート。
【請求項2】
前記保護シートが真空圧着により前記キーシートの表面に圧着されていることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
【請求項3】
前記保護シートが熱可塑性樹脂製のシートであり、かつ、前記保護シートが加熱されながら前記キーシートの表面に圧着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキーシート。
【請求項4】
前記キートップがベースシートの表面に一体化されていることを特徴とする請求項1から請求項3うちいずれか1項に記載のキーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113979(P2012−113979A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262288(P2010−262288)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】