説明

キースイッチ装置、キースイッチ装置を備えたキーボード及びキーボードを備えた電子機器

【課題】キー操作性の良好なキースイッチ装置を提供する。
【解決手段】キートップを押下した際に発生する押下荷重を、キートップの第1係止部の第1リンク部材の係止軸の回動点oと第3係止部の第1リンク部材の係止軸の摺動起点sとの間の距離L、回動点oとコイルスプリングの付勢力が第1リンク部材に作用する作用点mとの間の距離L1、回動点oと摺動起点sとを通る線分と第3係止部の第1リンク部材の係止軸の摺動方向とがなす角度θ4、及び、コイルスプリングの各種特性値によって表される関数(数26)


但し、θ4はθ4=sin−1(rO/L)で求める。で定義し、押下荷重曲線Pにおいて、極大点P1と極小点P2との荷重差に基づきキークリック機能を発現する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対のリンク部材を介してキートップの上下動を案内するとともに、キートップの押下時にキークリック機能を発現して良好なキー操作性を有するキースイッチ装置、そのキースイッチ装置を備えたキーボード及びキーボードを備えた電子機器に関し、特に、キークリック機能を発現する手段としてこの種キースイッチ装置に設けられているラバースプリングを使用することなく、各リンク部材とその付勢手段との間に所定の関係を具有させるだけで明確なキークリック機能を発現することが可能であり、もってキー操作性の良好なキースイッチ装置、キーボード及び電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ノート型パーソナルコンピュータ、各種モバイル機器等の小型化、薄型化の進展に伴って、これらの機器に付設されるキーボードにおけるキースイッチ装置の小型化、薄型化が著しく推進されている。このような背景下において、キースイッチ装置の小型化、薄型化を実現するものとして、一対のリンク部材を介してキートップの上下動を案内するように構成された各種のキースイッチ装置が提案されている。
【0003】かかるキースイッチ装置の内には、キートップの下面に第1係止部及び第2係止部を設けるとともに、キートップの下方に配置されるホルダ部材に第1係止部に対応して第3係止部及び第2係止部に対応して第4係止部を形成し、一方のリンク部材の上端部を第1係止部材に回動可能に係止し、下端部を第3係止部に摺動可能に係止し、また、他方のリンク部材の上端部を第2係止部に回動可能に係止し、下端部を第4係止部に摺動可能に係止するように構成されたキースイッチ装置がある。
【0004】また、キートップとホルダ部材とを前記と同様に構成し、2つのリンク部材が相互に回動可能となるように軸支してクロスリンク構造とするとともに、一方のリンク部材の上端部をキートップの第1係止部に回動可能に、下端部をホルダ部材の第4係止部に摺動可能にそれぞれ係止し、また、他方のリンク部材の上端部を第2係止部に摺動可能に、下端部を第3係止部に回動可能に係止するように構成したキースイッチ装置も知られている。前記したいずれのキースイッチ装置においても、2つのリンク部材からなるリンク構造を介してキートップの上下動を案内することから、キーステムやその案内構造が不要となってキースイッチ装置の小型化、薄型化を可能とし、また、キートップの押下位置に拘わらず水平状態を保持しながらキートップの上下動を行うことができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記キースイッチ装置においては、キートップの押下時にその押下終了を感得できることがキー操作性の向上に資することから、これを達成すべくキークリック機能を発現する機構を設けている。前記キースイッチ装置では、キートップや各リンク部材の下方に、所謂、ラバースプリングを配置し、キートップの押下時にキートップの下面やリンク部材を介してラバースプリングを押圧してラバースプリングが座屈する際に発現するラバースプリングの座屈特性に基づいてキークリック機能を実現しているのが一般的である。
【0006】しかしながら、前記キースイッチ装置のように、キークリック機能の発現機構としてラバースプリングを使用する場合には、そのキークリック特性は、ラバースプリングそのものの形状、厚さ、サイズ等とキートップ、各リンク部材の形状、サイズ等のキースイッチ機構とによって決定されるものであるから、キースイッチ装置に付与すべき所望のキークリック機能を実現するには、ラバースプリングやキースイッチ機構につき数回の試作を行い、試行錯誤を繰り返しながらラバースプリング、キースイッチ機構の決定を行っているのが現状である。これより、所望のキークリック機能を有するキースイッチ装置が実現されるまでの間には、多大の費用と時間を必要とするという問題がある。
【0007】本発明は前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、キークリック機能を発現する手段として一般のキースイッチ装置に設けられているラバースプリングを使用することなく、各リンク部材とその付勢手段との間に所定の関係を具有させるように設計するだけで、キークリック機能の特性をシミュレーションすることが可能となり、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置、キースイッチ装置を備えたキーボード及びキーボードを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため請求項1に係るキースイッチ装置は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に近接する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とする。
【0009】前記請求項1のキースイッチ装置によれば、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との過重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。
【0010】また、請求項2に係るキーボードは、請求項1記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とする。かかる請求項2のキーボードでは、請求項1記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0011】更に、請求項3に係る電子機器は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、そのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に近接する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】請求項3の電子機器では、キースイッチ装置の押下操作を介してキーボードから文字や記号等のデータが入力された場合、その入力データに基づき制御手段による制御下に文字や記号等が表示手段に表示される。このとき、請求項3の電子機器では、前記請求項1のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。また、請求項4に係るキースイッチ装置は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に離間する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とする。
【0013】請求項4のキースイッチ装置では、請求項1のキースイッチ装置とは各リンク部材に対して付勢部材による付勢力の作用方向が異なっているが、請求項1のキースイッチ装置の場合と同様に、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。
【0014】また、請求項5に係るキーボードは、請求項4記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とする。かかる請求項5のキーボードでは、請求項4記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0015】更に、請求項6に係る電子機器は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、さのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に離間する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】請求項6の電子機器では、キースイッチ装置の押下操作を介してキーボードから文字や記号等のデータが入力された場合、その入力データに基づき制御手段による制御下に文字や記号等が表示手段に表示される。このとき、請求項6の電子機器では、前記請求項4のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。
【0017】請求項7に係るキースイッチ装置は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第1係止部に摺動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に回動可能に係止される第2リンク部材とからなり、第1リンク部材と第2リンク部材とを相互に回動可能に軸支した案内部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が軸支点の回りに回動する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第2係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とする。
【0018】請求項7のキースイッチ装置では、請求項1のキースイッチ装置とは第1リンク部材と第2リンク部材とが相互に回動可能に軸支されている点で請求項1のキースイッチ装置とは異なっているが、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と各リンク部材の軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、軸支点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。
【0019】また、請求項8に係るキーボードは、請求項7記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とする。かかる請求項8のキーボードでは、請求項7記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0020】更に、請求項9に係る電子機器は、下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、そのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第1係止部に摺動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に回動可能に係止される第2リンク部材とからなり、第1リンク部材と第2リンク部材とを相互に回動可能に軸支した案内部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が軸支点の回りに回動する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第2係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】請求項9の電子機器では、キースイッチ装置の押下操作を介してキーボードから文字や記号等のデータが入力された場合、その入力データに基づき制御手段による制御下に文字や記号等が表示手段に表示される。このとき、請求項9の電子機器では、前記請求項7のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るキースイッチ装置、キーボード及び電子機器について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、第1実施形態乃至第4実施形態の4つの実施形態を例示し、各実施形態についてモデル化を行うとともに各モデルにつきクリック機能を発現する原理等について説明することとする。
【0023】先ず、第1乃至第4実施形態に係るキースイッチ装置を備えたキーボードが付設された電子機器の一種であるノート型パーソナルコンピュータについて図1R>1(A)、(B)に基づき説明する。図1はノート型パーソナルコンピュータを示し、図1(A)はノート型パーソナルコンピュータの斜視図、図1(B)はノート型パーソナルコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【0024】図1(A)において、ノート型パーソナルコンピュータ1は、基本的に、各種演算処理を行うCPUを内蔵した本体部2、及び、本体部2に対して開閉可能に支持されたディスプレイ3から構成されている。ここに、ディスプレイ3は、本体部2の連結部4に回動可能に支持されており、これより本体部2に対して開閉可能に構成されている。本体部2には、複数のキースイッチ装置が配設されてなるキーボード5が設けられている。
【0025】また、図1(B)において、CPU50には、パーソナルコンピュータの各部を制御するためのプログラムが記憶されたROM51、各種データを記憶するためのRAM52がバス53を介して接続されている。また、CPU50には、バス53を介して入出力インターフェース54が接続されており、この入出力インターフェース54には、前記ディスプレイ3、前記キーボード5、文書作成や表計算等のプログラムが記憶されたハードディスク装置55が接続されている。前記CPU50は、キーボード5からの入力データに基づいて、文書作成や表計算等のプログラムをハードディスク装置55から読み込んで実行したり、ディスプレイ3に文字や記号等を表示する。
【0026】次に、前記ノート型パーソナルコンピュータ1のキーボード5に付設されているキースイッチ装置について、図2乃至図4に基づき説明する。図2はキースイッチ装置の分解斜視図、図3はキースイッチ装置の一部を省略して示す斜視図、図4はキースイッチ装置の側断面図である。図2乃至図4に示すように、キースイッチ装置10は、基本的に、キートップ11、キートップ11の上下動を案内支持するとともに一対の第1リンク部材12、第2リンク部材13から構成される案内部材14、第1リンク部材12と第2リンク部材13間に掛装され第1リンク部材12と第2リンク部材13とが相互に閉脚する方向に付勢するコイルスプリング15、及び、案内部材14の下方に配置されるメンブレンスイッチシート16から構成されている。尚、メンブレンスイッチシート16の下面には、支持プレート6が配置され、かかる支持プレート6を介してキースイッチ装置10の全体が支持される。
【0027】ここに、キートップ11はABS樹脂等の樹脂材料から樹脂成形されてなり、その上面には文字等が印刷等を介して形成されている。キートップ11の下面には、その短手方向に一対の第1係止部17、17(図2乃至図4中左側の係止部)が設けられている。また、各第1係止部17と並列して、一対の第2係止部18、18(図2乃至図4中右側の係止部)が設けられている。各第1係止部17には、下端部が開放された縦溝19が形成されるとともに、縦溝19に連続する円弧状の回動孔20が形成されている。同様に、各第2係止溝18には、下端部が開放された縦溝21が形成されるとともに、縦溝21に連続する円弧状の回動孔22が形成されている。各第1係止部17の回動孔20には、後述する第1リンク部材12の係止軸30が縦溝19から挿入されて回動可能に係止される。各第2係止部18の回動孔22には、後述する第2リンク部材13の係止軸30が縦溝21から挿入されて回動可能に係止される。尚、第1係止部17、第2係止部18は、キートップ11と一体に形成されてもよいし、また、別体構成としてキートップ11の下面に固着されてもよい。
【0028】案内部材14は、第1リンク部材12及び第2リンク部材13から構成されており、キートップ11の上下動を案内支持する作用を行う。第1リンク部材12は、ポリアセタール等の樹脂材料が一体形成されてなり、基本的に板状の基部23及び基部23の両側から延出された一対のアーム部24を有する平面視で略コ字状の形状を有する。基部23の両側でアーム部24との連結部からは、外側に向かって突出し且つ下方に屈曲された一対の軸支持部25が形成されており、かかる軸支持部25の下端から外側に延出された係止軸26が形成されている。各係止軸26は、後述するメンブレンスイッチシート16の上面に接着固定された係止部材39の第3係止部40の摺動溝内に摺動可能に係止される。尚、基部23の両端面と軸支持部25の内側面との間には間隙SPが形成されており、この間隙SPを介して軸支持部25は連結部を基点として弾性変形可能となる。かかる軸支持部25の弾性変形は、各係止軸26を係止部材39の第3係止部40の摺動溝内に係止する際に利用される。また、基部23の長さ方向及び幅方向における略中央位置において、基部23の裏側から下方に突出され且つ屈曲されたスプリング係止部27が設けられている。このスプリング係止部27には、コイルスプリング15の一端15Aが係止される。更に、各アーム部24間で基部23の内側面からは、その長さ方向にて中央位置からずれた位置(図2、図3中右側にずれた位置)において、弾性片28が各アーム部24と平行に内方に向かって延出されており、かかる弾性片28の先端にはスイッチ押圧突起29(図4参照)が設けられている。
【0029】第1リンク部材12の各アーム部24の外側面からは、それぞれ係止軸30が外方に向かって突出されている。各係止軸30は、キートップ11の下面に設けられた各第1係止部17の回動孔20内に回動可能に係止される。また、各アーム部24の先端には、ギア部31が形成されている。かかるギア部31の構成については後述する。
【0030】第2リンク部材13は、前記第1リンク部材12と同一の構成を有しており、従って、各リンク部材は共用することが可能である。これより、図2乃至図4R>4に示すように、第1リンク部材12、第2リンク部材13を介して案内部材14を組み立てる際に、各リンク部材に組立の方向性が生じることはなく、この結果、組立の方向性については何ら注意を払うことなく簡単に案内部材14を組み立てることが可能となる。
【0031】尚、第2リンク部材13は、第1リンク部材12と同一構成を有しているので同一番号を付するものとし、その詳細な説明は前記第1リンク部材12の説明を参照することとして省略する。
【0032】ここに、第2リンク部材13の各係止軸30は、キートップ11の下面に設けられた各第2係止部18の回動孔22内に回動可能に係止される。また、第2リンク部材13の係止軸26は、メンブレンスイッチシート16の上面に接着固定された係止部材39の第4係止部41の摺動溝内に摺動可能に係止される。更に、第2リンク部材13における基部23の裏側から下方に突出され且つ屈曲するように形成されるスプリング係止部27には、コイルスプリング15の他端15Bが係止される。また、第2リンク部材13における各アーム部24間で基部23の内側面から各アーム部24と平行に内方に向かって延出された弾性片28は、図2、図3に示すように、左側にずれた位置に配置され、従って、第2リンク部材13の弾性片28に形成された押圧突起29は、第1リンク部材12の弾性片28に形成された押圧突起29と一定の距離だけ離間した状態で配置されることとなる。このとき、第1リンク部材12と第2リンク部材13のいずれの弾性片28の押圧突起29でメンブレンスイッチシート16の可動スイッチ電極35を上面から押圧してもよい。また、第2リンク部材13の各ギア部31は、第1リンク部材13の各ギア部31に噛合されて同期して作動するが、その詳細な構成については後述する。
【0033】次に、コイルスプリング15は、前記したように、その一端15Aが第1リンク部材12のスプリング係止部27に係止され、他端15Bが第2リンク部材13のスプリング係止部27に係止されるものであり、これにより第1リンク部材12と第2リンク部材13との間に掛装されて、第1リンク部材12と第2リンク部材13とが相互に閉脚する方向に付勢する作用を行う。
【0034】メンブレンスイッチシート16は、基本的に、上側スイッチングシート32と下側スイッチングシート33とから構成されている。上側スイッチングシート32の下面には、回路パターン34及び回路パターン34に接続する可動スイッチ電極35が形成されている。また、下側スイッチングシート33の上面には、前記回路パターン34とマトリックス状に形成される回路パターン36及び回路パターン36に接続し可動スイッチ電極35に対向配置される固定スイッチ電極37が形成されている。また、下側スイッチングシート33において、固定スイッチ電極37の周囲にはスペーサパッド38が形成されている。かかるスペーサパッド38は接着剤等を所定膜厚で印刷塗布して形成され、上側スイッチング電極35と下側スイッチングシート33の固定スイッチ電極37とを離間させる作用を行う。
【0035】上側スイッチングシート32の上面には、各種金属や樹脂等から成型加工されてなる一対の長手状の係止部材39が相互に平行となるように接着剤等を介して接着固定されている。各係止部材39の一側(図2乃至図4中左側)には、長溝状の第3係止部40が形成されており、また、他側(図2乃至図4中右側)には、同じく長溝状の第4係止部41が形成されている。ここに、第3係止部40には第1リンク部材12の各係止軸26が摺動可能に係止され、第4係止部41には第2リンク部材13の各係止軸26が摺動可能に係止される。
【0036】続いて、図6に基づき第1リンク部材12、第2リンク部材13における各アーム部24の先端に形成された各ギア部31の構成について説明する。図6R>6は第1リンク部材12、第2リンク部材13の各アーム部24に形成されたギア部31の構成を拡大して模式的に示す説明図である。図6において、第1リンク部材12、第2リンク部材13を構成する2つの各アーム部24の先端に形成されたギア部31には、アーム部24の幅方向Xにおける略中央位置に段差部42が形成されている。かかる段差部42に基づき、アーム部24の先端には下方突出部43Aと上方突出部44とが形成される。下方突出部43Aの上面は所定湾曲面を有する下歯部43を構成する。更に、上方突出部44の下面は、前記下歯部43の湾曲面と密着するような湾曲面に形成された上歯部45を構成する。
【0037】ここに、前記下歯部43と上歯部45は、図6から明らかなように、上面側から見てアーム部24の幅方向Xで隣接してずれた配置関係にあり、且つ、側面側から見て上下関係を有する。そして、第1リンク部材12と第2リンク部材13とが同一構成を有することに基づき、図6中左側に配置される第1リンク部材12の各アーム部24に形成されるギア部31において、下方突出部43Aの上面に形成される下歯部43は左側に配置され、また、突出部44の下面に形成される上歯部45は右側に配置される。また、図6中右側に配置される第2リンク部材13は、第1リンク部材12と反対側に配置した関係にあるから、各アーム部24に形成されるギア部31において、突出部44の下面に形成される上歯部45は左側に配置され、また、下方突出部43Aの上面に形成される下歯部43は右側に配置される。これにより、第1リンク部材12の各アーム部24における下歯部43と第2リンク部材13の各アーム部24における上歯部45とが相互に接触されるとともに、第1リンク部材12の各アーム部24における上歯部45と第2リンク部材13の各アーム部24における下歯部43とが相互に接触されるものである。
【0038】前記したように第1リンク部材12と第2リンク部材13とを組み合わせて構成される案内部材14では、第1リンク部材12のギア部31の上歯部45と下歯部43は、上下関係を具有しつつ第1リンク部材12の幅方向Xに隣接してずれた位置に形成されており、また同様に、第2リンク部材13のギア部31の上歯部45と下歯部43は、上下関係を具有しつつ第2リンク部材13の幅方向Xに隣接してずれた位置に形成されていることから、第1リンク部材12における上歯部45と下歯部43、及び、第2リンク部材13における上歯部45と下歯部43は、リンク部材12、13の厚さ方向で上下2段に重なることはない。従って、第1リンク部材12のギア部31と第2リンク部材13のギア部31とを対向して当接するだけで、第1リンク部材12の上歯部45と第2リンク部材13の下歯部43及び第1リンク部材12の下歯部43と第2リンク部材の上歯部45とを相互に適正な噛合関係をもって組み立てることが可能となる。これより、キースイッチ装置10の組立効率を格段に向上することができる。
【0039】また、第1リンク部材12のギア部31の上歯部45と第1リンク部材12の下歯部43は、第1リンク部材12の幅方向Xに隣接してずれた位置に形成されており、また、第2リンク部材13のギア部31の上歯部45と下歯部43は、第2リンク部材13の幅方向Xに隣接してずれた位置に形成されているので、キースイッチ装置10の薄型化が進展した場合においても、各上歯部45、下歯部43を薄くしたり小さくしたりする必要はない。従って、各歯部43、45の耐久性を高く維持しつつ長期に渡って安定して使用可能なキースイッチ装置10を実現することができる。
【0040】更に、第1リンク部材12において上歯部45と下歯部43とは上下関係を有するが、第1リンク部材12の幅方向Xで隣接してずれて形成されており、また、第2リンク部材13において上歯部45と下歯部43とは上下関係を有するが、第2リンク部材13の幅方向Xで隣接してずれて形成されているので、第1リンク部材12及び第2リンク部材13を成形するについて、スライド型を使用することなく上型と下型との単純な上下抜きを行うだけで簡単に成形することが可能である。これより、1つの金型を介して多くの第1リンク部材12、第2リンク部材13を成形することが可能となり、各リンク部材12、13の生産効率を向上することができる。
【0041】次に、前記のように構成されたキースイッチ装置10の動作について図2乃至図6に基づき説明する。図5はキートップ11の押下が終了した状態を示すキースイッチ装置の側断面図である。ここに、キートップ11の押下前においては、図3、図4に示すように、第1リンク部材12の基部23に形成されたスプリング係止部27と第2リンク部材13の基部23に形成されたスプリング係止部27との間にコイルスプリング15が掛装されており、コイルスプリング15は、キートップ11の第1係止部17の回動孔20及び第2係止部18の回動孔22に回動可能に係止された第1リンク部材12、第2リンク部材13の各係止軸30を回動中心として、第1リンク部材12、第2リンク部材13を相互に閉脚する方向に付勢している。このとき、第1リンク部材12、第2リンク部材13の各係止軸26は、メンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32上に固着された係止部材39の第3係止部40、第4係止部41の摺動溝の内側壁に当接されている。従って、キートップ11は、図4に示す非押下位置に保持されている。
【0042】コイルスプリング15の付勢力に抗して、図4に示す状態からキートップ11を押下していくと、第1リンク部材12の係止軸30は第1係止部17の回動孔20内で時計方向に回動し、同時に、第2リンク部材13の係止軸30は第2係止部18の回動孔22内で反時計方向に回動していく。また、第1リンク部材12の係止軸26は第3係止部40の摺動溝内を左方向に摺動し、同時に、第2リンク部材13の係止軸26は、第4係止部41の摺動溝内を右方向に摺動していく。かかる動作に伴いコイルスプリング15は除々に伸張されていくとともに、第1リンク部材12、第2リンク部材13は開脚されていく。
【0043】このとき、第1リンク部材12の各アーム部24における下歯部43と第2リンク部材13の各アーム部24における上歯部45とは、相互に接触状態を保持しつつ下方に向かって移動していき、また、第1リンク部材12の各アーム部24における上歯部45と第2リンク部材13の各アーム部24における下歯部43とは、相互に接触状態を保持しつつ下方に向かって移動していく。このように、第1リンク部材12と第2リンク部材13とは、各上歯部43と下歯部45との協働作用に基づき、完全に同期した状態で作動されるものである。
【0044】そして、キートップ11を一定量押下した状態で、第1リンク部材12又は第2リンク部材13の弾性片28に形成されている押下突起29が、メンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32の下面に形成されている可動スイッチ電極35を上方から押下していき、更にキートップ11を押下した時点でクリック感を伴いつつ押下突起29は、可動電極35と下側スイッチングシート33の固定電極37とを接触させる。これにより、可動電極35と固定電極37とにより所定のスイッチング動作が行われる。この時点では、コイルスプリング15は、図5に示すように更に伸張された状態にある。前記のようにスイッチング動作を行った後、キートップ11の押下を解除すると、コイルスプリング15の付勢力に基づき、前記した動作と逆動作が行われ、キートップ11は上方に移動されて図4に示す非押下位置に復帰する。
【0045】[第1実施形態のモデル化]次に、前記第1実施形態に係るキースイッチ装置10についてモデル化を行い、そのモデル1について図7乃至図11に基づいてキークリック機能を発現する原理について説明する。図7はキースイッチ装置10をモデル化して模式的に示すモデル1の説明図である。
【0046】ここに、図7において、第1リンク部材12、第2リンク部材13を剛体A、キートップ11を剛体K、係止部材39における各第3及び第4係止部40、41を剛体Bで表している。また、キートップ11の第1係止部17における回動孔20内に係止される第1リンク部材12の係止軸30の回動中心、及び、第2係止部18の回動孔22内に係止される第2リンク部材13の係止軸30の回動中心をoで示している。更に、第1リンク部材12の係止軸26が第3係止部40にて外側に摺動を開始する摺動起点、及び、第2リンク部材13の係止軸26が第4係止部41にて外側に摺動を開始する摺動起点をsで示している。また、第1リンク部材12のスプリング係止部27にて内側に向かって付勢するコイルスプリング15による付勢力の作用点、及び、第2リンク部材13のスプリング係止部27にて内側に向かって付勢するコイルスプリング15による付勢力の作用点をmで示している。更に、摺動起点sにおいて、傾斜状態にある第1リンク部材12とその係止軸26の摺動方向とがなす角度、及び、傾斜状態にある第2リンク部材13とその係止軸26の摺動方向とがなす角度をθ4で示している。
【0047】図7において、モデル1は、3つの節点o(回動点)、m(作用点)、s(摺動起点)を有する2つの剛体A、節点oにて剛体Aを回動支持する剛体K、及び、節点sから剛体Aをx方向(水平方向)に摺動可能とする剛体Bを備えており、また、剛体Kはy方向(垂直方向)の運動が可能となる。図7に示すように、2つの剛体Aを弾性体E(コイルスプリング15に対応)で連結した時、F1の力が発生し、剛体Kにy方向の力Pが生成される。今、剛体Kを−y方向(下方向)に変化させた時、力Pは前記各節点o、m、s同士の角度の関数で表わされ、その曲線は図11に示すように凸形状の極大点を有する曲線となる。そして、スイッチング動作が行われる位置から弾性体F(弾性片28に対応)が作用して曲線OTに連続していく。
【0048】以下、前記モデル1の動作原理について、図7、図8に基づき説明する。図7において、剛体Kがy方向に変化する時、節点oに回転トルクTが発生する。そのトルクTは、下記数1のように表される。
【数1】


また、節点sにて下方向に作用するF2は、下記数2のように表すことができる。
【数2】


このとき、y方向の反力R1は、下記数3のようになる。
【数3】


【0049】ここで、F1は弾性体Eの張力であることから、左右2つの剛体Aに対して等しくかかることとなり、両方の剛体Aに等しくF2、R1が発生する。即ち、下記数4のように表される。
【数4】


また、F1との関係は、下記数5に示す通りとなる。
【数5】


ここで、節点m=節点sの場合、r1=r0、r3=r2となり、角度の式に直し整理すると、Pは下記数6に示す様にθ4の関数となり、その曲線は、図8に示すように、凸形状の極大点を有する曲線となる。
【数6】


前記数6において、a、b、cは、各節点o、m、s間の長さ、ばねの種類、ばね定数等によって定まる定数である。これにより、指等にてキートップを押下した時の反発力はPとなり、曲線の極大点との荷重の落差に基づきキークリック機能が発現され、この結果、タクタイル感として指等にフィードバックされてキー操作感が明確なキースイッチ装置を実現できる。
【0050】続いて、図9、図10に基づき前記数5中におけるr1、r2、r1/r2、F1を一般式にて表記し、最終的に押下荷重Pを求める。尚、図9及び図10R>0は図7に示すモデル1の片側部分を拡大して模式的に示す説明図である。
■r2について図9より、下記数7、数8が成立する。
【数7】


【数8】


一方、r2=cosθ4・Lであり、これに数8を代入すると、r2=cosθ4・(r0/ sinθ4)
∴tanθ4=sinθ4/cosθ4従って、r2は下記数9のように表される。
【数9】


【0051】■r1について図9より、下記数10が成立し、
【数10】


また、下記数11も成立する。
【数11】


従って、r1に関し、下記数12が成立する。
【数12】


ここで、三角関数の加法定理より、下記数13のように表すことができる。
【数13】


更に、図9より、sinθ4=r0/L、 cosθ4=r2/Lであるから、これらを数13に代入して、下記数14が成立する。
【数14】


更に、数14に数9を代入して、下記数15が成立し、
【数15】


r1は最終的に下記数16のように表すことができる。
【数16】


【0052】■r1/r2について前記数9と数16を代入し、下記数17が成立する。
【数17】


前記数17におけるr0を消去し、1/tanθ=cosθ/sinθを代入すると、下記数18、数19、数20が成立する。
【数18】


【数19】


【数20】


但し、θ4は、下記数21から求める。
【数21】


【0053】■ F1について図9より、F1;荷重(N)
S;初張力(N)
k;ばね定数(N/mm)
M;ばね長さ(mm)
N;ばね自由長(mm)
u;ばねのたわみ係数=2とすると、下記数22、数23が成立する。
【0054】
【数22】


【数23】


前記数23に数22を代入すると、F1は下記数24、数25のように表すことができる。
【数24】


【数25】


【0055】■Pについて前記数20、数25を数5に代入すると、Pは下記数26のように表すことができる。
【数26】


但し、θ4はθ4=sin-1(r0/L)で求める。
【0056】前記のように求めた押下荷重Pを表す数26において、剛体K,A,B及び弾性体Eの構造が決定された場合に剛体Kの運動について考えると、L、L1、sinθ5は剛体Aの定数でありr0に対して一定になり、また、k、u,N、Sは弾性体Eの定数でありr0に対して一定となる。従って、前記数26は角度θ4の関数となり、数26によって表される押下荷重Pの曲線は、図11に示すように、凸形状の極大点を有する荷重カーブとなる。
【0057】ここで、図11において、横軸は剛体Kのストローク量を表し、縦軸は荷重を表す。F1は弾性体Eにより剛体Aに作用する荷重であり、剛体Kが押下されていない場合においても作用しており、剛体Kのストローク量が大きくなるに従ってF1は大きくなる。また、押下荷重曲線Pにおいて、剛体Kのストローク量が比較的小さい時点で極大点P1が現れ、この後押下荷重は減少していくが、スイッチング動作が行われた後に極小点P2が現れる。そして、極小点P2が現れた後には、弾性体Fの作用により曲線OTに従って押下荷重が増加していく。前記押下荷重曲線Pにおいて、極大点P1と極小点P2との荷重差が、キークリック機能の発現に寄与するものであり、かかる荷重差に基づいて明確なキー操作感を得ることができる。
【0058】以上説明した通り、第1実施形態に係るキースイッチ装置10では、キートップ11を押下した際にキートップ11に発生する押下加重は、キートップ11の第1係止部17における第1リンク部材12の係止軸30の回動点oと第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動起点sとの間の距離L、回動点oとコイルスプリング15の付勢力が第1リンク部材12に作用する作用点mとの間の距離L1、回動点oと摺動起点sとを通る線分と第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動方向とがなす角度θ4、及び、コイルスプリング15の各種特性値によって表される関数(数26)で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線Pは、上方に凸形状の極大点P1を有する曲線となり、メンブレンスイッチシート16によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる極小点P2と極大点P1との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点o、摺動起点s、作用点m、角度θ4、コイルスプリング15の各種特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下加重曲線Pからキークリック機能の評価を行うことができる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となるものである。
【0059】次に、第2実施形態に係るキースイッチ装置について、図12、図13に基づき説明する。図12は第2実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図、図13はキースイッチ装置の一部を省略して示す斜視図である。尚、第2実施形態に係るキースイッチ装置は、基本的に、前記第1実施形態に係るキースイッチ装置10と同一の構成を有しており、第1実施形態のキースイッチ装置10では、第1リンク部材12のスプリング係止部27と第2リンク部材13のスプリング係止部27との間にコイルスプリング15を掛装して、第1リンク部材12と第2リンク部材13とが相互に閉脚する方向に付勢し、また、メンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32に固着された係止部材39の第3係止部40、第4係止部41にて第1リンク部材12及び第2リンク部材13の各係止軸26を摺動可能に係止するように構成しているが、第2実施形態に係るキースイッチ装置では、第1リンク部材と第2リンク部材とを閉脚方向に付勢するについてコイルスプリングを使用することなく、また、独立形成された係止部材を使用することなく、第1リンク部材と第2リンク部材の下側の基部を内側に向かって付勢する付勢バネと各係止軸を摺動可能に係止する係止部材とを一体に構成した弾性枠状部材をメンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32に固着し、かかる弾性枠状部材を介して第1リンク部材、第2リンク部材の閉脚付勢及び各係止軸の摺動係止を行うようにした点で、第1実施形態のキースイッチ装置10とは異なる。残余の構成については、第1実施形態の場合と同一である。従って、以下の説明においては、第1実施形態のキースイッチ装置10とは異なる第2実施形態に特有の構成に着目して説明することとし、その他第1実施形態と同一の部材、要素等については前記と同一の番号を付するとともに、その説明を省略する。
【0060】図12、図13において、案内部材14を構成する第1リンク部材12、第2リンク部材13における基部23の下側中央には凹部60が形成されており、かかる凹部60の両側に2つのバネ当接部61、61が設けられている。また、案内部材14の下方でメンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32上には、弾性枠状部材62が接着剤を介して固着されている。弾性枠状部材62は長方形状を有する枠状に形成されており、その短辺側(図12、図13中左右側)の連結部63の略中央位置からは付勢バネ部64が一体に形成されている。かかる付勢バネ部64は、連結部63から上方に立ち上がるように屈曲されており、連結部63に連続する中央部64Aから二股状に板状の付勢バネ64B、64Bが設けられている。図12、図13中、左側に存在する各付勢バネ64Bは、第1リンク部材12の各バネ当接部61を内側に向かって付勢する。また、右側に存在する各付勢バネ64Bは、第2リンク部材13の各バネ当接部61を内側に向かって付勢する。これにより、第1リンク部材12及び第2リンク部材13は、弾性枠状部材62の左右両側に形成された各付勢バネ64Bを介して、相互に閉脚する方向に付勢されるものである。更に、前記弾性枠状部材62において、その長辺側(図12、図13中上下側)は連結部65により構成されており、各連結部65にて前記連結部63に連続する角部の近傍位置には、第3係止部40及び第4係止部41がそれぞれ形成されている。ここで、各第3係止部40は、第1リンク部材12の各係止軸26を摺動可能に係止し、各第4係止部41は、第2リンク部材13の各係止軸26を摺動可能に係止する。
【0061】尚、前記弾性枠状部材62は、各連結部63、65により連続された長方形状を有する枠状に一体に形成されており、また、各連結部63には付勢バネ64Bが一体に形成されるとともに、各連結部65には第3係止部40、第4係止部41が一体に形成されていることから、各付勢バネ64Bと第3係止部40、第4係止部41との位置関係を常時一定の関係に保持することができ、また、その取扱が極めて容易となる。
【0062】前記のように構成された第2実施形態に係るキースイッチ装置10の動作について図14、図15に基づいて説明する。図14はキートップ11を押下する前におけるキースイッチ装置10の側断面図、図15はキートップ11の押下が終了した時点におけるキースイッチ装置10の側断面図である。
【0063】ここに、キートップ11の押下前においては、図13、図14に示すように、第1リンク部材12の基部23に形成された各バネ当接部61は、弾性枠状部材62の付勢バネ64B、64Bを介して内側に向かって付勢されており、また、第2リンク部材13の基部23に形成された各バネ当接部61も同様に、弾性枠状部材62の付勢バネ64B、64Bを介して内側に向かって付勢されている。従って、各付勢バネ64Bによる付勢力に基づき、キートップ11の第1係止部17の回動孔20及び第2係止部18の回動孔22に回動可能に係止された第1リンク部材12、第2リンク部材13の各係止軸30を回動中心として、第1リンク部材12、第2リンク部材13は相互に閉脚する方向に付勢されている。このとき、第1リンク部材12、第2リンク部材13の各係止軸26は、弾性枠状部材62に一体に形成された第3係止部40、第4係止部41の摺動溝の内側壁に当接されている。従って、キートップ11は、図14R>4に示す非押下位置に保持されている。
【0064】各付勢バネ64Bの付勢力に抗して、図14R>4に示す状態からキートップ11を押下していくと、第1リンク部材12の係止軸30は第1係止部17の回動孔20内で時計方向に回動し、同時に、第2リンク部材13の係止軸30は第2係止部18の回動孔22内で反時計方向に回動していく。また、第1リンク部材12の係止軸26は第3係止部40の摺動溝内を左方向に摺動し、同時に、第2リンク部材13の係止軸26は、第4係止部41の摺動溝内を右方向に摺動していく。かかる動作に伴い各付勢バネ64Bは、各バネ当接部61を介して外側に向かって押圧されていくとともに、第1リンク部材12、第2リンク部材13は開脚されていく。
【0065】このとき、第1リンク部材12の各アーム部24におけるギア歯部31と第2リンク部材13の各アーム部24におけるギア歯部31とは、相互に接触状態を保持しつつ下方に向かって移動していく。このように、第1リンク部材12と第2リンク部材13とは、各ギア歯部31の協働作用に基づき、完全に同期した状態で作動されるものである。
【0066】そして、キートップ11を一定量押下した状態で、第1リンク部材12又は第2リンク部材13の弾性片28に形成されている押下突起29が、メンブレンスイッチシート16の上側スイッチングシート32の下面に形成されている可動スイッチ電極35を上方から押下していき、更にキートップ11を押下した時点でクリック感を伴いつつ押下突起29は、可動電極35と下側スイッチングシート33の固定電極37とを接触させる。これにより、可動電極35と固定電極37とにより所定のスイッチング動作が行われる。この時点では、各付勢バネ64Bは、図15に示すように、最も押圧された状態にある。前記のようにスイッチング動作を行った後、キートップ11の押下を解除すると、各付勢バネ64Bによる付勢力に基づき、前記した動作と逆動作が行われ、キートップ11は上方に移動されて図14に示す非押下位置に復帰する。
【0067】[第2実施形態のモデル化]次に、前記第2実施形態に係るキースイッチ装置10についてモデル化を行い、そのモデル2について図16、図17に基づいてキークリック機能を発現する原理について説明する。図16はキースイッチ装置10をモデル化して模式的に示すモデル2の説明図である。尚、図17は、例えば、第1実施形態のキースイッチ装置10におけるコイルスプリング15の付勢力を、第1リンク部材12、第2リンク部材13の係止軸26の摺動起点(節点s)に作用させた場合をモデル化した例を模式的に示すものであり、図16に示すモデル2と図17に示すモデルと等価であることは明らかである。
【0068】ここに、図16、図17において、第1リンク部材12、第2リンク部材13を剛体A、キートップ11を剛体K、弾性枠状部材62における各第3及び第4係止部40、41を剛体Bで表している。また、キートップ11の第1係止部17における回動孔20内に係止される第1リンク部材12の係止軸30の回動中心、及び、第2係止部18の回動孔22内に係止される第2リンク部材13の係止軸30の回動中心をoで示している。更に、第1リンク部材12の係止軸26が第3係止部40にて外側に摺動を開始する摺動起点、及び、第2リンク部材13の係止軸26が第4係止部41にて外側に摺動を開始する摺動起点をsで示している。尚、図16に示すモデル2及び図17に示す等価モデルにおいて、第1リンク部材12及び第2リンク部材13のバネ当接部61を内側に向かって付勢する各付勢バネ64Bにより付勢力の作用点mは、前記摺動起点sと同一位置にある。更に、摺動起点sにおいて、傾斜状態にある第1リンク部材12とその係止軸26の摺動方向とがなす角度、及び、傾斜状態にある第2リンク部材13とその係止軸26の摺動方向とがなす角度をθ4で示している。
【0069】図16、図17において、モデル2及びその等価モデルは、2つの節点o(回動点)、節点m=s(作用点と摺動起点とは同一位置にある)を有する2つの剛体A、節点oにて剛体Aを回動支持する剛体K、及び、節点sから剛体Aをx方向(水平方向)に摺動可能とする剛体Bを備えており、また、剛体Kはy方向(垂直方向)の運動が可能となる。
【0070】図16、図17に示すように、2つの剛体Aを弾性体E(モデル2の場合は付勢バネ64B、等価モデルの場合はコイルスプリング15に対応)で連結した時、F1の力が発生し、剛体Kにy方向の力Pが生成される。今、剛体Kを−y方向(下方向)に変化させた時、力Pは前記各節点o、m=s同士の角度の関数で表わされ、その曲線は図11に示すように凸形状の極大点を有する曲線となる。そして、スイッチング動作が行われる位置から弾性体F(弾性片28に対応)が作用して曲線OTに連続していく。
【0071】以下、前記モデル2の動作原理について、図16、図17に基づき説明する。図16、図17において、節点m=節点sであるから、前記図7、図9においてr1=r0、r3=r2となり、また、L1=L、θ5=0となる。これらの条件を前記数26に代入すると、下記数27、数28、数29が成立する。
【数27】


【数28】


【数29】


【0072】前記数29中、第1項の(2・k・u・L)、第2項の(2・u・k・N)、及び、第3項の(2・S)をそれぞれa、b、cとすると、前記数29は、P=a・sinθ4−b・tanθ4+c・tanθ4となり、前記数6と一致する。これより、a、b、cは、各節点o、m=s間の長さ、ばねの種類、ばね定数等によって定まる定数であるから、指等にてキートップを押下した時の反発力はPとなり、曲線の極大点との荷重の落差に基づきキークリック機能が発現され、この結果、タクタイル感として指等にフィードバックされてキー操作感が明確なキースイッチ装置を実現できる。
【0073】以上説明した通り、第2実施形態に係るキースイッチ装置10では、前記第1実施形態の場合と同様、キートップ11を押下した際にキートップ11に発生する押下荷重は、キートップ11の第1係止部17における第1リンク部材12の係止軸30の回動点oと第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動起点sとの間の距離L、回動点oと摺動起点sとを通る線分と第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動方向とがなす角度θ4、及び、コイルスプリング15の各種特性値によって表される関数(数29)で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線Pは、図11に示すように、上方に凸形状の極大点P1を有する曲線となり、メンブレンスイッチシート16によりスイッチング動作が行われた後押下加重が上昇に転じる極小点P2と極大点P1との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点o=m(作用点)、摺動起点s、角度θ4、コイルスプリング15の各種特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線Pからキークリック機能の評価を行うことができる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となるものである。
【0074】次に、第3実施形態に係るキースイッチ装置について、図18乃至図20に基づき説明する。図18R>8は第3実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図、図19はキースイッチ装置の概略側面図、図20はキースイッチ装置の概略側断面図である。尚、第3実施形態に係るキースイッチ装置は、基本的に、前記第1実施形態に係るキースイッチ装置10に類似するものであるが、第1リンク部材と第2リンク部材との間にカム機構を介在させ、第1リンク部材及び第2リンク部材に設けた板バネを介してカム機構を相互に付勢する構成を有する点で前記各実施形態とは異なる。
【0075】先ず、図18において、キースイッチ装置101は、基本的に、キートップ102、一対の第1リンク部材103、第2リンク部材104からなりキートップ102の上下動を案内する案内部材105、及び、案内部材105の下方にて支持プレート106上に配置されたメンブレンスイッチシート107から構成されている。
【0076】ここに、キートップ102はABS樹脂等から成形されており、その表面上には印刷等により文字、数字等のキャラクタが形成されている。キートップ102の裏面には、第1リンク部材103に対応して2つの回動係止部108、108が一体に形成されており、また、第2リンク部材104に対応して2つの回動係止部109、109が一体に形成されている。各回動係止部108、109には、それぞれ係止溝108A、109Aが設けられている。各回動係止部108の係止溝108Aは、第1リンク部材103の第1軸部121(後述する)を回動可能に係止し、また、各回動係止部109の係止溝109Aは、第2リンク部材104の第3軸部132(後述する)を回転可能に係止する。
【0077】また、案内部材105は、第1リンク部材103と第2リンク部材104とを相互に組み合わせてなり、各第1及び第2リンク部材103、104は基本的に同一の構成を有している。尚、各第1リンク部材103、第2リンク部材104の詳細な構成については後述する。更に、案内部材105の下方には、アルミニウム、鉄等から形成された金属薄板からなる支持プレート106上に載置されたメンブレンスイッチシート107が設けられている。メンブレンスイッチシート107は、所謂、銅箔、導電性塗料等から固定電極パターン110を含むスイッチ回路パターン111が形成された下側フィルムシート112と、同様に下面に可動電極パターン113が形成された上側フィルムシート114との間に、固定電極パターン110と可動電極パターン113とに対応してスイッチング孔115が設けられたフィルムスペーサ116を介在させた三層構造を有している。かかるメンブレンスイッチシート107の構成は公知である。
【0078】ここに、上側スイッチシート114上には、金属、樹脂等から形成された4つのチップ状の係止部材117が可動電極パターン113を囲むように接着剤により接着固定されている。各係止部材117は、長孔状の係止溝117Aを形成し、第1リンク部材103の第2軸部122(後述する)、及び、第2リンク部材104の第4軸部133(後述する)を摺動可能に係止する。尚、メンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114の上面に各係止部材117を接着固定する構成については、特願平11−32608号の明細書、図面に記載された構成と同一であり、その詳細な説明については特願平11−32608号の明細書、図面を参照することとして、ここではその説明を省略する。
【0079】次に、案内部材105を構成する2つの第1リンク部材103、第2リンク部材104の詳細な構成について説明する。先ず、第1リンク部材103について図18乃至図21を参照して説明する。図21は第1リンク部材103の側面図、平面図である。図18乃至図21において、第1リンク部材103は、一対の板状体118、118、各板状体118を連結する連結部119、及び、連結部119に近接位置にて板バネ部120をポリアセタール樹脂等から一体に形成することにより構成される。各板状体118の一端側(図18乃至図20にて上側端、図21にて右側端)の近傍位置には、第1軸部121が外側に向かって延設されており、また、各板状体118の他端側(図18乃至図20にて下側端、図21にて左側端)には、第2軸部122が外側に向かって延出されている。各第1軸部121は、前記したキートップ102の回転係止部108の係止溝108Aに回転可能に係止され、また、各第2軸部122は、メンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114の表面に接着固定された係止部材117の係止溝117Aに摺動可能に係止される。
【0080】連結部119は、各板状体118を離間した状態で相互に連結するものである。板バネ部120は、図21に示すように、連結部119との間に一定の間隙123を形成するように各板状体118間に設けられており、板バネ部120の略中央位置には、第1カム部124が一体に形成されている。第1カム部124には、図20に示すように、下方に第1カム面125が形成されており、また、第1カム面125から上方に連続して第2カム面126が形成されている。第1カム面125と第2カム面126との境界部には、カム頂点127が存在している。ここに、第1カム面125は、図20R>0からも明らかなように、キートップ102の非押下位置に対応しており、第2カム面126は、後述するように、キートップ102の押下位置に対応している。また、第1カム面125、カム頂点127及び第2カム面126で形成される角度は、鈍角に設定されている。更に、第1カム部124の下端には、図20、図21に示すように、キートップ102の押下時にメンブレンスイッチシート107をスイッチングする樹脂弾性片124Aが設けられている。
【0081】また、各板状体118において、第1軸部121よりも端部側(図19、図21中、右端側)には、ギア歯部128が設けられている。ギア歯部128は、1つ又は2つのギア歯128Aを有している。因みに、図21において、上側の板状体118のギア歯部128には2つのギア歯128Aが形成されており、下側の板状体118のギア歯部128には1つのギア歯128Aが形成されている。尚、各ギア歯部128は、後述するように、第2リンク部材104の板状体129の端部に形成されたギア歯部136と相互に噛合しており、キートップ102の上下動を行う際に第1リンク部材103と第2リンク部材104とを同期して作動させる作用を行う。
【0082】次に、第2リンク部材104の構成について図18乃至図20、図22を参照して説明する。図22R>2は第2リンク部材104の側面図、平面図である。ここに、第2リンク部材104は、前記第1リンク部材103と基本的に同一の構成を有している。図18乃至図2020、図22において、第2リンク部材104は、一対の板状体129、129、各板状体129を連結する連結部130、及び、連結部130に近接位置にて板バネ部131をポリアセタール樹脂等から一体に形成することにより構成される。各板状体129の一端側(図18乃至図20にて上側端、図22にて左側端)の近傍位置には、第3軸部132が外側に向かって延設されており、また、各板状体129の他端側(図18乃至図20にて下側端、図22にて右側端)には、第4軸部133が外側に向かって延出されている。各第3軸部132は、前記したキートップ102の回転係止部109の係止溝109Aに回転可能に係止され、また、各第4軸部133は、メンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114の表面に接着固定された係止部材117の係止溝117Aに摺動可能に係止される。
【0083】連結部130は、各板状体129を離間した状態で相互に連結するものである。板バネ部131は、図22に示すように、連結部130との間に一定の間隙134を形成するように各板状体129間に設けられており、板バネ部131の略中央位置には、第2カム部135が一体に形成されている。第2カム部135には、第1リンク部材103の第1カム部124と同様図2020に示すように、下方に第1カム面125が形成されており、また、第1カム面125から上方に連続して第2カム面126が形成されている。第1カム面125と第2カム面126との境界部には、カム頂点127が存在している。ここに、第1カム面125は、図20からも明らかなように、キートップ102の非押下位置に対応しており、第2カム面126は、後述するように、キートップ102の押下位置に対応している。また、第1カム面125、カム頂点127及び第2カム面126で形成される角度は、鈍角に設定されている。更に、第2カム部135の下端には、図20、図22に示すように、キートップ102の押下時にメンブレンスイッチシート107をスイッチングする樹脂弾性片135Aが設けられている。
【0084】ここに、第1カム部124の第1カム面125と第2カム部135の第1カム面125は、図20に示すようにキートップ102の非押下状態において相互に当接しており、この状態で第1リンク部材103の板バネ部120及び第2リンク部材104の板バネ部131は、それぞれ第1カム部124と第2カム部135とが当接する方向に付勢している。このように第1カム部124の第1カム面125と第2カム部135の第1カム面125とが当接する状態を第1当接状態とし、この第1当接状態にてキートップ102は安定して非押下位置に保持される。また、キートップ102を押下すると、第1カム部124と第2カム部135は、後述するように、第1当接状態から相互にカム頂点127を乗り越えて、各第2カム面126同志が当接する第2当接状態に移行する。この第2当接状態でキートップ102は押下位置まで下降し、第1カム部124の樹脂弾性片124Aと第2カム部135の樹脂弾性片135Aの一方又は双方を介してメンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114における可動電極パターン113が上面から押下される。これにより、可動電極パターン113がフィルムスペーサ116のスイッチング孔115を介して下側フィルムシート112の固定電極パターン110と接触され、所定のスイッチング動作が行われる。
【0085】また、各板状体129において、第3軸部132よりも端部側(図19、図22中、左端側)には、ギア歯部136が設けられている。ギア歯部136は、1つ又は2つのギア歯136Aを有している。因みに、図22において、上側の板状体129のギア歯部136には1つのギア歯136Aが形成されており、下側の板状体129のギア歯部136には2つのギア歯136Aが形成されている。尚、各ギア歯部136は、前記したように、第1リンク部材103の板状体119の端部に形成されたギア歯部128と相互に噛合しており、キートップ102の上下動を行う際に第1リンク部材103と第2リンク部材104とを同期して作動させる作用を行う。
【0086】次に、前記した第1カム部124と第2カム部135との関係について図23に基づき説明する。図23は第1リンク部材103から板バネ部120及び第1カム部124、第2リンク部材104から板バネ部131及び第2カム部135を取り出して模式的に示す説明図である。
【0087】図23(A)、(B)において、第1リンク部材103の板バネ部120と一体に形成された第1カム部124のカム頂点127には、第1カム部124の全幅に渡って突条部127Aが形成されており、また、第2リンク部材104の板バネ部131と一体に形成された第2カム部135のカム頂点127には、突条部127Aが嵌合する凹溝127Bが形成されている。ここに、各板バネ部材120、131は、第1カム部124と第2カム部135とが相互に当接する方向に付勢する作用を行うことから、突条部127Aと凹溝127Bは、第1カム部124及び第2カム部135の各第1カム面125が相互に当接する第1当接状態(図23(A)、(B)参照)から各カム頂点127を乗り越える状態(図23(C)参照)を経て、各第2カム面126が当接する第2当接状態に至る間、常時嵌合されている。これにより、キー操作時にキートップ102の上下動に従って第1リンク部材103と第2リンク部材104とが作動する際に、第1リンク部材103の第1カム部124及び第2リンク部材104の第2カム部135における各第1カム面125、カム頂点127、第2カム面126相互の同期を確実にとることができる。
【0088】続いて、前記のように構成されたキースイッチ装置101の動作について図24に基づき説明する。図24はキートップ102の非押下状態からキートップ102を押下してスイッチング動作を行うに至る一連の動作を第1リンク部材103、第2リンク部材104の動きに着目して模式的に示す説明図である。
【0089】先ず、キートップ102を押下していない非押下状態においては、キートップ102は図24(A)に示すように非押下位置に保持されている。この状態で、第1リンク部材103の第1カム部124における第1カム面125、及び、第2リンク部材104の第2カム部135における第1カム面125は、相互に当接した第1当接状態にあり、かかる第1当接状態において板バネ部120、131の付勢力は各第1カム面125相互を当接する方向に作用している。これにより、図19に示すように、第1リンク部材103の第2軸部122は係止部材117における係止溝117Aの右側に位置し、また、第2リンク部材104の第4軸部133は係止部材117における係止溝117Aの左側に位置しており、キートップ102は非押下位置に安定的に保持されている。また、第1当接状態においては、板バネ部120、131の付勢力は各第1カム面125相互を当接する方向に作用していることから、非押下位置に保持されたキートップ102が水平方向に移動してしまうことはなく、これよりキートップ102のガタツキを防止することができる。
【0090】前記したキートップ102の非押下状態が図25にて平面視で示されている。図25において、第1リンク部材103の第1カム部124と第2リンク部材104の第2カム部135とが当接された第1当接状態にあり、この状態において第1リンク部材103の板バネ部120及び第2リンク部材104の板バネ部131は各第1カム部124、第2カム部135が相互に当接する方向に付勢しているものの撓んではいない。尚、プリロードが必要な場合には、そのプリロード量に対応して各板バネ部120、131は撓む。
【0091】そして、キートップ102の押下を開始すると、キートップ102の押下に従って第1リンク部材103の第1軸部121は回動係止部108の係止溝108A内で時計方向に回動するとともに、第2リンク部材104の第3軸部132は回動係止部109の係止溝109A内で反時計方向に回動する。同時に、第1リンク部材103の第2軸部122は係止部材117の係止溝117A内で左方向に摺動するとともに、第2リンク部材104の第4軸部133は係止部材117の係止溝117A内で右方向に摺動する。このとき、第1カム部124の第1カム面125と第2カム部135の第1カム面125は次第に離間していき、第1カム部124と第2カム部135とは、それぞれのカム頂点127で当接するようになる。この状態が図24(B)に示されている。この状態においては、図26にて平面視で示すように、各板バネ部120、131は最大限に撓んでおり、各板バネ部120、131が第1カム部124、第2カム部135に及ぼす付勢力は最大となる。これに基づきキートップ102の押下荷重は最大となる。
【0092】尚、前記のように第1カム部124のカム頂点127と第2カム部135のカム頂点127とが当接する場合においても、第1カム部124のカム頂点127には突条部127Aが形成されるとともに、第2カム部135のカム頂点127には凹溝127Bが形成され、突条部127Aは凹溝127Bに嵌合されているので、各カム頂点127相互がずれてしまうことは全くなく、第1カム部124と第2カム部135とを完全に同期させることができる。更にキートップ102を押下していくと、第1カム部124及び第2カム部135における第2カム面126相互は、次第に接近していく。この状態が図24(C)に示されている。この状態で各板バネ部120、131の撓み程度は、図24(B)、図2626に示す場合よりも小さくなっており、従って、各板バネ部120、131を介して第1カム部124、第2カム部135に及ぼされる付勢力も次第に小さくなり、この結果、キートップ102の押下荷重も小さくなる。
【0093】そして、第1カム部124及び第2カム部135の各第2カム面126相互が当接される前に、第1カム部124の下端に形成された樹脂弾性片124A、及び、第2カム部135の下端に形成された樹脂弾性片135Aが、メンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114を押圧する。これにより、上側フィルムシート114の下面に形成された可動電極パターン113が、フィルムスペーサ116のスイッチング孔115を介して下側フィルムシート112の固定電極パターン110と接触し、所定のスイッチング動作が行われる。かかるスイッチング動作と略同時に又はスイッチング動作の後に、各第2カム面126相互が当接される。このように、スイッチング動作を行った後に第2カム面126相互が当接されることから、各樹脂弾性片124A、135Aによる押下動作の安定化を図ることが可能となり、チャタリング等を防止することが可能となる。
【0094】ここに、各第2カム面126相互が当接した状態が図24(D)に示されている。この状態で各板バネ部120、131の撓み程度は、図24(C)の場合よりも更に小さくなり、従って、各板バネ部120、131を介して第1カム部124、第2カム部135に及ぼされる付勢力も更に小さくなり、この結果、キートップ102の押下荷重も同様に小さくなる。また、前記のように、第1カム部124の第2カム面126と第2カム部135の第2カム面126とが当接した状態では、第1カム部124の下端に形成された樹脂弾性片124A、及び、第2カム部135の下端に形成された樹脂弾性片135Aが、メンブレンスイッチシート107の上側フィルムシート114を押圧しており、これにより上側フィルムシート114の下面に形成された可動電極パターン113が、フィルムスペーサ116のスイッチング孔115を介して下側フィルムシート112の固定電極パターン110と接触している。このようにスイッチング動作を行った状態が図27に示されている。図2727はスイッチング時におけるキースイッチ装置101を模式的に示す側断面図であり、各樹脂弾性片124A、135Aを介して上側フィルムシート114が押圧されて上側フィルムシート114と下側フィルムシート112とが接触していることが分かる。
【0095】尚、各樹脂弾性片124Aと樹脂弾性片135Aとが上側フィルムシート114に対して同時に接触して押圧することが望ましいが、例えば、最初に一方の樹脂弾性片124Aが上側フィルムシート114に接触した場合においても、これに続いて略同時に他方の樹脂弾性片135Aが上側フィルムシート114に接触するので、樹脂弾性片124Aが上側フィルムシート114に接触することに起因して上側フィルムシート114に振動等が発生したとしても、かかる上側フィルムシート114の振動等は、樹脂弾性片135Aが接触することにより解消され得る。従って、スイッチング時に発生するチャタリングを確実に防止することができる。
【0096】また、各樹脂弾性片124A、135Aは、図24(D)に示す状態から更にキートップ102が押下された場合に弾性変形されることから、各樹脂弾性片124A、135Aがキートップ102の移動量を吸収して、所謂、キートップ102のオーバートラベルを実現することができる。前記のようにスイッチング動作を行った後キートップ102の押下を解除すると、キートップ102は、第1リンク部材103の板バネ部120と第2リンク部材104の板バネ部131による付勢力に基づいて前記した動作と逆の動作を行い、図24(A)に示す非押下位置まで復帰する。
【0097】このとき、各板バネ部120、131の付勢力を介してキートップ102を元の非押下位置まで復帰させるには、スイッチング動作を行った時点で、第1カム部124と第2カム部135の各カム頂点127の当接部が、第1リンク部材103の第1軸部121の中心と第2リンク部材104の第3軸部132の中心とを結ぶ直線よりも上方に存在する必要がある。この条件について図28に基づき説明する。図28は第1カム部124、第2カム部135の形成条件を模式的に示す説明図である。
【0098】図28において、第1リンク部材103の第1軸部121の中心Cと第2リンク部材104の第3軸部132の中心とを結ぶ直線がDで示されている。また、スイッチングが行われた時点における第1カム部124の外形線をGで示している。この状態で、外形線Gにて示される第1カム部124のカム頂点127(第2カム部135のカム頂点127も同一位置に存在する)は、直線Dよりも上方に存在することが必要である。このように構成することにより、板バネ部120、131による付勢力に基づく回転モーメントは、外形線Gで示す状態で上方向に作用し、これによりラバースプリングや他の付勢機構を必要とすることなく、各板バネ部120、131の付勢力のみによってキートップ102を上方へ移動させることが可能となる。
【0099】また同様に、スイッチングが行われた時点で各板バネ部120、131による付勢力に基づき第1リンク部材103、第2リンク部材104を上方向に回転させるモーメントを発生させるためには、第1軸部121(第3軸部132)の中心と第2カム面126との間の距離D2が、第1軸部121(第3軸部132)の中心と第1カム面125との間の距離D1よりも大きく設定することが必要である。尚、直線Dとカム頂点127との間の距離H(直線Dからのカム頂点127の高さ)は、図24(B)に示す状態でキートップ102に作用する荷重(ピーク荷重)を決定する要因となる。
【0100】[第3実施形態のモデル化]次に、前記第3実施形態に係るキースイッチ装置101についてモデル化を行い、そのモデル3について図29乃至図31に基づいてキークリック機能を発現する原理について説明する。図29はキースイッチ装置10をモデル化して模式的に示すモデル3の説明図である。尚、図30は、例えば、第1実施形態のキースイッチ装置10におけるコイルスプリング15の付勢力を、第1リンク部材12、第2リンク部材13において各係止軸26よりも上側に存在する作用点(節点m)に作用させた場合をモデル化した例を模式的に示すものであり、図29に示すモデル3と図31に示すモデルと等価であることは明らかである。また、図31はモデル3における片側を拡大して模式的に示す説明図である。
【0101】ここに、図29、図30において、第1リンク部材103、第2リンク部材104を剛体A、キートップ102を剛体K、各係止部材117を剛体Bで表している。また、キートップ102の回動係止部108、109における係止溝108A、109A内に係止される第1リンク部材103の第1軸部121の回動中心、及び、第2リンク部材104の第3軸部132の回動中心をoで示している。更に、第1リンク部材103の第2軸部122が係止部材117にて外側に摺動を開始する摺動起点、及び、第2リンク部材104の第4軸部133が係止部材117にて外側に摺動を開始する摺動起点をsで示している。更に、図29に示すモデル3において、第1リンク部材103の板バネ部120及び第2リンク部材104の板バネ部131を介して各第1カム部124、135を外側に向かって付勢する付勢力が作用する点をmで示しており、また、図30に示す等価モデルでは、コイルスプリング15の付勢力が、第1リンク部材12、第2リンク部材13において各係止軸26よりも上側に作用する点をmで示している。更に、摺動起点sにおいて、傾斜状態にある第1リンク部材103とその第2軸部122の摺動方向とがなす角度、及び、傾斜状態にある第2リンク部材104とその第4軸部133の摺動方向とがなす角度をθ4で示している。また、各第1、第2リンク部材103、104の長さ方向と2つの節点o、mを通る直線とのなす角度をθ5、2つの節点o、mを通る直線と節点oを通る水平線とがなす角度をθ1で示している。
【0102】図29、図30において、モデル2及びその等価モデルは、3つの節点o(回動点)、節点m(作用点)、節点s(摺動起点)を有する2つの剛体A、節点oにて剛体Aを回動支持する剛体K、及び、節点sから剛体Aをx方向(水平方向)に摺動可能とする剛体Bを備えており、また、剛体Kはy方向(垂直方向)の運動が可能となる。
【0103】図29、図30に示すように、2つの剛体Aを弾性体E(モデル3の場合は板バネ部120、131、等価モデルの場合はコイルスプリング15に対応)で連結した時、F1の力が発生し、剛体Kにy方向の力Pが生成される。今、剛体Kを−y方向(下方向)に変化させた時、力Pは前記各節点o、m、s同士の角度の関数で表わされ、その曲線は図11に示すように凸形状の極大点を有する曲線となる。そして、スイッチング動作が行われる位置から弾性体F(弾性片28に対応)が作用して曲線OTに連続していく。
【0104】以下、前記モデル3の動作原理について、図29、図30に基づき説明する。図29、図30において、r1、r3、F1、L1、N、Sの方向が点oに対して反対方向に作用するため、負記号(−)を付して考えると、次のように表すことができる。
■r2について図31を参照すれば、前記第1実施形態のモデル1について成立した数7、数8及び数9が、モデル3についても成立する。従って、r2は、r2=r0/tanθ4と表すことができる。
【0105】■r1について図31より、r1は下記数30のように表される。
【数30】


数30の両辺に−1を掛けると前記数10と同一となり、前記第1実施形態のモデル1の場合と同様、数10〜数16が成立する。従って、r1は前記数16のように表すことができる。
【0106】■r1/r2についてr1/r2についても、前記第1実施形態のモデル1について得られた前記数9と数16を代入するため、前記数17〜数21と同一の結果となる。
【0107】■ F1について図31より、 −F1;荷重(N)
−S;初張力(N)
k;ばね定数(N/mm)
M;ばね長さ(mm)
M=−r3=−L1・cosθ1=−L1・cos(θ4−θ5)
−N;ばね自由長(mm)
u;ばねのたわみ係数=2とすると、ばね長Mは下記数31で表され、
【0108】
【数31】


また、数31に基づき、荷重−F1は下記数32、数33、数34で表すことができる。
【数32】


【数33】


【数34】


そして、数34の両辺に−1を掛けると前記数24と同一となり、これよりF1は、前記の場合と同様、数25と同一の結果が得られる。
【0109】■Pについて前記した第1実施形態のモデル1の場合と同様に、数20、数24を数5に代入すると、前記数26と同一の結果が得られる。従って、Pは数26によって表すことができる。但し、θ4はθ4=sin-1(r0/L)で求める。前記のように求めた押下荷重Pを表す数26において、剛体K,A,B及び弾性体Eの構造が決定された場合に剛体Kの運動について考えると、L、L1、sinθ5は剛体Aの定数でありr0に対して一定になり、また、k、u,N、Sは弾性体Eの定数でありr0に対して一定となる。従って、数26は角度θ4の関数となり、数26によって表される押下荷重Pの曲線は、前記モデル1の場合と同様図11に示すように、凸形状の極大点を有する荷重カーブとなる。
【0110】以上説明した通り、第3実施形態に係るキースイッチ装置10では、前記第1実施形態の場合と同様、キートップ11を押下した際にキートップ11に発生する押下荷重は、キートップ11の第1係止部17における第1リンク部材12の係止軸30の回動点oと第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動起点sとの間の距離L、回動点oとコイルスプリング15の付勢力が第1リンク部材12に作用する作用点mとの間の距離L1、回動点oと摺動起点sとを通る線分と第3係止部40における第1リンク部材12の係止軸26の摺動方向とがなす角度θ4、及び、コイルスプリング15の各種特性値によって表される関数(数26)で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線Pは、上方に凸形状の極大点P1を有する曲線となり、メンブレンスイッチシート16によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる極小点P2と極大点P1との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点o、摺動起点s、作用点m、角度θ4、コイルスプリング15の各種特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下加重曲線Pからキークリック機能の評価を行うことができる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となるものである。
【0111】次に、第4実施形態に係るキースイッチ装置について図32乃至図34に基づいて説明する。図32は第4実施形態に係るキースイッチ装置の側断面図であり同図において、キートップ201はABS樹脂等の合成樹脂から成型されており、その上面にはアルファベット等の文字が印刷等により形成されている。また、キートップ201の裏面からは、回動係止部202、及び摺動係止部203が下方に向けてキートップ201本体と一体に設けられている。
【0112】回動係止部202には、後述する2つのリンク部材207、208のうちの一方のリンク部材207の一端に形成された第1係止ピン213、214を回動可能に係止する回動孔204が穿設されており、また、摺動係止部203には、他方のリンク部材208の一端に形成された第2係止ピン223、224を水平方向に摺動可能に係止する係止溝205が形成されている。キートップ201の下方には、キートップ201の上下動を案内支持する案内支持部材206が配設されており、かかる案内支持部材206は2つのリンク部材207、208から構成される。
【0113】一方のリンク部材207は図33に示すように、基部209の両端に2つの基端部210、211を一体に形成してなるものである。基部209の中央部の一側面からは軸212が延設されており、かかる軸212は後述する他方のリンク部材208に形成された軸孔220に回動可能に軸支される。尚、図32に示すように、リンク部材207の第1係止ピン213、214と第2係止ピン215、216は軸212を中心として一直線上に並び、且つ軸212からの距離が等しくなるように構成される。またリンク部材208の第1係止ピン221、222と第2係止ピン223、224は軸孔220を中心として一直線上に並び、且つ軸孔220からの距離が等しくなるように構成される。
【0114】また、図32に示すように、両リンク部材207、208は上基端部210、219の先端部の厚さを小さくしている。このためキートップ201が押下された場合にも、両リンク部材207、208の上基端部210、219と下基端部211、218はキートップ201の押下の途中で互いに接触することがない。よって、キートップ201はその押下動作を途中で妨げられることがなく、キーストロークを十分に確保できるように構成される。
【0115】図33に示すようにリンク部材207は、上基端部210の両端延部210Aの側面からは、第1係止ピン213、214が延設されており、この第1係止ピン213、214は前記したキートップ201の回動係止部202に穿設された回動孔204に回動可能に係止されるものである。更に、下基端部211は平面視でコ字状に形成されており、コ字状の両端延部211Aの側面からは前記と同様の第2係止ピン215、216が延設されている。かかる第2係止ピン215、216は後述するホルダ部材225に形成された摺動係止部226に摺動可能に係止される。また、リンク部材207の上基端部210には、コイルスプリング231の一端を係止する係止孔232が形成されている。
【0116】更に、リンク部材208は図34に示すように、基部217の両端に2つの上下基端部218、219を一体に形成してなるものである。基部217の中央部には軸孔220が穿設され、この軸孔220には前記のようにリンク部材207の基部209に設けられた軸212が挿通される。また、下基端部218は平面視コ字状に形成されており、コ字状の両端延部218Aからは第1係止ピン221、222が延設されている。この第1係止ピン221、222は後述するホルダ部材225に形成された回動係止部227に回動可能に係止される。更に、上基端部219の両端延部219Aから前記と同様の第2係止ピン223、224が延設されており、かかる第2係止ピン223、224は前記したキートップ201の摺動係止部203に形成された係止溝205に摺動可能に係止されるものである。また、リンク部材208の上基端部219には、前記リンク部材207の係止孔232に対応して、コイルスプリング231の他端を係止する係止孔233が形成されている。
【0117】前記したように案内支持部材206は、一方のリンク部材207の基部209に形成された軸212を他方のリンク部材208の基部217に穿設した軸孔220に挿通して構成されるものであり、両リンク部材207、208は軸212と軸孔220とよりなる軸支部234を介して相互に回動可能となる。また、案内支持部材206において、リンク部材207の係止孔232にはコイルスプリング231の一端が係止され、且つ、リンク部材208の係止孔233にはコイルスプリング231の他端が係止されていることから、各リンク部材207、208は、コイルスプリング231の付勢力に基づいて、相互に閉脚する方向に付勢されている。
【0118】次に、案内支持部材206の下方にはホルダ部材225が配設されており、かかるホルダ部材225上には前記リンク部材207の下基端部211に延設された第2係止ピン215、216及び前記リンク部材208の下基端部218に延設された第1係止ピン221、222をそれぞれ係止するための摺動係止部226、及び回動係止部227が設けられている。摺動係止部226はホルダ部材225から凸状に一体に形成されるとともに長孔状の係止溝228が設けられており、かかる係止溝228には前記リンク部材207の第2係止ピン215、216が水平方向に摺動可能に係止されている。また、回動係止部227は摺動係止部226と同様にホルダ部材225から凸状に一体に形成されるとともに回動孔229が設けられており、この回動孔229には前記リンク部材208の第1係止ピン221、222が回動可能に係止されている。
【0119】前記構成において、軸支部234の中心を通る垂線Lを基準として図32中左方側に存在するキートップ201の裏面に形成された回動係止部202及びホルダ部材225に形成された回動係止部227には、それぞれ第1係止ピン213、214及び221、222を回動可能に係止する回動孔204及び回動孔229が設けられていることになる。また、垂線Lの図1中右方側に存在するキートップ201の裏面に形成された摺動係止部203及びホルダ部材225に形成された摺動係止部226には、それぞれ第2係止ピン223、224及び215、216を水平方向に摺動可能に係止する係止溝205及び係止溝228が設けられていることになる。
【0120】ホルダ部材225の下方には、前記第1実施形態等におけるキースイッチ装置におけると同様、上側スイッチングシート、化側スイッチングシート及び量スイッチングシート間に介挿されるスペーサシートの3層構造を有するメンブレンスイッチシート230配設されている。かかるメンブレンスイッチシート230におけるスイッチング部は、キートップ201を押下した際に軸支部234を介して押圧されてスイッチング動作を行う。更に、スイッチングシート230の下方にスイッチ支持板235が配設されており、かかるスイッチ支持板235は前記したメンブレンスイッチシート230、ホルダ部材225及びキートップ201を支持した案内支持部材206を支持する。
【0121】続いて、前記の構成を有するキースイッチ装置の動作について説明する。キートップ201を下方に押下すると、キートップ201が下方へ移動するのに伴ってリンク部材207の第1係止ピン213、214は回動係止部202の可動孔204内で反時計方向に回動するとともに、リンク部材208の第2係止ピン223、224は摺動係止部203の係止溝205内で水平方向(図32中右方向)に摺動する。これと同時に、リンク部材208の第1係止ピン221、222はホルダ部材225における回動係止部227の回動孔229内で時計方向に回動するとともに、リンク部材207の第2係止ピン215、216は摺動係止部226の係止溝228内で水平方向(図32中右方向)に摺動する。
【0122】この結果、リンク部材207及び208を相互に軸支する軸支部234に付加されている弾性片Jは、下方に移動するとともに、後述するキークリック機能を発現しつつメンブレンスイッチシート230のスイッチング部を押圧する。これにより、所定のスイッチング動作が行われるものである。キートップ201の押下を解除すると、両リンク部材207、208の軸支部234は、コイルスプリング231による付勢力に基づいて上方に押し上げられる。これに伴って前記第1係止ピン213、214、221、222、及び前記第2係止ピン215、216、223、224は前記したのと逆の動作を行い、この結果、キートップ201は元の位置に復帰される。ここに、第1係止ピン213、214、221、222は水平方向には移動されることなくそれぞれ回動孔204、229内で回動するのみであるので、キートップ201は水平方向に移動されることがないため隣合ったキーとぶつかり合うことはなく、キートップ201のキー面の水平状態を保持したまま上下動されるものである。
【0123】[第4実施形態のモデル化]次に、前記第4実施形態に係るキースイッチ装置についてモデル化を行い、そのモデル4について図35、図36に基づいてキークリック機能を発現する原理について説明する。図35は第4実施形態のキースイッチ装置をモデル化して模式的に示すモデル4の説明図である。尚、図36は、例えば、第4実施形態のキースイッチ装置におけるコイルスプリング231の付勢力を、リンク部材207、208において軸支部234よりも下側に存在する作用点(節点m)に作用させた場合をモデル化した例を模式的に示すものであり、図36に示すモデル4は図35に示すモデル4と等価であることは明らかである。
【0124】ここに、図35において、リンク部材207を剛体A1、リンク部材208を剛体A2、キートップ201を剛体K、ホルダ部材225の摺動係止部226を剛体Bで表している。また、キートップ201の回動係止部202内に係止されるリンク部材207の第1係止ピン213の回動中心をoで示している。更に、リンク部材207の第2係止ピン215が摺動係止部226の摺動溝228にて外側に摺動を開始する摺動起点をsで示している。また、リンク部材207の係止孔232にて内側に向かって付勢するコイルスプリング231による付勢力の作用点、及び、リンク部材208の係止孔233にて内側に向かって付勢するコイルスプリング231による付勢力の作用点をmで示している。更に、摺動起点sにおいて、傾斜状態にあるリンク部材207とその第1係止ピン221の摺動方向とがなす角度、及び、傾斜状態にあるリンク部材208とその第2係止ピン215の摺動方向とがなす角度をθ4で示している。リンク部材207、208を軸支する軸支点をQで示す。
【0125】図35において、モデル4は、3つの節点o(回動点)、m(作用点)、s(摺動起点)を有する2つの剛体A1、節点oにて剛体A1を回動支持する剛体K、及び、節点sから剛体A1をx方向(水平方向)に摺動可能とする剛体Bを備えており、また、剛体Kはy方向(垂直方向)の運動が可能となる。図35に示すように、2つの剛体A1、A2を弾性体E(コイルスプリング231に対応)で連結した時、F1の力が発生し、剛体Kにy方向の力Pが生成される。今、剛体Kを−y方向(下方向)に変化させた時、力Pは前記各節点o、m、s同士の角度の関数で表わされ、その曲線は図11に示すように凸形状の極大点を有する曲線となる。そして、スイッチング動作が行われる位置から弾性体F(弾性片Jに対応)が作用して曲線OTに連続していく。以下、前記モデル4の動作原理について、図35、図36に基づき説明する。図35において、剛体Kがy方向に変化する時、軸支点Qに回転トルクTが発生する。そのトルクTは、前記数1により表され、また、F2は前記数2により表される。更に、y方向の反力R1は、前記数3により表される。
【0126】ここで、F1は弾性体の張力である為、左右二つの剛体A1、A2に等しく掛かり、両方に等しくF2、R2が発生するため、下記数35が成立する。
【数35】


また、F1との関係はリンク比に基づき、下記数36〜数38が成立する。
【数36】


【数37】


【数38】


■r2について前記した図9より、r2についても前記第1実施形態のモデル1の場合と同様、前記数7〜数9が成立する。従って、r2は、数9に示すように、r2=r0/tanθ4と表すことができる。
【0127】■r1について前記図9より、r1についても前記第1実施形態のモデル1の場合と同様、前記数10〜数16が成立する。従って、r1は数16に従って、r1=(L1・r0/L)(cosθ5−sinθ5/tanθ4)と表すことができる。
【0128】■r1/r2についてr1/r2についても前記第1実施形態のモデル1の場合と同様、前記数17〜21が成立する。従って、r1/r2は、数20により表すことができる。但し、θ4は、数21で求める。
【0129】■ F1について図9より、F1;荷重(N)
S;初張力(N)
k;ばね定数(N/mm)
M;ばね長さ(mm)
N;ばね自由長(mm)
u;ばねのたわみ係数=2とすると、F1についても、前記第1実施形態のモデル1の場合と同様、前記数22〜25が成立する。従って、F1は、数25により表すことができる。
【0130】■Pについて前記した数20及び数25を数38に代入すると、Pは、下記数39により表すことができる。
【数39】


但し、θ4はθ4=sin-1(r0/L)で求める。前記のように求めた押下荷重Pを表す数39において、剛体K,A,B及び弾性体Eの構造が決定された場合に剛体Kの運動について考えると、L、L1、L3、sinθ5は剛体Aの定数でありr0に対して一定になり、また、k、u,N、Sは弾性体Eの定数でありr0に対して一定となる。従って、数39は角度θ4の関数となり、数39によって表される押下荷重Pの曲線は、前記モデル1の場合と同様図11に示すように、凸形状の極大点を有する荷重カーブとなる。
【0131】以上説明した通り、第4実施形態に係るキースイッチ装置では、前記第1実施形態の場合と同様、キートップ201を押下した際にキートップ201に発生する押下荷重は、キートップ201の回動係止部202におけるリンク部材207の第1係止ピン213回動点oとホルダ部材225の摺動係止部226におけるリンク部材207の第2係止ピン215の摺動起点sとの間の距離L、回動点oとコイルスプリング231の付勢力がリンク部材207に作用する作用点mとの間の距離L1、軸支点Qと摺動起点sとの間の距離L3、回動点oと摺動起点sとを通る線分と摺動部226におけるリンク部材207の第2係止ピン215の摺動方向とがなす角度θ4、及び、コイルスプリング231の各種特性値によって表される関数(数39)で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線Pは、図11に示すように、上方に凸形状の極大点P1を有する曲線となり、メンブレンスイッチシート230によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる極小点P2と極大点P1との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点o、摺動起点s、作用点m、角度θ4、コイルスプリング231の各種特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線Pからキークリック機能の評価を行うことができる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となるものである。
【0132】尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、前記各実施形態においては、2つの各リンク部材を同一長さとして構成したが、2つのリンク部材の長さが相互に異なっている場合においても、前記した各モデル1乃至4を適用することは可能である。また、第1実施形態、第4実施形態においては、各リンク部材を付勢する部材としてコイルスプリングを使用し、各リンク部材間にコイルスプリングを掛装するように構成したが、コイルスプリングの一端を一方のリンク部材に係止し、他端をメンブレンスイッチシート等の固定物に係止するようにしてもよい。
【0133】
【発明の効果】以上説明した通り請求項1のキースイッチ装置によれば、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。また、請求項2に係るキーボードでは、請求項1記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0134】更に、請求項3に係る電子機器では、前記請求項1のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。
【0135】また、請求項4に係るキースイッチ装置では、請求項1のキースイッチ装置とは各リンク部材に対して付勢部材による付勢力の作用方向が異なっているが、請求項1のキースイッチ装置の場合と同様に、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。
【0136】また、請求項5に係るキーボードでは、請求項4記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0137】更に、請求項6に係る電子機器では、前記請求項4のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。
【0138】請求項7に係るキースイッチ装置では、請求項1のキースイッチ装置とは第1リンク部材と第2リンク部材とが相互に回動可能に軸支されている点で請求項1のキースイッチ装置とは異なっているが、キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、キートップの第1係止部における第1リンク部材の上端部の回動点と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動起点との間の距離、回動点と付勢部材の付勢力が第1リンク部材に作用する作用点との間の距離、回動点と各リンク部材の軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、かかる関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状極大点を有する曲線となり、スイッチング部材によりスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるので、前記回動点、摺動起点、作用点、軸支点、角度、付勢部材の特性値を種々設定してシュミレーションを行うことにより得られる押下荷重曲線からキークリック機能の評価を行うことが可能となる。これにより、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を実現することが可能となる。
【0139】また、請求項8に係るキーボードでは、請求項7記載のキースイッチ装置が搭載されていることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現することが可能となり、キーボード全体としてのコストを低減することができる。
【0140】更に、請求項9に係る電子機器では、前記請求項7のキースイッチ装置を備えたキーボードを有していることから、キースイッチ機構の試作回数を最小限に抑制して短期間で且つ低コストで所望のキークリック機能を有するキー操作性の良好なキースイッチ装置を備えたキーボードを実現して、電子機器全体のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノート型パーソナルコンピュータを示し、図1(A)はノート型パーソナルコンピュータのシャシ図、図1(B)はノート型パーソナルコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】キースイッチ装置の一部を勝利訳して示す斜視図である。
【図4】キースイッチ装置の側断面図である。
【図5】キートップの押下が終了した状態を示すキースイッチ装置の側断面図である。
【図6】第1リンク部材、第2リンク部材の各アーム部に形成されたギア部の構成を拡大して模式的に示す説明図である。
【図7】キースイッチ装置をモデル化して模式的に示すモデル1の説明図である。
【図8】式(6)による押下荷重曲線を示すグラフである。
【図9】図7に示すモデル1の片側部分を拡大して模式的に示す説明図である。
【図10】図7に示すモデル1の片側部分を拡大して模式的に示す説明図である。
【図11】押下荷重曲線を表すグラフである。
【図12】第2実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図である。
【図13】キースイッチ装置の一部を省略して示す斜視図である。
【図14】キートップ11を押下する前におけるキースイッチ装置の側断面図である。
【図15】キートップ11の押下が終了した時点におけるキースイッチ装置の側断面図である。
【図16】キースイッチ装置をモデル化して模式的に示すモデル2の説明図である。
【図17】モデル2の等価モデルを模式的に示す説明図である。
【図18】第3実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図である。
【図19】キースイッチ装置の概略側面図である。
【図20】キースイッチ装置の概略側断面図である。
【図21】第1リンク部材の側面図、平面図である。
【図22】第2リンク部材の側面図、平面図である。
【図23】第1リンク部材から板バネ部び第1カム部、第2リンク部材から板バネ部及び第2カム部を取り出して模式的に示す説明図である。
【図24】キートップの非押下状態からキートップを押下してスイッチング動作を行うに至る一連の動作を第1リンク部材、第2リンク部材の動きに着目して模式的に示す説明図である。
【図25】キートップの非押下時において第1リンク部材及び第2リンク部材を組み立てた状態を示す平面図である。
【図26】キートップの押下時に、第1リンク部材及び第2リンク部材の各カム頂点が当接対向した状態を示す平面図である。
【図27】スイッチング時におけるキースイッチ装置を模式的に示す側断面図である。
【図28】第1カム部、第2カム部の形成条件を模式的に示す説明図である。
【図29】キースイッチ装置をモデル化して模式的に示すモデル3の説明図である。
【図30】モデル3の等価モデルを模式的に示す説明図である。
【図31】モデル3における片側を拡大して模式的に示す説明図である。
【図32】第4実施形態に係るキースイッチ装置の側断面図である。
【図33】一方のリンク部材の平面図である。
【図34】他方のリンク部材の平面図である。
【図35】第4実施形態のキースイッチ装置をモデル化して模式的に示すモデル4の説明図である。
【図36】モデル4の等価モデルを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 ノート型パーソナルコンピュータ
5 キーボード
10 キースイッチ装置
11 キートップ
12 第1リンク部材
13 第2リンク部材
14 案内部材
15 コイルスプリング
16 メンブレンスイッチシート
17 第1係止部
18 第2係止部
26 係止軸
30 係止軸
40 第3係止部
41 第4係止部
62 弾性枠状部材
64 付勢バネ部
64B 付勢バネ
101 キースイッチ装置
102 キートップ
103 第1リンク部材
104 第2リンク部材
105 案内部材
106 支持プレート
107 メンブレンスイッチシート
108 回動係止部
109 回動係止部
117 係止部材
120 板バネ部
121 第1軸部
122 第2軸部
124 第1カム部
131 板バネ部
132 第3軸部
133 第4軸部
135 第2カム部
201 キートップ
202 回動係止部
203 摺動係止部
207 リンク部材
208 リンク部材
213 第1係止ピン
214 第1係止ピン
215 第2係止ピン
216 第2係止ピン
221 第1係止ピン
222 第1係止ピン
223 第2係止ピン
224 第2係止ピン
227 回動係止部
226 摺動係止部
231 コイルスプリング
232 係止孔
233 係止孔
235 スイッチ支持板
o 回動点
m 作用点
s 摺動起点

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に近接する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とするキースイッチ装置。
【請求項2】 前記請求項1に記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とするキーボード。
【請求項3】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、そのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に近接する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項4】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に離間する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とするキースイッチ装置。
【請求項5】 前記請求項4に記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とするキーボード。
【請求項6】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、さのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第1係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に摺動可能に係止される第2リンク部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が相互に離間する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第1係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、前記キートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第1係止部に摺動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に回動可能に係止される第2リンク部材とからなり、第1リンク部材と第2リンク部材とを相互に回動可能に軸支した案内部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が軸支点の回りに回動する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置において、前記第1リンク部材の上端部は第2係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されることを特徴とするキースイッチ装置。
【請求項8】 前記請求項7に記載のキースイッチ装置を少なくとも1以上備えたことを特徴とするキーボード。
【請求項9】 下面に第1係止部及び第2係止部が設けられたキートップと、そのキートップの下方に設けられ、前記第1係止部に対応する第3係止部及び前記第2係止部に対応する第4係止部と、上端部が前記第2係止部に回動可能に係止され、下端部が前記第3係止部に摺動可能に係止される第1リンク部材と、上端部が前記第1係止部に摺動可能に係止され、下端部が前記第4係止部に回動可能に係止される第2リンク部材とからなり、第1リンク部材と第2リンク部材とを相互に回動可能に軸支した案内部材と、前記第1リンク部材及び第2リンク部材が軸支点の回りに回動する方向に付勢する付勢部材と、前記キートップの上下動に従ってスイッチング動作を行うスイッチング部材とを備え、前記第1係止部と第2係止部との中間位置を通る垂線に関して、相互に対称に構成されたキースイッチ装置であって、前記第1リンク部材の上端部は第2係止部にて所定回動点の回りに回動されるとともに、第1リンク部材の下端部は第3係止部にて所定摺動起点から外側に摺動され、前記付勢部材の付勢力は第1リンク部材における所定作用点にて第1リンク部材に作用し、前記キートップを押下した際にキートップに発生する押下荷重は、前記回動点と摺動起点間の距離、回動点と作用点間の距離、回動点と軸支点間の距離、回動点と摺動起点とを通る線分と第3係止部における第1リンク部材の下端部の摺動方向とがなす角度、及び、前記付勢部材の特性値によって表される関数で定義され、前記関数によって定義される押下荷重曲線は、上方に凸形状の極大点を有する曲線となり、前記スイッチング部材を介してスイッチング動作が行われた後押下荷重が上昇に転じる点と前記極大点との荷重差に基づきキークリック機能が発現されるキースイッチ装置を備え、文字や記号等の各種データを入力するキーボードと、文字や記号等を表示する表示手段と、前記キーボードからの入力データに基づいて文字や記号等を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図23】
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【図33】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図25】
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【図26】
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【図22】
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【図24】
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【図27】
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【図28】
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【図34】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2001−202849(P2001−202849A)
【公開日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−13183(P2000−13183)
【出願日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】