説明

ギャップジャンクション調節化合物を用いる疼痛の治療

本発明は、ギャップジャンクションの形成および機能を低減するオリゴヌクレオチドを含めた、ギャップジャンクションの形成および機能を調節するのに有用な治療有効量の化合物の経皮送達を含めた送達、ならびに疾患、障害、または状態と関連する疼痛を患い、また、筋肉痛、靭帯痛、腱痛、関節痛、および術後疼痛が含まれるがこれらに限定されない疼痛と関連する疼痛を患う被験体を治療するための方法および組成物に関する。本発明の一態様は、皮膚に対するギャップジャンクション調節剤の適用による、疼痛と関連する状態の新規の治療を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野は、皮膚を介する、オリゴヌクレオチドギャップジャンクション調節物質を含めたギャップジャンクションの調節による疼痛の緩和に有用な化合物の送達に関する。
【背景技術】
【0002】
以下には、本発明の理解に有用でありうる情報が含まれる。それは、本明細書に記載の情報のいずれかが、本明細書で記載もしくは特許請求される発明に対する先行技術であるかもしくはこれにとって重要であること、または具体的もしくは暗黙に参照される任意の刊行物もしくは文書が先行技術であることの承認ではない。
【0003】
現在、疼痛は、疼痛の身体的ならびに情緒的帰結に苦しむ個体を援助しなければならない家族、友人、および医療ケア従事者にとって普遍的な障害、重大で費用のかかる公衆衛生問題、および難題となっている。国際疼痛研究学会は、疼痛を、「現実的または潜在的な組織損傷と関連するか、またはこのような損傷との関連で説明される、不快で感覚的かつ感情的な経験」と定義している。一般に、急性および慢性という、2つの基本的な疼痛の種類がある。急性疼痛は、多くの場合、疾患、炎症、または組織に対する傷害から生じる。この種の疼痛は一般に、例えば、外傷または手術後に突然生じ、不安または精神的苦痛を伴いうる。一部の場合において、疼痛は、慢性となりうる。慢性疼痛は、疾患自体を表すと広く考えられている。慢性疼痛は、急性疼痛より長期間にわたり持続し、大半の医学的治療に対して抵抗性である。慢性疼痛は、患者に対して重大な問題を引き起こす可能性があり、実際そうであることが多い。
【0004】
関節炎は、米国で最も蔓延する疾患の1つであり、障害の主要な原因であると考えられている。疾病管理予防センターによれば、アメリカ人の3人に1人が、100種を超える関節炎に罹患していると推定されている。疼痛、特に、全身における関節の疼痛が、関節炎を特徴づける。主要には皮膚障害である乾癬は、治療せずに放置すると、乾癬性関節炎へと進行しうる。関節リウマチ、骨関節炎、および強直性脊椎炎はすべて、変性性関節炎疾患の例である。
【0005】
例えば、関節炎の原因であることに加え、関節の正常な機能およびその運動、ならびに身体の他の部分も、外傷の結果として、または整形外科手順および他の手術手順の後に大幅に損なわれうる。これは、圧痛、痛み、疼痛、および回復期間の長期化のほか、関節運動性の喪失、または例えば、筋肉、腱、被膜、骨、もしくは靭帯など、関節構造(joint/articular structures)の運動範囲、緊張力、もしくは弾力性の減少を結果としてもたらしうる。関節運動性の低下はまた、関節構造または組織構造の恒久的な変化または縮減も伴いうる。関節運動性または関節構造の変化または異常はまた、例えば、代謝障害、虚血、関節、被膜、骨、軟骨、腱、靭帯、または筋肉に対する傷害、骨折、亜脱臼、脱臼、挫傷傷害、固定(例えば、ギブス包帯または副木による関節の固定)の長期化、および麻痺など、各種の傷害および状態と関連する場合もあり、これらによって引き起こされる場合もある。現在のところ、矯正的な手術手順はまた、制御された傷害または外傷の形態でもあり、該手順はさらなる疼痛を引き起こしうるので、関節運動性または関節構造の変化または異常を緩和するための一般的な手術的介入の成功は限定されている。
【0006】
ギャップジャンクションは、直接的な細胞間連絡を促進する細胞膜構造である。ギャップジャンクションチャネルは、各々が6つのコネキシンサブユニットからなる2つのコネクソン(ヘミチャネル)から形成される。各6量体コネクソンは、向かい合う膜内のコネクソンとドッキングして、単一のギャップジャンクションを形成する。ギャップジャンクションチャネルは、全身において見出されることが報告されている。例えば、角膜上皮などの組織は、6〜8層の細胞層を有するが、異なる層では異なるギャップジャンクションチャネルを発現し、基底層ではコネキシン43を伴い、基底層〜中翼細胞層ではコネキシン26を伴う。一般に、コネキシンはタンパク質ファミリーであり、通常、それらの分子量により命名されるか、または系統発生に基づき、アルファ、ベータ、およびガンマのサブクラスに分類されている。少なくとも20のヒトアイソフォーム、および19のマウスアイソフォームが同定されている。特徴的なパターンのコネキシンタンパク質発現を有する様々な組織型および細胞型が報告されており、角膜などの組織は、傷害または移植後において、コネキシンタンパク質の発現パターンを変化させることが示されている(Qui, C.ら(2003年)、Current Biology、13巻、1967〜1703頁; Branderら(2004年)、J. Invest Dermatol.、122巻、1310〜20頁)。
【0007】
異常なコネキシン機能は、特定の疾患状態(例えば、心疾患)と連関しうることが報告されている(A. C. de Carvalhoら、J Cardiovasc Electrophysiol、5巻、686頁(1994年))。ある種のコネキシンタンパク質では、ギャップジャンクションを介した細胞間連絡レベルに影響を及ぼしうる外因性作用物質の添加により、代謝回転特性および輸送特性の変化が誘導される場合がある(Darrow, B. J.ら、Circ Res、76巻、381頁(1995年); Lin Rら、J Cell Biol、154巻、4号、815頁(2001年))。ウイルス性疾患、真菌性疾患、および代謝性疾患に関与する遺伝子の発現調節について、アンチセンス法が報告されている。例えば、特許文献1(HIVに対するオリゴヌクレオチド阻害剤)、特許文献2(単純ヘルペスウイルスのVmw65 mRNAにハイブリダイズし、複製を阻害するオリゴマー)を参照されたい。また、BeckerおよびGreenに対する特許文献3(コネキシンに対するアンチセンスヌクレオチドを含む調合物)も参照されたい。ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに対するペプチド阻害剤(ペプチド模倣剤を含めた)が報告されている。例えば、Berthoud, V.M.ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、279巻、L619〜L622頁(2000年); Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、29巻、606〜612頁;ならびにDe Vriese A.S.ら、Kidney Int.、61巻、177〜185頁(2001年)を参照されたい。また、GreenおよびBecker、特許文献4(「Anti−connexin compounds and methods of use」)も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,166,195号明細書
【特許文献2】米国特許第5,004,810号明細書
【特許文献3】米国特許第7,098,190号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/134494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
疼痛と疼痛軽減の因果関係(関節炎状態ならびに手術手順および整形外科手順に関連する疼痛を含めた)に関する過程の根底となる機構の原理に対する理解の進展にもかかわらず、転帰および回復を改善するのに適する治療選択肢に対する少なからぬ必要は依然として満たされていない。
【0010】
皮膚は、異物および感染に対する防御的障壁を提供する。哺乳動物において、これは、角化膜(CE)と呼ばれる角質細胞の表面上において、高度に不溶性のタンパク質および脂質の構造を形成することにより達成される(Downingら、「Dermatology in General Medicine」、Fitzpatrickら編、210〜221頁(1993年);Ponec, M.、「The Keratinocyte Handbook」、Leighら編、351〜363頁(1994年))。CEは、セラミド、ステロール、および脂肪酸などの極性脂質、ならびに架橋されたタンパク質の複雑なネットワークからなるが、角質層細胞の細胞質は、極性および水性を維持している。CEは、極薄(10ミクロン)であるが、実質的な障壁を提供する。にもかかわらず、皮膚は、薬物投与のための経路とも考えられている。大半の経皮送達系は、皮膚浸透増強媒体を用いることにより、表皮浸透を達成する。このような化合物または化合物の混合物は、当技術分野において、例えば、「浸透増強剤」または「皮膚増強剤(skin enhancer)」などを含めた各種の用語により公知である。治療化合物を経皮送達する他の方法には、イオン泳動デバイス、電気穿孔デバイス、およびマイクロ浸透デバイスなどのデバイスが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で記載および特許請求される発明は、この「発明の概要」で記載または説明または参照される属性および実施形態が含まれるがこれらに限定されない多くの属性および実施形態を有する。「発明の概要」は、総括的であることを意図するものではなく、本明細書で記載および特許請求される発明は、例示だけを目的として包含され、限定を目的として包含されるわけではないこの「発明の概要」において同定される特徴もしくは実施形態に限定されるものでもないし、これらにより限定されるものでもない。
【0012】
本発明の一態様は、皮膚に対するギャップジャンクション調節剤の適用による、疼痛と関連する状態の新規の治療を提供する。ギャップジャンクション調節剤には、抗コネキシン化合物、ギャップジャンクション改変化合物、コネキシン結合化合物、およびヘミチャネル調節化合物が含まれる。本発明の別の態様は、皮膚に、または皮膚内に抗コネキシン化合物を適用することにより疼痛を緩和することである。一実施形態では、皮膚の疼痛が軽減される。別の実施形態では、外傷により引き起こされるか、またはこれに起因する疼痛が軽減される。一実施形態では、薬学的に許容される経皮送達形態または経皮送達デバイスにおいて、抗コネキシン43化合物など、治療有効量のギャップジャンクション調節剤を含む薬学的組成物を、身体支持構造における疼痛の軽減を必要とする被験体に局所投与することにより、疼痛が軽減され、関節、筋肉、腱、靭帯、軟骨、および皮膚を(単独で、共に、または任意の組合せで)含めた、被験体の身体支持構造における疼痛が軽減される。別の実施形態では、被験体の筋骨格系内における疼痛が軽減される。別の実施形態では、例えば、デポ製剤、またはその徐放製剤、持続放出製剤、または遅延放出製剤の注射または滴注を含めた、抗コネキシン43化合物など、治療有効量のギャップジャンクション調節剤を含む薬学的組成物を注射または滴注することにより、被験体の身体支持構造および/または被験体の筋骨格系における疼痛を軽減する。
【0013】
本発明の態様は、ギャップジャンクション調節剤を送達するための経皮製剤および経皮デバイスに関する。
【0014】
好ましい非限定的な態様によれば、調節されるコネキシンはコネキシン43であり、調節されるコネキシン43ギャップジャンクションまたはヘミチャネルは、コネキシン43ギャップジャンクションまたはヘミチャネルである。
【0015】
一実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、抗コネキシンポリヌクレオチド、好ましくは、抗コネキシンオリゴヌクレオチドである。別の実施形態において、抗コネキシンオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。他の実施形態において、抗コネキシンオリゴヌクレオチドは、RNAi化合物またはsiRNA化合物である。代替的な実施形態によれば、抗コネキシンオリゴヌクレオチドは、リボザイム化合物である。好ましい特定の非限定的な実施形態において、抗コネキシンオリゴヌクレオチドは、抗コネキシン43オリゴヌクレオチドである。
【0016】
他の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ペプチドもしくはポリペプチド、抗体もしくはその結合フラグメント、ペプチド模倣剤、ペプチド類似体、またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドである。好ましい非限定的なペプチドおよびペプチド模倣剤には、抗コネキシン43ヘミチャネル遮断ペプチドまたは抗コネキシン43ヘミチャネル遮断ペプチド模倣剤を含めた、抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤が含まれる。好ましい非限定的なコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドには、コネキシン43カルボキシ末端ポリペプチドが含まれる。他の好ましい非限定的なギャップジャンクション調節剤には、抗コネキシン43化合物、抗コネキシン43結合化合物、およびコネキシン43ヘミチャネル調節化合物などの抗コネキシン化合物、コネキシン結合化合物、およびヘミチャネル調節化合物が含まれる。
【0017】
他の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ギャップジャンクション改変化合物(例えば、ギャップジャンクションを制限または閉鎖するコネキシンタンパク質リン酸化剤を含めた)、コネキシン結合化合物(例えば、ZO−1タンパク質の相互作用を遮断または阻害するコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含めた)、ヘミチャネル調節化合物(例えば、コネキシンヘミチャネルに結合し、その開口を制限しうる模倣剤ペプチドを含めた)、または抗ZO−1タンパク質オリゴヌクレオチドである。好ましい非限定的なギャップジャンクション改変化合物には、コネキシン43ギャップジャンクション改変化合物が含まれる。好ましい非限定的なコネキシン結合化合物には、コネキシン43結合化合物が含まれる。好ましい非限定的なヘミチャネル調節化合物には、コネキシン43ヘミチャネル調節化合物が含まれる。好ましい非限定的な抗ZO−1タンパク質オリゴヌクレオチドには、コネキシン43活性を調節するか、またはコネキシン43に別の形で結合するのに有用な抗ZO−1タンパク質オリゴヌクレオチドが含まれる。
【0018】
ギャップジャンクション調節剤の各種の使用には、治療のための使用、または製剤、組成物、製品、もしくはキットの製造もしくは調製における使用が含まれる。
【0019】
例えば、ギャップジャンクション調節剤を送達するための経皮送達系の実施形態には、皮膚への適用を介して治療有効量のギャップジャンクション調節剤を送達する製剤が含まれる。本明細書に記載の経皮送達系を作製する方法、および前記製剤を使用する方法(例えば、疼痛の治療および防止)が、さらなる実施形態である。
【0020】
さらに他の実施形態において、本発明で用いられる経皮製剤は、経皮浸透を増強する脂質組成物を含む。このような脂質組成物には、植物油、堅果油、動物油、もしくは合成油、または脂肪酸、脂肪アルコール、もしくは脂肪アミンが含まれる。好ましい非限定的な油には、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油(limnanthes alba)、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、エミュー油が含まれる。とりわけ好ましい1つの油は、エミュー油である。
【0021】
特定の好ましい非限定的な実施形態において、経皮送達系は、その中に1分子当たり約10〜19カ所のエトキシ化を有するエトキシ化油、または脂肪酸、脂肪アルコール、もしくは脂肪アミンを含む。浸透増強剤として適するエトキシ化脂質には、エトキシ化された植物油、堅果油、合成油、または動物油、適切な形でエトキシ化されたエミュー油またはエトキシ化されたマカデミアナッツ油などの油が含まれる。好ましい非限定的な態様によれば、本明細書に記載の調合物中で用いうる適切なエトキシ化脂質は、その中に1分子当たり少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19カ所以上のエトキシ化を有する植物油、堅果油、動物油、もしくは合成油、または脂肪酸、脂肪アルコール、もしくは脂肪アミンでありうる。好ましい非限定的なエトキシ化油には、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油(limnanthes alba)、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、エミュー油が含まれる。場合によって、アルコールおよび/または水および/または水性アジュバントなど、薬学的調合物中において用いられる従来の他の作用物質を、浸透増強剤と混合して、特定のギャップジャンクション調節剤の可溶性および/または輸送を改善することができる。
【0022】
一部の実施形態において、本明細書に記載の経皮送達系は、分子量が約9,000〜約10,000ダルトン以下の分子であるギャップジャンクション調節剤の経皮投与に適する。しかし、一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、分子量が約9,000〜約10,000ダルトン以上の分子である。
【0023】
さらに他の実施形態において、経皮送達系は、1または複数のギャップジャンクション調節剤と組み合わせたマイクロ針、マイクロプロジェクションアレイ、または他のマイクロ浸透デバイスを含む。好ましい非限定的な抗コネキシン化合物には、抗コネキシン43化合物が含まれる。好ましい非限定的なギャップジャンクション改変剤には、コネキシン43ギャップジャンクションを調節するものが含まれる。好ましい非限定的なコネキシン結合剤には、コネキシン43結合化合物が含まれる。好ましい非限定的なヘミチャネル調節剤には、コネキシン43ヘミチャネルを調節するものが含まれる。他の経皮送達系には、ギャップジャンクション調節剤、好ましくはコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含む電気穿孔デバイス、イオン導入デバイス、ソノフォレーシスデバイス、および超音波デバイスが含まれる。
【0024】
経皮送達調合物および経皮送達デバイスを用いる複数の方法もまた、実施形態である。例えば、一手法は、疼痛の軽減を必要とする被験体の治療におけるギャップジャンクション調節剤を含む調合物を経皮送達することにより疼痛を軽減する方法を伴う。疼痛軽減のモニタリングもまた、治療プログラムまたはリハビリテーションプログラムの一部として所望でありうる。
【0025】
本発明にはまた、関節炎状態の被験体、または整形外科手順もしくは手術を含めた、侵襲性の医学手順もしくは手術の間もしくは後(かつ/または、前治療としてその前)における被験体、または疼痛に対する素因があるか、もしくは他の形で疼痛の危険性を示す被験体の治療を含めた、被験体の治療における疼痛の緩和または防止に有用であり、1または複数のギャップジャンクション調節剤を含む経皮送達組成物も含まれる。本発明にはまた、治療を必要とするこのような被験体を治療するのに有用なギャップジャンクション調節剤を経皮送達するための組成物も含まれる。本明細書に記載の作用物質および調合物は、疼痛部位(例えば、急性疼痛もしくは慢性疼痛の部位、または疼痛を防止するために)、および/またはその近傍(例えば、反射性疼痛または二次疼痛の領域を含めた)に投与される。したがって、例えば、作用物質および調合物は、本明細書で提供される局所投与または他の投与(例えば、注射または滴注を含めた)により、関節、筋肉、腱、靭帯、軟骨、および皮膚を含めた(これらのうちの任意の1または複数を含めて、共に、または任意の組合せで)、被験体の身体支持構造および/または筋骨格系における疼痛部位および/またはそれに近接する位置に投与され、これにより疼痛が軽減される。
【0026】
1または複数のギャップジャンクション調節剤を含みうる経皮送達組成物、経皮送達法、および/または経皮送達デバイスを用いて疼痛の緩和を提供する被験体の治療は、このような組成物の組合せ投与、同時投与、個別投与、逐次投与、または持続投与を伴いうる。疼痛の緩和または予防には、複数回の適用もまたもたらされる。
【0027】
一部の態様によれば、本発明は一般に、疼痛の緩和または疼痛の防止を提供して、疼痛を患っているか、その素因があるか、またはその危険性を示す被験体を治療する、1または複数のギャップジャンクション調節剤の使用(治療における使用、または組成物、調合物、製品、およびキットの製造もしくは調製における使用を含む)に関する。術前および/または術後の患者に対する使用は、疼痛の緩和だけでなく、回復の改善および回復時間の加速化ももたらす。
【0028】
一態様において、本発明には、関節炎状態の被験体、または、例えば、整形外科手順もしくは手術を含めた、侵襲性の医学手順もしくは手術の間もしくは後(かつ/または、前治療としてその前)における被験体の治療を含めた、被験体の治療において疼痛を緩和または防止するための、薬学的に許容されるギャップジャンクション調節剤を含む、経皮送達組成物が含まれる。
【0029】
他の実施形態では、治療有効量未満の2つ以上のギャップジャンクション調節剤を含めた、2つ以上のギャップジャンクション調節剤を、個別または組合せによる経皮送達を介する投与に用いて、治療的に有効な組合せ作用をもたらすことができる。したがって、被験体の疼痛を予防的または積極的に治療するのに有用な経皮送達組成物はまた、単一のギャップジャンクション調節剤、または、例えば、治療有効量の2つ以上のギャップジャンクション調節剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の混合物としての組合せ調製物の形態でももたらされる。他の実施形態では、組合せによる経皮送達を介して治療有効量未満の2つ以上のギャップジャンクション調節剤を投与して、所望の治療効果を提供する。
【0030】
一実施形態では、例えば、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、または他のギャップジャンクション調節剤による経皮送達のときにおける経皮送達、またはこれとほぼ同時の経皮送達を介して、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物が投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む経皮送達組成物は、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、または他のギャップジャンクション調節剤から少なくとも約30分以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む経皮送達組成物は、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、または他のギャップジャンクション調節剤による経皮送達組成物から少なくとも約1時間以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む経皮送達組成物は、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、または他のギャップジャンクション調節剤を含む経皮送達組成物から少なくとも約2〜12時間以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む経皮送達組成物は、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、または他のギャップジャンクション調節剤の経皮送達から少なくとも約24〜48時間以内に投与される。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド(anti−connexin polypnucleotide)、および抗コネキシンペプチド、もしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、または他のギャップジャンクション調節剤は、互いから約1〜8時間以内、互いから約1日以内、または互いから約1週間以内に経皮送達を介して投与される。他の実施形態には、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、もしくはギャップジャンクション改変剤、ならびに1もしくは複数のギャップジャンクション閉鎖化合物、1もしくは複数のヘミチャネル閉鎖化合物、および/または1もしくは複数のコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドの経皮送達を介する投与が含まれる。ギャップジャンクション調節剤は、任意の順序で投与することができる。
【0031】
本発明は、経皮送達に適し、被験体を治療して疼痛の緩和をもたらすのに有用な剤形(剤形を含むデバイスを含めた)の製造において、本明細書で記載される治療有効量の1または複数のギャップジャンクション調節剤を用いる方法を包含する。このような剤形およびデバイスには、本明細書で開示される被験体を治療するための剤形およびデバイスが含まれる。
【0032】
「組合せ調製物」という用語は、上記で定義した組合せパートナーを個別に投与することもでき、異なる量の組合せパートナー(a)および(b)による異なる固定の組合せを用いて投与することもできる、すなわち、同時投与、個別投与、または逐次投与しうるという意味における「要素キット(kit of parts)」を含む。したがって、キットの要素は、例えば、同時に投与することもでき、時間的にずらして投与する、すなわち、要素キットの任意の要素について、異なる時点および等しいかまたは異なる時間間隔で投与することもできる。
【0033】
特定の他の態様において、本発明は、単独で、または1もしくは複数の他のギャップジャンクション調節剤(またはこれらの組合せ)と共に使用するための指示書を伴い、経皮送達に適する調合物中に治療有効量の1または複数のギャップジャンクション調節剤を含むパッケージを提供する。他の実施形態において、パッケージは、共に、または組み合わせて用いると治療的に有効である、治療有効量未満の1または複数のギャップジャンクション調節剤を含有する。
【0034】
一態様において、本発明は、被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する方法であって、薬学的に許容される経皮送達形態にある、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含む薬学的組成物を、疼痛の軽減を必要とする前記被験体に局所投与する工程を含み、これにより疼痛を軽減する方法を対象とする。一実施形態によれば、身体支持構造は関節である。別の実施形態によれば、身体支持構造は、筋肉、骨、腱、靭帯、および軟骨からなる群から選択される。これらの方法は、関節炎を患っている被験体を治療するのに適する。治療されうる状態には、骨関節炎、関節リウマチ、頚部関節炎、および強直性脊椎炎(anklyosing spondylitis)が含まれる。
【0035】
さらなる実施形態において、この方法は、急性疼痛を患っている被験体を治療するのに適する。この方法による治療に適する疼痛状態には、背痛、膝痛、股関節痛、肩痛、手の痛み、または指痛が含まれる。代替的な実施形態において、被験体は、慢性疼痛を患い、これには、背痛、膝痛、股関節痛、肩痛、手の痛み、または指痛が含まれうる。別の実施形態において、被験体は、術後疼痛を患っている。
【0036】
適切な経皮剤形には、局所用のゲル、ローション、軟膏、またはスプレーが含まれる。
【0037】
一態様において、前記経皮送達形態は、油を含む経皮浸透剤を含む。油は、10〜19カ所/分子のエトキシ化を有するエトキシ化油であることが適切である。前記エトキシ化油は、エトキシ化エミュー油であることが適切である。好ましい代替的な態様によれば、油は、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油からなる群から選択される油を含む。
【0038】
代替的な実施形態において、前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤は、10,000ダルトン以上である。あるいは、前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤は、10,000ダルトン未満である。
【0039】
ある実施形態において、前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤は、オリゴヌクレオチド(oligoneculeotide)である。適切なオリゴヌクレオチドには、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、RNAiオリゴヌクレオチド、およびsiRNAオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0040】
一態様において、本発明は、前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドである方法を対象とする。適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドには、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC(配列番号1);GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC(配列番号2);およびGGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT(配列番号3)が含まれる。
【0041】
あるいは、適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である。他の適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する。
【0042】
他の適切なコネキシン43ギャップジャンクション調節剤には、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドが含まれる。
【0043】
あるいは、前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤は、ペプチドまたはペプチド模倣剤である。一態様において、前記ペプチドまたはペプチド模倣剤は、コネキシン43ヘミチャネルに結合する。
【0044】
別の態様において、前記ペプチドまたはペプチド模倣剤は、コネキシン43 ZO−1タンパク質の結合部位に結合する。
【0045】
さらなる適切なコネキシン43ギャップジャンクション調節剤には、コネキシン43リン酸化剤が含まれる。
【0046】
さらなる実施形態では、非ステロイド抗炎症薬、例えば、ジクロフェナック(diclfenac)である第2の薬学的化合物をさらに含む、本発明による方法が提供される。
【0047】
本発明の組成物は、被験体における組織疼痛または関節疼痛の部位に近接する皮膚に投与することが好都合である。
【0048】
また、被験体における疼痛を軽減する薬学的組成物であって、例えば、疼痛軽減量の抗コネキシン43化合物と、経皮送達剤を含む薬学的に許容される媒体とを含む薬学的組成物も提供される。加えて、被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する薬学的組成物であって、経皮剤形中において、例えば、疼痛軽減量の抗コネキシン43化合物を有する調合物を含む薬学的組成物も提供される。場合によって、組成物は、経皮浸透増強剤を含む。他の薬学的組成物において、例えば、前記抗コネキシン43化合物はオリゴヌクレオチドであり、前記経皮浸透剤は、皮膚を介するオリゴヌクレオチドの送達を促進する。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する方法であって、前記被験体における組織疼痛または関節疼痛の部位に近接する皮膚領域への、例えば、抗コネキシン43化合物を含む経皮送達デバイスを、疼痛の軽減を必要とする被験体に適用する工程を含む方法も提供される。抗コネキシン43化合物は、例えば、オリゴヌクレオチドであり、経皮送達デバイスは、皮膚を介するオリゴヌクレオチドの送達を促進することが適切である。
【0050】
適切な1つの経皮送達デバイスは、経皮マイクロプロジェクション送達デバイスである。前記マイクロプロジェクションデバイスは、場合によって、例えば、抗コネキシン43化合物がそれに配置されている(disposed)コーティング製剤から形成される、生体適合性コーティングを有しうる。適切で代替的な経皮送達デバイスは、組織膜に、それにより、例えば、皮膚を介する前記抗コネキシン43化合物の送達が促進される、少なくとも1つのマイクロポアを形成するデバイスである。
【0051】
さらなる態様では、包装材料、および前記包装材料内に含有される経皮送達組成物を含む製品であって、前記経皮送達組成物が、例えば、疼痛軽減有効量の抗コネキシン43化合物、および経皮浸透有効量のエトキシ化油を含み、支持構造における疼痛を軽減するのに前記組成物を用いうることを示すラベルを、前記包装材料が含む製品を提供する。製品は、エトキシ化マカデミアナッツ油、エトキシ化メドウフォーム油、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ホホバ油、エトキシ化トウモロコシ油、エトキシ化ヒマワリ油、エトキシ化ゴマ油、およびエトキシ化エミュー油からなる群から選択されるエトキシ化油を含みうる。場合によって、前記抗コネキシン43化合物は、例えば、オリゴヌクレオチドである。
【0052】
別の態様では、包装材料、および前記包装材料内に含有される経皮送達組成物を含む製品であって、前記経皮送達組成物が、例えば、疼痛軽減有効量の抗コネキシン43化合物、および経皮浸透有効量の油を含み、支持構造における疼痛を軽減するのに前記組成物を用いうることを示すラベルを、前記包装材料が含む製品を提供する。製品は、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油からなる群から選択される油を含みうる。場合によって、前記抗コネキシン43化合物は、例えば、オリゴヌクレオチドである。
【0053】
さらなる態様では、被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する方法であって、例えば、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含有する経皮剤形、注射用剤形、滴注剤形、またはデポ剤形を、疼痛の軽減を必要とする前記被験体に局所投与する工程を含み、これにより疼痛を軽減する方法が提供される。
【0054】
この「発明の概要」における情報に限定されないか、またはこれにより限定されるものではない、本発明のこれらおよび他の態様を以下に示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書で用いられる「障害」とは、例えば、1または複数の抗コネキシン化合物、ギャップジャンクション改変化合物、コネキシン結合化合物、またはヘミチャネル調節化合物を含めた、ギャップジャンクション調節剤から利益をうる疼痛を伴う、任意の障害、疾患、または状態である。
【0056】
本明細書で用いられる「被験体」とは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシなどの家畜動物および農場動物、ならびに動物園動物、競技動物、またはペット動物を含めた任意の哺乳動物を指す。好ましい非限定的な哺乳動物は、成人、小児、および老齢者を含めたヒトである。好ましい非限定的な競技動物は、ウマおよびイヌである。好ましい非限定的なペット動物はイヌおよびネコである。
【0057】
本明細書で用いられる「被験体の身体支持構造」とは、その被験体の関節、筋肉、腱、靭帯、軟骨、および皮膚を指す。本発明の特に有用な適用には、肩、腰、足首、膝、肘、手掌部、脚部、および指を含めた関節およびその周囲における疼痛の防止または治療が含まれる。本発明の特に有用な他の適用には、背部、特に背部下方における疼痛の防止または治療が含まれる。関節、筋肉、腱、靭帯、軟骨、および皮膚の各々は、疼痛の個別の治療対象でありうるので、個別に治療することができる。
【0058】
本明細書で用いられる「筋骨格系」(また、運動系としても公知である)とは、筋肉系および骨格系を用いて身体運動する能力を動物に与える系を指す。筋骨格系は、関節および靭帯により他の骨に結合する骨によりなる骨格と、腱により骨格に結合する骨格筋とを包含する。本発明の特に有用な適用には、骨と共に、筋肉、靭帯、および腱に影響する疼痛を含めた、筋骨格痛の防止または治療が含まれる。
【0059】
本明細書で用いられる「疼痛」には、急性疼痛および慢性疼痛が含まれる。また、神経痛も含まれる。
【0060】
本明細書で用いられる「防止(preventing)」または「防止(prevention)」とは、全体的もしくは部分的な防止(preventing)、または改善、軽減、もしくはコントロールを意味する。
【0061】
本発明による化合物または組成物に関連して本明細書で用いられる「治療有効量」または「有効量」とは、所望の生物学的結果、薬学的結果、または治療的結果をもたらすのに十分な量を指す。この結果は、疾患もしくは障害もしくは状態の徴候、症状、もしくは原因の緩和、または生体系の他の任意の所望の変化でありうる。本発明において、結果は、疼痛の防止を伴う。
【0062】
本明細書において用いられる「治療(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、治療処置および予防措置または防止措置を指す。
【0063】
本明細書で用いられる「ギャップジャンクション調節剤」とは、コネキシン、コネキシンヘミチャネル(コネクソン)、またはギャップジャンクションの活性、特性、発現、または形成に影響するか、またはこれを調節する化合物である。限定せずに述べると、ギャップジャンクション調節剤には、アンチセンス化合物(例えば、アンチセンスポリヌクレオチド)、RNAi化合物およびsiRNA化合物、抗体およびこれらの結合フラグメント、ならびに「ペプチド模倣剤」およびペプチド類似体を含めたペプチドおよびポリペプチドが含まれる。抗コネキシンポリヌクレオチドならびに抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンペプチド模倣剤に加え、他のギャップジャンクション調節剤には、ギャップジャンクションを閉鎖するのに用いられる作用物質(例えば、コネキシンリン酸化化合物)を含めた、ギャップジャンクションの開口を遮断、阻害、または低減する化合物、ヘミチャネルの開口を遮断、阻害、または低減する化合物(例えば、コネキシンリン酸化化合物)、また、ZO−1タンパク質によるコネキシンとの相互作用を遮断、阻害、もしくは低減するか、または破壊する化合物(例えば、コネキシン43のカルボキシ末端ポリペプチド)も含まれる。このようなギャップジャンクション調節剤は、被験体を治療して、外傷の結果としての疼痛、整形外科手順もしくは手術の結果としての疼痛、または整形外科疾患、整形外科障害、および/または整形外科状態の結果としての疼痛の軽減を含めた疼痛の軽減をもたらすのに有用である。好ましい非限定的なギャップジャンクション調節剤は、抗コネキシン43剤、抗コネキシン43ギャップジャンクション剤、および抗コネキシン43ヘミチャネル剤である。例示的な抗コネキシン剤は、本明細書でさらに詳細に論じられる。他の好ましい非限定的なギャップジャンクション調節剤は、抗コネキシン26剤、抗コネキシン26ギャップジャンクション剤、および抗コネキシン26ヘミチャネル剤である。好ましい非限定的なギャップジャンクション調節剤は、抗コネキシン30剤、抗コネキシン30ギャップジャンクション剤、および抗コネキシン30ヘミチャネル剤である。
【0064】
「ペプチド模倣剤」および「模倣剤」という用語は、それらが模倣するタンパク質領域と実質的に同じ構造的特徴および機能的特徴を有しうる天然化合物および合成化合物を包含する。コネキシンの場合、これらは、例えば、コネキシン間のドッキングおよび細胞間のチャネル形成に関与する、向かい合うコネキシンの細胞外ループを模倣しうる。
【0065】
「ペプチド類似体」とは、鋳型ペプチドの特性に類似する特性を有する化合物を指し、非ペプチド薬でありうる。ペプチドベースの化合物を含めた「ペプチド模倣剤」(また、「模倣剤ペプチド」としても公知)にはまた、ペプチド類似体など、非ペプチドベースの化合物も含まれる。治療的に有用なペプチドに対して構造的に類似するペプチド模倣剤を用いて、同等であるかまたは増強された治療効果または予防効果をもたらすことができる。一般に、ペプチド模倣剤は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的または薬理学的な機能または活性を有するポリペプチド)と構造的に同一であるかまたはこれに構造的に類似するが、また、場合によって、例えば、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(cisおよびtrans)、−COCH−、−CH(OH)CH−、および−CHSO−からなる群から選択される結合により置換される1または複数のペプチド結合も有しうる。模倣剤は、天然のアミノ酸または非天然のアミノ酸類似体だけから構成される場合もあり、部分的に天然のペプチドアミノ酸と部分的に非天然のアミノ酸類似体とのキメラ分子の場合もある。任意量の天然アミノ酸に対する保存的置換もまた、模倣活性を実質的に変化させない限りにおいて、模倣剤はまたこのような置換も含みうる。例えば、ヘミチャネルのドッキングによるギャップジャンクションを介する細胞間連絡の形成に対する阻害、またはヘミチャネルの開口による細胞質の細胞外環境への曝露に対する阻害など、コネキシンタンパク質またはヘミチャネルの生物学的な作用または活性を下方調節することが可能な場合、例えば、模倣剤組成物は、抗コネキシン剤として有用でありうる。コネキシンリン酸化化合物およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含めた、ペプチド模倣剤、模倣剤ペプチド、およびコネキシン調節ペプチド、ならびにコネキシン調節化合物は、本明細書で記載または言及されるもののほか、現在公知の場合であれ将来的に開発される場合であれ、当技術分野において公知でありうるものも包含する。
【0066】
ギャップジャンクション調節剤には、ギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルを閉鎖もしくは遮断するか、またはギャップジャンクションを介する細胞間連絡を別の形で阻害もしくは低減するか、またはヘミチャネルを通る細胞外環境への細胞連絡を阻害もしくは低減する作用物質が含まれる。
【0067】
本明細書でその各種形態において用いられる、コネキシン活性の「調節剤」および「調節」という用語は、コネキシンまたはコネキシンヘミチャネルまたはコネキシンギャップジャンクションの発現または作用または活性に対する全体的または部分的な阻害を指し、抗コネキシン化合物として機能しうる。
【0068】
一般に、「タンパク質」という用語は、1つのアミノ酸(またはアミノ酸残基)のアルファ炭素に結合するカルボン酸基のカルボキシル炭素原子が、隣接するアミノ酸のアルファ炭素に結合するアミノ基のアミノ窒素原子に共有結合する場合に生じる、ペプチド結合を介して結合する2つ以上の個々のアミノ酸(天然の場合であれそうでない場合であれ)の任意のポリマーを指す。これらのペプチド結合による結合、およびこれらを含む原子(すなわち、アルファ炭素原子、カルボキシル炭素原子(およびそれらの置換酸素原子)、およびアミノ窒素原子(およびそれらの置換水素原子))により、タンパク質の「ポリペプチド骨格」が形成される。加えて、本明細書で用いられる「タンパク質」という用語は、「ポリペプチド」および「ペプチド」(本明細書において、これらは、場合によって、互換的に用いられることがある)という用語を包含すると理解される。同様に、本明細書では、タンパク質フラグメント、タンパク質類似体、タンパク質誘導体、およびタンパク質変異体も「タンパク質」と称する場合があり、別段に示さない限り、「タンパク質」とみなされるものとする。タンパク質の「フラグメント」という用語は、該タンパク質のすべてのアミノ酸残基より少数のアミノ酸残基を含むポリペプチドを指す。タンパク質の「ドメイン」もまたフラグメントであり、活性または機能を付与するのに必要とされることが多い、該タンパク質のアミノ酸残基を含む。
【0069】
本明細書で用いられる「経皮」という用語は、治療のための、皮膚内への作用物質の送達および/または皮膚を介する作用物質の送達を意味する。
【0070】
本明細書で用いられる「経皮フラックス」という用語は、経皮送達の速度を意味する。
【0071】
本明細書で用いられる「経皮フラックス測度」とは、個体、ヒト、もしくは動物の皮膚を介して流出する任意の被検体の通過速度、または生物の皮膚を介して流入する任意の浸透物、薬物、薬理活性剤、染料、もしくは色素の通過速度である。
【0072】
本明細書で用いられる「マイクロプロジェクション」および「マイクロプロトルージョン」という用語は、生きている動物、特に、哺乳動物、またより具体的にはヒトの皮膚の角質層を介して、その表皮基底層、または表皮層および真皮層内へと穿刺するかまたは切り込むのに適合する穿刺エレメントを指す。
【0073】
本明細書で用いられる「マイクロプロジェクションメンバー」という用語は、一般に、アレイ内に配置される(arranged)ことが多い、角質層を穿刺するための複数のマイクロプロジェクションを含む、マイクロプロジェクションアレイを意味する。マイクロプロジェクションメンバーは、例えば、薄いシートから複数のマイクロプロジェクションをエッチングまたはパンチングし、該マイクロプロジェクションをシート面から折り返すかまたは折り曲げて三次元の構造を形成することを含めた各種の方法により形成することができる。マイクロプロジェクションメンバーはまた、米国特許第6,050,988号で開示される(1または複数の)ストリップの各々の縁辺に沿ってマイクロプロジェクションを有する、1または複数のストリップを形成することによるなど、他の公知の方法で形成することもできる。
【0074】
本明細書で用いられる「コーティング調合物」という用語は、マイクロプロジェクションおよび/またはそれらのアレイをコーティングするのに用いられる組成物または混合物を意味および包含することを意図する。コーティング調合物には、例えば、該調合物中における溶液または懸濁液中に存在しうる、少なくとも1つのギャップジャンクション調節剤が含まれることが好ましい。
【0075】
本明細書で用いられる「生体適合性コーティング」および「固相コーティング」という用語は、実質的な固相状態にある「コーティング調合物」を意味および包含することを意図する。
【0076】
本明細書で用いられる「人工開口部」または「マイクロポア」とは、微小孔を含め、それを介して流体または他の組成物を送達または抽出するのに適するサイズの、生体膜に対する任意の物理的な裂け目を意味する。したがって、「人工開口部」もしくは「マイクロポア」、または任意のこのような類似の用語は、生体膜内において、またはこれを介して所望の深さまで作製される小孔、開口部、または割れ目を指す。開口部は、米国特許第5,885,211号に記載の通り、例えば、熱エネルギーの伝導により形成される場合もあり、機械的過程により形成される場合もあり、火工過程により形成される場合もある。孔または小孔のサイズは、例えば、直径約1〜1000ミクロンである。マイクロポアという用語は、簡便のため単数形で用いられるが、デバイスおよび方法は、複数の開口部または小孔を形成しうることを理解されたい。
【0077】
「イオン導入」とは、2つ以上の電極を用いて組織表面へと外部電場を印加し、組織内へのイオン輸送(電気浸透)と関連する水流により移送される、薬物のイオン化形態またはイオン化されない薬物を送達するか、または生体液もしくは被検体を同様の形で抽出することを指す。
【0078】
「電気穿孔」とは、電流の流れにより、細胞壁内に開口部、一般には、マイクロポアより何桁か小さな大きさの開口部を創出することを指す。電気穿孔により形成される開口部は、いずれの寸法においても数ナノメートルに過ぎないことが典型的である。電気穿孔は、選択された浸透物が、マイクロポアを介して、生物の外層下にある標的組織の深層内へと通過した後で、これらの組織による該浸透物の細胞内への取込みを促進するのに有用である。
【0079】
「ソノフォレーシス」または「超音波処理」とは、物質中に交流を通すことにより、圧電性結晶または他の電気機械的エレメントを振動させることにより発生させる、通常は超音波として記載される周波数が含まれうる音響エネルギーを指す。薬物分子に対する皮膚の浸透性を増大させるための音響エネルギーの使用は、ソノフォレーシスまたはフォノフォレーシスと呼ばれている。
【0080】
「統合デバイス」とは、組織における人工開口部を形成するのに適し、またさらに、1または複数のさらなる適用、例えば、1または複数の浸透物を組織内へと送達すること(人工開口部を介することが好ましい)、また場合によって、生体液を組織から回収すること(人工開口部を介することが好ましい)、また場合によって、生体液を解析してその特徴を決定することに適するデバイスを意味する。
【0081】
本明細書で用いられる「非侵襲性」とは、身体の一部に注射針、カテーテル、または他の侵襲性の医療器具を挿入する必要がないことを意味する。
【0082】
本明細書で用いられる「最小限度の侵襲性」とは、角質層を侵襲しつつも、下層の組織に対して実質的な損傷を引き起こすことなく小孔または微小孔を創出する、機械的手段、水力的手段、または電気的手段の使用を指す。
【0083】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」とは、薬学的に許容される薬物などの物質の送達に供しうる担体を指す。薬学的に許容される担体は、当技術分野、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州、1995年において説明されている。担体には、例えば、水および他の水溶液、油、脂質、糖、多糖、緩衝剤、賦形剤、ならびにポリエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、リポソーム、およびこれらの混合物などの生体分解性ポリマーが含まれうる。
一般的な態様
以下の開示では、ヒトの身体へと有効量の薬学的作用物質または美容剤を投与しうるいくつかの経皮送達系が説明される。本発明の実施形態を用いて投与しうるギャップジャンクション調節剤は、低分子量の場合もあり、高分子量の場合もある(または低分子量および高分子量の両方)が、特に適切な実施形態には、分子量が約5,000または6,000ダルトンを超える化合物を投与しうる経皮送達系が含まれる。一実施形態には、例えば、疼痛軽減のための、治療有効量のギャップジャンクション調節剤を投与しうる経皮送達系が含まれる。これらの実施形態の一部は、核酸、ペプチド、およびペプチド模倣剤などのギャップジャンクション調節剤のほか、他のギャップジャンクション調節剤も投与しうる経皮送達系に関する。これらの例は、本発明の実施形態を用いて、低分子量および高分子量両方の化合物を経皮送達しうることを示すために提供されるものであり、本明細書に記載の実施形態を用いて、治療的または予防的に有益な量で、他の多くの分子を身体へと有効に送達しうることを理解されたい。
【0084】
本明細書で記載されて実施される経皮送達調合物は、脂質またはエトキシ化脂質を包含する浸透増強剤を含みうる。脂質(例えば、油)およびエトキシ化脂質(例えば、エトキシ化油)は、皮膚を介して低分子量化合物および高分子量化合物を輸送する経皮浸透媒体または経皮浸透増強剤として用いることができる。また、一部の実施形態では、エトキシ化脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸またはオレイン酸)を用いうること(例えば、加えて、エミュー油もしくはマカデミアナッツ油、またはエトキシ化エミュー油もしくはエトキシ化マカデミアナッツ油などの油またはエトキシ化油を補完すること)も意図される。
【0085】
エトキシ化脂質は、当技術分野で公知の多数の方法により作製することができる。本発明の経皮的方法と共に有用な手法は、植物油、堅果油(例えば、マカデミアナッツ油)、動物油(エミュー油など)、または合成油との酸化エチレンの反応を伴う。浸透増強剤の親水性成分は、脂質分子上に存在する多数カ所のエトキシ化によりもたらされうる。加えて、アルコール、非イオン性可溶化剤、または乳化剤を添加して、送達される作用物質の溶解度、または浸透増強剤の有効性もしくは流動性を改善することもできる。適切な親水性成分には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルポリシロキサン(DMPX)、オレイン酸、カプリル酸、イソプロピルアルコール、1−オクタノール、エタノール(変性物または無水物)、および他の医薬グレードアルコールまたは絶対アルコールが含まれるがこれらに限定されない。
【0086】
本発明の実施形態はまた、水性アジュバントなど、製剤技術分野で従来用いられている作用物質も含みうる。したがって、本発明の複数の実施形態は、エトキシ化油(例えば、マカデミアナッツ油、ココナッツ油、ユーカリ油、合成油、ヒマシ油、グリセロール、トウモロコシ油、ホホバ油、またはエミュー油)を含む疎水性/親水性成分を包含する浸透増強剤を有する場合があり、また、アルコール、非イオン性可溶化剤、もしくは乳化剤(例えば、イソプロピルアルコール)、および/または、場合によって、水性アジュバントを含む親水性成分を含有しうる。
【0087】
添加される成分が、ギャップジャンクション調節剤の経皮送達に悪影響を及ぼさない限りにおいて、芳香剤、クリーム、軟膏、着色剤、および他の化合物を含めた、調合物中における他の従来の成分も、本発明の経皮送達調合物中において用いることができる。
【0088】
本発明において有用な経皮送達系の他の例には、経皮送達デバイス、例えば、微小穿孔デバイス、電気穿孔デバイス、イオン導入デバイス、ソノフォレーシスデバイス、およびマイクロプロジェクションデバイスおよびマイクロプロジェクションアレイも含まれる。
【0089】
疼痛を治療および防止する方法が提供される。一部の実施形態では、1または複数のギャップジャンクション調節剤を含む経皮送達系が、疼痛の軽減などの治療を必要とする患者へと施される。患者を経皮送達系と接触させ、疼痛の軽減または疼痛の防止に十分な時間にわたり治療を継続することができる。
ギャップジャンクション調節剤
本明細書で記載される本発明のギャップジャンクション調節剤は、細胞内へ、また細胞からの分子の輸送を調節するかまたはこれに影響を及ぼす(例えば、遮断、低減、阻害、または下方調節する)ことが可能である。したがって、本明細書で記載される一部のギャップジャンクション調節剤は、細胞連絡(例えば、細胞間)を調節する。一部のギャップジャンクション調節剤は、細胞質とペリプラズム腔または細胞外腔との間における分子の移送を調節するかまたはこれに影響を及ぼす。このようなギャップジャンクション調節剤は一般に、コネキシンおよび/またはコネキシンヘミチャネル(コネクソン)を標的とする。コネキシンを含むヘミチャネルおよび結果としてもたらされるギャップジャンクションは、開口したヘミチャネルの場合、細胞質と細胞外腔または組織との間、また、開口したギャップジャンクションの場合、隣接する細胞の細胞質間における小分子の放出または交換に個別に関与する。したがって、本明細書で提供されるギャップジャンクション調節剤は、細胞間における結合および連絡を直接的または間接的に低減する場合もあり、細胞と細胞外腔または組織との間における連絡(または分子の移送)を低減または遮断する場合もあり、細胞から細胞外腔内もしくは組織内への(または細胞外腔もしくは組織から細胞内への)、または隣接する細胞間における分子の輸送の調節は、本発明の抗コネキシン剤および実施形態の範囲内にある。コネキシンは、コネキシン43であることが好ましい。
【0090】
本発明の実施形態では、ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを通る分子の通過(例えば、輸送)に対する所望の阻害を誘発することが可能な任意のギャップジャンクション調節剤を用いることができる。ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを通る分子の通過を調節する任意のギャップジャンクション調節剤はまた、特定の実施形態(例えば、細胞質から細胞外腔内へ、または隣接する細胞質内への分子の通過を調節、遮断、または低減する実施形態)においても提供される。このようなギャップジャンクション調節剤は、ギャップジャンクションの結合解離(ギャップジャンクションを介する分子の輸送の遮断)を伴う場合であれ、伴わない場合であれ、ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを通る分子の通過を調節しうる。このような化合物には、例えば、タンパク質およびポリペプチド、ポリヌクレオチド、および他の有機化合物が含まれ、また、それらは、例えば、全体的または部分的にギャップジャンクションまたはヘミチャネルの機能または発現を遮断する場合もあり、全体的または部分的にコネキシンの生成を下方調節する場合もある。一部のギャップジャンクション阻害剤は、Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、29巻、606〜612頁(2001年)において列挙されている。他のギャップジャンクション調節剤には、全体的または部分的にギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルを閉鎖するコネキシンリン酸化化合物、およびZO−1タンパク質の結合を阻害、低減、または遮断しうるコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドが含まれる。コネキシンはコネキシン43であり、ヘミチャネルはコネキシン43ヘミチャネルであり、また、ギャップジャンクションはコネキシン43ギャップジャンクションであることが好ましい。
【0091】
一部のギャップジャンクション調節剤は、コネキシン発現の下方調節をもたらす(例えば、mRNAの転写または翻訳の下方調節により)か、またはコネキシンタンパク質、コネキシンヘミチャネル、またはギャップジャンクションの活性を他の形で低減もしくは阻害する。下方調節の場合、これは、コネキシン発現が下方調節される部位における、ギャップジャンクションを介した直接的な細胞間連絡、またはヘミチャネルを介した細胞外腔への細胞質の曝露を低減する効果を有する。抗コネキシン43剤が好ましい。本明細書において好ましい他の実施形態は、抗コネキシン26剤および抗コネキシン30剤である。
【0092】
ギャップジャンクション調節剤の例には、コネキシンmRNAおよび/もしくはコネキシンタンパク質の発現もしくは機能を低減もしくは阻害する作用物質、またはコネキシン、コネキシンヘミチャネル、もしくはギャップジャンクションの活性、発現、または形成を低減する作用物質が含まれる。抗コネキシン剤には、アンチセンスポリヌクレオチドおよび他のポリヌクレオチド(siRNAまたはリボザイムの機能性を有するポリヌクレオチドなど)などの抗コネキシンポリヌクレオチドのほか、抗体およびそれらの結合フラグメント、ならびにヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性または機能を調節するペプチド模倣剤およびペプチド類似体を含めた、ペプチドおよびポリペプチドが含まれる。抗コネキシン43剤が好ましい。本明細書において好ましい他の実施形態は、抗コネキシン26剤および抗コネキシン30剤である。
ポリヌクレオチド
本発明において有用なポリヌクレオチドには、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドのほか、それらがコネキシン発現を下方調節することを可能にする機能性を有するポリヌクレオチドも含まれる。他の適切な抗コネキシンポリヌクレオチドには、RNAiポリヌクレオチドおよびsiRNAポリヌクレオチドが含まれる。抗コネキシン43ポリヌクレオチドが好ましい。本明細書において好ましい他の実施形態は、抗コネキシン26剤および抗コネキシン30剤である。
【0093】
RNAiポリヌクレオチド、siRNAポリヌクレオチド、およびリボザイムポリヌクレオチドのほか、骨格が改変および混合されたポリヌクレオチドなど、アンチセンスポリヌクレオチドおよび他の抗コネキシンポリヌクレオチドの合成は、当業者に公知である。例えば、Stein C.A.およびKrieg A.M.(編)、「Applied Antisense Oligonucleotide Technology」、1998年、(Wiley−Liss)を参照されたい。抗体および結合フラグメントのほか、ペプチド模倣剤およびペプチド類似体を含むペプチドおよびポリペプチドを合成する方法は、当業者に公知である。例えば、Lihu Yangら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、1編、95巻、18号、10836〜10841頁(1998年9月1日); HarlowおよびLane(1988年)、「Antibodies: A Laboratory Manuel」、Cold Spring Harbor Publications、New York; HarlowおよびLane(1999年)、「Using Antibodies: A Laboratory Manuel」、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照されたい。
【0094】
一態様によれば、コネキシン発現の下方調節は一般に、アンチセンスポリヌクレオチド(DNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドなど)を用いるアンチセンス法に基づき、またより具体的に、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の使用に基づきうる。これらのポリヌクレオチド(例えば、ODN)は、(1または複数の)コネキシンタンパク質を標的としてこれらを下方調節する。該ポリヌクレオチドは、一本鎖であることが典型的であるが、二本鎖の場合もある。
【0095】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンの転写および/または翻訳を阻害しうる。ポリヌクレオチドは、コネキシンの遺伝子またはmRNAからの転写および/または翻訳の特異的な阻害剤であり、他の遺伝子またはmRNAからの転写および/または翻訳は阻害しないことが好ましい。該生成物は、(i)コード配列に対して5’側で、および/または(ii)コード配列で、および/または(iii)コード配列に対して3’側で、のいずれかでコネキシンの遺伝子またはmRNAに結合しうる。
【0096】
アンチセンスポリヌクレオチドは一般に、コネキシンmRNA、好ましくは、例えば、コネキシン43 mRNAに対してアンチセンスである。本明細書において好ましい他の実施形態は、抗コネキシン26剤および抗コネキシン30アンチセンス化合物である。このようなポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAにハイブリダイズすることが可能でありえ、したがって、転写、mRNAのプロセシング、核からのmRNAの輸送、翻訳、またはmRNAの分解を含めた、コネキシンmRNAの代謝の1または複数の側面に干渉することにより、コネキシンの発現を阻害しうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAにハイブリダイズして、該mRNAの翻訳の直接的な阻害および/またはその不安定化を引き起こしうる二重鎖を形成する。このような二重鎖は、ヌクレアーゼによる分解に対して感受性でありうる。
【0097】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部にハイブリダイズしうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAのリボソーム結合領域またはコード領域にハイブリダイズすることが典型的である。ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全領域またはある領域に対して相補的でありうる。例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部の正確な相補体でありうる。しかし、絶対的な相補性は要請されず、生理学的条件下における約20℃、30℃、または40℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な相補性を有するポリヌクレオチドが、本発明で用いるのに特に適する。
【0098】
したがって、ポリヌクレオチドは、mRNAに対して相補的な配列の相同体であることが典型的である。ポリヌクレオチドは、約50℃〜約60℃の0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウムなど、中程度〜高度に厳密な条件下でコネキシンmRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドでありうる。
【0099】
特定の態様について述べると、適切なポリヌクレオチドは、約6〜40ヌクレオチドの長さであることが典型的である。ヌクレオチドは、好ましくは約12〜約35ヌクレオチドの長さでもあり、あるいは、約12〜約20ヌクレオチドの長さでもあり、より好ましくは、約18〜約32ヌクレオチドの長さでもありうる。代替的な態様によれば、該ポリヌクレオチドは、少なくとも約40ヌクレオチド、例えば、少なくとも約60ヌクレオチドまたは少なくとも約80ヌクレオチドの長さでありえ、最長約100、約200、約300、約400、約500、約1000、約2000、または約3000クレオチド以上の長さでありうる。
【0100】
ポリヌクレオチドにより標的とされる1または複数のコネキシンタンパク質は、下方調節が行われる部位に依存する。これは、コネキシンのサブユニット組成に関して、体全体の異なる部位における(1または複数の)ギャップジャンクションの構成が一様でないことを反映する。コネキシンは、一態様における、ヒトもしくは動物の天然コネキシンであるか、またはコネキシンの発現または活性が低減される組織の天然コネキシンである。コネキシン遺伝子(コード配列を含めた)は一般に、表8に示すコネキシン43のコード配列との相同性など、本明細書で言及される、1または複数の特定のコネキシンのコード配列との相同性を有する。コネキシンは、αコネキシンまたはβコネキシンであることが典型的である。コネキシンはαコネキシンであり、治療される組織において発現することが好ましい。
【0101】
しかし、一部のコネキシンタンパク質は、組織内における分布に関して、他のタンパク質より遍在性である。最も広範に存在するコネキシンタンパク質の1つがコネキシン43である。コネキシン43を標的とするポリヌクレオチドが、本発明で用いるのに特に適する。他の態様では、他のコネキシンが標的とされる。本明細書において好ましい他のコネキシン標的は、コネキシン26剤およびコネキシン30剤である。
【0102】
抗コネキシンポリヌクレオチドには、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドのほか、それらがコネキシン発現を下方調節することを可能にする機能性を有するポリヌクレオチドが含まれる。他の適切な抗コネキシンポリヌクレオチドには、RNAiポリヌクレオチドおよびsiRNAポリヌクレオチドが含まれる。
【0103】
非限定的な好ましい一態様において、アンチセンスポリヌクレオチドは、1つのコネキシンタンパク質のmRNAだけを標的とする。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。別の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン26またはコネキシン30である。別の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン31.1、32、36、37、40、または45である。他の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン30.3、31、40.1、または46.6である。
【0104】
別個のコネキシンタンパク質を標的とするポリヌクレオチドは、組み合わせて用いることが意図される(例えば、1、2、3、4以上の異なるコネキシンを標的とすることができる)。例えば、コネキシン43を標的とするポリヌクレオチド、およびコネキシンファミリーの1または複数の他のメンバー(コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6など)は、組み合わせて用いることができる。コネキシン43に加えて好ましい標的コネキシンは、コネキシン26および30である。
【0105】
あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは、複数のコネキシンタンパク質に対するポリヌクレオチドを含みうる組成物の一部でありうる。ポリヌクレオチドが対象とするコネキシンタンパク質の1つは、コネキシン43であることが好ましい。オリゴデオキシヌクレオチドが対象とする他のコネキシンタンパク質には、例えば、コネキシン26および30が含まれうる。オリゴデオキシヌクレオチドが対象とする他のコネキシンタンパク質には、例えば、コネキシン30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6が含まれうる。各種のコネキシンを対象とする適切で例示的なポリヌクレオチド(およびODN)を、表1に示す。
【0106】
個々のアンチセンスポリヌクレオチドは、特定のコネキシンに対して特異的な場合もあり、1、2、3以上の異なるコネキシンを標的とする場合もある。特異的なポリヌクレオチドが一般に、コネキシン間で保存されないコネキシン遺伝子内またはコネキシンmRNA内の配列を標的とするのに対し、非特異的なポリヌクレオチドは、各種コネキシンの保存的な配列を標的とする。
【0107】
本発明で用いられるポリヌクレオチドは、改変されないホスホジエステルオリゴマーであることが適切でありうる。このようなオリゴデオキシヌクレオチドは、長さが変化しうる。30マーのポリヌクレオチドが、特に適切であることが判明している。例えば、18〜22マーが適切である通り、15〜25マーもまた適切である。
【0108】
本発明の多くの態様は、オリゴデオキシヌクレオチドに関して説明されている。しかし、これらの態様では、他の適切なポリヌクレオチド(RNAポリヌクレオチドなど)も用いうることが理解される。
【0109】
アンチセンスポリヌクレオチドは、化学修飾することができる。これにより、ヌクレアーゼに対するこれらの耐性を増強することができ、これらが細胞内に入る能力を増強することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを用いることができる。他のデオキシヌクレオチド類似体には、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエート、N3’P5’−ホスホルアミデート、およびオリゴリボヌクレオチドホスホロチオエート、ならびにそれらの2’−O−アルキル類似体および2’−O−メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートが含まれる。あるいは、混合骨格オリゴヌクレオチド(「MBO」)も用いることができる。MBOは、ホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(phosphothioate oligodeoxynucleotide)のセグメント、および改変されたオリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドの適切に配置された(placed)セグメントを含有する。MBOは、ホスホロチオエート結合のセグメント、および非イオン性であり、ヌクレアーゼに対して極めて耐性であるメチルホスホネート、または2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチドなど、他の改変オリゴヌクレオチドの他のセグメントを有する。改変骨格オリゴヌクレオチドおよび混合骨格オリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野で公知である。
【0110】
本発明で用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存する。一実施形態において、適切なコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドには、表1に示される以下の配列から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドなどのポリヌクレオチドが含まれうる。
【0111】
【表1】

本明細書に記載の、ポリヌクレオチドの組合せ組成物の調製に適するポリヌクレオチドは、例えば、上記の表1に記載したコネキシンCx43に対するポリヌクレオチドと、コネキシン26、30、31.1、32、および37に対するポリヌクレオチドとを含む。
【0112】
本発明において用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存するが、コネキシン43の場合、以下の配列:
【0113】
【化1】

を有するアンチセンスポリヌクレオチドが特に適することが分かっている。
【0114】
例えば、コネキシン26、31.1、および32に適するアンチセンスポリヌクレオチドは、以下の配列:
【0115】
【化2】

を有する。
【0116】
本発明の方法により有用な他のコネキシンアンチセンスポリヌクレオチド配列は、
【0117】
【化3】

を含む。
【0118】
コネキシンタンパク質を対象とする、ODNを含むポリヌクレオチドは、任意の簡便な従来の手法により、それらのヌクレオチド配列に関して選択することができる。例えば、コンピュータプログラムであるMacVectorおよびOligoTech(Oligos、Eugene、Oregon、USA製など)を用いることができる。選択されると、DNA合成器を用いてODNを合成することができる。
【0119】
ポリヌクレオチドの相同体
抗コネキシンポリヌクレオチドには、抗コネキシンポリヌクレオチドの相同体が含まれる。本明細書では、相同性および相同体(例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNA中の配列に対する相補体の相同体でありうる)について論じる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、(相同配列の)少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約100以上の連続ヌクレオチドの領域にわたって、関連の配列と少なくとも約70%の相同性、好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の相同性を有することが典型的である。
【0120】
相同性は、当技術分野における任意の方法に基づいて計算することができる。例えば、UWGCGパッケージでは、相同性を計算するのに用いうるBESTFITプログラム(例えば、そのデフォルト設定で用いられる)が提供される(Devereuxら(1984年)、Nucleic Acids Research、第12巻、387〜395頁)。PILEUPアルゴリズムおよびBLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul S. F.(1993年)、J Mol Evol、第36巻、290〜300頁; Altschul, S, Fら(1990年)、J Mol Biol、第215巻、403〜10頁において説明される通り、相同性を計算するか、または配列を整列するのに用いることができる(それらのデフォルト設定における場合が典型的である)。
【0121】
BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、米国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公に入手できる。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中における同じ長さのワードにより整列する場合、ある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはこれを満たすクエリー配列中における長さWの短いワードを同定することによる、高スコアリング配列対(HSP)の同定を伴う。Tを、近傍ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称する。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含有するHSPを見出す検索を開始するための種として作用する。ワードヒットは、累積のアライメントスコアが増大しうる限りにおいて、各配列に沿って両方向に延長される。各方向におけるワードヒットの延長は、累積アライメントスコアが、達成されたその最大値から量Xだけ低下する場合;累積スコアが、1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントの累積により、ゼロ以下に低下する場合;またはいずれかの配列の端部に到達する場合に停止される。
【0122】
BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXにより、整列の感度および速度が決定される。BLASTプログラムでは、ワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、10915〜10919頁を参照されたい)によるアライメント(B=50)、期待値(E=10)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較が、デフォルトとして用いられる。
【0123】
BLASTアルゴリズムでは、2つの配列間における類似性に対する統計解析が実施される。例えば、KarlinおよびAltschul(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、5873〜5787頁を参照されたい。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間におけるマッチが偶然に生じる確率を示す、最小合計確率(P(N))である。例えば、第2の配列に対して第1の配列を比較した場合の最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、また最も好ましくは約0.001未満である場合、ある配列は別の配列に対して類似すると考えられる。
【0124】
相同配列は、少なくとも約2、5、10、15、20以上(または約2、5、10、15、20以下)の変異(置換、欠失、または挿入でありうる)により関連配列と異なることが典型的である。これらの変異は、相同性の計算との関連で、上述の領域のいずれかにわたって測定することができる。
【0125】
相同配列は、バックグラウンドを有意に上回るレベルで、元の配列に選択的にハイブリダイズすることが典型的である。選択的なハイブリダイゼーションは、中程度〜高度に厳密な条件(例えば、約50℃〜約60℃における0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)を用いて達成することが典型的である。しかし、このようなハイブリダイゼーションは、当技術分野において公知の任意の適切な条件下で実施することができる(Sambrookら(1989年)、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」を参照されたい)。例えば、高い厳密性が要請される場合、適切な条件は60℃における0.2×SSCを含む。より低い厳密性が要請される場合、適切な条件は60℃における2×SSCを含む。
【0126】
ペプチドおよびポリペプチド剤
ペプチド、ペプチド模倣剤、抗体、抗体フラグメントなどを含む結合タンパク質もまた、ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに適する調節物質である。
【0127】
結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、およびFvフラグメント;単鎖抗体;単鎖Fv;また例えば、特定の抗体または他の結合分子と接触する抗原決定基(すなわち、一般にエピトープと称する分子の部分)に結合可能な結合ドメイン、ヒンジ、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、組換え抗体、ならびに抗体フラグメントを含む単鎖結合分子などの単鎖結合分子を含む)を含む。抗体、抗体フラグメントなどを含むこれらの結合タンパク質は、キメラの場合もあり、ヒト化される場合もあり、他の形でこれらが投与される被験体における免疫原性を低下させる場合もあり、また、合成する場合もあり、組換えにより作製する場合もあり、発現ライブラリー内において作製する場合もある。本明細書で言及され、かつ/または当技術分野においてより詳細に説明される結合分子など、当技術分野において公知であるかまたは将来的に発見される任意の結合分子が意図される。例えば、結合タンパク質は、抗体などだけではなく、リガンド、受容体、ペプチド模倣剤、または標的(例えば、コネキシン、ヘミチャネル、または関連する分子)に結合する他の結合フラグメントもしくは分子(例えば、ファージディスプレイにより作製される)も含む。
【0128】
結合分子は一般に、結合特異性を含むがこれに限定されない所望の特異性、および所望の親和性を有する。親和性は、例えば、約10−1以上、約10−1以上、約10−1以上、約10−1のKaでありうる。約10−1、約1010−1、約1011−1、および約1012−1以上の親和性など、約10−1をさらに超える親和性が適する。本発明による結合タンパク質の親和性は、従来の技法、例えば、Scatchardら、1949年、Ann. N.Y. Acad. Sci.、第51巻、660頁により説明される技法を用いて容易に決定することができる。
【0129】
ヒドロパシープロットから得られるデータを用いることにより、コネキシンは、4つの膜貫通領域および2つの短い細胞外ループを含有すると仮定されている。コネキシンの第1および第2の細胞外領域の配置(positioning)は、分離されたギャップジャンクション上における対応するエピトープの免疫学的局在決定に用いられる抗ペプチド抗体の作製報告によりさらに特徴づけられた(Goodenough D.A.、J Cell Biol、第107巻、1817〜1824頁(1988年); Meyer R.A.、J Cell Biol、第119巻、179〜189頁(1992年))。
【0130】
隣接する2つの細胞が寄与するヘミチャネルの細胞外ドメインが互いに「結合(dock)」して、完全なギャップジャンクションチャネルが形成される。これらの細胞外ドメインの相互作用に干渉する試薬は、細胞間連絡を損なうことが可能である。ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに対するペプチド阻害剤が報告されている。例えば、Berthoud, V.M.ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年); Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、第29巻、606〜612頁;ならびにDe Vriese A.S.ら、Kidney Int.、第61巻、177〜185頁(2001年)を参照されたい。コネキシンの細胞外ループ内の配列に対応する短いペプチドが、細胞間連絡を阻害すると言われた(Boitano S.およびEvans W.、Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol、第279巻、L623〜L630頁(2000年))。Xenopusの卵母細胞対において発現されるコネキシン(Cx)32によりもたらされる細胞間チャネル形成に対する阻害剤としてのペプチドの使用もまた報告されている(Dahl Gら、Biophys J、第67巻、1816〜1822頁(1994年))。Berthoud, V.M.およびSeul, K.H.によりこれらの結果の一部がまとめられた(Am J., Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年))。
【0131】
抗コネキシン剤は、コネキシン(例えば、コネキシン45、43、26、30、31.1、および37)の膜貫通領域(例えば、第1〜第4)に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。抗コネキシン剤は、コネキシン45の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含みうる。抗コネキシン剤は、配列番号13の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号13の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号13の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の実施形態は、配列番号13の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン剤を対象とする。本明細書で提供される一部の抗コネキシン剤では、配列番号13の位置46〜75および199〜228にあるアミノ酸に対応するコネキシン45の細胞外ドメインを用いて、特定のペプチド配列を開発することができる。本明細書に記載の一部のペプチドは、配列番号13の位置46〜75および199〜228にある領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、配列番号13のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。あるいは、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置46〜75および199〜228に対応しない配列番号13の部分)も標的としうる。
【0132】
また、適切な抗コネキシン剤は、コネキシン43の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドも含む。抗コネキシン剤は、配列番号14の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号14の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号14の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の抗コネキシン剤は、配列番号14の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の抗コネキシン剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にあるアミノ酸に対応するコネキシン43の細胞外ドメインを含む。抗コネキシン剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にある領域に対応するアミノ酸配列を有する、本明細書に記載のペプチドを含む。ペプチドは、配列番号14のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。あるいは、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置37〜76および178〜208に対応しない配列番号14の部分)も標的としうる。
【0133】
【化4】

【0134】
【化5】

【0135】
【化6】

【0136】
【化7】

抗コネキシンペプチドは、ペプチドが機能的に活性な抗コネキシン剤であるような保存的アミノ酸置換を伴う、コネキシンの細胞外ドメインの一部に対応する配列を含みうる。例示的な保存的アミノ酸置換は、例えば、別の非極性アミノ酸による非極性アミノ酸の置換、別の芳香族アミノ酸による芳香族アミノ酸の置換、別の脂肪族アミノ酸による脂肪族アミノ酸の置換、別の極性アミノ酸による極性アミノ酸の置換、別の酸性アミノ酸による酸性アミノ酸の置換、別の塩基性アミノ酸による塩基性アミノ酸の置換、および別のイオン性アミノ酸によるイオン性アミノ酸の置換を含む。
【0137】
コネキシン43を標的とする例示的なペプチドを、以下の表2に示す。M1、2、3、および4は、それぞれ、コネキシン43タンパク質の第1〜第4の膜貫通領域を指す。E1およびE2は、それぞれ、第1および第2の細胞外ループを指す。
【0138】
【表2】

表3は、ヘミチャネル機能またはギャップジャンクション機能を阻害するのに用いられる、さらなる例示的なコネキシンペプチドについて記載する。他の実施形態では、ペプチドまたはこれらのフラグメントに対して保存的なアミノ酸変化が作製される。
【0139】
【表3】

表4は、本明細書に記載の使用に供するペプチド阻害剤を開発するのに用いられるコネキシンファミリーメンバーの細胞外ループについて記載する。表4に記載されるペプチドおよびこれらのフラグメントは、一部の非限定的な実施形態においてペプチド阻害剤として用いられる。他の非限定的な実施形態では、この表4中のペプチドの約8〜約15、または約11〜約13の連続アミノ酸を含むペプチドが、ペプチド阻害剤である。ペプチドまたはこれらのフラグメントには、保存的なアミノ酸変化を作製することができる。
【0140】
【表4−1】

【0141】
【表4−2】

表5は、ペプチドによる抗コネキシン剤を開発するのに用いうるコネキシンファミリーメンバーの細胞外ドメインについて記載する。表5に記載されるペプチドおよびこれらのフラグメントもまた、ペプチドによる抗コネキシン剤として用いることができる。このようなペプチドは、この表5中のペプチド配列の約8〜約15、または約11〜約13の連続アミノ酸を含みうる。ペプチドまたはこれらのフラグメントには、保存的なアミノ酸変化を作製することができる。
【0142】
【表5】

表6は、コネキシン40の細胞外ループ(E1およびE2)に関して示されるコネキシン40に対するペプチド阻害剤について記載する。太字のアミノ酸は、コネキシン40の膜貫通領域を対象とする。
【0143】
【表6】

表7は、コネキシン45の細胞外ループ(E1およびE2)に関して示されるコネキシン45に対するペプチド阻害剤について記載する。太字のアミノ酸は、コネキシン45の膜貫通領域を対象とする。
【0144】
【表7−1】

【0145】
【表7−2】

一部の実施形態では、一部のペプチド阻害剤が、既存のギャップジャンクションを破壊することなく、ヘミチャネルを遮断することが好ましい。特定の理論または機構に拘束されることを望まないが、一部のペプチド模倣剤(例えば、VCYDKSFPISHVR(配列番号23))はまた、ギャップジャンクションの結合解離を引き起こすことなくヘミチャネルを遮断する(Leybeartら、Cell Commun. Adhes.、第10巻、251〜257頁(2003年)を参照されたい)か、または低用量でヘミチャネルを遮断するとも考えられている。例えば、ギャップジャンクションの結合解離を伴わずにヘミチャネルを遮断するには、ペプチドSRPTEKTIFII(配列番号19)もまた用いることができる。ペプチドSRGGEKNVFIV(配列番号107)は、対照配列として用いることができる(DeVrieseら、Kidney Internat.、第61巻、177〜185頁(2002年))。コネキシン45に対するペプチド阻害剤の例は、YVCSRLPCHP (配列番号108)、QVHPFYVCSRL (配列番号109)、FEVGFLIGQYFLY (配列番号110)、GQYFLYGFQVHP (配列番号111)、GFQVHPFYVCSR (配列番号112)、AVGGESIYYDEQ (配列番号)、YDEQSKFVCNTE (配列番号114)、NTEQPGCENVCY (配列番号115)、CYDAFAPLSHVR (配列番号116)、FAPLSHVRFWVF (配列番号117)およびLIGQY (配列番号118)、QVHPF (配列番号119)、YVCSR (配列番号120)、SRLPC (配列番号121)、LPCHP (配列番号122)およびGESIY (配列番号123)、YDEQSK (配列番号124)、SKFVCN (配列番号125)、TEQPGCEN (配列番号126)、VCYDAFAP (配列番号127)、LSHVRFWVFQ (配列番号128)である。ペプチドは、SRL、PCH、LCP、CHP、IYY、SKF、QPC、VCY、APL、HVRを含む3アミノ酸長だけの場合もあり、例えば、LIQYFLYGFQVHPF (配列番号129)、VHPFYCSRLPCHP (配列番号130)、VGGESIYYDEQSKFVCNTEQPG (配列番号131)、TEQPGCENVCYDAFAPLSHVRF (配列番号132)、AFAPLSHVRFWVFQ (配列番号133)など、より長い場合もある。
【0146】
【表8−1】

【0147】
【表8−2】

ギャップジャンクション改変剤:他の抗コネキシン剤
ギャップジャンクション調節剤は、ギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルを閉鎖もしくは遮断するか、またはギャップジャンクションを介する細胞間連絡を別の形で阻止するかもしくは低下させるか、またはヘミチャネルを介する細胞外環境への細胞連絡を別の形で阻止するかもしくは低下させる作用物質を含む。これらは、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性、機能、または形成を、全体的または部分的に阻止するか、低下させるか、または阻害する作用物質または化合物を含む。
【0148】
一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの全体的または部分的な閉鎖を誘導する。他の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションを、全体的または部分的に遮断する。一部の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの開放を、全体的または部分的に低下させるかまたは阻止する。
【0149】
一部の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤によるギャップジャンクションまたはヘミチャネルの前記遮断または閉鎖は、細胞外腔またはペリプラズム腔へ、また細胞外腔またはペリプラズム腔からの開放チャネルを介する低分子の流動を阻止するかまたは低下させることにより、細胞外ヘミチャネル連絡を低下させることも可能であり、これを阻害することも可能である。
【0150】
ヘミチャネルまたはギャップジャンクションを閉鎖するのに用いられるギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシン43のチロシン残基をリン酸化する)は、Jensenらに対する米国特許第7,153,822号、米国特許第7,250,397号、および分類された特許公報において報告されている。例示的なギャップジャンクション改変剤にはまた、ペプチドおよびペプチド模倣剤も含まれ、これらは、Greenら、WO2006134494において報告されている。例えば、ZO−1タンパク質の結合を阻害すると言われるコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドに関しては、Gourdieら、WO2006069181およびTudorら、WO2003032964もまた参照されたい。
【0151】
本明細書で用いられる「ギャップジャンクションリン酸化剤」は、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルの閉鎖を誘導するために、コネキシンのアミノ酸残基上においてリン酸化を誘導することが可能な作用物質または化合物を含みうる。例示的なリン酸化部位は、コネキシンタンパク質上における1つもしくは複数のチロシン残基、セリン残基、またはトレオニン残基を含む。一部の実施形態において、リン酸化の調節は、1または複数のコネキシンタンパク質上における1つまたは複数の残基上において生じうる。例示的なギャップジャンクションリン酸化剤は当技術分野において周知であり、例えば、c−Srcチロシンキナーゼまたは他のGタンパク質結合受容体アゴニストを含みうる。Giepmans B, J.、Biol. Chem.、第276巻、第11号、8544〜8549頁、2001年3月16日を参照されたい。一実施形態において、これらの残基のうちの1または複数におけるリン酸化の調節は、特に、ヘミチャネルの閉鎖を介してヘミチャネルの機能に影響する。別の実施形態において、これらの残基のうちの1または複数におけるリン酸化の調節は、特に、ギャップジャンクションの閉鎖を介してギャップジャンクションの機能に影響する。コネキシン43のギャップジャンクションおよびヘミチャネルの閉鎖を標的とするギャップジャンクションリン酸化剤が好ましい。
【0152】
さらに他の抗コネキシン剤は、コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。Gourdieら、WO2006/069181を参照されたい。
【0153】
ある別の態様において、ギャップジャンクション改変剤は、例えば、脂肪族アルコール;オクタノール;ヘプタノール;麻酔剤(例えば、ハロタン)、エトレン、フローセン、プロポフォール、およびチオペンタール;アナンダミド;アリールアミノベンゾアート(FFA:親油性であるフルフェナム酸および類似の誘導体);カルベノキソロン;カルコン(2’,5’−ジヒドロキシカルコン);CHF(クロロヒドロキシフラノン);CMCF(3−クロロ−4−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−2(5H)−フラノン);デキサメタゾン;ドキソルビシン(および他のアントラキノン誘導体);エイコサノイドであるトロンボキサンA(2)(TXA(2))模倣剤;NO(一酸化窒素);脂肪酸(例えば、アラキドン酸、オレイン酸、およびリポキシゲナーゼ代謝物);フェナム酸系(フルフェナム酸(FFA)、ニフルミン酸(NFA)、およびメクロフェナム酸(MFA));ゲニステイン;グリチルレチン酸(GA):18a−グリチルレチン酸および18−ベータ−グリチルレチン酸、ならびにこれらの誘導体;リンデン;リゾホスファチジン酸;メフロキン;メナジオン;2−メチル−1,4−ナフトキノン、ビタミンK(3);ナフェノピン;オカダ酸;オレアミド;オレイン酸;PH、細胞間酸性化によるゲーティング、例えば、酸性化剤;多価不飽和脂肪酸;脂肪酸GJIC阻害剤(例えば、オレイン酸およびアラキドン酸);キニジン;キニン;all trans−レチノイン酸;およびタモキシフェンを含みうる。
【0154】
経皮送達のための方法およびデバイス
本明細書において使用される場合、経皮送達は、例えば、1)化学的浸透増強剤または皮膚増強剤の使用;2)リポソームを介した送達;3)イオン導入法;4)エレクトロポレーション;5)超音波導入法;6)機械的(例えば、マイクロポレーション)デバイスを対象とする方法を含む、当技術分野において公知のまたは後に発見された方法によって行うことができる。本明細書において開示されている作用物質の経皮送達に適した例示的な方法は、例えば、現存する孔を通過する輸送速度を増加させることによってまたは人工的な孔の作製により利用可能な皮膚孔の数を増幅することによって皮膚孔を通過する物質輸送を増強することを対象とする方法を含みうる。
【0155】
例えば、ある特定の実施形態において、経皮送達は、例えば、エミュー油、エトキシ化油、PEG、リノール酸、エタノール、1−メタノールを含む植物、堅果、合成もしくは動物起源の薬学的に許容される油、および/または角質層を脱脂する作用物質を含む、化学増強剤または浸透増強剤の使用によって行うことができる。適した油は、すべて任意選択でエトキシ化されていてもよい、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油を含む。典型例は、US7291591、US7201919、US7052715、US7033998、US6946144;US6951658、US6759056、US6720001、US6224853;US5695779;およびUS6750291に記載のものを含む。加えて、経皮パッチもまた、乾燥粉末または凍結乾燥薬物の送達のために適合させることができ、典型例は、米国特許第5,983,135号に記載のものを含む。
【0156】
ある特定の実施形態において、経皮送達は、リポソームを介した送達方法(例えば、親油性の膜活性作用物質の適用によって促進される送達)によって行うことができる。適した典型例は、US5910306、US5718914、およびUS5064655に記載のものを含みうる。
【0157】
皮膚障壁を通過する薬物輸送を促進するために、広範な種類のイオン導入法または電気輸送系と併用した経皮送達系もまた利用することができ、本発明はこの点において決して限定されないことが当業者によって理解されるであろう。例示的な電気輸送薬物送達系は、米国特許第5,147,296号、同第5,080,646号、同第5,169,382号および同第5,169383号において開示されている。
【0158】
「電気輸送」という用語は、一般に、有益な作用物質、例えば、薬物または薬物前駆体の、皮膚、粘膜、爪などの体表の通過を指す。作用物質の輸送は、電流の印加をもたらし、作用物質を送達するまたはその送達を増強する、または、「逆」電気輸送では作用物質をサンプリングするまたはサンプリングを増強する、電位の印加によって誘導または増強される。作用物質の人体内または人体から外への電気輸送は、様々な方法で達成することができる。
【0159】
ある特定の実施形態において、経皮送達は、イオン導入法によって行うことができる(例えば、経時的な低レベル電界の皮膚への印加によって促進される送達)。適した典型例は、US6731987、US6391015、US6553255B1;US4940456、US5681580およびUS6248349に記載のものを含みうる。
【0160】
ある特定の実施形態において、経皮送達は、エレクトロポレーション法によって行うことができる(例えば、皮膚において一時的な孔を作製するための高電圧パルスの短時間の印加によって促進される送達)。適した典型例は、US7008637、US6706032、US6692456、US6587705、US6512950、US6041253、US5968006およびUS5749847を含みうる。
【0161】
ある特定の実施形態において、経皮送達は、超音波導入法によって行うことができる(例えば、皮膚浸透性を増加させるための低周波超音波のパルスの印加によって促進される送達)。適した典型例は、US7232431、US7004933、US6842641、US6868286、US6712805、US6575956、US6491657、US6487447、US623499、およびUS6190315を含みうる。
【0162】
ある特定の実施形態において、経皮送達は、機械的デバイスの使用、ならびに/または、構造要素、熱安定性特性、膜流動性ならびに皮膚の構造および下部構造の完全性に機械的改変もしくは崩壊を誘導することによる、人工的なマイクロポアもしくは微小流路(例えば、マイクロプロジェクション)の作製を含む方法によって行うことができる。適した典型例は、MicroPor(Altea Therapeutics)、MacroFlux(Alza Corporation)、ならびにUS6893655、US6730318、USRE35474、US5484604、US5362308、US5320850、およびUS5279544に記載のものを含みうる。
【0163】
米国特許第7,141,034号は、ヒトの皮膚の角質層において約1〜1000ミクロンにわたる微細な穴、すなわち、マイクロポアを無痛で作製するためのデバイスおよび方法を記載している。このデバイスは、マイクロポアを作製するために角質層と接触した状態に保たれている熱エネルギー源、または熱プローブを使用する。熱によるマイクロポアは、短い時間尺度(1マイクロ秒〜50ミリ秒)、生体膜の組織を剥離するための熱エネルギーパルスを使用して作製される。このプロセスは、米国特許第5,885,211号において詳細に記述されている。そのデバイスは、局所的に適用された場合に治療物質の体内への経皮輸送を促進するための、または分析のために体内の被検体にアクセスするための、角質層の障壁機能を排除する迅速な無痛の方法を容易にする。方法は、小面積熱源の、角質層または別の選択された生体膜の標的領域への接触適用から始まる手順を利用する。
【0164】
特に、米国特許第6,855,372号;同第7,097,631号;および同第7,131,960号および米国特許出願公開第US2005/10031676号;同第US2005/0049549号;同第US2006/0030811号および同第US2007/0299388号に記載のものなどのマイクロプロジェクションアレイは、疼痛軽減のためのギャップジャンクション調節剤、例えば、抗コネキシン化合物を含む組成物の経皮送達のために使用することができる。
【0165】
一実施形態において、マイクロプロジェクションアレイの穿孔要素は、1000ミクロン未満の突出長さを有する。さらなる実施形態において、穿孔要素は、500ミクロン未満、より好ましくは、250ミクロン未満の突出長さを有する。マイクロプロジェクションはさらに、およそ25〜500ミクロンの範囲の幅およびおよそ10〜100ミクロンの範囲の厚さを有する。マイクロプロジェクションは、例えば、針、刃、ピン、パンチ、およびこれらの組合せなどの様々な形状に形成できる。
【0166】
治療薬の後の経皮送達のためのコーティングマイクロプロジェクションアレイに適した調合物は、米国特許第6,855,372号および特許出願公開番号第US2005/0256045号;同第US2007/0184096号および同第US2008/0039775号において記述されている。本明細書に記載の抗コネキシン化合物などのギャップジャンクション調節化合物は、そこに記載されている通り調合してもよく、抗コネキシン化合物の経皮送達のためにマイクロプロジェクションアレイをコーティングするために使用してもよい。
【0167】
いくつかの態様において、コーティング調合物は、およそ500センチポイズ未満でそして約3センチポイズより大きい粘度を有する。
【0168】
一実施形態において、生体適合性コーティングの厚さは、マイクロプロジェクション表面から測定して約25ミクロン未満、より好ましくは、約10ミクロン未満である。
【0169】
望ましいコーティング厚さは、ギャップジャンクション調節剤の必要な投与量および、それゆえ、その投与量を送達するために必要なコーティング厚さ、シートの単位面積当たりのマイクロプロジェクションの密度、コーティング組成物の粘度および濃度ならびに選択されるコーティング方法を含むいくつかの要因に依存しうる。
【0170】
一実施形態によると、マイクロプロジェクション部材上の生体適合性コーティング中に含有されるギャップジャンクション調節剤を送達するための方法は、以下の工程を含む:コーティングされたマイクロプロジェクション部材を初めに、作動装置によって被験者の皮膚に適用し、マイクロプロジェクションが角質層を穿孔する。コーティングされたマイクロプロジェクション部材は、好ましくは、約5秒から約24時間までの間皮膚の上に置いておく。所望の着用時間の後、マイクロプロジェクション部材を取り外す。
【0171】
好ましくは、生体適合性コーティング中に含有されるギャップジャンクション調節剤の量(すなわち、用量)は、投与単位当たりおよそ1μg〜1000μgの範囲、より好ましくは、およそ10〜200μgの範囲である。さらにより好ましくは、生体適合性コーティング中に含有されるギャップジャンクション調節剤の量は、投与単位当たりおよそ10〜100μgの範囲である。疼痛軽減のための必要または所望に応じた複数用量の反復適用として、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9および10ミリグラム以上までのさらに高用量も意図される。
【0172】
コーティングが適用された後、コーティング調合物は様々な手段によってマイクロプロジェクション上に乾燥される。非限定的な好ましい実施形態において、コーティングされたマイクロプロジェクション部材は、周囲室内条件で乾燥される。しかしながら、様々な温度および湿度レベルを、マイクロプロジェクション上にコーティング調合物を乾燥させるために使用することができる。さらに、コーティングされた部材は、加熱、凍結乾燥、フリーズドライまたは同様の技術を使用してコーティングから水を除去することができる。
【0173】
経皮送達のための組成物
記述されている実施形態は、低分子量または高分子量ギャップジャンクション調節剤を送達する能力に応じて構成することができる。低分子量分子(例えば、6000ダルトン未満の分子量を有する分子)は、本発明の一実施形態を使用して効果的に送達することができ、高分子量分子(例えば、6000ダルトンより大きい分子量を有する分子)は、本発明の一実施形態を使用して効果的に送達することができる。一実施形態において、本明細書に記載の経皮送達系は、治療的量または有効量の、50ダルトンから6000ダルトン未満の分子量を有する送達された作用物質を提供する。しかしながら、好ましくは、本明細書に記載の経皮送達系は、治療的量または有効量の、50ダルトンから2000000ダルトン以下の分子量を有するギャップジャンクション調節剤を提供する。
【0174】
いくつかの実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、本明細書に記載の経皮送達系の一実施形態を使用して体内の細胞に経皮送達される。
【0175】
浸透増強剤
多くの本発明の実施形態に含まれる浸透増強剤は、2つの成分、疎水性成分および親水性成分を含む。望ましくは、疎水性成分は、それに溶解している材料の表面張力を低下させる能力を有する、エトキシ化植物油、堅果油、合成油、または動物油などのポリエーテル化合物を含む。いかなる特定の機構または作用機作にも縛られたくはないが、当分野における知識を広げることのみを意図して、ポリ(エチレンオキシド)の特定の油の成分への結合が特定の官能基上で起こるのではなく、ポリエチレンオキシド鎖が不飽和炭素−炭素二重結合(C.dbd.C)からおよび場合によるグリセロール単位から伸び始めることが考えられる。エトキシ化マカデミアナッツ油などのエトキシ化油は、様々な脂肪酸、脂肪族アルコール、および脂肪族アミンの混合物であるため、油の成分は様々な量のエトキシ化を有しうる。したがって、エトキシ化のカ所/分子(例えば、16カ所/分子のエトキシ化)の測定値は、任意の特定の成分自体ではなく油の成分に存在しているエトキシ化の量の平均である。
【0176】
非限定的な好ましいエトキシ化油は、例えば、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油から得られるかまたは作製することができる。これらの油の多くは、Floratech of Gilbert、Arizまたは別の供給業者から市販されている。あるいは、エトキシ化油は、油をエチレンオキシドと反応させることによって調製することができる。本明細書に記載の経皮送達系を用いて使用するための浸透増強剤を作製するためにエトキシ化に適した純粋なキャリアオイルは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,220,427号;同第7,300,666号;および同第7,316,820号において記述されており、Esoteric oils Pty. Ltd.、南アフリカ共和国プレトリア、から入手することができる。
【0177】
いくつかの実施形態において、軽油におけるエトキシ化数の減少は、優れた経皮送達製品を生成しうる。油分子におけるエトキシ化の量が減少すると、送達系の水性成分との混和性が減少するため、これは予期しないことであった。
【0178】
いくつかの実施形態および本明細書に記載の方法に有益でありうる、エトキシ化油中にしばしば見られる別の化合物は、リシノール酸グリセロール−ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、およびエトキシ化グリセロールである。これらの化合物のいくつかは親水性特性を示し、親水性−親油性バランス(HLB)は好ましくは、10〜18に維持される。あらゆる方法がHLBを特徴づけるために考案されてきたが、おそらく最も広く使用されているものはオクタノール水係数である。(Albert J. Leoによる、Calculating log Poet from Structures」、Chemical Reviews、93巻、1281頁を参照されたい。)
したがって、上記の表中の油の成分の一部ならびに関連する脂肪酸、脂肪族アルコール、および脂肪族アミンは、エトキシ化することができ、浸透増強剤としてまたは別の浸透増強剤を増強するために使用することができる(例えば、エトキシ化マカデミアナッツ油)。例えば、いくつかの実施形態は、エトキシ化パルミトレイン酸、エトキシ化オレイン酸、エトキシ化ゴンド酸、またはエトキシ化エルカ酸からなる、これらから本質的になる、またはこれらを含む浸透増強剤を含む。これらの化合物は、合成的に調製することができ、または多量のこれらの脂肪酸を含有する油から単離もしくは調製することができ、次いで、合成、単離、または精製された脂肪酸はエチレンオキシドと反応させることができる。
【0179】
最近の研究報告によると、AloeのAloe Vera種から単離された、葉全体の処理から得られる抽出物を記述するために使用される用語、Aloe Veraが、ヒドロコルチゾン、エストラジオール、およびプロピオン酸テストステロンを送達するための媒体として使用可能であることが示された。(Davisら、JAPMA 81:1(1991年)およびDavisに対する米国特許第5,708,038号を参照されたい。)。Davis(米国特許第5,708,308号)に記載の通り、「Aloe Vera」の一実施形態は、Aloe barbadensis植物の全葉の「全葉処理」によって調製することができる。手短に述べると、Aloe barbadensis植物から得られた全葉をすりつぶし、濾過し、セルラーゼ(任意選択)および活性炭で処理し、凍結乾燥する。次いで凍結乾燥粉末を使用前に水で再構成する。
【0180】
経皮送達系の調製
一般に、経皮送達系は、浸透増強剤と、送達される作用物質および、任意選択で、水性アジュバントとを組み合わせることによって調製される。送達される作用物質の溶解度に応じて、送達される作用物質は、浸透増強剤の疎水性または親水性成分のいずれかにおいて可溶化することができる。いくつかの調合物において、(例えば、油溶性ギャップジャンクション調節剤を含有する調合物)、送達される作用物質は、エトキシ化油において水、アルコール、または水性アジュバントなしで容易に溶解しうる。別の調合物において、送達される作用物質は水に溶解することができ、次いでエトキシ化油と混合される。さらに、いくつかの送達される作用物質は、浸透増強剤との混合前に水性アジュバントにおいて可溶化することができる。適切には、混合物のpHは、3〜11および好ましくは5〜9に維持される。
【0181】
本明細書に記載の経皮送達系は、患者、例えば、ヒトを含む哺乳動物への投与のための医薬品を生成するための、従来の薬理学的方法に従って処理することができる。本明細書に記載の経皮送達系は、修正してまたは修正せずに薬学的製品に組み込むことができる。本発明の組成物は、送達系を構築する分子と有害な反応をしない、局所適用に適した従来の賦形剤、例えば、薬学的に許容される有機または無機担体物質との混合物において利用することができる。調製物は滅菌することができ、所望であれば、活性化合物と有害な反応をしない助剤、例えば、滑剤、防腐剤、安定剤、着色剤、芳香物質などと混合することができる。適切なように、これらはまた、望ましい場合に他の活性作用物質と組み合わせることができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、経皮送達系は、予め測定した量の送達される作用物質を含有する単回用量適用として提供される。例えば、予め測定した量の送達される作用物質を含有する、予め測定した量の経皮送達系(例えば、0.5ml)を含有する、塗布具(例えば、スワブ)付きまたはなしのセプタム密封バイアルは、本発明の範囲内の実施形態である。所定用量の特定の送達作用物質は適切な治療レジメンを容易にし、送達される作用物質を含む経皮送達系の個々に密封された用量は、適用と適用の間の組成物の無菌状態を維持するので、これらの実施形態は大きな有用性を有している。
【0183】
治療および予防用途
多くの実施形態は、予防策として(例えば、疼痛を防止するため)または急性もしくは慢性疼痛を患っている被験体を治療するための治療用組成物として、被験体の治療に適している。一般に、薬学的調合物中に組み込むことができる多くのギャップジャンクション調節化合物は、本発明の経皮送達系に調合することができる。本明細書に記載の経皮送達系の様々な調合物は疎水性および親水性特性が幅広いため、多くのギャップジャンクション調節化合物に適しており、そこに組み込むことができる。経皮送達に加えて、別の投与形態も適している。これらは、例えば、注射、デポ注射および滴注、ならびに皮下への、および筋肉、関節または腱、または軟骨を含む疼痛もしくは疼痛の近傍への送達、加えて関節内注射を含む。
【0184】
ある特定の実施形態において、特定の調合物におけるエトキシ化、アルコール、および水の量を調整することによって、多くの作用物質を経皮送達系において可溶化することができる。さらに、本明細書に記載の経皮送達系は幅広いギャップジャンクション調節剤、高分子量および低分子量の両方を送達することができるため、本明細書に記載の経皮送達系は幅広い有用性を有する。以下の本発明の態様は例示のみを目的としており、当業者は、本明細書に記載の経皮送達系の広範な適用性を容易に理解することができ、経皮送達系の調合物中への別の送達作用物質の組み込みが行われてもよい。
【0185】
一実施形態において、例えば、関節炎状態に伴う疼痛を含む疼痛の治療または予防の方法は、ギャップジャンクション調節剤と一緒に調合された、またはこれを含む、本明細書に記載の経皮送達系を使用することを含む。関節炎状態は、関節リウマチ、骨関節炎、頚部関節炎および強直性脊椎炎を含む様々な形態の関節炎を含む。神経の損傷、障害または機能不全に伴う任意の疼痛、例えば神経痛および神経障害性疼痛を含む神経痛の治療もまた含まれる。神経痛は、例えば、糖尿病性神経痛、坐骨神経痛、顔面神経痛、神経損傷、ならびに神経圧迫(pinched nerve)、および線維筋痛症を含む。例示的な神経障害性疼痛の性質は、焼けるような痛みまたは寒気、「しびれ」感覚、痺れおよび痒みを含みうる。侵害受容性疼痛(例えば、疼きとして一般に記述される)もまた含まれる。加えて、例示的な神経痛はまた、例えば、痺れ;触覚過敏;過度の疼痛応答を有すること;特に夜の、チクチクする感覚、チクチク刺すような痛みまたは焼けるような痛み;電気が走るような痛み、鋭い痛みまたはずきずきする痛み;深く疼く痛み;筋脱力;筋肉の消耗によって特徴づけられる神経痛関連症状も含みうる。神経障害性疼痛は、末梢神経系または中枢神経系(脳および脊髄)の障害に起因しうる。したがって、神経障害性疼痛は、末梢神経障害性疼痛、中枢神経障害性疼痛、または混合型(末梢および中枢)神経障害性疼痛に分けることができる。中枢神経障害性疼痛は、脊髄損傷、多発性硬化症、および一部の脳卒中において発生しうる。糖尿病および別の代謝異常は別として、神経障害性疼痛は、末梢神経の癌の直接的な結果として(例えば、腫瘍による圧迫)、または化学療法、放射線損傷もしくは手術の副作用として、癌においてよく見られる。例えば、腕および/もしくは脚などの身体の部分の治療に対して。
【0186】
1つのアプローチによって、疼痛を軽減するという点で有効である、ギャップジャンクション調節剤を含む経皮送達系を、必要とする被験体に投与し、任意選択で疼痛の軽減をモニターする。さらなるアプローチは、ギャップジャンクション調節剤(抗コネキシン化合物など)を必要とする被験体の特定、およびこのような作用物質を含む経皮送達系の投与を含む。経皮送達系は、好ましくは、疼痛または特定の状態を伴う領域の皮膚に適用され、疼痛を軽減するのに十分な時間治療を継続する。典型的に、疼痛は適用後30〜60分以内に軽減されうる。同様に適用後数時間から1〜2日間以内の軽減もまた一般的に報告されている。疼痛軽減のための必要に応じて複数の適用がなされてもよい。疼痛は、急性または慢性であってよく、身体支持構造においてまたはそうでなければ筋骨格系内においてでよい。
【0187】
一態様において、本発明は、例えば、身体支持構造または筋骨格系における、関節炎状態などの状態の結果としての外傷の後、あるいは侵襲的処置もしくは手術、例えば、整形外科的処置もしくは手術、または疼痛を伴う別の状態の前、間もしくは後に、被験体の疼痛の治療のために有用な経皮適用のための薬学的組成物を含む。調合物は、薬学的に許容される担体および、単独でまたは別のギャップジャンクション調節剤と併用して治療有効量のギャップジャンクション調節剤、例えば、抗コネキシンオリゴヌクレオチドまたはペプチドまたはペプチド模倣剤を含む局所用の送達形態および調合物を含む。
【0188】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体ならびに治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、または別のギャップジャンクション調節剤を含む、被験体の疼痛の治療のために有用な薬学的組成物を包含する。抗コネキシンポリヌクレオチドの例は、アンチセンス(改変および非改変骨格アンチセンスを含む)、RNAi、およびsiRNAを含む抗コネキシンオリゴデオキシヌクレオチド(「ODN」)を含む。適した抗コネキシンペプチドは、コネキシン結合ペプチドを含む。適した抗コネキシン剤は、例えば、コネキシン43、26、および30、ならびに31.1、32および37に対するアンチセンスODNおよび別の抗コネキシンオリゴヌクレオチド、ペプチドおよびペプチド模倣剤を含む。ある特定の実施形態において、適した組成物は、例えば、抗コネキシン43、26、30、および31.1剤を含む複数の抗コネキシン剤を組み合わせて含む。抗コネキシンオリゴヌクレオチドおよび抗コネキシンペプチドおよびペプチド模倣剤を含む非限定的な好ましい抗コネキシン剤は、コネキシン43を対象とする。抗コネキシンオリゴヌクレオチドおよび抗コネキシンペプチドおよびペプチド模倣剤を含む別の非限定的な好ましい抗コネキシン剤は、コネキシン26および30を対象とする。
【0189】
一実施形態において、本発明は、例えば、整形外科的処置または手術の間または後(および/または前治療としてその前に)の被験体の疼痛軽減のための、あるいは、関節炎状態(関節リウマチ、骨関節炎、頚部関節炎および強直性脊椎炎を含む)、または身体支持構造もしくは筋骨格系における疼痛もしくは神経痛を伴う別の状態を含む様々な整形外科的関連疾患、障害、または状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体の、同時に、別々に、または連続して投与される2つ以上の抗コネキシン剤の使用による治療のための方法を提供する。非限定的な好ましい実施形態において、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の併用、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、例えば、様々な整形外科的関連疾患、障害、または状態に起因する疼痛を含む身体支持構造における疼痛を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体の治療において、相加的、相乗的、または超相加的な作用を有する。非限定的な好ましい実施形態において、併用製剤の投与は、このような併用の結果として、より少ない投与時点および/または投与と投与の間の時間間隔の増加を有することになる。別の非限定的な好ましい実施形態において、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の併用、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、投与頻度の減少を可能にする。別の非限定的な好ましい実施形態において、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の併用、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、作用物質が単独で投与されたときに有効でありうる1つまたは複数の用量と比較して、このような作用物質の減少した用量の使用を可能にする。一般に、これらの抗コネキシン剤の組合せは、単一の抗コネキシン剤の投与よりも向上した治療結果を有する。
【0190】
別の態様において、本発明は、遅延放出製剤、徐放製剤、持続放出製剤、制御放出製剤に、および/または反復作用製剤に調合された、治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を被験体に投与するための方法を含む。整形外科的処置または手術の間もしくは後の、または、関節リウマチ、骨関節炎、頚部関節炎および強直性脊椎炎を含む任意の形態の関節炎などの様々な整形外科的関連疾患、障害、または状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある疼痛を含む疼痛を治療するために、このような量が投与されてもよい。
【0191】
ある特定の別の態様において、本発明はまた、(a)単独でまたは1つまたは複数のギャップジャンクション改変剤と併用して、治療有効量の1つまたは複数の抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣剤、および(b)治療有効量の1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドの投与を含む、(例えば、整形外科的処置または手術の間または後に、および/または前治療としてその前に、または関節リウマチ、骨関節炎、頚部関節炎および強直性脊椎炎を含む関節炎状態の結果として)疼痛軽減のために被験体を治療する方法に関する。一実施形態において、手術結果は向上する。一実施形態において、投与は、術後被験体における関節収縮を全体または一部において減少させるまたは予防するために有効である。一実施形態において、投与は、術後被験体の回復時間を向上させるために有効である。一実施形態において、投与は、術後被験体の疼痛を減少させるために有効である。一実施形態において、投与は、術後被験体の全般的な回復結果を向上させるために有効である。一実施形態において、回復結果の向上は術後運動性の増加を含む。別の実施形態において、所望の治療効果を提供するために、治療有効量を下回る1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣剤が単独でまたは組み合わせて投与される。
【0192】
一実施形態において、被験体は、以下の外科的処置のうちの1つの前、間および/または後に治療される:例えば、解離処置(release procedure)、関節鏡処置、関節手術(例えば、置換処置を含む股関節、肩または膝の手術)。一般に、本明細書において記載および特許請求されている本発明が扱う整形外科的手術は、手の手術;肩および肘の手術;関節全再建術(関節形成術);足および足首の手術;脊椎手術;外科的スポーツ医学;および整形外科的外傷を含む。したがって、例えば、整形外科的手術は、膝関節鏡検査および半月板切除術;肩関節鏡検査および減圧術;手根管解離術;膝関節鏡検査および軟骨形成術;サポートインプラントの除去;膝関節鏡検査および前十字靭帯再建術;膝置換術;大腿骨頚部骨折の修復;転子骨折の修復;皮膚/筋肉/骨/骨折のデブリードマン;両半月板の膝関節鏡修復;股関節置換術;肩関節鏡検査/遠位鎖骨切除術;回旋筋腱板腱の修復;橈骨/尺骨の骨折修復;椎弓切除術;足首骨折の修復(両果型);肩関節鏡検査およびデブリードマン;腰椎脊椎固定術;遠位橈骨の骨折修復;腰部椎間円板手術;手指腱鞘切開術;足首骨折の修復(腓骨);大腿骨骨幹骨折の修復;転子骨折の修復を含む。関節炎の膝の一方側だけが置換される膝片側置換術、ならびに肘、手首、足首、および手指を含む別の関節の関節置換術に加えて、股関節全置換術、肩全置換術、および膝全置換術が含まれる。骨移植、欠けている骨を患者自身の身体の材料、または人工の、合成の、もしくは天然の代替物と置換する外科的処置もまた整形外科的手術に含まれる。
【0193】
さらに別の態様において、本発明は、例えば、整形外科的処置または手術の前、間および/または後に、あるいは様々な整形外科的関連疾患、障害、もしくは状態、または身体支持構造におけるもしくは筋骨格系における別の疼痛を伴う状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体を治療するときの疼痛軽減の方法であって、それを必要とする被験体に第1の組成物および第2の組成物を投与する工程を含み、前記第1の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含み、前記第2の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣剤を含む方法を提供する。一実施形態において、第1の組成物を最初に投与する。別の実施形態において、第2の組成物を最初に投与する。さらなる実施形態において、方法は第3の組成物の投与をさらに含み、第3の組成物は、抗コネキシンポリヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤を含む。一実施形態において、第3の組成物を最初に投与する。
【0194】
一態様において、本発明は、整形外科的処置または手術の前、間および/または後に、関節拘縮を予防するおよび/または減少させるための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む薬学的組成物を投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態において、前記方法は、2つの薬学的組成物、治療有効量の1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第1の組成物および治療有効量の1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む第2の薬学的組成物の投与を含む。一実施形態において、第1の組成物を最初に投与する。別の実施形態において、第2の組成物を最初に投与する。さらなる実施形態において、方法は第3の組成物の投与をさらに含み、第3の組成物は、治療有効量の抗コネキシンポリヌクレオチド、ペプチド、またはペプチド模倣剤を含む。一実施形態において、第3の組成物を最初に投与する。一実施形態において、第3の組成物を最初に投与する。一実施形態において、組成物は、異常組織の再発および/またはさらなる拘縮を防止するために、解離処置(例えば、強制処置、開放解離術、関節鏡下解離術、または瘢痕の減量術)の前に、その時におよび/または後に、損傷の部位に投与される。別の実施形態において、治療的に有効な組合せ作用を提供するために、別々にまたは共同で投与するための治療有効量を下回る抗コネキシン剤が使用される。
【0195】
別の態様において、本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断薬)、または治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の薬学的に許容される抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含有する容器と、本明細書に記載のような被験体の治療のための使用を含む使用説明書とを含む製品を包含する。別の実施形態において、所望の治療効果を提供するために、治療有効量を下回る第1および第2の抗コネキシン剤が使用される。
【0196】
本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断薬)、または治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含有する1つまたは複数の剤形を含有する包装材料を含む製品を包含し、包装材料は、整形外科的処置または手術の間または後に、あるいは様々な整形外科的関連疾患、障害、もしくは状態、または身体支持構造におけるもしくは筋骨格系における疼痛を伴う別の状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体にその剤形を使用することができることを示すラベルを有する。別の実施形態において、治療有効量を下回る第1および第2の抗コネキシン剤は、所望の治療効果を一緒に提供する製品の調製において使用される。
【0197】
本発明は、整形外科的処置または手術の間または後の回復時間を促進および向上させ、全般的回復結果を向上させ、関節拘縮を減少させ、および/または血管損傷を減少させるために有効な量の、治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む調合物を包含する。このような調合物は、例えば局所用の送達形態および調合物、ならびに注射、滴注、および関節鏡下投与用の調合物を含む。
【0198】
非限定的な好ましい調合物は、例えば、フォーム、スプレーまたはゲルとして調合される本発明の薬学的組成物を含む。一実施形態において、ゲルは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーベースのゲルまたはカルボキシメチルセルロースベースのゲルである。非限定的な好ましい実施形態において、ゲルはプルロニックゲルである。別の実施形態において、本発明は、所望の治療効果を一緒に提供する、治療有効量を下回る第1および第2の抗コネキシン剤を含む調合物を提供する。
【0199】
本発明は、整形外科的処置または手術の前、間または後に、あるいは様々な整形外科的関連疾患、障害、もしくは状態、または身体支持構造におけるもしくは筋骨格系における疼痛を伴う別の状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体を治療するための、医薬の製造における、治療有効量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む組成物の使用のための方法を含む。このような医薬は、例えば局所用の送達形態および調合物、ならびに注射、滴注、および関節鏡下投与用の調合物を含む。このような医薬は、本明細書において開示されている被験体の治療のためのものを含む。このような医薬は、このような作用物質が組み合わせて投与されない場合に投与される量と比較して減少した治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、本明細書に記載の減少した量の1つまたは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1つまたは複数の抗コネキシンペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を任意選択で含んでもよい。別の実施形態において、所望の治療効果を一緒に提供する治療有効量を下回る抗コネキシン剤が使用される。
【0200】
本発明は、整形外科的処置または手術の前、間または後に、あるいは様々な整形外科的関連疾患、障害、もしくは状態、または身体支持構造におけるもしくは筋骨格系における疼痛を伴う別の状態を患っている、これらにかかりやすい、またはこれらのリスクがある被験体を治療するための、一緒にする工程および有効量の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断薬)、または、例えば、第1の組成物および第2の組成物を含む本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤を含む、医薬を調製する方法であって、前記第1の組成物が有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドを含み、前記第2の組成物が有効量の抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣剤を含む、方法を含む。整形外科的処置または手術の間または後に、あるいは整形外科疾患、障害および/もしくは状態、または身体支持構造におけるまたは筋骨格系における疼痛を伴う別の状態を患っている、これらにかかりやすいまたはこれらのリスクがある被験体の治療に有用な、治療有効量の、抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣剤、ギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、および/またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む第1および第2の組成物を含む医薬を調製する別の実施形態。別の実施形態において、所望の治療効果を一緒に提供する、組み合わせて使用される治療有効量を下回る抗コネキシン剤が提供される。
【0201】
組成物の投与
担体系調合物の有効な用量および投与方法は、個々の患者および疼痛の段階または必要な疼痛軽減レベル、ならびに当業者に公知の他の要因に基づいて変動しうる。送達される作用物質のいくつかの用量を上記に示したが、本発明の送達系におけるこのような化合物の治療効力および毒性は、実験動物を用いた標準的な薬学的手順、例えば、ED50(集団の50%において治療に有効な用量)およびLD50(集団の50%に対する致死量)によって決定することができる。治療効果に対する毒性作用の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができる。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。動物試験から得られたデータは、ヒト用途のための様々な投与量の調合において使用することができる。このような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、採用された剤形、患者の感受性および投与経路に応じてこの範囲内で変動する。
【0202】
特定の態様によると、治療される患者を考慮して個々の医師によって正確な投与量が選択される。1〜500マイクログラム、および1000マイクログラム以上までの範囲の投与量が適しており、疼痛軽減のための必要に応じて反復されてもよい。2、3、4、5、6、7、8、9および10ミリグラムまでの用量を含む、他のより高い用量が意図される。投与量および投与は、十分なレベルのギャップジャンクション調節剤を提供するように、または所望の作用を維持するように調整される。考慮されうるさらなる要因は、患者の病態の重症度、年齢、体重および性別;食事、投与時間および頻度、薬物組合せ(1つまたは複数)、反応感受性、および治療に対する耐性/応答を含む。組成物は、毎日投与されてもよいが、少ない頻度の投与が適している。例えば、組成物は、2、3〜4日毎に、毎週、または2週毎に1回投与されてもよい。特定の調合物の半減期およびクリアランス速度、および提供される疼痛軽減の量およびその期間に応じて、本発明の薬学的組成物は、1日当たり、1週当たり、2週間当たり、または1カ月当たり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回以上投与される。
【0203】
本発明の送達系の投与経路は主として局所的であるが、いくつかの実施形態を皮膚深層に存在する細胞に投与することが望ましい。局所用の投与は、本発明の送達系を含有する、局所適用される軟膏、クリーム、オイル、ゲル、リンスなどによって達成される。局所適用に適した送達系含有化合物からなる組成物は、生理学的に許容可能な軟膏、クリーム、オイル、リンス、およびゲルを含むがこれらに限定されない。経皮送達に加えて、別の投与形態も適している。これらは、例えば、注射、デポ注射および滴注、ならびに皮下への、および筋肉、関節または腱、または軟骨を含む疼痛もしくは疼痛の近傍への送達、加えて関節内注射を含む。
【0204】
いくつかの実施形態において、浸透増強剤、水性アジュバント、および送達される作用物質の混合物は、適用を容易にするデバイスに組み込まれる。これらの装置は一般に、本発明の経皮送達系が容器中に組み込まれている、塗布具と一緒になった容器を有する。いくつかのデバイスは、例えば、混合物の蒸気化を促すことにより送達を促進する。これらの装置は、噴霧器(例えば、ポンプ駆動式噴霧器)などの塗布具と一緒になった容器中に組み込まれた本発明の経皮送達系を有する。これらの実施形態はまた、組み込まれた経皮送達系を容器から駆動するための推進剤を含むこともできる。より専門化した適用を可能にするために、他の装置を設計することができる。本発明の経皮送達系の専門化した適用を容易にするデバイスは、経皮送達系を収容している容器と一緒になったロールオン式またはスワブ様の塗布具を有することができる。本発明の送達系の投与を容易にするいくつかのデバイスは、幅広い化粧用または治療用用途を有する。
【実施例】
【0205】
(実施例1)
経皮送達調合物は、以下の通り調製した。
【0206】
抗コネキシン43オリゴヌクレオチド、すなわち配列番号2(Agilent、Boulder、CO)を、PBS(Oxoid、UK BR0014 Dulbecco「A」錠剤)中に溶解して、500マイクロモル濃度ストック溶液を得ることによって、抗コネキシン43剤溶液を最初に調製した。
【0207】
エミュー油は、ニュージーランドの商業農場供給者から入手した。
【0208】
皮膚へ適用するための調合物を調製するために、エミュー油を約30℃に加温し、40マイクロリットルの500マイクロモル濃度のストック溶液を960マイクロリットルの油に加えて20マイクロモル濃度(200マイクログラム/ml)調合物を調製した。混合物をボルテックスにかけ、次いで4℃で保存した。
【0209】
(実施例2)
被験体A、手術前夜に反対側の膝(後日の手術が予定されている)に1mlの実施例1に記述されている調合物(200マイクログラムの配列番号2を含有)を擦り込むことによって適用された、膝置換術手術を受ける予定になっている55歳の女性。膝をラップに一晩包み、被験体は翌朝通常通りシャワーを浴びた。被験体は、対側性の手術した膝を支持している間、運動のために膝を使用していたときに、床上安静時間を過ぎて継続した疼痛軽減を報告した。7日後に膝に若干の「ずきずきする痛み」が再発したが、疼痛軽減は約10日間持続した。
【0210】
(実施例3)
実施例2の被験体Aは、疼痛軽減のための手術の1週間後、1mlの実施例1に記述されている調合物が被験体の外科手術した足の下肢の皮膚に適用される、さらなる治療を受けた。本質的にチタンおよびセラミックであるので、膝自体は痛まなかった。しかしながら、被験体は、手術のための接触を可能にするために筋肉および腱が広げられた、手術部位の上部および下部の疼痛を有した。治療の後、被験体は再度、治療した領域において顕著な持続する疼痛軽減を報告した。
【0211】
(実施例4)
被験体Bは、肩、膝および腰部における重度の関節疼痛をもたらした強直性脊椎炎の37歳の女性であった。被験体Bは、1mlのエミュー油を単独で痛む関節炎の膝関節に、および実施例1に記述されている調合物1ml(200マイクログラムの配列番号2を含む)を痛む関節炎の肩関節に擦り込んだ。被験体は、膝について軽減を報告しなかったが、肩においては70%以上までの疼痛軽減を報告し、これは治療後7〜10日持続した。
【0212】
(実施例5)
治療後の数カ月、実施例4の被験体Bは、寒波のために複数の関節において激しい関節炎疼痛を患い、被験体は両膝において激しい疼痛、腰部(仙腸骨関節、左および右側)において歩行および階段上りの困難、および左肩において動きやすさが制限されることに「苦悶」したことを報告した。被験体は、実施例1に記述されている調合物1ml(200マイクログラムの配列番号2を含有)を疼痛の5つすべての領域に適用した。床に就く前に調合物を適用し、4時間後被験体は起床し、習慣の朝の散歩へ行った。関節炎を管理するために被験体は毎日散歩していたが、この散歩には苦痛を感じ、時には、特に坂を歩いて上ることまたは階段を上ることは困難であったことを報告した。実施例1に記述されている調合物の罹患関節への投与の4時間後、被験体は自由に歩行することができ、膝、仙腸骨関節、または肩のいずれにおいても疼痛を報告しなかった。被験体はまた、実施例1の調合物の適用後に左肩の動きやすさが増したことを報告した。
【0213】
疼痛の再発後の、実施例1に記述されている調合物1ml(200マイクログラムの配列番号2を含む)の肩および膝への反復適用は3〜4日間の完全な疼痛軽減をもたらす。
【0214】
(実施例6)
被験体C、肩の軽い裂傷と考えられる、バスケットボールで損傷を受けた22歳の男性。被験体は、実際の裂傷の位置と考えられる急性疼痛を報告した。被験体は、この急性疼痛はまた、肩の他の部分全体にわたってかなりの疼痛および疼きも引き起こしたと報告した。被験体は、実施例1に記述されている調合物1ml(200マイクログラムの配列番号1を含有)を痛む肩に擦り込んで適用した。
【0215】
調合物の肩への適用の1時間以内に、被験体は疼痛軽減を自覚し始めたことを報告し、被験体が急性疼痛の約80%の減少を達成し、一方損傷によって引き起こされた二次的疼痛が完全に静まったことを示した。この疼痛軽減作用は一日中続いた。
【0216】
2日目に、被験体は、肩が回復し続けていることを報告した。被験体は損傷部位からの急性疼痛が弱くなったと報告し、二次的疼痛が再発しなかったことを確認した。
【0217】
3日目に、被験体は、疼痛がないこと、および疼痛を伴わずに肩関節が十分に動きやすくなったことを報告した。
【0218】
(実施例7)
被験体D、両膝の置換術を予定している81歳の女性は、歩行困難であり、鎮痛剤に頼っていた。両膝を実施例1に記述されている調合物2ml(400マイクログラムの配列番号2を含有)で治療し、各膝をラップで一晩包み、および翌朝通常通り洗浄した。治療後1日目に、被験体は、疼痛の減少および動きがより容易であることを報告した。2日目に被験体は、右膝(置換術が予定されている)に若干の疼痛があるが左膝には疼痛がないことを報告した。被験体はまた、夜間に膝の痙攣がない(通常、定期的に発生)ことおよび数年のうちで初めて仰向けに眠ったことを報告した。通常、その姿勢で眠るとき、被験体の膝はいつも痛む状態に固定されている。
【0219】
被験体はまた、治療の前の朝にCelebrex鎮痛剤(朝および夜に100mg)を止め、再開する必要がなかった(すなわち、鎮痛剤を48時間を超えて必要としなかった)ことも述べた。
【0220】
(実施例8)
被験体E、療養施設に入っている(confined)84歳の男性。被験体は、引っ掻き傷からまたは蜂巣炎型の状態をもたらす同様の原因から発生したと考えられる下肢(ふくらはぎ)感染症を有していた。療養施設は、随時、被験体を抗生物質で治療したが、状態は消散しなかった。
【0221】
実施例1に記述されている調合物0.5ml(100マイクログラムの配列番号2を含有)を擦り込み、24時間で明らかな作用はなかった。2週間後、被験体の脚は再燃し、直径およそ10〜15cmの領域が腫脹し、赤くなり、ヒリヒリ痛み、さらに0.5mlの実施例1の調合物をその領域に適用した。炎症および疼痛は2〜3日以内に完全におさまり、5週間の追跡後も再発していなかった。
【0222】
(実施例9)
被験体Fは、慢性膝痛を有する60歳の女性であった。被験体の一方の膝のみを実施例1に記述されている調合物2ml(200マイクログラムの配列番号2を含有)で治療し、膝をラップで一晩包み、および翌朝通常通り洗浄した。被験体は、夜間に目が覚め、既に疼痛軽減が感じられることおよび翌日までには完全に疼痛がなく、非常に動きやすく、膝を曲げることができたと報告した。仕事中に机からから立ち上がりたいとき、被験体は、いつもは足を上げ、一時停止し、次いで身体を捻って(膝が捩れるのを避けるため)いたが、今では自由に立ち上がり、捩じり、歩行することができると報告した。被験体はまた、膝の硬直がないことを報告した。疼痛軽減および柔軟性は、治療効果が徐々に消えるまで5日間持続した。
【0223】
(実施例10)
被験体Gは、複数の交通事故の間続いた関節、筋肉および神経損傷の10年の既往歴を有する70歳の女性であった。被験体は、首、肩、腕の、および脊椎/肩甲骨の間の疼痛のために非常に多くの治療を受け、以下の通り診断された:C2−3、脊髄障害なし、軽度小関節面関節症を伴う若干の左孔狭窄;C3−4CSFリングの存在しない軽度の脊髄のバナナ形変形を伴う中心性椎間板ヘルニア、左が右より大きい両側性孔狭窄を伴う軽度左小関節面関節症;C4−5若干の骨化を伴う中心性椎間板ヘルニア、くも膜下腔の前方および後方への狭窄にかかる脊髄に加えて左が右より大きい小関節面関節症を伴う両側性孔狭窄;C5−6左が右より大きい小関節面関節症を伴う両側性孔狭窄、脊髄圧迫なし;C6−7左が右より大きい小関節面関節症を伴う両側性孔狭窄、脊髄圧迫なし;C7−T1開大であるが軽度右小関節面関節症および左下方小関節面関節からの骨棘の疑いがあるが神経根は十分な空間を有する。
【0224】
一部成功したが、続けて成功していない以下の治療が、過去10年間にわたる様々な時点で試みられた:理学療法、コルチコイドステロイド注射、鍼治療、NSAID、および牽引。
【0225】
実施例1に記述されている調合物1ml(200マイクログラムの配列番号2を含む)による治療を、新たな回の理学療法と同時に開始した。調合物を、反転を繰り返す(10×)ことによって混合し、右肩および頸背部に手袋をはめた手で適用(指尖法)し、少量の残りの部分を左肘に使用した。この治療を2週間毎に1回繰り返し、4用量を投与した。被験体は、鋭い、突き刺すような衰弱させる疼痛の消失を経験したこと、およびこの時点で通常の日常活動(例えば、掃除、庭仕事)を再開するまで疼痛全体が軽減したことを報告した。
【0226】
本発明は、前述の特定の好ましい実施形態によって限定されない。当業者は、本発明の概念から逸脱することなく様々な変更が、開示されている好ましい実施形態になされてもよいことに気づくはずである。このような変更はすべて本発明の範囲内であることが意図されている。
【0227】
本明細書において参照または言及されたすべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイトならびに他の文書および資料は、本発明が属する技術分野の当業者の技術水準を示すものであり、これらの参照文書および資料はそれぞれ、個別にその全体が参照により組み込まれた、またはその全体が本明細書に記載された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、任意の上記の特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、および別の参照資料または文書の、任意のおよびすべての資料および情報をこの明細書に物理的に組み込む権利を保有する。
【0228】
本特許の書面による記述部分は、すべての特許請求の範囲を含む。さらに、すべての出願当初の特許請求の範囲ならびにあらゆるすべての優先権書類のすべての特許請求の範囲を含むすべての特許請求の範囲が、参照により本明細書の書面による記述部分にそのまま組み込まれ、出願人は、あらゆるすべてのこのような特許請求の範囲を、出願書面による記述または任意の他の部分に物理的に組み込む権利を保有する。したがって、例えば、いかなる場合においても、本特許は、特許請求の範囲の明確な言い回しが本特許の書面による記述部分において言葉通りに記載されていないという主張についての請求のために書面による記述を申し立てによって提供しないと解釈されるものではない。
【0229】
特許請求の範囲は、法に従って解釈される。しかしながら、主張されたまたは受け取られた任意の請求項またはその部分の解釈の容易さまたは困難さにかかわらず、いかなる場合においても、本特許につながる1つまたは複数の出願の審査中、請求項またはその任意の部分の任意の補正案または修正案は、従来技術の一部を形成しないあらゆるすべてのその等価物に対する権利を失権したと解釈されないものとする。
【0230】
本明細書において開示されているすべての特徴は、任意の組合せで組み合わせることができる。したがって、別途明確な記述のない限り、開示されているそれぞれの特徴は、包括的な一連の等価物または同様の特徴の一例に過ぎない。
【0231】
本発明をその詳細な説明と共に説明してきたが、前述の説明は例示であって、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を限定しないと意図されていることが理解されるはすである。したがって、前述のことから、本発明の特定の実施形態を例示を目的として本明細書において説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよいことが理解されるであろう。別の態様、利点、および変更は以下の特許請求の範囲内であり、添付の特許請求の範囲による場合を除いて本発明は限定されない。
【0232】
本明細書に記載されている具体的な方法および組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であって本発明の範囲を限定するものではない。別の目的、態様、および実施形態が、本明細書を考慮すれば当業者には思いつくはずであり、特許請求の範囲によって定義されている通り本発明の精神に包含される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な置換および変更を本明細書に開示されている本発明に対して行ってもよいことが、当業者には容易に明らかとなるはずである。例示的に本明細書に適当に記載されている本発明は、本明細書において不可欠であると特に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定の不在下で実施されてもよい。したがって、例えば、本発明の実施形態または実施例において、本明細書におけるそれぞれの場合において、「含む(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含有している(containing)」などの用語は、包括的であって限定ではないと読み取るべきである。例示的に本明細書に記載されている方法およびプロセスは、異なる順序の工程で適当に実施されてもよく、必ずしも本明細書または特許請求の範囲に示された工程の順序に制限されない。
【0233】
採用されている用語および表現は、説明であって限定するものではない用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示されているおよび説明されている特徴のいかなる均等物またはその一部も除外する意図はないが、請求されている本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明を、様々な実施形態および/または好ましい実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者によって用いられてもよい本明細書に開示されている概念のいかなるおよびすべての変更および変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるはずである。
【0234】
本発明が、本明細書において広く一般的に記載された。一般的開示に含まれるそれぞれのより狭い種(species)および亜属集団(subgeneric grouping)もまた、本発明の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書で具体的に挙げられているか否かに関係なく、その属の任意対象を除くという条件または否定的な限定を伴う本発明の一般的記載を含む。
【0235】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途明確に指示のない限り複数形への言及を含み、用語「Xおよび/またはY」は、「X」または「Y」または「X」および「Y」の両方を意味し、名詞の後の文字「s」は、その名詞の複数形および単数形の両方を表すこともまた理解されるべきである。加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループに関して記述される場合、本発明は、マーカッシュグループの任意の個々の部材および任意の部材のサブグループを包含し、それによりそれに関して記述もされること、および出願人は、マーカッシュグループの任意の個々の部材または任意の部材のサブグループを具体的に参照する出願または請求項を修正する権利を保有することが意図され、当業者はそれらを認識するはずである。
【0236】
別の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。本特許は、本明細書に特におよび/または明確に開示されている具体的な実施例または実施形態または方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる場合においても、本特許は、そのような陳述が出願人による答弁書において具体的に、無資格または無条件で明確に採用されていない限り、特許商標局のいかなる審査官またはいかなる別の当局者もしくは関係者によってなされたいかなる陳述によっても限定されると解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する方法であって、薬学的に許容される経皮送達形態にある、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含む薬学的組成物を、身体支持構造における疼痛の軽減を必要とする前記被験体に局所投与する工程を含み、これにより疼痛を軽減する方法。
【請求項2】
前記身体支持構造が関節である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記身体支持構造が、筋肉、骨、腱、靭帯、および軟骨からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被験体が関節炎を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被験体が骨関節炎を患っている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記被験体が関節リウマチを患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被験体が頚部関節炎を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被験体が強直性脊椎炎を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記被験体が急性疼痛を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記被験体が背痛、膝痛、股関節痛、肩痛、手の痛み、または指痛を患っている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記被験体が慢性疼痛を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記被験体が背痛、膝痛、股関節痛、肩痛、手の痛み、または指痛を患っている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記被験体が術後疼痛を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記経皮剤形が、局所用のゲル、ローション、軟膏、またはスプレーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記経皮送達形態が、油を含む経皮浸透剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記油が、10〜19カ所/分子のエトキシ化を有するエトキシ化油である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エトキシ化油が、16カ所/分子のエトキシ化を含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記油が、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油からなる群から選択される油を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記エトキシ化油が、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油からなる群から選択されるエトキシ化油を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記油がエミュー油である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記エトキシ化油がエトキシ化エミュー油である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、10,000ダルトン以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、10,000ダルトン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、RNAiオリゴヌクレオチド、およびsiRNAオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1から24または25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
【化8】

から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、ペプチドまたはペプチド模倣剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記ペプチドまたはペプチド模倣剤が、コネキシン43ヘミチャネルに結合する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ペプチドまたはペプチド模倣剤が、コネキシン43 ZO−1タンパク質の結合部位に結合する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
非ステロイド抗炎症薬である第2の薬学的化合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤が、コネキシン43リン酸化剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
重量または容量による前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤の量が、約0.01%〜約50.0%である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤のおおよその平均分子量が約10,000ダルトン未満であり、重量または容量による前記治療有効量が、約0.01%〜約50.0%である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤の前記治療有効量が、約0.01%〜約10.0%である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
重量または容量による前記コネキシン43ギャップジャンクション調節剤の前記治療有効量が、約0.01%〜約5.0%である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、前記被験体における組織疼痛または関節疼痛の部位に近接する皮膚領域に投与される、請求項1から24または25のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
被験体における疼痛を軽減する薬学的組成物であって、疼痛軽減量の抗コネキシン43化合物と、経皮送達剤を含む薬学的に許容される媒体とを含む薬学的組成物。
【請求項42】
被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する薬学的組成物であって、経皮剤形に疼痛軽減量の抗コネキシン43化合物を有する調合物を含む薬学的組成物。
【請求項43】
前記組成物が、経皮浸透増強剤を含む、請求項41に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記抗コネキシン43化合物がオリゴヌクレオチドであり、前記経皮浸透剤が、皮膚を介するオリゴヌクレオチドの送達を促進する、請求項41に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
被験体の身体支持構造における疼痛を軽減する方法であって、前記被験体における組織疼痛または関節疼痛の部位に近接する皮膚領域への、抗コネキシン43化合物を含む経皮送達デバイスを、身体支持構造における疼痛の軽減を必要とする前記被験体に適用する工程を含む方法。
【請求項46】
前記抗コネキシン43化合物がオリゴヌクレオチドであり、前記経皮送達デバイスが、前記皮膚を介するオリゴヌクレオチドの送達を促進する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記経皮送達デバイスが、経皮マイクロプロジェクション送達デバイスである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記マイクロプロジェクションデバイスが、前記抗コネキシン43化合物がそれに配置されているコーティング調合物から形成される、生体適合性コーティングを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記経皮送達デバイスが、組織膜に、それにより前記皮膚を介する前記抗コネキシン43化合物の送達が促進される、少なくとも1つのマイクロポア(moicrpore)を形成する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
包装材料、および前記包装材料内に含有される経皮送達組成物を含む製品であって、前記経皮送達組成物が、疼痛軽減有効量の抗コネキシン43化合物、および経皮浸透有効量のエトキシ化油を含み、支持構造における疼痛を軽減するのに前記組成物を用いうることを示すラベルを、前記包装材料が含む製品。
【請求項51】
前記エトキシ化油が、エトキシ化マカデミアナッツ油、エトキシ化メドウフォーム油、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ホホバ油、エトキシ化トウモロコシ油、エトキシ化ヒマワリ油、エトキシ化ゴマ油、およびエトキシ化エミュー油からなる群から選択される、請求項50に記載の製品。
【請求項52】
前記抗コネキシン43化合物がオリゴヌクレオチドである、請求項50に記載の製品。
【請求項53】
包装材料、および前記包装材料内に含有される経皮送達組成物を含む製品であって、前記経皮送達組成物が、疼痛軽減有効量の抗コネキシン43化合物、および経皮浸透有効量の油を含み、支持構造における疼痛を軽減するのに前記組成物を用いうることを示すラベルを、前記包装材料が含む製品。
【請求項54】
前記油がマカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ゴマ油、およびエミュー油からなる群から選択される、請求項53に記載の製品。
【請求項55】
前記抗コネキシン43化合物がオリゴヌクレオチドである、請求項53に記載の製品。
【請求項56】
被験体の身体支持構造または筋骨格系における疼痛を軽減する方法であって、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含有する経皮剤形、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含有する注射用剤形、治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含有する滴注剤形、または治療有効量のコネキシン43ギャップジャンクション調節剤を含有するデポ剤形を、身体支持構造または筋骨格系における疼痛の軽減を必要とする前記被験体に投与する工程を含み、これにより疼痛を軽減する方法。

【公表番号】特表2011−524345(P2011−524345A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512477(P2011−512477)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/003408
【国際公開番号】WO2009/148613
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509135588)コーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】