説明

ギャバペンチン及びプレギャバリンの増加された吸収のための組成物及び投与形態物

ギャバペンチン又はプレギャバリン及び、硫酸アルキルのような輸送部分からなる複合体が説明される。複合体は胃腸管、特に下部胃腸管中において高められた吸収を有する。複合体及び、複合体を使用して調製される組成物及び投与形態物は10〜24時間の期間にわたり薬剤の身体による吸収をもたらし、それによりギャバペンチン又はプレギャバリンの1日1回の投与形態物を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はギャバペンチン又はプレギャバリンの送達のための組成物及び投与形態物に関する。より特には、本発明は複合体が胃腸管中、そして更に特には下部胃腸管中において薬剤の増加した吸収を提供する、ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
神経障害性疼痛の動物モデルによる基礎的研究及びヒトの臨床試験が損傷又は疾病による神経系における病原生理学的及び生化学的変化を示すにつれて、神経障害性疼痛の病因についての科学的理解がこの数十年間進歩してきた(非特許文献1)。神経障害性疼痛は癌患者、心臓発作の罹患者、老年者、疼痛性糖尿病性神経病(diabetic neuropathy)のような糖尿病、帯状疱疹後の神経痛のような帯状疱疹(herpes
zoster)(帯状疱疹(shingles))をもつ患者により、そして筋萎縮性測索硬化症(ALS)のような神経変性疾患をもつ患者においてしばしば経験される慢性の疼痛である。神経障害性疼痛の臨床的特徴には,焼けるような、自然発生的(spontaneous)疼痛、差し込む疼痛及び誘発性(evoked)疼痛が包含される。著明な病理生理学的機序は動的機械的異痛症及び冷覚痛覚過敏のような特異的な感覚症状をもたらす。
【0003】
神経障害性疼痛の処置のための治療法には非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛剤、アヘン剤又は三環系抗鬱剤のような伝統的な疼痛剤の使用が包含される(非特許文献2、3及び4参照)。多数の患者は不適切な疼痛の緩和又は許容できない副作用のために種々の処置に不応性である。
【0004】
抗痙攣剤のギャバペンチンは神経障害性疼痛の処置に対し、そして特に疼痛性糖尿病神経障害及び帯状疱疹後の神経痛の処置に対して明白に示された鎮痛効果を有する(非特許文献5参照)。ギャバペンチンはまた幾つかのタイプの発作、特に癲癇から生ずる発作を抑制するために有効な薬剤である(非特許文献6参照)。同様にプレギャバリンは帯状疱疹後の神経痛及び疼痛性糖尿病神経障害の処置に有効であることが示されている(非特許文献7参照)。
【0005】
ギャバペンチンはL−アミノ酸輸送システムにより近位小腸から血流中に吸収される(非特許文献6参照)。明らかにL−アミノ酸輸送システムが飽和されて、吸収される薬剤量を限定するために、薬剤の生体利用能は用量依存性である(非特許文献8参照)。例えば、血清ギャバペンチン濃度は約1800mg/日までは用量とともに直線的に増加し、そして次に、恐らく上部G.I.管からの吸収機構が飽和されるために、より高い用量においても増加し続けるが期待されるほどではない(非特許文献8参照)。
【0006】
ギャバペンチンの吸収に寄与するL−アミノ酸輸送システムは主として小腸の上皮繊維細胞中に存在し(非特許文献9参照)、従って薬剤の吸収を限定する。プレギャバリンもまた、他のアミノ酸輸送システムと一緒にL−アミノ酸輸送システムにより吸収されるように見える(非特許文献7参照)。
【0007】
上部G.I.管及び下部G.I.管の細胞の特徴の相異もまた、下部G.I.管中の分子の低い吸収の原因である。図1はG.I.管の上皮組織を横断する化合物の輸送の2種の一般的な経路を表わす。10a、10b、10cにより表わされる個々の上皮細胞が小
腸及び大腸に沿って細胞バリヤーを形成する。個々の細胞はジャンクション12a、12bのような水路又は緊密な(tight)ジャンクションにより分離されている。上皮組織を横断する輸送は細胞横断経路及び傍細胞経路のいずれか又は双方を経由して起る。矢印14により図1に示した輸送の細胞横断経路は受動的拡散により又は担体に媒介される輸送により上皮細胞の壁及び本体を横切る化合物の移動を伴う。輸送の傍細胞経路は矢印16により示すように個々の細胞間の緊密なジャンクションを通る分子の移動を伴う。傍細胞輸送は一部は、それがG.I.管の全長にわたり起るために、特異性は少ないが、ずっと大きい全体的能力を有する。しかし、緊密なジャンクションはG.I.管の長さに沿って変動し、緊密なジャンクションの有効な「緊密性」における近位から遠位への勾配が増加する。従って、上部G.I.管内の十二指腸は、上部G.I.管内の回腸より「漏洩性(leaky)」であり、回腸は下部G.I.管中の結腸より「漏洩性」である、(非特許文献10参照)。
【0008】
上部G.I.管内の薬剤の典型的な滞留時間は約4〜6時間であるので、低い結腸の吸収を有する薬剤は経口摂取後4〜6時間のみの期間中に身体により吸収される。しばしば、投与される薬剤がその日の間中、比較的一定の濃度で患者の血流中に存在することが医学的に望ましい。最少の結腸吸収を示す伝統的な薬剤調製物でこれを達成するためには、患者は1日3〜4回この薬剤を摂取することが必要と思われる。患者に対するこの不都合を伴う実地の経験により、これが最適な処置のプロトコールではないことが示唆される。従って、一日中にわたる長期間の吸収を伴うこのような薬剤の1日1回の投与が達成されることが望まれる。
【0009】
一定投与量の処置を提供するために、通常の製薬学的開発により種々の徐放性薬剤システムが示唆されてきた。このようなシステムは投与後の長時間にわたり薬剤のそれらの有効荷重(payload)を放出することにより機能する。しかし、徐放性システムのこれらの通常の形態は最少の結腸の吸収を示す薬剤の場合には有効でない。薬剤は上部G.I.管でのみ吸収され、かつ上部G.I.管における薬剤の滞留時間が4〜6時間のみであるので、提唱された徐放性投与形態物が上部G.I.中の投与形態物の滞留期間後にその有効荷重を放出するかも知れないことは、身体が上部G.I.滞留の4〜6時間を過ぎて徐放性薬剤を吸収し続けるであろうことは意味しない。その代わりに、投与形態物が下部G.I.管に侵入した後に徐放性投与形態物により放出される薬剤は概括的に吸収されず、その代わり下部G.I.から他の物質とともに身体から排出される。
【0010】
薬剤の有効濃度が1日中患者の血流中に存在する場合に、発作又は神経障害性疼痛を制するためのギャバペンチンの使用は著しく改善されると考えられる。伝統的なギャバペンチン調製物でこれを達成するためには、患者は1日3〜4回ギャバペンチン投与物を摂取することが必要と思われる。患者に対するこの不都合を伴う実地の経験により、これが最適な処置のプロトコールではないことが示唆される。更に、真に一日1回のギャバペンチン処置が便宜どころではない利点を提供すると考えられる。多数のその他の利点が患者の血流中へのギャバペンチンの比較的一定の投与量により提供される。従って、1日中にわたる長期間の吸収を伴うギャバペンチンの1日1回の投与が達成されることが望まれる。
【非特許文献1】Backonja,M.M.,Clin.J.Pain,16(2):S67−72(2000)
【非特許文献2】Max,M.B.,Ann.Neurol.,35(Suppl):S50−S53(1994)
【非特許文献3】Raja,S.N.et al.,Neurology,、59:1015(2002)
【非特許文献4】Galer,B.S.et al.,Pain,80:533(1999)
【非特許文献5】Wheeler,G.,Curr,Opin.Invest.Drugs,3(3):470(2002)
【非特許文献6】Johannessen,S.I..et al.,Ther.Drug Monitoring,25;347(2003)
【非特許文献7】Dworkin,R.H.et al.,Neurology,60:1274(2003)
【非特許文献8】Stewart,B.H.et a;.,Pharm.Res.,10:276(1993)
【非特許文献9】Kanai,Y.et al.,J.Toxicol.Sci.,28(1):1(2003)
【非特許文献10】Knauf,H.et al.,Klin.Wochenschr.,60(19):1191−1200(1982)
【発明の開示】
【0011】
従って、1つのアスペクトにおいて、本発明は、ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分が複合体を形成する、ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分からなる物質を包含する。
【0012】
1つの態様において、輸送部分は6〜12個の間の炭素原子を有するアルキル硫酸塩である。好ましいアルキル硫酸塩はラウリル硫酸塩である。
【0013】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を含んでなる複合体、並びに製薬学的に許容できるビヒクルを含んでなる組成物を包含し、ここで組成物がギャバペンチン又はプレギャバリンより少なくとも5倍高い、下部胃腸管内の吸収を有する。
【0014】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は投与形態物が前記の組成物又は前記の物質を含んでなる1つの態様を包含する。
【0015】
1つの態様において、投与形態物は浸透性投与形態物である。1つの態様における例示的投与形態物は(i)押し出し(push)層;(ii)ギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体を含んでなる薬剤層;(iii)押し出し層及び薬剤層の周囲に提供される半透性の壁;並びに(iv)出口、を有する。もう1つの例示的投与形態物は(i)ギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体、オスマジェント及び浸透性ポリマーを含んでなる浸透性調製物の周囲に提供される半透性の壁並びに(ii)出口を有する。
【0016】
1つの態様において、投与形態物は200〜3600mgの間の総1日投与量を提供する。
【0017】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はギャバペンチン又はプレギャバリンを含んでなる投与形態物における改良物を提供する。改良物は緊密なイオン対結合により結合されたギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体を含んでなる投与形態物を包含する。
【0018】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、前記の物質を投与を要する患者に投与する工程を含んでなる、ギャバペンチン又はプレギャバリンを投与する方法を包含する。
【0019】
1つの態様において、物質は経口投与される。
【0020】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、ギャバペンチン又はプレギャバリンを提供
す工程;輸送部分を提供する工程;水より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下でギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を結合させる工程(combining);(それにより結合させる工程がギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体の形成をもたらす):を含んでなるギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体を調製する方法を包含する。
【0021】
1つの態様において、結合させる工程は(i)水性溶媒中でギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を結合させる工程、(ii)水性溶媒に対して水より小さい誘電定数を有する溶媒を添加する工程、並びに(iii)溶媒から複合体を回収する工程を包含する。
【0022】
もう1つの態様において、結合させる工程は水の誘電定数より少なくとも2倍低い誘電定数を有する溶媒中で接触させる工程を含んでなる。例示的溶媒はメタノール、エタノール、アセトン、ベンゼン、メチレンクロリド及び四塩化炭素を包含する。
【0023】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分からなる複合体を提供する工程(ここで複合体は緊密なイオン対結合を特徴としてもつ)並びに複合体を患者に投与する工程を含んでなる、ギャバペンチン又はプレギャバリンの胃腸管吸収を改善する方法を包含する。
【0024】
1つの態様において、改善された吸収は改善された下部胃腸の吸収を含んでなる。
【0025】
もう1つの態様において、改善された吸収は上部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる。
【0026】
本発明のこれらのアスペクト並びにその他のアスペクト、特徴物及び利点は、本発明の以下の詳細な説明及び付記の請求の範囲からより明らかになるであろう。
【0027】
詳細な説明
I.定義
本発明は、本明細書に提供される以下の定義、図面及び代表的明細を参照することによりもっともよく理解される。
【0028】
「組成物」は、場合により更なる有効な製薬学的成分と組み合わせてそして/又は場合により製薬学的に許容できる担体、賦形剤、懸濁物質、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透剤、着色剤、可塑化剤等のような不活性成分と組み合わせた1種又は複数のギャバペンチン−輸送部分又はプレギャバリン−輸送部分複合体を意味する。
【0029】
「複合体」は、緊密なイオン対結合により結合された薬剤部分及び輸送部分を含んでなる物質を意味する。薬剤部分−輸送部分複合体は以下の関係:
ΔLogD=LogD(複合体)−LogD(緩いイオン対)≧0.15 (式1)
[式中、D、分配係数(distribution coefficient)(見かけの分配係数(partition coefficient))は設定されたpH(典型的には約pH=5.0〜約pH=7.0)そして摂氏25度における水(脱イオン水)中の同一物質(species)に対するオクタノール中の薬剤部分及び輸送部分のすべての物質の平衡濃度の比率である。LogD(複合体)は本発明の説に従って調製される薬剤部分及び輸送部分の複合体に対して決定される。LogD(緩いイオン対)は脱イオン水中の薬剤部分及び輸送部分の物理的混合物に対して決定される。例えば、想像される(putative)複合体(摂氏25度の脱イオン水中)のオクタノール/水のみかけの分配係数(D=Cオクタノール/C)を決定し、そして摂氏25度の脱イオン水中の輸送部分と薬剤部分の1:1(モル/モル)の物理的混合物に比較することができる。決定される、想像の複合体(D+T−)に対するLogDと、1:1(モル/モル)の物理的混合物、D‖Tに対するLogD間の差が0.15以上である場合は、想像の複合体は本発明に従う複合体であることが確証される。好ましい態様において、ΔLogD≧0.20であり、そしてより好ましくは、ΔLogD≧0.25であり、より好ましくは更に、ΔLogD≧0.35である]
により特徴を示される、オクタノール/水の分配動態の相異により薬剤部分及び輸送部分の緩いイオン対から区別することができる。
【0030】
「投与形態物」は、投与を必要とする患者に対する投与に適した媒質、担体、ビヒクル又は装置中の製薬学的組成物を意味する。
【0031】
「薬剤」又は「薬剤部分」は、薬剤、化合物又は物質あるいは被験体に投与される時に幾らかの薬理学的効果を提供するような薬剤、化合物又は活性剤の残基(residue)を意味する。複合体形成に使用のためには、薬剤は酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残基構造要素を含んでなる。
【0032】
「脂肪酸」は、炭化水素鎖が飽和されているか(x=2n、例えば、パルミチン酸、C1531COOH)又は不飽和(x=2n−2、例えば、オレイン酸、CH1630COOH)のいずれかである一般式CH(C)COOHの有機酸の群のいずれかを意味する。
【0033】
「ギャバペンチン」はC17NOの分子式及び171.24の分子量を有する1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸を表わす。それは商品名Neurontin(R)として市販されている。その構造は図2Aに示される。
【0034】
「腸」又は「胃腸(G.I.)管」は、小腸(十二指腸、空腸及び回腸)並びに大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸及び直腸)からなる、胃の下方開口部から肛門まで及ぶ消化管の部分を意味する。
【0035】
「緩いイオン対」は、生理学的pHにおいてそして水性環境中で、緩いイオン対の環境内に存在する可能性がある他の緩く対を形成したイオン又は遊離イオンと容易に互換性であるイオン対を意味する。緩いイオン対はアイソトープ標識及びNMR又は質量分析法を使用して、生理学的pHにおいてそして水性環境中で、もう1つのイオンとの緩いイオン対の1員の交換に注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、逆相HPLCを使用して生理学的pHにおいてそして水性環境中でイオン対の分離に注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、「物理的混合物」と呼ばれることができ、媒質中でイオン対を物理的に一緒に混合することにより形成される。
【0036】
「下部胃腸管」又は「下部G.I.管」は、大腸を意味する。
【0037】
「患者」は、治療的介入の必要な動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。
【0038】
「緊密なイオン対」は、生理学的pHにおいてそして水性環境中で、緊密なイオン対の環境中に存在する可能性がある他の緩く対を形成したイオン又は遊離イオンと容易には互換性でないイオン対を意味する。緊密なイオン対はアイソトープ標識及びNMR又は質量分析法を使用して、生理学的pHにおいてそして水性環境中でもう1つのイオンとの緊密
なイオン対の1員の交換の不在に注目することにより実験的に検出することができる。緊密なイオン対はまた、逆相HPLCを使用して生理学的pHにおいてそして水性環境中でイオン対の分離の欠如に注目することにより実験的に見いだすことができる。
【0039】
「輸送部分」は、輸送部分が非複合薬剤に比較すると上皮組織を横切る薬剤の輸送を改善するために働く、薬剤と複合体を形成することができる化合物又はそれを形成した化合物の残基、を意味する。輸送部分は疎水性部分及び酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残基構造要素を含んでなる。好ましい態様において、疎水性部分は炭化水素鎖を含んでなる。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残基構造要素のpKaは約7.0より大きく、好ましくは約8.0より大きい。
【0040】
「製薬学的組成物」は、投与を必要とする患者に対する投与に適した組成物を意味する。
【0041】
プレギャバリンは(S)−(+)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸を表わす。プレギャバリンはまた、(S)−3−イソブチルGABA又はCI−1008として文献中で呼ばれる。プレギャバリンの構造は図2Bに示される。
【0042】
「構造要素」は、(i)より大きい分子の一部であり、(ii)識別可能な化学的官能性を有する化学基を意味する。例えば、化合物上の酸性基又は塩基性基は構造要素である。
【0043】
「物質」は、特定の特徴を有する化学的実在物を意味する。
【0044】
「残基構造要素」は、もう1つの化合物、化学基、イオン、原子等との相互作用又は反応により修飾される構造要素を意味する。例えば、カルボキシル構造要素(COOH)はナトリウムと相互反応して、ナトリウム−カルボキシレート塩を形成し、ここでCOO−が残基構造要素である。
【0045】
「上部胃腸管」又は「上部G.I.管」は、胃及び小腸を包含する胃腸管の部分を意味する。
【0046】
II.複合体形成及び特徴付け
前記のように、ギャバペンチンは抗痙攣剤として、そして神経障害性疼痛を緩和する際の双方に有効である。図2Aに示したギャバペンチンは3.7のpKa及び10.7のpKaをもつ双イオン性化合物である。それは水中並びに塩基性及び酸性水溶液双方中で自由に可溶性である。pH7.4における分配係数(n−オクタノール/0.05Mリン酸バッファー)のlogは−1.25である。それが上記に考察されたL−アミノ酸輸送システムにより吸収される事実と一緒に、これらの特性が化合物の低いG.I.吸収をもたらす。胃内の約1.2のpHから遠位回腸及び大腸内の約7.5のpHまでの範囲内にわたるG.I管中のpHの勾配(Evans,D.F.等、Gut,29:1035−1041(1988))は、ギャバペンチンがG.I.管中のpHの範囲全体にわたり荷電されており、これもその低い吸収に寄与するファクターであることを意味する。図2Bに示されたプレギャバリンはギャバペンチンの構造類似体であり、下部G.I.管中の低い吸収をもたらす幾つかの同様な特徴を有する。
【0047】
従って1つのアスペクトにおいて、本発明は著しく改善された下部G.I.管吸収を有するギャバペンチン又はプレギャバリンを含んでなる化合物を提供する。化合物はギャバペンチン及び輸送部分の複合体又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体である。化合物は図3Aに示す概略の合成反応スキームに従ってギャバペンチン塩酸又はプレギャバリン
塩酸のような薬剤の塩から調製することができる。すなわち、図3A中でD+X−と表わされる塩形態の薬剤が図中でTと表わされる輸送部分と結合される。例示的輸送部分は前記に挙げられ、そして脂肪酸、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、フマル酸及びサリチル酸を包含する。2種の物質が水中で結合させられて、緩いイオン対結合(図中ではD+‖X−と表わされる)を形成し、次に以下に考察されるような水より小さい誘電定数を有する溶媒中で溶媒和される。この方法が、複合体中の物質がD+T−の表示により図3Aに表わされるような緊密なイオン対結合で結合されている、ギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体の形成をもたらす。
【0048】
図3Bはギャバペンチン(又はプレギャバリン)−輸送部分複合体の形成に対する、より特定の合成反応スキームを表わす。このスキームにおいて、輸送部分は硫酸アルキルの塩、(R−SO(Y)として表わされる。アルキル硫酸塩は水中で薬剤の塩と混合されて、図3B中にD+‖[R−SO)]−と表わされる緩いイオン対を形成する。水より小さい誘電定数をもつ有機溶媒を緩いイオン対の水溶液に添加し、そして薬剤及び輸送部分が図中でD+[(R−SO)]−と表わされる緊密なイオン対結合により結合されている薬剤−輸送部分複合体を抽出する。
【0049】
輸送部分が硫酸アルキル、そして更に特には硫酸アルキル塩である、ギャバペンチン−輸送部分複合体を調製する方法の特定の例は実施例1A中に提供され、図3C中に表わされる。ギャバペンチンの塩形態、例えばギャバペンチンHClはギャバペンチンを塩酸と結合させることにより調製される。ギャバペンチンの他の塩が形成され得ることは認められるであろう。次に硫酸ラウリルのような硫酸アルキルを添加する。実施例1Aにおいて、硫酸ラウリルのナトリウム塩が使用されたが、カリウムアルキルスルフェート又はマグネシウムアルキルスルフェートのような他の塩は適切である。ギャバペンチンHCl及びナトリウムラウリルスルフェートと結合させて、物質間の緩いイオン対形成として図3Cに表わされるギャバペンチンと硫酸ラウリルのイオン対を形成する。ギャバペンチンと硫酸ラウリルを含有する溶液に水より小さい誘電定数をもつ溶媒を添加し、十分に混合し、静置する。ギャバペンチンラウリルスルフェート複合体を、典型的には、それらに限定はされないが、蒸発、蒸留等を包含する、溶媒を除去する適切な方法を使用して溶媒相(非水相)から抽出する。
【0050】
実施例1Aにおいて、複合体は例示的輸送部分として硫酸アルキル、硫酸ラウリルを使用して形成された。硫酸ラウリルは単に例示であり、そして調製法は輸送部分として適する他の物質並びに任意の炭素鎖長の硫酸アルキル及び脂肪酸に、等しく適用できることは理解されるであろう。例えば、種々の硫酸アルキル又は脂肪酸又はそれらの塩(ここで硫酸アルキル又は脂肪酸中のアルキル鎖は6〜18個の炭素原子、より好ましくは8〜16個の炭素原子そして更により好ましくは10〜14個の炭素原子を有する)とのギャバペンチン(又はプレギャバリン)の複合体形成が想定される。アルキル鎖は飽和でも又は不飽和でもよい。複合体の調製における使用に想定される脂肪酸中の例示的飽和アルキル鎖にはブタンサン(酪酸、4C);ペンタン酸(バレリン酸、5C);ヘキサン酸(カプロン酸、6C);オクタン酸(カプリル酸、8C);ノナン酸(ペラルゴン酸,9C);デカン酸(カプリン酸、10C);ドデカン酸(ラウリン酸,12C);テトラデカン酸(ミリスチン酸,14C);ヘキサデカン酸(パルミチン酸、16C);ヘプタデカン酸(マルガリン酸、17C)及びオクタデカン酸(ステアリン酸,18C)が包含され、ここで組織名の次に括弧内に、脂肪酸の慣用名及び脂肪酸中の炭素原子数が続く。不飽和脂肪酸にはすべて18個の炭素原子を有するオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸が包含される。リノール酸及びリノレン酸は多不飽和である。ギャバペンチンとの例示的複合体にはギャバペンチンパルミテート、ギャバペンチンオレエート、ギャバペンチンカプレート、ギャバペンチンラウレート、ギャバペンチン−ラウリルスルフェート、ギャバペンチン−デシルスルフェート及びギャバペンチン−テトラデシルスルフェートが包含される。
【0051】
例示的硫酸アルキル及び硫酸アルキルの塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等)は6〜18個、より好ましくは8〜16個、そして更により好ましくは10〜14個の炭素原子を有する。好ましい硫酸アルキルにはカプリルスルフェート、ラウリルスルフェート及びミリスチルスルフェートが包含される。ベンゼンスルホン酸、安息香酸、フマル酸及びサリチル酸又はこれらの酸の塩とのギャバペンチン又はプレギャバリンの複合体形成もまた、想定される。
【0052】
ギャバペンチン及びプレギャバリンは双イオン性化合物であり、正及び負に帯電した基との相互反応の可能性を許す。図3A〜3Cに関して考察されたように、1つの態様において、ギャバペンチン及びプレギャバリンの正に荷電したNH部分と相互反応の可能な輸送部分が選択される。脂肪酸及びそれらの塩、硫酸アルキル(飽和でも又は不飽和でも)及びそれらの塩(特にナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート及びナトリウムテトラデシルスルフェートを包含する)、ベンゼンスルホン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、フマル酸及びその塩、サリチル酸及びその塩又は少なくとも1個のカルボキシル基を含有する他の製薬学的に許容できる化合物及びそれらの塩がギャバペンチン又はプレギャバリンの正に帯電した基と複合体を形成する。
【0053】
それに代わる態様において、ギャバペンチン又はプレギャバリンの負に帯電したCOO基と相互反応することができる輸送部分が選択される。例えば、第一級脂肪族アミン(飽和及び不飽和の双方)、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、コリン、トロメタミン、メグルミン、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、アルキルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンズアルコニウムクロリド及びベンゼトニウムクロリドはギャバペンチン及びプレギャバリンの負に帯電した基と複合体を形成するために使用されることができる。
【0054】
実施例1Aを続けて参照すると、ギャバペンチン−ラウリルスルフェートからなる複合体はメチレンクロリド(クロロホルム)から調製された。メチレンクロリドは単に例示的な溶媒であり、輸送部分と薬剤がそれの中で可溶性の他の溶媒は適切である。例えば、脂肪酸はクロロホルム、ベンゼン、シクロヘキサン、エタノール(95%)、酢酸及びメタノール中に可溶性である。カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のこれらの溶媒中の溶解度(g/L)を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
1つの態様において、複合体の形成に使用される溶媒は水より小さい誘電定数、そして好ましくは、水の誘電定数より少なくとも2倍低い、より好ましくは水の定数より少なくとも3倍低い誘電定数を有する溶媒である。誘電定数は溶媒の極性の指標であり、例示的
溶媒の誘電定数は表2に示される。
【0057】
【表2】

【0058】
溶媒の水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール及び酢酸は電気的陰性の原子、典型的には酸素に結合された水素原子を有する極性のプロトン性溶媒である。溶媒のアセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びアセトニトリルは双極性の非プロトン性溶媒であり、そして1つの態様において、ギャバペンチン(又はプレギャバリン)−輸送部分複合体を形成する際の使用に好ましい。双極性非プロトン性溶媒はOH結合を含有しないで、典型的には炭素と、酸素又は窒素のいずれかの間の多重結合のお陰で大きな結合双極を有する。大部分の双極性の非プロトン性溶媒はC−O二重結合を含有する。表2に記載された双極性非プロトン性溶媒は水より少なくとも2倍低い誘電定数を有する。
【0059】
図3Dはプレギャバリンラウリルスルフェート複合体の形成の合成反応スキームを示す。実施例1Bに記載されたように、プレギャバリンの塩形態、例えばプレギャバリンHClはプレギャバリンを塩酸の水溶液と混合することにより調製される。プレギャバリンの他の塩を形成することができることが認められよう。次に硫酸ラウリルのような硫酸アルキルが添加される。図3Dは硫酸ラウリルのナトリウム塩を示すが、カリウムアルキルスルフェート又はマグネシウムアルキルスルフェートのような他の塩が適切である。プレギャバリンHCl及びナトリウムラウリルスルフェートを混合すると物質間の緩いイオン対として図3Dに表わされているプレギャバリンと硫酸ラウリルのイオン対を形成する。水より小さい誘電定数をもつ溶媒をプレギャバリンと硫酸ラウリルのイオン対を含有する溶液に添加し、十分に混合し、静置する。プレギャバリン−ラウリルスルフェート複合体を典型的には、それらに限定はされないが蒸発、蒸留、等を包含する、溶媒を除去するための適切な方法を使用して溶媒相(非水相)から抽出する。
【0060】
実施例1Aに記載のように形成されたギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を分析するために、フーリエ変換赤外分光(FTIR)を使用した。FTIR/ATR法は下記の方法の節に説明される。比較のために、ギャバペンチン、ナトリウムラウリルスルフェート並びにギャバペンチンとナトリウムラウリルスルフェートの1:1モル比の物理
的混合物(2成分はメタノールに溶解され、固体膜として空気乾燥された)のFTIR/ATRスペクトルも作成し、結果を図4A〜4Dに示す。ギャバペンチンのスペクトルは図4Aに示され、NH及びCOO部分に対応するピークが示される。ナトリウムラウリルスルフェートのスペクトルは図4Bに示され、そしてS−O部分に対応する主要な二重のピークが1300〜1200cm−1の間に認められる。ギャバペンチンHClとナトリウムラウリルスルフェートの1:1モルの水中混合物は図4Cに示され、ギャバペンチンの特徴を示す明白なパターンの減衰が明白で、ナトリウムラウリルスルフェートからのS−Oピーク(1300〜1200cm−1)の広がりが認められた。図4Dは実施例1Aの方法により形成された複合体に対するFTIRスペクトルを示し、そこでギャバペンチンのCOO−基に対応する2個のピークが消失し、ギャバペンチンラウリルスルフェート複合体中のCOOH基のピークと置き替わり、それはCOO−の荷電ブロックを示す。ギャバペンチンのN−H部分の変形がギャバペンチンラウリルスルフェートのスペクトルの15cm−1シフトにより認められた。N−H結合のバンドのこのシフトは生成された複合体中のN−H基のプロトン化を示す。ナトリウムラウリルスルフェートのスペクトル中のS−O吸収を示す1250cm−1におけるピークはギャバペンチン複合体のスペクトルで示されたように30cm−1シフトし、それはナトリウムラウリルスルフェートのスルフェート基とのギャバペンチンの相互反応を示唆する。FTIRスキャンはギャバペンチンで形成された複合体が2成分の物理的混合物と異なることを示した。
【0061】
機序の特定の理解により制約されることを望まないが、発明者らは以下のように考える。緩いイオン対が極性溶媒環境内に入れられると、極性の溶媒の分子がイオン結合により占拠された空間中に自身を挿入し、それにより結合されたイオンを分離させると推定される。遊離イオンに静電気的に結合された極性の溶媒分子を含んでなる溶媒和の殻が遊離イオンの周囲に形成されるかも知れない。次にこの溶媒和の殻が、遊離イオンがもう1つの遊離イオンと緩いイオン対結合以外の何ものでもないイオン結合を形成することを妨げる。極性溶媒中に多数のタイプの対イオンが存在する状況において、任意の与えられる緩いイオン結合は対イオンの競合に比較的感受性であるかも知れない。
【0062】
この効果は溶媒の誘電定数として表わされる極性が増加するほど更に顕著である。クーロンの法則に基づくと、誘電係数(e)の媒質中で電荷(q1)及び(q2)をもち、距離(r)だけ分離された2個のイオン間の力は:
【0063】
【数1】

【0064】
[ここでεは空間の誘電率の定数である]:である。式は溶液中の緩いイオン対の安定性に対する誘電定数(ε)の重要性を示す。高い誘電定数(ε=80)を有する水溶液中では、水分子がイオン結合を攻撃して相対する帯電イオンを分離すると、静電気の引き付け力が著しく減少する。
【0065】
従って、高い誘電定数の溶媒分子が一旦イオン結合の付近に存在すると、その結合を攻撃して、最終的にそれを破壊するであろう。次に未結合イオンは溶媒中を自由に動き回る。これらの特性が緩いイオン対を規定する。
【0066】
緊密なイオン対は緩いイオン対と異なって形成され、その結果、緩いイオン対と異なる特性を有する。緊密なイオン対は2個のイオン間の結合空間中の極性溶媒分子数を減少す
ることにより形成される。これはイオンを緊密に一緒に移動させ、そして緩いイオン対結合より著しく強力な結合をもたらすが、しかしまだイオン結合と考えられる。本明細書でより詳細に開示されたように、緊密なイオン対は、イオン間への極性溶媒の取り込みを減少するために水より極性の弱い溶媒を使用して得られる。
【0067】
緩いイオン対及び緊密なイオン対の更なる考察についてはD.Quintanar−Guerrero等、Pharm.Res.,14(2):119−127(1997)を参照されたい。
【0068】
緩いイオン対及び緊密なイオン対間の相異はまた、クロマトグラフィー法を使用しても観察することができる。逆相クロマトグラフィーを使用して、緩いイオン対は、緊密なイオン対を分離しないであろう条件下で容易に分離することができる。
【0069】
本発明に従う結合はまた、相互に対するカチオン及びアニオンの強度を選択することにより、更に強力にすることができる。例えば、溶媒が水である場合に、カチオン(塩基)及びアニオン(酸)を相互に更に強力に引き合うように選択することができる。より弱い結合が望まれる時は、より弱い引力物質を選択することができる。
【0070】
生物学的膜の部分は、このような膜を横切る分子の輸送を理解する目的のために脂質の2層として第一次近似物に模型化することができる。脂質の2層の部分を横切る輸送(能動的輸送物等に相反するものとして)は望ましくない分割(portioning)のためにイオンに対して好ましくない。種々の研究者がこのようなイオンの電荷の中和が膜横断輸送を促進することができることを提唱した。
【0071】
「イオン対」理論において、電荷を「埋封」させ、そして生成されるイオン対を脂質の2層中でより移動し易くさせるためにイオン性薬剤の部分が輸送部分の対イオンと対にされる。このアプローチは、特に腸上皮組織を横切る経口投与された薬剤の吸収を高めることに関してかなりの量の注目及び研究をもたらした。
【0072】
イオン対形成は多大の注目及び研究をもたらしたが、それは必ずしも多大の成功をもたらしたわけではなかった。例えば、2種の抗ウイルス化合物のイオン対は細胞横断輸送に対するイオン対の効果によらず、むしろ単層の保全性に対する効果により、増加した吸収をもたらすことが見いだされた(J.Van Gelder等、Int.J. of Pharmaceutics,186:127−136(1999)。著者らは、インビボシステム中に認められる他のイオンによる競合が対イオンの有益な効果を取り除く可能性があるので、イオン対の形成は帯電親水性化合物の上皮組織内輸送を高めるための戦略として非常に有効ではないかも知れないと結論した。他の著者らは、イオン対による吸収実験は必ずしも明確なメカニズムを指摘しなかったことに注目した(D.Quintanar−Guerrero等、Pharm.Res.14(2):119−127(1997)。
【0073】
予期しなかったことには、本発明者らはこれらのイオン対吸収実験に伴う問題は、それらが緊密なイオン対でなく緩いイオン対を使用して実施されたことであることを発見した。実際、当該技術分野で開示された多数のイオン対の吸収実験は緩いイオン対と緊密なイオン対間を明白に区別さえしていない。当業者は、イオン対を製造する開示された方法を実際にレビューし、そしてこのような開示された製造方法が緊密なイオン対ではなく、緩いイオン対に関するものであることに注目することにより、緩いイオン対が開示されていることを見分けなければならない。緩いイオン対は対イオン競合及び、緩いイオン対を結合するイオン結合の、溶媒により仲介される(例えば、水により仲介される)分解に比較的感受性である。従って、イオン対の薬剤部分が腸上皮細胞膜壁に到達する時に、それは輸送部分と緩いイオン対で結合しているか又は結合していないかもしれない。イオン対の、膜の壁の近位に存在する機会は、イオンを一緒に保持しているイオン結合よりむしろ、2個の個々のイオンの局所的濃度に、より多く左右されるかも知れない。薬剤部分が腸上皮細胞膜の壁に近付いた時に、結合されている2種の部分が存在しない場合は、非複合体形成薬剤部分の吸収速度は非複合体形成輸送部分により影響を受けないと考えられる。従って、緩いイオン対は薬剤部分単独の投与に比較すると吸収に対してごく限定された影響を有すると考えられる。
【0074】
それに対し、本発明の複合体は水のような極性溶媒の存在下でより安定な結合を有する。従って、本発明者らは、複合体を形成することにより、薬剤部分及び輸送部分はそれらの部分が膜の壁の近位にある時にイオン対として結合される可能性が多いであろうと判断した。この結合は部分の電荷が埋封されて、生成されるイオン対に細胞膜中をより移動し易くさせる機会を増加すると考えられる。
【0075】
1つの態様において、複合体は薬剤部分と輸送部分間の緊密なイオン対結合を含んでなる。本明細書で考察されたように、緊密なイオン対結合は緩いイオン対結合より安定であり、従って、それらの部分が膜の壁の近位にあると考えられる時に薬剤部分と輸送部分がイオン対として結合される可能性を増加する。この結合は部分の電荷が埋封されて、緊密なイオン対結合された複合体に細胞膜を通ってより移動し易くさせる機会を増加すると考えられる。
【0076】
複合体は下部G.I.管だけでなく、概括的に細胞横断輸送を全体的に改善することが意図されるので、本発明の複合体は下部G.I.管のみでなく、G.I.管全体の非複合体形成薬剤部分に対する吸収を改善することができることに注目しなければならない。例えば、薬剤部分が主として上部G.I.中に見いだされる活性(active)輸送物質に対する基質である場合は、薬剤部分から形成される複合体はまたその輸送物質の基質であることができる。従って、総輸送量は、本発明により提供される改善された細胞横断輸送量に加えて、該輸送物質により実施される輸送流量の総計であることができる。1つの態様において、本発明の複合体は上部G.I.管、下部G.I.管及び上部G.I.管と下部G.I.管双方における改善した吸収を提供する。
【0077】
本発明を支持して実施された研究において、ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体の下部G.I.吸収を、ラットにおける洗浄結紮結腸モデルを使用してインビボで特徴を調べた。実施例2に記載されるように、ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体の形態の又は未希釈ギャバペンチンとして10mg/ラット用量を試験ラット(各群n=3)の結紮結腸中に挿管投与した。ラットの第3群(n=3)はギャバペンチン1mgを静脈内投与された。ギャバペンチン濃度の分析用に血液サンプルを定期的に採血した。データは図5に示される。
【0078】
図5を参照して、静脈内投与(三角形)されたギャバペンチンは最初の15分にわたり急激に下降する濃度を伴って最初の高い血漿濃度を与える。ギャバペンチンを結腸内ボーラス(丸)として投与されると、薬剤の緩徐な吸収が起る。それに対し、薬剤がギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体(ひし形)の形態で下部G.I.管に投与されると、薬剤の急激な取り込みが起り、Cmaxは挿管投与の1時間後に認めた。
【0079】
この研究からの薬物動力学的パラメーターは表3に示される。曲線下面積(AUC)を各ギャバペンチン用量に対してギャバペンチン1mg/ラットに基づいてゼロ時間から無限の時間まで決定し、そこで時間の無限大は対数線形降下(decline)を推定することにより算定された。ギャバペンチンの生体利用能は薬剤の静脈内投与からもたらされるギャバペンチン濃度のパーセントとして表わされる。
【0080】
【表3】

【0081】
ギャバペンチン及び硫酸ラウリルの複合体により提供される高められた結腸吸収は未希釈(neat)薬剤に比較した,複合体の形態で下部G.I.管に投与された時の薬剤の著しく改善された生体利用能から明白である。ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体は未希釈の薬剤に対して、13倍の生体利用能の改善をもたらした。従って、本発明はギャバペンチン(又はプレギャバリン)血漿濃度から決定されるギャバペンチン(又はプレギャバリン)生体利用能により証明されるように、複合体がギャバペンチン(又はプレギャバリン)の結腸吸収に対して少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍、そして更に好ましくは少なくとも12倍の結腸吸収の増加を提供する、ギャバペンチン(又はプレギャバリン)及び輸送部分で形成される複合体を含んでなる化合物を想定する。従って、ギャバペンチン(又はプレギャバリン)−輸送部分複合体の形態で投与される時にギャバペンチン(又はプレギャバリン)は血中へのギャバペンチン(又はプレギャバリン)の著しく高められた結腸吸収を提供する。
【0082】
実施例3に記載のような、ギャバペンチン又はギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体がラットの十二指腸内に投与されたもう1つの研究が実施された。5mg/ラット、10mg/ラット、20mg/ラットの用量を投与し、ギャバペンチン濃度の決定のために時間の関数として血液サンプルを採取した。試験動物のもう1つの群はギャバペンチン又はギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を静脈内投与された。結果は図6A〜6Cに示される。
【0083】
図6Aは静脈内(三角形)及び5mg(丸)、10mg(正方形)及び20mg(ひし形)の用量で十二指腸に投与された未希釈ギャバペンチンで処置された動物のギャバペンチン血漿濃度(ng/mL)を示す。十二指腸内に挿管投与により薬剤を受ける動物に対して増加用量とともに増加する血液濃度を認めた。静脈内処置(三角形)された動物の低い血漿薬剤濃度は当然、より低い薬剤用量のためである。
【0084】
図6Bはギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を静脈内(三角形)そして5mg(丸)、10mg(正方形)、及び20mg(ひし形)の用量で十二指腸内に直接受ける動物の結果を示す。ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を受けている動物の絶対血中濃度はギャバペンチンで処理された動物より低いが、データは、複合体からのギャバペンチンの吸収は、恐らく一部は、飽和されていないL−アミノ酸輸送システム及び/又は複合体により提供される他のメカニズムを介する増加した輸送のために、未希釈薬剤の吸収に比較して増加されることを示す。これは図6A及び6B中の、5mgと10mgの用量の間、そして10mgと20mgの用量の間の血中濃度の比較から明白であり、そこで増加する用量による血中濃度の増加は複合体の形態で投与されたギャバペンチンに対してより大きい。
【0085】
図6Cはラットの十二指腸に未希釈薬剤(逆三角形)として又はギャバペンチンラウリ
ルスルフェート複合体(丸)として投与されるギャバペンチンの生体利用能のパーセントを示す。生体利用能のパーセントは静脈内投与されるギャバペンチンに対して決定される。20mgの用量で、ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体は未希釈薬剤より高い生体利用能を示した。より高い用量における増加した生体利用能は、G.I.管中の取り込みは複合体に対するL−アミノ酸輸送システムによる取り込みに限定されず、更に細胞横断及び傍細胞メカニズムにより起っている、複合体により提供される高められた吸収によるようである。
【0086】
表4は研究からの薬力学的分析を示し、そこで0〜4時間の曲線下面積が測定され、ギャバペンチン1mg用量/ラット体重1kgに正規化された。ギャバペンチン(iv)に対する4時点に関するデータは最初の3時間に測定されたデータからの対数線形降下を前提とする。生体利用能のパーセントは静脈内投与されたギャバペンチンの生体利用能に対する。
【0087】
【表4】

【0088】
AUC及び生体利用能のデータは、薬剤がギャバペンチン−輸送部分複合体の形態で提供される時には、用量が増加するに従ってギャバペンチンの結腸の吸収が改善されることを示す。
【0089】
実験データはギャバペンチンに基づくが、所見はギャバペンチンの類似体のプレギャバリンに拡大されることが理解されるであろう。実施例4及び5はプレギャバリン−ラウリルスルフェート複合体のインビボの吸収を決定する方法を説明する。
【0090】
III. 例示的投与形態物及び使用方法
前記の複合体はG.I.管、そしてとりわけ下部G.I.管中の増加した吸収速度を提供する。今度は、複合体及びその増加した結腸吸収を使用する投与形態物及び処置方法が説明される。以下に説明される投与形態物は単に例示的であることは認められるであろう。更に該投与形態物はギャバペンチン、プレギャバリン又はそれらの混合物に等しく適用可能であることを認めであろう。以下の考察にはギャバペンチンを参照されるが、該考察はまた、プレギャバリンにも適用することが理解されるであろう。
【0091】
多様な投与形態物がギャバペンチン−輸送部分複合体を伴う使用に適する。前記に考察されたように、投与形態物は1日1回の投与(dosing)を提供して、少なくとも約12時間、より好ましくは少なくとも約15時間、そして更により好ましくは少なくとも約20時間の治療効果を達成する。該投与形態物はギャバペンチンの所望される投与量を
送達する任意のデザインに従って形成し、そして調製することができる。典型的には、投与形態物は経口投与可能で、通常の錠剤又はカプセルとしてのサイズ及び形態を有する。経口投与可能な投与形態物は種々の異なるアプローチの1つに従って製剤することができる。例えば、該投与形態物は、レザボアデバイス又はマトリックスデバイスのような拡散システムとして、カプセル封入溶解システム(例えば、「小型時限ピル(time pill)」及びビーズを包含する)及びマトリックス溶解システムのような溶解システム並びにRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,pp.1682−1685(1990)中に記載のような拡散/溶解システムとイオン−交換樹脂システムの組み合わせ物、として製剤することができる。
【0092】
ギャバペンチン−輸送部分複合体を伴う使用に適した投与形態物の特定の例は浸透性投与形態物である。浸透性投与形態物は概括的に、少なくとも一部は、流体の自由な拡散を許すが、薬剤あるいは1種又は複数の浸透性物質が存在する場合はそれらの拡散は許さない半透性の壁により形成されたコンパートメント中に流体を吸収するための駆動力を形成するために浸透圧を利用する。浸透システムに対する利点は、それらの操作がpHに依存せず、従って、投与形態物が胃腸管を通過して、著しく異なるpH値を有する異なる微環境に遭遇する時でも、長時間にわたり浸透的に決定される速度で継続することである。このような投与形態物の総説はSantus and Baker,”Osmotic drug delivery:a review of the patent literature,”Journal of Controlled Release,35:1−21(1995)に認められる。浸透性投与形態物はまた、それぞれそれらの全体が本明細書中に取り込まれている、以下の米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,995,631号、第4,008,719号、第4,111,202号、第4,160,020号、第4,327,725号、第4,519,801号、第4,578,075号、第4,681,583号、第5,019,397号及び第5,156,850号明細書に詳細に記載されている。
【0093】
当該技術分野で基本的浸透圧ポンプ投与形態物と呼ばれる例示的投与形態物が図11に示される。断面図に示した投与形態物20は、基本的浸透圧ポンプとも呼ばれ、内部コンパートメント24を囲み、そして封入する半透性の壁22を含んでなる。内部コンパートメントは、選択された賦形剤と混合されたギャバペンチン−輸送部分複合体28を含んでなる、本明細書で薬剤層26と呼ばれる単一成分層を含有する。賦形剤は、壁22を通して外部環境からの流体を引き付け、そして流体の吸収時に送達可能なギャバペンチン−輸送部分複合体調製物を形成するための浸透作用の勾配を提供するようになっている。賦形剤は本明細書で薬剤担体30とも呼ばれる適当な懸濁物質、結合剤32、滑沢剤34及び、オスマジェント(osmagent)36と呼ばれる浸透性活性物質を包含することができる。これらの各成分の例示的物質は以下に提供される。
【0094】
浸透性投与形態物の半透性の壁22は水及び生物学的流体のような外部流体の通過には透過性であるが、内部コンパートメント内の成分の通過には実質的に不透過性である。壁を形成するために有用な物質は投与形態物の寿命期間中、生物学的流体中で本質的に非腐食性で、実質的に不溶性である。半透性の壁を形成するための代表的ポリマーには、セルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルのようなホモポリマー及びコポリマーが包含される。壁の流体透過性を調整するために流量調整物質を壁形成物質と混合することができる。例えば、水のような流体に対する透過性を著しく増加させる物質はしばしば、本質的に親水性であり、他方、水に対して著しい透過性減少をもたらすものは本質的に疎水性である。例示的流量調整物質には、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステル等が包含される。
【0095】
操作中、浸透性活性剤の存在により壁22を横切る浸透圧勾配が壁を通して胃液を吸収させ、薬剤層の膨潤及び内部コンパートメント内に送達可能なギャバペンチン−輸送部分複合体含有調製物(例えば、溶液、懸濁液、スラリー又は他の流動性組成物)の形成をもたらす。送達可能なギャバペンチン−輸送部分複合体の調製物は、流体が内部コンパートメント内に侵入し続けるので、出口38から放出される。複合体含有調製物が投与形態物から放出される時ですら、流体は内部コンパートメント中に吸引され続け、それにより連続的放出を駆動する。この方法において、ギャバペンチン−輸送部分複合体は長期間にわたり、持続的で連続的な方法で放出される。
【0096】
図7に示したような投与形態物の調製はギャバペンチン−輸送部分複合体については実施例6Aに、そしてプレギャバリン−輸送部分複合体については実施例6B説明される。
【0097】
図8はもう1つの例示的浸透性投与形態物のスキーム図である。このタイプの投与形態物は本明細書に引用により取り込まれている、米国特許第第4,612,008号、第5,082,668号及び第5,091,190号明細書に詳細に記載されている。簡単に言えば、断面図で示した投与形態物40は内部コンパートメント44を区画する半透性の壁42を有する。内部コンパートメント44は薬剤層46及び押し出し層48を有する2層圧縮コアを含有する。以下に説明されるように、押し出し層48は、使用中に押し出し層が膨張する時に薬剤層を形成する物質が出口50のような1個又は複数の出口を経由して投与形態物から排出されるように投与形態物内に配置されている追い出し(displacement)組成物である。押し出し層は図8に示されるような薬剤層と接触している層状配列に配置することができるか又は、押し出し層と薬剤層を分離する1層又は複数の介入層をもつことができる。
【0098】
薬剤層46は図7を参照して前記に考察されたような選択される賦形剤と混合されたギャバペンチン−輸送部分複合体を含んでなる。例示的投与形態物は第1鉄−ラウレート複合体、担体としてのポリ(エチレンオキシド)、オスマジェントとしての塩化ナトリウム、結合剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムからなる薬剤層を含むことができる。
【0099】
押し出し層48は、当該技術分野で浸透性ポリマー(osmopolymer)と呼ばれる、水性又は生物学的流体を吸収して膨潤する、1種又は複数のポリマーのような浸透圧により活性な1種又は複数の成分を含んでなる。浸透性ポリマーは水及び水性の生物学的流体と相互反応し、高度に膨潤又は膨張する、典型的には2〜50倍の容量増加を示す、膨張性の親水性ポリマーである。浸透性ポリマーは架橋されていなくても又は架橋されていてもよく、そして好ましい態様においては、浸透性ポリマーは少なくとも軽度に架橋されて、使用中に投与形態物を容易に脱出するには大きすぎ、絡まっているポリマーの網目を形成する。浸透性ポリマーとして使用することができるポリマーの例は浸透性投与形態物を詳細に説明する前記の参考文献中に提供される。典型的な浸透性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)のようなポリ(アルキレンオキシド)及び、アルカリがナトリウム、カリウム又はリチウムである場合のポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)である。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤及び着色剤のような更なる賦形剤もまた押し出し層中に包含することができる。使用中、流体が半透性の壁を横切って吸収される時に1種又は複数の浸透性ポリマーが膨張して、薬剤層を押して、1個又は複数の出口を通して投与形態物から薬剤の放出をもたらす。
【0100】
押し出し層はまた典型的には、ポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン等のようなセルロース又はビニルポリマーである、結合剤と呼ばれる成分を包含することができる。押し出し層はまた、ステアリン酸ナトリウム又は
ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤及び成分の酸化を妨げるための抗酸化剤を包含することができる。代表的抗酸化剤にはそれらに限定はされないが、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2及び3第三級ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物及びブチル化ヒドロキシトルエンが包含される。
【0101】
オスマジェントもまた浸透性投与形態物の薬剤層及び/又は押し出し層中に取り込むことができる。オスマジェントの存在は半透性の壁を横切る浸透作用の勾配を設立する。例示的オスマジェントには塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等のような塩及びラフィノース、蔗糖、ブドウ糖、乳糖のような糖及び炭水化物が包含される。
【0102】
図8を続けて参照すると、投与形態物は場合により、用量に従って投与形態物を色彩識別するためにあるいはギャバペンチン、プレギャバリン又は他の薬剤の即時放出を提供するための上塗りコーティング(図示されていない)を包含することができる。
【0103】
使用中、水は壁を通って押し出し層及び薬剤層中に流動する。押し出し層は流体を吸収し、膨潤を開始し、その結果薬剤層44上を押して、層中の物質を出口を通して胃腸管中に押し出させる。押し出し層48は流体を吸収し、膨潤し続け、それにより投与形態物が胃腸管中にある期間中ずっと、薬剤層から薬剤を連続的に追い出すようになっている。このようにして、該投与形態物は15〜20時間の間中又はG.I.管中の投与形態物の通過の実質的に全期間中、胃腸管へのギャバペンチン−輸送部分複合体の連続的供給を提供する。ギャバペンチン輸送部分複合体は上部及び下部G.I.管双方中で容易に吸収されるので、該投与形態物の投与は投与形態物がG.I.管中を移動する全期間にわたり、血流中へのギャバペンチンの送達を提供する。
【0104】
もう1つの例示的投与形態物は図9に示される。浸透性投与形態物60はギャバペンチンの第1層64、ギャバペンチン−輸送部分複合体の第2層66及び押し出し層と呼ばれる第3層68からなる3層コア62を有する。このタイプの投与形態物は米国特許第5,545,413号、第5,858,407号、第6,368,626号及び第5,236,689号明細書に詳細に記載されており、それぞれが引用により本明細書に取り入れられている。実施例7に示されるように、3層投与形態物はギャバペンチン85.0重量%、100,000の分子量のポリエチレンオキシド10.0重量%、約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン4.5重量%及びステアリン酸マグネシウム0.5重量%の第1層を有するように調製される。第2層はギャバペンチン−輸送部分複合体(実施例1Aに記載のように調製された)93.0重量%、5,000,000の分子量のポリエチレンオキシド5.0重量%、約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン1.0重量%及びステアリン酸マグネシウム1.0重量%からなる。
【0105】
押し出し層はポリエチレンオキシド63.67重量%、塩化ナトリウム30.00重量%、酸化第2鉄1.00重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース5.00重量%、ブチル化ヒドロキシトルエン0.08重量%及びステアリン酸マグネシウム0.25重量%からなる。半透性の壁は39.8%のアセチル含量を有する酢酸セルロース80.0重量%及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマー20.0%からなる。
【0106】
図7〜9に示したもののような投与形態物の溶解速度は実施例8に示した方法に従って決定することができる。概括的に投与形態物からの薬剤調製物の放出は、投与形態物に応じて薬剤調製物がギャバペンチン又はギャバペンチン−輸送部分複合体を含有する水性環境との接触後に開始する。例えば、図7に示された投与形態物においては、ギャバペンチン−輸送部分複合体の放出は水性環境との接触後に放出され、デバイスの寿命の間継続する。図9に示された投与形態物は出口に隣接する薬剤層中に存在するギャバペンチンの最
初の放出を提供し、次にギャバペンチン−輸送部分複合体の放出が起る。
【0107】
図10A〜10Cは当該技術分野で知られ、そして本明細書に引用により特に取り入れられている米国特許第5,534,263号、第5,667,804号及び第6,020,000号明細書に記載されているもう1つの例示的投与形態物を表わす。簡単には、図10Aにおいて胃腸管中への摂取の前の投与形態物80の断面図が示される。該投与形態物はギャバペンチン−輸送部分複合体を含んでなる円筒形のマトリックス82からなる。マトリックス82の末端82、86は好ましくは、摂取の容易性を確保するために丸く凸面の形状をもつ。バンド88、90及び92は円筒形マトリックスの周囲を同心的に囲み、水性環境中に比較的不溶性の物質で形成される。適した物質は上記に記載された特許及び以下の実施例9に示される。
【0108】
投与形態物80の摂取後、図10Bに表わすように、バンド88、90、92間のマトリックス82の領域が腐蝕し始める。マトリックスの腐蝕がG.I.管の流体環境中へのギャバペンチン−輸送部分複合体の放出を開始する。投与形態物がG.I.管中を移動し続けるので、図10Cに示されるようにマトリックスは腐蝕し続ける。ここでマトリックスの腐蝕は投与形態物が3片、94、96、98に分解するような程度に進行した。腐蝕は各片のマトリックス部分が完全に腐蝕するまで継続するであろう。その後、バンド94、96、98がG.I.管から押し出されるであろう。
【0109】
図7〜10に記載の投与形態物は単に、下部G.I.管へのギャバペンチン−輸送部分複合体の送達を達成するようになっており、そしてその達成が可能な、多様な投与形態物の例であることが認められよう。製薬業界の当業者は適当と思われる他の投与形態物を認めることができる。
【0110】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、複合体がギャバペンチン(又はプレギャバリン)と輸送部分間の緊密なイオン対結合を特徴としてもつ場合の、ギャバペンチン及び輸送部分の複合体を含有する組成物又は投与形態物を投与することにより、患者にギャバペンチンを投与する方法を提供する。複合体及び製薬学的に許容できるビヒクルを含んでなる組成物が患者に、典型的には経口投与により投与される。
【0111】
投与される投与量は概括的に、投与形態物及び所望の結果を考慮に入れて、患者の年齢、体重及び状態に従って調整される。概して、ギャバペンチン−輸送部分複合体の投与形態物及び組成物はPhysician’s Desk Reference中に示されるようなギャバペンチン(Neurontin(R))治療に推奨される量で投与される。癲癇患者の発作を抑制するための典型的な用量は900〜1800mg/日である。神経障害性疼痛を緩和する際に使用のために典型的な用量は600〜3600mg/日である(Backonja,M.,Clinical Therapies,23(1)(2003))。これらの用量範囲は概略の範囲を表わし、そして複合体により提供される増加される吸収が必要用量を変えるであろうことが認められるであろう。
【0112】
プレギャバリンに関しては、投与量はまた投与形態物及び所望の結果を考慮に入れて患者の年齢、体重及び状態に従って調整されるであろう。概括的に1日に少なくとも約300mgの用量が提供され、認められる疼痛緩和をもたらすために必要に応じて増量される。疼痛の減少はショートフォームMcGill疼痛質問表(Dworkin,R.H.et al.,Neurology,60:1274(2003)のような数値疼痛評価指標を使使用して測定することができる。
【0113】
以上のことから、本発明の種々の目的及び特徴物がいかに満足されるかを認めることができる。ギャバペンチン(又はプレギャバリン)及び輸送部分が非共有結合の、緊密なイ
オン対結合により結合される場合の、ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分からなる複合体は、薬剤の高められたG.I.吸収を提供する。該複合体は新規の工程から調製され、そこでギャバペンチン又はプレギャバリンが水より極性が低い溶媒中に可溶化された、硫酸アルキル又は脂肪酸のような輸送部分と接触され、ここでより低い極性は例えば、より低い誘電定数により証明される。輸送部分−溶媒混合物との薬剤の接触が、2種の物質が緊密なイオン対結合により結合されている、薬剤(ギャバペンチン又はプレギャバリン)及び輸送部分間の複合体の形成をもたらす。
【0114】
実施例
IV.実施例
以下の実施例は本明細書に記載される本発明を更に具体的に示し、本発明の範囲を限定することは全く意図されない。
【0115】
方法
1.FTIR:フーリエ変換赤外分光をAttenuated Total Reflectance(ATR)(全反射減衰法)アクセサリー及び液体N冷却MCT(水銀カドミウムテルル化物)検出装置を備えたPerkin−Elmer Spectrum 2000分光測定システム上で実施した。
【実施例1】
【0116】
ギャバペンチン−輸送部分複合体及びプレギャバリン−輸送部分複合体の調製
ギャバペンチン−輸送部分複合体
1.36.5%塩酸0.5mL(5ミリモルHCl)の溶液(25mLの脱イオン水中)を調製した。
2.段階1の溶液にギャバペンチン5ミリモル(0.86g)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。塩酸ギャバペンチンが形成された。
3.ナトリウムラウリルスルフェート5ミリモル(1.4g)を段階2の水溶液に添加した。混合物を室温で20分間撹拌した。
4.ジクロロメタン50mLを段階3の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。
5.段階4の混合物を分離漏斗に移し、3時間静置した。ジクロロメタンの下相及び水の上相の2相が形成された。
6.段階5の上相及び下相を分離した。下相のジクロロメタン相を回収し、ジクロロメタンを室温で蒸発乾燥させ、次に40℃で4時間真空オーブン中で乾燥した。ギャバペンチン−ラウリルスルフェートの複合体(1.9g)を得た。総収率はギャバペンチン及びナトリウムラウリルスルフェートの最初の量から計算された理論量に対して87%であった。
【0117】
プレギャバリン−輸送部分複合体
1.36.5%塩酸0.5mL(5ミリモルHCl)の溶液(25mLの脱イオン水中)を調製する。
2.段階1の溶液にプレギャバリン5ミリモル(0.80g)を添加する。混合物を室温で10分間撹拌する。塩酸プレギャバリンが形成される。
3.ナトリウムラウリルスルフェート5ミリモル(1.4g)を段階2の水溶液に添加する。混合物を室温で20分間撹拌する。
4.ジクロロメタン50mLを段階3の溶液に添加する。混合物を室温で2時間撹拌する。
5.段階4の混合物を分離漏斗に移し、3時間静置する。ジクロロメタンの下相及び水の上相の2相が形成される。
6.段階5の上相及び下相を分離する。下のジクロロメタン相を回収し、ジクロロメタン
を室温で蒸発乾燥させ、次に40℃で4時間真空オーブン中で乾燥する。プレギャバリン−ラウリルスルフェートの複合体(2.1g)を得る。
【実施例2】
【0118】
ラットの洗浄結紮結腸モデルを使用するインビボの結腸吸収
「洗浄結紮結腸モデル」又は「結腸内結紮モデル」として一般に知られる動物モデルを使用した。絶食させた、0.3〜0.5kgのSprague−Dawley雄ラットを麻酔し、近位結腸のセグメントを隔離した(isolated)。結腸の便物質を洗浄した。試験調製物の送達のためにカテーテルを内腔内に配置し、皮膚上に出しながらセグメントを両端で結紮した。結腸の内容物を洗浄し、結腸を動物の腹腔内に戻した。実験の設定に応じて、臨床的状態における実際の結腸の環境をより正確にシミュレートするためにセグメントを20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4の1mL/kgで満たした後に試験調製物を添加した。
【0119】
外科的準備の後、そして各試験調製物への暴露の前に約1時間ラット(n=3)を安定化(equilibrate)させた。ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体又はギャバペンチンを結腸内ボーラスとして投与しそして、10mgのギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体/ラット又は10mgのギャバペンチン/ラットで送達した。0、15、30、60、90、120、180及び240分後に頸静脈カテーテルから血液サンプルを得て、ギャバペンチン濃度を分析した。4時間の試験期間の最後にラットを過剰量のペントバルビタールで安楽死させた。各ラットからの結腸セグメントを摘出し、対腸間膜境界に沿って縦に切開した。各セグメントを、注目される刺激及びあらゆる異常につき顕微鏡で観察した。摘出した結腸をグラフ用紙上に置いて、およその結腸表面積を測定した。どの試験ラットの粘膜にも裸眼に見える組織病理学的変化は見られなかった。
【0120】
ラット(n=3)の対照群を1mg/ラットの用量のギャバペンチンで静脈内処置した。ギャバペンチン濃度の分析のために上記と同時の時点で血液サンプルを採血した。
【0121】
各試験動物のギャバペンチンの血漿濃度及び各試験群の動物の平均血漿濃度を表A〜Cに示す。図5は時間の関数としての各試験群の平均ギャバペンチン濃度を示す。
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
【表7】

【実施例3】
【0125】
インビボの吸収
28匹のラットを7試験群(n=4)にランダムに分類した。ギャバペンチン又は実施例1Aに記載されたように調製されたギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を、5mg/ラット、10mg/ラット及び20mg/ラットの用量で、ラットの十二指腸の開始部中にカテーテルにより挿管投与した。残りの試験群は1mg/kgのギャバペンチンを静脈内投与された。
【0126】
4時間の試験期間中、各動物から血液サンプルを採血し、ギャバペンチン含量を分析した。結果を表D〜H及び図6A〜6Cに示す。
【0127】
【表8】

【0128】
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
【表11】

【0131】
【表12】

【0132】
【表13】

【実施例4】
【0133】
ラットの洗浄結紮結腸モデルを使用するインビボの結腸吸収
「結腸内結紮モデル」として一般に知られる動物モデルを使用する。絶食させた0.3〜0.5kgのSprague−Dawley雄ラットを麻酔し、近位結腸のセグメントを隔離する(isolated)。結腸の便物質を洗浄する。試験調製物の送達のために内腔内にカテーテルを配置し、皮膚上に出しながらセグメントを両端で結紮する。結腸の内容物を洗浄し、結腸を動物の腹腔内に戻す。実験の設定に応じて、臨床的状態における実際の結腸の環境をより正確にシミュレートするためにセグメントを20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4の1mL/kgで満たした後に試験調製物を添加する。
【0134】
外科的準備の後、そして各試験調製物への暴露の前に約1時間ラット(n=3)を安定化(equilibrate)させる。プレギャバリン−ラウリルスルフェート複合体又はプレギャバリンを結腸内ボーラスとして投与し、そして10mgのプレギャバリン/ラットで送達する。プレギャバリン濃度の分析のために、0、15、30、60、90、120、180及び240分後に頸静脈カテーテルから得た血液サンプルを採取する。4時間の試験期間の最後にラットを過剰量のペントバルビタールで安楽死させる。各ラットからの結腸セグメントを摘出し、対腸間膜境界に沿って縦に切開する。各セグメントを注目される刺激及びあらゆる異常を顕微鏡で観察する。摘出した結腸をグラフ用紙上に置いて、およその結腸表面積を測定する。
【0135】
ラット(n=3)の対照群を1mg/ラットのプレギャバリン用量で静脈内処置する。上記と同様の時点で血液サンプルを採血する。
【実施例5】
【0136】
インビボの吸収
28匹のラットを7試験群(n=4)にランダムに分類する。水中の、プレギャバリン又は実施例1Bに記載されたように調製されたプレギャバリン−ラウリルスルフェート複合体を5mg/ラット、10mg/ラット及び20mg/ラットの用量でラットの十二指腸の開始部中にカテーテルにより挿管投与する。残りの試験群は1mg/kgのプレギャバリンを静脈内投与される。
【0137】
4時間の期間中各動物から血液サンプルを採血し、プレギャバリン含量を分析する。用量、AUC及び生体利用能を実施例3においてギャバペンチンに対して使用されたものと同様な計算を使用して決定される。
【実施例6】
【0138】
薬剤−輸送部分複合体を含んでなる投与形態物の調製
A.ギャバペンチン−輸送部分複合体
図7に示したデバイスは以下のように調製される。ギャバペンチン−輸送部分複合体92.25重量%、カリウムカルボキシポリメチレン5重量%、約5,000,000の分子量をもつポリエチレンオキシド2重量%及び二酸化ケイ素0.5重量%を含んでなるコンパートメント形成組成物を一緒に混合する。次に混合物を40メッシュのステンレス鋼のスクリーンに通し、次にV−ブレンダー中で30分間乾燥ブレンドすると均一なブレンドを生成する。次にステアリン酸マグネシウム0.25重量%を80メッシュのステンレス鋼スクリーンに通し、ブレンドを更に5〜8分間の混合を与える。次に均一に乾燥混合された粉末をホッパー中に入れ、コンパートメント形成プレスに供給し、ブレンドの知られた量を経口使用のためにデザインされた5/8インチの楕円形に圧縮する。次に楕円形の前コンパートメント物を39.8%のアセチル含量を有する91重量%の酢酸セルロース及び9%のポリエチレングリコール3350を含んでなる壁形成組成物により、Accela−Cota(R)壁形成コート装置中でコートする。コート後、壁をコートされた薬剤コンパートメントをコート装置から取り出し、壁形成工程中に使用された残留有機溶媒を除去するために乾燥オーブンに移す。次にコートされたデバイスを約12時間乾燥するために50℃の強制空気オーブンに移す。次にレーザーを使用して1個又は複数の出口をデバイスの壁に形成する。
【0139】
B.プレギャバリン−輸送部分複合体
図7に示したようなデバイスは以下のように調製される。プレギャバリン−輸送部分複合体92.25重量%、カリウムカルボキシポリメチレン5重量%、約5,000,000の分子量をもつポリエチレンオキシド2重量%及び二酸化ケイ素0.5重量%を含んでなるコンパートメント形成組成物を一緒に混合する。次に混合物を40メッシュのステンレス鋼のスクリーンに通し、次にV−ブレンダー中で30分間乾燥ブレンドすると均一なブレンドを生成する。次にステアリン酸マグネシウム0.25重量%を80メッシュのステンレス鋼スクリーンに通し、ブレンドに更に5〜8分間の混合を与える。次に均一に乾燥混合された粉末をホッパー中に入れ、コンパートメント形成プレスに供給し、ブレンドの知られた量を経口使用用にデザインされた5/8インチの楕円形に圧縮する。次に楕円形の前コンパートメント物を、39.8%のアセチル含量を有する91%の酢酸セルロース及び9%のポリエチレングリコール3350を含んでなる壁形成組成物により、Accela−Cota(R)壁形成コート装置中でコートする。コート後、壁をコートされた薬剤コンパートメントをコート装置から取り出し、壁形成工程中に使用された残留有機溶媒を除去するために乾燥オーブンに移す。次にコートされたデバイスを約12時間乾燥するために50℃の強制空気オーブンに移す。次にレーザーを使用して1個又は複数の出口をデバイスの壁に形成する。
【実施例7】
【0140】
ギャバペンチン−輸送部分複合体を含んでなる投与形態物の調製
図9に示すような、ギャバペンチンの層及びギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体の層を含んでなる投与形態物を以下のように調製する。
【0141】
ギャバペンチン10グラム、100,000の分子量のポリエチレンオキシド1.18g及び約38,000の分子量をもつポリビニルピロリドン0.53gを通常のブレンダー中で20分間乾燥ブレンドして均一なブレンドを生成する。次にミキサーを連続的にブレンドしながら、3成分の乾燥ブレンドに変性無水アルコール4mLを緩徐に添加する。混合を更に5〜8分間継続する。ブレンドした湿った組成物を16メッシュのスクリーンに通過させ、室温で1晩乾燥させる。次に乾燥顆粒を16メッシュのスクリーンに通し、ステアリン酸マグネシウム0.06gを添加し、そしてすべての成分を5分間乾燥混合する。新鮮な顆粒は投与形態物中の最初の投与物層としての調製の準備ができている。
【0142】
投与形態物中のギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体を含有する層を以下のように調製する。最初に、実施例1Aに記載のように調製されたギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体9.30g、5,000,000の分子量のポリエチレンオキシド0.50g、約38,000の分子量を有するポリビニルピロリドン0.10gを通常のブレンダー中で20分間乾燥ブレンドすると均一なブレンドを生成する。次に5分間連続的に混合しながら、変性無水エタノールをブレンドに緩徐に添加する。ブレンドした湿った組成物を16メッシュのスクリーンに通し、室温で1晩乾燥する。次に乾燥した顆粒を16メッシュのスクリーンに通し、ステアリン酸マグネシウム0.10gを添加し、そしてすべての乾燥成分を5分間乾燥ブレンドする。
【0143】
浸透性ポリマーのヒドロゲル組成物からなる押し出し層を以下のように調製する。最初に7,000,000の分子量を含んでなる製薬学的に許容できるポリエチレンオキシド58.67g、Carbopol(R)974Pを5g、塩化ナトリウム30g及び酸化第2鉄1gを別々に40メッシュのスクリーンに通してスクリーンした。スクリーンを通した成分を9,200の分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース5gと混合すると均一なブレンドを生成した。次に5分間連続的に混合しながら変性無水アルコール50mLをブレンドに緩徐に添加した。次にブチル化ヒドロキシトルエン0.080gを添加し、次に更にブレンドした。新鮮に調製された顆粒を20メッシュのスクリーンに通し、室温(外気温)で20時間乾燥させた。乾燥した成分を20メッシュのスクリーンに通し、ステアリン酸マグネシウム0.25gを添加し、そしてすべての成分を5分間ブレンドした。
【0144】
3層投与形態物を以下のように調製する。最初にギャバペンチン組成物118mgをパンチ及びダイセットに添加し、タンプし(tamped)、次にギャバペンチンラウリルスルフェート組成物511mgを第2層としてダイセットに添加して、再度タンプする。次にヒドロゲル組成物315mgを添加し、そして3層を9/32インチ(0.714cm)直径のパンチダイセット中に1.0トン(1000kg)の圧縮力下で圧縮して、緊密な3層のコア(錠剤)を形成する。
【0145】
80:20重量/重量の組成物にアセトン中の成分を溶解して、5.0%固溶体(solids solution)を生成することにより、39.8%のアセチル含量を有する酢酸セルロース80.0重量%及び7680〜9510の分子量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマー20.0%を含んでなる半透性の壁形成組成物を調製する。壁形成組成物を3層コア上そして周囲に噴霧して60〜80mgの厚さの半透性壁を提供する。
【0146】
次に40mil(1.02mm)の出口開口部を半透性壁をもつ3層錠中にレーザーで孔を開けて送達装置の外部とのギャバペンチン層の接触を提供する。該投与形態物をあらゆる残留溶媒及び水を除去するために乾燥する。
【実施例8】
【0147】
ギャバペンチン−輸送部分複合体を含有する投与形態物のインビトロの溶解
実施例4及び5で記載のように調製された投与形態物のインビトロの溶解速度を37℃の恒温水浴中のUSPタイプVIIの浴インデクサーに取り付けた金属コイルのサンプルホールダーに投与形態物を入れることにより測定する。各試験期間中、人工胃液(AGF)をシミュレートする媒質中に放出されたギャバペンチン(又はプレギャバリン)の量を定量するために、放出媒質のアリコートをクロマトグラフィーシステム中に注入する。
【実施例9】
【0148】
ギャバペンチン−輸送部分複合体を含んでなる投与形態物の調製
図10A〜10Cに示した投与形態物を以下のように調製する。ギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体の持続的放出のための単位用量を以下のように調製する。ギャバペンチン−ラウリルスルフェート塩複合体の形態のギャバペンチン200グラムを40ワイヤ/インチを有する分粒スクリーンに通す。9,200グラム/モルの数平均分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース25グラム及び242,000/モルの分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロース15グラムを40ワイア/インチのメッシュサイズをもつ分粒スクリーンに通す。各セルロースは8重量パーセントの平均ヒドロキシル含量及び22重量パーセントの平均メトキシル含量をもつ。分粒された粉末を5分間回転混合する。湿った塊が形成されるまで撹拌しながら無水エタノールを混合物に添加する。湿った塊を20ワイア/インチをもつ分粒スクリーンに通す。生成される湿った顆粒を1晩空気乾燥し、次に再度20メッシュのふるいに通す。打錠滑沢剤のステアリン酸マグネシウム2グラムを80ワイア/インチをもつ分粒スクリーンに通す。分粒されたステアリン酸マグネシウムを乾燥した顆粒にブレンドすると最終的顆粒を形成する。
【0149】
最終的顆粒733mgのポーションを0.281インチ(0.71cm)の内径を有するダイキャビティに入れる。該ポーションを1トンの圧力ヘッド下で深い凹型パンチで圧縮して縦型のカプセル型錠剤を形成する。
【0150】
カプセルをTait Capsealer Machine(Tait Design
and Machine Co.,Manheim,Pa)に供給し、そこで3個のバンドを各カプセル上に印刷する。バンドを形成している物質はエチルセルロール分散物(Surelease(R),Colorcon,West Point,Pa)50重量%及びエチルアクリレートメチルメタクリレート(Eudragit(R)NE 30D,RohmPharma,Weiterstadt,ドイツ)50重量%の混合物である。バンドは水性分散液として適用され、過剰の水は暖かい空気流中で追いやられる。バンドの直径は2ミリメートルである。
【0151】
本発明の態様に適用されたように本発明の特徴物及び利点が説明され指摘されてきたが、医学分野の当業者は、本発明の精神から逸脱せずに、明細書に記載された方法における種々の修正、変更、追加及び削除を実施することができることを認めるであろう。
【0152】
以下の図面は実測を表わすために描かれておらず、本発明の種々の態様を具体的に示すために提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】上皮組織を通る分子の輸送のための細胞横断経路及び傍細胞経路を表わす胃腸管の上皮細胞の図である。
【図2A】ギャバペンチンの化学構造を示す。
【図2B】プレギャバリンの化学構造を示す。
【図3A】ギャバペンチン−輸送部分又はプレギャバリンー輸送部分複合体の調製のための概略の合成反応のスキームを示す。
【図3B】輸送部分がスルフェート基を包含する場合のギャバペンチン−輸送部分又はプレギャバリン−輸送部分複合体の調製のための概略の合成反応のスキームを示す。
【図3C】ギャバペンチン−アルキルスルフェート複合体の調製のための合成反応のスキームを示す。
【図3D】プレギャバリン−アルキルスルフェート複合体の調製のための合成反応のスキームを示す。
【図4A−4D】ギャバペンチン(図4A)、ナトリウムラウリルスルフェート(図4B)、ギャバペンチン及びナトリウムラウリルスルフェートの物理的混合物(緩いイオン対)(図4C)並びにギャバペンチン−ラウリルスルフェート複合体(図4D)のFTIRスキャンである。
【図5】静脈内(三角形)及び結紮結腸中への挿管投与により投与されたギャバペンチン(丸)及び結紮結腸中に挿管により投与されたギャバペンチンラウリルスルフェート複合体(ひし形)に対する、期間(時間)の関数としてのラットにおけるギャバペンチンの血漿濃度(ng/mL)を示す。
【図6A】静脈内(三角形)並びに5mg(丸)、10mg(正方形)及び20mg(ひし形)の用量で十二指腸に投与されたギャバペンチンに対する、期間(時間)の関数としてのラットにおけるギャバペンチンの血漿濃度(ng/mL)を示す。
【図6B】ギャバペンチンラウリルスルフェート複合体の静脈内(三角形)並びに5mg(丸)、10mg(正方形)及び20mg(ひし形)の用量の十二指腸に対する投与後の期間(時間)の関数としてのラットにおけるギャバペンチンの血漿濃度(ng/mL)を示す。
【図6C】ラットの十二指腸に対するギャバペンチン(逆三角形)又はギャバペンチンラウリルスルフェート複合体(丸)の投与後の、用量の関数としてのギャバペンチン生体利用能(パーセント)のプロットである。
【図7】断面図で示した例示的浸透性投与形態物を表わす。
【図8】ギャバペンチンの1日1回の投与のためのもう1つの例示的浸透性投与形態物を表わし、ここで該投与形態物は外側のコーティング中に、複合体の、場合による添加投与量を伴うギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体を含んでなる。
【図9】コーティングによるギャバペンチン(又はプレギャバリン)の、場合による添加投与量を伴う、ギャバペンチン(又はプレギャバリン)及びギャバペンチン(又はプレギャバリン)−輸送部分複合体の双方を含んでなる1日1回のギャバペンチン(又はプレギャバリン)の投与形態物の1つの態様を表わす。
【図10A−10C】被験体に投与前の、そしてマトリックス中ギャバペンチン(又はプレギャバリン)−輸送部分の複合体を含んでなる(図10A)、胃腸管中への摂取後の作用中の(in operation)(図10B)そしてマトリックスの十分な腐蝕がデバイスのバンドを付けた部分の分離を引き起こした後の(図10C)投与物(dosage)の態様を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を含んでなり、ここで該ギャバペンチン又はプレギャバリン及び該輸送部分が複合体を形成する物質。
【請求項2】
輸送部分が6〜12個の間の炭素原子を有するアルキル硫酸塩である請求項1の物質。
【請求項3】
アルキル硫酸塩がラウリル硫酸塩である請求項2の物質。
【請求項4】
ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を含んでなる複合体並びに
製薬学的に許容できるベヒクル、
を含んでなる組成物であって、ここで
該組成物がギャバペンチン又はプレギャバリンより少なくとも5倍高い下部胃腸管における吸収を有する、組成物。
【請求項5】
輸送部分が6〜12個の間の炭素原子を有するアルキル硫酸塩である請求項4の組成物。
【請求項6】
アルキル硫酸塩がラウリル硫酸塩である請求項5の組成物。
【請求項7】
請求項4の組成物を含んでなる投与形態物。
【請求項8】
請求項1の物質を含んでなる投与形態物。
【請求項9】
投与形態物が浸透性投与形態物である請求項8の投与形態物。
【請求項10】
(i)押し出し層、(ii)ギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体を含んでなる薬剤層、(iii)押し出し層及び薬剤層の周囲に提供される半透性の壁並びに(iv)出口、を含んでなる請求項9の投与形態物。
【請求項11】
(i)ギャバペンチン−輸送部分複合体又はプレギャバリン−輸送部分複合体、オスマジェント(osmagent)及び浸透性ポリマー、浸透性調製物の周囲に提供される半透性の壁並びに(ii)出口を含んでなる請求項9の投与形態物。
【請求項12】
投与形態物が200〜3600mgの間の総1日投与量を提供する請求項9の投与形態物。
【請求項13】
ギャバペンチン又はプレギャバリンを含んでなる投与形態物における改善であって、
緊密なイオン対結合を伴って結合されたギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体を含んでなる投与形態物を含んでなる、改善。
【請求項14】
輸送部分が6〜12個の間の炭素原子を有するアルキル硫酸塩である請求項13の改善された投与形態物。
【請求項15】
アルキル硫酸塩がラウリル硫酸塩である請求項14の改善された投与形態物。
【請求項16】
請求項1の物質をその投与を要する患者に投与する工程を含んでなる、ギャバペンチン又はプレギャバリンを投与する方法。
【請求項17】
投与する工程が経口投与による請求項16の方法。
【請求項18】
ギャバペンチン又はプレギャバリンを提供する工程、
輸送部分を提供する工程、
水より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下でギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を結合させる工程を含んでなり、それにより
該結合させる工程がギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体の形成をもたらす、
ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分の複合体を調製する方法。
【請求項19】
結合させる工程が(i)水性溶媒中でギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分を結合させる工程、(ii)水性溶媒に対して水より小さい誘電定数を有する該溶媒を添加する工程、及び(iii)該溶媒から該複合体を回収する工程、を包含する請求項18の方法。
【請求項20】
結合させる工程が水の誘電定数より少なくとも2倍低い誘電定数を有する溶媒中で接触させる工程を含んでなる請求項18の方法。
【請求項21】
溶媒がメタノール、エタノール、アセトン、ベンゼン、メチレンクロリド及び四塩化炭素からなる群から選択される請求項20の方法。
【請求項22】
ギャバペンチン又はプレギャバリン及び輸送部分からなる複合体を提供する工程並びに
患者に複合体を投与する工程、を含んでなる、
ギャバペンチン又はプレギャバリンのG.I.吸収を改善する方法。
【請求項23】
改善された吸収が改善された下部胃腸の吸収を含んでなる請求項22の方法。
【請求項24】
改善された吸収が上部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる請求項22の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A−D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公表番号】特表2007−509975(P2007−509975A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538325(P2006−538325)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036042
【国際公開番号】WO2005/041927
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】