説明

クイックコネクタ及び配管接続構造

【課題】接続確認機能を併せ持ったリテーナを有するクイックコネクタを提供する。
【解決手段】リテーナ7を、取り付け部73の取り付け用弾性変形脚部95の長さ方向一方側が、リテーナ保持部49の取り付け用凹部に入り込み、保持係合部97が、リテーナ保持部49の位置決め孔63に係合するように、第1の位置で、リテーナ保持部49に嵌め付ける。第1の位置では、リテーナ7の長さ方向他方側は、コネクタハウジング3の長さ方向他端開口5から突出している。パイプ体をリテーナ7の内側からコネクタハウジング3内に挿入し、環状係合突部とパイプ体係合部71とが係合するように操作する。リテーナ7が第2の位置まで移動したことを確認して、接続作業を完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の燃料配管に用いられるクイックコネクタ及びこのクイックコネクタを用いた配管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料配管には、軽くて取り扱い性に優れ、高い耐燃料透過性を有する樹脂チューブが用いられているが、この樹脂チューブを燃料タンクなどの自動車機器に連結するには、樹脂チューブの長さ方向端部にクイックコネクタを取り付けて配管用接続体を構成し、燃料タンク等に突出形成したパイプ体にこのクイックコネクタを嵌め付け、配管用接続体をパイプ体に接続している。クイックコネクタは、長さ方向一方側にチューブ接続部を有し、長さ方向他方側にリテーナ保持部が設けられ、内周面に環状シール部材を備えたシール部が形成されているコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの長さ方向他端開口からリテーナ保持部内に嵌め付けられたリテーナと、を具備していて、樹脂チューブは、長さ方向端部の嵌め付け部がチューブ接続部の外周にきつく嵌め付けられることにより、クイックコネクタに接続される。チューブ接続部の外周面には、環状の抜け止め突部が形成されていて、抜け止め突部が樹脂チューブの嵌め付け部に食い込むように係合することにより、樹脂チューブはチューブ接続部に抜け止め状態で強固に接続されることとなる。
【0003】
クイックコネクタが接続されるパイプ体は、外周面に環状係合突部を有していて、この環状係合突部がリテーナとスナップ係合することにより、クイックコネクタとパイプ体とが接続される。したがって、クイックコネクタをパイプ体に接続するときには、パイプ体の環状係合突部がリテーナにスナップ係合する直前に、環状係合突部からリテーナに大きな反力が加わるので、十分注意してクイックコネクタの接続作業を行わないと、環状係合突部がリテーナに正規に係合していない状態で接続作業を終了してしまう可能性がある(このような不十分な又は正常でない接続状態を半嵌合状態という)。そして、クイックコネクタがパイプ体に正常に接続されていなければ、車両の振動などにより、クイックコネクタがパイプ体から抜ける方向にずれて、燃料などの内部流体が漏れ出てしまうおそれがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように、係合爪部を有する接続確認用のチェッカーを、リテーナ保持部に形成した係合窓にこの係合爪部が引き抜き方向に係合するように、リテーナ保持部に取り付けておくといったことが行われている。チェッカーの係合爪部は、係合窓からリテーナ保持部内に突出していて、パイプ体の環状係合突部がリテーナと正常にスナップ係合したときに、この環状係合突部に押されて、係合窓への係合が解除されるように形成されている。したがって、パイプ体とクイックコネクタとが正常に接続されているときには、チェッカーの引っ張りリングを引っ張れば、チェッカーがリテーナ保持部から外れることとなる。反対に、パイプ体とクイックコネクタとが正常に接続されていなければ、チェッカーの引っ張りリングを引っ張っても、チェッカーはリテーナ保持部から外れない。そこで、チェッカーの引っ張りリングを引き抜き方向に引っ張ることにより、クイックコネクタとパイプ体との接続状態を正しく確認することができる。
【0005】
ところが、接続確認用のチェッカーは薄く形成されていて、引っ張りリングが軸直角方向から長さ方向に傾いて斜めに引っ張られたような場合には、チェッカーが長さ方向に傾いてしまい、係合爪部が変形して係合窓から外れ、クイックコネクタがパイプ体に正常に接続されていなくても、チェッカーをリテーナ保持部から取り外すことができてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されたクイックコネクタでは、チェッカーに長さ方向に延びる傾動規制部を形成して、チェッカーの長さ方向への傾きを防止している。また、特許文献2に記載されたクイックコネクタでも、リテーナ保持部に嵌込溝を形成し、この嵌込溝内にチェッカーを収めることにより、チェッカーの長さ方向への傾きを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−344182号公報
【特許文献2】特開2003−254484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1や特許文献2に記載されたパイプ体の接続確認構造では、クイックコネクタをパイプ体に嵌め付けてから、チェッカーを引っ張ってリテーナ保持部から取り外す必要があり、配管接続構造の構成作業が煩雑である。また、特許文献1や特許文献2のクイックコネクタは、リテーナとチェッカーとを別部品として有しているので、部品点数が多くなっている。あるいは、特許文献1や特許文献2のクイックコネクタでは、接続確認後にチェッカーが廃棄されるので、クイックコネクタをパイプ体から外し、再びパイプ体に接続する場合に、接続確認を行うことができない。さらに、特許文献1や特許文献2のクイックコネクタでは、チェッカーは、軸直角方向に移動させて取り外す部材なので、周辺機器との関係で、迅速に取り外し操作ができない場合がある。そして、特許文献1や特許文献2のクイックコネクタの構成では、パイプ体の環状係合突部とリテーナとのスナップ係合と、パイプ体のコネクタハウジングの所定位置への挿入又は環状係合突部のコネクタハウジングの所定の位置への到達とが同時に行われるので、環状係合突部とリテーナとの半嵌合が生じやすい。しかも、特許文献1や特許文献2の接続確認構造とは異なる接続確認構造も要望されている。例えば、より精度の高い接続確認構造が必要である。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点の少なくとも1つを解決するためのクイックコネクタ及び配管接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するための本発明のクイックコネクタは、長さ方向一方側にチューブ接続部を有し、長さ方向他方側にリテーナ保持部が設けられ、内周面に環状シール部材を備えたシール部が形成されているコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの長さ方向他端開口から前記リテーナ保持部内に嵌め付けられたリテーナと、を具備し、外周面に環状係合突部が形成されたパイプ体が、前記リテーナの内側を通って前記コネクタハウジング内に相対的に挿入されることにより、前記パイプ体と接続されるように構成され、前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記リテーナ内を長さ方向一方側に相対的に進行して前記リテーナと係合、例えばスナップ係合するように、例えば前記環状係合突部が前記コネクタハウジングの所定の位置に到達するまで、前記コネクタハウジング内に相対的に挿入される、といったクイックコネクタであって、前記リテーナには、取り付け部及びパイプ体係合部が設けられ、前記リテーナ保持部には、位置決め凹部、この位置決め凹部よりも長さ方向一方側の確認固定凹部及びストッパ部が形成され、前記リテーナは、前記取り付け部の前記位置決め凹部への係合により、長さ方向一方側が前記リテーナ保持部内に嵌まり込み、長さ方向他方側が前記コネクタハウジングの長さ方向他端開口から突出した第1の位置で、前記リテーナ保持部に保持され、かつ、前記取り付け部の前記確認固定凹部への係合により、前記第1の位置よりも長さ方向一方側の第2の位置で、前記リテーナ保持部に保持されるように構成され、前記ストッパ部は、前記第1の位置に保持された前記リテーナ内を前記パイプ体の前記環状係合突部が長さ方向一方側に相対的に進行するとき、前記リテーナの長さ方向一方側への移動を阻止するように前記パイプ体係合部と係合するものであり、例えば、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部と係合したときに、前記パイプ体係合部との係合を解除するように形成されていて、前記リテーナはさらに、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部と係合すると、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合するまで、前記第1の位置から前記第2の位置まで相対的に移動できるように形成されている、といったものである。なお、「長さ方向」とは、コネクタハウジング又はリテーナ保持部の長さ方向を意味する。
【0011】
リテーナ内をパイプ体の環状係合突部が長さ方向一方側に相対的に進行するときは、ストッパ部とパイプ体係合部との係合(係合可能状態を含む)により、確実に、リテーナは長さ方向一方側に移動することはできず、第1の位置でリテーナ保持部に保持されたままとなる。ここでは、取り付け部と位置決め凹部との係合力だけでリテーナを第1の位置に確実に保持できるように構成する必要はなく、取り付け部の位置決め凹部との長さ方向一方側への係合力を小さく設定することができる。パイプ体の環状係合突部は、第1の位置に保持されたリテーナと係合、例えばスナップ係合するが、パイプ体の環状係合突部がリテーナ内に位置すると直ちに、ストッパ部がパイプ体係合部と係合するように構成することができる。あるいは、パイプ体の環状係合突部が長さ方向一方側に進行してからストッパ部がパイプ体係合部と係合するといったように構成することもできる。そして、環状係合突部がパイプ体係合部と係合すると、例えばストッパ部とパイプ体係合部との係合(係合可能状態を含む)は解除されるので、パイプ体が相対的にクイックコネクタに押し込まれるように、クイックコネクタを押せば、取り付け部の位置決め凹部との長さ方向一方側の係合力は小さいので、パイプ体の挿入に伴ってリテーナが第2の位置まで相対的に簡単に移動する。リテーナが第2の位置に移動するとき、パイプ体は、例えばコネクタハウジングのシール部に所定の長さだけ差し込まれることとなる。あるいは、例えば、先端部がパイプ支持部の所定の位置まで差し込まれることとなる。すなわち、クイックコネクタは、パイプ体の先端部がコネクタハウジングの予め定められた位置(所定の位置)まで達するように、あるいはパイプ体の環状係合突部が、例えばストッパ部を越えた、所定の位置まで到達するようにパイプ体に嵌め付けられて接続されるが、リテーナが第1の位置でパイプ体の環状係合突部と係合してから、リテーナが第2の位置に相対的に移動したときに、パイプ体の先端部又は環状係合突部はコネクタハウジングのこの所定の位置に到達する。したがって、パイプ体の環状係合突部がリテーナと係合、例えばスナップ係合するときは、パイプ体の先端部又は環状係合突部は、コネクタハウジングの所定の位置まで達していないので、スナップ係合時にパイプ体がコネクタハウジング(環状シール部材やパイプ支持部)から受ける反力は小さい。そして、コネクタハウジングの長さ方向他端開口からのリテーナの突出状態を確認すれば、パイプ体が正常にクイックコネクタに接続されているか否かが確認できる。
【0012】
リテーナは、パイプ体の環状係合突部が通過できるように形成された環状の又はほぼ環状の支持部を有するように形成でき、取り付け部及びパイプ体係合部は、この支持部から長さ方向一方側に突出し又は延びるように設けることができる。そして、パイプ体係合部を、支持部に一体的に形成されて長さ方向一方側に延びるパイプ体用弾性変形脚部と、このパイプ体用弾性変形脚部の長さ方向一端部に形成された係合固定部と、を有し、パイプ体の環状係合突部が、この係合固定部と係合、例えばスナップ係合するように形成すれば、係合固定部の十分な動作、例えばスナップ動作を確保できる。また、パイプ体用弾性変形脚部の径方向内面を、環状係合突部の通過路の内側に突出するように、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜させ、係合固定部が、パイプ体用弾性変形脚部を径方向外側に変形させて相対的に通過した環状係合突部と係合、例えばスナップ係合するように構成すれば、係合固定部のスムーズな動作、例えばスナップ動作が達成される。なお、「径方向」とは、コネクタハウジング又はリテーナ保持部の径方向を意味する。
【0013】
取り付け部を、支持部に一体的に形成されて長さ方向一方側に延びるハウジング用弾性変形脚部と、このハウジング用弾性変形脚部の長さ方向一端部に形成された保持係合部と、を有するように形成し、リテーナが、保持係合部の位置決め凹部への嵌まり込み係合により、第1の位置でリテーナ保持部に保持され、かつ、保持係合部の確認固定凹部への嵌まり込み係合により、第2の位置で前記リテーナ保持部に保持されるように構成すれば、リテーナの十分な保持力と、リテーナのスムーズな長さ方向一方側への移動性とを同時に確保することができる。
【0014】
ストッパ部を、パイプ体用弾性変形脚部の径方向外側への変形により径方向外側に移動した係合固定部と係合し、パイプ体用弾性変形脚部の径方向内側への弾性復帰により係合固定部が径方向内側に移動すると、係合固定部との係合を解除するように形成すれば、簡単な構成で、効果的なストッパ機能を確保できる。
【0015】
パイプ体係合部を支持部の径方向対称個所に一対設ければ、パイプ体に安定して抜け止め状態でクイックコネクタを接続できる。また、取り付け部を支持部の径方向対称個所に一対設ければ、リテーナをリテーナ保持部に安定して保持することができる。より効果的には、パイプ体係合部を、支持部の径方向対称個所に一対設け、取り付け部を、パイプ体係合部から周方向に90度ずれるようにして、支持部の径方向対称個所に一対設ける。
【0016】
確認固定凹部をリテーナ保持部に形成された確認固定孔、例えば径方向に開けられた確認固定孔とし、リテーナ保持部の外周に、係合爪部を有するチェッカーを、この係合爪部が確認固定凹部に入り込んで係合するように取り付けておき、確認固定凹部への係合爪部の係合、例えば確認固定凹部への係合爪部の外側からの係合が、確認固定凹部への保持係合部の嵌まり込み係合、例えば確認固定凹部への保持係合部の内側からの係合により解除されるように構成すれば、確実な接続確認構造が構成される。ここでは、確認固定凹部への保持係合部の内側からの係合により、係合爪部が確認固定凹部から押し出されるように構成することができる。
【0017】
また、本発明の配管接続構造は、流体移送用の配管接続構造であって、請求項1乃至9のいずれかに記載のクイックコネクタと、前記クイックコネクタの前記チューブ接続部に嵌め付けられたチューブと、前記クイックコネクタに接続されたパイプ体と、を備え、前記リテーナは、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合する前記第2の位置で前記リテーナ保持部に保持されていて、前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部とスナップ係合して前記クイックコネクタに接続されている、といったものである。あるいは、本発明の配管接続構造は、流体移送用の配管接続構造であって、請求項10に記載のクイックコネクタと、前記クイックコネクタの前記チューブ接続部に嵌め付けられたチューブと、前記クイックコネクタに接続されたパイプ体と、を備え、前記リテーナは、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合する前記第2の位置で前記リテーナ保持部に保持され、前記チェッカーは、前記取り付け部が前記確認固定凹部に嵌まり込んで係合するとき、前記係合爪部の前記確認固定凹部との係合が解除されていて、例えば、前記チェッカーは、前記確認固定凹部又は前記コネクタハウジングから取り外され、前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部とスナップ係合して前記クイックコネクタに接続されている、といったものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接続確認機能を併せ持ったリテーナを有するクイックコネクタ及びこのクイックコネクタを用いた流体移送用の配管接続構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る第1のクイックコネクタの分解斜視図である。
【図2】リテーナが第1の位置で保持されている第1のクイックコネクタの斜視図である。
【図3】リテーナが第1の位置で保持されている第1のクイックコネクタの断面図である。
【図4】リテーナを分離した第1のクイックコネクタの断面図である。
【図5】リテーナを分離した第1のクイックコネクタの別の断面図である。
【図6】リテーナの拡大図である。
【図7】第1のクイックコネクタをパイプ体に接続して本発明に係る第1の配管接続構造を構成する場合を説明するための図であり、パイプ体係合部とストッパ部とが係合した状態を示す図である。
【図8】第1のクイックコネクタをパイプ体に接続して本発明に係る第1の配管接続構造を構成する場合を説明するための図であり、パイプ体係合部とパイプ体の環状係合突部とが係合した状態を示す図である。
【図9】第1のクイックコネクタをパイプ体に接続して本発明に係る第1の配管接続構造を構成する場合を説明するための図であり、パイプ体との接続が完了した状態(第1の配管接続構造)を示す図である。
【図10】第1の配管接続構造を示す斜視図である。
【図11】リテーナをリテーナ保持部に押し込んでからパイプ体に接続した場合を説明するための図である。
【図12】本発明に係る第2のクイックコネクタの分解斜視図である。
【図13】リテーナが第1の位置で保持されている第2のクイックコネクタの斜視図である。
【図14】リテーナが第1の位置で保持されている第2のクイックコネクタの断面図である。
【図15】リテーナを分離した第2のクイックコネクタの断面図である。
【図16】リテーナを分離した第2のクイックコネクタの別の断面図である。
【図17】リテーナの拡大図である。
【図18】パイプ体を第2のクイックコネクタの所定の位置の直前まで挿入した状態を示す図である。
【図19】第2の配管接続構造を示す断面図である。
【図20】第2の配管接続構造を示す別の断面図である。
【図21】別の第2の配管接続構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図6を参照して本発明に係る第1のクイックコネクタを説明する。
【0022】
第1のクイックコネクタ1は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製である筒状のコネクタハウジング3と、コネクタハウジング3の長さ方向他端開口5からコネクタハウジング3内に嵌められた、例えばポリアミド製であるリテーナ7と、を備えていて、自動車のガソリン燃料配管を構成するために用いられるものである。コネクタハウジング3は、長さ方向一方側がチューブ接続部9、そして長さ方向他方側がパイプ挿入部11として形成され、パイプ挿入部11の外径は、長さ方向一方側から長さ方向中間、そして長さ方向他方側まで順次段階的に大径となっている。
【0023】
チューブ接続部9は、長さ方向一端側から順に、長さ方向他方側に向かって拡径する第1の断面台形状部13、この第1の断面台形状部13の長さ方向他方側の第1の小径部15、この第1の小径部15の長さ方向他方側のフランジ状部17、このフランジ状部17の長さ方向他方側の第2の小径部19、この第2の小径部19の長さ方向他方側の第2の断面台形状部21及びこの第2の断面台形状部21の長さ方向他方側の円筒状部23を一体的に備えて形成され、内部をガソリン燃料流路25が貫通していて、このガソリン燃料流路25は、パイプ挿入部11のパイプ挿入孔27に連通している。また、第1の小径部15の外周にはゴム製の環状シール29が嵌められている。そして、このような構成のチューブ接続部9の外周に、樹脂チューブ31の長さ方向端部がきつく嵌め付けられて接続される(図7等参照)。チューブ接続部9のフランジ状部17の長さ方向他端外周縁及び第2の断面台形状部21の長さ方向他端外周縁は、樹脂チューブ31に食い込んで樹脂チューブ31に対する抜け止めとして機能する。樹脂チューブ31は、例えば、燃料不透過性のバリア層を備えた積層構造体として形成されていて、長さ方向端縁部を拡径しやすくするために、長さ方向端縁部の外層は切り取られている(図7の符号33の個所参照)。
【0024】
パイプ挿入部11の長さ方向一方側のパイプ挿入孔35は、パイプ体37(図9等参照)の外径とほぼ等しい内径を有し、この長さ方向一方側のパイプ挿入孔35内に挿入されたパイプ体37をガタがないように支持する。パイプ挿入部11の長さ方向中間のパイプ挿入孔39は、パイプ体37よりも大径に形成されていて、例えばフッ素ゴム製の一対の環状シール部材41を収容してシール部43を形成している。一対の環状シール部材41の間には、樹脂製のカラー45が配置されている。また、長さ方向中間のパイプ挿入孔39の長さ方向他方側には樹脂製のブッシュ47が嵌め付けられていて、このブッシュ47の内径は、長さ方向一方側のパイプ挿入孔35の内径と同一又はほぼ同一に設定されているが、ブッシュ47の内周の長さ方向他端部は、パイプ体37を挿入しやすくするために、長さ方向他方側に向かって拡径するように形成されている。
【0025】
パイプ挿入部11の長さ方向他方側はリテーナ保持部49を形成し、このリテーナ保持部49のパイプ挿入孔51には、径方向対称位置で、一対の長さ方向に延びるパイプ体用凹部53が形成され、このパイプ体用凹部53と周方向に90度ずれた径方向対称位置で、一対の長さ方向に延びる取り付け用凹部55が形成されている。パイプ体用凹部53は、長さ方向他方側のストッパ凹部57と、このストッパ凹部57よりも浅い、長さ方向一方側のガイド凹部59と、を有していて、ストッパ凹部57とガイド凹部59との間の段部61がストッパ部を形成する。取り付け用凹部55は、長さ方向中間で、底壁(リテーナ保持部49の周壁)に径方向に開けられた位置決め孔(位置決め凹部)63を有し、この位置決め孔63よりも長さ方向一方側でリテーナ保持部49の周壁に径方向に開けられて設けられた確認固定孔(確認固定凹部)65に連らなっている。
【0026】
リテーナ7は、通過孔67を有するドーナツ状又は円環状の薄肉の支持部69と、この支持部69の裏面の径方向対称位置から長さ方向一方側に延びる一対のパイプ体係合部71と、支持部69の裏面の、パイプ体係合部71と周方向に90度ずれた径方向対称位置から長さ方向一方側に延びる一対の取り付け部73と、を一体的に備えている。支持部69の外径は、コネクタハウジング3又はリテーナ保持部49の長さ方向他端の外径とほぼ等しいように設定されている。
【0027】
パイプ体係合部71は、支持部69の裏面から長さ方向一方側に延びる、支持部69と一体的に形成されたパイプ体用弾性変形脚部75と、このパイプ体用弾性変形脚部75の長さ方向一端部に一体的に設けられた係合固定部77と、を有し、パイプ体係合部71の外面は、断面形状で、長さ方向に沿った直線状に形成されている。支持部69の通過孔67(通過孔67の内周面)は、長さ方向一方側に向かってテーパ状に縮径するように形成され、パイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79は、断面形状で、この通過孔67の延長線として、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜して延びている(パイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79の長さ方向一端部は、断面形状で、長さ方向に沿った短い直線状に形成されている)。係合固定部77は、長さ方向部81と、この長さ方向部81の長さ方向一端部から径方向内側に突出する押し込み部83と、を一体的に有して断面L字状(長さ方向部81の長さ方向他端部に径方向内側への突出部を有するL字状)に形成されていて、係合固定部77の径方向内側は、パイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79の長さ方向一方側で、パイプ体37の環状係合突部85(図7等参照)と嵌り合う接続凹部87を形成している。接続凹部87は、パイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79の長さ方向一端から長さ方向一方側に向かって径方向外側に傾斜して延びる抜け止め面89と、この抜け止め面89の長さ方向一端から長さ方向一方側に延びる長さ方向面91と、この長さ方向面91の長さ方向一端から径方向内側に延びる押し込み面93と、を有している。
【0028】
取り付け部73は、支持部69の裏面から長さ方向一方側に延びる、支持部69と一体的に形成された取り付け用弾性変形脚部95と、この取り付け用弾性変形脚部95の長さ方向一端部に一体的に設けられた、径方向外側に突出する保持係合部97と、を有し、保持係合部97の長さ方向他端面99は、長さ方向と直交又はほぼ直交するように形成されているが、保持係合部97の長さ方向一方側面101は、径方向外側に向かって長さ方向他方側に傾斜している。また、取り付け用弾性変形脚部95の外面には、保持係合部97の長さ方向他方側で、補助係合部102が形成されている。
【0029】
リテーナ7は、取り付け部73の取り付け用弾性変形脚部95の長さ方向一方側が、リテーナ保持部49の取り付け用凹部55内に収容され、保持係合部97が、取り付け用凹部55の位置決め孔63内に嵌まり込んでこの位置決め孔63と抜け止め係合するように、第1の位置(図2及び3参照)で、リテーナ保持部49に嵌め付けられている。第1の位置では、リテーナ7の長さ方向他方側は、コネクタハウジング3の長さ方向他端開口5から突出している。
【0030】
図7乃至図9は第1のクイックコネクタ1をパイプ体37に接続して本発明に係る第1の配管接続構造を構成する場合を説明するための図である。なお、説明の便宜上、パイプ体37を第1のクイックコネクタ1に接続するものとして次の説明を行う。
【0031】
パイプ体37は、第1の位置に保持されたリテーナ7の通過孔67を通ってコネクタハウジング3内に挿入される。パイプ体37の環状係合突部85の外径は、支持部69の通過孔67の長さ方向一端の内径とほぼ等しいように設定されているので、環状係合突部85が通過孔67を通過するあたりから、環状係合突部85は、パイプ体係合部71のパイプ体用弾性変形脚部75に長さ方向一方側の押圧力を作用させ始める。なお、取り付け部73の内面同士の径方向間隔は、環状係合突部85の外径よりも広い。環状係合突部85が接触するパイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79は、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜して延びているので、環状係合突部85は、パイプ体用弾性変形脚部75を径方向外側に変形させながら、長さ方向一方側に進行する。したがって、環状係合突部85からパイプ体用弾性変形脚部75に加わる長さ方向一方側の押圧力は、環状係合突部85の進行にしたがって次第に大きくなっていく。ところが、リテーナ保持部49又は取り付け用凹部55の位置決め孔63内に嵌まり込んでこの位置決め孔63と係合している保持係合部97の長さ方向一方側面101は、径方向外側に向かって長さ方向他方側に傾斜している(図5参照)。ここでは、パイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79の傾きを、保持係合部97の長さ方向一方側面101の傾きよりも緩く設定しているので、環状係合突部85がパイプ体用弾性変形脚部75の径方向内面79と接触すると直ちに、保持係合部97が位置決め孔63から外れる又は抜け出るといったことはないが、やがて、次第に大きくなっていく環状係合突部85から加わる押圧力が、保持係合部97の位置決め孔63への係合力を上回ることとなる。あるいは上回るおそれがある。しかしながら、このときには、径方向外側に変形したパイプ体用弾性変形脚部75にともなって、係合固定部77も径方向外側に移動し、ストッパ部61と係合しているので、リテーナ7は第1の位置に保持される(図7:図7では係合固定部77はストッパ部61と係合可能状態となっている)。
【0032】
パイプ体37の環状係合突部85がパイプ体用弾性変形脚部75を通過すると、パイプ体用弾性変形脚部75は、長さ方向に沿って延びるように弾性復帰し、環状係合突部85は係合固定部77の接続凹部87とスナップ係合する。パイプ体用凹部53のガイド凹部59同士の径方向間隔は、弾性復帰したパイプ体係合部71又は係合固定部77の径方向外面同士の径方向間隔とほぼ等しいか、あるいは、弾性復帰したパイプ体係合部71又は係合固定部77の径方向外面同士の径方向間隔よりも若干大きいので、係合固定部77とストッパ部61との係合は解除される(図8)。
【0033】
次に、パイプ体37をさらにコネクタハウジング3内に押し込むと、パイプ体37の環状係合突部85は、パイプ体係合部71の押し込み部83又は押し込み面93と係合しているので、パイプ体37の押し込みにともなって、保持係合部97の長さ方向一方側面101が位置決め孔63の長さ方向一端上をスライドし、保持係合部97が位置決め孔63から外れ(図3及び図5に二点鎖線で示すような態様で変形して外れる)、リテーナ7が長さ方向一方側に移動する。そして、保持係合部97は、確認固定孔65内に嵌まり込んで抜け止め係合し、リテーナ7は第2の位置に移動して固定される(図10に示す本発明に係る第1の配管接続構造も参照)。また、取り付け部73に設けられた補助係合部102は位置決め孔63(位置決め孔63の長さ方向一端)と係合する。ここでは、リテーナ7の支持部69は、コネクタハウジング3の長さ方向他端と接触し又は接触状態となっている。なお、リテーナ7のパイプ体係合部71は、ガイド部59に阻止されて、径方向外側に開くことができない。したがって、環状係合突部85がパイプ体係合部71の抜け止め面89と抜け止め状態で係合し、パイプ体37は第1のクイックコネクタ1に抜け止め状態で接続される。また、保持係合部97を外しやすくするために、確認固定孔65は幅広に形成され、かつ、確認固定孔65の長さ方向一方側の周辺部は、長さ方向他方側の周辺部よりも低い平面部103として形成されている(図1等参照)。
【0034】
なお、パイプ体37がコネクタハウジング3内に挿入される前に、リテーナ7が長さ方向一方側に強く押されると、リテーナ7は第2の位置に移動するが、この状態で、パイプ体37をコネクタハウジング3内に挿入しても、パイプ体37の先端部がシール部43に十分差し込まれないので(図11参照)、漏れ検査時に確実に検査流体が漏れる。したがって、このような状態の配管接続構造がそのまま使用されるといったことはない。
【0035】
次に、図12乃至図17を参照して本発明に係る第2のクイックコネクタを説明する。
【0036】
第2のクイックコネクタ105は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製である筒状のコネクタハウジング107と、コネクタハウジング107の長さ方向他端開口109からコネクタハウジング107内に嵌められた、例えばポリアミド製であるリテーナ111と、コネクタハウジング107の外周に嵌め付けられた、例えばポリアミド製であるチェッカー113と、を備えていて、自動車のガソリン燃料配管を構成するために用いられるものである。コネクタハウジング107は、長さ方向一方側がチューブ接続部9、そして長さ方向他方側がパイプ挿入部115として形成されていて、チューブ接続部9の構成及びチューブ接続部9に嵌め付けられる樹脂チューブ31(図18参照)の構成は、第1のクイックコネクタ1と同様なので、同一個所に同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
パイプ挿入部115の長さ方向一方側のパイプ挿入孔個所の構成及びパイプ挿入部115の長さ方向中間のパイプ挿入孔個所の構成は、第1のクイックコネクタ1と同様なので、同一個所に同一の符号を付して説明を省略する。ただし、第2のクイックコネクタ105では、第1のクイックコネクタ1よりも、パイプ挿入孔39が多少長く形成されている。
【0038】
パイプ挿入部115の長さ方向他方側はリテーナ保持部117を形成し、このリテーナ保持部117のパイプ挿入孔119には、径方向対称位置で、一対の長さ方向に延びるパイプ体用凹部121が形成され、このパイプ体用凹部121と周方向に90度ずれた径方向対称位置で、一対の長さ方向に延びる取り付け用凹部123が形成されている。パイプ体用凹部121は、長さ方向他方側のストッパ凹部125と、このストッパ凹部125よりも浅い、長さ方向一方側のガイド凹部127と、を有していて、ストッパ凹部125とガイド凹部127との間の段部129がストッパ部を形成する。取り付け用凹部123は、長さ方向中間で、底壁(リテーナ保持部117の周壁)に径方向に開けられた位置決め孔(位置決め凹部)131を有し、、長さ方向一端部に径方向に開けられた確認固定孔(確認固定凹部)133を有している。
【0039】
リテーナ111は、通過孔135を有するドーナッツ状又は円環状の薄肉の支持部137と、この支持部137の裏面の径方向対称位置から長さ方向一方側に延びる一対のパイプ体係合部139と、支持部137の裏面の、パイプ体係合部139と周方向に90度ずれた径方向対称位置から長さ方向一方側に延びる一対の取り付け部141と、を一体的に備えている。支持部137の外径は、コネクタハウジング107又はリテーナ保持部117の長さ方向他端の外径(例えば、取り付け用凹部123の外面同士の径方向間隔)とほぼ等しいように設定されている。
【0040】
パイプ体係合部139は、支持部137の裏面から長さ方向一方側に延びる、支持部137と一体的に形成されたパイプ体用弾性変形脚部143と、このパイプ体用弾性変形脚部143の長さ方向一端部に一体的に設けられた係合固定部145と、を有し、パイプ体係合部139の外面は、断面形状で、長さ方向に沿った直線状に形成されている。支持部137の通過孔135(通過孔135の内周面)は、長さ方向一方側に向かってテーパ状に縮径するように形成され、パイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147は、断面形状で、この通過孔135の延長線として、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜して延びている(パイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147の長さ方向一端部は、長さ方向に沿った短い直線状に形成されている)。係合固定部145は、長さ方向部149と、この長さ方向部149の長さ方向一端部から径方向内側に突出する押し込み部151と、を一体的に有して断面L字状(長さ方向部149の長さ方向他端部に径方向内側への突出部を有するL字状)に形成されていて、係合固定部145の径方向内側は、パイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147の長さ方向一方側で、パイプ体37の環状係合突部85(図18参照)と嵌り合う接続凹部153を形成している。接続凹部153は、パイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147の長さ方向一端から長さ方向一方側に向かって径方向外側に傾斜して延びる抜け止め面155と、この抜け止め面155の長さ方向一端から長さ方向一方側に延びる長さ方向面157と、この長さ方向面157の長さ方向一端から径方向内側に延びる押し込み面159と、を有している。
【0041】
取り付け部141は、支持部137の裏面から長さ方向一方側に延びる、支持部137と一体的に形成された取り付け用弾性変形脚部161と、この取り付け用弾性変形脚部161の長さ方向一端部に一体的に設けられた、径方向外側に突出する保持係合部163と、を有し、保持係合部163の長さ方向他端面165は、長さ方向と直交又はほぼ直交するように形成されているが、保持係合部163の長さ方向一方側面167は、径方向外側に向かって長さ方向他方側に傾斜している。また、取り付け用弾性変形脚部161の径方向外面には補助係合部168が設けられている。
【0042】
リテーナ111は、取り付け部141の取り付け用弾性変形脚部161の長さ方向一方側が、リテーナ保持部117の取り付け用凹部123内に収容され、保持係合部163が、リテーナ保持部117又は取り付け用凹部123の位置決め孔131内に嵌まり込んでこの位置決め孔131と抜け止め係合するように、第1の位置(図13及び図14参照)で、リテーナ保持部117に嵌め付けられている。第1の位置では、リテーナ111の長さ方向他方側は、コネクタハウジング107の長さ方向他端開口109から突出している。
【0043】
チェッカー113は、円弧状に湾曲する断面四角形の棒状支持体169と、この棒状支持体169の両端部に設けられた取り付け係合部171と、それぞれの取り付け係合部171の周方向外端面173から円弧状に湾曲して短く延びる固定片部175と、を一体的に備えていて、取り付け係合部171は、長さ方向に延びる長さ方向部177と、この長さ方向部177の長さ方向他方側に、径方向内側に突出するように形成された保持係合部179と、長さ方向部177の長さ方向一方側に、径方向内側に突出するように形成された取り付け接触部181と、から一体的に形成されている。保持係合部179は断面台形状に形成され、保持係合部179の長さ方向一端面183は、長さ方向と直交又はほぼ直交するように形成されているが、保持係合部179の長さ方向他方側面185は、径方向内側に向かって長さ方向一方側に傾斜して持ち上げ面を形成している。取り付け接触部181も断面台形状に形成され、取り付け接触部181の長さ方向他方側面187は、径方向内側に向かって長さ方向一方側に傾斜している。取り付け接触部181の長さ方向他方側面187は、リテーナ保持部117の長さ方向一端部のテーパ外面189に沿うように湾曲し、取り付け接触部181の内端面191は、コネクタハウジング107のリテーナ取り付け部117よりも長さ方向一方側の外周面と同一の曲率半径で湾曲するように形成されていて、固定部175の内面193は、取り付け接触部181の内端面191を延長するように湾曲している。
【0044】
チェッカー113は、保持係合部179が確認固定孔133に入り込み、保持係合部179の長さ方向一端面183が確認固定孔133の長さ方向一端と係合し、長さ方向部177の長さ方向他端面194が確認固定孔133の長さ方向他端と係合し、取り付け係合部171の長さ方向他方側の両側面が確認固定孔133の両側面と係合するように、コネクタハウジング107又はパイプ挿入部115に取り付けられる。また、チェッカー113は、保持係合部179と取り付け接触部181との間の長さ方向部177の内面(確認固定孔133の長さ方向一方側の周辺部又は周辺部外面と同一の曲率半径で湾曲するように形成されている)が、確認固定孔133の長さ方向一方側の周辺部外面(確認固定孔133の長さ方向一方側の周辺部外面は、確認固定孔133の長さ方向他方側周辺部外面よりも低く位置している)に沿って接触し、取り付け接触部181の長さ方向他方側面187が、リテーナ保持部117の長さ方向一端部のテーパ外面189に沿って接触し、取り付け接触部181の内端面191及び固定部175の内面193が、テーパ外面189に長さ方向一方側で隣接するコネクタハウジング107の外周面を挟み付けるようにして、コネクタハウジング107又はパイプ挿入部115に取り付けられる。ここでは、棒状支持体169は、コネクタハウジング107の外周面から浮き上がり、外周面に接触しないように構成されている。
【0045】
第2のクイックコネクタ105のリテーナ111は、第1のクイックコネクタ1のリテーナ7とほぼ同一の構成であり、第2のクイックコネクタ105のリテーナ保持部117は、第1のクイックコネクタ1のリテーナ保持部49と、チェッカー113に関する機能を除いて、ほぼ同一の機能を有しているので、図7、図8及び図11などを参照して、第2のクイックコネクタ105をパイプ体37に接続して第2の配管接続構造を構成する場合を説明することができる。
【0046】
パイプ体37は、第1の位置に保持されたリテーナ111の通過孔135を通ってコネクタハウジング107内に挿入される。パイプ体37の環状係合突部85の外径は、支持部137の通過孔135の長さ方向一端の内径とほぼ等しいように設定されているので、環状係合突部85が通過孔135を通過するあたりから、環状係合突部85は、パイプ体係合部139のパイプ体用弾性変形脚部143に長さ方向一方側の押圧力を作用させ始める。なお、取り付け部141の内面同士の径方向間隔は、環状係合突部85の外径よりも広い。環状係合突部85が接触するパイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147は、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜して延びているので、環状係合突部85は、パイプ体用弾性変形脚部143を径方向外側に変形させながら、長さ方向一方側に進行する。したがって、環状係合突部85からパイプ体用弾性変形脚部143に加わる長さ方向一方側の押圧力は、環状係合突部85の進行にしたがって次第に大きくなっていく。ところが、リテーナ保持部117又は取り付け用凹部123の位置決め孔131内に嵌まり込んでこの位置決め孔131と係合している保持係合部163の長さ方向一方側面167は、径方向外側に向かって長さ方向他方側に傾斜している(図16)。ここでは、パイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147の傾きを、保持係合部163の長さ方向一方側面167の傾きよりも緩く設定しているので、環状係合突部85がパイプ体用弾性変形脚部143の径方向内面147と接触すると直ちに、保持係合部163が位置決め孔131から外れる又は抜け出るといったことはないが、やがて、次第に大きくなっていく環状係合突部85から加わる押圧力が、保持係合部163の位置決め孔131への係合力を上回ることとなる。あるいは上回るおそれがある。しかしながら、このときには、径方向外側に変形したパイプ体用弾性変形脚部143にともなって、係合固定部145も径方向外側に移動し、ストッパ部129と係合しているので、リテーナ111は第1の位置に保持される(図7参照)。
【0047】
パイプ体37の環状係合突部85がパイプ体用弾性変形脚部143を通過すると、パイプ体用弾性変形脚部143は、長さ方向に沿って延びるように弾性復帰し、環状係合突部85は係合固定部145の接続凹部153とスナップ係合する。パイプ体用凹部121のガイド凹部127同士の径方向間隔は、弾性復帰したパイプ体係合部139又は係合固定部145の径方向外面同士の径方向間隔とほぼ等しいか、あるいは、弾性復帰したパイプ体係合部139又は係合固定部145の径方向外面同士の径方向間隔よりも若干大きいので、係合固定部145とストッパ部129との係合は解除される(図8参照)。
【0048】
次に、パイプ体37をさらにコネクタハウジング107内に押し込むと、パイプ体37の環状係合突部85は、パイプ体係合部139の押し込み部151又は押し込み面159と係合しているので、パイプ体37の押し込みにともなって、保持係合部163の長さ方向一方側面167が位置決め孔131の長さ方向一端上をスライドし、保持係合部163が位置決め孔131から外れ(図14に二点鎖線で示すような態様で変形して外れる)、リテーナ111が長さ方向一方側に移動する。そして、保持係合部163は、確認固定孔133内に嵌まり込んで抜け止め係合し、リテーナ111は第2の位置に移動して固定される(図18、図19及び図20参照)。また、取り付け部141に設けられた補助係合部168は位置決め孔131(位置決め孔131の長さ方向一端)と係合する。
【0049】
このとき、リテーナ111の保持係合部163の長さ方向一方側面167によって、チェッカー113の保持係合部179の持ち上げ面185が持ち上げられて、チェッカー113の取り付け係合部171が確認固定孔133から抜け出るので、必要であれば、チェッカー113を簡単にコネクタハウジング107から取り外すことができる(チェッカー113の取り付け係合部171が確認固定孔133から抜け出るときは、棒状支持体169が広げられる)。コネクタハウジング107の外周には、ストッパフランジ195が設けられていて、チェッカー113がチューブ接続部9から抜けて落下するのが防止される。ここでは、チェッカー113は、例えば、棒状支持体169の弾性復帰力により、全体的に、あるいは、長さ方向一方側が、リテーナ保持部117の長さ方向一端部のテーパ外面189よりも長さ方向一方側に移動する(図20及び図21参照)。図20のように、チェッカー113をコネクタハウジング107の外周に取り付けたままにしておけば、第2のクイックコネクタ105をパイプ体37から分離し、再びパイプ体37に接続する場合にも、チェッカー113を再利用することができる。あるいは、図21に示すように、チェッカー113をコネクタハウジング107から取り去ってもよい。また、リテーナ111の支持部137は、コネクタハウジング107の長さ方向他端と接触し又は接触状態となっている。なお、リテーナ111のパイプ体係合部139は、ガイド部127に阻止されて、径方向外側に開くことができない。したがって、環状係合突部85がパイプ体係合部139の抜け止め面155と抜け止め状態で係合し、パイプ体37は第2のクイックコネクタ105に抜け止め状態で接続される。また、確認固定孔133の長さ方向一方側の周辺部外面は、確認固定孔133の長さ方向他方側の周辺部外面よりも低くなっているので、保持係合部163を外しやすい。さらに、取り付け部141の補助係合部168が位置決め孔131と係合する。
【0050】
なお、パイプ体37がコネクタハウジング107内に挿入される前に、リテーナ111が長さ方向一方側に強く押されると、リテーナ111は第2の位置に移動するが、この状態で、パイプ体37をコネクタハウジング107内に挿入しても、パイプ体37の先端部がシール部43に十分差し込まれないので(図11参照)、漏れ検査時に確実に検査流体が漏れる。したがって、このような状態の配管接続構造がそのまま使用されるといったことはない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のクイックコネクタ及び配管接続構造は、自動車配管などに利用して、パイプ体とクイックコネクタとの接続不良の発生を効果的に防止できる。
【符号の説明】
【0052】
1、105 クイックコネクタ
3、107 コネクタハウジング
7、111 リテーナ
9 チューブ接続部
49、117 リテーナ保持部
61、129 段部(ストッパ部)
63、131 位置決め孔(位置決め凹部)
65、133 確認固定孔(確認固定凹部)
71、139 パイプ体係合部
73、141 取り付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向一方側にチューブ接続部を有し、長さ方向他方側にリテーナ保持部が設けられ、内周面に環状シール部材を備えたシール部が形成されているコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの長さ方向他端開口から前記リテーナ保持部内に嵌め付けられたリテーナと、を具備し、外周面に環状係合突部が形成されたパイプ体が、前記リテーナの内側を通って前記コネクタハウジング内に相対的に挿入されることにより、前記パイプ体と接続されるように構成され、前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記リテーナ内を長さ方向一方側に相対的に進行して前記リテーナと係合するように、前記コネクタハウジング内に相対的に挿入される、といったクイックコネクタであって、
前記リテーナには、取り付け部及びパイプ体係合部が設けられ、前記リテーナ保持部には、位置決め凹部、この位置決め凹部よりも長さ方向一方側の確認固定凹部及びストッパ部が形成され、
前記リテーナは、前記取り付け部の前記位置決め凹部への係合により、長さ方向一方側が前記リテーナ保持部内に嵌まり込み、長さ方向他方側が前記コネクタハウジングの長さ方向他端開口から突出した第1の位置で、前記リテーナ保持部に保持され、かつ、前記取り付け部の前記確認固定凹部への係合により、前記第1の位置よりも長さ方向一方側の第2の位置で、前記リテーナ保持部に保持されるように構成され、
前記ストッパ部は、前記第1の位置に保持された前記リテーナ内を前記パイプ体の前記環状係合突部が長さ方向一方側に相対的に進行するとき、前記リテーナの長さ方向一方側への移動を阻止するように前記パイプ体係合部と係合するものであり、
前記リテーナはさらに、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部と係合すると、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合するまで、前記第1の位置から前記第2の位置まで相対的に移動できるように形成されている、ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項2】
前記リテーナは、前記パイプ体の前記環状係合突部が通過できるように形成された環状の又はほぼ環状の支持部を有し、前記取り付け部及び前記パイプ体係合部は、この支持部から長さ方向一方側に突出し又は延びるように設けられている、ことを特徴とする請求項1記載のクイックコネクタ。
【請求項3】
前記パイプ体係合部は、前記支持部に一体的に形成されて長さ方向一方側に延びるパイプ体用弾性変形脚部と、このパイプ体用弾性変形脚部の長さ方向一端部に形成された係合固定部と、を有し、前記パイプ体の前記環状係合突部は、前記係合固定部と係合する、ことを特徴とする請求項2記載のクイックコネクタ。
【請求項4】
前記パイプ体用弾性変形脚部の径方向内面は、前記環状係合突部の通過路の内側に突出するように、長さ方向一方側に向かって径方向内側に傾斜し、前記係合固定部は、前記パイプ体用弾性変形脚部を径方向外側に変形させて相対的に通過した前記環状係合突部と係合するように形成されている、ことを特徴とする請求項3記載のクイックコネクタ。
【請求項5】
前記取り付け部は、前記支持部に一体的に形成されて長さ方向一方側に延びるハウジング用弾性変形脚部と、このハウジング用弾性変形脚部の長さ方向一端部に形成された保持係合部と、を有し、
前記リテーナは、前記保持係合部が前記位置決め凹部に嵌まり込んで係合することにより、前記第1の位置で前記リテーナ保持部に保持され、かつ、前記保持係合部が前記確認固定凹部に嵌まり込んで係合することにより、前記第2の位置で前記リテーナ保持部に保持されるように構成されている、ことを特徴とする請求項2記載のクイックコネクタ。
【請求項6】
前記ストッパ部は、前記パイプ体用弾性変形脚部の径方向外側への変形により径方向外側に移動した前記係合固定部と係合し、前記パイプ体用弾性変形脚部の径方向内側への弾性復帰により前記係合固定部が径方向内側に移動すると、前記係合固定部との係合を解除するように形成されている、ことを特徴とする請求項4記載のクイックコネクタ。
【請求項7】
前記パイプ体係合部は、前記支持部の径方向対称個所に一対設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のクイックコネクタ。
【請求項8】
前記取り付け部は、前記支持部の径方向対称個所に一対設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のクイックコネクタ。
【請求項9】
前記パイプ体係合部は、前記支持部の径方向対称個所に一対設けられ、前記取り付け部は、前記パイプ体係合部から周方向に90度ずれるようにして、前記支持部の径方向対称個所に一対設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のクイックコネクタ。
【請求項10】
前記確認固定凹部は前記リテーナ保持部に形成された確認固定孔であり、前記リテーナ保持部の外周には、係合爪部を有し、この係合爪部が前記確認固定凹部に入り込んで係合したチェッカーが取り付けられていて、
前記確認固定凹部への前記係合爪部の係合は、前記保持係合部が前記確認固定凹部に嵌まり込んで係合することにより解除される、ことを特徴とする請求項5記載のクイックコネクタ。
【請求項11】
流体移送用の配管接続構造であって、
請求項1乃至9のいずれかに記載のクイックコネクタと、
前記クイックコネクタの前記チューブ接続部に嵌め付けられたチューブと、
前記クイックコネクタに接続されたパイプ体と、を備え、
前記リテーナは、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合する前記第2の位置で前記リテーナ保持部に保持されていて、
前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部と係合して前記クイックコネクタに接続されている、ことを特徴とする配管接続構造。
【請求項12】
流体移送用の配管接続構造であって、
請求項10に記載のクイックコネクタと、
前記クイックコネクタの前記チューブ接続部に嵌め付けられたチューブと、
前記クイックコネクタに接続されたパイプ体と、を備え、
前記リテーナは、前記取り付け部が前記確認固定凹部と係合する前記第2の位置で前記リテーナ保持部に保持され、前記チェッカーは、前記取り付け部が前記確認固定凹部に嵌まり込んで係合するとき、前記係合爪部の前記確認固定凹部との係合が解除されていて、
前記パイプ体は、前記環状係合突部が前記パイプ体係合部と係合して前記クイックコネクタに接続されている、ことを特徴とする配管接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−270838(P2010−270838A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123552(P2009−123552)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】