説明

クォーターウエザストリップ

【課題】車外側側壁が車内側側壁よりも長く形成しても、美観とシール性優れたクォーターウエザストリップを提供する。
【解決手段】クォーターウエザストリップ20の断面形状は、中央部に基部21を形成し、クォーター部材保持溝28と、車外側側壁22と、車内側側壁23と有する。クォーターウエザストリップ20のリヤ側縦辺部20cの車外側側壁22の先端部から車外方向に車外側シールリップ24が形成される。リヤ側縦辺部20cの少なくとも上下一方の車外側側壁22は、車内側側壁23よりも長く形成され、車外側側壁22の先端部よりも基部側に車外方向に屈曲した車外側側壁屈曲部22aを形成する。車外側シールリップ24の先端はドアフレーム2の車外側面に取付けられたガーニッシュ30の裏面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームの上辺の下面と、ドアフレームのリヤ側縦辺と、ドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアパネルの上端とで形成された空間に固定されるクォーター部材の外周を保持し、クォーター部材とドアフレームとの間をシールするクォーターウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図5に示すように、ドアパネルの上端であるドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にパーティションサッシュ3が延設されている。そして、リヤドア1bのパーティションサッシュ3のリヤ側の部分には固定して装着されるクォーター部材であるクォータードアガラス6が装着され、パーティションサッシュ3のフロント側にはドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図4に示すように、クォータードアガラス6とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、クォーターウエザストリップ120が装着されてその間をシールしている。また、ドアガラス5とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、ガラスラン110が装着されて、その間をシールしている。
【0004】
クォーターウエザストリップ120は、図4に示すように、クォータードアガラス6の外周を全周に亘り取り囲んで取付けられている。従来のクォーターウエザストリップ120の断面形状を図6に示す。この断面図は、クォーターウエザストリップ120の底辺部分、即ち、ドアパネルのベルトラインに取付けられる部分の断面図である。
【0005】
クォーターウエザストリップ120の底辺部分では、車外側側壁122と車内側側壁123でクォータードアガラス6を挟持して、ガラス保持溝128でクォータードアガラス6を保持している。クォータードアガラス6とクォーターウエザストリップ120の重量を支えるために、基部121から支持脚部129が下方に延設され、ドアフレーム2に当接している。この場合には、車外側側壁122と車内側側壁125の高さは略同じであり、車内側からドアトリム9が車内側側壁123の先端部分に当接して、車内側からは車外側側壁122が見えなくされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
その時、ドアフレーム2の車外側の先端にはドアモール8が取付けられている。車外側側壁122の先端から車外方向には車外側シールリップ124が延設されて、ドアモール8の先端をカバーして、クォーターウエザストリップ120とドアフレーム2の間をシールしている。
【0007】
しかしながら、デザイン上の必要からクォータードアガラス6のリヤ側を大きくしてドアフレーム2のリヤ側縦辺に、ドアモール8の代わりにクォータードアガラス6の面に沿ってフロント方向に延びたガーニッシュを取付けることが要請される場合がある。この場合には、ガーニッシュとクォーターウエザストリップ120との間のシール性の確保と見栄えの向上のために、ガーニッシュに合わせて車外側側壁122を長く形成することが必要となる。
【0008】
この場合には、車内側側壁123と比べて、車外側側壁122が長く形成されているため、車内側からみて、クォータードアガラス6を通して車外側側壁122の先端の裏面が見えてしまうこととなる。その場合には、クォータードアガラス6と車外側側壁122との間のシールのために、車外側側壁122の先端をクォータードアガラス6の側面に線状に当接させてシールするようにすると、車外側側壁122の先端から根元側に行くにつれて、クォータードアガラス6の側面との間に隙間が生じて、その隙間にほこり等が進入して、そのほこり等が車内側からクォータードアガラス6を通して見えてしまい、美観上好ましくなかった。
【0009】
なお、図7に示すように、クォーターウエザストリップ220の車外側側壁222を車内側側壁223よりも長く形成する図が開示されているものがある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この場合は、車内側側壁223から延設された車内側カバーリップ225が車外側側壁222の先端よりも長く張り出しているため、上記の問題は生じていないが、車内側カバーリップ225を長く張り出すことは、車内側カバーリップ225が大きくなり、シール性と美観の点から好ましくなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−255859号公報
【特許文献2】特開2002−307954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は、車外側側壁が車内側側壁よりも長く形成しても、美観とシール性に優れたクォーターウエザストリップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアパネル上端とで形成された空間に固定されるクォーター部材の外周を保持し、クォーター部材とドアフレームとの間をシールするクォーターウエザストリップであって、クォーターウエザストリップは、ドアフレーム、パーティションサッシュ及びドアパネル上端にそれぞれ対応するドアフレーム部、フロント側縦辺部及び底辺部からなり、クォーター部材の外周に嵌合されるように環状に形成され、クォーターウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、基部の内周側に、クォーター部材の外周が挿入され、保持するクォーター部材保持溝と、クォーター部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、クォーター部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成するクォーターウエザストリップにおいて、
ドアフレームに取付けられるクォーターウエザストリップのドアフレーム部は、ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、ドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部とから構成されるか、又は湾曲して形成されたドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、該上辺部から連続的に湾曲して斜めにリヤ側のドアパネル上端まで延設されたリヤ側部から構成され、
クォーターウエザストリップのリヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁の先端部から車外方向に車外側シールリップが形成され、ドアフレーム部の少なくとも上下一方の上記車外側側壁は、車内側側壁よりも長く形成され、車外側側壁の先端部よりも基部側に車外側側壁の屈曲点となる車外側側壁屈曲部を形成し、車外側シールリップの先端はドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に当接したことを特徴とするクォーターウエザストリップである。
【0013】
請求項1の本発明では、クォーターウエザストリップは、クォーター部材の外周に勘合されるように環状に形成されたため、クォーター部材の外周全周を完全に包むことができ、環状のため、クォーター部材に勘合されると、その弾性により締め付けるように保持されて、クォーター部材から外れ難くなる。
【0014】
クォーターウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、基部の内周側に、クォーター部材の外周が挿入され、保持するクォーター部材保持溝と、クォーター部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、クォーター部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成する。このため、クォーター部材保持溝にクォーター部材の外周端部が確実に挿入されて保持されることができる。又、車外側側壁と車内側側壁でクォーター部材の側面をそれぞれ保持するため、クォーター部材とクォーターウエザストリップの間のシール性を確保することができる。
【0015】
クォーターウエザストリップのリヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁の先端部から車外方向に車外側シールリップが形成されたため、ガーニッシュとクォーター部材との間を車外側シールリップで塞ぎ、シール性を確保することができる。
リヤ側縦辺部又はリヤ側部の少なくとも上下一方の車外側側壁は、車内側側壁よりも長く形成されたため、ガーニッシュの少なくとも上下に対応する部分の先端がクォーター部材の中心方向に延設されても、ガーニッシュの延設された先端部分にシールリップを当接させることができる。
【0016】
車外側側壁の先端部よりも基部側に車外側側壁の屈曲点となる車外側側壁屈曲部を形成し、車外側シールリップの先端はドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に当接した。このため、クォーターウエザストリップをクォーター部材に取付けるときに、車外側側壁先端部がクォーター部材の側面に当接して、さらに、車外側側壁先端部に形成された車外側保持リップの先端がガーニッシュに押される。そして、車外側側壁屈曲部がクォーター部材の側面に当接して、車外側側壁屈曲部よりも車外側側壁の先端側を隙間なくクォーター部材に密着させることができる。従って、クォーター部材と車外側側壁の間にほこり等が進入することがなく、見栄えが良い。また、クォーター部材をクォーターウエザストリップの部材保持溝に挿入することが容易である。
【0017】
請求項2の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁は、車外側側壁屈曲部から先端側に向けて徐々に肉厚が増加して車外側方向に屈曲しているクォーターウエザストリップである。
【0018】
請求項2の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁は、車外側側壁屈曲部から先端側に向けて徐々に肉厚が増加して車外側方向に屈曲しているため、シールリップの反力により、車外側側壁屈曲部から先端側をクォーター部材の側面に強く密着させることができる。また、車外側側壁の先端部分の剛性を大きくして、車外側側壁の先端部分の変形を防止することができ、車外側側壁の先端側を確実にクォーター部材に面状に密着させることができる。
【0019】
請求項3の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部は、車内側側壁と対向する面に若干の平坦部を有するクォーターウエザストリップである。
【0020】
請求項3の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部は、車内側側壁と対向する面に若干の平坦部を有するため、車外側側壁屈曲部がクォーター部材の側面に当接するときに、平坦部が安定して当接することができ、車外側側壁屈曲部を中心として車外側側壁の先端側が確実にクォーター部材に密着することができる。
【0021】
請求項4の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部の屈曲角度は、車外側側壁の根元部に対して先端部先端部が5〜15度屈曲しているクォーターウエザストリップである。
【0022】
請求項4の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部の屈曲角度は、車外側側壁の根元部に対して先端部先端部が5〜15度屈曲しているため、クォーター部材をクォーター部材保持溝に嵌め込むことが容易であり、車外側シールリップがガーニッシュに当接したときの反力により、確実にクォーター部材の側面に密着させることができる。
【0023】
請求項5の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部は、ガーニッシュと対向する面にノッチが設けられているクォーターウエザストリップである。
【0024】
請求項5の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側側壁屈曲部は、ガーニッシュと対向する面にノッチが設けられているため、車外側側壁屈曲部が屈曲しやすく、車外側側壁を確実にクォーター部材の側面に密着させることができる。
【0025】
請求項6の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の少なくとも上下一方の車外側側壁は、車内側側壁よりも3〜20mm長く形成されたクォーターウエザストリップである。
【0026】
請求項6の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の少なくとも上下一方の車外側側壁は、車内側側壁よりも3〜20mm長く形成されたため、ガーニッシュの延設された先端部分の裏面に車外側シールリップを確実に当接させることができ、シール性と見栄えを確保することができる。
【0027】
請求項7の本発明は、ドアフレームのリヤ側縦辺又はリヤ側に取付けられるガーニッシュの先端は、クォーターウエザストリップのリヤ側縦辺部又はリヤ側部の上下に対応する部分がフロント方向に湾曲して張り出して形成されたクォーターウエザストリップである。
【0028】
請求項7の本発明では、ドアフレームのリヤ側縦辺又はリヤ側に取付けられるガーニッシュの先端は、クォーターウエザストリップのリヤ側縦辺部又はリヤ側部の上下に対応する部分がフロント方向に湾曲して張り出して形成された。このため、クォータードアガラスのリヤ側縦辺又はリヤ側部付近をガーニッシュで広く覆うことができ、デザインを向上させることができる。
【0029】
請求項8の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側シールリップの先端は、ドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に車外側側壁方向に0.3〜1.0mm程度撓んで当接したクォーターウエザストリップである。
【0030】
請求項8の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車外側シールリップの先端は、ドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に車外側側壁方向に0.3〜1.0mm程度撓んで当接した。このため、車外側シールリップの先端がガーニッシュに当接したときの反力を所定の強さにすることができ、車外側側壁の屈曲部よりも先端側を隙間なくクォータードアガラスに密着させることができる。
【0031】
請求項9の本発明は、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車内側側壁の先端部から車内方向にカバーリップが形成され、基部の外面にドアフレームに当接する車外側シールリップが形成されたクォーターウエザストリップである。
【0032】
請求項9の本発明では、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の車内側側壁の先端部から車内方向にカバーリップが形成されたため、クォータードアガラスの車内側の側面とドアフレームとの間の隙間を塞ぎ、シール性と見栄えを向上させることができる。
【0033】
請求項10の本発明は、車外側側壁と車内側側壁のそれぞれの外面に保持リブが形成されたクォーターウエザストリップである。
【0034】
請求項10の本発明では、車外側側壁と車内側側壁のそれぞれの外面に保持リブが形成されたため、クォーターウエザストリップをドアフレームのチャンネルに確実に保持させることができる。
【0035】
請求項11の本発明は、クォーター部材は、クォータードアガラスであるクォーターウエザストリップである。
【0036】
請求項11の本発明では、自動車のフロントドアやリヤドアにクォーターガラスを設けた場合、その周囲にクォーターウエザストリップを装着し、そのクォーターウエザストリップをドアフレーム、パーティションサッシュとドアパネルの上端に固定するとともに、クォータードアガラスの外周をシールすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明は上記のように、リヤ側縦辺部又はリヤ側部の少なくとも上下一方の車外側側壁は、車内側側壁よりも長く形成されたため、ガーニッシュの上下の先端が延設されても、ガーニッシュの延設された先端部分に車外側シールリップを当接させることができる。
車外側側壁屈曲部を形成し、車外側シールリップの先端はガーニッシュの裏面に当接したため、クォーター部材の側面に車外側側壁屈曲部を当接させて、車外側シールリップの先端が車外側側壁屈曲部よりも先端側を隙間なくクォーター部材に密着させることができ、クォーター部材と車外側側壁の間にほこり等が進入することがなく、見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態における、リヤドアのリヤ側縦辺にクォーターウエザストリップを取り付けた状態の断面図であり、図4のA−A線に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における、リヤドアのリヤ側縦辺にクォーターウエザストリップを取り付けた状態の断面図であり、図4のB−B線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における、クォーターウエザストリップのリヤ側縦辺部と低辺部との接合部分を車内側からみた斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における、クォーターウエザストリップの全体の正面図である。
【図5】自動車の側面図である。
【図6】従来のリヤドアのベルトラインにクォーターウエザストリップを取り付けた状態の断面図である。
【図7】従来のリヤドアの上辺に他のクォーターウエザストリップを取り付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態を図1〜図5に基づき説明する。
本発明は、自動車のリヤドア1bに嵌め込まれるクォーター部材に使用されるクォーターウエザストリップ20であり、特に、リヤ側縦辺2b又はリヤ側部に取付けられる部分に特徴を有するものである。本実施の形態について、クォーター部材に使用されるクォーターウエザストリップ20について、クォータードアガラス6に使用されるクォーターウエザストリップ20を例にとり説明する。
【0040】
図5は、自動車の側面図である。図5に示すように、自動車の側面のドア1であるフロントドア1aとリヤドア1bの両方のドアパネル上端(ベルトライン)よりも上部には、ドアガラス5、5が昇降可能に設けられている。
図4に示すように、リヤドア1bには、パーティションサッシュ3のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、ドアフレーム2の上辺2aと、ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bと、パーティションサッシュ3のリヤ側と、リヤドア1bのドアパネル上端(ベルトライン)で形成される台形の部分に固定されたクォータードアガラス6が設けられている。
【0041】
本実施の形態では、ドアフレーム2の上辺2aと、リヤ側縦辺2bと、パーティションサッシュ3のリヤ側と、リヤドア1bのドアパネル上端で形成される台形の部分に固定されたクォータードアガラス6に使用されるクォーターウエザストリップ20を例にとり説明するが、ドアフレーム2がリヤ側に行くにつれて下方に湾曲して形成され、湾曲して形成されたドアフレーム2の上辺に取付けられる上辺部と、上辺部から連続的に湾曲して斜め下方にリヤ側のドアパネル上端まで延設されたリヤ側部で形成される略三角形の部分に固定されたクォータードアガラス6に使用されるクォーターウエザストリップ20についても使用することができる。リヤ側縦辺2bとリヤ側部とは同様の作用をすることができる。なお、リヤ側のドアパネル上端は、リヤ側に行くにつれて上方に若干湾曲して形成されてもよい。
【0042】
パーティションサッシュ3は、ドアフレーム2の上辺の下面から下方に延出され、リヤドア1bのドアパネル内の部分にまで延出されて装着されている。即ち、ドアのベルトライン位置よりも上方部分では、外部に露出しており、パーティションサッシュ3の下端は、リヤドア1bのドアパネルのパネル内部に固定され、上端はエンドキャップを介してドアフレーム2の車内側側壁と車外側側壁の下面に接続され、ブラケットによりドアフレーム2の上辺2aの底壁下面に固定されている。
【0043】
リヤドア1bにおいて、図4に示すように、ドアフレーム2の上辺2aと、フロント側の縦辺及びパーティションサッシュ3のフロント側溝には、ガラスラン10が装着されて、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2およびパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0044】
リヤドア1bのドアガラス5のリヤ側において、図4に示すように、ドアフレーム2の上辺2aと、パーティションサッシュ3のリヤ側溝と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bと、リヤドア1bのドアパネル上端には、クォーターウエザストリップ20が装着されて、クォータードアガラス6をドアフレーム2の上辺2aと、リヤ側縦辺部20cと、パーティションサッシュ3、リヤドア1bのドアパネル上端であるベルトライン4に固定するとともに、クォーターウエザストリップ20とドアフレーム2、リヤドア1bの上端であるベルトライン4及びパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0045】
リヤドア1bのクォータードアガラス6が取付けられる部分では、ドアフレーム2の上辺2aは、リヤ側に行くにつれて斜めに下方に形成されている。ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bでは、上辺2aの先端から若干湾曲しつつフロント側へ斜めに延設されて、リヤドア1bの上端であるベルトライン4に接続している。ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bの車外側面には、後述するガーニッシュ30が取付けられている。
【0046】
クォーターウエザストリップ20は図4に示すように、全体として型成形で一体に形成される。即ち、ドアフレーム2の上辺2aに取付けられる上辺部20aと、パーティションサッシュ3に取付けられるフロント側縦辺部20bと、ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bに取付けられるリヤ側縦辺部20cと、リヤドア1bの上端であるベルトライン4に取付けられる底辺部20dと、それぞれを接続するコーナー部から構成される環状に形成され、平面形状が略台形形状に形成されている。
【0047】
なお、上述のとおり、ドアフレーム2が上辺2aから連続的に湾曲してベルトライン4のリヤ側先端部まで延設される場合には、クォーターウエザストリップ20は、ドアフレーム2の上辺側に取付けられる上辺部20a、及び湾曲したリヤ側に取付けられるリヤ側部と、フロント側縦辺部20bと、底辺部20dと、それぞれを接続するコーナー部から構成される環状に形成され、平面形状が略三角形状に形成されている。
【0048】
クォーターウエザストリップ20の各辺部とコーナー部は、合わせて全体として一体に同時に型成形で成形される。
なお、クォーターウエザストリップ20のコーナー部は、ドアフレーム2の上辺2aとパーティションサッシュ3とドアフレーム2のリヤ側縦辺2bとリヤドア1bの上端との間で形成される台形形状のコーナー部の部分に装着されるように、コーナー部の角度等を規定して形成されている。
【0049】
リヤドア1bのリヤ側縦辺2bに取付けられるクォーターウエザストリップ20のリヤ側縦辺部20c部分の図4のA−A線に沿った断面図を図1に示し、図4のB−B線に沿った断面図を図2に示し、リヤ側縦辺部20cと底辺部20dとの連結部分の斜視図を図3に示す。
【0050】
クォーターウエザストリップ20のリヤ側縦辺部20cは、図1と図2に示すように、基部21に、フロント側の車外側に車外側側壁22と、車内側に車内側側壁23と、その間にクォーター部材保持溝であるガラス保持溝28が形成された断面略コ字形である。このガラス保持溝28が形成された断面略コ字形の形状は、上辺部20aとフロント側縦辺部20bと底辺部20dも同様であり、ガラス保持溝28にクォータードアガラス6の外周が挿入されている。ドアフレーム2のリヤ側に取付けられるリヤ側部もリヤ側縦辺部20cと同様である。
【0051】
基部21のフロント側とは、環状に形成されたクォーターウエザストリップ20の内周側であり、底辺部20dではガラス保持溝28は、基部21の上側に形成されるが、上辺部20aでは、基部21の下側に形成され、フロント側縦辺部20bでは、基部21のリヤ側に形成される。このようにして、クォータードアガラス6の外周の全周にガラス保持溝28をはめ込むことができる。
【0052】
上述のように、ガラス保持溝28にクォータードアガラス6の外周が挿入されると、車外側側壁22と車内側側壁23がクォータードアガラス6の側面に当接して、それぞれ保持するため、クォータードアガラス6とクォーターウエザストリップ20の間のシール性を確保することができる。
【0053】
クォーターウエザストリップ20の車外側側壁22の先端から車外方向に車外側シールリップ24が形成されている。車外側シールリップ24は、後述するガーニッシュ30の先端部31の裏面に当接している。このため、ガーニッシュ30とクォータードアガラス6との間を車外側シールリップ24で塞ぎ、シール性を確保することができる。
【0054】
車外側シールリップ24の先端は、ガーニッシュ30の裏面に車外側側壁方向に0.3〜1.0mm程度撓んで当接することが好ましい。この場合は、車外側シールリップ24の先端がガーニッシュ30に当接したときの反力を所定の強さにすることができ、後述する車外側側壁22の車外側側壁屈曲部22aよりも車外側側壁先端部22cを隙間なくクォータードアガラス6に密着させることができる。
【0055】
図4に示すように、ガーニッシュ30は、ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bの車外側面を覆うように取付けられて、リヤ側縦辺2bの上下の部分ではフロント側に張り出すように湾曲して形成されている。このため、ドアパネルのベルトライン4との連結部の外径をスムースなラインとすることができ、クォータードアガラス6のリヤ側付近のデザイン性を向上させることができる。なお、ガーニッシュ30は、リヤ側縦辺2bの上部又は下部の一方のみをフロント方向にはみ出すように形成してもよい。本実施の形態では、リヤ側縦辺2bの下部が張り出したものを例にとり説明する。
【0056】
クォーターウエザストリップ20のリヤ側縦辺部20cの下方(底辺部20dとの連結部分の近傍)の車外側側壁22は、車内側側壁23よりも長く形成される。即ち、リヤ側縦辺部20cの下部では、車外側側壁22がフロント方向に張り出して形成される。リヤ側縦辺部20cの上方(上辺部20aとの連結部分の近傍)においても同様に車外側側壁22を車内側側壁23よりも長く形成してもよい。
【0057】
リヤ側縦辺部20cの下方の車外側側壁22は、車内側側壁23よりも3〜20mm長く形成することできる。さらに、3〜10mm長く形成することがより好ましい。この場合には、ガーニッシュ30の延設された先端部31の裏面に車外側シールリップ24を確実に当接させることができ、シール性と見栄えを確保することができる。リヤ側縦辺部20cの上方の車外側側壁22も同様に長く形成することができる。
【0058】
これにより、ドアフレーム2のリヤ側縦辺2bに取付けられたガーニッシュ30の少なくとも上下の先端がクォータードアガラス6の中心方向(フロント側方向)に延設されても、ガーニッシュ30の延設された先端部31の裏面に車外側シールリップ24を当接させることができる。
【0059】
車外側側壁22の先端よりも基部21側に車外方向に屈曲した車外側側壁屈曲部22aを形成する。車外側側壁屈曲部22aよりも先端側を車外側側壁先端部22cとし、車外側側壁屈曲部22aよりも基部21側を車外側側壁根元部22bとする。
ガラス保持溝28にクォータードアガラス6を挿入したときに、車外側側壁先端部22cがクォータードアガラス6に当接し、車外側保持リップ24の先端がガーニッシュ30に押される。そして、車外側側壁屈曲部22aがクォータードアガラス6に当接して、車外側シールリップ24の反力で車外側側壁屈曲部22aを屈曲点として車外側側壁22の車外側側壁先端部22cがクォータードアガラス6の方向に回転して、クォータードアガラス6の側面に平面的に密着することができる。
【0060】
車外側側壁屈曲部22aのガーニッシュ30と対向する面(車外側面)に車外側側壁ノッチ22dを設けることができる。この場合は、車外側側壁屈曲部22aが屈曲しやすく、車外側シールリップ24の反力で,車外側側壁先端部22cを確実にクォータードアガラス6の側面に密着させることができる。
【0061】
従って、クォータードアガラス6と車外側側壁先端部22cの間にほこり等が進入することがなく、車外側側壁22が車内側側壁23よりも長いため、車外側側壁先端部22cの部分が車内側から見えても、見栄えが良い。
【0062】
車外側側壁屈曲部22aの屈曲角度は、車外側側壁根元部22bに対して車外側側壁先端部22cが5〜15度屈曲することが好ましい。5度未満では車外側側壁屈曲部22aが屈曲点として働くのに不十分であり、15度を超える場合には、車外側側壁先端部22cが開きすぎて、車外側シールリップ24の反力があっても車外側側壁先端部22cをクォータードアガラス6に密着させることができない。
【0063】
車外側側壁屈曲部22aは、車内側側壁23と対向する面、即ちクォータードアガラス6と当接する面に長手方向に延びる若干の平坦部を有することが好ましい。平坦部の幅は、0.5〜1.0mm程度である。
この場合には、車外側側壁屈曲部22aがクォータードアガラス6の側面に当接するときに、その平坦部が安定して当接することができ、車外側側壁屈曲部22aを回転中心として車外側側壁先端部22cが回転するため、確実にクォータードアガラス6に密着することができる。
【0064】
リヤ側縦辺部20cの車外側側壁22は、車外側側壁先端部22cが先端側に向けて徐々に肉厚が増加させることが好ましい。この場合には、車外側側壁先端部22cの剛性が先端に行くにつれて大きくなり、車外側シールリップ24が車外側側壁先端部22cに安定して保持され、車外側シールリップ24の反力により、車外側側壁先端部22cをクォータードアガラス6の側面に強く密着させることができる。また、車外側側壁先端部22cの剛性が大きいため、車外側側壁先端部22cの変形を防止することができ、車外側側壁先端部22cの全面を確実にクォータードアガラス6に密着させることができる。
【0065】
図1に示すように、車外側側壁22と基部21との連続部分の外面に車外側保持リブ26が形成されている。車外側保持リブ26は、クォーターウエザストリップ20がドアフレーム2のチャンネル7に取付けられたときに、チャンネル7の側壁に当接してクォーターウエザストリップ20を安定して保持することができる。
【0066】
基部21の底面に基部リップ21aが長手方向に連続して形成されている。クォーターウエザストリップ20がドアフレーム2のチャンネル7に取付けられたときに、基部リップ21aがチャンネル7の底部に当接してチャンネル7とクォーターウエザストリップ20との間をシールすることができる。
【0067】
基部21のガラス保持溝28側の面には、基部突条21bが長手方向に連続して形成されている。クォータードアガラス6がガラス保持溝28に挿入されたときに、クォータードアガラス6の先端が基部突条21bに当接して、クッション作用とシールをすることができる。
【0068】
図1と図2に示すように、車内側側壁23は、先端から車内側に車内側カバーリップ25が形成されている。車内側カバーリップ25は、ドアフレーム2の車内側膨出部又はドアトリム等に当接して、クォーターウエザストリップ20とドアフレーム2の間の隙間を覆っている。
【0069】
車内側側壁23と基部21との連続部分の外面に車内側保持リブ27が形成されている。車内側保持リブ27は、クォーターウエザストリップ20がドアフレーム2のチャンネル7に取付けられたときに、チャンネル7の側壁に当接して、車外側保持リブ26と合わせて、クォーターウエザストリップ20を安定して保持することができる。
車外側保持リブ26と車内側保持リブ27は、図2と図3に示すように、底辺部20dに近接する部分に形成されており、その他の部分には形成されていない。
【0070】
次に、クォーターウエザストリップ20の製造方法について説明する。
クォーターウエザストリップ20は、全体を金型で一度に型成形する。
成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、金型に成形材料を注入後に加熱されて、加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、注入後、冷却され固化される。
【符号の説明】
【0071】
1 ドア
6 クォータードアガラス(クォーター部材)
20 クォーターウエザストリップ
20c リヤ側縦辺部
21 基部
22 車外側側壁
22a 車外側側壁屈曲部
22c 車外側側壁先端部
23 車内側側壁
24 車外側シールリップ
28 ガラス保持溝(クォーター部材保持溝)
30 ガーニッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアパネル上端とで形成された空間に固定されるクォーター部材の外周を保持し、上記クォーター部材と上記ドアフレームとの間をシールするクォーターウエザストリップであって、該クォーターウエザストリップは、上記ドアフレーム、上記パーティションサッシュ及び上記ドアパネル上端にそれぞれ対応するドアフレーム部、フロント側縦辺部及び底辺部からなり、上記クォーター部材の外周に嵌合されるように環状に形成され、上記クォーターウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、該基部の内周側に、上記クォーター部材の外周が挿入され、保持するクォーター部材保持溝と、上記クォーター部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、上記クォーター部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成するクォーターウエザストリップにおいて、
上記ドアフレームに取付けられる上記クォーターウエザストリップの上記ドアフレーム部は、上記ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、上記ドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部とから構成されるか、又は湾曲して形成された上記ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、該上辺部から連続的に湾曲して斜めにリヤ側の上記ドアパネル上端まで延設されたリヤ側部から構成され、
上記クォーターウエザストリップの上記リヤ側縦辺部又は上記リヤ側部の上記車外側側壁の先端部から車外方向に車外側シールリップが形成され、上記ドアフレーム部の少なくとも上下一方の上記車外側側壁は、上記車内側側壁よりも長く形成され、上記車外側側壁の先端部よりも上記基部側に車外側側壁の屈曲点となる車外側側壁屈曲部を形成し、上記車外側シールリップの先端は上記ドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に当接したことを特徴とするクォーターウエザストリップ。
【請求項2】
上記リヤ側縦辺部又は上記リヤ側部の上記車外側側壁は、上記車外側側壁屈曲部から先端側に向けて徐々に肉厚が増加して車外側方向に屈曲している請求項1に記載のクォーターウエザストリップ。
【請求項3】
上記リヤ側縦辺部又は上記リヤ側部の上記車外側側壁屈曲部は、上記車内側側壁と対向する面に若干の平坦部を有する請求項1又は請求項2に記載のクォーターウエザストリップ。
【請求項4】
上記リヤ側縦辺部又は上記リヤ側部の上記車外側側壁屈曲部の屈曲角度は、上記車外側側壁の根元部に対して先端部先端部が5〜15度屈曲している請求項1乃至請求項3のいずれかに1項に記載のクォーターウエザストリップ。
【請求項5】
上記リヤ側縦辺部又は上記リヤ側部の車外側側壁屈曲部は、上記ガーニッシュと対向する面にノッチが設けられている請求項1乃至請求項4のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項6】
上記リヤ側縦辺部又はリヤ側部の少なくとも上下一方の上記車外側側壁は、上記車内側側壁よりも3〜20mm長く形成された請求項1乃至請求項5のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項7】
上記ドアフレームの上記リヤ側縦辺又はリヤ側に取付けられる上記ガーニッシュの先端は、上記クォーターウエザストリップの上記リヤ側縦辺部又はリヤ側部の上下に対応する部分がフロント方向に湾曲して張り出して形成された請求項1乃至請求項6のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項8】
上記リヤ側縦辺部又はリヤ側部の上記車外側シールリップの先端は、上記ドアフレームの車外側面に取付けられたガーニッシュの裏面に上記車外側側壁方向に0.3〜1.0mm程度撓んで当接した請求項1乃至請求項7のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項9】
上記リヤ側縦辺部又はリヤ側部の上記車内側側壁の先端部から車内方向に車内側カバーリップが形成され、上記基部の外面に上記ドアフレームに当接するシールリップが形成された請求項1乃至請求項8のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項10】
上記車外側側壁と上記車内側側壁のそれぞれの外面に保持リブが形成された請求項1乃至請求項9のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。
【請求項11】
上記クォーター部材は、クォータードアガラスである請求項1乃至請求項10のいずれかに1項に記載されたクォーターウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−201247(P2012−201247A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68264(P2011−68264)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】