説明

ククルビツリルを含む高分子、これを利用した固定相およびカラム

ククルビツリルを含む高分子が提供される。ククルビツリルを含む高分子は、大気汚染物質、水質汚染物質、生体物質、有機または無機物質、アルカリ金属、重金属、イオン性または水溶性の生体物質を除去、分離あるいは精製するために用いられうる。さらに、前記高分子を利用したカラムクロマトグラフィ用固定相が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ククルビツリルを含む高分子、これを利用した固定相およびカラムに係り、さらに具体的には、ククルビツリルが結合した高分子、ククルビツリル誘導体を含む共重合体、前記高分子または高分子を用いた、物質の分離および除去に使用できる固定相ならびにカラムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
一般的に、カラム充填剤は、多種の試験試料の分離および精製において固定相として利用される物質をいう。多種の化合物をシリカゲルに結合させた、さまざまなカラム充填剤が固定相として開発されてきた。シリカゲルに結合した代表的な物質としては、クラウンエーテル(韓国特許第0263872号明細書)およびシクロデキストリン(米国特許第4,539,399号明細書)が公知である。クラウンエーテルまたはシクロデキストリンに結合したシリカゲルは、さまざまな有機化合物またはイオン性化合物との選択的な非共有相互作用によって、固定相として多様な試験試料の分離に利用されている。
【0003】
シクロデキストリンと同様に、ククルビツリルは、親水性および疎水性のキャビティの存在によって、多様な化合物に対して捕集能力を有していることが知られている。しかし、シクロデキストリンとは異なって、ククルビツリルはキャビティ入口にカルボニル基があるため、電荷−極性相互作用、極性−極性相互作用または水素結合によって、多様なイオン性化合物および極性の大きい化合物を捕集できる。従って、ククルビツリルは、例えば、気体化合物、脂肪族化合物、および芳香族化合物のような有機化合物、殺虫剤、除草剤、アミノ酸、核酸、イオン性化合物、金属イオン、または有機金属イオンのような多種の化合物に対して捕集能力を有する(J.Am.Chem.Soc.2001,123,11316、欧州特許第1094065号明細書、J.Org.Chem.1986,51,1440)。しかし、ククルビツリルを溶解させる溶媒がほとんどなく、ククルビツリルに置換基がないために、シリカゲルまたは高分子のような固体への共有結合など、その用途がきわめて制限的であった。
【0004】
シクロデキストリンを含む高分子を固定相として使用した例が報告されている(米国特許第5,403,898号明細書)。かかるシクロデキストリンを含む高分子を利用した固定相は、多種の水溶性の化合物を逆相カラムクロマトグラフィによる分離に用いられうる(米国特許第5,516,766号明細書)。しかし、前述のように、シクロデキストリンは、ククルビツリルに比べて多種の生化学的物質またはイオンに対する非共有結合能力が弱いので、その用途が制限的である。
【0005】
最近、より効率的な高速の分離性能によって、モノリシックカラムが注目を集めている(米国特許第6,398,962号明細書)。しかし、最近まで、ククルビツリル誘導体が報告されておらず、したがってククルビツリルを利用したモノリシックカラムの調製についての研究はなかった。
【発明の開示】
【0006】
発明の開示
技術的課題
国際特許出願PCT/DE02/01980号には、ククルビツリルとシリカゲルとを溶媒に加えてその後熱処理をすることによって調製された、物理的にククルビツリルをコーティングさせたシリカゲルを開示する。しかし、物理的なコーティングは共有結合ではないので、再現性ならびに物理的および化学的安定性に限界がある。国際特許出願PCT/KR02/02213号には、ヒドロキシククルビツリルの調製方法が開示されており、その方法によって前述のククルビツリルの短所の克服が可能である。しかし、現在まで、ククルビツリル誘導体と共有結合した高分子を含む逆相カラムでの多種の水溶性物質の分離に関する報告はない。
【0007】
技術的解決
本発明は、ククルビツリルと共有結合した高分子を提供する。
【0008】
本発明はまた、ククルビツリルと有機単量体との共重合体を提供する。
【0009】
本発明はまた、ククルビツリルを含む高分子でそれぞれコーティングされた、シリカゲル、アルミナおよび酸化チタンを提供する。
【0010】
本発明はまた、毛細管またはカラム管の中でククルビツリル誘導体と単量体との共重合によって調製されたモノリシックカラムを提供する。
【0011】
本発明はまた、ククルビツリルと共有結合した高分子、ククルビツリルを含む共重合体、ククルビツリルと有機単量体との共重合体、ならびに前記高分子または前記共重合体とそれぞれ結合したシリカゲル、アルミナ、および酸化チタンから選択される1つを用いる、物質の分離のためのカラム用固定相を提供する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1のククルビツリル誘導体が末端置換基を有する粒子型高分子に共有結合した高分子が提供される:
【0013】
【化1】

【0014】
式中、nは4ないし20の整数であり、Rは、それぞれ独立して末端が不飽和結合であるC〜C20の置換もしくは非置換のアルケニルオキシ基、C〜C20の置換もしくは非置換のアルキル部分を有するカルボキシアルキルスルファニルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するカルボキシアルキルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するアミノアルキルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル基を有するヒドロキシアルキルオキシ基、またはC〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するエポキシアルキルオキシ基である。
【0015】
本発明で、前記粒子型高分子は、前記化学式1のククルビツリル誘導体を含む高分子の調製に使われた高分子であり、多様な置換基を末端に有しうる。前記粒子型高分子は、カラム充填剤として使われる高分子であり、特に、末端にハロゲン原子、置換または非置換のアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール、イソシアネート、およびチオイソシアネートのような官能基を有する。前記粒子型高分子の例としては、塩素を含むMerrifield polymer、またはクロロ基を有するXAD polymerがある。
【0016】
カラム充填剤として使用するときに、均質な結果を得るために、粒子型高分子は、好ましくは、5ないし300μmの平均粒径を有する。かような粒子型高分子は、前記化学式1のククルビツリル誘導体と、多様な有機反応を介して共有結合で連結される。かような共有結合としては、エーテル結合、スルファニル結合、アミノ結合、エステル結合、アミド結合、チオアミド結合、またはウレア結合などを例として挙げることができ、かような結合形成については、以下でさらに詳細に説明する。
【0017】
化学式1のククルビツリル誘導体が末端に官能基を有する粒子型高分子に共有結合した、ククルビツリルが結合した高分子は、下記化学式2の化合物でありうる:
【0018】
【化2】

【0019】
式中、Pは、高分子残基であって表面にハロゲン基を有している高分子粒子から得られる。前記化学式2の化合物は、前記化学式1のククルビツリルと高分子粒子との間のエーテル結合の形成によって得られうる。
【0020】
具体的には、前記化学式2の化合物は、前記化学式1で、Rが2−ヒドロキシエチルオキシ基であるククルビツリル誘導体を、反応溶媒中で一日放置した高分子粒子と、塩基存在下で60℃以上で20時間以上撹拌した後、水とアセトンとで洗浄することによって調製されうる。ここで、前記高分子粒子は、塩素、ヨウ素、および臭素などのようなハロゲン原子を表面に有している高分子であり、例えば、Merrifield polymerでありうる。前記塩基は、炭酸カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびピリジンのような多種の塩基から選択されうる。前記反応溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたは水でありうる。
【0021】
前記化学式1のククルビツリル誘導体が粒子型高分子と共有結合した、ククルビツリルが結合した高分子はまた、下記化学式3の化合物でありうる。
【0022】
【化3】

【0023】
前記化学式3の化合物は、前記化学式1のククルビツリル誘導体と、末端置換基を有する粒子型高分子Pとの間のスルファニル結合の形成によって得られ、具体的には、チオール基を有する高分子Pと、化学式1で、Rがアリルオキシ基であるククルビツリル誘導体と間のラジカル反応によって得られる。このとき、ラジカル反応は紫外線を照射するか、またはAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)のようなラジカル開始剤によって行われる。前記ラジカル反応に用いられうる溶媒は、メタノール、クロロホルムまたはアセトニトリルのような有機溶媒である。
【0024】
前記化学式1のククルビツリル誘導体が粒子型高分子と共有結合した、ククルビツリルが結合した高分子はまた、下記化学式4の化合物でありうる:
【0025】
【化4】

【0026】
前記化学式4の化合物は、前記化学式1のククルビツリル誘導体と高分子との間のアミノ結合の形成によって得られ、具体的には、置換もしくは非置換のアミノ基を末端に有する高分子Pと、化学式1でRがC〜Cのエポキシ基であるククルビツリル誘導体との間の反応によって得られうる。ここで、前記反応は、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下で、または塩基を使用せずに、50℃以上の高温で行われうる。
【0027】
前記アミノ結合の形成に用いられうる溶媒は、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの有機溶媒である。反応が完了した後、前記化学式4の化合物を1M塩酸水溶液で処理して、前記化学式4の化合物の残ったエポキシ基を加水分解させ、他の粒子型高分子と前記化学式4の化合物のククルビツリル誘導体とのアミノ結合が形成される。
【0028】
本発明の他の実施形態によれば、化学式1のククルビツリル誘導体と単量体との間の共重合によって得られる、下記化学式5または下記化学式6の高分子が提供される。
【0029】
【化5】

【0030】
式中、nおよびmはそれぞれ単量体単位であり、nは100ないし10,000の整数であり、mは10ないし5,000の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立してC〜C30の置換もしくは非置換のアリール基、カルボキシル基、C〜C30の置換もしくは非置換のヘテロ環基、C〜C20の置換もしくは非置換のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、C〜C10の置換もしくは非置換のアミノアルキル基、ヒドロキシル基、C〜C10の置換もしくは非置換のヒドロキシアルキル基、C〜C10の置換もしくは非置換のアルケニル基、または水素である。
【0031】
前記化学式5の化合物で用いられる前記化学式1のククルビツリル誘導体は、mが4ないし20である。前記化学式5の化合物で、Rが水素であり、Rがフェニル、カルボキシル、アミド、メチルエステル、またはピロリジノンである、および、Rがメチルであり、Rはカルボキシルまたはアミドであることが望ましい。
【0032】
前記化学式5の化合物は、前記化学式1で、Rがアリルオキシ基であるククルビツリル誘導体と、前記化学式5の単量体(RC=CH;RおよびRは、前記定義したところと同一)との共重合によって調製されうる。ここで、前記単量体は、前述のような置換基を有するアルケニドであり、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルピロリジノン、アクリル酸メチルエステル、ジビニルベンゼン、またはアクリルアミドである。前記化学式5の化合物は、アリルオキシククルビツリル1モルと前記単量体を5ないし50モルとを、適切な溶媒中でラジカル開始剤の存在下で、10ないし50時間撹拌して調製されうる。
【0033】
前記溶媒は水または有機溶媒でありうる。有機溶媒を使用する場合、アセトニトリルとトルエンとの100:0ないし1,000の混合物を使用でき、有機溶媒の組成は、用途によって粒径を考慮して決定されうる。
【0034】
前記化学式5の化合物を調製するために用いられるラジカル開始剤は、多種のラジカル開始剤から選択でき、望ましくは、AIBN、K、(NH、または過酸化ベンゾイルを使用できる。前記共重合は、60ないし80℃の高温で、窒素またはアルゴン雰囲気下で行われうる。
【0035】
前記化学式5の化合物を調製するための共重合には、例えば、ラジカル反応、グラッブス触媒反応、またはメタロセン反応などの一般的な二重結合の共重合を制限なく使用できる。
【0036】
【化6】

【0037】
式中、AはNHまたはOであり、nは1ないし8の整数であり、aは10ないし2,000の整数であり、bおよびcは単量体単位の数を表し、それぞれ独立して100ないし10,000の整数である。
【0038】
前記化学式6の高分子は、前記化学式1で、RがC〜Cのアルキル部分を有するアミノアルキルオキシ基またはC〜Cのアルキル部分を有するヒドロキシアルキルオキシ基であるククルビツリル誘導体と、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンとの間の共重合によって調製されうる。前記共重合は、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムスルホキシド、エタノール、および水のような溶媒中で行われうる。塩基は、ピリジン、トリエチルアミンまたは炭酸カリウムでありうる。塩基が存在しない場合、共重合は30ないし60℃で行われうる。
【0039】
前記化学式5および化学式6の化合物に加えて、多様なククルビツリルを含む高分子が、多様なククルビツリル誘導体と多様な単量体との公知の共重合によって調製されうるということは、当業者ならば理解できるであろう。
【0040】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式5または化学式6の高分子でコーティングされたアルミナ、シリカゲルまたは酸化チタンが提供される。
【0041】
用途によって選択された前記化学式5もしくは前記化学式6の高分子を溶媒に溶解し、シリカゲル、酸化チタンまたはアルミナを反応溶液に入れ、20ないし40時間密閉された状態で撹拌する。得られた溶液を遠心分離または濾過することによって高分子溶液を除去し、残っているシリカゲル、アルミナまたは酸化チタンを先に使用した溶媒で数回洗浄する。溶媒は、アセトニトリル、アセトン、水、およびジメチルスルホキシドから選択されうる。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式5の高分子が酸化チタン、アルミナまたはシリカゲルに共有結合した、下記化学式7の化合物が提供される:
【0043】
【化7】

【0044】
式中、nおよびmは、それぞれ単量体単位の数であり、nは100ないし10,000の整数であり、mは10ないし5,000の整数である。前記化学式1で、nが4ないし20の整数であるククルビツリル誘導体が用いられた。前記化学式7で、Rは、それぞれ独立してC〜C30の置換もしくは非置換のアリール基、カルボキシル基、C〜C30の置換もしくは非置換のヘテロ環基、C〜C20の置換もしくは非置換のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、C〜C10のアミノアルキル基、または水素であり、Xは、Si、Al、またはTiであり、Zは、アミド、エステル、エーテル、ウレア、チオウレア、アミン、またはエーテルである。
【0045】
前記化学式7で、XがSiであるシリカゲルの調製のためには、末端にアミン、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、ヒドロキシ、またはカルボン酸などの炭素数3ないし10の官能基を有するシリカゲルと、前記化学式5で、Rがそれぞれカルボキシル基、炭素数2ないし10のアミン、ヒドロキシル基、またはアルケニル基である高分子とが使用されうる。高分子およびシリカゲルは通常の共有結合によって適切に連結されうる。
【0046】
例えば、XがSiである化学式7のシリカゲルは、アミノプロピル基を有するシリカゲルと、Rがカルボキシル基である化学式5のククルビツリルを含む高分子との間のアミド結合の形成によって調製されうる。
【0047】
前記アミド結合の形成は、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドの存在下で、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルスルホキシドまたは水などの溶媒中で、2ないし20時間撹拌して行われうる。前記化学式7のシリカゲルの上述の調製方法は、アルミナの調製に適用されうる。すなわち、前記化学式7でXがAlであるアルミナは、アミノプロピル基を有するアルミナと前記化学式5のククルビツリルを含む高分子との間のアミド結合の形成によって調製されうる。かような方法で、前記化学式7でXがTiである酸化チタンも調製可能である。また、上述の方法は、ククルビツリルの誘導体またはククルビツリルを含む高分子と共有結合したガラスウール、ろ紙、またはセルロースのような多様なフィルタ材料の調製に応用できる。
【0048】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式5または前記化学式6の高分子を含むモノリシックカラムとその製造方法とが提供される。
【0049】
本発明によれば、高分子のみを含むモノリシックカラムは、以下のように調製されうる:はじめに、C〜C20の置換または非置換のアルケニル基を有する単量体と、前記化学式1でRがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビツリルとを溶媒に溶解させる。次いで、この溶液に、高分子の孔径を決定するポロゲンを入れる。続いて、反応物質の全重量に対して0.2〜5重量%のラジカル開始剤を加える。一端を密閉した直径4ないし12mm、長さ30ないし100mmのステンレス鋼のカラム管に反応溶液を入れ、ステンレス鋼のカラム管の他端を密閉し、その後反応溶液を60ないし80℃で15ないし30時間撹拌する。反応終了後、ステンレス鋼のカラム管をイソプロパノール、メタノール、または水のような溶媒で、0.1〜10mL/分の速度で流して洗浄し、本発明のモノリシックカラムが完成する。ここで用いられる単量体は、C〜C20の置換または非置換のアルケニル基を有する化合物であり、望ましくは、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、ビニルピロリジノン、スチレン、メチレンビスアクリルアミド、およびメタクリルブチルエステルから選択される1以上である。溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドでありうる。ポロゲンは、C〜C18の1級アルコール、塩化メチレン、またはクロロホルムであり、ラジカル開始剤は、AIBN、K、過硫酸アンモニウム、または過酸化ベンゾイルでありうる。
【0050】
本発明によるモノリシックカラムは、以下のようにも調製されうる:C〜C20のアルケニル基を有するシランのアセトン溶液を毛細管の内部に10ないし30分間流し、前記毛細管の両端を密閉する。10ないし30時間放置した後、前記毛細管の内部をアセトンと水とで洗浄する。ラジカル開始剤、アルケニル基を有する単量体、および前記化学式1でRがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビツリルを、水または水とアセトンとの混合溶媒に溶解させ、前記毛細管に加える。前記毛細管の両端を密閉して常温で10ないし30時間で重合させる。次に、水、メタノール、またはアセトニトリルなどの溶媒で前記毛細管を洗浄し、モノリシックカラムを完成させる。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式2ないし6の高分子から選択される高分子を用いたカラムクロマトグラフィ用固定相が提供される。
【0052】
前記化学式2ないし6で示したように、ククルビツリルを含む高分子は、ククルビツリル誘導体の、多様な置換基を有する高分子粒子との共有結合によって、またはククルビツリル誘導体と多種の単量体との間の共重合によって調製されうる。このように調製されたククルビツリルを含む高分子を、シリカゲル、アルミナ、もしくは酸化チタンにコーティングするか、または共有結合させることができる。
【0053】
前記化学式2ないし6から選択されるククルビツリルを含む高分子、前記ククルビツリルを含む高分子が連結したシリカゲル、アルミナ、または酸化チタンをカラムクロマトグラフィ用カラム管に充填してカラムの固定相が調製される。前記ククルビツリルを含む高分子は、直接カラムクロマトグラフィ用固定相として用いられうる。前記ククルビツリルを含む高分子をコーティングさせるか、もしくは共有結合させたシリカゲル、アルミナ、または酸化チタンもまた、カラムクロマトグラフィ用固定相として用いられうる。このように調製されたカラムクロマトグラフィ用固定相は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)、ガスクロマトグラフィ(GC:Gas Chromatography)、キャピラリー電気泳動(CE:Capillary Electrophoresis)、またはキャピラリー電気クロマトグラフィ(CEC)のようなカラムクロマトグラフィのカラム充填剤として直接利用できる。したがって、かかるカラムクロマトグラフィは、アルカリ金属とその同位元素との分離;重金属の除去および分離;水質汚染物質および大気汚染物質の除去;蛋白質およびポリペプチドなどの生体物質の分離ならびに精製などに有用に使用可能である。
【0054】
本明細書中で用いられる置換基は以下のように定義される。アルキル基は、直鎖または分岐のC〜C20のラジカルを意味し、望ましくは、C〜C12の直鎖または分岐のラジカルである。さらに望ましくは、アルキル基は、C〜Cの低級アルキルである。かようなアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、iso−アミル、およびヘキシルが挙げられる。C〜Cの低級アルキルラジカルがさらに望ましい。アルキル基上の1以上の水素原子、望ましくは、1ないし5個の水素原子は、ハロゲン原子、アミノ基、C〜C10のアルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、C〜C10のアルコキシ基、C〜C10のアルケニル基、C〜C36のヘテロ環基、C〜C30のアリール基またはC〜C30のヘテロアリール基で置換されうる。
【0055】
本明細書中で用いられるアリール基は、単独または組み合わせて用いられ、一つ以上の環を含むC〜C30の炭素環式芳香族系を意味する。前記環は、ペンダント基として互いに接するか、または縮合されうる。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルのような芳香族ラジカルを含む。望ましくは、フェニルである。アリール基上の一つ以上の水素原子、望ましくは、1ないし5個の水素原子は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、C〜C10のアルキルアミノ基、C〜C10のアルキル基、C〜C10のハロアルキル基、C〜C10のアルコキシ基、またはC〜C10のアルケニル基で置換されうる。
【0056】
本明細書中で用いられるヘテロ環基は、飽和、部分的飽和または不飽和の、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび酸素から選択されるヘテロ原子を含むC〜C30の環状ラジカルを意味する。飽和ヘテロ環ラジカルの例としては、1ないし4の窒素原子を含む飽和の3員環ないし6員環のヘテロ単環基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジノ、ピペラジニル)、1または2の酸素原子および1ないし3の窒素原子を含む飽和の3員環ないし6員環のヘテロ単環基(例えば、モルフォリニル)、ならびに1または2の硫黄原子および1ないし3の窒素原子を含む飽和の3員環ないし6員環のヘテロ単環基(例えば、チアゾリニリル)が挙げられる。部分飽和ヘテロ環ラジカルの例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、およびジヒドロチアゾールが挙げられる。ヘテロアリール基としても称される不飽和ヘテロ環基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、およびトリアゾリルのような1ないし4の窒素原子を含む不飽和の5員環または6員環のヘテロ単環基(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル);インドリル、イソインドリル、インドリルジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、およびテトラゾロピリダジニルのような1ないし5の窒素原子を含む不飽和の縮合ヘテロ環基(例えば、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル);ピラニル、2−フリル、および3−フリルのような酸素を含む不飽和の3員環ないし6員環のヘテロ単環基;2−チエニル、3−チエニルのような硫黄原子を含む不飽和の5員環または6員環のヘテロ単環基;オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリルのような1または2の酸素原子および1ないし3の窒素原子を含む不飽和の5員環または6員環のヘテロ単環基(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル);1または2の酸素原子および1ないし3の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基(例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル);チアゾリル、およびチアジアゾリルのような1ないし2の硫黄原子および1ないし3の窒素原子を含む不飽和の5員環または6員環のヘテロ単環基(例えば、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル);ならびに1または2の硫黄原子および1ないし3の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル)などを挙げることができる。前記へテロ環基は、アリールラジカルと縮合したヘテロ環ラジカルを含む。かような縮合した二環式ラジカルの例としては、ベンゾフラン、およびベンゾチオフェンなどを挙げることができる。前記ヘテロ環基は、低級アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシ、オキソ、アミノおよび低級アルキルアミノから選択される1ないし3の置換基を有することができる。望ましいヘテロ環ラジカルは、5員環ないし10員環の縮合または非縮合ラジカルを含む。さらに望ましいヘテロアリール基の例としては、ベンゾフリル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ジヒドロインドリル、クロマニル、ベンゾピラン、チオクロマニル、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ピリジル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、フリル、およびピラジニルが挙げられる。さらに望ましいヘテロアリールラジカルは、硫黄、窒素および酸素から選択された一つ以上のヘテロ原子を含み、チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピペリジニルおよびピラジニルから選択された5員環または6員環のヘテロアリールである。
【0057】
本明細書中で用いられるアルケニル基は、炭素−炭素二重結合を含有するC〜C20の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素を意味する。望ましいアルケニル基は、2ないし12個の炭素原子を有し、さらに望ましくは、2ないし6個の炭素原子を有する。分岐のアルケニル基は、一つ以上の低級アルキルまたは低級アルケニル基が付いた直鎖アルケニル基を意味する。かかるアルケニル基は、非置換であるか、または1以上のハロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホルミル、スルホ、スルフィノ、カルバモイル、アミノおよびイミノで置換されうるが、それらに制限されない。アルケニル基の例としては、エテニル、プロフェニル、カルボキシエテニル、カルボキシプロフェニル、スルフィノエテニルおよびスルフォノエテニルが挙げられる。
【0058】
本発明に従って、当業者は、ククルビツリルを含む高分子の調製方法、前記高分子を利用したカラム充填剤の合成方法と、およびカラムクロマトグラフィ用固定相の調製方法とについて、多様な変化がなされうることを理解することができるであろう。
【0059】
本発明による多様な高分子の合成方法とモノリシックカラムの製造法とを、さらに具体的に説明するために、本発明は以下に実施例を提供する。
【実施例】
【0060】
実施例
実施例1:ククルビツリルがエーテル結合で連結された粒子型高分子の調製
Merrifield polymer粒子(100ないし200メッシュ、1mmol/g Cl)1g(1mmol)を120mLのジメチルスルホキシドに加え、20時間撹拌した。前記化学式1でn=6であり、Rが2−ヒドロキシエチルオキシ基である2−ヒドロキシエチルオキシククルビト[6]ウリル17g(10mmol)を入れた後、炭酸カリウム276mg(2mmol)を加え、60℃で20時間撹拌した。反応終了後、得られた溶液をジメチルスルホキシド、水、メタノール、アセトン、およびジエチルエーテルでそれぞれ二回ずつ洗浄し、105mmol/gの前記化学式2で表されるククルビツリルがエーテル結合で連結された粒子型高分子を得た。
【0061】
13C−CP MAS NMR(300MHz):δ 154.2、143.2、139.5、133.2、128.4、120.5、119.3、118.7、98.5、69.5、43.2、42.2,39.6、29.5.
元素分析:C 83.03%、N 3.38%、H 7.01%。
【0062】
実施例2:ククルビツリルとスチレンとが共重合された高分子の調製
前記化学式1でn=6でありRがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビト[6]ウリル170mg(0.1mmol)とスチレン120μmとをアセトン5mLと水5mLとの混合溶媒に溶解させ、反応溶液にK 3mgを加え、窒素雰囲気下で75℃で24時間撹拌した。反応が終了した後、得られた溶液を水、アセトン、メタノール、およびジエチルエーテルでそれぞれ三回ずつ洗浄し、前記化学式5でRが水素であり、Rがフェニル基であるククルビツリルとスチレンとの共重合体200mmol/gを得た。
【0063】
13C−CP MAS NMR(300MHz):δ 156.1、146.2、143.3、140.5、138.5、131.9、128.4、122.5、119.3、117.3、97.4、71.2、68.5、48.2、42.2,39.6、29.5.
元素分析:C 82.03%、N 6.71%、H 8.71%。
【0064】
実施例3:ククルビツリルを含む高分子でコーティングされたシリカゲルの調製
前記実施例2で調製した、前記化学式5でRが水素であり、Rはフェニル基であるククルビツリルとスチレンとの共重合体200mgを5mLのジメチルスルホキシドに溶解し、シリカゲル100mgを反応混合物に加えた。反応混合物を入れた反応容器に窒素を充填させて密閉し、24時間撹拌した。反応が終結した後、遠心分離によって溶媒および溶媒に溶解した高分子を除去した。シリカゲルをジメチルスルホキシド、水、メタノール、アセトン、およびエーテルでそれぞれ二回ずつ遠心分離器中で洗浄し、ククルビツリルを含む高分子でコーティングされたシリカゲルを得た。
【0065】
実施例4:ククルビツリルを含む高分子が共有結合したシリカゲルの調製
前記化学式5でRが水素であり、Rはカルボキシル基である、ククルビツリルとアクリル酸との共重合体100mg(3.15mmol/gのカルボン酸、315mmol)を、ジメチルスルホキシド10mLに溶解させた。アミノプロピル基を有するシリカゲル100mg(1.35mmol/gのアミン基、135mmol)、次いで1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド39mg(200mmol)を反応混合物に加え、常温で20時間撹拌した。反応が終わった後、得られた溶液をジメチルスルホキシド、水、メタノール、アセトン、およびジエチルエーテルでそれぞれ三回ずつ洗浄し、化学式7でXがSiであるククルビツリルを含む高分子が共有結合したシリカゲル458mmol/gを得た。
【0066】
13C−CP MAS NMR(300MHz):δ 184.5、156.1、138.5、122.5、119.3、97.4、71.2、42.2、29.5.
元素分析:C 31.83%、N 16.43%、H 6.71%。
【0067】
実施例5:ククルビツリルを含む共重合体を有する毛細管モノリシックカラムの調製
直径が100μmであり、長さが50cmである毛細管の内部を0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液、0.2Mの塩酸水溶液、および蒸溜水をそれぞれ30分間順次に流して洗浄した。次いで、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの30体積%のアセトン溶液を毛細管に15分間流した。前記毛細管の両端を密閉して、前記毛細管を常温で15時間放置した。毛細管の内部をメタノールと水とで洗浄した。ピペラジンジアクリルアミド0.2mg(0.001mmol)、アクリルアミド7.1mg(0.1mmol)、前記化学式1でn=6であり、Rがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビト[6]ウリル17mg(0.01mmol)をpH7の50mMのリン酸緩衝液3mLに溶解させた後、窒素ガスで空気を除去し、10μmの10%過硫酸アンモニウムと10μmの10%テトラメチルエチレンジアミドとを加えた。反応溶液を毛細管の内部に充填して毛細管の両端を密閉し、常温で20時間放置した。共重合が終結した後、蒸溜水を30分間150barの圧力で毛細管に流して洗浄し、ククルビツリルを含む共重合体を有する毛細管モノリシックカラムを得た。
【0068】
実施例6:ククルビツリルを含む高分子を有するカラムの調製
シリカゲルがククルビツリルを含む高分子に共有結合した、前記化学式2のククルビツリルを含む高分子が結合したシリカゲル400mgをメタノール10mLに加えた。直径8mm、長さが4.5cmのカラム管を10分間高周波で処理し、カラム管の一端をガラスウールで封じた。上記で調製した反応溶液をカラム管に流して、ククルビツリルを含む高分子が連結したシリカゲルから選択される固定相で充填されたカラム管を形成した。固定相が充填されたカラム管をメタノール、アセトン、およびジエチルエーテルで数回洗浄して乾燥し、カラムクロマトグラフィ用カラムを得た。
【0069】
産業上の利用可能性
ククルビツリルはホスト分子として、水溶液中で多種のゲスト分子と優秀な非共有結合能力を示す。したがって、かかるククルビツリルを含む高分子は、逆相カラムクロマトグラフィの固定相、またはその適用の幅が急速に広がっているモノリシックカラムとして用いられうる。本発明に従って調製された固定相は、現在入手できるククルビツリルが結合したシリカゲルに比べて、汚染物質、イオン性物質、生体物質、有機および無機物質、ならびに金属イオンのようなさまざまな水溶性物質の除去または分離により効果的に用いられうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性末端置換基を有する粒子型高分子が下記化学式1のククルビツリルに共有結合によって連結された高分子:
【化1】

式中、nは4ないし20の整数であり、Rは、それぞれ独立して、末端が不飽和結合であるC〜C20の置換もしくは非置換のアルケニルオキシ基、C〜C20の置換もしくは非置換のアルキル部分を有するカルボキシアルキルスルファニルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するカルボキシアルキルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するアミノアルキルオキシ基、C〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するヒドロキシアルキルオキシ基、またはC〜Cの置換もしくは非置換のアルキル部分を有するエポキシアルキルオキシ基である。
【請求項2】
前記反応性末端置換基がハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、またはチオイソシアネート基である、請求項1に記載の高分子。
【請求項3】
前記反応性末端置換基を有する粒子型高分子がMerrifield polymerまたはXAD polymerである、請求項1に記載の高分子。
【請求項4】
前記粒子型高分子の平均粒径が5ないし300μmである、請求項1に記載の高分子。
【請求項5】
前記共有結合がエーテル結合、スルファニル結合、アミノ結合、エステル結合、アミド結合、チオアミド結合、またはウレア結合である、請求項1に記載の高分子。
【請求項6】
下記化学式2の構造を有する化合物である、請求項1に記載の高分子:
【化2】

式中、Pは高分子残基である。
【請求項7】
下記化学式3の構造を有する化合物である、請求項1に記載の高分子:
【化3】

式中、Pは高分子残基である。
【請求項8】
下記化学式4の構造を有する化合物である、請求項1に記載の高分子:
【化4】

式中、Pは高分子残基である。
【請求項9】
請求項1に記載の化学式1のククルビツリル誘導体がC〜C20の置換または非置換のアルケニル基を有する単量体と共重合された高分子。
【請求項10】
下記化学式5の構造を有する化合物である、請求項9に記載の高分子:
【化5】

式中、nは100ないし10,000の整数であり、mは10ないし5,000の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立してC〜C30の置換もしくは非置換のアリール基、カルボキシル基、C〜C30の置換もしくは非置換のヘテロ環基、C〜C20の置換もしくは非置換のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、C〜C10の置換もしくは非置換のアミノアルキル基、ヒドロキシル基、C〜C10の置換もしくは非置換のヒドロキシアルキル基、C〜C10の置換もしくは非置換のアルケニル基、または水素である。
【請求項11】
がアリルオキシ基である請求項1に記載の化学式1のククルビツリル誘導体がC〜C20の置換または非置換のアルケニル基を有する単量体と共重合された請求項10に記載の高分子。
【請求項12】
下記化学式6の構造を有する化合物である、請求項9に記載の高分子:
【化6】

式中、AはNHまたはOであり、nは1ないし8の整数であり、aは10ないし2,000の整数であり、bおよびcはそれぞれ独立して100ないし10,000の整数である。
【請求項13】
が、C〜Cのアルキル部分を有するアミノアルキルオキシ基またはヒドロキシアルキルオキシ基である請求項1に記載の化学式1のククルビツリル誘導体が、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンと塩基の存在下で共重合された請求項12に記載の高分子。
【請求項14】
下記化学式7の高分子:
【化7】

式中、nは100ないし10,000の整数であり、mは10ないし5,000の整数であり、Zは、アミド結合、エステル結合、ウレア結合、チオウレア結合、アミン結合、またはエーテル結合であり、RはC〜C10の置換もしくは非置換のアルキル基、C〜C30の置換もしくは非置換のアリール基、カルボキシル基、C〜C30の置換もしくは非置換のヘテロ環基、または水素であり、Xは、Si、Al、またはTiである。
【請求項15】
請求項14に記載の化学式7の高分子がガラスウール、フィルタまたはセルロースに共有結合されたフィルタ材料。
【請求項16】
〜C20の置換または非置換のアルケニル部分を有する単量体と、請求項1に記載の化学式1で、Rがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビツリルとを溶媒に溶かして溶液を得て、
前記溶液にポロゲンを、次いで反応物質の全重量に対して0.2ないし5重量%のラジカル開始剤を入れ、
一端を密閉したカラム管に反応溶液を入れ、カラム管の他端を密閉し、
60ないし80℃で15ないし30時間撹拌し、そして
前記カラム管を洗浄する、
を含む工程によって得られたモノリシックカラム。
【請求項17】
前記単量体がアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、ビニルピロリジノン、スチレン、メチレンビスアクリルアミドおよびメタクリルブチルエステルからなる群から選択される一つ以上である、請求項16に記載のモノリシックカラム。
【請求項18】
前記ポロゲンがC〜C18の1級アルコール、塩化メチレン、またはクロロホルムである、請求項16に記載のモノリシックカラム。
【請求項19】
前記ラジカル開始剤がAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、K、過硫酸アンモニウム、または過酸化ベンゾイルである、請求項16に記載のモノリシックカラム。
【請求項20】
〜C20の置換または非置換のアルケニル基を有するシランのアセトン溶液を毛細管の内部に10ないし30分間流し、
前記毛細管の両端を密閉して前記毛細管を10ないし30時間放置し、
前記毛細管の内部をアセトンと水とで洗浄し、
ラジカル開始剤、C〜C20の置換もしくは非置換のアルケニル基を有する単量体、および請求項1に記載の化学式1の化合物でRがアリルオキシ基であるアリルオキシククルビツリルを、水または水とアセトンとの混合溶媒に溶解させ、反応溶液を前記毛細管に加え、
前記毛細管の両端を密閉して前記毛細管を常温で10ないし30時間放置して共重合させ、そして
前記毛細管を洗浄する、
を含む工程によって得られたモノリシックカラム。
【請求項21】
前記単量体がアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、ビニルピロリジノン、スチレン、メチレンビスアクリルアミドおよびメタアクリルブチルエステルからなる群から選択される一つ以上である、請求項20に記載のモノリシックカラム。
【請求項22】
前記ラジカル開始剤がAIBN、K、過硫酸アンモニウム、または過酸化ベンゾイルである、請求項20に記載のモノリシックカラム。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の高分子を用いたカラムクロマトグラフィ用固定相。

【公表番号】特表2007−500763(P2007−500763A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521782(P2006−521782)
【出願日】平成16年7月24日(2004.7.24)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001845
【国際公開番号】WO2005/010058
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500345478)ポステック・ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】