説明

クッション性のあるタイルカーペット

【課題】オフィス、ホテル、公共施設等の床材に要求される軽量で、快適な歩行性を確保するためのクッション性優れたタイルカーペットを提供すること。
【解決手段】パイル布帛からなる表面パイル層2と、補強層3と、裏打ち層4の3層が接着樹脂層5を介して接着一体化されてなるタイルカーペット1において、前記裏打ち層が低透湿性能を有する不織布6とクッション性のある不織布7が、ニードルパンチ加工にて積層一体化されて、前記低透湿性能を有する不織布が前記補強層との接着面側に配置することにより、軽量で歩行するのに良好な圧縮弾性率を有するタイルカーペット及びその効率の良い製造方法が得られることを見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル布帛からなる表面パイル層の裏面に、補強層と、クッション性のある不織布と低透湿性能を有する不織布が、ニードルパンチ加工にて積層一体化された構成からなる裏打ち層が裏打ちされたタイルカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイルカーペットは、敷設施工し易い、持ち運びが容易、部分的な取換えが容易、色や形状の組み合わせによる意匠性に優れているなどの長所を有しており、これまでにオフィス、ホテル、公共施設等の床材として使用されてきたが、近年、さらに床材に対する要求品質は上昇する一方で、施工、運搬の容易性を向上するための軽量化や、快適な歩行性を確保するためのクッション性が求められている。
【0003】
前記課題を解決するために、従来タイルカーペットの裏打ち層として使用されてきた重いバッキング材であるアスファルト、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などの熱可塑性樹脂に代えて.特許文献1では、軽量で、クッション性を付与するために、ポリウレタン系弾性発泡体からなる裏打ち層を積層したものが開示されているが、軽量でクッション性はあるものの、カーペットからなる表面材と前記裏面材との接着は、ポリウレタン系弾性発泡体の原液を全面に塗布しつつ一体化する方法で、大規模な加工設備を必要とし、またタイルカーペットに通気性が無く、使用時に床と床材との間に湿気がこもっていくという問題があった。
【0004】
また、特許文献2では、裏打ち層として、厚さ2mm〜10mm、密度0.05〜0.15g/cmの不織布を積層したものが開示されているが、軽量化は図れるものの、表面パイル層と前記不織布とを積層一体化するための接着樹脂が、前記不織布に多量に含浸し、積層一体化するために多くの接着樹脂を必要とし、接着樹脂が含浸した前記不織布はクッション性を失い、快適な歩行性を確保するタイルカーペットではなかった。また、へたりが早く、耐久性のあるクッション性は得られなかった。
【0005】
これらの発明は、クッション性のあるタイルカーペットとしての発明であるが、本発明のように、大規模な加工設備を必要とせず、また、大量の接着樹脂を必要とせず、軽量で、適度な通気性を有し、長期間使用してもへたりの無い、耐久性のあるクッション性を持つタイルカーペットは未だ開示されていない。
【特許文献1】特開平4−122214号公報
【特許文献2】特開平10−61158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題を解決し、オフィス、ホテル、公共施設等の床材に要求される軽量で、快適な歩行性を確保するためのクッション性に優れたタイルカーペットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布や織布からなる補強層と、裏打ち層の3層が接着樹脂層を介して接着一体化されてなるタイルカーペットにおいて、前記裏打ち層が低透湿性能を有する不織布とクッション性のある不織布が、ニードルパンチ加工にて積層一体化されて、前記低透湿性能を有する不織布が前記補強層との接着面側に配置されていること特徴とするタイルカーペット。
【0009】
[2]前記裏打ち層において、前記クッション性のある不織布は、天然繊維または合成繊維、およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の繊維で構成され、厚さが2.0〜7.0mmであり、厚さ方向の圧縮弾性率が80〜97%である前項1に記載のタイルカーペット。
【0010】
[3]前記裏打ち層において、前記低透湿性能を有する不織布が合成繊維からなる長繊維で構成され、厚さが0.1〜1.0mmであり、透湿度が500〜4000g/m2・24時間である前項1または2に記載のタイルカーペット。
【発明の効果】
【0011】
[1]の発明によれば、表面パイル層及び補強層の下側における裏打ち層がクッション性のある不織布からなるために、軽量かつ耐久性があるクッション性を持つタイルカーペットが得られ、快適な歩行性が確保することが可能となり、施工後に床と床材との間に湿気がこもらない適度な通気性に優れたタイルカーペットが得られる。また、前記裏打ち層が低透湿性能を有する不織布とクッション性のある不織布が、接着剤を用いないニードルパンチ加工にて積層一体化されているので、クッション性が損なわれない裏打ち層となる。さらに、前記低透湿性能を有する不織布が前記補強層との接着面側に配置されているので、前記補強層と前記裏打ち層を接着一体化するための接着樹脂が、前記クッション性のある不織布に含浸することがないので、前記クッション性のある不織布のクッション性を維持させることが可能となり、軽量で、快適な歩行性を確保するためのクッション性優れたタイルカーペットとすることができる。
【0012】
[2]の発明によれば、前記裏打ち層において、前記クッション性のある不織布は、厚さが2.0〜7.0mmであるために、周囲の部分と大きな段差が生じる事無く、また、厚さ方向の圧縮弾性率が80〜97%であるために、軽量で、快適な歩行性を確保するためのクッション性優れたタイルカーペットとすることができる。
【0013】
[3]の発明によれば、前記裏打ち層において、前記低透湿性能を有する不織布が合成繊維からなる長繊維で構成され、厚さが0.1〜1.0mmであることから、前記裏打ち層を嵩高にする事無く、透湿度が500〜4000g/m2・24時間であることから、前記補強層と前記裏打ち層を接着一体化するための接着樹脂が、接着一体化の加工時に圧力を与えた状態でも、前記クッション性のある不織布に含浸することを防ぐ遮蔽層とすることができる。さらに、使用時に床とタイルカーペットとの間に湿気がこもらない適度な通気性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、この発明に係わるタイルカーペットの一実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態のタイルカーペット(1)は、表面パイル層(2)の裏面に接着樹脂層(5)が積層され、該接着樹脂層(5)の中間に補強層(3)が挿入され、さらに、接着樹脂層(5)の裏面に裏打ち層(4)が積層され、該裏打ち層(4)は低透湿性能を有する不織布(6)とクッション性のある不織布(7)とが、ニードルパンチ加工にて積層一体化された構成からなるタイルカーペットである。図1は、本実施形態のタイルカーペットの一部を拡大して示す概略断面図である。
【0015】
本発明における表面パイル層(2)は、基布にパイル糸をタフティング等により植設したタフトカーペットを用いることが好ましく、また、短繊維ウェブをニードルパンチにより起毛させたニードルパンチカーペットや、表面が起毛されてなる織編布や立体織編布、通常の織編布を使用してもよい。
【0016】
表面パイル層(2)を構成するパイル素材としては、一般的にカーペット素材として使用しているものを用いればよく、ウール、麻、コットン等の天然繊維やポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維等が挙げられる。またパイルが植設される基布はポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維からなる織布や不織布を用いることが好ましい。なお、必要に応じて表面パイル層(2)における繊維の脱落を防止するために、表面パイル層(2)の下面にスチレン−ブタジエンゴム等のラテックス層を設けて繊維を固定しパイル抜けを防止することができる。
【0017】
本発明の補強層(3)はタイルカーペットの形状及び寸法安定性を向上させるものであって、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布、織布、組布等が使用され、不織布としてはモノフィラメントを不規則に配列してバインダー又は熱で固定したもの、織布としてはモノフィラメントの束を織ったもの、組布としてはモノフィラメントの束を縦横斜めに配列してバインダーで固定したものを用いることができる。この補強層(3)は、接着樹脂層(5)の中間に配置される。これらの不織布、織布、組布等は、形状及び寸法安定性を向上させると同時に、通気性が高く、タイルカーペットに高い通気量を付与することができる。
【0018】
形状及び寸法安定性の観点から、中でもガラス又はポリエステル系不織布が好ましく、該ガラス又はポリエステル系不織布は、上下樹脂層の層間に挿入することにより、タイルカーペットの形状安定性を向上させるものである。即ち、前記ガラス又はポリエステル系不織布は樹脂層との接触面積が大であるので、有効にカーペットの形状を安定化することが可能である。この点から目付け量は、好ましくはガラス系不織布では15〜60g/mの範囲とし、ポリエステル系不織布では20〜100g/mの範囲である。いずれもこの範囲より低い目付け量では、寸法安定性の効果が不足し、またこの範囲を超える高い目付け量では、いずれも裏打ち層(4)と不織布間の層間剥離が生じ易く好ましくない。
【0019】
本発明における裏打ち層(4)は、タイルカーペット(1)の寸法安定性を確保し、タイルカーペット(1)にクッション性を付与する役割を果たすものであり、不織布が最適に使用される。本発明の裏打ち層(4)は低透湿性能を有する不織布(6)とクッション性のある不織布(7)で構成されている。
【0020】
本発明において、前記低透湿性能を有する不織布(6)はスパンボンド不織布を用いる必要がある。前記スパンボンド不織布は、溶融押出機で溶融紡糸等した長繊維を堆積させ、これをエンボスローラーによって長繊維の溶融温度以上の温度で加熱圧接することによって、薄いシート状に作成されるものであり、繊維の拘束点が増える為、低透湿性能を有する不織布となる。また、均一性に優れた繊維ウェブにより安定した強度と剛性を有し、寸法安定性に優れた補強材としての効果も有する不織布となる

【0021】
前記低透湿性能を有する不織布(6)を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維等からなる長繊維が挙げられるが、熱による寸法変化の少ないポリエステル繊維が好ましい。また、構成する繊維の平均繊維径は10〜80μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。80μmを超えると、繊維組織が粗く、透湿性能が高くなり過ぎて、接着樹脂層(5)を構成する接着樹脂が下層の前記クッション性のある不織布(7)まで浸透し、多量の接着樹脂が必要となり、また、前記クッション性のある不織布(7)のクッション性が損なわれる結果となる。一方、10μm未満では、繊維組織が緻密過ぎて通気性が無くなる場合がある。
【0022】
前記低透湿性能を有する不織布(6)の厚さは0.1〜1.0mmが好ましく、この範囲であれば、タイルカーペット(1)が嵩高になることなく、好適に寸法安定性を付与し、さらに前記クッション性のある不織布(7)のクッション性を減少させる事が無い。より好ましくは0.3〜0.7mmである。厚さが1.0mmを超える場合は嵩高になりすぎ、歩行が不安定になり、タイルカーペット(1)のクッション性が損なわれる。また、0.1mmを下回れば透湿性能が発揮されず、接着樹脂層(5)を構成する接着剤が前記クッション性のある不織布(7)の表面にまで染み出す可能性が生じる。また、厚さがその範囲であれば、前記低透湿性能を有する不織布(6)の目付は30〜120g/mとなり軽量なタイルカーペット(1)となる。
【0023】
前記低透湿性能を有する不織布(6)の透湿度は500〜4000g/m・24時間であり、前記補強層(3)と前記裏打ち層(4)を接着一体化するための接着樹脂が、接着一体化の加工時に圧力を与えた状態でも、前記低透湿性能を有する不織布(6)が前記補強層(3)との接着面側に配置されているので、前記クッション性のある不織布に含浸することを防ぐ遮蔽層とすることができる。その結果、接着樹脂を大量に使用することなく接着させることが可能となり、前記クッション性のある不織布に含浸することがないので、前記クッション性のある不織布のクッション性を維持させることが可能となる。また、該透湿度の範囲であれば、使用時に床とタイルカーペット(1)との間に湿気がこもらない適度な通気性を維持することができる。透湿度が500g/m・24時間に満たないと、使用時に床とタイルカーペット(1)との間に湿気がこもっていくという問題がり、4000g/m・24時間を超えると、接着一体化の加工時に圧力を与えた状態でも、前記補強層と前記裏打ち層を接着一体化するための接着樹脂が、前記クッション性のある不織布に含浸する。
【0024】
前記クッション性のある不織布(7)を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維等または羊毛、木綿等の天然繊維等を単一または複数混合したものを挙げられるが、熱による寸法変化の少ないポリエステル繊維が好ましい。不織布の種類としては、短繊維フェルト、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられるが、クッション性及び通気性を考慮すればニードルパンチ不織布が好ましい。
【0025】
また、前記クッション性のある不織布(7)は、厚さが2.0〜7.0mmと歩行に好適な裏打ち層(3)を形成している。この範囲であれば、タイルカーペット(1)に好適に寸法安定性及びクッション性を付与することができる。好ましくは4.0〜6.0mmである。厚さが2.0mmに満たないと好適な寸法安定性及びクッション性が得られず、7.0mmを超えると歩行が不安定なタイルカーペット(1)となる。またこの範囲であれば、重量は100〜800g/mとなり、従来のタイルカーペットと比較して格段に軽量化され、施工や運搬の容易性を向上されたタイルカーペット(1)となる。
【0026】
また、前記クッション性のある不織布(7)においては、繊維が3次元的に絡合している構造により、クッション性が発現し、軽量で快適な歩行性が確保できるタイルカーペット(1)が得られる。前記クッション性のある不織布(7)の圧縮弾性率は80〜97%であり、80%未満であると快適な歩行性が低下し、97%を超えるとクッション性が低下する。
【0027】
さらに、前記前記クッション性のある不織布(7)は繊維が3次元的に絡合している構造により、厚さ方向の通気度は1〜50(cm3/cm2・秒)を有し、床とタイルカーペット(1)との間に湿気がこもる事の無い通気性を確保できる。
【0028】
本発明の裏打ち層(4)を構成する低透湿性能を有する不織布(6)とクッション性のある不織布(7)はニードルパンチ加工にて積層一体化されていることを特徴とする。接着剤を用いないことにより、クッション性のある不織布(7)の好適なクッション性は維持される。また、引張強度が高く、寸法安定性に優れたスパンボンド不織布からなる低透湿性能を有する不織布(6)の補強効果で、クッション性のある不織布(7)の繊維が3次元的に絡合している構造が保持され、形状の安定した、好適な通気度を有し、クッション性のある裏打ち層(4)となる。
【0029】
本発明における表面パイル層(2)と、補強層(3)と裏打ち層(4)とを一体化させる接着樹脂層(5)は、公知の素材から構成することができ、例えば、樹脂ペースト塩化ビニル系樹脂からなるPVCベース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるEVAベース、APP樹脂からなるAPPベース、イソシアネート、及びポリオール等からなるPURベース等を用いることができる。加工性、経済性からPVCベースが好ましく、PVCベースとはポリ塩化ビニルからなるPVC系ゾルとワックスからなる可塑剤との混合物ゾルに充填剤、安定剤、顔料等の所要の添加剤を配合したペースト状物であり、加熱によってゲル化して均質な接着樹脂層(5)を形成する。
【0030】
前記塩化ビニルからなるPVC系ゾルの190℃での溶融粘度は300〜30000cPの範囲にあり、表面パイル層(2)へ十分に塗布含浸し糸抜け止性の優れたタイルカーペットとなる。また、前記塩化ビニルの強い材料強度により、収縮が発生しにくい優れたタイルカーペットとなる。
【0031】
本発明における接着樹脂層(5)は前記補強層(3)の上層、下層に配置され、総塗布量は500〜1000g/mが好ましい。500g/mを下回れば接着強度が不足し、1000g/mを上回れば。施工や運搬の容易性を向上された軽量化されたタイルカーペット(1)とはならない。
【0032】
次に本発明のタイルカーペット(1)の製造方法を以下に示す。まず始めに、クッション性のある不織布(7)となるニードルパンチ不織布に低透湿性能を有する不織布(6)となるスパンボンドを公知のニードルパンチ加工機によって接着一体化し裏打ち層(4)を準備する。
【0033】
そして次に、図2で示すように所定の速度で移動するベルトの上に、低透湿性能を有する不織布(6)面を上に裏打ち層(4)を乗せ、その上に接着樹脂層(5)を構成する組成物を1.0〜2.0mmの厚さに塗布し、補強層(3)としてガラス又はポリエステル系不織布をその上に貼リ合わせ、更に接着樹脂層(5)を構成する組成物を1.0〜2.0mmの厚さに塗布し、その上に表面パイル層(2)を積層し、次いでロール圧着し一体化させて、前記接着樹脂層(5)を構成する組成物をキュアさせるゲル化が達成されるのに十分な温度と時間を与えた後に、冷却工程を経て、最後に所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としてのタイルカーペットが得られる。
【0034】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
本発明の通気度は、下記の方法により測定したものである。
【0036】
[圧縮弾性率]JIS L1022の参考試験にある圧縮率測定方法により測定した。
【0037】
<実施例1>所定の速度で移動するベルトの上に、下記仕様からなる裏打ち層を低透湿性能を有する不織布(6)面を上に乗せて、その上にPVC系ゾルに充填剤として炭酸カルシウムが含有させた接着樹脂層を構成する組成物を、厚さ1.5mm、塗布量400g/mを塗布し、40g/mのガラス不織布を補強層としてその上に張り合わせ、さらに接着樹脂層を構成する組成物を、厚さ1.5mm、塗布量400g/mを塗布し、その上に下記仕様からなる表面パイル層を積層し、次いでロール圧着して、樹脂層のPVC系ゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を250℃で熱処理を施して、PVC系ゾルをゲル化させて冷却し、最後に500mm角の正方形に裁断し、タイルカーペットを製造した。このタイルカーペットにおける厚さ方向の圧縮弾性率が86%であった。重量は2460g/mであった。 [表面パイル層] ポリエステル長繊維不織布よりなる120g/mのタフテッドカーペット用一次基布に、ナイロン加工糸のパイル糸と原着ポリエステル捲縮糸(繊度3000dtx/192のパイル糸を1/10ゲージ、ループのタフティングマシンにセットしてステッチ(38/10cm)、パイル長(4mm)、目付け(800g/m)のタフテッドパイル原反を得た。重量は920g/mであった。 [裏打ち層] クッション性のある不織布として、厚さ4.5mm、目付け600g/m、厚さ方向の圧縮弾性率が90%のポリエステル繊維からなるニードルパンチ不織布を準備し、低透湿性能を有する不織布として、厚さが0.5mm、目付け100g/m、透湿度が2000g/m2・24時間のポリエステル繊維からなるスパンボンドをニードルパンチ加工機によって接着一体化し裏打ち層とした。重量は700g/mであった。
【0038】
<比較例1>裏打ち層として、低透湿性能を有する不織布を用いずに、クッション性のある不織布として、厚さ4.5mm、厚さ方向の圧縮弾性率が90%のポリエステル繊維からなるニードルパンチ不織布のみを使用したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。このタイルカーペット(1)における厚さ方向の圧縮弾性率が65%であった。重量は2360g/mであった。
【0039】
<比較例2>クッション性のある不織布として、厚さ4.5mm、厚さ方向の圧縮弾性率が90%のポリエステル繊維からなるニードルパンチ不織布を準備し、低透湿性能を有する不織布として、厚さが0.5mm、透湿度が2000g/m2・24時間のポリエステル繊維からなるスパンボンドをウレタン系接着剤80g/m塗布し、接着一体化し裏打ち層としたこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。このタイルカーペット(1)における厚さ方向の圧縮弾性率が68%であった。重量は2440g/mであった。
【0040】
実施例1、比較例1、2から明らかなように、実施例1のタイルカーペットは、軽量で圧縮弾性率に優れた十分に使用に耐えうるタイルカーペットを得た。これに対し、比較例1,2のタイルカーペットは軽量であるものの、良好なクッション性のあるタイルカーペットが得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係わる本発明タイルカーペットの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる本発明タイルカーペットの製造装置の概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1………タイルカーペット2………表面パイル層3………補強層4………裏打ち層5………接着樹脂層6………低透湿性能を有する不織布7………クッション性のある不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布、或いは織布からなる補強層と、裏打ち層の3層が接着樹脂層を介して接着一体化されてなるタイルカーペットにおいて、前記裏打ち層が低透湿性能を有する不織布とクッション性のある不織布が、ニードルパンチ加工にて積層一体化されて、前記低透湿性能を有する不織布が前記補強層との接着面側に配置されていること特徴とするタイルカーペット。
【請求項2】
前記裏打ち層において、前記クッション性のある不織布は、天然繊維または合成繊維、およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の繊維で構成され、厚さが2.0〜7.0mmであり、厚さ方向の圧縮弾性率が80〜97%である請求項1に記載のタイルカーペット。
【請求項3】
前記裏打ち層において、前記低透湿性能を有する不織布が合成繊維からなる長繊維で構成され、厚さが0.1〜1.0mmであり、透湿度が500〜4000g/m・24時間である請求項1または2に記載のタイルカーペット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−152244(P2011−152244A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14894(P2010−14894)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】