説明

クライオパネルの製造方法およびクライオポンプ

【課題】低温脆性や部材の変形の問題が生じず、クライオパネルを製作する際に、各部材同士を適正に接合することが可能なクライオパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】冷媒ガスを高圧にする圧縮機と、2段式の冷却ステージを有する蓄冷式冷凍機とを有するクライオポンプ内の、前記冷却ステージの高温段側に設けられ、外部から流体が進入する際の入熱を抑制する入熱抑制部材が設けられたクライオパネルの製造方法であって、当該製造方法は、前記入熱抑制部材を構成する部品同士を接合するステップを有し、該部品同士を接合するステップは、低融点ろう材を用いて、部品同士の接合を行うステップを有することを特徴とするクライオパネルの製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライオパネルの製造方法およびクライオポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体等を製造する際等に必要となる高真空排気処理には、2段式の冷却ステージを備えた小型の蓄冷式冷凍機(例えば、GM(ギフォード・マクマホン)冷凍機等)によって冷却されるクライオポンプが使用される。このクライオポンプ10は、図1に示すように、筒型のポンプ容器2を、第1冷却ステージ15および第2冷却ステージ16を有する冷凍機3に取り付け、ポンプ容器2のポンプ室7内に第1の(高温側)クライオパネル4を設け、この内方に第2の(低温側)クライオパネル5を設けた構造となっている。また、第2のクライオパネル5には、活性炭等の吸着剤6が設置されている。
【0003】
このようなクライオポンプにおいて、稼働時には、第1のクライオパネル4は、例えば約80K(ケルビン)程度に冷却され、真空室9内の水蒸気、炭酸ガス等の、比較的沸点の高いガスを捕獲し、固定化する。第2のクライオパネル5は、例えば約10K(ケルビン)程度に冷却され、より沸点の低い、例えばアルゴン等のガスを捕獲し、固定化する。さらに水素、ヘリウム等の固定化できない希ガス成分は、吸着剤6に捕獲される。
【0004】
なお、外部(真空室9)からポンプ室7内に進入した流体が、直接第2のクライオパネル5に到達して、第2のクライオパネル5の冷却効率が低下することを回避するため、通常の場合、第1の(高温側)クライオパネル4は、入熱抑制部材20を備えている。すなわち、真空室9からポンプ室7内に進入した流体は、この入熱抑制部材20と接触した際に、第1のクライオパネル4と同等の温度にまで冷却され、これにより、比較的高温の流体が、直接第2のクライオパネル5と接触することが回避される。
【0005】
これまでに、このようなクライオパネルの製造方法に関して、吸着剤6を第2のクライオパネル5に設置する際に、活性ろう材を溶融させて、第2のクライオパネルと吸着剤6とを接合する方法等が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−189906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のクライオパネル4、5には、通常、熱伝導性の良い銅または銅合金等が使用されている。また、例えば、入熱抑制部材20を製作する際など、クライオパネルを構成する各部材を製作する際に、部品同士を接合する必要がある場合、通常は、接合材として鉛入りのハンダが使用される。
【0007】
しかしながら、鉛入りのハンダは、環境的な配慮から、使用が抑制される方向にあり、近い将来使用することができなくなるものと予想される。また、既存のハンダに代わる低温接合用の候補材料として注目されている鉛フリーハンダは、主成分がSn(スズ)であるため、低温で使用される部材同士の接合に使用した場合、低温脆性が生じる危険がある。従って、この材料は、使用時に80K以下の温度に冷却されるクライオパネル4、5のような低温部材の接合箇所には適用することはできない。
【0008】
また、ハンダの代わりに、いわゆる銀ろう材のようなろう材を使用した場合、銀ろう材の融点は、通常〜1000℃程度であるため、接合時に、部材を構成する銅の温度が軟化点(〜400℃程度)を超えてしまう。例えば、前述の特許文献1によるクライオパネルと吸着剤との接合では、ろう材を〜800℃程度まで昇温する必要があり、この接合方法では、パネルが変形する恐れがある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、低温脆性や部材の変形の問題が生じず、クライオパネルを製作する際に、各部材同士を適正に接合することが可能なクライオパネルの製造方法、およびそのような接合箇所を有するクライオポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、冷媒ガスを高圧にする圧縮機と、2段式の冷却ステージを有する蓄冷式冷凍機とを有するクライオポンプ内の、前記冷却ステージの高温段側に設けられ、外部から流体が進入する際の入熱を抑制する入熱抑制部材が設けられたクライオパネルの製造方法であって、
当該製造方法は、前記入熱抑制部材を構成する部品同士を接合するステップを有し、
該部品同士を接合するステップは、低融点ろう材を用いて、部品同士の接合を行うステップを有することを特徴とするクライオパネルの製造方法が提供される。
【0011】
また本発明では、冷媒ガスを高圧にする圧縮機と、2段式の冷却ステージを有する蓄冷式冷凍機と、前記冷却ステージの高温段側に設けられたクライオパネルとを有するクライオポンプであって、
前記クライオパネルを構成する部品同士の接合箇所に、低融点ろう材が設置されていることを特徴とするクライオポンプが提供される。
【0012】
さらに本発明では、ポンプ室内にクライオパネルを有するクライオポンプであって、
前記クライオパネルは、外部からの流体がポンプ室に進入する際の入熱を抑制する入熱抑制部材を備え、
前記入熱抑制部材を構成する部品同士の接合箇所に、低融点ろう材が設置されていることを特徴とするクライオポンプが提供される。
【0013】
ここで、前記入熱抑制部材は、寸法の異なる中空部材を複数個、配置して構成されるフィンと、該フィンを支持する梁材とで構成され、前記フィンと梁材との接合箇所に、前記低融点ろう材が設置されても良い。
【0014】
あるいは、前記入熱抑制部材は、表面に複数の貫通孔が形成され、外周に沿って設置された鍔部を有するディスク板で構成され、該ディスク板の外周部と前記鍔部の接合箇所に、前記低融点ろう材が設置されても良い。
【0015】
また、前記低融点ろう材は、400℃未満の融点を有しても良い。
【0016】
特に、前記低融点ろう材は、モル比が88:12のAu(金)−Ge(ゲルマニウム)、モル比が81.2:18.8のAu(金)−Si(シリコン)およびモル比が80:20のAu(金)−Sn(スズ)の中から選定されるいずれかの材料であっても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、低温脆性や部材の変形の問題が生じず、クライオパネルを製作する際に、各部材同士を適正に接合することが可能なクライオパネルの製造方法、およびそのような接合箇所を有するクライオポンプが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面により本発明の態様の一構成例を説明する。
【0019】
図2には、本発明のクライオポンプの概略構成図を示す。図2に示すように、本発明のクライオポンプ200は、ヘリウム圧縮機210と、ガス配管230を介してこのヘリウム圧縮機210に接続された極低温冷凍機130とを備え、この冷凍機130には、ポンプ室170を定形するポンプ容器120が接続されている。クライオポンプ200の稼働時には、ポンプ容器120は、スパッタ装置等、高真空が必要な装置の真空容器(図示されていない)と連結される。冷凍機130は、第1冷却ステージ250と、第2冷却ステージ260とを有し、これらの冷却ステージは、ポンプ容器120内に収容されている。
【0020】
ガス配管230は、ヘリウム圧縮機210において圧縮されたヘリウムガスを冷凍機130に供給するためのガス配管230aと、冷凍機130のガスを再度圧縮機に送るためのガス配管230bとを有する。
【0021】
ポンプ容器120内には、それぞれ、前述の2つの冷却ステージ250および260によって熱伝導により冷却される、第1および第2のクライオパネル140、150が設けられている。両クライオパネルは、熱伝導性の良好な無酸素銅もしくはタフピッチ銅のような高純度銅、または銅合金で構成される。第1のクライオパネル140は、カップ状に形成され、開口部が下向きとなるようにして、第1冷凍ステージ250に配設されている。また、第2のクライオパネル150は、カップ状に形成され、開口部が上向きとなるようにして、その底部が第2冷凍ステージ260に配設されている。第2のクライオパネル150は、第1のクライオパネル140の内方に位置する。また、第2のクライオパネル150の内方には、活性炭またはモレキュラーシーブス等の吸着剤160が設けられている。
【0022】
さらに、第1のクライオパネル140は、開口部に入熱抑制部材205を備えている。この入熱抑制部材205は、クライオポンプ200と接続される被真空装置(図示されていない)側からポンプ室170に進入する流体が、直接第2のクライオパネル150に到達して、第2のクライオパネル150の冷却効率が低下することを回避する役割を有する。
【0023】
ここで、本発明のクライオポンプ200では、クライオパネル140、150を構成する各部材同士の接合、例えば、入熱抑制部材205を構成する各部品同士の接合に、低融点ろう材が使用されている点に特徴がある。なお、本願において、「低融点ろう材」とは、融点が400℃未満であって、鉛を含まず、Sn(スズ)が30mol%未満のろう材を意味することに留意する必要がある。
【0024】
以下、本発明の特徴について詳しく説明する。なお、以下の記載では、入熱抑制部材205を構成する各部品同士の接合に、低融点ろう材が使用されている場合を例に、本発明の特徴を説明する。また、以下の説明において、入熱抑制部材205は、ルーバー300である。
【0025】
図3には、第1のクライオパネル140の開口部に設置されるルーバー300の上面図(図3(a))およびそのA−A断面図(図3(b))を示す。
【0026】
図に示すように、ルーバー300は、フィン330と、このフィンを支持するための梁材310とで構成される。これらの部材は、いずれも無酸素銅もしくはタフピッチ銅のような高純度銅、または銅合金で構成される。図3の例では、梁材310は、十字型である。すなわち、梁材310は、全長が第1のクライオパネル140の開口幅とほぼ等しい、2本の短冊状板311a、311bを相互に直交するように組み合わせることにより構成される。一つの短冊状板311aには、その長手方向に垂直な方向、すなわち図のX方向に沿って、多数の溝312aが形成されており、他方の短冊状板311bには、その長手方向に垂直な方向、すなわち図のY方向に沿って、多数の溝312bが形成されている。
【0027】
フィン330は、複数の台錐形部材320で構成されている。台錐形部材320は、上端(図のZ方向上側)および下端(図のZ方向下側)が開口されており、内部が中空になっている。台錐形部材320の厚さは、例えば、0.7mm程度である。また、それぞれの台錐形部材320は、内径が異なっており、これらを同心円状に組み合わせることにより、水平な高さを有するフィン330が構成される。また、各台錐形部材320を重ね合わせた際には、各台錐形部材320同士の間に、小さな隙間325が形成される。この隙間325の断面形状は、図3のZ方向に対して傾斜している。このため、Z方向と平行な方向に沿って、外部から進入した比較的高温の流体は、ルーバー300を構成する各台錐形部材320と接触し、ここで熱が奪われることになる。従って、外部から進入した比較的高温の流体が直接第2のクライオパネルに到達して、第2のクライオパネルの冷却効率が低下することを回避することができる。
【0028】
各台錐形部材320の下端は、梁材310の各短冊状板311a、311bの溝312a、312bに挿入されており、これによりフィン330と梁材310とが一体化され、ルーバー300が構成される。また、各台錐形部材320は、溝312a、312bと接触する箇所で、低融点ろう材350により短冊状板311a、311bと接合されており、これによりフィン330と梁材310とが相互に固定される。このように構成されたルーバー300は、各短冊状板311a、311bの先端側に設けられた2箇所の穴316、すなわち合計4箇所の穴316を利用して、第1のクライオパネル140の開口部にネジ等の設置手段を用いて取り付けられる。
【0029】
このようにして、ガス流制御部材としてルーバー300を備える第1のクライオパネル140が構成される。
【0030】
本発明では、フィン330と梁材310との接合に、低融点ろう材が使用される。このような低融点ろう材を使用することにより、通常銅または銅合金で構成される台錐形部材320の接合の際に、台錐形部材320の温度が軟化点(〜400℃)を超え、台錐形部材320が変形することが回避される。また、本発明に使用される低融点ろう材は、Sn(スズ)を全く含まず、あるいは僅かしか含まない。従って、このようにして製作されたクライオパネルでは、クライオポンプの稼働時に、クライオパネルが例えば80K以下の温度まで冷却されても、接合部において、低温脆性が発生する可能性が著しく抑制される。さらに、この低融点ろう材は、Pb(鉛)を含んでおらず、環境規制に対応することができため、このようにして製作されたクライオパネルは、将来にわたって使用することができる。
【0031】
本発明の低融点ろう材は、融点が400℃未満のろう材であれば良く、例えば、モル比が88:12のAu−Ge(融点356℃)、モル比が81.2:18.8のAu−Si(融点363℃)およびモル比が80:20のAu−Sn(融点278℃)を使用することができる。なおこれらの材料は、一例であって、Pbを含まず、低温脆性が生じない他の組成の材料を使用しても良いことは明らかであろう。
【0032】
前述の例では、開口部に入熱抑制部材としてルーバを備えるクライオパネルの製作の際に、本発明を適用する場合について説明した。しかしながら本発明は、このような実施例に限られるものではない。以下、本発明の別の実施例を説明する。
【0033】
図4には、ルーバの代わりに入熱抑制部材として使用されるシェブロンの概略断面図を示す。
【0034】
シェブロン400は、前述のルーバーと同様に、フィン430と、このフィン430を支持するための梁材410とで構成される。これらの部材は、いずれも無酸素銅もしくはタフピッチ銅のような高純度銅、または銅合金で構成される。
【0035】
フィン430は、外周の中央部分が山形に突出したシェブロン部材420を複数配設することにより構成されている。シェブロン部材420は、上端(図のZ方向上側)および下端(図のZ方向下側)が開口されており、内部が中空になっている。シェブロン部材420の厚さは、例えば、0.7mm程度である。また、それぞれのシェブロン部材420は、内径が異なっており、これらを同心円状に組み合わせることにより、水平な高さを有するフィン430が構成される。各シェブロン部材420を重ね合わせた際には、各シェブロン部材420同士の間に、小さな隙間425が形成される。
【0036】
各シェブロン部材420の下端は、梁材410の各短冊状板411の溝412に挿入されており、これによりフィン430と梁材410とが一体化され、シェブロン400が構成される。また、各シェブロン部材420は、溝412と接触する箇所で、低融点ろう材450により短冊状板411と接合されており、これによりフィン430と梁材410とが相互に固定される。このように構成されたシェブロン400は、各短冊状板411の先端側に設けられた2箇所の穴416、すなわち合計4箇所の穴416を利用して、第1のクライオパネル140の開口部にネジ等の設置手段を用いて取り付けられる。
【0037】
このようにして、シェブロン400を備える第1のクライオパネル140が構成される。なお、シェブロンの場合は、シェブロン部材420の重ね合わせの際に形成される隙間425の断面形状が、「く」の字状になっている。このため、Z方向に沿って進行する流体のみならず、Z方向に対して傾斜した方向に進行する流体も、シェブロンと接触させることができる。従って、このようなシェブロンを入熱抑制部材として使用することにより、第2のクライオパネルへの入熱抑制効果をより一層高めることができる。
【0038】
シェブロン400の場合も、前述のルーバーと同様、フィン430と梁材410との接合に低融点ろう材が使用されるため、接合の際に、各シェブロン部材420が軟化して、変形が生じるという問題を回避することができる。
【0039】
次に、本発明のさらに別の実施例を説明する。この実施例では、入熱抑制部材205として被覆部材が使用される。すなわち、第1のクライオパネル140の開口面には、この開口面を覆うように設置された被覆部材500が設置される。
【0040】
図5には、被覆部材500の上面図(a)およびそのB−B断面図(b)を示す。被覆部材500は、主表面530を有するディスク板520を備える。このディスク板520は、無酸素銅もしくはタフピッチ銅のような高純度銅、または銅合金で構成される。ディスク板520の主表面530には、ガスの流路となる、多数の微細な貫通孔525が形成されている。なお、真空装置側からの吸引ガスが、貫通孔525を通らずに、ディスク板520の外側を通ってクライオポンプのポンプ室170に侵入した場合、ポンプの排気速度が低下するという問題が生じる。従って、このような排気速度の低下を防止するため、被覆部材500には、ディスク板520の外周に沿って、第1のクライオパネル140の開口面よりも内径の大きな鍔部材510が設置されている。通常の場合、鍔部材510は、ディスク板520の主表面530に対して、5〜90℃程度傾斜させて設置される(図5の角度α)。
【0041】
被覆部材500においても、外部からポンプ室に進入する流体は、その大部分がまずディスク板520と接触し、ここで熱が奪われる。従って、比較的高温の流体による第2のクライオパネルへの入熱が抑制される。
【0042】
このような被覆部材において、ディスク板520の外周部に鍔部材510を設置する際にも、本発明による接合方法が適用できる。すなわち、前述の低融点ろう材550を用いて、ディスク板520の外周部に鍔部材510が接合される。
【0043】
従ってこの場合も、前述のルーバーおよびシェブロンと同様、ディスク板520への鍔部材510の接合の際に、ディスク板520または鍔部材510が軟化して、変形が生じるという問題を回避することができる。
【0044】
以上示したように、本発明によるクライオパネルの製造方法では、接合に使用される低温ろう材は、融点が400℃未満であるため、クライオパネルを構成する、例えば入熱抑制部材を構成する部材同士の接合の際に、それらの部材が軟化点を超える温度に達して、これにより部材が変形するという問題を回避することができる。
【0045】
また、接合に使用される低温ろう材は、Snを主体とする材料ではないため、この低温ろう材を用いて製作されたクライオパネルを備えるクライオポンプでは、使用時に、接合箇所での低温脆性の発生を抑制することができる。
【0046】
さらに、この低温ろう材には、Pbが含まれていないため、環境規制に対応したクライオポンプを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、半導体製造装置等の被真空装置を高真空に処理するクライオポンプおよびその製造方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】典型的なクライオポンプの概略構成図である。
【図2】本発明による入熱抑制部材を備えるクライオパネルを有するクライオポンプの概略構成図である。
【図3】本発明による方法で製作されたルーバーの上面図および断面図である。
【図4】本発明による方法で製作されたシェブロンの断面図である。
【図5】本発明による方法で製作された被覆部材の上面図および断面図である。
【符号の説明】
【0049】
120 ポンプ容器
130 冷凍機
140 第1のクライオパネル
150 第2のクライオパネル
160 吸着剤
170 ポンプ室
200 クライオポンプ
205 入熱抑制部材
210 ヘリウム圧縮機
230 配管
250 第1冷却ステージ
260 第2冷却ステージ
300 ルーバー
310 梁材
311a、311b 短冊状板
312a、312b 溝
320 台錐形部材
325 隙間
330 フィン
350 低融点ろう材
400 シェブロン
410 梁部材
411 短冊状板
420 シェブロン部材
425 隙間
430 フィン
450 低融点ろう材
500 被覆部材
510 鍔部材
520 ディスク版
525 貫通孔
530 主表面
550 低融点ろう材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒ガスを高圧にする圧縮機と、2段式の冷却ステージを有する蓄冷式冷凍機とを有するクライオポンプ内の、前記冷却ステージの高温段側に設けられ、外部から流体が進入する際の入熱を抑制する入熱抑制部材が設けられたクライオパネルの製造方法であって、
当該製造方法は、前記入熱抑制部材を構成する部品同士を接合するステップを有し、
該部品同士を接合するステップは、低融点ろう材を用いて、部品同士の接合を行うステップを有することを特徴とするクライオパネルの製造方法。
【請求項2】
前記低融点ろう材は、400℃未満の融点を有することを特徴とする請求項1に記載のクライオパネルの製造方法。
【請求項3】
前記低融点ろう材は、モル比が88:12のAu(金)−Ge(ゲルマニウム)、モル比が81.2:18.8のAu(金)−Si(シリコン)およびモル比が80:20のAu(金)−Sn(スズ)の中から選定されるいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のクライオパネルの製造方法。
【請求項4】
冷媒ガスを高圧にする圧縮機と、2段式の冷却ステージを有する蓄冷式冷凍機と、前記冷却ステージの高温段側に設けられたクライオパネルとを有するクライオポンプであって、
前記クライオパネルを構成する部品同士の接合箇所に、低融点ろう材が設置されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項5】
ポンプ室内にクライオパネルを有するクライオポンプであって、
前記クライオパネルは、外部からの流体がポンプ室に進入する際の入熱を抑制する入熱抑制部材を備え、
前記入熱抑制部材を構成する部品同士の接合箇所に、低融点ろう材が設置されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項6】
前記入熱抑制部材は、寸法の異なる中空部材を複数個、配置して構成されるフィンと、該フィンを支持する梁材とで構成され、前記フィンと梁材との接合箇所に、前記低融点ろう材が設置されていることを特徴とする請求項5に記載のクライオポンプ。
【請求項7】
前記入熱抑制部材は、表面に複数の貫通孔が形成され、外周に沿って設置された鍔部を有するディスク板で構成され、該ディスク板の外周部と前記鍔部の接合箇所に、前記低融点ろう材が設置されていることを特徴とする請求項5に記載のクライオポンプ。
【請求項8】
前記低融点ろう材は、400℃未満の融点を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一つに記載のクライオポンプ。
【請求項9】
前記低融点ろう材は、モル比が88:12のAu(金)−Ge(ゲルマニウム)、モル比が81.2:18.8のAu(金)−Si(シリコン)およびモル比が80:20のAu(金)−Sn(スズ)の中から選定されるいずれかの材料であることを特徴とする請求項8に記載のクライオポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−297927(P2008−297927A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142331(P2007−142331)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】