説明

クリック部用グリース

【課題】各種電子部品において、クリック部に塗布されるクリック部用グリースに関し、操作感触が良好で、シリコーンゴム部材を膨潤させることなく、しかも低温時の回転トルク上昇を防止できるものを提供する。
【解決手段】ベースオイルとして、25℃における粘度が1000〜1500mm2/sのポリαオレフィンオイルを用い、それにポリジメチルシロキサンで表面処理された平均一次粒子径が10〜20nmの疎水化シリカを10〜25重量%で増ちょうしたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作部などに搭載される電子部品において、クリック部に塗布されるクリック部用グリースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用途を含む各種電子機器の入力操作部には、各機能の調整選択用として可変抵抗器、エンコーダ、スイッチ等の回転操作型電子部品が搭載されている。
【0003】
そのような電子部品として、プッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を例として以下に説明する。
【0004】
図1は、回転操作型電子部品の一事例を示すプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品の断面図である。
【0005】
同図において、1は、回転自在かつ軸方向に移動自在に軸受2で保持されている操作軸であり、軸受2内に位置する中間部にCリング3が固着され、Cリング3の上面が軸受2の天面部に当接することにより、上方への抜け止めがなされている。
【0006】
そして、4は、リング状の円板部4Aとその上部に一体形成された筒状部4Bからなる樹脂製の回転体であり、その筒状部4Bには、操作軸1の下部が挿通係合されている。その係合状態としては、操作軸1の軸方向への移動時には、回転体4は上下移動せず、操作軸1の回転時に回転体4が共回り可能なように係合されている。
【0007】
上記回転体4の下方に設けられた円板部4Aの下面には、インクリメンタルエンコーダ信号に対応する等の所定パターンで形成されている金属板製の回転接点板5が固定されている。
【0008】
また、リング状の円板部4Aの上面には、クリック生成用の凹凸部4Cが形成されており、当該凹凸部4Cには、軸受2に固着された弾性を有する金属製クリックバネ6が弾接している。この凹凸部4Cで構成されるクリックバネ摺動面と金属製クリックバネ6とで、操作軸1の回転操作時にクリック感触を生成するクリック部が構成されている。
【0009】
そして、上記回転接点板5に対応する弾性固定接点7は、軸受2の下方に配された中間ケース8に固定されている。
【0010】
そして、中間ケース8の下方には、スイッチケース部9が重ねて配され、図示しない金属カバーの脚部をカシメるなどして、上記軸受2・中間ケース8・スイッチケース部9は一体的に結合されている。
【0011】
スイッチケース部9は、上方開口の凹部内底面に、中央接点10Aおよび外側接点10Bを有している。その外側接点10B上には、弾性金属薄板からなる接触片11の外周リング部が配され、さらにその上方に、シリコーンゴムからなる下方開口ドーム状に形成されたラバードーム12が配されている。
【0012】
このラバードーム12は、下端全周に亘って外方に向かって突出形成された突出部を備え、この突出部が中間ケース8の底面で押さえ込まれている。これにより、外側接点10Bと接触片11における外周リング部との間は圧接状態となってラバードーム12の位置決め保持がなされている。
【0013】
また、接触片11は、外周リング部から中央側に向けて延設形成された可動部11Aを有し、その可動部11Aは、中央側が上方位置となる傾斜状態で設けられている。
【0014】
そして、上記接触片11の配置状態では、可動部11Aの下面と中央接点10Aとの間に所定隙間が空く設定となっていると共に、可動部11Aの上面とラバードーム12の天面部との間にも所定隙間が空く設定となっている。
【0015】
上記ラバードーム12の上面部分は、平坦な面状に構成されており、筒状部4B内に挿通された上記操作軸1の下端部分は、当該平坦面に弾接している。
【0016】
そして、図示は省略するが、上記凹凸部4Cと金属製クリックバネ6で構成されるクリック部には、操作軸1の回転操作時に、良好な回転トルクや回転操作感触が得られるようにするため、クリック部用グリースが塗布されている。
【0017】
以上のように、従来のプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品は構成され、その動作としては、操作軸1の回転操作により、回転体4が操作軸1と共回りして、円板部4A下面に固定された回転接点板5が弾性固定接点7に対して相対回転し、それに応じたエンコーダ信号等が得られる。
【0018】
このとき、クリック部の固定状態にある金属製クリックバネ6に対し、凹凸部4Cの弾接箇所も順次移動していくこととなり、その際のバネ力の変化がクリック感触として得られる。
【0019】
また、操作軸1を押し込み操作すると、回転体4の移動は伴わずに操作軸1のみが下方の軸線方向側に移動していき、ラバードーム12に押圧力を加えていく。ラバードーム12に所定の押圧力が加わると、ラバードーム12は座屈し、ラバードーム12の天面で接触片11の可動部11Aが押し下げられて、その下面が中央接点10Aに接触する。これにより、接触片11を介して中央接点10Aと外側接点10Bが導通したスイッチON状態となる。上記操作軸1への押し込み力を除くと、可動部11Aやラバードーム12は元の形状に復元し、図1に示すスイッチOFF状態に戻るものであった。
【0020】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開昭52−135307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
近年の電子機器の小型軽量化などに応じて、上記に説明したプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を含む各種電子部品の小形化も進展している。
【0023】
そして、上述したようにクリック部にクリック部用グリースが塗布されていた上記従来のプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品等では、その小形化の進展に伴って、そのクリック部用グリースが回転接点板5と弾性固定接点7とで構成される回転接点部やラバードーム12等にまわっていくことを考慮せざるを得なくなりつつあった。
【0024】
また、上記従来のプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品等は車載用の電子機器に搭載されることもあり、そのような電子部品においては、−20℃以下になる使用環境の地域で用いられることも前提とせざるを得ず、上記環境下でも良好な操作性を維持する必要があって、特に操作軸1の回転操作時における回転トルクや回転感触という操作性は、クリック部に塗布してあるクリック部用グリースによって左右されることも多かった。
【0025】
上記の背景の中で、クリック部用グリースとしては、例えば、ベースオイルがポリブデンである常温での回転感触が良好となるものや、ベースオイルがアルキルメチルシリコーンであるシリコーンゴム製のラバードーム12等に対して膨潤防止できるもの、さらにはベースオイルがジメチルシリコーンである低温時の回転トルクが大きくならないものは個々にはあったが、それらの特性すべてを満足させることができるクリック部用グリースはなく、その開発が急務であった。
【0026】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、低温時の回転トルク上昇を防止できて、低温環境を含む操作性の向上が図れると共に、シリコーンゴムからなる部材の膨潤防止も図れるクリック部用グリースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0028】
請求項1に記載の発明は、凹凸部を有するクリックバネ摺動面と金属製クリックバネとの弾接箇所に塗布されるクリック部用グリースであって、ベースオイルとして、25℃における粘度が1000〜1500mm2/sのポリαオレフィンオイルを配合し、増ちょう剤として、ポリジメチルシロキサンで表面処理された平均一次粒子径が10〜20nmの疎水化シリカを10〜25重量%で増ちょうしたクリック部用グリースとしたものである。
【0029】
当該クリック部用グリースとすれば、ベースオイルのポリαオレフィンの流動点が−30℃以下であるため、−20℃の低温環境下においても電子部品の回転トルクは大きくなることがなく、更に高粘度のベースオイルであるため常温での電子部品の操作感触がよく、しかも、シリコーンゴムとの相溶性が悪いので、シリコーンゴム製の部材への膨潤防止も図れ、さらにポリジメチルシロキサンで表面処理された疎水化シリカで増ちょうさせたので、ベースオイルとの濡れ性が向上して容易に流動するものとなって、操作感触が良好で潤滑性も維持できるため、回転接点部等に付着した場合においても摺動ノイズ等も発生し難いものにできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、グリースのベースオイル種類やベースオイル粘度などを特定すると共に、ポリジメチルシロキサンで表面処理された疎水化シリカで増ちょうさせることによって、電子部品におけるクリック部に塗布した際、常温でも操作感触が良好で、北極地域等で要望が高い−20℃においても回転トルクが大きくなることが少なく、しかもシリコーンゴム製の部材への膨潤防止も図れ、さらに回転接点部等に付着した場合においても摺動ノイズの発生し難いものにできるクリック部用グリースが実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】回転操作型電子部品の一事例を示すプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品の断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、従来の技術の項で説明した同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
(実施の形態)
まず、粘度が10000mm2/sのフルオロシリコーンオイル95重量%と、ポリジメチルシロキサンで表面処理された平均一次粒子径が10〜20nmの疎水化シリカ5重量%とを、攪拌装置付き加熱釜に仕込み、加熱混練して均一化した。この混合物を放冷して常温に戻し、ペイントロールで混合してクリック部用グリースに調整して、実施試料1とした。
【0034】
また、実施試料1と同様に、実施試料1に対してベースオイルであるフルオロシリコーンの配合重量比率(重量%)を変えて作製したものを実施試料2〜4とした。実施試料2は、ベースオイルの配合比率を98重量%と多くしたもの、実施試料3または4は、ベースオイルの配合比率を80または85重量%と少なくしたものである。
【0035】
さらに、実施試料1に対してベースオイル粘度を変えて製作したものを実施試料5〜6とした。実施試料5または6は、ベースオイル粘度を3000mm2/sまたは5000mm2/sと低くしたものである。なお、このフルオロシリコーンとして10000mm2/sより高粘度のオイルについての確認はしていないが、その理由としては、非常に高価なものになり、エンコーダなどの電子部品用途としては実用性が非常に少ないためである。
【0036】
また、ベースオイル種類が上記実施試料1〜6とは異なるポリαオレフィンオイルを用いて同様に実施試料7〜10として準備した。その実施試料7は、粘度が1000mm2/sのベースオイル90重量%に上記の表面処理がなされた疎水化シリカを10重量%配合したもの、実施試料8は、ベースオイル配合率を95重量%と多くしたもの、実施試料9または10は、ベースオイル配合率を70または75重量%と少なくしたものである。
【0037】
さらに、実施試料7に対してベースオイル粘度を変えて実施試料11〜13として準備した。実施試料11または12は、ベースオイル粘度を1500mm2/sまたは2000mm2/sと高くしたものである。そして、実施試料13は、500mm2/sと低くしたものである。
【0038】
そして、上記のクリック部用グリースとしての各試料を、従来の項で説明したプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品のクリック生成用の凹凸部4Cに塗布したものを製作し、−20℃環境下での起動時の回転トルク変化率や常温での操作感触を調べた。また、従来試料としてのクリック部用グリースも数種類準備して、同様に評価を行った。
【0039】
操作感触の評価方法としては、操作軸1の回転操作時におけるクリック音の大きさ、およびその回転操作時に指に感じる感触的なものを総合判定して評価するようにし、常温時でのクリック音の大きさが大きく発生したものや指に感じた回転操作感触が劣ると感じられた際に×評価とした。
【0040】
また、摺動ノイズとして、接点グリース(ジメチルシリコーンベースオイルのグリース)と1:1で混合した状態のグリースを回転接点部へ塗布し、5000回転させた後に85℃85%RH環境下に250時間放置後、電気出力波形を確認して、異常が認められる場合に×評価とした。
【0041】
さらに、シリコーンゴムからなるラバードーム12の表面に、各試料を2mg塗布し、常温で500時間放置後、エタノールでその試料を拭き取り、図1に示したプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品として組み込み、当該電子部品のプッシュオン動作を30万回行って動作性を調べた。
【0042】
その評価としては、プッシュオン操作を繰り返した時、操作軸1が所定の位置まで戻らず、次のプッシュオン操作が出来ない場合は、×評価とした。
【0043】
それら各試料の組成や評価結果を合わせて(表1)に記す。
【0044】
【表1】

【0045】
上記(表1)の測定結果によれば、実施試料1のものは、−20℃環境下での起動時の回転トルク変化率は、9.5%と小さく、しかも常温における操作感触も良好で、摺動ノイズの発生もなく、クリック部用グリース付着によるプッシュオン動作寿命試験も30万回まで問題ないものであった。
【0046】
また、実施試料4のものも同様に−20℃での回転トルク変化率が、9.4%と小さく、しかも常温における操作感触も良好で、摺動ノイズも発生しなかった。そして当該試料4の付着によるプッシュオン動作寿命試験も30万回まで問題ないものであった。
【0047】
それらに対し、増ちょう剤配合率が、2重量%と少ないものとした実施試料2では、−20℃環境下での起動時回転トルク変化率は、9.7%と小さく、摺動ノイズやプッシュオン動作寿命試験においても問題ない結果が得られたが、回転時のクリック音が高くなり操作感触も悪くなっていた。また、増ちょう剤配合率が、20重量%と多くしたものとした実施試料3では、−20℃環境下での起動時回転トルク変化率は、9.8%と小さいが、増ちょう剤量が多すぎるため増ちょう剤がオイルを多く吸収してグリース粘度も高くなり、初期トルクが重くなると共に回転操作時のクリック音も高くなり、操作感触が悪く、摺動ノイズの発生がみられるようになった。
【0048】
そして、ベースオイルであるフルオロシリコーンの粘度を5000mm2/sとした実施試料6は、低温時の起動時回転トルク変化率、摺動ノイズ、プッシュオン動作寿命試験、回転感触のすべてに問題ない結果が得られた。
【0049】
これに対し、粘度を3000mm2/sとした実施試料5は、実施試料2と同様に、低温時の回転トルク変化率、摺動ノイズや及びプッシュオン動作寿命試験は問題ない結果であったが、回転操作時のクリック音が高くなった。この操作感触の劣化要因としては、上記粘度に起因し消音効果(ダンピング効果)が弱くなったと推察される。
【0050】
一方、ベースオイルをポリαオレフィンに変更した実施試料7のものは、−20℃環境下での起動時回転トルク変化率は、11.2%と小さく、しかも常温における操作感触も良く、摺動ノイズ発生もなく、当該試料7の付着によるプッシュオン動作寿命試験も30万回まで問題ないものであった。
【0051】
また、実施試料10のものも同様に−20℃での回転トルク変化率が、10.8%と小さく、しかも常温における操作感触も良く、摺動ノイズも発生しなかった。そして、プッシュオン動作寿命試験も30万回まで問題ないものであった。
【0052】
それらに対し、増ちょう剤配合率が、5重量%と少ないまたは30重量%と多いものである実施試料8または9では、−20℃環境下での起動時回転トルク変化率は、10.9%や10.7%と小さく、プッシュオン動作寿命試験においても問題ない結果が得られたが、回転時のクリック音が高くなり操作感触も悪くなり、それに加えて実施試料9については、摺動ノイズも発生する結果が得られた。その摺動ノイズの発生原因としては、配合した増ちょう剤である疎水化シリカが多いため、回転接点部のアブレッシブ摩耗が発生したと推測される。
【0053】
更に、ベースオイルであるポリαオレフィンオイルの粘度を1500mm2/sとした実施試料11は、低温環境下での起動時の回転トルク変化率、摺動ノイズ、プッシュオン動作寿命試験、回転感触のすべてに問題ない結果であった。
【0054】
それに対し、粘度を1500mm2/sより大きくした実施試料12は、摺動ノイズやプッシュオン動作寿命試験等は問題ない結果であったが、低温環境下での起動時での回転トルク変化率が25.8%とやや高くなった。また、粘度を1000mm2/sより小さくした実施試料13は、摺動ノイズやプッシュオン動作寿命試験は問題ない結果であったが、操作感触が悪くなっていた。
【0055】
そして、従来試料1〜3は、上記各実施試料に対しベースオイルが異なるものであり、(表1)の評価結果からすると、評価した項目全てを満足するものはなかった。
【0056】
上記のように、ベースオイルとして、特定の高粘度のフルオロシリコーンオイルまたはポリαオレフィンオイルを用いると、各々の流動点は−30℃以下であるため、−20℃の低温環境下においても電子部品の回転トルクは大きくなり難く、常温で操作感触のよいクリック部用グリースとなり、しかも、それらの各ベースオイルは、両者ともにシリコーンゴムとの相溶性が悪いので、シリコーンゴム製の部材への膨潤防止も図れたものにでき、さらに、それらのベースオイルに対し、ポリジメチルシロキサンで表面処理された平均一次粒子径が10〜20nmの疎水化シリカを所定重量比で増ちょうさせたものにおいては、特に従来のものに比べ低温環境下での起動時での回転トルク変化率、操作感触、摺動ノイズ、プッシュオン動作寿命の各特性のいずれもが満足できるクリック部用グリースにできた。
【0057】
これは、シリカは、上記表面処理を施すことにより、フルオロシリコーンオイルまたはポリαオレフィンからなるベースオイルとの濡れ性が向上して均一に分散され易くなって均一分散状態となり、当該グリースのチクソトロピー性が低くなり容易に流動するものとなったためであると推察できる。つまり、チクソトロピー性が低くなる分、当該グリースは操作軸1の回転操作によって順次排除されていくクリック部の弾接摺動箇所にも戻り易くなるため、操作感触が良好なものとなり、回転接点部等に付着した場合においても当該グリースは同等の挙動を示して潤滑性も維持できるため、回転接点部等の防錆被膜の再形成もなされやすくて摺動ノイズ等も発生し難いものになったと考察できる。
【0058】
以上に説明したように本発明によるクリック部用グリースは、従来のものに比べ低温環境下での回転トルク、操作感触、摺動ノイズ、プッシュオン動作寿命の各特性のいずれもが改善されたものとして実現することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によるクリック部用グリースは、ベースオイル種類やベースオイル粘度などを特定すると共に、ポリジメチルシロキサンで表面処理された疎水化シリカで増ちょうさせることによって、電子部品のクリック部に塗布した際、常温で操作感触が良好で、−20℃においても回転トルクが大きくなることが少なく、しかもシリコーンゴムからなる部材の膨潤を防止できるものにでき、これをクリック部へ塗布した電子部品は、−20℃における低温環境下を含み良好な操作感触のものにでき、摺動ノイズ発生やシリコーンゴムからなる部材の変質も少なくできるという有利な効果を有し、車載用途をも含む各種電子部品のクリック部等への適用に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 操作軸
4C クリック生成用の凹凸部
12 ラバードーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸部を有するクリックバネ摺動面と金属製クリックバネとの弾接箇所に塗布されるクリック部用グリースであって、ベースオイルとして、25℃における粘度が1000〜1500mm2/sのポリαオレフィンオイルを配合し、増ちょう剤として、ポリジメチルシロキサンで表面処理された平均一次粒子径が10〜20nmの疎水化シリカを10〜25重量%で増ちょうしたクリック部用グリース。

【図1】
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【公開番号】特開2011−84742(P2011−84742A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259782(P2010−259782)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2004−251558(P2004−251558)の分割
【原出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】