説明

クリーニング装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられた像担持体に当接したクリーニングブレードとかかる像担持体に像担持体保護剤を供給する像担持体保護剤供給手段と像担持体に供給された像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを像担持体の移動方向上流側から順に備え、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に転写残トナーが存在するようにしたクリーニング装置、これを備えたプロセスカートリッジ、これらを備えたかかる画像形成装置、これらを用いた画像形成方法の提供。
【解決手段】クリーニングブレード78Yが、像担持体20Yの長手方向に延在し像担持体20Yに当接した稜線部78aYを有し、稜線部78aYは、像担持体20Yの長手方向に直交する平面による断面上の角度θが鈍角である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられた像担持体に当接しこれをクリーニングするクリーニングブレードとかかる像担持体を保護する像担持体保護剤を同像担持体に供給する像担持体保護剤供給手段と像担持体に供給された像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを備えたクリーニング装置、これを備えたプロセスカートリッジ、これらを備えたかかる画像形成装置、これらを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、光導電性物質等を含有する感光層等によって構成された感光体等の像担持体を備えた画像形成装置にあっては、像担持体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程等を施すことにより画像形成を行うようになっている。
【0003】
帯電工程では像担持体を一様に帯電させる。露光工程では、帯電工程で表面が帯電した像担持体にレーザ光等で潜像パターンを形成する。現像工程では、帯電したトナー粒子を潜像パターンに対応して像担持体表面に付着させて可視像を形成する。転写工程で可視像を像担持体から用紙等の記録媒体に転写する。定着工程では、記録媒体に転写された可視像を熱、圧力、その他溶剤気体等によって記録媒体に定着する。これらの工程により、記録媒体上に出力画像が形成される。
【0004】
現像工程における現像方式は、トナー粒子を帯電させる方法によって、二成分現像方式と一成分現像方式とに大別される。二成分現像方式は、トナー粒子とキャリア粒子との攪拌・混合による摩擦帯電を用いる。一成分現像方式は、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電化付与を行う。一成分現像方式は、トナー粒子を担持する現像剤担持体がトナー粒子の保持に磁気力を用いるか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
【0005】
これらの現像方式のうち、高速性、現像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子の帯電の安定性、立ち上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、また、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンタ、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されている。
【0006】
昨今では、いずれの現像方式においても、出力画像のカラー化が進み、高精細化が要望されているとともに高い解像度や階調性による高画質化や画像品質の安定化に対する要求がこれまでにも増して強くなってきていることから、現像方式によらず、トナー粒子の平均粒径を小さくするとともに、トナー粒子の形状は角張った部分が少なくされ、より丸い形状とされている。このように小粒径化、球形化されたトナーは、転写工程において忠実な転写が行われるため、高精細画像を得るのに適している。
【0007】
このような、平均粒径が小さく形状がより丸い形状であるトナー粒子は、重合法を用いて製造することが可能である。重合法は、画像品質の向上のほか製造エネルギーの削減にも優れ、またトナー粒子の粒径が揃っているという優れた特徴を有している。
【0008】
転写工程後の像担持体上には、転写媒体に転写されなかったトナー成分が残存しており、このままの状態で再度帯電工程が行われると、像担持体の均一な帯電がしばしば阻害される。そのため、一般的に、上述の工程のほかに、転写工程後、帯電工程前に、像担持体上に残存するトナー成分である転写残トナーである残留トナー、その他紙粉等の異物を、クリーニングブレード等のクリーニング部材のエッジ部を像担持体に圧接することでクリーニングするクリーニング工程によって除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で帯電工程を行うようになっている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献6〕参照)。
【0009】
しかし、上述のようにトナー粒子の平均粒径が小さくなり、トナー粒子の形状がより丸い形状となっている昨今では、たとえば球形化によりトナーが転がりやすくなっていることから、クリーニング部材のエッジ部でトナー粒子が堰き止められ難くなっており、トナーが像担持体とクリーニング部材との間に入り込むなどして、クリーニング工程によるトナー成分の除去が困難になり、クリーニング不良が起こり易くなっている。クリーニング不良により像担持体上に残留トナーが残ると、これが帯電工程を行う帯電ローラ等の帯電部材などを汚すことで、画像上に黒ポチ、地かぶり等の異常画像の原因となることがある。
そこで、クリーニング部材を像担持体表面に押圧する圧力を増すなどの対策が行われている。
【0010】
像担持体表面は、上述の各工程において、様々な物理的ストレスを受けており、使用時間が長期になるにつれてその状態が変化する。特に、クリーニング工程での摩擦によるストレスは、像担持体を磨耗させ、また擦過傷を発生させることが知られている。そのため、従来より、像担持体とクリーニング部材との間の摩擦力を低減させるために、像担持体保護剤として各種潤滑剤や潤滑成分の供給を行い、またこれらにより像担持体表面に膜形成を行う技術について多くの提案がなされている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献4〕参照)。
【0011】
このような技術として、たとえば、トナーに潤滑剤を添加した技術(たとえば、〔特許文献1〕参照)、像担持体に潤滑剤を供給するとともに、像担持体の回転方向における潤滑剤の供給位置よりも下流側でクリーニングブレードによるクリーニング工程を行う技術(たとえば、〔特許文献2〕参照)、像担持体に潤滑剤を供給するとともに、像担持体の回転方向における潤滑剤の供給位置よりも上流側でクリーニングブレードによるクリーニング工程を行い、また像担持体の回転方向における潤滑剤の供給位置よりも下流側で像担持体に供給された潤滑剤を像担持体表面上において均一化する像担持体保護剤均一化手段を備えた技術(たとえば、〔特許文献3〕、〔特許文献4〕参照)が提案されている。
【0012】
しかし、トナーに潤滑剤を添加した技術では、現像される画像の状態により像担持体上の潤滑剤の分布が不均一になり、異常画像の発生を防止できないという問題がある。また、像担持体に潤滑剤を供給するとともに、像担持体の回転方向における潤滑剤の供給位置よりも下流側でクリーニングブレードによるクリーニング工程を行う技術では、トナーに潤滑剤を添加した技術による上述の問題が回避可能であるが、この技術では、クリーニング前の像担持体に潤滑剤を供給するため、像担持体上の残留トナーの量や分布によって、像担持体に潤滑剤が供給されにくくなったり、像担持体上の潤滑剤のムラが生じたりするという問題があり、またクリーニングブレードによって、像担持体上の潤滑剤が残留トナーとともに除去されるため潤滑剤のロスが多いという問題もある。
【0013】
この点、像担持体保護剤均一化手段を備えた上述の技術では、クリーニング後の像担持体に潤滑剤を供給するため、像担持体に潤滑剤を供給するとともに、像担持体の回転方向における潤滑剤の供給位置よりも下流側でクリーニングブレードによるクリーニング工程を行う技術による上述の問題が回避可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、像担持体保護剤均一化手段を備えた上述の技術では、潤滑剤が像担持体に十分且つ安定した供給されないと、たとえば、かかる均一化を行う部材として像担持体に当接するブレードを備えている構成ではかかるブレードのビビリ振動や反転による異音、ブレードの異常磨耗や亀裂が発生するなどすることから、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が不十分となり得るという問題がある。また潤滑剤として知られているステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩は、帯電工程において受ける電気的ストレスなどにより分解劣化し高粘度の物質に変化してしまうことが知られているが、かかる劣化が生じると、かかる異音、異常磨耗、亀裂が生じやすくなる。かかる異音、異常磨耗、亀裂は像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化性能を低下させるのに重大な影響を与える。
【0015】
この点、発明者らは、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在すると、ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制されるなどして、かかる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることを見出した。
【0016】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられた像担持体に当接しこれをクリーニングするクリーニングブレードとかかる像担持体を保護する像担持体保護剤を同像担持体に供給する像担持体保護剤供給手段と像担持体に供給された像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを像担持体の移動方向上流側から順に備え、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に転写残トナーが存在するようにしたクリーニング装置、これを備えたプロセスカートリッジ、これらを備えたかかる画像形成装置、これらを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有し、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードと、像担持体の移動方向において前記クリーニングブレードが像担持体に当接している位置よりも下流側で像担持体を保護するための像担持体保護剤を像担持体に供給する保護剤供給手段と、前記移動方向において前記保護剤供給手段によって前記像担持体保護剤が像担持体に供給される位置よりも下流側で像担持体に供給された前記像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを有し、前記クリーニングブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であるクリーニング装置にある。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のクリーニング装置において、前記クリーニングブレードと前記保護剤供給手段との間を遮蔽するための隔壁を有することを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のクリーニング装置において、前記クリーニングブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化手段は、像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有する像担持体保護剤均一化ブレードを有することを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項4記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が略90度であることを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項4ないし7の何れか1つに記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化ブレードは、像担持体に対しカウンター当接していることを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項4ないし8の何れか1つに記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを固定支持するブレード固定支持手段を有することを特徴とする。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項4ないし8の何れか1つに記載のクリーニング装置において、前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを支持し同像担持体保護剤均一化ブレードを定荷重で像担持体に当接させるためのブレード定荷重支持手段を有することを特徴とする。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置を有するプロセスカートリッジにある。
【0028】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置、または、請求項11記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置にある。
【0029】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の画像形成装置において、円形度が0.92以上であるトナーを用いることを特徴とする。
【0030】
請求項14記載の発明は、請求項12または13記載の画像形成装置において、形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする。
【0031】
請求項15記載の発明は、請求項5ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、体積平均粒径(Dv)が3μm以上8μm以下の範囲にあり、前記体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05以上1.40以下の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする。
【0032】
請求項16記載の発明は、請求項12ないし15の何れか1つに記載の画像形成装置において、短軸の長さ(r2)と長軸の長さ(r1)との比(r2/r1)が0.5以上1.0以下の範囲にあり、厚さ(r3)と前記短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)が0.7以上1.0以下の範囲にあり、前記長軸の長さ(r1)≧前記短軸の長さ(r2)≧前記厚さ(r3)の関係を満たすトナーを用いることを特徴とする。
【0033】
請求項17記載の発明は、請求項13ないし16の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーは、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを含むトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸張反応させて形成したものであることを特徴とする。
【0034】
請求項18記載の発明は、請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置、または、請求項11記載のプロセスカートリッジ、または、請求項12ないし17の何れか1つに記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にある。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有し、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードと、像担持体の移動方向において前記クリーニングブレードが像担持体に当接している位置よりも下流側で像担持体を保護するための像担持体保護剤を像担持体に供給する保護剤供給手段と、前記移動方向において前記保護剤供給手段によって前記像担持体保護剤が像担持体に供給される位置よりも下流側で像担持体に供給された前記像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを有し、前記クリーニングブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であるクリーニング装置にあるので、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われ、良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0036】
前記クリーニングブレードと前記保護剤供給手段との間を遮蔽するための隔壁を有することとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けるとともに、すり抜けた残留トナーがクリーニングブレードと保護剤供給手段との間に滞留することを抑制ないし防止し、またすり抜けた残留トナーを効率的、安定的に像担持体均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に供給することで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われ、良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0037】
前記クリーニングブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーが適度にすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われ、良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0038】
前記像担持体保護剤均一化手段は、像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有する像担持体保護剤均一化ブレードを有することとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われ、良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0039】
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在するとともにかかる鈍角により、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が高度に防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が高度に防止ないし抑制され、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0040】
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在するとともにかかる適度な鈍角により、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転がより高度に防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂がより高度に防止ないし抑制され、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0041】
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が略90度であることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、これに加えてかかる角度がほぼ90度であることにより、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0042】
前記像担持体保護剤均一化ブレードは、像担持体に対しカウンター当接していることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、これに加えてかかるカウンター当接により、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0043】
前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを固定支持するブレード固定支持手段を有することとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、これに加えてかかる固定支持により像担持体に対する像担持体保護剤均一化ブレードの当接角度が一定に保たれることにより、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0044】
前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを支持し同像担持体保護剤均一化ブレードを定荷重で像担持体に当接させるためのブレード定荷重支持手段を有することとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化ブレードが潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化ブレードのビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、これらによる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、これに加えてかかる定荷重での当接により像担持体に対する像担持体保護剤均一化ブレードの当接圧が一定に保たれることにより、像担持体保護剤均一化ブレードによる潤滑剤の均一化が経時にわたってより良好に行われ、より良好な画像形成に寄与することができるクリーニング装置を提供することができる。
【0045】
本発明は、かかるクリーニング装置を有するプロセスカートリッジにあるので、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われ、良好な画像形成に寄与することができる、交換部品として取り扱うことができメンテナンス性が良いプロセスカートリッジを提供することができる。
【0046】
本発明は、かかるクリーニング装置、または、かかるプロセスカートリッジを有する画像形成装置にあるので、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることにより、良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0047】
円形度が0.92以上であるトナーを用いることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることに加えて、かかる円形度を設定することで、適正な濃度の再現性のある、高精細でより良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0048】
形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあるトナーを用いることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることに加えて、かかる形状を設定することで、トナーの流動性、転写性が良好であるとともに画像上にトナーが散ることを防止ないし抑制し、高品位でより良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0049】
体積平均粒径(Dv)が3μm以上8μm以下の範囲にあり、前記体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05以上1.40以下の範囲にあるトナーを用いることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることに加えて、かかる比の設定によって、高画質で高解像度のより良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0050】
短軸の長さ(r2)と長軸の長さ(r1)との比(r2/r1)が0.5以上1.0以下の範囲にあり、厚さ(r3)と前記短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)が0.7以上1.0以下の範囲にあり、前記長軸の長さ(r1)≧前記短軸の長さ(r2)≧前記厚さ(r3)の関係を満たすトナーを用いることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることに加えて、かかる形状を設定することで、ドット再現性、転写効率、トナーの流動性が良好であり、高品位でより良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0051】
前記トナーは、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを含むトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸張反応させて形成したものであることとすれば、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることに加えて、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを用い、より良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0052】
本発明は、かかるクリーニング装置、または、かかるプロセスカートリッジ、または、かかる画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にあるので、クリーニングブレードの稜線部と像担持体との間を残留トナーがすり抜けることで、像担持体保護剤均一化手段が潤滑剤を像担持体上において均一化する位置に残留トナーが存在し、像担持体保護剤均一化手段による潤滑剤の均一化が経時にわたって良好に行われることにより、良好な画像形成を行うことが可能な画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた複数の像担持体のうち1つの像担持体周りの構成であってクリーニング装置等の構成を示す概略正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いるトナーの形状係数SF−1、SF−2を説明するための概念図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に用いるトナーの長軸、短軸、厚さの相互関係を説明するための概念図である。
【図5】図2に示したクリーニング装置に備えられたクリーニングブレード及び像担持体保護剤均一化ブレードの構成及び配設態様を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザ複写機とプリンタとの複合機であるが、他のタイプの複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、この画像形成装置100で読み取った原稿の画像データ、または外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行う。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行うことが可能である。
【0055】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての潜像担持体である円筒状の感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
【0056】
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、像担持体である転写媒体としての転写ベルト11の移動方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
【0057】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための作像ステーションである画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0058】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部の中央部よりもやや上方に配設された無端のベルトである中間転写体としての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0059】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体であり転写媒体である転写紙に一括転写されるようになっている。転写紙の図示は省略している。
【0060】
転写ベルト11は、その上側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部98を形成している。
【0061】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0062】
転写ベルト11は、厚みが20ないし600μmの樹脂フィルムあるいはゴムを基体にした耐熱性のベルトであり、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKからトナーを静電的に転写可能とする抵抗値を備えており、表面粗さRzは1〜4μm程度が好ましい。
【0063】
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に当接し、転写ベルト11への当接位置において転写ベルト11と同方向に回転し無端移動する転写部材としての紙搬送ベルトである2次転写ベルト5を備え転写ベルト11上のトナー像を転写紙に転写するとともに搬送する2次転写装置としての2次転写ユニット76と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された潜像形成手段としての露光装置たる光書込みユニットである光走査装置8とを有している。
【0064】
画像形成装置100はまた、本体99内に、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙を多数枚積載可能な給紙カセットとしての給紙機構であるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた転写紙を、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ベルト5との間の2次転写部97に向けて繰り出すレジストローラ4と、転写紙の先端がレジストローラ4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0065】
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙に同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙を本体99の外部に排出する排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙を積載する排紙トレイ17とを有している。
【0066】
画像形成装置100はまた、本体99上方に、原稿の画像を読み取るスキャナーである読取装置14と、読取装置14の上方に配設され読取装置14に原稿を給送する自動原稿給送装置(いわゆるADF)15とを有している。
【0067】
画像形成装置100はまた、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、種々の検知手段による検知結果等に基づき画像形成装置100の動作全般を制御するCPU、メモリ等を含む図示しない制御手段とを有している。
【0068】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアス印加手段としての1次転写バイアスローラである1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、クリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する張架ローラ75、77と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングするベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
【0069】
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに高電圧を印加し1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源とバイアス制御手段とを有している。
【0070】
1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。ただし、1次転写バイアス印加手段は、電極から放電するチャージャ方式であっても良い。
【0071】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
【0072】
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写ベルト5を当接されており、2次転写ニップを形成している。
張架ローラ75は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有し、転写ベルト11が撓むのを防止し、転写ベルト11を滑らかに移動させ転写ムラを抑制しているとともに転写ベルト11の移動による偏向を抑制しているが、張架ローラ77等、転写ベルト11を巻き掛けた他のローラをテンションローラとしても良い。ただしテンションローラは必須ではない。
転写ベルト11を巻き掛けた以上のローラは、転写ベルト11との摩擦で帯電して転写ベルト11状のトナーを動かすと画像が乱れるため、接地することが望ましい。
【0073】
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の転写残トナーである残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
【0074】
シート給送装置61は、転写紙を複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において多段で配設されている。シート給送装置61は、所定のタイミングで、転写紙をレジストローラ4に向けて給送するようになっている。
シート給送装置61から送り出された転写紙は、給紙経路を経てレジストローラ4に至り、レジストローラ4のローラ間に挟まれる。
【0075】
2次転写ユニット76は、2次転写ベルト5の他に、2次転写ベルト5を巻き掛けた張架ローラである、駆動ローラ15及び従動ローラ16と、2次転写ベルト5に対向して配設され転写ベルト11を介して押圧された対向ローラとしてのバックアップローラである駆動ローラ72と、トナーと逆極性の2次転写バイアスを駆動ローラ15に印加する図示しない電源とを有している。
【0076】
駆動ローラ15と駆動ローラ72とは、これらの間に転写ベルト11と2次転写ベルト5とを挟み込んでおり、この挟み込みにより、転写ベルト11と2次転写ベルト5とが接触する2次転写ニップが形成されている。2次転写ニップには、2次転写バイアスの印加により、後述するようにして転写ベルト11上に担持された4色トナー像を、転写ベルト11側から駆動ローラ15側に向けて静電移動させる、2次転写電界が形成される。かかる4色トナー像は、後述するようにしてレジストローラ4により転写ベルト11と2次転写ベルト5との間に搬送されてきた転写紙に、2次転写電界、ニップ圧によって転写される。
【0077】
なお、2次転写ユニット76としては、転写ローラや非接触のチャージャを採用した構成を用いても良いが、この場合には他に転写紙を定着装置6に向けて搬送する部材を要する。
【0078】
定着装置6は、ベルトユニット62と、ベルトユニット62に圧接された加圧ローラ63とを有している。ベルトユニット62は、無端状の定着ベルト64と、定着ベルト64を張架しながら無端移動させる定着ローラ65と、定着ローラ65とともに定着ベルト64を巻き掛け内部に図示しない熱源を有する加熱ローラ66とを有している
【0079】
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙をベルトユニット62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
【0080】
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニットの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニットの構成に付すかこれを省略し、詳細な説明についても適宜省略することとする。
【0081】
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその移動方向である回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置であるクリーニング装置70Yと、図示しない除電手段としての除電ランプを備えた除電装置と、帯電手段としての帯電装置90Yと、現像手段としての現像ユニットである現像器たる現像装置80Yとを有している。
【0082】
画像形成ユニット60Yはまた、感光体ドラム20Yを保護するための像担持体保護剤としての保護剤42Yを感光体ドラム20Yに塗布し感光体ドラム20Y表面に保護膜を形成する保護膜形成装置である像担持体保護剤塗布装置としての塗布装置40Yを、クリーニング装置70Yの一部として有している。
【0083】
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、除電装置と、帯電装置90Yと、現像装置80Yと、塗布装置40Yとは、これらを覆うプロセスカートリッジ枠体としてのケーシング67Yによって一体化されており、ケーシング67Yとともにプロセスカートリッジ68Yを構成している。プロセスカートリッジ68Yは本体99に対して着脱自在となっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
【0084】
感光体ドラム20Yは、直径が30乃至100mm程度のアルミニウム円筒からなる導電性支持体の表面上に光導電性物質である有機半導体の感光層が設けられた構成であるが、アモルファスシリコンの表面層を有した構成であっても良いし、ベルト状をなす構成であっても良い。
【0085】
帯電装置90Yは、感光体ドラム20Yの表面を一様に帯電させる一様帯電手段であって、感光体ドラム20Yの表面に近接して配設された帯電部材としての帯電ローラ91Yと、帯電ローラ91Yに接触配置され帯電ローラ91Yをクリーニングするクリーニングローラ92Yと、帯電ローラ91Yに直流電圧と交流電圧とを重畳させた電圧を印加する図示しない高電圧電源とを有している。
【0086】
感光体ドラム20Yを帯電する方法としては、本形態の帯電装置90Yのように、帯電ローラ91Yを感光体ドラム20Yに非接触に配置する近接方式のほかに、帯電ローラ91Yのような帯電部材を感光体ドラム20Yに接触させて配置する接触帯電方式すなわち接触方式とがある。高電圧電源は直流電圧のみを帯電ローラ91Yに印加するものであってもよい。
【0087】
帯電装置90Yは、高電圧電源による電圧印加によって、帯電ローラ91Yと感光体ドラム20Yとの間の微小空隙での近接放電により、感光体ドラム20Yの帯電を行う。よって、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロン、スコロトロンといわれるコロナ放電を利用した放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制したものとなっている。
【0088】
光走査装置8は、感光体ドラム20Yに帯電装置90Yが対向した帯電領域と現像装置80Yが対向した現像領域との間の領域に、画像情報に応じて変換した光情報に基づいて、光変調及び偏向されたレーザー光Lを走査しながら照射して、帯電装置90Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面の被走査面をスポット照射によって露光し、現像装置80Yによってイエロートナー像として可視像化される、画像情報に応じた静電潜像を書き込むようになっている。そのため、図1に示すように、光走査装置8は、光源31、高速で回転する多角柱の多面鏡であるポリゴンミラー32、fθレンズ33、反射ミラー34等を有している。なお、光走査装置8は、LEDアレイと結像手段とを有する方式であっても良い。
【0089】
図2に示すように、現像装置80Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像ローラ81Yと、現像ローラ81Y上の現像剤を一定の高さに規制するドクターブレード82Yと、互いに対向するように配設され、現像剤を攪拌するとともに現像ローラ81Yに現像剤を供給するための第1搬送スクリュ83Y及び第2搬送スクリュ84Yと、第1搬送スクリュ83Yと第2搬送スクリュ84Yとの間に設けられた仕切り壁87Yと、イエロートナーを収容したトナーボトル88Yと、ケーシング67Yの一部をなす現像ケース85Yと、直流成分の現像バイアスを現像ローラ81Yに印加する図示しないバイアス印加手段等とを有している。
【0090】
現像ローラ81Yは、その表面に現像剤を担持する現像剤担持体である図示しない現像スリーブを有している。バイアス印加手段は現像スリーブに、感光体ドラム20Yの、露光部と非露光部との間の適当な大きさの現像バイアスを印加する。
【0091】
現像装置80Y内には、仕切り壁87Yにより、現像ローラ81Yと第1搬送スクリュ83Yとを収容した第1供給部と、第2搬送スクリュ84Yを収容した第2供給部とが分かれた状態で形成されている。
【0092】
第1搬送スクリュ83Yは、駆動手段によって回転駆動されることで、第1供給部内の現像剤を図2における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ81Yに供給する。第1搬送スクリュ83Yによって第1供給部内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁87Yに形成された図示しない開口部を通って第2供給部内に進入する。
【0093】
第2供給部内において、第2搬送スクリュ84Yは、駆動手段によって回転駆動されることで第1供給部から送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ83Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュ84Yによって第2供給部の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切壁87Yに設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1供給部内に戻る。
【0094】
現像ケース85Y内の現像剤は、磁性キャリアと、イエロートナーとを含む二成分現像剤であって、この現像剤には、トナーボトル88Yからイエロートナーが補給、供給され、第1搬送スクリュ83Y及び第2搬送スクリュ84Yによって、供給されたイエロートナーと現像剤とが攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ81Yに供給され担持される。
【0095】
ドクターブレード82Yによって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ81Yは、その回転及びバイアス印加手段による現像バイアスにより、現像ローラ81Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域に、ドクターブレード82Yによって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中のイエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するようになっている。
【0096】
現像によりイエロートナーを消費した現像剤は、現像ローラ81Yの回転に伴って現像装置80Y内に戻される。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
現像装置80Yその他画像形成装置100に備えられた現像装置において用いるトナーの詳細については後述する。
【0097】
クリーニング装置70Yは、塗布装置40Yの他に、ケーシング67Yの一部をなすクリーニングケース71Yと、その先端が感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の転写残トナーである残留トナー、キャリア、紙粉等の異物を掻き取って回収しクリーニングするクリーニングブレード78Yと、クリーニングブレード78Yをクリーニングケース71Yに回動可能に支持したブレードホルダとしてのホルダであるブレード支持部材51Yと、ブレード支持部材51Yを介してクリーニングブレード78Yを感光体ドラム20Yに所定の弾性力で押し当てる加圧スプリングであるばね79Yとを有している。
【0098】
クリーニング装置70Yはまた、クリーニングブレード78Yが感光体ドラム20Yに当接した位置よりもB1方向上流側で感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナー、キャリア、紙粉等の異物を掻き乱しクリーニングブレード78Yによる異物の除去を容易にするとともにかかる異物の一部を掻き取ってクリーニングするクリーニングブラシたる回転ブラシとしてのファーブラシであるブラシローラ52Yと、ブレード支持部材51Yに支持され、先端がブラシローラ52Yに当接し、ブラシローラ52Yの回転によってブラシローラ52Yに付着した異物をフリッキングし弾き飛ばして叩き落す掻き落し部材としてのフリッカーであるフリッカーバー53Yとを有している。
【0099】
クリーニング装置70Yはまた、クリーニングケース71Yに回転自在に支持され、ブラシローラ52Y、クリーニングブレード78Yによって感光体ドラム20Yから掻き取られ、また除去されることによって生じた、あるいはフリッカーバー53Yによってブラシローラ52Yから叩き落され放出された異物を図示しない廃トナータンクに向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する回収コイルとしての搬送スクリュである排出スクリュ54Yと、ブラシローラ52Yが感光体ドラム20Yに当接した位置よりもB1方向上流側で感光体ドラム20Yに光を照射し感光体ドラム20Yを除電するクリーニング前除電手段としてのクリーニング前除電ランプ55Yとを有している。
【0100】
クリーニング装置70Yはまた、クリーニングブレード78Yと塗布装置40Yとの間を遮断するための隔壁57Yと、隔壁57Y上に溜まった異物を図示しない廃トナータンクに向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する回収コイルとしての搬送スクリュである排出スクリュ58Yとを有している。
【0101】
クリーニングブレード78Yは、感光体ドラム20Yの長手方向である同図における紙面に垂直な方向に延在し、感光体ドラム20Yに対しいわゆるカウンター当接しており、当接条件がいわゆるトレーリング当接である場合よりもクリーニング性能が高くなっている。クリーニングブレード78Yは、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂のエラストマーをブレード状にして用いたものである。クリーニングブレード78Yの材質は、とくに、弾性が高く、摩耗しにくいウレタン樹脂が好ましい。クリーニングブレード78Yは、バネ79Yの付勢力により、感光体ドラム20Yに対し、5ないし30N/mの当接圧で当接している。
【0102】
ブラシローラ52YはB1方向に連れ回りする方向に回転している。ブラシローラ52Yの材質には、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂の他、摩耗に強く、強度が高いナイロン等のポリアミド樹脂を用いることができる。また、ブラシローラ52Yには、摩擦帯電を防止するために、導電性粉末として、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、黒鉛、または、銅、銀等の金属粉末の導電性粉末を含有させてもよい。ブラシローラ52Yの電気抵抗は、具体的には10^2〜10^8Ω・cmの範囲にすることが好ましい。
【0103】
塗布装置40Yは、バー状に成形され感光体ドラム20Yの長手方向に延在した固形の潤滑剤である保護剤42Yと、クリーニングブレード78Yが感光体ドラム20Yに当接した位置よりもB1方向下流側で保護剤42Yを感光体ドラム20Yに供給する保護剤供給手段56Yと、保護剤供給手段56Yによって保護剤42Yが感光体ドラム20Yに供給される位置よりもB1方向下流側で保護剤供給手段56Yによって感光体ドラム20Yに塗布ないし供給された保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面上に塗布して均一化し保護膜を形成するための像担持体保護剤均一化手段としての保護層形成機構49Yとを有している。
【0104】
保護剤42Yは、材質として、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロポロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる。特に、感光体ドラム20Yの摩擦を低減する効果の大きいのは脂肪酸金属塩であって、脂肪酸としてステアリン酸を用い、金属として亜鉛、又はカルシウムを用いるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムが一層好ましい。
【0105】
保護剤供給手段56Yは、感光体ドラム20Yを保護するために保護剤42Yを掻き取り、クリーニングブレード78Yが感光体ドラム20Yに当接した位置よりもB1方向下流側で感光体ドラム20Yに当接して供給する供給部材としての保護剤供給部材である掻き取り部材としての塗布ブラシであるファーブラシたるブラシローラ47Yと、保護剤42Yの、感光体ドラム20Y側の面と反対側の面を支持したブラケットであるホルダ41Yと、ホルダ41Yを介して保護剤42Yをブラシローラ47Yに押圧する弾性部材としての押圧力付与機構たる加圧バネであるバネ48Yとを有している。
【0106】
保護剤供給手段56Yはまた、ブラシローラ47Yが感光体ドラム20Yに当接する位置で、ブラシローラ47Yを、B1方向に連れ回りする方向と逆の方向に回転駆動する図示しない保護剤供給部材駆動手段を有している。保護剤供給部材駆動手段は、ブラシローラ47Yをかかる方向に回転駆動する駆動源としての図示しないモータと、このモータの回転をブラシローラ47Yの図示しない軸に入力する図示しないギアとを備えている。保護剤供給部材駆動手段はまた、かかるモータの回転をブラシローラ52Yの図示しない軸に入力する図示しないギアと備えており、ブラシローラ52Yを上述の方向に回転駆動するクリーニングブラシ駆動手段としても機能するようになっている。
【0107】
ブラシローラ47Yがかかる方向に回転することにより、保護剤42Yを削り取ったブラシローラ47Yを構成する繊維が感光体ドラム20Y表面との接触部の出口側で感光体ドラム20Yにフリッキングされ、ブラシローラ47Yと感光体ドラム20Yとの接触部よりB1方向上流側に保護剤42Yの粉が弾き飛ばされてから再度感光体ドラム20Y表面に付着し、ブラシローラ47Yと感光体ドラム20Yとの接触部に再び到達して、もう一度感光体ドラム20Y表面にブラシローラ47Yによって塗り込まれるので、塗布効率が向上し、保護剤42Yの薄膜化も高効率で達成される。
【0108】
ブラシローラ47Yの材質には、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂の他、摩耗に強く、強度が高いナイロン等のポリアミド樹脂を用いることができる。また、ブラシローラ47Yには、摩擦帯電を防止するために、導電性粉末として、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、黒鉛、または、銅、銀等の金属粉末の導電性粉末を含有させてもよい。ブラシローラ47Yの電気抵抗は、具体的には10^2〜10^8Ω・cmの範囲にすることが好ましい。
【0109】
保護剤42Yがブラシローラ47Yにより幅方向において全体が均一に掻き取られ、消費されるように、保護剤42Yとブラシローラ47Yとは、その幅方向である感光体ドラム20Yの長手方向における長さが一致しているとともに、幅方向における配設範囲が互いに一致している。また、バネ48Yの付勢力は、保護剤42Yを経時においても定圧で且つ長手方向において均一な3Nの圧力でブラシローラ47Yに押圧するように構成されている。
【0110】
保護剤42Yとブラシローラ47Yとは、その幅方向における長さが少なくとも同方向における感光体ドラム20Yの画像形成領域の長さ以上であって、同方向において保護剤42Yとブラシローラ47Yとの配設位置が感光体ドラム20Yの画像形成領域を含むように構成されている。よって、保護剤42Yはブラシローラ47Yにより、幅方向において均一に感光体ドラム20Yの画像形成領域に供給される。
【0111】
保護層形成機構49Yは、ブラシローラ47Yによって保護剤42Yが感光体ドラム20Yに塗布ないし供給される位置よりもB1方向下流側でその先端が感光体ドラム20Yに当接し、ブラシローラ47Yによって感光体ドラム20Yに塗布ないし供給された保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面上に塗布して均一化し層状化して強固に薄膜化し保護膜を形成する層状化部材である皮膜形成部材としての像担持体保護剤均一化ブレードである塗布ブレード45Yと、塗布ブレード45Yを支持し塗布ブレード45Yを定荷重で感光体ドラム20Yに当接させるためのブレード定荷重支持手段43Yとを有している。
【0112】
塗布ブレード45Yは、感光体ドラム20Yの長手方向である同図における紙面に垂直な方向に延在し、感光体ドラム20Yに対しいわゆるカウンター当接しており、当接条件がいわゆるトレーリング当接である場合よりも塗布性能が高くなっている。塗布ブレード45Yは、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂のエラストマーをブレード状にして用いたものである。塗布ブレード45Yの材質は、とくに、弾性が高く、摩耗しにくいウレタン樹脂が好ましい。塗布ブレード45Yは、ばね44の付勢力により、感光体ドラム20Yに対し、5ないし30N/mの当接圧で、当接している。
【0113】
ブレード定荷重支持手段43Yは、塗布ブレード45Yをクリーニングケース71Yに回動可能に支持したブレードホルダとしてのホルダであるブレード支持部材46Yと、ブレード支持部材46Yを介して塗布ブレード45Yを感光体ドラム20Yに所定の弾性力で押し当てる弾性部材としての潤滑剤加圧スプリングであるばね44Yとを有している。ばね44Yは、塗布ブレード45Yを感光体ドラム20Yに対し、5ないし30N/mの定荷重で当接させることにより、塗布ブレード45Yの感光体ドラム20Yに対する当接圧が安定し、塗布ブレード45Yによる潤滑剤塗布機能が良好に発揮される。なお、ブレード支持部材46Yをクリーニングケース71Yに固定し、塗布ブレード45Yを固定支持するブレード固定支持手段とするなどして、塗布ブレード45Yを固定支持した構成としても良く、この場合には感光体ドラム20Yに対する塗布ブレード45Yの姿勢が一定となって安定し、塗布ブレード45Yによる潤滑剤塗布機能が良好に発揮される。
【0114】
塗布ブレード45Yとブレード支持体46Yとは、塗布ブレード45Yの先端部の感光体ドラム20Y表面への押圧当接に堪え得るように、接着によって互いに固定されているが、融着等の他の任意の方法で互いに固定してもよい。
【0115】
塗布ブレード45Yは、その幅方向における長さが同方向における感光体ドラム20Yの画像形成領域の長さ以上であって、同方向においてその配設位置が感光体ドラム20Yの画像形成領域を含むように構成されている。よって、塗布ブレード45Yは幅方向において少なくとも感光体ドラム20Yの画像形成領域に均一に当接し、幅方向において均一に少なくとも感光体ドラム20Y上の画像形成領域に皮膜を形成する。
【0116】
このような構成の塗布装置40Yは、ブラシローラ47Yを、その軸を中心に、上述の方向に回転させて、保護剤42Yを掻き削って一旦汲み上げ、掻き削った保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面との当接位置まで担持搬送して感光体ドラム20Yに塗布して供給するようになっている。
【0117】
感光体ドラム20Yに塗布された保護剤42Yは、保護剤42Yの物質種によっては感光体ドラム20Y上において十分な保護層を形成するに至らないことがありうるが、塗布ブレード45Yによって、感光体ドラム20Y表面に押圧され、引き伸ばされることで薄層化言い換えると層状化、皮膜化され、均一化されて、保護剤の皮膜形成が確実かつ均一に施される。
【0118】
経時で保護剤42Yがブラシローラ47Yに掻き削られて減少しても、バネ48Yが保護剤42Yを長手方向において均一に経時においても定圧でブラシローラ47Yに押圧していることにより、保護剤42Yは微量となっても適量がブラシローラ47Yに汲み上げられ、感光体ドラム20Yに供給される。
【0119】
保護剤42Yによって感光体ドラム20Y表面に形成される皮膜は、帯電ローラ91Yと感光体ドラム20Yとの間の微小空隙での近接放電による感光体ドラム20Y表面の劣化を防止する機能を有しており、塗布装置40Yは放電劣化防止手段として機能するものである。ここでいう劣化とは、放電による感光体ドラム20Yの磨耗及びこの磨耗の加速、ならびに感光体ドラム20Y表面の活性化の両方を指している。
【0120】
また、かかる皮膜は、感光体ドラム20Yとクリーニングブレード78Yとが互いに摩擦しあうことによって生じる磨耗等の劣化やかかる摩擦によって感光体ドラム20Yの表面がフィルミングされることによる劣化も防止し、塗布装置40Yは摩擦劣化防止手段として機能するものである。
【0121】
このように、塗布装置40Yは、保護剤42Yを感光体ドラム20Y表面に塗布することにより、これら劣化のすべてを解消している。
その他、クリーニングブレード78Y、塗布ブレード45Y、隔壁57、排出スクリュ58Y等の構成、機能及びこれらに関する塗布装置40Y、クリーニング装置70Yの機能等の詳細については後述する。
【0122】
画像形成装置100において現像に用いるトナーについて詳細に述べる。
【0123】
トナーは、体積平均粒径(Dv)が10μm以下、特に3μm以上8μm以下の範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05以上1.40以下の範囲にあることが好ましい。
【0124】
小粒径のトナーを用いることで、潜像に対して緻密にトナーが付着する。しかしながら、かかる範囲よりも体積平均粒径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径がかかる範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
【0125】
また、粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像が得られ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、分散度(Dv/Dn)が1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
【0126】
尚、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定可能である。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続し、測定した。
【0127】
トナーの円形度すなわち平均円形度は、0.92以上1.00以下であることが好ましい。
円形度とは、トナーの形状を表すパラメータの1つである。
【0128】
トナーは特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.92未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。
【0129】
なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。詳しくは後述する。
【0130】
この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.92以上1.00以下のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効である事が判明した。より好ましくは、平均円形度が0.93〜0.97で円形度が0.94未満の粒子が10%以下である。
【0131】
平均円形度が0.92未満であると、例えば、画像面積率の低い画像を出力する場合、転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高い画像を出力する場合、さらには、給紙不良等で未転写の状態の画像が感光体ドラム20上に残ってしまった場合、クリーニング不良が発生しやすい。
【0132】
トナーの平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。
【0133】
また、画像形成装置100で使用するトナーは、形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあることが好ましい。
【0134】
図3は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0135】
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0136】
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0137】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0138】
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0139】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体ドラム20との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体ドラム20との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード78Yあるいは塗布ブレード45Yと感光体ドラム20Yとの間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1又はSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は180を越えない方が好ましい。
【0140】
尚、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0141】
画像形成装置100に好適に用いられるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤と含むトナー組成物を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法の例を挙げて説明する。
【0142】
(変性ポリエステル)
トナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
【0143】
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0144】
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
【0145】
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0146】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0147】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0148】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0149】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0150】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0151】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0152】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0153】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0154】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0155】
変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0156】
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0157】
尚、生成するポリマーの分子量は、THFを溶媒としゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(未変性ポリエステル)
【0158】
前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0159】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
【0160】
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
尚、ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
【0161】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0162】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0163】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0164】
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0165】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0166】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0167】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0168】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0169】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0170】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0171】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0172】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0173】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0174】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0175】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0176】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0177】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0178】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0179】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0180】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0181】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
【0182】
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーが容易に得られる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0183】
トナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表される。
図4は、トナーの形状を模式的に示す図である。図4において、略球形状のトナーを長軸の長さr1、短軸の長さr2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、トナーは、短軸の長さ(r2)と長軸の長さ(r1)との比(r2/r1)(図4(b)参照)が0.5以上1.0以下で、厚さ(r3)と短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)(図4(c)参照)が0.7以上1.0以下の範囲にあることが好ましい。短軸の長さ(r2)と長軸の長さ(r1)との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さ(r3)と短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さ(r3)と短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性が向上する。
【0184】
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
また以上のトナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0185】
クリーニングブレード78Y、塗布ブレード45Y、隔壁57、排出スクリュ58Y等の構成、機能及びこれらに関する塗布装置40Y、クリーニング装置70Yの機能等の詳細について説明する。
【0186】
すでに述べたように、塗布ブレード45Yを備えている構成では、保護剤42Yが感光体ドラム20Yに十分且つ安定した供給されないと、塗布ブレード45Yのビビリ振動やめくれすなわち反転による異音のほか、塗布ブレード45Yの異常磨耗や亀裂が発生するなどして、塗布ブレード45Yの機能が十分に発揮されない可能性がある。その一方で、発明者らが、塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に残留トナーが存在すると、塗布ブレード45Yのビビリ振動や反転が防止ないし抑制されるなどして、かかる異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、塗布ブレード45Yの機能が経時にわたって良好に発揮されることを見出したことも、すでに述べたとおりである。
【0187】
そこで、クリーニング装置70Yでは、塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に残留トナーが存在するようにするために、図5に示すように、クリーニングブレード78Yの、感光体ドラム20Yの長手方向に延在する、感光体ドラム20Yに当接した稜線部78aYは、かかる長手方向に直行する平面すなわち図2、図5の紙面に平行な平面による断面上の角度θが鈍角とされている。
【0188】
これにより、稜線部78aYよりもB1方向上流側におけるクリーニングブレード78Yと感光体ドラム20Yとの間には、楔状の空間が形成される。そして、クリーニングブレード78Yによって掻き取られた感光体ドラム20Y上の残留トナーは、この楔状の空間に滞留するとともに、この楔状の空間において稜線部78aYに向けて残留トナーが押し込まれる楔効果によって凝集し、若干のすり抜けが生じる。稜線部78aYをすり抜けた残留トナーは、ブラシローラ47Yによって一部が掻き取られ、拘束されるなどするものの、一部が、塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に到達し供給されることによって、塗布ブレード45Yのビビリ振動や反転が防止ないし抑制されるなどして、異音、異常磨耗、亀裂が防止ないし抑制され、塗布ブレード45Yの機能が経時にわたって良好に発揮される。
【0189】
塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に到達し供給される残留トナーの量は微量であることに加え、塗布ブレード45Yも、感光体ドラム20Y上の残留トナーを掻き取る機能を有することから、塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に供給された残留トナーがかかる位置をすり抜けて、帯電装置90Yを汚染したり画像に影響を与えたりすることがない。
【0190】
塗布ブレード45Yは、すでに述べたように、感光体ドラム20Yにカウンター当接しているため、保護剤42Yの均一化作用等の機能がトレーリング当接より高い。ただし、カウンター当接は、ビビリ振動や反転等の問題がトレーリング当接よりも生じやすい。しかしながら、塗布ブレード45Yが感光体ドラム20Yに当接する位置に到達し残留トナーが供給されることで、かかる問題は防止ないし抑制され、またカウンター当接により残留トナーのすり抜け防止機能が高く、帯電装置90Yを汚染したり画像に影響を与えたりすることが防止されるのである。
【0191】
また、ブラシローラ47Yに付着する残留トナー等の異物の量についても、クリーニング装置70Y具体的にはブラシローラ52Y及びクリーニングブレード78Yによって、感光体ドラム20Y上の異物が十分にクリーニングされることから、かかる量は経時においても保護剤42Yの供給性能を不十分にするほどに影響を与えるものではない。
【0192】
クリーニングブレード78Yは、すでに述べたように、感光体ドラム20Yにカウンター当接しているため、クリーニング性能がトレーリング当接より高い。ただし、角度θが鈍角であることにより角度θが直角である場合に比べてクリーニング性能が若干低下し、またカウンター当接であることにより、ビビリ振動や反転の問題がトレーリング当接よりも生じやすい。しかしながら、クリーニング性能の若干の低下は残留トナーのすり抜けに必要であり、また角度θが鈍角であることはビビリ振動や反転の防止ないし抑制に役立っている。
【0193】
なお、角度θが直角の場合、感光体ドラム20Yへのクリーニングブレード78Yの当接圧を下げることにより残留トナーをすり抜けさせることも可能ではあるが、当接圧を下げていくと、クリーニングブレード78Yは、クリーニング状態から残留トナーのすり抜けが多い状態へ急激に変化してしまうため、当接圧を適切に設定し保つことが難しい。当接圧を適切に設定し保つことができたとしても、クリーニングブレード78Yにおける硬度、反発男性、ヤング率などのばらつき、偏在に起因してすり抜けの多い場所と少ない場所とが発生してしまい、すり抜けの多い場所ではブラシローラ47Yが汚染され、保護剤42Yの塗布機能が低下してしまう。これは、角度θが直角の場合には、楔効果が不十分なためである。よって、角度θは鈍角であることを要する。
【0194】
ここで、角度θその他図5に示した角度α、βについて説明する。
角度θのほか、角度α、βの何れも、同一平面上すなわち感光体ドラム20Yの長手方向に直行する平面すなわち図2、図5の紙面に平行な平面による断面上の角度である。角度α、角度βはそれぞれ、稜線部78aYにおける感光体ドラム20Yの接線とクリーニングブレード78Yとの、B1方向上流側、下流側の角度である。よって角度αはかかる平面上における楔状の空間の角度であり、角度βはいわゆる当接角度と言われる角度である。
【0195】
本形態において、角度βは一般的な当接角度である10度以上30度以下の範囲で設定されている。角度θは95度以上140度未満の範囲で設定され、角度αは10度より大きく75度以下の範囲で設定される。これにより、楔効果が良好に発揮される。
【0196】
塗布ブレード45Yにおいても、クリーニングブレード78Yにおける角度θ、α、βと同様の、角度θ、α、βがある。図5において、符号45aYは塗布ブレード45Yの、感光体ドラム20Yの長手方向に延在する、感光体ドラム20Yに当接した稜線部を示している。
【0197】
塗布ブレード45Yについての角度θ、α、βは、クリーニングブレード78Yについての角度θ、α、βと同一である。塗布ブレード45Yについての角度θは、鈍角であることにより、カウンター当接であっても、先端がめくれにくく、ビビリ振動や反転がさらに生じにくくなって長寿命化されているとともに、クリーニングブレード78Yとの部品の共通化及びこれによるコスト低減も可能となっている。また、塗布ブレード45Yについての角度βも一般的な当接角度である10度以上30度以下の範囲で設定されているとともに、角度θは95度以上140度未満の範囲で設定され、角度αは10度より大きく75度以下の範囲で設定されている。これにより、ビビリ振動や反転の抑制、長寿命化がより高度に達成される。ただし、角度θは略90度であってもよく、この場合は製造が容易でコストが低減され得るとともに、保護剤42Yの均一化機能、塗布機能等の所期の機能が良好に発揮され、また、残留トナーのすり抜けがさらに良好に防止ないし抑制される。
【0198】
隔壁57Yは、クリーニングブレード78Yと塗布装置40Yとの間を遮断する隔壁部材57aYと、隔壁部材57aYと感光体ドラム20Yとの間の間隙をシールするためのシール部材57bYとを有している。
【0199】
隔壁57Yを有することにより、ブラシローラ47Yの回転により飛散した残留トナーや粉末状等の保護剤42Yが、塗布装置40Y以外の部分、とくにクリーニング装置70Yにおける塗布装置40Yよりも下方の部分に散逸することが防止されるとともに、飛散した残留トナーや保護剤42Yが隔壁57Yによって下方から受け止められ、受け止められた残留トナーや保護剤42Yがブラシローラ47Yの回転により感光体ドラム20Yに供給されるので、保護剤42Yの感光体ドラム20Yへの供給効率、供給の安定性が向上するとともに、残留トナーの塗布ブレード45Yに向けた供給効率、供給の安定性が向上する。
【0200】
隔壁57Yは、これに加えて、次のような機能も有する。かりに、隔壁57Yがなく、ブラシローラ47Yの回転により飛散した残留トナーや粉末状等の保護剤42Yがクリーニングブレード78Y上に堆積し、凝集して、凝集体が形成されたとすると、かかる凝集体が感光体ドラム20Y表面に押し付けられて同表面にフィルム状に製膜するフィルミングが生じ、画像形成に影響を与えてしまう可能性があり、またかかる凝集体が崩れて感光体ドラム20Yの回転とともにブラシローラ47Yや塗布ブレード45Yに至ると、保護剤42Yの供給不良が生じたり、塗布ブレード45Yからのすり抜けが生じたりして、スジ画像が発生するなど画像形成に影響を与えてしまう可能性があるが、隔壁57Yを設けると、ブラシローラ47Yの回転により飛散した残留トナーや粉末状等の保護剤42Yがクリーニングブレード78Yとブラシローラ47Yとの間に堆積することがなく、このようなことが起こることが防止される。
【0201】
隔壁部材57aYは、感光体ドラム20Yに対向する側と反対側の端部がクリーニングケース71Yに接着により固定されている。隔壁部材57aYのかかる端部側は、下に凸の凹形状をなし、ブラシローラ47Yの回転により飛散した残留トナーや粉末状等の保護剤42Y等の異物を蓄えることが可能な貯留部57cYを形成している。排出スクリュ58Yは、貯留部57cYに配設され、貯留部57cYに溜まったかかる異物を排出するようになっている。これにより、隔壁57Yの上述の機能が良好に発揮される。
【0202】
なお、貯留部57cYの、異物の貯留量が、保護剤42Yやプロセスカートリッジ68Yの寿命等からして十分である場合には、排出スクリュ58Yは省略しても良い。また、隔壁57Yが全体にわたってブラシローラ47Y側が下方となるように傾斜した構成を採用した場合に、ブラシローラ47Yの回転により飛散した残留トナーや粉末状等の保護剤42Yが、かかる傾斜によって順次ブラシローラ47Yに至り、ブラシローラ47Yの回転により感光体ドラム20Yに供給され、消費されるのであれば、かかる凝集体が生ずることもないので、かかる構成を採用し、貯留部57cYを省略しても良い。
【0203】
シール部材57bYはフィルムあるいは表面摩擦の低いゴムによって形成された弾性体であって、感光体ドラム20Y表面に、その先端がB1方向に向かうように弾性的に当接しており、クリーニングブレード78Yと塗布装置40Yとの間の遮断性を向上しているとともに、クリーニングブレード78Yをすり抜けた残留トナーがブラシローラ47Yに向けて移動する妨げとなることがないようになっている。ただし、隔壁部材57aYによってクリーニングブレード78Yと塗布装置40Yとの間の遮断が十分に行われるのであれば、シール部材57bYを省略しても良い。
【0204】
以上のような構成の画像形成装置100の動作等について説明する。かかる画像形成装置100に備えられた画像形成ユニット60Yにおいては、ネガ−ポジプロセスで画像形成を行うようになっている。
【0205】
感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置90Yにより表面を一様にマイナス帯電される。感光体ドラム20Yには保護層が形成されているため、帯電の際のストレスは低減されている。
【0206】
光走査装置8からのレーザー光Lの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成される。このとき、露光の走査方向は感光体ドラム20Yの回転軸方向であり、また露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる。
【0207】
この静電潜像を現像装置80Yにより現像剤中のイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留した残留トナーをクリーニング装置70Yにより除去される。感光体ドラム20Yには保護剤42Yが均一に塗布され保護層が形成されているため、クリーニングの際のストレスは低減されているとともに、クリーニングが良好に行われる。塗布ブレード45Yには適量の残留トナーが供給されるため、経時にわたってビビリ振動や反転が防止ないし抑制され、感光体ドラム20Yには保護剤42Yが経時にわたって良好に塗布され、保護剤42Yの機能が経時にわたって良好に発揮される。
次いで、除電装置により残留電荷が除去されて帯電装置90Yによる次の除電、帯電に供される。
【0208】
他の感光体ドラム20M、20C、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12M、12C、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ベルト5との対向位置である2次転写ニップまで移動して転写紙に密着し、2次転写バイアスやニップ圧の作用によって転写紙に2次転写され、転写紙上にフルカラー画像が形成される。
【0209】
転写ベルト11と2次転写ベルト5との間に搬送されてきた転写紙は、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ベルト5に対向するタイミングで送り出されたものである。
2次転写ベルト5には、電源から、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加される。
【0210】
転写紙は、すべての色のトナー像を一括して転写され、担持すると、2次転写ユニット76によって、具体的には2次転写ベルト5の回転によって搬送されて定着装置6に進入し、加圧ローラ63とベルトユニット62との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙上にフルカラー画像が定着される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、排紙ローラ7を経て、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた2次転写ニップ通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによってその表面をクリーニングされ、次の現像工程に備える。
【0211】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ保護剤が良好に塗布されその機能が経時にわたって良好に発揮されるため、このような画像形成は長期にわたって良好に行われる。
【0212】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0213】
たとえば、プロセスカートリッジは、少なくとも、像担持体及びクリーニング装置を一体に含んでいるとともに画像形成装置本体に着脱自在であればよく、プロセスカートリッジを構成する他の構成部品の選択は、像担持体、当該構成部品の寿命、コスト、プロセスカートリッジ化の構造上の容易性等を考慮して適宜行なわれるものである。
像担持体保護剤が供給される像担持体は、中間転写ベルト11のような中間転写体であって、転写されたトナー像を担持するものであってもよい。
【0214】
いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも本発明を適用可能である。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。この場合の構成は、たとえば、図2を参照して、転写ベルト11が転写紙に相当することとなる。
【0215】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0216】
20Y、20M、20C、20BK 像担持体
42Y 像担持体保護剤
43Y ブレード定荷重支持手段
45Y 像担持体保護剤均一化ブレード
45aY 像担持体保護剤均一化ブレードの稜線部
49Y 像担持体保護剤均一化手段
56Y 保護剤供給手段
57Y 隔壁
68Y プロセスカートリッジ
78Y クリーニングブレード
78aY クリーニングブレードの稜線部
100 画像形成装置
B1 像担持体の移動方向
θ 鈍角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0217】
【特許文献1】特開平11−184340号公報
【特許文献2】特開2003−140518号公報
【特許文献3】特開2000−330443号公報
【特許文献4】特開2005−070276号公報
【特許文献5】特開平5−019671号公報
【特許文献6】特開2004−272019号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有し、像担持体をクリーニングするクリーニングブレードと、
像担持体の移動方向において前記クリーニングブレードが像担持体に当接している位置よりも下流側で像担持体を保護するための像担持体保護剤を像担持体に供給する保護剤供給手段と、
前記移動方向において前記保護剤供給手段によって前記像担持体保護剤が像担持体に供給される位置よりも下流側で像担持体に供給された前記像担持体保護剤を像担持体表面上において均一化するための像担持体保護剤均一化手段とを有し、
前記クリーニングブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であるクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1記載のクリーニング装置において、
前記クリーニングブレードと前記保護剤供給手段との間を遮蔽するための隔壁を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のクリーニング装置において、
前記クリーニングブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化手段は、像担持体の長手方向に延在し、像担持体に当接した稜線部を有する像担持体保護剤均一化ブレードを有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が鈍角であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記鈍角の角度が95度以上140度未満であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項4記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化ブレードの前記稜線部は、前記長手方向に直交する平面による断面上の角度が略90度であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項4ないし7の何れか1つに記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化ブレードは、像担持体に対しカウンター当接していることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
請求項4ないし8の何れか1つに記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを固定支持するブレード固定支持手段を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項10】
請求項4ないし8の何れか1つに記載のクリーニング装置において、
前記像担持体保護剤均一化手段は、前記像担持体保護剤均一化ブレードを支持し同像担持体保護剤均一化ブレードを定荷重で像担持体に当接させるためのブレード定荷重支持手段を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置を有するプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置、または、請求項11記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
円形度が0.92以上であるトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12または13記載の画像形成装置において、
形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項5ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、
体積平均粒径(Dv)が3μm以上8μm以下の範囲にあり、前記体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で定義される分散度が1.05以上1.40以下の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項12ないし15の何れか1つに記載の画像形成装置において、
短軸の長さ(r2)と長軸の長さ(r1)との比(r2/r1)が0.5以上1.0以下の範囲にあり、
厚さ(r3)と前記短軸の長さ(r2)との比(r3/r2)が0.7以上1.0以下の範囲にあり、
前記長軸の長さ(r1)≧前記短軸の長さ(r2)≧前記厚さ(r3)の関係を満たすトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項13ないし16の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、
窒素原子を含む官能基を有するポリエステルポリマーと、
ポリエステルと、
着色剤と、
離型剤と
を含むトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸張反応させて形成したものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項1ないし10の何れか1つに記載のクリーニング装置、または、請求項11記載のプロセスカートリッジ、または、請求項12ないし17の何れか1つに記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−48161(P2011−48161A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196739(P2009−196739)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】