説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】帯電ローラのクリーニング装置のクリーニング性能及び耐久性を更に向上させる。
【解決手段】感光体ドラム20に接触した状態で回転して感光体ドラム20の表面を帯電させる帯電ローラ30をクリーニングするクリーニング装置であって、帯電ローラ30の回転軸方向に延び、帯電ローラ30の表面に接触した状態で回転し、帯電ローラ30の表面をブラッシングによりクリーニングするクリーニングブラシ100と、クリーニングブラシ100を帯電ローラ30と周速差を持たせて回転させる回転駆動機構110と、クリーニングブラシ100を、帯電ローラ30の表面に摺動させた状態で、帯電ローラ30の回転軸方向に往復移動させるスラスト駆動機構104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関し、特に、感光体表面を帯電させる帯電ローラをクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、電子写真方式の画像形成装置では、感光体の帯電機構として、オゾンレスを達成するため、感光体に接触した状態で感光体表面を帯電させる帯電ローラが採用されている。この帯電ローラを用いた帯電システムでは、特に、ローラ表面が研磨されているソリッドタイプの帯電ローラの場合、トナー外添剤などが帯電ローラ表面に付着することで帯電ムラを引き起こす可能性があるため、例えば、特許文献1に示されるように、帯電ローラ表面に弾性状(スポンジ状)のクリーニング部材を接触させて、ローラ表面の付着物を除去するようにしたものが知られている。
【0003】
しかし、ローラ表面にクリーニング部材を接触させると、トナー外添剤を帯電ローラ表面から除去できる一方、ローラ表面にトナー外添剤を固着させて帯電性能を阻害してしまい、帯電ムラを引き起こす要因にもなり得るため、特許文献2に示されるように、クリーニング部材を往復運動させることでクリーニング性を向上させる帯電ローラ清掃装置や、特許文献3に示されるように、クリーニング部材を接離させるようにした技術が提案されている。
【特許文献1】特許第3515890号公報
【特許文献2】特開平7−199604号公報
【特許文献3】特開平8−22173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2及び3に示された技術は、特許文献1に示された帯電装置との比較においてはクリーニング性及び清掃部材の耐久性が改善されているものの、清掃装置のクリーニング性能及び耐久性について更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、帯電ローラのクリーニング装置のクリーニング性能及び耐久性を更に向上させることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、感光体に接触した状態で回転して感光体表面を帯電させる帯電ローラをクリーニングするクリーニング装置であって、
前記帯電ローラの回転軸方向に延び、前記帯電ローラの表面に接触した状態で回転し、当該帯電ローラ表面をブラッシングによりクリーニングするクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を前記帯電ローラと周速差を持たせて回転させる回転駆動手段と、
前記クリーニング部材を、前記帯電ローラの表面に摺動させた状態で、前記帯電ローラの回転軸方向に往復移動させるスラスト駆動手段とを備え、
前記クリーニング部材に設けられているブラシの単糸繊度が10T以下とされ、当該ブラシの密度が300kF/inch2以下とされているものである。
【0007】
この構成では、帯電ローラへのトナー外添剤の固着を防止するために、クリーニング部材のブラシの単糸繊度を10T以下とし、ブラシ密度を300kF/inch2以下としている。さらに、クリーニング部材を、回転駆動手段により帯電ローラと周速差を持たせて回転させることによって、クリーニング部材と帯電ローラによる磨耗を均一化させ、クリーニング部材の耐久性を向上させている。また、駆動手段により帯電ローラの表面に摺動させつつ帯電ローラの回転軸方向に往復移動させることで、帯電ローラからトナー外添剤を除去する効果を高めている。
【0008】
すなわち、クリーニング部材のブラシの単糸繊度を10T以下とし、ブラシ密度を300kF/inch2以下とすると、帯電ローラへのトナー外添剤の固着を防止する効果が高くなる一方、ブラシ毛が細くブラシ配設密度も小さくなるために、トナー外添剤を帯電ローラ表面から除去する作用が弱くなる。そこで、クリーニング部材を駆動手段により帯電ローラの表面に摺動させつつ帯電ローラの回転軸方向に往復移動させ、帯電ローラからのトナー外添剤の除去効果を高めることによって、上記除去効果の弱まりを補っている。さらに、クリーニング部材を上記のようにして帯電ローラの回転軸方向に往復移動させると、クリーニング部材の耐久性が不安となるが、クリーニング部材を帯電ローラと周速差を持たせて回転させることで、当該耐久性の不安を解消している。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置であって、前記クリーニング部材は、表面粗さRzが5μm以上20μm以下とされている帯電ローラに対して適用されるものである。
【0010】
この構成では、帯電ローラの表面粗さRzを、帯電ムラの発生する可能性が低い5μm以上20μm以下としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置であって、前記クリーニング部材と前記帯電ローラとを同電位としたものである。
【0012】
トナー外添剤に電界が働くと、トナー外添剤に対して、クリーニング部材又は帯電ローラ側のいずれかに移動しようとする力が働くため、クリーニング部材のブラシがトナー外添剤でフィルミングしたり、また逆に帯電ローラ上の外添剤固着を促進させたりしてしまう可能性がある。そのため、この構成では、クリーニング部材と帯電ローラとを同電位とすることで、トナー外添剤に対して電界を作用させないようにして、トナー外添剤を帯電ローラ上で散らして均す効果を最大限に引き出し、トナー外添剤の帯電ローラ表面への固着防止効果を高めている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリーニング装置であって、前記クリーニング部材のブラシの毛足長さを1.5mm以上としたものである。
【0014】
クリーニング部材のブラシの毛足長さを1.5mm未満とした場合は、帯電ローラからのトナー外添剤の除去効果が薄れ、トナー外添剤の固着が発生してしまうため、この構成では、クリーニング部材のブラシの毛足長さを1.5mm以上として、帯電ローラからのトナー外添剤除去効果と、トナー外添剤の帯電ローラ表面への固着防止効果とを高めている。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のクリーニング装置であって、前記駆動手段による前記クリーニング部材の往復移動幅を1mm以上としたものである。
【0016】
クリーニング部材の往復移動幅が1mm未満の場合、クリーニング部材のブラシの単糸繊度を10T以下、ブラシ密度が300kF/inch2以下のブラシ仕様では、クリーニング部材の回転軸(シャフト)の上記往復運動に対してブラシ先端部が追従しない。そのため、この構成では、クリーニング部材の往復移動幅を1mm以上として、帯電ローラからのトナー外添剤除去効果を高めている。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、表面上に静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に接触した状態で回転して感光体表面を帯電させる帯電ローラと、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のクリーニング装置とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、従来は実現が困難であった、帯電ローラへのトナー外添剤の固着を防止する効果と、帯電ローラからのトナー外添剤の除去効果との両立を実現でき、しかも、従来よりもクリーニング部材の耐久性を向上させることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、帯電ムラが発生する可能性を低くすることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、トナー外添剤を帯電ローラ上で散らして均す効果を最大限に引き出して、トナー外添剤の帯電ローラ表面への固着防止効果を高めることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、帯電ローラからのトナー外添剤除去効果と、トナー外添剤の帯電ローラ表面への固着防止効果の両方を高めることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、帯電ローラからのトナー外添剤除去効果を高めることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかによって得られる効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。この図に示すように、プリンタ(画像形成装置)10は、印刷処理に供する用紙Pを貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙(被転写材)Pに対して画像の転写処理を施す転写部13と、この転写部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着部14とが装置本体11に内装されると共に、定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が装置本体11の頂部に設けられることによって構成されている。
【0025】
前記用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の右方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して転写部13に給紙されるようになっている。
【0026】
前記転写部13は、コンピュータ等から電送された画像情報に基づき用紙Pに転写処理を施すものであり、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム心回りに回転可能に設けられた感光体ドラム(像担持体)20の周面に沿うように、当該感光体ドラム20の直上位置から時計方向に向けて帯電ローラ30、露光装置40、現像装置50、転写ローラ60およびドラムクリーニング装置70が配設されることによって形成されている。
【0027】
前記感光体ドラム20は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)S(図2)を形成させるためのものであり、周面にアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
【0028】
前記帯電ローラ30は、ドラム心回り時計方向に回転している感光体ドラム20の周面に一様な電荷を形成させるものであり、周面が感光体ドラム20の周面と当接しながら従動回転しつつ当該感光体ドラム20へ電荷を付与するようになっている。
【0029】
クリーニングブラシ(クリーニング部材)100は、帯電ローラ30の表面に接触した状態で回転し、帯電ローラ30の表面をブラッシングによりクリーニングする。
【0030】
前記露光装置40は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザー光を回転している感光体ドラム20の周面に照射し、これによる感光体ドラム20周面のレーザー光が照射された部分の電荷の消去によって当該感光体ドラム20の周面に静電潜像を形成させるものである。
【0031】
前記現像装置50は、感光体ドラム20の周面にトナー(現像剤)T(図2)を供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーTを付着させ、これによって感光体ドラム20の周面にトナー像Sを形成させるものである。
【0032】
前記転写ローラ60は、感光体ドラム20の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム20の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像Sを用紙Pに転写させるものであり、トナー像Sの電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与するようになっている。
【0033】
従って、感光体ドラム20の直下位置に到達した用紙Pは、転写ローラ60と感光体ドラム20とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム20周面のトナー像Sがマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施されることになる。
【0034】
前記ドラムクリーニング装置70は、転写処理後の感光体ドラム20の周面に残留しているトナーTを取り除いて清浄化するためのものである。この転写ローラ60によって清浄化された感光体ドラム20の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電ローラ30へ向かうことになる。
【0035】
前記定着部14は、転写部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像Sに加熱による定着処理を施すものであり、内部に通電発熱体が装着されたヒートローラ141と、このヒートローラ141の下部で周面同士が対向配置された加圧ローラ142とを備えて構成されている。そして、転写処理後の用紙Pは、ローラ心回りに時計方向に向けて駆動回転しているヒートローラ141と、ローラ心回りに反時計方向に向けて従動回転している加圧ローラ142との間のニップ部を通過することによって、ヒートローラ141からの熱を得て定着処理が施されるようになっている。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出されることになる。
【0036】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0037】
図2は、帯電ローラ30周りの拡大説明図である。なお、図2では、感光体ドラム20の構成要素および用紙Pの厚み寸法を誇張して示している。図2に示すように、感光体ドラム20は、ドラム軸21と、このドラム軸21回りに同心で回転可能に装着されたアルミニウム合金製のアルミ素管22と、このアルミ素管22の周面に蒸着処理等により均一に積層されて形成されたアモルファスシリコン層23とを備えている。かかる感光体ドラム20は、図略のドラムモータの駆動で時計方向に向けて回転するようになっている。
【0038】
帯電ローラ30は、周面が感光体ドラム20の周面(すなわちアモルファスシリコン層23)に当接された状態で、帯電ローラ用電源33からの電圧をアモルファスシリコン層23へ印加するものであり、金属製の帯電ローラ軸31と、この帯電ローラ軸31に同心で一体的に外嵌されたエラストマー等の誘電材料製の帯電ローラ本体32とからなっている。帯電ローラ本体32は、その周面が研磨されたソリッドタイプとされている。
【0039】
かかる帯電ローラ30は、図2に示すように、帯電ローラ用電源33からのプラスの電圧が帯電ローラ軸31に印加されることにより帯電ローラ本体32の周面にプラスの電荷が形成された状態で、感光体ドラム20のドラム軸21回りの時計方向へ向かう回転に従動しながら軸心回りに反時計方向に回転し、これによってアモルファスシリコン層23に一様なプラスの電荷を形成させるようになされている。帯電ローラ30としては、例えば、φ6mmの芯金にローラ径がφ12mmとなるようにエピクロルヒドリンゴム弾性層(厚さ3mm)を成型する。この弾性層の電気抵抗は3×106Ω/cm またゴム硬度は45(JISA)である。また、帯電ローラ30は、その表面粗さRzが、5μm以上20μm以下とされていることが好ましい。
【0040】
図3に、帯電ローラ30の表面粗さ(Rz)と、かぶり濃度(FD)の関係を示す。かぶり濃度(FD)は感光体ドラム20の表面電位Voに応じて変化するため、感光体ドラム20の表面電位Voとして3水準(200V,220V,240V)を用いて実験した。この図3から、帯電ローラ30の表面粗さ(Rz)が5μm以上20μm以下の場合においては、どの電位でも、かぶり濃度(FD)が高くならず、ほぼ一定のレベルに収まることがわかる。
【0041】
クリーニングブラシ100は、帯電ローラ30の回転軸方向に延び、帯電ローラ30の表面に接触した状態で周速差を有して回転し、帯電ローラ30の表面をブラッシングによりクリーニングするものである。これにより、クリーニングブラシ100は、帯電ローラ30の表面に付着したトナー外添剤を除去する。
【0042】
クリーニングブラシ100は、ブラシ軸101と、ブラシ毛102とを有し、後述する駆動機構により、ブラシ軸101周りの回転と、帯電ローラ30の回転軸方向における往復移動(スラスト移動)とを行うよう駆動される。ブラシ毛102を構成する各単糸の繊度は10T(デシテックス)以下とされ、各単糸のブラシ軸101における配設密度は300kF/inch2以下とされている。また、ブラシ毛102の各単糸の毛足長さは1.5mm以上とされている。さらに、クリーニングブラシ100は、図略の電源からの電圧印加により帯電ローラ30と同電位に設定されている。
【0043】
図4に、ブラシ毛102の各単糸の繊度(T)と、感光体ドラム20の表面電位Vo(V)の関係を示す。これは、感光体ドラム20の表面電位を初期255V程度に設定し、配設密度300kF/inch2程度とされた種々の繊度の単糸を有するブラシ毛を帯電ローラ30に接触させ、10,000枚印刷した後の感光体ドラム20の表面電位である。この図4から、配設密度を300kF/inch2程度とし、かつ繊度10Tの単糸を有するブラシ毛を用いれば、10,000枚印刷した後であっても、感光体ドラム20の表面電位がほぼ初期値レベルに維持されることがわかる。
【0044】
図5に、ブラシ毛102の各単糸の配設密度(kF/inch2)と、感光体ドラム20の表面電位Vo(V)の関係を示す。これは、感光体ドラム20の表面電位を初期255V程度に設定し、繊度10Tの単糸を有する種々の配設密度(kF/inch2)からなるブラシ毛を帯電ローラ30に接触させ、10,000枚印刷した後の感光体ドラム20の表面電位である。この図5から、繊度10Tの単糸を有し、かつ配設密度300kF/inch2以下のブラシ毛を用いれば、10,000枚印刷した後であっても、感光体ドラム20の表面電位がほぼ初期値レベルに維持されることがわかる。
【0045】
前記露光装置40は、帯電ローラ30によってアモルファスシリコン層23に形成された一様な電荷面に対して電送されてきた画像情報に基づく強弱を備えたレーザー光線を照射し、これによってドラム軸21回りに回転している感光体ドラム20の周面(アモルファスシリコン層23)にプラスの電荷が消失するか或いは極めて少なくなった静電潜像を形成させるようになっている。本実施形態においては、感光体ドラム20周面の数100Vの電荷が、レーザー光線の照射で略10Vにまで低下され、この略10Vの部分で静電潜像が形成されている。因みに、図2では、露光装置40によって照射された感光体ドラム20の周面には、プラスの電荷を示す「+」記号を消去している。
【0046】
前記現像装置50は、露光装置40によって形成された感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23に対しトナーTを供給して静電潜像に沿ったトナー像Sを形成させるものであり、内部にトナーが装填された箱形の現像装置本体51内に周面の一部を露出させた状態で現像ローラ52が装着されてなり、現像装置本体51内に装填されたトナーT(図2において円内に「+」記号を付してトナーTを表現している)を感光体ドラム20のドラム軸21と平行な軸心回りに回転している現像ローラ52の周面からドラム軸21回りに回転している画像形成装置10のアモルファスシリコン層23に供給することによりアモルファスシリコン層23の表面にトナー像Sを形成させるものである。
【0047】
現像装置本体51の感光体ドラム20周面と対向した壁面には、現像装置本体51内のトナーTを感光体ドラム20の周面に受け渡すためのトナー供給開口511が設けられ、現像装置本体51内のトナーTは、このトナー供給開口511を介し現像ローラ52の回転に応じて感光体ドラム20の周面に供給される。
【0048】
前記現像ローラ52は、前記ドラム軸21と平行に配された非回転の現像ローラ軸521と、この現像ローラ軸521に同心で一体的に外嵌された固定マグネット523と、この固定マグネット523に外嵌されて現像ローラ軸521回りに駆動回転する現像スリーブ522とを備えて構成されている。前記現像スリーブ522はSUSやアルミなどの金属、導電性樹脂等によって形成されている。
【0049】
かかる現像ローラ52は、現像ローラ用電源53からの電圧印加(DC+170V、AC振幅1.7kV、周波数2.5kHz、DUTY比45%の矩形波を印加)で現像スリーブ522の周面がプラスになった状態で、図略の現像ローラ用モータの駆動により現像ローラ軸521回りに反時計方向に向けて回転し、これによって現像装置本体51内のトナーTをプラスに帯電させつつ感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23に供給するようになっている。
【0050】
そして、現像装置本体51のトナー供給開口511の上縁部には、回転に応じて現像スリーブ522の周面から感光体ドラム20へ供給されるトナーTの厚み寸法を均一な所定のレベルに揃えるためのトナー層規制ブレード54が設けられ、トナーTは、このトナー層規制ブレード54を潜ることによって感光体ドラム20に対する過供給が防止されるようになっている。
【0051】
前記転写ローラ60は、感光体ドラム20の周面に形成されているトナー像Sの電荷の極性と反対の極性(本実施形態ではマイナスの極性)を付与することによってアモルファスシリコン層23からトナー像Sを剥がし取り、この剥がされたトナー像Sを転写ローラ60の周面とアモルファスシリコン層23との間を搬送されつつある用紙P上に転写させるものである。
【0052】
かかる転写ローラ60は、感光体ドラム20のドラム軸21と平行な転写ローラ軸61と、この転写ローラ軸61に同心で一体回転可能に外嵌された転写ローラ本体62とを備えて構成され、転写ローラ用電源63からのマイナスの電圧が印加(転写バイアス-2.5kV)されるようになっている。従って、用紙Pが転写ローラ本体62の周面と密着状態で当該転写ローラ本体62と感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23との間を搬送されることにより、プラスに帯電したトナーTからなるトナー像Sが、マイナスに帯電した用紙Pの表面側に静電気的に吸着され、これによって感光体ドラム20の周面に形成されたトナー像Sの用紙Pへの転写が行われる。
【0053】
前記ドラムクリーニング装置70は、感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23表面のトナー像Sが用紙Pに転写された後にアモルファスシリコン層23に残留している残留トナーT1を除去するためのものである。かかるドラムクリーニング装置70は、箱形のクリーニング装置本体71内の下部に装着された周面が感光体ドラム20の周面(アモルファスシリコン層23)と当接するクリーニングローラ72と、先端が感光体ドラム20の周面に当接するようにクリーニング装置本体71内の上部に装着されたクリーニングブレード73と備えて構成されている。
【0054】
前記クリーニングローラ72は、ドラム軸21と平行なローラ軸721周りに同心で一体的に形成されている。かかるクリーニングローラ72は、弾性変形し得るとともに、優れた強靱性を有する合成樹脂材料によって形成されている。
【0055】
このようなクリーニングローラ72がローラ軸回りに感光体ドラム20の周速度より速い周速度で感光体ドラム20と反対方向(図2に示す例では反時計方向)に向けて回転することにより、アモルファスシリコン層23表面を摺擦しコロナ生成物などの付着物を除去して清浄化する。
【0056】
前記クリーニングブレード73は、感光体ドラム20の周面に対する仕上げの清浄化部材であり、ゴムなどの弾性材料によって板状に形成されている。かかるクリーニングブレード73は、感光体ドラム20の周面のアモルファスシリコン層23に向けて先下がりに傾斜してクリーニング装置本体71内の上部位置に装着され、若干弾性変形した状態で先端のブレード刃731がアモルファスシリコン層23に当接されている。従って、クリーニングローラ72を介してブレード刃731に到達したアモルファスシリコン層23から、クリーニングローラ72で除去し得なかった残留トナーT1が感光体ドラム20の時計方向へ向かう回転に応じて掻き落とされることになる。
【0057】
そして、クリーニングローラ72およびクリーニングブレード73によって除去されたアモルファスシリコン層23の残留トナーT1は、クリーニング装置本体71内に導入されて一時貯留された後に所定の搬送手段の駆動により装置本体11(図1)内に設けられた図略の回収ボトルへ回収される。
【0058】
図6は、クリーニングブラシ100を備えるクリーニング装置1の周囲構成を示す斜視図である。クリーニング装置1は、クリーニングブラシ100と、スラスト駆動機構104と、回転駆動機構110とを備える。クリーニングブラシ100は、帯電ローラ30に接触し、かつ感光体ドラム20に接触しない位置に配設されている。
【0059】
クリーニングブラシ100を、帯電ローラ30の回転軸方向に予め定められた幅量で往復移動(スラスト移動)させるスラスト駆動機構(スラスト駆動手段)を説明する。感光体ドラム20のドラム軸21の端部には、駆動ギヤ211が設けられている。そして、この駆動ギヤ211に対してクリーニングブラシ100側となる位置に、当該駆動ギヤ211に噛み合う回転駆動ギヤ103を有するスラスト駆動機構104が設けられている。この回転駆動ギヤ103は、クリーニングブラシ100のブラシ軸101側となる側面に、カム105を有している。回転駆動ギヤ103は、その回転軸1031が図略の軸受に軸支されている。
【0060】
一方、クリーニングブラシ100のブラシ軸101の端部であって、上記カム105とは反対側の端部には、スプリング106が取り付けられている。このスプリング106は、クリーニングブラシ100を囲うケーシングの側壁107に取り付けられ、この側壁107とブラシ軸101の端部の間に介在して、ブラシ軸101(クリーニングブラシ100)を上記カム105側に押圧し、ブラシ軸101の他方の端部をカム105に押圧する。なお、ブラシ軸101は、図略の軸受によりスラスト移動及び回転可能に軸支されている。上記カム105の高低具合と、スプリング106による押圧力は、感光体ドラム20の回転時に、クリーニングブラシ100が帯電ローラ30の回転軸方向に1mm以上の幅量で往復移動(スラスト移動)するように設けられている。また、スラスト周期は、クリーニングブラシ100の1回転あたり1往復が好ましい。
【0061】
クリーニングブラシ100の回転駆動機構(回転駆動手段)110は、例えば、以下の構成からなる。クリーニングブラシ100のブラシ軸101には、ブラシ毛102から外れた位置に、回転駆動力伝達ギヤ111が設けられている。この回転駆動力伝達ギヤ111は、図略のブラシ軸回転用駆動源の回転軸に連結された伝達ギヤと噛合するようになっており、このブラシ軸回転用駆動源からの回転駆動力をブラシ軸101に伝達する。これにより、クリーニングブラシ100の周面が、帯電ローラ30の周面と同方向に回転するようになっている。但し、ブラシ軸回転用駆動源の駆動力と、回転駆動力伝達ギヤ111及び上記伝達ギヤのギヤ比は、クリーニングブラシ100が、感光体ドラム20の回転速度に対して周速差を持って回転するように設定されている。
【0062】
このような回転駆動機構110により、クリーニングブラシ100は、回転駆動力伝達ギヤ111に伝達されるブラシ軸回転用駆動源からの駆動力でブラシ軸101周りに回転する。そして、感光体ドラム20が回転すると、駆動ギヤ211及び回転駆動ギヤ103の噛み合いによりスラスト駆動機構104が回転し、スプリング106によりカム105に押圧されているブラシ軸101がカム105の面の高低に応じて押し返され、クリーニングブラシ100が帯電ローラ30に沿って、帯電ローラ30の回転軸方向に往復移動する。
【0063】
例えば、帯電ローラ30として表面粗さRzが10μmのものを使用し、クリーニングブラシ100のブラシ毛102の材質はナイロン、単糸繊度2.3T(総繊度220T/96F)、密度60kF/inchのものを使用し、さらに、帯電ローラ30へブラシ毛102の食込み量は0.5mm、クリーニングブラシ100のスラスト幅は2mmに設定する。スラスト周期は、クリーニングブラシ100の1回転あたり1往復とする。かかる設定を実施例1とする。表1は、300,000枚印字耐久試験を行った場合の試験結果を示すものである。
【0064】
実施例1では、耐久試験により、300,000枚印刷まで良好な画像を維持できることがわかる。
【0065】
但し、実施例1の設定を、スラスト運動無しに変更して実験すると、120,000枚印字にて縦筋状のカブリが発生する(比較例1)。
【0066】
また、実施例1の設定を、ブラシ毛102の単糸繊度を20T、配設密度を360kF/inch2に変更して実験すると、80,000枚印字にて全面カブリが発生する(比較例2)。
【0067】
【表1】

【0068】
このようなクリーニング装置1は、以下の効果を奏する。ブラシ毛102の単糸繊度を10T以下とし、ブラシ密度を300kF/inch2以下とすると、帯電ローラへのトナー外添剤の固着を防止する効果が高くなる一方、ブラシ毛が細くブラシ配設密度も小さくなるために、トナー外添剤を帯電ローラ表面から除去する作用が弱くなるが、クリーニングブラシ100を帯電ローラ30の表面に摺動させつつ帯電ローラ30の回転軸方向に往復移動させることによって、帯電ローラ30からのトナー外添剤の除去効果が高められ、上記トナー外添剤除去効果の弱まりを補うことができる。さらには、クリーニングブラシ100を上記のように帯電ローラ30の回転軸方向に往復移動させると、クリーニングブラシ100の耐久性が不安となるが、クリーニングブラシ100を帯電ローラ30とは周速差を持たせて回転させることで、当該耐久性の不安を解消できる。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、クリーニングブラシ100の回転駆動機構110及びスラスト駆動機構104として図6に示す構成からなるものを示しているが、本発明に係るクリーニング装置1に備えられる回転駆動機構及びスラスト駆動機構は、他の構成からなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】帯電ローラ周りの拡大説明図である。
【図3】帯電ローラの表面粗さ(Rz)と、かぶり濃度(FD)の関係を示す図である。
【図4】ブラシ毛の各単糸の繊度(T)と、感光体ドラムの表面電位Vo(V)の関係を示す図である。
【図5】ブラシ毛の各単糸の配設密度(kF/inch2)と、感光体ドラムの表面電位Vo(V)の関係を示す図である。
【図6】クリーニングブラシを備えるクリーニング装置の周囲構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 クリーニング装置
10 プリンタ
100 クリーニングブラシ
101 ブラシ軸
102 ブラシ毛
104 スラスト駆動機構
103 回転駆動ギヤ
1031 回転軸
105 カム
106 スプリング
110 回転駆動機構
111 回転駆動力伝達ギヤ
20 感光体ドラム
30 帯電ローラ
211 駆動ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に接触した状態で回転して感光体表面を帯電させる帯電ローラをクリーニングするクリーニング装置であって、
前記帯電ローラの回転軸方向に延び、前記帯電ローラの表面に接触した状態で回転し、当該帯電ローラ表面をブラッシングによりクリーニングするクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を前記帯電ローラと周速差を持たせて回転させる回転駆動手段と、
前記クリーニング部材を、前記帯電ローラの表面に摺動させた状態で、前記帯電ローラの回転軸方向に往復移動させるスラスト駆動手段とを備え、
前記クリーニング部材に設けられているブラシの単糸繊度が10T以下とされ、当該ブラシの密度が300kF/inch2以下とされているクリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニング部材は、表面粗さRzが5μm以上20μm以下とされている帯電ローラに対して適用される請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記クリーニング部材と前記帯電ローラとが同電位とされている請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材のブラシの毛足長さが、1.5mm以上とされている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記駆動手段による前記クリーニング部材の往復移動幅が1mm以上とされている請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
表面上に静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体に接触した状態で回転して感光体表面を帯電させる帯電ローラと、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のクリーニング装置とを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−155844(P2007−155844A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347216(P2005−347216)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】