説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】第1フリッカー突起105により、第1クリーニングブラシローラ101における起毛のスイング動作を発生させる構成において、トナーを従来よりも良好にブラシ内から回収する。
【解決手段】第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部の周方向における全域のうち、中間転写ベルト8との接触位置を通過した後、第1回収ローラ102との接触位置に進入する前の領域に対して、第1フリッカー突起105を接触させるレイアウトを採用した。かかるレイアウトでは、第1フリッカー突起105によってブラシ内の殆どのトナーをブラシ内から振り落とした後、ごく僅かに残っているトナーを第1回収ローラ102で回収する。これにより、従来よりもトナーを良好に回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃体の表面に付着している付着物をクリーニングブラシローラによって掻き取るクリーニング装置やこれを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、電子写真プロセスによって感光体の表面上にトナー像を形成して記録紙に転写した後、感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング装置によって除去する。クリーニング装置は、クリーニングブラシローラ、回収ローラ、スクレーパ、オーガローラ、フリッカー板などを有しており、感光体の表面上の転写残トナーを回転駆動するクリーニングブラシローラによって掻き取る。このクリーニングブラシローラにおける周方向の全域のうち、感光体との接触位置を通過した後の領域には、トナーとは逆極性の回収バイアスが印加される回収ローラが接触している。クリーニングブラシローラによって感光体表面から掻き取られたトナーは、ブラシと回収ローラとの接触位置でブラシから回収ローラに回収される。そして、スクレーパによって回収ローラ表面から掻き落とされた後、回転駆動するオーガローラによってクリーニング装置の外部に向けて搬送される。
【0003】
かかる構成のクリーニング装置において、短時間のうちに多量のトナーを感光体から除去しようとすると、クリーニングブラシローラによって掻き取った多量のトナーを回収ローラで回収しきれずに、多くのトナーをブラシ内に残してしまう。そして、ブラシから感光体にトナーを逆転移させてクリーニング不良を発生させてしまうことがある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の画像形成装置では、フリッカー板によってクリーニングブラシローラの起毛を強制的に振れさせることで、ブラシ内からのトナーの回収を促進している。具体的には、フリッカー板は、クリーニングブラシローラの周方向における全域のうち、回収ローラとの接触位置を通過した後、感光体との接触位置に進入する前の領域に接触する。回収ローラとの接触位置を通過した後のブラシ箇所は、上述したように、回収ローラで除去しきれなかった多量のトナーを含んでいる可能性がある。フリッカー板は、このように多量のトナーを含んでいる可能性のあるブラシ箇所に対して、感光体よりも上流側で接触する。そして、そのブラシ箇所を構成している起毛の先端部の移動を一時的に拘束して、起毛を大きく撓ませていく。フリッカー板との接触によって大きく撓んだ起毛は、クリーニングブラシローラの回転に伴ってフリッカー板から離れると、先端側を回転方向に勢い良く振って元の真っ直ぐな姿勢に一気に戻る(以下、この動作を振れ動作という)。この際、ブラシ内に捕捉されているトナーをブラシ内から振り落とすことで、ブラシ内からのトナーの回収を促進するのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のクリーニング装置においては、このようにしてトナーの回収を促進してもなお、クリーニング不良を引き起こすおそれがあった。具体的には、回収ローラで除去しきれなかった多量のトナーを含んでいる状態のブラシ内では、トナー中の殆どのトナー粒子が、起毛の表面に直接接触せずに、他のトナー粒子との間に挟まれた状態になる。かかるトナー粒子は、起毛の表面に直接接触しているトナー粒子に比べて、起毛に対する付着力が弱い状態にあるため、起毛の振れ動作によって起毛と起毛との間から容易に振り落とされる。ところが、起毛の表面に直接接触しているトナー粒子は、起毛に対して比較的大きな付着力を発揮していることから、起毛が振れ動作を行ってもその表面から振り落とされないことがある。このトナー粒子がクリーニングブラシローラの回転に伴って感光体との接触位置まで移動して感光体に逆転移することで、クリーニング不良を引き起こしてしまうのである。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなクリーニング装置や画像形成装置を提供することである。即ち、フリッカー板などのブラシ接触部材によって起毛のスイング動作を発生させる構成において、トナー等の付着物を従来よりも良好にブラシ内から回収することができるクリーニング装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能な回転軸部材及びこれの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部を具備し、且つ被清掃体の表面に付着している付着物を前記ブラシローラ部によって掻き取るクリーニングブラシローラと、回収バイアスが印加された状態で前記ブラシローラ部に接触しながら回転することで、前記ブラシローラ部内の前記付着物を自らの表面上に転移させて回収する回収部材と、前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、所定の回転位置に移動した領域に接触するように配設されたブラシ接触部材とを有し、前記ブラシローラ部と前記ブラシ接触部材との接触位置で前記起毛を一時的に撓ませた後に、前記接触位置を通過した前記起毛を腰の強さによって一気に元の姿勢に戻すことで、前記ブラシローラ部内に捕捉されている前記付着物を前記ブラシローラ部から振り落とすクリーニング装置において、前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記被清掃体との接触位置を通過した後、前記回収部材との接触位置に進入する前の領域に対して、前記ブラシ接触部材を接触させたことを特徴とするものである。
また、請求項1のクリーニング装置において、前記回転軸部材と同心で且つ前記ブラシ接触部材の先端位置を通る仮想円軌道に対する前記先端位置での接線を、前記回収部材の表面に交差させるレイアウトを採用したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のクリーニング装置において、前記回収部材の表面の周方向における全域のうち、前記ブラシローラ部との接触位置を通過した後、前記表面から前記付着物を掻き取る掻き取り部材との接触位置に進入する前の領域に対して、前記接線を交差させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1のクリーニング装置において、前記回収部材の表面から離脱した前記付着物を搬送する搬送部材を設けるとともに、前記回転軸部材と同心で且つ前記ブラシ接触部材の先端位置を通る仮想円軌道に対する前記先端位置での接線を前記搬送部材の表面に交差させるレイアウトを採用したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかのクリーニング装置において、前記クリーニングブラシローラ、及び前記回収部材を内包するケーシングの内壁に、前記ブラシ接触部材を一体形成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のクリーニング装置において、前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記ブラシ接触部材との接触位置を通過した直後の領域と、前記ケーシングの内壁との距離を、前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記ブラシ接触部材との接触位置に進入する直前の領域と、前記ケーシングの内壁との距離よりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかのクリーニング装置において、前記ブラシ接触部材の近傍で且つ前記ブラシ接触部材よりも前記クリーニングブラシローラの回転方向の上流側の位置に滞留する前記付着物を受け入れて、前記ブラシ接触部材よりも前記回転方向の下流側の位置に移動させるための貫通口を、前記ブラシ接触部材に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかのクリーニング装置において、前記ブラシローラ部に対する前記ブラシ接触部材の食い込み量を、前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量と同等以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に付着している付着物たるトナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置とを備える画像形成装置において、前記クリーニング装置として、請求項1乃至8の何れかのクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明においては、クリーニングブラシローラのブラシローラ部の周方向における全域のうち、被清掃体との接触位置を通過した後、回収部材との接触位置に進入する前の領域の起毛に対して、ブラシ接触部材との接触による振れ動作を発生させる。そして、この振れ動作により、ブラシローラ部内に捕捉された多量の付着物のうち、起毛の表面に直接接触していない大部分の付着物をブラシ内から振り落とす。このようにして付着物を振り落とした後のブラシ箇所は、起毛の表面に直接接触している僅かな付着物を残すのみの状態になる。そして、クリーニングブラシローラの回転に伴って被清掃体との接触位置に進入するのに先立って、回収部材との接触位置に進入する。この接触位置では、回収バイアスが印加される回収部材と、起毛との電位差によって形成される電界により、起毛表面に直接接触している僅かな量のトナー粒子に対して起毛との付着力を上回る静電気力を付与される。従来のクリーニング装置のように、ブラシ内の多量の付着物をその電界の作用によって回収部材表面に回収しようとすると、多量に存在する付着物の粒子同士の摩擦によってブラシ内から回収部材への付着物の転移を阻害してしまう。このため、多くの付着物をブラシ内に残してしまう。これに対し、本発明では、起毛の振れ動作によって殆どの付着物を振り落とした後、起毛表面に僅かに残っている付着物を前述の電界の作用によってブラシ内から回収部材に転移させるので、付着物の粒子同士の摩擦力によって回収部材への付着物の転移を阻害してしまうことがない。このため、起毛表面に僅かに残っている付着物を回収部材に良好に転移させて、付着物のほぼ全量を回収することが可能である。よって、回収部材による回収処理後のブラシ内に多くの付着物を残留させてしまっていた従来に比べて、付着物をブラシ内から良好に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのベルトクリーニング装置とその周囲とを拡大して示す拡大構成図。
【図3】同ベルトクリーニング装置における第1クリーニング部を示す部分横断面図。
【図4】同第1クリーニング部の第1フリッカー突起の周辺におけるブラシ先端とケーシング内壁との距離を説明するための装置部分横断面図。
【図5】同第1クリーニング部における回収ローラ食い込み量や突起食い込み量を説明するための装置部分横断面図。
【図6】第2実施例に係るプリンタの第1フリッカー突起を示す側面図及び部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、いわゆるタンデム型中間転写方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ有している。感光体1Y,M,C,Kの回りにはそれぞれ帯電装置2Y,M,C,K、現像装置5Y,C,M,K、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,K、除電装置(不図示)等を有している。プロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0011】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、感光体1Y,M,C,Kの表面に対してレーザー光Lを照射して静電潜像を書き込むための図示しない光書込ユニットが配設されている。
【0012】
また、プロセスユニット6Y,M,C,Kの下方には、ベルト部材たる無端状の中間転写ベルト8を具備するベルト装置としての転写ユニット7が配設されている。中間転写ベルト8の他、そのループ内側に配設された複数の張架ローラや、ループ外側に配設された2次転写ローラ18、テンションローラ16、ベルトクリーニング装置100、潤滑剤塗布装置200などを有している。
【0013】
中間転写ベルト8のループ内側には、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kと、従動ローラ10と、駆動ローラ11と、2次転写対向ローラ12と、第1クリーニング対向ローラ13と、第2クリーニング対向ローラ14と、第3クリーニング対向ローラ15と、塗布ブラシ対向ローラ17とが配設されている。これらローラは何れも、自らの周面の一部に中間転写ベルト8を掛け回してベルト張架を行う張架ローラとして機能している。なお、第1クリーニング対向ローラ13、第2クリーニング対向ローラ14、第3クリーニング対向ローラ15の必要条件は、必ずしも一定の張力を付与する働きをもたなければならないということはなく、中間転写ベルト8の回転にともなって従動回転するものでもよい。中間転写ベルト8は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される駆動ローラ11の回転により、図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0014】
ベルトループ内側に配設された4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、感光体1Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。なお、1次転写ローラ9Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によってトナーとは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0015】
また、ベルトループ内側に配設された2次転写対向ローラ12は、ベルトループ外側に配設された2次転写ローラ18との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、2次転写ローラ18とが当接する2次転写ニップが形成されている。なお、2次転写ローラ18には、図示しない電源によってトナーとは逆極性の2次転写バイアスが印加される。また、2次転写ローラと数本の支持ローラと駆動ローラにより紙搬送ベルトを架け渡し、2次転写ローラ18と、2次転写対向ローラ12との間に、中間転写ベルト8及び紙搬送ベルトを挟み込んだ構成としてもよい。
【0016】
ベルトループ内側に配設された第1クリーニング対向ローラ13は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第1クリーニングブラシローラ101との間に中間転写ベルト8を挟み込んで第1クリーニングニップを形成している。また、ベルトループ内側に配設された第2クリーニング対向ローラ14は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第2クリーニングブラシローラ111との間に中間転写ベルト8を挟み込んで第2クリーニングニップを形成している。また、ベルトループ内側に配設された第3クリーニング対向ローラ15は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第3クリーニングブラシローラ121との間に中間転写ベルト8を挟み込んで第3クリーニングニップを形成している。ベルトクリーニング装置100は中間転写ベルト8と一体的に交換可能になっているが、ベルトクリーニング装置100と中間転写ベルト8とで寿命設定が異なる場合には、ベルトクリーニング装置100を中間転写ベルト8とは独立してプリンタ本体に着脱可能としてもよい。ベルトクリーニング装置100の詳細については、後述する。
【0017】
本プリンタは、記録紙Pを収容する給紙カセットや、給紙カセットから記録紙Pを給紙路に給紙する給紙ローラなどを有する図示しない給紙部を備えている。また、給紙部から送られてきた記録紙を受け入れて2次転写ニップに向けて所定のタイミングで送り出す図示しないレジストローラ対を、上述した2次転写ニップの図中右側方に備えている。また、2次転写ニップから送り出される記録紙Pを受け入れてその記録紙Pに対してトナー像の定着処理を施す図示しない定着装置を、上述した2次転写ニップの図中左側方に備えている。また、必要に応じて、現像装置5Y,M,C,Kに対してY,M,C,Kトナーを補給する図示しないY,M,C,K用のトナー補給装置も備えている。
【0018】
近年、記録紙として従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊な記録紙が用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト8上のトナー像を紙に2次転写する際に転写不良が発生し易くなる。そこで、本プリンタでは、中間転写ベルト8に硬度の低い弾性層を設け、転写ニップ部でトナー層や平滑性の悪い記録紙に対して変形できるようにしている。中間転写ベルト8に硬度の低い弾性層を設け、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、中間転写ベルト8表面が局部的な凸凹に追従して変形できる。これにより、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の転写中抜けがなく、また、平滑性の悪い用紙等に対しても転写ムラのない、均一性に優れた転写画像を得ることができる。
【0019】
本プリンタでは、中間転写ベルト8は、少なくとも基層、弾性層、表面のコート層から構成される。
【0020】
中間転写ベルト8の弾性層に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられ、具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0021】
弾性層の厚さは、硬度及び層構成にもよるが、0.07〜0.5[mm]の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.5[mm]の範囲がよい。また、中間転写ベルト8の厚さが0.07[mm]以下と薄いと、2次転写ニップ部で中間転写ベルト8上のトナーに対する圧力が高くなり、転写中抜けが発生しやすくなり、さらに、トナーの転写率が低下する。
【0022】
弾性層の硬度は、10°≦HS≦65°(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト8の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じやすい。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また、長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
【0023】
中間転写ベルト8の基層は、伸びの少ない樹脂で構成している。基層に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ピニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0024】
伸びの大きなゴム材料などからなる弾性層の伸びを防止するために、基層と弾性層との間に帆布などの材料で構成された芯体層を設けてもよい。芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。上記の糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり、導電処理を施すことも可能である。
【0025】
中間転写ベルト8表面のコート層は、弾性層の表面をコーティングするためのものであり、平滑性のよい層からなるものである。コート層に用いられる材料としては、特に制限はないが、一般的に、中間転写ベルト8表面へのトナーの付着カを小さくして2次転写性を高める材料が用いられる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上、又は、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等の粒子を1種類あるいは2種類以上、又は必要に応じて粒径を変えたものを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0026】
必要に応じて、基層、弾性層又はコート層は、抵抗を調整する目的で、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を用いることができる。ここで、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0027】
中間転写ベルト8の表面は、ベルト表面を保護するために、潤滑剤塗布装置200により潤滑剤が塗布されている。潤滑剤塗布装置200は、ステアリン酸亜鉛塊などの固形潤滑剤202と、固形潤滑剤と当接し、回転によって固形潤滑剤から掻き取って得た潤滑剤粉末を中間転写ベルト8表面に塗布する塗布部材たる塗布ブラシローラ201とを備えている。本プリンタでは潤滑剤塗布装置200を備えているが、使用するトナーや中間転写ベルト8の材質、表面摩擦係数により適宜設ければよいものである。
【0028】
パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、本プリンタは、駆動ローラ11を回転駆動して、中間転写ベルト8を無端移動させる。駆動ローラ11以外の張架ローラについては、ベルトに従動回転させる。同時に、プロセスユニット6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kを回転駆動する。また、感光体1Y,M,C,Kの表面を帯電装置2Y,M,C,Kによって一様に帯電させながら、帯電後の表面に対してレーザー光Lの照射によって静電潜像を形成する。そして、感光体1Y,M,C,Kの表面に形成した静電潜像を現像装置5Y,M,C,Kによって現像することで、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像を得る。Y,M,C,Kトナー像は、上述したY,M,C,K用の1次転写ニップにて、中間転写ベルト8のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0029】
一方、不図示の給紙部では、給紙ローラによって給紙カセットから記録紙Pを1枚づつ送り出してレジストローラ対まで搬送する。そして、中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで、レジストローラ対を駆動して記録紙Pを2次転写ニップに送り込んで、ベルト上の4色重ね合わせトナー像を記録紙Pに一括2次転写する。これにより、記録紙Pの表面にフルカラー画像を形成する。フルカラー画像形成後の記録紙Pについては、2次転写ニップから定着装置に搬送してトナー像の定着処理を施す。
【0030】
Y,M,C,Kトナー像を中間転写ベルト8に1次転写した後の感光体1Y,M,C,Kについては、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kによって転写残トナーのクリーニング処理を施す。その後、図示しない除電ランプで除電した後、帯電装置2Y,M,C,Kで一様に帯電せしめて、次の画像形成に備える。また、記録紙Pに一次転写した後の中間転写ベルト8については、ベルトクリーニング装置100によって転写残トナーのクリーニング処理を施す。
【0031】
図2は、ベルトクリーニング装置100とその周囲とを拡大して示す拡大構成図である。同図において、ベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト8上の転写残トナーや、不要になったトナー像を大まかに除去するための第1クリーニング部と、中間転写ベルト8上の正規帯電極性(負極性)とは反対極性(正極性)に帯電したトナーを除去する第2クリーニング部と、中間転写ベルト8上の正規帯電極性に帯電したトナーを除去する第3クリーニング部とを備えている。
【0032】
第1クリーニング部は、クリーニング部材たる第1クリーニングブラシローラ101や、ブラシ接触部材としての第1フリッカー突起105を具備している。また、第1クリーニングブラシローラ101に付着したトナーを回収する回収部材としての第1回収ローラ102、これに当接してローラ表面からトナーを掻き取る掻き取り部材としての第1掻き取りブレード103なども具備している。更には、掻き取りブレード103によって掻き取られたトナーを受けながらベルトクリーニング装置100のケーシング外部に向けて搬送する搬送部材としての第1搬送スクリュウ104も具備している。
【0033】
未転写のトナー像を構成するトナーのほとんどは、正規帯電極性(負極性)に帯電しているので、正規帯電極性と反対極性(正極性)の電圧を第1クリーニングブラシローラ101に印加して、中間転写ベルト8上の負極性トナーを静電的除去するよう構成されている。また、第1回収ローラ102には、第1クリーニングブラシローラ101よりも大きな正極性の回収バイアスが印加されている。ベルトクリーニング装置100においては、未転写トナー像の90[%]が、第1クリーニングブラシローラ101により除去されるよう、第1クリーニングブラシローラ101に印加する電圧などが設定されている。
【0034】
第2トナークリーニング部は、第1クリーニング部に対して中間転写ベルト8移動方向下流側で隣り合うように配置され、トナーの正規帯電極性(負極性)と反対極性(正極性)に帯電したトナーを静電的に除去する第2クリーニングブラシローラ111を具備している。また、第2クリーニングブラシローラ111に付着した逆帯電トナーを回収する第2回収ローラ112、これに当接してローラ表面から逆帯電トナーを掻き取る第2掻き取りブレード113なども具備している。更には、ブラシ接触部材としての第2フリッカー突起115も具備している。第2クリーニングブラシローラ111には、負極性の電圧が印加されており、第2回収ローラ112には、第2クリーニングブラシローラ111よりも大きな負極性の回収バイアスが印加されている。また、この第2クリーニング部は、中間転写ベルト8上のトナーに負極性の電荷を付与して、中間転写ベルト8上のトナーの帯電極性を、正規帯電極性(負極性)に揃える極性制御手段としての機能も有している。
【0035】
第3クリーニング部は、第2クリーニング部に対して中間転写ベルト8移動方向下流側で隣り合うように配置され、正規帯電極性に帯電したトナーを静電的に除去する第3クリーニングブラシローラ121を具備している。また、第3クリーニングブラシローラ121に付着した正規帯電トナーを回収する第3回収ローラ122、これに当接してローラ表面から正規帯電トナーを掻き取る第3掻き取りブレード123なども具備している。更には、ブラシ接触部材としての第3フリッカー突起125も具備している。第3クリーニングブラシローラ121には、正極性の電圧が印加されており、第3回収ローラ122には、第3クリーニングブラシローラ121よりも大きな負極性の回収バイアスが印加されている。
【0036】
3つのクリーニングブラシローラ(101、111、121)は、それぞれ回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシ部とを具備しており、その外径はφ15〜16[mm]である。起毛は、内部が導電性カーボンなどの導電性材料からなり、表面部がポリエステルなどの絶縁性材料からなる二層構造の芯鞘構造となっている。これにより、芯は、クリーニングブラシローラに印加された電圧とほぼ同じ電位になり、トナーを起毛表面に静電的に引き付けることができる。その結果、中間転写ベルト8上のトナーは、クリーニングブラシローラに印加された電圧の作用によって起毛に静電的に付着する。
【0037】
3つのクリーニングブラシローラ(101、111、121)の起毛については、導電性繊維のみで構成してもよい。また、回転軸部材の法線方向に対して傾斜した姿勢で植毛されたいわゆる斜毛にしてもよい。また、第1クリーニングブラシローラ101や第3クリーニングブラシローラ121の起毛を芯鞘構造とする一方で、第2クリーニングブラシローラ111の起毛を導電性繊維のみで構成してもよい。第2クリーニングブラシローラ111の起毛を導電性繊維のみで構成することで、第2クリーニングブラシローラ111からトナーへの電荷注入が発生しやすくなる。よって、第2クリーニングブラシローラ111によって、中間転写ベルト8上のトナーを良好に負極性に揃えることができる。一方、第1クリーニングブラシローラ101や第3クリーニングブラシローラ121の起毛を芯鞘構造とすることによって、トナーへの電荷注入を抑制することができ、中間転写ベルト8上のトナーが正極性に帯電するのを抑制する。これにより、第1クリーニングブラシローラ101や第3クリーニングブラシローラ121で、静電的に除去できないトナーが生じるのを抑制できる。
【0038】
3つのクリーニングブラシローラ(101、111、121)は、中間転写ベルト8に対して1[mm]食い込む位置に配設されており、図示しない駆動手段によって、当接位置で起毛を中間転写ベルト8移動方向とは逆方向(カウンター方向)に移動させる方向に回転する。当接位置において、起毛をカウンター方向に移動させることで、クリーニングブラシローラと中間転写ベルト8との線速差を大きくすることができる。これにより、中間転写ベルト8のある箇所が、クリーニングブラシローラとの当接範囲を抜けるまでの間における起毛との接触確率が増え、良好に中間転写ベルト8からトナーを除去することができる。
【0039】
本実施形態では、第1回収ローラ102、第2回収ローラ112、第3回収ローラ122として、それぞれステンレスローラを用いた。なお、それら3つの回収ローラは、クリーニングブラシローラに付着したトナーを起毛と回収ローラとの電位勾配によってブラシから回収ローラに転位させる機能さえ発揮できれば、どのような材料からなっていてもかまわない。例えば、導電性芯金に数[μm]〜100[μm]の高抵抗弾性チューブを被せたり、あるいはさらに絶縁コーティングしたりして、ローラ抵抗をlogR=12〜13[Ω]にしたものを用いてもよい。本実施形態では、3つの回収ローラとして、それぞれステンレスローラを用いることにより、コストダウンや印加電圧(回収バイアスの電圧)を低く抑えることができ、省電力化を図ることができるというメリットがある。一方、ローラ抵抗をlogR=12〜13[Ω]にすることによって、回収ローラへの回収時におけるトナーへの電荷注入を抑制し、トナーが回収バイアスの極性と同極性になり、トナー回収率が低下するのを抑制することができる。
【0040】
3つのクリーニングブラシローラ(101、111、121)の条件は、次の通りである。
・ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
・ブラシ抵抗:106〜8[Ω]
・回転軸部材印加電圧[V]
第1クリーニングブラシローラ:+1600〜+2000[V]
第2クリーニングブラシローラ:−2000〜−2400[V]
第3クリーニングブラシローラ:+800〜+1200[V]
・ブラシ植毛密度:10万[本/inch
・ブラシ繊維径:約25〜35[μm]
・ブラシ先端の毛倒れ処理:あり
・ブラシ径φ:15〜16[mm]
【0041】
第1クリーニングブラシローラ101への印加電圧は、中間転写ベルト8に大量のトナーが付着している未転写トナー像が入力されたとき、良好なクリーニング性能が得られるように設定されている。また、第2クリーニングブラシローラ111は、中間転写ベルト8上のトナーへ電荷が注入されるよう高めに設定されている。また、ブラシ植毛密度、ブラシ抵抗、繊維径、印加電圧、繊維種類、ブラシ繊維喰込量はシステムによって最適化できるため、これに限らない。また、使用できる繊維の種類としては、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどがある。
【0042】
3つの回収ローラ(102、112、122)の条件は、次のとおりである。
・回収ローラ芯金材質:ステンレス(SUS303−G8)
・回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1.5[mm]
・回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):
第1回収ローラ:+2000〜+2400[V]
第2回収ローラ:−2400〜−2800[V]
第3回収ローラ:+1000〜+1400[V]
回収ローラ材質、ブラシ繊維喰込量、回収バイアス、表面粗さRaはシステムによって最適化できるため、これに限らない。
【0043】
3つの掻き取りブレード(103、113、123)の条件は次の通りである。
・ブレード当接角度:20[°]
・ブレード厚み:0.1[mm]
・回収ローラへのブレード喰い込み量:1.0[mm]
ブレード当接角度、ブレード厚み、回収ローラへの線圧は、システムによって最適化できるため、これに限らない。
【0044】
先に示した図1において、2次転写ローラ18と中間転写ベルト8との当接による2次転写ニップを通過した転写残トナーや未転写トナー像は、中間転写ベルト8の移動に伴って、ベルトクリーニング装置100との対向位置に搬送される。そして、図2における第1クリーニングブラシローラ101との接触位置に進入する。第1クリーニングブラシローラ101には、トナーの正規帯電極性とは反対極性(正極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第1クリーニングブラシローラの表面電位との電位差によって形成される電界により、中間転写ベルト8上の負極性トナーを静電的に吸着して第1クリーニングブラシローラ101に転移させる。第1クリーニングブラシローラ101に転移した負極性トナーは、第1クリーニングブラシローラ101よりも大きな値の正極性の電圧が印加された第1回収ローラ102との当接位置まで移送される。そして、第1クリーニングブラシローラ101の表面電位と第1回収ローラ102の表面電位との電位差によって形成される電界により、第1クリーニングブラシローラ101内の負極性トナーを静電的に吸着して第1回収ローラ102の表面に転移させる。第1回収ローラ102の表面に転移した負極性トナーは、第1掻き取りブレード103によって第1回収ローラ102表面から掻き落とされる。
【0045】
中間転写ベルト8表面上のトナーのうち、第1クリーニングブラシローラ101によって除去されなかったトナーは、中間転写ベルト8の移動に伴って第2クリーニングブラシローラ111との接触位置まで搬送される。第2クリーニングブラシローラ111には、トナーの正規帯電極性と同極性(負極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第2クリーニングブラシローラ111の表面電位との電位差によって形成される電界により、中間転写ベルト8上の正極性トナーを静電的に吸着して第2クリーニングブラシローラ111に転移させる。また、これと同時に、電荷注入や放電により、中間転写ベルト8上のトナーの極性を負極性に揃える。第2クリーニングブラシローラ111内に移動した正極性トナーは、第2クリーニングブラシローラ111よりも大きな値の負極性の電圧が印加される第2回収ローラ112との当接位置まで移送される。そして、第2クリーニングブラシローラ111の表面電位と第2回収ローラ112の表面電位との電位差によって形成される電界により、第2クリーニングブラシローラ111内の正極性トナーを静電的に吸着して第2回収ローラ112の表面に転移させる。第2回収ローラ112の表面上に転移した正極性トナーは、第2掻き取りブレード113によって回収ローラ表面から掻き落とされる。
【0046】
第2クリーニングブラシローラ111からの電荷注入によって正極性から負極性に極性転換させたトナーや、第1クリーニングブラシローラ101によって除去しきれなかった負極性トナーは、中間転写ベルト8の移動に伴って第3トナークリーニングブラシローラ121との接触位置に搬送される。ここまで到達するトナーはごく少量で且つ負極性に帯電している。このため、トナーの正規帯電極性とは反対極性(正極性)の電圧が印加されている第3クリーニングブラシローラ121内に容易に静電移動する。そして、第3クリーニングブラシローラ121から第3回収ローラ122に転移した後、第3掻き取りブレード123によって第3回収ローラ122の表面から掻き落とされる。
【0047】
かかる構成のベルトクリーニング装置100によれば、まず、第1クリーニングブラシローラ101で未転写のトナー像の大部分をしめる負極性のトナーを大まかに除去することにより、他の2つのクリーニングブラシローラ(111、121)のトナー処理量を大幅に低減する。すると、第2クリーニング部において、大量の正規帯電トナーが逆帯電トナーの第2クリーニングブラシローラ111への転移を阻害してしまうことがなくなりので、逆帯電トナーを第2クリーニングブラシローラ111によ
【0048】
また、中間転写ベルト8の移動によって第3クリーニング部まで搬送されるトナーを、ごく少量の正規帯電トナーとすることで、第3クリーニング部において、ベルト表面上に残っているトナーを確実に除去することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第2クリーニングブラシローラ111からベルト表面上のトナーに対して正規極性(負極性)の電荷を注入することで、第2クリーニング部を通過してしまうトナーの極性を正規極性に揃える極性制御を行っているが、この極性制御については必ずしも行う必要はない。
【0050】
また、第3クリーニング部を逆帯電トナークリーニング部とし、且つ第2クリーニング部を正規帯電トナークリーニング部としてもよい。この場合、第2クリーニング部を通過してしまうトナーに対して第2クリーニング部で逆極性の電荷を注入して、トナーの極性を逆極性に揃える極性制御を行ってもよいし、このような極性制御が行われないようにしてもよい。
【0051】
また、第2クリーニング部をトナー極性制御部に変更して、中間転写ベルト8上の正極性のトナーを除去しない構成としてもよい。この場合、第1クリーニングブラシローラ101との対向位置を通過した中間転写ベルト8上のトナーの極性を、極性制御部によって負極性に揃えた後、極性制御部に対してベルト移動方向下流側で隣り合っている第3クリーニング部で除去する。極性制御部によって中間転写ベルト8上のトナーに負極性の電荷を注入する手段としては、導電性ブラシ、導電性ブレード、コロナチャジャーなどを例示することができる。
【0052】
また、トナーの帯電極性を負極性に揃える代わりに、正極性に揃えた後、極性制御部に対してベルト移動方向下流で隣り合っている第3クリーニング部で除去してもよい。この場合、負極性の電圧を印加するクリーニングブラシを第3クリーニング部に配設して、中間転写ベルト上の正極性トナーを除去する。このような構成でも、第1クリーニングブラシローラ101によって中間転写ベルト8から未転写トナー像のトナーを大まかに除去して極性制御部における処理トナー量を少なくことで、極性制御部においてトナーの極性を容易に揃えることができる。よって、極性制御部に対してベルト移動方向下流側で隣り合っている第3クリーニング部において中間転写ベルト8上のトナーを良好に除去することができる。
【0053】
また、各クリーニン部においてそれぞれ、クリーニングブラシローラ(101、111、121)と回収ローラ(102、112、122)とに電圧を印加しているが、回収ローラとして金属ローラ用いて、回収ローラだけに電圧を印加してもよい。この場合、クリーニングブラシローラの繊維抵抗による電位降下によって、回収ローラとの接触部を介する形態で、回収ローラに印加された回収バイアスよりも幾分低いバイアス電圧がクリーニングブラシローラに印加されている状態となる。これにより、回収ローラとクリーニングブラシローラとの間に電位差が形成され、回収ローラ方向へ電位勾配によりクリーニングブラシローラから回収ローラへトナーを静電的に移動させることができる。
【0054】
第1クリーニング部においては、第1回収ローラ102の図中下方に、トナーをケーシングの外部に向けて搬送するための第1搬送路が形成されている。この第1搬送路は、第1クリーニングブラシローラ101や第1回収ローラ102と同様に、ベルト幅方向に平行な方向に沿って延在しており、第1掻き取りブレード103によって第1回収ローラ102から掻き取られたトナーを受け入れる。図示しない軸受けによって回転自在に受けられる回転軸部材と、これの周面に螺旋状に立設せしめられた螺旋羽根とを具備している第1搬送スクリュウ104は、その軸線方向を前記方向に沿わせる姿勢で、第1搬送路内に配設されている。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1搬送路内に受け入れられたトナーを前記方向に沿って搬送する。図示の例では、付着物としてのトナーを、図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送することで、ケーシング外部に向けて移動させる。
【0055】
また、第2クリーニング部においては、第2回収ローラ112の下方に、トナーをケーシングの外部に向けて搬送するための第2搬送路が上記第1搬送路とは独立して形成されている。この第2搬送路内は、第2クリーニングブラシローラ111や第2回収ローラ112と同様に、ベルト幅方向に平行な方向に沿って延在しており、第2掻き取りブレード113によって第2回収ローラ112から掻き取られたトナーを受け入れる。図示しない軸受けによって回転自在に受けられる回転軸部材と、これの周面に螺旋状に立設せしめられた螺旋羽根とを具備している第2搬送スクリュウ114は、その軸線方向を前記方向に沿わせる姿勢で、第2搬送路内に配設されている。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第2搬送路内に受け入れられたトナーを前記方向に沿って搬送する。図示の例では、付着物としてのトナーを、図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送することで、ケーシング外部に向けて移動させる。
【0056】
また、第3クリーニング部においては、第3回収ローラ122の下方に、トナーをケーシングの外部に向けて搬送するための第3搬送路が上記第1搬送路や上記第2搬送路とは独立して形成されている。この第3搬送路内は、第3クリーニングブラシローラ121や第3回収ローラ122と同様に、ベルト幅方向に平行な方向に沿って延在しており、第3掻き取りブレード123によって第3回収ローラ122から掻き取られたトナーを受け入れる。図示しない軸受けによって回転自在に受けられる回転軸部材と、これの周面に螺旋状に立設せしめられた螺旋羽根とを具備している第3搬送スクリュウ124は、その軸線方向を前記方向に沿わせる姿勢で、第3搬送路内に配設されている。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第3搬送路内に受け入れられたトナーを前記方向に沿って搬送する。図示の例では、付着物としてのトナーを、図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送することで、ケーシング外部に向けて移動させる。
【0057】
クリーニング装置100は、3つのクリーニングブラシローラ(101、111、121)によってそれぞれベルト表面から掻き取ったトナーを、3つの搬送スクリュウ(104、114、124)によって搬送してケーシングの外部に排出する。かかる構成では、複雑な構造のクリーニング装置100の着脱操作を行うことなく、ベルト表面から除去したトナーの最終処理を行うことを可能にしてメンテナンス性を向上させることができる。
【0058】
第1搬送路は第1クリーニングブラシローラ101に対応するように配設され、第2搬送路は第2クリーニングブラシローラ111に対応するように配設され、且つ第3搬送路は第3クリーニングブラシローラ121に対応するように配設されている。これら搬送路は、3つのクリーニングブラシローラによってベルト表面からそれぞれ個別に掻き取られたトナーをそれぞれケーシングの外部に向けて個別に搬送するためのものである。3つのクリーニングブラシローラによってベルト表面からそれぞれ掻き取ったトナーを、それぞれ個別に搬送することで、それらトナーをケーシングのテーパー面に沿って自重で移動させて一箇所に集める必要がなくなる。かかる構成では、テーパー面に沿ってトナーを長距離移動させることがないので、テーパー面上でのトナー塊の形成を回避して、クリーニング装置100内からベルト表面へのトナーの逆転移の発生を抑えることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るベルトクリーニング装置100のように、ベルト表面上の正規帯電トナーと逆帯電トナーとをそれぞれ個別に除去するものにおいては、両者を個別に搬送することで、両者の静電吸着によるトナー塊の発生を回避することができる。
【0060】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図3は、ベルトクリーニング装置100における第1クリーニング部を示す部分横断面図である。同図において、第1フリッカー突起105は、第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部の周方向における全域のうち、中間転写ベルト8との接触位置を通過した後、回収部材たる第1回収ローラ102との接触位置に進入する前の領域に接触するように配設されている。そして、ブラシの起毛を一時的に撓ませた後に、自らとの接触位置を通過した起毛を腰の強さによって一気に元の姿勢に戻す振れ動作を行うことで、ブラシ内に捕捉されている転写残トナーをブラシ内から振り落とす。
【0061】
第1クリーニングブラシローラ101と中間転写ベルト8との間に多量の転写残トナーが進入したことに起因して、ブラシ内に多量のトナーが捕捉されたとする。すると、それらトナー中におけるトナー粒子の殆どは、ブラシの起毛表面に直接接触せずに、他のトナー粒子間に挟まれた状態になる。第1フリッカー突起105によって起毛の振れ動作が行われると、ブラシ内に捕捉されているトナー粒子のうち、起毛表面に直接接触していない大部分のトナー粒子がブラシ内から振り落とされる。このため、第1フリッカー突起105との接触位置を通過した後のブラシ箇所には、起毛の表面に直接接触している僅かな付着物を残すのみの状態になる。このような状態のブラシ箇所は、第1クリーニングブラシローラ101の回転に伴って中間転写ベルト8との接触位置に進入するのに先立って、第1回収ローラ101との接触位置に進入する。そして、回収バイアスが印加される第1回収ローラ101と、起毛との電位差によって形成される電界により、起毛との付着力を上回る静電気力を付与されることで、ブラシ内から第1回収ローラ102表面に転移する。このとき、起毛表面に直接接触している僅かなトナー粒子を残すのみの状態になっているブラシ内では、残されている僅かなトナー粒子が、他のトナー粒子との摩擦による移動阻害を殆ど受けることなく、ブラシ内をスムーズに移動して、第1回収ローラ102の表面に良好に転移する。よって、回収ローラによる回収処理後のブラシ内に多くの付着物を残留させてしまっていた従来に比べて、トナーをブラシ内から良好に回収することができる。
【0062】
図3において、C1という符号が付された点線で描かれている円は、第1クリーニングブラシローラ101の回転軸部材と同心で且つ第1フリッカー突起105の先端位置を通る仮想円軌道である。また、L1という符号が付された一点鎖線で描かれている直線は、仮想円軌道C1に対して第1フリッカー突起105の先端位置で接している接線である。第1フリッカー突起105との接触によって起毛の振れ動作が起こったブラシ箇所では、ブラシ内のトナーの多くが、接線L1上の軌道に沿って図中右側から左側に飛ばされる。図示のように、この接線L1は、第1回収ローラ102の表面に交差しているので、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばされたトナーの殆どが、第1回収ローラ102の表面に付着する。このように、実施形態に係るプリンタにおいては、接線L1を第1回収ローラ102の表面に交差させるレイアウトにしていることで、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばしたトナーの殆どを、第1回収ローラ102の表面に付着させることができる。
【0063】
接線L1は、第1回収ローラ102の表面の周方向における全域のうち、次のような領域に交差している。即ち、第1クリーニングブラシローラ101との接触位置を通過した後、自らの表面からトナーを掻き取る第1掻き取りブレード103との接触位置に進入する前の領域である。このため、第1回収ローラ102の表面の周方向における全域のうち、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばされたトナーを付着させた領域は、第1回収ローラ102の回転に伴って第1クリーニングブラシローラ101との接触位置に進入するのに先立って、第1掻き取りブレード103との接触位置に進入する。そして、第1掻き取りブレード103によって表面上のトナーが掻き取られた後に、第1クリーニングブラシローラ101との接触位置に進入する。かかる構成においては、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばして第1回収ローラ102の表面に付着させたトナーを、第1クリーニングブラシローラ101に逆転移させてしまうことなく、第1回収ローラ102の表面から掻き取ることができる。
【0064】
第1フリッカー突起105は、周知の成型法により、第1クリーニングブラシローラ101や第1回収ローラ102を内包するケーシングの内壁に一体形成されている。かかる構成では、第1フリッカー突起105をケーシング内壁に組み付ける作業を省略して、製造コストを低減することができる。
【0065】
図4は、第1フリッカー突起の周辺におけるブラシ先端とケーシング内壁との距離を説明するための装置部分横断面図である。同図において、G1は、第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部の周方向における全域のうち、第1フリッカー突起105との接触位置を通過した直後の領域と、ケーシングの内壁との距離を示している。また、G2は、前記全域のうち、第1フリッカー突起105との接触位置に進入する直前の領域と、ケーシングの内壁との距離を示している。実施形態に係るプリンタでは、同図から明らかにわかるように、距離G1を距離G2よりも大きくしている。このようにすることで、第1フリッカー突起105よりもブラシ回転方向下流側におけるブラシ先端とケーシング内壁との間の空間(以下、フリッカー下流側空間という)の容量を、第1フリッカー突起105よりもブラシ回転方向上流側におけるブラシ先端とケーシング内壁との間の空間(以下、フリッカー上流側空間という)の容量よりも大きくしている。かかる構成では、フリッカー上流側空間に滞留してしまったトナーを、起毛の振れ動作によって発生する気流に乗せて、フリッカー上流側空間からフリッカー下流側空間にスムーズに移動させる。これにより、フリッカー上流側空間における滞留トナーの増加を抑えることができる。
【0066】
図5は、回収ローラ食い込み量や突起食い込み量を説明するための装置部分横断面図である。同図において、K1は、第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部に対する第1フリッカー突起105の食い込み量である突起食い込み量を示している。この突起食い込み量K1は、具体的には、ブラシローラ部の外縁から、第1フリッカー突起105の先端までの距離である。また、K2は、同ブラシローラ部に対する第1回収ローラ102の食い込み量である回収ローラ食い込み量を示している。この回収ローラ食い込み量K2は、具体的には、第1クリーニングブラシローラ101の半径と、第1回収ローラ101の半径との和から、両ローラの軸心間距離を減じた値である。
【0067】
実施形態に係るプリンタにおいては、突起食い込み量K1を回収ローラ食い込み量K2と同等以下の値に設定している。かかる構成では、第1フリッカー突起105との接触及び離間を長期間に渡って繰り返していく過程で、ブラシの起毛に毛倒れ癖が発生したとしても、その毛倒れ癖のある起毛を第1回収ローラ102に確実に接触させる。これにより、毛倒れ癖によるブラシ内からのトナーの回収不良の発生を抑えることができる。
【0068】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
第1実施例に係るプリンタにおいては、上述した接線L1を第1回収ローラ102の表面に交差させるレイアウトの代わりに、次のようなレイアウトを採用している。即ち、第1搬送スクリュウ104の表面に交差させるレイアウトである。かかる構成では、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばされたトナーの殆どを、第1搬送スクリュウ104上に直接落下させることで、間接的に落下させる場合に比べて、トナーの回収効率を向上させることができる。
【0069】
[第2実施例]
図6は、第2実施例に係るプリンタの第1フリッカー突起105を示す側面図及び部分正面図である。図示のように、第1フリッカー突起105には、複数の貫通口105aが設けられている。これら貫通口105aは、上述したフリッカー上流側空間に滞留したトナーを受け入れて、上述したフリッカー下流側空間に移動させる。これにより、フリッカー上流側空間における滞留トナーの増加を抑えることができる。
【0070】
これまで、実施形態や各実施例において、第1クリーニング部について詳しく説明してきたが、第2クリーニング部や第3クリーング部に対しては、第1クリーニング部と同様の構成を採用している。また、被清掃体としての中間転写ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置100について説明してきたが、例えば感光体など中間転写体とは異なるものを被清掃体とする構成にも本発明の適用が可能である。また、クリーニングブラシローラを3つ設けたベルトクリーニング装置100について説明したが、クリーニング部材を2つだけ、あるいは4つ以上設けた構成にも本発明の適用が可能である。
【0071】
以上、実施形態に係るベルトクリーニング装置100においては、第1クリーニングブラシローラ101と同心で且つ第1フリッカー突起105の先端位置を通る仮想円軌道C1に対する同先端位置での接線L1を、第1回収ローラ102の表面に交差させるレイアウトを採用している。かかる構成では、既に説明したように、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばしたトナーの殆どを、第1回収ローラ102の表面に付着させることができる。
【0072】
また、実施形態に係るベルトクリーニング装置100においては、第1回収ローラ201の表面の周方向における全域のうち、第1クリーニングローラ101のブラシローラ部との接触位置を通過した後、掻き取り部材たる第1掻き取りブレード103との接触位置に進入する前の領域に対して、接線L1を交差させている。かかる構成では、既に説明したように、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばして第1回収ローラ102の表面に付着させたトナーを、第1クリーニングブラシローラ101に逆転移させてしまうことなく、第1回収ローラ102の表面から掻き取ることができる。
【0073】
また、第1実施例に係るベルトクリーニング装置100においては、第1回収ローラ102の表面から離脱した付着物としてのトナーを搬送する搬送部材として、第1搬送スクリュウ104を設けている。そして、第1クリーニングブラシローラ101の回転軸部材と同心で且つ第1フリッカー突起105の先端位置を通る仮想円軌道C1に対する同先端位置での接線L1を第1搬送スクリュウ104の表面に交差させるレイアウトを採用している。かかる構成では、既に説明したように、起毛の振れ動作によってブラシ内から飛ばされたトナーの殆どを、第1搬送スクリュウ104上に直接落下させることで、間接的に落下させる場合に比べて、トナーの回収効率を向上させることができる。
【0074】
また、実施形態に係るベルトクリーニング装置100においては、第1クリーニングブラシローラ101、及び第1回収ローラ102を内包するケーシングの内壁に、第1フリッカー突起105を一体形成している。かかる構成では、既に説明したように、第1フリッカー突起105をケーシング内壁に組み付ける作業を省略して、製造コストを低減することができる。
【0075】
また、実施形態に係るベルトクリーニング装置100においては、第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部の周方向における全域のうち、第1フリッカー突起105との接触位置を通過した直後の領域と、ケーシングの内壁との距離G1を、同全域のうち、第1フリッカー突起105との接触位置に進入する直前の領域と、ケーシングの内壁との距離G2よりも大きくしている。かかる構成では、既に説明したように、フリッカー上流側空間に滞留してしまったトナーを、起毛の振れ動作によって発生する気流に乗せて、フリッカー上流側空間からフリッカー下流側空間にスムーズに移動させる。これにより、フリッカー上流側空間における滞留トナーの増加を抑えることができる。
【0076】
また、第2実施例に係るベルトクリーニング装置100においては、第1フリッカー突起105の近傍で且つ第1フリッカー突起105よりもブラシローラ回転方向の上流側の位置に滞留するトナーを受け入れて、第1フリッカー突起105よりもブラシローラ回転方向の下流側の位置に移動させるための貫通口105aを、第1フリッカー突起105に設けている。かかる構成では、フリッカー上流側空間における滞留トナーの増加を抑えることができる。
【0077】
また、実施形態に係るベルトクリーニング装置100においては、第1クリーニングブラシローラ101のブラシローラ部に対する第1フリッカー突起105の食い込み量である突起食い込み量K1を、同ブラシローラ部に対する第1回収ローラ102の食い込み量である回収ローラ食い込み量K2と同等以下にしている。かかる構成では、既に説明したように、毛倒れ癖によるブラシ内からのトナーの回収不良の発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0078】
8:中間転写ベルト(被清掃体、像担持体)
101:第1クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
102:第1回収ローラ(回収部材)
103:第1掻き取りブレード(掻き取り部材)
104:第1搬送スクリュウ(搬送部材)
105:第1フリッカー突起(ブラシ接触部材)
111:第2クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
112:第2回収ローラ(回収部材)
113:第2掻き取りブレード(掻き取り部材)
114:第2搬送スクリュウ(搬送部材)
115:第2フリッカー突起(ブラシ接触部材)
121:第3クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
122:第3回収ローラ(回収部材)
123:第3掻き取りブレード(掻き取り部材)
124:第3搬送スクリュウ(搬送部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開平2−81077号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な回転軸部材及びこれの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部を具備し、且つ被清掃体の表面に付着している付着物を前記ブラシローラ部によって掻き取るクリーニングブラシローラと、
回収バイアスが印加された状態で前記ブラシローラ部に接触しながら回転することで、前記ブラシローラ部内の前記付着物を自らの表面上に転移させて回収する回収部材と、
前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、所定の回転位置に移動した領域に接触するように配設されたブラシ接触部材とを有し、
前記ブラシローラ部と前記ブラシ接触部材との接触位置で前記起毛を一時的に撓ませた後に、前記接触位置を通過した前記起毛を腰の強さによって一気に元の姿勢に戻すことで、前記ブラシローラ部内に捕捉されている前記付着物を前記ブラシローラ部から振り落とすクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記被清掃体との接触位置を通過した後、前記回収部材との接触位置に進入する前の領域に対して、前記ブラシ接触部材を接触させたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
前記回転軸部材と同心で且つ前記ブラシ接触部材の先端位置を通る仮想円軌道に対する前記先端位置での接線を、前記回収部材の表面に交差させるレイアウトを採用したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2のクリーニング装置において、
前記回収部材の表面の周方向における全域のうち、前記ブラシローラ部との接触位置を通過した後、前記表面から前記付着物を掻き取る掻き取り部材との接触位置に進入する前の領域に対して、前記接線を交差させたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1のクリーニング装置において、
前記回収部材の表面から離脱した前記付着物を搬送する搬送部材を設けるとともに、
前記回転軸部材と同心で且つ前記ブラシ接触部材の先端位置を通る仮想円軌道に対する前記先端位置での接線を前記搬送部材の表面に交差させるレイアウトを採用したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかのクリーニング装置において、
前記クリーニングブラシローラ、及び前記回収部材を内包するケーシングの内壁に、前記ブラシ接触部材を一体形成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5のクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記ブラシ接触部材との接触位置を通過した直後の領域と、前記ケーシングの内壁との距離を、
前記ブラシローラ部の周方向における全域のうち、前記ブラシ接触部材との接触位置に進入する直前の領域と、前記ケーシングの内壁との距離よりも大きくしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかのクリーニング装置において、
前記ブラシ接触部材の近傍で且つ前記ブラシ接触部材よりも前記クリーニングブラシローラの回転方向の上流側の位置に滞留する前記付着物を受け入れて、前記ブラシ接触部材よりも前記回転方向の下流側の位置に移動させるための貫通口を、前記ブラシ接触部材に設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかのクリーニング装置において、
前記ブラシローラ部に対する前記ブラシ接触部材の食い込み量を、前記ブラシローラ部に対する前記回収部材の食い込み量と同等以下にしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に付着している付着物たるトナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置とを備える画像形成装置において、
前記クリーニング装置として、請求項1乃至8の何れかのクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237787(P2012−237787A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104931(P2011−104931)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】