説明

クレーンの油圧回路

【課題】良好な吊り荷の水平移動を可能とする。
【解決手段】複数の油圧ポンプ11,12にそれぞれ制御弁16,18を介して並列に接続されたブーム起伏用アクチュエータ23と、各油圧ポンプ11,12からブーム起伏用アクチュエータ23へ圧油を供給する管路にそれぞれ制御弁15,17を介して接続された油圧アクチュエータ21,22と、複数の油圧ポンプ11,12の少なくとも1つを選択する選択手段30と、選択手段30により選択された油圧ポンプ11,12のみからブーム起伏用アクチュエータ23に圧油が供給可能となるように油圧ポンプ11,12からの圧油の流れを制御する制御手段31〜34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り荷の水平移動等を容易にするクレーンの油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高架橋の桁掛けや鉄塔の設置などの作業を行う場合には、主巻用フックと補巻用フックとに吊り荷を吊下した状態で前後方向に吊り荷を水平移動することがあり、吊り荷を前方に水平移動する際は起伏ウインチを巻下げ操作しながら主巻ウインチと補巻ウインチを同時に巻上げ操作する。この場合の水平移動を容易にするものとして、以下の特許文献1記載の油圧回路が知られている。
【0003】
この特許文献1記載の油圧回路では、油圧ポンプに対して主巻ウインチ用制御弁と起伏ウインチ用制御弁を直列に接続するとともに、他の油圧ポンプに対して補巻ウインチ用制御弁と起伏ウインチ用制御弁を直列に接続し、複数の油圧ポンプからの圧油を合流して起伏ウインチを駆動するようにしている。また、各起伏ウインチ用制御弁にそれぞれ流量補償弁を設け、各油圧ポンプから起伏ウインチへの圧油供給量を規制するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−274784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の油圧回路では、常に複数の油圧ポンプからの圧油を合流して起伏ウインチを駆動するため、例えば主巻用フックのみに吊り荷を吊下して吊り荷を前方に水平移動する場合、起伏ウインチへの圧油供給量に比べて主巻ウインチへの圧油供給量が不足する。そのため、ブーム起伏による吊り荷の上下稼働量に対し、主巻ウインチによる吊り荷の上下稼働動量が不足し、吊り荷の水平移動が困難となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるクレーンの油圧回路は、制御弁を介して複数の油圧ポンプに並列に接続されたブーム起伏用アクチュエータと、各油圧ポンプからブーム起伏用アクチュエータへ圧油を供給する管路にそれぞれ制御弁を介して接続された他の油圧アクチュエータと、複数の油圧ポンプの少なくとも1つを選択する選択手段と、選択手段により選択された油圧ポンプのみからブーム起伏用アクチュエータに圧油が供給可能となるように油圧ポンプからの圧油の流れを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
ブーム起伏用アクチュエータの高低速を選択する選択スイッチにより高速が選択されると複数の油圧ポンプの全てを選択し、低速が選択されると複数の油圧ポンプの一部のみを選択することが好ましい。
また、本発明によるクレーンの油圧回路は、主巻操作指令に応じて主巻ウインチを駆動する主巻用アクチュエータと、補巻操作指令に応じて補巻ウインチを駆動する補巻用アクチュエータと、起伏操作指令に応じて起伏ウインチを駆動する起伏用アクチュエータと、主巻用アクチュエータと起伏用アクチュエータの駆動圧油を吐出する第1の油圧ポンプと、補巻用アクチュエータと起伏用アクチュエータの駆動圧油を吐出する第2の油圧ポンプと、第1の油圧ポンプから主巻用アクチュエータへの圧油の流れを制御する主巻用制御弁と、第2の油圧ポンプから補巻用アクチュエータへの圧油の流れを制御する補巻用制御弁と、第1の油圧ポンプから起伏用アクチュエータへの圧油の流れを制御する第1の起伏用制御弁と、第2の油圧ポンプから起伏用アクチュエータへの圧油の流れを制御する第2の起伏用制御弁と、第1および/または第2の油圧ポンプを選択する選択手段と、起伏操作指令に応じて、選択手段で選択された油圧ポンプから起伏用アクチュエータへ圧油が供給されるように第1および第2の起伏用制御弁を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御弁を介して複数の油圧ポンプに並列にブーム起伏用アクチュエータを接続するとともに、ブーム起伏用アクチュエータへ圧油を供給する管路に油圧アクチュエータを接続し、選択された油圧ポンプのみからブーム起伏用アクチュエータに圧油が供給可能となるようにしたので、ブーム起伏用アクチュエータの駆動時に他の油圧アクチュエータへの圧油の供給不足を解消することができ、吊り荷の水平移動などを良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜図4を参照して本発明によるクレーンの油圧回路の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるクレーンの側面図である。クレーンは、走行体1と、走行体1上に旋回可能に搭載された旋回体2と、旋回体2の前部に回動可能に軸支されたブーム3とを有する。旋回体2には主巻ウインチ用ドラム(以下、主巻ドラム4),補巻ウインチ用ドラム(以下、補巻ドラム5),起伏ウインチ用ドラム(以下、起伏ドラム6)が搭載され、これら各ドラム4〜6には主巻ロープ4a,補巻ロープ5a,起伏ロープ6aがそれぞれ巻回されている。
【0009】
主巻ロープ4aはブーム先端部を経由して主巻用フック(以下、主フック7)に接続され、補巻ロープ5aはブーム先端部を経由して補巻用フック(以下、補フック8)に接続されている。主巻ウインチは重荷重用ウインチ、補巻ウインチは軽荷重用ウインチであり、主巻ロープ4aの掛け数は補巻ロープ5aの掛け数よりも多い。主巻ドラム4を駆動すると主巻ロープ4aを介して主フック7が昇降し、補巻ドラム5を駆動すると補巻ロープ5aを介して補フック8が昇降する。起伏ロープ5aはブライドル9を介して一端がブーム先端部に接続されたペンダントロープ10の他端に接続されている。起伏ドラム5を駆動すると起伏ロープ6aおよびペンダントロープ10を介してブーム3が起伏する。
【0010】
本実施の形態に係るクレーンの油圧回路を図2に示す。油圧ポンプ11〜13はそれぞれエンジン14により駆動される。油圧ポンプ11には方向制御弁15,16を介して主巻モータ21および起伏モータ23が接続され、油圧ポンプ12には方向制御弁17,18を介して補巻モータ22および起伏モータ23が接続されている。すなわち起伏モータ23には油圧ポンプ11,12が並列に接続されている。
【0011】
方向制御弁15が位置イ側または位置ロ側に切り換わると、油圧ポンプ11からの圧油PFが方向制御弁15を介して主巻モータ21に供給される。これにより主巻モータ21が駆動し、主巻ドラム4が巻上げまたは巻下げ駆動する。方向制御弁17が位置イ側または位置ロ側に切り換わると、油圧ポンプ12からの圧油PRが方向制御弁17を介して補巻モータ22に供給される。これにより補巻モータ22が駆動し、補巻ドラム5が巻上げまたは巻下げ駆動する。
【0012】
方向制御弁16,18のいずれか一方のみが位置イ側または位置ロ側に切り換わると、油圧ポンプ11または12から起伏モータ23に圧油PFまたはPRが供給される。また、方向制御弁16,18の両方が位置イ側または位置ロ側に切り換わると、油圧ポンプ11および12から起伏モータ23に圧油PRおよびPRが供給される。これにより起伏モータ23が駆動し、起伏ドラム6が巻上げまたは巻下げ駆動する。油圧ポンプ11,12からの最大吐出圧はそれぞれリリーフ弁19,20により制限される。
【0013】
油圧ポンプ13からの圧油(パイロット圧Pp)はそれぞれパイロット弁24〜26に導かれる。パイロット弁24は主巻ウインチ用操作レバー(以下、主巻レバー)の操作により駆動され、パイロット弁25は補巻ウインチ用操作レバー(以下、補巻レバー)の操作により駆動され、パイロット弁26は起伏ウインチ用操作レバー(以下、起伏レバー)の操作により駆動される。方向制御弁15のパイロットポートには主巻レバーの操作量に応じたパイロット弁24からのパイロット圧Ppが作用し、主巻レバーの操作量に応じて方向制御弁15が切り換えられる。方向制御弁17のパイロットポートには補巻レバーの操作量に応じたパイロット弁25からのパイロット圧Ppが作用し、補巻レバーの操作量に応じて方向制御弁17が切り換えられる。
【0014】
パイロット弁26と方向制御弁16の各パイロットポートの間にはそれぞれ電磁切換弁31,32が介装され,パイロット弁26と方向制御弁18の各パイロットポートの間にはそれぞれ電磁切換弁33,34が介装されている。電磁切換弁31〜34が位置イに切り換えられるとパイロット弁26と方向制御弁16,18のパイロットポートとが連通する。この状態で起伏レバーを操作すると、方向制御弁16,18のパイロットポートにはその操作量に応じたパイロット弁26からのパイロット圧Ppが作用し、起伏レバーの操作量に応じて方向制御弁16,18が切り換えられる。
【0015】
一方、電磁切換弁31〜34が位置ロに切り換えられるとパイロット弁26と方向制御弁16,18のパイロットポートとが遮断する。この状態では、起伏レバーを操作してもパイロット弁16,18は中立位置に切り換えられたままである。
【0016】
電磁切換弁31〜34は運転室に設けられた起伏選択スイッチ30の操作により切り換えられる。起伏選択スイッチ30は「高速」,「低速PF」,「低速PR」の3位置に切換可能なスイッチ(例えばトグルスイッチ)である。起伏選択スイッチ30が「高速」に切り換えられると電磁切換弁31〜34が全て位置イに切り換えられ、「低速PF」に切り換えられると電磁切換弁31,32のみが位置イに切り換えられ、「低速PR」に切り換えられると電磁切換弁33,34のみが位置イに切り換えられる。
【0017】
次に、本実施の形態の主要な動作を説明する。
(1)「低速PR」位置
例えば主巻フック7に比較的大重量の吊り荷を吊下し、その吊り荷を前後方向(図1の矢印方向)に低速で水平移動する場合、作業者は起伏選択スイッチ30を「低速PR」位置に操作する。これにより電磁切換弁33,34が位置イに切り換えられ、パイロット弁26と方向制御弁18のパイロットポートが連通する。この状態で、起伏レバーを巻下げ操作および主巻レバーを巻上げ操作すると、油圧ポンプ12からの圧油PRが方向制御弁18を介して起伏モータ23に供給され、油圧ポンプ11からの圧油PFが方向制御弁15を介して主巻モータ21に供給される。これにより起伏ロープ6aが低速で繰り出されてブーム3が倒回するとともに、主巻ロープ4aが巻き取られ、吊り荷をゆっくりと前方に水平移動することができる。
【0018】
この場合、油圧ポンプ11からの圧油PFは主巻モータ21のみに供給され、油圧ポンプ12からの圧油PRは起伏モータ23のみに供給される。このため、主巻モータ21へ十分な駆動圧を供給することができ、良好な吊り荷の水平移動が可能となる。これに対し、油圧ポンプ11からの圧油を主巻モータ21だけでなく起伏モータ23へも供給する場合には、ポンプ吐出油がリリーフ弁19からリリーフして主巻モータ21へ十分な駆動圧が供給されないおそれがあり、吊り荷の水平移動が困難である。
【0019】
(2)「低速PF」位置
補巻フック8に吊り荷を吊下して低速で水平移動する場合、作業者は起伏選択スイッチ30を「低速PF」位置に操作する。これにより電磁切換弁31,32が位置イに切り換えられ、パイロット弁26と方向制御弁16のパイロットポートが連通する。この状態で、起伏レバーを巻下げ操作および補巻レバーを巻上げ操作すると、油圧ポンプ11からの圧油PFが方向制御弁16を介して起伏モータ23に供給され、油圧ポンプ12からの圧油PRが方向制御弁17を介して補巻モータ22に供給される。これにより起伏ロープ6aが低速で繰り出されてブーム3が倒回するとともに、補巻ロープ5aが巻き取られ、吊り荷をゆっくりと前方に水平移動することができる。
【0020】
この場合、油圧ポンプ11からの圧油PFは起伏モータ23のみに供給され、油圧ポンプ12からの圧油PRは補巻モータ22のみに供給される。このため、補巻モータ22へ十分な駆動圧を供給することができ、ポンプ吐出油がリリーフ弁20からリリーフすることなく、良好な吊り荷の水平移動が可能となる。なお、主巻ウインチと補巻ウインチは吊り荷の重量等に応じて適宜使い分ければよく、それに合わせて起伏選択スイッチ30を操作すればよい。吊り荷の水平移動速度は、操作レバーの操作量あるいはエンジン回転数を調整することで変更可能である。
【0021】
(3)「高速」位置
主巻フック7に吊り荷を吊下して高速で水平移動する場合、作業者は起伏選択スイッチ30を「高速」位置に操作する。これにより電磁切換弁31〜34が全て位置イに切り換えられ、パイロット弁26と方向制御弁16,18のパイロットポートが連通する。この状態で、起伏レバーを巻下げ操作するとともに主巻レバーを巻上げ操作すると、油圧ポンプ11からの圧油PFが主巻モータ21と起伏モータ23にそれぞれ供給され、油圧ポンプ12からの圧油PRが起伏モータ23に供給される。これにより起伏ロープ6aが高速で繰り出されてブーム3が倒回するとともに、主巻ロープ4aが巻き取られ、吊り荷を高速で前方に水平移動することができる。すなわち、吊り荷の負荷が小さく、リリーフ弁19からのリリーフが問題とならない場合にはスイッチ30を「高速」位置に操作すればよい。なお、補巻フック8に吊り荷を吊下して高速で水平移動する場合は、起伏選択スイッチ30を「高速」位置に操作した上で、起伏レバーを巻下げ操作および補巻レバーを巻上げ操作すればよい。
【0022】
一方、主巻フック7と補巻フック8の両方に吊り荷を吊下して水平移動する場合、作業者は起伏選択スイッチ30を「高速」位置に操作する。そして、起伏レバーを巻下げ操作するとともに主巻レバーおよび補巻レバーを同時にを巻上げ操作すると、油圧ポンプ11からの圧油PFが主巻モータ21と起伏モータ23にそれぞれ供給され、油圧ポンプ12からの圧油PRが補巻モータ22と起伏モータ23にそれぞれ供給される。これにより起伏ロープ6aが繰り出されてブーム3が倒回するとともに、主巻ロープ4aと補巻ロープ5aが巻き取られ、吊り荷を前方に水平移動することができる。この場合、油圧ポンプ11,12からの圧油を各モータ21〜23に効率よく分配することができ、吊り荷の良好な水平移動が可能となる。
【0023】
このように本実施の形態では、油圧ポンプ11,12と起伏モータ23を方向制御弁16,18を介して接続するとともに、パイロット弁26と方向制御弁16,18の間に電磁切換弁31〜33を介装し、電磁切換弁31〜34の切換により油圧ポンプ11,12のいずれか一方または両方から起伏モータ23へ圧油を供給するようにした。これにより一方の油圧ポンプ11または12からの圧油を主巻モータ21または補巻モータ22のみに供給し、他方の油圧ポンプ12または11からの圧油を起伏モータ23のみに供給することができる。その結果、主巻モータ21および補巻モータ22への圧油供給量の不足を防ぐことができ、吊り荷の良好な水平移動が可能となる。また、ポンプ能力を最大限に発揮し、油圧ポンプ11,12からの圧油を効率的にモータ21〜23に分配することができる。起伏選択スイッチ30の操作により電磁切換弁31〜34を切り換えるので、油圧ポンプ11,12から起伏モータ23への圧油の流れを作業内容に応じて任意に変更することができ、起伏モータ23の速度調整が容易である。電磁切換弁31〜34を追加するだけで、既存の油圧回路にも容易に適用可能である。
【0024】
なお、上記実施の形態ではブーム起伏用アクチュエータとして起伏ウインチを用いたが、図3に示すように起伏シリンダ41を用いてブーム42を起伏させるようにしてもよい。この場合も、図4に示すように方向制御弁16,18を介して起伏シリンダ41を油圧ポンプ11,12に接続するとともに、パイロット弁26と方向制御弁16,18のパイロットポートの間に電磁切換弁31〜34を介装し、起伏選択スイッチ30の操作により電磁切換弁31〜34を切り換えるようにすればよい。
【0025】
図3に示すようにブーム42を伸縮可能な伸縮ブームとしてもよい。この場合、ブーム長さが長いと、ブーム基端部を支点にしたブーム先端部の回動速度が速く、ブーム長さが短いと遅くなる。このため、吊り荷を水平移動するためには、ブーム長さに応じて起伏シリンダ41の駆動速度に対するフック7,8の相対速度を調整する必要があるが、上述したようにスイッチ30の操作により電磁切換弁31〜34を切り換えることでフック7,8の相対速度の調整が可能となる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、方向制御弁16,18にパイロット圧を供給する管路(パイロット管路)に制御手段としての電磁切換弁31〜34を設けたが、方向制御弁16,18と起伏モータ23を接続する管路に設けてもよい。選択された油圧ポンプ11,12のみから起伏モータ23に圧油が供給可能となるように油圧ポンプ11,12からの圧油の流れを制御するのであれば、制御手段の構成は上述したものに限らず、電磁切換弁31〜34以外を用いてもよい。起伏選択スイッチ30によって、起伏モータ23へ圧油を供給するポンプ11,12を選択したが、他の選択手段を用いてもよい。
【0027】
制御弁16,18を介して起伏用アクチュエータ(起伏モータ23,起伏シリンダ41)に複数の油圧ポンプ11,12を並列に接続するとともに、各油圧ポンプ11,12から起伏用アクチュエータに圧油を供給する管路にそれぞれ制御弁15,17を介して主巻モータ21(主巻用アクチュエータ)および補巻モータ22(補巻用アクチュエータ)を接続したが、他の油圧アクチュエータを接続してもよい。起伏用アクチュエータに2つの油圧ポンプ11,12を並列に接続したが、3つ以上の油圧ポンプを並列に接続してもよい。すなわち油圧回路内に油圧ポンプ11(第1の油圧ポンプ)から主巻モータ21への圧油の流れを制御する制御弁15(主巻用制御弁)と、油圧ポンプ12(第2の油圧ポンプ)から補巻モータ22への圧油の流れを制御する制御弁17(補巻用制御弁)と、油圧ポンプ11から起伏モータ23への圧油の流れを制御する制御弁16(第1の起伏用制御弁)と、油圧ポンプ12から起伏モータ23への圧油の流れを制御する制御弁18(第2の起伏用制御弁)を設けたが、さらに他の制御弁を設けて、選択された油圧ポンプから起伏モータ23への圧油の流れを制御するようにしてもよい。
【0028】
起伏用アクチュエータをブーム起伏に用いたが、ジブ起伏に用いても同様の効果が得られる。ブーム起伏モータ23とジブ起伏モータを油圧回路に設ける場合、油圧ポンプ11,12からブーム起伏モータ23へ圧油を供給する管路に、制御弁16,18に直列に配置された一対の制御弁を介してジブ起伏モータを接続し、選択された油圧ポンプ11,12からジブ起伏モータへ圧油が流れるように各制御弁を制御すればよい。主巻モータ21および補巻モータ22をそれぞれ重荷重用フック7および軽荷重用フック8の昇降に用いたが、他の用途(例えば開閉バケットの支持,開閉やハンマーグラブ,クラウン等)に用いてもよい。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の油圧回路に限定されない。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が適用されるクレーンの側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る油圧回路図。
【図3】図1の変形例を示す図。
【図4】図2の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
11,12 油圧ポンプ
15〜18 方向制御弁
21 主巻モータ
22 補巻モータ
23 起伏モータ
30 起伏選択スイッチ
31〜34 電磁切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧ポンプにそれぞれ制御弁を介して並列に接続されたブーム起伏用アクチュエータと、
前記各油圧ポンプから前記ブーム起伏用アクチュエータへ圧油を供給する管路にそれぞれ制御弁を介して接続された油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧ポンプの少なくとも1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された油圧ポンプのみから前記ブーム起伏用アクチュエータに圧油が供給可能となるように前記油圧ポンプからの圧油の流れを制御する制御手段とを備えることを特徴とするクレーンの油圧回路。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーンの油圧回路において、
前記選択手段は、前記ブーム起伏用アクチュエータの高低速を選択する選択スイッチであり、前記選択スイッチにより高速が選択されると前記複数の油圧ポンプの全てを選択し、低速が選択されると前記複数の油圧ポンプの一部のみを選択することを特徴とするクレーンの油圧回路。
【請求項3】
主巻操作指令に応じて主巻ウインチを駆動する主巻用アクチュエータと、
補巻操作指令に応じて補巻ウインチを駆動する補巻用アクチュエータと、
起伏操作指令に応じて起伏ウインチを駆動する起伏用アクチュエータと、
前記主巻用アクチュエータと前記起伏用アクチュエータの駆動圧油を吐出する第1の油圧ポンプと、
前記補巻用アクチュエータと前記起伏用アクチュエータの駆動圧油を吐出する第2の油圧ポンプと、
前記第1の油圧ポンプから前記主巻用アクチュエータへの圧油の流れを制御する主巻用制御弁と、
前記第2の油圧ポンプから前記補巻用アクチュエータへの圧油の流れを制御する補巻用制御弁と、
前記第1の油圧ポンプから前記起伏用アクチュエータへの圧油の流れを制御する第1の起伏用制御弁と、
前記第2の油圧ポンプから前記起伏用アクチュエータへの圧油の流れを制御する第2の起伏用制御弁と、
前記第1および/または第2の油圧ポンプを選択する選択手段と、
前記起伏操作指令に応じて、前記選択手段で選択された油圧ポンプから前記起伏用アクチュエータへ圧油が供給されるように前記第1および第2の起伏用制御弁を制御する制御手段とを備えることを特徴とするクレーンの油圧回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−256746(P2006−256746A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74931(P2005−74931)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】