説明

クレーントロリにおける緊急ブレーキ装置

【課題】低コストで容易に緊急ブレーキ装置を設置する。
【解決手段】トロリ(26)に、ガータ(25)に敷設された横行ラック(35)に噛み合う横行ピニオン(36)を回転駆動してトロリ(26)を横行駆動する横行駆動装置(34)を設け、トロリ(26)に、横行ラック(35)にそれぞれ噛み合う制動ピニオン(62)を出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ(63)付の緊急制動モータ(64)を設け、横行移動時に無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)に給電して無励磁作動ブレーキ(63)を非作動とし、制動ピニオン(62)を遊転させ、緊急停止ボタンの操作により、無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)への給電を停止して無励磁作動ブレーキ(63)を作動させ、制動ピニオン(62)を制動してトロリ(26)を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナなどの大型の荷を取り扱うトランスファクレーンなどにおいて、ガータ上を横行移動するトロリに設けられる緊急ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1に示されるトランスファクレーンのトロリは、図7に示すように、前後一対のガータ1F,1R上に走行レール2をそれぞれ敷設し、トロリ3の四隅位置に横行レール2上を走行する横行車輪4を設けて、トロリ3をガータ1F,1R上に横行移動自在に配置している。さらに横行駆動装置5は、前後の横行レール2に沿って敷設された横行ラック6と、前後の横行ラック6にそれぞれ噛み合う横行ピニオン7と、前後の横行ピニオン7を連結したプロペラシャフト8に連動装置10を介して連結された横行モータ9とを具備し、横行モータ9により横行ピニオン7を回転駆動してトロリ3を横行移動させる。
【0003】
従来では、プロペラシャフト8にチェーン式伝動機構11を介して回転される回転検出器12を設け、この回転検出器12でトロリ3の位置を検出し、目的位置で横行モータ9を停止している。この時のトロリ3は制動されず、横行モータ9に付設されたブレーキ9aは、主にトロリ3の駐車時に使用される。
【特許文献1】特開2004−123293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、横行ピニオン7が横行ラック6から外れてしまうと、トロリ3を停止できなくなり、横行モータ9に付設されたブレーキ9aも効かなくなる。そこで、横行車輪4の車軸を延長してブレーキディスクを取り付け、このブレーキディスクをブレーキシューで圧接する油圧式の緊急ディスクブレーキ装置を取り付けることが考えられるが、長い車軸やブレーキ用油圧装置などの増設にコストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、低コストで容易に設置できるクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、一対のガータ(25)上にそれぞれ敷設された横行レール(31)に横行車輪(32)を介して横行移動自在に配置されたトロリ(26)と、各横行レール(31)に沿ってガータ(25)に敷設された横行ラック(35)にそれぞれ噛み合う横行ピニオン(36)を回転駆動してトロリ(26)を横行駆動する横行駆動装置(34)をと備えたクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置であって、トロリ(26)に、各横行ラック(35)にそれぞれ噛み合う制動ピニオン(62)を出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ(63)付の緊急制動モータ(64)を設け、横行移動時に、無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)に給電して当該無励磁作動ブレーキ(63)を非作動とするとともに、トロリ(26)の横行移動に追従して制動ピニオン(62)を遊転させ、緊急停止時に、無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)への給電を停止して当該無励磁作動ブレーキ(63)を作動させ、制動ピニオン(62)を制動してトロリ(26)を停止させるように構成したものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、一対のガータ(25)上にそれぞれ敷設された横行レール(31)に横行車輪(32)を介して横行移動自在に配置されたトロリ(26)と、各横行レール(31)に沿ってガータ(25)に敷設された横行ラック(35)にそれぞれ噛み合う横行ピニオン(36)を横行モータ(39)により回転駆動してトロリ(26)を横行駆動する横行駆動装置(34)とを備えたクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置であって、トロリ(26)に、各横行ラック(35)にそれぞれ噛み合う制動ピニオン(62)を出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ(63)付の緊急制動モータ(64)を設け、横行移動時に、緊急制動モータ(64)と無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)とに給電して、当該無励磁作動ブレーキ(63)を非作動とするとともに、制動ピニオン(62)が横行ピニオン(36)に同期して回転するように緊急制動モータ(64)を回転させ、緊急停止時に、横行モータ(39)と緊急制動モータ(64)と無励磁作動ブレーキ(63)の電磁コイル(77)への給電をそれぞれ停止して当該無励磁作動ブレーキを作動させ、制動ピニオン(62)を制動してトロリ(26)を停止させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、各横行ラックに噛み合う制動ピニオンを出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを設置し、トロリを横行移動させる時には、無励磁作動ブレーキの電磁コイルに給電して無励磁作動ブレーキを非作動とするとともに、トロリの横行移動に追従して制動ピニオンを遊転させる。トロリを緊急停止させる時には、無励磁作動ブレーキの電磁コイルへの給電を停止することで、無励磁作動ブレーキを作動させて制動ピニオンを制動することにより、横行ラックを介してトロリを停止させる。したがって、低コストな無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを使用することにより、簡単な構造で、既設クレーントロリに緊急ブレーキ装置を容易に増設することができ、従来のように、横行車輪に油圧式の緊急ディスクブレーキ装置を増設するのに比較して、約1/4程度の低コストで設置することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、各横行ラックに噛み合う制動ピニオンを出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを設置し、トロリを横行移動させる時には、緊急制動モータおよび無励磁作動ブレーキの電磁コイルに給電して、無励磁作動ブレーキを非作動とするとともに、横行ピニオンに同期するように緊急制動モータにより制動ピニオンを回転させる。トロリを緊急停止させる時には、横行モータ、緊急制動モータおよび無励磁作動ブレーキの電磁コイルへの給電を停止することで、横行モータおよび緊急制動モータを停止させると同時に、無励磁作動ブレーキを作動させて制動ピニオンを制動することで、トロリを停止させることができる。したがって、低コストな無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを使用することにより、簡単な構造で、既設クレーントロリに緊急ブレーキ装置を容易に増設することができる。また緊急制動モータによりトロリの横行駆動力を補助することができる。さらに従来のように、横行車輪に油圧式の緊急ディスクブレーキ装置を増設するのに比較して、約1/4程度の低コストで設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
本発明に係るトランスファクレーンのトロリにおける緊急ブレーキ装置の実施の形態1を図1〜図5を参照して説明する。
【0011】
図2に示すように、このトランスファクレーンは、たとえばコンテナヤードに配置されてコンテナの荷役作業を行うもので、左右のシルビーム21R,21Lにそれぞれ2輪ずつで前後2組の走行車輪22F,22Rを有する走行装置23が配設されている。この走行装置23は、右シルビーム21Rの前部走行車輪22Fに第1走行モータ23aが減速機を介して連結されて回転駆動され、またこの前部走行車輪22Fと対角方向の左シルビーム21Lの後部走行車輪22Rに、第2走行モータ23bが減速機を介して連結されて回転駆動される。
【0012】
また左右のシルビーム21R,21Lに前後一対のコラム24がそれぞれ立設され、これらコラム24のうち、左右に対向するコラム24の上端部間に、それぞれガータ25が掛け渡され、これら前後のガータ25上にトロリ26が横行移動自在に配置されている。そしてトロリ26には、後述する巻上モータ58により回転駆動される昇降ドラム(図示せず)が配設され、昇降ドラムから繰り出された複数の昇降用索体27を介してスプレッダ28が昇降自在に吊り下げられ、スプレッダ28によりコンテナ29を保持して吊上げ、搬送する。またトロリ26には、操作用の運転室30が設けられている。
【0013】
図1および図3に示すように、前後のガータ25上に横行レール31がそれぞれ敷設されており、トロリ26の四隅位置に設けられた横行車輪32が、横行レール31にそれぞれ案内されて、トロリ26がガータ25上に横行移動自在に配置されている。
【0014】
トロリ26を横行駆動する横行駆動装置34は、前後のガータ25上で横行レール31の内側にそれぞれ敷設された前後の横行ラック35と、トロリ26の左部の前後位置に配置されて前後の横行ラック35にそれぞれ噛み合う前後の横行ピニオン36と、これら前後の横行ピニオン36を互いに連結するプロペラシャフト37と、このプロペラシャフト37に減速連動装置38を介して連結されたブレーキ39a付の電動式横行モータ39とで構成されている。またトロリ26には、トロリ26の横行位置を検出するための回転検出器(たとえば回転形リミットスイッチ)40が設けられており、この回転検出器40は、チェーン式伝動機構41を介してプロペラシャフト37に連結されている。
【0015】
図1および図5に示すように、右のシルビーム21R上に設置された発電駆動ユニット51には、エンジン52により駆動される発電機53が設けられている。発電機53で発電された電流は、整流器54で整流された後、巻上/走行インバータ55を介してトロリ26の巻上モータ58と第1走行モータ23aとに給電され、また横行インバータ56を介して横行モータ39に給電され、さらに第2走行インバータ57を介して第2走行モータ23bに給電されている。そして運転席30の操作器59から出力された操作信号により、コントローラ50を介して各インバータ44〜46がそれぞれ制御されて、巻上モータ58、第1,第2走行モータ23a,23bおよび横行モータ39がそれぞれ制御される。
【0016】
本発明に係る緊急ブレーキ装置61は、トロリ26に、前後の横行ラック35にそれぞれ噛み合う制動ピニオン62が出力軸に取り付けられた無励磁作動ブレーキ63付の緊急制動モータ64を前後2組設けたものである。前記緊急制動モータ64には給電されておらず、制動ピニオン62は遊転状態に保持される。無励磁作動ブレーキ63に設けられた後述する電磁コイル77には、整流器54から緊急停止スイッチ65を介して給電されており、緊急停止スイッチ65は、通常の横行移動時にはオン状態として電磁コイル77に給電し、無励磁作動ブレーキ63を非作動とする。そして運転室30に配置された緊急停止ボタン66が押されると、コントローラ60を介して緊急停止スイッチ65をオフ状態として、電磁コイル77への給電を停止し、無励磁作動ブレーキ63を作動する。
【0017】
すなわち、無励磁作動ブレーキ63は、図4に示すように、スプリング加圧式ブレーキで、緊急制動モータ64の出力軸64aの延長部にハブ71を介して固定されたブレーキライナー72と、加圧リング75aによりアーマチュア73を加圧して摩擦板74との間でブレーキライナー72を挟圧し出力軸64aを制動する加圧スプリング75と、取付ボルト79によりブレーキマグネット76を介して保持されアーマチュア73を引き寄せ制動力を開放可能な前記電磁コイル77と、加圧スプリング75のばね力を調整する調整リング78とを具備している。
【0018】
したがって、電磁コイル77に給電することにより、加圧スプリング75に抗してアーマチュア73を引き寄せブレーキライナー72の制動を解除することができる。また電磁コイル79への給電を停止することにより、加圧スプリング75のばね力により加圧リング75aを介してアーマチュア73と摩擦板74との間でブレーキライナー72を挟圧し、その摩擦抵抗により緊急制動モータ64の出力軸64aを制動停止させることができる。これにより制動ピニオン62および横行ラック35を介してトロリ26を停止させることができる。
【0019】
上記構成において、通常の荷役作業時には、操作器59の操作により、コントローラ60から巻上/走行インバータ55および第2走行インバータ57に操作信号が出力されて、走行装置23の第1走行モータ23aおよび第2走行モータ23bが駆動されスタッカクレーンが走行される。またコントローラ60から巻上/走行インバータ55に操作信号が出力されて、トロリ26に設けられた巻上モータ58が駆動され昇降用索体27を介してスプレッダ28が昇降駆動される。さらにコントローラ60から横行インバータ56に操作信号が出力されて、横行モータ39に給電されると、プロペラシャフト37を介して横行ピニオン36が回転駆動されてトロリ26が横行移動される。この時、回転検出器40によりトロリ26の位置が検出されており、操作器59により入力された停止位置で、横行インバータ56から横行モータ39への給電が停止されてトロリ26が停止される。
【0020】
トロリ26を緊急停止させる必要が生じた場合、緊急停止ボタン66が押され、コントローラ60からの指令により横行インバータ56を介して横行モータ39への給電が停止されるとともに、緊急停止スイッチ65を介して無励磁作動ブレーキ63の電磁コイル77への給電が停止される。これにより無励磁作動ブレーキ63が作動され、制動ピニオン62が制動されてトロリ26が停止される。
【0021】
上記実施の形態によれば、横行ラック35と横行ピニオン36により横行移動されるトロリ26に、横行ラック35に噛み合う制動ピニオン62を設けるとともに、この制動ピニオン62を無励磁作動ブレーキ63付の緊急制動モータ64の出力軸に取り付け、通常の横行移動時には、無励磁作動ブレーキ63の電磁コイル77に給電して無励磁作動ブレーキ63を非作動状態とする。緊急停止時には、緊急停止ボタン66を押すことにより、緊急停止スイッチ65がオフされるにより無励磁作動ブレーキ63の電磁コイル7への給電が停止される。これにより、無励磁作動ブレーキ63が作動されて制動ピニオン62を制動し、トロリ26を効果的に停止することができる。
【0022】
したがって、トロリ26に、横行ラック35に噛み合う制動ピニオン62を有する無励磁作動ブレーキ63付の緊急制動モータ64や緊急停止スイッチ65などを増設するだけでよく、簡単な構造で既設クレーンに緊急ブレーキ装置を容易に増設することができる。また従来のように、横行車輪32に油圧式の緊急ディスクブレーキ装置を増設するのに比較して、約1/4程度の低コストで緊急ブレーキを設けることができる。
【0023】
[実施の形態2]
本発明に係るトランスファクレーンのトロリにおける緊急ブレーキ装置の実施の形態2を図6を参照して説明する。なお、実施の形態1と同一部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
第1の実施の形態では、横行移動時に、緊急制動モータ64に給電せず、制動ピニオン62を遊転状態としたが、第2の実施の形態では、横行インバータ56から給電ライン67を介して緊急制動モータ64に給電し、横行ピニオン36と制動ピニオン62とを同一のピッチ円径とし、緊急制動モータ64により、横行ピニオン36と同期して制動ピニオン62を回転駆動してトロリ26を横行駆動するように構成されている。これにより、横行移動時に、緊急制動モータ64の駆動力をトロリ26の横行移動に利用することができる。
【0025】
上記構成によれば、横行移動時には、無励磁作動ブレーキ63の電磁コイル77に給電して無励磁作動ブレーキ63を非作動とするとともに、緊急制動モータ64に給電して、横行ピニオン36に同期して制動ピニオン62を回転するように緊急制動モータ64を駆動し、緊急制動モータ64の動力をトロリ26の横行駆動力に利用する。緊急停止時には、緊急停止ボタン66を押すことにより、横行インバータ56を介して横行モータ39および緊急制動モータ64への給電を停止するとともに、緊急停止スイッチ65により無励磁作動ブレーキ63の電磁コイル77への給電を停止する。これにより、無励磁作動ブレーキ63を作動して制動ピニオン62を制動し、トロリ26を効果的に停止することができる。
【0026】
上記実施の形態によれば、トロリ26に、横行ラック35に噛み合う制動ピニオン62を有する無励磁作動ブレーキ63付の緊急制動モータ64や緊急停止スイッチ65などを増設するだけでよく、簡単な構造で既設クレーンに緊急ブレーキ装置を容易に増設することができる。また横行移動時に、緊急制動モータ64に給電して制動ピニオンが横行ピニオン36と同期して回転されるように緊急制動モータ64を駆動することで、トロリ26の横行駆動力を補助することができる。さらに、従来のように、横行車輪32に油圧式の緊急ディスクブレーキ装置を増設するのに比較して、低コストで緊急ブレーキを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置の実施の形態1を示し、トロリを示す概略斜視図である。
【図2】トランスファクレーンを示す全体斜視図である。
【図3】横行駆動装置および緊急ブレーキ装置を示す平面図である。
【図4】無励磁作動ブレーキを示す縦断面図である。
【図5】トランスファクレーンの電気駆動系統を示す構成図である。
【図6】クレーントロリにおける緊急ブレーキ装置の実施の形態2を示し、トランスファクレーンの電気駆動系統を示す構成図である。
【図7】従来のトロリを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
21R,21L シルビーム
22F,22R 走行車輪
23 走行装置
24 コラム
25 ガータ
26 トロリ
27 昇降用索体
28 スプレッダ
31 横行レール
32 横行車輪
34 横行駆動装置
35 横行ラック
36 横行ピニオン
37 プロペラシャフト
38 減速連動装置
39 横行モータ
40 回転検出器
51 発電駆動ユニット
52 エンジン
53 発電機
54 整流器
59 操作器
60 コントローラ
61 緊急ブレーキ装置
62 制動ピニオン
63 無励磁作動ブレーキ
64 緊急制動モータ
65 緊急停止スイッチ
66 緊急停止ボタン
67 給電ライン
72 ブレーキライナー
73 アーマチュア
74 摩擦板
75 加圧スプリング
77 電磁コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のガータ上にそれぞれ敷設された横行レールに横行車輪を介して横行移動自在に配置されたトロリと、各横行レールに沿ってガータに敷設された横行ラックにそれぞれ噛み合う横行ピニオンを回転駆動してトロリを横行駆動する横行駆動装置とを備えたクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置であって、
トロリに、各横行ラックにそれぞれ噛み合う制動ピニオンを出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを設け、
横行移動時に、無励磁作動ブレーキの電磁コイルに給電して当該無励磁作動ブレーキを非作動とするとともに、トロリの横行移動に追従して制動ピニオンを遊転させ、緊急停止時に、無励磁作動ブレーキの電磁コイルへの給電を停止して当該無励磁作動ブレーキを作動させ、制動ピニオンを制動してトロリを停止させるように構成した
ことを特徴とするクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置。
【請求項2】
一対のガータ上にそれぞれ敷設された横行レールに横行車輪を介して横行移動自在に配置されたトロリと、各横行レールに沿ってガータに敷設された横行ラックにそれぞれ噛み合う横行ピニオンを横行モータにより回転駆動してトロリを横行駆動する横行駆動装置とを備えたクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置であって、
トロリに、各横行ラックにそれぞれ噛み合う制動ピニオンを出力軸に取り付けた無励磁作動ブレーキ付の緊急制動モータを設け、
横行移動時に、緊急制動モータと無励磁作動ブレーキの電磁コイルとに給電して、当該無励磁作動ブレーキを非作動とするとともに、制動ピニオンが横行ピニオンに同期して回転するように緊急制動モータを回転させ、緊急停止時に、横行モータと緊急制動モータと無励磁作動ブレーキの電磁コイルへの給電をそれぞれ停止して当該無励磁作動ブレーキを作動させ、制動ピニオンを制動してトロリを停止させるように構成した
ことを特徴とするクレーントロリにおける緊急ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−274815(P2009−274815A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127793(P2008−127793)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】