説明

クロストークを低減するための寄生結合要素および/または誘導結合要素を備えた通信コネクタおよび関連方法

取り付け基板に取り付けられる第1の対の電線接続端子と、取り付け基板に取り付けられる第2の対の電線接続端子と、少なくとも第1の対の電線接続端子に隣接して取り付けられる寄生導電ループとを有する電線接続システムなどの寄生導電ループを備えた通信コネクタが提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2006年1月23日出願の「COMMUNICATIONS CONNECTORS WITH PARASITIC COUPLING ELEMENTS FOR REDUCING CROSSTALK AND RELATED METHODS」という名称の米国仮出願第60/761,088号明細書の恩典を主張するものであり、その内容は、全体において参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本発明は一般に、通信コネクタに関し、さらに詳細には、通信コネクタにおけるクロストークを低減するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気通信システムにおいて、平衡伝送技術を用いて1本の電線ではなく、1対の電線(以下、「電線対」または「差動対」)にわたって情報信号(例えば、映像、音声、データ)を伝送することが好都合である場合がある。そのようなシステムにおいて、伝送された情報信号は、存在する絶対電圧に関係なく、電線間の電圧差を含んでいる。電線対における各電線は、ほんの少数の例を挙げると照明、自動車の点火プラグ、無線局などの源からの電気雑音を感知しやすい。この種の雑音は、1対の中の両方の電線に対して共通であるため、差動情報信号は通常、妨げられない。
【0004】
しかし、さらに問題なものは、ある程度の距離で略同方向に延在し得る近隣電線または電線の対から感知される電気雑音である。この雑音は、クロストークと呼ばれている。ネットワークコンピュータを含む通信システムにおいて、チャネルは、コネクタおよびケーブルセグメントをカスケードすることによって形成されている。そのようなチャネルにおいて、電線(導体)の近接性および経路指定ならびにコネクタ内の接触構造は、容量結合のほか、誘導結合を形成することが可能であり、近端クロストーク(NEXT)(すなわち、同一の位置にある源に対応する入力位置で測定されたクロストーク)のほか、遠端クロストーク(FEXT)(すなわち、入力位置にある源に対応する出力位置で測定されたクロストーク)を生成している。第2の近い位置に離隔される差動対に第1の差動対の電線から誘発されるクロストークは一般に、第2の差動対によって搬送される情報信号と干渉する可能性がある望ましくない信号を含んでいる。同一の雑音信号が電線対における各電線に加えられる限り、電線間の電圧差が依然としてそのままであり、同一の差動クロストークが誘発されず、同時に、大地基準に対する2つの電線における平均電圧が上昇し、同相モードのクロストークが誘発される。他方、等しいが対向する雑音信号が電線対における各電線に加えられるとき、電線間の電圧差が上昇し、差動クロストークが誘発されるのに対し、大地基準に対する2つの電線における平均電圧は上昇せず、同相モードのクロストークが誘発されない。「差動モードと差動モードのクロストーク」という語は、近隣対における差動雑音信号を誘発する1対における差動源信号を指している。「差動モードと同相モードのクロストーク」という語は、近隣対に同相モード雑音信号を誘発する1対における差動源信号を指している。差動モードと差動モードのクロストークおよび/または差動モードと同相モードのクロストークを補償しないことにより、通信コネクタおよびそのようなコネクタが用いられる通信システムの性能が低下する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のある実施形態によれば、取り付け基板と、取り付け基板に取り付けられる第1の対および第2の対の電線接続端子と、第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子に隣接して取り付けられる寄生導電ループとを備えた電線接続システムが、提供されている。電線接続システムは、例えば、110型電線接続ブロックであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの電線接続システムにおいて、寄生導電ループの第1の部分は、少なくとも第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子からの誘発信号を受信するように位置決めされてもよい。寄生導電ループの第2の部分は、受信した誘発信号が、第2の対の電線接続端子のうちの電線接続端子の少なくとも1つに隣接する磁界を生成するように位置決めされてもよい。この磁界は、第1の対の電線接続端子の第2の電線接続端子によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺してもよい。寄生導電ループは、ある実施形態において、第1の対の電線接続端子と第2の対の電線接続端子との間に取り付けられてもよい。電線接続端子は、例えば、圧接接続(insulation displacement contact:IDC)であってもよい。IDCを含む実施形態において、IDCのそれぞれは、その対向する上端部および下端部で導体を収容するためのスロットを含んでもよく、各IDCのスロットは、略平行かつ非同一直線上にあってもよい。
【0007】
ある実施形態において、寄生導電ループは、第1の方向においてループの周囲を進む第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子からの第1の誘発信号を受信し、第1の方向においてループの周囲を進む第1の対の電線接続端子の第2の電線接続端子からの第2の誘発信号を受信するように構成されていてもよい。第1の対の電線接続端子は、第1のIDCおよび第2のIDCを備え、第2の対の電線接続端子は、第3のIDCおよび第4のIDCを備えている。これらの実施形態において、第1のIDCおよび第3のIDCは、IDCの第1の列の一部であってもよく、第2のIDCおよび第4のIDCは、IDCの第2の列の一部であってもよく、寄生導電ループは、第1のIDC上を搬送される信号からのエネルギを第4のIDCに結合するように構成されていてもよい。そのような実施形態において、寄生導電ループはさらに、第2のIDC上を搬送される信号からのエネルギを第3のIDCに結合するように構成されていてもよい。
【0008】
ある実施形態において、寄生導電ループの第1の部分は、第1の電線接続端子によって搬送される信号から寄生導電ループ上に第1のクロストーク信号を誘発するために、第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子に対してサイズ、形状および位置が調整されてもよい。これらの実施形態において、寄生導電ループの第2の部分は、第1のクロストーク信号から第2の対の電線接続端子のうちの電線接続端子の1つに第2のクロストーク信号を誘発するために、第2の対の電線接続端子のうちの電線接続端子の1つに対してサイズ、形状および位置が調整されてもよい。
【0009】
一部の実施形態において、第1の対の電線接続端子は、第1の接続ブロックの一部であってもよく、第2の対の電線接続端子は、第2の電線接続ブロックの一部である。他の実施形態において、第1の対および第2の対の電線接続端子は、同一の接続ブロックにおける隣接する対の電線接続端子であってもよい。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、通信コネクタ用に、第1の信号を搬送する第1の導体と、第2の信号を搬送する第2の導体とを備えたクロストーク低減回路が、提供されている。これらのコネクタにおいて、クロストーク低減回路は、第1の信号によって生成される第1の磁界から誘発される電流を受信するように構成される寄生導電ループを備えている。寄生導電ループ上に誘発される電流は、第2の信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する第3の磁界を生成している。第3の磁界は、通信コネクタの第3の導体の付近で第2の磁界を少なくとも部分的に相殺してもよい。
【0011】
ある実施形態において、第1の信号および第2の信号は、等しいが対向する信号であってもよい。第1の導体および第2の導体は、例えば、圧接接続(IDC)であってもよい。IDCの実施形態において、第1のIDCは、同一の平面にあるが、同一直線上にない第1の導体収容スロットおよび第2の導体収容スロットを有していてもよい。
【0012】
特定の実施形態において、寄生導電ループの第1の部分は、第1の導体に隣接し、寄生導電ループの第2の部分は、第2の導体に隣接している。これらの実施形態において、寄生導電ループの第1の部分に隣接する第3の磁界の一部分は、第1の方向を有し、寄生導電ループの第2の部分に隣接する第3の磁界の一部分は、第1の方向に実質的に対向する第2の方向を有している。
【0013】
特定の実施形態において、第1の導体は、モジュラプラグの1対の導体の第1の導体であってもよく、第2の導体は、1対の導体の第2の導体であってもよい。これらの実施形態において、第1の信号および第2の信号は、同じ大きさであるが、対向する極性の信号であってもよい。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、寄生結合要素と、寄生結合要素の第1の部分に隣接する第1の導体と、寄生結合要素の第2の部分に隣接する第2の導体とを備えた通信コネクタが提供されている。これらのコネクタにおいて、寄生結合要素は、第1の導体から第2の導体に誘発される補償クロストーク信号を結合するように構成され、結合された補償クロストーク信号は、クロストーク信号が生成された信号の方向に対向する方向において、第2の導体上に誘発されるようになっている。寄生結合要素は、ループを備えてもよく、寄生結合要素の第1の部分は、ループの第1の部分上にあってもよく、寄生結合要素の第2の部分は、ループの第1の部分に略対向するループの第2の部分上にあってもよい。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1の差動信号を受信するように構成される第1の接点および第2の接点と、第2の差動信号を受信するように構成される第3の接点および第4の接点と、第1の接点および第2の接点と第3の接点および第4の接点との間に位置決めされる寄生結合要素とを備え、寄生結合要素が第1の極性を有する第1の接点から第1の誘発信号を受信し、第1の極性を有する第2の接点から第2の誘発信号を受信するように構成される通信コネクタが、提供されている。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、第1の導体および第2の導体を含む第1の対の導体から通信コネクタの第3の導体の上に誘発される差動クロストーク信号を低減するための方法が、提供されている。これらの方法によれば、クロストーク信号は、第1の導体を通って流れる信号から寄生導電ループの第1の部分の上に誘発され、第2の導体を通って流れる信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する寄生導電ループの第2の部分の周囲に第1の磁界を生成するようになっている。第1の磁界および第2の磁界は、第3の導体に隣接し、互いに少なくとも部分的に相殺してもよい。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1の列の電線接続端子を画定する第1の電線接続端子および第2の電線接続端子と、第1の列の電線接続端子に略平行な第2の列の電線接続端子を画定する第3の電線接続端子および第4の電線接続端子とを備えた電線接続ブロックが提供されている。電線接続ブロックはさらに、第1の電線接続端子上を伝送される信号からのエネルギを第4の電線接続端子に誘導的に結合するように位置決めされる誘導結合要素を備えている。一部の実施形態において、誘導結合要素は、寄生導電ループであってもよい。他の実施形態において、誘導結合要素は、第1の電線接続端子上の信号搬送突出部であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、添付図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。本発明は、説明のための実施形態に限定することを意図しているわけではない。正確に言えば、これらの実施形態は、当業者に本発明を十分かつ完全に開示することを意図している。図面において、類似の数字は、全体を通じて類似の要素を指している。一部の構成要素の厚さおよび寸法は、分かりやすくするために誇張されている場合がある。
【0019】
「真下に」、「下方に」、「下に」、「真上に」、「上方に」、「左に」、「右に」などの空間的な関連を表す語は、図示されているように、別の要素または特徴部に対する1つの要素または特徴部の関係を記述するために、記載しやすくするために本明細書において用いられてもよい。空間的な関連を表す語は、図示された向きに加えて、使用または動作におけるデバイスの異なる向きを包含することを意図していると理解されよう。例えば、図におけるデバイスがひっくり返っている場合には、他の要素または特徴部の「真下に」または「下の方に」のように記載される要素は、他の要素または特徴部の「真上」に向けられることになる。したがって、例示の語「真下に」という語は、真上および真下の向きの両方を包含することが可能である。デバイスは、異なるように(90°回転されるか、または他の向きに)向けられ、本明細書に用いられる空間的に相対的な記述は、それに応じて解釈されてもよい。
【0020】
周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または分かりやすさのために詳細に記載されない場合がある。
【0021】
本明細書で用いられるとき、「および/または」なる表現は、関連して列挙された品目の1つ以上のいずれかの組み合わせおよびすべての組み合わせを含んでいる。
【0022】
本明細書において用いられる専門用語は、特定の実施形態のみを記述するためであり、本発明の限定を意図しているわけではない。本明細書で用いられるとき、文脈が明確に他の意味を示さない限り、単数形は、複数形も同様に含むことを意図している。「備える」、「備えて」、「含む」および/または「含めて」という語は、本明細書において用いられるとき、記載された特徴、動作、要素および/または構成要素の存在を明記しているが、1つ以上の他の特徴、動作、要素、構成要素および/またはそれらの群の存在または追加を除外しているわけではないことがさらに理解されよう。
【0023】
別に定義されない限り、本明細書において用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含めて)は、本発明が属する当業者によって共通に理解されるものと同一の意味を有する。さらに、一般に用いられる辞書に定義されている用語は、関連技術に照らしてそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に特に定義されない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味で解釈すべきではないことは理解されよう。
【0024】
「接着される」、「接続される」、「相互接続される」、「接触する」、「取り付けられる」などの語が用いられる場合には、別途記載のない限り、直接的または間接的のいずれであれ、要素間の接着または接触を意味している。
【0025】
本発明の実施形態によれば、通信コネクタの中で対象の導体間の誘導結合および/または容量結合を変更するために用いられる1つ以上の「寄生導電ループ」を備えた通信コネクタが提供されている。本発明の実施形態による通信コネクタは、その導体間の差動モードと差動モードのクロストークおよび/または差動モードと同相モードのクロストークの低減したレベルを呈してもよい。
【0026】
本明細書で用いられるとき、「導電ループ」という語は、電流が流れることができる閉鎖経路または循環経路を形成する導電要素を指している。導電ループが閉鎖経路であるとき、導電ループの一部分に導入される電気信号は、ループに導入された位置に戻るようにループの周囲を進むことが可能となっている。「ループ」という語は、ループが閉鎖経路を画定し、特定の2次元形状または3次元形状を有するループに本発明を限定するわけではないという事実を指している。例えば、本発明の実施形態による導電ループは、円形、楕円形、矩形、平行四辺形、菱形など、またはそのような形状の組み合わせであってもよい。導電ループはまた、本質的に3次元であってもよく、および/または2つ以上の閉鎖経路を含んでいてもよい。一例として、導電ループは、(1)プリント回路基板の第1の層上に実装される第1のL字形トレースと、(2)プリント回路基板の第2の層上に実装される第2のL字形トレースと、(3)2つのトレースを接続する1対の金属メッキの孔とを設けることによって、上から見たときに矩形形状を有するように、プリント回路基板に実装されることが可能である。
【0027】
本明細書で用いられるとき、「寄生」要素(「寄生結合要素」とも呼ぶ)は、1つ以上の第2の要素に直接的に電気的に接続されるのではなく、容量結合および/または誘電結合を介して1つ以上の第2の要素からクロストーク信号を受信するように位置決めされる要素を指している。したがって、「寄生導電ループ」は、クロストーク信号が1つ以上の第2の要素から閉ループ導電経路上に誘電結合および/または容量結合されるようにするために、1つ以上の第2の要素に近いが、物理的に接触状態にない閉ループ導電経路を指している。
【0028】
図1は、本発明の実施形態による寄生導電ループ4が2つの導体2、3と相互作用する通信システム1を示している。図1に示されているように、通信システム1は、少なくとも2つの導体2、3を備え、導体2,3は、図1の実施形態では、電線として示されている。しかし、本発明の実施形態は、例えば、プリント回路基板、電線接続端子、プラグブレード、ジャックワイヤ接点などの通信経路の任意の異なる部分に沿って用いられてもよく、したがって、図1に示される電線導体2,3は、本発明の実施形態による寄生導電ループと相互に作用し得る導体のタイプの一例として提供されているに過ぎないことは認識されよう。
【0029】
図1に示されているように、寄生導電ループ4は、導体2,3の近くに位置決めされている。図1の実施例の通信システム1において、導体2,3は、差動対の2つの電線を備えている。したがって、等しいが対向する信号は、電線2,3にわたって同時に伝送されることになる。これは、電線2および3において流れる電流を示す矢印5および7によって図1に反映され、各矢印は電流の流れの方向を示している。図1に示されているように、電流5は、反時計回り方向(図1において上から見たとき)に導体2の周囲に円を描く磁界5’を生成する。寄生導電ループ4の左部分8と導体2との間の近接性のために、磁界5’が、寄生導電ループ4に電流6(図1の矢印として示される)を誘発する。この誘発された電流6は、電流5の方向に対向する方向に流れ、したがって、図1に示されているように、電流6によって生成される磁界6’が、時計回り方向にループ部分8の周囲に円を描くことになる。
【0030】
寄生導電ループ4が閉鎖経路であるとき、ループ4上に誘発される電流6は、ループ4の周囲を流れる傾向がある。ループ4の方向が、種々の点で変化するとき、電流6によって生成される磁界6’もまた、方向を変化する。したがって、例えば、図1に示されているように、寄生導電ループ4の右部分9で、磁界6’は反時計回り方向にループ部分9の周囲に円を描くことになる。
【0031】
図1に示されているように、磁界6’は、ループ4の右部分9の周囲に反時計回り方向に延在するのに対して、導体3中を流れる電流7によって生成される磁界7’は、時計回り方向に延在する。したがって、磁界6’は、導体3の付近で磁界7’の少なくとも一部分を相殺する傾向がある。磁界7’の部分的相殺は、導体3を通って流れる電流7が通信システム1における他の近隣導体(図1には図示せず)に電流を誘発する力を低減させることになる。したがって、図1に示されているように、相殺磁界を生成することによって、本発明の実施形態による寄生導電ループは、通信システムにおけるクロストークを低減するために用いられてもよい。寄生導電ループはまた、電界を相殺するために設けられてもよく、本発明の例示の実施形態に対して本明細書において説明される概念が同様に、そのような電界相殺を行うように構成されてもよいことは同様に認識されよう。磁界および電界の両方を相殺するために1つの寄生導電ループが用いられてもよいことはさらに認識されよう。
【0032】
本発明のさらなる実施形態による通信コネクタについて、ここで、図2〜図9に関連して記載されている。図2〜図9において、本発明の実施形態による概念は、110型交差接続配線システムにおいて実装されている。しかし、本発明の実施形態が、例えば、モジュラプラグ、モジュラジャック、非110型電線接続ブロックなどを含むさらに多数のタイプの接続システムを包含することは認識されよう。
【0033】
図2は、周知のタイプの通信システムである110型交差接続通信システム10を示し、この通信システムは、多数の出入りする配線システムを終端する配線室において用いられることが多い。通信システム10は、ケーブルおよび配線の導入を体系化して管理するために用いられる野外配線ケーブル終端装置を備えている。通信システム10は最も一般的には、機器室に位置付けられ、ネットワークインターフェイス装置、切替装置、処理装置および幹線(立ち上がりまたは構内)配線の終端および相互接続を提供している。交差接続通信システム10は通常、遠距離通信配線室に位置付けられ、(動作領域に対して)水平配線および幹線配線の終端および交差接続を提供している。交差接続は、建物または構内の種々の部分への共通の機器回路の効率的かつ好都合な経路指定および再経路指定を提供することが可能である。
【0034】
図2に示されているように、通信システム10は、水平列に配置されるコネクタポート15を有している。コネクタポート15の各列は、「インデックスストリップ」と一般に呼ばれる導体着座アレイ14を備えている。導体(すなわち、電線)16は、コネクタポート15の間に置かれている。図2に示されているように、一旦、導体16が所定の場所に置かれると、接続ブロック22は、インデックスストリップ14の真上に配置され、導体16への電気接続を形成することになる。各接続ブロック22が、複数の両端スロット付きビーム圧接接続(IDC)を含んでいてもよいが、図2では一般に見えない。各IDCの一端は、インデックスストリップ14に取り付けられる導体16のそれぞれの導体との電気接続を形成している。各IDCの他端は、交差接続電線(図示せず)または接続ブロック22の一番上でIDC24によって画定されるポート25で終端されるパッチコード28の接点との電気接続を形成している。図2は、それぞれが、一般的な端子ブロック12における4つのインデックスストリップ14(インデックスストリップ14の1つの一部のみしか図2では見えない)の一番上に取り付けられる6つの接続ブロック22からなる4つの水平列を示している。インデックスストリップ14間の空間は通常、ケーブルまたは交差接続電線の経路指定のために、谷になっている。導体16は、インデックスストリップ14における適切な終端ポートに対して、ケーブルの谷および他のケーブル体系化構造を通じて経路指定されている。
【0035】
図3に示されているように、例示の接続ブロック22は、主要ハウジング40と、2つの係止部材48と、8つのIDC24a〜24hと、4つの寄生導電ループ60a〜60dとを備えている。これらの構成要素は、図4〜図6に関して以下に記載されている。
【0036】
図5は、例示のIDC、すなわち、接続ブロック22のIDC24aを示している。IDCは、公知のタイプの電線接続端子である。一般に、電線接続端子は、その一端(または両端スロット付きIDCの場合には両端)で電線またはプラグブレードを収容する電気接点(または何か別のタイプの電気接点)を指している。IDC24aは、略平坦であり、例えば、燐青銅合金などの導電材料から形成されている。IDC24aは、嵌合導体を収容するための開放端スロット31を画定するプロング30a,30bを有する下端30と、別の嵌合導体を収容するための開放端スロット33を画定するプロング32a,32bを有する上端32と、移行領域34とを備えている。スロット31,33のそれぞれは、製作中にIDC24aのプロングに剛性を提供する小さなブレース36によって割り込まれてもよいが、スロット31,33への導体の「パンチダウン」中に分割されるようになっている。下端30および上端32は、互いからオフセットがあるため、スロット31,33は略平行であるが、同一直線上にはないようになっている。下端30および上端32のスロット31,33のオフセット距離「j」は、例えば、約0.080〜0.150インチ(約0.2032〜0.3810センチ)であってもよい。本明細書において説明されるとき、ある特定の実施形態において、距離「j」は、0.096インチ(0.244センチ)であってもよい。
【0037】
ここで図3および図4を参照すると、主要ハウジング40は、例えば、ポリカーボネートなどの誘電材料から形成されてもよく、嵌合するインデックスストリップ14の真上に接続ブロックを整列するように機能してもよいフランジ41を有している。主要ハウジング40は、ディバイダ43によって分離される貫通スロット42を備え、スロット42のそれぞれは、IDC24a〜24hの上端32を収容するサイズである。主要ハウジング40はさらに、スロット47を備え、スロット47は、スロットの42の間にスロット42に対して垂直である。スロット47はそれぞれ、寄生導電ループ60a〜60dの1つを収容するサイズで構成されている。主要ハウジング40の上端は、スリット46によって分割される複数のピラー44を有している。スリット46は、IDC上端32の開放端スロット33の内縁を露出させるものである。主要ハウジング40はまた、各側に開口部50を備えている。図3に示されているように、係止部材48は、主要ハウジング40の両側に取り付けられている。係止部材48は、主要ハウジング40における開口部50の中に収容される係止突出部52を備えている。
【0038】
図3に示されているように、接続ブロック22は以下のように組み立てられることが可能である。IDC24a〜24hは、その下端から主要ハウジング40のスロット42の中に挿入されるようになっている。IDC24a〜24hの上端32は、スロット42の中に収まり、IDC24a〜24hの上端32のスロット33は、主要ハウジング40におけるスリット46によって露出させられている。寄生導電ループ60a〜60dは、その下端から主要ハウジング40におけるスロット47の対応するスロットの中に挿入されるようになっている。寄生導電ループ60a〜60dの上端は、主要ハウジング40の上端におけるピラー44のうちのそれぞれのピラーの中に延在していてもよい。一旦、IDC24a〜24hおよび寄生導電ループ60a〜60dが所定の場所に置かれると、係止部材48は、開口部50の中に挿入され、次に、超音波溶接、接着剤接合、スナップ嵌め掛止または何か他の適切な接着技術を介して固定されることになる。寄生導電ループ60a〜60dを所定の場所に保持する係止機構(図3〜図5には図示せず)もまた、設けられてもよい。
【0039】
図4〜図6において分かるように、一旦、IDC24a〜24hが主要ハウジング40において2つの実質的に平坦な列に配置されると、IDC24a〜24dは一方の列に、IDC24e〜24hは第2の列という状態になる。IDCにおける「ジョグ」(すなわち、IDCの上端32と下端30との間のオフセット)のために、後列におけるIDC24a〜24dの上端32は、前列におけるIDC24e〜24hの上端32から互い違いに配置されることになる。同様に、IDCにおける「ジョグ」のために、後列におけるIDC24a〜24dの下端30は、前列におけるIDC24e〜24hの下端30から互い違いに配置されることになる。図3〜図4および図6に示される接続ブロック22の実施形態において、対向する列のIDCの移行領域34が整列されている(例えば、IDC24aの移行領域34は、IDC24eの移行領域34から直接的に横断している)。他の実施形態において、対向するIDCの移行領域34は、互い違いに配置されてもよい。
【0040】
図6にも示されているように、IDC24a〜24hは、以下の表1に記載のTIP−RING IDC対に分割されることができ、慣例によって、TIPは、正に分極される端子であり、RINGは、負に分極される端子である。IDC対のRINGのそれぞれは、一方の列にあり、IDC対のTIPは、他方の列にある。
【表1】

【0041】
図6にも示されているように、各IDC24a〜24hの長さは、距離「k」である。本発明の例示の実施形態において、「k」は、約800ミルであってもよい。図6に示される例示の実施形態において、IDC対のIDCの隣接するスロット間の距離「j」は、約96ミルであってもよい。図6に示される例示の実施形態において、IDCの列におけるIDCの隣接するスロット間の距離「j」は、約260ミルであってもよい。寄生導電ループ60a〜60dもまた、図6に示されている。図示されているように、IDC対の縁と対応する寄生導電ループ60a〜60dの中心との間の距離「i」は、図6の例示の実施形態における約30ミルであってもよい。IDCは、第1の列および第2の列は、約70ミルに離隔されてもよい。
【0042】
図3の寄生導電ループ60aが、図7に示されている。図7に示されているように、寄生導電ループ60aは、右ループ部分61aと、左ループ部分63aと、上ループ部分62aと、下ループ部分64aとを有している。本発明の実施形態によれば、本明細書にさらに詳細に説明されるように、信号エネルギは、IDC24a,24b,24e,24fのうちの1つ以上から寄生導電ループ60aに結合されてもよい(図3参照)。寄生導電ループ60aにIDC24a,24b,24e,24fの1つから結合される信号エネルギは、次に、ループ60aの周囲に進む傾向がある。
【0043】
図2〜図9の実施形態において、寄生リング60a〜60dはそれぞれ、同一の形状および構成を有していてもよい。例示の実施形態において、右ループ部分61aおよび左ループ部分63aの長さ「m」は、約730ミルであり、上ループ部分62aおよび下ループ部分64aの長さ「n」は、約140ミルである。ループ60aは、例えば、銅、ステンレス鋼などの動作周波数に関して「良好な」導体と考えられる任意の材料から形成されてもよく、例えば、5ミルの厚さ「x」を有していてもよい。ループ60aの内部開口部は、約650ミル×約60ミルであってもよい。以下の寸法は例示であり、この開示が十分かつ完全であるように提供されることは十分に認識されよう。多数の異なる形状、寸法などのループ60aが、図7に示される例示のループ60aの代わりに用いられてもよいことは十分に認識されよう。
【0044】
図8は、対1および2に対応するIDC24a,24b,24e,24fと、それらが図3の接続ブロック22の主要ハウジング40の中に存在するように、その間に設けられる寄生導電ループ60aとを示す斜視図である。図8において、主要ハウジング40は、IDCに対する寄生導電ループ60aの配置をさらに明確に示すために、省略されている。図8に示されているように、IDC24eの上端は、左ループ部分63aの上端に対して近くに隣接して位置決めされるのに対して、IDC24eの下端は、左ループ部分63aから急に方向が変えられている。同様に、IDC24fの下端は、左ループ部分63aの下端に対して近くに隣接して位置決めされるのに対して、IDC24fの上端は、左ループ部分63aから急に方向が変えられている。同様に、IDC24bの上端は、右ループ部分61aの上端に対して近くに隣接して位置決めされるのに対して、IDC24bの下端は、右ループ部分61aから急に方向が変えられている。最後に、IDC24aの下端は、右ループ部分61aの下端に対して近くに隣接して位置決めされるのに対して、IDC24aの上端は、右ループ部分61aから急に方向が変えられている。結果として、IDC24a,24b,24e,24fと寄生導電ループ60aとの間の主要な結合は、IDC24eの上端から左ループ部分63aの上端への結合、IDC24fの下端から左ループ部分63aの下端への結合、IDC24bの上端から右ループ部分61aの上端への結合、IDC24aの下端から右ループ部分61aの下端への結合を備えている。
【0045】
寄生導電ループ60aの動作について、ここで、図8に関連して記載されている。上述したように、IDC24aおよび24eは、第1の差動信号を伝送するために用いられる1対のIDCを備えている。したがって、IDC24aおよび24eは、等しいが対向する信号を搬送することになる。IDC24bおよび24fに対しても同じことが当てはまる。図8において、IDC24a,24b,24eおよび24fによって伝送される主要な信号(すなわち、所望の信号)はそれぞれ、太い矢印71a,71b,71eおよび71fによって示され、矢印は、信号の進む方向を示している。したがって、図8の実施例において、信号71aは、IDC24aを通って左下に移動し、信号71bは、IDC24bを通って左下に移動し、信号71eは、IDC24eを通って右上に進み、信号71fは、IDC24fを通って右上に移動することになる。
【0046】
図8にも示されているように、IDC24eの上端と左ループ部分63aの上端との間に近接性のために、信号71eは、左ループ部分63aの上端に信号72eを誘発する。誘発信号72eは、信号71eの進行方向に対向する方向に進む。このため、信号72eを表す矢印は、下ループ部分64aに向かって左ループ部分63aを下向きに指している。したがって、左ループ部分63aの上端の上に誘発された後、信号72eがIDC24fの下端の近接位置を進む場合に、信号72eは、左ループ部分63aの下端を通って進むことになる。この近接性のために、信号72eは、IDC24fの下端30に信号73eを誘発する。誘発信号73eは、信号72eの進行方向に対向する方向に進む。したがって、信号73eを表す矢印は、IDC24fを上向きに指している。
【0047】
図8にさらに示されているように、信号72eは、矢印の方向に(すなわち、反時計回り方向に)ループ60aを回って進み続ける。下ループ部分64aを通過した後、信号72eは、右ループ部分61aを上向きに進む。右ループ部分61aの上向きのほぼ中間位置で、信号72eは、IDC24bの上端の近接位置を通過し、結果として、信号72eは、IDC24bの上端32に信号74eを誘発する。誘発信号74eは、信号72eの進行方向に対向する方向に進む。したがって、信号74eを表す矢印は、IDC24bを下向きに指している。ループ60aに残っている信号72eは、反時計回り方向にループ60aを回って進み続けることになる。
【0048】
IDC24eに対して同様に、IDC24aはまた、寄生導電ループ60aの上に電流を誘発する。特に、IDC24aの下端と右ループ部分61aの下端との間の近接性のために、IDC24aを下向きに進んでいる信号71aは、右ループ部分61aの下端に信号72aを誘発する。誘発信号72aは、信号71aの進行方向に対向する方向に進む。このため、信号72aを表す矢印は、上ループ部分62aに向かって右ループ部分61aを上向きに指している。したがって、右ループ部分61aの下端に誘発された後、信号72aがIDC24bの上端32に対する近接位置を進む場合に、信号72aは、右ループ部分61aの上端を通って進む。この近接性のために、信号72aは、IDC24bの上端32に信号73aを誘発する。誘発信号73aは、信号72aの進行方向に対向する方向に進む。このため、信号73aを表す矢印は、IDC24bを下向きに指している。
【0049】
図8にさらに示されているように、信号72aは、矢印の方向に(すなわち、反時計回り方向に)ループ60aを回って進み続ける。上ループ部分62aを通過した後、信号72aは、左ループ部分63aを下向きに進む。左ループ部分63aの下向きのほぼ中間位置で、信号72aは、IDC24fの下端の近接位置を通過し、結果として、信号72aは、IDC24fの下端に信号74aを誘発する。誘発信号74aは、信号72aの進行方向に対向する方向に進む。このため、信号74aを表す矢印は、IDC24fを上向きに指している。ループ60aに残っている信号72aは、反時計回り方向にループ60aを回って進み続けることになる。
【0050】
寄生ループ60aが設けられなかった場合には、例えば、IDC24fに存在するクロストークは、IDC24eおよびIDC24aからIDC24fの上に(誘電的および容量的に)誘発されるクロストークの和を含むことになる。IDCの間隔および/または向きにより、IDC24fの上に異なる量のクロストークを誘発するIDC24aおよびIDC24eを結果として生じる場合には、完全に相殺されず、残っている相殺されなかったクロストークは、IDC24fに存在する情報信号に対する干渉(雑音)として現れることになる。IDC24fの上にIDC24aおよび24eから誘発されたクロストークは、NEXTおよびFEXTの両方を含んでもよい。当業者には公知であるように、NEXTは、IDC24fへのIDC24aとIDC24eとの間の差動容量結合および差動誘電結合の和に等しいのに対して、FEXTは、IDC24fへのIDC24aとIDC24eとの間の差動容量結合および差動誘電結合の差に等しい。
【0051】
誘導ループ60aは、2つの方式でこの式を変化させている。第一に、ループ60aの存在は、IDC24aおよび24eからIDC24fに直接流れ込むクロストークの量を低減する可能性がある。第二に、上述のように、寄生導電ループ60a上に誘発される信号72e,72aは、IDC24fの上に電流73eおよび74aを誘発する。IDC24a,24eからIDC24f上に誘発される完全に相殺されなかったクロストークを低減および/または最小限に抑えるために、構成要素(例えば、IDC、寄生導電ループおよびスロットにおける電線)の寸法および互いに対するそれらの物理的配置は、IDC24f上に誘発されるクロストーク信号の和が小さくなるように設計されてもよい。容量クロストークに対する誘導クロストークの量もまた、寄生導電ループを用いてNEXTの式およびFEXTの式の両方を最適化するように調整されてもよい。接続ブロックも同様に、IDC24a,24eからIDC24b上に誘発されるクロストークのほか、IDC24bおよび24fからIDC24aおよび24eのそれぞれに誘発されるクロストークを低減および/または最小限に抑えるように設計されてもよい。
【0052】
寄生誘発ループ60aがクロストークの相殺を容易にし得る方法はまた、IDC24e,24aおよび寄生ループ60aの両方で生成される電磁界を調べることによって理解することが可能である。特に、図9は、図8の線I−Iに沿って切り取った断面図である。図8に関して上述したように、本実施例において、IDC24eを通って進む信号は、図9における紙面内を進んでいると仮定される。したがって、IDC24eを通って流れる電流によって生成される磁界80eは、時計回り方向に延在することになる。同様に、IDC24aを通って流れる信号が、図9の紙面から出る方向に進むとき、信号は、反時計回り方向に延在する磁界80aを生成する。また、図8に関して上述されるように、電流72aおよび72e(図9には図示せず)が、IDC24aおよび24eによってそれぞれ寄生導電ループ60a上に誘発される。両方の電流は、同一方向に流れる。右ループ部分61a上で、電流72a,72eは、上ループ部分62a(すなわち、図9における紙面内)に向かって流れ、したがって、対応する磁界81が、時計回り方向に延在することになる。同様に、左ループ部分63a上で、電流72a,72eは、下ループ部分64a(すなわち、図9における紙面から出る方向)に向かって流れ、したがって、対応する磁界82が、反時計回り方向に延在することになる。
【0053】
ここで、図9における磁界80eおよび82に焦点を当てると、IDC24eの真右であって寄生導電ループ60aの真左にある領域83において、磁界80eおよび82の両方が下向きに指し、したがって加法的であることが分かる。しかし、領域83の真左にある(すなわち、ループの遠い側の)領域84において、磁界82は、上向きに指し、したがって、下向きに指す磁界80eに対向している。結果として、磁界80eおよび82は、領域84において互いに相殺する傾向があり、それによって、対1のIDC24a,24eがIDC24fに与える差動クロストーク信号に対する差動モードと差動モードのクロストーク信号を低減および/または最小限に抑えることになる。同様の解析は、磁界80aおよび81が寄生導電ループ60aの右の領域において互いに相殺する傾向があり、それによって、対1のIDC24a,24eがIDC24bに与える差動クロストーク信号に対する差動モードと差動モードのクロストーク信号を低減および/または最小限に抑えることを示している。
【0054】
上記の実施例は、ジョグを含むIDC24a〜24hを組み込む接続ブロック22を示しているが、本発明の寄生導電ループはまた、従来の直線状の両端スロット付きIDCと共に用いられてもよいことは十分に認識されよう。そのような実施形態において、上述のループ60aに類似の平坦な寄生導電ループが用いられてもよく、あるいは、3次元の寄生導電ループが例えば、ジョグを含む寄生導電ループなどを用いることも可能である。さらに、寄生導電ループは、IDCの間に位置決めされる必要はなく、代わりに、ループが1つ以上の妨害する導体からの誘発電流を受信することができ、コネクタ内のクロストークの低減を容易にし得る第2の位置における磁界を生成するためにその誘発電流を用いることができる他の隣接位置に位置決めされてもよいことは認識されよう。
【0055】
同様に、本発明のある実施形態において、寄生リング60a〜60dが、各IDC対の間に設けられる必要はない。例えば、性能における著しい向上は、各隣接する接続ブロック22間に寄生リング60を単に設けるだけで得られる(そうでなければ、各接続ブロック22内の4つのIDC対の間に寄生リングを設けられない)ことが分かっている。そのような寄生リング60は、各接続ブロック22の一端に取り付けられることが可能であり、または別法として隣接する接続ブロック22の間に取り付けられる個別の構成要素を備えることが可能である。
【0056】
また、上述の概念は、通信コネクタの他のタイプにも等しく適用可能であることは認識されよう。例えば、110型交差接続配線システムと互換性のない複数の交差接続システムは、当業界では公知である。本発明の実施形態による寄生導電ループは、これらのシステムにも同様に適用されてもよい。
【0057】
また、IDC対の両方のIDCは、寄生導電ループ上に著しい電流の量を誘発する必要がないことは認識されよう。一例として、図2〜図9に関して説明される実施形態において、IDC24aおよび24eは、ループの周囲で同一方向に進む(すなわち、加法的である)信号を寄生導電ループ上に誘発する。しかし、クロストークの低減もまた、IDC24a,24eの一方からループ上により多くの電流が誘発され、IDC24a,24eの他方からループ上に誘発される電流がほとんどないか、全くないように設計されるコネクタを用いて、達成されてもよい。したがって、上記で示した例示の実施形態は、IDC対の両方のIDCが寄生導電ループに電流を誘発する点で対称であるが、これは、必要な条件ではないことは理解されよう。
【0058】
また、任意のクロストーク低減システムと同様に、クロストーク低減システムの一部であるか、またはクロストーク低減システムと反応する導電要素などのサイズ、形状、向き、位置決めなどは、適切なレベルのクロストーク相殺を提供するように選択されなければならないことは認識されよう。ここで、そのような変数としては、少なくとも寄生導電ループの形状、そのようなループに関連するすべてのサイズ変数(例えば、厚さ、寸法など)寄生導電ループからのエネルギの受信および/または寄生導電ループへのエネルギの誘発を行う導電要素(例えば、接点、電線など)の形状サイズ、導電要素間の距離および寄生ループとそれぞれのそのような導電要素の互いに対する向きが挙げられる。さらに、各IDC24a〜24hのスロット31,33および隣接する対の隣接する寄生導電ループおよび/またはIDCに挿入される電線間には、容量結合が生じ得る。したがって、これらの電線の長さおよび寄生導電ループおよび/または隣接するIDCに対する電線の相対的な位置は、設計を調整する際に考慮され得る。さらに、上記の説明は、IDC24a〜24hと寄生導電ループ60a〜60dとの間の誘電結合効果に焦点を当てているが、容量結合もまた、IDCと寄生導電ループとの間で生じることは認識されよう。この容量結合もまた、所望のレベルのクロストーク低減を達成するために、設計において考慮される必要がある。上記の図2〜図9の実施形態において、IDC24a〜24hとそれらの対応する寄生導電ループ60a〜60dとの間の結合は、主に誘電結合を含んでいる。しかし、他の設計において、容量結合効果がさらに顕著である可能性がある。
【0059】
また、寄生導電ループが、閉鎖経路でないように作成されてもよいことは認識されよう。特に、ループにおける1つ以上のきわめて短い遮断を含むループが作成されてもよく、電流がこれらのギャップを広げることを効率的に可能にする大きなコンデンサが設けられてもよい。
【0060】
本発明のさらなる実施形態によれば、寄生導電ループを備えたモジュラプラグが提供されている。図10は、そのような寄生導電ループを備えたモジュラプラグ111の分解斜視図である。図10に示されているように、モジュラプラグ111は、電線体系化スレッド113を収容するために、中空の内部を有する外部ハウジング部材112を備えている。ハウジング112およびスレッド113は、適切な誘電材料(例えば、プラスチック)から作成されてもよい。キャップまたはカバー部材114は、スレッド113の上に嵌合し、スレッド113に掛止するように構成されている。スレッド113のコネクタ端部118は、複数の平行な溝115を有し、その中でケーブル(図示せず)からの複数の電線を平坦なアレイに平行に保持するようになっている。ハウジング112は、そのコネクタ端部119に、ブレード接点部材121が挿入可能である複数の(例えば、8つの)スロット120を有する導体整列領域を有している。接点部材121は、それとの電気接点を構成するために溝115に置かれている電線の絶縁体を貫通するための鋭い先端を有している。ブレード121は今度は、プラグ111を収容するためのジャック(図示せず)にジャックばねとの電気接点を構成するために、スロット120内に位置決めされている。
【0061】
一定の業界規格(Telecommunications Industry Associationによって2002年6月20日に承認された、例えば、TIA/EIA−568−B.2−1規格)は、モジュラプラグが4つの差動信号(すなわち、4つの差動対)を伝送するように構成される合計8つの電線を含むことを規定している。これらの規格によれば、モジュラプラグとモジュラジャックとの間の嵌合点で、第1の差動対の電線が、2つの中間スロット120(スロット4および5)に置かれ、第2の差動対の電線が、2つの最も左のスロット120(スロット1および2)に置かれ、第4の差動対の電線が、2つの最も右のスロット120(スロット7および8)に置かれ、第3の差動対の電線が残りの2つのスロット120(スロット3および6)に置かれている。したがって、モジュラプラグ111の接点121が、対応するモジュラジャック(図10には図示せず)の接点と嵌合する少なくとも接続領域において、差動対の電線は、他の差動対の電線から等距離ではない。これは、例えば、対3の電線から対2および4の電線に誘発される差動モードと同相モードのクロストークを含む、望ましくないクロストークをもたらす可能性がある。
【0062】
そのような差動モードと同相モードのクロストークを低減するために、プリント回路基板130は、スレッド113に取り付けられていてもよい。図10に示されているように、寄生導電ループ132は、プリント回路基板130上に設けられている。プリント回路基板130は、溝115にある電線(図示せず)の上に収まっている。図10に示される本発明の実施形態において、寄生導電ループ132は、右部分134、左部分136、後部分138および前部分140を含む矩形ループである。寄生導電ループ132は、例えば、差動対3の電線(例えば、電線3)の1つからの信号エネルギを対4の電線(電線7および8)のより近い位置で誘電結合するように用いられてもよい。特に、プリント回路基板130は、寄生導電ループ132の左部分136が略電線3の上にあり、ループ132の右部分134が略電線6の上にあるように位置決めされてもよい。電線3を通って進む信号は、寄生導電ループ132の左部分136で、対向する方向に流れる信号142を誘発する。例のために、電線3を通って流れる信号が、モジュラプラグ111のブレードの方向に流れると仮定すると、信号142は、ループ132の後部分138に向かって流れ、次に、ループの前部分140に向かってループの右部分134を通って流れる。このような方法で、電線3の信号と同一の極性を有する信号が、隣接する電線7および8に設けられてもよく、電線6から電線7および8に結合される信号エネルギを低減/相殺するのに役立つ可能性がある。寄生ループ132はまた、電線6からの信号エネルギを電線1および2の付近に有利に結合し、それによって、対3から対2に誘発される差動モードと同相モードのクロストークを低減することになる。寄生ループ132は、プリント回路基板上に実装される必要はないが、代わりに、例えば、プラグハウジング112の誘電体に囲まれる導電リングによって実装可能であることは認識されよう。
【0063】
本発明のさらなる実施形態によれば、寄生導電ループはまた、モジュラジャックに実装されてもよい。一例として、寄生導電ループを収容するプリント回路基板は、誘電クロストーク補償を提供するために、寄生リング132が図10におけるモジュラプラグ111の接点に隣接するように位置決めされる方法と類似の方法で、モジュラジャックのリードフレームに隣接して位置決めされることが可能である。
【0064】
本発明の特定の実施形態によれば、取り付け基板と、該取り付け基板に取り付けられる第1の対および第2の対の電線接続端子と、第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子に隣接して取り付けられる寄生導電ループとを備えた電線接続システムが提供されている。そのような電線接続システムは、例えば、電線接続ハウジングに取り付けられる第1の対および第2の対のIDCを有する電線接続ブロックを備えている。
【0065】
本発明のさらなる実施形態によれば、通信コネクタ用のクロストーク低減回路が、提供されている。クロストーク低減回路は、コネクタの第1の導体で伝送される第1の信号によって生成される第1の磁界から誘発される電流を受信するように構成される寄生導電ループをとして実装されてもよい。寄生導電ループにそのように誘発された電流は、コネクタの第2の導体で伝送される第2の信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する第3の磁界を生成している。
【0066】
本発明のさらなる実施形態によれば、寄生結合要素と、寄生結合要素の第1の部分に隣接する第1の導体と、寄生結合要素の第2の部分に隣接する第2の導体とを備えた通信コネクタが提供されている。これらのコネクタにおいて、寄生結合要素は、第1の導体に伝送される信号からのエネルギを含む補償クロストーク信号を第2の導体に結合するように構成されている。結合された補償クロストーク信号は、クロストーク信号が生成された信号の方向に対向する方向において、第2の導体上に誘発されるようになっている。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1の差動信号を受信するように構成される第1の対の接点と、第2の差動信号を受信するように構成される第2の対の接点と、第1の対の接点および第2の対の接点の間に位置決めされる寄生結合要素とを備えた通信コネクタが提供されている。寄生結合要素は、第1の対の接点のそれぞれの接点から同一の極性を誘発する第1の誘発信号および第2の誘発信号を受信するようになっている。
【0068】
本発明のさらに別の実施形態によれば、第1の対の導体から通信コネクタの第3の導体の上に誘発される差動クロストーク信号を低減するための方法が、提供されている。これらの方法によれば、第1の対の導体の他の導体を通って流れる信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する寄生導電ループの第2の部分の周りに第1の磁界を生成するために、クロストーク信号は、第1の対の導体の1つを通って流れる信号から寄生導電ループの第1の部分に誘発されている。
【0069】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1の列の電線接続端子を画定する第1の電線接続端子および第2の電線接続端子と、第1の列の電線接続端子に略平行な第2の列の電線接続端子を画定する第3の電線接続端子および第4の電線接続端子とを備えた電線接続ブロックが提供されている。電線接続ブロックはさらに、第1の電線接続端子上を伝送される信号からのエネルギを第4の電線接続端子に誘導的に結合するように位置決めされる誘導結合要素を備えている。
【0070】
前述の内容は、本発明の例証であり、本発明を限定するものと見なすべきではない。本発明の例示の実施形態について記載してきたが、当業者は、本発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく、例示の実施形態においてさまざまな改変が可能であることは容易に認識されよう。したがって、すべてのそのような改変は、特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲内に包含されることを意図している。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、請求項の等価物をその中に包含することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態による第1の導体および第2の導体と相互に作用する寄生結合要素の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による通信コネクタが用いられる110型データ通信システムの分解斜視図である。
【図3】図2に示されるデータ通信システムにおいて採用される接続ブロックの分解斜視図である。
【図4】図3の接続ブロックの前部分断面図である。
【図5】図3の接続ブロックの例示のIDCの拡大正面図である。
【図6】図3の接続ブロックにおけるIDCおよび寄生導電ループの配置の正面図である。
【図7】図3の接続ブロックにおいて用いられる寄生導電ループの斜視図である。
【図8】図3の接続ブロックから4つのIDCおよび寄生導電ループの配置の斜視図である。
【図9】図8の線I−Iに沿って切り取った断面図である。
【図10】本発明の実施形態による寄生導電ループを備えたモジュラプラグの分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け基板と、
前記取り付け基板に取り付けられる第1の対の電線接続端子と、
前記取り付け基板に取り付けられる第2の対の電線接続端子と、
少なくとも前記第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子に隣接して取り付けられる寄生導電ループとを備えている、電線接続システム。
【請求項2】
前記寄生導電ループの第1の部分は、少なくとも前記第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子からの誘発信号を受信するように位置決めされ、前記寄生導電ループの第2の部分は、前記受信した誘発信号が、前記第2の対の電線接続端子の少なくとも1つの電線接続端子に隣接して磁界を生成するように位置決めされている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項3】
前記寄生導電ループは、前記第1の対の電線接続端子と前記第2の対の電線接続端子との間に取り付けられている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項4】
前記電線接続端子は、圧接接続(IDC)を備えている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項5】
前記IDCのそれぞれは、その対向する上端および下端で導体を収容するためのスロットを備え、前記IDCは、少なくとも2列で取り付け基板に取り付けられ、各IDCの前記スロットは、略平行であり、かつ同一直線上に配置されていない、請求項4に記載の電線接続システム。
【請求項6】
前記寄生導電ループは、第1の方向において当該ループの周囲を進む第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子からの第1の誘発信号を受信し、前記第1の方向において当該ループの周囲を進む前記第1の対の電線接続端子の第2の電線接続端子からの第2の誘発信号を受信するように構成されている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項7】
前記第1の対の電線接続端子は、第1の圧接接続(IDC)および第2のIDCを備え、前記第2の対の電線接続端子は、第3のIDCおよび第4のIDCを備え、前記第1のIDCおよび前記第3のIDCは、IDCの第1の列の一部であり、前記第2のIDCおよび前記第4のIDCは、IDCの第2の列の一部であり、前記寄生導電ループは、前記第1のIDC上を搬送される信号からのエネルギを前記第4のIDCに結合するように構成されている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項8】
前記寄生導電ループはさらに、前記第2のIDC上を搬送される信号からのエネルギを前記第3のIDCに結合するように構成されている、請求項7に記載の電線接続システム。
【請求項9】
前記電線接続システムは、110型電線接続ブロックを備えている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項10】
前記寄生導電ループの第1の部分は、前記第1の電線接続端子によって搬送される信号から前記寄生導電ループ上に第1のクロストーク信号を誘発するために、前記第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子に対してサイズ、形状および位置が調整され、前記寄生導電ループの第2の部分は、前記第1のクロストーク信号から前記第2の対の電線接続端子のうちの電線接続端子の1つに第2のクロストーク信号を誘発するために、前記第2の対の電線接続端子のうちの電線接続端子の1つに対してサイズ、形状および位置が調整されている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項11】
前記寄生導電ループは、少なくとも前記第1の対の電線接続端子の第1の電線接続端子からの第1の誘発信号を受信し、前記第2の対の電線接続端子の両方の電線接続端子に補償クロストーク信号を誘発するように構成されている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項12】
前記第1の対の電線接続端子は、第1の接続ブロックの一部であり、前記第2の対の電線接続端子は、第2の電線接続ブロックの一部である、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項13】
前記第1の対および前記第2の対の電線接続端子は、第1の接続ブロックにおける隣接する対の電線接続端子を備えている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項14】
磁界は、前記第1の対の電線接続端子の第2の電線接続端子によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺するようになっている、請求項1に記載の電線接続システム。
【請求項15】
第1の信号を搬送する第1の導体と、第2の信号を搬送する第2の導体とを備えた通信コネクタ用のクロストーク低減回路であって、
前記第1の信号によって生成される第1の磁界から誘発される電流を受信するように構成される寄生導電ループを備え、前記寄生導電ループ上に誘発される電流は、前記第2の信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する第3の磁界を生成するようになっている、クロストーク低減回路。
【請求項16】
前記第1の信号および前記第2の信号は、等しいが対向する信号を含んでいる、請求項15に記載のクロストーク低減回路。
【請求項17】
前記寄生導電ループの第1の部分は、前記第1の導体に隣接し、前記寄生導電ループの第2の部分は、前記第2の導体に隣接し、前記寄生導電ループの第1の部分に隣接する第3の磁界の一部分は、第1の方向を有し、前記寄生導電ループの第2の部分に隣接する前記第3の磁界の一部分は、前記第1の方向に実質的に対向する第2の方向を有している、請求項15に記載のクロストーク低減回路。
【請求項18】
前記第1の導体は、モジュラプラグの1対の導体の第1の導体を備え、前記第2の導体は、1対の導体の第2の導体を備え、前記第1の信号および前記第2の信号は、同じ大きさであるが、対向する極性の信号を備えている、請求項15に記載のクロストーク低減回路。
【請求項19】
前記モジュラプラグは、該モジュラプラグの接点領域において隣接かつ並んだ関係にある第1の接点、第2の接点、第3の接点、第4の接点、第5の接点、第6の接点、第7の接点および第8の接点を含み、前記第4の接点および前記第5の接点は、第1の差動信号を搬送する第1の接点対を備え、前記第1の接点および前記第2の接点は、第2の差動信号を搬送する第2の接点対を備え、前記第3の接点および前記第6の接点は、第3の差動信号を搬送する第3の接点対を備え、前記第7の接点および前記第8の接点は、第4の差動信号を搬送する第4の接点対を備え、前記第3の接点対は、前記モジュラプラグの接点領域における前記第1の接点対の間に位置決めされ、前記第1の導体は、前記第3の接点対の接点の一方に電気的に接続され、前記第2の導体は、前記第3の接点対の接点の他方に電気的に接続されている、請求項18に記載のクロストーク低減回路。
【請求項20】
前記第1の導体は、第1の圧接接続(IDC)を備え、前記第2の導体は、第2のIDCを備えている、請求項15に記載のクロストーク低減回路。
【請求項21】
前記第1のIDCは、第1の導体収容スロットおよび第2の導体収容スロットを有し、前記第1の導体収容スロットおよび前記第2の導体収容スロットは、同一の平面にあるが、同一直線上にないように配置されている、請求項20に記載のクロストーク低減回路。
【請求項22】
前記第3の磁界は、前記通信コネクタの第3の導体の付近で、前記第2の磁界を少なくとも部分的に相殺するようになっている、請求項15に記載のクロストーク低減回路。
【請求項23】
寄生結合要素と、
前記寄生結合要素の第1の部分に隣接する第1の導体と、
前記寄生結合要素の第2の部分に隣接する第2の導体とを備え、
前記寄生結合要素は、前記第1の導体で伝送される第1の信号から誘発される信号を前記第2の導体に結合するように構成され、前記結合された信号は、前記第1の信号の方向に対向する方向において、前記第2の導体上に誘発されるようになっている、通信コネクタ。
【請求項24】
前記寄生結合要素は、ループを備え、前記寄生結合要素の第1の部分は、前記ループの第1の部分上にあり、前記寄生結合要素の第2の部分は、前記ループの第1の部分に略対向する前記ループの第2の部分上にある、請求項23に記載の通信コネクタ。
【請求項25】
前記第1の導体および前記第2の導体はそれぞれ、第1のスロットを有する上端と、前記第1のスロットに対して平行であるが、同一直線上にない第2のスロットを有する下端とを具備する圧接接続(IDC)を備えている、請求項23に記載の通信コネクタ。
【請求項26】
第1の差動信号を受信するように構成される第1の接点および第2の接点と、
第2の差動信号を受信するように構成される第3の接点および第4の接点と、
前記第1の接点および前記第2の接点と前記第3の接点および前記第4の接点との間に位置決めされる寄生結合要素とを備え、前記寄生結合要素が第1の極性を有する第1の接点から第1の誘発信号を受信し、前記第1の極性を有する前記第2の接点から第2の誘発信号を受信するように構成されている、通信コネクタ。
【請求項27】
前記寄生結合要素は、寄生導電ループを備えている、請求項26に記載の通信コネクタ。
【請求項28】
前記寄生導電ループは、前記第1の誘発信号および前記第2の誘発信号から前記第3の接点の上に第3の信号を誘発するように構成されている、請求項27に記載の通信コネクタ。
【請求項29】
第1の導体および第2の導体を備える第1の対の導体から通信コネクタの第3の導体の上に誘発される差動クロストーク信号を低減するための方法であって、
前記第1の導体を通って流れる信号から寄生導電ループの第1の部分の上にクロストーク信号を誘発し、前記第2の導体を通って流れる信号によって生成される第2の磁界を少なくとも部分的に相殺する前記寄生導電ループの第2の部分の周囲に第1の磁界を生成するようになっている、方法。
【請求項30】
前記第1の磁界および前記第2の磁界は、前記第3の導体に隣接し、互いに少なくとも部分的に相殺している、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第1の列の電線接続端子を画定する第1の電線接続端子および第2の電線接続端子と、
前記第1の列の電線接続端子に略平行な第2の列の電線接続端子を画定する第3の電線接続端子および第4の電線接続端子と、
前記第1の電線接続端子上を伝送される信号からのエネルギを前記第4の電線接続端子に誘導的に結合するように位置決めされる誘導結合要素とを備えている、電線接続ブロック。
【請求項32】
前記誘導結合要素は、寄生導電ループを備えている、請求項31に記載の電線接続ブロック。
【請求項33】
前記誘導結合要素は、前記第1の電線接続端子上の信号搬送突出部を備えている、請求項31に記載の電線接続ブロック。
【請求項34】
前記取り付け基板は、第1の取り付け基板および第2の取り付け基板から構成され、前記第1の対の電線接続端子は、前記第1の取り付け基板に取り付けられ、前記第2の対の電線接続端子は、前記第2の取り付け基板に取り付けられている、請求項1に記載の電線接続システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−524207(P2009−524207A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552312(P2008−552312)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/000440
【国際公開番号】WO2007/084277
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507397814)コムスコープ,インコーポレイテッド・オヴ・ノース・キャロライナ (3)
【Fターム(参考)】