説明

クロマトグラフィー膜、それを含む装置及びその使用方法

本明細書においては、筐体ユニット及び複合材料を有するタンジェンシャルフロー濾過で使用される流体処理装置であって、その複合材料が、支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルを有し、そのマクロ多孔性ゲルが支持部材の孔の中に配置されている流体処理装置について記載されている。本発明は、流体を本発明の装置と接触状態に置くことで、その物質をその装置に含まれている複合材料に吸着又は吸収させる段階を有する、流体から物質を分離する方法に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィー膜、それを含む装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膜式水処理プロセスは、最初に1970年代に導入された。それ以降、膜式分離技術は、多くの他の産業で利用されてきた。製薬業界及びバイオテクノロジー業界では、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過及びダイアフィルトレーション等の分取クロマトグラフィー、ダイレクトフロー濾過(DFF)及びタンジェンシャルフロー濾過(TFF)の使用は、溶解分子又は懸濁粒子についての確立された方法である。限外濾過(UF)及び精密濾過(MF)膜は、生体分子の製造における分離及び精製において非常に重要となってきた。生体分子製造では、その規模とは無関係に、濾過を用いる1以上の段階が行われる。これらの膜分離の魅力は、例えば高い分離パワー及び供給流と透過液との間に圧力差を加えることのみを必要とする単純さ等のいくつかの特徴によるものである。この簡単かつ高信頼性のサンプルの2つの画分への1段階濾過により、膜分離は分離及び精製の貴重な手法となる。
【0003】
特に、酵素及び糖タンパク質等の生体分子の分離及び回収は、バイオテクノロジー工業での下流プロセスのほとんどにおいて非常に重要なコストを決定する段階である。例えば、卵白等の粗資源からのリゾチームの分離が、塩沈澱(特許文献1)又はイオン交換技術(特許文献2〜5)によって行われている。卵白の粘稠な高濃縮性及び他のタンパク質構成成分の性質のため、高純度のリゾチームを良好な収率で回収することは、極めて困難でコストのかかるものである。
【0004】
ある種類の膜分離において、対象の化学種は膜によって保持されるものであり、その場合に分離の目的は、相対的に小さい汚染物を除去すること、溶液を濃縮すること、又はダイアフィルトレーションを用いて緩衝液交換に影響を与えることであるのが普通である。別の種類の膜分離では、対象の化学種はフィルターを透過するものであり、目的は相対的に大きい汚染物を除去することであるのが普通である。MFにおいて、保持される化学種は通常、粒子、細胞小器官、細菌その他の微生物であり、透過するものはタンパク質、コロイド、ペプチド、小分子及びイオンである。UFにおいて、保持される化学種は、代表的にはタンパク質であり、通常は巨大分子であり、透過するものはペプチド、イオン及び通常は小分子である。
【0005】
「デッドエンド」、「ノーマルフロー」又は「ダイレクトフロー」濾過(DFF)では、1個の供給口及び1個の出口を有する濾過装置を用いる。総(100%)溶液体積を、強制的に多孔質フィルターに通す。DFF装置は、一般には使い捨て装置である。そのような膜フィルター又はデプスフィルターは、各種フィルター面積並びに各種孔径で市販されている。選択される孔径に応じて、平均膜孔径より小さい分子又は粒子は、フィルターを通過する(溶媒とともに)。したがって、ダイレクトフロー濾過(DFF)装置により、粒子、細菌、ウイルス、細胞残屑及び大きい巨大分子の選択的除去が可能となる。
【0006】
フィルター筐体に進入する全ての流体が濾材(DFF)を通過する従来のフィルターは代表的には、濾過剤の表面近くで低剪断力で動作する。したがって、従来の高度に凝集した分散液を、従来の送りシステムによって従来のフィルター装置に送る場合、通常は綿状物が濾過剤の表面付近に生じる傾向がある。流動場によってその綿状物は濾過剤の表面上に移動し、本体に入って、最終的にフィルターの詰まりを生じる。実際には、詰まったフィルターのために、フィルター交換のための運転停止時間が非常に長くなる可能性がある。
【0007】
高価値材料を含む未処理又は半調整プロセス流は、非常に粘稠であったり、かなり汚染されている場合が多い。したがって、供給流中に存在する溶質で膜が目詰まりするために、DFF分離手法は困難であるか厄介である。さらに、これらのプロセスでは、透過液の妥当なフラックスを維持するために高圧が必要となる場合が多い。
【0008】
対照的に、クロスフロー濾過装置とも称されるタンジェンシャルフロー濾過(TFF)装置は、1個の供給口、1個の濃縮液排出口及び少なくとも1個の透過液排出口を有する。タンジェンシャルフローとは、流動する流体が濾過剤の表面に沿って、濾過剤の表面に対して実質的に平行(接線方向)に流れる濾過構成を指す。この構成では、溶離液が表面上を流れる時に、溶質が膜の表面又は孔に吸着又は吸収される。そのような濾過剤を通過する流体の精製された部分は、そのような濾過剤の表面に沿って流れる流体の方向に対して「交差」、すなわち垂直な速度成分を有する。TFFでは、濃縮液(又はデカンテーション液)を、濾過効率の改善及び透過歩留まりの向上を目的として繰り返し再循環させることができる。再循環濃縮溶液の流路は、膜表面に対して平行に走っており、表面清浄作用を確保できるだけの速度で膜を通過してポンプ送りされる。しかしながら、各濃縮液体積の通過時には比較的少量の透過液のみが回収されることから、TFF手順にはかなりの処理時間がかかるのが普通である。具体的な分離に適切な膜を選択すれば、第2の液体を用いて、膜に吸着又は吸収された材料を溶出して回収することができる。
【0009】
クロスフロー濾過又はタンジェンシャル濾過は、公知の濾過プロセスである。例えば特許文献6〜11(これらの開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれるものとする)を参照することができる。さらに、ディケンソンの編著(非特許文献1;この開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれるものとする)参照することもできる。
【0010】
TFFでは、流動力学がシステムの効率において重要な役割を果たすことから、装置設計に細心の注意を払う必要がある。膜表面から所望の物質が物理的に解離するのを回避するため、これらのシステムでは乱流は抑制しなければならない。乱流は、再循環、渦及び見かけのランダム性によって支配される流れである。乱流が示されない流れは、層流と称される。安定した層流が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4504583号明細書
【特許文献2】米国特許第4705755号明細書
【特許文献3】米国特許第4966851号明細書
【特許文献4】米国特許第4518695号明細書
【特許文献5】米国特許第4104125号明細書
【特許文献6】米国特許第5681464号明細書
【特許文献7】米国特許第6461513号明細書
【特許文献8】米国特許第6331253号明細書
【特許文献9】米国特許第6475071号明細書
【特許文献10】米国特許第5783085号明細書
【特許文献11】米国特許第4790942号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】"Filter and Filtration Handbook", 4th Ed., T. Christopher Dickenson, Elsevier Advanced Technology, 1997.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
最適の結果を得るには、DFF及びTFFの両方でフィルター有孔率及びフィルター面積、並びに必要な圧力差及び選択されるポンプ速度に対して細心の注意を払う必要がある。しかしながら、長時間使用すると濾過装置は詰まる傾向があり、適時に交換しなければならない。(1)代表的には捕捉された細胞、粒子状物、細胞残屑等で膜孔が閉塞した場合、又は(2)固体又はコロイド状物及び/又は細胞残屑によって(TFF装置への)供給流路が閉塞した場合に、濾過装置の目詰まりが起こる。供給流路又は膜孔のこの目詰まりにより、多孔性フィルター膜を通る液体流の低下が生じる。結果的にシステム圧が変わり、それを適切に処理しないと、濾過手順を組み込んだ操作に重大な害を及ぼす危険性がある。
【0014】
したがって、各濾過技術での膜の選択が、分離の効率及び奏功にとって非常に重要である。高い特異性及び高い結合能力を有する複合膜が、米国特許第7316919号明細書及び米国特許出願公開第2008/0314831号明細書及び同2008/0312416号明細書(これらは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの材料は非常に用途が広く、具体的な分離状況向けに設計することができる。
【0015】
これらの用途には非常に多様な装置が利用可能である。代表的には装置は、構成により、平板(例えば、カセット又はプレートとフレーム)、らせん(又はらせん巻き)、管状又は中空ファイバー等のカテゴリーに分類される。装置構成の選択は、各具体的な用途における信頼性、性能及びコストによって決まる。
【0016】
平板又はカセット装置は、プレート上に鋳造された膜からなり;次にそのプレートを確実に積層する。その装置では、膜を支持するために供給路に可撓性スクリーンを設けても設けなくても良い。このような構成の魅力的な利点は、その非常にコンパクトな設計である。しかしながら、プレート間の相互作用及び距離によって決まる流路高さ制御は非常に注意深く検討しなければならない。
【0017】
管状装置は、多孔質支持管の内表面上又は外径上に鋳造された膜からなる。代表的には、供給溶液を、20ft/sの高さの速度で管の中心を通ってポンプ送りする。これらのクロスフロー速度は、膜表面上の濃度分極層の形成を低減させることで、高く安定なフラックスを促進し、クリーニングを容易にする。透過液を膜に通す。このようなシステムを用いることは明らかに利点があるにも拘わらず、コストは高くなる傾向がある。
【0018】
らせん巻き装置は、中央の透過液回収管周囲に巻き付けられた折り重ね膜、供給スクリーン及び透過液スクリーンの複数の層からなる(図23)。代表的には水精製用途で見られるこれらの装置もコンパクトであり、低い圧力で動作することでエネルギーを節約することができるが、高圧用途にも適している。膜面積当たりのコストは低いのが普通である。
【0019】
代表的ならせん巻きフィルターは、直列流モードで連結され、円筒状圧力容器に入った約1〜約6のらせん巻き要素からなる。ロール中の二つの膜の間には、流体を伝えるための透過性多孔質媒体である濃縮液スペーサーを配置することで、濃縮液が膜上を流れて、表面全体に分配され、蓄積する固体から膜を連続的に洗うことができるようになる。濾材は、硬質で不透過性のシェルによって強く巻かれた状態に維持される。この構成では、濾材を出入りする流れは、軸方向の端部を通る。
【0020】
高汚染供給流が代表的なDFFモードで、又は使用される膜があまり物質捕捉できない場合にはクロスフローモードで膜媒体を直ちに目詰まりさせたり閉塞する多くの用途で、満足されてないニーズがある。濾過装置で高い結合能が可能な多用途の高性能・高スループットの膜を用いることで、多様な技術分野で既知の技術を大きく超える性能を有する分離システムが提供されることになると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
ある種の実施形態において、本発明は、筐体ユニットを有する流体処理装置において、該筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)前記供給口と前記排出口の間の流体流路;及び
(c)前記筐体ユニット内の複合材料
を有し、
前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲルを有し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔が前記支持部材の前記孔より小さく;
前記支持部材の孔が流体流路に対して実質的に垂直であることを特徴とする流体処理装置に関するものである。
【0022】
ある種の実施形態において、本発明は、複数の筐体ユニットを有する流体処理装置において、各筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)前記供給口と前記排出口の間の流体流路;及び
(c)前記筐体ユニット内の複合材料
を有し、
前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲルを有し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔が前記支持部材の前記孔より小さく;
前記支持部材の孔が流体流路に対して実質的に垂直であることを特徴とする流体処理装置に関するものである。
【0023】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が実質的に同一広がりのシートの実質的に同一平面上の積層物、実質的に管状の構成又は実質的にらせん巻きされた構成で配置されている前記いずれかの流体処理装置に関するものである。
【0024】
ある種の実施形態において、本発明は、前記マクロ多孔性架橋ゲルが中性もしくは荷電ヒドロゲル、高分子電解質ゲル、疎水性ゲル、中性ゲル又は官能基を有するゲルである前記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0025】
ある種の実施形態において、本発明は、前記官能基がアミノ酸配位子、抗原及び抗体配位子、色素配位子、生体分子、生体イオン及び金属親和性配位子からなる群から選択される、前記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0026】
ある種の実施形態において、本発明は、前記官能基が金属親和性配位子である前記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、複数の前記金属親和性配位子に錯形成した複数の金属イオンをさらに有する、前記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0027】
ある種の実施形態において、本発明は、前記官能基が生体分子又は生体イオンである前記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記官能基がタンパク質Aである前記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0028】
ある種の実施形態において、本発明は、前記の流体処理装置のうちのいずれかで、ある物質を含む第一の流体を複合材料と接触させることで、前記物質を前記複合材料上に吸着もしくは吸収させる段階を有する方法に関するものである。
【0029】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体を前記流体処理装置の供給口に置く段階をさらに有する、前記方法のいずれかに関するものである。
【0030】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体を前記支持部材の孔に対して実質的に垂直な流体流路に沿って流す、前記方法のいずれかに関するものである。
【0031】
ある種の実施形態において、本発明は、第二の流体を前記複合材料上に吸着もしくは吸収された前記物質と接触させることで、前記物質を前記複合材料から放出させる段階をさらに有する、前記方法のいずれかに関するものである。
【0032】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が細胞の懸濁液又は凝集体の懸濁液である前記方法のいずれかに関するものである。
【0033】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が生体分子又は生体イオンである前記方法のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンがタンパク質であり;そのタンパク質が露出したHisアミノ酸残基を含む前記方法のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンがモノクローナル抗体である前記方法のいずれかに関するものである。
【0034】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が金属含有粒子又は金属含有イオンである前記方法のいずれかに関するものである。
【0035】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が廃水である前記方法のいずれかに関するものである。
【0036】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が卵白を含み;前記物質がリゾチームである前記方法のいずれかに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】イオン交換膜を用いたウイルス捕捉に関してクロスフローモードと比較したデッドエンドモードの結果を示す図である。いずれの場合も、デッドエンド流で得られた相対的に低い値は、実験中の膜の汚れによるものであった。
【図2】クロスフローモードでイオン交換膜を用いて未処理卵白から直接捕捉した混合物タンパク質(卵白アルブミン及びリゾチーム)の溶出液からのクロマトグラムを示す図である。結果から、未処理の非常に粘稠な供給流からタンパク質を選択的に除去できることがわかる。
【図3】卵白を負荷したイオン交換膜からの溶離液のクロマトグラムを示す図である。曲線は、緩衝液(生理食塩水)選択に基づく溶離の選択性を示している。この一連の曲線は、捕捉された標的材料を高濃度で又は他の構成成分を実質的に含まない混合物として選択的に分離(すなわち、クロマトグラフィー的に)する能力を示す。
【図4】クロスフロー及び捕捉段階(上図及び中央図)、及び膜貫通回収段階(下図)を模式的に示した図である。
【図5】粗メッシュスペーサーによってイオン交換膜を用いる卵白からのリゾチームの分離における性能が改善されることを示す、装置製造に対する被覆設計の効果を描いた図である。
【図6】筐体中に挿入された被覆カラム装置を示す図である。供給口キャップは、明瞭を期して示していない。
【図7】矢印で示した標的材料の膜貫通流を示す、カセットの単純化した断面図である。必要に応じて、結合した標的材料を選択的に溶出する流体を用いて、回収をクロスフローによって行うこともできると考えられる。
【図8】代表的なカセット設計の模式図である。流れは、流動供給流と同時に起こる膜貫通回収とともに示してある。
【図9】実験室規模の使用向けの円板形状の濾過膜を有する25mmシリンジカラム用の使い捨て又は半使い捨ての筐体の断面を示す図である。
【図10】図9及び図11に示した筐体で使用されるシリンジ先端フィルターの排出口の半分の平面図(上左)、側面図(右)及び実寸図(左下)を示す図である。これらの図面における単位は全てインチである。
【図11】実験室規模の使用向けの円板形状濾過膜を有する25mmシリンジカラム用の使い捨てもしくは半使い捨て筐体の断面を示す図である。
【図12】実験室規模の使用向けの円板形状濾過膜を有する50mmシリンジカラム用の使い捨てもしくは半使い捨て筐体の断面を示す図である。
【図13】50mm円板形状膜とともに使用される図12に描いた筐体における排液格子を示す図である。
【図14】実験室規模使用向けの円板形状濾過膜を有する50mmシリンジカラム用の再使用可能なステンレス筐体における供給口フロー偏向装置を示す図である。
【図15】実験室規模使用向けの25mm円板形状膜用の再使用可能な筐体として使用するためのステンレス製ホルダーを示す図である。
【図16】実験室規模シリンジカラム用の再使用可能なステンレス筐体の構成要素を示す図である。
【図17】実験室規模シリンジカラム用の再使用可能なステンレス筐体の二つの構成要素を示す図である。
【図18】マキシ(maxi)スピンカラム(左)及びカラム内でカットディスク膜を支持するための装置(右)を示す図である。
【図19】マキシスピンカラムの寸法を示す図である。
【図20】カラム内のカットディスク膜を支持するための装置を取り付けたマキシスピンカラムの寸法を示す図である。
【図21】カラム内のカットディスク膜を支持するための装置を取り付けたミニ(mini)スピンカラムを示す図である。
【図22】カラム内のカットディスク膜を支持するための装置を取り付けたミニスピンカラムの寸法を示す図である。
【図23】らせん巻き装置の構成の一例を示す図である。3連の同心外被があり、各外被は内部にスペーサー材料を有しており、それらの面のうちの3面が密封されている。各外被は、フィードスペーサーによって分離されている。流体流は、未処理流が各外被の外側を移動し、膜を通過して送られるように進む。透過液は透過液スペーサーに沿って透過液回収パイプに移動する。
【図24】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子は、イミノ二酢酸のナトリウム塩(IDA(Na))である。
【図25】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はエチレンジアミン(EDA)である。
【図26】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はヘキサメチレンジアミン(HMDA)である。
【図27】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はジエタノールアミンである。
【図28】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はペンタエチレンヘキサミン(PEHA)である。
【図29】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はトリエチレンテトラミン(TETA)である。
【図30】金属親和性配位子の膜への組み込みのための合成的手法の一例を示す図である。この場合、金属親和性配位子はトリス(カルボキシメチル)エチレンジアミンのナトリウム塩(TED(Na))である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
概要
未処理もしくは汚れたプロセス流からの生体分子等の標的材料の選択的捕捉に有効な親水性で高結合・高スループットのクロマトグラフィー膜が開示される。この捕捉プロセスは、より代表的な膜貫通モードとは対照的に、膜媒体の表面もしくはほぼ表面で標的分子を結合させることで行うことができる(「クロスフロー」モード)。捕捉された標的化学種は、その後の手順で非常に高純度で回収することができる。これらの最終段階は、性質上クロマトグラフィー的であり、標的材料の制御された分離を可能とするものである。重要な点として、回収段階及び分離段階は、タンジェンシャルフローもしくは膜貫通フローで、又はそれらの組み合わせで行うことができる。例えば、図1を参照。
【0039】
このプロセスに好適な装置設計の例には、低剪断流体流用並びに未制御もしくは望ましくない膜貫通流を最小とするために設計された修正型カセット、被覆もしくはらせん巻きクロスフロー分離装置に膜が組み込まれたもの等がある。例えば、そのような装置は、膜通過のプロセス流体フラックスを小さくして、非常に粘稠であったり、非常に汚染された供給流からタンパク質やウイルスを分離する上で有効であることが認められている。クロスフロー(タンジェンシャルフロー)方式により、標的分子の洗浄及び溶離における適応性を高めることができる。クロスフロー装置は、フィード/濃縮液モードで動作させ、表面イオン交換又はアフィニティ分離を行うことができる。フィード/濃縮液モード、フィード/透過液もしくは透過液/フィードモード、又は順次モードでは、洗浄を行うことができる。
【0040】
修正型クロスフロー装置への親水性の高性能クロマトグラフィー膜の組み込みにより、高粘度もしくは高粒子供給流から標的分子を精製し、介在する段階を行うことなく、標的化学種の清浄化及び捕捉の両方を行う分離装置が提供される。さらに、本明細書に記載の材料及び構築物は、ひだ状デッドエンドカプセル等の従来の装置設計におけるものと同じ膜材料の使用を排除するものではない。重要な点として、これらの製造品は、現在の商業的技術では直接処理できない供給流から非常に高純度のタンパク質、ワクチン又は栄養補助食品を製造することができる。さらに、本発明の装置及び方法により、現在のいかなる技術と比較しても、多量の供給流のより迅速な処理が可能となる。
【0041】
例えば、卵白は粘稠で非常に濃縮された性質を有することから、比較的低濃度で存在する構成成分の回収を試みる場合には、代表的な濾過手法には問題があることがわかっている。本発明の装置及び方法を用いると、高回収率及び高純度で、卵白からリゾチームを容易に分離することができる。
【0042】
ある種の実施形態において、本発明は、公知の装置と比較して優れた性能を示す装置に関するものである。ある種の実施形態において、当該装置は、樹脂の約10倍〜約100倍高いスループットに耐えることができる。ある種の実施形態において、当該装置は、既存のクロマトグラフィー用の膜及び樹脂と比較して約25倍までの高い結合能力を示すことができる。
【0043】
ある種の実施形態において、本発明は、従来の樹脂製品とは異なり、拡大可能であって、実験室規模からパイロット規模、そして製造規模までの移行において予測可能な結果を生じる装置に関するものである。
【0044】
ある種の実施形態において、本発明は、堅牢な技術を包含する装置に関するものである。ある種の実施形態において、装置の機械的強度が優れたものであり、複合膜が固有の親水性を有することで、中間製品の寿命が長くなり、より一定の性能が得られる。
【0045】
ある種の実施形態において、本発明は、一回もしくは複数サイクル使い捨てユニットとして使用可能となり得る装置に関するものである。この適応性によって、コスト及び時間を要する清浄化及び保存のバリデーションを行わないようにすることができる。さらに、本発明の装置により、プロセスを簡単にすることができ、規制遵守を改善することができる。
【0046】
ある種の実施形態において、本発明は、緩衝液使用の必要量を減らすことができる分離プロセスに関するものである。ある種の実施形態において、本発明の装置を用いることで、カラムクリーニング、平衡化又は高価な緩衝液中での保存の必要性をなくすことができる。ある種の実施形態において、本発明の装置は、相対的に高い濃度の供給流に耐えることができることから、希釈を行う必要がなくなり得る。
【0047】
ある種の実施形態において、本明細書に記載の装置を用いることで、資本経費を下げることができ、顧客にとって大幅な運転コスト削減につなげることができる。ある種の実施形態において、本発明の装置では初期コストを抑え、送りを迅速化することができる。ある種の実施形態において、当該装置によって、人員配置の必要性が低下し、維持コストを下げることが可能となる。
【0048】
ある種の実施形態において、本発明は、設置面積が小さい装置に関するものである。ある種の実施形態において、本発明の装置は、代表的な樹脂床クロマトグラフィー装置と比較して、より高い結合能力を示し、より小さい床スペースを必要とする。
【0049】
定義
簡便のため、本発明についてさらに説明を行う前に、本明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲で用いられるある種の用語をここでまとめる。これらの定義は、開示の残りの部分を踏まえて読み、当業者によるものと理解すべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はいずれも、当業者が共通に理解するものと同じ意味を有する。
【0050】
本発明の説明において、多様な用語を説明部分で使用する。標準的な用語法が、濾過、流体送達及び一般流体処理分野で広く用いられている。
【0051】
「一つの」という冠詞は、本明細書において、その冠詞の文法上の目的語の一つ又は複数個(すなわち、少なくとも一つ)を指すのに用いられる。例を挙げると、「一つの要素」は、1個の要素又は複数個の要素を意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合の、例えば「安定化化合物と関係する無機酸化物」等の表現中の「と関係する」という用語は、分子間に弱いもしくは強い又はその両方の相互作用が存在することを指す。例えば、弱い相互作用には、静電気、ファン・デル・ワールス又は水素結合の相互作用等があり得る。比較的強い相互作用は、化学的に結合しているとも称され、例えば二つの分子間の共有結合、イオン結合及び配位結合を指す。「と関係する」という用語は、例えば上記の種類の結合が存在しない場合であっても、別の分子の折り重なりの中に物理的に絡みあっていることができる化合物も指す。例えば、無機化合物は、それがポリマーの隙間に存在することで、ポリマーと関係していると見なすことができる。
【0053】
「含む」及び「含有」という用語は、別の要素が含まれていても良い包括的でオープンセンスの意味で用いられる。
【0054】
「等」という用語は、「等があるが、それに限定されない」ことを意味するのに用いられる。「等」及び「等があるが、それに限定されない」は互換的に用いられる。
【0055】
「ポリマー」という用語は、繰り返し単位(モノマー)の連結によって形成される大分子を意味するのに用いられる。ポリマーという用語は、コポリマーも包含する。
【0056】
「コポリマー」という用語は、少なくとも2以上の異なるモノマーのポリマーを意味するのに用いられる。コポリマーは、架橋剤と、その架橋剤が2官能性モノマーの場合にはモノマーとから構成され得る。
【0057】
「二相流体」という用語は、実質的に固体粒子が分散している液相、又は第一の液相と非混和性である第二の液相の液滴又は粒子がそのような第一の液相に分散している第一の液相を含む流体を意味するのに用いられる。「多相流体」は、少なくとも一つの別の第二の固体又は液相が分散している第一の液相を含む流体を意味するのに用いられる。
【0058】
「粒子」という用語は、約1ナノメートル〜約1/10メートルの直径もしくは長さ等の特徴的寸法を有する別個の液滴又は固体を意味するのに用いられる。
【0059】
「粒径」という用語は、動的もしくは静的光散乱、沈降場流動分画法、光子相関スペクトル測定又はディスク遠心等の当業者には公知の従来の粒径測定技術によって測定される数平均もしくは重量平均粒径を意味するのに用いられる。「約1000nm未満の有効平均粒径」とは、粒子のうちの少なくとも約90%が上記技術のうちの少なくとも一つによって測定した場合に約1000nm未満の数平均もしくは重量平均粒径を有することを意味する。処理される流体の粒子の粒径は、特定の用途によって決まるものである。
【0060】
「隙間」という用語は、物又は部分の間の空間、特には小さいか狭い空間を意味するのに用いられる。
【0061】
「分散液」という用語は、実質的に固体粒子が懸濁し、少なくとも一時的に懸濁状態に留まっている液相を含む流体を意味するのに用いられる。
【0062】
「スラリー」という用語は、実質的に固体粒子が存在する液相を含む流体を意味するのに用いられる。そのような粒子は、そのような流体に懸濁していても懸濁していなくても良い。
【0063】
「乳濁液」という用語は、中で実質的に液体の第二の相の液滴もしくは粒子が懸濁しており、少なくとも一時的に懸濁状態に留まっている第一の液相を含む流体を意味するのに用いられる。第一の液相中の第二の液相の別個の存在物に関して、「液滴」又は「粒子」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。
【0064】
濾過に関して「クロスフロー」という用語は、流れる流体が濾過剤表面に沿って移動し、そのような濾過剤を通過する流体部分が「交差するように」、すなわちそのような濾過剤の表面に沿って流れる流体の方向に対して垂直な速度成分を有する濾過構成を意味するのに用いられる。
【0065】
「タンジェンシャル濾過」という用語は、流れる流体が濾過剤表面に対して実質的に平行であり(すなわち、タンジェンシャル)、流体の一部がそのような濾過剤を通過して透過液を与える濾過プロセスを意味するのに用いられる。「タンジェンシャル濾過」及び「クロスフロー濾過」という用語は、当業界において互換的に使用される場合が多い。
【0066】
「透過液」という用語は、濾過剤を通過し、そのような濾過剤に動作可能に連結されたフィルター装置の第一の排出口を通って出る流体部分を意味するのに用いられる。「デカンテーション液」という用語は、濾過剤の表面に沿って流れるが、そのような濾過剤を通過せず、そのような濾過剤に動作可能に連結されたフィルター装置の第二の排出口を通って出る流体部分を意味するのに用いられる。
【0067】
クロスフロー濾過及びタンジェンシャル濾過は公知の濾過プロセスである。例えば米国特許第5681464号明細書、同6461513号明細書;同6331253号明細書、同6475071号明細書、同5783085号明細書、同4790942号明細書(これらの開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照することができる。ディケンソンの編著("Filter and Filtration Handbook", 4th Ed., T. Christopher Dickenson, Elsevier Advanced Technology, 1997;この開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる)も参照することができる。
【0068】
「卵白」という用語は、黄色の卵黄とは対照的に、卵内に含まれる透明で水系の液体を指す。卵白は代表的には、水に溶解又は懸濁した約15%のタンパク質を含む。卵白タンパク質は代表的には、卵白アルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、グロブリン類、リゾチーム、オボムチン及びアビジンを含む。
【0069】
装置例
(一般的な装置の性質)
ある種の実施形態において、本発明は、筐体ユニットを有する流体処理装置において、該筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)前記供給口と前記排出口の間の流体流路;及び
(c)前記筐体ユニット内の複合材料
を有し、
前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲルを有し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔が前記支持部材の前記孔より小さく;
前記支持部材の孔が流体流路に対して実質的に垂直であることを特徴とする流体処理装置に関するものである。
【0070】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が実質的に同一広がりのシートの実質的に同一平面上の積層物、実質的に管状の構成又は実質的にらせん巻きされた構成で配置されている前記いずれかの流体処理装置に関するものである。
【0071】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が2〜10個の別個の支持部材を有する、上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0072】
ある種の実施形態において、本発明は、
前記支持部材が中空多孔質繊維の形態のものであり;
各中空多孔質繊維が管腔を画定しており;
前記管腔の直径が約20μm〜約100μmであり;
前記管腔が、中空多孔質繊維支持部材中の孔に対して実質的に垂直である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0073】
ある種の実施形態において、本発明は、複数の中空多孔質繊維が束で配置されている上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0074】
ある種の実施形態において、本発明は、前記束がシェル又は容器に収納されている上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0075】
ある種の実施形態において、本発明は、複数の束がシェル又は容器に収納されている上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0076】
ある種の実施形態において、本発明は、前記中空多孔質繊維がキャップ、プラグ又はシールを有する上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記中空多孔質繊維が両端にキャップ、プラグ又はシールを有する上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維の端部を「ポッティング」することで、繊維内部が繊維の外部から分離されている。ある種の実施形態において、これは、管板を用いることで行われる。ある種の実施形態において、管板を形成するためのポッティング材料は、いずれか好適な材料からなるものであることができる。ある種の実施形態において、前記ポッティング材料は、管板を製造する場合には液体であることができ、その後に、例えば冷却、硬化等によって固化させることができる。ある種の実施形態において、前記固化したポッティング材料は、管板を提供する上で十分な構造的強度を示し、流体分離操作時にそれが露出される比較的不活性な部分であるべきである。ある種の実施形態において、前記ポッティング材料は、有機材料(例えば、エポキシ)、無機材料、又は無機材料を含む有機材料であることができ、ポッティング材料は天然又は合成品であることができる。ある種の実施形態において、代表的な無機材料には、ガラス、セラミック、陶性合金、金属等がある。
【0077】
ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、いずれか都合の良い構成のものであることができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、断面において円形、六角形、三裂等であり、中空多孔質繊維の壁から内側又は外側に延伸する尾根部、溝等を有することができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、約20ミクロン〜約200ミクロンの内径を有することができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、約40ミクロンの内径を有することができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、約10%〜約50%の中空比(繊維の総断面の面積で繊維孔部の面積を割ったもの)を有することができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、約20%の中空比を有することができる。ある種の実施形態において、前記中空多孔質繊維は、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリアミド、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の各種ポリマー又はセラミックから作ることができる。
【0078】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料がひだ状膜である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0079】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットが実質的に円柱状である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記筐体ユニットは約5cm〜約50cmの内径を有する。
【0080】
ある種の実施形態において、筐体ユニットの壁の厚さは、具体的な運転条件に対して調節することができる。
【0081】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットが使い捨て又は再使用可能なものである上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0082】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがプラスチック又はステンレス鋼である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0083】
ある種の実施形態において、本発明は、筐体ユニットを有する流体処理装置であって、前記筐体ユニットが、
少なくとも一つの供給口及び少なくとも一つの排出口;及び
前記供給口と前記排出口の間の流体流路
を有し;前記流体処理要素のうちのいずれか一つが前記流体流路を横断している流体処理装置に関するものである。
【0084】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が、
(a)支持部材を通って延伸する複数の孔を有する支持部材;及び
(b)平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記マクロ多孔性ゲルが前記支持部材の前記孔に配置されている非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲル
を有し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルが、使用時に前記複合材料を通過する液体が前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔を通過する上で十分な量で前記支持部材の前記孔に存在し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔が、前記支持部材の前記孔より小さく;
前記支持部材が中空多孔質繊維の形態であり;
各中空多孔質繊維が管腔を画定しており;
前記管腔が、約20μm〜約100μmの直径のものであり;
前記管腔が、前記中空多孔質繊維支持部材中の前記孔に対して実質的に垂直である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0085】
ある種の実施形態において、前記流体処理装置は前記複合材料を有し、複数の中空多孔質繊維が束で配置されている。ある種の実施形態において、前記流体処理装置は前記複合材料を有し、前記束はシェルに収納されている。ある種の実施形態において、前記流体処理装置は前記複合材料を有し、前記束は容器に収納されている。ある種の実施形態において、前記流体処理装置は前記複合材料を有し、複数の束がシェルに収納されている。ある種の実施形態において、前記流体処理装置は前記複合材料を有し、複数の束が容器に収納されている。
【0086】
ある種の実施形態において、本発明は、複数の筐体ユニットを有する流体処理装置において、各筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)前記供給口と前記排出口の間の流体流路;及び
(c)前記筐体ユニット内の複合材料
を有し、
前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲルを有し;
前記マクロ多孔性架橋ゲルの前記マクロ孔が前記支持部材の前記孔より小さく;
前記支持部材の孔が流体流路に対して実質的に垂直であることを特徴とする流体処理装置に関するものである。
【0087】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複数の筐体ユニットが直列に配置されている上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0088】
ある種の実施形態において、本発明は、約2〜約10個の筐体ユニットを有する前記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0089】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が実質的に同平面シートの実質的に同一広がりの積層物;実質的に管状の構成;又は実質的にらせん巻きされた構成で配置されている上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0090】
ある種の実施形態において、前記供給口又は前記排出口は、プレスばめ取り付け箇所、ルアーロック取り付け箇所又はホースバーブ取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記供給口はプレスばめ、ルアーロック又はホースバーブ取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記排出口はプレスばめ、ルアーロック、又はホースバーブ取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記供給口及び前記排出口は、互いに異なる種類の取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記供給口及び前記排出口は、いずれもプレスばめ取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記供給口及び前記排出口は、いずれもルアーロック取り付け箇所である。ある種の実施形態において、前記供給口及び前記排出口は、いずれもホースバーブ取り付け箇所である。
【0091】
(実験室規模)
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料がカットディスク膜である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記カットディスクは再使用可能筐体で用いるためのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスクは使い捨て筐体で用いるためのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、実質的に円形形状のものである。
【0092】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料がカットディスク膜である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は約15〜約60mmの直径のものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は約20〜約55mmの直径のものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は約25mmの直径のものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、約50mmの直径のものである。ある種の実施形態を可視化するため、図9〜17を参照。
【0093】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがシリンジ先端である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。「シリンジカラム」という用語は、「シリンジ先端」という用語と互換的に使用される。
【0094】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがシリンジカラムであり;前記複合材料がカットディスクの形態のものである上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記シリンジカラム筐体ユニットは半使い捨てである。
【0095】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがスピンカラムである上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがスピンカラムであり;前記複合材料がカットディスクの形態のものである上記流体処理装置のいずれかに関するものである。スピンカラムは、上半分と下半分を有する管である。下半分は、底部で閉じている。その二つの半分の中間に、カットディスク膜が何らかの方式で保持又は懸垂されている。使用者は、標的(又は汚染物)溶質を含む液体を上半分に入れ、そのスピンカラムを遠心機に入れる。遠心機は、十分なRPMで動作すると、液体を強制的に膜通過させる。遠心機から取り出したら、装置の下半分を取り外し、液体を回収するか(必要に応じて)、上半分を別の緩衝液で溶離して、保持されている溶質を除去することができる。ある種の実施形態において、前記スピンカラムは、多くの大きさで作ることができる。
【0096】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがスピンカラムであり;前記スピンカラムが約0.1mL〜約60mLの容量を有する上記流体処理装置のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記スピンカラムの体積は、例示の流体処理装置によって処理可能な供給流の量を指す。ある種の実施形態において、前記スピンカラムは、約0.3mL〜約55mLの容量を有する。ある種の実施形態において、前記スピンカラムは約0.5mLの容量を有する。ある種の実施形態において、前記スピンカラムは約2mLの容量を有する。ある種の実施形態において、前記スピンカラムは約50mL以下の容量を有する。ある種の実施形態を可視化するため、例えば図18〜22を参照。
【0097】
(工程規模及び製造規模)
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがカセット構成である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0098】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットが管状構成である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0099】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがらせん巻きされた構成である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0100】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットがプレート及びフレーム構成である上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0101】
ある種の実施形態において、本発明は、前記筐体ユニットが流体処理要素を有し、前記流体処理要素が中空多孔質膜を有する上記流体処理装置のいずれかに関するものである。
【0102】
流体処理要素の例
ある種の実施形態において、本発明は、に関するものである。流体処理要素s.ある種の実施形態において、前記流体処理要素は本発明の流体処理装置で使用されるカートリッジである。ある種の実施形態において、本発明は、膜を有する流体処理要素に関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、膜として使用される複合材料を有する流体処理要素に関するものである。
【0103】
ある種の実施形態において、前記流体処理要素は使い捨て又は再使用可能なものである。
【0104】
ある種の実施形態において、本発明は、前記要素が中空でほぼ円柱形を有する前記流体処理要素のいずれかに関するものである。
【0105】
ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は高固体密度材料に対応する。ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は、強度用に使用される。ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は、重作業用途で使用される。ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は、長期間にわたり高温に耐えることができる。
【0106】
ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は、クロマトグラフィー用途において短い捕捉時間を示す。ある種の実施形態において、本発明の流体処理要素は高い結合能力を示す。
【0107】
複合材料の例
ある種の実施形態において、本発明は、複合材料を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、膜として使用される複合材料を含む。
【0108】
ある種の実施形態において、本発明において膜として使用される複合材料は、米国特許第7316919号明細書;及び米国特許出願番号11/950562号明細書、同12/108178号明細書、同12/244940号明細書、同12/250861号明細書、同12/211618号明細書及び同12/250869号明細書(これらはいずれも参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0109】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが平均径約25nm〜約1500nmのマクロ孔を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記マクロ多孔性架橋ゲルは、平均径約50nm〜約1000nmのマクロ孔を有する。ある種の実施形態において、前記マクロ多孔性架橋ゲルは、平均径約700nmのマクロ孔を有する。ある種の実施形態において、前記マクロ多孔性架橋ゲルは、平均径約300nmのマクロ孔を有する。
【0110】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルがヒドロゲル、高分子電解質ゲル、疎水性ゲル、中性ゲル又は官能基を含有するゲルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが中性もしくは荷電ヒドロゲルであり;前記中性もしくは荷電ヒドロゲルが、架橋ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸ヒドロキシメチル)、ポリ(エチレンオキサイド)、アクリル酸もしくはメタクリル酸とアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマー、アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマー、(3−アクリルアミド−プロピル)トリメチルアンモニウムクロライドのアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはN−ビニル−ピロリドンとのコポリマー、及びジアリルジメチルアンモニウムクロライドのアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマーからなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが高分子電解質ゲルであり;前記高分子電解質ゲルが、架橋ポリ(アクリルアミド−2−メチル−l−プロパンスルホン酸)及びその塩、ポリ(アクリル酸)及びその塩、ポリ(メタクリル酸)及びその塩、ポリ(スチレンスルホン酸)及びその塩、ポリ(ビニルスルホン酸)及びその塩、ポリ(アルギン酸)及びその塩、ポリ[(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム]塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)塩、ポリ(4−ビニル−N−メチルピリジニウム)塩、ポリ(ビニルベンジル−N−トリメチルアンモニウム)塩、並びにポリ(エチレンイミン)及びその塩からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが疎水性ゲルであり;前記疎水性ゲルが、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、オクタデシルアクリルアミド、アクリル酸ステアリル及びスチレンの架橋ポリマー又はコポリマーからなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが中性ゲルであり;その中性ゲルが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルアクリルアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドンの架橋ポリマー又はコポリマーからなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0111】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルが官能基を有するゲルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルはモノマーを含み、そのモノマーは官能基を有する。ある種の実施形態において、前記官能基はチオール又は保護チオールである。ある種の実施形態において、前記マクロ多孔性架橋ゲルはモノマーを含み、前記モノマーは3−メルカプトプロピオン酸チオ酢酸アリル、(S−ベンゾイル−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−2,2−ジメチルプロパノイル−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−3−メルカプト−2−アセチルプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−3−メルカプト−2−アセトアセチルプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−3−メルカプト−2−テトラヒドロピラニル)−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−3−メルカプト−2−(2−メトキシ−2−プロポキシ))−2−メチル−2−プロペノエート、(S−アセチル−2−メルカプト−3−アセチルプロピル)−2−メチル−2−プロペノエート、S−アセチル−(1−アリルオキシ−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロパン)、S−ベンゾイル−(1−アリルオキシ−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロパン)及びS−2,2−ジメチルプロパノイル−(1−アリルオキシ−3−メルカプト−2−ヒドロキシプロパン)からなる群から選択される。
【0112】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が官能基を有し;その官能基がアミノ酸配位子、抗原及び抗体配位子、色素配位子、生体分子、生体イオン及び金属親和性配位子からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0113】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が官能基を有し;その官能基が金属親和性配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が官能基を有し;その官能基が金属親和性配位子であり;複数の金属イオンが複数の前記金属親和性配位子と錯形成している前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0114】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が多座配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0115】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0116】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0117】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0118】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0119】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0120】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0121】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子の塩である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0122】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子のナトリウム塩である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図24を参照。
【0123】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子のカリウム塩である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0124】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がエチレンジアミン部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図25を参照。
【0125】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がヘキサメチレンジアミン部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図26を参照。
【0126】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がジエタノールアミン部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図27を参照。
【0127】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がペンタエチレンヘキサミン部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図28を参照。
【0128】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がトリエチレンテトラミン部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図29を参照。
【0129】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がトリス(カルボキシメチル)エチレンジアミンを有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。例えば、図30を参照。
【0130】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がカルボン酸の共役塩基を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記共役塩基は塩として入手可能である。ある種の実施形態において、前記共役塩基はナトリウム塩又はカリウム塩として入手可能である。ある種の実施形態において、前記共役塩基はナトリウム塩として入手可能である。ある種の実施形態において、前記共役塩基はカリウム塩として入手可能である。
【0131】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0132】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0133】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0134】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0135】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0136】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0137】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0138】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0139】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0140】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0141】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0142】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0143】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0144】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0145】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が四座配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0146】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0147】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0148】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0149】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0150】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が三座配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0151】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0152】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0153】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0154】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0155】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子が二座配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0156】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0157】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0158】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0159】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0160】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノジカルボン酸配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0161】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子であり;前記金属イオンが遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0162】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子であり;前記金属イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0163】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子であり;前記金属イオンがニッケル又はジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0164】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子であり;前記金属イオンがニッケルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0165】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が複数の金属イオンと錯形成した金属親和性配位子を有し;前記金属親和性配位子がイミノ二酢酸配位子であり;前記金属イオンがジルコニウムである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0166】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が官能基を有し;その官能基が生体分子又は生体イオンである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記生体分子又は生体イオンは、アルブミン類、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ−グロブリン類、ヒト及び動物の両方の起源の免疫グロブリン類、組換えもしくは天然起源のタンパク質(合成もしくは天然起源のポリペプチド類、インターロイキン−2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、抗原、レクチン類、細菌免疫グロブリン結合タンパク質、トリプシン及びその阻害剤、チトクロムC、ミオグロブリン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質L、ペプチドH、核酸由来産物、合成もしくは天然起源のDNA、及び合成もしくは天然起源のRNA等)からなる群から選択される。
【0167】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料がタンパク質Aを有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。タンパク質Aは、細菌の黄色ブドウ球菌の細胞壁で最初に認められた40〜60kDaのMSCRAMM表面タンパク質である。それはspa遺伝子にコードされており、その調節は、DNAトポロジー、細胞浸透圧及びArlS−ArlRと称される二成分系によって制御される。免疫グロブリンに結合する能力を有することから、それには生化学研究での用途があった。それは、哺乳動物種の多くのものからのタンパク質、最も顕著にはIgG類に結合する。それは、重鎖との相互作用を介して免疫グロブリンのFc領域と結合する。この種の相互作用の結果として、血清において、細菌は、その表面上で誤った方向(正常な抗体機能に関して)にIgG分子と結合して、それによってオプソニン化及び食作用が障害される。それは、ヒトIgG1及びIgG2並びにマウスIgG2a及びIgG2bに対して高アフィニティで結合する。タンパク質Aは、ヒトIgM、IgA及びIgE並びにマウスIgG3及びIgG1に対して、中等度のアフィニティで結合する。それはヒトIgG3やIgDとは反応せず、マウスIgM、IgA及びIgEとも反応しない。
【0168】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルがマクロモノマーを有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記マクロモノマーは、ポリアクリル酸(エチレングリコール)及びポリメタクリル酸(エチレングリコール)からなる群から選択される。
【0169】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルがN,N−メチレンビスアクリルアミド又は多官能性マクロモノマーによって架橋されている前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルは、多官能性マクロモノマーによって架橋されており;前記多官能性マクロモノマーは、ポリジアクリル酸(エチレングリコール)及びポリジメタクリル酸(エチレングリコール)からなる群から選択される。ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルがN,N−メチレンビスアクリルアミドによって架橋されている前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0170】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記マクロ多孔性架橋ゲルがN,N’−メチレンビスアクリルアミドによって架橋された(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)及びN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドのコポリマーを有する正電荷を有するヒドロゲルである前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0171】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が膜であり;前記マクロ多孔性架橋ゲルが荷電部分を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0172】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料がサイズ排除分離でのフィルターとして用いられる膜である前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0173】
ある種の実施形態において、本発明の流体処理装置又は要素は、前記複合材料のいずれかを有し、その複合材料は負電荷を有する部分を有する。負電荷を有する膜は、膜表面で汚染物を排除することで、より高いフラックス、より容易なクリーニング及びより低いシステムコストにつながる。
【0174】
ある種の実施形態において、本発明の流体処理装置又は要素は、前記複合材料のいずれかを有し、その複合材料は性質上親水性である。汚染物は代表的には疎水性化学種である。
【0175】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記支持部材が本質的に厚さ約10μm〜約500μmであり、平均径約0.1〜約25μmの孔を有する膜の形態でのポリマー材料からなる前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0176】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記支持部材が本質的にポリオレフィンからなる前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0177】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記支持部材がポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンオキサイド類、ポリカーボネート類、ポリエステル、セルロース及びセルロース誘導体からなる群から選択されるポリマー材料を有する、前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0178】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記支持部材が本質的に、厚さが約10μm〜約2000μmであり、平均径約0.1〜約25μmの孔を有する繊維ファブリックの形態のポリマー材料からなる前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0179】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料の前記支持部材が、2〜10個の別個の支持部材の積層物を有する前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。
【0180】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料が円板形状であることでカットディスク膜を形成している前記流体処理装置又は要素のいずれかに関するものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、直径約5mm〜直径約100mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、直径約10mm〜直径約75mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、直径約15mm〜直径約55mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、直径約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、又は55mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は直径約18mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は直径約25mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は直径約50mmのものである。ある種の実施形態において、前記カットディスク膜は、複合材料のシートを単純にカットすることで作られる。
【0181】
方法例
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体処理装置のいずれかで、ある物質を含む第一の流体を複合材料と接触させることで、前記複合材料上に前記物質を吸着又は吸収させる段階を有する方法に関するものである。
【0182】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体を前記流体処理装置のいずれかの供給口に置く段階をさらに有する前記方法のいずれかに関するものである。
【0183】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が、前記支持部材の前記孔に対して実質的に垂直な流体流路に沿って通る前記方法のいずれかに関するものである。
【0184】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料上に吸着もしくは吸収された前記物質と接触させることで、前記物質を前記複合材料から放出させる段階をさらに有する前記方法のいずれかに関するものである。
【0185】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第二の流体が前記複合材料の前記マクロ孔を通過することで、前記物質を前記複合材料から放出させる前記方法のいずれかに関するものである。
【0186】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第二の流体が前記支持部材の前記孔に対して実質的に垂直な前記流体流路に沿って通ることで、前記物質を前記複合材料から放出させる、前記方法のいずれかに関するものである。
【0187】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質をサイズ排除に基づいて分離する、前記方法のいずれかに関するものである。
【0188】
ある種の実施形態において、本発明は、前記マクロ多孔性ゲルが前記物質について特異的な相互作用を示す、前記方法のいずれかに関するものである。
【0189】
ある種の実施形態において、本発明は、前記特異的相互作用が静電相互作用、アフィニティ相互作用又は疎水性相互作用である前記方法のいずれかに関するものである。
【0190】
ある種の実施形態において、本発明は、前記特異的相互作用が静電相互作用であり、前記複合材料が前記マクロ多孔性ゲル上に電荷を有しており;前記物質が帯電しており;前記物質がドナン排除に基づいて分離される、前記方法のいずれかに関するものである。
【0191】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が細胞の懸濁液又は凝集体の懸濁液である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0192】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が生体分子又は生体イオンである、前記方法のいずれかに関するものである。
【0193】
ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンが、アルブミン類、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ−グロブリン類、ヒト及び動物の両方の起源の免疫グロブリン類、組換えもしくは天然起源のタンパク質(合成もしくは天然起源のポリペプチド類、インターロイキン−2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、トリプシン及びその阻害剤、チトクロムC、ミオグロブリン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来産物、合成もしくは天然起源のDNA、及び合成もしくは天然起源のRNA等)からなる群から選択される前記方法のいずれかに関するものである。
【0194】
ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンがタンパク質であり;そのタンパク質がGlu、Asp、Try、Arg、Lys、Met及びHisからなる群から選択される露出したアミノ酸残基を有する、前記方法のいずれかに関するものである。
【0195】
ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンがタンパク質であり;そのタンパク質が露出したHisアミノ酸残基を有する、前記方法のいずれかに関するものである。
【0196】
ある種の実施形態において、本発明は、前記生体分子又は生体イオンがモノクローナル抗体である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0197】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が金属含有粒子又は金属含有イオンである、前記方法のいずれかに関するものである。
【0198】
ある種の実施形態において、本発明は、前記金属含有粒子又は金属含有イオンが遷移金属、ランタニド、卑金属又はアルカリ土類金属を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0199】
ある種の実施形態において、本発明は、前記金属含有粒子又は金属含有イオンがニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される金属を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0200】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が廃水である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0201】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が精錬又は海水からの廃水である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0202】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が鉛又は水銀である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0203】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が白金、パラジウム、銅、金又は銀である、前記方法のいずれかに関するものである。
【0204】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体が廃水であり;前記金属含有粒子又は金属含有イオンが鉛又は水銀を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0205】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が精錬からの廃水であり;前記金属含有粒子又は金属含有イオンが鉛又は水銀を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0206】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が海水であり;前記金属含有粒子又は金属含有イオンが白金、パラジウム、銅、金又は銀を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0207】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が卵白を含む、前記方法のいずれかに関するものである。
【0208】
ある種の実施形態において、本発明は、前記第一の流体が卵白を含み;前記物質がリゾチームである、前記方法のいずれかに関するものである。
【0209】
ある種の実施形態において、本発明は、本発明の装置での前記複合材料の高い特異性のために、タンジェンシャルフロー分離モードで、生反応混合物の前処理が必要ない方法に関するものである。
【0210】
ある種の実施形態において、本発明は、分離を大規模で実施することができる方法に関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、分離をより短い時間で行うことができる方法に関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記装置が高い結合能力を有する方法に関するものである。
【0211】
ある種の実施形態において、本発明は、前記複合材料上に所望の物質を回収する段階及びその所望の物質を前記複合材料から回収する段階という2段階を有する方法に関するものである。ある種の実施形態において、前記第一段階は、タンジェンシャル分離モードで行う。ある種の実施形態において、前記第一段階をタンジェンシャル分離モードで行い、前記第二段階を第二の流体での直接濾過モードで行う。
【0212】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体処理装置のいずれかで、流体を複合材料と接触した状態に置くことで、物質を前記複合材料に吸着又は吸収させる段階を有する、流体から物質を分離する方法に関するものである。
【0213】
ある種の実施形態において、本発明は、
前記流体処理装置のいずれかで、供給口に流体を置くことで、物質を複合材料に吸着又は吸収させて、透過液を生じさせる段階;及び
前記透過液を前記流体処理装置の排出口から回収する段階
を有する、流体から物質を分離する方法に関するものである。
【0214】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の表面上を通過させ;前記物質を前記複合材料の表面上に吸着又は吸収させる前記方法に関するものである。
【0215】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の前記マクロ孔を通過し;前記物質を前記複合材料の前記マクロ孔内で吸着又は吸収させる前記方法に関するものである。
【0216】
ある種の実施形態において、本発明は、
前記流体処理装置のいずれかで、供給口に流体を置くことで、物質を複合材料に吸着又は吸収させる段階;及び
透過液を前記流体処理装置の排出口から回収する段階;
前記流体処理装置の前記供給口に第二の流体を置くことで、前記複合材料から前記物質を放出させる段階
を有する、流体から物質を分離する方法に関するものである。
【0217】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の表面上を通過させ;前記物質を前記複合材料の前記表面に吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記複合材料の前記マクロ孔に通過させることで、前記複合材料から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。
【0218】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の表面上を通過させ;前記物質を前記複合材料の前記表面に吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記複合材料の表面上を通過させることで、前記複合材料の表面から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。
【0219】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の前記マクロ孔を通過させ;前記物質を前記複合材料の前記マクロ孔内で吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記複合材料の表面上を通過させることで、前記複合材料から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。
【0220】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記複合材料の前記マクロ孔を通過させ;前記物質を前記複合材料の前記マクロ孔内で吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記複合材料の前記マクロ孔を通過させることで、前記複合材料から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。
【0221】
ある種の実施形態において、本発明は、前記物質が放射性である前記方法のいずれかに関するものである。
【0222】
ある種の実施形態において、本発明は、
前記流体処理装置のいずれかで流体を供給口に置くことで、物質を複合材料に吸着又は吸収させて、透過液を生じさせる段階;及び
前記流体処理装置の排出口から前記透過液を回収する段階
を有し、
前記流体が卵白を含み;前記物質がリゾチームである、流体から物質を分離する方法に関するものである。
【0223】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記流体処理要素の表面上を通過させ;前記物質を前記流体処理要素の表面上に吸着又は吸収させる前記方法に関するものである。
【0224】
ある種の実施形態において、本発明は、
前記流体処理装置のいずれかで第一の流体を供給口に置くことで、物質を複合材料に吸着又は吸収させる段階;
前記流体処理装置の排出口から透過液を回収する段階;
前記流体処理装置の前記供給口に第二の流体を置くことで、前記複合材料から前記物質を放出させる段階
を有し、
前記第一の流体が卵白を含み;前記物質がリゾチームである、第一の流体から物質を分離する方法に関するものである。
【0225】
ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記流体処理要素の表面上を通過させ;前記物質を前記流体処理要素の表面に吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記流体処理要素の前記マクロ孔を通過させることで、前記マクロ孔から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。ある種の実施形態において、本発明は、前記流体を前記流体処理要素の表面上を通過させ;前記物質を前記流体処理要素の表面に吸着又は吸収させ;前記第二の流体を前記流体処理要素の表面上を通過させることで、前記流体処理要素の表面から前記物質を放出させる前記方法に関するものである。
【実施例】
【0226】
本発明について概要を説明しているが、本発明については下記の実施例を参照することで容易に理解が深まるものであり、それら実施例は本発明のある種の態様及び実施形態を説明することのみを目的として含まれているものであって、本発明を制限することを意図したものではない。
【0227】
実施例1
ウイルス捕捉についてのデッドエンドモードとクロスフローモードの比較)
クロスフロー技術とデッドエンド技術の改善の一例は、これら二つのモードを互いに直接比較すると実現することができる。図1には、ある具体的な装置をデッドエンド装置として、そしてクロスフロー装置として運転した二つの実験が示されている。対象とする材料はウイルスである。いずれの場合も、洗浄及び溶離後の純粋な標的材料捕捉に対する量によって示されるように、クロスフロー装置の捕捉の方がデッドエンド版を上回っていた。
【0228】
実施例2
クロマトグラフィー捕捉及び回収:卵白アルブミン及びリゾチームの溶離)
膜は、供給流から二つのタンパク質材料を選択的に吸着し、次に代わりの緩衝液流体を用いることで、標的生体分子を選択的に溶離することができる。図2及び3には、この効果を示してある。卵白の初期供給流を、クロスフローモードで膜表面に曝露させた。供給流を除去し、膜を洗浄したら、卵白アルブミンとリゾチームの両方が膜に付着しているのが認められた(図2)。特異的緩衝液条件下で、それらのタンパク質を選択的に溶離したところ(図3)、それによってクロスフローモードでの膜のクロマトグラフィー性質が示される。
【0229】
実施例3
(直交二段階捕捉及び回収)
図4を参照。
【0230】
実施例4
(装置設計:被覆設計データ及び図式)
簡単な被覆設計での至適なスペーサー材料選択の効果を観察し、それを図5に示してある。この設計では、二つの同一のスペーサーシート間に必要な膜シートを層状に重ね、その多層構造を巻いて柱状とすることでロールを作った。次に、この柱状物を、供給口及び排出口の両方が取り付けられたエンドキャップを取り付けた金属管筐体に入れた(図6)。比較的大きいスペーサー材料及び緩く巻かれた構造により、理想的なクロスフロー又はタンジェンシャルフロー吸着が可能となった。重要な点として、この設計により、プロセス流体は膜のいずれかの側で流れたことから、直接膜貫通流はなくなった。したがって、少なくとも部分的に、低剪断環境から改善が生じた。精製リゾチーム対照を装置に流し、標的化学種の100%又は最大吸着を表すのに用いた。残りのデータは、プロセス流体流(卵白)から直接得られたものであった。この実施形態では、膜のいずれの側のスペーサー層材料も同一であったが、この対称性には何ら必要な条件はなく、「ロール」が異なる層を有することも考えられるか、一つの層が完全に欠落していることも可能であると考えられる。
【0231】
実施例5
(装置設計:カセット)
供給路の高さは、吸着された標的分子の量を最大とする能力に影響し得る。供給路高さが小さいと、膜表面で誘発される剪断又は乱流が大きくなる可能性があり、そのいずれも吸着を妨害し、沈着する標的材料を除去するものである。流路高さは、少なくとも10mm、より理想的には>20mm、代表的には23mmである必要がある(図7)。
スクリーン交換は、カセット設計での性能に影響するものとは確認されていない。
【0232】
実施例6
(装置設計:らせん状)
図23には、らせん巻き装置が描かれている。本発明の膜をこの装置に組み込む場合、汚染がひどいか非常に粘稠な供給流を、その所望の部分に効果的に分離することができる。
【0233】
実施例7
(抗体精製:タンパク質Aで官能化した膜)
膜の面に対して接線方向の流体流を可能とする吊り下げスクリーン設計の開放流路付きの0.01SQMタンパク質Aカセットを、モノクローナル抗体(mAb)標的を含む未清浄化供給流を用いて評価した。従来の樹脂クロマトグラフィー分離プロセスでは、未清浄供給流を処理することはできない。小規模でのmAb標的の捕捉が可能であることが明らかになっている唯一の方法は、静置浸漬を行うバッチモードで機能する拡張床カラムであった。この改善された拡張床は、それより規模が大きくなると不経済で、実用的ではない。他方、カセットは、単純なフロースルーを用いた場合に標的MAb産物を捕捉する上で有効であった。このモードにより、プロセス流を膜横断で流れるようにすることができ、流体中の残屑が膜を詰まらせることはなかった。このモードでの標的化学種の結合は、表面効果のみであった。
【0234】
細胞溶解手順:270gのmAb4420ペレットを、ペレット1部、10倍リン酸緩衝液(PBS)3部、5倍フェニックス(Pfenix)細胞溶解緩衝液1部で希釈した。5分間均質化し、10分間超音波処理した。未浄化・未希釈の供給流として膜に負荷した。
【0235】
膜手順:活性表面積0.01m及び孔径0.3μmの膜カセットを、pH7.4のPBS中で平衡とした。次に、完全再循環システムにより、この装置に、1時間にわたって、溶解したmAb4420を負荷した。次に、装置を1倍PBS(pH7.4)1リットルで洗浄し、pH2.9の0.1Mグリシンを10分間再循環して溶離し、続いてpH2.9の0.1Mグリシンで100mLのシステム洗い流しを行った。供給液を、100mL/分にてフロースルーモードで流し、その際に清浄化していない溶解物からのみの表面結合に装置を制限する透過液遮断を行った。ゲル電気泳動定性分析では、かなりの量のmAbが捕捉されていることが示された。
【0236】
結論:クロスフロー製品から、損傷のないmAb(認められた結合は5〜10mg/mLの範囲であった)並びに多くの汚染物を捕捉及び濃縮することができる簡単なオン−オフ結合−溶出捕捉プロセスが提供された。進歩すれば、未清浄化mAbシュードモナス供給流について拡張性のある捕捉方法として膜を用いることができるものと考えられる。
【0237】
実施例8
(His標識タンパク質精製:IMACNiで官能化した膜)
膜の面に対して接線方向の流体流を可能とする吊り下げスクリーン設計の開放流路付きの0.02SQMIMAC−Ni(Niと錯形成したイミノ二酢酸)カセットを、his標識タンパク質標的を含む供給流を用いて評価した。従来の樹脂式クロマトグラフィー分離プロセスは、未清浄供給流を処理することはできない。この実験では、単純なフロースルーモードで標的生成物を捕捉する上で、カセットが有効であった。このモードにより、プロセス流を膜横断で流れるようにすることができ、流体中の残屑が膜を詰まらせることはなかった。このモードでの標的化学種の結合は、表面効果のみであった。その生成物は、結合能力の低下を起こすことなく、複数サイクル流すことができた。
【0238】
細胞溶解手順:細胞回収材料8リットルを、5倍フェニックス細胞溶解緩衝液2リットルで希釈した。この混合物を、材料が液化するまで2時間混和した。
【0239】
膜手順:活性表面積0.02mを有する膜カセットを、50mMPBS、500mMNaCl、5重量%グリセリン及び25mMイミダゾール中にてpH8.0で平衡化とした。次に、カセットに、100mL/分の供給速度で液化細胞回収物を流し、透過液流はなかった。これは、1倍PBS 500mL、500mMイミダゾール(pH7.4)を用いる溶離によって流した。このプロセスを、下記の詳細によって、この順で3回繰り返した。
【0240】
操作1:溶解物1リットルを遠心し、平衡緩衝液で5倍希釈した。完全システム再循環によって1時間にわたり、装置に負荷したところ、材料は20PSIg供給口圧で孔を通って透過することができた。ゲル電気泳動定性分析で、かなりの量のhis標識タンパク質が捕捉されていることが示された。
【0241】
操作2:溶解物1リットルについて、使用前に遠心のみを行った。完全システム再循環によって1時間にわたり、装置に負荷したところ、材料は20PSIg供給口圧で孔を通って透過することができた。ゲル電気泳動定性分析で、かなりの量のhis標識タンパク質が捕捉されていることが示された。
【0242】
操作3:溶解物1リットルを前処理せずに用いた。装置に、15、30、45、60分間の負荷時間にわたって完全システム再循環によって負荷を行った。各サイクル後に装置を溶離し、溶離間で膜の除去(クリーニング)は行わなかった。透過液ラインを閉じた際、負荷中にシステムに対する背圧上昇は認められず、それは膜が目詰まりしていなかったことを示していた。
【0243】
結論:IMAC−Ni製品により、至適化を行わなくとも、優れた精製特性が得られた(認められた結合は60〜80mg/mLの範囲であった)。「1回使用」と製造者の指定があったが、7回の再使用で、IMAC膜についてEDTA除去及び再装着の必要がないことがわかった。
【0244】
参照による組み込み
本明細書で引用の米国特許及び米国特許出願公開は全て、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0245】
均等物
当業者であれば、通常と同様の実験を用いて、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するものであり、又はそれを確認することが可能である。そのような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体ユニットを有する流体処理装置において、前記筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)供給口と排出口の間の流体流路;及び
(c)筐体ユニット内の複合材料
を有し、
前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、前記支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲル;を有し、
前記マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔が支持部材の孔より小さく;
前記支持部材の孔が流体流路に対して実質的に垂直である、前記流体処理装置。
【請求項2】
複合材料が、実質的に同一広がりのシートの実質的に同一平面上の積層物、実質的に管状の構成又は実質的にらせん巻きされた構成で配置されている請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項3】
複合材料が、2〜10個の別個の支持部材を有する請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項4】
支持部材が、中空多孔質繊維の形態であり;
各中空多孔質繊維が管腔を画定しており;
管腔の直径が約20μm〜約100μmであり;
管腔が、中空多孔質繊維支持部材中の孔に対して実質的に垂直である請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項5】
複数の中空多孔質繊維が、束で配置されている請求項4に記載の流体処理装置。
【請求項6】
束が、シェル又は容器に収納されている請求項5に記載の流体処理装置。
【請求項7】
複数の束が、シェル又は容器に収納されている請求項5に記載の流体処理装置。
【請求項8】
複合材料が、ひだ状膜である請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項9】
筐体ユニットが、実質的に円柱形である請求項1又は2に記載の流体処理装置。
【請求項10】
筐体ユニットが、使い捨てであるか再使用可能である請求項1〜9のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項11】
筐体ユニットが、プラスチック又はステンレス鋼である請求項1〜10のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項12】
筐体ユニットが、シリンジ先端である請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項13】
筐体ユニットが、スピンカラムである請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項14】
スピンカラムが、約0.5mLの容量を有する請求項13に記載の流体処理装置。
【請求項15】
スピンカラムが、約2mLの容量を有する請求項13に記載の流体処理装置。
【請求項16】
スピンカラムが、約50mL以下の容量を有する請求項13に記載の流体処理装置。
【請求項17】
供給口又は排出口が、プレスばめ取り付け箇所、ルアーロック取り付け箇所又はホースバーブ取り付け箇所である請求項1〜16のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項18】
マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔の平均径が、約25〜約1500nmである請求項1〜17のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項19】
マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔の平均径が、約50〜約1000nmである請求項18に記載の流体処理装置。
【請求項20】
マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔の平均径が、約300nmである請求項18に記載の流体処理装置。
【請求項21】
マクロ多孔性架橋ゲルが、中性もしくは荷電ヒドロゲル、高分子電解質ゲル、疎水性ゲル、中性ゲル又は官能基を有するゲルである請求項1〜20のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項22】
マクロ多孔性架橋ゲルが、中性もしくは荷電ヒドロゲルであり;前記中性もしくは荷電ヒドロゲルが、架橋ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸ヒドロキシメチル)、ポリ(エチレンオキサイド)、アクリル酸もしくはメタクリル酸とアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマー、アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸とアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマー、(3−アクリルアミド−プロピル)トリメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはN−ビニル−ピロリドンとのコポリマー、並びにジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドもしくはビニルピロリドンとのコポリマーからなる群から選択される請求項21に記載の流体処理装置。
【請求項23】
マクロ多孔性架橋ゲルが、高分子電解質ゲルであり;前記高分子電解質ゲルが、架橋ポリ(アクリルアミド−2−メチル−l−プロパンスルホン酸)及びその塩、ポリ(アクリル酸)及びその塩、ポリ(メタクリル酸)及びその塩、ポリ(スチレンスルホン酸)及びその塩、ポリ(ビニルスルホン酸)及びその塩、ポリ(アルギン酸)及びその塩、ポリ[(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム]塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)塩、ポリ(4−ビニル−N−メチルピリジニウム)塩、ポリ(ビニルベンジル−N−トリメチルアンモニウム)塩、及びポリ(エチレンイミン)及びその塩からなる群から選択される請求項21に記載の流体処理装置。
【請求項24】
マクロ多孔性架橋ゲルが、疎水性ゲルであり;前記疎水性ゲルが、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、オクタデシルアクリルアミド、アクリル酸ステアリル及びスチレンの架橋ポリマー又はコポリマーからなる群から選択される請求項21に記載の流体処理装置。
【請求項25】
マクロ多孔性架橋ゲルが、中性ゲルであり;前記中性ゲルが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルアクリルアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドンの架橋ポリマー又はコポリマーからなる群から選択される請求項21に記載の流体処理装置。
【請求項26】
マクロ多孔性架橋ゲルが、官能基を有するゲルであり;前記官能基が、アミノ酸配位子、抗原及び抗体配位子、色素配位子、生体分子、生体イオン及び金属親和性配位子からなる群から選択される請求項21に記載の流体処理装置。
【請求項27】
官能基が、金属親和性配位子である請求項26に記載の流体処理装置。
【請求項28】
複数の金属親和性配位子と錯形成した複数の金属イオンをさらに有する、請求項27に記載の流体処理装置。
【請求項29】
金属親和性配位子が、多座配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項30】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項31】
金属親和性配位子が、四座配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項32】
金属親和性配位子が、三座配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項33】
金属親和性配位子が、二座配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項34】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項35】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子である請求項27又は28に記載の流体処理装置。
【請求項36】
金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項37】
金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項38】
金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項39】
金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項40】
金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項41】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項42】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項43】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項44】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項45】
金属親和性配位子が、八座、六座、四座、三座又は二座配位子であり;金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項46】
金属親和性配位子が、四座配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項47】
金属親和性配位子が、四座配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項48】
金属親和性配位子が、四座配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項49】
金属親和性配位子が、四座配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項50】
金属親和性配位子が、四座配位子であり;金属イオンがジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項51】
金属親和性配位子が、三座配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項52】
金属親和性配位子が、三座配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項53】
金属親和性配位子が、三座配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項54】
金属親和性配位子が、三座配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項55】
金属親和性配位子が、三座配位子であり;金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項56】
金属親和性配位子が、二座配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項57】
金属親和性配位子が、二座配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項58】
金属親和性配位子が、二座配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項59】
金属親和性配位子が、二座配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項60】
金属親和性配位子が、二座配位子であり;金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項61】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項62】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項63】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項64】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項65】
金属親和性配位子が、イミノジカルボン酸配位子であり;金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項66】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子であり;金属イオンが、遷移金属イオン、ランタニドイオン、卑金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項67】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子であり;金属イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項68】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子であり;金属イオンが、ニッケル又はジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項69】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子であり;金属イオンが、ニッケルである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項70】
金属親和性配位子が、イミノ二酢酸配位子であり;金属イオンが、ジルコニウムである請求項28に記載の流体処理装置。
【請求項71】
官能基が、生体分子又は生体イオンである請求項26に記載の流体処理装置。
【請求項72】
官能基が、アルブミン類、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ−グロブリン類、ヒト及び動物の両方の起源の免疫グロブリン類、組換えもしくは天然起源のタンパク質(合成もしくは天然起源のポリペプチド類、インターロイキン−2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、抗原、レクチン類、細菌免疫グロブリン結合タンパク質、トリプシン及びその阻害剤、チトクロムC、ミオグロブリン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質L、ペプチドH、核酸由来産物、合成もしくは天然起源のDNA、及び合成もしくは天然起源のRNA等)からなる群から選択される請求項71に記載の流体処理装置。
【請求項73】
官能基が、タンパク質Aである請求項71に記載の流体処理装置。
【請求項74】
マクロ多孔性架橋ゲルが、マクロモノマーを有する請求項1〜73のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項75】
マクロモノマーが、ポリアクリル酸(エチレングリコール)及びポリメタクリル酸(エチレングリコール)からなる群から選択される請求項74に記載の流体処理装置。
【請求項76】
マクロ多孔性架橋ゲルが、N,N’−メチレンビスアクリルアミド又は多官能性マクロモノマーによって架橋されている請求項1〜75のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項77】
マクロ多孔性架橋ゲルが、多官能性マクロモノマーによって架橋されており;前記多官能性マクロモノマーが、ポリジアクリル酸(エチレングリコール)及びポリジメタクリル酸(エチレングリコール)からなる群から選択される請求項76に記載の流体処理装置。
【請求項78】
マクロ多孔性架橋ゲルが、N,N’−メチレンビスアクリルアミドによって架橋された(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)及びN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドのコポリマーを有する正電荷を有するヒドロゲルである請求項1〜76のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項79】
複合材料が、膜であり;マクロ多孔性架橋ゲルが、帯電部分を有する請求項1〜78のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項80】
複合材料が、サイズ排除分離でのフィルターとして用いられる膜である請求項1〜79のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項81】
支持部材が、厚さ約10μm〜約500μmであり、平均径約0.1〜約25μmの孔を有する膜の形態でのポリマー材料から本質的に構成される請求項1〜80のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項82】
支持部材が、ポリオレフィンから本質的に構成される請求項1〜81のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項83】
支持部材が、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンオキサイド類、ポリカーボネート類、ポリエステル、セルロース及びセルロース誘導体からなる群から選択されるポリマー材料を有する請求項1〜81のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項84】
支持部材が、厚さが約10μm〜約2000μmであり、平均径約0.1〜約25μmの孔を有する繊維ファブリックの形態のポリマー材料から本質的に構成される請求項1〜80のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項85】
複数の筐体ユニットを有する流体処理装置において、各筐体ユニットが、
(a)供給口及び排出口;
(b)供給口と排出口の間の流体流路;及び
(c)筐体ユニット内の複合材料
を有し、前記複合材料が、
支持部材を通って延びる複数の孔を有する支持部材;及び
平均径が10nm〜3000nmであるマクロ孔を有する非自己支持型マクロ多孔性架橋ゲルであって、支持部材の孔の中に配置されているマクロ多孔性ゲルを有し;
マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔が、支持部材の孔より小さく;
支持部材の孔が、流体流路に対して実質的に垂直である流体処理装置。
【請求項86】
複数の筐体ユニットが、直列で配置されている請求項85に記載の流体処理装置。
【請求項87】
約2〜約10個の筐体ユニットを有する請求項85又は86に記載の流体処理装置。
【請求項88】
複合材料が、実質的に同一広がりのシートの実質的に同一平面上の積層物、実質的に管状の構成、又は実質的にらせん巻きされた構成で配置されている請求項85〜87のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項89】
請求項1〜88のいずれかに記載の流体処理装置で、物質を含む第一の流体を複合材料と接触させることで、前記物質を複合材料上に吸着又は吸収させる段階を有する方法。
【請求項90】
第一の流体を流体処理装置の供給口に置く段階をさらに有する請求項89に記載の方法。
【請求項91】
第一の流体を支持部材の孔に対して実質的に垂直な流体流路に沿って流す請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
第二の流体を複合材料上に吸着又は吸収された物質と接触させることで、前記物質を複合材料から放出させる段階をさらに有する請求項89〜91のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
第二の流体を複合材料のマクロ孔に通過させることで、複合材料から物質を放出させる請求項92に記載の方法。
【請求項94】
第二の流体を支持部材の孔に対して実質的に垂直な流体流路に沿って通過させることで、複合材料から物質を放出させる請求項92に記載の方法。
【請求項95】
物質がサイズ排除に基づいて分離される請求項89〜94のいずれかに記載の方法。
【請求項96】
マクロ多孔性ゲルが、物質について特異的相互作用を示す請求項89〜94のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
特異的相互作用が、静電相互作用、アフィニティ相互作用又は疎水性相互作用である請求項96に記載の方法。
【請求項98】
特異的相互作用が、静電相互作用であり;複合材料がマクロ多孔性ゲル上に電荷を有し;物質が帯電しており;前記物質がドナン排除に基づいて分離される請求項97に記載の方法。
【請求項99】
第一の流体が、細胞の懸濁液又は凝集体の懸濁液である請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
物質が、生体分子又は生体イオンである請求項89〜99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
生体分子又は生体イオンが、アルブミン類、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ−グロブリン類、ヒト及び動物の両方の起源の免疫グロブリン類、組換えもしくは天然起源のタンパク質(合成もしくは天然起源のポリペプチド類、インターロイキン−2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、トリプシン及びその阻害剤、チトクロムC、ミオグロブリン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来産物、合成もしくは天然起源のDNA、及び合成もしくは天然起源のRNA等)からなる群から選択される請求項100に記載の方法。
【請求項102】
生体分子又は生体イオンが、タンパク質であり;前記タンパク質が、Glu、Asp、Try、Arg、Lys、Met及びHisからなる群から選択される露出したアミノ酸残基を有する請求項100に記載の方法。
【請求項103】
生体分子又は生体イオンが、タンパク質であり;前記タンパク質が、露出したHisアミノ酸残基を有する請求項100に記載の方法。
【請求項104】
生体分子又は生体イオンが、モノクローナル抗体である請求項100に記載の方法。
【請求項105】
物質が、金属含有粒子又は金属含有イオンである請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
金属含有粒子又は金属含有イオンが、遷移金属、ランタニド、卑金属又はアルカリ土類金属を含む請求項105に記載の方法。
【請求項107】
金属含有粒子又は金属含有イオンが、ニッケル、ジルコニウム、ランタン、セリウム、マンガン、チタン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、銀、ガリウム、白金、パラジウム、鉛、水銀、カドミウム及び金からなる群から選択される金属を含む請求項105に記載の方法。
【請求項108】
第一の流体が、廃水である請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
第一の流体が、精錬からの廃水又は海水である請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
物質が、鉛又は水銀である請求項109に記載の方法。
【請求項111】
物質が、白金、パラジウム、銅、金又は銀である請求項109に記載の方法。
【請求項112】
第一の流体が、卵白を含む請求項89〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
第一の流体が、卵白を含み;物質が、リゾチームである請求項89〜98のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2012−501245(P2012−501245A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525281(P2011−525281)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/055582
【国際公開番号】WO2010/027955
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(510212764)ナトリックス セパレイションズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】