クローラクレーン
【課題】組立性・輸送性に優れ、かつ狭いスペースでの作業性にも優れたクローラクレーンを提供すること。
【解決手段】左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置され上部旋回体3を支持しつつ当該上部旋回体3とともにその旋回方向に走行可能な支持装置8と、を備えるクローラクレーン1である。支持装置8は、上部旋回体3を支持する支持部材9と、支持部材9に連結され旋回方向に回動する支持用クローラ10aを具備してなる回転装置10とを具備している。
【解決手段】左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置され上部旋回体3を支持しつつ当該上部旋回体3とともにその旋回方向に走行可能な支持装置8と、を備えるクローラクレーン1である。支持装置8は、上部旋回体3を支持する支持部材9と、支持部材9に連結され旋回方向に回動する支持用クローラ10aを具備してなる回転装置10とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解輸送される大型のクローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
分解輸送される大型のクローラクレーンにおいて、その吊り上げ能力を向上させるための安定装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、リング支持型のクローラクレーンが記載されている。下部走行体の周囲にリング状のレールを配置し、そのレールの上を走行する台車で上部旋回体やブームを支持している。下部走行体よりも一回り大きいリング状のレールにより上部旋回体を支持することで転倒支点が吊り上げ方向側に移動しクレーンの安定性が向上する。また、リング状のレールによりブームを支持することで上部旋回体の強度負担を緩和することができる。これらにより、クレーンの吊り上げ能力を向上させている。
【0004】
特許文献2には、カウンタバランス型のクローラクレーンが記載されている。上部旋回体の後方にカウンターウェイトを配置し、カウンターウェイトの重量でクレーンの転倒を防止している。カウンターウェイトの増量により、クレーンの吊り上げ能力を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−507529号公報
【特許文献2】特開昭61−203095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたリング支持型のクローラクレーンにおいては、下部走行体よりも一回り大きいリング状のレールを組み立てる必要があり組立工数・費用が多くかかる。また、非常に広い作業スペース(大きな設置占有面積)を確保しなければならない。さらには、リング状のレールや台車を含めると全体として重量が重くなるため輸送費が多くかかるという問題もある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたカウンタバランス型のクローラクレーンにおいても同様に、カウンターウェイトや台車を含めると全体として重量が重くなるため輸送費が多くかかる。また、旋回する上部旋回体の後方にカウンターウェイト(その台車を含む)を設置するための広い作業スペースを確保しなければならないという問題もある。
【0008】
一方、大型のクローラクレーンにおいては、その輸送性が大きな問題となる。単体輸送できる寸法重量には法的な制約があり、通常、大型のクローラクレーンは分解輸送される。左右一対設けられる走行用クローラも分解輸送されるが、クローラ片側の長さ自体制約を受けるため、吊り上げ能力確保のために走行用クローラを大きくすることは容易でない。分解輸送の際、クローラフレームを分解することは周知の通りであるが、非常に作業性の悪いものである。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組立性・輸送性に優れ、かつ狭いスペースでの作業性にも優れたクローラクレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置(アタッチメント)を旋回フレームの前方に配置することにより、前記目的を達成することができることを見出した。この知見に基づき本発明が完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、分解輸送されるクローラクレーンであって、左右一対の走行用クローラを有する下部走行体と、前記下部走行体の上に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前方に向けて当該上部旋回体の旋回フレームに起伏自在に取り付けられたブームと、前記旋回フレームの前方に配置され、前記上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置と、を備え、前記支持装置は、前記上部旋回体を支持する支持部材と、前記支持部材に連結され、旋回方向に回動する回転体を具備してなる回転装置と、を有するクローラクレーンである。
【0012】
この構成によると、追加した上記の支持装置(アタッチメント)は、特許文献1に記載されたリング状のレールよりも部品点数が少なく重量も軽い。かつ、特許文献2に記載されたカウンターウェイトよりも軽い。これらにより、本発明のクローラクレーンは、従来よりも組立性・輸送性に優れたものとなる。また、上記の支持装置は、常に、ブームの下方に位置する。そのため、上部旋回体の後方スペースなどを小さくできるので、本発明のクローラクレーンは、狭いスペースでの作業性にも優れる。
【0013】
また本発明において、前記回転体は、支持用クローラであることが好ましい。回転体としてクローラを用いることで大きな荷重を支えることができる。
【0014】
さらに本発明において、前記支持部材は、前記旋回フレームと前記回転装置とを連結する回転可能なリンク部材と、一端が前記旋回フレームに取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を上下動させる伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0015】
この構成によると、地面の凹凸に合わせて回転装置を上下動させることで、地面の凹凸に影響を受けることなく回転装置を旋回させることができる。
【0016】
さらに本発明において、前記支持部材は、前記旋回フレームと前記回転装置とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材と、前記箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0017】
この構成によると、クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、箱型構造部材を縮めて支持装置の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。
【0018】
さらに本発明において、前記ブームは、箱型の伸縮ブームであって、前記支持部材は、前記伸縮ブームを下から支持する第1支持部材と、前記旋回フレームの前部に取り付けられた第2支持部材とからなり、前記第1支持部材は、前記伸縮ブームと前記回転装置とを連結する上下方向に伸縮可能な第1箱型構造部材と、前記第1箱型構造部材の内側に配置され、前記回転装置を上下動させる第1伸縮シリンダと、を有し、前記第2支持部材は、前記旋回フレームと前記回転体とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材と、前記第2箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる第2伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0019】
この構成によると、2つの支持部材で上部旋回体を支持しているのでその支持がより安定する。また、クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、回転装置を上部旋回体側に位置変位させて支持装置の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。
【0020】
さらに本発明において、前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材と前記回転装置とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピンを介して連結されており、前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材に一端が取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を前記固定ピンまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダをさらに備えていることが好ましい。
【0021】
この構成によると、地面に対する回転体の傾きが調整しやすく、回転装置の位置決めが容易になるとともに、回転装置をより安全に旋回させることができる。
【0022】
さらに本発明において、前記支持装置による前記上部旋回体の支持状況を検出する支持状況検出手段と、前記伸縮シリンダを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記支持状況検出手段からの信号に基づき、前記回転体が浮き側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を下方に移動させ、前記回転体が地面に対して押付け側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を上方に移動させることが好ましい。
【0023】
この構成によると、地面の凹凸に回転体を追従させることができ、支持反力を理想的な値に近づけることができる。
【0024】
さらに本発明において、前記制御部は、当該クローラクレーンの実負荷から算出された前記回転体部分の間接検出支持反力と、前記支持状況検出手段からの信号から算出された前記回転体部分の直接検出支持反力とを比較して、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも小さい場合は前記回転体を下方に移動させ、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも大きい場合は前記回転体を上方に移動させることが好ましい。
【0025】
地面の凹凸に回転体を追従させる制御方法としては、他に、回転体と地面との間の距離を算出して、算出した距離の値に基づいて回転体を上下動させる方法もある。一方、間接検出支持反力・直接検出支持反力という上記した支持反力を用いる制御によると、支持反力というより直接的なパラメータを用いているので、回転体と地面との間の距離に基づく制御よりも、支持反力をより確実に理想的な値に近づけることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、組立性・輸送性に優れ、かつ狭いスペースでの作業性にも優れたクローラクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図2】図1に示したクローラクレーンの正面図である。
【図3】図1に示したクローラクレーンの第1変形例に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図4】図3の支持装置部分の拡大図である。
【図5】図1に示したクローラクレーンの第2変形例に係るクローラクレーンの支持装置部分の拡大側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図7】図6に示したクローラクレーンの変形例に係るクローラクレーンの支持装置部分の一部拡大側面図である。
【図8】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御回路図である。
【図9】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御系統図である。
【図10】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御フローチャートである。
【図11】図6に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御系統図である。
【図12】図6に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。下記の実施形態記載のクローラクレーンは、いずれも分解輸送される大型のクレーンである。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、クローラクレーン1は、左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置された支持装置8とを備えている。
【0030】
旋回フレーム6の上にはガントリ15が設けられており、ブーム4は、その先端部とガントリ15との間にかけ渡されたガイライン13および起伏ロープ14によって起伏自在とされている。ブーム4は、ラチス型ブームである。旋回フレーム6の前部には運転室5が設けられている。
【0031】
(支持装置)
支持装置8は、上部旋回体3を支持してクレーンの安定性を図るための装置(アタッチメント)である(換言すれば、クレーンの吊り上げ能力を向上させるための装置である)。支持装置8は、上部旋回体3を支持する支持部材9と、支持部材9に連結された回転装置10とを有する。クローラクレーン1の正面図を図2に示したように、正面視において、支持装置8は、クローラクレーン1の中央部に配置されている。
【0032】
支持装置8を構成する支持部材9は、左右一対の板状のプレート9aからなる。プレート9aの形状は矩形であり、その高さ(幅)寸法は、旋回フレーム6のプレート部の高さ(幅)寸法とほぼ等しい。プレート9aは、固定ピン11a・11bで旋回フレーム6の先端部に固定されている。
【0033】
また、回転装置10は、上部旋回体3の旋回方向に回動する支持用クローラ10a(無限軌道)と、支持用クローラ10aを保持する保持部材10bとを具備してなる。回転装置10は、固定ピン11c・11dでプレート9aの端部に固定されている。
【0034】
このような構成で、支持装置8は、上部旋回体3を直接支持しつつ当該上部旋回体3とともにその旋回方向に向かって走行可能となっている。
【0035】
支持装置8(アタッチメント)により、クレーンの転倒支点が吊り上げ方向側に移動するので、クレーンの安定性が向上する(換言すれば、クレーンの吊り上げ能力が向上する)。ここで、支持装置8は、特許文献1に記載されたリング状のレールよりも部品点数が少なく重量も軽い。かつ、特許文献2に記載されたカウンターウェイトよりも軽い。すなわち、支持装置8は、特許文献1や2に記載された安定装置よりも組立性・輸送性に優れている。したがい、クローラクレーン1は、特許文献1や2に記載されたクローラクレーンよりも組立性・輸送性に優れたものとなる。
【0036】
また、支持装置8は、上部旋回体3とともにその旋回方向に移動するので、常に、ブーム4の下方に位置する。そのため、例えば、特許文献2に記載されたカウンタバランス型のクローラクレーンに比べて、上部旋回体3の後方スペースを小さくできる。これにより、本発明のクローラクレーン1は、狭いスペースでの作業性にも優れる。さらには、回転装置10を構成する回転体としてクローラ(支持用クローラ10a)を用いることで、例えば回転体としてタイヤを用いる場合に比べて、本実施形態の支持装置8はより大きな荷重を支えることができる。なお、吊り荷重が大きい大型のクローラクレーンにおいては、支持装置8に作用する荷重も大きくなるので、回転体としてクローラ(無限軌道)を用いることが好ましいが、支持装置に作用する荷重によってはタイヤを用いることもできる。
【0037】
(第1変形例)
次に、図3および図4を参照しつつ、第1変形例に係るクローラクレーン102について説明する。
【0038】
第1実施形態に係るクローラクレーン1と、本変形例に係るクローラクレーン102との違いは、上部旋回体3の支持装置の構成である。
【0039】
本変形例に係るクローラクレーン102の支持装置12は、上部旋回体3を支持する支持部材16と、支持部材16に連結された回転装置10とを有する。
【0040】
ここで、本変形例に係る支持部材16は、上下に配置される板状のリンク部材16a・16bと、伸縮シリンダ16cとを具備してなる。伸縮シリンダ16cは、回転装置10を上下動させるためのものである。
【0041】
リンク部材16a・16bは、第1実施形態に係るプレート9aよりも細長い形状であり、1組のリンク部材16a・16bで、プレート9aと同等の強度となる構造部材である。リンク部材16a・16bは、それぞれ、左右一対で構成される。左右一対のリンク部材16aは、固定ピン11aで旋回フレーム6の先端上部に固定されている。左右一対のリンク部材16bは、固定ピン11bで旋回フレーム6の先端下部に固定されている。回転装置10は、固定ピン11cでリンク部材16bの端部に固定され、かつ、固定ピン11dでリンク部材16cの端部に固定されている。なお、固定ピン11a〜11dは、旋回フレーム6の左右方向がその軸方向となるように差し込まれる。
【0042】
左右一対のリンク部材16aの間であるとともに左右一対のリンク部材16bの間には、伸縮シリンダ16cが配置されている。伸縮シリンダ16cは、側面視において斜めに配置され、その高い側である一端が固定ピン11aで旋回フレーム6に取り付けられ、低い側である他端が回転装置10の保持部材10bに固定ピン11dで取り付けられている。
【0043】
伸縮シリンダ16cを伸縮させると、回転装置10がリンク部材16a・16bに対して固定ピン11c・11dまわりに回動するとともに、リンク部材16a・16bが旋回フレーム6に対して、それぞれ、固定ピン11a・11bまわりに回動することにより、回転装置10は、その水平姿勢を保ったまま上下動する。地面の凹凸に合わせて回転装置10を上下動させることで、地面の凹凸に影響を受けることなく回転装置10を上部旋回体3とともに旋回させることができる。
【0044】
(第2変形例)
次に、図5を参照しつつ、第2変形例に係るクローラクレーンについて説明する。本変形例に係るクローラクレーンの支持装置17は、上部旋回体3を支持する支持部材18と、支持部材18に連結された回転装置10とを有する。
【0045】
ここで、本変形例に係る支持部材18は、旋回フレーム6に対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材19と、箱型構造部材19の内側に配置された伸縮シリンダ20とを具備してなる。伸縮シリンダ20は、回転装置10を前後方向に位置変位させるためのものである。
【0046】
箱型構造部材19は、2本の箱型構造部材19a・19bからなり、大径の箱型構造部材19aの内側に小径の箱型構造部材19bが緩挿されたものである。箱型構造部材19aは、固定ピン11a・11bで旋回フレーム6の先端部に固定されている。回転装置10は、固定ピン11c・11dで箱型構造部材19bの端部に固定されている。
【0047】
伸縮シリンダ20のうち一方の可動部は固定ピン20aで箱型構造部材19aに取り付けられ、他方の可動部は固定ピン20bで箱型構造部材19bに取り付けられている。
【0048】
伸縮シリンダ20を伸縮させると、箱型構造部材19bが前後方向に伸縮し、これにより、回転装置10は旋回フレーム6に対して前後方向に位置変位する。第2変形例に係る支持装置17を備えるクローラクレーンによると、当該クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、箱型構造部材19bを縮めて支持装置17の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性を向上させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図6を参照しつつ、第2実施形態に係るクローラクレーン103について説明する。図6に示すように、クローラクレーン103は、左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置された支持装置21とを備えている。
【0050】
旋回フレーム6の上には起伏シリンダ30が設けられており、ブーム4は、起伏シリンダ30によって起伏自在とされている。ブーム4は、箱型の伸縮ブームである。旋回フレーム6の前部には運転室5が設けられている。
【0051】
(支持装置)
本実施形態の支持装置21は、第1支持部材22と第2支持部材23とからなる支持部材と、当該支持部材に連結された回転装置10とを有する。第1支持部材22は、ブーム4を下から支持することにより間接的に上部旋回体3を支持する部材であり、第2支持部材23は、旋回フレーム6の前部に取り付けられることで上部旋回体3を直接支持する部材である。なお、強度上、支障がなければ、第2支持部材23はなくてもよい。
【0052】
第1支持部材22は、上下方向に伸縮可能に配置された第1箱型構造部材24と、第1箱型構造部材24の内側に配置された第1伸縮シリンダ25とを具備してなる。第1伸縮シリンダ25は、回転装置10を上下動させるためのものである。
【0053】
第1箱型構造部材24は、3本の箱型構造部材24a・24b・24cからなり、大径の箱型構造部材24aの内側に中径の箱型構造部材24bが緩挿されるとともに、当該箱型構造部材24bの内側に小径の箱型構造部材24cが緩挿されたものである。箱型構造部材24aは、固定ピン26aでブーム4の下のブラケットに固定されている。回転装置10は、固定ピン26bで箱型構造部材24cの端部に固定されている。
【0054】
第1伸縮シリンダ25は、固定ピン25a・25b・25cで、3本の箱型構造部材24a・24b・24cに取り付けられている。
【0055】
第2支持部材23は、旋回フレーム6に対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材27と、第2箱型構造部材27の内側に配置された第2伸縮シリンダ28とを具備してなる。第2伸縮シリンダ28は、回転装置10を前後方向に位置変位させるためのものである。
【0056】
第2箱型構造部材27は、2本の箱型構造部材27a・27bからなり、大径の箱型構造部材27aの内側に小径の箱型構造部材27bが緩挿されたものである。箱型構造部材27aは、固定ピン29aで旋回フレーム6の先端部に固定されている。回転装置10は、固定ピン29bで箱型構造部材27bの端部に固定されている。
【0057】
第2伸縮シリンダ28は、固定ピン28a・28bで、2本の箱型構造部材27a・27bに取り付けられている。
【0058】
本実施形態によると、第1支持部材22・第2支持部材23という2つの支持部材で上部旋回体3を支持するのでその支持がより安定する。また、クローラクレーン103において大きな安定度が必要でない場合は、回転装置10を上部旋回体3側に位置変位させて支持装置21の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。なお、例えば、箱型構造部材27bを縮めるとともに箱型構造部材24b・24cを伸ばすことで、回転装置10を上部旋回体3側に位置変位させることができる。
【0059】
(変形例)
次に、図7を参照しつつ、第2実施形態に係るクローラクレーン103の支持装置21の変形例について説明する。本変形例に係る支持装置31と前記した支持装置21との相違点は、支持装置31が、回転装置回動用伸縮シリンダ32をさらに具備してなる点である。
【0060】
第2箱型構造部材27と回転装置10とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピン29bを介して連結されている。ここで、固定ピン29bに対して斜め下方には、回転装置10を固定ピン29bまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダ32が配置されている。回転装置回動用伸縮シリンダ32の一端は、第2箱型構造部材27の箱型構造部材27bに固定ピン32aで取り付けられ、他端は、回転装置10の保持部材10bに固定ピン32bで取り付けられている。
【0061】
ここで、支持用クローラ10aの強度面での保護などの観点から、支持用クローラ10aが地面に対して片当たりしないよう、支持用クローラ10aを地面に対して垂直に当てることが好ましい。図6に示した支持装置21では、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を制御して、地面に対する支持用クローラ10aの傾きを調整することになる。一方、本変形例に係る支持装置31では、回転装置回動用伸縮シリンダ32を制御して支持用クローラ10aの傾きを調整することができる。すなわち、支持装置31によると、地面に対する支持用クローラ10aの傾きが調整しやすく、回転装置10の位置決めが容易になるとともに、その結果として回転装置10をより安全に旋回させることができる。また、支持用クローラ10aの横滑りによる傾きに対して回転装置回動用伸縮シリンダ32が抵抗となり、支持用クローラ10aが傾きにくい。
【0062】
支持用クローラ10aの傾きを調整するには、回転装置回動用伸縮シリンダ32にて支持用クローラ10aの傾きを調整する。
【0063】
なお、回転装置回動用伸縮シリンダ32を用いるという本変形例の構成は、図5に示した支持装置17にも適用することができる。この場合、回転装置10の保持部材10bと箱型構造部材19bとの連結は1本の固定ピンで行う。
【0064】
(支持用クローラ部の支持反力の制御)
図8〜図10を参照しつつ、図3に示したクローラクレーン102の支持装置12の制御について説明する。
【0065】
(制御部の構成)
図8、図9に示したコントローラ37は、支持装置12を構成する伸縮シリンダ16cを制御する制御部である。また、図8、図9に示した油圧回路38は、コントローラ37からの指令に基づいて伸縮シリンダ16cへの圧油の給排を制御する油圧回路である。
【0066】
図8に示すように、ブーム4の傾斜角度θを検出するブーム角度センサ33、ブーム4の長さLを検出するブーム長さセンサ34、ガイライン13の張力Pbを検出するガイライン張力センサ35、および伸縮シリンダ16cの圧力Psを検出する伸縮シリンダ圧力センサ36からの検出信号がコントローラ37に入力される。なお、図3などにおいて、コントローラ37やブーム角度センサ33など各センサの取付箇所については図示を省略している。
【0067】
ここで、図9に示したように、コントローラ37は、支持部支持力の間接検出値を算出する支持部支持力演算部37a、支持部支持力の直接検出値を算出する支持部支持力演算部37b、支持部支持力判別部37c、および出力部37dを有する。なお、ここでいう支持部支持力とは、支持用クローラ10a部での支持反力のことをいう。
【0068】
ブーム角度センサ33、ブーム長さセンサ34、およびガイライン張力センサ35からの検出信号は、支持部支持力演算部37aに常時入力され、伸縮シリンダ圧力センサ36からの検出信号は、支持部支持力演算部37bに常時入力される。本実施形態において、伸縮シリンダ圧力センサ36は、上部旋回体3の支持状況を検出する支持状況検出手段に相当する。
【0069】
なお、支持部支持力演算部37aには、クローラクレーン102が水平な地面上で荷を吊り上げた際に生じる支持部支持力(支持用クローラ10a部での支持反力)がデータとして格納されている。この支持部支持力は、各種計算により求められた設計値である。必要に応じて、実機試験による測定結果に基づいて支持部支持力の設計値は補正される。支持部支持力演算部37aにおいては、ブーム角度センサ33およびブーム長さセンサ34からの検出信号から作業半径が算出され、ガイライン張力センサ35からの検出信号から吊上荷重が算出される。そして、算出された作業半径および吊上荷重と、支持部支持力演算部37aにあらかじめ格納されているデータとから、支持用クローラ10a部の支持部支持力(間接検出値)が算出される。
【0070】
(制御フロー)
コントローラ37は、伸縮シリンダ圧力センサ36からの信号に基づき、支持用クローラ10aが浮き側の場合は伸縮シリンダ16cを動作させて支持用クローラ10aを下方に移動させ、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側の場合は伸縮シリンダ16cを動作させて支持用クローラ10aを上方に移動させる制御を行う。図10を参照しつつこの制御のフローについて説明する。
【0071】
まず、コントローラ37の支持部支持力演算部37aは、ブーム角度θ、ブーム長さL、およびガイライン張力Pbを読み込む(ステップ1a(S1a))。そして、ブーム角度θ・ブーム長さL・ガイライン張力Pbから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する(S2a)。すなわち、クローラクレーン102の実負荷から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する。
【0072】
一方、コントローラ37の支持部支持力演算部37bは、伸縮シリンダ16cの圧力Psを読み込む(S1b)。そして、伸縮シリンダ16cの圧力Psから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fe(直接検出値)を算出する(S2b)。
【0073】
次に、支持部支持力判別部37cにて、支持部支持力Fm(間接検出値)と支持部支持力Fe(直接検出値)との大小関係が判別される(S4、S6)。そして、Fm>Feの場合は、出力部37dは、油圧回路38に対して伸縮シリンダ16cを伸ばす指令を出す(S5)。これにより、支持用クローラ10aは下降する。Fm<Feの場合は、出力部37dは、油圧回路38に対して伸縮シリンダ16cを縮ませる指令を出す(S5)。これにより、支持用クローラ10aは上昇する。Fm>Feの場合、支持用クローラ10aが浮き側にあることを意味し、Fm<Feの場合、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側にあることを意味する。
【0074】
これらステップ(S1a〜S7)が繰り返されることで、地面の凹凸に支持用クローラ10aを常に追従させることができ、その結果、支持反力を理想的な値に近づけ、その値を維持することができる。地面の凹凸などの影響を受けて、支持用クローラ10aが浮いたり、逆に支持用クローラ10aのみで突っ張ったりするのは、クレーン強度やその安定性などの面で好ましくない。本制御によると、支持用クローラ10aと地面の凹凸との関係を見極め、その結果に応じ、支持用クローラ10aを地面の凹凸に追従させ、支持反力を理想的な値に近づけることができる。
【0075】
なお、地面の凹凸に支持用クローラ10aを追従させる制御方法としては、支持用クローラ10aと地面との間の距離を算出して、算出した距離の値に基づいて支持用クローラ10aを上下動させる方法もある。例えば、支持用クローラ10aと地面との間の距離が正の値として検出されれば、伸縮シリンダ16cを伸ばして支持用クローラ10aを下降させる。なお、支持部支持力Fm(間接検出値)・支持部支持力Fe(直接検出値)という上記した支持部支持力を用いる制御によると、支持部支持力というより直接的なパラメータを用いているので、支持用クローラ10aと地面との間の距離に基づく制御よりも、支持部支持力をより確実に理想的な値に近づけることができる。
【0076】
次に、図11、図12を参照しつつ、図6に示したクローラクレーン103の支持装置21の制御について説明する。
【0077】
(制御部の構成)
図11に示したコントローラ37は、支持装置21を構成する第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を制御する制御部である。また、油圧回路38は、コントローラ37からの指令に基づいて第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28への圧油の給排を制御する油圧回路である。
【0078】
図11に示すように、ブーム4の傾斜角度θを検出するブーム角度センサ33、ブーム4の長さLを検出するブーム長さセンサ34、起伏シリンダ30の圧力Pbを検出する起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材24の傾斜角度θ1を検出する第1箱型構造部材角度センサ40、第1伸縮シリンダ25の圧力Ps1を検出する第1伸縮シリンダ圧力センサ41、第2箱型構造部材27の長さL2を検出する第2箱型構造部材長さセンサ42、および第2箱型構造部材27の傾斜角度θ2を検出する第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号がコントローラ37に入力される。
【0079】
ここで、コントローラ37は、支持部支持力の間接検出値を算出する支持部支持力演算部37a、支持部支持力の直接検出値を算出する支持部支持力演算部37b、支持部支持力判別部37c、および出力部37dを有する。なお、ここでいう支持部支持力とは、支持用クローラ10a部での支持反力のことをいう。
【0080】
ブーム角度センサ33、ブーム長さセンサ34、起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材角度センサ40、第1伸縮シリンダ圧力センサ41、第2箱型構造部材長さセンサ42、および第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号は、支持部支持力演算部37aに常時入力される。また、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの検出信号は、支持部支持力演算部37bに常時入力される。本実施形態において、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41は、上部旋回体3の支持状況を検出する支持状況検出手段に相当する。
【0081】
なお、支持部支持力演算部37aには、クローラクレーン103が水平な地面上で荷を吊り上げた際に生じる支持部支持力(支持用クローラ10a部での支持反力)がデータとして格納されている。この支持部支持力は、各種計算により求められた設計値である。必要に応じて、実機試験による測定結果に基づいて支持部支持力の設計値は補正される。
【0082】
支持部支持力演算部37aにおいては、ブーム角度センサ33およびブーム長さセンサ34からの検出信号から作業半径が算出され、第2箱型構造部材長さセンサ42および第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号から支持用クローラ10aの支持半径が算出され、起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材角度センサ40、および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの検出信号から吊上荷重が算出される。そして、算出された作業半径、支持半径および吊上荷重と、支持部支持力演算部37aにあらかじめ格納されているデータとから、支持用クローラ10a部の支持部支持力(間接検出値)が算出される。
【0083】
(制御フロー)
コントローラ37は、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの信号に基づき、支持用クローラ10aが浮き側の場合は第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を動作させて支持用クローラ10aを下方に移動させ、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側の場合は第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を動作させて支持用クローラ10aを上方に移動させる制御を行う。図12を参照しつつこの制御のフローについて説明する。
【0084】
まず、コントローラ37の支持部支持力演算部37aは、ブーム角度θ、ブーム長さL、起伏シリンダ圧力Pb、第1箱型構造部材角度θ1、第1伸縮シリンダ圧力Ps1、第2箱型構造部材長さL2、および第2箱型構造部材角度θ2を読み込む(ステップ1a(S1a))。そして、読み込んだこれらの値から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する(S2a)。すなわち、クローラクレーン103の実負荷から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する。
【0085】
一方、コントローラ37の支持部支持力演算部37bは、第1伸縮シリンダ圧力Ps1および第1箱型構造部材角度θ1を読み込む(S1b)。そして、読み込んだこれらの値からから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fe(直接検出値)を算出する(S2b)。
【0086】
次に、支持部支持力判別部37cにて、支持部支持力Fm(間接検出値)と支持部支持力Fe(直接検出値)との大小関係が判別される(S4、S6)。そして、Fm>Feの場合は、出力部37dは、支持用クローラ10aを下降させるように油圧回路38に対して指令を出す(S5)。例えば、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28をいずれも伸ばすように指令を出す。Fm<Feの場合は、出力部37dは、支持用クローラ10aを上昇させるように油圧回路38に対して指令を出す(S6)。例えば、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28をいずれも縮めるように指令を出す。Fm>Feの場合、支持用クローラ10aが浮き側にあることを意味し、Fm<Feの場合、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側にあることを意味する。
【0087】
これらステップ(S1a〜S7)が繰り返されることで、地面の凹凸に支持用クローラ10aを常に追従させることができ、その結果、支持反力を理想的な値に近づけ、その値を維持することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【符号の説明】
【0089】
1:クローラクレーン
2:下部走行体
3:上部旋回体
4:ブーム
6:旋回フレーム
7:走行用クローラ
8:支持装置
9:支持部材
10:回転装置
10a:支持用クローラ(回転体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解輸送される大型のクローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
分解輸送される大型のクローラクレーンにおいて、その吊り上げ能力を向上させるための安定装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、リング支持型のクローラクレーンが記載されている。下部走行体の周囲にリング状のレールを配置し、そのレールの上を走行する台車で上部旋回体やブームを支持している。下部走行体よりも一回り大きいリング状のレールにより上部旋回体を支持することで転倒支点が吊り上げ方向側に移動しクレーンの安定性が向上する。また、リング状のレールによりブームを支持することで上部旋回体の強度負担を緩和することができる。これらにより、クレーンの吊り上げ能力を向上させている。
【0004】
特許文献2には、カウンタバランス型のクローラクレーンが記載されている。上部旋回体の後方にカウンターウェイトを配置し、カウンターウェイトの重量でクレーンの転倒を防止している。カウンターウェイトの増量により、クレーンの吊り上げ能力を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−507529号公報
【特許文献2】特開昭61−203095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたリング支持型のクローラクレーンにおいては、下部走行体よりも一回り大きいリング状のレールを組み立てる必要があり組立工数・費用が多くかかる。また、非常に広い作業スペース(大きな設置占有面積)を確保しなければならない。さらには、リング状のレールや台車を含めると全体として重量が重くなるため輸送費が多くかかるという問題もある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたカウンタバランス型のクローラクレーンにおいても同様に、カウンターウェイトや台車を含めると全体として重量が重くなるため輸送費が多くかかる。また、旋回する上部旋回体の後方にカウンターウェイト(その台車を含む)を設置するための広い作業スペースを確保しなければならないという問題もある。
【0008】
一方、大型のクローラクレーンにおいては、その輸送性が大きな問題となる。単体輸送できる寸法重量には法的な制約があり、通常、大型のクローラクレーンは分解輸送される。左右一対設けられる走行用クローラも分解輸送されるが、クローラ片側の長さ自体制約を受けるため、吊り上げ能力確保のために走行用クローラを大きくすることは容易でない。分解輸送の際、クローラフレームを分解することは周知の通りであるが、非常に作業性の悪いものである。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組立性・輸送性に優れ、かつ狭いスペースでの作業性にも優れたクローラクレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置(アタッチメント)を旋回フレームの前方に配置することにより、前記目的を達成することができることを見出した。この知見に基づき本発明が完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、分解輸送されるクローラクレーンであって、左右一対の走行用クローラを有する下部走行体と、前記下部走行体の上に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前方に向けて当該上部旋回体の旋回フレームに起伏自在に取り付けられたブームと、前記旋回フレームの前方に配置され、前記上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置と、を備え、前記支持装置は、前記上部旋回体を支持する支持部材と、前記支持部材に連結され、旋回方向に回動する回転体を具備してなる回転装置と、を有するクローラクレーンである。
【0012】
この構成によると、追加した上記の支持装置(アタッチメント)は、特許文献1に記載されたリング状のレールよりも部品点数が少なく重量も軽い。かつ、特許文献2に記載されたカウンターウェイトよりも軽い。これらにより、本発明のクローラクレーンは、従来よりも組立性・輸送性に優れたものとなる。また、上記の支持装置は、常に、ブームの下方に位置する。そのため、上部旋回体の後方スペースなどを小さくできるので、本発明のクローラクレーンは、狭いスペースでの作業性にも優れる。
【0013】
また本発明において、前記回転体は、支持用クローラであることが好ましい。回転体としてクローラを用いることで大きな荷重を支えることができる。
【0014】
さらに本発明において、前記支持部材は、前記旋回フレームと前記回転装置とを連結する回転可能なリンク部材と、一端が前記旋回フレームに取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を上下動させる伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0015】
この構成によると、地面の凹凸に合わせて回転装置を上下動させることで、地面の凹凸に影響を受けることなく回転装置を旋回させることができる。
【0016】
さらに本発明において、前記支持部材は、前記旋回フレームと前記回転装置とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材と、前記箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0017】
この構成によると、クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、箱型構造部材を縮めて支持装置の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。
【0018】
さらに本発明において、前記ブームは、箱型の伸縮ブームであって、前記支持部材は、前記伸縮ブームを下から支持する第1支持部材と、前記旋回フレームの前部に取り付けられた第2支持部材とからなり、前記第1支持部材は、前記伸縮ブームと前記回転装置とを連結する上下方向に伸縮可能な第1箱型構造部材と、前記第1箱型構造部材の内側に配置され、前記回転装置を上下動させる第1伸縮シリンダと、を有し、前記第2支持部材は、前記旋回フレームと前記回転体とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材と、前記第2箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる第2伸縮シリンダと、を有することが好ましい。
【0019】
この構成によると、2つの支持部材で上部旋回体を支持しているのでその支持がより安定する。また、クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、回転装置を上部旋回体側に位置変位させて支持装置の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。
【0020】
さらに本発明において、前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材と前記回転装置とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピンを介して連結されており、前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材に一端が取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を前記固定ピンまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダをさらに備えていることが好ましい。
【0021】
この構成によると、地面に対する回転体の傾きが調整しやすく、回転装置の位置決めが容易になるとともに、回転装置をより安全に旋回させることができる。
【0022】
さらに本発明において、前記支持装置による前記上部旋回体の支持状況を検出する支持状況検出手段と、前記伸縮シリンダを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記支持状況検出手段からの信号に基づき、前記回転体が浮き側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を下方に移動させ、前記回転体が地面に対して押付け側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を上方に移動させることが好ましい。
【0023】
この構成によると、地面の凹凸に回転体を追従させることができ、支持反力を理想的な値に近づけることができる。
【0024】
さらに本発明において、前記制御部は、当該クローラクレーンの実負荷から算出された前記回転体部分の間接検出支持反力と、前記支持状況検出手段からの信号から算出された前記回転体部分の直接検出支持反力とを比較して、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも小さい場合は前記回転体を下方に移動させ、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも大きい場合は前記回転体を上方に移動させることが好ましい。
【0025】
地面の凹凸に回転体を追従させる制御方法としては、他に、回転体と地面との間の距離を算出して、算出した距離の値に基づいて回転体を上下動させる方法もある。一方、間接検出支持反力・直接検出支持反力という上記した支持反力を用いる制御によると、支持反力というより直接的なパラメータを用いているので、回転体と地面との間の距離に基づく制御よりも、支持反力をより確実に理想的な値に近づけることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、組立性・輸送性に優れ、かつ狭いスペースでの作業性にも優れたクローラクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図2】図1に示したクローラクレーンの正面図である。
【図3】図1に示したクローラクレーンの第1変形例に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図4】図3の支持装置部分の拡大図である。
【図5】図1に示したクローラクレーンの第2変形例に係るクローラクレーンの支持装置部分の拡大側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るクローラクレーンの一部切り欠き側面図である。
【図7】図6に示したクローラクレーンの変形例に係るクローラクレーンの支持装置部分の一部拡大側面図である。
【図8】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御回路図である。
【図9】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御系統図である。
【図10】図3に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御フローチャートである。
【図11】図6に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御系統図である。
【図12】図6に示したクローラクレーンの支持装置部分の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。下記の実施形態記載のクローラクレーンは、いずれも分解輸送される大型のクレーンである。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、クローラクレーン1は、左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置された支持装置8とを備えている。
【0030】
旋回フレーム6の上にはガントリ15が設けられており、ブーム4は、その先端部とガントリ15との間にかけ渡されたガイライン13および起伏ロープ14によって起伏自在とされている。ブーム4は、ラチス型ブームである。旋回フレーム6の前部には運転室5が設けられている。
【0031】
(支持装置)
支持装置8は、上部旋回体3を支持してクレーンの安定性を図るための装置(アタッチメント)である(換言すれば、クレーンの吊り上げ能力を向上させるための装置である)。支持装置8は、上部旋回体3を支持する支持部材9と、支持部材9に連結された回転装置10とを有する。クローラクレーン1の正面図を図2に示したように、正面視において、支持装置8は、クローラクレーン1の中央部に配置されている。
【0032】
支持装置8を構成する支持部材9は、左右一対の板状のプレート9aからなる。プレート9aの形状は矩形であり、その高さ(幅)寸法は、旋回フレーム6のプレート部の高さ(幅)寸法とほぼ等しい。プレート9aは、固定ピン11a・11bで旋回フレーム6の先端部に固定されている。
【0033】
また、回転装置10は、上部旋回体3の旋回方向に回動する支持用クローラ10a(無限軌道)と、支持用クローラ10aを保持する保持部材10bとを具備してなる。回転装置10は、固定ピン11c・11dでプレート9aの端部に固定されている。
【0034】
このような構成で、支持装置8は、上部旋回体3を直接支持しつつ当該上部旋回体3とともにその旋回方向に向かって走行可能となっている。
【0035】
支持装置8(アタッチメント)により、クレーンの転倒支点が吊り上げ方向側に移動するので、クレーンの安定性が向上する(換言すれば、クレーンの吊り上げ能力が向上する)。ここで、支持装置8は、特許文献1に記載されたリング状のレールよりも部品点数が少なく重量も軽い。かつ、特許文献2に記載されたカウンターウェイトよりも軽い。すなわち、支持装置8は、特許文献1や2に記載された安定装置よりも組立性・輸送性に優れている。したがい、クローラクレーン1は、特許文献1や2に記載されたクローラクレーンよりも組立性・輸送性に優れたものとなる。
【0036】
また、支持装置8は、上部旋回体3とともにその旋回方向に移動するので、常に、ブーム4の下方に位置する。そのため、例えば、特許文献2に記載されたカウンタバランス型のクローラクレーンに比べて、上部旋回体3の後方スペースを小さくできる。これにより、本発明のクローラクレーン1は、狭いスペースでの作業性にも優れる。さらには、回転装置10を構成する回転体としてクローラ(支持用クローラ10a)を用いることで、例えば回転体としてタイヤを用いる場合に比べて、本実施形態の支持装置8はより大きな荷重を支えることができる。なお、吊り荷重が大きい大型のクローラクレーンにおいては、支持装置8に作用する荷重も大きくなるので、回転体としてクローラ(無限軌道)を用いることが好ましいが、支持装置に作用する荷重によってはタイヤを用いることもできる。
【0037】
(第1変形例)
次に、図3および図4を参照しつつ、第1変形例に係るクローラクレーン102について説明する。
【0038】
第1実施形態に係るクローラクレーン1と、本変形例に係るクローラクレーン102との違いは、上部旋回体3の支持装置の構成である。
【0039】
本変形例に係るクローラクレーン102の支持装置12は、上部旋回体3を支持する支持部材16と、支持部材16に連結された回転装置10とを有する。
【0040】
ここで、本変形例に係る支持部材16は、上下に配置される板状のリンク部材16a・16bと、伸縮シリンダ16cとを具備してなる。伸縮シリンダ16cは、回転装置10を上下動させるためのものである。
【0041】
リンク部材16a・16bは、第1実施形態に係るプレート9aよりも細長い形状であり、1組のリンク部材16a・16bで、プレート9aと同等の強度となる構造部材である。リンク部材16a・16bは、それぞれ、左右一対で構成される。左右一対のリンク部材16aは、固定ピン11aで旋回フレーム6の先端上部に固定されている。左右一対のリンク部材16bは、固定ピン11bで旋回フレーム6の先端下部に固定されている。回転装置10は、固定ピン11cでリンク部材16bの端部に固定され、かつ、固定ピン11dでリンク部材16cの端部に固定されている。なお、固定ピン11a〜11dは、旋回フレーム6の左右方向がその軸方向となるように差し込まれる。
【0042】
左右一対のリンク部材16aの間であるとともに左右一対のリンク部材16bの間には、伸縮シリンダ16cが配置されている。伸縮シリンダ16cは、側面視において斜めに配置され、その高い側である一端が固定ピン11aで旋回フレーム6に取り付けられ、低い側である他端が回転装置10の保持部材10bに固定ピン11dで取り付けられている。
【0043】
伸縮シリンダ16cを伸縮させると、回転装置10がリンク部材16a・16bに対して固定ピン11c・11dまわりに回動するとともに、リンク部材16a・16bが旋回フレーム6に対して、それぞれ、固定ピン11a・11bまわりに回動することにより、回転装置10は、その水平姿勢を保ったまま上下動する。地面の凹凸に合わせて回転装置10を上下動させることで、地面の凹凸に影響を受けることなく回転装置10を上部旋回体3とともに旋回させることができる。
【0044】
(第2変形例)
次に、図5を参照しつつ、第2変形例に係るクローラクレーンについて説明する。本変形例に係るクローラクレーンの支持装置17は、上部旋回体3を支持する支持部材18と、支持部材18に連結された回転装置10とを有する。
【0045】
ここで、本変形例に係る支持部材18は、旋回フレーム6に対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材19と、箱型構造部材19の内側に配置された伸縮シリンダ20とを具備してなる。伸縮シリンダ20は、回転装置10を前後方向に位置変位させるためのものである。
【0046】
箱型構造部材19は、2本の箱型構造部材19a・19bからなり、大径の箱型構造部材19aの内側に小径の箱型構造部材19bが緩挿されたものである。箱型構造部材19aは、固定ピン11a・11bで旋回フレーム6の先端部に固定されている。回転装置10は、固定ピン11c・11dで箱型構造部材19bの端部に固定されている。
【0047】
伸縮シリンダ20のうち一方の可動部は固定ピン20aで箱型構造部材19aに取り付けられ、他方の可動部は固定ピン20bで箱型構造部材19bに取り付けられている。
【0048】
伸縮シリンダ20を伸縮させると、箱型構造部材19bが前後方向に伸縮し、これにより、回転装置10は旋回フレーム6に対して前後方向に位置変位する。第2変形例に係る支持装置17を備えるクローラクレーンによると、当該クローラクレーンにおいて大きな安定度が必要でない場合は、箱型構造部材19bを縮めて支持装置17の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性を向上させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図6を参照しつつ、第2実施形態に係るクローラクレーン103について説明する。図6に示すように、クローラクレーン103は、左右一対の走行用クローラ7を有する下部走行体2と、下部走行体2の上に取り付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前方に向けて当該上部旋回体3の旋回フレーム6に起伏自在に取り付けられたブーム4と、旋回フレーム6の前方に配置された支持装置21とを備えている。
【0050】
旋回フレーム6の上には起伏シリンダ30が設けられており、ブーム4は、起伏シリンダ30によって起伏自在とされている。ブーム4は、箱型の伸縮ブームである。旋回フレーム6の前部には運転室5が設けられている。
【0051】
(支持装置)
本実施形態の支持装置21は、第1支持部材22と第2支持部材23とからなる支持部材と、当該支持部材に連結された回転装置10とを有する。第1支持部材22は、ブーム4を下から支持することにより間接的に上部旋回体3を支持する部材であり、第2支持部材23は、旋回フレーム6の前部に取り付けられることで上部旋回体3を直接支持する部材である。なお、強度上、支障がなければ、第2支持部材23はなくてもよい。
【0052】
第1支持部材22は、上下方向に伸縮可能に配置された第1箱型構造部材24と、第1箱型構造部材24の内側に配置された第1伸縮シリンダ25とを具備してなる。第1伸縮シリンダ25は、回転装置10を上下動させるためのものである。
【0053】
第1箱型構造部材24は、3本の箱型構造部材24a・24b・24cからなり、大径の箱型構造部材24aの内側に中径の箱型構造部材24bが緩挿されるとともに、当該箱型構造部材24bの内側に小径の箱型構造部材24cが緩挿されたものである。箱型構造部材24aは、固定ピン26aでブーム4の下のブラケットに固定されている。回転装置10は、固定ピン26bで箱型構造部材24cの端部に固定されている。
【0054】
第1伸縮シリンダ25は、固定ピン25a・25b・25cで、3本の箱型構造部材24a・24b・24cに取り付けられている。
【0055】
第2支持部材23は、旋回フレーム6に対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材27と、第2箱型構造部材27の内側に配置された第2伸縮シリンダ28とを具備してなる。第2伸縮シリンダ28は、回転装置10を前後方向に位置変位させるためのものである。
【0056】
第2箱型構造部材27は、2本の箱型構造部材27a・27bからなり、大径の箱型構造部材27aの内側に小径の箱型構造部材27bが緩挿されたものである。箱型構造部材27aは、固定ピン29aで旋回フレーム6の先端部に固定されている。回転装置10は、固定ピン29bで箱型構造部材27bの端部に固定されている。
【0057】
第2伸縮シリンダ28は、固定ピン28a・28bで、2本の箱型構造部材27a・27bに取り付けられている。
【0058】
本実施形態によると、第1支持部材22・第2支持部材23という2つの支持部材で上部旋回体3を支持するのでその支持がより安定する。また、クローラクレーン103において大きな安定度が必要でない場合は、回転装置10を上部旋回体3側に位置変位させて支持装置21の占有面積を小さくすることで、狭いスペースでの作業性をより向上させることができる。なお、例えば、箱型構造部材27bを縮めるとともに箱型構造部材24b・24cを伸ばすことで、回転装置10を上部旋回体3側に位置変位させることができる。
【0059】
(変形例)
次に、図7を参照しつつ、第2実施形態に係るクローラクレーン103の支持装置21の変形例について説明する。本変形例に係る支持装置31と前記した支持装置21との相違点は、支持装置31が、回転装置回動用伸縮シリンダ32をさらに具備してなる点である。
【0060】
第2箱型構造部材27と回転装置10とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピン29bを介して連結されている。ここで、固定ピン29bに対して斜め下方には、回転装置10を固定ピン29bまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダ32が配置されている。回転装置回動用伸縮シリンダ32の一端は、第2箱型構造部材27の箱型構造部材27bに固定ピン32aで取り付けられ、他端は、回転装置10の保持部材10bに固定ピン32bで取り付けられている。
【0061】
ここで、支持用クローラ10aの強度面での保護などの観点から、支持用クローラ10aが地面に対して片当たりしないよう、支持用クローラ10aを地面に対して垂直に当てることが好ましい。図6に示した支持装置21では、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を制御して、地面に対する支持用クローラ10aの傾きを調整することになる。一方、本変形例に係る支持装置31では、回転装置回動用伸縮シリンダ32を制御して支持用クローラ10aの傾きを調整することができる。すなわち、支持装置31によると、地面に対する支持用クローラ10aの傾きが調整しやすく、回転装置10の位置決めが容易になるとともに、その結果として回転装置10をより安全に旋回させることができる。また、支持用クローラ10aの横滑りによる傾きに対して回転装置回動用伸縮シリンダ32が抵抗となり、支持用クローラ10aが傾きにくい。
【0062】
支持用クローラ10aの傾きを調整するには、回転装置回動用伸縮シリンダ32にて支持用クローラ10aの傾きを調整する。
【0063】
なお、回転装置回動用伸縮シリンダ32を用いるという本変形例の構成は、図5に示した支持装置17にも適用することができる。この場合、回転装置10の保持部材10bと箱型構造部材19bとの連結は1本の固定ピンで行う。
【0064】
(支持用クローラ部の支持反力の制御)
図8〜図10を参照しつつ、図3に示したクローラクレーン102の支持装置12の制御について説明する。
【0065】
(制御部の構成)
図8、図9に示したコントローラ37は、支持装置12を構成する伸縮シリンダ16cを制御する制御部である。また、図8、図9に示した油圧回路38は、コントローラ37からの指令に基づいて伸縮シリンダ16cへの圧油の給排を制御する油圧回路である。
【0066】
図8に示すように、ブーム4の傾斜角度θを検出するブーム角度センサ33、ブーム4の長さLを検出するブーム長さセンサ34、ガイライン13の張力Pbを検出するガイライン張力センサ35、および伸縮シリンダ16cの圧力Psを検出する伸縮シリンダ圧力センサ36からの検出信号がコントローラ37に入力される。なお、図3などにおいて、コントローラ37やブーム角度センサ33など各センサの取付箇所については図示を省略している。
【0067】
ここで、図9に示したように、コントローラ37は、支持部支持力の間接検出値を算出する支持部支持力演算部37a、支持部支持力の直接検出値を算出する支持部支持力演算部37b、支持部支持力判別部37c、および出力部37dを有する。なお、ここでいう支持部支持力とは、支持用クローラ10a部での支持反力のことをいう。
【0068】
ブーム角度センサ33、ブーム長さセンサ34、およびガイライン張力センサ35からの検出信号は、支持部支持力演算部37aに常時入力され、伸縮シリンダ圧力センサ36からの検出信号は、支持部支持力演算部37bに常時入力される。本実施形態において、伸縮シリンダ圧力センサ36は、上部旋回体3の支持状況を検出する支持状況検出手段に相当する。
【0069】
なお、支持部支持力演算部37aには、クローラクレーン102が水平な地面上で荷を吊り上げた際に生じる支持部支持力(支持用クローラ10a部での支持反力)がデータとして格納されている。この支持部支持力は、各種計算により求められた設計値である。必要に応じて、実機試験による測定結果に基づいて支持部支持力の設計値は補正される。支持部支持力演算部37aにおいては、ブーム角度センサ33およびブーム長さセンサ34からの検出信号から作業半径が算出され、ガイライン張力センサ35からの検出信号から吊上荷重が算出される。そして、算出された作業半径および吊上荷重と、支持部支持力演算部37aにあらかじめ格納されているデータとから、支持用クローラ10a部の支持部支持力(間接検出値)が算出される。
【0070】
(制御フロー)
コントローラ37は、伸縮シリンダ圧力センサ36からの信号に基づき、支持用クローラ10aが浮き側の場合は伸縮シリンダ16cを動作させて支持用クローラ10aを下方に移動させ、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側の場合は伸縮シリンダ16cを動作させて支持用クローラ10aを上方に移動させる制御を行う。図10を参照しつつこの制御のフローについて説明する。
【0071】
まず、コントローラ37の支持部支持力演算部37aは、ブーム角度θ、ブーム長さL、およびガイライン張力Pbを読み込む(ステップ1a(S1a))。そして、ブーム角度θ・ブーム長さL・ガイライン張力Pbから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する(S2a)。すなわち、クローラクレーン102の実負荷から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する。
【0072】
一方、コントローラ37の支持部支持力演算部37bは、伸縮シリンダ16cの圧力Psを読み込む(S1b)。そして、伸縮シリンダ16cの圧力Psから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fe(直接検出値)を算出する(S2b)。
【0073】
次に、支持部支持力判別部37cにて、支持部支持力Fm(間接検出値)と支持部支持力Fe(直接検出値)との大小関係が判別される(S4、S6)。そして、Fm>Feの場合は、出力部37dは、油圧回路38に対して伸縮シリンダ16cを伸ばす指令を出す(S5)。これにより、支持用クローラ10aは下降する。Fm<Feの場合は、出力部37dは、油圧回路38に対して伸縮シリンダ16cを縮ませる指令を出す(S5)。これにより、支持用クローラ10aは上昇する。Fm>Feの場合、支持用クローラ10aが浮き側にあることを意味し、Fm<Feの場合、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側にあることを意味する。
【0074】
これらステップ(S1a〜S7)が繰り返されることで、地面の凹凸に支持用クローラ10aを常に追従させることができ、その結果、支持反力を理想的な値に近づけ、その値を維持することができる。地面の凹凸などの影響を受けて、支持用クローラ10aが浮いたり、逆に支持用クローラ10aのみで突っ張ったりするのは、クレーン強度やその安定性などの面で好ましくない。本制御によると、支持用クローラ10aと地面の凹凸との関係を見極め、その結果に応じ、支持用クローラ10aを地面の凹凸に追従させ、支持反力を理想的な値に近づけることができる。
【0075】
なお、地面の凹凸に支持用クローラ10aを追従させる制御方法としては、支持用クローラ10aと地面との間の距離を算出して、算出した距離の値に基づいて支持用クローラ10aを上下動させる方法もある。例えば、支持用クローラ10aと地面との間の距離が正の値として検出されれば、伸縮シリンダ16cを伸ばして支持用クローラ10aを下降させる。なお、支持部支持力Fm(間接検出値)・支持部支持力Fe(直接検出値)という上記した支持部支持力を用いる制御によると、支持部支持力というより直接的なパラメータを用いているので、支持用クローラ10aと地面との間の距離に基づく制御よりも、支持部支持力をより確実に理想的な値に近づけることができる。
【0076】
次に、図11、図12を参照しつつ、図6に示したクローラクレーン103の支持装置21の制御について説明する。
【0077】
(制御部の構成)
図11に示したコントローラ37は、支持装置21を構成する第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を制御する制御部である。また、油圧回路38は、コントローラ37からの指令に基づいて第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28への圧油の給排を制御する油圧回路である。
【0078】
図11に示すように、ブーム4の傾斜角度θを検出するブーム角度センサ33、ブーム4の長さLを検出するブーム長さセンサ34、起伏シリンダ30の圧力Pbを検出する起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材24の傾斜角度θ1を検出する第1箱型構造部材角度センサ40、第1伸縮シリンダ25の圧力Ps1を検出する第1伸縮シリンダ圧力センサ41、第2箱型構造部材27の長さL2を検出する第2箱型構造部材長さセンサ42、および第2箱型構造部材27の傾斜角度θ2を検出する第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号がコントローラ37に入力される。
【0079】
ここで、コントローラ37は、支持部支持力の間接検出値を算出する支持部支持力演算部37a、支持部支持力の直接検出値を算出する支持部支持力演算部37b、支持部支持力判別部37c、および出力部37dを有する。なお、ここでいう支持部支持力とは、支持用クローラ10a部での支持反力のことをいう。
【0080】
ブーム角度センサ33、ブーム長さセンサ34、起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材角度センサ40、第1伸縮シリンダ圧力センサ41、第2箱型構造部材長さセンサ42、および第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号は、支持部支持力演算部37aに常時入力される。また、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの検出信号は、支持部支持力演算部37bに常時入力される。本実施形態において、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41は、上部旋回体3の支持状況を検出する支持状況検出手段に相当する。
【0081】
なお、支持部支持力演算部37aには、クローラクレーン103が水平な地面上で荷を吊り上げた際に生じる支持部支持力(支持用クローラ10a部での支持反力)がデータとして格納されている。この支持部支持力は、各種計算により求められた設計値である。必要に応じて、実機試験による測定結果に基づいて支持部支持力の設計値は補正される。
【0082】
支持部支持力演算部37aにおいては、ブーム角度センサ33およびブーム長さセンサ34からの検出信号から作業半径が算出され、第2箱型構造部材長さセンサ42および第2箱型構造部材角度センサ43からの検出信号から支持用クローラ10aの支持半径が算出され、起伏シリンダ圧力センサ39、第1箱型構造部材角度センサ40、および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの検出信号から吊上荷重が算出される。そして、算出された作業半径、支持半径および吊上荷重と、支持部支持力演算部37aにあらかじめ格納されているデータとから、支持用クローラ10a部の支持部支持力(間接検出値)が算出される。
【0083】
(制御フロー)
コントローラ37は、第1箱型構造部材角度センサ40および第1伸縮シリンダ圧力センサ41からの信号に基づき、支持用クローラ10aが浮き側の場合は第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を動作させて支持用クローラ10aを下方に移動させ、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側の場合は第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28を動作させて支持用クローラ10aを上方に移動させる制御を行う。図12を参照しつつこの制御のフローについて説明する。
【0084】
まず、コントローラ37の支持部支持力演算部37aは、ブーム角度θ、ブーム長さL、起伏シリンダ圧力Pb、第1箱型構造部材角度θ1、第1伸縮シリンダ圧力Ps1、第2箱型構造部材長さL2、および第2箱型構造部材角度θ2を読み込む(ステップ1a(S1a))。そして、読み込んだこれらの値から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する(S2a)。すなわち、クローラクレーン103の実負荷から支持用クローラ10a部の支持部支持力Fm(間接検出値)を算出する。
【0085】
一方、コントローラ37の支持部支持力演算部37bは、第1伸縮シリンダ圧力Ps1および第1箱型構造部材角度θ1を読み込む(S1b)。そして、読み込んだこれらの値からから支持用クローラ10a部の支持部支持力Fe(直接検出値)を算出する(S2b)。
【0086】
次に、支持部支持力判別部37cにて、支持部支持力Fm(間接検出値)と支持部支持力Fe(直接検出値)との大小関係が判別される(S4、S6)。そして、Fm>Feの場合は、出力部37dは、支持用クローラ10aを下降させるように油圧回路38に対して指令を出す(S5)。例えば、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28をいずれも伸ばすように指令を出す。Fm<Feの場合は、出力部37dは、支持用クローラ10aを上昇させるように油圧回路38に対して指令を出す(S6)。例えば、第1伸縮シリンダ25および第2伸縮シリンダ28をいずれも縮めるように指令を出す。Fm>Feの場合、支持用クローラ10aが浮き側にあることを意味し、Fm<Feの場合、支持用クローラ10aが地面に対して押付け側にあることを意味する。
【0087】
これらステップ(S1a〜S7)が繰り返されることで、地面の凹凸に支持用クローラ10aを常に追従させることができ、その結果、支持反力を理想的な値に近づけ、その値を維持することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【符号の説明】
【0089】
1:クローラクレーン
2:下部走行体
3:上部旋回体
4:ブーム
6:旋回フレーム
7:走行用クローラ
8:支持装置
9:支持部材
10:回転装置
10a:支持用クローラ(回転体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解輸送されるクローラクレーンであって、
左右一対の走行用クローラを有する下部走行体と、
前記下部走行体の上に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体の前方に向けて当該上部旋回体の旋回フレームに起伏自在に取り付けられたブームと、
前記旋回フレームの前方に配置され、前記上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置と、
を備え、
前記支持装置は、
前記上部旋回体を支持する支持部材と、
前記支持部材に連結され、旋回方向に回動する回転体を具備してなる回転装置と、
を有する、クローラクレーン。
【請求項2】
請求項1に記載のクローラクレーンにおいて、
前記回転体は、支持用クローラであることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転装置とを連結する回転可能なリンク部材と、
一端が前記旋回フレームに取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を上下動させる伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項4】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転装置とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材と、
前記箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項5】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記ブームは、箱型の伸縮ブームであって、
前記支持部材は、前記伸縮ブームを下から支持する第1支持部材と、前記旋回フレームの前部に取り付けられた第2支持部材とからなり、
前記第1支持部材は、
前記伸縮ブームと前記回転装置とを連結する上下方向に伸縮可能な第1箱型構造部材と、
前記第1箱型構造部材の内側に配置され、前記回転装置を上下動させる第1伸縮シリンダと、
を有し、
前記第2支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転体とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材と、
前記第2箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる第2伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項6】
請求項4または5に記載のクローラクレーンにおいて、
前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材と前記回転装置とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピンを介して連結されており、
前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材に一端が取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を前記固定ピンまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダをさらに備えていることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項7】
請求項3または5に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持装置による前記上部旋回体の支持状況を検出する支持状況検出手段と、
前記伸縮シリンダを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記支持状況検出手段からの信号に基づき、前記回転体が浮き側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を下方に移動させ、前記回転体が地面に対して押付け側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を上方に移動させることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項8】
請求項7に記載のクローラクレーンにおいて、
前記制御部は、当該クローラクレーンの実負荷から算出された前記回転体部分の間接検出支持反力と、前記支持状況検出手段からの信号から算出された前記回転体部分の直接検出支持反力とを比較して、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも小さい場合は前記回転体を下方に移動させ、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも大きい場合は前記回転体を上方に移動させることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項1】
分解輸送されるクローラクレーンであって、
左右一対の走行用クローラを有する下部走行体と、
前記下部走行体の上に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体の前方に向けて当該上部旋回体の旋回フレームに起伏自在に取り付けられたブームと、
前記旋回フレームの前方に配置され、前記上部旋回体を支持しつつ当該上部旋回体とともにその旋回方向に走行可能な支持装置と、
を備え、
前記支持装置は、
前記上部旋回体を支持する支持部材と、
前記支持部材に連結され、旋回方向に回動する回転体を具備してなる回転装置と、
を有する、クローラクレーン。
【請求項2】
請求項1に記載のクローラクレーンにおいて、
前記回転体は、支持用クローラであることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転装置とを連結する回転可能なリンク部材と、
一端が前記旋回フレームに取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を上下動させる伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項4】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転装置とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な箱型構造部材と、
前記箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項5】
請求項1または2に記載のクローラクレーンにおいて、
前記ブームは、箱型の伸縮ブームであって、
前記支持部材は、前記伸縮ブームを下から支持する第1支持部材と、前記旋回フレームの前部に取り付けられた第2支持部材とからなり、
前記第1支持部材は、
前記伸縮ブームと前記回転装置とを連結する上下方向に伸縮可能な第1箱型構造部材と、
前記第1箱型構造部材の内側に配置され、前記回転装置を上下動させる第1伸縮シリンダと、
を有し、
前記第2支持部材は、
前記旋回フレームと前記回転体とを連結するとともに当該旋回フレームに対して前後方向に伸縮可能な第2箱型構造部材と、
前記第2箱型構造部材の内側に配置され、前記旋回フレームに対して前後方向に前記回転装置を位置変位させる第2伸縮シリンダと、
を有することを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項6】
請求項4または5に記載のクローラクレーンにおいて、
前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材と前記回転装置とは相互の端部が重ね合わせられて固定ピンを介して連結されており、
前後方向に伸縮可能な前記箱型構造部材に一端が取り付けられるとともに他端が前記回転装置に取り付けられ、前記回転装置を前記固定ピンまわりに回動させる回転装置回動用伸縮シリンダをさらに備えていることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項7】
請求項3または5に記載のクローラクレーンにおいて、
前記支持装置による前記上部旋回体の支持状況を検出する支持状況検出手段と、
前記伸縮シリンダを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記支持状況検出手段からの信号に基づき、前記回転体が浮き側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を下方に移動させ、前記回転体が地面に対して押付け側の場合は前記伸縮シリンダを動作させて前記回転体を上方に移動させることを特徴とする、クローラクレーン。
【請求項8】
請求項7に記載のクローラクレーンにおいて、
前記制御部は、当該クローラクレーンの実負荷から算出された前記回転体部分の間接検出支持反力と、前記支持状況検出手段からの信号から算出された前記回転体部分の直接検出支持反力とを比較して、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも小さい場合は前記回転体を下方に移動させ、直接検出支持反力が間接検出支持反力よりも大きい場合は前記回転体を上方に移動させることを特徴とする、クローラクレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−235978(P2011−235978A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106585(P2010−106585)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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