説明

クーラントを冷却する装置

本発明は、クーラントを、別の流体との熱交換により冷却する装置(1,11)に関するものであり、前記装置は、入口と、少なくとも2つの出口(3,4)とを備え、これらの出口は前記クーラントの過冷却のために異なる高さに配設されている。前記装置(1,11)は、該装置が、少なくとも2つのモジュール(5,6)を含むモジュラー構造を備え、各モジュール(5,6)が、少なくとも1つの出口(3,4)を含むことを特徴とし、両方のモジュール(5,6)を、第1モジュールの雄端部(7)を第2モジュール(5)の相互嵌合形状の雌端部(8)に挿入により連係させて油圧により接続合体されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼エンジンまたは電気モータ内に形成されるダクトを通過する際に熱エネルギーを回収する伝熱流体またはクーラントの技術分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、モータに備え付けられる空冷式/液冷式の冷却装置を目的とし、クーラントの冷却に用いられる空気は、普通車両のラジエーターグリルから取り込まれる大気である。
【背景技術】
【0003】
一般的に、特に種々の段階で、種々の温度のクーラントを取り込む非常に多くの冷却装置が存在する。このような装置は、特に、本出願人によるフランス特許第2,815,402号に記載されている。
【0004】
この特許文献には実際、1つの入口、及び異なる高さの2つの出口を備える冷却装置が記述されている。このような装置は一体型構造を有し、かつ分解することができない。
【0005】
しかしながら、このタイプの構造は、特定の使用条件下では、該構造によって熱衝撃が発生し、この熱衝撃により装置が損壊し、装置漏れが生じるので問題であることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】フランス特許第2,815,402号
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の第1の目的は、膨張現象を補償して、2つの組み付けモジュールがぶつかる接続部での漏れを回避することにある。
【0008】
外部ホースを介して一括接続される幾つかの隔離された熱交換器により作製される冷却装置も知られている。しかしながら、この装置は、当該装置が占有する空間の大きさ、並びに設置コスト及びメンテナンスコストの点において、非常に多くの不具合を有する。
【0009】
問題は、このような外部ホースの寿命が短く、かつ外部ホースが劣化して漏れを生じる恐れがあることである。
【0010】
従って、本発明の第2の目的は、中間部品が無くても済むようにすることによりコンパクトで安価になり、かつ経時的に堅牢な冷却装置を作製することにある。
【0011】
従って、本発明は、クーラントを、別の流体との熱交換により冷却する冷却装置に関するものであり、前記冷却装置は、入口と、少なくとも2つの出口とを備え、これらの出口を異なる高さに配置することにより、前記クーラントの過冷却を可能にする。
【0012】
本発明によれば、前記装置は、該装置が、少なくとも2つのモジュールから成るモジュラー構造を備え、各モジュールが、少なくとも1つの出口を含むことを特徴とし、前記2つのモジュールが、第1モジュールの端部雄継手を第2モジュールに属する相互嵌合形状の端部雌継手に押し込み嵌合させて油圧により接続合体されていることを特徴とする。
【0013】
別の表現をすると、このような冷却装置は、溶接作業、または一連の外部ホースを使用した接続作業を必要とすることなく、少なくとも2つのモジュールを組み付ける/少なくとも2つのモジュールに分解することができる。これらの2つのモジュールを油圧により直列に接続するためには、端部雄継手及び端部雌継手を単に嵌め込み合体させるだけで十分である。
【0014】
有利な点として、前記2つのモジュールの前記端部雄継手及び前記端部雌継手は、互いに対向する前記2つのモジュールの対向面に配設することができる。従って、これらの2つの端部雄継手及び端部雌継手を押し込み合体させると、互いに対向する、底面及び上面であってもよい、2つのモジュールの面がより近づく。このようにして、一旦、2つのモジュールを押し込み嵌合させて合体させると、端部雄継手及び端部雌継手は見えなくなり、かつ冷却装置が形成する容積部分から突出することがない。
【0015】
実際には、前記2つのモジュールの前記端部雄継手及び前記端部雌継手はそれぞれ、円筒形状を有する。
【0016】
その結果、これらの2つのモジュールを押し込み嵌合させて合体させることにより、押し込み嵌合方向に直交する平面における2自由度の並進移動を行なわなくても済み、かつこの方向の軸の回りの回転の可能性を残すことができる。従って、これらの2つのモジュールは、並進移動を行なうとともに、必要に応じて、同じ軸の回りの回転を行なうことにより、押し込み嵌合させて合体させることができる。
【0017】
特定の一実施形態によれば、前記冷却装置は、前記端部雄継手と前記端部雌継手との接続部にO−リングシール部を備えることができる。このようなO−リングによって、シール部を形成して、円形の線接触部を端部雄継手の外側、及び端部雌継手の内側にそれぞれ形成することができる。このようなO−リングは普通、端部雄継手の表面に形成される円形溝内に配される。
【0018】
有利な点として、端部雌継手を含む前記モジュールは、前記端部雌継手と同軸に延びるチューブを含むことができる。
【0019】
従って、使用する細長チューブによって変わるが、第1モジュール内のクーラントをメイン出口に邪魔されない領域から取り出すことができる。
【0020】
実際、前記冷却装置は、前記2つのモジュールを差し込み接続によって一括固定することができる固定化手段を備えることができる。このような固定化手段は、具体的には、クリップの形態を採るが、これらの2つのモジュールを必要に応じて互いから切り離すことができる、ネジ、スタッド、または可逆性圧着端子の形態を採ることもできる。
【0021】
特定の一実施形態によれば、前記2つのモジュールはエアギャップによって分離することができる。従って、これらの2つのモジュールの間に熱橋が形成されて、該装置に、熱衝撃に耐える非常に高い能力を付与する。具体的には、これらの2つのモジュールは、これらのモジュールを組み付ける際の応力がモジュール内に追加されて生じることなく、互いに対して自由に膨張することができる。
【0022】
本発明、及び結果として得られる本発明の利点を実施する方法は、純粋に非制限的な説明を通して、図1及び図2を援用しながら提示される以下の実施形態に関する記述から明らかになり、これらの図には、本発明による装置の2つの別の形態が端面図として描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明による装置の一形態を端面図として描いている。
【図2】図2は、本発明による装置の別の形態を端面図として描いている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
既に述べたように、本発明はクーラントを冷却する装置に関するものである。
【0025】
図1及び図2に示すように、このような冷却装置(1,11)は、普通はホースを介して、燃焼エンジンのような熱源に接続される入口(2)を含む。当該装置は更に、該装置における異なる高さに配置される2つの出口(3,4)を備えるので、クーラントを必要に応じて異なる温度で取り出すことができる。
【0026】
このような冷却装置(1,11)は更に、少なくとも2つのモジュール(5,6)から成るモジュラー構造を備え、これらのモジュールを押し込み嵌合させることにより、互いに油圧接続することができる。従って、各モジュール(5,6)は出口(3,4)を含み、この出口(3,4)もまたホースを使用して接続されて、冷却装置を1つ以上の付属装置に接続している。
【0027】
2つのモジュール(5,6)の間の油圧接続はまた、第1モジュール(6)に位置する端部雄継手(7)を第2モジュール(5)に位置する端部雌継手(8)に押し込むことにより可能になる。図示のように、これらの端部雄継手(7)及び端部雌継手(8)は、種々の入口(2)及び出口(3,4)が1つの同じ平面に位置するように、2つのモジュール(5,6)の下面及び上面にそれぞれ配置される。しかしながら、他の別の形態を想到することができ、本発明は図示のこの単一の実施形態に制限されない。
【0028】
従って、第1モジュール(6)の下面(9)が第2モジュール(5)の上面(10)に対向するので、これらの2つのモジュール(5,6)が押し込み嵌合されて合体する領域は、冷却装置(1,11)により形成される容積に完全に組み込まれる。
【0029】
更に、O−リング(12)を端部雄継手(7)に配して、2つのモジュール(5,6)の間にシール部を形成することができる。
【0030】
更に、エアギャップ(16)により、2つのモジュール(5,6)の間に熱橋を形成することができるので、2つのモジュール(5,6)の間の接続部における熱衝撃の発生を回避することができる。
【0031】
固定化手段(14,15)を使用して2つのモジュール(5,6)が、これらのモジュールの相対位置を固定することができる。
【0032】
図1に示すように、固定化手段(14)は、クリップの形態、または2つのモジュール(5,6)の下面(9)及び上面(10)から突出する2つの平坦部と協働する取り外し可能な圧着リングの形態を採ることができる。
【0033】
図2に示すように、固定化手段(15)は単に、互いに対向する2つの面(9,10)の2つの平坦部とこの場合も同じように協働するネジ、リベットなどのような形態を採ることができる。
【0034】
2つのモジュールのうちの一方のモジュール(5)は更に、端部雌継手(8)と同軸に延びて設定温度のクーラントをモジュール(5)の内部から回収するチューブ(13)を含むことができる。
【0035】
これまでの記述から、本発明による冷却装置は多数の利点をもたらすことが明らかである。具体的には、
・当該冷却装置は簡易モジュラー構造を有し、この簡易モジュラー構造によって、少数の標準化されたモジュールから多数の異なる冷却装置を作製することができる。
・当該冷却装置は、2つのモジュールの間に外部接続がないので容積が最小になる。
・当該冷却装置は、2つのモジュールの間の接続部で装置漏れを生じ得る膨張現象を抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラントを、別の流体との熱交換により冷却する冷却装置(1,11)であって、前記冷却装置は、入口と、少なくとも2つの出口(3,4)とを備え、これらの出口を異なる高さに配置することにより、前記クーラントの過冷却を可能にし、前記装置(1,11)は、少なくとも2つのモジュール(5,6)から成るモジュラー構造を備え、各モジュール(5,6)は、少なくとも1つの出口(3,4)を含むことを特徴とし、前記2つのモジュール(5,6)が、第1モジュール(6)の端部雄継手(7)を第2モジュール(5)に属する相互嵌合形状の端部雌継手(8)に押し込み嵌合させて油圧により接続合体されていることを特徴とする、冷却装置。
【請求項2】
前記2つのモジュール(5,6)の前記端部雄継手(7)及び前記端部雌継手(8)は、互いに対向する前記2つのモジュール(5,6)の対向面(9,10)に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記2つのモジュール(5,6)の前記端部雄継手(7)及び前記端部雌継手(8)はそれぞれ、円筒形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記端部雄継手(7)と前記端部雌継手(8)との接続部にO−リングシール部(12)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
端部雌継手(8)を含む前記モジュール(5)は、前記端部雌継手(8)と同軸に延びるチューブ(13)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却装置は、前記2つのモジュール(5,6)を差し込み接続によって一括固定することができる固定化手段(14,15)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記2つのモジュール(5,6)はエアギャップ(16)によって分離されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−503510(P2011−503510A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533560(P2010−533560)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065349
【国際公開番号】WO2009/062944
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】