説明

クーリングモジュール

【課題】ラジエータタンクの前面の大部分がコンデンサの一部に覆われてしまうクーリングモジュールにおいて、コンデンサとラジエータとの着脱作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】ラジエータコア2aの水平方向両端部に配置されたラジエータタンク2bの上端面に係止用受け部40を設けるとともに、コンデンサ1の上部に取り付けた上側ブラケット20に、ラジエータタンク2bの上端面の係止用受け部40に載って引っ掛かる係止用突出部21を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるラジエータとコンデンサとを一体に組み付けたクーリングモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に、ボルト等の締結部品を用いずにラジエータとコンデンサとを固定したクーリングモジュールが開示されている。これらのクーリングモジュールでは、ラジエータタンクの前面に、コンデンサの一部が引っ掛かって固定される係止部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−216749号公報
【特許文献2】米国特許第6202737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のコンデンサへの要求としては、以下の要求1、2が挙げられる。
【0005】
要求1は、コンデンサコアの高さ寸法を低く抑えることである。これは、デザイン上、歩行者保護等の理由によるものである。なお、歩行者保護とは、コンデンサなどエンジンルーム内の部品とエンジンフードとの間隔を大きく取ることで、車両と歩行者とが衝突して、歩行者がエンジンフード上に乗り上げた際の衝突エネルギを吸収することで、歩行者を保護することを意味する。
【0006】
要求2は、コンデンサタンクに接続される冷媒配管の接続位置をコンデンサの前面以外とすることである。これは、冷媒配管がコンデンサの前方に位置すると、コンデンサの車両前方に位置するライト等の意匠部品と干渉したり、車両衝突時に冷媒配管と接触して意匠部品や配管が破損したりするからである。
【0007】
ここで、タンクが左右両端部に位置し、流体が水平方向に流れるクロスフロー型のコンデンサおよびラジエータでは、通常、コンデンサコアとラジエータコアとは高さ寸法が同じであるが、コンデンサコアの方が、コンデンサタンクの側面に取り付けられるモジュレータ(レシーバタンク)よりも高さ寸法が大きいので、モジュレータの上方は空いたスペースとなる。そこで、特許文献1のクーリングモジュールでは、この空いたスペースに対応するラジエータタンクの前面に係止部を設けていた。
【0008】
しかし、要求1を満たすようにコンデンサを設計すると、モジュレータの高さ寸法が、コンデンサコアおよびラジエータコアの高さ寸法と同程度となるため、ラジエータタンクの前面の大部分がモジュレータに覆われてしまう。
【0009】
また、要求2を満たすために、冷媒配管を車両後方からコンデンサタンクと接続しようとすると、コンデンサコアの横幅を大きくして、コンデンサを横方向でラジエータからはみ出させることが考えられる。なお、このような構成を採用しなくても、コンデンサタンクからコンデンサの車両後方位置までを繋ぐ延長用配管を用いることも考えられるが、この場合、延長用配管が別途用意する必要が生じ、部品点数が増加してしまう。これに対して、コンデンサコアの横幅を大きくする場合、延長用配管が別途用意する必要が生じない。
【0010】
しかし、このような構成を採用すると、コンデンサの冷媒配管側では、ラジエータタンクの前面の大部分がコンデンサに覆われてしまう。
【0011】
このように、近年のコンデンサに要求される仕様によっては、ラジエータタンクの前面における大部分がコンデンサの一部に覆われてしまう場合がある。
【0012】
そして、このような場合に、上述の特許文献1、2のように、ラジエータタンクの前面に係止部を設けると、コンデンサとラジエータとの組み付け時に、ラジエータタンクの係止部がコンデンサに隠れて目視できないので、組み付け作業がしづらく、組み付け性が悪いという問題が生じる。また、修理等のために、コンデンサとラジエータとを取り外す際に、コンデンサが邪魔となって係止部に手が届かず、取り外し作業ができないという問題が生じる。
【0013】
なお、このような問題は、タンクが上下両端部に位置し、冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型のラジエータにおいても、ラジエータタンクの前面における大部分がコンデンサの一部に覆われてしまう場合に生じる。
【0014】
本発明は上記点に鑑みて、コンデンサとラジエータとの着脱作業を容易に行える構造のクーリングモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ラジエータタンク(2b)の上端面に係止用受け部(40)を設けるとともに、コンデンサ(1)の上部に、係止用受け部(40)に載って引っ掛かるように、ラジエータ(2)側に向かって突出した係止用突出部(21)を設けたことを特徴としている。
【0016】
これによると、ラジエータタンク前面の大部分の領域がコンデンサの一部によって覆われる場合でも、コンデンサに覆われないラジエータタンクの上端面に係止用受け部を設けている。このため、コンデンサとラジエータとの組み付け時に、コンデンサの係止用突出部とラジエータの係止用受け部とを目視しながら係合させることができる。また、コンデンサとラジエータとの取り外し時に、コンデンサに邪魔されることなく、コンデンサの係止用突出部とラジエータの係止用受け部とを手で外すことができる。
【0017】
このように、本発明によれば、コンデンサとラジエータとの着脱作業を容易に行うことができる。
【0018】
請求項1に記載の発明は、請求項2に記載のように、ラジエータタンク(2b)がラジエータコア(2a)の水平方向両端部に配置され、ラジエータコア(2a)内を冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型のラジエータに適用することが好ましい。
【0019】
また、請求項1に記載の発明では、具体的には、請求項3に記載のように、係止用突出部(21)は、ラジエータ(2)側に向かって突出する突出片(211)と、突出片(211)の突出方向先端側に設けられた爪部(212)とを有し、
係止用受け部(40)は、前記突出片(211)の載置場所となる載置面(41)と、この載置面(41)のラジエータ背面側に位置し、前記爪部(212)が引っ掛かる角部(42)とを有する構成を採用できる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態におけるクーリングモジュールの車両前方側からみた斜視図である。
【図2】図1のクーリングモジュールの上面図である。
【図3】組み付け後における車両前方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側上部の拡大斜視図である。
【図4】組み付け前における車両前方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側上部の拡大斜視図である。
【図5】組み付け後における車両後方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側上部の拡大斜視図である。
【図6】組み付け前における車両後方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側上部の拡大斜視図である。
【図7】組み付け後における車両後方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両右側上部の拡大斜視図である。
【図8】組み付け前における車両後方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両右側上部の拡大斜視図である。
【図9】組み付け後における車両前方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側下部の拡大斜視図である。
【図10】組み付け前における車両前方側からみた図1のコンデンサとラジエータの車両左側下部の拡大斜視図である。
【図11】第2実施形態における組み付け前のラジエータの車両前方側からみた車両左側上部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、各図において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本実施形態のクーリングモジュールは車両用であり、このクーリングモジュールは、通常、エンジン(内燃機関)を走行用駆動源とする車両の前端部に搭載されるものである。図1に本実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた斜視図を示し、図2に図1のクーリングモジュールの上面図を示す。なお、各図に示す前後等の方向は車両搭載時の方向を示している。また、図2では、コンデンサをラジエータに固定するためのブラケットを省略している。
【0024】
図1、2に示すように、クーリングモジュールは、車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒を冷却するコンデンサ1と、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ2と、コンデンサ1およびラジエータ2に冷却風を送風する図示しない電動送風機と、電動送風機を保持するとともに、電動送風機により誘起される空気流がコンデンサ1およびラジエータ2に流れるように空気流をガイドする図示しないシュラウドとを備えている。
【0025】
クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1は、ラジエータ2の前面側(車両前方側)、すなわち、ラジエータ2よりも空気流れ上流側に配置されるものであり、シュラウドは、ラジエータ2の空気流れ下流側(車両後方側)に配置されるものであって、ラジエータ2の背面(車両後方側の面)を覆うようになっている。
【0026】
コンデンサ1は、冷凍サイクル(図示せず)内を循環する冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する熱交換器である。コンデンサ1は、冷媒が流通する複数本のコンデンサチューブからなるコンデンサコア1aと、コンデンサチューブの長手方向両端側に配設されて各コンデンサチューブに連通するコンデンサタンク1bとを有している。コンデンサチューブおよびコンデンサタンク1bは金属製である。
【0027】
本実施形態のコンデンサ1は、冷媒が水平方向に流れるクロスフロー型である。すなわち、コンデンサチューブの長手方向は水平方向(車両左右方向)を向いており、コンデンサタンク1bはコンデンサコア1aの水平方向両端に配置され、コンデンサタンク1bの長手方向は鉛直方向を向いている。
【0028】
また、図1、2に示すように、一方(車両左側)のコンデンサタンク1bには、モジュレータ(レシーバタンク)1cが設けられており、図2に示すように、他方(車両右側)のコンデンサタンク1bには冷媒通路となる配管1dが取り付けられている。配管はコンデンサタンク1bの車両左右方向端部に取り付けられており、配管の接続口は車両後方を向いている。
【0029】
ラジエータ2は、エンジン冷却水と外気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。図2に示すように、ラジエータ2は、コンデンサ1と同様に、冷却水が流通する複数本のラジエータチューブからなるラジエータコア2aと、ラジエータチューブの長手方向両端側で各ラジエータチューブに連通するラジエータタンク2bとを有している。ラジエータタンク2bは、複数本のラジエータチューブの並び方向に延びている。ラジエータチューブは金属製であり、ラジエータタンク2bは樹脂製である。
【0030】
本実施形態のラジエータ2は、冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型の熱交換器である。すなわち、ラジエータチューブの長手方向は水平方向を向いており、ラジエータタンク2bはラジエータコア2aの水平方向両端部に配置され、ラジエータタンク2bの長手方向は鉛直方向を向いている。
【0031】
また、図1に示すように、ラジエータタンク2bには、ラジエータ2を車両ボディ(図示せず)に固定するための突出部11がそれぞれ設けられている。これらの突出部11は、ラジエータタンク2bの上端部および下端部に配置されており、鉛直方向に突出している。
【0032】
また、本実施形態では、上述の発明が解決しようとする課題の欄で挙げた要求1を満たすために、図1に示すように、モジュレータ1cの高さ寸法がコンデンサコア1aの高さ寸法と同程度となっている。同様に、上述の要求2を満たすために、図2に示すように、コンデンサ1の右側端部がラジエータ2よりも外側にはみ出している。このため、図1、2に示すように、2つのラジエータタンク2bは、どちらも、ラジエータタンク前面の大部分の領域が、コンデンサ1の一部に覆われている。
【0033】
具体的には、図1に示すように、モジュレータ1cの上下方向での長さ(高さ)が、コンデンサコア1aの高さと同程度であるため、車両左側のラジエータタンク2bの前面がモジュレータ1cに覆われている。また、図2に示すように、車両左右方向において、コンデンサコア1aの幅がラジエータコア2aよりも長く、モジュレータ1cの取付側であるコンデンサ1の車両左側端部は、ラジエータタンクの端部と同じ位置にあるが、冷媒配管1dの取付側であるコンデンサ1の車両右側端部は、ラジエータ2の車両右側端部よりも外側に位置している。このため、車両右側のラジエータタンク2bの前面は、コンデンサコア1aに覆われている。
【0034】
そして、コンデンサ1とラジエータ2とは、コンデンサ1に設けられた樹脂製の上側ブラケット20および下側ブラケット30を介して固定されている。上側ブラケット20がコンデンサ1の左上端部および右上端部のそれぞれに設けられており、下側ブラケット30がコンデンサ1の左下端部および右下端部のそれぞれに設けられている。
【0035】
図3、4に、組み付け後および組み付け前における車両前方側からみたコンデンサ1とラジエータ2の車両左側上部の拡大斜視図を示す。また、図5、6に、組み付け後および組み付け前における車両後方側からみたコンデンサ1とラジエータ2の車両左側上部の拡大斜視図を示す。
【0036】
図3〜6に示すように、ラジエータタンク2bの上端面に設けられた係止用受け部40に、上側ブラケット20に設けられた係止用突出部21が載って引っ掛かることで、コンデンサ1とラジエータ2とが係止(固定)されている。
【0037】
図4、6に示すように、上側ブラケット20は、上側ブラケット20をコンデンサ1に固定するコンデンサ用固定部22を有している。コンデンサ用固定部22は、コンデンサコア1aの車両左側上端部に位置し、コンデンサ用固定部22に設けられた爪部221がタンクキャップ1eに係合している。
【0038】
上側ブラケット20の係止用突出部21は、上側ブラケット20のうち、車両左右方向でラジエータタンク2aに対応する位置で、ラジエータ2側(車両後方側)に向かって突出している部分である。係止用突出部21は、ラジエータ2側に向かって突出する2つの突出片211と、各突出片211の突出方向先端側(車両後方先端側)で下方に突出した形状の爪部212とを有している。
【0039】
一方、ラジエータタンク2bの係止用受け部40は、ラジエータタンク2bの上端部に位置するものであって、樹脂にてラジエータタンク2bと共に一体成型されたものである。なお、係止用受け部40とラジエータタンク2bとを別体として樹脂成型し、両者を接着等によって固定しても良い。
【0040】
ラジエータタンク2bの係止用受け部40は、コンデンサ1とラジエータ2との取り付け時に、上側ブラケット20の突出片211の載置場所となる載置面41と、載置面41のラジエータ背面側(車両後方側)に位置し、上側ブラケット20の爪部212が引っ掛かる角部42とを有している。
【0041】
この載置面41に、上側ブラケット20の突出片211が当接することで、コンデンサ1の下方向への移動が規制され、角部42に上側ブラケット20の爪部212が引っ掛かることで、コンデンサ1の車両前方への移動が規制される。
【0042】
また、載置面41には、車両固定用の突出部11の車両後方側に、突出片211と同じ高さの段差部43が設けられている。この段差部43は、図3に示すように、組み付け後の状態で、突出片21の上面と段差部43の上面とが揃って面一とするためのものである。これにより、車両固定用の突出部11の周囲の段差が解消され、車両側への取付時に上側ブラケット20の上面に接触する車両取付用ゴムの損傷を防止している。
【0043】
また、図4、6に示すように、ラジエータタンク2bの係止用受け部40は、コンデンサ1側に突出した2つの突出部44と、コンデンサ1とラジエータ2との取り付け後の状態で上側ブラケット20に当接する当接面45とを有している。
【0044】
その一方で、上側ブラケット20は、図6に示すように、係止用突出部21の下側に、ラジエータタンク2bの係止用受け部40の2つの突出部44が挿入される2つの凹部23と、コンデンサ1とラジエータ2との取り付け後の状態で、係止用受け部40のラジエータ側当接面45に当接するブラケット側当接面24とを有している。
【0045】
この2つの突出部44が2つの凹部23のそれぞれに挿入されることで、車両左右方向および上方向へのコンデンサ1の移動が規制される。また、ブラケット側当接面24とラジエータ側当接面45とが当接することで、車両後方へのコンデンサ1の移動が規制される。
【0046】
図7、8に、組み付け後および組み付け前における車両後方側からみたコンデンサ1とラジエータ2の車両右側上部の拡大斜視図を示す。図7、8に示すように、コンデンサ1の車両右側に設けられた上側ブラケット20は、コンデンサ1の車両左側の上側ブラケット20と同様に、係止用突出部21とコンデンサ側固定部22とを有している。また。車両右側のラジエータタンク2bの上端面には、車両左側のラジエータタンク2bと同様に、係止用受け部40が設けられている。
【0047】
図9、10に、組み付け後および組み付け前における車両前方側からみたコンデンサ1とラジエータ2の車両左側下部の拡大斜視図を示す。
【0048】
図9に示すように、コンデンサ1の下部に設けられた下側ブラケット30の差込部31を、ラジエータタンク2bの下部に設けられた被差込部50に差し込むことで、コンデンサ1とラジエータ2の下側が固定されている。
【0049】
図10の左側に示すように、コンデンサ1の下側ブラケット30の差込部31は、ラジエータタンク2bに対向する位置で、下方に突出する2つの突出部311を有している。また、下側ブラケット30は、下側ブラケット30をコンデンサ1に固定するコンデンサ用固定部32を有している。コンデンサ用固定部32は、コンデンサコア1aの車両左側下部に位置し、コンデンサ用固定部32に設けられた爪部321がタンクキャップ1eに係合している。
【0050】
一方、図10の右側に示すように、ラジエータタンク2bの下部の被差込部50は、ラジエータタンク2bの前面に設けられており、コンデンサ1側の2つの突出部311に対応した形状の2つの凹部51を有している。
【0051】
なお、車両右側下部においても、車両左側下部と同様に、コンデンサ1の下部に設けられた下側ブラケット30の差込部31を、ラジエータタンク2bの下部に設けられた被差込部50に差し込むことで、コンデンサ1とラジエータ2の下側が固定される。
【0052】
次に、上述した構成のクーリングモジュールの組み付け手順について説明する。
【0053】
上側ブラケット20および下側ブラケット30が設けられたコンデンサ1を、ラジエータの前方に配置した後、図9に示すように、コンデンサ1の下側ブラケット30の差込部31を、ラジエータ2下部の被差込部50に上から差し込む。
【0054】
その後、コンデンサ1の上側ブラケット20をラジエータ2に向けて押し込むことで、図3、5、7に示すように、上側ブラケット20の係止用突出部21とラジエータタンク2bの係止用受け部40とを係合させる。
【0055】
このとき、上側ブラケット20の係止用突出部21は、ラジエータタンク2bの係止用受け部40の載置面41に爪部212が接するので、突出片211が上方に弾性変形しながらラジエータ2側に移動し、爪部212が載置面41の角部42に到達したときに、突出片211が載置面41にパチンと当たって、爪部212が載置面41の角部42に係合する。このようにして、コンデンサ1とラジエータ2との組み付けが完了する。
【0056】
一方、コンデンサ1とラジエータ2との取り外しを行う場合、上側ブラケット20の係止用突出部21の爪部212を手で持ち上げて、爪部212と角部42との係合を解除して、上側ブラケット20をラジエータ2から離れる側に移動させる。その後、コンデンサ1の下側ブラケット30の差込部31を、ラジエータ2の被差込部50から引き抜くことで、コンデンサ1とラジエータ2との取り外しが可能となる。
【0057】
上述の通り、本実施形態では、ラジエータタンク2bの前面ではなく、コンデンサ1に覆われていないラジエータタンク2bの上端面に係止用受け部40を設けている。このため、コンデンサ1とラジエータ2との組み付け時に、コンデンサ1の係止用突出部21とラジエータ2の係止用受け部40とを目視しながら係合させることができる。また、コンデンサ1とラジエータ2との取り外し時に、コンデンサ1に邪魔されることなく、コンデンサ1の係止用突出部21とラジエータ2の係止用受け部40とを手で外すことができる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、ラジエータタンク2bの前面の大部分が覆われる場合であっても、コンデンサ1とラジエータ2との組み付け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。
【0059】
(第2実施形態)
図11に本実施形態における組み付け前のラジエータ2の車両前方側からみた車両左側上部の拡大斜視図を示す。本実施形態は、ラジエータタンク2bの上端面に設けられた係止用受け部40の構造が、第1実施形態と異なっており、以下では第1実施形態と異なる点を説明する。
【0060】
図11に示すように、ラジエータタンク2bの上端面に設けられた係止用受け部40は、載置面41から上方に所定間隔あけて配置した屋根部材46を有している。屋根部材46は、係止用受け部40に係合状態の上側ブラケット20を覆う部材であって、上面が平坦な板部材である。屋根部材46は、載置面41から上下方向に立設する側壁によって支えられている。また、屋根部材46の上面には、車両側に固定するための突出部11が設けられている。
【0061】
コンデンサ1とラジエータ2との組み付け後の状態では、載置面41と屋根部材46との間の空間部47に、上側ブラケット20の係止用突出部21が挿入され、第1実施形態と同様に、上側ブラケット20の係止用突出部21が、載置面41に載った状態で、載置面41の角部42に引っ掛かる。
【0062】
ところで、第1実施形態では、図3に示すように、組み付け後の状態のとき、上側ブラケット20の係止用突出部21が露出していたので、車両の振動負荷が大きい場合などに、係止用突出部21と段差部43との間に生じる隙間に、車両取付用ゴムが挟まれてしまい、車両取付用ゴムの損傷、切断等が発生する懸念がある。
【0063】
これに対して、本実施形態では、屋根部材46が、上側ブラケット20の係止用突出部21を覆った状態となり、屋根部材46の上面に車両取付ゴムが接するので、係止用突出部21が起因する車両取付ゴムの損傷、切断等の発生を防止できる。
【0064】
(他の実施形態)
(1)上述の実施形態では、上側ブラケット20の係止用突出部21が2本の突出片211を有していたが、突出片211を1本もしくは3本以上としても良い。
【0065】
(2)上述の実施形態では、ラジエータタンク2bの上端面に、車両側への固定用の突出部11を設けたが、ラジエータタンク2bの上端面以外の部位に、この突出部11を設けても良い。例えば、ラジエータタンク2bの左右方向での側面に突出部11を設けても良い。
【0066】
(3)上述の実施形態では、コンデンサ1の上側ブラケット20の係止用突出部21に、ラジエータ側に引っ掛かる爪部212を設けたが、これとは反対に、ラジエータタンク2bの上端面の係止用受け部40に、コンデンサ側に引っ掛かる爪部を設けても良い。例えば、ラジエータタンク2bの載置面41に上方に突出する爪部を設け、コンデンサ1の上側ブラケット20の係止用突出部21にその爪部が係合する穴、溝等の係合部を設けても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では、コンデンサ1の車両左右方向および上方向への移動を規制する規制部材として、ラジエータタンク2bの係止用受け部40に2つの突出部44を設け、コンデンサ1の上側ブラケット20に2つの凹部23を設けたが、突出部と凹部とを設ける対象を入れ替えても良い。また、突出部および凹部の数を変更しても良い。
【0068】
(4)上述の実施形態では、ブラケット20、30は樹脂製であったが、樹脂製でなく金属製であっても良い。また、このブラケットとコンデンサ1のヘッダキャップ1eとを一体化して1つの金属部品として構成しても良い。
【0069】
(5)上述の実施形態のラジエータ2は、ラジエータタンク2bがラジエータコア2aの水平方向両端部に配置され、ラジエータコア2a内を冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型であったが、ラジエータタンクがラジエータコアの上下方向両端部に配置され、ラジエータコア内を冷却水が上下方向に流れるダウンフロー型のラジエータを用いる場合においても、本発明を適用することができる。この場合、上方側のラジエータタンクの上端面に、上述の実施形態の係止用受け部40を設ければ良い。
【符号の説明】
【0070】
1 コンデンサ
1a コンデンサコア
1b コンデンサタンク
1c モジュレータ
1d 冷媒配管
2 ラジエータ
2a ラジエータコア
2b ラジエータタンク
20 上側ブラケット
21 係止用突出部
40 係止用受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ(2)と、
前記ラジエータの前面側に配置され、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を冷却するコンデンサ(1)とを備えるクーリングモジュールにおいて、
前記ラジエータ(2)は、冷却水が流通する複数本のチューブからなるラジエータコア(2a)と、前記複数本のチューブの長手方向両端側で、前記複数本のチューブに連通するラジエータタンク(2b)とを有し、
前記ラジエータタンク(2b)の上端面に係止用受け部(40)を設けるとともに、前記コンデンサ(1)の上部に、前記係止用受け部(40)に載って引っ掛かるように、前記ラジエータ(2)側に向かって突出した係止用突出部(21)を設けたことを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項2】
前記ラジエータ(2)は、前記ラジエータタンク(2b)が前記ラジエータコア(2a)の水平方向両端部に配置され、前記ラジエータコア(2a)内を冷却水が水平方向に流れるクロスフロー型であることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項3】
前記係止用突出部(21)は、前記ラジエータ(2)側に向かって突出する突出片(211)と、前記突出片(211)の突出方向先端側に設けられた爪部(212)とを有し、
前記係止用受け部(40)は、前記突出片(211)の載置場所となる載置面(41)と、前記載置面(41)の前記ラジエータ背面側に位置し、前記爪部(212)が引っ掛かる角部(42)とを有することを特徴とする請求項1または2に記載のクーリングモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−240883(P2011−240883A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116549(P2010−116549)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】