説明

グネツム食品

【課題】 グネツム種子から特別な操作を施すことなく、種々の作用を有するグネツム食品を提供する。
【解決手段】 グネツム種子を利用することにより日持ち向上及びラジカル消去作用を有するグネツム食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品中脂質の酸化を抑制及び生物の酸化的障害を保護する抗酸化作用、チロシナーゼ阻害作用、シクロオキシナーゼ阻害作用、リポキシゲナーゼ阻害作用、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用、プロテインキナーゼC阻害作用、トポイソメラーゼII阻害作用、紫外線防御作用、抗炎症作用、免疫調節作用、養毛作用並びに有害微生物の増殖による異臭・悪臭に対し優れた抗菌・消臭作用を有するグネツム食品に関する。
【背景技術】
【0002】
グネツム科グネツム属植物の生理作用に関しての例としてはバイマイトウ(学名Gnetum montanum)の養毛作用について開示(特開平11−60450)されているのみで、グネツム種子に関するものは全く見当たらない。
【0003】
グネツム(学名Gnetum gnemon L.)の利用状況は、インドネシアでは若葉、花、未熟果実を野菜として、種子を潰してから乾燥し、油で揚げて菓子(ウンピン;emping)としているにすぎず、生理作用を活用する機能性食品としての利用は未だ行なわれていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、生理作用物質を失うことなく、種々の作用を有するグネツム食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、グネツム種子を用いることにより本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、グネツム種子を用いることを特徴とする種々の作用を有するグネツム食品に関する。
【0006】
本発明で言うグネツム(学名Gnetum gnemon L.、英名Gnemon tree、インドネシア名Melinjo、Belinjo)は、グネツム科の植物であり、東南アジアで広く栽培され、煮たり焼いたりして食料として利用されている。使用する種子(果実)は、澱粉50%、蛋白質11%を含んでおり、そのままでもよく、果皮及び種皮を除去した中身の仁、即ち胚及び胚乳のいずれでもよく、乾燥及び未乾燥(生)のいずれでも好適であり、裁断機や破砕機で破砕してもよく、粉砕機で粉砕してもよい。
【0007】
本発明において50%エタノール溶液を用いて吸収スペクトルを測定するとき紫外部の320nm近傍に吸収極大を示し、シリカゲルを担体として展開溶媒にクロロホルム・メタノール混液(容量比4:1)を用いる薄層クロマトグラフィーによりRf値0.5付近にスポットを示すとは、抗菌作用及び抗酸化作用を示す有効成分の存在を確認するものであり、原料の処理及び加工過程での損失を調べるためのものである。本有効成分は光に対して安定性を欠き、希薄液を日光に曝すと分解してそのスポットが消失する。
【0008】
本発明のグネツム食品は通常の方法で次のようにして製造することができる。
グネツム種子(果実)をそのまま具に使用して他の食材、調味料、香辛料などとともに過熱してレトルトカレーなどのグネツムスープ類を得ることができる。そのまま又は果皮、種皮を剥いて水に漬け、調味料を加えて加熱し、十分染み込ませて煮豆風グネツム食品を得ることができる。煮豆風グネツム食品は蜜豆やピラフに加えることによりグネツム食品を得ることもできる。また、本種子をそのまま又は砕いて昆布と共に調味液中で加熱煮上げしてグネツム佃煮を得ることもできる。
【0009】
グネツム種子(果実)をそのまま加圧加熱後、瞬時に減圧してスポンジ状のグネツム食品を得ることができる。必要ならば調味料や香料などを配合することができる。
【0010】
果皮及び種皮を剥いて潰したグネツム種子をペースト状とし、エクストルーダーに通して膨化グネツム食品を得ることができる。本ペーストをハンバーグ生地に混ぜてグネツムハンバーグを得ることもできる。必要ならば穀粉、澱粉、調味料、香料などを配合することができる。
【0011】
果皮及び種皮を剥いて乾燥した後、炒ってそのまま又は破砕したグネツム種子をチョコレート生地で包んでグネツムチョコレートを得ることができる。
【0012】
果皮及び種皮を剥いて乾燥後、破砕したグネツム種子をアイスクリーム、ピザ、パン、ケーキ、おにぎり、和え物、ふりかけ、チーズなどにトッピングとして添加或いは配合したグネツム食品を得ることができる。必要ならば、乾燥する前に調味料に浸漬して十分味を染み込ませた後、乾燥して使用することもできる。
【0013】
果皮及び種皮を剥いて乾燥後、粉砕した粉末グネツム種子を小麦粉、上新粉、糯粉、蕎麦粉、澱粉、増粘多糖類などと混合して使用することによりうどん、パスタ、パン、ケーキ、ホットケーキ、ビスケット、せんべい、団子、まんじゅう、餅、そば、シリアル、スナック、ゼリーなどのグネツム食品を得ることができる。粉末グネツム種子と馬鈴薯澱粉の混合粉末を用いることによりグネツム煎餅を得ることもできる。また、前記粉末グネツム種子をすり身ペースト、肉ペーストに混合して蒲鉾類、ハムソーセージ類などのグネツム食品を得ることもできる。更に、香辛料と混合することもでき、乳製品、卵製品、ソース類、ゴマ豆腐、発酵食品などにも使用できる。
【0014】
本発明のグネツム食品は、必要に応じて適宜種々の食材及び調味料、酸味料、甘味料、着香料、着色料、保存料、強化剤、増粘安定剤、乳化剤、品質改良剤などの食品添加物を添加して美味しくすることができる。
【発明の作用及び効果】
【0015】
本発明によると、東南アジアで常時食しているグネツム種子から製造したグネツム食品は、安全であり、抗菌作用及びラジカル消去作用を有するので、安心して食することができ、種々の加工食品の日持ち向上、機能性食品(健康食品)として心疾患、脳疾患、アテローム性動脈硬化症、癌、リュウマチなどの膠原病、緑内障、アルツハイマ−病などの成人病予防などが期待される。また、ペット用食品、家畜飼料、水産養殖飼料などにも利用することができる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
果皮及び種皮を剥離して乾燥粉砕したグネツム種子粉末と馬鈴薯澱粉の等量を混合し、更に塩及び調味料を少量加えて混合し、水を適量加えて練った後、鉄板に挟んで加熱してグネツム煎餅を得た。必要ならば海老、イカなどの魚介類、カボチャなどの野菜類、牛肉などの挽肉などを添加することができる。
【0017】
本発明グネツム煎餅1gを50%エタノール溶液10mlに一夜浸漬後、上清の吸収スペクトルを測定したとき、320nmに吸収極大を示し、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルTLC;展開液:クロロホルム/メタノール=4/1)を行ったとき、Rf値0.52にスポットを示した。一方、ウンピン(Emping Belinjo;インドネシア、P.T.SEKAR ALAM製)1gを50%エタノール10mlに一夜浸漬後、上記と同様に分析したとき、303nmに吸収極大を示したが、Rf値0.5付近にスポットが認められなかった。
【0018】
実施例1で得られたグネツム煎餅液及びウンピン液の各0.1mlにつき、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去作用を調べたとき、グネツム煎餅液の消去作用はウンピン液の2.1倍であった。
【0019】
実施例2
果皮及び種皮を剥離して乾燥粉砕したグネツム種子粉末1部(重量)をすり身ペースト50部に加えて擂潰し、板付け後、90℃の蒸気で蒸し上げてグネツム蒲鉾を得た。本蒲鉾と無添加蒲鉾を30℃で保存するとき、日持ちが3日間延びた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グネツム種子を用いることを特徴とするグネツム食品。
【請求項2】
前記グネツム種子の50%エタノール浸漬液が320nm近傍に吸収極大を示す吸収スペクトルを有し、且つRf値0.5付近にスポットを示す薄層クロマトグラムを有することを特徴とする請求項1記載のグネツム食品。
【請求項3】
前記食品の50%エタノール浸漬液が320nm近傍に吸収極大を示す吸収スペクトルを有し、且つRf値0.5付近にスポットを示す薄層クロマトグラムを有することを特徴とする請求項1記載のグネツム食品。

【公開番号】特開2006−81405(P2006−81405A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266456(P2004−266456)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(391012040)株式会社ホソダSHC (14)
【Fターム(参考)】