説明

グラフェン酸化物複合体形成による電極材およびその製造方法

【課題】マトリクスの含有量が低いか減少しており、マトリクスの導電性が高く、且つ高い機械的安定性を有する電極を提供する。
【解決手段】ナノ粒子形態の電子活性材(EAM)と、マトリクスとを含み、好ましくは、これらから成る電極に関し、このマトリクスは、内部に組み込まれるグラフェンフレークと、任意にリチウムイオン源とから成る。また、粒子系、特に繊維系の電極材を作製するための方法に関し、電極材は、グラフェンフレークを組み込む熱分解された物質から形成されるマトリクスを含み、充電式バッテリーはそのような電極を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された電極材と、この電極材の製造方法並びにそのような電極材を含むバッテリーを製造するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの充電式バッテリーが知られている。しかし、それらは、高重量、低電気容量、低充電速度、低寿命などのいくつかの欠点を今なお抱えている。特に、コンピュータ、車及び電気自転車などのように、場所が限られた、又は、移動が意図された用途では、低重量、高容量、急速充電及び高寿命が望まれている。ここ数年、電極材を改良するために、又は、上記の欠点を減らすために、多大な努力がなされてきた。
【0003】
ここ数年間に関心を集めた材料の多くは、ナノ粒子形態で用いられるセラミック系材料である。これらのナノ粒子は、多角形、球体あるいは一方に伸長した繊維の形態をとる。そのような繊維状物質の1つが、H238である。
【0004】
238は、非特許文献1にすでに示され、非特許文献2及び3に構造的に分析された公知の化合物である。また、カソード材として調査されたものが、HyNa1-y38であった(特許文献1)。HyNa1-y38は、第1の放電サイクル時に、最大3つのリチウムイオンをインターカレートすることが示されている。充電時には、3つのリチウムイオンがデインターカレートされる。
【0005】
繊維状H238は、大量のリチウムを可逆的に交換可能(最大4.5eq)であるが(非特許文献4)、結合による体積変化によって、繊維は、特定の分解で最適な交換能を示す小さい粒子に分解され、さらに分解すると、電気容量が顕著に低下することから、電極の安定性に支障を来たす。
【0006】
他のカソード材には、Li438(非特許文献5)、NaV38(非特許文献6)及びLi1.3-yCuy38(非特許文献7)、LixFePO4、LixCoO2、LixMn24、Lix(MnuCovNiyAlz)O2(式中u+v+y+z≒1)が含まれる。
【0007】
また、好適なアノード材料はすでに知られている。これらには、Lix6及びリチウム合金が含まれる。
【0008】
通常、好適なEA材は、例えば、導電性カーボンブラック並びに/若しくは導電性グラファイトで導電的に充填され、及び/又は、それ自体が電子導電性でありうる結合剤によって電極に形成される。結合剤及び導電性充填剤は、実際には充電放電サイクルに関与することなく、バッテリーの体積及び総重量にかなり多く添加される。
【0009】
結合剤/充填剤のマトリクスの重量を減少させるために、例えば、ナノ粒子形態の導電性結合剤を使用する(特許文献2を参照)こと、又は、高分子結合剤の代替物として熱分解生成物を調製することは、すでにいくつかの試みがなされている。この特許出願明細書の開示内容の一部を本願明細書に引用したものとする。
【0010】
これらの試みによって、重量はいくらか減少したものの、必要に応じて導電的に充填される結合剤の量をさらに減らす必要性が依然として存在する。さらに、導電性充填剤を任意に含むこの結合剤は、結合剤マトリクス又はマトリクスとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第01/74716号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第2228855号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Theobald,F.and R.Cabala,Comptes Rendus Hebdomadaires des Seances de L’Academie des Sciences,Serie C、1970、270(26),2138
【非特許文献2】Oka,Y., T.Yao,and N.Yamamoto,Journal of Solid State Chmistry,1990,89(2),372
【非特許文献3】Oka,Y., T.Yao,and N.Yamamoto,Journal of Solid State Chemistry,1990,86(1),116
【非特許文献4】Electrochimica Acta 54 (2009) 1115−1118
【非特許文献5】Chem.Eur.J.2008,14,11141−11148
【非特許文献6】J.Electrochem.Soc.,Vol.145,No.2,1998
【非特許文献7】Chem.Mater.2005,17,984−991
【非特許文献8】H.P.Boehm et al.;Annalen der Chemie;1965;691;1−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、マトリクスの含有量が低いか減少しており、マトリクスの導電性が高く、且つ高い機械的安定性を有する電極を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、マトリクスの含有量が低く、マトリクスの高い導電性を有し、高い機械的安定性において電極を作製するための方法を提供することである。
【0015】
本発明の更なる態様は、マトリクスの含有量が低いか減少した、カソード又はアノードの少なくとも1つ、好ましくは両方の電極を含むバッテリーを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、サイクル安定性が強化された電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明のこれらの目的および以下の記載に従ってさらに容易に明らかになるさらなる目的を実施するために、本発明の電極は、ナノ粒子形態の電子活性材(EAM)と、マトリクスとを含み、好ましくは、これらから成り、このマトリクスは、内部に組み込まれるグラフェンフレークと、任意にリチウムイオン源と、EAMに応じて任意に(H238、例えば硫酸バナジウム(IV)に対する)安定剤とを含む熱分解生成物から成るという特徴を呈する。
【0018】
熱分解生成物は、好適な熱分解性の物質を熱分解することによって、例えば、本発明にも属する方法で得られる。
【0019】
良好な結合を得るため、最終生成物、即ち活性電極におけるナノ粒子材料に対するマトリクスの重量割合は、活性電極、即ち、電流集電体も電子活性コーティングもそれぞれ有していない電極の重量に対して10重量%、好ましくは5±2重量%である。マトリクスは、グラフェンに対する非晶質炭素材の比が約2:1〜約1:1、好ましくは約3:2でグラフェン酸化物を含む。
【0020】
ナノ粒子の形態で存在しているのであれば、EAMとしてあらゆるカソード材とアノード材を使用してもよい。第1の充電又は放電の前では、EAMは、Lix2-x38であり、式単位では、3つのV原子のうち少なくとも1つの酸化状態が4+であり、xは0.1〜1.5であり、通常は約1であるのが大変好ましい。この黄緑色のEAMは、第1の充電時に、リチウム(式単位ではLix)の少なくとも一部を除去できるという有利な特徴を有する。
【0021】
粒子系、特に繊維系の電極材を作製するための方法は、
(A)分散剤を含む電子活性前駆体物質を調製するステップと;
前記懸濁液は、
(i)可溶性リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、
(ii)水溶性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質と、
(iii)電子活性材(EAM)と、
(iv)グラフェン酸化物(GO)とを含有しており、
(B)液相から固体状の電子活性前駆体物質を分離するステップと、
(C)ステップ(B)の電子活性前駆体物質を乾燥させるステップと、
(D)ステップ(C)の電子活性前駆体物質を熱分解して活性電極材を得るステップと、
任意に、
(E)ステップ(B)の電子活性前駆体物質を基材、特に、電流集電体に塗布する、及び/又は、活性電極材を切削して成形し、電流集電体に活性電極材を配置するステップと、から構成される。
【0022】
さらに、そのような電極は、少なくとも1つのセパレーターで電極を覆い、電解質でセルを満たし、セルにアノードを設置し、セルを密閉することによって、セルに加工してもよい。
【0023】
以下に、使用する用語のいくつかをさらに定義する。
電子活性前駆体物質とは、熱分解ステップ前の含水物質又は乾燥物質である。
電子活性コーティング、活性電極又は活性電極材とは。それぞれ、電極として使用できる状態の熱分解された物質、又は電流集電体を有していない電極である。
【0024】
使用されるEAMに応じて、電極調製時に、例えば可溶性であり、例えば硫酸化したバナジウム(IV)などの好適な酸化状態にある金属を含む金属化合物などの安定剤を添加して、H238を安定化させることによって、EAMを安定化させることが、有利であり、又は、必要でさえありうる。
【0025】
第1の特定の実施形態では、粒子系、特に繊維系の電極材を作製するための方法は、
(a)リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、水溶性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質とを含む溶液を調製するステップであって、その溶液は、有機溶媒及び/又は水、好ましくは水に、有機化合物、リチウム源及びヒドロキシド源を溶解することによって調製されるステップと、
(b)pHが確実に8〜10となるように維持しながら、グラフェン酸化物の水性分散剤/溶液を添加するステップと、
(c)ステップ(b)で調製された分散剤に電子活性材(EAM)を分散して均質化するステップと、
(d)圧力が増大した条件下で、グラフェン酸化物のリチウム化、自己集合及びグラフェンへの加熱分解のための水熱ステップを実施し、分散剤を含む電子活性前駆体物質を得るステップであって、前記分散剤は、高密度固体が浮遊する黒色の液体形態にあるステップと、
(e)洗浄しないで、液相から電子活性前駆体物質を分離するステップと、
(f)ステップ(e)の電子活性前駆体物質を基材、例えば電流集電体に塗布するステップと、
(g)電子活性前駆体物質を乾燥させるステップと、
(h)電子活性前駆体物質を熱分解して電極を得るステップと、を含む。
【0026】
第2の特定の実施形態では、本発明の方法は、
(a)有機溶媒及び/又は水、好ましくは水に、任意に安定化させたEAMを分散するステップと、
(b)グラフェン酸化物溶液を添加するステップと、
(c)ステップ(b)で得られた懸濁液を凍結するステップと、
(d)温めることによって、凍結した懸濁液を、好ましくは室温(RT)に解凍するステップと、
(e)リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、水溶性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質とを添加するステップと、
(f)電子活性前駆体物質を含む懸濁液が濃青色になるまで待ってから、電子活性前駆体物質を回収するステップと、
(g)初めに、有機溶媒及び/又は水の沸点未満の温度、例えば室温で、次に、有機溶媒及び/又は水の沸点超の温度で電子活性前駆体物質を乾燥させるステップと、
(h)乾燥した電子活性前駆体物質を熱分解して活性電極材を得るステップと、
(i)少なくとも30分間、高温の活性電極材を脱気し、(この脱気時間の間に)活性電極材を冷却するステップと、任意に、
(j)電極材を切削して成形し、電流集電体に配置するステップと、を含む。
【0027】
好適な熱分解物質は、約150〜約350℃、好ましくは約200℃で熱分解可能であり、カソード電子活性材(EAM)の場合は、特に、ヒドロキシカルボン酸及び糖を酸化し、アノードEAMの場合は、特に、ポリアニリンなどの酸素含有量の低い有機物質を還元する物質である。
【0028】
反応は、水中で実施されるのが好ましい。しかし、感水EAMの場合には、別の溶媒、例えば、水混和性の非プロトン性極性溶媒を使用してもよい。また、明細書において、溶媒という用語は、2つ以上の溶媒の混合物を含意する。非プロトン性極性溶媒の例には、アセトニトリル及び/又はテトラヒドロフランがある。水は、溶媒という用語には属していない。
【0029】
物質を含む有機部分は、ラクトースのような熱分解性糖などのあらゆる熱分解性物質であってもよいが、リチウム塩、特に、乳酸リチウム、クエン酸リチウムなどのヒドロキシカルボン酸リチウム、又は、リチウム化合物を含む別の熱分解性アニオンが好ましく、乳酸リチウムであるか、又は、乳酸リチウムを含むのが好ましい。乳酸リチウムは、熱分解を受けるための結合剤前駆体としての、及びリチウム源の一部としての役割を同時に果たす。ヒドロキシド源も存在する必要があることから、別の好適なリチウム源は、ヒドロキシド源の少なくとも一部としての役割を同時に果たす水酸化リチウムである。EAMが、H238又は後のステップでLix2-x38に変換されるLix238などの部分的にリチウム化された形態(式中、xは0.1〜1.5、好ましくは0.5〜1.5である)である場合は、ステップ(a)で調製された分散剤は、安定剤としてバナジウム(IV)源も含む。好ましい実施形態において、本発明の方法では、Lix2-x38(式中、xは0.1〜1.5、通常約1である)などの部分的にリチウム化されたH238が、使用されるか、又は、直接生成される。
【0030】
ステップ(b)で使用されるグラフェン溶液は、欧州特許出願公開第2256087号に従って調製することができ、その開示内容は、本願明細書の理解に役立つものである。特定の実施例は、本願明細書中の実験の説明部分に記載されている。
【0031】
電子活性粒子は、熱分解された物質に基づく結合剤によって共に接着される。さらに、熱分解された物質、例えば、熱分解されたラクテートに関して、結合剤マトリクスは、グラフェンと、任意に、かつ、好ましくは、リチウム若しくはリチウム並びに遷移金属、例えばバナジウムとを含み、又は、熱分解された物質と、グラフェンと、任意に、かつ、好ましくは、リチウム若しくはリチウム並びにバナジウムなどの遷移金属から成ってもよい。主に、熱分解された物質は、非晶質炭素材によって形成されるが、酸素及び水素を含有する反応生成物を少量含んでもよい。
【0032】
良好な結合を得るため、最終生成物、即ち活性電極中のナノ粒子材料に対するマトリクスの重量割合は、少なくとも約2重量%であり、少なくとも3重量%が好ましく、上限は、活性電極、即ち、電流集電体も、電子活性コーティングもそれぞれない電極の重量に対して10重量%超えないようにする必要があり、5±2重量%が好ましい。また、これらの値は、結合剤の削減された、又は低い含有量を表す。最終的な電極において5±2重量%となるようにするためには、約5〜15mol%、好ましくは7〜13mol%、さらに好ましくは10mol%の熱分解性物質が使用され、グラフェンに対する非晶質炭素材の比が約2:1〜約1:1、好ましくは約3:2となるのに適した量でグラフェン酸化物が使用される。
【0033】
EAMが、ナノ粒子の形態で使用され、熱分解性物質が、それぞれアノード又はカソードに対して好適に選択されるのであれば、上に記載する結合方法は、あらゆるカソード材及びアノード材にも適用してもよい。そのようなEAMの例を以下に示す。
【0034】
カソード材は、酸化材料、特に、例えば、LixTPO4、LixTSiO4、LixTBO3(式中、T=Mn、Fe)、Li438(非特許文献5)、NaV38(非特許文献6)、Li1.3-yCuy38(非特許文献7)などの酸化物材料、LixFePO4、LixCoO2、LixMn24、Lix(MnuCovNiyAlz)O2(式中、u+v+y+z≒1)と、Lix2-x38(式中、xは0〜1.5、好ましくは0.1〜1.5である)などである。
【0035】
アノード材は、Lix6及びリチウム合金などの還元材料である。
【0036】
1つの好適なカソード材は、特に、部分的にリチウム化された形態のH238であり、つまり、Lix2-x38である。
【0037】
Lix2-x38は、前述したように、又は、以下の実施例の1つで示すように、本発明の方法で調製してもよく、即ち、リチウム含有物質は電子活性前駆体物質の調製時に直接生成してもよい。
【0038】
例えば、第1の特定の実施形態において、圧力を増大することが望ましい場合、反応容器は密封される。均質化は、例えば、超音波及び/又は振盪によって実施される。第1の特定の実施形態のステップ(d)などのように、水熱ステップが実施される場合、温度は通常、150℃など、140〜160℃であり、そのような水熱ステップに必要な時間は通常、1.5時間など、約1〜2時間である。この水熱ステップの間、容器内の圧力は、グラフェン酸化物(GO)のリチウム化、自己集合及びグラフェンへの加熱分解が起こる間に、約3〜4バールに増大することが認められている。
【0039】
水熱ステップでは、懸濁液は、高密度固体が浮遊する黒色の液体に変化する。その後、この高密度固体浮遊物質は、液相から分離された後に、基材、特に電流集電体に塗布される電子活性前駆体物質である。液相からの固相のこの分離は、洗浄しないで実施されることが大変好ましい。
【0040】
電流集電体(又は他の基材)に塗布されると、残存液は、例えば、紙又はティッシュペーパーを電流集電体の固体析出物に押し付けても乾いたままとなるまで、紙又はティシュペーパーに染み込ませることによって除去される。これは、例えば、紙又はティッシュペーパーで覆ったフラットプレスによってバッチ式に、又は、例えば、紙又はティッシュペーパーで覆ったロール又はロールシステムによって連続的に実施してもよい。この乾燥法には、電極の圧縮が同時に達成されるという利点がある。
【0041】
次に、電極は、さらに乾燥、例えば、空気乾燥される。この乾燥ステップにおける温度は、存在する溶媒の沸点未満である必要があり、水の場合は、85℃など、80〜90℃である。これらの温度では、約100μmの層厚さを得るためには、乾燥時間が約10分あれば十分であるとわかった。乾燥時間は、層厚さに依存しており、50〜500μmの好ましい範囲に対しては、約5〜約60分である。次いで、最後のステップ、熱分解ステップは、好適に部分的にリチウム化されたH238に対しては、例えば、220℃など、200〜250℃の熱分解温度で実施される。このステップの間、有機物質、例えばラクテートは、主に非晶質炭素材に対して反応する。大気中で熱分解ステップを実施してもよく、少なくとも5分かかる。冷却は、高温の電極を真空処理し、次に、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスによって処理し、再び真空処理することによって実施される。真空処理が後に続く不活性ガス処理は、1回より多く実施してもよい。従って、冷却は、真空下で継続される。少なくとも実験室規模における不活性ガス処理及び真空処理に適した容器は、グローブボックスである。冷却時及び冷却後の脱気は、第1の特定の実施形態では少なくとも1時間実施され、第2の特定の実施形態では少なくとも30分間実施され、揮発性熱分解生成物の除去を行う。
【0042】
熱分解ステップの間に適用されうる温度が低いのは、任意に、かつ、好ましくは、部分的にリチウム化されるH238などの特定のEAMの温度を下げる効果に、少なくとも部分的に起因する。
【0043】
電子活性材及び任意に結合剤に関する粒子、微粒子という用語は、ナノ粒径又はマイクロ径粒子、特に、他の寸法より少なくとも約20倍超の一寸法を有する伸長粒子を表す。また、他の寸法より少なくとも約20倍超の一寸法を有するこのような粒子は、繊維とも呼ばれる。例えば、非伸長粒子の通常の粒径は、500nm未満であり、特に、ナノ粒子は、5〜500nm、好ましくは、5〜400nm、さらに好ましくは20〜300nmの平均粒径を有する。伸長粒子の場合では、好適な寸法は、幅が200nm未満、好ましくは約100nmであり、長さが最大約100μm、好ましくは約10μmである。
【0044】
繊維が長過ぎる場合は、分散時にすりつぶして繊維を短くしてもよい。
【0045】
第2の特定の実施形態では、Lix2-x38(式中、x=0〜1.5、好ましくは0.1〜1.5)が使用される場合、この化合物は、硫酸バナジルの添加によって安定化させるのが好ましい。好ましい実施形態では、硫酸バナジルが水に溶解され、次に、H238が添加され、分散される。次に、GO溶液が、攪拌しながら滴加される。
【0046】
第2の特定の実施形態では、少なくとも部分的に熱分解性の有機化合物、好ましくは、乳酸リチウム、リチウム及びヒドロキシド源、例えば水酸化リチウムを添加する前に、懸濁液を凍結し、解凍することがさらに有利であることがわかっている。これらの2つの物質を添加する好ましい順序は、最初にラクテートであり、ラクテートが溶解したら、水酸化リチウムを添加する。
【0047】
次に、得られた青色の懸濁液は、濾過され、室温で予め乾燥され、その後、水の沸点超で乾燥する。次に、乾燥した電子活性前駆体物質は、熱分解温度で作動する熱分解オーブンに移される。次に、そのような熱分解された物質は、任意に、1又は複数の脱気/ガス添加サイクルによって確立される不活性ガス雰囲気中で、少なくとも30分間脱気される。この排気時間の間に、活性電極は周囲温度に冷却される。
【0048】
電極の最適化は、炭素でコーティングされ、自己組織化された、好ましくは、部分的にリチウム化された電極材を作成する最適化された方法に関し、セルが組み立てられる際に材料の電気化学的性能が改善されている。
【0049】
すでに上に記載したように、本発明の方法で使用されるための好適なEAMは、H238であり、小さい繊維の形態で天然に存在している。さらに好適なEAMは、電極調製処理の間に、部分的にリチウム化されるH238であり、Lix2-x38(式中、xが0.1〜1.5であり、好ましくは0.5〜1.5であり、xが1に近いことがさらに好ましい)が得られる。この部分的にリチウム化されたEAMは、バッテリー内でLiy2-x38に変換することができ、式中(それぞれ充電又は放電に応じて)、xは上に定義するとおりであり、yは0〜4.5である。部分的にリチウム化されたEAMを使用することによって、組み込まれるいくつかのリチウムには「ストレスが無く」、充電放電サイクル時の仕事量が減少する。
【0050】
本発明のカソードの良好な特性は、Lix2-x38が、熱分解された物質、例えば、主にカーボンを含み、酸素、水素及びリチウムも含む可能性のある物質のコーティングを実施するリチウムイオンでコーティグされていることによるものと思われる。
【0051】
あらゆる理論によって制約されることを意図せず、発明者らは、本発明のマトリクスによる便益が、マトリクス物質の量が低いということのみならず、ナノ粒子カーボン及び/又はグラファイトグラフェン層、むしろグラフェンフレークの代わりに、粒子より弾性が高く、低重量及び高表面積にもかかわらず、いくつかのEAMナノ粒子に広がり、熱分解された導電層に埋め込まれる電子導電性「充填剤」として使用されるという事実であることも前提としている。
【0052】
従来技術に関するH238と比較すると、本発明のLix2-x38カソードは、サイクルの安定性(又はサイクルの各回数)、電気容量及び高電力負荷に関して、かなり良好な結果をもたらす。本発明のカソードは、最大2C(即ち、約800A/kg)の電流密度における電子活性材の電気容量が400Ah/kgであるなどの、極めて高い電流速度能力を示している。驚くべきことに、電流範囲の負荷が20〜2000A/kgであれば、電気容量の損失の可能性がほぼないことが判明した。
【0053】
特に、本発明のLix2-x38カソードは、30サイクルの間ほぼ理論上のサイクル容量が得られ、電気容量は、2番目のサイクルでは、430Ah/kgなどの少なくとも400Ah/kgであり、20サイクル後の電気容量は依然として400Ah/kg超であり、30サイクル後でも依然として約380Ah/kgであり、これは、材料が、20サイクルを超えてもほぼ一定(1C)であることを意味することを特徴とする。さらに、カソードは、プラトーが3.5から4.2ボルトに延長することを特徴とする。実際に使用可能な電気容量は、250〜350Ah/kg(約300A/kgの1Cレート)である。このように広範囲であるのは、電気容量が材料配置に依存しているという事実による。2.7V平均では、実用特定電荷が410Ah/kgであり、1107Wh/kgの単一電極特有のエネルギーを生じさせる。従って、バッテリー全体で約400Wh/kgを実現し、これは今日の市販のバッテリーのおよそ2倍である。
【0054】
測定された電極の炭素含有量は、(先の共同出願では、依然として10〜15重量%であることに比して)活性電極に対して5±2重量%であり、使用したアノードはリチウムであった。
【0055】
本発明のカソード及びアノードの大きな便益は、マトリクスの量が低いということである。ポリマーの代わりに熱分解生成物、グラファイトの代わりにグラフェンを使用することによって、マトリクスの量は、導電性充填剤粒子、例えば、グラフェンフレークの代わりにグラファイトを含む熱分解されたマトリクスを使用する先の共同出願の10〜15重量%に比して、電子活性材又は活性電極それぞれに対して、多くとも10重量%、好ましくは、5±2重量%に大幅に減少することができる。
【0056】
好適な電流集電体は、チタン、ニッケル又は(現時点で、好ましくは)グラファイトである。また、アルミニウムもありうるが、腐食性であることから、アルミニウムはあまり好ましくない。
【0057】
これらのカソード及び類似して作製されるカソード及び/又はアノードは、あらゆる充電式リチウムイオンバッテリーに使用してもよいが、電解質に関しては、炭酸エチレンと炭酸エチルメチル及び/若しくは炭酸ジメチルとの混合物中のLiPF6、又はLiPF6より安定性があることがわかったLiPF3(C253から選択されるのが好ましい。
【0058】
組み立てられたセルを検討すると、予期しなかった結果がいくつか得られた。組み立てられたセル(水熱法によって調製されるH238電極)が、例えば約30℃で保存された状態であった場合、開路電圧(OCV)値は、4日間で約200mV減少した。減衰(電位対時間)の正確な形状は、未だに特徴付けられていない。組み立て直後、OCVは3.50Vの状態にあった。3日保存後では、OCVは3.45Vに等しく、4日保存後では、OCVは3.30Vに低下した。
【0059】
OCVの低下は、経年劣化及び/又は平衡過程に起因すると考えられる。この過程は、バッテリー性能に大きな影響を及ぼす。組み立てられたセルを30℃で3日間に対応する条件下で保存すると、理論上の電気容量(420〜450Ah/kg)値に近づく。
【0060】
また、改良された充電技術が開発された。安定したH238電極は、充電放電(電位対時間)時に非対称的に挙動する特性を有する。それらの放電曲線は、3つの電気活性領域を示すが、充電時では、2つの領域のみが観察可能である。最小電位(2V)でのデインターカレーションは、充電曲線では発生しない。しかし、欠損したリチウムが2.7Vで抽出されることから、アノード容量及びカソード容量は、等しい状態である。2〜2.7Vで充電する際の電気化学的挙動は、さらに調査され、放電時に生成される相の1つに相関する可能性がないことが判明した。さらに、発明者らは、この範囲で不可逆過程が引き起こされる危険性があることを発見した。従って、発明者らは、この相を回避することを試み、充電開始時にサイクリックボルタンメトリー(CV)ステップをプログラミングすることによって、2Vでのデインターカレーションを人為的に抑制することが可能であることを発見した。この考えとは、2.7V付近で電極を素早く分極し、選択した電流で定電流充電を開始することであった。この手順によって、さらに高い電位での抽出が多くなるという利益を得て、2Vのプラトーが徐々に消失し、最終的には、2.5Vでプラトーが長く継続するようになった。この処理によって、バッテリーの保存可能期間を増大することができる。
【0061】
従って、充電は、1.6〜2.8Vの第1のサイクリックボルタンメトリー(CV)ステップと、第1のステップの直後に実施される、2.8〜4.1Vの定電流ステップであって、第1のデインターカレーションプラトーを2Vから2.5Vにシフトする、第2のステップと、の2つステップで実施するのが好ましい。
【0062】
負荷前の約15分間、完全に放電したバッテリーを保存することによって、ほとんど同じ結果又は同一の結果を得ることができる。第1の負荷ステップと同じように、保存することによって、2V超で物質平衡及び電位平衡が緩和される。
【0063】
以下の詳細な記載を考慮することによって、本発明はさらによく理解され、上に記載したもの以外の目的が明らかとなる。そのような記載は、添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】20A/kg(1.5〜4.3V)で得られた4番目のサイクルの定電流測定からの差分容量(特定電荷)プロットを示す図である。
【図2】様々な電圧値(4.5、3.0、2.3、1.5V)までの5回の定電流サイクル(20A/kg)によって電気化学的に処理したバナジウム酸塩試料のXRD粉末データを示す図である。
【図3】同一電圧領域(1.5〜4.3V)の様々な印加電流密度(20、50及び100A/kg)におけるH238の定電流測定の比較を示す図である。
【図4】1.5〜4.3V、50A/kgにおける、様々な回数の定電流サイクル処理と、最終的に脱リチウム化を施された試料のXRDデータの比較を示す図である。
【図5】50A/kg(1.5〜4.3V)における様々なサイクルの定電流測定からの差分容量プロットを示す図である。
【図6】同一電圧領域(1.5〜4.3V)の様々な印加電流密度(200、500及び1000A/kg)におけるH238の定電流測定の比較を示す図である。
【図7】微粒子EAM、熱分解されたマトリクス及びこれに組み込まれるグラフェンフレークを示す、実施例2aに従って調製した活性電極材のSEMマイクロ写真である。
【図8】200A/kgで実施例2aに従って調製した活性電極材の放電曲線を示す図である。
【図9】200A/kgで実施例2aに従って調製した活性電極材の定電流測定を示す図である。
【図10】微粒子EAM、熱分解されたマトリクス及びこれに組み込まれるグラフェンフレークを示す、実施例2bに従って調製された活性電極材のSEMマイクロ写真である。
【図11】200A/kgで実施例2bに従って調製した活性電極材の放電曲線を示す図である。
【図12】200A/kgで実施例2bに従って調製した活性電極材の定電流測定を示す図である。
【図13】200A/kg(1.6〜4.2V)における7番目のサイクルでの定電流測定から実施例2bに従って調製した活性電極材の差分容量プロットを示す図である。
【図14】実施例2bに従って調製した活性電極材の定電流測定前のXRD粉末データを示す図である。
【図15】14番目から15番目のサイクル(100A/kg)で観察された自然安定を示す図である。
【図16】14番目から15番目のサイクル(100A/kg)(図15と同じ実験)における2Vの酸化ピークの自然シフトを示す図である。
【図17】2ステップ充電(200A/kg)による2Vの酸化ピークの人為的シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
カソード及びアノードに用いるための有力なEAMが、いくつか存在している。しかし、その多くは低導電性のため、ナノ粒子の形態で使用する必要がある。最も有力なカソード材の1つは、H238である。この物質は、リチウムのインターカレーション能が高く(H238あたり少なくとも4.5リチウム以下)、分子量が比較的低い(2つの水素原子の存在によって、そのような酸化バナジウムに対して分子量が可能な限り低い)という点が顕著であるが、いくつかの難点がある。
【0066】
繊維状H238は、多量のリチウムを交換することができる。これは、主に、特定の結晶構造によるものである。リチウムイオンのインターカレーション/デインターカレーションに関連する仕事量のため、繊維が小さい粒子に分解するが、相転移が観察されず、サイクリックボルタモグラムは、ほとんど一定の状態で維持される(図1を参照)。
【0067】
図2に、金属リチウムの電位に対応する様々なリチウム収量のXRD図を示す。表1は、対応する格子定数を示し、これは特に、リチウム含有量がa軸方向に大きく変化していることを示す。
【0068】
表1:選択された様々な電圧で電気化学的処理した試料のリートフェルト法による精密な結果
【表1】

【0069】
238カソード内で起こっていることをよりよく理解するために、この仕事量とその効果は、リチウムイオンバッテリー内のそれぞれのカソードに対して決定的に重要であると考えられたことから、さらに綿密に調査した。これにより、様々な電流密度に対するそれぞれの測定値を示す図3からわかるように、すべての定電流測定がそれぞれ、電気容量減少する前の15〜35番目のサイクルで、材料の特定電荷又は電気容量の増大を最初に示したことが認められた。
【0070】
電気容量が減少したものの、結晶構造は同じ状態でほとんど残っていた(図4を参照し、50A/kgの270サイクルまでで、約35サイクル後の約300Ah/kgの最大電気容量から約111サイクル後には電気容量が約150Ah/kgになった)。図4が示すように、2〜270番目のサイクルでは、構造変化は、ほとんど観測することができなかった。また、この結果は、図5に示すサイクリックボルタモグラムによって確認した。
【0071】
従って、変化し、かつ、電気容量の大幅な損失を招く他の特性を探し出すことが必要であった。そこで、繊維長の変化を調査し、数サイクル後に繊維がすでに粒子化し、これにより、最初に電気容量が増大するが、さらに分解すると、電気容量が損失することを発見した。この挙動により、さらに細かい繊維の電気容量が改善したが、電流集電体に接する確率の低下につながり、これにより、電気容量の損失に至ったと解釈した。
【0072】
従来技術によるH238カソードの寿命の改善など、カソード機能を改良するためのいくつかの出発点を評価した。先に共同出願し、未だに公開されていない特許出願(2010年3月10日に出願した欧州特許出願第10156075.3号)では、寿命を改善したH238カソードを作製するための方法がすでに開示されている。一方、この出願では、繊維を結合するための新しい手法と、改良された繊維出発物質が開発され、これらは別々に改善を導くが、特に、併用した場合には、カソード材コーティングと新しいカソードを形成する。
【0073】
このように、上に示し、未だに公開されていない結合方法によれば、多孔性かつ柔軟性のある導電性材料を生成することができ、特に、H238あたり、好ましくは0.5〜1.5、さらに好ましくは1のリチウムで部分的にリチウム化された材料を形成するために使用する前に、H238繊維がリチウムイオンで処理される場合、多くのサイクルの間に極めて高い電気容量で安定した状態を維持するように、繊維が組み込まれる。そのような材料が多くのサイクルにわたって安定することが図6からわかる。第1の電気化学サイクルで得られた電気容量は、400Ah/kgをはるかに超え、次のサイクルの間にほんの少し減少する。50サイクル後の容量は依然として約400Ah/kgであり、この実験での電気容量の損失は、活性電極材自体ではなく、むしろ電解質に起因するものと考えられた。
【0074】
しかし、先の共同出願に記載される製造方法では、多くの改良品をもたらしているが、多くのステップが必要であった。従って、発明者らは、処理過程を容易にするためにさらに検討を重ね、製造方法のみならず、この方法によって得ることができる生産物も改良することができた。特に、発明者らは、電極のマトリクスの含有量をさらに減少させることができた。
【実施例】
【0075】
実施例1:H238の合成
第1の方法
塩化バナジル五水和物などのバナジウム(IV)水溶液200ml、0.06Mと蒸留水200mlを、800mlテフロン(登録商標)インレットに入れた。次に、インレットをスチールオートクレーブに移し、220℃に予熱したオーブンに配置した。マグネチックスターラー(80rpm)で溶液を確実に均質化した。温度を12時間一定に維持した。オーブンからオートクレーブを取り出し、大気条件下で冷却し、緑色から黄緑色の固体生成物を濾過し、蒸留水で2回、イソプロパノールで1回洗浄し、120℃で3時間空気乾燥した。このようにして、物質450〜550mgを得た。
【0076】
上記の反応で出発材料として使用するのに好適な塩化バナジル水溶液は、塩化バリウムによって硫酸バナジル溶液から硫酸塩を定量沈降して調製した。マイクロフィルター(孔径0.22μm)で濾過した後に、透明のバナジル塩化物水溶液を得た。
【0077】
本発明の酸化経路は、安全かつ迅速である。バナジウム(IV)は、合成終了時にバナジウム(IV)の一部が混合物中に残存するように、反応混合物中に過剰量で使用するのが好ましい。バナジル溶液は酸性である(pH≦3)。水熱処理は、220℃で12時間実施した(反応容器の外側で計測した温度であり、温度を反応混合物中で測定する場合は180℃となる)。220℃12時間は、最小限である。反応容器の半分以上を満たしてはならない。凝集を防ぐために非配位性溶媒で生成物を洗浄してもよい。
【0078】
第2の方法:均質性のあるナノサイズのH238を得るための好適な方法
VOSO4・5H2O 3gを脱イオン水50mlに溶解した。次に、アンモニア(NH4OH)2ml、25重量%を添加した。即座に生成する濃厚沈殿物を濾過し、灰色の含水固体生成物を回収し、オートクレーブのテフロン容器に入れ、蒸留水400mlに分散した。HCl 12M、1mlを添加後、オートクレーブを封止し、懸濁液を220℃で48時間水熱処理した。反応の終了時に、緑色から黄緑色の固体生成物を濾過し、水及びイソプロパノールで洗浄し、100℃で終夜、空気乾燥した。H238 750 mgを得た。バナジウムの収率は70%であった。
【0079】
実施例2a:自己集合、リチウム化及び炭化
乳酸リチウム0.68mg(0.0071mmol)、硫酸バナジル0.8mg(0.0049mmol)及び水酸化リチウム0.3mg(0.0125mmol)を密閉可能な10ml試験管内の蒸留水0.5mlに溶解した。次に、(実施例3に従って調製した)グラフェン酸化物(GO)溶液1.5mlを添加し、試験管を穏やかに振盪し、明茶色の透明溶液を得た。H23820mg(0.0707mmol)を溶液に分散し、試験管を封止し、得られた懸濁液を激しく超音波振盪して均質化した。完全に均質化してから、緑色の懸濁液を含む試験管をオーブンに入れ、150℃で1.5時間維持した。この水熱ステップの間、容器内圧力は約3〜4バールまで増大し、その間、GOの自己集合及びグラフェンへの加熱分解が起こった。懸濁液は、高密度(濃青色)固体が浮遊する黒色液体に変化した。水熱処理終了時に、電極となるこの濃青色の固体を回収し、アルミニウム集電体に配置し、残存液は、例えば、紙又はティッシュペーパーを電流集電体の固体析出物に押し付けても乾いたままとなるまで、紙又はティシュペーパーに染み込ませることによって除去した。次に、85℃で10分間空気乾燥することによって、乾燥を継続した。最終ステップでは、220℃で5分間空気曝露し、次いで、アルゴングローブボックス(少なくとも脱気1時間)に移した。図7には、活性電極材のSEM画像を示し、図8には、典型的な放電曲線を示し、図9には、定電流測定を示す。
【0080】
実施例2b:自己集合、リチウム化及び炭化
化学物質
次の化学物質を使用した。H23820mg、VOSO4・5H2O 150mg、乳酸リチウム60mg、グラファイト酸化物(GO)溶液5ml(0.5g/l)、蒸留水5ml、LiOH・H2O 60mg。
【0081】
器具
次の器具が必要であった。紙フィルター1個、セラミック漏斗フィルター1個、20mlビーカー1個及びマグネチックスターラー1個。
【0082】
電極調製
硫酸バナジルを、マグネチックスターラーを設置したビーカー内の水に溶解した。H2V38を添加し、ただちに超音波処理及び攪拌によって分散した。(実施例3に従って調製した)GO溶液を、攪拌しながら滴加した。混合物をスターラーによって30分間攪拌し、次に、懸濁液を凍結した。懸濁液が凍結した状態を維持する時間は、重要ではない。完全に凍結した状態になったらすぐに、温めてもよい。懸濁液を室温(RT)に再び温め、再び攪拌し、乳酸リチウムを添加して溶解した。乳酸リチウムが完全に溶解してから、粉状の水酸化リチウムを添加した。懸濁液の色が濃青色になったら、生成物を濾過し、THFで洗い流し、次に、室温で乾燥させた。次に、電極材を、通常固体ディスクの形態のフィルターから分離し、150℃で15分間空気乾燥した。再び緑色になった電極材を220℃のオーブンに移し、10分間維持した。次に、冷却するために、高温の電極材をグローブボックスに移し、電極材を少なくとも30分間脱気した。図8には活性電極材のSEM画像を示し、図11には典型的な放電曲線を示し、図12には定電流測定を示し、図13には差分特定電荷プロット(7番目のサイクル)を示し、図14には活性電極材のXRDパターンを示す。
【0083】
バッテリーアセンブリ
電極を調製するために1枚の電極材をディスク状に切断し、(結果の解釈用に)計量し、金属の電流集電体に配置した。続いて、電極をまずポリプロピレンのセルガードセパレーターで覆い、次に1つのシリカフォームセパレーターで覆い、セルをLP30電解質(EC/DMC1:1中LiPF61M)で満たし、リチウムアノードを内部に配置し、セルを密閉した。
【0084】
実施例3:コロイド状のGO分散剤(GO溶液とも呼ばれる)の調製
【0085】
実施例3.1:グラファイト酸化物の調製
グラファイト酸化物は、Boehmらにより改変されたBrodieによる公知の方法により調整した(非特許文献8)。
【0086】
グラファイト10gをナトリウム過塩素酸塩粉85gと完全に混合した。混合物は、氷状の塩化ナトリウム混合物を使用して約−20℃に冷却し、次に、有用なスターラーで緩慢に攪拌した。次に、発煙硝酸60mlを極めてゆっくり添加した。粘着性のある緑色の塊体を室温で30分間さらに攪拌した。混合物を、攪拌せずに終夜静置し、次に、10時間60℃にゆっくり加熱した。水2リットルを反応生成物に添加し、混合物を濾過し、希塩酸で1回、水2リットルで少なくとも2回洗浄した。濾過後に、得られた塊体を凍結乾燥し、極めてふわふわした象牙色の粉末のグラファイト酸化物約14gを得た。
【0087】
グラファイト酸化物の元素分析に基づいて、化学式C841.7が得られた。水分として、水素を脱離後、C/O比2.5の式C83.2を得た。X線回折分析を使用し、グラファイトの面間距離は3.35Åであり、乾燥グラファイト酸化物では、6.1Åに増大したことを示すことができた。
【0088】
実施例3.2:コロイド性のグラフェン酸化物分散剤の調製
実施例3.1で記載したようにして得られたグラファイト酸化物100mgを、脱イオン水100mlに添加し、12時間完全に攪拌して、次に、超音波浴に1時間静置した。このようにして得られたグラファイト酸化物(グラフェン酸化物とも呼ぶ)を、コロイド状のグラフェン分散剤に反応させた(以下参照)。
【0089】
水にグラファイト酸化物を分散することによって得られたコロイド性のグラフェン酸化物分散液は、肉眼及び倍率が1000倍の光学顕微鏡で見ても、光学的に透明であり、無粒子状態であり、pHは約5であった。レーザを使用し、チンダル効果が得られたことから、グラファイト酸化物はコロイド性分散液になったことが示された。
【0090】
そのような分散液を希釈し、好適な試料ホルダーに塗布した場合、走査型力顕微鏡により、コロイド性分散液がグラファイト酸化物、つまり、グラフェン酸化物の単層から成ることが明らかとなった。
【0091】
実施例4:実施例2aのH238電極上での蓄電時間の効果(電気化学的応用前の経年劣化)
組み立てられたセル(水熱法によって調製されるH238電極)を、30℃で保存した場合、OCV値は、4日間で約200mV減少した。減衰の正確な形状(電位対時間)は、未だに特徴付けられていないが、恐らく、負曲率を有する指数経路(最初は急降下し、平衡点に向かってゆっくり下っていく)に従う。組み立て直後、OCVは3.50Vにあった。4日保存後では、OCVは3.30Vに低下した。3日保存後では、OCVは3.45Vに等しかった。(図A参照)。
【0092】
OCVの減少は、自己放電に起因し、その間に電解質の一部がバナジウム(V)により酸化する。この過程は、バッテリーの性能に大きな影響を及ぼした。電気化学測定によって、反応速度の増加を示した。第1の充電から得られた時間(つまり電気容量)は、蓄積時間の延長に伴い増大した。このように、理論上の電気容量(420〜450Ah/kg)に近い値を、永続的に得ることができた。
【0093】
実施例5:実施例2aのH238電極のための改良された充電技術
安定したH238電極は、充電放電(電位対時間)時に非対称的に挙動する特異性を有する。それらの放電曲線は、3つの電気活性領域を示すが、充電時では、2つの領域のみが観察可能である。最小電位(2V)でのデインターカレーションは、充電曲線では発生しない。しかし、欠損したリチウムが2.7Vで抽出されることから、アノード容量及びカソード容量は、等しい状態を維持する。この特性の自然発生は、図15及び16で実証され、図17に示すように人工的に生成することができる。1.6〜2.7Vで完了した充電ステップは、分極部分、2Vでの短いプラトー(放電時の約半分)及び2.7Vプラトーへの線形領域を示す。2〜2.7Vの電気化学的活性は、放電時に発生する位相の1つに相関しておらず、不可逆過程を引き起こす可能性がある。2Vプラトーがバナジウム酸塩中のプロトンの再配置に起因し、プラトーが短くなるのは、部分的な再配置によって構造内に異常が発生し、これにより、リチウム抽出にエネルギーがさらに必要となるからであると考えられている。実際、セルの性能が劣化する間に、プラトーが短くなり、線形領域に経時的に変換されることが観測された。この現象によって、H238の非晶質化が引き起こされた(図B参照)。
【0094】
充電開始時にサイクリックボルタンメトリー(CV)ステップをプログラミングすることによって、2Vでデインターカレーションを人為的に抑制することが可能である。この考えは、電極を素早く分極して2.7Vに近づけてから選択した電流で定電流充電を開始することであった。例えば、好適なCVステップは、2.8Vまでは5mV/秒であった(図B参照)。この手順によって、さらに高い電位での抽出が多くなるという利益を得て2Vのプラトーが徐々に消失し、最終的には、2.5Vでプラトーがさらに得られた。この処理によって、電池の寿命が増大した(図C参照)。
【0095】
実施例6:実施例2bの電極の電気化学
電極を調査するために、2つの定電流ステップ及び「計数ステップ」を有する「.mprプログラム」を作成した。4.2V(C/3.5)まで充電した。−100A/kgで1.6Vまで放電させた。所望の回数のサイクルと充電ステップへの参照を加えた。電池をプラットホームに配置し、OCV(3.58V)を記録した。こうして実験を開始した。
【0096】
CVステップの代わりに緩和ステップを使用した場合、同様の結果が得られ、
即ち、完全に放電したセルは、充電前に15〜20分間放置することによって、約2Vより少し上に緩和した。
【0097】
結論:
電気化学サイクル及びエネルギー蓄積能力
2ステップで充電を実施することが有益であることが認められた。第1ステップは、1.6〜2.8Vの迅速なサイクリックボルタンメトリー(CV)ステップであった。第2ステップは、第1のステップ直後に実施され、4.1Vまでの定電流ステップであった。第1のデインターカレーションプラトーは、2Vから2.5Vにシフトした。保存時間後、又は、バッテリーが完全に放電してから、2Vより少し上に緩和できるのに十分な時間、通常約15〜20分後に充電を開始すれば、同じような効果を得ることができる。
【0098】
発明の好ましい実施形態を示し、記載してきたが、本発明は、これに限定されないことが明確に理解され、このほかに、本願の請求項の範囲内で、さまざまに実施し、実践することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子形態の電子活性材(EAM)と、マトリクスとを含む、好ましくは、これらから成る、充電式リチウム電池のための電極であって、第1の充電前では、前記EAMは、Lix2-x38であり、式単位では、3つのV原子のうち少なくとも1つの酸化状態が4+であり、式中、xは0.1〜1.5、好ましくは0.5〜1.5、さらに好ましくは1に近いことを特徴とする、電極。
【請求項2】
前記マトリクスは、内部に組み込まれるグラフェンフレークと、任意にリチウムイオン源と、任意に安定剤も含む熱分解性生成物から成ることを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記電極における前記マトリクスの重量割合は、前記活性電極の重量に対して10重量%、好ましくは5±2重量%であり、グラフェンに対する非晶質炭素材の比が、約2:1〜約1:1、好ましくは約3:2であることを特徴とする、請求項2に記載の電極。
【請求項4】
粒子系、特に繊維系の電極材を作製するための方法であって、
(A)分散剤を含む電子活性前駆体物質を調製するステップであっって、前記分散剤は、
(i)可溶性リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、
(ii)水溶性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質と、
(iii)電子活性材(EAM)と、
(iv)グラフェン酸化物(GO)と、
を含むステップと、
(B)液相から固体状の前記電子活性前駆体物質を分離するステップと、
(C)ステップ(B)の前記電子活性前駆体物質を乾燥させるステップと、
(D)ステップ(C)の前記電子活性前駆体物質を熱分解して活性電極材を得るステップと
を含む、方法。
【請求項5】
(E)ステップ(D)の前記活性電極材を切削して成形し、基材に前記活性電極材を配置するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(Ba)ステップ(C)を実施する前に、ステップ(B)の前記電子活性前駆体物質を基材に塗布するステップを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(A)は、
(Aa)リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、有機溶媒及び/又は水に溶解性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質とを含む溶液を調製するサブステップであって、前記溶液は、前記有機溶媒及び/又は水に、有機化合物、前記リチウム源及び前記ヒドロキシド源を溶解することによって調製されるサブステップと、
(Ab)pHが確実に8〜10となるように維持しながら、グラフェン酸化物の水性分散剤/溶液を添加するサブステップと、
(Ac)ステップ(b)で調製された前記分散剤に電子活性材(EAM)を分散して均質化するサブステップと、
(Ad)圧力が増大した条件下で、グラフェン酸化物のリチウム化、自己集合及びグラフェンへの加熱分解のための水熱ステップを実施し、分散剤を含む電子活性前駆体物質を得るサブステップであって、前記分散剤は、高密度固体が浮遊する黒色の液体形態にあるサブステップと
を含む、請求項4、5又は6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(A)は、
(Aα)有機溶媒及び/又は水に、任意に安定化させたEAMを分散するサブステップと、
(Aβ)グラフェン酸化物溶液を添加するサブステップと、
(Aγ)サブステップ(Aβ)で得られたこの分散剤を凍結するサブステップと、
(Aδ)温めることによって、凍結した前記分散剤を、好ましくは室温(RT)まで解凍するサブステップと、
(Aε)リチウム源及びヒドロキシド源、特に水酸化リチウムと、前記有機溶媒及び/又は水に溶解性であり、電子活性材と混合されて熱分解性である、少なくとも部分的に有機性の物質とを添加するサブステップと、
(Aζ)前記電子活性前駆体物質を含む前記分散剤が濃青色になるまで待つサブステップと
を含む、請求項4、5又は6に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(C)は、
(Cα)初めに、前記有機溶媒及び/又は水の沸点未満の温度、例えば室温で、前記電子活性前駆体物質を乾燥させるサブステップと、
(Cβ)次に、前記有機溶媒及び/又は水の沸点超の温度で前記電子活性前駆体物質を乾燥させるサブステップと
を含む、請求項4、5又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱分解ステップ(ステップD)は、約150〜約350℃、好ましくは約200℃で達成される、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(Da)少なくとも30分間、ステップ(D)の高温の前記活性電極材を脱気し、(この脱気時間の間に)前記活性電極材を冷却するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
水中で実施される請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
物質を含む有機部分は、リチウム塩、特に、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、好ましくは乳酸リチウムなどのヒドロキシカルボン酸リチウムを含む熱分解性部分である、請求項4〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記リチウム源は、乳酸リチウムを含み、好ましくは、水酸化リチウムと乳酸リチウムとから成る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
EAMのモル数に対して約5〜15mol%、好ましくは7〜13mol%、さらに好ましくは10mol%の熱分解性物質が使用され、グラフェンに対する非晶質炭素材の比が約2:1〜約1:1、好ましくは約3:2となるのに適した量でグラフェン酸化物が使用される請求項4〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ粒子形態のEAMは、
LixTPO4、LixTSiO4、LixTBO3(式中、T=Mn、Fe)、Li438、NaV38と、Li1.3-yCuy38、LixFePO4、LixCoO2、LixMn24、Lix(MnuCovNiyAlz)O2(式中、u+v+y+z≒1)と、Lix2-x38(式中、xは0〜1.5、好ましくは0.1〜1.5である)から成る群から選択されるカソード材、及び/又は、
Lix6及びリチウム合金から成る群から選択されるアノード材である、請求項4〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
使用される前記カソード材は、H238である、請求項4〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記H238は、好ましくは部分的にリチウム化され、前記熱分解ステップ(ステップD)は、約200〜約250℃、好ましくは約220℃で達成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水熱ステップ(Ad)は、圧力下で実施され、前記圧力は、約3〜4バールに増大する、請求項7及び12〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
非伸長ナノ粒子形態のEAM内部の粒子は、500nm未満の粒径を有し、特に、5〜500nm、好ましくは、5〜400nm、さらに好ましくは20〜300nmの平均粒径を有し、伸長粒子は、幅が200nm未満、好ましくは約100nmであり、長さが最大約100μm、好ましくは約10μmである請求項4〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項4〜20のいずれか1項に記載の方法によって得られることが可能な、又は得られる電極。
【請求項22】
請求項1、2、3及び21のいずれか1項に記載のカソード及び/又はアノードを含む充電式バッテリー。
【請求項23】
電解質は、炭酸エチレンと炭酸エチルメチル及び/若しくは炭酸ジメチルとの混合物中のLiPF6又はLiPF3(C253から選択される、請求項22に記載のバッテリー。
【請求項24】
前記カソードは、Lix2-x38を含むH238カソードであり、第1のインターカレーションプラトーは、2Vから2.5Vにシフトする、請求項22又は23に記載のバッテリー。
【請求項25】
請求項1、2、3及び21のいずれか1項に記載の電極は、セルに配置され、少なくとも1つのセパレーターで覆われ、前記セルは、電解質で満たされ、前記セルは、リチウムアノードを備えて密閉されている、バッテリーを作製するための方法。
【請求項26】
請求項1、2、3及び21のいずれか1項に記載のバッテリーを改良するための方法であって、前記バッテリーは、30℃で3〜4日間に対応する条件下で保存される方法。
【請求項27】
請求項1、2、3及び21のいずれか1項に記載のバッテリーを充電するための方法であって、迅速なサイクリックボルタンメトリーステップは、1.6〜2.8Vで実施され、定電流ステップは、2.8〜4.1Vで実施される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−94516(P2012−94516A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232595(P2011−232595)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(510010894)ベレノス・クリーン・パワー・ホールディング・アーゲー (18)
【Fターム(参考)】