説明

グラフェン/金属ナノ複合粉末及びその製造方法

【課題】材料の機械的または電気的特性が向上したグラフェン/金属ナノ複合粉末及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、グラフェン/金属ナノ複合粉末を提供する。前記グラフェン/金属ナノ複合粉末は、ベース金属と、前記ベース金属内に分散され、前記ベース金属の強化材として作用するグラフェンとを含む。前記グラフェンは、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態で介在され、前記金属粒子と結合する。前記ベース金属内の前記グラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応により前記グラフェンの構造変形が防止され得る限度である0vol%超過且つ30vol%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ複合粉末及びその製造方法に関し、より詳細には、グラフェン/金属ナノ複合粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属は、強度とともに熱及び電気伝導性に優れた材料である。また、軟性が良いため、加工が他の材料に比べて容易で、産業全般にわたって多用途に適用されている。
【0003】
最近、金属にナノ技術を結合して、産業的側面の応用範囲が高い金属ナノ粉末を製造しようとする研究が活発に進行されている。すなわち、金属ナノ粉末に対する研究の場合、金属自体が有している特性以外に、前記金属の粒子サイズが微細になるにつれて新しく登場する機械的物理的特徴が注目されていて、特に、表面効果、体積効果、粒子間相互作用がもたらす新しい特性は、先端材料として高温構造材料、工具材料、電気磁気材料、フィルタ及びセンサーなどへの応用が期待されている。
【0004】
このような金属ナノ粉末において、既存の金属粉末の特性を維持させながら、新しい機能を追加するか、または既存の金属粉末の機械的電気的特性を向上させようとする研究も一緒に進行されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、材料の機械的または電気的特性が向上したグラフェン/金属ナノ複合粉末を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、材料の機械的または電気的特性が向上したグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、グラフェン/金属ナノ複合粉末を提供する。前記グラフェン/金属ナノ複合粉末は、ベース金属と、前記ベース金属内に分散され、前記ベース金属の強化材として作用するグラフェンとを含む。前記グラフェンは、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態で介在され、前記金属粒子と結合する。前記ベース金属内の前記グラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応により前記グラフェンの構造変形が防止され得る限度である0vol%超過且つ30vol%未満である。
【0008】
本発明の他の態様は、グラフェン/金属ナノ複合素材を提供する。前記ナノ複合素材は、前述した本発明の一態様によるグラフェン/金属ナノ複合粉末を含み、粉末焼結法によって製造される焼結体である。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、グラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を提供する。前記グラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法において、まず、グラフェン酸化物を溶媒に分散させる。前記グラフェン酸化物が分散された前記溶媒にベース金属として適用される金属の塩を提供する。また、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩を還元させて、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態のグラフェンが介在される粉末を形成する。前記分散されたグラフェンは、前記ベース金属の強化材として作用し、前記分散されたグラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応により前記グラフェンの構造変形を防止し得る限度である0vol%超過且つ30vol%未満よりなる。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、グラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を提供する。 前記グラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法において、まず、グラフェン酸化物を溶媒に分散させる。 前記グラフェン酸化物が分散された前記溶媒にベース金属として適用される金属の塩(salt)を提供する。前記溶媒内の前記金属の塩を酸化させて、金属酸化物を形成する。前記グラフェン酸化物及び前記金属酸化物を還元させて、 前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態のグラフェンが分散される粉末を形成する。 前記分散されたグラフェンは、前記ベース金属の強化材として作用し、前記分散されたグラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応により前記グラフェンの構造変形を防止することができる限度である0vol%超過且つ30vol%未満よりなるように制御される。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、グラフェン/金属ナノ複合素材の製造方法を提供する。前記グラフェン/金属ナノ複合素材の製造方法は、本発明の一態様によって形成される前記グラフェン/金属ナノ複合粉末に対して、 前記ベース金属の融点の50%〜80%の温度で焼結し、バルク(bulk) 素材を形成する過程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例によれば、グラフェンがベース金属の金属粒子の間に薄膜形態で介在され、前記金属粒子と結合することによって、ベース金属の機械的または電気的特性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の実施例によれば、前述した機械的または電気的特性が強化されたグラフェン/金属ナノ複合粉末を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末を説明するための走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図2】本発明の一比較例としてのグラフェン/金属ナノ複合粉末を説明するための走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図3】本発明の一実施例及び一比較例によって製造されるバルク素材の破断面を示す図である。
【図4】本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を説明する流れ図である。
【図5】本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を説明する流れ図である。
【図6】本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の一実施例によるグラフェン/ニッケルナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の応力−変形測定結果である。
【図10】本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の応力−変形測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。本明細書で特に明示しない限り、図面において類似の参照符号は、類似の構成要素を示す。詳細な説明、図面及び特許請求の範囲で詳述する例示的な実施例は、限定のためのものではなく、ここで開示される主要部(subject matter)の思想や範疇を脱しない限り、他の変更も可能である。本発明の構成要素、すなわちここで一般的に記述され、図面に記載される構成要素は、多様に他の構成で配列され構成され結合され図案されることができる。また、当該技術分野における通常の知識を有する者なら本発明の技術的思想を脱しない範囲内で、本発明の思想を多様な他の形態で具現することができる。
【0016】
本発明において使用される用語であるグラフェンは、複数の炭素が互いに共有結合で連結され、多環式芳香族分子を形成する単層または多層の膜(sheet)形態の物質を意味し、前記共有結合で連結された炭素原子は、一例として、5円環、6円環または7円環の基本繰り返し単位を形成することができる。
【0017】
本発明において表記される“グラフェン/金属”複合粉末は、前記金属または前記金属の合金をベース金属とし、グラフェンが前記ベース金属内に分散されて分布する粉末を意味する。前記ベース金属という用語は、粉末の基地として機能する多様な種類の金属または合金を通称する概念として使用される。本発明で表記される“グラフェン/金属ナノ複合粉末”は、前記金属または前記金属の合金をベース金属とし、グラフェンが前記ベース金属内に分散されて分布するナノサイズを有する複合粉末を意味する。一例として、“グラフェン/銅ナノ複合粉末”というのは、銅または銅合金をベース金属とし、グラフェンが前記ベース金属内に分散されて分布するナノサイズを有する複合粉末を意味する。前記ナノサイズというのは、10μm以下の直径、長さ、高くまたは幅を意味する。
【0018】
グラフェン/金属ナノ複合粉末
本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末は、ベース金属と、前記ベース金属内に分散されるグラフェンとを含む。前記グラフェンは、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態で介在され、前記金属粒子と結合する。前記グラフェンは、炭素原子の単一層または複数層であることができ、一例として、約100nm以下の厚さを有する膜であることができる。一実施例によれば、前記ベース金属は、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つを含む金属または合金であることができるが、必ずこれらに限定されるものではない。他の実施例によれば、前記ベース金属として、溶媒内で金属塩を形成することができる多様な種類の金属が適用されることができる。以下では、前記ベース金属として銅が適用される一実施例を図1と関連して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末を説明するための走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真である。具体的に、図1の(a)は、本発明の一実施例において、グラフェンが分散されていないベース金属としての銅を示す走査電子顕微鏡写真であり、図1の(b)は、本発明の一実施例において、グラフェンがベース金属としての銅に分散されたグラフェン/銅ナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。
【0020】
図1の(a)及び(b)を比較すれば、本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末は、銅ベース金属内にグラフェン130が分散されて形成される。図1の(a)では、銅金属内の銅粒子110の規則的な結合配置を示している。これに対し、図1の(b)に示されたように、グラフェン/銅ナノ複合粉末は、前記銅ベース金属とグラフェンが混在されている構造を有する。前記銅ベース金属内の金属粒子120は、数百nm以下のサイズを有する。グラフェン130は、前記銅ベース金属内の金属粒子120の間に薄膜形態で介在される。グラフェン130は、前記銅ベース金属内に分散されて金属粒子120と結合することによって、前記銅ベース金属の引張強度のような機械的特性を向上させる強化材として作用する。但し、本発明の発明者は、前記銅ベース金属内に分散されるグラフェン130の量が所定のしきい値を超える場合、一例として、グラフェン130相互間の反応によってグラフェン130同士の凝縮によってグラフェン130の構造変形が発生すると判断する。グラフェン130の前記構造変形は、一例として、グラフェン130の黒煙への構造変形などを挙げることができる。前記ナノ複合粉末内の一部分においてグラフェン130の前記構造変形は、グラフェン130が前記銅ベース金属の前記機械的特性を向上させる役目を鈍化させるものと判断する。したがって、前記銅ベース金属内に分散されるグラフェン130の量は、適宜制御される必要があり、前記グラフェン130の量の所定のしきい値は、約30vol%であることができる。したがって、ナノ複合粉末内でのグラフェン130は、0vol%超過且つ30vol%未満の体積比を有するように調節されることができる。一実施例としての図1の(b)に示されたグラフェン/金属ナノ複合粉末は、5vol%グラフェン体積比を有する。
【0021】
図2は、本発明の一比較例としてのグラフェン/金属粉末を説明するための走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真である。一比較例としての図2に示されたグラフェン/銅ナノ複合粉末は、銅210をベース金属とし、30vol%グラフェン体積比を有する。図示のように、30vol%のグラフェン体積比を有するグラフェン/銅ナノ複合粉末の場合、グラフェン230は、前記粉末内で相互間の反応により凝縮される。グラフェン230が凝縮される場合、前記銅ベース金属内でグラフェン230の均一な分散が妨害され、よって、前記銅ベース金属の機械的特性を向上させる強化材としてのグラフェン230の作用が低下する。
【0022】
前述したように、本発明の実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末において、ベース金属内に分散されるグラフェンは、0vol%超過且つ30vol%未満の体積比を有するように調節される。前記グラフェンは、ベース金属の金属粒子と結合することによって、前記ベース金属の機械的特性を向上させる強化材の作用をすることができる。他のいくつかの実施例によれば、伝導体である前記グラフェンがベース金属の金属粒子と結合するようにして、前記ベース金属の電気伝導度のような電気的特性を向上させることができる。前記グラフェンは、面上で約20,000〜50,000cm/Vsの高い移動度を有するものと知られていて、これにより、前記金属粒子との結合によって製造される本発明のナノ複合粉末は、その自体で高伝導度、高弾性の電線被服材料、耐摩耗コーティング素材のような高付加価値の部品素材に適用されることができる。
【0023】
他のいくつかの実施例によれば、本発明のグラフェン/金属ナノ複合粉末は、粉末焼結法によってバルク素材に変換されることができる。すなわち、前記グラフェン/金属 ナノ複合粉末を焼結処理してバルク素材を形成することができる。一実施例によれば、前記焼結工程は、ベース金属の融点の50%〜80%の温度で高圧を印加しながら進行することができる。前記バルク素材であるナノ複合材料は、コネクタ素材、電子パッケージング素材などの電磁気部品素材に適用されるか、または高強度、高弾性構造用素材のような金属複合材料に適用されることができる。本発明の一実施例による前記バルク素材は、グラフェンが0vol%超過且つ30vol%未満の体積比を有する前記ナノ複合粉末から製造されることができる。
【0024】
図3は、本発明の一実施例及び一比較例によって製造されるバルク素材の破断面を示す図である。図3の(a)は、1vol%のグラフェンを含むグラフェン/銅ナノ複合粉末を焼結処理して製造したバルク素材を示していて、図3の(b)は、30vol%のグラフェンを含むグラフェン/銅ナノ複合粉末を焼結処理して製造したバルク素材を示している。前記焼結過程は、ベース金属としての銅の融点の50%〜80%の温度で両方共に同一の条件で行われた。
【0025】
図3の(a)を参照すれば、銅のような軟性金属の粉末を焼結処理した後、一般的に観察されるコーン(cone)形状のディンプル310を含んでいる。前記バルク素材の内部にグラフェン310が均一に分散されていることを観察することができる。図3の(b)を参照すれば、バルク素材の破断面でディンプル310が観察されていない。これは、銅のような軟性金属の粉末に対する焼結が相対的に充分になされなかったことを意味する。前記30vol%の過多なグラフェンの含量に起因して、グラフェン/銅ナノ複合粉末の焼結が妨害されることが分かる。
【0026】
グラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法
図4は、本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を説明する流れ図である。図4を参照すれば、まず、ブロック410で、グラフェン酸化物を溶媒に分散させる。前記グラフェン酸化物は、公知のハマーズ(Hummers)工程または変形されたハマーズ工程を通じて黒煙(graphite)構造から分離して獲得されることができる。前記公知のハマーズ工程は、一例として、HummersなどのJournal of the American Chemical Society 1958、80、1339に公知されていて、前記論文に開示された技術は、本発明の技術の一部分を構成することができる。
【0027】
前記溶媒は、一例として、エチレングリコールを含むことができるが、これに限定されず、前記グラフェン酸化物を均一に分散することができる公知の多様な種類の溶媒が適用されることができる。前記グラフェン酸化物は、前記ハマーズ工程または変形されたハマーズ工程によって前記黒煙の炭素多層構造から酸化されて分離される一枚のシート(sheet)であることができる。前記グラフェン酸化物は、超音波処理のような分散処理を実施することによって、前記溶媒内で均一に分布するようにすることができる。
【0028】
ブロック420で、前記溶媒に金属の塩を提供する。前記金属は、一例として、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つを含む金属または合金であることができるが、これらに限定されず、溶媒内で金属塩を形成し得る多様な種類の金属が適用されることができる。この時、前記溶媒に分散された前記グラフェン酸化物の量と比較して前記金属の塩の量を調節することができる。すなわち、以後の工程で前記グラフェン酸化物が還元されて形成されるグラフェンが互いに凝集することを防止するために、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩の量を調節することができる。一実施例によれば、最終産物としてグラフェン/金属ナノ複合粉末内に分散される前記グラフェンの量が0vol%超過且つ30vol%未満の体積比を有するように、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩の量を調節することができる。本発明の発明者によれば、前記グラフェンの量が30vol%を超過する体積比を有するように、前記グラフェン酸化物及び前記金属の塩を提供する場合、還元される前記グラフェン同士の凝縮に起因して前記グラフェンの構造変形が発生することができると判断する。前記グラフェンの前記構造変形は、一例として、前記グラフェンの黒煙への構造変換などを挙げることができ、これは、製造される前記グラフェン/金属ナノ複合粉末内で前記金属粒子と結合し、前記ベース金属の機械的特性を向上させるグラフェンの作用を阻害する。前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩は、前記溶媒内で一例として超音波処理または磁性混合処理を実施することによって、均一に混合されるように操作することができる。
【0029】
ブロック430で、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩を還元させる。一実施例によれば、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩が含まれた前記溶媒に還元剤を提供した後、熱処理する還元工程を進行する。前記還元剤は、ヒドラジン(HNH)を適用することができる。一実施例によれば、前記還元工程は、前記グラフェン酸化物、前記金属の前記塩及び前記還元剤を含む溶液を70℃〜100℃の還元雰囲気内で熱処理することによって行うことができる。前記還元工程によって、前記金属をベース金属とし、前記ベース金属の金属粒子の間に前記グラフェンが薄膜形態で介在される前記グラフェン/金属ナノ複合粉末を獲得することができる。
【0030】
さらに、前記獲得されたグラフェン/金属ナノ複合粉末をエタノールまたは水などを利用して洗浄し、不純物を除去することができる。また、前記グラフェン/金属ナノ複合粉末を一例としてオーブンを使用して80℃〜100℃で熱処理して乾燥させることができる。いくつかの実施例によれば、前記獲得されたグラフェン/金属ナノ複合粉末を水素熱処理することができる。これにより、前記グラフェン/金属ナノ複合粉末内に残留する酸素のような不純物を除去し、前記グラフェンの結晶性を向上させることができる。前記水素熱処理は、一例としてチューブ形態の炉を使用して、水素を含むガスを反応ガスとして進行することができる。前記水素熱処理は、一例として300℃〜700℃の温度範囲で、1時間〜4時間進行することができる。
【0031】
図5は、本発明の他の実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法を説明する流れ図である。図5を参照すれば、まず、ブロック510で、グラフェン酸化物を溶媒に分散させる。前記グラフェン酸化物は、公知のハマーズ(Hummers)工程または変形されたハマーズ工程を通じて黒煙(graphite)構造から分離して獲得されることができる。前記公知のハマーズ工程は、一例として、HummersなどのJournal of the American Chemical Society 1958、80、1339に公知されていて、前記論文に開示された技術は、本発明の技術の一部分を構成することができる。
【0032】
前記溶媒は、一例として、蒸留水またはアルコールなどを使用することができるが、これに限定されず、前記グラフェン酸化物を均一に分散し得る公知の多様な種類の溶媒が適用されることができる。前記グラフェン酸化物は、前記ハマーズ工程または変形されたハマーズ工程によって前記黒煙の炭素多層構造から酸化されて分離される一枚のシート(sheet)であることができる。前記グラフェン酸化物は、超音波処理のような分散処理を実施することによって、前記溶媒内で均一に分布するようにすることができる。
【0033】
ブロック520で、前記溶媒に金属の塩を提供する。前記金属は、一例として、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つを含む金属または合金であることができるが、これらに限定されず、溶媒内で金属塩を形成し得る多様な種類の金属が適用されることができる。この時、前記溶媒に分散された前記グラフェン酸化物の量と比較して前記金属の塩の量を調節することができる。すなわち、以後の工程で前記グラフェン酸化物が還元されて形成されるグラフェンが互いに凝集することを防止するために、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩の量を調節することができる。一実施例によれば、最終産物としてグラフェン/金属ナノ複合粉末内に分散される前記グラフェンの量が0vol%超過且つ30vol%未満の体積比を有するように、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩の量を調節することができる。本発明の発明者によれば、前記グラフェンの量が30vol%を超過する体積比を有するように、前記グラフェン酸化物及び前記金属の塩を提供する場合、還元される前記グラフェン同士の凝縮に起因して前記グラフェンの構造変形が発生することができると判断する。前記グラフェンの前記構造変形は、一例として、前記グラフェンの黒煙への構造変換などを挙げることができ、これは、製造される前記グラフェン/金属ナノ複合粉末内で前記金属粒子と結合し、前記ベース金属の機械的特性を向上させるグラフェンの作用を阻害する。前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩は、前記溶媒内で一例として超音波処理または磁性混合処理を実施することによって、均一に混合されるように操作することができる。
【0034】
ブロック530で、前記溶媒内の金属の塩を酸化させて金属酸化物を形成する。一実施例によれば、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩が含まれた前記溶媒に酸化剤を提供した後、熱処理し、前記金属の酸化物を形成する。前記酸化剤は、一例として、水酸化ナトリウム(NaOH)を適用することができる。一例として、前記酸化工程は、前記グラフェン酸化物、前記金属の前記塩及び前記酸化剤を含む溶液を40〜100℃温度範囲で熱処理することによって行うことができる。前記酸化工程によって、前記金属の塩から前記金属酸化物を形成する。これにより、前記グラフェン酸化物と前記金属酸化物が結合された複合粉末を形成する。前記結合というのは、前記グラフェン酸化物と前記金属酸化物間の物理的または化学的結合を包括する概念である。
【0035】
その後、遠心分離器を利用してグラフェン酸化物と前記金属酸化物の前記複合粉末を前記溶媒と分離させることができる。前記溶媒が除去された前記複合粉末を水とエタノールを用いて洗浄することができる。前記複合粉末は、微細気孔を有するフィルタ及びポンプを使用して真空フィルタリングを行うことができる。これにより、さらに純度が高い前記グラフェン酸化物と前記金属酸化物を含む複合粉末を獲得することができる。
【0036】
ブロック540で、前記グラフェン酸化物及び前記金属酸化物を還元させる。一実施例によれば、前記グラフェン酸化物及び前記金属酸化物が含まれた前記複合粉末を還元雰囲気内で熱処理することによって行うことができる。一例として、前記複合粉末を200℃〜800℃で水素雰囲気の還元炉で1時間〜6時間還元させることができる。これにより、前記還元工程により、前記金属をベース金属とし、前記ベース金属の金属粒子の間に前記グラフェンが薄膜形態で介在される前記グラフェン/金属ナノ複合粉末を獲得することができる。
【0037】
前述した実施例のような工程を通じて、ベース金属内に分散され、前記ベース金属の金属粒子と結合するグラフェンを含むグラフェン/金属ナノ複合粉末を製造することができる。他のいくつかの実施例において、前記製造されたナノ複合粉末を焼結処理してバルク素材を形成することができる。一実施例によれば、前記焼結工程は、ベース金属の融点の50%〜80%の温度で高圧を印加しながら進行することができる。一例として、グラフェン/銅ナノ複合粉末の場合、500℃〜900℃の温度範囲で約50MPaの圧力を印加し、焼結工程を進行することができる。
【0038】
前述したような実施例による製造工程を通じてグラフェン/金属ナノ複合粉末を製造することができる。前記グラフェン/金属ナノ複合粉末内の前記グラフェンは、ベース金属の金属粒子と結合することによって、前記ベース金属の機械的特性を向上させる強化材の作用を行うことができ。他のいくつかの実施例によれば、伝導体である前記グラフェンは、前記ベース金属との結合を通じて前記グラフェン/金属ナノ複合粉末の電気的特性を向上させることができる。前記グラフェンは、面上で約20,000〜50,000cm/Vsの高い移動度を有するものと知られていて、これにより、前記金属粒子との結合によって製造される本発明のグラフェン/金属ナノ複合粉末は、その自体で高伝導度、高弾性の電線被服材料、耐摩耗コーティング素材のような高付加価値の部品素材に適用されることができる。
【0039】
他のいくつかの実施例によれば、前述した焼結工程によって製造されるバルク素材であるナノ複合材料は、コネクタ素材、電子パッケージング素材などの電磁気部品素材に適用されるか、または高強度、高弾性構造用素材のような金属複合材料に適用されることができる。
【0040】
以下では、本発明の様々な実施例のうちいずれか1つによる製造方法によって形成されるグラフェン/金属ナノ複合粉末を開示する。但し、下記の実施例は、本発明の様々な実施例をさらに詳細に説明するためのものに過ぎず、本発明の内容自体が下記実施例に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末のベース金属として銅及びニッケルを適用した。まず、前記ハマーズ工程を適用して黒煙からグラフェン酸化物粉末を形成した。前記グラフェン酸化物をエチレングリコール溶媒に添加した後、超音波工程を実施することによって、前記グラフェン酸化物を前記エチレングリコール溶媒内に均一に分散させた。これにより、グラフェン酸化物分散溶液を製造した。
【0042】
前記製造されたグラフェン酸化物分散溶液に金属塩として、銅水和物及びニッケル水和物を各々添加した。前記グラフェン酸化物及び前記銅水和物の混合溶液に還元剤であるヒドラジンを添加して熱処理することによって、銅ベース金属内にグラフェンが分散されたグラフェン/銅ナノ複合粉末を形成した。また、前記グラフェン酸化物及び前記ニッケル水和物の混合溶液に還元剤であるヒドラジンを添加して熱処理することによって、ニッケルベース金属内にグラフェンが分散されたグラフェン/ニッケルナノ複合粉末を形成した。製造されたグラフェン/銅ナノ複合粉末及びグラフェン/ニッケルナノ複合粉末をエタノールと水などを利用して洗浄し、オーブンで乾燥した。前記グラフェン/銅ナノ複合粉末は、5vol%のグラフェン体積比を有するように製造し、前記グラフェン/ニッケルナノ複合粉末は、1vol%のグラフェン体積比を有するように製造した。
【0043】
本発明の実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末の機械的特性を評価するために、別途のグラフェン/銅ナノ複合粉末を製造した。前記グラフェン酸化物12mg及び前記銅水和物として銅酢酸塩水和物(Cu(II)acetate monohydrate)16gをエチレングリコール溶媒を利用して混合した。前述した本発明の製造方法からグラフェン/銅ナノ複合粉末を製造し、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末内のグラフェンの体積比は、0.69vol%であり、重量比は、0.17wt%に換算された。
【0044】
<実施例2>
本発明の一実施例によるグラフェン/金属ナノ複合粉末のベース金属として銅を適用した。まず、前記ハマーズ工程を適用して黒煙からグラフェン酸化物粉末を形成した。前記グラフェン酸化物を蒸留水に添加した後、超音波工程を実施することによって、前記グラフェン酸化物を前記蒸留水内に均一に分散させた。これにより、グラフェン酸化物分散溶液を製造した。
【0045】
前記製造されたグラフェン酸化物分散溶液に銅水和物として銅酢酸塩水和物(Cu(II)acetate monohydrate)を混合した。酸化剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を提供し、80℃で熱処理して、前記グラフェン酸化物及び前記銅酸化物を含む複合粉末を形成した。前記複合粉末を遠心分離器を利用して前記蒸留水から分離し、真空でフィルタリングを行った。前記複合粉末を水素還元炉で還元熱処理することによって、銅ベース金属内にグラフェンが分散されたグラフェン/銅ナノ複合粉末を形成した。前記グラフェン/銅ナノ複合粉末は、5vol%のグラフェン体積比を有するように製造した。
【0046】
<実験例>
前記実施例1のグラフェン体積比5vol%のグラフェン/銅ナノ複合粉末及びグラフェン体積比1vol%のグラフェン/ニッケルナノ複合粉末に対して走査電子顕微鏡撮影を実施した。前記5vol%のグラフェン/銅ナノ複合粉末に対しては、透過電子顕微鏡撮影を別に実施した。前記実施例1の前記グラフェンの体積比が0.69vol%であるグラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末を利用して応力−変形(stress-strain)測定を各々実施し、前記グラフェン体積比0.69vol%のグラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末の機械的特性を比較評価した。
【0047】
前記実施例2のグラフェン体積比5vol%のグラフェン/銅ナノ複合粉末に対して走査電子顕微鏡撮影を実施した。前記実施例2の前記グラフェンの体積比が5vol%であるグラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末を利用して応力−変形(stress-strain)測定を実施し、前記グラフェン体積比5vol%のグラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末の機械的特性を比較評価した。
【0048】
<考察>
図6は、本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の透過電子顕微鏡写真である。具体的に、図6は、前記実施例1の製造方法によって形成された5vol%のグラフェン体積比を有するグラフェン/銅ナノ複合粉末の透過電子顕微鏡写真である。図7は、本発明の一実施例によるグラフェン/ニッケルナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。具体的に、図7は、前記実施例1の製造方法によって形成された1vol%のグラフェン体積比を有するグラフェン/ニッケルナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。図8は、本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。具体的に、図8は、前記実施例2の製造方法によって形成された5vol%のグラフェン体積比を有するグラフェン/銅ナノ複合粉末の走査電子顕微鏡写真である。
【0049】
図1の(b)及び図8の走査電子顕微鏡写真及び図6の透過電子顕微鏡写真を参照すれば、前記銅ベース金属内の金属粒子120、620、820は、数百nm以下のサイズを有する。銅ナノ複合粉末内で5vol%の体積比を有するグラフェン130は、前記銅ベース金属内の金属粒子120、620、820の間に薄膜形態で介在された形態を観察することができる。図7を参照すれば、前記ニッケルベース金属内の金属粒子720の間で1vol%の体積比を有するグラフェン730が薄膜形態で介在された形態を観察することができる。
【0050】
図9は、本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の応力−変形測定結果である。前記実施例1のグラフェンの体積比が0.69vol%である前記グラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末を利用して測定した応力−変形(stress-strain)結果である。図9を参照すれば、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末は、前記純粋銅粉末より弾性領域及び塑性領域の両者に対して引張応力(tensile stress)が高いことを観察することができる。具体的に、変形が0.01以上の区域で前記グラフェン/銅ナノ複合粉末の引張応力は前記純粋銅粉末の引張応力より約30%高く測定された。したがって、前記グラフェンがベース金属としての銅内に分散され、前記ベース金属の金属粒子と結合することによって、ナノ複合粉末の機械的強度を増加させる強化材として作用していることを判断することができる。
【0051】
図10は、本発明の一実施例によるグラフェン/銅ナノ複合粉末の応力−変形測定結果である。前記実施例2のグラフェン体積比が5vol%である前記グラフェン/銅ナノ複合粉末及び純粋銅粉末を利用して測定した応力−変形結果である。図10を参照すれば、降伏強度(yield strength)は、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末の場合、221MPa、前記純粋銅粉末の場合、77.1MPaを示した。また、弾性係数(elastic modulus)は、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末の場合、72.5GPa、前記純粋銅粉末の場合、46.1GPaを示した。このように、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末は、純粋銅粉末に比べて弾性領域で相対的に優れた機械的特性を示した。
【0052】
塑性領域の場合、引張強度(tensile strength)は、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末が245MPa、前記純粋銅粉末の場合、約202MPaを示し、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末が相対的に優れていた。但し、延伸率(elongation)の場合、前記グラフェン/銅ナノ複合粉末が約43%、前記純粋銅粉末の場合約12%を示し、前記純粋銅粉末が相対的に優れていた。
【0053】
以上、図面及び実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練された当業者は、下記の特許請求範囲に記載された本発明の技術的思想から脱しない範囲内で、本発明に開示された実施例を多様に修正及び変更させることができることを理解することができる。
【符号の説明】
【0054】
130、230、330、730 グラフェン、
110、120、210、320、620、820 金属粒子
310 ディンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース金属と、
前記ベース金属内に分散され、前記ベース金属の強化材として作用するグラフェンと、を含み、
前記グラフェンは、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態で介在され、前記金属粒子と結合し、
前記ベース金属内の前記グラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応によって前記グラフェンの構造変形が防止されることができる限度である0vol%超過且つ30vol%未満であるグラフェン/金属ナノ複合粉末。
【請求項2】
前記金属粒子は、1nm〜10μmのサイズを有することを特徴とする請求項1に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末。
【請求項3】
前記ベース金属は、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末。
【請求項4】
請求項1に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末を含む粉末焼結体であるグラフェン/金属ナノ複合素材。
【請求項5】
(a)グラフェン酸化物を溶媒に分散させる過程と、
(b)前記グラフェン酸化物が分散された前記溶媒にベース金属として適用される金属の塩を提供する過程と、
(c)前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩を還元させて、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態のグラフェンが分散される粉末を形成する過程と、を含み、
前記分散されたグラフェンは、前記ベース金属の強化材として作用し、前記分散されたグラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応によって前記グラフェンの構造変形を防止することができる限度である0vol%超過且つ30vol%未満よりなるように制御されるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項6】
前記金属の前記塩は、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む水和物塩であることを特徴とする請求項5に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項7】
(d)前記形成された粉末を300℃〜700℃の温度で水素熱処理する過程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項8】
(c)過程は、70℃〜100℃の温度で還元剤とともに前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩を還元させる過程を含むことを特徴とする請求項5に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法で形成されるグラフェン/金属ナノ複合粉末に対して、前記ベース金属の融点の50%〜80%の温度で焼結し、バルク(bulk)素材を形成する過程を含むグラフェン/金属ナノ複合素材の製造方法。
【請求項10】
(a)グラフェン酸化物を溶媒に分散させる過程と、
(b)前記グラフェン酸化物が分散された前記溶媒にベース金属として適用される金属の塩を提供する過程と、
(c)前記溶媒内の前記金属の塩を酸化させて金属酸化物を形成させる過程と、
(d)前記グラフェン酸化物及び前記金属酸化物を還元させて、前記ベース金属の金属粒子の間に薄膜形態のグラフェンが分散される粉末を形成する過程と、を含み、
前記分散されたグラフェンは、前記ベース金属の強化材として作用し、前記分散されたグラフェンの含量は、前記グラフェン相互間の反応によって前記グラフェンの構造変形を防止することができる限度である0vol%超過且つ30vol%未満よりなるように制御されるグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項11】
前記金属の前記塩は、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、鉄、カリウム、ルテニウム、クロム、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン、鉛、ジルコニウム、亜鉛及び白金よりなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む水和物塩であることを特徴とする請求項10に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項12】
(d)過程は、前記グラフェン酸化物及び前記金属酸化物を含む複合粉末を還元雰囲気で熱処理する過程を含むことを特徴とする請求項10に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項13】
(c)過程は、前記グラフェン酸化物及び前記金属の前記塩が含まれた前記溶媒に酸化剤を提供した後、熱処理する過程を含むことを特徴とする請求項10に記載のグラフェン/金属ナノ複合粉末の製造方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法で形成されるグラフェン/金属ナノ複合粉末に対して、前記ベース金属の融点の50%〜80%の温度で焼結し、バルク(bulk)素材を形成する過程を含むグラフェン/金属ナノ複合素材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225993(P2011−225993A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90465(P2011−90465)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508047668)コリア アドバンスド インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (9)
【Fターム(参考)】