説明

グラフト化ポリリジンデンドリマーの製造方法

沈殿物状の疎水性ポリペプチドを製造するための活性化α−アミノ酸モノマーの使用であって、そのポリペプチドが水性溶媒中で前記活性化α−アミノ酸モノマーの重合から生じ、前記溶媒中において再溶解できる使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に医薬組成物の製造の枠内における、グラフト化ポリリジンデンドリマーの製造方法、前記方法の実施により得られるグラフト化ポリリジンデンドリマー、及び前記ポリリジンデンドリマーの使用に関する。
【0002】
高度に分岐したポリリジン合成に関する文献において、2つの方法が記載されている。段階的な方法は、Denkewalterらにより始められ(1、2)、NCAアミノ酸重合方法はKlokらにより始められた(3、4)。
最初の高度に分岐したポリリジン(通常のデンドリマーとして分類されている)は、1981年の初期に、DenkewalterによりNα,N’ε−ジ−(ter−ブトキシカルボニル)−L−リジンから、一連のカップリング及び脱保護反応を介して調製された。
【0003】
こうした合成は、リジンのカルボキシル基をベンズヒドリルアミン(BHA)により保護されているリジンに一連のリジン単一層を添加することからなり、下記の化合物、BHALys、BHALysLys2、BHALysLys2Lys4、BHALysLys2Lys4Lys8、BHALysLys2Lys4Lys8Lys16、BHALysLys2Lys4Lys8Lys16Lys32等を徐々に生成することからなる。
カップリング反応は、無水溶媒中(CHCl又はDMF)で行われる。
得られた化合物は、表面上に多数のアミン官能基を有する。水中では、それらはポリカチオンである。
この段階的な合成方法は、文献において常に繰り返されている。
それは、例えば、Matthewsら(5、6)、Baigudeら(7)及びMenzとChapman(8)の研究において使用された。
【0004】
例えば、第1段階では、Matthewsらは、Denkewalterのポリリジンと同じポリリジンを合成した。第2段階では、それらは、各々の遊離アミン官能基、アニオン性官能基(−CO、SO等)を有する基に共有結合することによりそれらの表面を修飾し、そしてポリリジンコアをもつ新しいポリアニオン系材料を得た。こうした材料は、重要な抗ウィルス性(5)、抗菌性及び駆虫性(6)を有することが発見された。Baigudeらは、それらの末端のアミン官能基をオリゴ糖に結合することによりデンドリマーの表面を修飾し、得られた材料を使用し、ワクチンを作製した(7)。Takuroらは、発生期の段階においてそれらを使用し、遺伝子をトランスフェクトした(9)。Choiらは、ポリエチレングリコール−α,ω−ジアミンの2つの−NHsから段階的にポリ−L−リジンデンドリマーを構築し、得られた材料は優れた遺伝子トランスフェクタントであることを示した(10)。こうした多くの特性は、高度に分岐したポリリジンの新規材料としての大きな群のすべて又はその一部の利点をはっきり示していると思われる。
【0005】
こうしたポリリジンデンドリマー(1、2)は、最大分岐比を有すると考えられている。
さらに、それでもなお、こうした材料の利点は、段階的な合成方法の複雑さを隠してはいけない。例えば、脱保護及び精製工程に加えて、6つの工程が63リジンユニットのオリゴコンデンセイション(oligocondensation)に必要である。また、こうした無水溶媒中で非リジンプライマー(BHA)を使用することの必要性に注意することも重要であり、それらの可能な生物相互作用に関する問題を提起することができる。
【0006】
前記の段階的な合成と異なり、Klokらにより最近提案された第2の方法は、高度に分岐したポリリジンの合成に関して多段階の手順でリジンN−カルボキシ無水物を重合することからなる(3、4)。アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)は、周知のペプチド前駆体である(11)。こうした化合物は加水分解に敏感であり(12、13)、ある特定の研究を実施するための溶媒として使用される水を妨害しない(14〜17)。一般に、それでもなお、それは無水培地で、α−アミノ酸のN−カルボキシ無水物を重合することが推奨されている(11、18、19)。推奨される無水溶媒には、DMF、ジオキサン及びDMSOがあり、好ましい溶媒はDMFである(20)。
【0007】
リジンN−カルボキシ無水物からの高度分岐ポリリジン合成への第2アプローチを行なった著者は、無水反応培地の使用について推奨に従った。無水DMF中における合成方法は、これに由来する。
この方法では、第1工程は、イプシロン官能基上で異なるように保護された2つのN−カルボキシ無水物リジン(Z−Lys−NCAとBoc−Lys−NCAとの比が5/1〜2/1である)を共重合することからなる。保護基が選択され、その結果として、脱保護を選択することができる。加水分解によりNCAを失うことを避けるために、適切な処置により注意深く無水にさせた溶媒(DMF)中で共重合を実施する。共重合が行われるこうした条件下で、NCAの合成から得られる微量の酸を注意深く取り除かなければならない(21)。無水DMFでは、アミン(例えば、ヘキシルアミン)により共重合がプライムされる。反応時間は5日間である。反応の終わりに、反応培地を水に注ぎ、直鎖のポリリジンポリ([Z−L−リジン]−co−[Boc−L−リジン])が沈殿する。濾過及び乾燥後、生成物はBoc官能基を抑制する酸処理(CFCOHで1時間)が行なわれるが、Z官能基は保持している。従って、ポリ([Z−L−リジン]−co−[L−リジン])は形成される。その後、それを洗浄し、そして注意深く乾燥する。この直鎖ポリ([Z−L−リジン]−co−[L−リジン])は、著者が「コア(core)」と呼ぶ材料を構成しており、その後の工程において、分岐ポリリジンはそれから得られる。
【0008】
無水DMF中において、適切に精製された前記2つのNCA(Z−Lys−NCA及びBoc−Lys−NCA)の混合物と、この(コア)材料を、5日間反応させる。この反応の間に、この直鎖ポリリジンの遊離アミン官能基(例えば、Boc)は、Z−Lys−NCA及びBoc−Lys−NCAと反応し、新しい「分岐ポリ([Z−L−リジン]−co−[Boc−L−リジン])」を形成する。前記1つと同様の方法により形成される材料の回収後、この材料は、Boc官能基を取り除く酸処理(CFCOH)が行なわれ、Z官能基は保持する。得られる生成物「G0と呼ばれる分岐ポリ([Z−L−リジン]−co−[L−リジン])」は、注意深くさらに精製され、そして乾燥される。
その後、無水DMF中における5日間の、2つの試薬Z−Lys−NCA及びBoc−Lys−NCAの混合物との新しい反応において、この生成物はプライマーとして使用される。回収、乾燥、酸処理及び再乾燥後、生成物「G1と呼ばれる分岐ポリ([Z−L−リジン]−co−[L−リジン])」を得る。
【0009】
無水DMF中における5日間の、2つの試薬Z−Lys−NCA及びBoc−Lys−NCAの混合物との新しい反応において、この生成物G1が、次にはプライマーとして使用される。回収、乾燥、酸処理及び再乾燥後、生成物「G2と呼ばれる分岐ポリ([Z−L−リジン]−co−[L−リジン])」が得られる。
その後、生成物G0、G1又はG2は、非常に酸性な培地(HBr/CHCOH)での処理が行なわれる。この処理は残存しているZ官能基を抑制し、「分岐ポリ(L−リジン)G0,G1又はG2」が得られる。
その後、こうした「分岐ポリ−L−リジン」をジエチルエーテルで沈殿し、凍結乾燥する。
従って、この方法は、Denkewalterらにより最初に記載された構造と異なる構造をもつ「分岐ポリ−L−リジン」を得ることを効果的に可能にする。
【0010】
こうした「分岐ポリ−L−Lysines」(3)は、2つの1H−NMRシグナルのHb/Ha≦0.08の比から推論される30%以下のグラフト比の特徴を有する(表1)。Hbはイプシロン位において隣接リジンに結合しているリジンユニットのキラルプロトンを表し、Haはアルファ位において隣接リジンに結合しているリジンユニットのキラルプロトンを表している。しかし、異なる共鳴場を有するN−末端リジン(Hc)及びC−末端リジン(Hd)のプロトンを排除する。従って、こうしたpoly−L−リジンは、重合プライマーとして、第一級アミン(ヘキシルアミン)をもつ分岐ポリペプチドのネットワーク(30%以下のグラフト比)を形成する。
《表1》

【0011】
結果として、本発明の目的は、前記の複雑な方法を少なくすることを可能にさせる、ポリペプチド、特にポリリジンデンドリマーの製造方法を提供することである。
詳細には、本発明の目的は、公知の製造方法よりも速く、そして少ない合成工程及び/又は精製工程を含む、ポリペプチド、特にポリリジンデンドリマーの製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、本方法の実施により得ることができるデンドリマーにも関する。
最後に、本発明の別の目的は、医薬組成物又は防腐組成物の製造、並びに免疫型の分析のための、本発明の方法の実施により得られるデンドリマーの使用にも関する。
本発明は、沈殿物状の疎水性ポリペプチドの製造のための活性化α−アミノ酸モノマーの使用であって、前記ポリペプチドが水性溶媒中で前記活性化α−アミノ酸モノマーの重合から生じ、そして前記溶媒中において再溶解できるものである、前記使用に関する。
【0012】
用語「活性化α−アミノ酸モノマー」は、常温及び常圧条件下においてα−アミノ酸を重合させる修飾を受けたα−アミノ酸を意味する。
用語「疎水性ポリペプチド」は、使用される水中又は水和−有機溶媒中において不溶性であるポリペプチドを意味する。溶質(ポリペプチド)の疎水性特性を、水中又は有機溶媒(一般に、基準として使用されるオクタノール)中における溶質の分配係数Pにより評価することができる。分配係数Pは、(有機相中における溶質の濃度)/(水相中における溶質の濃度)の比として定義される。Pの対数を、Rekker定数により評価するか(22)、又は有機相中の濃度と水相中の濃度との比により実験的に測定することができる。
用語「水性溶媒」は、大部分が水を含んでいる(少なくとも50重量%)、任意の溶媒又は混和性の溶媒の混合物を意味する。
用語「再溶解」は、Rekker定数の修正により疎水性ペプチドの水溶液に対する復帰を意味し、例えば、リジンのイプシロン官能基を保護している基を放出することにより得ることができる。
【0013】
この使用の利点は、以下の実施することが簡単な基本的なサイクル方法を介することである。(1)制御された大きさのペプチドを合成し、それらを容易に回収すること、(2)脱保護によりそれらを再溶解すること、(3)制御された方法においてもそれらの大きさを増加させ、反応培地から容易に、均一にそれらを回収することが、可能である。
【0014】
前記の使用の特定の実施態様では、活性化α−アミノ酸は、α−アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)、α−アミノ酸N,N’−カルボニルジイミダゾール、α−アミノ酸硫化カルボニル、α−アミノ酸無水炭酸、及びアミノチオ酸−酸化剤から選択される。
α−アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)は、文献に記載されている方法(23−29)のいずれか1つにより調製されるが、Pascalらにより分析された間接方法によっても調製される(22)。
【0015】
前記の使用の別の特定の実施態様では、活性化α−アミノ酸は、下記式(1)で表されるα−アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)である。
【化1】

(式中、Rは天然又は修飾α−アミノ酸の側鎖を示す)
用語「天然アミノ酸」は、生態系において発見されるアミノ酸を意味する。
用語「修飾されたアミノ酸」は、側鎖(R)において修飾を受けている天然アミノ酸を意味する。
【0016】
前記使用のさらに特定の実施態様では、L−リジン−NCAモノマーは、水性溶媒中においてポリリジンを製造するために使用される。
用語、ポリリジンは、ポリマーの大部分の単一成分がリジンであるポリマーを意味する。
L−リジン−NCAモノマーにおいては、εアミノ基を保護するか、又は保護しないことができる。
用語「アミノ基の保護」は、反応性を減少するか又はさらになくし、分子の疎水性特性を修飾するための、アミノ基の上に保護基と呼ばれる化学基の可逆的な固定を意味する。
【0017】
本発明は、少なくとも1つの第一級又は第二級アミン基を含むプライマーから、グラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーを製造する方法であって、L−リジン−NCAモノマー、並びに、場合により1種以上の他のα−アミノ酸NCAモノマー(特には、L−オルニチン−NCA、L−グルタミン酸−NCA及びそのγ−アミド、L−アスパラギン酸−NCA及びそのβ−アミド、L−ジアミノ−2.4−酪酸−NCA及びそのβ−アミド、L−チロシン−NCA、L−セリン−NCA、L−トレオニン−NCA、L−フェニルアラニン−NCA、L−バリン−NCA、L−ロイシン−NCA、L−イソロイシン−NCA、L−アラニン−NCA、並びにグリシン−NCAを含むリストから選択される)の水性溶媒中での前記プライマーへの添加工程を含む、前記製造方法にも関する。最終材料の表面機能を修飾するために、こうした他の(NCA)モノマーをグラフト化デンドリマー構成の最終段階で使用することができる。
【0018】
用語「ホモポリリジン」は、リジンのみにより構成されるポリリジンを意味する。
用語「ヘテロポリリジン」は、30モル%を超えるリジンにより構成され、種々の天然ユニットも含んでいるポリリジンを意味する。
用語「グラフト化デンドリマー」、特にグラフト化ポリリジンデンドリマーは、高分子の構造がDenkewalter(1)により最初に記載されたデンドリマーの構造よりも曲げやすく、伸びやすく、そして規則正しくないが、Klokら(3、4)の分岐分子の構造よりも構造化されている高分子を意味する。Frechet及びTomaliaにより編集された研究「Dendrimers and other dendritic polymers」(31)の18頁に示されたように、前記の柔軟性構造は、従来のデンドリマーの特性と異なる特有の特性を有する。
【0019】
用語「プライマー」は、重合プロセスをプライムすることができる任意の化学種を意味する。活性化アミノ酸の場合では、プライマーは、求核種、例えば第1C−C12アルキルアミン、C−C12アルキルジアミン、第2又は第3C−C12アルキルアミン、UV又は蛍光により検出できる多環芳香族のアリールアミン、検出できる放射性原子を有する第1又は第2アルキル又はアリールアミン、1種又は複数の遊離アミン官能基を有するアミノ酸、1種又は複数の遊離アミン官能基を有するペプチド、1種又は複数の遊離アミン官能基を有するデンドリマー、1種又は複数の遊離アミン官能基を有するポリマーである。
【0020】
第i(i≧2)世代のデンドリマーの合成に関して、使用されるプライマーは第i−1世代の脱保護されたグラフト化デンドリマーを表す。
最初の活性アミノ酸又は複数のアミノ酸と同一のユニットのみを含むペプチドを生成することが望ましい場合、本発明による第1世代のデンドリマーの合成の間に、プライマー、例えば外部のプライマーを反応混合物に添加することは不可能である。この場合、NCA又はNCAsの加水分解(溶媒中における水の存在下により開始される)は、プライミングを必要とするアミノ酸(1種又は複数)を放出する。従って、第1世代の合成(P1と称する)に関して、外部のプライマーを使用するか又は使用しないことがあり、1つが使用される場合には、使用されるアミノ酸モノマーと異なることがある。
【0021】
ホモポリリジンデンドリマーの合成の特定の場合において、外部のプライマーを第1世代生成物(P1)の合成工程に使用しない場合、プライマーとしてε保護されたリジンを使用することにより得られたものに対して、同じ結果が得られる。外部のプライマーとして保護されていないリジンについて、鎖の伸びは、プライム点として2つのα及びεアミン官能基を有する。これら2つの場合において、反応収率は、外部のプライマーを使用しない場合よりも5%大きい。一方、第2世代生成物(P2)、第3世代生成物(P3)又は第n世代生成物(Pn)をもたらす各々の後に続く工程では、使用されるプライマーは、工程Pn−1において得られる生成物である。
【0022】
前記の製造方法の特定の実施態様では、モノマーはL−リジン−NCAのみであった。
前記の製造方法の別の特定の実施態様では、L−リジン−NCAが、特には、
【化2】

から選択される基によって、Nεにおいて保護された。
前記の基は、疎水性のオーダー増加において分類され、それぞれのRekker定数はlogP=−1.528、−0.946、0.964、1.124、2.849、5.81により与えられる。
有利には、保護基の性質によって、得られるポリリジンの大きさを調節することを可能にする。保護基が疎水性になればなるほど、ポリリジンの沈殿を促進するために必要とされるポリリジン中に存在する保護されたリジンユニットの数は小さくなる。従って、弱疎水性保護基(Formyl)で得られたポリリジンの大きさは、更に疎水性の基(TFA)で得られたポリリジンの大きさよりも大きい。
【0023】
前記製造方法の別の特定の実施態様では、プライマーは、L−リジン、L−オルニチン、ホモポリリジン、ポリ(エチレングリコール)−α、ω−ジアミン、ヘテロポリリジン、ヘテロペプチド又はホモペプチドから選択される。
用語「ホモペプチド」は、ペプチドの残基すべてが同じであるペプチドを意味する。
用語「ヘテロペプチド」は、異なる性質の残基により構成されるペプチドを意味する。
前記製造方法の別の実施態様では、溶媒のpHが約3〜9である。
このpHの使用は、ペプチド結合の安定性の範囲を表し(32)、この範囲外のpHと比較して反応収率の増加をもたらす。
好ましい実施態様によれば、本発明は、前記1世代のグラフトホモ又はヘテロポリリジンデンドリマー(P1)の製造方法に関し、下記の
沈殿物状の第1世代の保護されたグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、適切なpHの水性溶媒中で、Nε保護されたL−リジン−NCAをプライマーに添加する工程、
第1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、前記工程において得られた第1世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマーを脱保護する工程を含む。
【0024】
用語「世代(generation)」は、この高分子の各々の成長段階の間において得られる生成物を意味する。
用語「第1世代の(generation 1)」は、外部のプライマーなしか、又は前記TFA−L−リジン又は他のどんなプライマーももっている、TFA−L−リジンNCAの第1重合反応の生成物を意味する。
本発明による第1世代のグラフト化デンドリマーは直鎖状であることに注意されたい。
前記第1世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーの製造方法の好ましい実施態様では、プライマーは、Nεにおいて保護されているか、又は保護されていないL−リジンである。
プライマーとしてNε保護されているL−リジンの使用によって、L−リジンのホモポリペプチドが得ることができるようになる。
保護されていないL−リジンの使用によって、それぞれα及びεアミンから開始する2つのホモポリペプチドL−リジン鎖の伸長を可能にする。
【0025】
前記1世代のヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法の別の好ましい実施態様では、プライマーはポリ(エチレングリコール)−α,ω−ジアミンであり、その分子量は100Da〜10,000Da、好ましくは1,000Da〜10,000Daである。
本発明の別の好ましい実施態様では、前記第1世代のホモポリリジンデンドリマーの製造方法は、以下の
第1世代の保護されたポリリジンデンドリマーの沈殿物を得るため、プライマーの添加がないか、又はTFA基によりNε保護されたL−リジンプライマーを含む、約6〜約8のpHの水溶液に、TFA基によりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程、及び
分子量約1,400Da、特に1,450Daであり、約1.2の多分散性インデックスを有し、そしてリジンの8ユニットの平均重合度に相当する、直鎖の第1世代のポリリジンデンドリマーを得るため、前記工程で得られたポリリジンポリマーを脱保護する工程、を含む。
【0026】
前記及びこの後において、用語「平均分子量」は、数平均分子量
[式1]

(式中、合計は可能な分子量すべてに関し、Nは分子量Mを有する分子の数である)を意味する。重量平均分子量は、
[式2]

により定義される。多分散性インデックス(又は、多分子)は、I=M/Mにより定義される。同様に、数平均重合度は、
[式3]

により定義され、そして重量平均重合度は、
[式4]

により定義される。用語「平均重合度」は、ポリマー鎖に含まれている平均モノマー数である。
【0027】
光拡散及び示差屈折インデックス検出器に連結している立体排除クロマトグラフィーにより、平均(数又は重量)分子量、平均重合度ならびに多分子量インデックスを絶対的に測定する。第1世代(P、低分子量ポリマー)に関して、絶対分子量の測定をキャピラリー電気泳動法により実施した。得られた結果は、NMR及びMALDI−TOF質量分析法により得られた結果と一致している。
【0028】
本発明は、前記第n世代のグラフトホモポリリジン又はヘテロポリリジンの製造方法にも関し、nは2〜10の整数であり、
沈殿物状の第n世代の保護されたグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、適切なpHの水性溶媒中で、第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、Nε保護L−リジン−NCAを添加する工程であって、
保護された第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、前記第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、適切なpHの水性溶媒中で、第n−2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されたプライマーへの、Nε保護L−リジン−NCAの添加、及び前記ポリリジンの脱保護から得られたそれ自体であり、
前記第n−2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーに関して示されたように得られたそれ自体であり、
n=2の場合、第1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、請求項10〜13のいずれか一項で定義され、前記第1世代のポリリジンデンドリマーが第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーのコアを形成している前記工程;
第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、第n世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマーを脱保護する工程、
を含んでいる。
【0029】
用語「適切なpH」は、pHが3〜9であり、より詳細にはpHが6.5を意味する。
特定の実施態様では、本発明は前記第n世代のグラフトホモポリリジンデンドリマー(Pn)の製造方法に関し、L−リジン−NCAが、TFAによりNε保護されており、前記第n世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーのコアが、L−リジンの約8残基を含む直鎖のポリリジンから形成され、例えば前記第1世代のホモポリリジンの製造方法の実施により得ることができ、前記第n世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーの分岐度が約40%〜約100%、特に約60%〜約100%である。
【0030】
第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(Pn)の用語「分岐度」、「グラフト比」及び「分岐比」は、第n世代の生成物の全重合度(DPn)に関して反応する、PnにおけるεでのNHの割合と同義的な意味である。
分岐度を測定する好ましい手段は、HbプロトンのNMRシグナルの強度とHaプロトンのNMRシグナルの強度との比の測定であった。こうしたシグナルは、εアミン官能基に結合するリジンユニットのキラル炭素により運ばれるプロトンの共鳴(Hb(4.01ppm))、αアミン官能基に結合するリジンユニットのキラル炭素により運ばれるプロトンの共鳴(Ha(4.08ppm))を意味し、3.5と3.9ppmとの間で共鳴するN−末端(Hc)及びC−末端(Hd)リジンユニットにより運ばれるプロトンを除いている。こうした2つのシグナルの強度比によって、こうしたグラフト化デンドリマーの分岐度を解明することは可能である(3)。
有利には、本発明によるグラフト化ポリリジンデンドリマーのHb/Ha比は、約0.2〜約0.8、特に約0.25〜約0.60である。
【0031】
好ましい実施態様では、本発明は前記第2世代のグラフトホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法に関し、
第1世代のポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第1世代のポリリジンデンドリマーが、上で定義したように、例えば、約8ユニットのリジンを含む第1世代のホモポリリジンデンドリマーの製造方法の実施により得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第1世代のポリリジンデンドリマー)が約2.6〜約3.9、特に約3であり、
第2世代の保護されたポリリジンデンドリマーを得るために、適切なpHの水性溶媒中において、前記添加の工程が行われ;
− 約6,000〜約14,000Da、特に約8,350Da、好ましくは約8,600Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約40〜約60、特に約48である遊離の外部−NH基を有する第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(P2)を得るために、前記工程において得られるポリリジンを脱保護する工程とを含む。
【0032】
前記第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、Hb/Ha比が約0.1〜約0.8、特に約0.2〜約0.3、更に特に0.25であることも特徴とする。さらに、前記第2世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーを合成している間に、P1プライマーは約50%〜約100%、特に約80%〜約100%、より特に約100%のグラフト比となる。
【0033】
用語「遊離の外部−NH基(free external −NH groups)」は、脱保護されているεアミン官能基の−NH基及びα位におけるNH基を意味する。
遊離−NH基の存在を測定する好ましい方法はNMRである。例えば、Nε−トリフルオアセチルリジンを使用する場合、保護基の除去及び遊離アミン官能基の発生によって、19F NMRにおいて、(−76ppmにおける)トリフルオロアセチル基シグナルの消失及び(−75.8ppmにおける)トリフルオロ酢酸シグナルの同時発生が起こる。この消失は、1M水/メタノール/アンモニア溶液中において、40℃、15時間で完全となる。
【0034】
別の好ましい実施態様では、本発明は前記第3世代のグラフトホモポリリジンデンドリマー(P3)の製造方法に関し、
第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが前記方法の実施により得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NC)/(第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)が約2.6〜約3.9、特に約3であり、
第3世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマー(P3)を得るために、水性溶媒中において、適切なpHで前記添加の工程が行われ;
約15,000〜約30,000Daの平均分子量、特に約21,500Da、好ましくは約22,000Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約100〜約150、特に約123である遊離の外部−NH基を有する第3世代グラフト化ポリリジンデンドリマーを得るための、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程とを含む。
前記第3世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーは、Hb/Ha比が約0.2〜約0.8、特に約0.5〜約0.7、より特に約0.6であることも特徴とする。さらに、前記第3世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーを合成している間に、P2プライマーは約50%〜約90%、特に約70%〜約90%、より特に約81%のグラフト比となる。
【0035】
別の好ましい実施態様では、本発明は前記第4世代のグラフトホモポリリジンデンドリマー(P4)の製造方法に関し、
第3世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第3世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが、例えば、前記方法の実施により得られ、
(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)の比が約2.6〜約3.9、特に約3であり、
保護されている4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(P4)を得るために、適切なpHの水性溶媒中で、前記添加の工程が行われ、
約50,000〜約80,000Da、特に約64,000Da、好ましくは約65,000Da又は65,300Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約300〜約450、特に約365である遊離の外部−NH基を有する第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るための、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程とを含む。
前記第4世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーは、Hb/Ha比が約0.2〜約0.8、特に約0.4〜約0.5、より特に0.46であることも特徴とする。さらに、前記第4世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーを合成している間に、P3プライマーは約50%〜約90%、特に約70%〜約90%、より特に約80%のグラフト比となる。
【0036】
別の好ましい実施態様では、本発明は前記グラフトホモポリリジンデンドリマー(P5)の製造方法に関し、
第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが、例えば、前記方法の実施により得られるものであり、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)の比が約2.6〜約3.9、特に約3であり、
第5世代の保護されているポリリジンデンドリマー(P5)を得るために、水性溶媒中において、適切なpHで前記添加の工程が行われ;
約140,000〜約200,000Da、特に約169,000Da、好ましくは約172,000Da又は172,300Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約900〜約1100、特に約963である遊離の外部−NH基を有する第5世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程とを含む。
前記5世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーは、Hb/Ha比が約0.2〜約0.8、特に約0.3〜約0.5、約0.4であることも特徴とする。さらに、前記5世代のグラフトホモポリリジンデンドリマーを合成している間に、P4プライマーは約50%〜約90%、特に約60%〜約70%、より特に約65%のグラフト比となる。
【0037】
本発明は、前記グラフトホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法にも関し、特に第1世代のために使用されたプライマーがグラフト化デンドリマーに共有結合的に固定され、前記プライマーはマーカー産物を含み、デンドリマーを下記の手段(UV吸光度、蛍光発光、X線不透明度又は磁場感度)により容易に検出する。下記の各々の式、7−アミノ−1,3−ナフタレン−ジスルホン酸、アミノフルオレセイン、3−(4−カルボキシベンゾイル)キノリン−2−カルボキシアルデヒド、ローダミンスルホクロライド(テキサスレッド)、アミドトリゾエート又はアイオキサグレート、又はAu11(P(C)CONHCHCHO))等のアルデヒド官能基、カルボン酸官能基又はアミンに対する他の活性官能基を有する金属クラスター(Au、Fe、Ga、Mn)等のポリヨウ化物造影剤が、限定されないマーカー産物の例として、与えられ、X線及び磁気共鳴映像法(MRI)において像を明瞭にする診断目的の薬剤に使用される。前記のマークされた分子が、例えば前記最初の2つのアミン官能基を有する場合、それらはNCAの重合をプライムするために使用することができる。その後、それらはC末端に対するアミド結合により第1世代のグラフト化デンドリマー(P1)に共有結合する。対照的に、例えばマークされた分子がアミンに反応することができるアルデヒド、スルホクロライド、カルボン酸等の官能基を有する場合は、その後、従来の方法を使用することにより、NεにおけるTFA官能基の脱保護の前にデンドリマー(P1)のN末端にそれらを共有結合することが可能である。これらの操作は、DMFにおいて実施され、その後、反応生成物を水中での沈殿により回収する。Nε−TFA官能基を放出後、デンドリマーの構築を続ける。第2世代デンドリマー、さらに第3世代デンドリマーから、マーカー産物はデンドリマーのコアに「埋めこまれ」ている。従って、下記の実施例22に示すように、それらはデンドリマーそれ自体のようには、免疫系に対して認識されない。デンドリマーによって担持されていることにより、マーカー産物は生理的培地中に可溶となっている。こうしたマーカー産物の毒性(単独で使用された場合)は、デンドリマーにより生体から隠される。その後、マーカー産物の性質に従って、UV吸光度、蛍光、X線又は磁気共鳴映像法(MRI)により、こうしたマーカー産物を検出することができる。
【0038】
本発明によるグラフト化ポリリジンデンドリマーの製造方法は多数の利点を有する。
第1の利点は、水性溶媒中において、活性化モノマー(TFA−L−Lys−NCA)を、文献(21)の推奨と対照的に、精製していない反応生成物(例えば、事前の精製をしていない)として使用することができることである。NCAの合成の間に形成される塩酸又は亜硝酸(25、29、32)は、たとえ重合が起こるpH3〜9を含んでいても、水性溶媒中では、どんな問題もない。
【0039】
第2の利点は、本発明による重合反応は速いことである。それらは、−10〜60℃の間の温度及び3〜9の間のpHに応じて、30分から2時間で完了する。
【0040】
第3の利点は、ポリペプチドは水性溶媒中において沈殿物を(どの世代でも)形成し、濾過又は遠心分離により容易に回収可能であることである。沈殿物が低多分散性インデックスを有するペプチドであることにより、この利点は向上する。実際、低級アミノ酸のポリマーは可溶であり、それらの伸びを可能にするが、ある一定の長さを超えると沈殿し、それらの伸びをブロックする。結果として、得られた生成物は狭い分布曲線を有し、その平均質量は初期の担体(プライマー)と最終生成物との間の親水性と疎水性バランスにより特に決まる。このバランスは、εでのアミン官能基の保護のために使用される基の性質の機能でもある。
【0041】
本発明の方法による第4の利点は、無水溶媒を必要とする前記方法とは異なり、水性培地中での重合反応を酸性培地中でプライムすることができる。従って、第1重合反応は、NCAの加水分解も由来するTFA−L−Lys、又は反応培地に添加されるTFA−L−Lysのいずれかからプライムされ、放出後に、第1世代のポリリジンデンドリマー(P1)はリジンにより厳密に構成される。P1は第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(P2)用のプライマーであり、P2は第3世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(P3)のプライマー等であるので、この定性的(生物学的に有益)な純度は、次の世代において必要である。
この可能性は、前記のもの、例えばアミノ酸、ペプチド、アルキルアミン、アルキルジアミン、アリールアミン以外のアミンによりプライムされる重合を妨げるものではない。
【0042】
本発明の方法の第5の利点は、予想される第i世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー(Pi)の数平均重量(Mn)を制御及びプログラムすることが容易であることである。グラフト化ポリリジンデンドリマーの形成反応では、実際、「TFA−L−Lys−NCA」/「プライマー」の比の選択が重要である。ad hoc比について、得られたグラフト化ポリリジンデンドリマーは単一であり、低多分散性及び所与のMnを有する。しかし、過剰の活性モノマーが使用された場合、得られたPiの平均Mnはad hoc比が使用された場合よりも高い。より過剰な活性モノマーは、期待されるPiに加えて、精密濾過により除去される微量のP1の形成を導く。従って、この特性は、ad hoc平均重量よりも30%制御可能である数平均重量のグラフト化ポリリジンデンドリマーの各々の世代にとって、得ることは可能である。従って、Mn1,450DaのP1世代からプライムすることにより、下記の最少と最大との間で変化する重量のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得ることを可能にする。
6,000Da<MnP2<14,000Da、15,000Da<MnP3<30,000Da、50,000Da<MnP4<80,000Da、140,000Da<MnP5<200,000Da、好ましくは、MnP2<12,000Da、MnP3<28,600Da、MnP4<84,000Da、MnP5<224,000Daである。
【0043】
イプシロンアミン官能基の保護基の性質が変化することにより、この基の疎水性に応じて、保護基がより疎水的である場合にはより低いMnのP1〜Pi化合物、保護基がより親水的である場合にはより高いMnのP1〜Pi化合物を得ることができる。従って、この方法により、望ましい平均重量(Mn)を有するグラフト化ポリリジンデンドリマーを容易に合成することが可能である。
第2世代に使用することができるプライマーが直鎖のポリリジンであることにより、本発明のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、世代数に応じて、従来技術のリジンデンドリマーよりも素早く増加する分子量を有する。この点において、本発明のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、Klokらにより記載された分岐ポリリジン(3)と比較することができるが、非常に高いグラフト比により、それらは後者と構造的に相違している。
このような理由のために、本発明のポリリジンデンドリマーをグラフトリジンデンドリマー(GLD)と称する。
【0044】
本発明は、前記製造方法の実施により、特に前記第n世代(nは1よりも大きい)のグラフトホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法の実施により得ることができるグラフト化ポリリジンデンドリマーにも関する。特定の実施態様では、前記グラフトリジンデンドリマー(又は、グラフト化ポリリジンデンドリマー)は、外部−NH基が、単糖類、核酸、タンパク質、又はカルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸官能基を有する基、エチレンポリオキサイド、及びヒドロ炭酸塩又はペルフルオロヒドロ炭酸塩鎖、アルデヒド又はそれらの前駆体、又はカルバモイル基又はクロロエチルニトロソ尿素基等のマスク反応官能基(イソシアネート)を含むリストから選択される基に、全部又は部分的に共有結合しているか、又は非共有結合されることを特徴とする。
こうした表面官能修飾は、それらに、新規な物理的特性、さらに新規な生物学的特性を与える。
【0045】
別の特定の実施態様では、前記グラフトリジンデンドリマー(又は、グラフト化ポリリジンデンドリマー)は、それらを支持体に共有結合的に又は非共有結合的に、特に静電結合的に固定することができ、それらによって支持体がその特性を保持することが可能であることを特徴とする。
第1の利点は、それらの特性を保持することにより、前記支持体(粒子、繊維又は表面)は、デンドリマーの特性を獲得する。そして、このような支持体を実施することによって、それらを、様々な状況において、濾過、組織、表面被覆、研磨粒子として使用することを可能にしている。
【0046】
第2の利点は、本発明のグラフト化デンドリマーを支持体に固定することにおいて、こうした支持体の表面ユニット当たりに多数の反応官能基(アミン又は酸)を作り出し、それらの特性が修飾されることである。そして、この修飾の利点は、例えば、抗体、アプタマー、DNAフラグメントを、免疫学的アッセイのために通常使用されるプレートに固定することができるよりも多くの濃度で支持体に固定することであり、このような高い特異性のレセプターから前記アッセイ感度の増加を可能にする。
【0047】
第3の利点は、従って、固定されたグラフト化ポリリジンデンドリマーが固定されていない条件と比べてその特性を保持することである。
用語「支持体」は、無機材料(シリカ、アルミナ、金属酸化物)又は有機材料(ポリアクリル、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリイソシアネート、多糖類、ポリアミド)を意味する。
好ましい実施態様によれば、本発明のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、
それらと接触する免疫系に関して密かであり、そして有利には、免疫系が反応するハプテン又は抗原の担体として使用され、抗体を形成することができる。
本発明は、前記抗原又は前記ハプテンに対する抗体の生成を目的とする、抗原−グラフト化ポリリジンデンドリマー複合体又はハプテン−グラフト化ポリリジンデンドリマー複合体を調製する、前記グラフト化ポリリジンデンドリマーの使用にも関する。
【0048】
実際、本発明によるグラフト化ポリリジンデンドリマーは、グラフト化ポリリジンデンドリマーが免疫系に対して現れない、例えば免疫システムがグラフト化ポリリジンデンドリマーに対して抗体を生成しないことを特徴とする。しかし、本発明によるグラフト化ポリリジンデンドリマーがそれらの表面で固定されているハプテン又は抗原を有する場合、担体がBSA(ウシ血清アルブミン)、HSA(ヒト血清アルブミン)及びKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)等のタンパク質である場合に起こることと比較すると、グラフトリジンデンドリマー担体に対するいかなるものも産生することなく、免疫システムは前記ハプテン又は抗原に対する抗体を産生することができる。
【0049】
利点は、従来の方法により産生される場合に起こることと比較すると、抗体は抗原及びハプテンに対して特異的に産生され、担体に特異的である抗体と混合されないため、その後の分析ツールとしてより直接的に使用することができる。
用語「ハプテン」は、それ自身により非抗原性である低分子量の分子を意味する。
本発明は、例えば、前記製造方法の実施により得ることができるグラフトリジンデンドリマー(又は、グラフト化ポリリジンデンドリマー)組成物にも関する。
本発明は、抗菌剤又は抗真菌剤としての、前記グラフトリジンデンドリマー(又は、グラフト化ポリリジンデンドリマー)に関するが、但し、それは人体又は動物体の治療上の処置に使用されない。
特に均一相においては、本発明によるグラフト化ポリリジンデンドリマー(又は、グラフトリジンデンドリマー)は、殺菌性の処置の枠内での表面処置に使用され、又はこうした表面の微生物汚染の危険を予防するために使用される。
グラフトリジンデンドリマーは、例えば、貯蔵水等の微生物汚染の危険における液体貯蔵所の処理にも使用することができる。
抗菌性フィルター及びコーティングとして、バイオフィルムに対する循環抗菌性粒子として、特に汚染に対する船体保護として、前記支持体に固定し、本発明のグラフト化ポリリジンデンドリマーを使用することができる。
【0050】
本発明は、有効成分として、少なくとも1つの前記グラフト化ポリリジンデンドリマーを、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて含むことを特徴とする、医薬用組成物にも関する。
本発明は、細菌感染若しくは真菌感染、又は癌の処置を目的とする薬剤の製造ための前記グラフト化ポリリジンデンドリマー(又は、グラフトリジンデンドリマー)の使用にも関する。
薬剤調製へのグラフト化ポリリジンデンドリマー(又は、グラフトリジンデンドリマー)の前記使用の特定の実施態様では、細菌感染が、特に、シュードモナス科、特にシュードモナス属;レジオネラ科、特にレジオネラ属;腸内細菌科、特にエシェリキア属、サルモネラ属、赤痢菌属、及びエルシニア属;ビブリオ科;パスツレラ科;アルカリゲネス科、特にボルデテラ属;ブルセラ科、特にブルセラ属;フランキセラ科、特にフランキセラ属;ナイセリア科;ミクロコッカス科、特にブドウ球菌属、連鎖球菌属、及びリステリア属;を含むリストから選択される科に属しているグラム陰性及びグラム陽性細菌による感染から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
《図1》
静的光拡散(static light diffusion:SL)を備えたSEC(立体排除クロマトグラフィー: Steric Exclusion Chromatography)での本発明の種々の世代のポリリジンデンドリマー(P1〜P5)で得られたクロマトグラムである。実験条件:Superose 12カラム(Amersham Pharmacia Biotech)、流速0.4mL/min、温度:25℃、溶出剤1、注入濃度:5g/L、注入体積:100μL。クロマトグラムは溶出体積(mL、x軸)に対する屈折率信号(y軸)を示す。
【0052】
《図2》
世代(x軸)に対する、本発明のポリリジンデンドリマーの数平均分子量(g/mol、y軸)(ひし形)、比較としての単官能性デンドリマーの理論的分子量(四角)、H.A.Klokらにより記載された二官能性デンドリマー(三角)の変化の図を示す。GLDの分子量は、光拡散を備えたSECにより(P〜P)、及びキャピラリー電気泳動により(P)測定された。樹枝状構造が完全であると仮定して(すべてのリジンモノマーのアミン官能基は反応していると仮定する)ポリリジンデンドリマーの分子量を計算した。単官能デンドリマーのコアは、ベンズヒドリルアミンを表す。二官能性デンドリマーのコアは、1,4−ジアミノブタンを表す。指数法則による実験データの非線形修正により得られた式を相関係数Rで図に示す。
【0053】
《図3》
3つの異なる実験方法を使用して測定された、世代(x軸)に応じた本発明のグラフトリジンデンドリマー(nm,y軸)の流体範囲を示す:TDA(Taylor拡散分析、四角)、SLD(半弾性光散乱、ひし形)、及び3D−SEC(3重検出立体排除クロマトグラフィー:triple detection Steric Exclusion Chromatography、光散乱、粘度検出器及び屈折率、三角)の図を示す。
【0054】
《図4》
実施例において調べた3つの緩衝液(緩衝液1(ひし形)、緩衝液2(四角)、緩衝液3(三角))中においてTDAにより測定された、世代(x軸)に応じた本発明のグラフトリジンデンドリマー(nm、y軸)の流体範囲の図を示す。
【0055】
《図5》
両対数目盛において、分子量(g/mol)に応じた、GLDの流体範囲(nm)の図を示す。直線は、関係式R〜M1/υを表す線形修正を示す。υ値は、2.72±0.22(緩衝液1)(四角);2.80±0.09(緩衝液2)(円);2.74±0.08(緩衝液3)(三角)と等しい。
【0056】
《図6》
図6A、6B、6C及び6Dは、3.7と4.4ppmとの間での、25℃、DO中の直鎖のトリリジン(図6D)及びペンタリジン(図6C)、ならびに本発明のグラフトリジンデンドリマー(1〜5世代(P1〜P5))(図6及び図6B)の400MHzによるHNMRスペクトルを示す。図6Hはトリリジンの化学式を示す。図6Gはペンタリジンの化学式を示す。図6FはP1の化学式を示し、図6EはP2の化学式を示す。示されたスペクトル範囲は、L−リジンのキラル炭素が有するプロトンを表す。環境に応じて、このプロトンは種々の共鳴場を有する。図6Iは、こうした異なる生成物で観測される4つの異なる環境(Ha、Hb、Hc、Hd)を示す。キラル炭素が有するプロトンHa、Hb、Hc及びHdを、それぞれ、白丸、黒丸、丸なし及び灰色の丸により示す。Haは、ペプチド結合によりその隣接部に結合されるコアリジンのキラルプロトンを表す。HcはN末端リジンのキラルプロトンを表す。HdはC末端リジンのキラルプロトンを表す。Hbは、隣接リジンのNH側鎖に結合するデンドリマーのコアリジンのキラルプロトンを表す。この結合はアミド及び非ペプチドである。
【0057】
トリリジンスペクトル(図6D)では、等しい強度の3つの異なるシグナル(Ha、Hc及びHd)の存在を注意されたい。ペンタリジンスペクトル(図6C)では、Haの強度は、等しい強度のシグナルHc又はHdの強度よりも3倍大きい(3コアリジン)。比較すると、化合物P1のスペクトル(図6B)では、シグナルHaの強度は、等しい強度のシグナルHc又はHd強度よりも約7倍大きく、その結果として化合物P1は9リジン(7コア及び2末端)と等しい平均長さの直鎖のポリリジンである。アミド結合の特性を決定するHbシグナルは、化合物P2、P3、P4、P5のスペクトルでのみ観測可能である。各々のこうしたスペクトルでは、Hbシグナルの強度は、アミド結合により隣接リジンの側鎖(εNH)に結合するリジンの数に比例する。Haは、ペプチド結合(N末端及びC末端残基を除く)によりα−NHの隣接に結合するリジンの数に比例する。従って、Hb/Ha比は、所与の世代が次の世代を生成するためにNCAに反応する、側鎖(εNH)の数に結びつけられる。
【0058】
Hb/Ha比は、(n)世代のポリリジンのグラフト(分岐)比を決定することを可能にする。このグラフト比は、(n+1)世代を生成するためにNCAに反応する世代(n)のεNHの割合である。
このグラフト比(表6)は、P1からP2への移行(Hb/Ha=0.25)については100%であり(P2を生成するために、P1の8側鎖がNCAに反応することを意味する)、P2からP3への移行(Hb/Ha=0.60)については81%であり(P3を生成するために、P2の48側鎖中39がNCAに反応することを意味する)、P3からP4への移行(Hb/Ha=0.46)については80%、P4からP5への移行(Hb/Ha=0.40)については65%、P5からP6への移行(Hb/Ha=0.42)については64%である(図示せず)。
【0059】
《図7》
第1世代(P1)〜5世代(P5)のグラフトリジンデンドリマーを表した図である。Pn構造の定義:
[式5]

【0060】
《図8》
下記の実験条件下での保護されたP(直鎖のポリ−L−リジン)の分離を表す電気泳動図を示す:未使用のシリカキャピラリー、60cm(検出窓50cm)×50μm。電解質:5%デキストランを含むリン酸塩緩衝液(125mMHPO 125mMNaPO pH=2.16)。付与電圧:+20kV。200nmのUV検出器。サンプル濃度:3g/L。注入:ゲージ圧2psi(9分間)。この図は時間(分)の関数としての吸光度(mAU)を表す。
同じ条件下で、直鎖のジ−、トリ−、テトラ−及びペンタ−リジン(Sigma−Aldrichから購入した市販のペプチド)を分析することにより得られた電気泳動図と比較すると、化合物(脱保護されたP1)が3と約20のリジン残基との間で含まれる長さの直鎖のオリゴリジンの混合物であることをこの電気泳動図は確認している。この電気泳動図から、数平均重合度(DP=8)及び多分子性インデックス(I=1.2)を決定することが可能である。数平均重合度DP及び重量平均重合度DPを下記の比から計算した:
[式6]

(式中、Nは重合度iを有する高分子の数である)。吸光度がモノマーに起因するUV検出器の場合では、検出器の応答はポリマーの質量濃度に比例する。従って、DP及びDPを、重合度iのポリマーに相当する各々の電気泳動ピークの高さhの関数として(又は、ピークを一体化することができる場合には、移動時間により補正された面積Aの関数として)表すことができる。
[式7]

【0061】
《図9》
屈折及び線形モードの印加型バイオシステムボイジャーOF−STR装置において作成された(MALDI−TOF)質量スペクトルを表す。フライトチューブの長さは、2m(線形)又は3m(屈折)及びレーザー波長λ=337nmである(レーザーN)。マトリックスは、TFA−ε−保護されたP1についてはDMF中の10g・L−1α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)であり、脱保護されたP1についてはCHCN/HO中の10g・L−1α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸である。サンプルは、10/1(v/v)マトリックス/サンプルの比率で調製され、続いて(1μl)をターゲットに析出した。300レーザーショットの集積及び20kVへの加速電圧により、スペクトルを得る。図9Aは、0℃で、純水で洗浄されたTFA−保護されたP1を表し、図9Bは、0℃で、重炭酸アンモニウムの溶液で4回洗浄された脱保護されたP1を表す。これらの図は、質量m/zの関数としてのピークの割合強度を表す。これらTFA−保護されたP1化合物及び脱保護されたP1化合物の完全に再現可能なスペクトルは、Nε−TFA−L−リジンNCAの重合をプライマーなしで、pH6.5の水中において起こした場合、直鎖のポリリジン(P1)が、明らかな副生成物なしに、そして「リビング(living)」(すなわち、C末端残基での−COH官能基及びN末端残基での−NH官能基をもっている)で得られることを示している。
【0062】
《図10》
アミノフルオレセイン存在下において、pH6.5で、水中でのNε−TFA−リジンNCAの重合反応の生成物のMALDI−TOF質量スペクトルである。この反応で得られた沈殿物を、0.1NHCONa溶液により4回洗浄し、アンモニア溶液で処理し、凍結乾燥する。凍結乾燥の質量スペクトルは、得られた生成物が2と20との間に含まれるリジン数nを有するフルオレセインアミド((Lys)−NHC2011)であることを示す。490nmでのl励起に関して、この材料は、pH8.5、0.1M炭酸二ナトリウム溶液中において、517nmで最大lをもち、10−3mg・L−1未満の検出限界値で蛍光発光する。この最大発光lは、同じ条件下で、遊離アミノフルオレセインの発光(513nm)と比較される。
【0063】
《図11》
最初の4日間は360mgグラフトリジンデンドリマー(GLD)P3、次の180日間は本発明の30mgGLDP3を与えられたオスSDラット(n=6)のグループにおける、時間に応じた(x軸(日数))平均体重推移(y軸(g))を表す(黒色曲線)。対照ラット(n=100)は、0.5ml生理食塩水(溶液の溶媒)を与えられる(灰色曲線)。
【0064】
《図12》
時間に応じた(x軸(日数))対照(ひし形)に対する、10mg/Lでの第2世代(円)、100mg/Lでの第2世代(三角)、10mg/Lでの第3世代(四角)、100mg/Lへの第3世代(星)の本発明のグラフト化ポリリジンデンドリマーと接触し置かれているレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)菌の生存率(y軸)を表す。
【0065】
《図13》
種々の希釈におけるMaxisorp支持板上でのELISA。GLD−ハプテン(黒円)又は天然GLD(白円)でコーティングされた支持板上におけるロットAD65、GLD−ハプテンでコーティングされた支持板上におけるロットB(黒三角)及び天然GLDでコーティングされた支持板上におけるロットC(×印)。吸光度(OD)は希釈血清対数の関数として示す。
【0066】
《図14》
ELISAコバリンク。ロットAD21(黒三角)、ロットAD36(黒四角)、ロットB(破線)。吸光度(OD)は希釈血清対数の関数として示す。
【0067】
《図15》
BSA−ハプテン(黒四角)又は天然BSA(×印)でコーティングされた支持板上におけるD65でのロットAについて、種々の希釈生理食塩水でのMaxisorp支持板上でのELISA。吸光度(OD)は希釈血清対数の関数として示す。
【実施例】
【0068】
《実施例1:第1世代のポリリジンデンドリマー(P1)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCA94gを従来の方法、特には、例えばColletら[29]により記載され、又は再生成された方法によって合成される。
(2)0℃に保持した0.1MHCONa水溶液1Lを前記粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成された直鎖のポリ−Nε−TFA−L−リジンの白色沈殿物を回収した。
(4)アンモニア水溶液1L中に、pH11、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、多分散性1.2(CE(キャピラリー電気泳動、実施例7参照)により測定)をもつ直鎖のポリ−L−リジン54gを得る。キャピラリー電気泳動(CE)により測定し、MALDI−TOF及びNMRにより確認された絶対平均質量は、1,450Daである。
【0069】
《実施例2:第2世代のグラフトリジンデンドリマー(GLD)(P2)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCAモノマー94gを前記の通り合成する。
(2)重合プライマーとして実施例1の第1世代生成物30gが溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液1Lを、粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成されたグラフトポリ−Nε−TFA−L−リジンの白色沈殿物を回収する。
(4)アンモニア水溶液1L中に、pH11、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、重合中に添加されたユニットの側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、多分散性1.40(SECにより測定)のグラフトポリ−L−リジンデンドリマー70gを得る。SLにより測定された平均質量は8,600Daである。モノマー質量/プライマー比を3.9から2.6に変えることにより、重量が8,600Daと12,000Daとの間で変化する第2世代生成物を得る。
【0070】
《実施例3:第3世代のグラフトリジンデンドリマー(GLD)(P3)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCA94gを前記の通り合成する。
(2)実施例2の第2世代生成物30gが溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液1Lを粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成されたグラフトポリ−Nε−TFA−L−リジンデンドリマーの白色沈殿物を回収する。
(4)アンモニア水溶液1L中に、pH11、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、重合中に添加されたユニットの側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、多分散性1.46(SECにより測定)のグラフトポリ−L−リジンデンドリマー70gを得る。SLにより測定された平均質量は22,000Daである。
モノマー質量/プライマー比を3.9から2.6に変えることにより、重量が22,000Daと28,600Daとの間で変化する第3世代生成物を得る。
【0071】
《実施例4:第4世代のグラフトリジンデンドリマー(GLD)(P4)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCA94gを前記の通り合成する。
(2)実施例3の第3世代生成物30gが溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液1Lを粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成されたグラフトポリ−Nε−TFA−L−リジンデンドリマーの白色沈殿物を回収する。
(4)アンモニア水溶液1L中に、pH11、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、重合中に添加されたユニットの側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、多分散性1.36(SECにより測定)及び平均質量 65,300Da(LSにより測定)のグラフトポリ−L−リジンデンドリマー70gを得る。
モノマー質量/プライマー比を3.9から2.6に変えることにより、重量が65,300Daと85,000Daとの間で変化する第3世代生成物を得る。
【0072】
《実施例5:5世代のグラフトリジンデンドリマー(GLD)(P5)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCA94gを前記の通り合成する。
(2)実施例4の第4世代生成物30gが溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液1Lを粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成された5世代のグラフトポリ−Nε−TFA−L−リジンデンドリマーの白色沈殿物を回収する。
(4)アンモニア水溶液1L中に、pH11、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、重合中に添加されたユニットの側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、多分散性1.46(SECにより測定)のグラフトポリ−Nε−TFA−L−リジンデンドリマーを得る。SLにより測定された平均質量は172,300Daである。
モノマー質量/プライマー比を3.9から2.6に変えることにより、重量が172,300Daと224,000Daとの間で変化する第3世代生成物を得る。
【0073】
《実施例6:6、7及び8世代のグラフトリジンデンドリマー(GLD)(P6、P7及びP8)》
この合成は、次の6、7、8世代について繰り返された。外挿法により評価されたそれらの重量は、順に、430,000Da、1,130,000Da及び3,000,000Daに等しい。
【0074】
《実施例7:平均分子量及び多分散性指標の測定》
マルチアングル静的光拡散及び示差屈折インデックス検出器を備えた立体排除クロマトグラフィー(2D−SEC)は、4つの世代のGLD(P2−P5)のモル質量分布を得ることが可能である。直鎖のP1コアのモル質量分布を、EC (MALDI−TOF及びNMRにより確認)により得た。測定は、HPONa50g/Lにより構成される水性溶離液(溶離液1、溶離液の定義については、表2参照)中においてpH4.5で実施された。得られたクロマトグラムを図1に示す。GLDの湿度に対する保護保管は集合体形成を減少することが可能であるが、それでも完全にこの現象を避けることはできない。従って、こうした注意にもかかわらず、特にP4及びP5に関して、集合体の形成(低溶離液体積でのショルダー)を図1は示す。平均分子量の結果を、屈折率の増加(dn/dC)と推定される重合度と共に、表3に示す。この方法は絶対分子量の測定を可能にするが、所与のモル質量値は対イオン(溶離液中のHPOリン酸イオン)の一定の割合を考慮しなければならないことに注意されるべきである。実験的に評価することは困難であるが、この一定の割合をマニングにより記載された凝縮の理論により評価することは可能である。この理論の枠内で、ポリリジン中の2つの電荷間の平均距離(0.34nm)とBjerrum長さ(0.69nm、25℃)との比により、凝縮速度が与えられる。リン酸緩衝液(pH4.5)中の荷電モノマーの平均モル質量は、故に、129×0.49+227×0.51=179g/molとなる。この平均から、モノマーの平均数Nを評価することは可能である。3D−SEC(Viscotek)による緩衝液2で得られた分子量の結果は、特にP4及びP5に関して非常に高いモル質量値を示す。多分、これは大量の集合体を形成するからである。その後、2D−SECにより得られた値は保持されるだろう。
【0075】
均等目盛(図2A)又は片対数目盛(図2B)で図2A−図2BにGLDのモル質量の変化を示す。比較検討を介して、モノアミン(デンドリマー1、ベンズヒドリルアミンコアをもつ、(5、33))又はジアミンプライマー(1,4−ジアミノブタンコアでプライムされたデンドリマー2(7))のどちらか一方でプライムされたポリリジンデンドリマーに関し、予想される(理論上の)分子量も示す。すべての場合(GLDを含む)において、モル質量の増加が指数関数的であることは興味深いことである。従って、2つの連続の世代のモル質量を同じ係数で掛ける。しかし、GLDの場合では、デンドリマー2についての2.12、デンドリマー1についてのほんの1.95に対して、増倍係数は3.2(e1.162)である。GLDの分子量は、結果として、指数関数的成長の法則、デンドリマーの特性を有するが、同じタイプのデンドリマーよりもGLDでは、モル質量の増加は非常に速い方法で起きる。
多分散性インデックスが比較的低く、1.2(第1世代)と1.46(5世代)との間で含まれ、提案された合成方法が制御された多分散性の化合物を得ることを容易に可能にさせることを証明することに気付くであろう。
第i世代から第i+1世代の移行中にポテンシャルプライマー(α又はεアミン官能基)により取り込まれたモノマーの平均数の計算結果を表4に示す。この結果は、第4世代の3官能基のデンドリマーに最少密度(最大固有粘度)を与える固有粘度についての結果と一致する(実施例9参照)。
【0076】
《実施例8:GLDの流体力学的範囲(又は拡散係数)の測定》
溶液中のGLDの特性次元を発見するために、ストークス−アインシュタインの比を使用することによって分子拡散係数から流体力学的範囲を決定した
[式8]

(式中、ηは培地の粘度であり、kはボルツマン定数であり、Tは温度(K)である)。Dを決定するために、2つの実験的方法である(SECを備えているか、又はSECを備えていない)準弾性又は静的光拡散(SLD)、及びテイラー拡散法(TDA)を使用した。この後者の方法によって、流体流れ(流体流れの速度プロファイルは分散的であると知られている(放物ポアズイユプロファイル))の影響下で、種の拡散係数を溶質バンドの拡大から測定することは可能である。
キャピラリー電気泳動装置、50μmシリカキャピラリー(最大60cm×50cm検出器)(キャピラリーの表面上でのGLD溶質の吸着を制限するために、キャピラリーの内壁面をグラフトポリカチオン(ポリ(ジアリル−ジメチル−アンモニウム))によりあらかじめ修飾されている)を使用することにより、TDA測定を実施した。UV分光光度計を使用し、ポアズイユの流れの影響下での溶質バンドの分散を測定した。その後、Taylorにより最初に記載され、その後Belloらにより繰り返された方法[34]により、拡散係数を決定した。TDA方法と平行して、ゼタサイザー(zetasizer(Malvern))装置を使用し、SLDにより、測定を実施した。最後に、3D−SEC(Viscotek)からR測定を得ることも可能である。合わせて、Rについての全ての数値データを表3に示す。
【0077】
図3は、緩衝液2における、3つの使用された実験方法についての世代に応じたGLDの流体力学的範囲の増加を示す。TDAにより得られた値がSLD又は3D−SECにより得られた値よりも小さいことは明らかである。この相違は、おそらく、小さい割合においてもSLDにより得られたR値を増加する傾向にあるサンプルにおいて、集合体が存在するためである。実際、高分子量の集合体は、(モル質量の6乗で変化する)拡散光シグナルに重要な貢献を示し、ユニマー(unimers)に対応するR値の過大評価を導く(35)。3D−SECでは、ユニマーに対する集合体の部分分離がこの効果を制限し、これにより3D−SEC値がTDA値により近くなる理由を説明することができる。結論として、UV吸収による検出器の場合における集合体の寄与は、それらの比較的低い質量濃度に比例するので、TDAにより得られた値は実際の値に最も近づくことは明らかである。
(約0.5Mの)ほぼ一定であるイオン力での緩衝液のpHの影響(緩衝液1対緩衝液3)は、pH7.0でのGLDがpH4.5でのGLDよりも有意に低い流体力学的範囲を有することを示す(図4)。この結果は、pH7.0において有効に開始しなければならないアミン官能基の脱保護を考慮すると論理にかなっており、静電反発力を制限している。このpH効果は、より低いイオン力において及び/又はpH7以上に関して、さらに大きいことが好ましい。3%アセトニトリルの緩衝液1への添加は、流体力学的範囲を減少する傾向があるが、中程度の範囲である。これは、溶媒の質が低下することより説明することができる。
結論として、GLDは、世代の数によって準線形的に変化する流体力学的範囲を有する。前と同じように、デンドリマーと同様の挙動が観察される。さらに、pHの増加及びアセトニトリルの添加は、それらの流体力学的範囲を減少する傾向にある。TDA方法は、Rの測定に関しては、最も適した方法(SLDについて10−20%に対して約2−3%の相対標準偏差であり、最も再現可能である方法)であることが明らかである。
【0078】
《実施例9:固有粘度の測定》
固有粘度[η]は、溶媒中の分子の密度に反比例する変数である。この変数は、結果として、分子量及び分子の体積(又は、流体力学的範囲)により決まる。粘度測定により、ゼロ濃度での減少した粘度又は固有の粘度(inherent viscosity)を外挿することにより、それを決定する。3D−SECによって、固有粘度についての値を得ることが可能である。これらを表3に示す。官能基3のデンドリマーについての理論により予想されたように、[η]が第4世代で最大を通過するということは興味深いことであった。
流体力学的範囲及びファン・デル・ワールス(V)体積から始まる研究は、官能基3のデンドリマーの場合と同様の方法で、GLDの密度が発生することを示すことができる。ファン・デル・ワールス体積は、(溶媒和現象を考慮しないで)原子により実際に占有された体積を示す。増加分の合計により、それを計算することができ、各々の増加は原子の体積に対応する(隣接原子又は原子の性質の関数として表にされている)。重合度nのポリリジンに関して、ファン・デル・ワールス体積を下記の関係式により示す。
[式9]
(nm)=0.1226×DP+18.610−3 (2)
その後、下記の式により自由体積分率fを計算することが可能である。
[式10]
f=1−(V/V) (3)
表5はP1及び4つのGLD世代についてのV、V及びfの値を示す。これらの値から、P4のfが最大となることがわかる。
別のGLDの樹状の挙動についての証明は、両対数目盛におけるモル質量に応じたGLDの流体力学的範囲の変化を示す図5により提供される。こうしたデータの線形化を通じて得られる指数は約2.8であり、三官能デンドリマーについて得られた値と一致する。こうした指数は、デンドリマー構造のブランチ比についての良好な指標であり、3の数値が最大のブランチ構造に対応する事が分かる。
【0079】
《実施例10:GLDのグラフト比の分析》
用語「第n世代のポリリジンデンドリマーのグラフト比(Pn)」は、この第n世代の生成物の総重合度(DPn)に対して反応するε−NH官能基の割合を意味する。本発明のGPLDのグラフト比を下記の表6に示す。
《表6》

表6に示されるグラフト比は、第1世代から第n世代へ開始するグラフト化デンドリマーの構造の進行的な分析により得られる。P1からP2へのグラフト比は、重合度の実験値から計算される(P1についてDP=8、P2についてDP=48及び実験比率Hb/Ha=0.25(図6A−6I))。こうした値に基づくDPの変化は40である。反応性官能基の最大値が8εNH及び1αNHであり、炭酸水中及びpH6.5でのαNH官能基の反応性(pK=7.2)が、εNH官能基(pK=11.2)の反応性よりもほんのわずかに大きかったことを考慮すると、P1の9NHは平均して4.4モノマーを取り込んでいると推定される。従って、P2では最大Hb数は8であり、Ha数は30である(40−9Hc+1Hd(NMRでは種々の共鳴場を有する))。こうした値は、実験比率と同じHb/Ha比=8/30=0.26に導く。これはP2を生成するためにP1の8εNHならびにP1のα−NH官能基が反応したことを示し、P1の合計8εNHの中から8εNHsが反応した後P2を生成することを示す。従って、P1のグラフト比は8/8=100%であった。
【0080】
放出後、P2は40εNH及び9αNHを有している。P3へ移行するためのP2のグラフト比は、P2についてのDP=48、P3についてのDP=123の実験値、DP=75の変化及び実験比Hb/Ha=0.60から計算される(図6A−6I)。
この実験値を満たす唯一の方法は、P2の反応性εNHの数が(考えられる)40の中から31であること(従って、9εNHは反応しない)を受け入れることである。従って、以下のように75Lys(DPの変化)を分類することができ、1つのリジンから各々に伸びる10εNH、2つのリジンからの21εNHs、2つのリジンからの4αNH及び3つのリジンからの5αNH、後者は、εNHの反応性よりもわずかに大きいαNHの反応性を考慮する。この溶液は、64Ha及び20Hc+1Hdをともなう、Hb数=31+8=39に相当し、実験比と等しいHb/Ha=39/64=0.60の比を示す。これは、P2の合計48εNHの中から39εNHがP3を生成するために反応し、P2のグラフト比は39/48=81%である事を示す。
実験比Hb/Haに基づく同様の理論によって、表6に示すように、種々のP3、P4、P5のグラフト比を得ることが可能である。
このようなグラフト比は、本発明のグラフトリジンデンドリマーがたいへん種々であり、特にKlokらにより記載された分岐したポリリジン[3]よりも非常に高密度であることを示す(表1参照)。約pH6.5で、重炭酸水中におけるα及びεNH官能基に対するNCAの反応性により直接に生成される、本発明の化合物の高グラフト密度は、本発明のさらなる特徴である。
《表2》

《表3》

《表4》

《表5》

VW計算を考慮する重合度を表2に示す。
【0081】
《実施例11:トリブロックコポリマーの合成:グラフトポリ(L−リジン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−グラフトポリ(L−リジン)》
(1)Nε−TFA−L−リジン−NCA0.5gを合成する。
(2)3400Daのポリ(エチレングリコール)−α,ω−ジアミン0.42g(Shearwater Corporation)を溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液5mLを粗反応生成物に添加する。
(3)30分後、ろ過又は遠心分離により、培地中で形成されたグラフト{直鎖のポリ(TFA−L−リジン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−直鎖のポリ(TFA−L−リジン)}の白色沈殿物を回収する。
(4)アンモニア水溶液10mL中に、pH12、15時間、40℃で置かれたこの沈殿物は、重合中に添加されたユニットの側鎖のTFA保護基を失い、水に可溶となる。
(5)溶媒の体積を回転式エバポレータで半分に減らす。
(6)凍結乾燥後、第1世代の{直鎖のポリ(L−リジン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−直鎖のポリ(L−リジン)}0.45gを得る。その多分散性は1.07である(SECにより測定)。LSにより測定された平均質量は15,500Daである。
この反応を繰り返すことにより、そして前記反応中において得られた生成物0.15gをプライマーとして使用することにより、多分散性1.3及びSEC−二重検出(光拡散屈折率)により測定された23,800Daと等しい平均質量の「グラフトポリ(L−リジン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−グラフトポリ(L−リジン)」を得た。
【0082】
《実施例11A:第1世代の蛍光GLD(P1)の合成》
アミノフルオレセイン5mgを溶解している0℃に保持した0.1MHCONa水溶液5mLを実施例1のNε−TFA−L−リジン−NCA500mgに添加する。アミノフルオレセインのアミン官能基はNCAの炭素5と反応し、H−(リジンNε−TFA)−NH−フルオレセインを形成し、これは次に、他のNCAと反応し、8であるDPと沈殿するH−(リジン−Nε−TFA)−NH−フルオレセインを形成する。
図10に示されるように、MALDI−TOFにより特徴付けられる、実施例1と同様に処理された沈殿物は、化学式((Lys)−NHC2011)(式中、nは2〜20である)の直鎖のポリ−L−リジン240mgとなる。490nmで励起される0.1M重炭酸ナトリウム水溶液、pH8.5、1cmセル、SLM−アミノMC200モノクロメータ分光蛍光計により、最大波長517nm、10−3mg・L−1より小さい検出限界で、この材料は、蛍光発光する。この最大発光波長は、同じ条件下で、遊離アミノフルオレセインの最大発光波長(513nm)と比較される。デンドリマーのフルオレセインを観測するために、0.1N炭酸水素塩溶液10ml中にこの材料5mgを溶解する。0.1N炭酸水素塩溶液により、この最後の溶液100μlを1%に希釈する。この溶液を490nmで励起する。蛍光発光は最大波長517nmにおいて観測される。連続希釈により、濃度が10−3mg・L−1である場合、1cmセルを使用したSLM−アミノMC200モノクロメータ分光蛍光計の検出限界となる。最大発光波長517nmは、同じ条件下で、遊離アミノフルオレセインの最大発光波長(513nm)と比較される。
【0083】
《実施例11B:第2世代の蛍光GLD(P2)の合成》
この合成を、実施例11Aに記載された反応生成物をプライマーとして使用することにより、実施例2に記載した同じ方法で実施した。得られた生成物は、517nm(励起490nm)で蛍光を発する。その検出限界は、実施例11Aと同じ条件下で、約10−3mg・L−1である。
【0084】
《実施例11C:第3世代の蛍光GLD(P3)の合成》
この合成を、実施例11Bに記載された反応生成物をプライマーとして使用することにより、実施例3に記載した同じ方法で実施する。得られた生成物は、519nm(励起490nm)で蛍光する。その検出限界は、実施例11Aと同じ条件下で、約10−2mg・L−1である。
【0085】
《実施例11D:第1世代の(赤い)蛍光GLD(P1)の合成》
実施例1と同様にして得られた、DP8の第1世代の直鎖のポリ−N−TFA−L−リジン(P1)200mgを無水ジメチルホルムアミド(DMF)2mlに溶解する。この溶液に、ローダミンスルホクロライド5mgを添加する。マグネティックスターラーで、25℃、24時間、得られた均一培地を保持する。その後、0.1N炭酸水素ナトリウム水溶液10mlを反応培地に添加する。明るい赤色の沈殿物は、培地中で、直ぐに形成する。5000rpm、10分間、遠心分離により、この沈殿物を分離する。その後再び、0.1N炭酸水素ナトリウム水溶液10mlの懸濁液に置き、10回遠心分離し、未反応のローダミンを除去する。最後の洗浄水は無色であり、一方最後の沈殿物は明るい赤色のままであり、ローダミンは保護されたP1に十分に固定することを示す。その後、沈殿物P1を、アンモニア/メタノール50/50の1N水溶液50ml中に置き、TFA保護基からイプシロン官能基を放出する。その後、メタノール及びアンモニアを除去するために、真空中で、反応培地を半分に減らす。凍結乾燥後、明るい赤色の生成物150mgを得る。その真っ赤な蛍光は、ローダミン(テキサスレッド)でマークされた、この新しい第1世代のデンドリマーを特徴づける。
【0086】
《実施例12:GLDの遊離アミン官能基への修飾》
水−アセトニトリル80/20溶媒の50cm溶液中に、3,5−ジメチルエステル−ジカルボキシフェニルイソチオシアネートの1gを、1gのMn8600DaのGLDP2に添加する。得られる溶液を、40℃、10時間保持する。この溶液に、炭酸水素アンモニウム2gを添加する。40℃での接触から5時間後、培地を透析及び凍結乾燥する。各々のアミン官能基がチオ尿素官能基によりフェニル−3,6−ジカルボン酸ナトリウムに結合する、1.50gのGLDP2を得る。得られた生成物のDOのNMRは、芳香族基と会合するGLDシグナルの存在を示す。
【0087】
《実施例13:支持体へのGLDのイオン固定》
Mn22,000Daの3gのGLDP3を滅菌蒸留水70ml中のノーリット炭素(GAC 1240 PLUS)24gでインキュベートする。その後、炭素を滅菌蒸留水250mlで洗浄する。後者を蒸発後、1.82gのP3を回収し、1.18gのP3がノーリット炭素に吸着されることを示す。49mgのP3を吸着する炭素1gの活性は、P3がない対照支持体の活性と比較し、ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)で試験される。
【0088】
《実施例14:支持体へのGLDの共有結合固定》
ヘキサメチレン−ジイソシアネート[OCN−(CH−(NHCONH−(CH−NCO]オリゴマーを、GLDを支持体樹脂へ共有結合的に固定するために使用する。GLDの割合を0〜20%で変動するために、GLD(P1、P2、P3)の周知の量をオリゴマー約5g中で激しく混合し、その混合物をガラス板にプレートする。48時間後、0.1〜1mmの粒子が得られるまで、得られた樹脂を置き、アセトン250ml、水250ml、メタノール250ml、エチルエーテル250mlで大量にそれを洗浄し、乾燥する。
【0089】
《実施例14A:活性シリカへのP2及びP3の共有結合固定》
実施例11B及び11Cで得られた蛍光GLD25mgを0.1NHCONa水溶液25mLに25℃で溶解する。Si−(CHNCOの1.1ミリ当量を有するシリカ粒(50ミクロン、比表面積(500m/g))1gをこの溶液に添加し、それを介して窒素の泡により攪拌する。2時間後、シリカ粒を分離し、水で洗浄し、乾燥する。従って、元の溶液の差により測定されたこれらGLD20mgを支持体1gに固定する。蛍光顕微鏡で観察されたこれら支持体の表面は、フルオレセインの緑色の蛍光特性を有する。
【0090】
《実施例15:GLDのインビボでの毒性研究》
4〜8週目のSD系ラット(CER Janvier、Le Genest St−Isleにより繁殖)で実験を行った。
A.急性毒性:
1日3回、4日間、5ラットにGLD P3(60mg/ml)溶液2mL注射を行う。得られた結果を下記の表7に示す。
《表7》

毒性効果は見られない
B.慢性毒性
各々の日、180日間、ラットにGLD P3(60mg/ml)0.5mL皮下注射を行う。対照ラットは生理食塩水(溶液の溶媒)0.5mlが与えられる。処理されたラット及び対照ラットの体重推移が比較される(図7)。体重推移の変化も、望ましくない効果も観察されなかった。
グラフトリジンデンドリマー(GLD)P3が明らかな毒性特性を示さなかった。すべての動物が生きており、対照実験と重ね合わせることのできる、等しい標準体重推移を示した。
【0091】
《実施例16:GLDの抗腫瘍活性》
マウスの骨髄腫細胞において、GLD P2、P3、P4及びP5の濃度変数で細胞毒性テストを実施した。得られた結果を下記の表8に示す。
《表8》

研究されるGLD世代に応じて、34mg/L以下の濃度についてのマウスの骨髄腫において、GLDが活性であることを、マウスの骨髄腫細胞におけるこれらの試験は示す。高モル質量のGLDにおいては最小活性である。
【0092】
《実施例17:GLDの抗真菌性活性》
Fehlbaumらにより記載された液体培地中での成長阻害方法(37)により、糸状菌であるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum:INRA Collection Saint Christol−les−Ales、France)で、抗真菌性試験を実施した。テトラサイクリン0.1mgを含む培地PDB(Potato Dextrose Broth、Difco)の懸濁液中のF・オキシスポラムの胞子(終末濃度10胞子mL−1)80μlを、マイクロプレート上のデンドリマーの種々の希釈物20μlに添加する。そのデンドリマーを対照用の滅菌水20μlに置き換える。30℃、24時間インキューベーション後成長阻害を顕微鏡で観察し、48時間における光学密度の測定後定量した。分子の(ダブレットでの)連続希釈法により最小成長阻害濃度(MIC)を評価し、成長を阻害する最小デンドリマー濃度として最小成長阻害濃度(MIC)を定義する。
抗真菌性試験の結果を下記の表に示す。
《表9》

MICがフサリウム・オキシスポラムについて27mg/Lであることに全体として注意することができる。
【0093】
《実施例18:GLDの抗菌活性》
抗菌性試験用に使用される方法は、Hancockらの方法[38]の改良である。液体の培地中の成長阻害の測定により、グラム陽性菌の3株:(ミクロコッカス・リソデイクティカスATCC4698、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)ATCC17748、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)ATCC25293)、グラム陰性菌の4株:(エシェリシア・コリー363(Escherichia coli363)ATCC11775、ビブリオ・ペナエイシダ(Vibrio penaeicida)IFREMER Collection、ビブリオ・アングイラルム、リストネラ・アングイラルム(Vibrio anguillarum Listonella anguillarum)ATCC14181、ビブリオ・アルジノリティカス(Vibrio alginolyticus)ATCC17749)で抗菌活性の測定を実施する。
【0094】
A.均一相中における
簡潔には、開始濃度D600=0.001で各々の細菌懸濁液100μlと共に、PB培地(Poor Broth:bactotryptone1%、NaCl0.5% w/v、pH7.5)中で、合成分子(P2、P3、P4及びP5)10μlをマイクロプレートでインキュベートする。攪拌下で30℃、24時間インキュベーション後、600nmにおいて細菌増殖を測定する。分子の(ダブレットでの)連続希釈法により最小成長阻害濃度(MIC)を評価し、細菌の成長を阻害する最小デンドリマー濃度として最小成長阻害濃度(MIC)を定義する。
下記の表で示される抗菌性試験の結果は、デンドリマーP2〜P5の活性スペクトルが広範であり、実際こうした分子がグラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方において活性があることを証明している。
《表10》

μM又はmg/Lで表される抗菌活性は、1つのデンドリマーから別のデンドリマーへの広範囲の変化及び研究された細菌の菌株に依存していることを示している。MICが、各々の場合で最も活性のある世代のGLDを使用し、グラム陽性に関しては3〜50mg/L及びグラム陰性に関しては23〜200mg/Lで変化することに全体的に注意することができる。
【0095】
B.不均一相中における
支持体へイオン性又は共有結合性で固定されたGLDデンドリマーの抗菌活性を試験した。
1.イオン固定
実施例13で記載したように、固定を実施した。その後、支持体(1g)を滅菌水20mlで5回洗浄し、乾燥する。細菌懸濁液(ミクロコッカス・リソデイクティカス)2mlと接触させ、24時間、得られた生成物を置く。インキュベーション期間後、上清100μLを除去し、LB寒天皿上でプレートし、24時間、37℃でインキュベートする。観察された(又は、観察されない)コロニー数は、使用された支持体の活性を示す。結果を下記の表に示す。
《表11》

こうした結果は、GLDが支持体にイオン固定される場合には、GLDは抗菌活性も実現するということを示している。
イオン固定が永久に必要ではないので、共有結合的に固定されたGLDの抗菌活性も試験された。
【0096】
2.共有結合固定
実施例14で示したように、固定を実施した。その後、2・10細菌を含む細菌懸濁液(ミクロコッカス・リソデイクティカス)2mlと接触させ、24時間、各々の材料0.5gを置く。インキュベーション期間後、上清25μLを除去し、LB培地75μL上に置く。この混合物をLB寒天皿上でプレートし、37℃でインキュベートする。インキュベーション96時間後、読取りは下記の結果を示す。
《表12》

結果は、支持体に共有結合的に固定されたGLDが1%以上の濃度で優れた抗菌活性を保持していることを示す。補足研究をさらに細かい粉砕及び新しい樹脂で実施しなければならない。
【0097】
《実施例19:シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)に対するGLD活性》
A:均一相中における
1、10及び100mg/LであるP2及びP3溶液と接触させ、10,000細菌/mlであるシュードモナス・アエルギノーザの懸濁液を置いた。6、24及び96時間で、セトリマイド(cetrimide)上で培養することにより、対照を実施した。
下記の表に示される結果は、P3溶液100mg/Lによるシュードモナスの総阻害を示す。
《表13》

【0098】
B.支持された相中における
時間の変数のために、10重量%P3を含む(前記と同様に合成された)ヘキサメチレン−ジイソシアネート樹脂(P3S)にシュードモナス・アエルギノーザをさらした。6、24及び96時間で、セトリマイド上で培養することにより、対照を実施した。下記の表に示される結果は、1,000シュードモナス/mlの懸濁液上におけるこのタイプの支持体によるシュードモナスの総阻害を示す。
《表14》

【0099】
[実施例20]
レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)上のGLD活性
A.均一相中における
レジオネラ・ニューモフィラ10,000/mlの懸濁液を10及び100mg/LであるP2及びP3溶液で接触し置いた。24、96及び168時間で、GVPC上で培養することにより、対照を実施した。
下記の表及び図12で示された結果は、レジオネラ・ニューモフィラがP3よりもP2に感受性があることを示す。
《表15》

PCR対照を実施した。
簡潔には、10、100mg/LのデンドリマーP2及びP3との接触から96時間後、細菌懸濁液5mlを0.45μmポリカーボネート膜でろ過し、存在する細胞(従って、細胞残渣を除去している)を抽出する。細胞をフィルター上で回収し、それらのDNAを熱ショック及び化学ショックにより抽出する。1mlを、限外ろ過により精製し、PCR増幅により定量化する。結果を下記の表に示す。
《表16》

従って、PCR分析を下記のことを示している。
P2又はP3の存在によって、96時間の培地から対照に対して90%を超える細菌又は70〜80%の細菌をそれぞれ除去することを可能にする。レジオネラ・ニューモフィラには、P2の活性はP3の活性よりも大きい。
細胞壁の穿孔及びそれらのDNAの放出により、致死濃度のP2又はP3は細菌分解を引き起こす。
【0100】
B.支持された相中における
2重量%P1を含むヘキサメチレン−ジイソシアネート樹脂(P1S)及び20重量%P3を含むヘキサメチレン−ジイソシアネート樹脂(P3S)を前記のように得る。
第一試験
チューブ1:対照は、PBS9ml+10,000レジオネラ・ニューモフィラを含むPBS1mlにより構成される。
チューブ2:PBS9ml+10,000レジオネラ・ニューモフィラを含むPBS1ml+P3S0.1g
結果を下記の表に示す。
《表17》

【0101】
第2試験
チューブ1:対照は、PBS9ml+10,000レジオネラ・ニューモフィラを含むPBS1mlにより構成される。
チューブ2:対照樹脂:PBS9ml+10,000レジオネラ・ニューモフィラを含むPBS1ml+P1S0.1g
チューブ3:PBS9ml+10,000レジオネラ・ニューモフィラを含むPBS1ml+P3S0.1g
《表18》

PCR対照を下記のように実施した。接触から96時間後、樹脂はチューブの底に沈殿したままになっており、懸濁液5mlを0.45μmポリカーボネート膜でろ過し、細胞を抽出する。これらを洗浄し、熱ショック及び化学ショックにより溶解する。DNAを精製し、PCRにより増幅し、カウントする。
こうした結果は、以下の、
ポリイソシアネート上のグラフト化デンドリマーP3の作用、
P3Sの効果よりも小さいと思われても、対照(P1S)の無視できない効果、
を証明する。
【0102】
《実施例21:蛍光GLDの抗菌活性》
実施例18で記載された実験は、実施例11BのGLDP2を使用し繰り返され、蛍光GLDの抗菌活性が非蛍光GLDの抗菌活性と同じであることを示している。
従って、GLDの作用機構を研究するために、蛍光GLDを使用することができる。抗菌メカニズム、さらに循環系で観察する薬物送達についてのメカニズムもまた、特異抗体を有するGLDによる標的の蛍光標識は、作用機構を意味する。
【0103】
《実施例22:抗体の生産及び特性へのGLDの利点》
ヒスタミン免疫結合体誘導体を2つの担体で調製した:Vandenabeele−Trambouze,O.らにより記載された方法によるウシ血清アルブミン(BSA)及び第3世代GLD(以下の式参照)。
【化3】

(「BSA ou DGL ou plaque covalink」は、「BSA又はDGL又はコバリンクプレート」を示す)
ヒスタミン(ハプテンモデルを表す)と担体BSA、GLD及び共有結合プレートとの免疫結合体の構造。
1.5M酢酸ナトリウム緩衝液中において、pH8、ハプテン5mg、BSA又はGLD20mg、及び5%グルタルアルデヒド300μlでカップリングを実施し、3NNaBHに還元する。下記のように、2匹ずつのウサギの3ロットを免疫した。
ロットA:J=0でのフロイントの完全アジュバント中の免疫結合体−BSA150μg、その後のD=21、D=36及びD=51でのフロイントの完全アジュバント中の結合体−DGL150μg
ロットB:D=0、D=21、D=36及びD=51でのフロイントの完全アジュバント中の結合体−GLD150μg
ロットC:D=0、D=21、D=36及びD=51でのフロイントの完全アジュバント中の天然GLD300μg。
以下の2つのELISAアッセイにより、D=21、D=36、D=51及びD=65で、ロットA、B、Cの血清を分析された。
(1)BSA若しくはGLDの免疫結合体(図13及び図15)又はVandenabeele−Trambouze,O.らにより記載された方法による遊離担体(39)であらかじめ被覆されたMaxisorpプレート(NUNC)によるELISAアッセイ。この方法によって総抗体価(抗原又はハプテンに特異的、及び担体に特異的)ならびに抗担体抗体の比率を評価することを可能にする。
(2)(Claeys−Brunoらにより記載されたプロトコールによる(40、41))ハプテンであらかじめ被覆された共有結合プレート(NUNC)(図14)上のELISAアッセイ。この方法によって、特異的抗体のみの直接的な評価を可能にする。
【0104】
ロットC及びB(図13)に関して、D65(日数=65)での測定可能な抗体が無いことは、後者がハプテンにグラフトされる場合を含めて、第3世代GLDの免疫寛容(immuno−stealth)を証明する。同様に、天然GLDで被覆されたMaxisorpプレート上のD65でのロットA及びCに対するELISA応答が無いことは(図13の白丸及びバツ)、抗GLD抗体の欠如、ゆえにそれらは免疫寛容(immuno−stealth)を証明する。この結果は、任意の抗ハプテン抗体を示さないロットB(図14の破線)に関する共有結合プレート上で証明される。
しかし、免疫原性担体(BSA)による免疫システムの刺激後に、GLDが第2担体(ロットA)として使用される場合は、一方ではハプテン−特異抗体価の増加が起ること(図14のD21〜D36参照)、他方ではGDL−ハプテンでの種々の免疫化後の抗−BSA抗体(担体)の消滅(図15)が起こることに注意されたい。
免疫寛容(immuno−stealth)であるが、GLDによって、初期免疫応答をトリガーとして使用される抗担体非特異的抗体の数を同時に減少することによりハプテン−特異的抗体価を増加することにより、全体として、こうした結果が証明される。
【0105】
[引用文献]
[1].Denkewalter,R.G.,J.Kolc,and W.J.Lukasavage,Macromolecular highly branched homogeneous compound based on lysine units., in USP.1981,Allied Corp.:US.
[2].Denkewalter,R.G.,J.Kolc,and W.J.Lukasavage,Macromolecular highly branched homogeneous compound,in USP.1983,Allied Corp.:US.
[3].Juan Rodriguez−Hernandez,Marco Gatti,and Harm−Anton Klok,Highly Branched Poly(L−lysine).Biomacromolecules,2003.4:p.249−258.
[4].Klok Harm−Anton and Rodriguez−Hernandez Juan,Dendritic−Graft Polypeptides.Macromolecules,2002.35:p.8718−8723.
[5].Matthews Barry Ross,et al.,Agent for the prevention and treatement of sexually transmitted diseases−I.,in World Intellectual Property Organization (PCT).2002,Starpharma Limited:USA. p. 36.
[6].Matthews Barry Ross and H.George,Anionic or cationic dendrimer antimicrobial or antiparasitic compositions.,in USPTO.2003,Starpharma Limited:USA.
[7].Baigude H., et al., Synthesis of sphere−type monodispersed olygosaccharide−polypeptide dendrimers. Macromolecules,2003.36(19):p. 7100−7106.
[8].Menz T.L. and Chapman T.,Synthesis and characterization of hyperbranched polylysine. Polymer Preprints,2003.44(2):p. 842−843.
[9].Takuro,N., et al.,Method of gene delivery into cells using dendritic poly(L−lysine)s.peptide science,2001.2000(37th):p.201−204.
[10].Choi Joon Sig,et al.,Synthesis of a barbell−like triblock copolymer, poly(L−lysine) dendrimer−bloc−poly(ethylene glycol)−bloc−poly(L−lysine) dendrimer,and its self−assembly with plasmid DNA. Journal of American Chemical Society.,2000.122:p. 474−480.
[11].Kricheldorf,H.R.,α−Aminoacid−N−Carboxy−Anhydrides and Related Heterocycles.Synthesis,Properties,Peptide Synthesis,Polymerisation.Heterocycles.1987,Berlin:Springer−Verlag.213pages.
[12].Bartlett,P. and R.Jones,A Kinetic Study of the Leuchs Anhydrides in Aqueous Solution.J.Am.Chem.Soc.,1957.79(9):p.2153−2159.
[13].Commeyras,A.,et al.,Prebiotic Synthesis of Sequential Peptides on the Hadean Beach by a Molecular Engine Working with Nitrogen Oxides as Energy Sources.Polymer International.,2002.51:p.661−665.
[14].Denkewalter,R.G.S.,H.;Strachan,R.G.;Beesley,Thomas E.;Veber,Daniel F.;Schoenwaldt,Erwin F.;Barkemeyer,H.;Paleveda,William J.,Jr.;Jacob,Theodore A.;Hirschmann,Ralph.,Controlled synthesis of peptides in aqueous medium. I.Use of α−amino acid N−carboxyanhydrides. Journal of the American Chemical Society 1966.88(13):p.3163−4.
[15].Hirschmann R., et al.,The controlled Synthesis of peptides in aqueous medium. III. Use of Leuchs’ anhydrides in the synthesis of dipeptides. Mecanism and control of side reactions. Journal of Organic Chemistry 1967.32(11):p.3415−3425.
[16].Iwakura Y., et al., Stepwise synthesis of oligopeptides with N−carboxy α−amino acid anhydrides.Biopolymers,1970.9:p.1419−1427.
[17].Hitz T. H. and Luisi P. L.,Spontaneous onset of homochirality in oligopeptide chain generated in the polymerisation of N−carboxyanhydride amino acids in water. Origin of life and evolution of the biosphere,2004.34:p.93−110.
[18].Sakamoto M. and Kuroyanagi Y.,Multichain copoly(α−aminoacid).Journal of polymer science,1978.16:p.1107−1122.
[19].Birchall A.C. and North M., Synthesis of highly branched block copolymers of enantiomerically pure amino acids.Chem.Commun., 1998: p.1335−1336.
[20].Zigang Yang, Jianjun Yuan,and Shiyuan Cheng,Self−assembling of biocompatible BAB amphiphilic triblock copolymers PLL(Z)−PEG−PLL(Z) in aqueous medium.European polymer journal.,2005. 41:p.267−274.
[21].Poche D.,Moore M.,andBowles J.,An unconventional method for purifying the N−carboxyanhydride derivatives of γ−alkyl−L−glutamates.Synthetic communications,1999.29(5):p.843−854.
[22].Rekker R. F.,The hydrophobic fragmental constant., ed. P. library.Vol.Vol.1.1977,Amsterdam:Elsevier.
[23].Leuchs,H., Ber.Dtsch.Chem.Ges., 1906.39:p.857−859.
[24].Curtius,T.,et al.,J.Prakt.Chem.,1930.125:p.211−302.
[25].Coleman D.and Farthing A.C.,J.Chem.Soc.,1951:p.3218−3222.
[26].Mobashery,S. and M. Johnston,A new approach to the preparation of N−carboxy α−amino acid anhydrides.J.Org.Chem.,1985.50:p.2200−2202.
[27].Daly,W.H.and D.Poche,The preparation of N−carboxyanhydrides of α−amino acids using bis(trichloromethil)carbonate.Tetrahedron Lett.,1988.29:p.5859−5862.
[28].Wilder,R.and S.Mobashery,The use of triphosgene in preparation of N−carboxy−α−amino acid anhydrides.J.Org.Chem.,1992.57:p.2755−2756.
[29].Collet,H.,et al.,A new simple and quantitative synthesis of α−Aminoacid−N−Carboxyanhydrides. Tetrahedron Letters,1996.37(50):p. 9043−9046.
[30].Pascal R.,Boiteau L.,and Commeyras A., From the prebiotic synthesis of α−aminoacids, towards a primitive translation apparatus for the synthesis of peptides.Top. Curr.Chem.,2005(259):p. 69−122.
[31].Frechet,J.M. and D.A. Tomalia,eds.Dendrimers and other dendritic polymers.,ed.W.s.i.p.science.2001,John Wiley & Sons,Ltd. 646.
[32].Commeyras,A.,et al., Procede de synthese peptidique a partir des N−(N’−Nitroso)carbamoylaminoacides, in patent,PCT/FR95/01380.1995:Fr.
[33].Matthews Barry Ross,et al.,Agent for the prevention and treatment of sexually transmitted diseases−II.,in World Intellectual Property Organization.2002,Starpharma Limited:USA.p.30.
[34].Bello, M.S., R. Rezzonico, and P.G. Righetti, Use of Taylor−Aris dispersion for measurement of a solute diffusion coefficient in thin capillaries.Science,1994.266:p.773.
[35].Mes E. P. C., et al.,Comparison of methods for the determination of diffusion coefficients of polymers in dilute solutions:the influence of polydispersity.Journal of Polymer Science: Part B:Polymer Physics,1999.37:p.593−603.
[36].Edward J. T., Molecular volumes and the stokes−einstein equation. Journal of Chemical Education,1970.47:p. 261.
[37].Fehlbaum,P.,et al.,Insect imunity.Septic injury of Drosophila induces the synthesis of a potent antifungal peptide with sequence homology to plant antifungal peptides.J.Biol.Chem.,1994.269:p.33159−33163.
[38].Hancock, R.E.,T.Falla,and M.Brown,Cationic bactericidal peptides.Adv.Microb.Physiol.,1995.37:p.135−175.
[39].Vandenabeele−Trambouze,O.,et al.,Antibodies directed against L and D isovaline using a chemical derivatizating reagent for the measurement of their enantiomeric ratio in extraterrestrial samples: first step−production and characterization of antibodies. Chirality,2002.14:p.519−526.
[40].Claeys−Bruno,M.,et al.,Methodological approaches for histamine quantification using derivatization by chloroethylnitrosourea and ELISA measurement. Part I:Optimisation of derivated histamine detection with coated−plates using optimal design.Chemometrics and intelligent Laboratory Systems,2006.80,((2)):p.176−185.
[41].Claeys−Bruno,M.,et al.,Methodological approaches for histamine quantification using derivatization by chloroethylnitrosourea and ELISA measurement.Part II:Optimisation of the derivatization step. Chemometrics and intelligent Laboratory Systems,2006.80((2),):p.186−19
【図1】

【図2A】

【図2B】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】

【図6G】

【図6H】

【図6I】

【図7】

【図8】

【図9A】

【図9B】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿物状の疎水性ポリペプチドの製造のための活性化α−アミノ酸モノマーの使用であって、前記ポリペプチドが水性溶媒中で前記活性化α−アミノ酸モノマーの重合から生じ、そして前記溶媒中において再溶解できるものである、前記使用。
【請求項2】
前記活性化α−アミノ酸が、α−アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)、α−アミノ酸N,N’−カルボニルジイミダゾール、α−アミノ酸硫化カルボニル、α−アミノ酸無水炭酸、及びアミノチオ酸酸化剤から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
下記式(1)で表されるα−アミノ酸N−カルボキシ無水物(NCA)
【化1】

(式中、Rは天然又は修飾α−アミノ酸の側鎖を示す)
の、請求項1又2に記載の使用。
【請求項4】
水性溶媒中におけるポリリジンの製造のためのL−リジン−NCAモノマーの、請求項2又は3に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1つの第一級又は第二級アミン基を含むプライマーから、グラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーを製造する方法であって、
L−リジン−NCAモノマー、並びに、場合により1種以上の他のα−アミノ酸NCAモノマー(特には、L−オルニチン−NCA、L−グルタミン酸−NCA及びそのγ−アミド、L−アスパラギン酸−NCA及びそのβ−アミド、L−ジアミノ−2.4−酪酸−NCA及びそのβ−アミド、L−チロシン−NCA、L−セリン−NCA、L−トレオニン−NCA、L−フェニルアラニン−NCA、L−バリン−NCA、L−ロイシン−NCA、L−イソロイシン−NCA、L−アラニン−NCA、並びにグリシン−NCAを含むリストから選択される)の水性溶媒中での前記プライマーへの添加工程を含む、前記製造方法。
【請求項6】
前記モノマーがL−リジン−NCAのみである、請求項5に記載のグラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項7】
前記L−リジン−NCAが、特には、
【化2】

から選択される基によってNε保護された請求項5又は6に記載の、グラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項8】
前記プライマーが、L−リジン、L−オルニチン、ホモポリリジン、ポリ(エチレングリコール)−α、ω−ジアミン、ヘテロポリリジン、ヘテロペプチド又はホモペプチドから選択される、請求項6又は7に記載のグラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項9】
前記溶媒のpHが3〜9である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のグラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項10】
グラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法であって、前記ポリリジンデンドリマーが第1世代であり、
沈殿物状の第1世代の保護されたグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、適切なpHの水性溶媒中で、Nε保護されたL−リジン−NCAをプライマーに添加する工程、
第1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、前記工程において得られた第1世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマーを脱保護する工程
を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第1世代であり、プライマーがNε保護されているか、又は保護されていないL−リジンである、請求項10に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項12】
前記グラフト化ヘテロポリリジンデンドリマーが第1世代であり、前記プライマーがポリ(エチレングリコール)−α,ω−ジアミンであり、その分子量が特に約100Da〜約10,000Da、好ましくは約1,000Da〜約10,000Daである、請求項6〜10のいずれか一項に記載のグラフト化ヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項13】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第1世代であり、
第1世代の保護されたポリリジンデンドリマーの沈殿物を得るため、プライマーの添加がないか、又はTFA基によりNε保護されたL−リジンプライマーを含む、約6〜約8のpHの水溶液に、TFA基によりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程、及び
分子量約1,400Da、特に1,450Daであり、約1.2の多分散性インデックスを有し、そしてリジンの8ユニットの平均重合度に相当する、直鎖の第1世代のポリリジンデンドリマーを得るため、前記工程で得られたポリリジンポリマーを脱保護する工程、
を含む、請求項10又は11に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項14】
前記グラフト化ポリリジンデンドリマーが第n世代(nは2〜10の整数である)であり;
沈殿物状の第n世代の保護されたグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、適切なpHの水性溶媒中で、第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、Nε保護L−リジン−NCAを添加する工程であって、
保護された第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、前記第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、適切なpHの水性溶媒中で、第n−2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されたプライマーへの、Nε保護L−リジン−NCAの添加、及び前記ポリリジンの脱保護から得られたそれ自体であり、
前記第n−2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、第n−1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーに関して示されたように得られたそれ自体であり、
n=2の場合、第1世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーは、請求項10〜13のいずれか一項で定義され、前記第1世代のポリリジンデンドリマーが第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーのコアを形成している前記工程;
第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るため、第n世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマーを脱保護する工程;
を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載のグラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項15】
前記グラフト化ポリリジンデンドリマーが第n世代であり、L−リジン−NCAがTFAによりNε保護され、前記第n世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーのコアがL−リジンの約8残基を含む直鎖のポリリジンから形成され、例えば、請求項13の方法を実施することにより得ることができ、前記第n世代のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの分岐度が約40%〜約100%である、請求項14に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項16】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第2世代であり;
第1世代のポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第1世代のポリリジンデンドリマーが、例えば、請求項13による方法を実施することにより得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第1世代のポリリジンデンドリマー)が約2.6〜約3.9、特には、約3であり、
第2世代の保護されたポリリジンデンドリマーを得るために、適切なpHの水性溶媒中において行われる、前記添加の工程;
約6,000〜約14,000Da、特に約8,350Da、好ましくは約8,600Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約40〜約60、特に約48、遊離の外部−NH基を有する第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程;
を含む、請求項14又は15に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項17】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第3世代であり;
第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが、例えば、請求項16に記載の方法を実施することにより得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)が約2.6〜約3.9、特には、約3であり、
第3世代の保護されているグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、適切なpHの水性溶媒中において行われる、前記添加の工程;
約15,000〜約30,000Da、特に約21,500Da、好ましくは約22,000Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約100〜約150、特に約123、遊離の外部−NH基を有する第3世代グラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、前記工程で得られたポリリジンを脱保護する工程;
を含む、請求項14又は15に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項18】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第4世代であり;
第3世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第3世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが、例えば、請求項17に記載の方法を実施することにより得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第2世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)の比が約2.6〜約3.9、特には、約3であり、
保護されている第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、適切なpHの水性溶媒中で行われる、前記添加の工程;
約50,000〜約80,000Da、特に約64,000Da、好ましくは約65,000Da又は65,300Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約300〜約450、特に約365、遊離の外部−NH基を有する第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程
を含む、請求項14又は15に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項19】
前記グラフト化ホモポリリジンデンドリマーが第5世代であり;
第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーにより構成されるプライマーに、TFAによりNε保護されたL−リジン−NCAを添加する工程であって、
前記第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーが、例えば、請求項18に記載の方法を実施することにより得られ、
質量比(TFAによりNε保護されたL−リジン−NCA)/(第4世代のグラフト化ポリリジンデンドリマー)の比が約2.6〜約3.9、特には、約3であり、
第5世代の保護されているポリリジンデンドリマー(P5)を得るために、適切なpHの水性溶媒中で行われる、前記添加の工程;
約140,000〜約200,000Da、特に約169,000Da、好ましくは約172,000Da又は172,300Daの平均分子量、約1.4の多分散性、及び約900〜約1100、特に約963、遊離の外部−NH基を有する第5世代のグラフト化ポリリジンデンドリマーを得るために、前記工程において得られたポリリジンを脱保護する工程
を含む、請求項14又は15に記載のグラフト化ホモポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項20】
前記プライマーがグラフト化デンドリマーに共有結合的に固定され、前記プライマーは測定可能なマーカー産物を含む、請求項5〜19のいずれか一項に記載のグラフト化ホモ又はヘテロポリリジンデンドリマーの製造方法。
【請求項21】
例えば、請求項6〜20、特に請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法を実施により得られるグラフト化ポリリジンデンドリマー。
【請求項22】
外部−NH基が、単糖類、核酸、タンパク質、又はカルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸官能基を有する基、エチレンポリオキサイド、及びヒドロ炭酸塩又はペルフルオロヒドロ炭酸塩鎖、アルデヒド又はそれらの前駆体、又はカルバモイル基又はクロロエチルニトロソ尿素基等のマスクされた反応官能基を含むリストから選択される基に、共有結合しているか又は非共有結合していることを特徴とする、請求項21に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマー。
【請求項23】
グラフト化ポリリジンデンドリマーが支持体に共有結合的に又は非共有結合的に、特に静電結合的に固定されていることを特徴とする、請求項21又は22に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマー。
【請求項24】
グラフト化ポリリジンデンドリマーが、それと接触する免疫系に関して密かであることを特徴とし、そして有利には、免疫系が反応するハプテン又は抗原の担体として使用され、抗体を形成することを特徴とする、請求項21又は22に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマー。
【請求項25】
抗原又はハプテンに対する抗体の生成を目的とする、抗原−グラフト化ポリリジンデンドリマー複合体又はハプテン−グラフト化ポリリジンデンドリマー複合体の製造のための、請求項21又は22に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマーの使用。
【請求項26】
例えば、請求項6〜20のいずれか一項に記載の方法の実施により得られるグラフト化ポリリジンデンドリマーの組成物。
【請求項27】
抗菌剤又は抗真菌剤としての、請求項21〜24のいずれか一項に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマーであって、但し、それは人体又は動物体の治療上の処置に使用されない、前記グラフト化ポリリジンデンドリマー。
【請求項28】
有効成分として、少なくとも1つの請求項21〜24のいずれか一項に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマーを、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて含むことを特徴とする、医薬用組成物。
【請求項29】
細菌感染若しくは真菌感染、又は癌の処置を目的とする薬剤の製造のための、請求項21〜24のいずれか一項に記載のグラフト化ポリリジンデンドリマーの使用。
【請求項30】
細菌感染が、特に、シュードモナス科、特にシュードモナス属;レジオネラ科、特にレジオネラ属;腸内細菌科、特にエシェリキア属、サルモネラ属、赤痢菌属、及びエルシニア属;ビブリオ科;パスツレラ科;アルカリゲネス科、特にボルデテラ属;ブルセラ科、特にブルセラ属;フランキセラ科、特にフランキセラ属;ナイセリア科;ミクロコッカス科、特にブドウ球菌属、連鎖球菌属、及びリステリア属;を含むリストから選択される科に属しているグラム陰性及びグラム陽性細菌による感染から選択される、請求項29に記載の使用。

【公表番号】特表2008−539297(P2008−539297A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508260(P2008−508260)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000952
【国際公開番号】WO2006/114528
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(505409247)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク (16)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(505409258)ユニヴェルシテ モンペリエ ドゥー (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE MONTPELLIER II
【Fターム(参考)】