説明

グラフト化鎖を伴う固体支持体

固体支持体から伸展するグラフト化鎖を伴う、固体支持体を含む物品と、これらの物品を作製する方法と、物品の様々な用途とを説明する。より具体的には、グラフト化鎖は、目的化合物と反応する又は相互作用できる官能基を有する。別の方法としては、グラフト化鎖上の官能基は、目的化合物と反応する、又は相互作用できる別の基を提供するように、修飾剤と反応できる。グラフト化鎖は、開環アズラクトン基を通して固体支持体に付着する。物品は、目的化合物を精製するために、又は目的化合物を試料中の他の分子から分離するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
固体支持体、及び固体支持体から伸展する官能基を伴うグラフト化鎖を含む物品と、これらの物品を作製する方法と、これらの物品の様々な用途とを説明する。
【背景技術】
【0002】
様々な固体支持体は、目的化合物の分離及び/又は精製のために使用されてきた。例えば、様々な高分子固体支持体は、イオン基の存在に基づいて、目的化合物のサイズに基づいて、疎水性相互作用に基づいて、親和性相互作用に基づいて又は共有結合の形成に基づいて、目的化合物を精製又は分離するために使用されてきた。
【0003】
バイオテクノロジー産業においては、タンパク質、酵素、ワクチン、DNA及びRNAなどの様々な生体分子の大規模な分離及び/又は精製は、きわめて関心のあるものである。生体分子を分離し、精製するための改善された材料及び方法が、所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
固体支持体から伸展するグラフト化鎖を伴う固体支持体を含む物品と、これらの物品を作製する方法と、物品の様々な用途とを説明する。より具体的には、グラフト化鎖は、目的化合物と反応する、又は相互作用できる官能基を有する。別の方法としては、グラフト化鎖上の官能基は、目的化合物と反応する、又は相互作用できる別の基を提供するように、修飾剤と反応できる。グラフト化鎖は、開環アズラクトン基を通して固体支持体に付着する。
【0005】
第1の態様では、物品の調製方法が提供される。物品は、固体支持体と、固体支持体から伸展するグラフト化鎖とを含む。物品の調整方法は、式(I)のアズラクトン官能化支持体を提供する工程を含む。
【0006】
【化1】

【0007】
式(I)において、SSは、固体支持体を指し、変数pは、0又は1に等しい整数であり、それぞれのRは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。方法は、式(I)のアズラクトン官能化支持体からの式(II)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する工程を更に含む。
【0008】
式(II)において、それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基である。基Rは、水素又はアルキルである。方法は、式(II)の(メタ)アクリロイル官能性支持体を、式(III)
−Y−CR=CH
(III)
のモノマーを含有するモノマー組成物と反応させて、
式(IV)のグラフト化支持体を形成する工程をまた更に含む。
【0009】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
基Uは、式
−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する単結合又は二価基から選択される、第2の連結基である。Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である。
【0010】
第2の態様では、式(IV)のグラフト化支持体を含む物品を提供する。
【0011】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
式(IV)において、SSは固体支持体であり、Rは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。変数pは、0又は1に等しい整数である。それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、第1の連結基である。基Rは、水素又はアルキルである。基Uは、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する単結合又は二価基から選択される、第2の連結基である。Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である。
【0012】
第3の態様において、式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体を提供する。
【0013】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
式(II)において、SSは固体支持体であり、Rは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。変数pは、0又は1に等しい整数である。それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、第1の連結基である。基Rは、水素又はアルキルである。
【0014】
第4の態様において、物品の調整方法を提供する。物品は、固体支持体と、固体支持体から伸展するグラフト化鎖とを含む。方法は、式(I)のアズラクトン官能化支持体を提供する工程を含む。
【0015】
【化2】

【0016】
式(I)において、SSは固体支持体を指し、変数pは、0又は1に等しい整数であり、それぞれのRは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。方法は、式(I)のアズラクトン官能化支持体からの式(II)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する工程を更に含む。式(II)において、それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、第1の連結基である。基Rは、水素又はアルキルである。方法は、式(II)の(メタ)アクリロイル官能性支持体を、式(III)
−Y−CR=CH
(III)
のモノマーを含有するモノマー組成物と反応させて、
式(IV)のグラフト化支持体を形成する工程をまた更に含む。
【0017】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
基Uは、式
−CR(Y)−CHの少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基である。Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する単結合又は二価基から選択される、第2の連結基である。Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である。方法は、グラフト化支持体の官能基Zを、式A−Tの修飾剤と反応させて、式(V)の修飾されたグラフト化支持体を形成する工程を更に含む。
【0018】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
式(V)において、基Uは、式
−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。基Lは、グラフト支持体上の基Zを、修飾剤の修飾基Aと反応させることによって形成される付着基である。基Tは、修飾剤A−Tの残余であり、修飾基Aを引いた修飾剤A−Tに等しい。
【0019】
第5の態様において、式(V)の修飾されたグラフト化支持体を含む物品を提供する。
【0020】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
式(V)において、SSは、固体支持体であり、Rは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。基Rは、水素又はアルキルである。変数pは、0又は1に等しい整数である。それぞれの基Qは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、第1の連結基である。基Uは、式−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。基Lは、基Zを、式A−Tの修飾剤の修飾基Aと反応させることによって形成される付着基である。基Tは、修飾剤A−Tの残余であり、修飾基Aを引いた修飾剤A−Tに等しい。基Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である。
【0021】
第6の態様では、目的化合物を精製又は分離する方法が提供される。方法は、上述の通り、式(IV)のグラフト化支持体を含む物品を提供する工程を含む。方法は、目的化合物を含有する試料と物品を接触させることにより、目的化合物が、グラフト化支持体上の少なくとも1つの官能基Zと相互作用する工程を更に含む。
【0022】
第7の態様では、上述の通り、目的化合物の精製又は分離のための別の方法が提供される。方法は、上述の通り、式(V)の修飾されたグラフト化支持体を含む物品を提供する工程を含む。方法は、目的化合物を含有する試料と物品を接触させることにより、目的化合物が、修飾されたグラフト化支持体上の少なくとも1つの基Tと相互作用する、又は反応する工程を更に含む。
【0023】
上記の本発明の概要は、本発明のそれぞれの実施形態又はすべての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の発明を実施するための形態及び実施例は、これらの実施形態をより具体的に例証する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
固体支持体と、固体支持体から伸展するグラフト化鎖とを含有する物品と、これらの物品を作製する方法と、物品の様々な用途とを説明する。より具体的には、グラフト化鎖は、目的化合物と反応する、又は相互作用できる官能基を有する。別の方法としては、グラフト化鎖上の官能基は、目的化合物と反応する、又は相互作用できる別の基を提供するように、修飾剤と反応することができる。目的化合物との反応又は相互作用は、例えば、目的化合物を精製するために、又は目的化合物を試料の他の分子から分離するために使用することができる。少なくとも一部の実施形態において、目的化合物の結合力は、固体支持体の表面上よりも、グラフト化鎖上の官能基の位置付けを通して改善することができる。
【0025】
本明細書で使用する時、用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの(at least one)」と同じ意味で用いられ、記載された元素の1以上を意味する。
【0026】
「アズラクトン」という用語は、式
【0027】
【化3】

【0028】
の一価基を指し、式中、それぞれのRは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、変数pは、0又は1から選択される。多くの実施形態では、Rはメチルである。アズラクトン基は、本明細書で、「Az」と示される。
【0029】
「アズラクトン基の前駆体」という用語は、閉環反応を起こし、アズラクトン基を形成できる基を指し、式−(CO)−NH−C(R−(CH−COOH又はその塩であり、式中、R及びpは、アズラクトン基について、上で定義される。例えば、N−アクリロイルメチルアラニンは、重合されることができ、次いで、閉環反応を受けてアズラクトン基を伴う高分子材料を提供する。N−アクリロイルメチルアラニンにおいて、アズラクトン基の前駆体は、−(CO)−NH−C(CH−COOH又はその塩である。
【0030】
「アルキル」という用語は、飽和される一価の炭化水素基を指し、最大18個の炭素原子を有する。アルキル基は、直鎖、分枝状、環式、又はこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施例において、アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であり、1〜12個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。他の実施例において、アルキルは、環状(すなわち、アルキルはシクロアルキルである)であり、3〜12個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、又は4〜6個の炭素原子を有する。
【0031】
「アルキレン」という用語は、飽和され、最大18個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を指す。アルキレン基は、直鎖、分枝状、環式、又はこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施例において、アルキレン基は、直鎖又は分枝鎖であり、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。他の実施例において、アルキレンは、環式(すなわち、アルキルはシクロアルキルである)であり、3〜12個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、又は4〜6個の炭素原子を有する。
【0032】
「ヘテロアルキル」という用語は、飽和され、酸素(すなわち、オキシ)、硫黄(すなわち、チオ)、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子によって分離される少なくとも2つの炭素原子を有する、一価基を指す。ヘテロアルキル基は、直鎖、分枝状、環式、又はこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施例において、ヘテロアルキル基は、2〜18個の炭素原子及び1〜6個のヘテロ原子、2〜12個の炭素原子及び1〜6個のヘテロ原子、2〜10個の炭素原子及び1〜5個のヘテロ原子、2〜8個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子、又は2〜6個の炭素原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する。
【0033】
「ヘテロアルキレン」という用語は、飽和され、酸素(すなわち、オキシ)、硫黄(すなわち、チオ)、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子によって分離される少なくとも2つの炭素原子を有する、二価の基を指す。ヘテロアルキレン基は、直鎖、分枝状、環式、又はこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施例において、ヘテロアルキレン基は、2〜18個の炭素原子及び1〜6個のヘテロ原子、2〜12個の炭素原子及び1〜6個のヘテロ原子、2〜10個の炭素原子及び1〜5個のヘテロ原子、2〜8個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子、又は2〜6個の炭素原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する。
【0034】
「アリール」という用語は、複素環式又は炭素環式の一価の芳香族基を指す。アリールは、1つ以上の結合又は縮合環を有することができる。いくつかの代表的なアリール基は、酸素(すなわち、オキシ)、硫黄(すなわち、チオ)、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される0〜3個のヘテロ原子を伴う5〜12員環構造を有する。例えば、アリール基は、2〜12個の炭素原子及び0〜3個のヘテロ原子、3〜12個の炭素原子及び0〜2個のヘテロ原子、又は4〜12個の炭素原子及び0〜1個のヘテロ原子を有することができる。
【0035】
「アリーレン」という用語は、複素環式又は炭素環式の二価の芳香族基を指す。アリーレンは、1つ以上の結合又は縮合環を有することができる。いくつかの代表的なアリーレン基は、酸素(すなわち、オキシ)、硫黄(すなわち、チオ)、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される0〜3個のヘテロ原子を伴う5〜12員環構造を有する。
【0036】
[アラルキル」という用語は、アリール基と置換されるアルキル基を指す。アラルキル基は、例えば、3〜15個の炭素原子及び0〜3個のヘテロ原子、4〜15個の炭素原子及び0〜2個のヘテロ原子、又は5〜15個の炭素原子及び0〜1個のヘテロ原子を有することができる。
【0037】
「カルボニル」という用語は、炭素と酸素との間に二重結合を有する、式−(CO)−の二価の基を指す。
【0038】
「カルボニルオキシ」という用語は、(CO)がカルボニル基を指す、式−(CO)−O−の二価の基を指す。
【0039】
「カルボニルチオ」という用語は、(CO)がカルボニル基を指す、式−(CO)−S−の二価の基を指す。
【0040】
「カルボニルイミノ」という用語は、式−(CO)−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである、)の二価の基を指す。
【0041】
「グリシジル」という用語は、式
【0042】
【化4】

【0043】
の一価の基を指し、式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである。多くのグリシジル基において、それぞれのRは、水素である。
【0044】
「(メタ)アクリロイル」という用語は、Rが水素又はアルキル(例えば、メチル)である、式HC=CR−(CO)−の基を指す。
【0045】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、Rが、水素又はアルキル(例えば、メチル)であり、Rが水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである、式HC=CR−(CO)−NR−の基を指す。
【0046】
「(メタ))アクリルオキシ」という用語は、Rが水素又はアルキル(例えば、メチル)である、式HC=CR−(CO)−O−の基を指す。
【0047】
「求核基」という用語は、Rがアルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである、式
−NHRのヒドロキシル基(すなわち、−OH)、チオール基(すなわち、−SH)、第一級アミノ基(すなわち、−NH)、又は第二級アミノ基を指す。
【0048】
用語「ポリマー」又は「ポリマーの」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等である材料を指す。同様に、「重合する」又は「重合」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等の製造プロセスを指す。
【0049】
「の範囲内の数字」という句は、当該範囲の両端点及び端点の間のあらゆる数字を含む。例えば、語句「1〜10の範囲で」とは、1、10、及び1〜10のすべての数を含む。更に、別段の記載のない限り、特に範囲が要求されない範囲のあらゆる詳細説明は、端点及び両端点の間のあらゆる数字を含む。
【0050】
「及び/又は」という句は、記載されるオプションのいずれか、又は記載されるオプションの両方を意味する。例えば、「A及び/又はB」という表現は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの双方を意味する。
【0051】
物品は、固体支持体の表面上に少なくとも1つのアズラクトン基を有する固体支持体である、アズラクトン官能化支持体から調製される。あらゆる既知のアズラクトン官能化支持体が使用することができる。アズラクトン官能化支持体の少なくとも1つのアズラクトン基は、反応して、(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する。(メタ)アクリロイル官能性官能化支持体の(メタ)アクリロイル基は、他のエチレン性不飽和モノマーと重合することができ、グラフト化鎖を形成する。グラフト化鎖は、開環アズラクトン基を通して共有結合で固体支持体に付着する。グラフト化鎖は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基を含む。いくつかの実施形態において、官能基は、目的化合物と反応又は相互作用することができる。いくつかの実施形態において、官能基は、修飾されて、目的化合物と反応又は相互作用できる別の基を形成する。官能基は、修飾剤と反応することによって修飾される。
【0052】
アズラクトン官能化支持体は、式(I)のものである。
【0053】
【化5】

【0054】
式(I)において、SSは、固体支持体を指し、変数pは、0又は1に等しい整数であり、それぞれのRは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。式(I)は、説明を簡単にするために、固体支持体に付着する1つのアズラクトン基のみを示すが、複数のアズラクトン基が、典型的には、固体支持体に付着される。式(I)のアズラクトン官能化支持体は、本明細書で、式SS−Azで示され得る。
【0055】
その表面上に少なくとも1つのアズラクトン基を伴う固体支持体(すなわち、アズラクトン官能化支持体)は、ビーズ、膜、フォーム、フィルム、シート、基材上のコーティング等の形態であることができる。アズラクトン官能化支持体及びこのような支持体を作製するための方法は、例えば、米国特許第5,336,742号(Heilmannら)、同第5,403,902号(Heilmannら)、同第5,344,701号(Gagnonら)、同第5,993,935号(Rasmussenら)、同第6,063,484号(Exstedら)、同第5,292,514号(Capecchiら)、同第6,548,607号(Halversonら)、同第5,408,002号(Colemanら)、同第5,476,665号(Dennison)、同第5,510,421号(Dennisonら)、及び同第6,794,458号(Haddadら)に記載されている。
【0056】
好適なアズラクトン官能化支持体は、様々な方法を使用して調製することができる。いくつかの方法において、アズラクトン官能化支持体は、重合反応が懸濁培地で懸濁される水滴内で発生する、逆相懸濁重合の技法を使用して調製することができる。懸濁培地は、水不混和性であり、モノマーは水溶性である。
【0057】
逆相重合プロセスの1つにおいて、重合培地は、水混和性共溶媒に少なくとも1つのアルケニルアズラクトンと、少なくとも1つの架橋モノマーとを含む。架橋量は、溶媒での多孔性及び膨潤度等の高分子特性に影響する。好適なアルケニルアズラクトンモノマーとしては、SNPE,Inc.,Princeton,NJから市販されている2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−ワン、2−イソプロぺニルl−4,4−ジメチルl−2−オキサゾリン−5−ワン、及び2−ビニル−4,4−ジメチルl−1,3−オキサジン−6−オンが挙げられる、これに限定されない。好適な架橋剤としては、エチレン(メタ)ジアクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和(α,β−不飽和)エステル、並びにメチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N’−ジ(メタ)アクリロイル−1,2−ジアミノエタン等のエチレン性不飽和アミドが挙げられるが、これに限定されない。加えて、重合培地は、水溶性で、遊離基付加重合反応を使用して重合され得る他のモノマーを含むことができる。好適な任意のモノマーは、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−ビニルピロリドンを含む。この重合プロセスは、米国特許第5,403,902号(Heilmannら)及び同第5,336,742号(Heilmannら)に更に記載されている。
【0058】
別の逆相重合プロセスにおいて、二段階重合プロセスが、アズラクトン官能化支持体を調製するために使用される。第1段階において、カルボン酸官能基を有する重合材料が調製される。カルボン酸官能基は、その後、環化剤と反応し、アズラクトン基を形成する。重合培地は、N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の水溶性塩と、架橋モノマーと、水不混和性培地とを含む。加えて、重合培地は、水溶性で、遊離基付加重合反応を使用して重合することができる他のモノマーを含むことができる。好適な任意のモノマーは、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−ビニルピロリドンを含む。好適な環化剤は、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、及びアルキルクロロホルメートを含む。このプロセスは、米国特許第5,403,902号(Heilmannら)及び同第5,336,742号(Heilmannら)に更に記載されている。
【0059】
別の方法において、アズラクトン官能化支持体は、分散培地がモノマーを溶解するが、その形成中にポリマーを沈殿させる分散重合という技法を使用して調製することができる。様々な界面活性剤を、ポリマー粒子の凝集を防止するために添加することができる。例えば、アズラクトン官能化支持体は、重合培地が、2−アルケニルアズラクトンモノマー、架橋モノマー、及びアルコール等の有機溶媒中に少なくとも1つの界面活性剤を含む、分散重合プロセスを使用して調製することができる。このプロセスは、米国特許第5,403,902号(Heilmannら)及び同第5,336,742号(Heilmannら)に更に記載されている。
【0060】
重合アズラクトン官能化支持体は、ゲル状、又はマクロ多孔質高分子材料であることができる。本明細書で使用される通り、「ゲル状」という用語は、重合培地のモノマーの重量に基づき、20重量%未満の架橋剤で調製される高分子材料を指す。本明細書で使用される通り、「マクロ多孔質」という用語は、重合培地のモノマーの重量に基づき、少なくとも20重量%の架橋剤で調製される高分子材料を指す。ゲル状材料は、多孔性材料より膨潤しやすく、剛性でない傾向がある。
【0061】
いくつかの実施形態において、基質はビーズの形態である。ビーズは、球形状、規則的な形状、又は不規則な形状を有することができる。ビーズは、逆相懸濁重合技法又は分散重合技法のいずれかを使用して調製することができる。逆相懸濁重合技法を使用して調製されるビーズは、分散重合技法を使用して調製されるビーズと比較して、より多孔質で、大きな表面積を有する傾向がある。分散重合技法を使用して調製されるビーズは、概して、逆相懸濁重合技法を使用して調製されるビーズよりサイズが小さく、あまり多孔質ではない(例えば、場合により、ビーズは、実質的に非多孔質であることができる)。
【0062】
ビーズのサイズは、特定の用途によって変動することができる。一般的に、ビーズの平均径は0.1マイクロメートル〜5ミリメートルの範囲である。いくつかの代表的なビーズは、0.1〜1,000マイクロメートル、0.1〜500マイクロメートル、0.1〜100マイクロメートル、0.5〜100マイクロメートル、0.1〜50マイクロメートル、0.1〜20マイクロメートル、0.1〜3マイクロメートル、又は0.5〜3マイクロメートルの平均径を有する。
【0063】
アズラクトン官能化支持体を作製するためのいくつかの方法において、基質は、連続する多孔質マトリックスに分散したアズラクトン含有粒子(例えば、ビーズ)を含む複合膜の形態である。このような複合膜は、米国特許第5,993,935号(Rasmussenら)に更に記載されている。複合膜に含まれるアズラクトン含有粒子は、上記のビーズであることができる。あるいは、膜に含まれるアズラクトン含有粒子は、アズラクトン基の表面を提供するように、コーティング組成物で修飾された無機粒子であることができる。無機粒子は、例えば、金属又は金属酸化物、アルミナ、シリカ、ジルコニア又はそれらの混合物等のセラミックス材料、ガラス(例えば、ビーズ又は泡)、制御孔ガラス等を含有できる。これらの粒子は、反応性アズラクトン官能基を含有するポリマーで粒子をコーティングすることによって、又は粒子の表面上の基を反応性官能基(例えば、無機粒子の表面と反応させるためのアルコキシシランを有し、アズラクトン基も含有するカップリング剤)を含有する試薬と反応させることによって修飾されることができる。
【0064】
複合膜における有用な連続多孔質マトリックスとしては、織布及び不織布繊維ウェブ又は多孔質繊維が挙げられるが、これに限定されない。代表的な繊維性材料は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブチレン、エチル酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸、ポリカーボネート、セルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリウレタン(例えば、ポリエーテルポリウレタン)、及びそれらの組み合わせから製作されるものを含む。
【0065】
複合膜を調製するための別の方法において、アズラクトン含有粒子は、コロイド懸濁液を形成するように、液体で分散される。熱可塑性ポリマーは、均質の溶液を形成するのに十分な温度で、コロイド懸濁液と溶融混合される。溶液は、所望の形状に形成し、次いで、高分子材料から液体の相分離を誘発するように冷却され、高分子材料を固結することができる。液体の除去後、アズラクトン含有粒子は、微小多孔性ポリマーマトリックスに分散される。この方法は、米国特許第4,957,943号(McAllisterら)に詳細に記載されている。
【0066】
複合膜は、フィブリル化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の多孔質フィブリル化ポリマーマトリックスから調製することができる。アズラクトン含有粒子は、パテ状塊を得るために、PTFE分散液と混合することができる。パテ状塊は、次いで、PTFEのフィブリル化を生じるように、5℃から100℃の間の温度で混合され、シートを形成するように2軸的に圧延されることができる。シートは、あらゆる溶媒を除去するために乾燥することができる。膜を作製するためのこのような方法は、米国特許第4,153,661号(Reeら)、同第4,565,663号(Erredeら)、同第4,810,381号(Hagenら)、及び同第4,971,736号(Hagenら)に更に記載されている。
【0067】
複合膜を作製するための更に別の方法は、米国特許第4,539,256号(Shipman)に記載されている。アズラクトン含有粒子は、加熱及び攪拌することによって、ポリオレフィンに分散されることができる。得られた溶融混合物は、加熱されたプレート上に流され、加圧された後、氷水で冷却される。
【0068】
加えて、複合膜は、米国特許第5,476,665号(Dennison)に記載されているように、溶媒位相反転技法を使用しても形成することができる。アズラクトン含有粒子及び混合ポリマーは、ポリマーを溶解できる溶媒を含有する容器に導入され、溶液が所望の形状に成型され、溶媒と混和性であるが、ポリマーがアズラクトン官能化膜を形成するように沈殿する液体の凝固槽に模型形状が導入される。
【0069】
アズラクトン官能化支持体も、米国特許第5,408,002号(Colemanら)及び同第6,063,484号(Exstedら)に記載されているように、ポリマーブレンドから形成することができる。2−アルケニルアズラクトンから調製されるアズラクトン含有ホモポリマーは、熱可塑性ポリマーと溶融混合することができる。好適な熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(例えば、ナイロン6)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスチレン、ポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリ(N−ビニルラクタム)(例えば、ポリビニルピロリドン)、ポリ酢酸ビニル、ポリオキシアルキレンオキシド、フルオロエラストマー、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。
【0070】
アズラクトン官能化基質を調製するための別の方法は、米国特許第6,063,484号(Exstedら)に記載されている。ポリオレフィン樹脂は、遊離基反応開始剤(例えば、過酸化物又はアゾ化合物)と混合された後、遊離基を生成するのに十分な温度で押出成形機で加熱される。2−アルケニルアズラクトンは、押出成形機に注入されて、グラフト化アズラクトン熱可塑性組成物を形成する。この組成物は、次いで、膜に形成される。
【0071】
別の方法として、アズラクトン官能化支持体は、米国特許第5,510,421号(Dennisonら)に記載されているように、アズラクトン含有ポリマーの溶媒位相反転を使用して形成することができる。アズラクトン含有組成物及び混合ポリマーは、これらを溶解できる溶媒を含有する槽に設置される。溶液は、次いで、好適な形状に成型され、次いで、溶媒と混和性であるが、アズラクトン官能化膜の沈殿を生じる液体の凝固槽に導入される。
【0072】
アズラクトン官能化支持体も、コーティング組成物を固体支持体に適用することによって調製することができる。代表的な固体支持体は、金属、金属酸化物若しくは水酸化物、高分子材料、ガラス、セラミックス材、又はそれらの混合から調製することができる。固体支持体は、あらゆる所望の形状及びサイズを有することができる。例えば、支持体は、フィルム、粒子、繊維、織布又は不織布ウェブ、膜、成形プラスチック物品等であることができる。いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、アズラクトン基(例えば、アルケニルアズラクトンモノマーのフリーラジカル重合によって形成されるポリマー)及び架橋剤を有する可溶性ポリマーを含むことができる。コーティング組成物は、押し出し被覆コーティング、ダイコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング等の技法を使用して固体支持体に塗布することができる。このプロセスは、米国特許第6,794,458号(Haddadら)に更に記載されている。多の実施形態において、固体支持体の表面は、アズラクトン官能性モノマー及び架橋モノマーを含むコーティング組成物でコーティングされる。コーティング組成物は、重合されて、固体支持体上にアズラクトン官能性表面層を形成する。この実施形態は、米国特許第5,344,701号(Gagnonら)に更に記載されている。
【0073】
いくつかの実施例において、アズラクトン基を有する可溶性ポリマーを含有するコーティング組成物の固体支持体の表面への十分な接着がある。他の固体支持体で、接着は、プラズマ若しくは固体支持体のコロナ処理等の様々な前処理によって、又は固体支持体とコーティング組成物との間のプライマー層を使用することによって強化することができる。
【0074】
アズラクトン基を有するポリマービーズは、「EMPHAZE」という商標標記で3M Company,St.Paul,MNから市販されている。
【0075】
式(I)のアズラクトン官能化支持体は、反応して、式(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する。
【0076】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
式(II)において、SSは、固体支持体を指す。基R及び変数pは、上記の通り式(I)について記載されるものと同一である。それぞれの基Qは、Rオキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価の基である。基Rは、典型的には、水素又はアルキルである。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基である。基Yは、2つ以上のアルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基、又はそれらの組み合わせを一緒に連結する他の任意の基を更に含有する。任意の基は、例えば、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルチオ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0077】
式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体は、あらゆる既知の合成方法を使用して、式(I)のアズラクトン官能化支持体から調製することができる。代表的な方法の1つにおいて、式(I)のアズラクトン官能化支持体は、(a)求核基及び(b)(メタ)アクリロイル基の両方を有する化合物と反応する。例えば、化合物は、式(VI)であることができる。
【0078】
HQ−Y−Q−(CO)−CR=CH
(VI)
式(VI)において、Y及びQは、式(II)における上述と同様である。−OH、−SH、又は−NRHに対応する基−QHは、アズラクトン官能化支持体のアズラクトン基と反応できる求核基である。この反応は、アズラクトン環の開放を引き起こす。
【0079】
基−QHがヒドロキシル基である式(VI)の代表的な化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート及びグリセロールジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート並びにヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びメチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これに限定されない。
【0080】
基−QHが第一級又は第二級アミノ基である式(VI)の代表的な化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリルアミド及びアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びN−イソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート並びにN−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これに限定されない。
【0081】
式(I)のアズラクトン官能化支持体の式(VI)の化合物との反応は、基「Az」がアズラクトン基を表し、基「Az」が開環アズラクトン基を表す、反応スキームAで示される。本明細書で使用される通り、開環アズラクトン基Azは、式−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−の二価の基である。式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体は、式SS−Az−Q−Y−Q−(CO)−CR=CHを用いて表される。
【0082】
反応スキームA
SS−Az+HQ−Y−Q−(CO)−CR=CH→SS−Az−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体を調製するための別の代表的な方法において、式(I)のアズラクトン官能化支持体は、ヒドロキシル基(−OH)、チオール基(−SH)、第一級アミノ基(−NH)、又は第二級アミノ基(−NHR)から選択される少なくとも2つの求核基を有する求核化合物と反応する。第1の求核基は、式(I)のアズラクトン官能化支持体のアズラクトン基と反応できる。この反応は、アズラクトン環を開放する。第2の求核基は、別の化合物と反応することができるため、生成物は、(メタ)アクリロイル基を有する。2つの求核基を有する化合物は、式(VII)によって表すことができる。
【0083】
HQ−Y1a−QH
(VII)
式(VII)において、Qは、前述の定義の通り式(II)について記載されるものと同一である。基Yと同様に、基Y1aは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含み、任意に、オキシ、チオ、アミノ(−NR−)、カルボニルオキシ、カルボニルチオ、カルボニルイミノ、又はそれらの組み合わせを更に含むことができる。
【0084】
式(VII)のいくつかの代表的な求核化合物は、ヒドロキシル基及び第一級若しくは第二級アミノ基の両方を有する、アルコールアミン(すなわち、ヒドロキシアミン)である。代表的なアルコールアミンとしては、2−ヒドロキシエチルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミン、4−ヒドロキシブチルアミン、1,2−ジヒドロキシ−3−アミノプロパン、1−ヒドロキシ−6−アミノヘキサン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−3,5−ジヒドロキシシクロヘキサン、1−アミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されない。式(VI)の他の代表的な求核化合物は、ヒドラジン、アジピンジヒドラジド、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−ピペラジン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ベンゼンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、トリ−(2−アミノエチル)アミン、及び1,6−ヘキサンジアミン等の、少なくとも2つの第一級又は第二級アミノ基を有する。少なくとも2つのアミノ基を有する更なる求核化合物は、JEFFAMINEという商標標記でHuntsman Corporation(The Woodlands,TX)から市販されているもの等のポリエーテルアミンである。式(VI)のまた他の代表的な求核化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、及びビスフェノールA等の2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物である。少なくとも2つのヒドロキシル基を有する更なる求核化合物は、ヒドロキシル末端基を有するポリエチレンオキシドオキシド及びポリプロピレンオキシドである。
【0085】
式(VII)の求核化合物を有する式(I)のアズラクトン官能化支持体の反応は、式(VIII)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y1a−QH
(VIII)
の中間体に示されるように、アズラクトン環の開放を引き起こし、
式(VIII)は、式SS−Az−Q−Y1a−QHによっても表すことができる。式(VIII)のこの中間体は、次いで、第2の化合物と反応することができるため、生成物は、(メタ)アクリロイル基を有する。第2の化合物は、中間体の求核基と反応できる第1の基と、エチレン性不飽和にされる第2の基とを有することができる。例えば、中間体は、ビニルアズラクトン(例えば、ビニルジメチルアズラクトン)、(メタ)アクリロイル基を有するアシルハロゲン化物、(メタ)アクリロイル基を有する無水物、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナトアルキル(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレートである、第2の化合物と反応できる。この方法は、式Az−CR=CHのビニルアズラクトンである第2の化合物における反応スキームBに例示される。
【0086】
反応スキームB
SS−Az+HQ−Y1a−QH→SS−Az−Q−Y1a−QH
SS−Az−Q−Y1a−QH+Az−CR=CH→SS−Az−Q−Y1a−Q−Az−CR=CH
式SS−Az−Q−Y1a−Q−Az−CR=CHは、
SS−Az−Q−Y1a−Q−(CO)−(CH−C(R−NH−(CO)−CR=CHと対応し、そして、式(II)に対応し、式中、Yは、−Y1a−Q−(CO)−CH−C(R−に等しく、Q基のうちの1つは、アミノ基である。
【0087】
式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体は、次いで、式(III)の官能性モノマーを含有するモノマー組成物と反応できる。
【0088】
−Y−CR=CH
(III)
式(III)において、基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、単結合又は二価基から選択される第2の連結基である。基Yは、2つ以上のアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを連結するように機能する他の任意の基を更に含有することができる。任意の基は、例えば、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルチオ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせを含むことができる。Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される第1の官能基である。基R及びRは、上記の通り式(II)について記載されるものと同一である。
【0089】
式(III)の官能性モノマーは、フリーラジカル重合反応を受けることができるエチレン性不飽和基及び官能基Zの両方を有する。式(III)の官能性モノマーは、式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体を用いてフリーラジカル重合反応を受け、固体支持体から伸展するグラフト化鎖を含むグラフト化支持体の形成を起こす。多くの実施形態において、固体支持体は、複数のグラフト化鎖を有する。グラフト化鎖は、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。グラフト化鎖は、多くの場合、高分子であり、式−CR(Y)−CH−の少なくとも2つ又は少なくとも3つのモノマー単位を含有する。グラフト化鎖は、式−Y−Zの少なくとも1つのペンダント基を有する。グラフト化鎖が高分子の場合、グラフト化鎖は、式−Yの少なくとも2つ又は少なくとも3つのペンダント基を含有する。
【0090】
いくつかの実施形態において、式(III)の官能性モノマーは、式(IIIa)に示すように、(メタ)アクリロイル基を有する。
【0091】
−Y2a−Q−(CO)−CR=CH
(IIIa)
基Y2aは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価基であり、任意に、オキシ、チオ、アミノ、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、カルボニルチオ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0092】
式(III)又は(IIIa)の官能性モノマーの基Zは、酸性基又はその塩であることができる。官能性モノマーは、弱酸、強酸、弱酸の塩、強酸の塩、又はこれらの組み合わせであることができる。すなわち、官能性モノマーは、中性の状態であることができるが、pHを調整した場合には負に帯電可能である。式(III)又は(IIIa)のいくつかの代表的な官能性モノマーは、(メタ)アクリルアミドスルホン酸若しくはその塩等、スルホン酸若しくはその塩である。より具体的な(メタ)アクリルアミドスルホン酸として、N−(メタ)アクリルアミドメタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸性モノマーの塩も使用することができる。酸性基又はその塩を有するいくつかの他の代表的な官能性モノマーとしては、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、及び4−スチレンスルホン酸等の他のスルホン酸が挙げられる。
【0093】
酸性基又はその塩を有するまた他の代表的な官能性モノマーとして、ホスホン酸若しくはその塩又はカルボン酸若しくはその塩が挙げられる、これらに限定されない。例えば、官能性モノマーは、2−(メタ)アクリルアミドエチルホスホン酸及び3−(メタ)アクリルアミドプロピルホスホン酸等の(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリル酸及びメタクリル酸、並びに2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート及び3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート等のカルボキシアルキル(メタ)アクリレートであることができる。更に他の適切な酸性モノマーとしては、米国特許第4,157,418号(Heilmann)に記載されているような(メタ)アクリロイルアミノ酸が挙げられる。代表的な(メタ)アクリロイルアミノ酸として、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−β−アラニン、及びN−(メタ)アクリロイル−2−メチルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸モノマーの任意の塩も用いることができる。官能性モノマーが弱酸の塩又は強酸の塩の形状である場合、これらの塩の対イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、又はテトラアルキルアンモニウムイオンであることができるが、これらに限定されない。
【0094】
式(III)又は(IIIa)の官能性モノマーの第2の種類は、Zについてアミノ基又はその塩を有する。アミノ基又はその塩は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、又は第四級アンモニウム基であることができる。この種類の官能性モノマーは、弱塩基、強塩基、弱塩基の塩、強塩基の塩、又はこれらの混合物であることができる。すなわち、官能性モノマーは、中性の状態であることができるが、pHを調整した場合には正に帯電可能である。官能性モノマーが塩の形状である場合、対イオンは、ハロゲン化物(例えば塩化物)、カルボキシレート(例えばアセテート又はギ酸塩)、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、メチルサルフェート、又は水酸化物であることができるが、これらに限定されない。
【0095】
アミノ基又はその塩を有するいくつかの代表的な官能性モノマーとしては、式(IIIb)に示すような、アミノ(メタ)アクリレート又はアミノ(メタ)アクリルアミド(並びにその第四級アンモニウム塩)が挙げられる。
【0096】
N(R−Y2a−Q−(CO)−CR=CH
(IIIb)
式(IIIb)において、Y2a、Q及びRは、上記の通り式(III)又は(IIIa)について記載されるものと同一である。それぞれのRは独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル(すなわち、ヒドロキシで置換されているアルキル)、アミノアルキル(すなわち、アミノで置換されているアルキル)、アリール、又はアラルキルである。変数uは、第一級、第二級、又は第三級アミノ基では2に等しく、第四級アミノ基では3に等しい。uが3に等しい場合、3つのR基は、独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、又はアリールアルキルから選択される。つまり、変数uが3に等しい場合、Rは、典型的には、水素と等しくない。
【0097】
変数uが2に等しい場合、それらが結合している窒素原子と一体となる式(IIIb)中のR基は、部分的に不飽和(すなわち、不飽和だが芳香族ではない)である芳香族である複素環基を形成することができる。このような複素環基は、芳香族(例えばベンゼン)、部分的に不飽和(例えばシクロヘキセン)、又は飽和(例えばシクロヘキサン)である第二環と任意に融合させることができる。第四級アンモニウム塩の対イオンは、多くの場合、ハロゲン化物類、硫酸塩類、リン酸塩類及び硝酸塩等である。
【0098】
変数uが2に等しい式(IIIb)のいくつかの実施形態では、両方のR基は、水素である。変数uが2に等しい他の実施形態において、一方のR基は水素であり、他方は、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。変数uが2に等しい更に他の実施形態では、少なくともR基の少なくとも1個は、第1を除きアルキル基の炭素原子のいずれかに位置付けられるヒドロキシル基又はアミノ基を備える2〜10個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキル又はアミノアルキルである。変数uが2に等しい更に別の実施形態では、R基の少なくとも1個は、5若しくは6個の炭素原子を有するアリールであるか、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基と、5若しくは6個の炭素原子を有するアリール基とを備えるアラルキルである。更に他の実施形態では、2個のR基は、それらが結合している窒素原子と結合して複素環式基を形成する。複素環式基は、少なくとも1つの窒素原子を含み、酸素又は硫黄などの他のへテロ原子を含有することができる。代表的な複素環基として、イミダゾリル、ピペラジニル、及びモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。複素環式基は、ベンゼン、シクロヘキセン、又はシクロヘキサンなどの追加の環に結合されてもよい。追加の環と融合した代表的な複素環式基としては、ベンズイミダゾリルが挙げられるが、これに限定されない。
【0099】
式(IIIb)のQがオキシである代表的なアミノ(メタ)アクリル酸としては、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル酸、N−tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
式(IIIb)のQが−NH−である代表的なアミノ(メタ)アクリルアミドとしては、N−(3−アミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(3−イミダゾリルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−イミダゾリルエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−イミダゾリルプロピル)(メタ)アクリルアミド、及びN−(3−ベンゾイミダゾリルプロピル)(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
化学式(IIIb)の官能性モノマーの代表的な第四級塩としては、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、及び(メタ)アクリルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば2−(メタ)アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、並びに2−(メタ)アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
式(III)又は(IIIa)の官能性モノマーの第3の種類は、ヒドロキシルZ基を有する。好適なヒドロキシ含有モノマーとして、ヒドロキシで置換されたアルキル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシで置換されたアルキル(メタ)アクリルアミド、又はビニルアルコールが挙げられる。具体的なヒドロキシ含有モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリルレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、ビニルベンジルアルコール、及びヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
式(III)又は(IIIa)の官能性モノマーの第4の種類は、アズラクトンZ基を有する。アズラクトン基を有する代表的な官能性モノマーとしては、ビニルアルキルアズラクトン、例えば2−ビニル−4,4−ジメチルアズラクトン(2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オンとも呼ばれる)、2−(4−ビニルフェニル)−4,4−ジメチルアズラクトン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチルアズラクトン、2−ビニル−4−エチル−4−メチル−2−オキサゾリン−5−オン、及び2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサジン−6−オンが挙げられるが、これらに限定されない。官能性モノマーの第4の種類の更なる実施形態は、Z基としてアズラクトン基の前駆体基を有する。前駆体基は、閉環反応を受けてアズラクトン基を形成できる。この前駆体基を提供できる代表的な官能性モノマーとしては、N−アクリロイルメチルアラニンが挙げられるが、これに限定されない。
【0104】
式(III)又は(IIIa)の官能性モノマーの第5の種類は、Z基としてグリシジルを有する。グリシジル基を有する代表的なモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリル酸が挙げられるが、これに限定されない。
【0105】
更なる他の官能性モノマーは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基、又は(5)グリシジル基から選択される2つ以上の官能性Z基の組み合わせを有する。複数の異なる種類の官能基を有する代表的な官能性モノマーは、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、及び2−(メタ)アクリルアミドグリコール酸である。
【0106】
式(III)の官能性モノマーを含有するモノマー組成物を備える式(II)の(メタ)アクリロイル官能化支持体の重合は、式(IV)のグラフト化支持体の形成を導く。
【0107】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
式(IV)において、SSは、固体支持体を指す。基Q、Y、Z、R、p、及びYは、式(II)及び(III)について記載されるものと同一である。基Uは、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む高分子単位である。基Uは、水素、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。基U又は基U及びUの両方に含まれるZ基は、多くの場合、目的化合物と反応又は相互作用することができる。
【0108】
グラフト化鎖は、式−CR(Y)−CH−の1つ以上のモノマー単位を含むことができる。多くの実施形態において、グラフト化鎖は、少なくとも2つ又は少なくとも3つのモノマー単位を含む。つまり、グラフト化鎖は、多くの場合、高分子であり、少なくとも2つ又は少なくとも3つのペンダント基−Y−Zを含む。
【0109】
基U及びUは、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの基を含むことができる。多くの場合、これらの基は、式−CR(Y)−CH−の少なくとも2つ又は少なくとも3つのモノマー単位を含み、ポリマー鎖とみなされる。いくつかの例において、基U又はUは、重合反応に使用される連鎖移動剤の残基又は遊離基反応開始剤分子である。U又はUのいずれかが連鎖移動剤の残基である場合、多くの場合、テトラブロモメタンからのハロゲンである。
【0110】
グラフト化支持体は、目的化合物を分離及び/又は精製するために使用することができる。つまり、式(IV)のグラフト支持体を提供する工程と、目的化合物を含有する試料をグラフト化支持体と接触させる工程とを含む、目的化合物を分離又は精製するための方法を提供する。目的化合物は、グラフト化支持体のグラフト化鎖の官能基Zと反応する、又は相互作用する。
【0111】
式(IV)のグラフト化支持体のいくつかの実施形態において、グラフト化鎖は、酸性基又はその塩であるZ基を有する。グラフト化支持体は、カチオン交換材料として機能することができる。pHを適切に調整した場合には、グラフト化鎖上のZ基は、目的化合物(すなわち、目的化合物はカチオンである)の正の帯電基と相互作用可能である負の帯電基であることができる。目的化合物は、グラフト化支持体上に吸着されることができる。吸着された目的化合物を放出させるために、pHを上げることができる(例えば、pHを少なくとも6又は7以上に上げる)。あるいは、目的化合物が生体分子である場合、試料は、約3〜10のpH又は約4〜6のpHにおいて、低イオン強度緩衝剤(例えば、5〜150ミリモル(mM)の緩衝剤塩と0〜200ミリモルの塩化ナトリウム)中でグラフト化支持体と接触させて吸着させることができる。吸着された生体分子を放出させるために、グラフト化支持体は、高イオン強度緩衝剤と接触させることができる。いくつかの実施形態において、高イオン強度緩衝剤は、目的化合物を吸着させるために使用されるものと同じ緩衝剤組成物と1又は2モル(M)の塩化ナトリウムを含む。吸着プロセス及び解法プロセスは、典型的には室温に近い温度で行われる。
【0112】
式(IV)のグラフト化支持体は、多くの場合、いくつかの既知のイオン交換樹脂に不適切である場合があるpH条件及び/又は塩条件下で使用されることができる。例えば、グラフト化支持体の動的結合容量は、多くの既知のイオン交換樹脂より0.5又は1pH単位高い又は低いpHで最大となることができる。高pH値での高容量は、様々なタンパク質の分離又は精製に特に有利であることができる。多くのタンパク質は、低pH条件に反応しやすく、多くの既知のイオン交換樹脂は、タンパク質に最適ではないpH値で使用される傾向がある。グラフト支持体は、いくつかのタンパク質により適した高pH値で使用することができる。
【0113】
カチオン交換樹脂のpHを制御するために有用な緩衝塩としては、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及びTRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)が挙げられるが、それらに限定されない。適する他の緩衝剤には、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸)、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)、及び他のような「グッド」緩衝剤が挙げられる。
【0114】
式(IV)のグラフト化支持体の他の実施形態において、グラフト化鎖は、アミノ基又はその塩であるZ基を有する。第一級アミノ基又は、第二級アミノ基は求核剤として目的化合物と反応することができる。あるいは、グラフト化支持体は、アニオン交換材料として機能することができる。pHを適切に調整した場合には、グラフト化支持体は、目的化合物(すなわち、目的化合物はアニオンである)の負の帯電基と相互作用可能である正の帯電基を有することができる。
【0115】
一般的に、負に帯電した目的化合物のアニオン交換材料への効果的な吸着を得るため、目的化合物のpKa(又はタンパク質についてはpI)を少なくとも約1〜2pH単位で越えるpHを使用することができる。アニオン交換樹脂から吸着した目的化合物を放出するため、必要に応じて、pHを少なくとも1〜2pH単位又はそれ以上下げることができる。あるいは、帯電した目的化合物が生体分子である場合、適切なpH(例えば、ウシ血清アルブミンの場合、約6〜8のpH)の低イオン強度緩衝剤(例えば、5〜20ミリモル緩衝塩)中で試料をアニオン交換材料と接触させることができる。吸着させた生体分子を放出させるために、多くの場合、高イオン強度緩衝剤をアニオン交換材料と接触させる。いくつかの実施形態において、高イオン強度緩衝剤は、目的化合物を吸着させるために使用されるものと同じ緩衝剤組成物と1モルの塩化ナトリウムを含む。吸着プロセス及び解法プロセスは、典型的には室温に近い温度で行われる。
【0116】
アニオン交換材料のpHを制御するために有用な緩衝塩としては、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及びTRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)が挙げられるが、これらに限定されない。適する他の緩衝剤には、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸)、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)、及び他のような「グッド」緩衝剤が挙げられる。
【0117】
式(IV)のグラフト化支持体のまた別の実施形態において、グラフト化鎖は、ヒドロキシルZ基を有する。グラフト化鎖上のヒドロキシル基は、目的化合物を用いて縮合反応を起こすことができる。例えば、ヒドロキシル基は、カルボキシル基(−COOH)を有する目的化合物と反応して、エステルを形成することができる。つまり、反応によって、目的化合物をグラフト化鎖に共有結合する、カルボニルオキシ連結基の形成がもたらされる。例えば、タンパク質又は他の分子は、グラフト化鎖に共有結合することができる。あるいは、ヒドロキシル基を有するグラフト化鎖は、中性、親水性、孔修飾材料を提供するように作用するため、樹脂は、寸法排除樹脂として使用されることができる。
【0118】
式(IV)のグラフト化支持体の更に別の実施形態において、グラフト化鎖は、アズラクトンZ基を有する。グラフト化鎖上のアズラクトン基は、求核基を有する目的化合物と開環反応を起こすことができる。アズラクトン基と反応する好適な求核基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、チオール基、及びヒドロキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。アズラクトン基と、目的化合物の求核基との反応は、通常、目的化合物をグラフト化鎖に付着させる連結基の形成をもたらす。アズラクトン基の開環により形成される連結基は、多くの場合、基−(CO)NHC(R(CH(CO)−を含有する。アズラクトン官能性樹脂と、様々な求核化合物(例えば、目的化合物)との反応は、米国特許第5,292,840号(Heilmannら)、同第5,561,097号(Gleasonら)、及び同第6,379,952号(Rasmussenら)に更に記載されている。
【0119】
あるいは、式(IV)のグラフト化支持体は、アズラクトン基の前駆体基を含むグラフト化鎖を有することができる。これらの前駆体基は、閉環反応にさらされ、アズラクトン基を形成することができる。形成されると、アズラクトン基は、上記に記載する通り、様々な目的化合物と反応することができる。閉環反応は、例えば、式(IV)のグラフト化支持体を無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、又はアルキルクロロホルメートと処理することによって生じることができる。この方法は、米国特許第5,403,902号(Heilmannら)及び同第5,336,742号(Heilmannら)に更に記載されている。
【0120】
式(IV)のグラフト化支持体の更なる実施形態において、グラフト化鎖は、グリシジルZ基を有する。グリシジル基は、求核基を有する目的化合物と、開環反応を起こすことができる。グリシジル基と反応する好適な求核基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基、第三級アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。グリシジル基と、目的化合物の求核基との反応は、通常、目的化合物をグラフト化鎖に付着するように機能する連結基の形成をもたらす。グリシジル基の開環によって形成される連結基は、多くの場合、基−C(OH)HCH−を含有する。連結基は、例えば、グリシジル基がアミノ基と反応する場合、−C(OH)HCHNR−、グリシジル基がヒドロキシル基と反応する場合、−C(OH)HCHO−、グリシジル基がチオール基と反応する場合、−C(OH)HCHS−、又はグリシジル基がカルボキシル基と反応する場合、−C(OH)HCHO(CO)−であることができる。
【0121】
いくつかの用途において、式(IV)のグラフト化支持体は、目的化合物と相互作用又は反応するための他の基を提供するように更に修飾されることができる。多くの実施形態において、式A−Tの修飾剤は、グラフト化支持体と反応する。式A−Tにおいて、基Aは修飾基であり、Tは、修飾剤の残余であり、修飾基Aを引いた修飾剤A−Tに等しい。修飾剤Aは、グラフト化鎖上の官能基Zと反応する。官能基Zと、修飾基Aとの反応は、付着基Lの形成をもたらす。付着基Lは、修飾剤の残余であるTに付着する。反応を反応スキームCに示す。G−Zは、グラフト鎖上に官能基Zを有する式(IV)のグラフト化支持体を指すように使用される。
【0122】
反応スキームC
G−Z+A−T→G−L−T
式G−Zは、考察を容易にするため1つのZ基のみを含有する。多くのグラフト化支持体は、複数のグラフト化鎖を有し、グラフト化鎖の多くは、複数のZ基を有する。Z官能基のそれぞれの種類に対して、代表的な修飾剤を表1に示す。表1において、基Xは、ハロ(例えば、Xは、ハロゲン化物)であり、基Dは、オキシ、チオ、又は−NR−から選択される。それぞれの基Rは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。基Rは、アルキレンである。基Azは、アズラクトン基を指し、基Azは、開環アズラクトン基を指す。
【0123】
【表1−1】

【0124】
【表1−2】

【0125】
修飾された固体支持体は、式(V)で表すことができる。
【0126】
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
式(V)において、SSは、固体支持体であり、Rは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択される。基Rは、水素又はアルキルである。変数pは、0又は1に等しい整数である。それぞれのQは、独立して、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、二価の基である。基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含有する、第1の連結基である。Yは、任意に、オキシ、チオ、アミノ、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、カルボニルチオ、又はそれらの組み合わせを含むことができ、1つ以上のアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを分離する。基Uは、式−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む。基Uは、水素、又は式−CR(Y−L−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含む基から選択される。基Lは、基Zを式A−Tの修飾剤の修飾基(Aは修飾基である)と反応させることによって形成される付着基である。基Tは、修飾剤A−Tの残余であり、修飾基Aを引いた修飾剤A−Tに等しい。基Zは、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくはアズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である。
【0127】
修飾されたグラフト化支持体は、目的化合物を分離及び/又は精製するために使用することができる。すなわち、式(V)のグラフト化支持体を提供し、目的化合物を含有する試料をグラフト化支持体と接触させる工程を含む、目的化合物を分離又は精製するための方法を提供する。目的化合物は、修飾されたグラフト化支持体の残余基Tと反応する、又は相互作用する。修飾されたグラフト化支持体は、親和性樹脂又は材料、イオン交換樹脂又は材料、疎水性相互作用樹脂又は材料、逆相樹脂又は材料、寸法排除樹脂又は材料、キレート化樹脂又は材料、細胞選択樹脂又は材料、固定化酵素樹脂又は材料等として機能することができる。
【0128】
親和性樹脂又は材料は、例えば、基Zを修飾基と、親和性リガンドとを含む修飾剤と反応させることによって、調製することができる。親和性リガンドは、別の基又は化合物を結合することができる基又は化合物である。例えば、式(IV)のグラフト化支持体上のアズラクトン基又はグリシジルZ基は、求核修飾基と、親和性リガンドとを含有する修飾剤と反応することができる。より具体的には、生体分子のアミノ基は、アズラクトン又はグリシジル基と反応して、生体分子をグラフト化支持体に共有結合的に付着することができる。結合した生体分子は相補的生体分子と相互作用することができる。代表的な修飾剤として、対応する(すなわち、相補的な)抗体と結合することができる抗原、又は対応する(すなわち、相補的な)抗原と結合することができる抗体が挙げられる。他の代表的な修飾剤としては、相補的なDNA又はRNA断片と結合することができる、DNA又はRNA断片、及び炭水化物部分を含有する化合物又は生体分子と結合することができるレクチンが挙げられる。
【0129】
イオン交換樹脂又は材料は、例えば、式(IV)のグラフト化支持体上のZを修飾基と、イオン基とを有する修飾剤と反応させることによって調製することができる。例えば、修飾剤は、求核修飾基と、塩基性、酸性、又はその塩である第2の基とを有することができる。求核基は、アズラクトン又はグリシジルZ基と反応することができ、イオン基(すなわち、酸性基、塩基、又はその塩)のグラフト化支持体への付着をもたらす。求核基とイオン基の両方を有する好適な修飾剤には、2−アミノエチルスルホン酸又はアミノプロピルジメチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
疎水性相互作用樹脂又は材料は、例えば、式(IV)のグラフト化支持体上の基Zを修飾基と、疎水基とを有する修飾剤と反応させることによって調製することができる。例えば、修飾剤は、アズラクトン又はグリシジルZ基と反応することができる求核修飾基を有することができ、疎水基のグラフト化支持体への付着をもたらす。求核基と疎水基の両方を有する好適な修飾剤としては、ベンジルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、又はフェネチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。疎水性相互作用樹脂は、例えば、タンパク質などの相対的に大きな分子の精製又は分離に用いることができる。
【0131】
逆相樹脂又は材料は、例えば、疎水性相互作用樹脂を調製するために使用されるものと同様の修飾剤を使用して調製することができる。つまり、逆相樹脂は、式(IV)のグラフト化支持体上のアズラクトン基又はグリシジルZ基を求核修飾基及び疎水性である第2の基を有する修飾剤と反応させることによって調製することができる。求核基は、アズラクトン又はグリシジルZ基と反応でき、疎水基を有する修飾剤のグラフト化支持体への付着をもたらす。求核基及び疎水基を有する好適な修飾剤としては、例えば、オクチルデシルアミンが挙げられる。逆相相互作用樹脂では、典型的には、溶離液は水系溶液ではなく、有機溶媒である。更に、逆相樹脂は、典型的には、タンパク質ではなく、相対的に小さい分子及びペプチドの分離又は精製に用いられる。
【0132】
寸法排除樹脂又は材料は、例えば、式(IV)のグラフト化支持体上の基Zを修飾基及び非相互作用的で中性である第2の基を有する修飾剤と反応させることによって調製することができる。例えば、修飾剤は、アズラクトン又はグリシジルZ基と反応することができる求核修飾基を含むことができ、非相互作用又は中性基の付着をもたらす。アズラクトンZ基と反応することができる求核基及び非相互作用又は中性基の両方を有する好適な修飾剤としては、様々なアミン、メルカプタン、アルコール、又はアルコールアミンを含む。例えば、修飾剤は、エタノールアミン、エタノール、又はエチルアミンであることができる。グリシジルZ基と反応することができる求核基及び非相互作用又は中性基の両方を有する好適な修飾剤としては、様々なカルボン酸及びアルコールが挙げられる。例えば、修飾剤は、エタノール又は酢酸であることができる。
【0133】
キレート化樹脂又は材料は、例えば、式(IV)のグラフト化支持体上のZを修飾基及び金属キレートである第2の基の両方を有する修飾剤と反応させることによって調製されることができる。例えば、修飾剤は、アズラクトン又はグリシジルZ基と反応することができる求核修飾基を有することができ、金属キレート基の付着をもたらす。好適な修飾剤としては、イミノ二酢酸、N−(3−アミノプロピル)イミノ二酢酸及びN−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。金属キレート基は、金属イオンのキレート後に、例えばヒスチジン基などのタンパク質の特定の基と反応することができる。
【0134】
細胞選択樹脂は、例えば、細胞表面マーカに式(IV)のグラフト化支持体上のZを抗体と反応させることによって調製することができる。すなわち、抗体は、修飾剤である。抗体は、典型的には、抗体をグラフト化支持体に付着させるように、アズラクトン基又はグリシジル基と反応することができるアミノ基等の求核基を有する。同様に、抗体は、細胞上の細胞表面マーカと結合することで、グラフト化支持体への細胞の付着をもたらすことができる。細胞選別樹脂は、例えば、幹細胞、血液細胞、又はバクテリアの精製又は分離に用いることができる。
【0135】
固定化酵素樹脂は、高分子樹脂上のアズラクトン基又はグリシジルZ基を酵素の求核基と反応させ、酵素をグラフト化支持体に付着させることによって調製することができる。例えば、酵素は、ペニシリンG−アシラーゼ又はグルコアミラーゼであることができる。固定化酵素樹脂は様々な反応について触媒として使用することができる。
【0136】
混合モード樹脂は、式(IV)のグラフト化支持体上のZ基を修飾基と、2つ以上の相互作用モードをグラフト化支持体に付与できる追加の基とを有する修飾剤と反応させることによって調製することができる。2つ以上の相互作用型は、前述のいずれかであることができる。例えば、アズラクトン基又はグリシジル基は、アミノ基が求核基として機能する場合、フェニル基が疎水基として機能する場合、及びカルボキシル基がイオン基として機能する場合、フェニルアラニン等の修飾剤と反応させることができる。
【0137】
いくつかの実施形態において、グラフト化支持体又は修飾されたグラフト化支持体は、クロマトグラフカラム内に設置される。クロマトグラフカラムは、分析器の一部であることができるか、又は分取システムの一部であることができる。分取システムは、実験室規模、パイロット設備規模、又は工業規模等のあらゆる適した規模であることができる。他の実施形態において、グラフト化支持体又は修飾されたグラフト化支持体は、濾過媒体の表面上に配置することができる。あらゆる濾過媒体を用いることができる。濾過媒体は、例えば、フィルターカートリッジを設けるカートリッジ内に配置されることができる。多くの用途において、グラフト化支持体又は修飾されたグラフト化支持体は、ビーズの形態である。ビーズは、あらゆる好適なサイズを有することができる。
【実施例】
【0138】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した書類名特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、比率等はすべて、重量によるものである。用いた溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0139】
【表2】

【0140】
試験方法
免疫グロブリンG(IgG)の静的カチオン交換容量
高分子ビーズを脱イオン水と混合して、3000相対遠心力(rcf)で20分間遠心して充填ビーズベッドを形成し、その後脱イオン水の量を調整して総体積を充填ビーズベッドの2倍とすることによってカチオン交換高分子ビーズの50体積パーセントのスラリーを調製した。スラリーを充分に混合して高分子ビーズを懸濁させ、その後VWR(Eagan,MN)からCENTREX MFという商標表記で市販されている、5mLの0.45マイクロメートル酢酸セルロース遠心分離マイクロフィルターに、スラリーの試料400マイクロリットルをピペット注入した。3000rcfで5分間遠心して水を除去した。その後、50mM酢酸ナトリウムと80mM塩化ナトリウムをpH4.5で含有する緩衝剤4mLと高分子ビーズを混合した。3000rcfで10分間再び試料を遠心した。上清を捨てた。続いて、同一の酢酸緩衝剤中で約7mg/mLの濃度を有しているIgGの4.5mLの試料を、高分子ビーズを含有する濾過材に添加した。混合物を一晩混転した後、3000rcfで20分間の遠心分離により、高分子ビーズから上清を除去した。
【0141】
上清を紫外線分光法で分析した。280ナノメートルでの試料の吸光度を開始時のIgG溶液のものと比較した。数値の差を用いて高分子ビーズのIgG容量を計算した。分析を3回行い、平均化した。
【0142】
免疫グロブリンG(IgG)のカチオン性動的結合量(DBC)
OMNIFTという商標表記でChrometech(Apple Valley,MN)から市販されている5cm×内径0.3cmのガラスカラムに、高分子ビーズの水性スラリー(高分子ビーズの総体積約350マイクロリットル)を充填し、AKTAという商標表記でGE Healthcare(Uppsala,Sweden)から市販されている中高圧液体クロマトグラフ上に設置し、0.7mL/分で、カラム体積の10倍量の緩衝剤A(50mM酢酸、40mM NaCl)により平衡化した。緩衝剤AのpHは、別段の記載のない限り、4.5であった。試料の7mLが充填されるか、あるいは280ナノメートル(A280)の波長で紫外線吸光度が800mAUを超えるまで(いずれか早い方)、課題溶液(緩衝剤A中の5.0mg/mLヒトIgG)を0.09mL/分(滞留時間3.9分/76cm/時)で収容した。支持体に結合したIgGの量を、当初収容時にカラムから出ていく溶液の濃度が当初IgGの課題溶液濃度の10%であった時点で決定した(非結合タンパク質の安定期は減じた)。
【0143】
水素イオンの小イオン容量(Small Ion Capacity)(SIC)
約8mLの高分子ビーズスラリー(脱イオン水中約50体積パーセント)を15mLの目盛り付き遠心管に移して、3000相対遠心力(rcf)で5分間遠心分離した。得られた充填高分子ビーズの体積を最も近い0.1mLに記録して、スラリーを定量的に焼結ガラス漏斗に移し、及び脱イオン水で洗浄し(3×50mL)、0.5N HClで洗浄し(3×50mL)、次いで再び脱イオン水で洗浄(3×50mL)した。続いて、洗浄した高分子ビーズを定量的に125mLの三角フラスコに移し、2M NaClを4.0mL添加して水素イオンを置換した。5分後、2滴のフェノールフタレイン溶液(100mLエタノール中1グラム)をスラリーに添加して、溶液がわずかにピンク色になるまで、混合物を0.1NのNaOH水酸化ナトリウムで滴定した(磁気攪拌プレート上で混ぜながら)。添加した0.1水酸化ナトリウムの体積を分析したビーズの体積で割って100倍し、高分子ビーズのmL当たりのマイクロモル中の小イオン容量を計算した。
【0144】
ウシ血清アルブミン(BSA)の静的アニオン交換容量
高分子ビーズを脱イオン水と混合して、3000相対遠心力(rcf)で20分間遠心して充填ビーズベッドを形成し、その後脱イオン水の量を調整して総体積を充填ビーズベッドの2倍とすることによってアニオン交換高分子ビーズの50体積パーセントのスラリーを調製した。スラリーを充分に組み合わせして高分子ビーズを懸濁させ、その後VWR(Eagan,MN)からCENTREX MFという商標表記で市販されている、5mLの0.45マイクロメートル酢酸セルロース遠心分離マイクロフィルターに、スラリーの試料400マイクロリットルをピペット注入した。3000rcfで5分間遠心して水を除去した。その後、高分子ビーズをpH7.5で10mMの3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)を含有する4mLの緩衝剤と混合した。3000rcfで10分間再び試料を遠心した。上清を捨てた。続いて、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から得た、同一のMOPS緩衝剤中で約9mg/mLの濃度を有しているBSAの4.5mLの試料を、高分子ビーズを含有する濾過材に添加した。組み合わせ物を一晩混転した後、3000rcfで20分間の遠心分離により、高分子ビーズから上清を除去した。
【0145】
上清を紫外線分光法で分析した。279nmでの試料の吸光度を開始時のBSA溶液のものと比較した。数値の差を用いて高分子ビーズのBSA容量を計算した。分析を3回行い、平均化した。
【0146】
BSAのアニオン動的結合容量(DBC)
OMNIFTという商標表記でChrometech(Apple Valley,MN)から市販されている5cm×内径0.3cmのガラスカラムに、高分子ビーズの水性スラリー(高分子ビーズの総体積約350マイクロリットル)を充填し、AKTAという商標表記でGE Healthcare(Uppsala,Sweden)から市販されている中高圧液体クロマトグラフ上に設置し、0.5mL/分で、カラム体積の9倍量の緩衝剤A(25mMトリ(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロリド(トリ−HCl)、pH8.0)により平衡化した。試料の15mLが充填されるか、あるいは280ナノメートル(A280)の波長で紫外線吸光度が250mAUを超えるまで(いずれか早い方)、課題溶液(緩衝剤A中の5.0mg/mBSA)を0.1mL/分(滞留時間3.5分/85cm/時)で収容した。支持体に結合したBSAの量を、当初収容時にカラムから出ていく溶液の濃度が当初BSAの課題溶液濃度の10%であった時点で決定した。
【0147】
水酸化イオンの小イオン容量(Small Ion Capacity)(SIC)
約8mLの高分子ビーズスラリー(脱イオン水中約50体積パーセント)を15mLの目盛り付き遠心管に移して、3000相対遠心力(rcf)で5分間遠心分離した。得られた充填高分子ビーズの体積を最も近い0.1mLに記録して、スラリーを定量的に焼結ガラス漏斗に移し、脱イオン水(3×50mL)、0.1N NaOHで洗浄し(3×50mL)、次いで再び脱イオン水で洗浄(3×50mL)した。続いて、洗浄した高分子ビーズを定量的に125mLの三角フラスコに移し、2M硫酸ナトリウムを4.0mL添加して水酸化イオンを置換した。5分後、2滴のフェノールフタレイン溶液(100mLエタノール中1グラム)をスラリーに添加して、溶液の色がピンク色から無色に変化するまで、混合物を0.1NのHClで滴定した(磁気攪拌プレート上で混ぜながら)。添加した0.1HClの体積を分析したビーズの体積で割って100倍し、高分子ビーズのmL当たりのマイクロモル中の小イオン容量を計算した。
【0148】
免疫グロブリンG(IgG)の静的親和性結合容量
高分子ビーズを脱イオン水と混合して、3000相対遠心力(rcf)で20分間遠心して充填ビーズベッドを形成し、その後脱イオン水の量を調整して総体積を充填ビーズベッドの2倍とすることによってタンパク質A誘導体化高分子ビーズの50体積パーセントのスラリーを調製した。スラリーを充分に混合して高分子ビーズを懸濁させ、その後VWR(Eagan,MN)からCENTREX MFという商標表記で市販されている、5mLの0.45マイクロメートル酢酸セルロース遠心分離マイクロフィルターに、スラリーの試料200マイクロリットルをピペット注入した。3000rcfで5分間遠心して水を除去した。続いて、高分子ビーズを、2.25mLのヒトIgG溶液(約10mMリン酸中約5mg/mL hIgG、150mM塩化ナトリウム、pH7.4)と混合した。混合物を一晩混転した後、3000rcfで5分間の遠心分離により、高分子ビーズから上清を除去した。
【0149】
上清を紫外線分光法で分析した。280nmでの試料の吸光度を開始時のIgG溶液のものと比較した。数値の差を用いて高分子ビーズのIgG容量を計算した。分析を3回行い、平均化した。
【0150】
免疫グロブリンG(IgG)の親和性動的結合容量(DBC)
OMNIFTという商標表記でChrometech(Apple Valley,MN)から市販されている5cm×内径0.3cmのガラスカラムに、タンパク質A誘導体化高分子ビーズの水性スラリー(高分子ビーズの総体積約350マイクロリットル)を充填し、AKTAという商標表記でGE Healthcare(Uppsala,Sweden)から市販されている中高圧液体クロマトグラフ上に設置し、0.7mL/分で、カラム体積の10倍量の緩衝剤A(10mMリン酸、150mM塩化ナトリウム、pH7.4、0.01% w/vアジトナトリウムを添加)により平衡化した。試料の7mLが充填されるか、あるいは280ナノメートル(A280)の波長で紫外線吸光度が300mAUを超えるまで(いずれか早い方)、課題溶液(緩衝剤A中の3.0mg/mLヒトIgG)を0.09mL/分(滞留時間3.9分/76cm/時)で収容した。0.7mL/分の流速で、カラム体積の18倍量の緩衝剤Aを流して未結合の試料の洗い出しを実施した。この後、カラム体積の9倍量の緩衝剤B(2% v/v氷酢酸、0.1Mグリシン)で均一濃度溶出した。支持体に結合したIgGの量を、当初収容時にカラムから出ていく溶液の濃度が当初IgGの課題溶液濃度の10%であった時点で決定した(非結合タンパク質の安定期は減じた)。続いて、カラム体積の15倍量の緩衝剤Aを流し、カラムを再び平衡化した。
【0151】
(実施例1)
オーバーヘッド攪拌器を備えた1L丸底フラスコの酢酸エチル(250mL)中で15グラムのMPHAZE AB1ビーズ試料をスラリー化した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、15mL)を添加した。5分間攪拌した後、ボロントリフルオリドジエチルエーテレート(300μL)を添加し、混合物を周辺温度で72時間反応させた。その後、ビーズスラリーを濾過し、アセトン(4×250mL)で洗浄し、一晩、真空下で乾燥させた。
【0152】
(実施例2)
HEMAの代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用したことを除き、実施例1を繰り返した。
【0153】
(実施例3)
オーバーヘッド攪拌器、加熱制御、還流冷却器、及び窒素流入口を備えた2L合樹脂フラスコ(モートン型)をトルエン(188mL)及びポリマー安定剤(0.13g)で充填した。ポリマー安定剤は、アクリル酸イソオクチルと2−アクリルアミドイソブチルアミドとの重量で91.8:8.2のコポリマーであった(Rasmussenらの、Makromol.Chem.,Macromol.Symp.、54/55、535−550(1992)に記載されるように調製された)。安定剤がすべて溶解されるまで、溶液を450rpmで攪拌した。ヘプタン(348mL)を添加し、温度が35℃に平衡化されるまで、遅い窒素パージ下で加熱した。225mL三角フラスコにMBA(13.86グラム)及び2−アクリルアミド−2−メチルアラニン(0.14グラム)を量り入れた。イソプロパノール(80mL)、脱イオン(DI)水(38.3mL)、1N水酸化ナトリウム(1.78mL)、及びポリエチレングリコール1000(脱イオン水中の20mLの50%w/w溶液)をフラスコに添加した。モノマーがすべて溶解されるまで、低熱で混合物を攪拌した。攪拌しながら脱イオン水(5mL)中の過硫酸ナトリウム(0.56グラム)溶液をモノマー溶液に添加した。得られた溶液を直ちに平衡化した反応フラスコに添加した。バッチが35℃に再び平衡化されるまで、攪拌とパージが続けられた。その後、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.56mL)を添加して重合を開始させた。重合反応を合計2時間続けた。ビーズ懸濁液を濾過して、アセトン(2×500mL)、メタノール(2×500mL)で洗浄し、再びアセトン(2×500mL)で洗浄した。湿った濾過ケーキを三角フラスコに移し、アセトン(250mL)で懸濁し、旋回させながら10分間音波処理して粒塊を破断した。ビーズを濾過し、水中で再スラリー化し、RO−TAPふるい(W.S.Tyler,Mentor OH)を用いてふるいにかけた。直径が38〜90の間のマイクロメートルのサイズ画分を収集した。平均粒径は、82.3マイクロメートルと判断された。
【0154】
水和ビーズスラリー約20mLを濾過した後0.1N塩酸(2×50mL)、脱イオン水(2×50mL)、アセトン(3×50mL)及びジメチルスルホキシド(DMSO、3×50mL)で洗浄した。50mLポリプロピレン遠心管に湿ったビーズを設置し、DMSOで最大2回膨潤容積に希釈した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.1mL)を添加し、25℃で4時間、混合物を混合した。ビーズを濾過してアセトン(3×50mL)で洗浄し、一晩真空下で乾燥させた。次に、実施例1で記載するように乾燥させたビーズをHEMAと反応させた。
【0155】
(実施例4)
エチレンジアミン(12.0グラム)をイソプロパノール(200mL)に溶解した後、EMPHAZE AB1ビーズの試料20グラムを添加した。周辺温度で2時間スラリーを混合し、濾過した後、イソプロパノール(3×200mL)、蒸留水(4×200mL)、0.1N HCl(3×200mL)、及び蒸留水(5×200mL)で洗浄した。上記の水素イオンの小イオン交換容量の手順で滴定される場合、得られたアミン官能性ビーズは、約29マイクロモル/mLのビーズのアミン官能性を有すると判断された。
【0156】
上記スラリーの半分を濾過し、イソプロパノール(100mL)、0.1N NaOH(20mL)を含有するイソプロパノール(100mL)及びイソプロパノール(3×100mL)で洗浄した。続いて、湿ったケーキをイソプロパノール(容積で約50%スラリー)中でスラリー化し、VDM(5mL)を添加し、周辺温度で2時間混合物を混合した。その後ビーズを濾過し、アセトン(3×100mL)で洗浄し、60℃で2時間ロータリーエバポレーター上で乾燥させて、グラフト反応に好適な約10グラムのアクリルアミド官能性ビーズを得た。
【0157】
(実施例5)
トルエン(100mL)、ヘプタン(300mL)、及びトリトンX−100(1000μL)を3首丸底フラスコに添加した。室温でオーバーヘッド攪拌器で攪拌しながら、混合物を窒素でパージした。
【0158】
別の125mL三角フラスコにAMPS(水中の30グラムの50%w/w溶液)、過硫酸ナトリウム(0.20グラム)、イソプロパノール(35mL)、及び水(20mL)を溶解した。実施例3からのHEMA官能化ビーズ(2.0グラム)を水性混合物に添加し、10分間浸漬した。ビーズを濾過して過剰な液体を除去した後、有機トルエン/ヘプタン混合物に移した。テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.2mL)を添加する前に、懸濁ビーズを攪拌して、30分間窒素でパージした。混合物を1時間攪拌した。ビーズを濾過し、アセトン(3×100mL)及び脱イオン水(3×100mL)で洗浄し、更なる分析のために脱イオン水中でスラリーとして保存した。この材料の分析を表1に示す。
【0159】
(実施例6〜9)
実施例5を調製するために用いた手順を繰り返したが、AMPS溶液(それぞれ、10、15、20、及び40グラム)の量は変動する。脱イオン水の量は、それぞれの反応が総量35mLの水を含むように調整された。これらの材料の分析を表1に示す。
【0160】
(実施例10〜13)
それぞれ、AMPS溶液5、10、20、及び30グラムと共に、調製用実施例1のHEMA官能化ビーズを用いて実施例6〜9を繰り返した。これらの材料の分析を表1に示す。
【0161】
(実施例14〜18)
イソプロパノール及び水の量が変動する以外は、実施例12を繰り返した。実施例14〜17には、それそれ、0/70、20/50、49/21、及び60/10mLの量を用いた。実施例18には、AMPS溶液7.5グラム、イソプロパノール7.5mL、及び脱イオン水18.75mLを用いた。これらの材料の分析を表1に示す。
【0162】
比較例1
実施例3のものと同様の手順で、98:2w/w MBA/AMAビーズを調製した。HEMAを用いた誘導体化を伴わないこのビーズは、実施例18のグラフト化手順に従った。得られたビーズの小イオン容量は31μmol/mLであった。この低小イオン容量は、生じる場合、非常にわずかなグラフト化が生じたことを示唆する。
【0163】
【表3】

【0164】
(実施例19)
APTAC(水の75%重量溶液20グラム)をAMPSに置き換え、実施例1のHEMA官能化ビーズ(2.0グラム)を用いて実施例5のグラフト化手順を繰り返した。APTACモノマーが、水の50%重量溶液ではなく水の75%重量溶液であるという事実に基づき、添加される脱イオン水の量が適切に調整された。得られたグラフト化ビーズの特性を表2に示す。
【0165】
(実施例20〜24)
用いたAPTAC溶液が、それぞれ、15、10、7.5、5、及び2.5グラムであった以外は、実施例19が繰り返された。添加された脱イオン水の量は、総量17.5mLの水を含むように調整された。得られたグラフト化ビーズの特性を表2に示す。
【0166】
(実施例25〜29)
実施例1のHEMA官能性ビーズ(1グラム)を用い、(3−メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC、水の50%重量溶液)をAPTACに置き換えて、実施例19が繰り返された。同じく、添加された脱イオン水の量は、総量17.5mLの水を含むように調整された。用いたMAPTAC溶液は、それぞれ、20、15、10、7.5、及び5グラムであった。得られたグラフト化ビーズの特性を表2に示す。
【0167】
【表4】

【0168】
(実施例30)
3首丸底フラスコに、トルエン(50mL)、ヘプタン(150mL)、及びトリトンX−100(500μL)を添加した。室温で、オーバーヘッド攪拌器で攪拌しながら、混合物を窒素でパージした。
【0169】
N−アクリロイル−2−メチルアラニン(AMA、30ミリグラム)、メタクリルアミド(MA、544ミリグラム)、過硫酸ナトリウム(0.12グラム)、イソプロパノール(17.5mL)、0.1N水酸化ナトリウム(1.92mL)、及び脱イオン水(15.58mL)を別の125mL三角フラスコに溶解した。実施例3のHEMA官能化ビーズ(1.0グラム)を水性混合物に添加し、10分間、浸漬した。ビーズを濾過して過剰な液体を除去した後、有機トルエン/ヘプタン混合物に移した。テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.1mL)を添加する前に、懸濁ビーズを攪拌し、30分間窒素でパージした。混合物を1時間攪拌した後、ビーズを濾過した。濾過したビーズをアセトン(3×50mL)、脱イオン水(3×50mL)、0.1N塩酸(2×50mL)、脱イオン水(2×50mL)、アセトン(3×50mL)、次いでジメチルスルホキシド(DMSO、3×50mL)で洗浄した。湿ったビーズを50mLポリプロピレン遠心管に設置し、DMSOで最大2倍の膨潤容積に希釈した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.1mL)を添加し、混合物を4時間、25℃で混合した。ビーズを濾過し、アセトン(3×50mL)で洗浄し、高真空下で一晩乾燥させた。赤外線分析は、約1820cm−1での吸収バンドの存在によってアズラクトンへの良好な環化を示唆する。
【0170】
(実施例31)
緩衝剤「A」(0.135M MOPS、1.018M硫酸ナトリウム、pH7.55)1.87mL、脱イオン水0.4mL、及びタンパク質A原液(50mg/mL)0.532mLを混合して、タンパク質A連結溶液を調製した。この溶液と別の溶液である緩衝剤「B」(0.100M MOPS、0.4Mトリス、1.27M硫酸ナトリウム、pH7.5)5.0mLを水浴を用いて25℃に平衡化した。15mLポリプロピレン遠心管に実施例26の乾燥アズラクトン官能性ビーズ200mg、次いでタンパク質A連結溶液2.80mlを添加した。得られたスラリーを15分間旋回振とう器上で混合した。緩衝剤「B」を添加し、25℃で更に1時間混合し続けた。ビーズスラリーを3000rcfで5分間遠心分離して上澄をデカントし、エタノールアミンクエンチ緩衝剤(5mL、3.0Mエタノールアミン、pH9.0)を添加した。この混合物を周辺温度で1時間混合し、濾過して、pH7.5リン酸緩衝剤(5×20mL)で洗浄した後、10℃で、水の20%エタノール溶液(vol/vol)として保管した。10%ブレークスルーでの動的結合容量を35mg/mLと判断した一方で、IgGの静的親和性結合容量を55mg/mLとして測定した。
【0171】
(実施例32)
3首丸底フラスコにトルエン(50mL)、ヘプタン(150mL)、及びトリトンX−100(500μL)を添加した。室温で、オーバーヘッド攪拌器で攪拌しながら、混合物を窒素でパージした。
【0172】
N−アクリロイル−2−メチルアラニン、ナトリウム塩(AMA−Na、水の40%重量溶液1.0グラム)、過硫酸ナトリウム(0.12グラム)、イソプロパノール(17.5mL)、及び脱イオン水(16.9mL)を別の125mL三角フラスコに溶解した。実施例1のHEMA官能化ビーズ(1.0グラム)を水性混合物に添加し、20分間浸漬した。ビーズを濾過して過剰な液体を除去した後、有機トルエン/ヘプタン混合物に移した。テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.1mL)を添加する前に、懸濁ビーズを攪拌し、60分間窒素でパージした。混合物を2時間攪拌し、ビーズを濾過し、アセトン(3×50mL)、脱イオン水(3×50mL)、0.1N塩酸(2×50mL)、脱イオン水(2×50mL)、アセトン(3×50mL)、次いでジメチルスルホキシド(DMSO、3×50mL)で洗浄した。湿ったビーズを50mLポリプロピレン遠心管に設置し、DMSOで最大2倍の膨潤容積に希釈した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.1mL)を添加し、25℃で4時間、混合物を混合した。ビーズを濾過し、アセトン(3×50mL)で洗浄し、高真空下で一晩乾燥させた。約1820cm−1での赤外吸収バンドの定量的分析は、9.5重量%のアズラクトン含有を示唆した。
【0173】
(実施例33〜34)
添加される脱イオン水をそれぞれ16mL及び5.5mLの量に調整して、AMA−Na溶液の2.5グラム及び20グラムをそれぞれ用いて、実施例32を繰り返した。得られたビーズの赤外線分析は、それぞれ、14.2重量%及び27.2重量%のアズラクトン含有を示唆した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を調製するための方法であって、
式(I)のアズラクトン官能化支持体を提供する工程であって、
【化1】

式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから独立して選択される、工程と、
式(I)のアズラクトン官能化支持体から式(II)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する工程であって、
式中、
それぞれの基Qは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される独立した二価基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む第1の連結基であり、
は、水素又はアルキルである、工程と、
−Y−CR=CH
(III)
のモノマーを含むモノマー組成物を用いて式(II)の(メタ)アクリロイル官能基を重合して、
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
のグラフト化支持体を形成する工程であって、
式中、
は、
式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む単結合又は二価基から選択される第2の連結基である、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
式(II)の前記(メタ)アクリロイル能化支持体を形成する工程が、式(I)の前記アズラクトン官能化支持体の前記アズラクトン基を式(IV)
HQ−Y−Q−(CO)−CR=CH
(VI)
の化合物と反応させる工程を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)の前記(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する工程が、式(VIII)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y1a−QH
(VIII)
の中間体を形成する工程であって、
式中、
1aは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、工程を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(VIII)の中間体を、求核基(−QH)と反応できる第1の基とエチレン性不飽和基を含む第2の基とを有する、第2の化合物と反応させる工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(III)の前記モノマーが、式(IIIa)
−Y2a−Q−(CO)−CR=CH
(IIIa)
のモノマーであって、
式中、
2aは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価基である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(IV)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
のグラフト化支持体を含む物品であって、
式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルからそれぞれ独立して選択され、
それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
それぞれのRは、独立して、水素又はアルキルであり、
は、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は水素であるか、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、単結合又は二価基から選択される第2の連結基であり、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である、
物品。
【請求項7】
前記固体支持体が、ビーズの形態である、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記固体支持体が、架橋された高分子材料を含む、請求項6又は7に記載の物品。
【請求項9】
式(II)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を含む物品であって、
式中、
SSは、固体支持体であり、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから独立して選択され、
それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rが水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
それぞれのRは、独立して、水素又はアルキルである、
物品。
【請求項10】
前記固体支持体が、ビーズの形態である、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記固体支持体が、架橋された高分子材料を含む、請求項9又は10に記載の物品。
【請求項12】
物品を調製するための方法であって、
式(I)
【化2】

のアズラクトン官能化支持体を提供する工程であって、
式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから独立して選択され、
式(I)のアズラクトン官能化支持体から式(II)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR=CH
(II)
の(メタ)アクリロイル官能化支持体を形成する工程であって、
式中、
それぞれの基Qは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
は、水素又はアルキルである、工程と、
式(III)
−Y−CR=CH
(III)
のモノマーを含むモノマー組成物で、式(II)の前記(メタ)アクリロイル官能化支持体を重合して、
式(IV)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
のグラフト化支持体を形成する工程であって、
式中、
は、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される、官能基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、単結合又は二価基から選択される、第2の連結基である、工程と、
グラフト化支持体の官能基Zを式A−Tの修飾剤で反応させて、式(V)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
の修飾されたグラフト化支持体を形成する工程であって、
式中、
は、式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
Lは、基Zを前記修飾剤の修飾基Aと反応させることによって形成される、結合基であり、
Tは、修飾剤A−Tの残余であり、前記修飾基Aを引いた前記修飾剤A−Tに等しい、工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記修飾剤が、少なくとも1つの求核基を含む親和性リガンドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記修飾剤が、求核である第1の基と、塩基性、酸性、又はそれらの塩である第2の基とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾剤が、求核である第1の基と、疎水性である第2の基とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記修飾剤が、求核である第1の基と、金属キレートである第2の基とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記修飾剤が、生体分子である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
式(V)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
の修飾されたグラフト化支持体を含む物品であって、
式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
それぞれのRは、独立して、水素又はアルキルであり、
は、式CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、単結合又は二価基から選択される、第2の連結基であり、
は、式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
Lは、基Zを前記修飾剤の修飾基Aと反応させることによって形成される、結合基であり、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される、官能基であり、
Tは、修飾剤A−Tの残余であり、前記修飾基Aを引いた、前記修飾剤A−Tに等しい、
物品。
【請求項19】
前記固体支持体が、ビーズの形態である、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記固体支持体が、架橋された高分子材料を含む、請求項18又は19に記載の物品。
【請求項21】
目的化合物を精製又は分離する方法であって、
式(IV)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(IV)
のグラフト化支持体を含む物品を提供する工程であって、
式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、
それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
それぞれのRは、独立して、水素又はアルキルであり、
は、式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(Y)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、単結合又は二価基から選択される、第2の連結基であり、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基である、工程と、
前記物品を前記目的化合物を含有する試料と接触させる工程であって、前記目的化合物は、前記グラフト化支持体の少なくとも1つの官能基Zと相互作用する、又は反応する、工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
目的化合物を精製又は分離する方法であって、
式(V)
SS−(CO)−NH−C(R−(CH−(CO)−Q−Y−Q−(CO)−CR−CH−U
(V)
の修飾されたグラフト化支持体を含む物品を提供する工程であって、
式中、
SSは、固体支持体を含み、
pは、0又は1に等しい整数であり、
それぞれのRは、それぞれ独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、第1の連結基であり、
それぞれのQは、オキシ、チオ、又は−NR−(Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はアラルキルである)から選択される、独立した二価基であり、
それぞれのRは、独立して、水素又はアルキルであり、
は、式CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む、単結合又は二価基から選択される、第2の連結基であり、
は、式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
は、水素であるか、又は式−CR(YL−T)−CH−の少なくとも1つの二価モノマー単位を含み、
Lは、基Zを前記修飾剤の修飾基Aと反応させることによって形成される、結合基であり、
は、(1)酸性基若しくはその塩、(2)アミノ基若しくはその塩、(3)ヒドロキシル基、(4)アズラクトン基若しくは前記アズラクトン基の前駆体、(5)グリシジル基、又は(6)それらの組み合わせから選択される官能基であり、
Tは、修飾剤A−Tの残余であり、前記修飾基Aを引いた前記修飾剤A−Tに等しい、工程と、
前記物品を、前記目的化合物を含有する試料と接触させる工程であって、前記目的化合物は、前記グラフト化支持体の少なくとも1つの基Tと相互作用する、又は反応する、工程と、
を含む、方法。

【公表番号】特表2011−525942(P2011−525942A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516365(P2011−516365)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/043455
【国際公開番号】WO2009/158071
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】