説明

グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤

【課題】本発明は、新たな糖質代謝の制御素材を提供すること、さらには天然の植物素材を利用することにより、食品などに添加し、安全かつ手軽に摂取することができる食品添加物及びその予防又は治療用の食品を提供することを目的とする。
【解決手段】天然の植物素材、特にチョウジを有効成分として含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を提供する。特に、オイゲノールを含まない、チョウジの抽出物を有効成分とするグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を提供する。さらに本発明は、チョウジの抽出物を有効成分として含有するが、オイゲノールを含まない、食品添加物、及びかかる食品添加物を配合した食品、特に、糖尿病をはじめとする糖質代謝異常の予防又は患者食に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョウジ、グァバ及びサラシアをはじめとする天然の植物素材、特にチョウジを有効成分として含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤に関する。好ましくは、オイゲノール(Eugenol)を含まない、チョウジの抽出物を有効成分とするグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤に関する。さらに本発明は、チョウジの抽出物を有効成分として含有するが、オイゲノールを含まない、食品添加物、及びかかる食品添加物を配合した食品、特に、糖尿病をはじめとする糖質代謝異常の予防又は患者食に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は糖質代謝の異常によって発症するとされ、さらに慢性の高血糖状態が起因となり、重篤な合併症を引き起こすことが知られている。2005年の厚生労働省の調査によれば、日本の中高年の約三割が、糖尿病有病者かその予備軍であると推定されており、その対策は社会保障や公衆衛生上の重要な課題となっている。
【0003】
糖尿病治療薬を提供する医薬学的なアプローチの一つは、糖質代謝に関与する酵素の制御素材の探索である。そのような酵素として、腸内でオリゴ糖を単糖類に分解する酵素であるα−グルコシダーゼ(α−glucosidase)が挙げられ、そしてその酵素阻害剤としてアカルボース(商品名:グルコバイ)はじめとする製品が既に上市されている。さらに別の酵素として、グリコーゲンのグルコースへの分解に関与しているグリコーゲンホスホリラーゼ(glycogen phosphorylase;EC 2.4.1.1)が挙げられ、その酵素阻害剤は新たな糖尿病治療薬として有望であると注目されている。しかしながら、今日まで種々のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有する化合物が報告されているものの、未だ実用化には至っていない。
【0004】
このような医薬学的なアプローチに加えて、抗糖尿病活性を有する天然の植物抽出物などを、糖質代謝異常の予防用又は治療用のサプリメントや食品として提供しようとするアプローチも盛んに試みられている。例えば、α−グルコシダーゼ阻害活性を有するポリフェノールを含有するグァバ葉の抽出物を配合した茶飲料が、「グァバ葉ポリフェノールの働きで、糖の吸収をおだやかにするので、血糖値が気になる方に適した飲料です」との表示が許可された特定保健用食品として市販されている。
【0005】
チョウジは、フトモモ科、Syzygium aromaticum Merrill et Perryのつぼみであり、オイゲノールを主成分とする精油15〜20%を含み、古くから芳香性健胃薬として使用されている。またクローブという名で、香辛料としても使用されている。このチョウジの抽出物は、α−アミラーゼ阻害活性を示すことが報告されている(例えば、特許文献1参照)。また前述のグァバ葉の抽出物と同様に、チョウジの抽出物、特にチョウジの抽出物に含まれるオイゲニイン(Eugeniin)、カスアリクチン(Casuarictin)などのポリフェノールが、α−グルコシダーゼ阻害活性を示すことも報告されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
【0006】
サラシアは、インドやスリランカ産のデチンムル科(Hippocrateaceae)(旧分類ではニシキギ科(Celastrineae))のサラシア(Salacia)属植物の総称であり、この根や茎(幹)は、インド、スリランカ、タイ、インドネシアなどの東南アジア諸国における伝統医学において、天然薬物として利用されてきた。このサラシアに含まれるサラシノールが、α−グルコシダーゼ阻害活性を示すことも報告されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、報告されたこれらの活性は、糖尿病治療薬として充分なものではなかった。
【特許文献1】特開2001−240552号公報
【特許文献2】特開2000−72682号公報
【特許文献3】特開平11−29472号公報
【非特許文献1】Biosci. Biotechnol. Biochem., 64 (2), 294-198, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新たな糖質代謝の制御素材を提供すること、さらには天然の植物素材を利用することにより、食品などに添加し、安全かつ手軽に摂取することができる食品添加物、及びその予防又は治療用の食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、糖質代謝の制御素材の探索を様々な食材・和漢薬に対して行ってきたところ、チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎の抽出物に、α−グルコシダーゼ阻害活性のみならず、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性があることを見出した。意外にも、これらの抽出物は、α−グルコシダーゼに対してはそれほど強い阻害活性は示さないが、グリコーゲンホスホリラーゼに対し強い阻害作用を示すこと、特に、チョウジの抽出物は、糖尿病モデルマウスを用いた投与実験において糖尿病症状の著しい改善効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
1.チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎を有効成分として含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
2.チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎の水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として含有する、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
3.水溶性有機溶媒が、炭素数1〜3の低級アルコールである、前記2に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
4.有効成分が、チョウジの抽出物であり、チョウジの抽出物が、カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジン(Tellimagrandin)及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含む、前記2又は3に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
5.有効成分が、チョウジの抽出物であり、チョウジの抽出物が、オイゲノールを含まない、前記2〜4のいずれかに記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
6.前記5に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有する食品添加物。
7.チョウジの水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として含有するが、オイゲノールを含まない、食品添加物。
8.水溶性有機溶媒が、炭素数1〜3の低級アルコールである、前記7に記載の食品添加物。
9.カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジン及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含む、前記7又は8に記載の食品添加物。
10.前記6〜9のいずれかに記載の食品添加物を配合した食品。
11.食品が、糖質代謝異常の予防又は患者食である、前記10記載の食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明により提供されるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤は、これまでに報告されている植物抽出物のみならず、合成低分子化合物と比べても、優れた酵素阻害活性を示した。特に、本発明により提供されるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の有効成分の一つであるチョウジの抽出物は、in vitroの酵素阻害活性のみならず、in vivoの糖尿病モデルマウスを用いた試験においても優れた抗糖尿病活性を示し、糖尿病治療薬として極めて有望である。本発明は古来から生薬又は香辛料として摂取されてきた植物素材又はその抽出物を有効成分とするものであるから、食品などに添加し、安全かつ手軽に摂取しうることが期待される。特に、本発明により提供されるチョウジの抽出物を有効成分として含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤は、従来公知のチョウジの主要活性成分であるオイゲノールを含む必要がない。したがって、本発明は、香料、精油、又は殺菌剤、麻酔剤などの医薬品として、あるいは各種医薬品などの製造原料として需要のあるオイゲノールの抽出後は、従来、廃棄されていたその抽出残渣を利用することができることから、産業的・経済的にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のチョウジは、フトモモ科(Myrtaceae)の植物、Syzygium aromaticum Merrill et Perry(Eugenia caryophyllata Thunberg)のつぼみであり、生薬又は香辛料として一般に市販されているものを、適宜粉砕して使用することができる。日本薬局方、生薬総則の「チョウジ」に掲載された規格に適合するものを使用するのが好ましい。また「チョウジ末」と市販されているものを、そのまま使用してもよい。日本薬局方、生薬総則の「チョウジ末」に掲載された規格に適合するものを使用するのが好ましい。
【0012】
また本発明のグァバ葉は、フトモモ科(Myrtaceae)の植物、グァバ(Psidium guajava、和名:バンジロウ)の葉であり、グァバ葉、ばんざくろ葉、蕃石榴葉などの名称で、生薬又は健康食品として一般に市販されているものを、適宜粉砕して使用することができる。さらに本発明のサラシアの根及び/又は茎は、デチンムル科(Hippocrateaceae)、サラシア(Salacia)属植物、特に、S. reticulata、S. oblonga、及びS.chinensisの根や茎(幹)であり、サラシア、サラシアオブロンガなどの名称で、生薬又は健康食品として一般に市販されているものを、適宜粉砕して使用することができる。
【0013】
本発明は、これらの植物素材の水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として使用してもよい。水溶性有機溶媒は、水と混合し、均一相を形成しうる極性溶媒であればよく、例えば、炭素数1〜3の低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノール)、炭素数3〜5の低級ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)が挙げられる。水及び/又は炭素数1〜3の低級アルコールを使用するのが好ましく、特に水とメタノール又はエタノールの混合溶媒を使用するのが好ましい。なお、本発明において「(植物素材)の抽出物」とは、これらの植物素材の水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物それ自体、かかる溶媒抽出物から溶媒を除去した濃縮物、その濃縮物を乾燥した乾燥物、又はそれを粉砕した乾燥末のいずれであってもよいが、濃縮物、乾燥物又は乾燥末を使用するのが好ましい。
【0014】
溶媒の使用量は、溶媒の種類、抽出原料(植物素材)の量、抽出温度などに応じて適宜定めることができるが、通常は、抽出原料の0.5〜20倍量(重量基準)の範囲の量を使用するのが、抽出効率の点から好ましい。抽出温度・圧力は各溶媒の沸点などを考慮して適宜設定することができるが、通常、周囲温度(10〜30℃)で常圧下に行えばよい。
【0015】
本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の有効成分としては、チョウジの水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を使用するのが好ましい。特に、使用されるチョウジの抽出物は、下記に示す精油成分であるオイゲノール:
【0016】
【化1】

【0017】
を含まなくてもよい。オイゲノールは、前述のように、殺菌剤、麻酔剤などの医薬品としての用途が知られているが、後述(実施例3参照)のようにグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を示さない。またオイゲノールは独特の風味を有するため、特に食品添加物としての使用のためには、オイゲノールを実質的に含まないチョウジの抽出物を使用するのが好ましい。オイゲノールを実質的に含まないチョウジの抽出物は、例えば、チョウジを水及び/又は水溶性有機溶媒による抽出処理に付す前に、非極性有機溶媒での抽出処理に付すなどの、チョウジからオイゲノールを単離するための公知の手法に付すことによって容易に得られる。
【0018】
したがって、本発明のチョウジ抽出物は、例えば、以下の工程:(1)市販のチョウジを粉砕する工程、(2)粉砕したチョウジを、酢酸エチルのような非極性有機溶媒に、室温にて1〜48時間、好ましくは24時間浸漬し、主要精油成分のオイゲノールを抽出する工程、(3)オイゲノールを含む抽出液を除去し、チョウジ粉砕物の残渣を、水及び/又は水溶性有機溶媒で、室温にて1〜48時間、好ましくは24時間浸漬し、抽出する工程、(4)抽出液を単離し、濃縮した後、残渣を乾燥する工程、を含む方法により調製することができる。なお、これらの工程(1)〜(4)は、必要に応じて適宜省略してもよく、また反復してもよい。例えば、原料としてチョウジ末を用いる場合には(1)の粉砕工程は不要であり、またオイゲノールを除去する必要がない場合には(2)の非極性有機溶媒での浸漬工程は不要である。また、所望であれば、さらに慣用の精製工程を加えてもよい。
【0019】
本発明において使用されるチョウジには、先に示したオイゲノールに加えて、下記:
【0020】
【化2】

【0021】
に示されるようなクロモン類及びポリフェノール類が含まれていることが既に知られているが、本発明において使用するチョウジの抽出物は、これらの中でも、カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジン及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含むものであるのが好ましい。これらのポリフェノールが優れたグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有することを、本発明者は初めて見出した(後述の実施例3参照)。これらのポリフェノールは、例えば、前述の特許文献2又は非特許文献1に記載された方法に従ってチョウジから単離することも出来、また長良サイエンス(株)などの供給業者から試薬として入手することも出来る。
【0022】
このように、チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎の粉砕物、それらの植物素材の水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物それ自体(チョウジの場合、オイゲノールを実質的に含まないものであってもよい)、かかる溶媒抽出物から溶媒を除去した濃縮物、その濃縮物を乾燥した乾燥物、又はそれを粉砕した乾燥末を、あるいはチョウジに含まれる特定のポリフェノールから選択される活性成分それ自体を、本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤としてそのまま利用することが出来る。あるいは、薬学的に許容される適切な添加剤と共に、それらを有効成分として含有するものをグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤として利用することも出来る。
【0023】
本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤は、糖尿病をはじめとする糖質代謝異常の治療又は予防に有用であり、経口および非経口(例えば、直腸投与、経皮投与)のいずれかの投与経路で、人を含む動物に投与することができる。本発明によるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を医薬として提供する場合、投与経路に応じた適切な剤形、例えば、液剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠などの経口剤、直腸投与剤などに調製することが望ましい。
【0024】
そのような薬学的に許容される適切な添加剤としては、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などが挙げられ、これらを所望の剤形に応じて適宜選択し、組み合わせたものを本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の調製に使用してもよい。添加剤の具体例としては、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、デンプン、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0025】
本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の中でも、特にオイゲノールを含まないチョウジの抽出物を有効成分とするグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤はまた、食品添加物として利用することもできる。
また本発明は、チョウジの水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として含有するが、オイゲノールを含まない食品添加物を提供する。本発明の食品添加物は、カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジン及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含むものであるのが好ましい。したがって本発明の食品添加物として、オイゲノールを実質的に含まない、チョウジの水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物それ自体、かかる溶媒抽出物から溶媒を除去した濃縮物、その濃縮物を乾燥した乾燥物、又はそれを粉砕した乾燥末を、あるいは特定のポリフェノールから選択される活性成分それ自体を、そのまま利用することが出来る。あるいは、食品学的に許容される適切な添加剤と共に、それらを有効成分として含有するものを食品添加物として利用することも出来る。
【0026】
本発明は、そのような食品添加物を配合した食品にも関する。食品の種類は、例えば、種々の加工食品、栄養補助食品、清涼飲料水などの非アルコール飲料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の食品は、グリコーゲンホスホリラーゼが関与する糖質代謝異常、特に糖尿病有病者又はその予備軍を対象とした予防又は患者食として有用である。食品中に配合する量は、食品の一日摂取量や加工形態、対象とするヒトの年齢や疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜設定することが出来るが、例えば食品に対して、濃縮物、乾燥物又は乾燥末の形態のチョウジの抽出物を、有効成分として0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%配合する。従来、そのような食品添加用組成物を配合した食品、すなわちオイゲノールを実質的に含まないチョウジの抽出物を配合した食品は知られていない。
【実施例】
【0027】
以下の実施例で、本発明の具体的態様を説明するが、それらは本発明の範囲を限定することを意図するものでなく、本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するために提供するものである。
【0028】
実施例1:糖質代謝関連酵素に対する植物抽出物の阻害作用の検討
α−グルコシダーゼ阻害により血糖値の上昇を抑制すると言われているグァバ葉、サラシアの根及び茎、桑葉の50%エタノール水抽出物と、チョウジの50%エタノール水抽出物のα−グルコシダーゼとグリコーゲンホスホリラーゼに対する阻害作用を比較した。
【0029】
なお、チョウジの50%エタノール水抽出物は、以下のようにして調製した:乾燥したチョウジ10gを50%エタノール水溶液50mL中、室温で24時間浸漬した。得られた抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮し、オイル状の濃縮物を得た。これを凍結乾燥後、粉砕し、チョウジの50%エタノール水抽出物2gを乾燥末として得た。
グァバ葉、サラシアの根及び茎、桑葉の50%エタノール水抽出物も、同様の方法により調製した。
【0030】
α−グルコシダーゼ阻害活性は、以下のように測定した:
ラット小腸α−グルコシダーゼは、ラット小腸刷子縁膜を、Biochim. Biophys. Acta 1978, 506, 136-154(Kessler, M.; Acuto, O.; Strelli, C.; Murer, H.; Semenza, G. A., A modified procedure for the rapid preparation of efficiently transporting vesicles from small intestinal brush border membranes. Their use in investigating some properties of D-glucose and choline transport system.)に記載の方法によって調製し、酵素溶液として使用した。200μMマレイン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.8)50μL、阻害剤溶液20μL、精製水60μL、酵素溶液20μLからなる反応液を37℃で10分間プレインキュベーションした。プレインキュベーション後、100mM基質(マルトース、スクラーゼ、イソマルトース)溶液50μL加えて37℃で10−30分間反応した。反応後100℃で3分間加熱して反応を停止した。冷却後、反応液50μLを発色液(グルコースCIIテストワコー(和光純薬製))3mLに加え、37℃、20分間のインキュベーション後、吸光度計(日立U−1500)で505nmの吸光度を測定した。
【0031】
グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性は、以下のように測定した。また試薬はすべてシグマ社製のものを使用した:
0.2Mリン酸緩衝液(pH6.8)223μL、阻害剤溶液40μL、5U/mLグリコーゲンホスホリラーゼb20μL、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)20μL、750mM塩化マグネシウム20μL、20mMアデノシン一リン酸(AMP)50μL、精製水467μLからなる反応液を室温で5分間インキュベーションする。インキュベーション後、200μMグルコース1,6−ビスリン酸20μL、6.8mMニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)50μL、40U/mLホスホグルコムターゼ20μL、150U/mLグルコース6−リン酸脱水素酵素20μLを加え、測定波長340nmでゼロ点合わせをする。この反応液に40mg/mLグリコーゲン20μLを加え、340nmで1分間の吸光度上昇を測定する。
【0032】
以下の表1に、結果を示す。
【0033】
【表1】

【0034】
ラット小腸α−グルコシダーゼに対して、チョウジの抽出物は、最も強い阻害活性を示した桑葉の抽出物に及ばないものの、グァバ葉及びサラシアの抽出物と同等の阻害活性を有していることが解った。
グリコーゲンホスホリラーゼに対して、チョウジの抽出物は最も強い阻害活性を示し、血糖値の上昇を抑制する有望な食品素材候補と考えられた。一方、α−グルコシダーゼ阻害を謳うグァバ葉とサラシアの抽出物のラット小腸α−グルコシダーゼに対する阻害活性は、それほど強いものではなく、これが血糖値の上昇を抑制する作用メカニズムとは考えにくい。むしろ表1に示したように、グァバ葉とサラシアの抽出物のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害作用はかなり強いので、これが血糖値の上昇を抑制する作用メカニズムであると考えられる。
【0035】
実施例2:初代培養肝細胞を用いたチョウジ又はグァバ葉の抽出物のグルコース放出抑制活性
実施例1で優れたグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を示したグァバ葉又はチョウジの50%エタノール水抽出物が、初代培養肝細胞からのグルコース放出を抑制するかどうかを検討した。
【0036】
グルコース放出抑制活性は、以下のように測定した:
雄Donryu系ラットからの初代培養肝細胞の単離は、Biochem. J. 1999, 342, 545-550(Andersen, B.; Rassov, A.; Westergaard, N.; Lungren, K., Inhibition of glycogenolysis in primary rat hepatocytes by 1,4-dideoxy-1,4-imino-D-arabinitol.)に記載の方法により行った。単離した初代培養肝細胞を緩衝液A(塩化ナトリウム6.9g、塩化カリウム402mg、硫酸マグネシウム7水塩202mg、HEPES4.8g、炭酸ナトリウム756mg、牛血清アルブミン1g、塩化カルシウム330mgを精製水900mLに溶解し、1モル水酸化ナトリウムでpH7.4に調製したもの)で2回洗浄後、10nMグルカゴン及び阻害剤を含有する緩衝液Aを1mL添加し、37℃で120分間インキュベーションした。インキュベーション後、反応液から500μLを採取し、凍結乾燥した。凍結乾燥後、発色液であるグルコースCIIテストワコー1mLを添加し、37℃で20分間インキュベーションを行い、505nmの吸光度を測定した。
【0037】
結果を図1(グァバ葉)及び図2(チョウジ)に示す。実験に使用したそれぞれの50%エタノール水抽出物は、実施例1と同様の方法で調製したが、そのグリコーゲンホスホリラーゼに対する50%阻害濃度(IC50値)は、グァバ葉の抽出物0.92μg/mL、チョウジの抽出物0.86μg/mLであり、チョウジの抽出物とグァバ葉の抽出物のグリコーゲンホスホリラーゼに対する阻害活性は、ほぼ同程度のものであった。しかしながら、初代培養肝細胞を用いたグルコース放出抑制活性(50%グルコース放出抑制濃度)は、グァバ葉の抽出物13.5μg/mL、チョウジの抽出物8μg/mLであり、チョウジの抽出物がより強いグルコース放出抑制活性を示した。
【0038】
実施例3:ポリフェノール類のグリコーゲンホスホリラーゼ(GPase)に対する阻害活性及びグルコース放出抑制活性
チョウジの抽出物中のポリフェノールの活性について検討を行った。前述の特許文献2及び非特許文献1において、北海道大学農学部の川端らは、チョウジの50%メタノール水抽出物からポリフェノールを単離し、それらがα−グルコシダーゼ阻害活性を示すことを報告している。最近、チョウジのポリフェノール類が長良サイエンス株式会社から販売されたことから、それらのポリフェノール類を購入し、グリコーゲンホスホリラーゼに対する阻害活性とラット初代培養肝細胞系でのグルコース放出抑制活性について、実施例1及び実施例2の方法に従って検討した。対照として、下記に示す茶葉のポリフェノールであるストリクチニン(strictinin)を使用した。結果を表2及び図3に示す。
【0039】
【化3】

【0040】
【表2】

【0041】
チョウジの精油成分であるオイゲノールには、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性は見られなかったが、クロモン類であるクローブ3(clove 3)、ビフロリン(biflorin)はそれぞれ24μM、48μMというIC50値を与えた(表2)。さらにヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)基やガロイル基を有するポリフェノール類(4)、(5)、(6)及び(7)には極めて強力なグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性が見られた。特にオイゲニイン(5)のIC50値は0.14μMであり、これまでに報告されているグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤のなかで最も強力な阻害剤の一つであることが明らかになった。
【0042】
グリコーゲンホスホリラーゼに対して強い阻害活性を示したポリフェノール類(4)、(5)、(6)及び(7)について、ラット初代培養肝細胞を用いたグルコース放出抑制活性を調べた(表2、図3)。その結果、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性の強い化合物はグルコース放出抑制活性も強いことが明らかになった。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性が最も強かったオイゲニイン(5)は、4.7μMという低濃度で肝細胞からのグルコース放出を50%阻害した。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性とグルコース放出抑制作用との間には、正の相関性が見られた。すなわちグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性が強い化合物は、グルコース放出抑制作用も強いことが示された。
【0043】
実施例4:糖尿病モデルマウスへのチョウジ抽出物の投与実験
〔オイゲノールを含まないチョウジ抽出物の調製〕
市販のザンジバル産チョウジ3.2kgを粉砕し、10Lの酢酸エチルに24時間浸漬し、主要精油成分のオイゲノールを抽出した。この操作を3回行い、チョウジからオイゲノールを実質的に除去した。次いで、チョウジ粉砕物の抽出残渣を10Lの50%エタノール水で24時間浸漬した。この操作を3回行った。この溶媒抽出物を濃縮後、凍結乾燥した。この操作によりチョウジ抽出物595gを、乾燥末として得た。
【0044】
〔試験方法〕
あらかじめ定常血糖値をそろえた糖尿病モデルマウス(db/db: C57BLKS/J Iar- +Leprdb)5週齢、雄性をJapan SLC, Inc.より購入し、チョウジ抽出物投与群各5匹と非投与群各5匹の2群に分け、4週間個別飼育した。動物飼育条件は、実験期間中を通して恒温(24±1℃)、湿度(60±5%)、明暗周期は12時間(明周期:8時30分〜20時30分)とした。飼料としてチョウジ抽出物投与群には、上記で調製したチョウジ抽出物の凍結乾燥末を、飼料(ラボMRストック)重量に対して15%となるように加えたものを与え、非投与群には飼料のみを与えた。飼料摂取量および血糖値は1週ごとに測定し、試験期間中の摂餌量を計算するとともに、1週ごとに体重の増減を測定した。血糖値の測定は、尾静脈血をアントセンスIII(バイエルメディカル社製)を用いて測定し、糖化ヘモグロビン(HbA1c)は投与開始前と4週間後にDCA-2000(バイエルメディカル社製)を用いて測定した。実験開始から4週間後に断頭し、常法によりヘパリン存在下採血を行い、遠心後血漿を得た。血漿中インスリン濃度の測定は、インスリン測定キット(森永生化学研究所製)を使用して測定を行った。結果を以下の表3〜7に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
〔結果〕
チョウジ抽出物を飼料に15%添加したもの(抽出物15%添加群)と抽出物を添加していないもの(抽出物無添加群)を各群5匹に4週間投与した。投与期間中の飲料水には、有意な差は認められなかった。抽出物15%添加群は、抽出物無添加群と比べ約10%程度の摂餌量の減少が認められた(表3)。抽出物無添加群では、すべての個体が体重の増加を示したのに対して、抽出物15%添加群の個体はすべて1週目から体重が減少した(表4)。抽出物無添加群の血糖値は、すべての個体で次第に高くなり、4週目では著しく高い血糖値を示した(表5)。一方、抽出物15%添加群では、すべての個体で1週目から有意な血糖値の低下が認められ、4週目までその状態を維持した(表5)。また、投与期間中の平均血糖値の指標となるHbA1c(%)は、抽出物15%添加群では実験開始時の値と4週間後の値に変化は認められなかったが、抽出物無添加群では、すべての個体で4週間後の値が上昇した(表6)。4週間後のインスリン濃度は、抽出物15%添加群に比べ、抽出物無添加群では著しく高いインスリン濃度が認められた(表7)。結果として、抽出物15%添加群では糖尿病症状の著しい改善が認められた。
【0051】
実施例5:チョウジ抽出物中のポリフェノール類の同定
実施例4で調製したチョウジ抽出物の乾燥末中の、クロモン類:クローブ3(2)及びビフロリン(3)、並びにポリフェノール類:カスアリクチン(4)、オイゲニイン(5)、テリマグランジン(6)及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコース(7)の定量を以下の条件にてHPLCにて行った。なおこれらの標品は、実施例2と同様、長良サイエンス株式会社から購入したものを使用した。
【0052】
HPLC条件
ポンプ:Model LC-10AT (Shimadzu)
注入バルブ:Rheodyne injection valve with 100-μL loop (Cotati)
検出器:Model SPD-10A UV detector (Shimadzu) at 280 nm
カラム:Cosmosil 5C18-MS-II (150mm ×4.6mm) (Nacalai Tesque)
定量:Chromatopac Model CR-8A integrator (Shimadzu)
移動相:アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸(60:440:1、v/v/v)
流速:0.8mL/min(室温)
【0053】
図4(A)には、標準混合サンプルのクロマトグラムを示した。注入量(100μL中)は、標品(2)及び(3)は各182ng、(4)〜(7)は各364ngであった。図4(B)には、実施例4で調製したチョウジ抽出物の乾燥末10μgを注入したときのクロマトグラムを示した。また、下記の表8に標品(2)〜(7)の保持時間(分)と、チョウジ抽出物中に確認された量(%、w/w)を示す。なお標品(6)はα体とβ体の両アノマーが存在するために2ピーク検出される。
【0054】
【表8】

【0055】
実施例6:グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の調製
以下の配合の錠剤を、慣用の方法で製造した。
【0056】
成分 1錠当たり
実施例1で調製した乾燥末 100.0mg
乳糖 95.0mg
トウモロコシデンプン 35.0mg
ポリビニルピロリドン 8.0mg
カルボキシメチルデンプンナトリウム 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
錠剤重量 250.0mg
【0057】
実施例7:グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の調製
下記の成分を篩にかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填することにより、カプセル剤を製造した。
【0058】
成分 1カプセル当たり
実施例4で調製した乾燥末 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の有効成分であるチョウジは、in vitroの酵素阻害活性のみならず、in vivoの糖尿病モデルマウスを用いた試験においても優れた抗糖尿病活性を示し、糖尿病治療薬として極めて有望である。本発明は、古来から生薬又は香辛料として摂取されてきた植物素材であるチョウジを有効成分とするものであるから、医薬的なアプローチのみならず、食品などに添加し、安全かつ手軽に摂取しうるため、糖質代謝異常の治療又は予防に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】グァバ葉の50%エタノール水抽出物の、初代培養肝細胞からのグルコース放出抑制活性を示したグラフである。
【図2】チョウジの50%エタノール水抽出物の、初代培養肝細胞からのグルコース放出を抑制活性を示したグラフである。
【図3】ポリフェノール類の、初代培養肝細胞からのグルコース放出抑制効果を示したグラフである。グラフ中、●はカスアリクチン、■はオイゲニイン、▲はテリマグランジン、そして◆は1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースの効果を示す。
【図4】Aは、チョウジに含まれる各成分の標準混合サンプルのクロマトグラムである。Bは、実施例4で調製したチョウジ抽出物の乾燥末のクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎を有効成分として含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【請求項2】
チョウジ、グァバ葉、あるいはサラシアの根及び/又は茎の水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として含有する、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【請求項3】
水溶性有機溶媒が、炭素数1〜3の低級アルコールである、請求項2に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【請求項4】
有効成分が、チョウジの抽出物であり、チョウジの抽出物が、カスアリクチン(Casuarictin)、オイゲニイン(Eugeniin)、テリマグランジン(Tellimagrandin)及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含む、請求項2又は3に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【請求項5】
有効成分が、チョウジの抽出物であり、チョウジの抽出物が、オイゲノール(Eugenol)を含まない、請求項2〜4のいずれか一項に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【請求項6】
請求項5に記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有する食品添加物。
【請求項7】
チョウジの水及び/又は水溶性有機溶媒の抽出物を有効成分として含有するが、オイゲノールを含まない、食品添加物。
【請求項8】
水溶性有機溶媒が、炭素数1〜3の低級アルコールである、請求項7に記載の食品添加物。
【請求項9】
カスアリクチン、オイゲニイン、テリマグランジン及び1,3−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコースからなる群より選択される1種以上のポリフェノールを含む、請求項7又は8に記載の食品添加物。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項記載の食品添加物を配合した食品。
【請求項11】
食品が、糖質代謝異常の予防又は患者食である、請求項10記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−137920(P2009−137920A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319123(P2007−319123)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(507406460)
【Fターム(参考)】