説明

グリッパ装置

【課題】装置ボディの外形が大きくなることが無く、グリッパ爪の把持力・開閉ストロークをともに大きくする。
【解決手段】装置ボディ12中央部に基準線Sが設定されている。基準線Sから放射状にのびた3つの走行経路Lが設けられている。各走行経路Lにグリッパ爪13が移動自在に支持されている。隣り合う2つの走行経路Lにそれぞれ支持されている2つのグリッパ爪13の一方に流体圧シリンダ42のシリンダチューブ43基端部が連結されており、その他方に、同流体圧シリンダ42のピストンロッド44先端部が連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット・ローダに連結されて使用されるグリッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグリッパ装置としては、グリッパ爪の移動方向と直角方向(ワークのスラスト方向)に流体圧シリンダが配置されており、流体圧シリンダのピストンロッドの一端にリンク機構又は楔機構が組み込まれ、リンク機構又は楔機構によって、シリンダのストローク方向を直角に変更し、シリンダのストロークによってグリッパ爪を駆動するようにしているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のグリッパ装置において、リンク機構が用いられる場合、グリッパ爪の把持力・開閉ストロークはともに小さい。一方、楔機構が用いられる場合、グリッパ爪の把持力は大きくなるが、グリッパ爪の開閉ストロークは小さい。仮に、同開閉ストロークを大きくしようとすると、装置ボディの外形が大きくなる。
【0004】
他のグリッパ装置としては、グリッパ爪の移動方向と平行方向(ワークのラジアル方向)に流体圧シリンダが配置されており、流体圧シリンダのピストンロッドによって直接的にグリッパ爪を駆動するようにしているものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
この他のグリッパ装置では、流体圧シリンダの径およびストロークを大きくすることによって、グリッパ爪の把持力・開閉ストロークをともに大きくすることは可能であるが、装置ボディの外形が大きくなる。しかしながら、装置ボディの外形を大きくすることには限界があり、大きい機能は実現不可能である(通常、特許文献1記載のグリッパ装置において、楔機構が用いられる場合と比較して、把持力は弱い。)。
【特許文献1】実開昭61−96691号公報
【非特許文献1】薄型ロングストロークチャック(商品名:株式会社近藤製作所)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、装置ボディの外形が大きくなることが無く、グリッパ爪の把持力・開閉ストロークをともに大きくすることを可能とするグリッパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるグリッパ装置は、装置ボディ中央部に基準線が設定されており、基準線から放射状にのびた3つの走行経路が設けられており、各走行経路にグリッパ爪が移動自在に支持されており、隣り合う2つの走行経路にそれぞれ支持されている2つのグリッパ爪の一方に流体圧シリンダのシリンダチューブ基端部が連結されており、その他方に、同流体圧シリンダのピストンロッド先端部が連結されているものである。
【0008】
この発明によるグリッパ装置では、2つのグリッパ爪に対し1つの流体圧シリンダが連結されているから、シリンダの推力が2倍の大きさになるため、シリンダの推力を有効に利用できる。
【0009】
さらに、3つの走行経路が、120度の間隔を置いて並べられており、隣り合う2つの走行経路にそれぞれ支持されている2つのグリッパ爪の移動方向対して、これに連結されている流体圧シリンダのピストンロッドストローク方向が30度の角度をそれぞれもたされていると、グリッパ爪の移動方向に対し、流体圧シリンダが交差させられるため、装置ボディの外形をコンパクトにすることが可能である。
【0010】
また、基準線を中心として回転しうるように同期板が配置されており、同期板に各グリッパ爪がリンクを介して連結されていると、3つのグリッパ爪を同期させて移動させることができる。
【0011】
また、基準線に対しグリッパ爪を接近または離隔させる方向に付勢するばねを備えていると、流体圧シリンダへの流体の供給が停止させられた場合、ばねの力によって、グリッパ爪がワークを把持することができ、ワークの落下を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、装置ボディの外形が大きくなることが無く、グリッパ爪の把持力・開閉ストロークをともに大きくすることを可能とするグリッパ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0014】
以下の説明において、前後とは、図1を基準として、図1の左側を前、これと反対側を後というものとする。
【0015】
グリッパ装置は、ロボット・ローダのアーム11に前方突出片持状に取付けられている略三角形状の前後方向を厚みとする扁平中空箱型状装置ボディ12と、装置ボディ12からそれぞれ前方に突出させられている3つのグリッパ爪13とを備えている。
【0016】
装置ボディ12は、垂直板状ハンドプレート21と、ハンドプレート21後面に被覆されている後面カバー22と、ハンドプレート21前面に被覆されている前面カバー23とよりなる。
【0017】
ハンドプレート21を前後に貫通して、装置ボディ12の中央には垂直基準線Sが設定されている(図3)。基準線Sから3つの走行経路Lが120度の間隔をおいて放射状にのびている。
【0018】
ハンドプレート21の前面には3つの走行経路Lにそれぞれそってのびた3つのガイドレール31が設けられている。各ガイドレール31の両側にはこれにそってのびた2つのスリット32が設けられている。各ガイドレール31にはスライダ33が支持されている。スライダ33にはマスタージョー34が固定されている。マスタージョー34は、横断面方形枠状のもので、スリット32に通されている水平板状両側壁35と、両側壁35の前端部に渡されている垂直板状前壁36と、両側壁35の後端部に渡されている垂直板状後壁37よりなる。
【0019】
各グリッパ爪13は、対応するマスタージョー34の前壁36前面から前向きにのびている。
【0020】
後壁37後面には平面視略三角形状の連結部材41が後方突出状に固定されている。隣り合う2つの連結部材41に流体圧シリンダ42が渡されている。流体圧シリンダ42は、同2つの連結部材41の一方に基端部を連結しているシリンダチューブ43と、同2つの連結部材41の他方に先端部を連結しているピストンロッド44とよりなる。
【0021】
基準線Sと同心となるようにハンドプレート21の前面に前方突出水平状支持軸51が設けられ、これに、軸受52を介して垂直円板状同期板53が支持されている。同期板53の外周縁部を等分する3か所は、3つのリンク54によって対応するマスタージョー34に連結されている。
【0022】
さらに、ハンドプレート21の前面には3つの支持体61が同期板53の周方向等間隔で設けられている。各支持体61には、対応するスリット32の外側を互いに平行にのびた2つの片持状ばね棒62の基端部が固定されている。両ばね棒62の先端部は、対応するマスタージョー34に摺動自在に貫通させられている。各支持体61およびマスタージョー34の間には、ばね棒62に被せられた圧縮コイルばね63が介在させられている。
【0023】
図1〜図4には、各流体圧シリンダ42のピストンロッド44が進出させられ、3つのグリッパ爪13は離隔させられた状態が実線で示されている。この状態で、図示しない円筒状ワークがその内側から把持されることになる。
【0024】
同実線で示す状態から、各流体圧シリンダ42のピストンロッド44を退入させていくと、隣り合う2つのマスタージョー34が対応する流体圧シリンダ42によって引寄せられ、マスタージョー34は、内向きに移動していく。このときに、同期板53によって、3つのマスタージョー34は、同じ距離だけ同じ速度で移動させられる。マスタージョー34とともにグリッパ爪13も内向きに移動していき、ワークの把持が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明によるグリッパ装置の側面図である。
【図2】図1のII−II線にそう矢視図である。
【図3】図1のIII−III線にそう矢視図である。
【図4】図2のIV−IV線にそう矢視図である。
【符号の説明】
【0026】
12 装置ボディ
13 グリッパ爪
42 流体圧シリンダ
43 シリンダチューブ
S 基準線
L 走行経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ボディ中央部に基準線が設定されており、基準線から放射状にのびた3つの走行経路が設けられており、各走行経路にグリッパ爪が移動自在に支持されており、隣り合う2つの走行経路にそれぞれ支持されている2つのグリッパ爪の一方に流体圧シリンダのシリンダチューブ基端部が連結されており、その他方に、同流体圧シリンダのピストンロッド先端部が連結されているグリッパ装置。
【請求項2】
3つの走行経路が、120度の間隔を置いて並べられており、隣り合う2つの走行経路にそれぞれ支持されている2つのグリッパ爪の移動方向に対して、これに連結されている流体圧シリンダのピストンロッドストローク方向が30度の角度をそれぞれもたされている請求項1に記載のグリッパ装置。
【請求項3】
基準線を中心として回転しうるように同期板が配置されており、同期板に各グリッパ爪がリンクを介して連結されている請求項1または2に記載のグリッパ装置。
【請求項4】
基準線に対しグリッパ爪を接近または離隔させる方向に付勢するばねを備えている請求項1〜3のいずれか1つに記載のグリッパ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate