説明

グリル

【課題】燃焼時の火力に影響されることなく被調理物に対して均一な温度分布を得て焼きむらを極めて小とすることができ、燃料ガスの消費量を低減することができるグリルを提供する。
【解決手段】グリル庫の上部に、バーナ本体10と、バーナ本体10の左右端部に沿って設けられて所定間隔を存して互いに平行にグリル庫の前後方向に帯状に延びる一対の第1燃焼面13,14と、両第1燃焼面13,14の間でグリル庫の左右方向に帯状に延びて両第1燃焼面13,14を繋ぐ第2燃焼面15とを備えるグリルバーナ5を設ける。第2燃焼面15は、両第1燃焼面13,14の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面13,14に連設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、魚等の被調理物を加熱するためにテーブルコンロ等に設けられるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルコンロ等に設けられるグリルは、グリル庫内の上部にグリルバーナを備えており、グリル庫内に収容された被調理物はその上部のグリルバーナにより加熱調理される。この種のグリルバーナは、被調理物に対向する下面側に燃焼面を備えており、燃焼面は多数の小炎孔が形成された燃焼板によって構成されている。
【0003】
ところで、グリルバーナの燃焼面が下面全面に設けられているものにおいては、熱量が過剰に大きくなるために、被調理物の表面の焼き上がり速度が被調理物の内部よりも早く、良好に調理することが難しい不都合があった。
【0004】
そこで、グリル庫の前後方向に平行に延びる一対の第1燃焼面と、両第1燃焼面の前端同士を繋ぐようにしてグリル庫の左右方向に延びる第2燃焼面とによりコ字形に形成された燃焼面を備えるグリルバーナが知られている(特許文献1参照)。これによれば、燃焼面が下面全面に設けられているものに比べて熱量が過剰となることが防止できる。しかも、グリル庫の後部の混合管側に比べて燃焼面の温度が低くなる傾向にあるグリル庫の前側のグリル扉側に第2燃焼面が位置することにより、被調理物に対する温度分布の不均一が防止でき、被調理物の焼きむらを小とすることができる。
【0005】
しかし、両第1燃焼面の前端同士を繋ぐ第2燃焼面を設けても、弱火による調理を行った場合には、第2燃焼面による熱量の低下が著しく、均一な温度分布が維持できなくなる不都合がある。そこで、第2燃焼面を第1燃焼面とは別のバーナにより構成し、第2燃焼面の火力を第1燃焼面よりも大とするように各別に制御を行って温度低下を補うことが考えられるが、複数のバーナを設けることにより構造や制御が複雑になりコストが増加するだけでなく、第2燃焼面の火力を大とすることで燃料ガスの消費量も増加する不都合がある。
【特許文献1】特開2001−70179号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる不都合を解消して、本発明は、コスト増加させることなく、被調理物に対して均一な温度分布を得て焼きむらを極めて小とすることができ、しかも燃料ガスの消費量を低減すことができるグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、内部に被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫の前端部に設けられて該グリル庫内への被調理物の出し入れ時に開閉されるグリル扉と、グリル庫の上部に設けられて被調理物を上方から加熱するグリルバーナとを備えるグリルにおいて、前記グリルバーナは、バーナ本体と、該バーナ本体の左右端部に沿って設けられて所定間隔を存して互いに平行にグリル庫の前後方向に帯状に延びる一対の第1燃焼面と、両第1燃焼面の間でグリル庫の左右方向に帯状に延びて両第1燃焼面を繋ぐ第2燃焼面とを備え、該第2燃焼面は、両第1燃焼面の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面に連設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によるグリルバーナの燃焼面は、前記一対の第1燃焼面と、第1燃焼面の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面に連設された前記第2燃焼面とを備える。即ち、グリルバーナは第1燃焼面及び第2燃焼面により略H字状の燃焼面を備えている。このように、前記第2燃焼面が、グリル庫前側のグリル扉近傍に比して温度が高くなり易い両第1燃焼面の前端よりも後方側(グリル庫の内方)に位置するので、第2燃焼面の温度低下が防止でき、例えば、弱火であっても十分な熱量を得ることができ、燃料ガスの消費量を低減することができる。また、第2燃焼面よりも前方には、両第1燃焼面の前端部が延出しているので、グリル扉近傍の温度低下も防止することができる。これにより、燃焼時の火力に影響されることなく被調理物に対して均一な温度分布を得て焼きむらを極めて小とすることができ、しかも、単一のグリルバーナでよいのでコストの増加も抑えることができる。
【0009】
更に、第2燃焼面は、両第1燃焼面の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面に連設されているので、グリル庫内中央部の熱量が過剰に大となることが防止でき、しかも、第2燃焼面からグリル扉近傍への熱も十分に得ることができる。なお、発明者が各種の試験を行った結果、第2燃焼面は、両第1燃焼面の長さ方向の中央部より前方であって両第1燃焼面の長さの約1/3の位置が最も均一で良好な温度分布が得られることを知見している。
【0010】
また、本発明において、前記第2燃焼面は、直線状に延設されてもよいが、それ以外に、第2燃焼面は、その長さ方向の中央部が後方に向かって屈曲する形状、即ち、第2燃焼面が、くの字形に屈曲し、その屈曲する部分がグリル庫の内方に向いている形状であってもよい。これによれば、第2燃焼面の両端部(両第1燃焼面との接続部分)をグリル庫前方のグリル扉近傍に位置させて、グリル扉近傍の温度低下を十分に防止でき、しかも、第2燃焼面の中央部においては、比較的温度の高いグリル庫内方にあるので、第2燃焼面による十分な熱量を維持することができる。
【0011】
また、本発明において、前記グリルバーナは、表面燃焼式バーナであって、前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面は、多数の炎孔が形成されて表面燃焼を行うセラミック燃焼板により構成されていることを特徴とする。前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面を前記セラミック燃焼板により構成して表面燃焼を行うことにより、前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面への着火直後から安定性の高い燃焼炎を得ることができ、効率の良いグリル調理を行うことができる。また、セラミック燃焼板は赤外線としての輻射効果が安定して得られるので、セラミック燃焼板を用いて前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面を構成することにより良好な熱分布を形成して焼きむらのないグリル調理を行うことができる。更に、セラミック燃焼板を用いて前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面を構成することによりグリルバーナの構造を簡単とすることができ、グリルバーナを安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のグリルを示す説明図、図2はグリルバーナの説明的底面図、図3は他の形態のグリルバーナを示す説明的底面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のグリル1はテーブルコンロ2に設けられて魚等の被調理物3を加熱調理するものである。グリル1は、内部に被調理物3を収容するグリル庫4と、グリル庫4の上部に設けられたグリルバーナ5と、グリルバーナ5の下方位置に被調理物3を載置する焼き網6とを備えている。焼き網6は受け皿7上に載置され、受け皿7はグリル庫4の前方から引き出し自在に設けられている。受け皿7の前端にはグリル庫4の前方を開閉するグリル扉8が設けられている。グリル庫4の後側には、グリル庫4の燃焼排気を外部に導出する排気路9が設けられている。
【0014】
グリルバーナ5は、図1に示すように、板金製のバーナ本体10と、該バーナ本体10の下面に設けられた燃焼部11と、バーナ本体10の後部に延設された混合管12とを備えている。バーナ本体10は、中空偏平な矩形状に形成されており、その中空の内部が燃料ガスと空気との混合気室となっている。燃焼部11は、図2に示すように、バーナ本体10の左右端部に沿って設けられた一対の第1燃焼面13,14と、両第1燃焼面13,14を繋ぐ第2燃焼面15とを備えている。第1燃焼面13,14及び第2燃焼面15は、多数の炎孔が形成されたセラミック燃焼板により構成されている。また、混合管12は、その端部に燃料ガスを供給するガス管16の先端に設けられたガス噴射ノズル17を支持するノズル支持部18を備え、混合管12の端部に形成された吸入口19から、燃料ガスと一次空気とが吸入される。
【0015】
ここで、第1燃焼面13,14及び第2燃焼面15について更に詳しく説明する。第1燃焼面13,14は、図2に示すように、互いに平行に延びる帯状に形成されている。第2燃焼面15は、第1燃焼面13,14の間で帯状に延びており、第1燃焼面13,14の長さ方向の中央部より前方(グリル庫への装着時に前部となる側)に位置している。これによって、第1燃焼面13,14及び第2燃焼面15による燃焼面全体の形状が略H字状に形成されている。
【0016】
こうすることで、先ず、グリル庫4の前部に位置するグリル扉8(図1参照)等からグリル庫4内に吸入される空気を、第2燃焼面15より前方に延出する第1燃焼面13,14の前端部13a,14aにより加熱することができ、グリル庫4の前側の温度低下が防止される。
【0017】
一方、第2燃焼面15は、第1燃焼面13,14間を繋いでいるので、点火の際に一方の第1燃焼面13から他方の第1燃焼面14への火移りを円滑に行わせることができる。また、第2燃焼面15は、第1燃焼面13,14の前端と中央との間に位置するので、グリル庫4の前側の温度低下の影響を受けにくく、火力が小であっても十分な熱量を得る燃焼を維持することができる。しかも、第2燃焼面15は、比較的高い燃焼温度が得られる第1燃焼面13,14の中央部の影響を受けて、火力が小であっても十分な熱量が得られてグリル庫4の前側を加熱することができる。このように、第2燃焼面15を、両第1燃焼面13,14の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面13,14に連設したことで被調理物3に対する温度分布をグリル庫4内において均一に形成することができ、火力の大小にかかわらず被調理物3の焼きむらを防止することができる。更に、比較的小さな火力で均一な温度分布が維持できるので、燃料ガスの消費量を抑えて被調理物3を効率よく加熱することができる。
【0018】
なお、第2燃焼面15を設ける位置については、第1燃焼面13,14の長さ方向の中央部より前方位置とすることで前述の効果を得ることができるが、発明者の各種の試験によれば、第2燃焼面15は、両第1燃焼面13,14の前端側において、両第1燃焼面13,14の長さの約1/3となる位置で両第1燃焼面13,14に連設することが好ましいことを知見している。これによれば、第2燃焼面15を両第1燃焼面13,14の1/3の位置より前端側に近接させたときに比べて、第2燃焼面15がグリル庫4の前側の温度低下の影響を受けにくくなり、第2燃焼面15の火力を大とすることなく被調理物3を加熱する効率の低下を防止できる。また、第2燃焼面15を両第1燃焼面13,14の1/3の位置より中央側に近接させたときに比べて、第2燃焼面15の熱をグリル庫4の前側に伝達させることができると共に中央部の熱量が過剰となって被調理物3に焼きむらが生じることを防止できる。
【0019】
また、図示しないが、第2燃焼面15を両第1燃焼面13,14の1/3の位置より中央側に近接させる場合には、両第1燃焼面13,14の中央部の所定範囲において炎孔の数を減らし、第2燃焼面15によって増加する分の燃焼量を調節してもよい。
【0020】
また、本実施形態においては、図2に示すように、第2燃焼面15を直線状に形成したものをしめしたが、それ以外に、図3に示すように、第2燃焼面20の長さ方向の中央部を後方に向かってくの字形に屈曲させてもよい。該屈曲部21を設けることにより、第2燃焼面20の両第1燃焼面13,14に連結する両端部20a,20bをグリル庫4の前方のグリル扉8に近接させることができ、グリル庫4の前側の温度低下を十分に防止することができる。しかも、第2燃焼面20の屈曲部21においては、比較的温度の高いグリル庫4内方に位置しているので、第2燃焼面20の燃焼が円滑に行われて十分な熱量を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のグリルを示す説明図。
【図2】グリルバーナの説明的底面図。
【図3】他の形態のグリルバーナを示す説明的底面図。
【符号の説明】
【0022】
3…被調理物、4…グリル庫、8…グリル扉、5…グリルバーナ、10…バーナ本体、13,14…第1燃焼面、15,20…第2燃焼面、21…屈曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫の前端部に設けられて該グリル庫内への被調理物の出し入れ時に開閉されるグリル扉と、グリル庫の上部に設けられて被調理物を上方から加熱するグリルバーナとを備えるグリルにおいて、
前記グリルバーナは、バーナ本体と、該バーナ本体の左右端部に沿って設けられて所定間隔を存して互いに平行にグリル庫の前後方向に帯状に延びる一対の第1燃焼面と、両第1燃焼面の間でグリル庫の左右方向に帯状に延びて両第1燃焼面を繋ぐ第2燃焼面とを備え、
該第2燃焼面は、両第1燃焼面の長さ方向の中央部より前方位置において両第1燃焼面に連設されていることを特徴とするグリル。
【請求項2】
前記第2燃焼面は、その長さ方向の中央部が後方に向かって屈曲する形状であることを特徴とする請求項1記載のグリル。
【請求項3】
前記グリルバーナは、表面燃焼式バーナであって、前記第1燃焼面及び前記第2燃焼面は、多数の炎孔が形成されて表面燃焼を行うセラミック燃焼板により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のグリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−109862(P2006−109862A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297101(P2004−297101)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】