説明

グリース組成物

【課題】優れた耐フレッチングコロージョン特性を有するグリース組成物を提供する。
【解決手段】(a)鉱油および/または合成油の基油に、(b)増ちょう剤と、(c)第三リン酸カルシウムと、更に(d)酸化ワックス、石油スルホン酸、アルキル芳香族スルホン酸、サリシレートまたはフェネートのアルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩または亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種以上を加えてグリース組成物とする。上記第三リン酸カルシウムは全組成物に対して0.1〜20質量%、また、上記アルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩或いは亜鉛塩などの塩類は、0.1〜10質量%使用する。このグリース組成物は、耐フレッチングコロージョン特性に優れており、微振動を伴う苛酷な条件下においても十分な潤滑機能を果たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐フレッチングコロージョン特性を向上させたグリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フレッチングコロージョンは、擦過腐食、摺動腐食、微動摩耗とも言われ、任意の圧力で押しつけられた2物体が接触間において微小振幅の繰り返し相対すべりを行う場合に生じる摩耗現象である。2物体で微振動および微少すべりが生じると、大気中の鋼−鋼の微振動の際に生じる摩擦粉は茶褐色の微細な酸化鉄(αFe23)となり、これがグリースに混じり、茶褐色に変色する。グリースが茶褐色になる現象は、車両のホイールベアリング、ボルト締めされるフランジ、重ね板ばねなど接触する2物体が相対的な微振動および微少すべりを伴う機械のあらゆるところで生じる。フレッチングコロージョンは、機械部品や軸受の摩耗を促進し、また騒音の原因にもなる。
【0003】
このフレッチングコロージョンの特性、機構に関する研究は数多く行われているが、現在でも明らかになっていない。フレッチングコロージョンメカニズムから理論的に求められたものではないが、試験の結果により又は実用上から現象的に効果が認められるグリースが使用されている。
すなわち、従来からフレッチングコロージョンが発生する潤滑箇所に用いられる潤滑グリースとしては、高パラフィン系低粘度基油、高ちょう度(柔らかいグリース:ちょう度は320以上が特に有効である。非特許文献1)の組成グリースが使用されているが、必ずしも十分な効果が得られていない。
【0004】
また、このフレッチングコロージョンを低減させることを企図したものとして、ウレアグリースに有機モリブデン化合物を加えた自動車車輪軸受用グリース組成物(特許文献1)。有機モリブデン化合物、有機脂肪酸化合物又は有機脂肪酸誘導体、有機リン化合物からなる添加剤を1種以上加えたリチウム石けんグリース組成物(特許文献2)。基油にエステル油を用いたリチウム石けんグリースにカルシウムスルフォネートを添加したグリース組成物(特許文献3)。なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐77056号公報
【特許文献2】特開2001‐335792号公報
【特許文献3】特開2003−147378号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NLGI Spokesman,Vol 45,1(1982)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のリチウム石けんグリースやウレアグリースよりも耐フレッチングコロージョン特性を向上させることができる潤滑グリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)基油、及び(b)増ちょう剤を含むものに、(c)第三リン酸カルシウム、及び(d)酸化ワックス、石油スルホン酸、アルキル芳香族スルホン酸、サリシレートまたはフェネートのアルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩、または亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有するグリース組成物である。
【0009】
アルカリ土類金属塩としては、酸化ワックスのアルカリ土類金属塩、石油スルホン酸のアルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、サリシレートのアルカリ土類金属塩、フェネートのアルカリ土類金属塩、又はこれらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アルカリ土類金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ土類金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種がある。
【0010】
アルカリ金属塩としては、酸化ワックスのアルカリ金属塩、石油スルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、サリシレートのアルカリ金属塩、フェネートのアルカリ金属塩、又はこれらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アルカリ金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種がある。
【0011】
アミン塩としては、酸化ワックスのアミン塩、石油スルホン酸のアミン塩、アルキル芳香族スルホン酸のアミン塩、サリシレートのアミン塩、フェネートのアミン塩、又はこれらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アミン塩、石油スルホン酸の過塩基性アミン塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アミン塩、サリシレートの過塩基性アミン塩、及びフェネートの過塩基性アミン塩から選ばれる少なくとも1種がある。
亜鉛塩としては、酸化ワックスの亜鉛塩、石油スルホン酸の亜鉛塩、アルキル芳香族スルホン酸の亜鉛塩、サリシレートの亜鉛塩、フェネートの亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種がある。
この(d)のアルカリ土類金属塩類、アルカリ金属塩類、アミン塩類、亜鉛塩類は、グリース組成物の全組成物に対し、約0.1〜10質量%の割合で使用される。
また、上記(c)の第三リン酸カルシウムはグリース組成物の全組成物に対し、約0.1〜20質量%程度で使用される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグリース組成物は、耐フレッチングコロージョン特性を向上させることができる。また、上記したように、従来必要とされていた高パラフィン系低粘度基油、高ちょう度(柔らかいグリース:ちょう度は320以上)でなくてもよく、本発明においては2号ちょう度〔NLGI(米国のグリース協会)分類のちょう度番号〕の硬さであっても、高粘度油またはナフテン系基油を一部使用した場合においても、優れた耐フレッチングコロージョン特性を得ることが出来る。
このグリース組成物は、その用途として、一般に使用される機械、軸受、歯車等に使用可能であることは当然ながら、より微振動を伴う苛酷な条件下で優れた性能を発揮することができる。例えば、自動車のユニバーサルジョイントのニードルベアリング、等速ジョイント(CVJ)、ホイールベアリング、ボールねじ、ねじ、フレキシブルカップリング、各種ギヤ、カム、チェーン等の部位に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のグリース組成物に用いられる基油には、通常の潤滑油に使用される鉱油、合成油、これらの混合油を適宜使用することができ、その動粘度は40℃において約20〜400mm2/s程度のものが好ましい。
特に、API(American Petroleum Institute;米国石油協会)基油カテゴリーでグループ1、グループ2、グループ3、グループ4、グループ5に属する基油を、単独でまたは混合物として使用することができる。
【0014】
グループ1基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られるパラフィン系鉱油がある。
グループ2基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油がある。ガルフ社法などの水素化精製法により精製されたグループ2基油は、全イオウ分が10ppm未満、アロマ分が5%以下であり、本発明において好適に用いることができる。
【0015】
グループ3基油およびグループ2プラス基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油や、脱ろうプロセスにて生成されるワックスをイソパラフィンに変換・脱ろうするISODEWAXプロセスにより精製された基油や、モービルWAX異性化プロセスにより精製された基油があり、これらも本発明において好適に用いることができる。
また、天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)は、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適に用いることができる。
【0016】
グループ5基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られるナフテン系鉱油があり、これらも本発明において好適に用いることができる。
また、前述のパラフィン系鉱油とナフテン系鉱油との混合油も使用することができる。
【0017】
合成油としては、例えば、ポリオレフィン、セバシン酸ジオクチルの如き二塩基酸のジエステル、ポリオールエステル、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーンなどが挙げられる。
【0018】
上記ポリオレフィンには、各種オレフィンの重合物又はこれらの水素化物が含まれる。オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。特にポリα−オレフィン(PAO)と呼ばれているポリオレフィンが好適であり、これはグループ4基油である。
【0019】
上記増ちょう剤としては一般に知られているウレア化合物、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルフォネート、アルカリ土類金属スルフォネート、アルミニウム石けん、アルミニウム複合石けん、テレフタラメート金属塩、クレイ、ポリテトラフルオロエチレン、シリカエアロゲル(酸化ケイ素)、その他を1種で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、リチウム石けん、ウレア系増ちょう剤が欠点が少なく、実用性に優れている点で好ましいことが多い。
【0020】
本発明における第三リン酸カルシウムは、一般的には〔Ca(PO・Ca(OH)で表わされるヒドロキシアパタイト組成の化学構造を有しているものであるが、Ca(POで表されるものを使用することもできる。
本発明において下記する実施例などにおいては、〔Ca(PO・Ca(OH)を用いており、含有量もこれに基づく質量で表示している。
上記第三リン酸カルシウムは、平均粒径5μm以下のものがグリースのちょう度収率を高めるために好ましいが、平均粒径100μm以下のものであれば、問題なく使用することができる。
【0021】
この第三リン酸カルシウムは、上記グリース組成物中に加えられるが、グリース組成物の全組成物に対して約0.1〜20質量%、好ましくは約1〜15質量%、更に好ましくは約2〜10質量%を配合すると良い。
上記基油に、上記第三酸リン酸カルシウムを配合した場合、第三リン酸カルシウムによって増ちょう効果も発現し、上述したリチウム石けんやウレア、その他の増ちょう剤を減少させても組成物をグリース状態に、更にペーストやコンパウンドなどの状態にすることができる。
【0022】
この第三リン酸カルシウムの配合量が0.1質量%未満の場合には、優れた耐フレッチングコロージョン特性を維持することができない。また、配合量が20質量%を越える場合には、グリース組成物が固化して滑らかな半固体状とならないことがあり、製造も困難なことが多い。
【0023】
上記(d)のアルカリ土類金属塩としては、酸化ワックスのアルカリ土類金属塩、石油スルホン酸のアルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、サリシレートのアルカリ土類金属塩、フェネートのアルカリ土類金属塩がある。
更に、これらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アルカリ土類金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ土類金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ土類金属塩などがある。上記石油スルホン酸とアルキル芳香族スルホン酸の塩は一般にスルフォネートと呼ばれているものである。
上記のアルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどが挙げられる。
このアルカリ土類金属塩類は、上記したものの1種、または2種以上のものを併用することができる。
【0024】
上記(d)のアルカリ金属塩としては、酸化ワックスのアルカリ金属塩、石油スルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、サリシレートのアルカリ金属塩、フェネートのアルカリ金属塩があり、更に、これらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アルカリ金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ金属塩などがある。
上記のアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
このアルカリ金属塩類は、上記したものの1種、または2種以上のものを併用することができる。
【0025】
同じくアミン塩としては、酸化ワックスのアミン塩、石油スルホン酸のアミン塩、アルキル芳香族スルホン酸のアミン塩、サリシレートのアミン塩、フェネートのアミン塩があり、更に、これらの過塩基性化物である酸化ワックスの過塩基性アミン塩、石油スルホン酸の過塩基性アミン塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アミン塩、サリシレートの過塩基性アミン塩、及びフェネートの過塩基性アミン塩などがある。
上記のアミン塩を生成するものとしては、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。
このアミン塩類は、上記したものの1種または2種以上のものを併用することができる。
【0026】
また上記(d)の亜鉛塩としては、酸化ワックスの亜鉛塩、石油スルホン酸の亜鉛塩、アルキル芳香族スルホン酸の亜鉛塩、サリシレートの亜鉛塩、フェネートの亜鉛塩がある。
この亜鉛塩類は、同様に上記したものの1種、または2種以上のものを併用することができる。
【0027】
上記アルキル芳香族スルホン酸の塩としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸またはアルキルナフタレンスルホン酸の塩であって、一般式(1)又は一般式(2)のものが挙げられる。
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
上記一般式(1)及び一般式(2)中、Mは上記アルカリ土類金属、アルカリ金属、アミン、亜鉛であり、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは1〜3の整数であり、また、h,kは1〜2の整数である。
【0030】
また、上記アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属の過塩基性化物は、正塩に過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩の炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガスの存在下で反応させて得ることができる。
【0031】
上記サリシレートの塩としては、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩、亜鉛塩などがあるが、例えば、下記一般式(3)のサリシレートなどが挙げられる。
【化3】

式(3)中、Mは上記アルカリ土類金属、アルカリ金属、アミン、亜鉛であり、好ましくはアルカリ土類金属であり、より好ましくはカルシウム又はマグネシウムである。Rは、水素原子又は炭素数1〜40の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜22のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは1〜4の整数、jは1〜2の整数である。
【0032】
例えば、Ca型サリシレートは正塩のまま用いることもできるが、Ca型サリシレートの正塩を過剰のCa塩やCa塩基と水の存在下で加熱することにより得られる塩基性Caサリシレートや、Ca型サリシレートの正塩をCaの炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガスの存在下で反応させることにより、得られる過塩基性Caサリシレートを用いることもできる。他の過塩基性塩も上記に準じて得ることができる。
【0033】
フェネートの塩としては、例えばアルカリ土類金属塩として、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩又はカルシウム塩その他が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(4)、(5)、(6)で表されるものを挙げることができる。
【0034】
【化4】

【0035】
【化5】

【0036】
【化6】

【0037】
式4中のRとR、式5中のRとR、式6中のRとR10は同じでも異なっていてもよく、各々独立に炭化水素基、好ましくは炭素原子数4〜30の炭化水素基、より好ましくは炭素数9〜22のアルキル基から選ばれ、また、式4、5,6において、Mはアルカリ土類金属(好ましくは、Ca、Ba、Mg)であり、xは含まれる特定の金属に依存して1〜3の範囲内にある。
本発明で使用するには、カルシウム及びマグネシウムフェネートが好ましい。また、上記の分離した式に相対して多重フェネート環が形成されていてもよい。
【0038】
過塩基性アルカリ土類金属のフェネートは、アルキルフェノール又は硫化アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩であり、通常、アルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩を炭酸化する方法により得られる。
【0039】
上記した(d)のアルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩、亜鉛塩は、これらから1つが選ばれ、または適宜に併用することができるもので、こうした塩類は、グリース組成物の全組成物に対して約0.1〜10質量%、好ましくは約1〜8質量%、更に好ましくは約2〜7質量%を配合して使用すると良い。
この添加配合量が0.1質量%未満の場合には、優れた耐フレッチングコロージョン特性を維持することができないし、配合量が10質量%を越える場合には、耐フレッチングコロージョン特性の向上に関し、効果の増大が見られないことが多い。
【0040】
本発明のグリース組成物には、上記成分に加えて、その用途に応じて酸化防止剤、極圧剤、分散剤、界面活性剤、付着性向上剤(ポリマーなど)、油性剤、摩擦低減剤、耐摩耗剤、防錆剤、防食剤、固体潤滑剤、その他の添加剤を適宜に併用することができる。
【0041】
上記酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、ホスファイト系、硫黄系、ジアルキルジチオリン酸塩等の酸化防止剤を使用することができるが、特に、高温で酸化安定性に優れるフェノール系、アミン系が好ましいことが多い。
【0042】
フェノール系酸化防止剤としては、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(川口化学社製:アンテージDBH)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類がある。
また、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(吉富製薬社製:トミノックスSS)、n−ドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL135)などのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−400)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−500)などの2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類がある。
【0043】
さらに、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−300)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(シェル・ジャパン社製:Ionox220AH)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン(シェル・ジャパン社製:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL109)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](吉富製薬社製:トミノックス917)、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL115)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学:スミライザーGA80)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類がある。
そして、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL101)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(吉富製薬社製:ヨシノックス930)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(シェル・ジャパン社製:Ionox330)、ビス−[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類、p−t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体、p−t−ブチルフェノールとアセトアルデヒドの縮合体などのフェノールアルデヒド縮合体などが挙げられる。
【0044】
アミン系酸化防止剤としては、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミン(精工化学社製:ノンフレックスOD−3)、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミン、N−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンなどのジアルキル−ジフェニルアミン類、モノ−t−ブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン類、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなどのビス(ジアルキルフェニル)アミン類、オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、N−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンなどのアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミン、N−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアリール−ナフチルアミン類、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、フェノチアジン(保土谷化学社製:Phenothiazine)、3,7−ジオクチルフェノチアジンなどのフェノチアジン類などが挙げられる。
【0045】
上記極圧剤、耐摩耗剤としては、硫化油脂、硫化オレフィン、ジチオカルバミン酸亜鉛やジチオカルバミン酸モリブデン等のジチオカルバミン酸塩等の硫黄化合物や、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステル,リン酸エステルのアミン塩,亜リン酸エステルのアミン塩,酸性リン酸エステルのアミン塩,酸性亜リン酸エステルのアミン塩等のリン化合物や、チオリン酸エステル,ジチオリン酸亜鉛,ジチオリン酸モリブデン等のジチオリン酸塩等の硫黄リン化合物、モリブデンアミン化合物その他のモリブデン化合物等々の使用が可能である。特に、摩擦摩耗特性に優れる有機モリブデン化合物が好ましい。
【0046】
また、防錆剤、防食剤としては、一般的に使用されるものが挙げられ、例えば、有機酸誘導体、中でも特にコハク酸エステル誘導体、アスパラギン酸誘導体、ザルコシン酸誘導体、4-ノニルフェノキシ酢酸等が好ましく用いられる。
また、有機アミン誘導体や有機アミド誘導体、中でも、ジエタノールアミン、モノアルキル一級アミン、ジアミン・ジ脂肪酸塩、ジアミン、イソステアリン酸のアミド、オレイン酸のアミド等が好ましいものとして挙げられる。
その他のものとして、硫化脂肪酸、界面活性剤(ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ステアリン酸・オレイン酸のモノ・ジグリセライド等)等も好ましいものとして挙げられる。
他にも、ナフテン酸塩、二塩基酸のアルカリ金属塩、二塩基酸のアルカリ土類金属塩若しくはベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、チオカーバメートから選ばれるものも良く、好ましいものとして、セバシン酸ナトリウム及びベンゾトリアゾール、或いはそれらを併用したものも挙げられる。
【0047】
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、メラニンシアヌレート、窒化ホウ素、雲母、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などがあげられる。
上記したその他の添加剤は、勿論、市販の潤滑油または半固体状潤滑油中に、予め添加されている状態でも使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例及び比較例の調製にあたり、下記の組成材料を用意した。
(1)基油A:パラフィン系鉱油で、40℃の動粘度が144.1mm2/s、粘度指数が96のもの。
(2)基油B:パラフィン系鉱油とナフテン系鉱油の混合油で、40℃の動粘度が130.2mm2/s、粘度指数が79のもの。
(3)基油C:原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油でありAPI分類グループ3に属する基油で、40℃の動粘度が46.87mm2/s、粘度指数が127のもの。
(4)基油D:ポリα−オレフィン(PAO)で、40℃の動粘度が46.24mm2/s、粘度指数が137のもの。
【0049】
(5)リチウム石けん:リチウム-12-ヒドロキシステアレート。
(6)ジウレア化合物:オクチルアミン(C817NH2)2モルとMDI(4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート)1モルとの反応物。
(7)第三リン酸カルシウム:〔Ca(PO・Ca(OH)、平均粒径約5μm。
(8)カルシウムスルフォネート(King Industries,Inc.;商品名Na−SUL 729)。
(9)カルシウムサリシレート(Infineum Japan Ltd.;商品名Infineum M7121)。
(10)カルシウムフェネート(Oronite Chemical Co.;商品名Oloa 229)。
(11)酸化ワックスのカルシウム塩(Lubrizol Corporation;商品名ALOX 165)。
(12)バリウムスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL BSN)。
(13)リチウムスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL 707)。
(14)ナトリウムスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL SS)。
(15)アンモニウムスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL AS)。
(16)ジエチレントリアミンスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL DTA)。
(17)エチレンジアミンスルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL EDS)。
(18)亜鉛スルフォネート(King Industries, Inc.;商品名Na−SUL ZS−HT)。
【0050】
(実施例・比較例の調製)
表1〜表3に示す配合割合で組成材料を混合し、三本ロールミルで処理し、均一状態に仕上げて実施例1〜22のグリース組成物を得た。
また、表4〜表6に示す配合割合とし、上記実施例と同様にして比較例1〜20を得た。
【0051】
(試験)
実施例1〜22及び比較例1〜20について、その特性を比較するために下記の試験を行った。
(1)ちょう度:JIS K2220(ASTM D1403)に規定するグリースの性状のちょう度について、混和ちょう度(25℃、60W)を測定した。
このちょう度は、数値の小さいものが、粘ちょう性が高いことを示している。
(2)フレッチングコロージョン試験:ASTM D4170に準拠し、試験を行った。
試験 軸受: スラスト軸受51203(日本精工株式会社製)
グリース量: 上下の試験軸受に1.0±0.05g
スラスト荷重:2450N(550lb)
振 幅: 0.21radian(12°)
振 動 数: 30Hz〈1800サイクル/分〉
試験 温度: 室温
試験 時間: 22hours
耐フレッチングコロージョン特性は、
(上部軸受レース摩耗量+下部軸受レース摩耗量)/2
の計算式で軸受1組当たりのレース質量減(摩耗量)(mg)を算出した。
また、次の基準により評価を評点1〜4で表示した。摩耗量の少ないものが好ましい。
評点1:耐フレッチング摩耗量 3.0mg以下
評点2:耐フレッチング摩耗量 3.0mg超〜4.5mg未満
評点3:耐フレッチング摩耗量 4.5mg以上〜10.0mg未満
評点4:耐フレッチング摩耗量 10.0mg以上
【0052】
(試験結果)
各試験の結果を、表1〜表6に記載した。
【0053】
(考察)
実施例1〜実施例22及び比較例1〜比較例20に示すものは、ちょう度が272〜295であって、いずれもNLGI(米国のグリース協会)分類のちょう度番号2号(混和ちょう度で265〜295)のグリースの硬さを示している。
実施例1〜実施例14、実施例18〜22の耐フレッチングコロージョン特性は、いずれも「評点1」を示し極めて優れていることが判る。また、実施例15〜実施例17のものは「評点2」を示しており、「評点1」程ではないが優れており、実用上は遜色がない。
更に、各種の基油を使用した場合にも、良好な結果が得られている。
一方、比較例2〜比較例7、比較例9、比較例11〜比較例15及び比較例17〜比較例20では「評点3」であり、比較例1、比較例8、比較例10及び比較例16では「評点4」であって、実施例に比べて摩耗量が多くその特性において劣っていることが判る。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基油、(b)増ちょう剤、(c)第三リン酸カルシウム、及び
(d)酸化ワックス、石油スルホン酸、アルキル芳香族スルホン酸、サリシレートまたはフェネートのアルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩または亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有するグリース組成物。
【請求項2】
上記(d)のアルカリ土類金属塩が酸化ワックスのアルカリ土類金属塩、石油スルホン酸のアルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、サリシレートのアルカリ土類金属塩、フェネートのアルカリ土類金属塩、酸化ワックスの過塩基性アルカリ土類金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ土類金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ土類金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
上記(d)のアルカリ土類金属塩類のアルカリ土類金属がカルシウム、マグネシウムまたはバリウムのいずれかである請求項2に記載のグリース組成物。
【請求項4】
上記(d)のアルカリ金属塩が酸化ワックスのアルカリ金属塩、石油スルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、サリシレートのアルカリ金属塩、フェネートのアルカリ金属塩、酸化ワックスの過塩基性アルカリ金属塩、石油スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アルカリ金属塩、サリシレートの過塩基性アルカリ金属塩、及びフェネートの過塩基性アルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項5】
上記(d)のアルカリ金属塩類のアルカリ金属がリチウムまたはナトリウムのいずれかである請求項4に記載のグリース組成物。
【請求項6】
上記(d)のアミン塩が酸化ワックスのアミン塩、石油スルホン酸のアミン塩、アルキル芳香族スルホン酸のアミン塩、サリシレートのアミン塩、フェネートのアミン塩、酸化ワックスの過塩基性アミン塩、石油スルホン酸の過塩基性アミン塩、アルキル芳香族スルホン酸の過塩基性アミン塩、サリシレートの過塩基性アミン塩、及びフェネートの過塩基性アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項7】
上記(d)の亜鉛塩が酸化ワックスの亜鉛塩、石油スルホン酸の亜鉛塩、アルキル芳香族スルホン酸の亜鉛塩、サリシレートの亜鉛塩、フェネートの亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項8】
上記増ちょう剤がリチウム石けん又はウレア化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のグリース組成物。
【請求項9】
上記第三リン酸カルシウムがグリース組成物に対し、0.1〜20質量%含有されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のグリース組成物。
【請求項10】
上記(d)のアルカリ土類金属塩、アルカリ金属塩、アミン塩及び亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種の含有量が、グリース組成物に対し0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のグリース組成物。

【公開番号】特開2011−184680(P2011−184680A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284683(P2010−284683)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】