グレートーンマスク及びその製造方法
【課題】マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)及び機械強度をもち、液晶カラーディスプレイ製造のコストダウン化技術に必要であり、優れた加工性を有したグレートーンマスク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、半透光部を形成する半透光膜が第一の薄膜として形成した金属Cr膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とで構成される。
また、グレートーンマスクの製造方法は、フォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成することから成る。
【解決手段】遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、半透光部を形成する半透光膜が第一の薄膜として形成した金属Cr膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とで構成される。
また、グレートーンマスクの製造方法は、フォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成することから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶カラーディスプレイ装置の製造に用いられるグレートーンマスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT−LCD)の製造において、コストダウンを図る技術の開発が進められている。カラーフィルター製造工程においては、高コストなフォトリソ工程を用いず、低コストであるインクジェット方式による作成が試みられ、TFT基板製造工程においては、グレートーンマスクを用いてTFTチャネル部の形成工程やイオン注入工程などに用いられるマスク数を削減し、フォトリソ工程を少なくすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
グレートーンマスクと呼ばれるフォトマスクは、通常のフォトマスクと異なり、グレートーンマスク1枚から二種類以上の露光量が得られ、1枚のグレートーンマスクで従来のフォトマスクの2枚以上の工程を行うことができ、マスク数、すなわち、フォトリソ工程を少なくできる。
【0004】
グレートーンマスクの構造は遮光部と開口部と半透光部から成り、遮光部と開口部は通常のフォトマスクと同じ機能を有し、半透光部は開口部に対して中間の露光量を得るようにされている。グレートーンマスクから得られる露光量を二種類とした場合、開口部からの露光量100%と半透光部からの中間の露光量となる。半透光部からの露光量は半透光部の透過率で決まり、TFT基板製造工程に求められる条件に応じて20〜50%の範囲で選択される。なお、当然遮光部からの露光量は0%である。
【0005】
また、グレートーンマスクは半透光部の構造から二種類に分類され、一つは、添付図面の図8に示すようなスリットマスクと呼ばれるタイプであり、もう一つは図9〜図12に示すようなハーフトーンマスクタイプと呼ばれるタイプがある。これらの図においてAは遮光部、Bは半透光部、Cは開口部である。
【0006】
図8に示すスリットマスクタイプのグレートーンマスクは露光機の解像限界の微細パターンを半透光部Bとして用いることにより中間の露光量を得ている(特許文献1参照)。現在のLCD用大型マスクの露光機の解像限界が3〜4μmであるので、半透光部の微細パターンは1〜2μmのサイズとなるが、微細パターンの欠陥検出は、現在のLCD用大型マスクの技術では難しい。
【0007】
ハーフトーンマスクタイプのグレートーンマスクは、製造方法及びマスク構造において、さらに四種類に分類される。図9に示すマスク構造では半透光部Bは遮光膜をハーフエッチングすることにより形成される。透明性のある酸化Cr膜等のCr化合物を遮光膜とし、この遮光膜のウエット又はドライエッチングによるハーフエッチングで中間の膜厚の半透光部を得る技術が提案されている(特許文献2参照)。酸化Cr膜(CrOx膜)等のCr化合物は金属Cr膜よりも遮光性が得られる膜厚が厚いため、中間の膜厚を得るためのハーフエッチングは金属Cr膜よりも容易であると述べている。しかし、この方法でも、大型マスク全面でのハーフエッチングによる膜厚制御及び半透光部の面内の均一性を保証するのは困難である。
【0008】
図10に示すマスク構造は、半透光膜D、ストッパー膜E及び遮光膜Fの三層膜構造とし、ストッパー膜Eを用いてエッチストップさせることによりハーフエッチングによる膜厚制御を可能とし、半透光部Bを得ている(特許文献3参照)。特許文献3によれば、ストッパー膜はSiO2等の透過率に影響を与えないものとし、半透光膜と遮光膜は同一材料でも異種材料でもよいと記載されている。ストッパーをSiO2とし、半透光膜と遮光膜をCr膜とした場合、開口部Cを得るためのエッチングは
1)Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)、
2)フッ酸エチング液及び
3)Crエッチング液
を用いた三工程となる。また半透光部Bを得るためのエッチングはCrエッチング液を用いた一工程(ストッパー層の除去を行う場合は二工程)となる。また、半透光膜の組成として酸化Cr膜(CrOx膜)及び、金属Cr膜等が提案されている。
【0009】
図11には、半透光膜G及び遮光膜Hを異なる組成の二層膜構造とし、通常のCr膜フォトマスクパターンをフォトリソ工程で形成した後、マスク開口部の一部に酸化Cr膜(CrOx膜)、金属Cr膜、SiNx膜等の半透光膜を再度成膜し、半透光部Bを形成したマスク構造が示されている。このようなプロセスは特許文献1及び特許文献4に提案されている。
【0010】
図12に示すマスク構造は、図11に示すマスク構造と逆の構造となり、半透光膜I及び遮光膜Jを異なる組成の二層膜構造とし、各層のドライエッチング性の差を利用し、ハーフエッチングで中間の膜厚の半透光部Bを得ている。かかるプロセス技術は特許文献5に提案されている。二層膜構造において、半透光膜をMoSi膜、遮光膜をCr膜とした場合、Cr膜は塩素系ガスを用いたドライエッチング、あるいは、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いたウエットエッチングを行い、次に、MoSi膜をフッ素系ガスを用いたドライエッチングでそれぞれ選択的にエッチングを行い中間の膜厚を得る技術が提案されている。
【0011】
図8に示すようなスリットマスクタイプのグレートーンマスクの加工プロセスは通常のフォトマスクのフォトリソ工程と同じである。また図9、図10、図11及び図12に示すようなハーフトーンマスクタイプのグレートーンマスクにおいてはこれらのようなハーフエッチングを用いるグレートーンマスクの加工プロセスは特許文献2、特許文献3及び特許文献5に記載されているように、二回のフォトリソ工程で行うのが一般的であるが、工程数の少ない加工プロセスも提案されている(特許文献6参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平8−24932
【特許文献2】特開平7−49410
【特許文献3】特開平2002−189281
【特許文献4】特開平2005−257712
【特許文献5】特開平2005−37933
【特許文献6】特開平2002−189280
【0013】
上述のように、グレートーンマスクを構成する半透光膜は一般的に酸化Cr膜(CrOx膜)又は、金属Cr膜等が用いられるが、金属Cr膜を半透光膜として用いる場合、金属Cr膜は透過率20〜50%を示すような膜厚は約10nm以下とCrOx膜と比較して膜厚は小さく、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)及び機械強度に乏しく、実用化が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点を鑑み、液晶カラーディスプレイ製造のコストダウン化技術に必要であり、優れた加工性を有したグレートーンマスク及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明によれば、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、半透光部を形成する半透光膜がCr金属膜を主要素としていることを特徴としている。
【0016】
半透光膜の主要素を成すCr金属膜は5〜10nmの膜厚範囲にあるのが好ましい。
【0017】
半透光部を形成する半透光膜は、第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含み得る。この場合、半透光膜の第一の薄膜を成すCr金属膜は5〜10nmの膜厚範囲にあり、第二の薄膜を成す酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜が0.1〜7.5nmの膜厚範囲にあるのが好ましい。
【0018】
本発明のグレートーンマスクをTFT基板製造に用いるために、半透光膜の透過率は20〜50%となるように構成され得る。
【0019】
このように構成したことによって、半透光膜として金属Cr膜を主成分として用いる場合、透過率20〜50%を示すような膜厚である約15nm以下で用いても、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)や機械強度を十分有しており実用的である。
【0020】
硫酸等に対する耐薬品性は金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜の寄与によるものである。金属Cr膜は耐薬品性に乏しく、酸化Cr膜又はC酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は耐薬品性に優れていることが一般的に知られている。例えば、Cr膜フォトマスクにおいて、金属Cr膜(ごく微量の反応性ガスが添加されているCr膜も含める)上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は、反射防止の機能を有するだけでなく、耐薬品性の向上にも寄与していることが一般的に知られている。Crフォトマスクは通常100nm前後の積層膜(金属Cr膜と酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜との積層膜)として用いられているが、本発明の半透光膜はこれらを10nm前後に縮小した構造に近いものである。よって本発明の半透光膜が耐薬品性に優れているものと推測される。
【0021】
半透光膜の透過率は、膜厚で制御可能である。半透光膜の透過率の制御(20〜50%)は主に金属Cr−酸化Cr二層膜の内、金属Cr膜の膜厚で調節するのが好ましい。第一の薄膜としてのCr金属膜の膜厚は5〜10nmの範囲にあれば所望の透過率が得られる。金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は金属Cr膜の光学特性に影響を与えない、かつ十分に耐薬品性が得られる膜厚、すなわち金属Cr膜よりも小さい膜厚、すなわち0.1〜7.5nmの膜厚範囲で、より好ましくは1〜5nmの膜厚範囲で形成されるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の別の特徴によれば、グレートーンマスクは種々の構造が提案されているが、半透光部を形成するための半透光膜が金属成分としてCrを含む薄膜から成るグレートーンマスクに対して、いずれの構造に対しても本発明における半透光膜は適用可能である。
【0023】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0024】
また、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0025】
さらに、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜と半透光膜の金属成分と異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0026】
本発明の第2の発明によれば、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に遮光膜を形成したブランクスを用い、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜をエッチングして、Cr膜フォトマスクの開口部を形成し、形成した開口部の一部に半透光膜を形成することを特徴としている。
【0027】
本発明の第2の発明による方法においては、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜又は金属Cr−酸窒化クロム二層膜又は金属Cr−窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることできる。
【0028】
本発明の第2の発明による方法においては、透明基板上に金属成分の異なる半透光膜及び遮光膜を順に形成したブランクスが用いられ、半透光膜及び遮光膜のエッチング特性の違いを利用して作成され得る。
【0029】
本発明の第2の発明による方法においては、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いられ、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び前記半透光膜の金属成分と異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるグレートーンマスクは、上述のように構成することにより液晶カラーディスプレイ製造のコストダウンに寄与できる。
【0031】
また、本発明によるグレートーンマスクの製造方法によれば、液晶カラーディスプレイ製造のコストダウン化技術に必要なグレートーンマスクにおいて、優れた加工性を持ったグレートーンマスクを提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面の図1〜図7を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明によるグレートーンマスクの製造工程の一例を示す。
【0033】
図1の(a)は一般的な大型フォトマスク用Crブランクスの構成を示している。図示大型フォトマスク用ブランクスは透明ガラス基板1の表面上に直接若しくは間接に付着させて形成したCrからなる遮光膜(反射防止膜を含む)2を有し、遮光膜2上にポジ型レジストを塗布し、プリベークを行うことによりレジスト膜3が形成されている。
【0034】
図1の(b)はレジスト露光工程及び現像工程を示し、(a)に示すCrマスクブランクスを露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0035】
次に図1の(c)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜2をエッチングし、これによりマスク開口部5が形成される。
【0036】
次に図1の(d)に示す工程において、アルカリでレジスト膜3が除去されフォトマスクが得られる。
【0037】
次に図1の(e)に示す工程において、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜6を形成し、半透光部7が得られる。
【0038】
次に図1の(f)に示す工程において、再度ポジ型レジストを塗布し、レジスト膜8を形成する。
【0039】
こうして形成したレジスト膜8を図1の(g)に示す工程において露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0040】
図1の(h)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液を用いて、遮光膜2と半透光膜6を一括エッチングし、これにより開口部5が形成される。
【0041】
最後に、図1の(i)の工程において、アルカリでレジスト膜7が除去され、グレートーンマスクが得られる。図1の(i)において、9は遮光部である。
【0042】
次に、図2に示すグレートーンマスクの製造工程の別の実施形態について説明する。
【0043】
図2の(a)には、図1の(a)に示すものと同様な大型フォトマスク用Crブランクスの構成を示している。
【0044】
図2の(b)はレジスト露光工程及び現像工程を示し、(a)に示すCrマスクブランクスを露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0045】
次に図2の(c)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜2をエッチング、これによりマスク開口部5が形成される。
【0046】
次に図2の(d)に示す工程において、アルカリでレジスト膜3が除去されフォトマスクが得られる。
【0047】
次に図2の(e)に示す工程において、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜6を形成し、半透光部7が得られる。
【0048】
次に図2の(f)に示す工程において、再度ポジ型レジストを塗布し、レジスト膜8を形成する。
【0049】
こうして形成したレジスト膜8を図2の(g)に示す工程において露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0050】
図2の(h)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液を用いて、半透光膜6をエッチングし、これにより開口部5が形成される。
【0051】
最後に、図2の(i)の工程において、アルカリでレジスト膜8が除去され、グレートーンマスクが得られる。図2の(i)において、9は遮光部である。
【0052】
図1及び図2の(d)は図1及び図2の(a)に示すブランクスをフォトリソ加工して得られた一般的なフォトマスクを示している。本発明において使用する大型フォトマスク用Crブランクスとしては市販のものを利用できる。また、図1及び図2の(d)に示すフォトマスクとしては一般的なフォトリソ加工工程を経たものを利用してもよい。
【0053】
フォトマスク上に形成される半透光膜6は開口部5に対して中間の露光量を得るためのものであり、半透光膜6から得られる露光量は半透光膜6の透過率で決まり、TFT−LCD製造工程に求められる条件に応じて20〜50%の範囲で選択される。半透光膜6は一般的に金属Cr膜や酸化Cr膜(CrOx膜)が使用されるが、耐薬品性に優れた酸化Cr膜(CrOx膜)が主に使用されている。
【0054】
本発明の半透光膜6は、第一の薄膜として金属Cr膜、及び、この第一の薄膜上に第二の薄膜として酸化Cr膜を第一のCr金属膜よりも薄い膜厚で形成する。このように構成したことによって、半透光膜6として金属Cr膜を主成分として用いる場合、透過率20〜50%を示すような膜厚である約15nm以下で用いても、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)や機械強度を十分有しており実用的である。また、この半透光膜6の分光透過率は酸化Cr膜が金属Cr膜よりも透明性が高く、さらに酸化Cr膜の膜厚が金属Cr膜よりも小さいので、金属Cr膜とほぼ同様な特性を示す。一例として図7及び表1に金属Cr−酸化Cr二層膜が9nm(金属Cr層:7nm、酸化Cr層:2nm)である場合の分光透過率を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
半透光膜6の透過率は、図4に示すように膜厚で制御可能である。また、半透光膜6の透過率の制御(20〜50%)は主に金属Cr−酸化Cr二層膜の内、金属Cr膜の膜厚で調節するのが好ましい。第一の薄膜としてのCr金属膜の膜厚は図5に示すように5〜10nmの範囲にあれば所望の透過率が得られる。金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜は金属Cr膜の光学特性に影響を与えない、かつ十分に耐薬品性が得られる膜厚、すなわち金属Cr膜よりも小さい膜厚、すなわち0.1〜7.5nmの膜厚範囲で、より好ましくは1〜5nmの膜厚範囲で形成されるのが好ましい。図4は金属Cr−酸化クロム二層膜のうち酸化Cr膜の膜厚(約2〜3nm)を一定とし、金属Cr膜の膜厚を変えた時の半透光膜6の透過率を示している。金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜6は5〜15nmの膜厚範囲において、それぞれ所望の透過率が得られる。これに対して図5の金属Crのみとした場合は、5〜10mの膜厚範囲において、それぞれ所望の透過率が得られ、その膜厚制御範囲は金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜のものよりも小さい。
【0057】
半透光膜6の酸化Cr膜の代わりに酸窒化Cr膜、窒化Cr膜を用いることができる。これらの膜も金属Cr膜より耐薬品性が優れている。
【0058】
本発明に使用されるCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)は調整された市販のものを用いることができる。
【0059】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態では、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜を適用しているが、本発明の半透光膜は、種々の構造のグレートーンマスクに対して適用可能である。特に半透光部を形成するための半透光膜が金属成分としてCrを含む薄膜から成るグレートーンマスクに対して本発明の半透光膜は適用可能である。
【0060】
例えば、図12に示すように、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜は適用可能である。
【0061】
さらに、図10に示すように遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜と遮光膜と半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜は適用可能である。なお、これらのタイプのグレートーンマスクの製造工程に用いられるエッチング液は、本発明における金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜については市販のCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いることができ、他の組成の構成材料に関してはそれぞれの膜質に従ったエッチング液を選択し使用する。
【実施例1】
【0062】
Crターゲットを使用して所定の雰囲気ガスの真空室内で直流スパッタリング法により半透光膜を成膜した。
【0063】
透明ガラス基板は、5.0mmの石英ガラスを用い、成膜中は真空チャンバ内に設けられた石英ヒーターにより透明基板が200〜250℃になるように加熱した。真空チャンバ内には、雰囲気ガスとして、金属Cr−酸化クロム二層膜のうち金属Cr膜層の作成にはArガスのみを用い、酸化Cr膜層の作成にはArガスとO2ガスを用い反応性スパッタリング法で成膜を行った。膜厚は投入電力により制御した。
【0064】
形成された半透光膜の膜厚の測定は、膜厚が10nm前後と小さく一般的な触針式膜厚計での測定が困難であるので、走査型プローブ顕微鏡(AFM)を用いて、金属Cr−酸化Cr二層膜の膜厚を測定した。酸化Cr膜の膜厚は二層膜及び金属Cr膜(比較例1で得られる)の膜厚の差から計算で求めた。
【0065】
金属Cr−酸化クロム二層膜に関して膜厚と透過率のとの相関を調べた結果(酸化Cr膜の膜厚を約2〜3nmで一定とする)は、それぞれ図4、図5に示すグラフの通りであった。また、金属Cr−酸化Cr二層膜が9nm(金属Cr層:7nm、酸化Cr層:2nm)である場合の分光透過率を図3及び表1に示す。
【0066】
金属Cr−酸化クロム二層膜に関して(1)濃硫酸120℃(2)3%−NaOH水溶液 室温条件での耐薬品試験を行った。図6、図7はそれぞれの条件での浸漬時間に対する透過率の変化を示している。
【0067】
その結果、濃硫酸120℃の条件において金属Cr−酸化クロム二層膜は30分の浸漬でも透過率の変化は見られなかった。3%−NaOH水溶液の条件においても30分の浸漬で透過率の変化は見られなかった。
【比較例1】
【0068】
Crターゲットを使用して実施例1と同様な条件で成膜を行った。真空チャンバ内には、雰囲気ガスとして、Arガスのみを用い金属Cr単層膜の成膜を行った。
【0069】
金属Cr単層膜に関して膜厚と透過率のとの相関を調べた結果は、それぞれ図5に示すグラフの通りであった。また、実施例1と同様な条件で耐薬品試験を行った結果を図6、図7にそれぞれ示した。
【0070】
その結果、濃硫酸120℃の条件において金属Cr単層膜は10分の浸漬で膜が消失した。3%−NaOH水溶液の条件において金属Cr単層膜は10分の浸漬で2%の透過率上昇(膜の溶解)が見られた。
【実施例2】
【0071】
実施例1で得られた金属Cr−酸化クロム二層膜を半透光膜とし、グレートーンマスクを作成した。Crフォトマスク上に金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜を成膜し、次にこの上部にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、半透光膜及び遮光膜をCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いてエッチングし、マスク開口部を得た。得られたグレートーンマスクの半透光部の透過率を測定した結果、及び開口部のSEMによる断面形状評価結果は表2に示すとおりであった。
【0072】
【表2】
【0073】
その結果、半透光部の透過率は、グレートーンマスクとして必要とされる20〜50%の範囲にあり、グレートーンマスクへの加工が可能であった。グレートーンマスクへのエッチング加工後、開口部の断面形状は垂直で良好であった。これらの結果から本発明の半透光膜を含むグレートーンマスクは実用的に使用できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態によるグレートーンマスクの製造工程を示す概略断面図。
【図2】本発明の別の実施形態によるグレートーンマスクの製造工程の別の例を示す概略断面図。
【図3】図1及び図2に例示した方法で作成した半透光膜の分光透過率を示すグラフ。
【図4】半透光膜が金属Cr−酸化Cr二層膜(酸化Cr膜は2nmに固定)である場合の半透光部の膜厚と透過率との関係を示すグラフ。
【図5】半透光膜が金属Cr単層膜である場合の半透光部の膜厚と透過率との関係を示すグラフ。
【図6】半透光膜の耐薬品性試験結果/透過率の変化(条件:濃硫酸120℃)を示すグラフ。
【図7】半透光膜の耐薬品性試験結果/透過率の変化(条件:3%−NaOH水溶液 室温)を示すグラフ。
【図8】(a)は従来のスリットマスクタイプのグレートーンマスクの平面図、(b)はその断面図。
【図9】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクの一例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図10】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクの別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図11】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクのさらに別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図12】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクのさらに別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【符号の説明】
【0075】
1:透明ガラス基板
2:遮光膜
3:レジスト膜
4:レジストパターン
5:開口部
6:半透光膜
7:半透光部
8:レジスト膜
9:遮光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶カラーディスプレイ装置の製造に用いられるグレートーンマスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT−LCD)の製造において、コストダウンを図る技術の開発が進められている。カラーフィルター製造工程においては、高コストなフォトリソ工程を用いず、低コストであるインクジェット方式による作成が試みられ、TFT基板製造工程においては、グレートーンマスクを用いてTFTチャネル部の形成工程やイオン注入工程などに用いられるマスク数を削減し、フォトリソ工程を少なくすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
グレートーンマスクと呼ばれるフォトマスクは、通常のフォトマスクと異なり、グレートーンマスク1枚から二種類以上の露光量が得られ、1枚のグレートーンマスクで従来のフォトマスクの2枚以上の工程を行うことができ、マスク数、すなわち、フォトリソ工程を少なくできる。
【0004】
グレートーンマスクの構造は遮光部と開口部と半透光部から成り、遮光部と開口部は通常のフォトマスクと同じ機能を有し、半透光部は開口部に対して中間の露光量を得るようにされている。グレートーンマスクから得られる露光量を二種類とした場合、開口部からの露光量100%と半透光部からの中間の露光量となる。半透光部からの露光量は半透光部の透過率で決まり、TFT基板製造工程に求められる条件に応じて20〜50%の範囲で選択される。なお、当然遮光部からの露光量は0%である。
【0005】
また、グレートーンマスクは半透光部の構造から二種類に分類され、一つは、添付図面の図8に示すようなスリットマスクと呼ばれるタイプであり、もう一つは図9〜図12に示すようなハーフトーンマスクタイプと呼ばれるタイプがある。これらの図においてAは遮光部、Bは半透光部、Cは開口部である。
【0006】
図8に示すスリットマスクタイプのグレートーンマスクは露光機の解像限界の微細パターンを半透光部Bとして用いることにより中間の露光量を得ている(特許文献1参照)。現在のLCD用大型マスクの露光機の解像限界が3〜4μmであるので、半透光部の微細パターンは1〜2μmのサイズとなるが、微細パターンの欠陥検出は、現在のLCD用大型マスクの技術では難しい。
【0007】
ハーフトーンマスクタイプのグレートーンマスクは、製造方法及びマスク構造において、さらに四種類に分類される。図9に示すマスク構造では半透光部Bは遮光膜をハーフエッチングすることにより形成される。透明性のある酸化Cr膜等のCr化合物を遮光膜とし、この遮光膜のウエット又はドライエッチングによるハーフエッチングで中間の膜厚の半透光部を得る技術が提案されている(特許文献2参照)。酸化Cr膜(CrOx膜)等のCr化合物は金属Cr膜よりも遮光性が得られる膜厚が厚いため、中間の膜厚を得るためのハーフエッチングは金属Cr膜よりも容易であると述べている。しかし、この方法でも、大型マスク全面でのハーフエッチングによる膜厚制御及び半透光部の面内の均一性を保証するのは困難である。
【0008】
図10に示すマスク構造は、半透光膜D、ストッパー膜E及び遮光膜Fの三層膜構造とし、ストッパー膜Eを用いてエッチストップさせることによりハーフエッチングによる膜厚制御を可能とし、半透光部Bを得ている(特許文献3参照)。特許文献3によれば、ストッパー膜はSiO2等の透過率に影響を与えないものとし、半透光膜と遮光膜は同一材料でも異種材料でもよいと記載されている。ストッパーをSiO2とし、半透光膜と遮光膜をCr膜とした場合、開口部Cを得るためのエッチングは
1)Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)、
2)フッ酸エチング液及び
3)Crエッチング液
を用いた三工程となる。また半透光部Bを得るためのエッチングはCrエッチング液を用いた一工程(ストッパー層の除去を行う場合は二工程)となる。また、半透光膜の組成として酸化Cr膜(CrOx膜)及び、金属Cr膜等が提案されている。
【0009】
図11には、半透光膜G及び遮光膜Hを異なる組成の二層膜構造とし、通常のCr膜フォトマスクパターンをフォトリソ工程で形成した後、マスク開口部の一部に酸化Cr膜(CrOx膜)、金属Cr膜、SiNx膜等の半透光膜を再度成膜し、半透光部Bを形成したマスク構造が示されている。このようなプロセスは特許文献1及び特許文献4に提案されている。
【0010】
図12に示すマスク構造は、図11に示すマスク構造と逆の構造となり、半透光膜I及び遮光膜Jを異なる組成の二層膜構造とし、各層のドライエッチング性の差を利用し、ハーフエッチングで中間の膜厚の半透光部Bを得ている。かかるプロセス技術は特許文献5に提案されている。二層膜構造において、半透光膜をMoSi膜、遮光膜をCr膜とした場合、Cr膜は塩素系ガスを用いたドライエッチング、あるいは、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いたウエットエッチングを行い、次に、MoSi膜をフッ素系ガスを用いたドライエッチングでそれぞれ選択的にエッチングを行い中間の膜厚を得る技術が提案されている。
【0011】
図8に示すようなスリットマスクタイプのグレートーンマスクの加工プロセスは通常のフォトマスクのフォトリソ工程と同じである。また図9、図10、図11及び図12に示すようなハーフトーンマスクタイプのグレートーンマスクにおいてはこれらのようなハーフエッチングを用いるグレートーンマスクの加工プロセスは特許文献2、特許文献3及び特許文献5に記載されているように、二回のフォトリソ工程で行うのが一般的であるが、工程数の少ない加工プロセスも提案されている(特許文献6参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平8−24932
【特許文献2】特開平7−49410
【特許文献3】特開平2002−189281
【特許文献4】特開平2005−257712
【特許文献5】特開平2005−37933
【特許文献6】特開平2002−189280
【0013】
上述のように、グレートーンマスクを構成する半透光膜は一般的に酸化Cr膜(CrOx膜)又は、金属Cr膜等が用いられるが、金属Cr膜を半透光膜として用いる場合、金属Cr膜は透過率20〜50%を示すような膜厚は約10nm以下とCrOx膜と比較して膜厚は小さく、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)及び機械強度に乏しく、実用化が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点を鑑み、液晶カラーディスプレイ製造のコストダウン化技術に必要であり、優れた加工性を有したグレートーンマスク及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明によれば、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、半透光部を形成する半透光膜がCr金属膜を主要素としていることを特徴としている。
【0016】
半透光膜の主要素を成すCr金属膜は5〜10nmの膜厚範囲にあるのが好ましい。
【0017】
半透光部を形成する半透光膜は、第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含み得る。この場合、半透光膜の第一の薄膜を成すCr金属膜は5〜10nmの膜厚範囲にあり、第二の薄膜を成す酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜が0.1〜7.5nmの膜厚範囲にあるのが好ましい。
【0018】
本発明のグレートーンマスクをTFT基板製造に用いるために、半透光膜の透過率は20〜50%となるように構成され得る。
【0019】
このように構成したことによって、半透光膜として金属Cr膜を主成分として用いる場合、透過率20〜50%を示すような膜厚である約15nm以下で用いても、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)や機械強度を十分有しており実用的である。
【0020】
硫酸等に対する耐薬品性は金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜の寄与によるものである。金属Cr膜は耐薬品性に乏しく、酸化Cr膜又はC酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は耐薬品性に優れていることが一般的に知られている。例えば、Cr膜フォトマスクにおいて、金属Cr膜(ごく微量の反応性ガスが添加されているCr膜も含める)上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は、反射防止の機能を有するだけでなく、耐薬品性の向上にも寄与していることが一般的に知られている。Crフォトマスクは通常100nm前後の積層膜(金属Cr膜と酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜との積層膜)として用いられているが、本発明の半透光膜はこれらを10nm前後に縮小した構造に近いものである。よって本発明の半透光膜が耐薬品性に優れているものと推測される。
【0021】
半透光膜の透過率は、膜厚で制御可能である。半透光膜の透過率の制御(20〜50%)は主に金属Cr−酸化Cr二層膜の内、金属Cr膜の膜厚で調節するのが好ましい。第一の薄膜としてのCr金属膜の膜厚は5〜10nmの範囲にあれば所望の透過率が得られる。金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜は金属Cr膜の光学特性に影響を与えない、かつ十分に耐薬品性が得られる膜厚、すなわち金属Cr膜よりも小さい膜厚、すなわち0.1〜7.5nmの膜厚範囲で、より好ましくは1〜5nmの膜厚範囲で形成されるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の別の特徴によれば、グレートーンマスクは種々の構造が提案されているが、半透光部を形成するための半透光膜が金属成分としてCrを含む薄膜から成るグレートーンマスクに対して、いずれの構造に対しても本発明における半透光膜は適用可能である。
【0023】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0024】
また、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0025】
さらに、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜と半透光膜の金属成分と異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明における半透光膜は適用可能である。
【0026】
本発明の第2の発明によれば、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に遮光膜を形成したブランクスを用い、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜をエッチングして、Cr膜フォトマスクの開口部を形成し、形成した開口部の一部に半透光膜を形成することを特徴としている。
【0027】
本発明の第2の発明による方法においては、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜又は金属Cr−酸窒化クロム二層膜又は金属Cr−窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることできる。
【0028】
本発明の第2の発明による方法においては、透明基板上に金属成分の異なる半透光膜及び遮光膜を順に形成したブランクスが用いられ、半透光膜及び遮光膜のエッチング特性の違いを利用して作成され得る。
【0029】
本発明の第2の発明による方法においては、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いられ、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び前記半透光膜の金属成分と異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるグレートーンマスクは、上述のように構成することにより液晶カラーディスプレイ製造のコストダウンに寄与できる。
【0031】
また、本発明によるグレートーンマスクの製造方法によれば、液晶カラーディスプレイ製造のコストダウン化技術に必要なグレートーンマスクにおいて、優れた加工性を持ったグレートーンマスクを提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面の図1〜図7を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明によるグレートーンマスクの製造工程の一例を示す。
【0033】
図1の(a)は一般的な大型フォトマスク用Crブランクスの構成を示している。図示大型フォトマスク用ブランクスは透明ガラス基板1の表面上に直接若しくは間接に付着させて形成したCrからなる遮光膜(反射防止膜を含む)2を有し、遮光膜2上にポジ型レジストを塗布し、プリベークを行うことによりレジスト膜3が形成されている。
【0034】
図1の(b)はレジスト露光工程及び現像工程を示し、(a)に示すCrマスクブランクスを露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0035】
次に図1の(c)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜2をエッチングし、これによりマスク開口部5が形成される。
【0036】
次に図1の(d)に示す工程において、アルカリでレジスト膜3が除去されフォトマスクが得られる。
【0037】
次に図1の(e)に示す工程において、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜6を形成し、半透光部7が得られる。
【0038】
次に図1の(f)に示す工程において、再度ポジ型レジストを塗布し、レジスト膜8を形成する。
【0039】
こうして形成したレジスト膜8を図1の(g)に示す工程において露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0040】
図1の(h)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液を用いて、遮光膜2と半透光膜6を一括エッチングし、これにより開口部5が形成される。
【0041】
最後に、図1の(i)の工程において、アルカリでレジスト膜7が除去され、グレートーンマスクが得られる。図1の(i)において、9は遮光部である。
【0042】
次に、図2に示すグレートーンマスクの製造工程の別の実施形態について説明する。
【0043】
図2の(a)には、図1の(a)に示すものと同様な大型フォトマスク用Crブランクスの構成を示している。
【0044】
図2の(b)はレジスト露光工程及び現像工程を示し、(a)に示すCrマスクブランクスを露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0045】
次に図2の(c)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜2をエッチング、これによりマスク開口部5が形成される。
【0046】
次に図2の(d)に示す工程において、アルカリでレジスト膜3が除去されフォトマスクが得られる。
【0047】
次に図2の(e)に示す工程において、フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜6を形成し、半透光部7が得られる。
【0048】
次に図2の(f)に示す工程において、再度ポジ型レジストを塗布し、レジスト膜8を形成する。
【0049】
こうして形成したレジスト膜8を図2の(g)に示す工程において露光、現像し、レジストパターン4を形成する。
【0050】
図2の(h)に示すエッチング工程では、このレジストパターン4をマスクとして、Crエッチング液を用いて、半透光膜6をエッチングし、これにより開口部5が形成される。
【0051】
最後に、図2の(i)の工程において、アルカリでレジスト膜8が除去され、グレートーンマスクが得られる。図2の(i)において、9は遮光部である。
【0052】
図1及び図2の(d)は図1及び図2の(a)に示すブランクスをフォトリソ加工して得られた一般的なフォトマスクを示している。本発明において使用する大型フォトマスク用Crブランクスとしては市販のものを利用できる。また、図1及び図2の(d)に示すフォトマスクとしては一般的なフォトリソ加工工程を経たものを利用してもよい。
【0053】
フォトマスク上に形成される半透光膜6は開口部5に対して中間の露光量を得るためのものであり、半透光膜6から得られる露光量は半透光膜6の透過率で決まり、TFT−LCD製造工程に求められる条件に応じて20〜50%の範囲で選択される。半透光膜6は一般的に金属Cr膜や酸化Cr膜(CrOx膜)が使用されるが、耐薬品性に優れた酸化Cr膜(CrOx膜)が主に使用されている。
【0054】
本発明の半透光膜6は、第一の薄膜として金属Cr膜、及び、この第一の薄膜上に第二の薄膜として酸化Cr膜を第一のCr金属膜よりも薄い膜厚で形成する。このように構成したことによって、半透光膜6として金属Cr膜を主成分として用いる場合、透過率20〜50%を示すような膜厚である約15nm以下で用いても、マスク加工プロセスに必要な耐薬品性(硫酸に対して等)や機械強度を十分有しており実用的である。また、この半透光膜6の分光透過率は酸化Cr膜が金属Cr膜よりも透明性が高く、さらに酸化Cr膜の膜厚が金属Cr膜よりも小さいので、金属Cr膜とほぼ同様な特性を示す。一例として図7及び表1に金属Cr−酸化Cr二層膜が9nm(金属Cr層:7nm、酸化Cr層:2nm)である場合の分光透過率を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
半透光膜6の透過率は、図4に示すように膜厚で制御可能である。また、半透光膜6の透過率の制御(20〜50%)は主に金属Cr−酸化Cr二層膜の内、金属Cr膜の膜厚で調節するのが好ましい。第一の薄膜としてのCr金属膜の膜厚は図5に示すように5〜10nmの範囲にあれば所望の透過率が得られる。金属Cr膜上に形成された酸化Cr膜は金属Cr膜の光学特性に影響を与えない、かつ十分に耐薬品性が得られる膜厚、すなわち金属Cr膜よりも小さい膜厚、すなわち0.1〜7.5nmの膜厚範囲で、より好ましくは1〜5nmの膜厚範囲で形成されるのが好ましい。図4は金属Cr−酸化クロム二層膜のうち酸化Cr膜の膜厚(約2〜3nm)を一定とし、金属Cr膜の膜厚を変えた時の半透光膜6の透過率を示している。金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜6は5〜15nmの膜厚範囲において、それぞれ所望の透過率が得られる。これに対して図5の金属Crのみとした場合は、5〜10mの膜厚範囲において、それぞれ所望の透過率が得られ、その膜厚制御範囲は金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜のものよりも小さい。
【0057】
半透光膜6の酸化Cr膜の代わりに酸窒化Cr膜、窒化Cr膜を用いることができる。これらの膜も金属Cr膜より耐薬品性が優れている。
【0058】
本発明に使用されるCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)は調整された市販のものを用いることができる。
【0059】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態では、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜を適用しているが、本発明の半透光膜は、種々の構造のグレートーンマスクに対して適用可能である。特に半透光部を形成するための半透光膜が金属成分としてCrを含む薄膜から成るグレートーンマスクに対して本発明の半透光膜は適用可能である。
【0060】
例えば、図12に示すように、遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜は適用可能である。
【0061】
さらに、図10に示すように遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜と遮光膜と半透光膜の金属成分が異なっており、これらのエッチング性の違いを利用して作成したグレートーンマスクにおいて本発明の半透光膜は適用可能である。なお、これらのタイプのグレートーンマスクの製造工程に用いられるエッチング液は、本発明における金属Cr−酸化クロム二層膜の半透光膜については市販のCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いることができ、他の組成の構成材料に関してはそれぞれの膜質に従ったエッチング液を選択し使用する。
【実施例1】
【0062】
Crターゲットを使用して所定の雰囲気ガスの真空室内で直流スパッタリング法により半透光膜を成膜した。
【0063】
透明ガラス基板は、5.0mmの石英ガラスを用い、成膜中は真空チャンバ内に設けられた石英ヒーターにより透明基板が200〜250℃になるように加熱した。真空チャンバ内には、雰囲気ガスとして、金属Cr−酸化クロム二層膜のうち金属Cr膜層の作成にはArガスのみを用い、酸化Cr膜層の作成にはArガスとO2ガスを用い反応性スパッタリング法で成膜を行った。膜厚は投入電力により制御した。
【0064】
形成された半透光膜の膜厚の測定は、膜厚が10nm前後と小さく一般的な触針式膜厚計での測定が困難であるので、走査型プローブ顕微鏡(AFM)を用いて、金属Cr−酸化Cr二層膜の膜厚を測定した。酸化Cr膜の膜厚は二層膜及び金属Cr膜(比較例1で得られる)の膜厚の差から計算で求めた。
【0065】
金属Cr−酸化クロム二層膜に関して膜厚と透過率のとの相関を調べた結果(酸化Cr膜の膜厚を約2〜3nmで一定とする)は、それぞれ図4、図5に示すグラフの通りであった。また、金属Cr−酸化Cr二層膜が9nm(金属Cr層:7nm、酸化Cr層:2nm)である場合の分光透過率を図3及び表1に示す。
【0066】
金属Cr−酸化クロム二層膜に関して(1)濃硫酸120℃(2)3%−NaOH水溶液 室温条件での耐薬品試験を行った。図6、図7はそれぞれの条件での浸漬時間に対する透過率の変化を示している。
【0067】
その結果、濃硫酸120℃の条件において金属Cr−酸化クロム二層膜は30分の浸漬でも透過率の変化は見られなかった。3%−NaOH水溶液の条件においても30分の浸漬で透過率の変化は見られなかった。
【比較例1】
【0068】
Crターゲットを使用して実施例1と同様な条件で成膜を行った。真空チャンバ内には、雰囲気ガスとして、Arガスのみを用い金属Cr単層膜の成膜を行った。
【0069】
金属Cr単層膜に関して膜厚と透過率のとの相関を調べた結果は、それぞれ図5に示すグラフの通りであった。また、実施例1と同様な条件で耐薬品試験を行った結果を図6、図7にそれぞれ示した。
【0070】
その結果、濃硫酸120℃の条件において金属Cr単層膜は10分の浸漬で膜が消失した。3%−NaOH水溶液の条件において金属Cr単層膜は10分の浸漬で2%の透過率上昇(膜の溶解)が見られた。
【実施例2】
【0071】
実施例1で得られた金属Cr−酸化クロム二層膜を半透光膜とし、グレートーンマスクを作成した。Crフォトマスク上に金属Cr−酸化クロム二層膜からなる半透光膜を成膜し、次にこの上部にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、半透光膜及び遮光膜をCrエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いてエッチングし、マスク開口部を得た。得られたグレートーンマスクの半透光部の透過率を測定した結果、及び開口部のSEMによる断面形状評価結果は表2に示すとおりであった。
【0072】
【表2】
【0073】
その結果、半透光部の透過率は、グレートーンマスクとして必要とされる20〜50%の範囲にあり、グレートーンマスクへの加工が可能であった。グレートーンマスクへのエッチング加工後、開口部の断面形状は垂直で良好であった。これらの結果から本発明の半透光膜を含むグレートーンマスクは実用的に使用できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態によるグレートーンマスクの製造工程を示す概略断面図。
【図2】本発明の別の実施形態によるグレートーンマスクの製造工程の別の例を示す概略断面図。
【図3】図1及び図2に例示した方法で作成した半透光膜の分光透過率を示すグラフ。
【図4】半透光膜が金属Cr−酸化Cr二層膜(酸化Cr膜は2nmに固定)である場合の半透光部の膜厚と透過率との関係を示すグラフ。
【図5】半透光膜が金属Cr単層膜である場合の半透光部の膜厚と透過率との関係を示すグラフ。
【図6】半透光膜の耐薬品性試験結果/透過率の変化(条件:濃硫酸120℃)を示すグラフ。
【図7】半透光膜の耐薬品性試験結果/透過率の変化(条件:3%−NaOH水溶液 室温)を示すグラフ。
【図8】(a)は従来のスリットマスクタイプのグレートーンマスクの平面図、(b)はその断面図。
【図9】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクの一例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図10】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクの別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図11】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクのさらに別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【図12】(a)は従来のハーフトーンタイプのグレートーンマスクのさらに別の例を示す平面図、(b)はその断面図。
【符号の説明】
【0075】
1:透明ガラス基板
2:遮光膜
3:レジスト膜
4:レジストパターン
5:開口部
6:半透光膜
7:半透光部
8:レジスト膜
9:遮光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、前記半透光部を形成する半透光膜がCr金属膜を主要素としていることを特徴とするグレートーンマスク。
【請求項2】
前記半透光膜の主要素を成すCr金属膜が5〜10nmの膜厚範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスク。
【請求項3】
前記半透光部を形成する半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスク。
【請求項4】
前記半透光膜の第一の薄膜を成すCr金属膜が5〜10nmの膜厚範囲にあり、第二の薄膜を成す酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜が0.1〜7.5nmの膜厚範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のグレートーンマスク。
【請求項5】
前記半透光膜の透過率が20〜50%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項6】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項7】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項8】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び半透光膜の金属成分と異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項9】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に遮光膜を形成したCr膜ブランクスを用い、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜をエッチングして、Cr膜フォトマスクの開口部を形成し、形成した開口部の一部に半透光膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項10】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項11】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項12】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項13】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に金属成分の異なる半透光膜及び遮光膜を順に形成したブランクスを用い、半透光膜及び遮光膜のエッチング特性の違いを利用して作成することを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項14】
半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項13に記載グレートーンマスクの製造方法。
【請求項15】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用い、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び半透光膜の金属成分と異なっていることを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項16】
半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項15に記載グレートーンマスクの製造方法。
【請求項1】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクにおいて、前記半透光部を形成する半透光膜がCr金属膜を主要素としていることを特徴とするグレートーンマスク。
【請求項2】
前記半透光膜の主要素を成すCr金属膜が5〜10nmの膜厚範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスク。
【請求項3】
前記半透光部を形成する半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスク。
【請求項4】
前記半透光膜の第一の薄膜を成すCr金属膜が5〜10nmの膜厚範囲にあり、第二の薄膜を成す酸化Cr膜又は酸窒化Cr膜又は窒化Cr膜が0.1〜7.5nmの膜厚範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のグレートーンマスク。
【請求項5】
前記半透光膜の透過率が20〜50%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項6】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクがフォトリソ工程で形成したCr膜フォトマスクの開口部の一部に半透光膜を形成したグレートーンマスクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項7】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、遮光膜と前記半透光膜の金属成分が異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項8】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクが透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用いて作成され、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び半透光膜の金属成分と異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレートーンマスク。
【請求項9】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に遮光膜を形成したCr膜ブランクスを用い、Crエッチング液(硝酸第二セリウム+過塩素酸系)を用いて遮光膜をエッチングして、Cr膜フォトマスクの開口部を形成し、形成した開口部の一部に半透光膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項10】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項11】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−酸窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項12】
フォトマスク上にスパッタリング法により金属Cr−窒化クロム二層膜から成る半透光膜を形成して、半透光部を得ることを特徴とする請求項9に記載のグレートーンマスクの製造方法。
【請求項13】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に金属成分の異なる半透光膜及び遮光膜を順に形成したブランクスを用い、半透光膜及び遮光膜のエッチング特性の違いを利用して作成することを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項14】
半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項13に記載グレートーンマスクの製造方法。
【請求項15】
遮光部と、開口部と、半透光部とから成るパターンを有するグレートーンマスクの製造方法において、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパー膜、遮光膜の順に形成されたブランクスを用い、エッチングストッパー膜の金属成分が遮光膜及び半透光膜の金属成分と異なっていることを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項16】
半透光膜が第一の薄膜として形成したCr金属膜と、この第一の薄膜上に第二の薄膜として形成した酸化Cr膜、又は酸窒化Cr膜、又は窒化Cr膜とを含むことを特徴とする請求項15に記載グレートーンマスクの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−133098(P2007−133098A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325280(P2005−325280)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000101710)アルバック成膜株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000101710)アルバック成膜株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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