説明

グローブボックス用ダンパの取付け構造

【課題】 グローブボックス重量が変化した場合も、それに合うダンパに取り替え、開き速度が確保されるグローブボックス用ダンパの取付け構造を提供する。
【解決手段】 ダンパ1から引き出される紐状体13の先端部をグローブボックス3に取着して、該ダンパをパネル部材2に取付けるグローブボックス用ダンパの取付け構造において、パネル部材2の壁面に立設するダンパ取付け用のボス21と、上部に凹み22aを形成して前記壁面に立設する受けリブ22と、を複数設け、該受けリブの凹み22aにダンパ1のシリンダ10を納めて該ダンパをボス21に取付けできる一方、該受けリブの基端縁にヒンジ部25を設け、該ヒンジ部を介して延設するパネル部材2の壁部に、凹み22aと異なる窪み26aを形成する受部26がスリットで取り巻いて型取られ、ヒンジ部25を支点に該受部が旋回し起立することにより該窪みにシリンダ10とは別異の異径のシリンダを納めてそのダンパ1がボス21に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスがダンパによってコントロールされて開閉動する場合があるが、そのグローブボックス用ダンパの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルの助手席側には、小物入れ用のグローブボックスが設けられる。このグローブボックスには、高級感を演出しゆっくりと開くようダンパが取付けられているものがある。該ダンパは公知品で、エアダンパ等が用いられる。ダンパは、例えばそのシリンダがインストルメントパネル側のロアアシストやパッセンジャーロアと呼ばれるパネル部材に取付けられる。該シリンダから引き出される紐状体の先端がグローブボックスに取付けられ、該紐状体はシリンダ側の引き戻し方向に弾性付勢されていることから、グローブボックスの開閉動がゆっくりと開く仕掛けになっている。
しかし、このような仕掛けもグローブボックス重量に変化が生じると、シリンダ側への弾性付勢力とのバランスが崩れてしまい、グローブボックスが期待通りにゆっくりと開かない場合がある。こうしたことから、その改良発明が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−152736公報
【0004】
特許文献1の開示発明は、「グラブボックス(本発明では「グローブボックス」)内に設計値よりも重量のある物を収納すると、ダンパの出力不足で、グラブボックスが速く開いてしまう」問題を、「支持構造体側に固定されるシリンダと、紐の基端部が接続されてシリンダ内を移動するピストンと、該ピストンを一方向に付勢するコイルばねとを、備え、ピストンのシリンダ内での移動範囲をボックス体の支持構造体に対する回動範囲よりも広くなるように設定する一方、エアダンパの紐の先端部13aをボックス体側に固定して、該ボックス体の開塞状態における紐の繰り出し長さを多段階的に変化させる手段を有する」エアダンパを提供し、解決を図っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には次のような問題があった。例えば、北米仕様のグローブは、そのインナーパネル31とアウターパネル3Bの間に鉄板等のニーガードが配設されるが、仕向け地追加等でニーガードを設けない場合が存在する(図1参照)。斯かる場合、特許文献1の開閉装置ではそれに追従させるのが難しかった。ニーガードを設けないグローブボックスは、重量が極端に軽くなり、元のダンパのままで、紐の繰り出し長さを変化させて追従させるのが厄介であった。また、ニーガード有りとニーガードなしのツータイプしかない同形グローブボックスに対し、紐の繰り出し長さを多段階的に変化させる手段を有するエアダンパを適用するのは無駄が多すぎた。さらに、そもそも大きなダンパを必要とせず、元のままの大きなダンパをそのまま使用することは車両の重量増を招き、コスト高にもつながった。
いっその事、ニーガードのないグローブボックスに、小さなダンパを適用することが考えられるが、ダンパのシリンダ径が違うことから取付けが困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するもので、グローブボックスが仕向け地追加でその重量が変化した場合でも、それに合うダンパへと簡単に取り替えて、高級感を演出する開き速度が確保されるグローブボックス用ダンパの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、ダンパから引き出される紐状体の先端部をグローブボックスに取着して、該ダンパをインストルメントパネル側のパネル部材に取付けるグローブボックス用ダンパの取付け構造において、パネル部材の壁面に立設するダンパ取付け用のボスと、上部に凹みを形成して前記壁面に立設する受けリブと、を備える受止め部を複数設け、該受けリブの凹みにダンパのシリンダを納めて該ダンパを前記ボスに取付けできる一方、該受けリブの基端縁にヒンジ部を設け、該ヒンジ部を介して延設するパネル部材の壁部に、前記凹みと異なる窪みを形成する受部がその外周をスリットで取り巻いて型取られ、前記ヒンジ部を支点に該受部が旋回し起立することにより、該受部と前記受けリブとが重なり、該窪みに前記シリンダとは別異の異径のシリンダを納めてそのダンパが前記ボスに取付けられるようにしたことを特徴とするグローブボックス用ダンパの取付け構造にある。
請求項2記載のグローブボックス用ダンパの取付け構造は、請求項1で、ボスの補強用リブが延設して前記受けリブを形成することを特徴とする。
請求項3記載のグローブボックス用ダンパの取付け構造は、請求項1又は2で、受部と、前記スリットを介して延在するパネル部材の壁部とをつなぎ部で連結し、且つ該つなぎ部を該受部と共に一体成形してパネル部材とすることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明のごとく、ヒンジ部を介して延設するパネル部材の壁部に、凹みと異なる窪みを形成する受部がその外周をスリットで取り巻いて型取られ、ヒンジ部を支点に該受部が旋回し起立することにより、該受部と前記受けリブとが重なると、この重なり状態にすることによって剛性を高めて、該受部でも異径のシリンダを十分に支え持つことができる。そして、ヒンジ部を支点に受部が旋回し起立することにより、該受部と受けリブとが重なり、該窪みに前記シリンダとは別異の異径のシリンダを納めてそのダンパが前記ボスに取付けられるようにすると、一のパネル部材で、ニーガード有りと無しの二種類のグローブボックスに対して、それぞれに適合したダンパを取付けることができる。
請求項2の発明のごとく、ボスの補強用リブが延設して受けリブを形成すると、受けリブがボスの補強用リブを共用するので、合理的且つ効果的となる。
請求項3の発明のごとく、受部と、前記スリットを介して延在するパネル部材の壁部とをつなぎ部が連結すると、受部はヒンジ部に該つなぎ部が加わることによって安定保持される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のグローブボックス用ダンパの取付け構造は、グローブボックスが仕向け地追加等で、重量の違う二タイプが発生しても、一のパネル部材を使って、それぞれに高級感を演出する開き速度となる適合ダンパを簡単に取付け対応でき優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るグローブボックス用ダンパの取付け構造について詳述する。 図1〜図7は本発明のグローブボックス用ダンパの取付け構造の一形態を示したもので、図1はその分解斜視図、図2は図1のパネル部材の要部斜視図、図3は(イ)が図2のA−A矢視図で、(ロ)がヒンジ部を支点に受部を旋回し起立させた状態下での図2のA−A矢視図である。図4は図2のB−B線矢視図、図5が他態様のグローブボックス用ダンパの取付け構造の断面図で、図4に対応するものである。図6はダンパ付きパネル部材へ取着されたグローブボックスの開閉状態を示す概略説明断面図、図7は受けリブに小径シリンダを納めた状態を示す参考図である。
【0011】
本グローブボックス用ダンパの取付け構造は、ダンパ1がインストルメントパネル側のパネル部材2に取付けられる一方、該ダンパから引き出される紐状体13の先端部13aがグローブボックス3に取着される(図1)。そして、北米仕様で鉄板等からなるニーガードが組み込まれたグローブボックス用ダンパ1(以下、「主ダンパ1a」という)を、受けリブ22が受け支える。該受けリブはパネル部材2の外壁面に立設する。また、仕向け地が変わり、ニーガードなしの軽量グローブボックス3に変更対応できるようにしている。仕向け地変更に対応したダンパ1の受け支え用として受部26が設けられる。受けリブ22の基端縁22bからヒンジ部25を介して延設するパネル部材2の壁部2aに、受けリブ22とは形状の異なる受部26が、その外周をスリット27で取り巻くように型取られている。ヒンジ部25を支点にこの受部26を起立させることによって、主ダンパ1aのシリンダ大きさとは違う異径の小径シリンダ12を、該受部で受け支える構造とする(図3のロ)。
【0012】
以下、各部を詳しく説明する。前記ダンパ1は、既述のごとく特開平1-266331,特開2001-152736号等に開示されている公知品である。そのダンパ1は、例えばシリンダ10内のピストンに紐状体13の基端部側が固着される。紐状体13はシリンダ10内に配設された圧縮コイルばね内を挿通後、図1,図6のごとくシリンダ10から先端部13aが外に引き出される。シリンダ10をパネル部材2に取付け、紐状体13の先端部がグローブボックス3に取着される。グローブボックス3を図6の鎖線のごとく開くと、該グローブボックスは支軸4を中心にして回動し開いていく。圧縮コイルばねの弾性力に抗して、またシリンダ10に設けた小孔(図示せず)からシリンダ内へ吸い込む空気の流動抵抗で、グローブボックス3がゆっくりと開いていく。グローブボックス3がゆっくりと開くことで高級感を演出する。一方、開いた状態からグローブボックス3を元に戻すときは、圧縮コイルばねの弾性復元力を借りて、また小孔から空気を排出させながら、グローブボックス3がスムーズに閉じていく。
【0013】
前記主ダンパ1aには、図1のごとくシリンダ10から突出する突片11aを複数設ける。本実施形態は、シリンダ10の両端部に突片11aをそれぞれ一個設ける。さらに、シリンダ10の紐状体13が繰り出す方の突片11a側に、連結部を介して該突片11aの後方に別突片11eを一個設ける。計三個の突片11a,11eが横一列に配される。突片11aに透孔11bを形成し、突片11eに透孔11fを形成する。透孔11fを利用して、パネル部材2に設けたピン23に突片11eを嵌合させ、両端の突片11aがビス9等の止具を用いてパネル部材2のボス21に取付け固定される。
ここで、ニーガードが組み込まれたグローブボックス3には、前記凹み22aに合致する大径シリンダ11の主ダンパ1aが用いられる。一方、ニーガードが外された軽量のグローブボックス3では、大径シリンダ11よりも小さな小径シリンダ12のダンパ1(以下、「副ダンパ1b」という)を使用する。軽量グローブボックスに対しては、グローブボックスの開き時間等の目標値を達成すべく、それに適合するダンパ能力の低い副ダンパ1bを用いる。本発明はニーガードなしのグローブボックス3にも、その開閉動に高級感を演出できるよう、パネル部材2を変えたりせずに、副ダンパ1bを採用できる構造にする。尚、副ダンパ1bは、主ダンパ1aに比べ、ダンパ能力が低くなりシリンダ10が小径になる。しかし、他の突片12aの取付け位置や突片12a,透孔12bなどの形状等は、主ダンパ1aのもの同一仕様になっている。
【0014】
前記パネル部材2は、ロアアシストやパッセンジャーロアと呼ばれ、グローブボックス3が閉じたときにそのポケット形成部32が納められる板状成形部材である(図1,図6)。ポリプロピレン樹脂等の樹脂製成形品である。グローブボックス3のポケット形成部32が納まる凹所uを車室側に形成した湾状部2aと、該湾状部2aの外周縁から外方へ張り出す鍔部2bとを備えたパネル部材2とする。パネル部材2はインストルメントパネル側に組付け固定される。
【0015】
パネル部材2には、その外面側で取付け時にほぼ垂直になる外壁部位に、受止め部20が複数設けられる。受止め部20は、ダンパ取付け用のボス21と板状受けリブ22を具備する。該ボスはパネル部材2と一体にして、その外壁面に立設する。また、該受けリブはボス21の外周面から延設し、且つパネル部材の外壁面に立設する。該受けリブに上部が切欠かれた弧状凹み22aを形成する。
本実施形態は、受止め部20を二つ設け、該受け止め部に係る両受けリブ22を並行配設する。両受けリブ間距離はダンパ1のシリンダ10の長さよりも短めに設定される。前記凹み22aは大径シリンダ11の径に合わせた弧状に形成される(図3のイ)。凹み22aに該シリンダを密着させて両受けリブ22で安定保持するためである。
【0016】
前記ボス21は、凹み22aに大径シリンダ11を納めたとき、前記透孔11bが配される箇所にボス孔21aが位置するように配設される。ダンパ1の取付け時、該シリンダ10の両側に設けた突片11aに係る透孔11bにボス孔21aを合致させるようにして、二つのボス21がパネル部材2の外壁面に立設する。また、突片11eの透孔11fに合致するように、ピン23がパネル部材2の外壁面に立設する。そして、ボス21,ピン23と一体になった補強用リブ24を、図2のごとくパネル部材外壁面に平面視十文字状に立設するが、ボス21側の一つを延設して前記受けリブ22とする。尚、図3で、符号24aはボス孔21aに透孔11bを一致させ易くするストッパ部で、他の図面では図示を省く。
前記ピン23に透孔11fを嵌入しボス孔21aに透孔11bを一致させて、凹み22aに主ダンパ1aの大径シリンダ11を納めると、凹み22aに大径シリンダ11がピッタリと納まり、該受けリブがダンパ1を受け支える。該透孔11bにビス9を挿通後、ボス21に螺着固定することにより、大径シリンダ11を受けリブ22で受け止めさせながら、ダンパ1がボス21に取付け固定される構造になっている。
【0017】
また、パネル部材2には、受けリブ22の基端縁22bにヒンジ部25が設けられる。さらに、該ヒンジ部を介して延設するパネル部材2の板状壁部2aに、前記凹み22aと異なる弧状窪み26aを形成する板状受部26が、スリット27で型取られる。受部26は、受けリブ22の外側又は内側に延在するパネル部材2の壁部2aと同一面上にあり、常態下、壁部2aの一部を構成する。
上記ヒンジ部25はインテグラルヒンジ部にして、受けリブ基端縁22bにつながる受部基端縁26eの全域に設けられる。ヒンジ部25は、パネル部材2の成形の際、受けリブ22,受部26等と共に一体成形される。該インテグラルヒンジ部25は、受部26,壁部2a,受けリブ22と同材質であり、受部26と受けリブ22の境界で側面視V字形にカットした括れ部とする(図4)。
上記スリット27は、ヒンジ部25の両端から受部26の外周に沿って取り巻くようにして、該受部26を型取る細隙である。
【0018】
本実施形態は、前述のごとく二つの受けリブ22を設け、その両外側の基端縁22bで、且つ凹所u側の壁部2aに前記ヒンジ部25が形成される(図4)。受部26と受けリブ22とがヒンジ部25を介してつながる。図1,図2のごとく両受けリブ22の両外側で、該ヒンジ部を介して延在するパネル部材2の壁部2aに、前記凹み22aよりも一回り小さい小径シリンダ12の径に合わせた弧状窪み26aを形成する受部26が、スリット27で形づくられる。
【0019】
そして、前記壁部2aに形成された受部26は、スリット27域で壁部本体と分離しており、ヒンジ部25を支点に旋回させ、容易に起立させることができる。この受部26の起立によって、受部26と受けリブ22が重なり、大径シリンダ11とは違う異径の小径シリンダ12を窪み26aに納めて、そのダンパ1を前記ボス21に取付けできる構造とする(図3のロ)。受部26を受けリブ22と同程度の大きさにしても、窪み26aの方が凹み22aよりも小さいことから、図示のごとく該窪みに小径シリンダ12を納めるにあたって受けリブ22が邪魔することはない。
本実施形態は、ヒンジ部25を支点に受部26が旋回,起立することによって、受部26と受けリブ22の両板面が当接する。符号TSはその当接面を示す。斯かる状態下、小径シリンダ12を弧状窪み26aに納めて、受部26で該小径シリンダ12を受け支えると共に、ビス9を用い、小径シリンダ12に係るダンパ1が突片11aの透孔11bを使ってボス21に取付けられる構造とする。
【0020】
ここで、仕向け地の追加で、ニーガードが取り外された軽量グローブボックスへと変更になった場合、図7のごとく受部26の助けを借りずに、小径シリンダ12に係る副ダンパ1bを受けリブ22に取付けることも考えられる。しかし、凹み22aに小径シリンダ12を納めると、その下方側に受けリブ22の受け支える面がなく、図示のごとく空隙εができてしまう。凹み22aはもともと主ダンパ1aの大径シリンダ11用に造られたものだからである。グローブボックス3を開ける動作時に、小径シリンダ12に同図矢印方向の荷重が加わるが、小径シリンダ12を受け支える面がないことから、突片12a周りに応力が集中する。その結果、突片12a周りの座面の破損や小径シリンダ12に変形を生じさせる。
こうしたことから、径違いの副ダンパ1aを設置することができない。だからといって、主ダンパ1aを取り付けると、グローブボックスの開き時間目標値が未達になる。仕向け地の追加で、新たな型を起こすとなるとコストが嵩む。
本発明は、ニーガードが外された軽量グローブボックス3に対応できる受部26を、壁部2aに型取りし、且つ起立させ易いように埋め込んで、一体成形させたパネル部材2とする(図2)。そして、受部26が壁部2aの一部になりつつ、必要なときは、受部26を壁部2aから起立させる構造とし、上記問題を解決する。
【0021】
前記グローブボックス3は公知品で、ボックス本体3Aとアウターパネル3Bとを具備する(図1)。ボックス本体3Aは方形枠状体の樹脂製インナーパネル31と樹脂製ポケット形成部32とが一体成形で造られる。アウターパネル3Bは、インナーパネル31と略同じ大きさにして、その外周部から直角に屈曲してインナーパネル31に嵌合する鍔部を形成する。インナーパネル31とアウターパネル3Bの間にニーガードを組み込めるグローブボックス3になるだけでなく、該ニーガードを外したグローブボックス3も組付けできるようにしている。グローブボックス3のボックス形成部32の外壁には、紐状体13の先端部13aを取着するための小突起33が形成される。
【0022】
ところで、前記受部26の外周がスリット27で取り巻かれているが、該受部はヒンジ部25を介して受けリブ22とつながっているにすぎない。
そこで、本発明は、受部26と、スリット27を介して延在するパネル部材2の壁部2aとを、細幅板状のつなぎ部28で連結する(図2)。つなぎ部28は窪み26aが在る受部26の先端部位に設ける。板状のつなぎ部28を設けることで、受部26のヒンジ部依存の片持ち支持が解消される。車両走行中に、受部26がヒンジ部25を支点にして不用意に揺動することはない。一方、板状のつなぎ部28を射出成形におけるゲートのごとく薄肉とし、副ダンパ1bを採用する場合は、つなぎ部28を簡単に切り離して、受部26を旋回,起立させることができる。
【0023】
また、本実施形態は、受部26の外面に係止爪26bを設ける。該係止爪は、受部26に垂直起立する脚部26bと、その上端から水平方向へ突出する爪部26bとを備える(図2)。ヒンジ部25を支点に該受部26が旋回し起立することにより、該受部26と前記受けリブ22の板面同士が重なるが、このとき、係止爪26bが樹脂の保有する弾性変形を伴いながら、爪部26bが受けリブ22の厚み幅を越えて該受けリブ22の反対面に引っ掛かる。受部26を旋回し起立させたとき、受けリブ22と受部26が重なり合うが、係止爪26bを設けることで、受けリブ22に受部26が一体化し、該受部26の起立状態を安定維持させる。ここでは、両受部26に係止爪26bをそれぞれ二つ設ける。受部26を起立させたとき、一の係止爪26bが受けリブ22に設けた係止穴部分(図示せず)に引っ掛かり、他の係止爪26bが受けリブ22の外側縁22cに引っ掛かる構成とする。該係止爪及び前記つなぎ部28は、パネル部材2の成形で、壁部2a,受止め部20,ヒンジ部25,受部26,スリット27などと一緒に一体成形される。
【0024】
図5は他態様のグローブボックス用ダンパの取付け構造で、図4に相当する断面図である。該ダンパ1の取付け構造では、三つの受けリブ22,受部26を設ける。前記ピン23の補強用リブ24の一つを延設して、さらに新たな受けリブ22を設ける。また、この受けリブ22の基端縁22bにヒンジ部25を設け、図1〜図4と同様、該ヒンジ部25を介して延設するパネル部材2の壁部2aに、小径ダンパ1用の窪み26aが形成された受部26を設ける。該受部26はその外周をスリット27で取り巻いて型取られている。ヒンジ部25を支点に該受部26が旋回し起立することにより、受部26と受けリブ22の板面が重なり合って、窪み26aに小径シリンダ12を納めると共に、副ダンパ1aがボス21に取付けられる構造とする。他の構成は、図1〜図4と同様で、その説明を省く。図5中、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示す。尚、図1中、符号2aは紐状体の通り抜け用通孔、符号2bは小孔を示す。符号31aは前記小孔2bに嵌合する凸部を示す。
【0025】
このように構成したグローブボックス用ダンパの取付け構造は、ニーガードを組み込んだ標準仕様のグローブボックス3の場合、凹み22aに大径シリンダ11を納めて受けリブ22に受け支えさせた後、突片11aを利用して、主ダンパ1aをボス21に取付け固定できる。凹み22aに大径シリンダ11が納められて、受けリブ22に安定保持され、ビス9が透孔11bの挿通後にボス21に螺着固定されることで、主ダンパ1aがパネル部材2に安定且つ確実に取付けられる。
一方、仕向け地の追加で、前記グローブボックスに組み込まれていたニーガードが外された場合でも、パネル部材2をそのまま使用し、軽量になったグローブボックスに合った副ダンパ1bをパネル部材2に簡単に取付けできる。パネル部材2を仕向け地別に設ける必要はない。壁部2aに型取られている受部26を、ヒンジ部25を支点に回動し起立させた後、小径シリンダ12をこれに合った弧状窪み26aに納めて、受部26で確実に受け支え、且つ突片11aの透孔11bを利用してボス21に副ダンパ1bを簡単に取付け固定できる。ニーガードなしのグローブボックス3に対応する副ダンパ1bのパネル部材2への取付けが可能となり、ダンパ能力が余分で大きすぎる主ダンパ1aを取り付ける際に生じる不具合が解消する。軽量グローブボックス3に合った副ダンパ1bが取付けられ、グローブボックス3の開き速度も目標値を達成する。軽量グローブボックス3が、副ダンパ1bによって高級感を演出するようコントロールされて開閉動する。ダンパ能力が高すぎることによるグローブボックスを開けた際の開き時間がかかりすぎる不具合、さらに本来不要である過剰容量の主ダンパ1aを取付けることによるコスト増や重量増の問題も解決する。
【0026】
また、受部26はヒンジ部25を支点に旋回させ起立させるが、このとき、受部26と受けリブ22の両板面が重なり合うので、受部26に剛性をもたせることができ、強度的にも優れたものとなる。しかも、受けリブ22はボス21の補強リブのなかの一つを延設して形成するので、合理的且つ効果的である。
【0027】
さらに、ヒンジ部25,受部26,係止爪26b,つなぎ部28は、パネル部材2の成形時にこれと一体成形されるので、低コスト対応できる。係止爪26bを設けることによって、ヒンジ部25を支点に受部26を旋回し起立させたとき、係止爪26bが受けリブ22に引っ掛かって受けリブ22に受部26が一体化するので、該受部26を安定起立させることができる。加えて、つなぎ部28を設けることによって、受部26がつなぎ部28を介して壁部2a1に連結するので、該受部26をヒンジ部25,受けリブ22とつなぎ部28,壁部2aとで安定保持できる。
【0028】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。前記実施例では、ダンパ取付用ボス21と受けリブ22をパネル部材2の外壁面に設けたが、グローブボックス3のポケット形成部32に干渉しなければ、ダンパ取付用ボス21と受けリブ22をパネル部材2の内壁面に設けてもよい。また、ダンパ1,パネル部材2,グローブボックス3,ボス21,受けリブ22,ヒンジ部25,受部26等の形状,大きさ,個数などは用途に応じて適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】発明のグローブボックス用ダンパの取付け構造の一形態を示したもので、その分解斜視図である。
【図2】図1のパネル部材の要部斜視図である。
【図3】(イ)が図2のA−A矢視図で、(ロ)がヒンジ部を支点に受部を旋回し起立させた状態下での図2のA−A矢視図である。
【図4】図2のB−B線矢視図である。
【図5】他態様のグローブボックス用ダンパの取付け構造の断面図である。
【図6】ダンパ付きパネル部材へ取着されたグローブボックスの開閉状態を示す概略説明断面図である。
【図7】受けリブに小径シリンダを納めた状態を示す参考図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ダンパ
10 シリンダ
13 紐状体
2 パネル部材
2a 壁部
20 受止め部
21 ボス
22 受けリブ
22a 凹み
22b 基端縁
25 ヒンジ部
26 受部
26a 窪み
3 グローブボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパから引き出される紐状体の先端部をグローブボックスに取着して、該ダンパをインストルメントパネル側のパネル部材に取付けるグローブボックス用ダンパの取付け構造において、
パネル部材の壁面に立設するダンパ取付け用のボスと、上部に凹みを形成して前記壁面に立設する受けリブと、を備える受止め部を複数設け、該受けリブの凹みにダンパのシリンダを納めて該ダンパを前記ボスに取付けできる一方、
該受けリブの基端縁にヒンジ部を設け、該ヒンジ部を介して延設するパネル部材の壁部に、前記凹みと異なる窪みを形成する受部がその外周をスリットで取り巻いて型取られ、前記ヒンジ部を支点に該受部が旋回し起立することにより、該受部と前記受けリブとが重なり、該窪みに前記シリンダとは別異の異径のシリンダを納めてそのダンパが前記ボスに取付けられるようにしたことを特徴とするグローブボックス用ダンパの取付け構造。
【請求項2】
前記ボスの補強用リブが延設して前記受けリブを形成する請求項1記載のグローブボックス用ダンパの取付け構造。
【請求項3】
前記受部と、前記スリットを介して延在するパネル部材の壁部とをつなぎ部で連結し、且つ該つなぎ部を該受部と共に一体成形してパネル部材とする請求項1又は2記載のグローブボックス用ダンパの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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